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特許拒絶査定不服審判

2022-011964

高電圧再充電可能リチウム電池用の改善されたセパレータ、及び関連方法

審判番号
2022-011964
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-196577
請求日
2022年08月02日
審決日
2023年09月25日
公報発行日
2024年03月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】セルガード エルエルシー
  • 【請求人代理人】高岡 亮一
  • 【請求人代理人】小田 直
  • 【請求人代理人】岩堀 明代
  • 【請求人代理人】高橋 香元
審判長/審判官
  • 審判長 井上 信一
  • 審判官 須原 宏光
  • 審判官 山本 章裕
分類
P18 .121-Z (H01M) / P18 .537-Z (H01M) / P18 .56 -Z (H01M) / P18 .57 -Z (H01M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
行政事件訴訟法46条特許法29条2項特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-196577「高電圧再充電可能リチウム電池用の改善されたセパレータ、及び関連方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月18日出願公開、特開2021- 44253〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2016年2月25日(パリ条約による優先権主張2015年2月25日、米国、2015年8月14日、米国)を国際出願日とする出願である特願2017-544751号の一部を令和2年11月27日に新たな特許出願としたものであって、その手続の概略は以下のとおりである。 令和 3年 9月28日付け:拒絶理由通知 令和 4年 1月31日 :意見書、手続補正書の提出 令和 4年 3月25日付け:拒絶査定 令和 4年 8月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和4年8月2日の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和4年8月2日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正による特許請求の範囲の記載 本件補正による特許請求の範囲の請求項1(以下「本件補正発明」という。)の記載は、次のとおりである(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 再充電可能なリチウム電池用の微多孔電池セパレータ膜であって、前記微多孔電池セパレータ膜は微多孔膜を備え、前記微多孔膜は、ポリ(4-メチルペンテン)およびセラミック材料から作製され、 前記微多孔膜は前記微多孔膜の少なくとも1つの側面にセラミック被覆を有し、かつ 前記微多孔電池セパレータ膜は最大で4.5ボルトの電圧まで安定的である、 微多孔電池セパレータ膜。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、令和4年1月31日にされた手続補正により補正された次のとおりである。 「【請求項1】 再充電可能なリチウム電池用の微多孔電池セパレータ膜であって、前記微多孔電池セパレータ膜は微多孔膜を備え、前記微多孔膜は、ブレンドから作製され、前記ブレンドは、 (i)高密度ポリエチレン、イソタクチックポリプロピレン、超高分子量MWポリエチレンからなる群から選択されるポリオレフィン、 (ii)ポリ(4-メチルペンテン)、ポリフェニレンスルファイド、ポリベンズイミダゾール、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアミド-66、ポリエチレンビニルアルコール、ポリオキシメチレンから成る群から選択される非ポリオレフィンポリマ、および (iii)セラミック材料、 を含有し、かつ 前記微多孔膜は前記微多孔膜の少なくとも1つの側面にセラミック被覆を有することを特徴とする、微多孔電池セパレータ膜。」 2 補正の適否 本件補正は、 ア 本件補正前の請求項1に記載した「前記微多孔膜は、ブレンドから作製され、前記ブレンドは、(i)高密度ポリエチレン、イソタクチックポリプロピレン、超高分子量MWポリエチレンからなる群から選択されるポリオレフィン、(ii)ポリ(4-メチルペンテン)、ポリフェニレンスルファイド、ポリベンズイミダゾール、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアミド-66、ポリエチレンビニルアルコール、ポリオキシメチレンから成る群から選択される非ポリオレフィンポリマ、および(iii)セラミック材料、を含有し」について、「前記微多孔膜は、ポリ(4-メチルペンテン)およびセラミック材料から作製され」と補正し、 イ 本件補正前の請求項1に記載した「微多孔電池セパレータ膜」について、「前記微多孔電池セパレータ膜は最大で4.5ボルトの電圧まで安定的である」との限定を付加するものである。 