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特許拒絶査定不服審判

2024-001511

カセットを有する自動注射器

審判番号
2024-001511
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-518685外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年01月29日
審決日
2025年10月14日
公報発行日
2026年03月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-WZ (A61M) / P18 .121-WZ (A61M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-518685号「カセットを有する自動注射器」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月15日国際公開、WO2021/069106、令和 4年11月22日国内公表、特表2022-549002号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)4月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年10月7日(EP)欧州特許庁、2019年10月7日(EP)欧州特許庁、2019年10月7日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は概略以下のとおりである。 令和 5年 3月17日付け 拒絶理由通知書 同年 6月15日提出 意見書及び手続補正書 同年 9月27日付け 拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和 6年 1月29日提出 審判請求書及び手続補正書 令和 7年 4月30日付け 拒絶理由通知書 令和 7年 7月 4日提出 意見書及び手続補正書 第2 本願発明 本願の請求項1~42に係る発明は、令和 7年 7月 4日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~42に記載された事項により特定されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「薬剤を有するカセット(500)を受容し、該カセット(500)内の前記薬剤を患者に投与するように適合された自動注射器(1000)であって、該自動注射器(1000)が、長手方向軸に沿って近位端から遠位端まで延在しており、前記カセット(500)が、前記自動注射器(1000)の長手方向軸に沿って前記自動注射器(1000)内に取り外し可能に受容され、該自動注射器が、1つ以上のカセット相互作用部品を更に含み、該1つ以上のカセット相互作用部品が ・前記カセット(500)を前記自動注射器(1000)内部に固設及び係止するように適合された第1のカセット係止ピン(1156)と、 ・前記薬剤を投与するように適合されたピストン(1168)とを含み、 前記1つ以上のカセット相互作用部品が、前記自動注射器(1000)の長手方向軸と平行に移動するように構成され、 前記1つ以上のカセット相互作用部品は、前記カセット(500)が前記自動注射器(1000)内に配置された後に近位方向に移動するように適合されており、 それによって前記1つ以上のカセット相互作用部品の一部分が、前記自動注射器内部で近位端平面から近位方向に延在している、自動注射器(1000)。」 第3 原査定及び当審拒絶理由通知における拒絶の理由 1 当審において令和 7年 4月30日付け拒絶理由通知書で通知した拒絶理由は、概略、次の理由(明確性)を含むものである。 (明確性)本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 請求項1の「前記カセット(500)を前記自動注射器(1000)内部に固設及び係止」する「1つ以上のカセット相互作用部品」は、「カセット相互作用部品」がどのような部品であるのか不明であって、カセットを自動注射器に「固設及び係止」する「カセット相互作用部品」が、自動注射器とどのような関係にある部品であるのか不明である。 請求項1を引用する請求項11には「前記1つ以上のカセット相互作用部品が、」「ピストン(1168)と、」「第1のカセット係止ピン(1156)と、」「皮膚センサピン(1158)とを含む」と記載されているが、本願明細書の段落【0157】~【0168】、図6A~7Gの記載を参酌しても、上記ピストン及びピンがカセットを「固設及び係止」する構造やカセットとの相互作用が記載されておらず、「カセット相互作用部品」がどのような部品であるのか不明である。 2 上記1で判断を留保した原査定の進歩性についての拒絶理由は、概略、次の理由を含むものである。 ●理由3(特許法第29条第2項)について 本願発明は、その優先日前に日本国内において頒布された下記引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.米国特許出願公開第2016/0354556号明細書 第4 拒絶理由(明確性)についての当審の判断 請求項1に記載された「前記カセット(500)を前記自動注射器(1000)内部に固設及び係止するように適合された第1のカセット係止ピン(1156)」は、「第1のカセット係止ピン」なるものがどのように「前記カセット(500)を前記自動注射器(1000)内部に固設及び係止」しているのか不明である。 