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特許拒絶査定不服審判

2024-013594

液滴生成、核酸増幅、及び検出のための一体型のマイクロ流体システム

審判番号
2024-013594
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-526719
請求日
2024年08月23日
審決日
2025年08月20日
公報発行日
2026年02月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】プレシゲノム,エルエルシー
  • 【請求人代理人】高岡 亮一
  • 【請求人代理人】小田 直
  • 【請求人代理人】岩堀 明代
  • 【請求人代理人】三好 玲奈
  • 【請求人代理人】延原 愛
審判長/審判官
  • 審判長 加々美 一恵
  • 審判官 伊藤 幸仙
  • 審判官 藏田 敦之
分類
P18 .121-Z (G01N) / P18 .561-Z (G01N) / P18 .575-Z (G01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-526719「液滴生成、核酸増幅、及び検出のための一体型のマイクロ流体システム」拒絶査定不服審判事件〔2020年(令和2年)5月22日国際公開、WO2020/102702、令和4年2月7日国内公表、特表2022-513059〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件出願(以下「本願」と記す。)は、2019年(令和元年)11月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年11月16日 米国)を国際出願日とする出願であって、令和5年9月12日付けで拒絶理由が通知され、これに対し令和6年2月16日に意見書及び手続補正書が提出され、同年4月15日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたところ、同年8月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、令和7年3月11日に上申書が提出されたものである。 第2 令和6年8月23日付けの手続補正についての補正の却下の決定 〔補正の却下の決定の結論〕 令和6年8月23日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 〔理由〕 1.補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の全文を補正するものであって、その補正内容は、特許請求の範囲について、【請求項1】を 「【請求項1】 マイクロ流体デバイスであって、 1つ又は複数の基質を受け入れるための1つ又は複数のウェルと、 液滴を生成するように適合される、前記1つ又は複数のウェルと流体連通した液滴生成チャネルと、 前記液滴生成チャネルと流体連通し、かつ前記液滴生成チャネルにより生成された液滴を収集するように適合され、かつ液滴中で化学反応を行うようにさらに適合され、かつ液滴から光シグナルを検出するようにさらに適合されるチャンバ、 を備え、 前記チャンバと前記液滴生成チャネルが、前記チャンバの流体力学的流動抵抗が前記液滴生成チャネルの流体力学的流動抵抗よりも小さいように構成され、 前記チャンバは2つの高抵抗チャネル間に位置し、前記流動抵抗が前記チャンバの流動抵抗よりも少なくとも50倍高く、 前記チャンバの深さが、前記チャンバ内に収集された液滴が単層様式で配列されるように前記液滴生成チャネルの幅又は深さの50%と200%の間であり、 前記チャンバの体積が、液滴生成に用いられる水相の体積の1~20倍である、 マイクロ流体デバイス。」(以下「補正前請求項1」という。) から 「【請求項1】 マイクロ流体デバイスであって、 1つ又は複数の基質を受け入れるための1つ又は複数のウェルと、 液滴を生成するように適合される、前記1つ又は複数のウェルと流体連通した液滴生成チャネルと、 前記液滴生成チャネルと流体連通し、かつ前記液滴生成チャネルにより生成された液滴を収集するように適合され、かつ液滴中で化学反応を行うようにさらに適合され、かつ液滴から光シグナルを検出するようにさらに適合されるチャンバと、 前記マイクロ流体デバイスの側面にあるフィルムと、 チャンバ出口と、 マイクロ流体チャネルであって、前記チャンバ出口を前記1つ又は複数のウェルに接続するために用いられる、マイクロ流体チャネルと を備え、 前記チャンバと前記液滴生成チャネルが、前記チャンバの流体力学的流動抵抗が前記液滴生成チャネルの流体力学的流動抵抗よりも小さいように構成され、 前記チャンバは2つの高抵抗チャネル間に位置し、前記高抵抗チャネルの流動抵抗は前記チャンバの流動抵抗の少なくとも50倍高く、 前記チャンバの深さが、前記チャンバ内に収集された液滴が単層様式で配列されるように前記液滴生成チャネルの幅又は深さの50%と200%の間であり、 前記チャンバの体積が、液滴生成に用いられる水相の体積の1~20倍であり、 前記チャンバの幅が1mm~2cmであり、前記チャンバと前記2つの高抵抗チャネルの接続において、前記チャンバの幅が前記2つの高抵抗チャネルの幅になるように徐々に減少するように構成される マイクロ流体デバイス。」(以下「補正後請求項1」という。下線部は補正箇所を示す。) と補正するものを含むものである。 2.本件補正について (1)本件補正のうち、請求項1についての補正は、上記「1.」より以下の補正1ないし5の補正項目を含むものである。 (補正1)マイクロ流体デバイスが「前記マイクロ流体デバイスの側面にあるフィルム」を備えるものに限定する。 (補正2)マイクロ流体デバイスが「チャンバ出口」を備えるものに限定する。 (補正3)マイクロ流体デバイスが「マイクロ流体チャネルであって、前記チャンバ出口を前記1つ又は複数のウェルに接続するために用いられる、マイクロ流体チャネル」を備えるものに限定する。 (補正4)2つの高抵抗チャネルについて、「前記高抵抗チャネルの流動抵抗は前記チャンバの流動抵抗の少なくとも50倍高く」と、限定する。 (補正5)チャンバについて、「前記チャンバの幅が1mm~2cmであり、前記チャンバと前記2つの高抵抗チャネルの接続において、前記チャンバの幅が前記2つの高抵抗チャネルの幅になるように徐々に減少するように構成される」と、限定する。 (2)前記「補正1」については、本願の明細書及び図面には、フィルムに関する記載は、本願明細書の段落【0028】に 「【0028】 ・・・液滴が収集されチャンバに充填された後で、PCR反応がサーマルサイクラーを使用してマイクロ流体チップのフィルム側で温度サイクルを適用することにより開始される。・・・」(下線は当審で付与した。) のみしか見当たらない。 上記記載からは、「マイクロ流体チップ」に「フィルム」があることは読み取れるものの、「マイクロ流体デバイスの側面」にフィルムがあるとは読み取れないし、また自明であるとも認められない。 また、審判請求書において請求人は、当該「補正1」の補正の根拠を「図4、段落0028」である旨主張している。しかしながら、当該段落【0028】の記載及び当該段落【0028】の記載から読み取ることができる事項については上記のとおりであり、補正の根拠として認められない。また、図4には、以下のとおりであり、 「【図4】 [図:0001431790000001.jpg] 」 上記図4の記載には、マイクロ流体チップとサーマルサイクラーが見受けられるものの「フィルム」が記載されていない。さらに、同段落【0028】と同【図4】を参酌しても、マイクロ流体チップにフィルム側があるとは認められるものの、「マイクロ流体デバイスの側面」にフィルムがあるとは認められず、かつ自明のことであるとも認められない。 したがって、当該「補正1」の補正項目によりなされた補正は、本願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面及びそれらの翻訳文(以下「出願当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとはいえない。 (3)前記「補正3」については、「前記1つ又は複数のウェル」が、補正後請求項1において前記「補正3」記載より前にある「1つ又は複数の基質を受け入れるための1つ又は複数のウェルと、 液滴を生成するように適合される、前記1つ又は複数のウェルと流体連通した液滴生成チャネルと、」という記載より、液滴生成チャネルに流体連通している1つ又は複数のウェルを指すと認められる。 しかしながら、本願の明細書及び図面には、チャンバ出口と、液滴生成チャネルに流体連通している1つ又は複数のウェルを接続する、マイクロ流体チャネルは記載されていない。そして、本願明細書及び図面には、段落【0013】及び【図2】【図3】にチャンバ出口をウェルに接続するマイクロ流体チャネルは記載されていると認められるものの、チャンバ出口と、液滴生成チャネルに流体連通している1つ又は複数のウェルを接続する、マイクロ流体チャネルが自明であるとも認められない。 したがって、当該「補正3」の補正項目によりなされた補正は、本願の出願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとはいえない。 (4)以上のことから、前記「補正1」及び「補正3」の補正項目を含む請求項1についての補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する補正であると認められる。 (5)よって、前記請求項1についての補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.補正後請求項1の独立特許要件について 上記「2.」で説示したとおり、請求項1についての補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであると認められるが、仮に、前記「補正1」及び「補正3」の補正項目が、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものではなく、かつ前記「補正1」ないし「補正5」の補正項目がすべて特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとした場合に、補正後請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明1」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)進歩性について ア 本件補正発明1の項目分け 本件補正発明1は、前記「1.」に記載した「補正後請求項1」により特定される発明であるが、以下の「ウ 対比」及び「エ 判断」で用いるために、当該本件補正発明1について、以下のように各構成単位に分けることを行う。ここで、各構成単位冒頭の「1A」等は当審にて付した分説記号であり、以下当該構成単位について「構成1A」などという。 「【請求項1】 1A マイクロ流体デバイスであって、 1B 1つ又は複数の基質を受け入れるための1つ又は複数のウェルと、 1C 液滴を生成するように適合される、前記1つ又は複数のウェルと流体連通した液滴生成チャネルと、 1D 前記液滴生成チャネルと流体連通し、かつ前記液滴生成チャネルにより生成された液滴を収集するように適合され、かつ液滴中で化学反応を行うようにさらに適合され、かつ液滴から光シグナルを検出するようにさらに適合されるチャンバと、 1E 前記マイクロ流体デバイスの側面にあるフィルムと、 1F チャンバ出口と、 1G マイクロ流体チャネルであって、前記チャンバ出口を前記1つ又は複数のウェルに接続するために用いられる、マイクロ流体チャネルとを備え、 1H 前記チャンバと前記液滴生成チャネルが、前記チャンバの流体力学的流動抵抗が前記液滴生成チャネルの流体力学的流動抵抗よりも小さいように構成され、 1I 前記チャンバは2つの高抵抗チャネル間に位置し、前記高抵抗チャネルの流動抵抗は前記チャンバの流動抵抗の少なくとも50倍高く、 1J 前記チャンバの深さが、前記チャンバ内に収集された液滴が単層様式で配列されるように前記液滴生成チャネルの幅又は深さの50%と200%の間であり、 1K 前記チャンバの体積が、液滴生成に用いられる水相の体積の1~20倍であり、 1L 前記チャンバの幅が1mm~2cmであり、前記チャンバと前記2つの高抵抗チャネルの接続において、前記チャンバの幅が前記2つの高抵抗チャネルの幅になるように徐々に減少するように構成される 1A マイクロ流体デバイス。」 