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特許拒絶査定不服審判

2022-005507

生物学的流体分離デバイス

審判番号
2022-005507
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-564216外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月13日
審決日
2022年12月07日
公報発行日
2023年05月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G01N) / P18 .575-Z (G01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-564216「生物学的流体分離デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月14日国際公開、WO2017/214498、令和1年7月18日国内公表、特表2019-520566〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)6月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年6月9日(以下、「優先日」という。)、米国)を国際出願日とする出願であって、令和3年5月27日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年12月2日付け(謄本送達日:同年同月14日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、令和4年4月13日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、同年5月26日に審判請求書を補正する手続補正書(方式)が提出されたものである。 第2 令和4年4月13日提出の手続補正書による補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年4月13日提出の手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正により、令和3年9月3日提出の手続補正書により補正がされた特許請求の範囲の請求項1における、 「【請求項1】 全血部分と血漿部分とを有する血液サンプルを受け入れるように適合された血液分離デバイスであって、 第1のチャンバ入口と第1のチャンバ出口とを有する第1のチャンバと、第2のチャンバ出口を有する第2のチャンバを画定し、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間に配置された分離部材を含むハウジングであって、前記第1のチャンバが、前記血液サンプルを受け入れるように適合され、前記分離部材がトラック・エッチ膜を備える、ハウジングと、 単一真空源アクチュエータであって、前記単一真空源が、前記分離部材に隣接して加えられ、前記血液サンプルを前記第1のチャンバへと引き込み、前記分離部材が、前記血漿部分が前記分離部材を通過して前記第2のチャンバへと入ることを可能にするように適合される、単一真空源アクチュエータと を備える血液分離デバイス。」 は、令和4年4月13日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における、 「【請求項1】 全血部分と血漿部分とを有する血液サンプルを受け入れるように適合された血液分離デバイスであって、 第1のチャンバ入口と第1のチャンバ出口とを有する第1のチャンバと、第2のチャンバ出口を有する第2のチャンバを画定し、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間に配置された分離部材を含むハウジングであって、前記第1のチャンバが、前記血液サンプルを受け入れるように適合され、前記分離部材がトラック・エッチ膜を備える、ハウジングと、 単一真空源アクチュエータであって、前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ、前記血液サンプルを前記第1のチャンバへと引き込み、前記単一真空源アクチュエータが血液分離デバイス中の唯一の真空源であり、前記分離部材が、前記血漿部分が前記分離部材を通過して前記第2のチャンバへと入ることを可能にするように適合される、単一真空源アクチュエータと を備える血液分離デバイス。」 に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。)。 上記補正事項は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「単一真空源」について「単一真空源アクチュエータ」に限定するとともに、「単一真空源アクチュエータ」について、「血液分離デバイス中の唯一の真空源であ」るものに限定するものである。 さらに、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、上記補正は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして、本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0069】、【0098】、【0099】、【0111】、及び【0112】等に基づいたものであり、新規事項を追加するものではなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 2 独立特許要件について そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、令和4年4月13日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (1) 本願補正発明 本願補正発明は、上記「1 補正の内容」においても示した次のとおりのものである(A~Dは、本願補正発明を分説するために当審で付与した。)。 (本願補正発明) 「【請求項1】 A 全血部分と血漿部分とを有する血液サンプルを受け入れるように適合された血液分離デバイスであって、 B 第1のチャンバ入口と第1のチャンバ出口とを有する第1のチャンバと、第2のチャンバ出口を有する第2のチャンバを画定し、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間に配置された分離部材を含むハウジングであって、前記第1のチャンバが、前記血液サンプルを受け入れるように適合され、前記分離部材がトラック・エッチ膜を備える、ハウジングと、 C 単一真空源アクチュエータであって、前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ、前記血液サンプルを前記第1のチャンバへと引き込み、前記単一真空源アクチュエータが血液分離デバイス中の唯一の真空源であり、前記分離部材が、前記血漿部分が前記分離部材を通過して前記第2のチャンバへと入ることを可能にするように適合される、単一真空源アクチュエータと D を備える血液分離デバイス。」 (2) 引用文献に記載された事項 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開昭63-224703号公報(以下、「引用文献」という。)には、「液体サンプルの成分の膜分離装置」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 ア (2ページ左下欄最終行~同右下欄7行) 「[産業上の利用分野] 本発明は液体サンプルから分離可能な成分を膜分離するための装置に関する。更に詳しく述べれば、本発明は、遠心分離器、補助の循環システム若しくは補助ポンプなどを使用することなく血液サンプルの細胞成分から液体成分を分離するための総てを含んでいる装置及びその装置を使用する方法に関する。」 イ (4ページ右下欄1行~同14行) 「[発明が解決しようとする課題] 従来技術は2本の減圧された容器を使用することにより、患者から血液を抜き取りながら血液サンプルの細胞相から液体相を分離する装置及び方法を教示している。しかし、もっと単純で、簡単で、信頼性のある組み立て易い液体サンプルの成分の膜分離のための装置(例えば、液体中の粒子相から非粒子相を分離できる又はシステムが、システムの複雑性を減少させ、装置に複数の減圧された容器を接続し、機能させる時期などの操作の困難性若しくは特別な器具の必要性を取り除けるように、単に1本の減圧された容器と共に操作できるように患者から血液を抜き取りながら血液から血漿を分離できる装置)を求める要求がある。」 ウ (6ページ左下欄8行~同右下欄7行) 「第6図ないし第14図において、前に述べたように減圧された血液採取ガラス試験管のような減圧容器とともに使用する、血液サンプルからの血漿分離の好ましい装置45は、線50に沿って結合することにより内部空洞部51を形成する、上部ハウジング部分48及び下部ハウジング部分49よりなるハウジング47を含んでいる。 分離膜52は、内部空洞部51を、血液受け入れ第1室54及び血漿受け入れ第2室55に分割している。分離膜52は、血液受け入れ室54から血漿受け入れ室55に通過する流体が分離膜52を通過できるように、上部ハウジング部分のシーリング区域57に沿って、熱シーリング、超音波溶接、溶媒接着若しくは他の適当な手段により上部ハウジング部分に取り付けられている。膜によるハウジング分割ができる構造は数多くあり(例えばハウジング部分の間に膜をクランプで押さえることもできる)、上記に説明された構造は多くの可能性のあるものからの例示であることは当業者にとっては明らかである。」 エ (6ページ右下欄8行~7ページ左上欄6行) 「内部に内腔59を有する挿入カニューレ58は、下部ハウジング部分の中空ハブ部分60に接着剤若しくは他の適当な手段により取り付けられている。下部ハウジング部分49は、内腔59と血液受け入れ室54の間に流体の流通性を提供する入口溝61を含んでいる。挿入カニューレは、血液サンプルを取るために被検者の肉体に穿刺し、そしてその静脈に入れるのに使われる尖った先端56を持っている。ハウジング部分を注射する位置に設置する必要をなくし、その近くの離れた所に都合よく置けるようにするために、挿入カニューレをある長さの柔軟性管で接続して、ハウジング部分から離せる構造も本発明の範囲に含められる。 血液流通溝62は、血液受け入れ室54と上部ハウジング部分48の間を接続している。この血液流通溝62は、入口溝から血液流通溝まで通過する血液が、血液と膜との間のクロスフローの関係を維持しながら分離膜52の長手方向に沿って流れるように、入口溝61の反対側にある。」 オ (7ページ左上欄最終行~同右上欄8行) 「内腔70を有するカニューレ針69は、上部ハウジング部分のハブ部分71に接着剤若しくは他の適当な手段によって取り付けられている。カニューレ針は、減圧された血液採取試験管の栓若しくは蓋を穿刺するための尖った先端72を持っている。更に、上部ハウジング部分は、カニューレ針の内腔及びハウジングの血漿受け入れ部分55の間の流体を流通させる血漿流通溝68を含んでいる。」 カ (7ページ左下欄4行~同欄最終行) 「第15図から第18図は、使用される血液サンプルから血漿成分を分離する好ましい装置を示している。最初、挿入カニューレ58はその内腔59が静脈V中の血液Bとの流体流通路となるように、ホ乳類の体Mの皮膚Sに挿入される。静脈との流体流通が行われた後直ぐに、減圧された堅牢な採取試験管80は、カニューレ針69がその減圧された採取試験管の栓81を穿刺して内部の空洞部82とカニューレ69の内腔の間の流体流通が起こるようにするために、上部ハウジング部分48に沿って導かれる。この時点で、減圧された試験管80は、血液が内腔59を通って血液受け入れ室54に流入するように、第1血液受け入れ室54、第2血漿受け入れ室55及び両方の容器が大気圧に対して同程度の陰圧になるように、ハウジングの内部空洞部及び堅牢な容器63の内部79の部分的減圧を引き起こす。」 キ (8ページ左上欄4行~同右上欄14行) 「減圧された試験管を接続することにより、第17図及び第18図に示されるように、堅牢な容器63(この時点では減圧された試験管80の働きにより部分的に減圧されている)は膜52を通してハウジング内に陰圧を作り出し、その力は血液を静脈Vからカニューレ58の内腔59、膜52の表面に沿った血液受け入れ室54及び最後に血液流通溝62を通って血液採取用の堅牢な容器63の内部79に引き込む。堅牢な容器63が装置を通して血液を引き抜くと同時に、減圧された採取試験管80は血液供給側と膜52を隔てて反対側に陰圧を提供している。採取試験管80により作られる陰圧は、血漿を血液受け入れ室54を流れている血液流から分離膜52を通過してハウジングの血漿受け入れ室55流れ込ませる(当審注:「血漿受け入れ室55流れ込ませる」は「血漿受け入れ室55に流れ込ませる」の明らかな誤記と認められる。)。血漿は、血漿流通溝68及びカニューレ針69の内腔を通り減圧された採取試験管80の内部82に、ハウジングに沿って支持体リブ74により導入される。 分離膜の両側における陰圧の程度は、血液がハウジングの血液受け入れ室に入って来る前にはほぼ等しいと思われる。その後、血液が血液受け入れ室を満たすと、その流入により分離膜の血液流入側の陰圧は小さくなり、ハウジングの血漿受け入れ室の陰圧の方が血液受け入れ室よりも大きくなる。このようにして生じた陰圧の差が、血漿をして分離膜を通過させる力であると考えられる。 堅牢な容器63及び減圧された採取試験管80の内圧が被検者の血圧とほぼ等しくなったとき、減圧された採取試験管80には血液から分離された、そのままで使用できるある量の血漿が入っている。」 ク (8ページ左下欄3行~同8行) 「分離膜52は血液のサンプルの細胞成分が通過できず、血漿が血液サンプルから膜を通って流出できるような直径の孔を持つ膜で構成される。孔径が約0.2μm~1.5μmの範囲である膜を使用することが好ましい。更に好ましくは孔径が約0.4μm~0.6μmの範囲である。」 ケ (9ページ左上欄3行~同10行) 「血液から血漿全分離するためには、おおよそ0.33気圧程度の陰圧が好ましいと思われる。この程度の陰圧は堅牢な容器を除いた装置の空の空間が、はぼ堅牢な容器の内部体積と等しくなるようにハウジングを構成すること、及び堅牢な容器と同じ内部体積を持ち、ゼロ気圧まで空気を抜かれた減圧された容器を用いる該装置により達成される。」 