特許拒絶査定不服審判
2022-006927
無菌接続を形成する装置
- 審判番号
- 2022-006927
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-137829外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月10日
- 審決日
- 2024年12月24日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アムジエン・インコーポレーテツド
- 【請求人代理人】弁理士法人川口國際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (A61M) / P18 .537-WZ (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 行政事件訴訟法46条特許法29条2項特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-137829「無菌接続を形成する装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年12月 3日出願公開、特開2020-192367〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年) 3月 2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年 3月 2日 (US)アメリカ合衆国、2015年 4月15日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2017-546214号の一部を、令和 2年 8月18日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和 2年 9月14日提出:手続補正書
令和 3年 6月23日付け:拒絶理由通知書
令和 3年11月26日提出:手続補正書、意見書
令和 3年12月27日付け:拒絶査定
令和 4年 5月10日提出:審判請求書、手続補正書
令和 4年12月13日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 5月11日提出:意見書
令和 5年12月28日付け:拒絶理由通知書
令和 6年 4月 8日提出:手続補正書、意見書、物件提出書
第2 本願発明
本願の請求項1ないし14に係る発明は、令和 6年 4月 8日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「薬物送達装置であって、
穿孔可能シールによって覆われる開口を有する薬物容器と、
穿孔可能シールに隣接する薬物容器に結合され、内部空間を有する接続ハブと、
穿孔部材であって、穿孔部材の先端が薬物容器の外側にある非作動位置と、穿孔部材の先端が穿孔可能シールを穿孔して薬物容器に入り込む送達位置とを有する穿孔部材と、
非作動位置から送達位置に穿孔部材を移動させる駆動力を発生させるように構成された挿入ドライバとを備え、
穿孔可能シールの少なくとも一部は、接続ハブが薬物容器に結合された後に、UV滅菌を用いて滅菌されるように構成されており、
穿孔部材の先端が、非作動位置から送達位置に移動する際に接続ハブの内部空間を通って移動するように構成されており、穿孔部材の先端は、穿孔可能シールを穿孔する前に、前記内部空間を囲む薬物送達装置のいずれの部分とも接触せず、穿孔部材の先端は、穿孔部材が非作動位置にあるときに、穿孔可能シールと接触せず、かつ、穿孔可能シールによって少なくとも部分的に画定される囲まれた空間内に配置されない、薬物送達装置。」
第3 当審において通知した拒絶理由の概要
当審において令和 5年12月28日付けで通知した拒絶理由は以下の理由を含むものである。
理由1.(進歩性)
(1)本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開平9-187488号公報
理由2.(明確性)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2)<物の発明に係る請求項にその物の製造方法が記載されている場合の明確性要件について>
請求項1に係る発明は、「薬物送達装置」(物の発明)であるが、当該請求項には、「穿孔可能シールの少なくとも一部は、接続ハブが薬物容器に結合された後に、UV滅菌を用いて滅菌されるように構成されており」という、その物の製造方法が記載されているものと認められる。
ここで、物の発明に係る請求項にその物の製造方法が記載されている場合において、当該請求項の記載が特許法第36条第6項第2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情(「不可能・非実際的事情」)が存在するときに限られると解するのが相当である(最二小判平成27年6月5日 平成24年(受)1204号、同2658号)。
