特許拒絶査定不服審判
2024-014568
キャピラリ電気泳動のためのレーザ照明技法
- 審判番号
- 2024-014568
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-566004
- 請求日
- 2024年09月11日
- 審決日
- 2025年10月15日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】プロメガ・コーポレーション
- 【請求人代理人】山本 修
- 【請求人代理人】宮前 徹
- 【請求人代理人】松尾 淳一
- 【請求人代理人】大房 直樹
- 審判長/審判官
- 審判長 加々美 一恵
- 審判官 藏田 敦之
- 審判官 宮澤 浩
- 分類
- P18 .121-Z (G01N) / P18 .572-Z (G01N) / P18 .575-Z (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-566004「キャピラリ電気泳動のためのレーザ照明技法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年11月 4日国際公開、WO2021/221665、令和 5年 6月27日国内公表、特表2023-527115〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)4月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2020年4月30日、米国)を国際出願日とする出願であって、令和5年12月15日付けで拒絶理由が通知され、令和6年2月27日に意見書の提出とともに手続補正がなされ、同年5月13日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、同年9月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。
その後、令和6年12月5日に前置報告が作成され、令和7年3月28日に上申書が提出されている。
第2 令和6年9月11日の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年9月11日の手続補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正前の請求項1及び請求項6に係る発明
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び請求項6に係る発明は、次のとおりである。
「 【請求項1】
キャピラリ(capillary)アレイを照明するためにレーザ光を生成および処理するように構成されたレーザライン生成システムであって、
第1のレーザ光を出力するように構成されたレーザ光源と、
前記第1のレーザ光を受け取り、前記第1のレーザ光のビーム幅を減少させるように構成された集束光学系と、
第1の光学スキャナであり、
前記第1のレーザ光を受け取り、
出力光の角度を第1の次元に沿って変更することによって、第1の光学スキャナ出力光を出力する
ように構成される、第1の光学スキャナと、
第2の光学スキャナであり、
前記第1の光学スキャナ出力光を受け取り、
出力光の角度を第2の次元に沿って変化させことによって、第2の光学スキャナ出力光を出力する
ように構成される、第2の光学スキャナと、
を含み、
前記第2の光学スキャナ出力光がラインを含み、前記ラインが、前記第1の次元と前記第2の次元の両方の次元成分を含み、
前記第1の光学スキャナが、少なくとも第1の三角波(triangular wave)信号および第1のDC信号を受け取って、前記第1の光学スキャナを制御するように構成され、
前記第2の光学スキャナが、少なくとも第2の三角波(triangular wave)信号および第2のDC信号を受け取って、前記第2の光学スキャナを制御するように構成される、
レーザライン生成システム。」
「 【請求項6】
レーザラインの、前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さが、複数のキャピラリを有するキャピラリアレイの幅よりも大きい、請求項1に記載のレーザライン生成システム。」
(2)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。
「 【請求項1】
キャピラリ(capillary)アレイを照明するためにレーザ光を生成および処理するように構成されたレーザライン生成システムであって、
第1のレーザ光を出力するように構成されたレーザ光源と、
前記第1のレーザ光を受け取り、前記第1のレーザ光のビーム幅を減少させるように構成された集束光学系と、
第1の光学スキャナであり、
前記第1のレーザ光を受け取り、
出力光の角度を第1の次元に沿って変更することによって、第1の光学スキャナ出力光を出力する
ように構成される、第1の光学スキャナと、
第2の光学スキャナであり、
前記第1の光学スキャナ出力光を受け取り、
出力光の角度を第2の次元に沿って変化させことによって、第2の光学スキャナ出力光を出力する
ように構成される、第2の光学スキャナと、
を含み、
前記第2の光学スキャナ出力光がラインを含み、前記ラインが、前記第1の次元と前記第2の次元の両方の次元成分を含み、
前記第1の光学スキャナが、少なくとも第1の三角波(triangular wave)信号および第1のDC信号を受け取って、前記第1の光学スキャナを制御するように構成され、
前記第2の光学スキャナが、少なくとも第2の三角波(triangular wave)信号および第2のDC信号を受け取って、前記第2の光学スキャナを制御するように構成され、
前記ラインの、前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さが、複数のキャピラリを有するキャピラリアレイの幅よりも大きく、前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さと前記キャピラリアレイの幅との差の部分の長さが、前記レーザ光が、前記ラインの、前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さ方向の終点に近づく際の動きの加減速による、前記終点に隣接する領域における不均等な照明をもたらす影響を、前記キャピラリアレイの幅の部分において避けるために十分である、
レーザライン生成システム。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1の光学スキャナ」及び「第2の光学スキャナ」について、第2の光学スキャナ出力光における「ライン」の「キャピラリアレイの幅よりも大きく」した「キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さ」を、「前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さと前記キャピラリアレイの幅との差の部分の長さが、前記レーザ光が、前記ラインの、前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さ方向の終点に近づく際の動きの加減速による、前記終点に隣接する領域における不均等な照明をもたらす影響を、前記キャピラリアレイの幅の部分において避けるために十分」とする限定を付加するものであって、補正前の請求項6に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
3 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に記載したとおりのものである。
4 引用文献
(1)引用文献1の記載事項及び引用発明
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由において、主引用発明が記載された文献として引用され、本願の優先権主張の日前である2000年(平成12年)10月17日に頒布された引用文献である、米国特許第6134002号明細書(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。
なお、括弧内に当審による翻訳文を示すとともに、引用発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。また、以下に示す行番号は、上記明細書に付された番号に基づく。
(ア)第1欄第11~14行
「1. Field of the Invention
The present invention relates to a new confocal scanning beam microscope and method for spectrally resolving a confocal image in a significantly short time.」
(1.発明の分野
本発明は、新規な共焦点走査ビーム顕微鏡及び共焦点画像を極めて短時間でスペクトル分解する方法に関する。)
(イ)第4欄第26~29行、第46~49行
「 With the foregoing in mind, it becomes a general object of the present invention to provide a scanning beam confocal microscope apparatus and method to reduce the acquisition time to spectrally resolve an entire confocal image.