コ (11ページ左上欄17行~同右上欄14行) 「本発明のハウジングは金属、プラスチック及びセラミックのような種々の材質により作ることができる。プラスチック材料は種々の複雑な形に成型でき、血液との親和性が良いので大変好ましい材質である。透明な熱可塑性プラスチック材は、装置の作動がハウジングの壁を通して観察できるので好ましい。医学用ステンレススチールが好ましいが、種々の金属及びプラスチックが本発明の種々のカニューレに適用できる。分離膜の材質選択は、分離される物質の組成及び膜の通過を阻止しなければならない粒子の大きさに依存している。一般に市販されている透析用膜及びウルトラフィルターを使用できる。そのような膜の代表的な例には、ヌクレオポアコーポレション社(カルフォルニア、アメリカ合衆国)(Nucleopore Corporation,Pleasanton、California,U.S.A.)が製造している孔径が0.2μm~1.5μmの範囲のポリカーボネート膜及びポリエステル膜がある。」 サ (12ページ左上欄12行~同左下欄12行) 「4.[図面の簡単な説明] ・・・ 第6図は、本発明の血液サンプルからの血漿分離のための装置の好ましい具体例の斜視図である; 第7図は、第6図の装置の平面図である; 第8図は、第6図の装置の側面図である; 第9図は、第7図の装置の9-9線断面図である; 第10図は、第7図の装置の10-10線断面図である; 第11図は、v、8図の装置の11-11線断面図である; 第12図は、ハウジングの上部部分に取り付けられる分離膜を示す、第6図の装置のハウジングの上部部分の底面図である; 第13図は、分離膜を取り付けていない状態であることを除いての第12図と同様の、第6図の装置のハウジングの上部部分の底面図である; 第14図は、第8図の装置の14-14線断面図である; 第15図は、減圧された試験管と共に使用して血液サンプルを採取している第6図の装置の平面図である; 第16図は、血液サンプルを採用している第15図の装置の側面図である; 第17図は、第15図の装置の大体17-17線に沿った部分断面図である; 第18図は、第15図の装置のIE118線断面図である;」 シ 図面の第18図より、採取試験管80は、採取試験管の栓81を穿刺した状態では、上部ハウジング部分48及び第2血漿受け入れ室55を介して、分離膜52に沿った状態となることを見て取ることができる。 「 [図:0001396894000001.jpg] 」 そして、上記記載事項ア~サ、及び図面に記載された事項シを総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (a~dは、本願補正発明のA~Dに概ね対応させて当審にて付与した。また、括弧内には引用文献における引用箇所の概略を示した。 また、引用発明の認定に当たり、引用文献1中の「第1血液受け入れ室54」、「血液受け入れ第1室54」及び「血液受け入れ室54」は、図番が同じであることから同じものを指していることが明らかであり、引用発明においては「血液受け入れ室54」に統一した。 また、引用文献1中の「第2血漿受け入れ室55」、「血漿受け入れ第2室55」及び「血漿受け入れ室55」は、図番が同じであることから同じものを指していることが明らかであり、引用発明においては「血漿受け入れ室55」に統一した。 また、引用文献1中の「試験管80」及び「採取試験管80」は、図番が同じであることから同じものを指していることが明らかであり、引用発明においては「採取試験管80」に統一した。 また、引用文献1中の「膜52」及び「分離膜52」は、図番が同じであることから同じものを指していることが明らかであり、引用発明においては「分離膜52」に統一した。) (引用発明) 「a 血液サンプルからの血漿分離の好ましい装置45であって(6ページ左下欄8行~同右下欄7行)、 挿入カニューレは、血液サンプルを取るために被検者の肉体に穿刺し(6ページ右下欄8行~7ページ左上欄6行)、 b 結合することにより内部空洞部51を形成する、上部ハウジング部分48及び下部ハウジング部分49よりなるハウジング47を含み(6ページ左下欄8行~同右下欄7行)、 分離膜52は、内部空洞部51を、血液受け入れ室54及び血漿受け入れ室55に分割し、分離膜52は、上部ハウジング部分48に取り付けられ(6ページ左下欄8行~同右下欄7行)、 内部に内腔59を有する挿入カニューレ58は、下部ハウジング部分の中空ハブ部分60に取り付けられ(6ページ右下欄8行~7ページ左上欄6行)、 下部ハウジング部分49は、内腔59と血液受け入れ室54の間に流体の流通性を提供する入口溝61を含み(6ページ右下欄8行~7ページ左上欄6行)、 挿入カニューレ58は、血液サンプルを取るために被検者の肉体に穿刺し、そしてその静脈に入れるのに使われる尖った先端56を持っており(6ページ右下欄8行~7ページ左上欄6行)、 血液流通溝62は、入口溝から血液流通溝まで通過する血液が、血液と膜との間のクロスフローの関係を維持しながら分離膜52の長手方向に沿って流れるように、入口溝61の反対側にあり(6ページ右下欄8行~7ページ左上欄6行)、 内腔70を有するカニューレ針69は、上部ハウジング部分のハブ部分71に取り付けられ(7ページ左上欄最終行~同右上欄8行)、 カニューレ針は、減圧された血液採取試験管80の栓若しくは蓋を穿刺するための尖った先端72を持っており、更に、上部ハウジング部分48は、カニューレ針の内腔及びハウジングの血漿受け入れ部分55の間の流体を流通させる血漿流通溝68を含み(7ページ左上欄最終行~同右上欄8行)、 血液を静脈Vからカニューレ58の内腔59、分離膜52の表面に沿った血液受け入れ室54及び最後に血液流通溝62を通って血液採取用の堅牢な容器63の内部79に引き込み(8ページ左上欄4行~同右上欄14行)、 血漿を血液受け入れ室54を流れている血液流から分離膜52を通過してハウジングの血漿受け入れ室55に流れ込ませ、血漿は、血漿流通溝68及びカニューレ針69の内腔を通り採取試験管80の内部82に導入され(8ページ左上欄4行~同右上欄14行)、 分離膜52は血液のサンプルの細胞成分が通過できず、血漿が血液サンプルから膜を通って流出できるような直径の孔を持つ膜で構成され、孔径が約0.4μm~0.6μmの範囲であり(8ページ左下欄3行~同8行)、 分離膜の材質選択は、分離される物質の組成及び膜の通過を阻止しなければならない粒子の大きさに依存し、一般に市販されている透析用膜及びウルトラフィルターを使用でき、そのような膜の代表的な例には、ヌクレオポアコーポレション社(カルフォルニア、アメリカ合衆国)(Nucleopore Corporation,Pleasanton、California,U.S.A.)