しかしながら、不可能・非実際的事情が存在することについて、明細書等に記載がなく、また、出願人から主張・立証がされていないため、その存在を認める理由は見いだせない。
したがって、本願発明は明確でない。
第4 引用文献の記載、引用発明、周知技術を示す文献の記載
1 引用文献1の記載
(1)引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付した。)。
「【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶解液入り容器と、該容器の上端の口部シール部より同心状に起立する取り外し可能のガイドカプセルと、該カプセル内で軸方向にスライド移動できる両頭針とを備え、必要時に薬剤容器をガイドカプセルの上端開口よりその内部に押し込むことにより両頭針を介し上記の2つの容器を内部連通状態に連結できる両頭針付き溶解液容器において、上記カプセルの上端開口をシール部材により密封し、該シール部材の封膜部に切離開封手段を備え、該開封手段による切離開封後にカプセル側に残る封膜部の縁部を両頭針のストッパーとして機能させる構成としたことを特徴とする両頭針付き溶解液容器に係る。」
「【0008】図1に示す全体図から明らかなように、本発明による両頭針付き溶解液容器は、溶解液入り容器1、ガイドカプセル2、両頭針3及びシール部材4を構成要素として備えている。
【0009】上記容器1はポリエチレンなどのような可撓性プラスチック製であって、上端に口部シール部5を備え、該口部シール部5は、上記容器1の口端に溶着手段等の適用で固着されたプラスチック製中栓5aと該中栓5aの上端に嵌着固定されたキャップ状のゴム栓5bとから構成されている。
【0010】ガイドカプセル2は筒状で例えば硬質プラスチックから成形され、下端部の接続固定部6において、上記容器1の口部シール部5に、同心且つ上向き起立状態に接続固定されている。
【0011】上記接続固定部6は、下端から下向き且つ同心状に突出するソケット部7を備え、該ソケット部7において口部シール部5に凹凸係合部8a、8bの適用のもとに嵌着固定されている。凹凸係合部8a、8bの係合を解くことによりソケット部7ひいてはガイドカプセル2を口部シール部5から取り外すことができる。
【0012】上記ソケット部7は上端より内方へ突出する円環状の係止リング9を備え、該リング9の内周部において下方へ突出する係止突部9aはゴム栓5bの保有弾性に抗し該ゴム栓5bの天面部に食い込み、この食い込みで接続部の気密が保持されるようになっている。
【0013】両頭針3は上記カプセル2内に上下方向に摺動可能に装入されている。両頭針3は図3、4に詳細に示すように、相連通する上下一対の針部10a、10bを備え、該針部10a、10bは針ホルダー11の中心に該ホルダー11を境として上下に分かれるように支持固定されている。」
「【0021】図1に示すように、本発明溶解液容器は、輸送、保管時など通常状態にあるときは、ガイドカプセル2内の両頭針3はストッパー13の働きにより下方への移動が、またスライダー11c上端の封膜部縁部4a′への当止で上方への移動がそれぞれ防止されており、よって両頭針3は図1に示す非作動位置を安定確実に保持することができる。」
「【0025】封膜部4aを切離開封した後は、薬剤容器Aが常法通りガイドカプセル2の上端開口を通じて該カプセル2内に強制的に押し込まれ、この押し込みにより両頭針3は図1に示す非作動位置より図5に示す作動位置まで移動し、よって両容器A、1内は両頭針3を介し相連通される。」
図1「
[図:0001422773000001.jpg]
」
図4「
[図:0001422773000002.jpg]
」
図5「
[図:0001422773000003.jpg]
」
(2)上記(1)から以下の事項が理解できる。
ア 図1、図4及び図5を、【0009】-【0011】と、併せてみると、次のことが把握できる。
(i)「溶解液入り容器1」は、上端に「口部シール部5」を備える。「口部シール部5」は、「溶解液入り容器1」の構成要素である。
(ii)「溶解液入り容器1」の「口部シール部5」は、口部シール部5の外側の筐体をなす部分(図4及び図5において符号5の引き出し線が出ている箇所であって、右下がりのハッチングが施された部分)(以下「口部筐体」という。)と「中栓5a」と「キャップ状のゴム栓5b」を含むことが看取できる。
溶解液入り容器1の容器本体(図1において右下がりのハッチングが施された部分。但し、前記口部筐体を含まない。)の口端に「中栓5a」が固着され、「キャップ状のゴム栓5b」は、「中栓5a」の上端に嵌着固定される。以下、「中栓5a」及び「キャップ状のゴム栓5b」をあわせて、「栓部材5a、5b」という。
(iii)「溶解液入り容器1」の口部筐体の開口には、「栓部材5a、5b」が配置され、開口を塞いでいることが看取できる。「栓部材5a、5b」は、「溶解液入り容器1」のシールに用いられることが明らかである。