イ 引用例1及び引用発明 原査定の拒絶の理由2においてに引用文献1として引用された、本願の優先日前である平成24年(2012年)2月9日に頒布された「特表2012-503773号公報」(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審で付与した。以下同様。) (ア)「【0006】 本開示は、装置および方法を含め、分析を実行するシステムを提供する。これらシステムは、特に、試料を液滴もしくは他の分割物(partition)に分割することにより、試料の成分を分離すること、液滴内の成分を増幅もしくは他の様式で反応させること、増幅された成分もしくは増幅された成分の特徴を検出すること、および/またはその結果生成されたデータを解析することを含み得る。」 (イ)「【0007】 ・・・ 【図27】本開示の態様による、液滴生成器アレイを組み込んだ別の例示的な装置の断片図である。 【図28】液滴生成後の図27の装置の液滴生成器の底面図である。 【図29】液滴を装置の下からどのように撮像し得るかを示す、概して図28の線29-29に沿って切り取られた図28の液滴生成器の断面図である。 ・・・」 (ウ)「【0164】 図27は、液滴生成器アレイ1272を組み込んだ別の例示的な装置1270を示す。装置1270は、プレートとして構成し得、プレート1220(図22~図26参照)に関して上述した任意の特徴を有し得る。 【0165】 各液滴生成器1272は、ウェル1274~1278として構成し得る複数のポートを含み得る。特に、液滴生成器1272は、キャリア流体を受ける油ウェル1274、試料(例えば、増幅混合物等の分析混合物である準備された試料)を受ける試料ウェル1276、および液滴生成器により生成された乳濁液のあふれ部分を受ける乳濁液ウェル1278という3ポート構成を有し得る。 【0166】 図28は、液滴1280を生成して乳濁液1282を生成した後の液滴生成器1272の底面図を示す。液滴生成器は、流体を油ウェル1274および試料ウェル1276から液滴生成の場所または交点1286に搬送するチャネル網1284を含み得る。一対のチャネル1284が、油ウェル1274から場所1286まで延び得、別のチャネル1284が試料ウェルから場所1286まで延びて、試料ウェルからの流体ストリームの両側に配置されたキャリア流体により試料ウェルからの流体のフロー収束により、液滴が形成されるクロス構造を形成し得る。 【0167】 液滴1280は、液滴生成場所1286から流出チャネル1288を介して乳濁液ウェル1278に流れ得る。流出チャネルは、場所1286から延びてチャンバ1290を形成するため、広げ得る。チャンバは高いアスペクト比を有し得、チャンバ内での液滴の単分子層1292の形成を促進するために、高さ/厚さは一般に液滴の直径に対応する。液滴は、チャンバ1290を過ぎて乳濁液ウェル1278にも流れ得る。しかし、乳濁液ウェル1278は、過度の乳濁液を収集するあふれ場所として主に機能し得る。他の実施形態では、乳濁液ウェル1278を省いてもよい。いずれの場合でも、チャンバ1290を通気口1294に接続し得、通気口1294は、チャンバの一般に下流に配置されて、乳濁液がチャンバ内に流入する際に空気を逃がし得る。 【0168】 図29は、液滴生成器1272の断面図を示すと共に、液滴をどのようにして生成し、次に、プレート1270の下から撮像装置1296を使用して撮像し得るかを示す。液滴を生成するために、油ウェル1274にキャリア流体1298を装填し、試料ウェル1276に試料(例えば、分析混合物1300)を装填し得る。1302での圧力矢印で示されるように、圧力を油ウェルおよび試料ウェルに加えて、液滴生成を促進する。例えば、図25に関して上述したように、圧力マニフォルドを使用して圧力を加え得る。他の例では、流体フローおよび液滴生成は、特に、真空を乳濁液ウェル1278に加えることにより、またはプレート1270を遠心機内で回転させて、プレートにより画定される平面に垂直に遠心力をかけることにより、促進され得る。いくつかの例では、プレート1270に、2つ以上の液滴生成器1272にキャリア流体を供給する油槽を設計し得る。特に、チャネルが油槽から2つ以上の液滴生成場所1286に延び得る。他の例では、ウェル内で受けられるピストンを使用して、液滴生成を促進し得る(例えば、項III参照)。 【0169】 液滴は、チャンバ1290内で反応し得る。例えば、プレート1270を熱循環機等の加熱ステーション内に配置して、液滴内の1つまたは複数の核酸標的の増幅を誘導し得る。プレートを加熱する前に、図26に関して上述したように、ウェル1274~1278を少なくとも1つの封止部材で上から封止して、蒸発を低減してもよい。あるいは、チャンバ内の流体が蒸発に対する耐性を有し得るため、ウェルを封止せずにプレートを加熱してもよい。 【0170】 プレート1270は、チャンバ内で液滴を撮像できるように設計し得る。例えば、プレートは、プレート1220(図25および図26参照)に関して上述したように、下部部材1306に取り付けられた上部部材1304を含み得、これら部材のうちの少なくとも一方が、液滴を撮像できるようにし得る表示窓または光学窓1308を形成する。したがって、上部部材および/または下部部材は、プレートの上および/または下から撮像できるように透明であり得る。プレート1270は、液滴の反応後、いずれのポートの封止も破ることなく(例えば、プレートカバーを取り外すことによりポートを開くことなく)所定場所の液滴を撮像する能力を提供し得る。プレート1270は、他の後続反応を汚染する恐れがある反応中にプレート内に形成される単位複製配列が漏れるリスクを低減し得る。その理由は、反応中および撮像中に、単位複製配列を実質的に囲まれた同じコンパートメント(例えば、チャンバ1290)内に保持できるためである。いくつかの例では、撮像装置は、液滴が反応しているとき、例えば、液滴が熱循環されている間に液滴から画像データを収集するように構成し得る。 【0171】 チャンバ1290は任意の適した面積を有し得る。例えば、チャンバは、ポート面積の少なくとも約2倍、5倍、または10倍等、ポートよりもはるかに大きなフットプリントを有し得る。」 (エ)「【0176】 図33は、ウェルアレイ1366内にプレート1364により保持された乳濁液アレイ1362をバッチ検出する例示的な撮像システム1360を示す。特に、乳濁液をプレート1364内で反応(例えば、熱循環により増幅)させてもよく、または反応後に、流体移送装置を使用してプレートに移送してもよい。プレート1364は、用途に応じて使い捨て(例えば、プラスチック製)であってもよく、または再使用可能(例えば、石英製)であってもよい。 【0177】 撮像システム1360は、コンピュータ等のコントローラ1370に接続された撮像装置またはイメージャ1368を含み得る。撮像システム1360の任意の適した態様を、本開示の他の撮像システムに使用してもよい。撮像システム1360は、本開示の他の撮像システムに関して開示された他の任意の特徴を組み込んでもよい。イメージャ1368は、蛍光イメージャであってもよい(またはそうでなくてもよい)。イメージャは、例えば特に、CCDカメラまたはラインスキャンCCDを使用してウェル1366内に配置された液滴の画像を収集し得る。視野がより大きい場合、プレート1364および/またはカメラを並進移動ステージ上に配置し、かつ/またはそのような並進移動ステージに他の様式で接続して、x方向、y方向、および場合によりz方向に移動できるようにし得る。いくつかの例では、イメージャ1368は、例えば、マイクロアレイの検出に使用されるように、レーザ/PMT装置を含み得る。撮像装置および適し得る方法のさらなる態様について、項VIにおいて説明する。」 (オ)「【図27】 [図:0001431790000002.jpg] 【図28】 [図:0001431790000003.jpg] 【図29】 [図:0001431790000004.jpg] 」 (カ)「【図33】 [図:0001431790000005.jpg] 」 (キ)前記「(ウ)及び(オ)」より、液滴生成場所1286から乳濁液ウェル1278まで続く流出チャネル1288が、その中央部分で円形状に幅を広げられてチャンバ1290を形成していることが看てとれる。 (ク)前記引用例1の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 当該引用発明についても、前記本件補正発明1と同様に、以下のように各構成単位に分けることを行う。ここで、各構成単位冒頭の「a,b,・・」等は当審にて付した分説記号であり、以下当該構成単位について「構成a,b,・・」などという。また、括弧内の符号は、各構成単位を認定した参照箇所を示す。 「a 液滴生成器アレイ1272を組み込んだ装置1270であって、(【0164】) b 装置1270は、プレートとして構成し得、(【0164】) c 各液滴生成器1272は、ウェル1274~1278として構成し得る複数のポートを含み、(【0165】) d 液滴生成器1272は、キャリア流体を受ける油ウェル1274、試料(例えば、増幅混合物等の分析混合物である準備された試料)を受ける試料ウェル1276、および液滴生成器により生成された乳濁液のあふれ部分を受ける乳濁液ウェル1278という3ポート構成を有し、(【0165】) e 液滴生成器1272は、流体を油ウェル1274および試料ウェル1276から液滴生成の場所1286に搬送するチャネル網1284を含み、一対のチャネル1284が、油ウェル1274から液滴生成場所1286まで延び得、別のチャネル1284が試料ウェルから場所1286まで延びて、試料ウェルからの流体ストリームの両側に配置されたキャリア流体により試料ウェルからの流体のフロー収束により、液滴1280が形成されるクロス構造を形成し、(【0166】) f 液滴1280は、液滴生成場所1286から流出チャネル1288を介して乳濁液ウェル1278に流れ、乳濁液ウェル1278は、過度の乳濁液を収集するあふれ場所として主に機能し、(【0167】) g 液滴生成場所1286から乳濁液ウェル1278まで続く流出チャネル1288が、その中央部分で円形状に幅を広げられてチャンバ1290を形成し、液滴1280は、チャンバ1290を過ぎて乳濁液ウェル1278にも流れ、(【0167】、【図28】) h チャンバ1290は高いアスペクト比を有し得、チャンバ1290内での液滴の単分子層1292の形成を促進するために、高さ/厚さは一般に液滴の直径に対応し、(【0167】) i チャンバ1290は任意の適した面積、例えば、チャンバは、ポート面積の少なくとも約2倍、5倍、または10倍等、ポートよりもはるかに大きなフットプリントを有し、(【0171】) j プレート1270を熱循環機等の加熱ステーション内に配置して、チャンバ1290内で液滴1280内の1つまたは複数の核酸標的の増幅を誘導し、プレートを加熱する前に、ウェル1274~1278を少なくとも1つの封止部材で上から封止し、(【0169】) k プレート1270は、チャンバ1290内で液滴を撮像できるように、プレート1270に液滴を撮像できるようにし得る表示窓または光学窓を形成し、(【0170】) l 反応中および撮像中に、単位複製配列を実質的に囲まれた同じコンパートメント(チャンバ1290)内に保持し、(【0170】) m 撮像システム1360は、コンピュータ等のコントローラ1370に接続された撮像装置またはイメージャ1368を含み、イメージャ1368は、蛍光イメージャであってもよく、イメージャ1368は、CCDカメラまたはラインスキャンCCDを使用して液滴の画像を収集し、視野がより大きい場合、プレート1270を並進移動ステージ上に配置し、x方向、y方向、および場合によりz方向に移動できるようにした、(【0177】) a 装置1270。」 ウ 対比 本件補正発明1を、引用発明と比較する。 (ア)本件補正発明1の構成1Aについて 引用発明の構成aの「液滴生成器アレイ1272を組み込んだ装置1270」は、本件補正発明1の構成1Aの「マイクロ流体デバイス」に相当する。 よって、引用発明は本件補正発明1の構成1Aを備えているといえる。 (イ)本件補正発明1の構成1Bについて 引用発明の構成c及び構成dの「キャリア流体を受ける油ウェル1274、試料(例えば、増幅混合物等の分析混合物である準備された試料)を受ける試料ウェル1276」は、本件補正発明1の構成1Bの「1つ又は複数の基質を受け入れるための1つ又は複数のウェル」に相当する。 よって、引用発明は本件補正発明1の構成1Bに相当する構成を備えているといえる。 (ウ)本件補正発明1の構成1Cについて 引用発明の構成eの「流体を油ウェル1274および試料ウェル1276から液滴生成の場所1286に搬送するチャネル網1284」は、本件補正発明1の構成1Cの「液滴を生成するように適合される、前記1つ又は複数のウェルと流体連通した液滴生成チャネル」に相当する。 よって、引用発明は本件補正発明1の構成1Cに相当する構成を備えているといえる。 (エ)本件補正発明1の構成1Dについて a 引用発明の構成g、構成j及び構成kより、引用発明の「チャンバ1290」は、「液滴生成場所1286から乳濁液ウェル1278まで続く流出チャネル1288が、その中央部分で円形状に幅を広げられて」「形成」されたものであり、「チャンバ1290内で液滴1280内の1つまたは複数の核酸標的の増幅を誘導し」、「チャンバ1290内で液滴を撮像できる」ものである。 b また、引用発明の「流出チャネル1288」は、「液滴生成場所1286から」続くチャネルであり、液滴生成場所1286には、引用発明の「チャネル網1284」が接続されていることから、引用発明の「流出チャネル1288」は、「チャネル網1284」と流体連通しているといえる。 c 以上のことから、引用発明の「チャンバ1290」と本件補正発明1の構成1Dの「チャンバ」とは、「液滴生成チャネルと流体連通し、」「前記液滴生成チャネルにより生成された液滴を収集するように適合され、かつ液滴中で化学反応を行うようにさらに適合され、かつ液滴から光シグナルを検出するようにさらに適合される」点で共通する。よって、引用発明は本件補正発明1の構成1Dに相当する構成を備えているといえる。 (オ)本件補正発明1の構成1Fについて 引用発明の構成gより、引用発明の「チャンバ1290」は、「液滴生成場所1286から乳濁液ウェル1278まで続く流出チャネル1288が、その中央部分で円形状に幅を広げられて」「形成」されたものであることから、入口と出口があるチャンバであることは明らかである。 よって、引用発明は本件補正発明1の構成1Fに相当する構成を備えているといえる。 (カ)本件補正発明の構成1Jについて 引用発明の構成hより、引用発明の「チャンバ1290」は、「チャンバ1290内での液滴の単分子層1292の形成を促進するために、高さ/厚さは一般に液滴の直径に対応」することから、チャンバ1290の高さすなわちチャンバ1290の深さは液滴1280の直径の2倍を超えない値と認められる。引用発明の液滴1280は、構成eより、「一対のチャネル1284が、油ウェル1274から液滴生成場所1286まで延び得、別のチャネル1284が試料ウェルから場所1286まで延びて、試料ウェルからの流体ストリームの両側に配置されたキャリア流体により試料ウェルからの流体のフロー収束により、液滴1280が形成されるクロス構造を形成」することから、液滴1280の直径は、試料ウェルから液滴生成場所1286まで延びるチャネル1284の幅又は深さと同程度の寸法になると認められる。したがって、チャンバ1290の深さは、チャネル1284の幅又は深さの50%と200%の間の値となることは明らかである。 よって、引用発明は本件補正発明1の構成1Jに相当する構成を備えているといえる。 (キ)本件補正発明1と引用発明との一致点、相違点について 以上「(ア)ないし(カ)」より、本件補正発明1と、引用発明とは、次の点で一致する。 <一致点> 「1A マイクロ流体デバイスであって、 1B 1つ又は複数の基質を受け入れるための1つ又は複数のウェルと、 1C 液滴を生成するように適合される、前記1つ又は複数のウェルと流体連通した液滴生成チャネルと、 1D 前記液滴生成チャネルと流体連通し、かつ前記液滴生成チャネルにより生成された液滴を収集するように適合され、かつ液滴中で化学反応を行うようにさらに適合され、かつ液滴から光シグナルを検出するようにさらに適合されるチャンバと、 1F チャンバ出口と、 を備え、 1J 前記チャンバの深さが、前記チャンバ内に収集された液滴が単層様式で配列されるように前記液滴生成チャネルの幅又は深さの50%と200%の間である、 1A マイクロ流体デバイス。」 一方で、両者は、次の点で相違する。 <相違点1> 構成1Eについて、本件補正発明1は、「マイクロ流体デバイスの側面にあるフィルム」を備えているのに対し、引用発明は構成jに「ウェル1274~1278を少なくとも1つの封止部材で上から封止」とあるように封止部材を備えているが、その封止部材がフィルムとは特定されおらず、またその封止部材の位置が液滴生成器アレイ1272を組み込んだ装置1270の側面かどうか不明な点。 <相違点2> 構成1Gについて、本件補正発明1は、「チャンバ出口を前記1つ又は複数のウェルに接続するために用いられる、マイクロ流体チャネル」を備えるのに対し、引用発明は、構成f及び構成gより、チャンバ1290と乳濁液ウェル1278とを接続する流出チャネル1288を備える点。 <相違点3> 構成1H及び構成1Iについて、本件補正発明1は、「チャンバと」「液滴生成チャネルが、前記チャンバの流体力学的流動抵抗が前記液滴生成チャネルの流体力学的流動抵抗よりも小さいように構成され、前記チャンバは2つの高抵抗チャネル間に位置し、前記高抵抗チャネルの流動抵抗は前記チャンバの流動抵抗の少なくとも50倍高」いのに対し、引用発明は、チャンバ1290、流出チャネル1288及びチャネル網1284のそれぞれの流体力学的流動抵抗の値及びそれら値の比(関係)が不明である点。 <相違点4> 構成1Kについて、本件補正発明1は、「チャンバの体積が、液滴生成に用いられる水相の体積の1~20倍であ」るのに対し、引用発明は、構成iより、チャンバ1290は任意の適した面積すなわち体積をとることができる点。 <相違点5> 構成1Lについて、本件補正発明1は、「前記チャンバの幅が1mm~2cmであり、前記チャンバと前記2つの高抵抗チャネルの接続において、前記チャンバの幅が前記2つの高抵抗チャネルの幅になるように徐々に減少するように構成される」のに対し、引用発明は、構成g及び構成iより、チャンバ1290は流出チャネル1288の中央部分で円形状に幅を広げられて形成され、任意の適した面積をとることができる点。 エ 判断 (ア)相違点1についての検討 引用発明は構成jに「ウェル1274~1278を少なくとも1つの封止部材で上から封止」とあるように封止部材を備えている。