・・・
It is another object of the present invention to provide an apparatus and method for use in the rapid detection and acquisition of fluorescence emitted from fluorescent labeled samples being separated by microcapillary electrophoresis.」
( 上記の事項を念頭におくと、本発明の一般的な目的は、共焦点画像全体をスペクトル分解するための取得時間を短縮する走査ビーム共焦点顕微鏡装置および方法を提供することである。
・・・
本発明の他の目的は、マイクロキャピラリー電気泳動により分離された蛍光標識サンプルから放出される蛍光を迅速に検出し取得するために用いられる装置及び方法を提供することである。)
(ウ)第5欄第48~59行
「 The apparatus and method of the present invention preserves confocal microscope sectioning capability while offering good spatial and spectral resolution with a greatly reduced acquisition time over previous inventions. In summary, the present invention simultaneously acquires light from multiple points of a region of the sample plane and projects this light along one axis of a two-dimensional detector array while using a spectrometer to disperse the spectra of the light from that region along the other axis. The spectrometer slit rejects out-of-plane fluorescence, thus preserving some of the sectioning ability of the confocal technique.」
( 本発明の装置および方法は、共焦点顕微鏡の分解能を維持しながら、従来の発明に比べて取得時間を大幅に短縮し、良好な空間分解能およびスペクトル分解能を提供する。要約すると、本発明は、サンプル面の領域の複数の点から同時に光を取得し、この光を二次元検出器アレイの一方の軸に沿って投影するとともに、分光計を使用してその領域からの光のスペクトルをもう一方の軸に沿って分散させる。分光計のスリットは面外からの蛍光を排除し、共焦点技術の分解能を一部維持する。)
(エ)第5欄第60~63行
「 A first embodiment of the invention, as illustrated in FIG. 3, uses two scan mirrors to project image regions or lines onto a spectrometer slit, which each are then spectrally dispersed and imaged onto a detector array.」
( 本発明の第1の実施形態は、図3に示すように、2つの走査ミラーを使用して画像領域又は画像ラインを分光計のスリットに投影し、各領域または画像ラインをスペクトル分離させて検出器アレイで画像化する。)
合議体注:FIG. 3は、次のものである。
[図:0001433700000001.jpg]
(オ)第6欄第11~38行、第51~53行
「 FIG. 3 shows a point-focused, partially descanned spectral imaging confocal microscope 300 of the present invention. Beam expander 302 expands and collimates a beam of light from laser 304. Light beam 305 is then deflected vertically by a static mirror 308 and directed to first scan mirror 310, which scans light beam 305 in the vertical plane. Scan mirror 310 is driven at a high rate of speed compared to second scan mirror 306. The vertical axis is also referred to as the fast axis of the scan. In the preferred embodiment of the present invention, scan mirrors 310 and 306 are galvanomirrors Model No. 6810P, manufactured by Cambridge Technology, Inc., it being understood, of course, that any similar galvanomirror or beam deflection optic can be used. First scan mirror 310 directs light beam 305 through first unitary telescope 309 which is comprised of lenses 312 and 314, which can be replaced by elliptical or spherical mirrors for a reflective geometry. The distance between lens 312 and scan mirror 310 is f, the focal length of lens 312. In the case of the confocal microscope and optics illustrated in FIG. 3, f=10 cm. The distance between lenses 312 and 314 is 2f, twice their focal length or 20 cm. The distance between lens 314 and second scan mirror 306 is f, the focal length of lens 314. This arrangement centers the recollimated beam on second scan mirror 306. The second scan mirror 306 scans light beam 305 in the horizontal axis, at a speed slower than first scan mirror 310 scans in the vertical axis. In this example of the invention, the horizontal axis is also referred to as the slow axis.
・・・
The action of scan mirrors 310, 306 results in a raster pattern scan of the now tightly focused beam across the sample plane 330 of the sample.」
( 図3は、本発明の点焦点型、部分デスキャン型スペクトルイメージング共焦点顕微鏡300を示す。ビームエクスパンダー302は、レーザー304からの光線を拡大して平行化する。次に、光ビーム305は、静的ミラー308によって垂直方向に偏向され、垂直面内で光ビーム305を走査する第1の走査ミラー310へ向けられる。走査ミラー310は、第2の走査ミラー306に比べて高速で駆動される。垂直軸は走査の高速軸とも呼ばれる。本発明の好ましい実施形態では、走査ミラー310及び306は、ケンブリッジテクノロジー社製のガルバノミラーモデル番号6810Pであるが、当然ながら、同様のガルバノミラー又はビーム偏向光学系を使用することができる。第1の走査ミラー310は、レンズ312及び314で構成される第1のテレスコープ単位309を通して光線305を導きく。レンズ312及び314は、反射ジオメトリ用の楕円形ミラーまたは球面ミラーに置き換えることができる。レンズ312と走査ミラー310間の距離は、レンズ312の焦点距離fである。図3に示す共焦点顕微鏡及び光学系の場合、f=10cmである。レンズ312と314の間の距離は2f、つまり焦点距離の2倍、つまり20cmである。レンズ314と第2の走査ミラー306の間の距離は、レンズ314の焦点距離fである。この配置により、再び平行化されたビームが第2の走査ミラー306の中心に配置される。第2の走査ミラー306は、第1の走査ミラー310が垂直軸で走査する速度よりも遅い速度で、光ビーム305を水平軸でスキャンする。本発明のこの例では、水平軸は低速軸とも呼ばれる。
・・・
スキャンミラー310、306の動作により、サンプルのサンプル平面330全体にわたって、厳密にビームの焦点が合わせられたラスターパターン走査が行われる。)
(カ)第9欄第5~31行