(iv)「ガイドカプセル2」は、「接続固定部6」において、「溶解液入り容器1」の「口部シール部5」の口部筐体に、「凹凸係合部8a、8b」の適用のもとに接続固定されている。
イ 図1及び図4に示す「非作動位置」では、「針部10b」の先端は、「口部シール部5」を含む「溶解液入り容器1」の外側にあることが明らかである。
ウ 図5に示す「作動位置」では、「針部10b」の先端が、「栓部材5a、5b」を穿孔して、「溶解液入り容器1」の密封空間に入り込むことが看取される。
エ 図1、図4及び図5から「ガイドカプセル2」は、内部の空間を有し、「針部10b」の先端は、両頭針3が、図1及び図4に示す「非作動位置」から図5に示す「作動位置」に移動する際に、「ガイドカプセル2」の内部の空間を通って移動することが看取できる。
オ 図1、図4及び図5から「針部10b」の先端は、「栓部材5a、5b」を穿孔する前に、「ガイドカプセル2」の内部の空間を囲むいずれの部分とも接触してないことが看取できる。
カ 「針部10b」の先端は、図1及び図4に示す「非作動位置」にあるときに、「栓部材5a、5b」と接触せず、かつ、「栓部材5a、5b」でシールされる「溶解液入り容器1」の密封空間に配置されないことが看取できる。
2 引用発明
上記1(1)及び(2)の事項を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「溶解液入り容器1と薬剤容器Aを内部連通状態に連結できる両頭針付き溶解液容器であって、
栓部材5a、bが配置されて塞がれた開口を有する、口部シール部5を上端に備える溶解液入り容器1と、
接続固定部6において、溶解液入り容器1の口部シール部5の口部筐体に凹凸係合部8a、8bの適用のもとに接続固定されており、内部の空間を有する、ガイドカプセル2と、
針部10bを備える両頭針3であって、針部10bの先端が溶解液入り容器1の外側にある非作動位置と、針部10bの先端が栓部材5a、5bを穿孔して溶解液入り容器1の密封空間に入り込む作動位置とを有する両頭針3とを備え、
針部10bの先端が、両頭針3が非作動位置から作動位置に移動する際にガイドカプセル2の内部の空間を通って移動し、針部10bの先端は、栓部材5a、5bを穿孔する前に、前記内部の空間を囲む両頭針付き溶解液容器のいずれの部分とも接触せず、針部10bの先端は、両頭針3が非作動位置にあるときに、栓部材5a、5bと接触せず、かつ、栓部材5a、5bでシールされる溶解液入り容器1の密封空間に配置されない、
溶解液入り容器1と薬剤容器Aを内部連通状態に連結できる両頭針付き溶解液容器。」
3 周知技術を示す文献の記載
(1)周知技術1を示す文献
ア 特公平4-60662号公報(以下「引用文献2」という。)
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「このおよび種々の他の公知の構造は、2本のチユーブ端間に実質上無菌の接続を提供する手段として提案されたものであり、最初接続がなされ、次にその内部を滅菌するためコネクターの紫外線透過性材料を通過する紫外線で照射される。」(第3欄第41行-第4欄第1行)
イ 米国特許第3986508号明細書(以下「引用文献3」という。)
引用文献3には、以下の事項が記載されている。(括弧内の日本語訳は当審で付した。)
「FIG. 5 illustrates the connector in the first extended stage of union. Since the connector is together, the mating septa 28 and 42 are protected from external contamination, but the systems to be joined together by the connector are not yet in fluid-flow communication, because the septa 28 and 42 in this first-stage union are intact.(図5は、結合の第1伸長段階にあるコネクタを示す。コネクタが一緒になるので、対をなす隔壁28と42は外部汚染から保護されるが、この第1段階の結合では隔壁28と42は損なわれていない部分がないから、コネクタによって結合されるシステムは、まだ流体連通していない。)