が製造している孔径が0.2μm~1.5μmの範囲のポリカーボネート膜及びポリエステル膜があり(11ページ左上欄17行~同右上欄14行)、 c 減圧された採取試験管80は、カニューレ針69がその減圧された採取試験管80の栓81を穿刺して内部の空洞部82とカニューレ69の内腔の間の流体流通が起こるようにするために、上部ハウジング部分48に沿って導かれ(7ページ左下欄4行~同欄最終行)、 採取試験管80は、採取試験管の栓81を穿刺した状態では、上部ハウジング部分48及び血漿受け入れ室55を介して、分離膜52に沿った状態となり(第18図)、 減圧された採取試験管80は、血液が内腔59を通って血液受け入れ室54に流入するように、血液受け入れ室54、血漿受け入れ室55及び両方の容器が大気圧に対して同程度の陰圧になるように、ハウジングの内部空洞部及び堅牢な容器63の内部79の部分的減圧を引き起こし(7ページ左下欄4行~同欄最終行)、 減圧された採取試験管80を接続することにより、減圧された採取試験管80の働きにより部分的に減圧されている堅牢な容器63は分離膜52を通してハウジング内に陰圧を作り出し、その力は血液を静脈Vからカニューレ58の内腔59、分離膜52の表面に沿った血液受け入れ室54及び最後に血液流通溝62を通って血液採取用の堅牢な容器63の内部79に引き込み(8ページ左上欄4行~同右上欄14行)、 採取試験管80により作られる陰圧は、血漿を血液受け入れ室54を流れている血液流から分離膜52を通過してハウジングの血漿受け入れ室55に流れ込ませ(8ページ左上欄4行~同右上欄14行)、 血漿は、血漿流通溝68及びカニューレ針69の内腔を通り減圧された採取試験管80の内部82に導入される(8ページ左上欄4行~同右上欄14行)、 d 血液サンプルからの血漿分離の好ましい装置45(6ページ左下欄8行~同右下欄7行)。」 (3) 対比 本願補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する(対比における下線は当審で付した。)。 ア(構成A) 引用発明の構成aの「血液サンプル」は「挿入カニューレ」により「被検者の肉体に穿刺し」て「取る」ものであるが、「被検者の肉体に穿刺し」て「取」った「血液サンプル」が全血部分と血漿部分を共に有することが技術常識であることみて、引用発明の構成aの「血液サンプル」は、本願補正発明の構成Aの「全血部分と血漿部分とを有する血液サンプル」に相当する。 そして、引用発明の構成aの「血液サンプルからの血漿分離の好ましい装置45」は、本願補正発明の構成Aの「全血部分と血漿部分とを有する血液サンプルを受け入れるように適合された血液分離デバイス」に相当する。 してみると、引用発明の構成aは、本願補正発明の構成Aに相当する構成を備えるものである。 イ(構成B) 引用発明の構成bの「血液受け入れ室54」、「血漿受け入れ室55」は、それぞれ本願補正発明の構成Bの「第1のチャンバ」、「第2のチャンバ」に相当する。 また、引用発明の構成bの「内部空洞部51を」「血液受け入れ室54」(第1のチャンバ)「及び血漿受け入れ室55」(第2のチャンバ)「に分割」する「分離膜52」は、本願補正発明の構成Bの「第1のチャンバと前記第2のチャンバの間に配置された分離部材」に相当する。 そして、引用発明の構成bの「結合することにより内部空洞部51を形成する、上部ハウジング部分48及び下部ハウジング部分49よりなるハウジング47」、及び「上部ハウジング部分48に取り付けられ」ている「分離膜52」(分離部材)は、両者で本願補正発明の構成Bの「第1のチャンバと」「第2のチャンバを画定し、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間に配置された分離部材を含むハウジング」に相当する。 また、引用発明の構成bの「入口溝61」は「内腔59と」「血液受け入れ室54」(第1のチャンバ)「の間に流体の流通性を提供する」ものであって、同構成bによれば「内腔59」とは「血液サンプルを取るために被検者の肉体に穿刺」する「挿入カニューレ58」の「内部」のことであるから、引用発明の構成bの「入口溝61」が「血液受け入れ室54」(第1のチャンバ)における「血液サンプル」の入口となっていることは明らかであり、引用発明の構成bの「入口溝61」は本願補正発明の構成Bの「第1のチャンバ」が「有する」「第1のチャンバ入口」に相当する。 また、引用発明の構成bは「血液を静脈Vからカニューレ58の内腔59、膜52の表面に沿った血液受け入れ室54及び最後に血液流通溝62を通って血液採取用の堅牢な容器63の内部79に引き込」むことから、「血液流通溝62」が「血液受け入れ室54」(第1のチャンバ)の出口となっていることが明らかであって、同構成bの「血液流通溝62」は本願補正発明の構成Bの「第1のチャンバ」が「有する」「第1のチャンバ出口」に相当する。 また、引用発明の構成bでは、「入口溝61」は「内腔59と」「血液受け入れ室54」(第1のチャンバ)「の間に流体の流通性を提供する」ものであって、同構成bによれば「内腔59」とは「血液サンプルを取るために被検者の肉体に穿刺」する「挿入カニューレ58」の「内部」のことであるから、同構成bの「血液受け入れ室54」(第1のチャンバ)は「血液サンプルを受け入れるように適合され」ているものといえる。 また、引用発明の構成bの「分離膜52」(分離部材)は「膜で構成され」ることから、本願補正発明の構成Bの「分離部材がトラック・エッチ膜を備える」ことと、「分離部材が膜を備える」点で共通する。 してみると、本願補正発明の構成Bと引用発明の構成bとは、 「第1のチャンバ入口と第1のチャンバ出口とを有する第1のチャンバと、第2のチャンバ出口を有する第2のチャンバを画定し、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間に配置された分離部材を含むハウジングであって、前記第1のチャンバが、前記血液サンプルを受け入れるように適合され、前記分離部材が膜を備える、ハウジング」である点で共通する。 ウ(構成C) (ア) 引用発明の構成cの「減圧された採取試験管80」は、「栓81」がされた「減圧された採取試験管」であることから、本願補正発明の構成Cの「真空源アクチュエータ」に相当する。 また、引用発明の構成bによれば、「血液を静脈Vからカニューレ58の内腔59、分離膜52の表面に沿った血液受け入れ室54及び最後に血液流通溝62を通って血液採取用の堅牢な容器63の内部79に引き込」むことから、カニューレ58を静脈に穿刺しない状態では「カニューレ58の内腔59」、「血液受け入れ室54」、「血液流通溝62」及び「血液採取用の堅牢な容器63」内はいずれも大気圧であることが明らかであって、これらはいずれも「真空源」ではない。 また、引用発明の構成cによれば、「減圧された採取試験管80を接続することにより、減圧された採取試験管80の働きにより部分的に減圧されている堅牢な容器63は分離膜52を通してハウジング内に陰圧を作り出」すことから、「分離膜52」は空気を通す膜であるといえ、「分離膜52」によって「血液受け入れ室54」と「分割」(引用発明の構成b参照)された「血漿受け入れ室55」もまた、カニューレ58を静脈に穿刺しない状態では大気圧であることが明らかであって、「真空源」ではない。 そうすると、引用発明の「血液サンプルからの血漿分離の好ましい装置45」(血液分離デバイス)においては、引用発明の構成cの「減圧された採取試験管80」(真空源アクチュエータ)のほかには真空源が存在せず、引用発明の構成cの「減圧された採取試験管80」(真空源アクチュエータ)は本願補正発明の構成Cの「血液分離デバイス中の唯一の真空源であ」る「単一真空源アクチュエータ」に相当するものである。 (イ)a 引用発明の構成cの「減圧された採取試験管80」(真空源アクチュエータ)が本願補正発明の構成Cの「血液分離デバイス中の唯一の真空源であ」る「単一真空源アクチュエータ」に相当することは上記説示のとおりである。 