「 FIG. 6A shows the point-scan spectral imaging confocal microscope of the present invention used to detect and analyze electrophoretic separation of samples simultaneously along a plurality of microcapillaries or lanes. Laser beam 604 from laser 602 is expanded by beam expander 606 and deflected vertically by a static mirror 608 to scan mirror 610 that scans the beam in the vertical plane. Lens 612 with focal length f is placed a distance f=10 cm. from scan mirror 610. Lens 614, also with focal length f, is placed a distance 2f from lens 612. The entrance aperture of an objective 616 is also placed a distance f from lens 614. Static mirror 618 is placed between lens 614 and objective 616 in order to deflect the beam upwards for an inverted microscope geometry. The action of scan mirror 610 is to scan the light beam 604 perpendicular to and across an array of microcapillary tubes 619. Fluorescence from the fluorescent labels of the sequenced fragments flowing through the microcapillaries 619 is collected and collimated by objective 616. This fluorescence is deflected by dichroic beamsplitter 620 and incident on relay lens 622. The fluorescence is focused by lens 622 to a scan line onto the slit 624 of an imaging spectrometer 626 that disperses the spectra of every point in the scan line. A two-dimensional detector array 628 is placed at the focus of the spectrometer 626. The sensitivity of this design can be improved at the cost of decreased spectral resolution by the removal of the spectrometer slit 624 because axial resolution is unimportant to this experiment.」
( 図6Aは、複数のマイクロキャピラリーまたはレーンに沿って同時にサンプルの電気泳動分離を検出および分析するために使用される、本発明のポイント走査スペクトルイメージング共焦点顕微鏡を示す。レーザー602からのレーザービーム604は、ビームエクスパンダー606によって拡大され、静的ミラー608によって垂直方向に偏向され、垂直面でビームをスキャンする走査ミラー610に送られる。焦点距離fのレンズ612が、走査ミラー610のf=10cmの距離に配置される。レンズ614も焦点距離fを有し、レンズ612から2fの距離に配置される。対物レンズ616の入射口もレンズ614から距離fを置いて配置される。静的ミラー618は、倒立顕微鏡の形状に合わせてビームを上方に偏向させるために、レンズ614と対物レンズ616の間に配置される。走査ミラー610の動作は、光ビーム604をマイクロキャピラリーチューブ619のアレイに垂直に、かつマイクロキャピラリーチューブ619を横切って走査するものである。マイクロキャピラリー619を順に流れる断片の蛍光ラベルからの蛍光は、対物レンズ616によって収集及び集束される。この蛍光は、二色性ビームスプリッター620によって偏向され、リレーレンズ622に入射される。蛍光は、レンズ622によって走査線で集束され、イメージング分光計626のスリット624上に照射される。イメージング分光計626は走査線上の各点のスペクトルを分離する。2次元検出器アレイ628は、分光計626の焦点に配置される。この実験では軸方向の分解能は重要ではないため、分光計スリット624を除去することにより、スペクトル分解能が低下するという犠牲を払って、この設計の感度を向上させることができる。)
合議体注:FIG. 6Aは、次のものである。
[図:0001433700000002.jpg]
(キ)第13欄第7~43行 特許請求の範囲の請求項29
「29. A confocal scanning beam microscope for scanning a gel to detect fluorescence from fluorescence labeled separated samples contained in a plurality of microcapillaries,
comprising:
a) means for supporting said samples to be observed and measured;
b) an illumination source producing a light beam along a path toward said sample;
c) means for focusing the light beam on a prescribed sample plane of said samples, wherein said samples are separated in a plurality of microcapillaries arranged in a coplanar parallel array located within said sample plane;
d) means for scanning the light beam in a predetermined scan pattern on said sample plane;
e) means for simultaneously acquiring a line of points of said predetermined scan pattern on the sample plane, wherein said line of points run perpendicular to and across said plurality of microcapillaries;
f) a detection arm placed in the path of light reflected, scattered, or emitted from said line of points on said sample plane of said samples, comprising means for resolving the spectra of said line of points including a light receiving opening, and a detector array placed behind said means for spectrally resolving said line of points;
g) means for focusing the light from said line of points reflected, scattered, or emitted from said sample plane of said samples to said light receiving opening of means for resolving the spectra of the light from each said region; and
h) wherein said detector arm comprises means for detecting the image of said line of points and means for simultaneously detecting the spectra of said light of said line of points.」
(29.複数のマイクロキャピラリーに含まれる蛍光標識され分離されたサンプルからの蛍光を検出するためにゲルを走査する共焦点走査ビーム顕微鏡であって、
a)観察および測定される前記サンプルの支持手段;
b)前記サンプルに向かう経路に沿った光ビームを生成する照明源;
c)光ビームを前記サンプルの所定のサンプル面上に集束させる手段であって、前記サンプルは、前記サンプル面内に位置する同一平面内に平行に配列された複数のマイクロキャピラリーに分離されている光ビーム集束手段;
d)前記サンプル面上で光ビームを所定の走査パターンで走査する光ビーム走査手段;
e)サンプル面上で前記所定の走査パターンの点からなる線を同時に取得する手段であって、前記走査パターンの点からなる線は前記複数のマイクロキャピラリーに対して垂直に横切るように設定される取得手段;
f)前記サンプルにおける前記サンプル面上の前記点からなる線からの、反射、散乱、又は放射される光の経路に配置された検出部であって、受光開口部を含み、前記点からなる線におけるスペクトルを分離するスペクトル分離手段と、前記スペクトル分離手段の後段に配置された検出器アレイとを備える、検出部;
g)前記サンプルにおける前記サンプル面から反射、散乱、又は放射された前記点からなる線からの光を、前記各領域からの光のスペクトルを分離するスペクトル分離手段の前記受光開口部に集光する集光手段;
を含み、そして、
h)前記検出部は、前記点からなる線の画像を検出する手段と、前記点からなる線の光のスペクトルを同時に検出する手段とを備える、
共焦点走査ビーム顕微鏡。)
(ク)第14欄第23~34行 特許請求の範囲の請求項36