本願明細書には、「第1のカセット係止ピン1156」について、以下の記載がある(下線は当審にて付したものである。)。 「駆動要素1150はまた、自動注射器1000に含まれるピンの数の移動を制御する。図3に示されるように、ピンの数は、第1のカセット係止ピン1156と、皮膚センサピン1158と、第2のカセット係止ピン1159と、カセット検出ピン1160と、を含む。」「ピン及びピストンはまた、自動注射器1000内部でカセット500を固設及び係止するため、並びに薬剤の投与を容易にするために適合されたカセット相互作用部品とも呼ばれ得る。」(段落【0157】) 「同様に、シリンジホルダ510内の第1のピン開口部526は、第1のカセット係止ピン1156が両方の開口部を通過して第1シリンジホルダアーム512を偏向させ、それによって、カセット皮膚センサ550をシリンジホルダ510から係止解除することができるように、第1のピン開口部1116と整列される。」(段落【0160】) 「少なくとも第1のカセット係止ピン1156の更なる近位移動によって、カセット皮膚センサ500(「550」の誤記と認める。)はシリンジホルダ510から解放される。このプロセスは、第1のカセット係止ピン1156を近位に移動させることによって、カセット皮膚センサ550をシリンジホルダ510から解放する工程を示す、図7A~Cに示される。」「したがって、駆動モジュール1150が第1のカセット係止ピン1156を近位に移動させるとき、カセット皮膚センサ550は、カセット皮膚センサ550の遠位移動を可能にするように、シリンジホルダ510から遠位に係止解除され、カセット皮膚センサ550の係止解除は自動注射器1000内のカセット500を係止する。」(段落【0165】) 以上より、本願明細書には、第1のカセット係止ピン1156を含む「ピン及びピストンはまた、自動注射器1000内部でカセット500を固設及び係止する」と文言上記載はあるが、第1のカセット係止ピン1156の具体的動作は、第1シリンジホルダアーム512を偏向させ、カセット皮膚センサ550をシリンジホルダ510から係止解除することであり、自動注射器1000内部でカセット500を固設及び係止するものでない。 そして、本願明細書のその余の記載を参酌しても、本願発明の「第1のカセット係止ピン」なるものがどのように「前記カセット(500)を前記自動注射器(1000)内部に固設及び係止」しているのか不明である。 また、「カセット皮膚センサ550の係止解除は自動注射器1000内のカセット500を係止する」とは、「カセット皮膚センサ550の係止解除」と「カセット500の係止」がどのように関連するのか本願明細書に記載されていないから、カセット皮膚センサ550の係止解除がどのような機序でカセット500の係止を引き起こすのか不明である。 したがって、「第1のカセット係止ピン」がどのように「前記カセット(500)を前記自動注射器(1000)内部に固設及び係止する」のか不明であるから、本願発明は明確でない。 第5 拒絶理由(進歩性)についての当審の判断 1 引用文献の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載 原査定に引用された引用文献1には、以下の記載がある(以下「・・・」は省略を示す。また、下線及び和訳は当審にて付したものである。)。 (a)「[0002] The present invention generally relates to an auto injector, and more specifically to a semi disposable and safe auto-injector adapted for parenteral administration of substances (e.g., a medication) to a living organism (human or animal).」 (当審訳) 本発明は、一般に、自動注射器に関し、より詳細には、物質(例えば、薬物)の生体(ヒトまたは動物)への非経口投与に適した半使い捨て型で安全な自動注射器に関するものである。 (b)「[0160] As seen in FIG. 1, the automatic injection device preferably comprises a disposable cassette assembly 100, which is described hereinbelow in greater detail with reference to FIGS. 11-13C, and a reusable driving assembly 110, which is described hereinbelow in greater detail with reference to FIGS. 44-46C. The disposable cassette assembly 100 comprises a cassette housing element 120 in which is seated a needle guard element 122 and a syringe 124 including a piston 125, a flange 126 and a hypodermic needle 128, which is preferably covered by a needle shield 130. The syringe 124 is preferably pre-filled with liquid 131.」 (当審訳) 図1に見られるように、自動注射装置は、好ましくは、図11~図13Cを参照してより詳細に説明される使い捨て可能なカセット組立体100と、図44~図46Cを参照してより詳細に説明される再利用可能な駆動アセンブリ110を有する。