ここで、上記アに係る補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「微多孔膜」が「(i)高密度ポリエチレン、イソタクチックポリプロピレン、超高分子量MWポリエチレンからなる群から選択されるポリオレフィン」、「(ii)ポリ(4-メチルペンテン)、ポリフェニレンスルファイド、ポリベンズイミダゾール、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアミド-66、ポリエチレンビニルアルコール、ポリオキシメチレンから成る群から選択される非ポリオレフィンポリマ」及び「(iii)セラミック材料」の3種類の成分からなるものであったのを、「ポリ(4-メチルペンテン)」及び「セラミック材料」の2種類の成分からなるものに変更するものであって限定するものでない。したがって、上記アに係る補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正でない。 また、上記アに係る補正は、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とする補正でもない。 そうすると、上記アに係る補正は、特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的とするものでない。 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成4年1月31日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由] 1(2)」に記載したもとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由のうち、理由2(明確性)及び理由4(進歩性)の概略は次の通りである。 2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 4.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由2(明確性)について ・請求項 2、5、6、10 請求項2に記載された「最大で少なくとも4.5ボルトの電圧まで安定的である」の記載は不明確である。 ●理由4(進歩性)について ・請求項 1~10 ・引用文献等 1、2 <引用文献等一覧> 1.特開2011-224987号公報 2.国際公開第2014/034448号(周知技術を示す文献) 3 理由4(進歩性)について (1)引用文献の記載及び引用発明 ア 引用文献1 (ア)引用文献1には、以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。以下同様)。 「【0042】 充填剤としては無機または有機の充填剤を用いることができる。例えば、無機充填剤としては炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、ハイドロタルサイト、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、ガラス粉、酸化亜鉛などを使用できる。2種類以上の無機充填剤を用いてもよい。無機充填剤および有機充填剤を併用してもよい。熱可塑性樹脂および充填剤を含有する材料を用いて得られるフィルムから充填剤を簡単に除去できるため、充填剤が炭酸カルシウムであることが好ましい。」 「【0047】 熱可塑性樹脂および充填剤を含む材料を用いて得られる熱可塑性樹脂および充填剤を含むフィルム、または、該フィルムから充填剤を除去して得られる充填剤非含有フィルムを延伸して、多孔性フィルムを得ることができる。フィルムまたは充填剤非含有フィルムは、テンター、ロールあるいはオートグラフ等を用いて延伸することができる。多孔性フィルムの通気性の点から、延伸倍率は2~12倍が好ましく、より好ましくは4~10倍である。延伸温度は通常、熱可塑性樹脂の軟化点以上融点以下の温度であり、80~115℃であることが好ましい。延伸温度が低すぎるとフィルムを延伸する時にフィルムが破れやすくなり、延伸温度が高すぎると得られる多孔性フィルムの通気性やイオン透過性が低くなることがある。また延伸後はヒートセットを行うことが好ましい。ヒートセット温度は熱可塑性樹脂の融点未満の温度であることが好ましい。 【0048】 熱可塑性樹脂および充填剤を含む材料を用いて得られる熱可塑性樹脂および充填剤を含むフィルムから充填剤を除去する際には、液体などが用いられる。使用する液体は、フィルム中の充填剤の種類に応じて適宜選択されるが、充填剤が炭酸カルシウム等の本質的に酸に溶解するものである場合には、酸性水溶液を用いることができる。充填剤を除去する方法としては、液体をフィルムにシャワー状に浴びせる方法、液体を入れた槽にフィルムを浸漬する方法等が挙げられる。液体により充填剤を除去する方法は回分式でも連続式でもよいが、生産性の観点から連続式が好ましく、例えば、2以上のロールを中に配置した槽に液体を入れ、回転する前記ロールによりフィルムを搬送し液体中を通過させる方法が挙げられる。