「36. A confocal scanning beam microscope for scanning a gel to detect fluorescence from fluorescently labeled separated samples contained in a plurality of microcapillaries as recited in claim 29, wherein said means for scanning the light beam in a predetermined scan pattern on said sample plane further comprises a first scan mirror scanning said light beam in a first axis and directing said light beam to a second scan mirror, wherein said second scan mirror scanning said light beam in a second axis to form a raster pattern on said sample plane of the sample and partially descanning the light reflected, scattered, or emitted from at least one line of points of said sample plane.」
(36.請求項29に記載の、複数のマイクロキャピラリーに含まれる蛍光標識され分離されたサンプルからの蛍光を検出するためにゲルを走査する共焦点走査ビーム顕微鏡であって、前記サンプル面上で光ビームを所定の走査パターンで走査する光ビーム走査手段は、前記光ビームを第1の軸で走査し、前記光ビームを第2の走査ミラーに導く第1の走査ミラーをさらに備え、前記第2の走査ミラーは、前記光線を第2の軸で走査して、前記サンプルの前記サンプル面上にラスターパターンを形成し、前記サンプル面の少なくとも1つの点からなる線から反射、散乱、又は放射された光を部分的にデスキャンする、共焦点走査ビーム顕微鏡。」
イ 引用文献1に記載された発明
上記記載事項(キ)及び(ク)に基づけば、引用文献1には、請求項29の記載を引用する請求項36に係る共焦点走査ビーム顕微鏡の発明として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「複数のマイクロキャピラリーに含まれる蛍光標識され分離されたサンプルからの蛍光を検出するためにゲルを走査する共焦点走査ビーム顕微鏡であって、
a)観察および測定される前記サンプルの支持手段;
b)前記サンプルに向かう経路に沿った光ビームを生成する照明源;
c)光ビームを前記サンプルの所定のサンプル面上に集束させる手段であって、前記サンプルは、前記サンプル面内に位置する同一平面内に平行に配列された複数のマイクロキャピラリーに分離されている光ビーム集束手段;
d)前記サンプル面上で光ビームを所定の走査パターンで走査する光ビーム走査手段であって、前記光ビームを第1の軸で走査し、前記光ビームを第2の走査ミラーに導く第1の走査ミラーをさらに備え、前記第2の走査ミラーは、前記光ビームを第2の軸で走査して、前記サンプルの前記サンプル面上にラスターパターンを形成し、前記サンプル面の少なくとも1つの点からなる線から反射、散乱、又は放射された光を部分的にデスキャンする、光ビーム走査手段;
e)サンプル面上で前記所定の走査パターンの点からなる線を同時に取得する手段であって、前記走査パターンの点からなる線は前記複数のマイクロキャピラリーに対して垂直に横切るように設定される取得手段;
f)前記サンプルにおける前記サンプル面上の前記点からなる線からの、反射、散乱、又は放射される光の経路に配置された検出部であって、受光開口部を含み、前記点からなる線におけるスペクトルを分離するスペクトル分離手段と、前記スペクトル分離手段の後段に配置された検出器アレイとを備える、検出部;
g)前記サンプルにおける前記サンプル面から反射、散乱、又は放射された前記点からなる線からの光を、前記各領域からの光のスペクトルを分離するスペクトル分離手段の前記受光開口部に集光する集光手段;
を含み、そして、
h)前記検出部は、前記点からなる線の画像を検出する手段と、前記点からなる線の光のスペクトルを同時に検出する手段とを備える、
共焦点走査ビーム顕微鏡。」
(2)周知技術等を示す文献、周知技術及び技術的事項
ア 引用文献Aの記載事項
原査定の拒絶の理由において、周知技術を示す引用文献5として引用され、本願の優先権主張の日前である平成11年10月15日に、頒布された引用文献である、特開平11-281322号公報(以下「引用文献A」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。
(ア)発明の属する技術分野
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、三次元形状測定装置に係り、特に、レーザー光の走査により非接触で三次元形状の計測を行う三次元形状計測装置に関する。」
(イ)発明の目的
「【0010】
【発明の目的】本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、特に、時系列空間コード化を小型、軽量に実現し、さらに、均一な光度分布を持ったスリット光により高速かつ精度良く三次元形状の計測を行うことのできる三次元形状の計測装置を提供することを、その目的とする。」
(ウ)課題を解決するための手段
「【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、空間コード化パターンに基づいて複数のスリット光を照射するスリット光照射手段と、このスリット光照射手段によってスリット光が照射された測定対象物を撮像する撮像手段と、この撮像手段で撮像されたスリット光投影画像に基づいて当該測定対象物の座標を算出する画像処理手段とを備えている。しかも、前記スリット光照射手段は、前記撮像手段から出力されるフィールド識別信号に同期させて前記空間コード化パターン信号を発生させるとともに、最小分解能の半ピッチだけずらした前記空間コード化パターン信号を発生させ、これらの空間コード化パターン信号に従って前記スリット光を点滅させながら測定対象物上で走査するものである。より具体的に言えば、スリット光照射手段は、レーザ光を点滅させながら出力するレーザ光源と、前記撮像手段から出力されるフィールド識別信号に同期させて前記空間コード化パターン信号を発生させる時系列空間コード化パターン発生器と、この時系列空間コード化パターン発生器から発生した空間コード化パターン信号に基づいて前記レーザ光源の点滅周期を変化させるレーザドライバと、前記レーザ光源からのレーザ光を前記測定対象物へ向けて反射するミラーと、このミラーを回動することにより前記レーザ光を前記測定対象物上で走査するガルバノスキャナと、このガルバノスキャナを駆動するための三角波を前記撮像手段から出力されるフィールド識別信号に同期させて発生させる三角波発生器と、この三角波発生器で発生した三角波を前記ガルバノスキャナへ出力するスキャナドライバとを備え、前記時系列空間コード化パターン発生器は、最小分解能の半ピッチだけずらした前記空間コード化パターン信号を発生させる機能を併せ持つ、という構成を採っている。これにより前述した目的を達成しようとするものである。ここでいうフィールド識別信号とは、フィールド識別信号という名称に限らず、実質的にフィールドを識別できる信号であればよく、例えば垂直同期信号等も含む。」
(エ)実施例
「【0042】すなわち、三角波発生器43は、フィールド識別信号14の平均値を求める平均値回路431と、平均値回路431で求められた平均値をグラウンドレベルとしてフィールド識別信号14の電圧レベルを変換するレベル変換回路432と、フィールド識別信号14をレベル変換回路432を介して積分することにより三角波を発生させる積分回路433と、積分回路433から出力された三角波の平均値を求めて積分回路433へ帰還させることにより、この平均値を三角波のグラウンドレベルとする平均値回路434と、積分回路433から出力された三角波に対してオフセット及びゲインの調整を行うオフセット・ゲイン調整回路435と、積分回路433からオフセット・ゲイン調整回路435を介して出力された三角波に基づき差動出力をなす三角波15を得るバッファ回路436及び反転バッファ回路437とを備えている。差動出力をなす三角波15を得るのは、スキャナドライバ41への入力信号が±10Vの差動入力となっているためである。
【0043】平均値回路431はオペアンプIC2,IC3等、レベル変換回路432はオペアンプIC1等、積分回路433はオペアンプIC4等、平均値回路434はオペアンプIC5等、オフセット・ゲイン調整回路435はオペアンプIC6,IC7等、バッファ回路436はオペアンプIC8等、反転バッファ回路437はオペアンプIC9等によってそれぞれ構成されている。
【0044】三角波発生器43によれば、フィールド識別信号14に同期した三角波15の生成に、オペアンプIC4等からなる積分回路433を使用することにより、回路の簡素化を図ることができる。また、オフセット・ゲイン調整回路435を用いてゲイン(増幅率)を調整することにより、三角波15の波高値を変化させて、ガルバノスキャナ21の走査幅を変更できる。すなわち、ガルバノスキャナ21の走査幅を大きくすることにより測定対象物の全体を計測でき、ガルバノスキャナ21の走査幅を小さくすることにより測定対象物の一部をより細かく測定できる。さらに、オフセット・ゲイン調整回路435を用いてオフセットを調整することにより、ガルバノスキャナ21の走査始点を任意に変更できる。」
イ 引用文献Bの記載事項
原査定の拒絶の理由において、周知技術を示す引用文献7として引用され、本願の優先権主張の日前である平成30年9月13日に、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2018-140004号公報(以下「引用文献B」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。
(ア)技術分野