ウェル1274~1278には、油、試料、乳濁液などが入っており、それら液体状の物質を封止するための部材としてフィルムを採用することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず、当業者ならば容易になし得たことである。そして、引用発明のウェルをフィルムで封止することにより、引用発明の装置1270は側面にフィルムを備えることとなるから、本件補正発明1の構成1Eを備えることとなる。 (イ)相違点2についての検討 本件補正発明1の構成1Gにおける「前記1つ又は複数のウェル」を、本願の明細書の段落【0023】の「いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルは、チャンバ出口をウェルに接続するのに用いられる。」の記載及び【図1】【図2】をもとに、チャンバから流出した液滴が貯められる、チャンバ上流のウェル(液滴生成チャネルと流体連通したウェル)とは異なる、ウェルであると認定すると、引用発明は、構成f及び構成gより、チャンバ1290から乳濁液ウェル1278に通じる流出チャネル1288を備えていることから、引用発明の「流出チャネル1288」は、本件補正発明1の構成1Gにおける「前記チャンバ出口を前記1つ又は複数のウェルに接続するために用いられる、マイクロ流体チャネル」に相当する。ゆえに、引用発明は、本件補正発明1の構成1Gに相当する構成を備えているといえる。 よって、相違点2は、引用発明と本件補正発明1との相違点であるとは認められない。 (ウ)相違点3についての検討 引用発明の構成gより、引用発明のチャンバ1290は、「液滴生成場所1286から乳濁液ウェル1278まで続く流出チャネル1288が、その中央部分で円形状に幅を広げられて」「形成」されたものであることから、チャンバ1290の前後にある流出チャネル1288は、明らかに流体力学的流動抵抗が、チャンバ1290よりも高いと認められる。さらに、流出チャネル1288の上流側に接続されているチャネル網1284は、液滴生成場所1286で生成した液滴を流出チャネル1288にその流れを滞らせることなく送るよう接続されるものであるから、流出チャネル1288と同等の流体力学的流動抵抗を備えていると認められる。そして、引用発明のチャンバ1290の面積は、構成iより、任意の適した面積とすることができることから、流出チャネル1288の流動抵抗がチャンバ1290の流動抵抗の50倍以上となるような大きさ(面積)の円形状のものとして、本件補正発明1の構成1H及び1Iを備えるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項であり、容易になし得たことであるし、本願明細書等を参酌しても、当該50倍以上とする点に、格別な効果があるとも認められない。 (エ)相違点4についての検討 引用発明の構成iより、引用発明のチャンバ1290の面積は任意の適した面積とすることができることから、液滴1280の生成に用いられる水相の体積の1~20倍の体積となるような円形状のものとして本件補正発明1の構成1Kを備えるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項であり、容易になし得たことである。 (オ)相違点5についての検討 引用発明の構成gより、引用発明のチャンバ1290は、「液滴生成場所1286から乳濁液ウェル1278まで続く流出チャネル1288が、その中央部分で円形状に幅を広げられて」「形成」されたものであることから、チャンバ1290と流出チャネル1288の接続部は、チャンバ1290の幅が、流出チャネル1288の幅になるように徐々に減少するように構成されていると認められる。仮に、チャンバ1290と流出チャネル1288の接続部が、チャンバ1290の幅が、流出チャネル1288の幅になるように徐々に減少するように構成されていないとしても、チャンバ1290の幅が流出チャネル1288の幅になるように徐々に減少するように構成することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず、容易になし得たことである。 また、引用発明の構成iより、引用発明のチャンバ1290の面積は任意の適した面積とすることができることから、チャンバ1290の幅を1mm~2cmとなるような円形状のものとすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項であり、容易になし得たことである。 以上のことから、引用発明において、本件補正発明1の構成1Lを備えるようにすることは、当業者ならば容易になし得たことである。 (カ)引用発明におけるチャンバ1290の幅の変更について 前記「(ウ)ないし(オ)」における、引用発明のチャンバ1290の幅を変更することについては、チャンバ1290の流体力学的流動抵抗を小さくすることはチャンバの幅を大きくすることであり、チャンバの体積を大きくすることはチャンバの幅を大きくすることであり、チャンバの幅を1mm~2cmとすることは、液滴の直径相当の流出チャネル1288の幅よりも大きくすることであり、どれもチャンバの幅を大きくすることであるから、それらを同時に調整して、本願補正発明1の構成1H,1I,1K,1Lを同時に備えるようにすることは、互いに阻害することなく、当業者が容易になし得たことである。 (キ)本件補正発明1の効果について 本件補正発明1の効果は、引用発明から当業者が予測しうる程度のものにすぎない。 (ク)審判請求書における請求人の主張について a 請求人は令和6年8月23日付審判請求書において、本件補正発明1が備える発明特定事項は、原査定における引用文献1(上記引用例1)、引用文献2(特開2012-242118号公報)及び引用文献3(特表2014-505476号公報)に開示も示唆もされていない事項である、 (a)チャンバが2つの高抵抗チャネル間に位置すること(構成1I) (b)チャンバと2つの高抵抗チャネルの接続が、チャンバの幅が2つの高抵抗チャネル歩幅になるように徐々に減少するように構成されること(構成1L) (c)マイクロ流体デバイスの側面にあるフィルム(構成1E) (d)チャンバの幅は1mm~2cm(構成1L) (e)2つの高抵抗チャネルの流動抵抗はチャンバの流動抵抗の少なくとも50倍高いこと(構成1I) (f)チップステージが水平方向と垂直方向の両方向等、あらゆる方向に移動が可能なこと を含んでおり、当業者が引例を参照しても本件補正発明1に容易に想到しうる論理付けができない旨主張する(特に「3.