液体が酸性またはアルカリ性水溶液である場合には、充填剤が除去されたフィルムをさらに水で洗浄することが好ましい。フィルムを洗浄する場合には、通常はフィルムに溶解した塩等が析出してこない程度までフィルムを洗浄すればよい。充填剤を除去した充填剤非含有フィルムは、通常該フィルムの物性が変化しない時間と温度の範囲内で乾燥される。充填剤非含有フィルムには、充填剤が100~20000ppm程度残存していることが好ましい。充填剤が少量残存したフィルムは、前述した方法で該フィルムを延伸して多孔性フィルムを得、該多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた場合に、該多孔性フィルムを構成する熱可塑性樹脂が溶融しても電極間の短絡を防ぐ効果が期待される。また前記したように充填剤が少量残存したフィルムを延伸して得られる多孔性フィルムは、充填剤が完全に除去された充填剤非含有フィルムよりも通気性に優れる。」 「【0050】 本発明では、前記したような方法で得られる多孔性フィルムの少なくとも片面に、多孔性の耐熱層を積層することができる。多孔性フィルムに耐熱層を積層したフィルムを、積層多孔性フィルムと称する。耐熱層は、多孔性フィルムの片面に設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。本発明の多孔性フィルムや積層多孔性フィルムは、膜厚の均一性や、強度、通気性(イオン透過性)に優れるため、電池用セパレータとして好適に使用することができる。特に積層多孔性フィルムは、耐熱性にも優れるため、非水電解液電池用セパレータ、とりわけリチウムイオン2次電池用セパレータとして好適である。」 「【0056】 本発明において耐熱層を形成するために用いる塗工液は、セラミックス粉末を含有することが特に好ましい。任意の耐熱樹脂濃度の溶液にセラミックス粉末が添加された塗工液を用いて耐熱層を形成することにより、膜厚が均一で、かつ微細な多孔質である耐熱層を形成することができる。またセラミックス粉末の添加量によって、形成される耐熱層の透気度を制御することができる。使用するセラミックス粉末は、積層多孔性フィルムの強度や耐熱層表面の平滑性の点より、一次粒子の平均粒子径が1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましい。該一次粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡により得た写真を、粒子径計測器で解析する方法により測定される。セラミックス粉末の含有量は、耐熱層中1重量%以上95重量%以下であることが好ましく、5重量%以上50重量%以下であることがより好ましい。使用するセラミックス粉末の形状は、特に限定はなく、球状でもランダムな形状でも使用できる。」 「【0069】 〔実施例2〕 ポリエチレン粉末が60重量%(ハイゼックスミリオン340M、三井化学(株)製、重量平均分子鎖長17000nm、重量平均分子量300万。融点136℃)、低分子量ポリエチレン粉末が28重量%(ハイワックス110P、三井化学(株)製、重量平均分子量1000。融点110℃)、ポリメチルペンテンが12重量%(三井化学製TPX MX004 融点200℃)となるように、ポリエチレン粉末、低分子量ポリエチレン粉末およびポリメチルペンテンを混合して樹脂混合物を得た。該樹脂混合物100重量部と、該樹脂混合物100重量部に対して160重量部の炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、平均粒子径0.10μm)、酸化防止3重量部(IRG1010/Irf168=2/1)を混合した混合物を2軸押出機にて230℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。 該樹脂組成物を用いて、ロール表面温度TR=147℃に設定されたロールを用いた以外は実施例1と同じ方法で、膜厚約80μmのフィルムを作製した。尚、147℃における樹脂組成物の溶融張力は140g以上、伸長度は約300%であった。X線法により求めた樹脂組成物の結晶化度は、47%であった。」 (イ)上記記載から、実施例2のフィルムを用いたリチウムイオン2次電池用セパレータに着目すると引用文献1には、次の事項が記載されている。 ・【0069】によれば、実施例2のフィルムは、ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン340M)、低分子量ポリエチレン粉末、ポリメチルペンテン(三井化学製TPX)及び炭酸カルシウムを混合した混合物を溶融混練して樹脂組成物を得て、該樹脂組成物を用いて作成されたものである。 ・【0042】によれば、炭酸カルシウムは充填剤である。 ・【0047】及び【0048】の記載より、フィルムから、充填剤が少量残存するように充填剤を除去して充填剤非含有フィルムを得て、充填剤非含有フィルムを延伸して、多孔性フィルムを作成することが読み取れる。 ・【0048】によれば、電池用セパレータは多孔性フィルムを用いたものである。