「【0001】
本発明は、被検査物上で光を走査して該被検査物の画像を得る撮像装置、撮像方法およびプログラムに関する。」
(イ)発明が解決しようとする課題
「【0007】
リサージュスキャンを行う場合、XスキャナおよびYスキャナには例えばガルバノスキャナが用いられる。駆動波形として三角波でガルバノスキャナに電圧印加を行う場合、駆動電圧が増加から減少に、或いは減少から増加に転ずる駆動電圧の折り返し点において、該ガルバノスキャナは回転方向を変える。上述した三角波の使用による断層情報等の画像情報の均等な間隔での取得は、この折り返し点においてもガルバノスキャナが等速且つ一定の位置で回転方向を変えることを前提としている。
【0008】
しかし、回転動作の向きを変える場合、移動方向に働く慣性に対処する減速、および向きを変えた後に必要となる加速に留意しなければならない。即ち、ガルバノスキャナにおいて、等速走査のためのほぼ瞬間的な減速と加速の実行と、折り返し点での測定光の照射位置の精度を保つための瞬間的な減加速の所定のタイミングでの正確な実行とが求められる。しかし、一般的にOCT装置に用いられるガルバノスキャナにおいてこの前提を満たすことは容易ではなく、理想的な折り返し点の動作ができずに測定光の照射位置精度に揺らぎが生じてしまう。
【0009】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであって、リサージュ図形に類似の図形を描くように測定光を走査する際に、該測定光の照射位置の精度を維持して中央部分でも画像情報を均等な間隔で取得できる撮影装置、撮影方法およびプログラムを提供することを目的とする。」
(ウ)課題を解決するための手段
「【0010】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係る撮像装置は、
被検査物上で、第1の周期で第1の方向に光を往復走査する第1の走査手段と、
前記被検査物上で、前記第1の周期の整数倍でない第2の周期で前記第1の方向とは異なる第2の方向に前記光を往復走査する第2の走査手段と、
前記光の往路走査と復路走査とが変更される領域を含み且つ前記光の走査速度を変化させる第1の領域と前記光の走査速度の変化が前記第1の領域よりも小さい第2の領域とが前記光により走査されるように、前記第1の走査手段および前記第2の走査手段を制御する制御手段と、
前記光が照射された前記被検査物からの戻り光より得られた情報を用いて前記被検査物の画像を生成する画像生成手段と、を備えることを特徴とする。」
(エ)発明の効果
「【0011】
本発明によれば、リサージュ図形に類似の図形を描くように測定光を走査する際に、該測定光の照射位置の精度を維持して中央部分でも画像情報を均等な間隔で取得できる。」
(オ)発明を実施するための形態
「【0017】
測定光は、制御装置109によって制御されるガルバノスキャナ2つで構成される走査光学系104および接眼レンズ系105を通して被検眼120の眼底に照射される。2つのガルバノスキャナは、X方向に測定光の照射位置を変えるXガルバノスキャナと、X方向に直交するY方向に測定光の照射位置を変えるYガルバノスキャナとからなる。走査光学系104は、これら2つのガルバノスキャナを動作させることで、眼底上での測定光の照射位置を2次元的に変化させることができる。また、接眼レンズ系105は電動ステージ上にあり、制御装置109の制御信号に従って光軸方向に移動可能である。該接眼レンズ系105を光軸方向に移動させることで、測定光の焦点位置を変化させることができる。眼底より反射又は散乱された戻り光は、先程の経路を逆に通って、接眼レンズ系105および走査光学系104を経由してビームスプリッタ103に戻される。測定光が導かれるこれら光学系を介する経路は、測定光路と称される。
・・・
【0022】
<撮像方法>
上述したOCT装置を用いて眼底から3次元の断層画像を撮像する本実施形態に係る撮像方法を、以下に説明する。なお、本実施形態の撮像方法に先立ち、リサージュ図形に類似した直線からなる図形(以下リサージュ様図形と称する。)を描くように、測定光で眼底上を平面走査する手法について説明する。また、OCT装置の説明において、2つのガルバノスキャナ各々はX方向とこれに直交するY方向に測定光を走査すると述べた。しかし、これら方向は、必ずしも直交関係にある必要はなく特定の角度で交差していればよい。
【0023】
測定光にてリサージュ様図形を描くためには、XガルバノスキャナおよびYガルバノスキャナに対して、それぞれ異なる周期TxおよびTyの三角波を示す駆動電圧を印加する。各々のガルバノスキャナに三角波として印加される駆動波形を図2に示す。この場合、各々の周期が異なるため、どちらか一方の三角波が1周期を迎えた時点で、もう一方の三角波は1周期に満たないか、あるいは1周期を過ぎ、次の周期に遷移している状態となる。即ち、二つの三角波の位相が1周期毎にずれるような駆動波形を各々対応するガルバノスキャナに印加する。なお、一方の周期と他方の周期とは互いに異なる周期であればよく、例えば一方の周期が1周期を迎えた時点で、他方がその周期の整数倍に対してずれていればよい。」
合議体注:図2は次のものである。
[図:0001433700000003.jpg]
「【0042】
また、画像生成に用いる断層情報は、少なくとも走査線が等間隔に配置され且つ一定速度で描画される第2の領域より得ることとすればよい。第1の領域にて得られる断層情報は画像生成に用いてもよいが、計算処理の負担軽減のために用いなくてもよい。また、第1の領域を小さくするために折り返しの頂部近傍での走査位置精度が担保できない場合には、この部分で得られる断層情報を用いなくてもよい。即ち、第1の領域の少なくとも一部の断層情報は、画像生成に用いなくてもよい。更に、上述したように、第1の領域は第2の領域の20%以内に設定されることが好ましく、より好ましくは10%以内とするとよい。」
ウ 引用文献Cの記載事項
前置報告書において、引用文献6として引用され、本願の優先権主張の日前である2004年(平成16年)8月12日に、頒布された引用文献である、米国特許出願公開第2004/0154922号明細書(以下「引用文献C」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。
(ア)技術分野
「[0001] This invention relates to a laser illumination and detection system for performing sample analysis, such as DNA sequencing, DNA fingerprinting, absorption/emission spectroscopy, and the like. More particularly, it pertains to a laser illumination system that employs a laser scanner.」
( 本発明は、DNA配列決定、DNAフィンガープリンティング、吸収/発光分光法などのサンプル分析を実行するためのレーザー照明および検出システムに関する。より具体的には、本発明は、レーザースキャナを採用したレーザー照明システムに関する。)
(イ)発明の概要
「[0011] The present invention, therefore, provides a capillary electrophoresis system that includes capillaries positioned parallel to each other to form a plane. The capillaries are configured to allow samples to migrate therethrough. The system further includes a light source configured to illuminate the capillaries and the samples therein. This causes the samples to emit light. The system also includes a lens configured to receive the light emitted by the sample. The lens is positioned directly over a first group of the capillaries and obliquely over a second group of the capillaries. The light source is further configured to illuminate the second group of capillaries more than the first group of the capillaries such that amount of light received by the lens from the first group of capillaries is substantially identical to amount of light received from the second group of capillaries when an identical amount of the samples is migrating through the first and second group capillaries.」
( したがって、本発明は、平面を形成するように互いに平行に配置されたキャピラリー電気泳動システムを提供する。キャピラリーはサンプルが通過できるように構成されている。システムにはさらに、キャピラリー及びキャピラリー内のサンプルを照射するように構成された光源も含まれる。これによりサンプルが発光する。システムには、サンプルから放出される光を受信するように構成されたレンズも含まれる。レンズは、第1のグループのキャピラリーの真上に配置され、第2のグループのキャピラリー上に斜めに配置される。光源はさらに、第1のグループのキャピラリーよりも第2のグループのキャピラリーを多く照射するように構成され、同じ量のサンプルが第1のグループのキャピラリーと第2のグループのキャピラリーとを通って移動しているときに、レンズが第1のグループのキャピラリーから受け取る光の量が、第2のグループのキャピラリーから受け取る光の量と実質的に同じになるように構成されている。)