使い捨て可能なカセット組立体100は、針保護要素122により固定されるカセットハウジング要素120と、ピストン125、フランジ126、及び、好ましくは針シールド130によって覆われた、注射針128を含むシリンジ124を有する。シリンジ124は液体131で予め充填されていることが好ましい。 (c)「[0162] The reusable driving assembly 110 preferably comprises a forward base element 150, onto a front end of is preferably screwed a needle penetration depth selector 152, a pair of orientation retaining elements 154 and a pair of cocking springs 156, each which is mounted at a back end thereof onto one of the cocked orientation retaining elements 154. A forward cover element 158 generally encloses the forward base element 150 and the needle penetration depth selector 152. [0163] A needle guard deploying spring 160 urges an engagement element, here a needle guard deploying element 162, in a forward direction indicated generally by an arrow 164 and a main spring 166 urges a plunger element 168 in the forward direction indicated generally by arrow 164. [0164] A rear cover element 170 generally encloses a rear base element 172, which in turn, generally encloses elements 160, 162, 166 and 168. A trigger button element 174 cooperates with rear cover element 170. Rear cover element 170 also generally encloses a safety-catch element 176 and an injection site engagement sensing spring 178.」 (当審訳) 再利用可能な駆動アセンブリ110は、好ましくは、前方ベース部材150、好ましくは前方端がねじ切りされた針貫入深さセレクタ152、一対の姿勢保持部材154、及び、それぞれ後方端が姿勢位置保持要素154の上に装着された一対のコッキングばね156を備える。前方カバー部材158は概して前方ベース部材150と針貫入深さセレクタ152を包囲している。 ニードルガード展開ばね160は、概して矢印164で示される前方方向に係合要素(ここではニードルガード展開要素162)を付勢し、メインばね166は、概して矢印164で示される前方方向にプランジャ要素168を付勢する。 後部カバー要素170は、概して後部ベース要素172を取り囲み、同様に、概して要素160、162、166及び168を取り囲む。トリガボタン要素174が後部カバー要素170と協働する。後部カバー要素170はまた、概して安全キャッチ要素176及び注射部位係合検知ばね178を包囲している。 (d)「[0167] Cassette housing element 120 is preferably side-to-side symmetric about a longitudinal axis 206 and defines a generally round internal surface which slidingly guides syringe 124 (FIG. 1).」 (当審訳) カセットハウジング120は、長手方向軸206に対して左右対称であることが好ましく、シリンジ124(図1)が滑動的に案内される概円形の内部表面を画定している。 (e)「[0191]・・・The syringe may be supplied either pre-filled with a ready-to-inject drug, or it may be supplied empty for filling prior to use. It is also acknowledged that the syringe 124 can be inserted into the disposable cassette assembly 100 by a user or a pharmacist.」 (当審訳) シリンジは、注射できる薬剤を予め充填し供給することができるか、又は使用前に充填するために空で供給されてもよい。また、シリンジ124は、使用者または薬剤師によって使い捨てカセット組立体100内に挿入することができることが知られている。 (f)「[0336] The needle insertion operative orientation shown in FIGS. 68-70C is the operative orientation resulting from depression of the trigger button element 174 when the reusable driving assembly 110 is in the injection site engagement operative orientation. Trigger button element 174 engages flexible finger 812 of plunger element 168, thus causing forward edge 816 of flexible finger 812 to disengage from forward edge 1109 of rectangular slot 1108 of rear base element 172 which results in forward displacement of plunger element 168 and corresponding forward displacement of syringe 124 under the urging of main spring 166. [0337] With particular reference to FIG. 70B, it is seen that main spring 166, which is under partial compression, urges plunger element 168 forwardly, causing inwardly-facing protrusions 844 of flexible fingers 842 of the plunger element 168.」 (当審訳) 図68~図70Cに示す針挿入動作方向は、再利用可能な駆動アセンブリ110が注射部位係合動作方向にある場合のトリガボタン要素174の押し下げから生じる動作方向である。トリガボタン要素174は、プランジャ要素168のフレキシブルフィンガー812と係合し、フレキシブルフィンガー812の前方端816が、後部ベース要素172の長方形スロット1108の前方端1109から外れ、その結果、メインばね166の付勢によりプランジャ要素168の前方変位とシリンジ124の対応する前方変位が生じる。 特に図70Bを参照すると、部分圧縮下にあるメインばね166がプランジャ要素168を前方に付勢し、プランジャ要素168のフレキシブルフィンガー842の内向き突起844を引き起こすことがわかる。」 (g)「[0351] Once the disposable cassette assembly 100 has been removed from the reusable driving assembly 110, the amount of liquid 131 remaining in the syringe 124 can readily be visually ascertained, by viewing the interior of the syringe 124 via either of windows 204.」 (当審訳) 「使い捨てカセット組立体100が再利用可能な駆動アセンブリ110から取り外されると、シリンジ124に残留する液体131の量は、確認窓204のいずれかを介してシリンジ124の内部を見ることにより、容易に視認することができる。」 (h)「 [図:0001432459000001.jpg] 」 (i)「 [図:0001432459000002.jpg] 」 (j)上記(d)より、上記(i)における206は長手方向軸を指すから、上記(i)から、カセット組立体100及び駆動アセンブリ110を有する自動注射装置が長手方向軸206に沿って近位端から遠位端まで延在することが看取できる。 (k)上記(i)から、トリガボタン要素174の押し下げ時に、ピストン125及びプランジャ要素168の一部が、後部カバー要素170の前方端よりも前方に延在していることが看取できる。 (2)引用発明 上記(1)の事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「薬剤を有するカセット組立体100と、カセット組立体100内の薬剤のヒトへの非経口投与に適した駆動アセンブリ110を有する自動注射装置であって、 駆動アセンブリ110が長手方向軸206に沿って近位端から遠位端まで延在し、 カセット組立体100が、駆動アセンブリ110の長手方向軸206に沿って駆動アセンブリ110内に取り外し可能に受容され、 シリンジ124は、ピストン125を含み、使用者または薬剤師によってカセット組立体100内に挿入され、 駆動アセンブリ110は、メインばね166、プランジャ要素168、後部カバー要素170、トリガボタン要素174を有し、 後部カバー要素170は、メインばね166を取り囲み、 トリガボタン要素174の押し下げ時に、メインばね166の付勢により、プランジャ要素168の前方変位とシリンジ124の対応する前方変位が生じ、ピストン125及びプランジャ要素168の一部が、後部カバー要素170の前方端よりも前方に延在している、自動注射装置。」 2 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 なお、前記第4のとおり、本願発明の「第1のカセット係止ピン」なるものがどのように「前記カセット(500)を前記自動注射器(1000)内部に固設及び係止」しているのか不明であるから、本願発明の「前記カセット(500)を前記自動注射器(1000)内部に固設及び係止するように適合された第1のカセット係止ピン(1156)」は、その文言どおりに、「カセットを自動注射器内部に固設及び係止するように適合されたピン」として、以降の対比及び判断を行った。 (a)引用発明の「カセット組立体100」は、その作用、構造から、本願発明の「薬剤を有するカセット(500)」に相当し、引用発明の「カセット組立体100内の薬剤のヒトへの非経口投与に適した駆動アセンブリ110」は、本願発明の「薬剤を有するカセット(500)を受容し、該カセット(500)内の前記薬剤を患者に投与するように適合された自動注射器(1000)」に相当する。 (b)引用発明の「駆動アセンブリ110が長手方向軸に沿って近位端から遠位端まで延在」することは、本願発明の「該自動注射器(1000)が、長手方向軸に沿って近位端から遠位端まで延在」することに相当する。 (c)引用発明の「カセット組立体100が、駆動アセンブリ110の長手方向軸に沿って駆動アセンブリ110内に取り外し可能に受容され」ることは、本願発明の「前記カセット(500)が、前記自動注射器(1000)の長手方向軸に沿って前記自動注射器(1000)内に取り外し可能に受容され」ることに相当する。 (d)引用発明の「ピストン125」及び「プランジャ要素168」は、本願発明の「1つ以上のカセット相互作用部品」が含む「前記薬剤を投与するように適合されたピストン(1168)」に相当する。 (e)前記1(1)(h)より、ピストン125を含むシリンジ124及びプランジャ要素168が長手方向軸206と平行に移動することは明らかであるから、引用発明の「トリガボタン要素174の押し下げ時に、メインばね166の付勢により、プランジャ要素168の前方変位とシリンジ124の対応する前方変位が生じ」ることは、本願発明の「前記1つ以上のカセット相互作用部品が、前記自動注射器(1000)の長手方向軸と平行に移動するように構成され、前記1つ以上のカセット相互作用部品は、前記カセット(500)が前記自動注射器(1000)内に配置された後に近位方向に移動する」ことに相当する。 (f)本願明細書段落【0186】の「シャーシ1110は、自動注射器1000内部に固設されたときにカセット500の遠位端503、506を付勢するために適合されたカセット当接表面1114aを備える。カセット当接表面1114aは、カセット500と自動注射器1000とを組み立てる前に、内部注射器部品が実質的に近位方向に延在しない近位端平面を画定する。」の記載から、本願発明の「近位端平面」は、カセット500の遠位端を付勢するカセット当接表面1114aを指す。 また、引用発明の後部カバー要素170は、ピストン125を含むシリンジ124を付勢するメインばね166を取り囲むから、引用発明の後部カバー要素170の前方端の端面は、本願発明の「近位端平面」に相当する。 してみれば、引用発明の「トリガボタン要素174の押し下げ時に、」「ピストン125及びプランジャ要素168の一部が、後部カバー要素170の前方端よりも前方に延在している」ことは、本願発明の「前記1つ以上のカセット相互作用部品の一部分が、前記自動注射器内部で近位端平面から近位方向に延在している」ことに相当する。 (g)引用発明の「自動注射装置」は、本願発明の「自動注射器」に相当する。 上記(a)~(g)より、本願発明と引用発明は、 「薬剤を有するカセットを受容し、該カセット内の前記薬剤を患者に投与するように適合された自動注射器であって、該自動注射器が、長手方向軸に沿って近位端から遠位端まで延在しており、前記カセットが、前記自動注射器の長手方向軸に沿って前記自動注射器内に取り外し可能に受容され、該自動注射器が、1つ以上のカセット相互作用部品を更に含み、該1つ以上のカセット相互作用部品が 前記薬剤を投与するように適合されたピストンを含み、 前記1つ以上のカセット相互作用部品が、前記自動注射器の長手方向軸と平行に移動するように構成され、 前記1つ以上のカセット相互作用部品は、前記カセットが前記自動注射器内に配置された後に近位方向に移動するように適合されており、 それによって前記1つ以上のカセット相互作用部品の一部分が、前記自動注射器内部で近位端平面から近位方向に延在している、自動注射器。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点) 本願発明は、前記カセット(500)を前記自動注射器(1000)内部に固設及び係止するように適合された第1のカセット係止ピン(1156)、つまり、カセットを自動注射器内部に固設及び係止するように適合されたピンを含むのに対し、引用発明はそのように特定されていない点。 3 判断 上記相違点について検討する。 自動注射器の内部に、薬剤を有するカセットを固設及び係止する機構として、ピンを用いるようにすることは周知の事項である(例えば、特表2016-539705号公報の段落【0070】、【0078】、図3~7等に記載されたカートリッジホルダのピン26参照。)。 引用発明を実施するに際し、薬剤を充填したシリンジ124をカセットハウジング120や自動注射装置に固設及び係止する機構として、ピンを用いるようにすることは周知であり、上記相違点に係る本願発明と同様の構成とすることは、当業者であれば容易になし得ることである。 4 効果の検討 本願発明の奏する効果は、引用発明及び周知の事項から、当業者が予測できる範囲のものであって、格別顕著なものではない。 第6 むすび 前記第4のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。また、前記第5のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-001511

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