そして、【0050】によれば、リチウムイオン2次電池用セパレータは、多孔性フィルムに多孔性の耐熱層を積層した積層多孔性フィルムを用いていることが読み取れる。 (ウ)したがって、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン340M)、低分子量ポリエチレン粉末、ポリメチルペンテン(三井化学製TPX)及び充填剤として炭酸カルシウムを混合した混合物を溶融混練して樹脂組成物を得て、 該樹脂組成物を用いてフィルムを作製し、 該フィルムから、充填剤が少量残存するように充填剤を除去して充填剤非含有フィルムを得て、 該充填剤非含有フィルムを延伸して、多孔性フィルムを得て、 該多孔性フィルムに、多孔性の耐熱層を積層した積層多孔性フィルムを用いた、 リチウムイオン2次電池用セパレータ。」 イ 引用文献2 引用文献2には、以下の事項が記載されている。 「[0020] 本発明に用いられる超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)は、粘度平均分子量(Mv)が100万~1500万の粉末状ポリエチレン原料であり、Mvとしては、120万~600万のポリエチレンがより好ましい。なお、前記粘度平均分子量は、デカリン溶媒(135℃)中において測定した値であり、極限粘度([η])は、5dl/g~55dl/gが好ましく、8dl/g~40dl/gがより好ましく、10dl/g~30dl/gが更に好ましい。 超高分子量ポリエチレンにおいては、上記の粘度平均分子量と極限粘度は、例えば、特開2005-314544号公報および特開2005-313391号公報に記載されるように、下記式で表される関係にあることが知られている。 Mv=5.37×104[η]1.49 上記式を用いて、測定した極限粘度から粘度平均分子量を求めることができ、本発明においてもこのようにして求めた値を採用している。 [0021] UHMW-PEは、市販品を用いてもよく、例えば、三井化学社製のハイゼックスミリオン340M(商品名:Mv=3.5×106)、Ticona社製のホスタレンGUR4113(商品名:Mv=3.2×106)などが挙げられる。」 (2)対比 本願発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「多孔性フィルム」は、「フィルム」から「充填剤を除去」することにより作成したのであるから微多孔といえる。 そうすると、引用発明の「リチウムイオン2次電池用セパレータ」に用いた「積層多孔性フィルム」は、微多孔の電池用セパレータ膜であるといえる。 したがって、引用発明の「積層多孔性フィルムを用いた、リチウムイオン2次電池用セパレータ」は、本願発明の「再充電可能なリチウム電池用の微多孔電池セパレータ膜」に相当する。 イ 上記アで述べたように、引用発明の「積層多孔性フィルム」は微多孔膜であるから、本願発明の「微多孔膜」に相当する。 したがって、引用発明の「リチウムイオン2次電池用セパレータ」が「積層多孔性フィルムを用いた」ことは、本願発明の「前記微多孔電池セパレータ膜は微多孔膜を備え」ていることに相当する。 ウ 引用発明の「樹脂組成物」は本願発明の「ブレンド」に相当するので、引用発明の「積層多孔性フィルム」が「樹脂組成物」から作製されることは、本願発明の「前記微多孔膜は、ブレンドから作製され」ることに相当する。 エ (ア)引用文献2([0020]、[0021])によれば「ハイゼックスミリオン340M」は超高分子量ポリエチレン(UHMN-PE)であるから、引用発明の「ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン340M)」は、本願発明の「超高分子量MWポリエチレン」に相当する。 したがって、引用発明の「ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン340M)」は、本願発明の「(i)高密度ポリエチレン、イソタクチックポリプロピレン、超高分子量MWポリエチレンからなる群から選択されるポリオレフィン」に含まれる。 (イ)引用発明の「ポリメチルペンテン(三井化学製TPX)」はポリ4-メチルペンテン-1であるから(特開2014-141263号公報(【0040】)参照))、引用発明の「ポリメチルペンテン(三井化学製TPX)」は、本願発明の「ポリ(4-メチルペンテン)」に相当する。 ここで、ポリ(4-メチルペンテン)はポリオレフィン樹脂であるが、本願発明の「(ii)ポリ(4-メチルペンテン)、ポリフェニレンスルファイド、ポリベンズイミダゾール、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアミド-66、ポリエチレンビニルアルコール、ポリオキシメチレンから成る群から選択される非ポリオレフィンポリマ」なる記載によれば、「ポリ(4-メチルペンテン)」も「非ポリオレフィンポリマ」であると解されるような記載となっており、技術的にみて不明確なところがあるが、上記のように引用発明の「ポリメチルペンテン(三井化学製TPX)」は、本願発明の「ポリ(4-メチルペンテン)」に相当する以上、引用発明でいう「ポリメチルペンテン(三井化学製TPX)」は、本願発明の「(ii)ポリ(4-メチルペンテン)、ポリフェニレンスルファイド、ポリベンズイミダゾール、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアミド-66、ポリエチレンビニルアルコール、ポリオキシメチレンから成る群から選択される非ポリオレフィンポリマ」に含まれるものであるといえる。 (ウ)引用発明の「炭酸カルシウム」は、本願発明の「セラミック材料」に相当する。 上記(ア)ないし(ウ)より、引用発明の「ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン340M)、低分子量ポリエチレン粉末、ポリメチルペンテン(三井化学製TPX)及び充填剤として炭酸カルシウムを混合した」「樹脂組成物」は、本願発明の「前記ブレンドは、(i)高密度ポリエチレン、イソタクチックポリプロピレン、超高分子量MWポリエチレンからなる群から選択されるポリオレフィン、(ii)ポリ(4-メチルペンテン)、ポリフェニレンスルファイド、ポリベンズイミダゾール、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアミド-66、ポリエチレンビニルアルコール、ポリオキシメチレンから成る群から選択される非ポリオレフィンポリマ、および(iii)セラミック材料、を含有」することに相当する。 オ 引用発明の「積層多孔性フィルム」は、「多孔性フィルムに、多孔性の耐熱層を積層した」ものであるから、側面に被膜を有している。 そうすると、引用発明の「積層多孔性フィルム」と本願発明とは、「前記微多孔膜は前記微多孔膜の少なくとも1つの側面に被覆を有すること」で共通する。 但し、被覆が、本願発明は「セラミック被覆」であるのに対して、引用発明は「多孔性の耐熱層」である点で相違する。 すると本願発明と引用発明との間は、次の一致点及び相違点があるといえる。 (一致点) 「再充電可能なリチウム電池用の微多孔電池セパレータ膜であって、前記微多孔電池セパレータ膜は微多孔膜を備え、前記微多孔膜は、ブレンドから作製され、前記ブレンドは、 (i)高密度ポリエチレン、イソタクチックポリプロピレン、超高分子量MWポリエチレンからなる群から選択されるポリオレフィン、 (ii)ポリ(4-メチルペンテン)、ポリフェニレンスルファイド、ポリベンズイミダゾール、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアミド-66、ポリエチレンビニルアルコール、ポリオキシメチレンから成る群から選択される非ポリオレフィンポリマ、および (iii)セラミック材料、 を含有し、かつ 前記微多孔膜は前記微多孔膜の少なくとも1つの側面に被覆を有する、微多孔電池セパレータ膜。」 (相違点) 被覆が、本願発明は「セラミック被覆」であるのに対して、引用発明は「多孔性の耐熱層」である点。 (3)判断 上記相違点について検討する。 セパレータにセラミック被覆を設ける技術は、例示するまでもなく周知であり、引用文献1に「耐熱層を形成するために用いる塗工液は、セラミックス粉末を含有することが特に好ましい。」(【0056】)とも記載されていることから、引用発明においても、「耐熱層」をセラミック被覆とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 よって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 理由2(明確性)について 平成4年1月31日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項2は、次のとおりである。 「【請求項2】 前記微多孔電池セパレータ膜は最大で少なくとも4.5ボルトの電圧まで安定的である、請求項1に記載の微多孔電池セパレータ膜。」 ここで、請求項2には「最大で少なくとも4.5ボルトの電圧まで安定的である」と記載されているが、セパレータが「安定的」と判断される基準またはその定義が特定されていないため、どの程度をもって「安定的」であるというのかが不明であるから、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である。 なお、請求人は令和4年1月31日の意見書において「出願人は審査官殿のご指摘に鑑みて、「安定的」と補正しました。安定の用語は一般的な「物質が分解・反応・壊変しにくいこと」のような意味として用いています。」と主張しているが、請求項2において、セパレータが安定的と判断される基準またはその定義が特定されていないことは変わりない。 よって、請求項2に係る発明は明確でない。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 また、本願の特許請求の範囲(請求項2)の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論の通り審決する。

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2022-011964

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