一方、引用発明の構成cが、「減圧された採取試験管80は、血液が内腔59を通って血液受け入れ室54に流入するように、血液受け入れ室54、血漿受け入れ室55及び両方の容器が大気圧に対して同程度の陰圧になるように、ハウジングの内部空洞部及び堅牢な容器63の内部79の部分的減圧を引き起こし」ていることから、仮に、引用発明の構成cの「部分的減圧を引き起こし」た「容器63」の存在によって、引用発明の構成cの「減圧された採取試験管80」(真空源アクチュエータ)が「唯一の真空源」であるといえなくなるか否かについてさらに検討してみる。 b そこで、本願の発明の詳細な説明を参照すると、以下のとおり記載されている。 「【0101】 図13~図15は、本開示の血液分離デバイスの他の例示的な実施形態を示す。図2および図13を参照すると、本開示の血液分離デバイス300は、全血部分14と血漿部分16とを有する血液サンプル12を受け入れるように適合される。本開示は、血液分離デバイス、および高品質血漿が生成されることを可能にする分離プロセス、および真空管などの単一圧力源が血漿分離プロセス全体に動力を供給することを可能にする血液分離デバイスを提供する。デバイス設計は、単純で、低コストであり、使い捨てである。血漿分離プロセスは高速で、動作させやすく、全血から高品質血漿サンプルを作製する。血漿分離プロセスは、ミクロン・リットルのサンプル・サイズからミリリットルまでスケーラブルである。分離プロセスは、ハードウェアまたは電力を必要としない。分離プロセスは、シリンジの引き抜きおよび/または真空管を使用することによって生成可能な圧力によって動作させられる。分離血漿の品質は、遠心分離によって生成され、さまざまな診断ニーズに適した管血漿の品質と同等である。 【0102】 一実施形態では、血液サンプルを採取した後、血液分離デバイス300は、血液サンプルの血漿部分を全血部分から分離することが可能である。一実施形態では、分離後、血液分離デバイス300は、血液サンプルの血漿部分をポイント・オブ・ケア検査デバイスに移転することが可能である。 【0103】 一実施形態では、血液分離デバイス300は、真空管またはシリンジの引き抜きなどの真空源が血漿分離プロセスに動力を供給することを可能にする。一実施形態では、真空源は、分離部材膜表面に沿って接線方向に血流を駆動するだけでなく、膜を通る血漿流を可能にするために必要とされる膜間圧力差も提供する。一実施形態では、血液分離デバイス300は、血漿側に対する圧力を調節するための血漿真空ラインおよび別個の流動抵抗体の必要性を解消する。これが可能であるのは、真空管からの真空力が代わりに多孔性TEMを通って血漿側に移転可能であるからである。血漿側に移転される真空力のパーセントは、血漿チャンバ、血漿貯蔵を含み、チャネルまたは管類を接続する血漿側の総チャンバ容積によって制御される。 【0104】 図13を参照すると、血液分離デバイス300は、全体的に、ハウジング320と、第1のチャンバすなわち血液チャンバ322と、第1のチャンバ入口324と、第1のチャンバ出口326と、第2のチャンバすなわち血漿チャンバ328と、第2のチャンバ出口330と、分離部材すなわち膜332と、アクチュエータ334と、変形可能な血漿採取容器336とを含む。 ・・・ 【0111】 一実施形態では、血液分離デバイス300は、血液チャンバ322と、血漿チャンバ328と、血流および血漿流を駆動するために圧力源たとえばアクチュエータ334によって動作させられる分離部材332とを含む。一実施形態では、アクチュエータ334は真空源である。一実施形態では、アクチュエータ334は真空管である。一実施形態では、アクチュエータ334はシリンジである。 【0112】 血液分離デバイス300は、デバイスの血液側と血漿側の両方を駆動するために1つの圧力源のみを必要とするシステムを提供する。一実施形態では、単一アクチュエータは、第1のチャンバ322の一部分に第1の圧力を、第2のチャンバ328の一部分に第2の圧力を提供する。一実施形態では、第2の圧力は、分離部材332の多孔性および血漿採取容器336によって調節される。有利には、本開示の血液分離デバイス300は、単一圧力源が血漿分離プロセス全体に動力を供給することを可能にする。 【0113】 一実施形態では、血液分離デバイス300は、第1の圧力および第2の圧力を調節するための内蔵抵抗体を含む。たとえば、一実施形態では、血液分離デバイス300は、図4Bに示されるような、第1の圧力と連通する第1の抵抗体R1と、第2の圧力と連通する第2の抵抗体R2とを含む。抵抗体は、Poraxからの、1ミクロン・メートルの孔径をもつ多孔性ポリマー・ディスクであってよい。多孔性材料は、繊維、焼結されたポリマー材料、多孔性金属、または他の任意の通気性材料などの、多数の形態をとることができる。あるいは、多孔性材料は、空気流に抵抗するデバイス上に構築された小さい管またはチャネルであってもよい。内蔵抵抗体は、図13に示されるような、真空レベルP1およびP2を調節し、P1は、膜の多孔性および変形可能な血漿採取チャンバ336によって調節される。変形可能な血漿採取チャンバ336のための可撓性材料を提供することによって、内部容積は、変形可能な血漿採取容器336内の真空を調節するように調整され得る。高い真空の条件下で、変形可能な血漿採取容器336の可撓性材料は、図13の破線を介して示されるように、内側へ曲がり、採取容積を減少させる。ひとたび内部の真空が所定の閾値に到達すると、変形可能な血漿採取容器336は、図13に示されるように、その元の変形していない状態に戻る。」 「【図13】 [図:0001396894000002.jpg] 」 そうすると、本願の発明の詳細な説明に記載のものは、真空源であるアクチュエータ334によって、血漿採取チャンバ336に真空レベルP1が発生していても、真空源であるアクチュエータ334を「単一圧力源」としているということができる。 してみると、本願の発明の詳細な説明から、本願補正発明の構成Cの「血液分離デバイス中の唯一の真空源」である「単一真空源アクチュエータ」とは、「真空源アクチュエータ」の作用によって別の箇所に減圧が発生したとしても、当該別の箇所の減圧が「真空源アクチュエータ」によって発生したものであれば、当該「真空源アクチュエータ」は「血液分離デバイス中の唯一の真空源」である「単一真空源アクチュエータ」であると解するのが相当である。 c 当該理解に基づいて、本願補正発明と引用発明を対比すると、引用発明の構成cは、 「減圧された採取試験管80は、血液が内腔59を通って血液受け入れ室54に流入するように、血液受け入れ室54、血漿受け入れ室55及び両方の容器が大気圧に対して同程度の陰圧になるように、ハウジングの内部空洞部及び堅牢な容器63の内部79の部分的減圧を引き起こし」ているものである。 そうすると、引用発明の「堅牢な容器63の内部79」の「部分的減圧」は「減圧された」「採取試験管80」(真空源アクチュエータ)の作用によって発生した減圧であって、当該「採取試験管80」(真空源アクチュエータ)は、本願補正発明の構成Cの「血液分離デバイス中の唯一の真空源」である「単一真空源アクチュエータ」に相当するものである。 (ウ) また、引用発明の構成cの「採取試験管80により作られる陰圧は、血漿を血液受け入れ室54を流れている血液流から」「分離膜52」(分離部材)「を通過して」「ハウジングの血漿受け入れ室55」(第2のチャンバ)「(に)流れ込ませ」ることは、本願補正発明の構成Cの「分離部材が、前記血漿部分が前記分離部材を通過して前記第2のチャンバへと入ることを可能にする」ことに相当する。 (エ)a ここで、本願補正発明の構成Cの「前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ」との構成は、普通に解すれば、「前記単一真空源アクチュエータ」が、「分離部材に隣接」する位置に「加えられ」る形式で設けられることを指しているように理解するべき(当該理解を以下「前者理解」という)であるが、発明の詳細な説明を参照してみても、「前記単一真空源アクチュエータ」が、「分離部材に隣接」する旨の直接の記載は存在しない。 一方、本願補正発明の「前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ」との構成は、本件補正によって下線部が追加された構成であり、審判請求書を補正する令和4年5月26日提出の手続補正書(方式)において、 「これらの補正は、本願出願当初の明細書(以下、「当初明細書」という。)の段落[0069]、[0098]、[0099]、[0111]、および[0112]に具体的に裏付けられている。」と主張されたことから、本願の明細書の当該段落を参照すると、以下のとおり記載されている(下線は当審で付した)。 「【0069】 ライン150、152をもつ血液分離デバイス100は、デバイスの血液側と血漿側の両方を駆動するために1つの圧力源のみを必要とするシステムを提供する。一実施形態では、血液分離デバイス100は、血液分離デバイス100に動力を供給するために単一圧力源を必要とするシステムを提供し、この単一圧力源からの圧力は、血液チャンバ122と血漿チャンバ128の間で分けることが可能である。そのような一実施形態では、血液分離デバイス100は、分割の比を調節するための調節器を含む。」 「【0098】 血液分離デバイス200は、デバイスの血液側と血漿側の両方を駆動するために1つの圧力源のみを必要とするシステムを提供する。一実施形態では、単一アクチュエータは、ライン250を介して第1のチャンバ122の一部分に第1の圧力を、第2のチャンバ228の一部分に第2の圧力を提供する。一実施形態では、第2の圧力は、分離部材232の多孔性および第2のチャンバ228の容積によって調節される。有利には、本開示の血液分離デバイス200は、単一圧力源が血漿分離プロセス全体に動力を供給することを可能にする。 【0099】 血液分離デバイス200は、デバイスの血液側と血漿側の両方を駆動するために1つの圧力源のみを必要とするシステムを提供する。一実施形態では、血液分離デバイス200は、血液分離デバイス200に動力を供給するために単一圧力源を必要とするシステムを提供し、その圧力源は、血液チャンバ222の側のみに向けられ、血漿チャンバ228の側および血漿容器の容積は、血液分離デバイス200の血液側と血漿側の圧力の比を制御するように選ばれる。」 「【0111】 一実施形態では、血液分離デバイス300は、血液チャンバ322と、血漿チャンバ328と、血流および血漿流を駆動するために圧力源たとえばアクチュエータ334によって動作させられる分離部材332とを含む。一実施形態では、アクチュエータ334は真空源である。一実施形態では、アクチュエータ334は真空管である。一実施形態では、アクチュエータ334はシリンジである。 【0112】 血液分離デバイス300は、デバイスの血液側と血漿側の両方を駆動するために1つの圧力源のみを必要とするシステムを提供する。一実施形態では、単一アクチュエータは、第1のチャンバ322の一部分に第1の圧力を、第2のチャンバ328の一部分に第2の圧力を提供する。一実施形態では、第2の圧力は、分離部材332の多孔性および血漿採取容器336によって調節される。有利には、本開示の血液分離デバイス300は、単一圧力源が血漿分離プロセス全体に動力を供給することを可能にする。」 そうすると、本願補正発明の構成Cの「前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ」との構成は、前者理解により理解されるべきところ、発明の詳細な説明を参照すると、「前記単一真空源アクチュエータ」による「圧力」(減圧)が「分離部材に隣接」した部分に「加えられ」ることを指していると理解する(当該理解を以下「後者理解」という))余地がまったくないとはいえない。 b そこで、まず本願補正発明の構成Cの「前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ」との構成を、「前記単一真空源アクチュエータ」が、「分離部材に隣接」する位置に「加えられ」る形式で設けられることを指しているとした「前者理解」に基づいて対比をする。 引用発明の構成cの「減圧された採取試験管80」(単一真空源アクチュエータ)は、「カニューレ針69がその減圧された採取試験管の栓81を穿刺して内部の空洞部82とカニューレ69の内腔の間の流体流通が起こるように」して「減圧された採取試験管80を接続」するものであるから、「減圧された採取試験管80」(単一真空源アクチュエータ)は使用時に「穿刺」による「接続」という動作により、「加えられ」る形式で設けられたものということができる。 さらに、引用発明の構成cの「採取試験管80」(単一真空源アクチュエータ)「は、採取試験管の栓81を穿刺した状態では、上部ハウジング部分48及び血漿受け入れ室55を介して、分離膜52に沿った状態とな」ることは、本願補正発明の「前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して」いることに相当する。 そうすると、本願補正発明の構成Cのうち、「前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ」との構成を前者理解に基づいて対比をすると、引用発明の構成cは、本願補正発明の構成Cのうち「前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ」る構成を有するものといえる。 c 次に、本願補正発明の構成Cの「前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ」との構成を、「前記単一真空源アクチュエータ」による「圧力」(負圧)が「分離部材に隣接」した部分に「加えられ」ることを指しているとした「後者理解」に基づいて対比をする。 引用発明の構成cの「減圧された採取試験管80は、血液が内腔59を通って血液受け入れ室54に流入するように、血液受け入れ室54、血漿受け入れ室55及び両方の容器が大気圧に対して同程度の陰圧になるように、ハウジングの内部空洞部及び堅牢な容器63の内部79の部分的減圧を引き起こ」すことは、「減圧された採取試験管80」(単一真空源アクチュエータ)によって「分離膜52」の隣接する位置である「血液受け入れ室54、血漿受け入れ室55」を「陰圧」にしていることから、 「前記単一真空源アクチュエータ」による「圧力」(負圧)が「分離部材に隣接」した部分に「加えられ」ているものといえる。 