To insure sterility after the septa 28 and 42 are ruptured by the needle 44, the connector can be sterilized in a small dry heat-sterilizing oven, as illustrated more particularly in FIGS. 12-13; for example, a device which heats the connector to 350°F and holds that temperature for a time sufficient to ensure sterility, such as for about 10 minutes or more. (針44によって隔壁28及び42が切り裂かれた後における無菌状態を保証するために、コネクタは、特に図12-13に示されているような、小型の乾熱滅菌オーブン内で滅菌することができる。それは、例えば、350°Fにコネクタを加熱し、滅菌を保証するのに十分な時間、例えば約10分以上、その温度を保持する装置である。)Of course, it is recognized that other means of sterilizing the connector in the first extended stage of union may be employed, such as through chemical means, through the employment of ethylene oxide or other sterilizing gases, or liquid chemicals, or by heat, such as dry heat or steam, or by radiation, such as ultraviolet radiation, high-dosage gamma; for example, more than 2.5 megarads, or beta; for example, more than 3×106 volts, or by high-frequency radiation, such as through the use of microwaves, or other known sterilization techniques.(もちろん、結合の第1伸長段階において、コネクタを滅菌する他の手段、例えば、化学的手段によって、酸化エチレン又は他の殺菌ガス、又は液体化学物質の使用によって、乾熱又は蒸気のような加熱による手段、紫外線放射、例えば2.5メガラド超えの高線量のガンマ線、例えば、3×106ボルト超えのベータ線、又は高周波放射のような放射による手段、マイクロ波の利用、又は他の既知の滅菌技術、を採用しても良いことが認識される。)」(第3欄第49行-第4欄第4行)
図5「
[図:0001422773000004.jpg]
」
(2)周知技術2を示す文献
ウ 特表2013-509925号公報(以下「引用文献6」という。)
「【0098】
第一針要素138と第二針要素140は、内部122内に保持される。これらの針要素138、140は、図1において象徴的に示されているだけである。例として、針要素138、140は、カニューレおよび/またはカニューレの構成要素として実施できる。例として、針要素138、140は、移動可能な方法で設置することができる。例として、針要素138、140は、駆動装置で駆動することによって、貫通運動、より具体的には、穿孔可能な密封要素126、128に略垂直に行われる貫通運動をすることができ、そのため、密封要素126、128をこうした運動によって穿孔することができる。針要素138、140の駆動については、図1において参照符号144、146によって象徴的に示されている。」
「【0102】
容器118は、穿孔可能であり、かつ穿孔可能な第一の密封要素126と直接的にまたは間接的に接続可能な、少なくとも1つのセクション148を含む。例として、直接接続の場合、穿孔可能なセクション148および穿孔可能な密封要素126は直接接触していてもよい。しかし、代わりに、またはこれに追加で、(図1に示したように)、任意のスペース149を形成することもでき、このスペース149は、隙間の幅がゼロであることが好ましいが、原理的には、有限の幅を有することもでき、任意で、たとえば1つまたは2つ以上の中間要素151によって充填および/または保護および/または囲むことができる。中間要素151の詳細については後述するため、図1に例示されているだけである。これについては、例示的に以下に詳細を説明する。」
「【0109】
取り出し装置116および容器118は、その後、たとえば図1および2に示されるように、装置110を組み立てる際に、相互接続される。保護領域166について無菌の初期状態をつくるために、これらの要素116、118を接続する前、および/または、その間、および/または、その直後に、穿孔可能なセクション148の外部側154および/または穿孔可能な第一の密封要素126の外部側158を、消毒または殺菌することさえ可能である。・・・」
「【0112】
図1による装置110が、たとえば示される構成要素を全体的または部分的に囲む共通のハウジングといった、さらなる構成要素を含んでいてもよいという事実を参考にする。例として、この場合、穿孔可能な第二の密封要素128が、ユーザー、たとえば患者の体組織表面、たとえば皮膚表面に置かれるように、この第二の密封要素128を実施することができる。保護領域166はその後、駆動装置144および/または146によって穿孔される。同時に、駆動装置146は、穿孔可能な第二の密封要素128を穿孔し、その後、ユーザーの皮膚の一部および/または体組織の他の一部を穿孔し、液状媒体112をユーザーの体組織に注入する。」