本願発明が特許されるべき理由」を参照のこと。)。 b しかしながら、本件補正発明1と引用発明との異同については、前記「ウ」及び「エ(ア)ないし(キ)」で検討したとおりであり、引用発明と本件補正発明1との相違点に係る技術事項を引用発明に備えるようにすることは当業者が容易になし得たことである。特に前記「a(a)ないし(e)」に係る構成1E,1I,1Lについては、前記「エ(ア)」,「エ(ウ)」,「エ(オ)」で説示したとおりである。また、液滴間の蛍光干渉を回避することや、液滴の収縮や破損を防ぐこと等といった、請求人が本件補正発明1の効果であると主張するものは、これら相違点に係る技術事項を引用発明に採用することによって、自ずと達成されるものである。 c そして、前記「a(f)」については、本件補正発明1の発明特定事項ではないことから、チップステージに関する主張は本件補正発明1についての主張として採用することはできない。 d なお、前記「a(c)及び(d)」に関し、同審判請求書には、フィルムがチャンバの高さを規定するすなわちチャンバの上面にチャンバを封止するように貼り付けてあることを前提とした効果の主張が見受けられるが、本件補正発明1では、フィルムは「マイクロ流体デバイスの側面にある」(構成1E)としか特定されていないことから、当該主張は、本件補正発明1の発明特定事項に基づく主張ではなく、したがって本件補正発明1についての主張として採用することはできない。 e 以上のことから、請求人の上記主張は採用することができない。 (ケ)上申書の補正案について a 請求人は令和7年3月11日に提出した上申書において、特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正する補正案を提示し、補正案の請求項1に係る発明(以下「補正案発明1」という。)は進歩性を有する旨主張する。 「[請求項1] マイクロ流体デバイスであって、 1つ又は複数の基質を受け入れるための1つ又は複数のウェルと、 液滴を生成するように適合される、前記1つ又は複数のウェルと流体連通した液滴生成チャネルと、 前記液滴生成チャネルと流体連通し、かつ前記液滴生成チャネルにより生成された液滴を収集するように適合され、かつ液滴中で化学反応を行うようにさらに適合され、かつ液滴から光シグナルを検出するようにさらに適合されるチャンバと、 前記マイクロ流体デバイス側にあるフィルムと、 チャンバ出口と、 マイクロ流体チャネルであって、前記チャンバ出口を前記1つ又は複数のウェルに接続するために用いられる、マイクロ流体チャネルと を備え、 前記チャンバと前記液滴生成チャネルが、前記チャンバの流体力学的流動抵抗が前記液滴生成チャネルの流体力学的流動抵抗よりも小さいように構成され、 前記チャンバは2つの高抵抗チャネル間に位置し、前記高抵抗チャネルの流動抵抗は前記チャンバの流動抵抗の少なくとも50倍高く、 前記チャンバの深さが、前記チャンバ内に収集された液滴が単層様式で配列されるように前記液滴生成チャネルの幅又は深さの50%と200%の間であり、 前記チャンバの体積が、液滴生成に用いられる水相の体積の1~20倍であり、 前記チャンバの幅が1mm~2cmであり、前記チャンバと前記2つの高抵抗チャネルの接続において、前記チャンバの幅が前記2つの高抵抗チャネルの幅になるように徐々に減少するように構成され、 前記マイクロ流体デバイスが光学検出ユニットを更に備え、前記光学検出ユニットは、 (a)1つ又は複数の発光発生器と、 (b)反射光及び/又は蛍光を検出するための光学検出器と、 (c)前記マイクロ流体デバイスを受けるためのチップステージと、 (d)制御回路及びメモリ回路であって、前記制御回路が、前記マイクロ流体デバイス中の前記チャンバ領域をスキャンするためにXYZ方向で前記チップステージを移動させることができ、前記メモリ回路が、前記光学検出器によって検出された前記反射光及び/又は蛍光の強度及び波長を記憶する、制御回路及びメモリ回路 を備える、 マイクロ流体デバイス。」 b 前記補正案発明1と本件補正発明1を対比すると、補正案発明1は本件補正発明1と以下の2点で相違する。 (a)「フィルム」を 構成1E 前記マイクロ流体デバイスの側面にあるフィルム から 構成1E’ 前記マイクロ流体デバイス側にあるフィルム に変更する。 (b)本件補正発明1は備えていない 構成1M’ 前記マイクロ流体デバイスが光学検出ユニットを更に備え、前記光学検出ユニットは、 (a)1つ又は複数の発光発生器と、 (b)反射光及び/又は蛍光を検出するための光学検出器と、 (c)前記マイクロ流体デバイスを受けるためのチップステージと、 (d)制御回路及びメモリ回路であって、前記制御回路が、前記マイクロ流体デバイス中の前記チャンバ領域をスキャンするためにXYZ方向で前記チップステージを移動させることができ、前記メモリ回路が、前記光学検出器によって検出された前記反射光及び/又は蛍光の強度及び波長を記憶する、制御回路及びメモリ回路を備える、 という構成1M’を備えるように変更する。 c 補正案発明1が進歩性を有するかどうかについての検討 (a)補正案発明1で本件補正発明1と同じ構成(構成1Aないし1D、及び1Fないし1L)については、前記「(イ)ないし(キ)」で説示したとおりである。 (b)構成1E’については、構成1Eのフィルムの位置を「マイクロ流体デバイスの側面」から「マイクロ流体デバイス側」に変更するものであり、前記「(ア)」で説示したとおり、引用発明の封止部材をフィルムとして装置1270に備えるようにして、構成1E’を備えるようにすることは当業者ならば容易になし得たことである。 (c)構成1M’については、引用発明の構成k及び構成mより、引用発明の撮像システム1360が構成1M’の光学検出ユニットと同等のものであり、引用発明の撮像システム1360の「撮像装置又はイメージャ1368」、「並進移動ステージ」及び「コンピュータ等のコントローラ1370」が、それぞれ補正案発明1の構成1M’の光学検出ユニットの「光学検出器」、「チップステージ」及び「制御回路及びメモリ回路」に相当する。