「[0012] The light source further includes a laser configured to produce a laser beam and a scanning mirror optically coupled to the laser to receive the laser beam. The scanning mirror is configured to be oscillated and positioned to aim the received laser beam at the capillaries. The light source further includes a control device operatively coupled to the scanning mirror. The control device is configured to control the oscillation of the scanning mirror. This causes the laser beam from the scanning mirror to illuminate the plurality of capillaries.」
( 光源にはさらに、レーザービームを生成するように構成されたレーザーと、レーザービームを受信するためにレーザーに光学的に結合された走査ミラーが含まれる。走査ミラーは、受信したレーザービームをキャピラリーに向けるように振動及び配置されるように構成される。光源には、走査ミラーに動作可能に結合された制御装置がさらに含まれる。制御装置は、走査ミラーの振動を制御するように構成される。これにより、走査ミラーからのレーザービームが複数のキャピラリーを照射する。)
(ウ)好ましい実施形態の詳細な説明
「[0031] Referring to FIGS. 3 and 4, the laser illumination and detection system of the present invention includes a laser 21, an optical coupler 23 and a scanner assembly 25. The system further includes a detection system 27 and a housing 29 which receives a number of capillaries 31. The capillaries 31 allows biological samples to migrate therethrough from input ends 33 to output ends 35. The samples are preferably biological samples, e.g., DNA samples, that either possess fluorescing functional groups (fluorophores) in their molecular structure or are tagged with fluorescent dyes.」
( 図3および図4を参照すると、本発明のレーザー照明および検出システムは、レーザー21、光結合器23、及びスキャナアセンブリ25を含む。システムにはさらに、検出システム27と、多数のキャピラリー31を収容するハウジング29が含まれる。キャピラリー31により、生物学的サンプルは入力端33から出力端35まで移動することができる。サンプルは、分子構造内に蛍光官能基(蛍光体)を有するか、または蛍光染料でタグ付けされた、DNAサンプルなどの生物学的サンプルであることが好ましい。)
合議体注:FIG. 3 及び FIG.4 は、以下のものである。
[図:0001433700000004.jpg]
「[0033] The optical coupler 23, in a preferred embodiment depicted in FIG. 5, includes a stationary mirror 61 and a convex lens 63. The mirror 61 reflects the laser beam produced by the laser 21 to the convex lens 63.」
( 図5に示す好ましい実施形態では、光結合器23は、固定ミラー61と凸レンズ63とを含む。ミラー61は、レーザー21によって生成されたレーザー光を凸レンズ63に反射する。)
合議体注:FIG. 5 は次のものである。
[図:0001433700000005.jpg]
「[0034] The scanner assembly 25 includes a scanning mirror 69 operatively mounted on a magnet rotor 67. The scanning mirror 69 is oscillated by the rotor 67. As the scanning mirror 69 oscillates, the laser beam received from the convex lens 63 is aimed at the capillaries and scans the capillaries. As a result, the scanning beam from the scanning mirror 69 illuminates the capillaries. In particular, the convex lens 63 is positioned at such a distance from the capillaries so as to allow the length of the light path, which is folded by the scanning mirror 69, from the convex lens 63 to the capillary array to be within the depth-of-focusing of the convex lens 63. Further, the scanning mirror 69 reflects the partially focused beam onto the capillaries. The laser beam then becomes focused optimally on capillaries where the laser beam impinges the capillaries.」
( スキャナアセンブリ25には、磁石ローター67上に動作可能に取り付けられた走査ミラー69が含まれる。走査ミラー69は、ロータ67によって振動される。走査ミラー69が振動すると、凸レンズ63から受けたレーザー光がキャピラリーに照射され、キャピラリーを走査する。その結果、走査ミラー69からの走査ビームがキャピラリーを照射する。特に、凸レンズ63は、走査ミラー69によって折り返される凸レンズ63からキャピラリーアレイまでの光路長が凸レンズ63の焦点深度内となるようなキャピラリーからの距離に配置される。さらに、走査ミラー69は部分的に焦点を合わせたビームをキャピラリー上へ反射する。すると、レーザー光線はキャピラリーに最適に焦点を合わせられ、キャピラリーに当たる。)
・・・
「[0053] The scanner assembly, along with the control device 70, provides a flexible way to generate the compensating laser intensity profile. It should also be noted that even when the camera is not directly over the center of the capillary array, as discussed in connection with FIG. 8, the waveforms can be generated to produce an appropriate compensating intensity profile.」
( スキャナアセンブリは、制御装置70とともに、補償レーザー強度プロファイルを生成するための柔軟な方法を提供する。また、図8に関連して説明したように、カメラがキャピラリーアレイの中心の真上にない場合でも、適切な補償強度プロファイルを作成するために波形を生成できることにも留意する必要がある。)
合議体注:FIG. 8 は次のものである。
[図:0001433700000006.jpg]
「[0054] More specifically, the control device 70 produces a series of sinusoidal waveforms. The sinusoidal waveforms are then sent to the magnet rotor 67. The rotor then oscillates the scanning mirror 69 based on the sinusoidal waveforms. It should be noted that the control device 70 can produce different waveforms and the rotor can accept the different waveforms as well. Therefore, other waveforms including triangular waveforms, square waveforms can also be utilized to control the rotor. In particular, oscillating the scanning mirror 69 requires a non-zero differential voltage change. Therefore, a segment of square waveform can be used to localize the scanning mirror 69 at certain angle, thereby fixing a spot for the laser beam. Unlike the sinusoidal or triangular waveforms, a single amplitude square waveform is preferably not used to drive the rotor 67. But stacks of a series of square waveforms with changing amplitudes can drive the rotor. In general, any waveform can be divided into or made of a series of short square waveform segments that have changing amplitudes. Therefore, a digitized waveform generated from a computer can also drive the rotor.」