「【0115】
・・・図4に例示される例示的な実施例・・・。・・・穿孔可能な密封要素126は、またしても、突起部172を有しているが、単に突出した部分を有しているのではなく、この例示的な実施形態においては環状の突起部172を有している。代替方法として、またはこれに加えて、穿孔可能なセクション148もまた、そのような突起部172を外部側154に備えることができる。突起部172は、この場合は環状に設計されていて、押圧された後に保護領域166を囲む。この場合、面での押圧が、突起部172が外部側154に重なる領域に生じるのみである。この場合の接触面はまた、バリア領域168を形成し、バリア領域168はその内部において、実質的に無菌な方法で保護領域166を密封する。」
「【0125】
図5の例示的な実施例は、装置110が比較的複雑な設計を有することができることを示している。例として、駆動装置144、146、180の作動を同期させる制御装置をさらに備えることができる。・・・」
図1「
[図:0001422773000005.jpg]
」
図4「
[図:0001422773000006.jpg]
」
図5「
[図:0001422773000007.jpg]
」
エ 特表2014-528820号公報(以下「引用文献7」という。)
「【0033】
流体送達系104は、前記のそして図1で模式的に示した作動装置106と一緒に用いられ得る。作動装置106は、図1に示した貯蔵状態と図3に示した送達状態との間で容器針180を動かすよう適合され得る。送達状態では、容器針180は、柔軟性壁140の内表面142を通して滅菌レザバー150中に配置される。
【0034】
状態間の針180の動きは、種々の方式で生じ得る。例えば、針180は、注入器100のハウジングに対して固定保持され、容器102は針180およびハウジングに対して動き得る。代替的には、容器102は、ハウジングに対して固定保持され、針180は容器102およびハウジングに対して動き得る。容器102および針180が注入器100のハウジングに対して動くことも可能であり得る。これらの動作はすべて、貯蔵および送達状態間で容器針180を動かすよう作動装置106が適合されるという記述内に包含され得る、と理解される。
【0035】
作動装置106は、機械的、電気機械的または電子的であり得る。例えば作動装置106は、ソレノイド、モーター駆動レバー、関連伝導装置を有するモーター等を包含し得る。手動での容器102および針180間の相対的移動をユーザーが達成することができるよう、容器102または針180に取り付けられるタブまたはボタンを提供することもさらに可能である。実際、(固定)針180に対して容器102を動かすよう注入器100が作動されると、ハウジング中に押し下げられるタブまたはボタン内に容器102が受容され得る。
【0036】
作動装置106は、貯蔵状態から送達状態に針180を動かすことにより、または送達状態から貯蔵状態に針180を動かすことにより、貯蔵および送達状態間で容器針180を動かし得る。実際、作動装置は、貯蔵および送達状態間で反復的に(すなわち、多数回または繰り返し)容器針180を動かし得る。さらに、作動装置106は、投入量またはシグナル(作動装置106に連結されるボタンまたはその他の入力装置(事実上、機械的、電気機械的または電子的であり得る))の受容時に直ちに容器針180を動かし得るし、あるいは入力が受容された後にしばらくの間、貯蔵および送達状態間での容器針180の動きを遅延し得る。特定の実施形態によれば、作動装置106は、このような時間が遅延するまで、貯蔵状態から送達状態への針180の動きを遅延し得る。」
図1「
[図:0001422773000008.jpg]
」
図3「
[図:0001422773000009.jpg]
」
第5 理由1(進歩性)についての当審の判断
1 本願発明と引用発明の対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「溶解液入り容器1と薬剤容器Aを内部連通状態に連結できる両頭針付き溶解液容器」は、その機能及び構造から、本願発明の「薬物送達装置」に相当する。
以下同様に、引用発明の「栓部材5a、5b」は、本願発明の「穿孔可能シール」に相当し、
引用発明の「口部シール部5を上端に備える溶解液入り容器1」は、本願発明の「薬物容器」に相当し、
引用発明の「栓部材5a、5bが配置されて塞がれた開口」は、本願発明の「穿孔可能シールによって覆われる開口」に相当し、
引用発明の「栓部材5a、5bが配置されて塞がれた開口を有する、口部シール部5を上端に備える溶解液入り容器1」は、本願発明の「穿孔可能シールによって覆われる開口を有する薬物容器」に相当する。
引用発明の「ガイドカプセル2」は、本願発明の「接続ハブ」に相当し、