そして撮像システム1360が備えるかどうか明記されていない「発光発生器」やメモリ回路が記憶する対象等の技術事項を引用発明の撮像システム1360が備えるようにすることは、本願の優先日前における技術常識、周知慣用手段から、当業者が容易になし得たことである。したがって、引用発明において、構成1M’を備えるようにすることは当業者ならば容易になし得たことである。 (d)そして、補正案発明1の効果は、引用発明から当業者が予測しうる程度のものにすぎない。 (e)以上のことから、補正案発明1は、引用発明から当業者が容易になし得た発明である。 オ 小括 したがって、本件補正発明1は、引用発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。仮に、本件補正発明1から補正案発明1に補正されたとしても、補正案発明1もまた、引用発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)補正後請求項1の独立特許要件についてのまとめ 以上のことから、補正後請求項1に係る発明である本件補正発明1は、引用発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する、または特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明1 令和6年8月23日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし41に係る発明は、令和6年2月16日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし41に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、前記「第2 1.」に示した補正前請求項1であり、以下に再掲したとおりのものである。ここで、各構成単位冒頭の「1A」等は、当審にて付した分説記号であり、上記「第2 3.(1)ア」で本件補正発明1に付した分節記号と同内容の分説については同じ分説記号を用いている。 「【請求項1】 1A マイクロ流体デバイスであって、 1B 1つ又は複数の基質を受け入れるための1つ又は複数のウェルと、 1C 液滴を生成するように適合される、前記1つ又は複数のウェルと流体連通した液滴生成チャネルと、 1D 前記液滴生成チャネルと流体連通し、かつ前記液滴生成チャネルにより生成された液滴を収集するように適合され、かつ液滴中で化学反応を行うようにさらに適合され、かつ液滴から光シグナルを検出するようにさらに適合されるチャンバ、 を備え、 1H 前記チャンバと前記液滴生成チャネルが、前記チャンバの流体力学的流動抵抗が前記液滴生成チャネルの流体力学的流動抵抗よりも小さいように構成され、 1I 前記チャンバは2つの高抵抗チャネル間に位置し、前記流動抵抗が前記チャンバの流動抵抗よりも少なくとも50倍高く、 1J 前記チャンバの深さが、前記チャンバ内に収集された液滴が単層様式で配列されるように前記液滴生成チャネルの幅又は深さの50%と200%の間であり、 1K 前記チャンバの体積が、液滴生成に用いられる水相の体積の1~20倍である、 マイクロ流体デバイス。」 2.原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明1についての拒絶の理由は、 「<理由2>この出願の請求項1に係る発明は、その出願の優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物である引用文献1に記載された発明に基いて、その出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特表2012-503773号公報」 というものである。 3.引用された刊行物に記載された発明及び周知技術 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1と、本審決における引用例1は同一である。 そして、引用例1の記載事項及び引用発明は、前記「第2 3.(1)イ」に記載したとおりである。 4.対比・判断 (1)本願発明1は、上記「第2 3.」で検討した本件補正発明1から、構成1E,構成1F,構成1G及び構成1Lを削除して拡張したものである。 (2)本願発明1を限定して減縮した本件補正発明1は、前記「第2 3.(1)」で説示したように、引用発明から当業者が容易になし得た発明であるから、本件補正発明1の構成1E,構成1F,構成1G及び構成1Lを削除して拡張した本願発明1についても、同様の理由で引用発明から当業者が容易になし得た発明である。 (3)そして本願発明1の効果は、引用発明から当業者が予測しうる程度のものにすぎない。 (4)令和6年2月16日付意見書における請求人の主張について 請求人は、令和6年2月16日付意見書の「4-2.論点2(進歩性)について」において、本願発明1は、構成1Iを備えることにより、液滴が発する蛍光の干渉が減少することにより正確な測定ができるものであり、引用文献1(引用例1)、引用文献2(特開2012-242118号公報)及び引用文献3(特表2014-505476号公報)には、上記構成に関する説明や示唆が開示されていないから、引用文献1ないし3から当業者が容易になし得た発明ではない旨主張する。 しかしながら、前記「第2 3.(1)」で説示したように、引用発明において構成1Iを備えるようにすることは当業者が容易になし得たことであるし、本願発明1の効果は、引用発明から当業者が予測しうる程度のものにすぎない。 したがって、前記意見書における請求人の主張は採用することができない。 (5)以上のことから、本願発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-013594

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    共通の審決分類: 121・G01N、561・G01N、575・G01N
  • 2018-007860拒絶査定不服審判 / 2020-03-09 / 請求不成立検便具
    共通の審決分類: 121・G01N、561・G01N、575・G01N

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