( より具体的には、制御装置70は、一連の正弦波形を生成する。正弦波形はその後、磁石ローター67に送信される。次に、ローターは正弦波形に基づいて走査ミラー69を振動させる。制御装置70は異なる波形を生成することができ、ローターも異なる波形を受け入れることができることに留意すべきである。したがって、三角波形、方形波形などの他の波形を使用してローターを制御することもできる。特に、走査ミラー69を振動させるには、ゼロではない差動電圧の変化が必要である。したがって、方形波形のセグメントを使用して、走査ミラー69を特定の角度で局所化し、レーザービームのスポットを固定することができる。正弦波や三角波とは異なり、単一振幅の方形波は、ロータ67を駆動するのに使用しないことが好ましい。しかし、振幅が変化する一連の矩形波形を積み重ねることで、ローターを駆動することができる。一般に、あらゆる波形は、振幅が変化する一連の短い方形波形セグメントに分割されるか、またはそれらのセグメントで構成することが可能である。したがって、コンピューターから生成されたデジタル化された波形でもローターを駆動することができる。)
・・・
「[0056] FIG. 10 shows the intensity profile that results from driving the rotor with a 150 Hz sinusoidal waveform. In other preferred embodiments, sinusoidal waveforms having 200 Hz or 250 Hz can be used. In another preferred embodiment, triangular waveforms at 150 Hz, 200 Hz or 250 Hz can be used. It should also be noted that a square wave or a combination of the sinusoidal, triangular and the square waveforms can also be used. For this, an SC2000 manufactured by General Scanning can be employed.」
「 図10は、150Hzの正弦波形でローターを駆動した結果得られる強度プロファイルを示す。他の好ましい実施形態では、200Hz又は250Hzの正弦波形を使用することができる。別の好ましい実施形態では、150Hz、200Hz、または250Hzの三角波形を使用することができる。また、方形波、又は正弦波、三角波、方形波の組み合わせも使用できることにも注目すべきである。このために、General Scanning 社製の SC2000 を使用することができる。)
合議体注:FIG. 10 は次のものである。
[図:0001433700000007.jpg]
「[0057] Note that other than several capillaries at the extreme periphery of the capillary array, FIG. 10 shows a uniform intensity profile. By further optimizing, i.e., increasing the scanning width, the spikes at the extreme periphery of the capillary array can also be eliminated. In particular, the scanning mirror can overshoot the capillary array so that the capillaries are illuminated with a uniform intensity profile.」
( 図10は、キャピラリーアレイの端にあるいくつかのキャピラリーを除いて、均一な強度プロファイルを示していることに注意されたい。さらに最適化するため、つまりスキャン幅を広げることで、キャピラリーアレイの最外周のスパイクも除去することができる。特に、走査ミラーはキャピラリーアレイを通り過ぎることができるため、キャピラリーは均一な強度プロファイルで照射される。)
エ 周知技術
引用文献Aの記載事項(ア)における「レーザー光の走査」に関するとの記載、記載事項(ウ)における「ガルバノスキャナを駆動するための三角波を前記撮像手段から出力されるフィールド識別信号に同期させて発生させる三角波発生器」との記載、及び、記載事項(エ)における「三角波発生器43は、・・・三角波を発生させる積分回路433と、・・・積分回路433から出力された三角波に対してオフセット及びゲインの調整を行うオフセット・ゲイン調整回路435と、・・・とを備えている。」、「オフセット・ゲイン調整回路435を用いてオフセットを調整することにより、ガルバノスキャナ21の走査始点を任意に変更できる。」との記載に基づけば、引用文献Aには、光の走査を、三角波信号及びオフセット信号を用いて制御することが記載されているといえる。
また、引用文献Bの記載事項(ア)における「光を走査」に関するとの記載、及び、記載事項(オ)における「測定光にてリサージュ様図形を描くためには、XガルバノスキャナおよびYガルバノスキャナに対して、・・・三角波を示す駆動電圧を印加する」との記載に基づくと、引用発明Bにも、光の走査を、三角波を示す駆動電圧を用いて制御することが記載されているといえる。ここで、引用文献Bの図2に示される駆動電圧は、+4Vと-4Vの間を往復するものであるから、オフセットを印加されたものと理解することができる。
さらに、引用文献Cの記載事項(ア)における「レーザースキャナ」に関するとの記載、及び、記載事項(ウ)における「スキャナアセンブリ25には、磁石ローター67上に動作可能に取り付けられた走査ミラー69が含まれる。走査ミラー69は、ロータ67によって振動される。」、「三角波形、方形波形などの他の波形を使用してローターを制御することもできる。」、「方形波、又は正弦波、三角波、方形波の組み合わせも使用できる」との記載に基づけば、レーザースキャナにおける光の走査を、三角波形、方形波形を組み合わせた信号を用いて制御することが記載されているといえる。
以上の記載事項に基づけば、本願の優先権主張の日前において、次の周知技術が知られていたといえる。
「光の走査を、三角波信号及びオフセット信号又は方形波を用いて制御すること」
オ 広く認識されていた課題及び技術的事項
引用文献Bの記載事項(イ)における「駆動波形として三角波でガルバノスキャナに電圧印加を行う場合、駆動電圧が増加から減少に、或いは減少から増加に転ずる駆動電圧の折り返し点において、該ガルバノスキャナは回転方向を変える。」、「回転動作の向きを変える場合、移動方向に働く慣性に対処する減速、および向きを変えた後に必要となる加速に留意しなければならない。」、「理想的な折り返し点の動作ができずに測定光の照射位置精度に揺らぎが生じてしまう。」との記載、及び、記載事項(オ)における「画像生成に用いる断層情報は、少なくとも走査線が等間隔に配置され且つ一定速度で描画される第2の領域より得ることとすればよい。・・・また、第1の領域を小さくするために折り返しの頂部近傍での走査位置精度が担保できない場合には、この部分で得られる断層情報を用いなくてもよい。」との記載に基づくと、引用文献Bには、光の走査手段であるガルバノスキャナが回転方向を変える部分において、理想的な折り返し点の動作ができず、得られるデータの精度が担保できないため、この部分で得られる測定データを用いないようにすることが記載されているといえる。
また、引用文献Cの記載事項(ウ)における「正弦波形でローターを駆動した結果得られる強度プロファイル」が「キャピラリーアレイの端にあるいくつかのキャピラリーを除いて、均一な強度プロファイルを示している」との記載、及び、「スキャン幅を広げることで、キャピラリーアレイの最外周のスパイクも除去することができる。特に、走査ミラーはキャピラリーアレイを通り過ぎることができるため、キャピラリーは均一な強度プロファイルで照射される。」との記載に基づけば、引用文献Cには、光の走査手段である走査ミラーが回転方向を変える部分において、均一な強度プロファイルを示す信号が得られないため、キャピラリーアレイを通り過ぎてから回転方向を変えるようにすることが記載されているといえる。
(ア)広く認識されていた課題
以上の記載事項に基づけば、本願の優先権主張の日前において、次の課題が広く認識されていたといえる。
「光ビームの走査手段が回転方向を変える部分において、得られるデータの精度が担保できない」
(イ)引用文献Cに記載された技術的事項
また、上記課題に対応するための手段として、次の技術的事項も、本願の優先権主張の日前において知られていたといえる。
「光ビームの走査手段の回転方向を、キャピラリーアレイを通り過ぎてから変更する」