引用発明の「ガイドカプセル2」が「接続固定部6において、溶解液入り容器1の口部シール部5の口部筐体に凹凸係合部8a、8bの適用のもとに接続固定されており」は、本願発明の「接続ハブ」が「穿孔可能シールに隣接する薬物容器に結合され」に相当し、
引用発明の「ガイドカプセル2」の「内部の空間」は、本願発明の「接続ハブ」の「内部空間」に相当し、
引用発明の「接続固定部6において、溶解液入り容器1の口部シール部5の口部筐体に凹凸係合部8a、8bの適用のもとに接続固定されており、内部の空間を有する、ガイドカプセル2」は、本願発明の「穿孔可能シールに隣接する薬物容器に結合され、内部空間を有する接続ハブ」に相当する。
引用発明の「針部10bを備える両頭針3」は、本願発明の「穿孔部材」に相当し、
引用発明の「針部10bの先端」は、本願発明の「穿孔部材の先端」に相当し、
引用発明の「針部10bの先端が溶解液入り容器1の外側にある非作動位置」は、本願発明の「穿孔部材の先端が薬物容器の外側にある非作動位置」に相当し、
引用発明の「針部10bの先端が栓部材5a、5bを穿孔して溶解液入り容器1の密封空間に入り込む作動位置」は、本願発明の「穿孔部材の先端が穿孔可能シールを穿孔して薬物容器に入り込む送達位置」に相当し、
引用発明の「針部10bを備える両頭針3であって、針部10bの先端が溶解液入り容器1の外側にある非作動位置と、針部10bの先端が栓部材5a、5bを穿孔して溶解液入り容器1の密封空間に入り込む作動位置とを有する両頭針3」は、本願発明の「穿孔部材であって、穿孔部材の先端が薬物容器の外側にある非作動位置と、穿孔部材の先端が穿孔可能シールを穿孔して薬物容器に入り込む送達位置とを有する穿孔部材」に相当する。
引用発明の「針部10bの先端が、非作動位置から作動位置に移動する際にガイドカプセル2の内部の空間を通って移動」することは、本願発明の「穿孔部材の先端が、非作動位置から送達位置に移動する際に接続ハブの内部空間を通って移動するように構成され」ることに相当する。
引用発明の「針部10bの先端は、栓部材5a、5bを穿孔する前に、前記内部の空間を囲む両頭針付き溶解液容器のいずれの部分とも接触せず」は、本願発明の「穿孔部材の先端は、穿孔可能シールを穿孔する前に、前記内部空間を囲む薬物送達装置のいずれの部分とも接触せず」に相当する。
引用発明の「栓部材5a、5bでシールされる溶解液入り容器1の密封空間」は、栓部材5a、5bによって画定される囲まれた空間であるから、本願発明の「穿孔可能シールによって少なくとも部分的に画定される囲まれた空間」に相当し、
引用発明の「針部10bの先端は、両頭針3が非作動位置にあるときに、栓部材5a、5bと接触せず、かつ、栓部材5a、5bでシールされる溶解液入り容器1の密封空間に配置されない」ことは、本願発明の「穿孔部材の先端は、穿孔部材が非作動位置にあるときに、穿孔可能シールと接触せず、かつ、穿孔可能シールによって少なくとも部分的に画定される囲まれた空間内に配置されない」ことに相当する。
2 一致点、相違点
本願発明と引用発明は、
「薬物送達装置であって、
穿孔可能シールによって覆われる開口を有する薬物容器と、
穿孔可能シールに隣接する薬物容器に結合され、内部空間を有する接続ハブと、
穿孔部材であって、穿孔部材の先端が薬物容器の外側にある非作動位置と、穿孔部材の先端が穿孔可能シールを穿孔して薬物容器に入り込む送達位置とを有する穿孔部材とを備え、
穿孔部材の先端が、非作動位置から送達位置に移動する際に接続ハブの内部空間を通って移動するように構成されており、穿孔部材の先端は、穿孔可能シールを穿孔する前に、前記内部空間を囲む薬物送達装置のいずれの部分とも接触せず、穿孔部材の先端は、穿孔部材が非作動位置にあるときに、穿孔可能シールと接触せず、かつ、穿孔可能シールによって少なくとも部分的に画定される囲まれた空間内に配置されない、薬物送達装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
本願発明は「穿孔可能シールの少なくとも一部は、接続ハブが薬物容器に結合された後に、UV滅菌を用いて滅菌されるように構成されて」いるのに対して、引用発明はそうではない点。
<相違点2>
本願発明は「非作動位置から送達位置に穿孔部材を移動させる駆動力を発生させるように構成された挿入ドライバ」を備えるのに対して、引用発明はそうではない点。
3 判断
(1)相違点1について
引用発明の「溶解液入り容器1と薬剤容器Aを内部連通状態に連結できる両頭針付き溶解液容器」は、薬物送達に係る装置であるから、使用にあたり薬剤への菌の混入が発生する懸念のある箇所に対して、滅菌対策を行うことは、当業者が通常になすべき事項である。
そして、薬物送達に係る装置において、接続後にUV滅菌を用いて内部を滅菌する技術は周知技術である(以下「周知技術1」という。)(必要なら、引用文献2(第3欄第41行-第4欄第1行)、引用文献3(第3欄第49行-第4欄第4行)参照)。