そうすると、本願補正発明の構成Cのうち、「前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ」との構成を、仮に後者理解に基づいて対比をしてもまた、引用発明の構成cは、本願補正発明の構成Cのうち当該構成を有するものといえる。 d してみると、本願補正発明の構成Cの「前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ」との構成について、前者理解及び後者理解のいずれの理解をしても、引用発明の構成cは、本願補正発明の構成Cの「前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ」る構成を有するものといえる。 エ(構成D) 引用発明の「血液サンプルからの血漿分離の好ましい装置45」が本願補正発明の「血液分離デバイス」に相当することは、上記アにて説示のとおりである。 してみると、引用発明の構成dは、本願補正発明の構成Dに相当する構成を備えるものである。 そうすると、本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 (一致点) A 全血部分と血漿部分とを有する血液サンプルを受け入れるように適合された血液分離デバイスであって、 B′第1のチャンバ入口と第1のチャンバ出口とを有する第1のチャンバと、第2のチャンバ出口を有する第2のチャンバを画定し、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間に配置された分離部材を含むハウジングであって、前記第1のチャンバが、前記血液サンプルを受け入れるように適合される、ハウジングと、 C 単一真空源アクチュエータであって、前記単一真空源アクチュエータが、前記分離部材に隣接して加えられ、前記血液サンプルを前記第1のチャンバへと引き込み、前記単一真空源アクチュエータが血液分離デバイス中の唯一の真空源であり、前記分離部材が、前記血漿部分が前記分離部材を通過して前記第2のチャンバへと入ることを可能にするように適合される、単一真空源アクチュエータと D を備える血液分離デバイス。 (相違点)(構成B) 本願補正発明では、「前記分離部材がトラック・エッチ膜を備え」るのに対し、引用発明の「分離膜52」(分離部材)が「備え」る「膜」はそのようなものか不明である点。 (4) 相違点の検討 上記相違点について検討する。 まず、本願補正発明の「トラック・エッチ膜」が、トラックエッチングにより製造された膜のことを指していることは、当業者にとって技術常識である。 次に、引用発明の構成bの「分離膜52」(分離部材)は「孔径が約0.4μm~0.6μmの範囲」の「ポリカーボネート膜及びポリエステル膜」であるところ、血液を分離する膜として「ポリカーボネート膜」をトラックエッチングすることで製造された膜を使用することが、例えば以下に示す周知文献1及び2等にみられるように本願の出願時においてよく知られた周知の事項である。 周知文献1:特表2009-511877号公報 (特に、【0098】 「フイルター1500の使用の一例として、血液の3ccからの血漿が膜フイルターとしてポリカーボネートトラックエッチフイルム(ピーシーテーイー)を使って抽出された。該ピーシーテーイーは2μmのポア寸法と170mm2の有効面積を有する。好ましくは、供給、排出及び血漿ポートに接続された配管は1mmの内径を有するのがよい。この構成で使われた方法の一実施例で、血液から100μlの血漿が最初に抽出された。該セルの供給側をリンスするため食塩水が使われた後、もう1つの100μlのクリヤな血漿が抽出された。この方法と構成での血漿抽出の速度は約15-25μl/minである。」 との記載を参照。) 周知文献2:米国特許出願公開第2014/0319079号明細書 (特に[0058]の 「The filter element layer 30 is essential to the filtration module as it is the primary layer for separating red blood cells from plasma.・・・ Because red blood cells are deformable, the largest possible pore size must be smaller than the smallest dimension of the cell. For optimal blood filtration, the pore size is recommended to be less than 2 microns, for example, from about 0.2 to about 1.0 microns.」 (当審訳) 「それは、血漿から赤血球を分離するための一次層としてフィルタエレメント30が濾過モジュールに必須である。・・・赤血球変形可能であるため、可能な最大細孔径は、セルの最小寸法よりも小さくなければならない。最適な血液濾過のために、孔の大きさは、例えば2ミクロン未満であり、約0.2~約1.0ミクロンであることが推奨される。」 との記載や、[0061]の 「The presently disclosed filtration module is designed to have a thin filter element layer 30. An example of a suitable material to use for the filter element 30 is Whatman CycloporeTM 0.6 micron pore size polycarbonate tracked etched filter membranes with a thickness of about 0.8 mil.」 (当審訳) 「ここに開示された濾過モジュールは、薄いフィルタエレメント層30を有するように設計される。フィルタ要素30に使用するのに適した材料の例は、Whatman CycloporeTMであり、0.6ミクロンの細孔サイズのポリカーボネートは約0.8ミルの厚さをもつトラックエッチフィルタ膜である。」 との記載を参照。) さらに、トラックエッチング法で「孔径が約0.4μm」程度の膜が製造できることが、以下に示す周知文献3及び4にみられるように本願の出願時においてよく知られた周知の事項である。 周知文献3:国際公開第2009/110089号 (特に[0047]の 「エッチング膜412は、ポリカーボネート製あるいはポリエステル製の多孔製トラックエッチング膜で、膜厚は5~20μmのものが使用できるが、血球及び凝集物の捕捉効率を基準に選定して、孔径は0.4~1.0μmのものが好適である。」 との記載を参照。) 周知文献4:国際公開第2015/144724号 (特に、20ページ12行~18行の 「Vesicles having a desired size and low polydispersity can be obtained by known methods, for example by extrusion of large uni- and multi- lamellar polydisperse vesicles through one or more membranes of known pore size. Track etched polycarbonate membranes, for example Isopore (Trade Mark) membranes available from Millipore, are suitable for this purpose. Suitably, the vesicles used in the present invention have an average diameter in the range of from 30 to 10,000, preferably 50 to 1000, more preferably 100 to 400, especially from 150 to 250, nm.」 (当審訳) 「望ましいサイズを有し、低い多分散性のベシクルは、公知の方法、例えば、細孔サイズが分かっている一以上の膜を通した、大きい単層及び多層の薄層状多分散ベシクルの押出によって、得ることができる。トラックエッチドポリカーボネートメンブレン、例えばミリポア社から市販のアイソポア(商標)メンブレンは、この目的のために好適である。好適には、本発明で用いるベシクルは、30~10,000nm、好ましくは50~1000nm、より好ましくは100~400nm、特に150~250nmの範囲の平均直径を有している。」 との記載を参照。) このことを考慮すれば、引用発明の「分離膜52」(分離部材)が「備え」る「膜」を周知のトラック・エッチ膜とすることは、当業者が容易に想到することである。 そして、本願補正発明の作用効果は、引用発明から当業者が予測できるものである。 (5) 審判請求人の主張について 審判請求人は、令和4年5月26日提出の手続補正書(方式)の「(3)本願発明が特許されるべき理由」「(3-2)請求項1~7に対する理由3について」において、以下の主張をしている。 「引用文献1は、液体試料から成分を分離するための液体サンプルの成分の膜分離装置を開示し、この装置の一例として図9の構成を開示している。この装置は、第一の血液受容部54とプラズマ受容部55とに分離された内部空洞51を有し、分離膜52は、第一の血液受容部54と血漿受容部55とを分離している。 この液体サンプルの成分の膜分離装置においては、その装置の動作が引用文献1の図15に示されている。堅牢な容器63は、真空管80によって部分的に排気され、堅牢な容器63からの真空は、患者から血液を装置の血液受容部分に吸引し、真空管80は、膜の反対側に真空を引き、血漿を血液から分離させて真空管80に流入させている。これは、堅牢な容器63と真空管80が別個の真空源であることを特徴としている。」 「一方、本願発明の請求項1は、単一の真空源アクチュエータであって、単一の真空源が分離部材に隣接して適用され、血液サンプル試料を第1のチャンバに引き込む単一の真空源アクチュエータであって、単一の真空源が血液分離装置における唯一の真空源である単一の真空源アクチュエータ、を一特徴とするものであり、2つの真空源を開示する引用文献1とは全く相違する構造を有している。 本願発明は、装置の唯一の真空源であり、引用文献はこのような構成を開示も示唆もしていない。」 「引用文献1は、本願で規定した「トラックエッジ膜」またはTEMに関して沈黙している。従って、引用文献1は、本願発明の請求項1に記載した一特徴事項を開示も示唆もしていないことは明瞭である、 従って、請求項1~7に係る本願発明は、引用文献1から容易に想到され得るものではない。」 しかし、引用発明の「採取試験管80」(真空源アクチュエータ)が、本願補正発明の構成Cの「血液分離デバイス中の唯一の真空源」である「単一真空源アクチュエータ」に相当するものであることは、上記「(3) 対比」(イ)a~cにて説示のとおりである。 また、血液を分離する膜として、「ポリカーボネート膜」をトラックエッチングすることで製造された「孔径が約0.4μm」程度の膜を使用することが、周知の手法であって、引用発明の「分離膜52」(分離部材)が「備え」る「膜」を周知のトラック・エッチ膜とすることが、当業者が容易に想到することであることは、上記「(4) 相違点の検討」にて説示のとおりである。 してみると、審判請求人の上記主張を採用することはできない。 (6) まとめ 以上のように、本願補正発明は引用発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3 補正の却下の決定についてのむすび 上記「2 独立特許要件について」より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年9月3日提出の手続補正書により補正がされた特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A~Dは本願発明を分説するため当審で付した)。 (本願発明) 「【請求項1】 A 全血部分と血漿部分とを有する血液サンプルを受け入れるように適合された血液分離デバイスであって、 B 第1のチャンバ入口と第1のチャンバ出口とを有する第1のチャンバと、第2のチャンバ出口を有する第2のチャンバを画定し、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間に配置された分離部材を含むハウジングであって、前記第1のチャンバが、前記血液サンプルを受け入れるように適合され、前記分離部材がトラック・エッチ膜を備える、ハウジングと、 C 単一真空源アクチュエータであって、前記単一真空源が、前記分離部材に隣接して加えられ、前記血液サンプルを前記第1のチャンバへと引き込み、前記分離部材が、前記血漿部分が前記分離部材を通過して前記第2のチャンバへと入ることを可能にするように適合される、単一真空源アクチュエータと D を備える血液分離デバイス。」 2 拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。 (新規性)この出願の請求項1-7、16、17に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (進歩性)この出願の請求項1-7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開昭63-224703号公報 (上記「第2」「2 独立特許要件について」「(2) 引用文献に記載された事項」にて示した引用文献1と同じ。) 3 引用文献1に記載された事項 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1の記載事項及び引用発明については、上記第2 「2 独立特許要件について」「(2) 引用文献に記載された事項」に示したとおりである。 4 対比 本願発明の構成A、B及びDは、それぞれ本願補正発明の構成A、B及びDと一致している。 また、本願発明の構成Cは、本願補正発明の構成Cから「単一真空源」について「アクチュエータ」との限定を外すとともに、「単一真空源アクチュエータ」について、「血液分離デバイス中の唯一の真空源であ」るとの限定を外したものである。 そうすると、本願発明は、本願補正発明から一部の限定を外したものであるから、本願発明もまた、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-005507

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