したがって、引用発明に上記周知技術1を採用し、ガイドカプセル2が接続固定部6において溶解液入り容器1の口部シール部5に接続固定された後にUV滅菌を用いて内部を滅菌するようにして、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(2)相違点2について
穿孔部材(針)を駆動力を用いて移動(穿孔)する挿入ドライバを用いる技術は周知であり(以下「周知技術2」という。)(引用文献6(【0098】、【0112】、【0115】、【0125】、図1、図4、図5参照。(「駆動装置144」が本願発明の「挿入ドライバ」に相当する。))、引用文献7(【0033】-【0036】、図1,図3参照。(「作動装置106」が本願発明の「挿入ドライバ」に相当する。)))、引用発明の装置に、周知技術2を採用して、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(3)効果について
本願発明を全体として検討しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術1、2から当業者が予測できる範囲内のものに過ぎず、格別顕著ということはできない。
(4)小括
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1、2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、上記第5の2及び3では、「穿孔可能シールと薬剤容器のバレルによって囲まれた空間」も「穿孔可能シールによって少なくとも部分的に画定される囲まれた空間」であることに基づいて、対比、判断を行っているが(注:「フィルム」との関係について、本願発明では何ら特定されていない。)、次の点を付言する。
仮に、本願発明の「穿孔可能シールによって少なくとも部分的に画定される囲まれた空間」が、穿孔可能シールとフィルムとの間の囲まれた空間であると限定されたと仮定しても、次のとおりである。
引用文献6(【0098】、【0109】、【0112】、【0115】、【0125】、図1、図4、図5参照。「穿孔可能なセクション148」が「穿孔可能シール」に相当し、「第一の密封要素126」が「フィルム」に相当し、「保護領域166」(図4参照)または「スペース149」(図1参照)が「穿孔可能シールとフィルムとの間の囲まれた空間」に相当し、「第一針要素138」が「穿孔部材」に相当する。)に示されるように、穿孔可能シールとフィルムとの間の囲まれた空間を有し、穿孔部材の先端を、穿孔部材が非作動位置にあるときに、該空間内に配置されないようにすることは周知技術であり、引用発明に該周知技術を採用することは、当業者が容易になし得た程度の事項である。
第6 理由2(明確性)についての当審の判断
<物の発明に係る請求項にその物の製造方法が記載されている場合の明確性要件について>
請求項1に係る発明は、「薬物送達装置」(物の発明)であるが、当該請求項には、「穿孔可能シールの少なくとも一部は、接続ハブが薬物容器に結合された後に、UV滅菌を用いて滅菌されるように構成されて」いるという製造に関して経時的な要素が記載されているから、その物の製造方法が記載されているものと認められる。
また、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することについての不可能・非実際的事情の存在は認められない。
請求人は令和 6年 4月 8日提出の意見書において「請求項1は、薬物送達装置のいずれの構成要素も、それが、どのように製造プロセスから生じるか又は製造プロセスの副産物であるかという点で、規定していない。請求項1は、例えば、製造中に「穿孔可能シール」のUV滅菌を可能にすることによって、その製造を容易にし得る薬物送達デバイスの態様を規定する。しかしながら、請求項1は、穿孔可能シールのいかなる態様も特定の製造プロセスに帰しておらず、または薬物送達装置のいかなる他の態様も特定の製造プロセスから生じることを示すものではない。さらに、「構成されており」という用語は、それが、規定される「穿孔可能シール」の構成(製造プロセスではない)であることを明確に示している。」と主張する。
しかし、請求項1の「穿孔可能シールの少なくとも一部は、接続ハブが薬物容器に結合された後に、UV滅菌を用いて滅菌されるように構成されており」は、製造に関して経時的な要素を記載したものであり、薬物送達装置の製造方法が記載されているものと認められる。
また、仮に請求人の主張のとおり「穿孔可能シール」の構成と理解しても、それが、「穿孔可能シール」のどのような構造、材質等を特定しているのかがそもそも明確でない。
したがって、本願発明は明確でない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願発明は明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
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2022-006927