5 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(1)レーザ光源
引用発明の「照明源」は、「サンプルに向かう経路に沿った光ビームを生成」するものである。そうすると、本件補正発明の「第1のレーザ光を出力するように構成されたレーザ光源」と引用発明の「照明源」とは、「第1の光を出力するように構成された光源」である点で共通する。
(2)集束光学系
引用発明の「光ビーム集束手段」は、「光ビームを前記サンプルの所定のサンプル面上に集束させる」ものである。そうすると、引用発明の「光ビーム集束手段」は、本件補正発明の「集束光学系」に相当し、「前記第1の」「光を受け取り、前記第1の」「光のビーム幅を減少させるように構成された」とする要件を満たしている。
(3)第1の光学スキャナ
引用発明の「第1の走査ミラー」は、「前記光ビームを第1の軸で走査」し、「前記光ビームを第2の走査ミラーに導く」ものである。そうすると、引用発明の「第1の走査ミラー」は、本件補正発明の「第1の光学スキャナ」に相当し、「前記第1の」「光を受け取り」、「出力光の角度を第1の次元に沿って変更することによって、第1の光学スキャナ出力光を出力する」という要件を満たしている。
(4)第2の光学スキャナ
引用発明の「第2の走査ミラー」は、第1の走査ミラーから導かれた「前記光ビームを第2の軸で走査」して、「前記サンプルの前記サンプル面上にラスターパターンを形成」するものである。そうすると、引用発明の「第2の走査ミラー」は、本件補正発明の「第2の光学スキャナ」に相当し、「前記第1の光学スキャナ出力光を受け取り」、「出力光の角度を第2の次元に沿って変化させことによって、第2の光学スキャナ出力光を出力する」という要件を満たしている。
(5)ライン
引用発明の「光ビーム走査手段」は、「サンプル面上で光ビームを所定の走査パターンで走査」するものであって、「前記光ビームを第1の軸で走査し、前記光ビームを第2の走査ミラーに導く第1の走査ミラーをさらに備え、前記第2の走査ミラーは、前記光ビームを第2の軸で走査して、前記サンプルの前記サンプル面上にラスターパターンを形成」している。ここで、引用発明における「所定の走査パターン」は、「第2の走査ミラー」からの光ビームによって形成されるものであって、第1の軸で走査することによって得られる次元と、第2の軸で走査することによって得られる次元を含む「ラスターパターン」であるといえる。
そうすると、引用発明の「所定の走査パターン」は、本件補正発明の「ライン」に相当し、「前記第1の次元と前記第2の次元の両方の次元成分を含」むとする要件をみたしている。また、引用発明は、「前記第2の光学スキャナ出力光がラインを含」むとする要件も満たしている。
(6)レーザライン生成システム
引用発明の「共焦点走査ビーム顕微鏡」は、「複数のマイクロキャピラリーに含まれる蛍光標識され分離されたサンプルからの蛍光を検出するためにゲルを走査」するものであって、前記(1)~(4)において述べた構成を含むものである。そうすると、本件補正発明の「レーザライン生成システム」と引用発明の「共焦点走査ビーム顕微鏡」とは、「ライン生成システム」である点で共通している。また、引用発明の「共焦点走査ビーム顕微鏡」は、「キャピラリ(capillary)アレイを照明するために」「光を生成および処理するように構成」されるとの要件を満たしている。
(7)一致点及び相違点
以上より、本件補正発明と引用発明とは、
「 キャピラリ(capillary)アレイを照明するために光を生成および処理するように構成されたライン生成システムであって、
第1の光を出力するように構成された光源と、
前記第1の光を受け取り、前記第1の光のビーム幅を減少させるように構成された集束光学系と、
第1の光学スキャナであり、
前記第1の光を受け取り、
出力光の角度を第1の次元に沿って変更することによって、第1の光学スキャナ出力光を出力する
ように構成される、第1の光学スキャナと、
第2の光学スキャナであり、
前記第1の光学スキャナ出力光を受け取り、
出力光の角度を第2の次元に沿って変化させことによって、第2の光学スキャナ出力光を出力する
ように構成される、第2の光学スキャナと、
を含み、
前記第2の光学スキャナ出力光がラインを含み、前記ラインが、前記第1の次元と前記第2の次元の両方の次元成分を含む、
ライン生成システム。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
本件補正発明は、光源が出力する光が「レーザ」であるのに対し、引用発明は、照明源が出力する光が「レーザ」でない点。
[相違点2]
本件補正発明は、第1の光学スキャナが、「少なくとも第1の三角波(triangular wave)信号および第1のDC信号を受け取って、前記第1の光学スキャナを制御」し、第2の光学スキャナが、「少なくとも第2の三角波(triangular wave)信号および第2のDC信号を受け取って、前記第2の光学スキャナを制御する」のに対し、引用発明は、「第1の走査ミラー」及び「第2の走査ミラー」が制御のために受け取る信号を特定していない点。
[相違点3]
本件補正発明は、ラインについて、「前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さが、複数のキャピラリを有するキャピラリアレイの幅よりも大きく、前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さと前記キャピラリアレイの幅との差の部分の長さが、前記レーザ光が、前記ラインの、前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さ方向の終点に近づく際の動きの加減速による、前記終点に隣接する領域における不均等な照明をもたらす影響を、前記キャピラリアレイの幅の部分において避けるために十分である」と特定しているのに対し、引用発明は、所定の走査パターンについて、複数のマイクロキャピラリーの幅に平行な次元の長さを特定していない点。
6 判断
(1)[相違点1]について
引用文献1の記載事項(カ)には、「レーザー602からのレーザービーム604は、ビームエクスパンダー606によって拡大され、静的ミラー608によって垂直方向に偏向され、垂直面でビームをスキャンする走査ミラー610に送られる。」との記載がある。当該記載に基づけば、引用文献1には、光源としてレーザー光を出力するレーザー光源を用いることが示唆されているといえる。
したがって、引用発明の照明源として、レーザ光を出力するレーザ光源を用いることは、当業者が適宜なし得たことである。
(2)[相違点2]について
引用発明の「光ビーム走査手段」は、「サンプル面上で光ビームを所定の走査パターンで走査する」ように機能するものであるから、「第1の走査ミラー」及び「第2の走査ミラー」を、何らかの制御信号に基づいて制御しているといえる。引用発明は、「サンプル面上で光ビームを所定の走査パターンで走査する」ための制御信号がどのようなものであるのかを特定していない。しかしながら、前記4(2)エに記載したとおり、本願の優先権主張の日前において、「光の走査を、三角波信号及びオフセット信号又は方形波を用いて制御すること」は周知技術であったといえる。ここで、オフセット信号及び方形波は、直流電圧信号(DC信号)ということもできる。
そうすると、引用発明において、「光ビーム走査手段」が、「サンプル面上で光ビームを所定の走査パターンで走査する」ように、「第1の走査ミラー」及び「第2の走査ミラー」を、それぞれ、三角波信号及びDC信号を用いて制御するように構成することは、当業者が適宜なし得たことであるといえる。
(3)[相違点3]について
前記4(2)オ(ア)に記載したとおり、本願の優先権主張の日前において、「光ビームの走査手段が回転方向を変える部分において、得られるデータの精度が担保できない」という課題は、広く認識されていたといえる。
引用発明は、「サンプル面内に位置する同一平面内に平行に配列された複数のマイクロキャピラリーに分離」された「サンプル」を、「光ビーム走査手段」が「所定の走査パターン」で走査するものであるところ、「光ビームの走査手段が回転方向を変える部分において、得られるデータの精度が担保できない」という、上記課題を解決するためには、「所定の走査パターン」について、「光ビームの走査手段が回転方向を変える部分」からのデータを、サンプルからの蛍光の検出に用いないような走査パターンとすればよいことは自明である。そうすると、「走査パターン」における「光ビームの走査手段が回転方向を変える」ことにより「得られるデータの精度が担保できない」部分、つまり、動きの加減速によって不均等となる部分からのデータを、「サンプル」が存在する「平行に配列された複数のマイクロキャピラリー」の範囲外に配置するように、「所定の走査パターン」を設定することは、当業者が適宜なし得たことである。
なお、上記課題を解決するための技術的事項として、「光ビームの走査手段の回転方向を、キャピラリーアレイを通り過ぎてから変更する」ことも、前記4(2)オ(イ)に記載したとおり、本願の優先権主張の日前において知られていたことである。
(4)効果について
本件補正発明が奏する効果は、引用文献1及び周知技術に基づいて予測できた範囲のものであるから、格別なものということができない。
(5)審判請求人の主張
審判請求人は、審判請求の理由において、引用文献1に「レーザビームがキャピラリアレイの幅の外で減速または加速の動作を行う」ことへの動機付けがなく、「前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さと前記キャピラリアレイの幅との差の部分の長さが、前記レーザ光が、前記ラインの、前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さ方向の終点に近づく際の動きの加減速による、前記終点に隣接する領域における不均等な照明をもたらす影響を、前記キャピラリアレイの幅の部分において避けるために十分である」という特徴について、当業者が容易に想到できるものではないと主張している。
しかし、前記4(2)オ(ア)に記載したとおり、「光ビームの走査手段が回転方向を変える部分において、得られるデータの精度が担保できない」という課題は、本願の優先権主張の日前において、広く認識されていたものであり、その解決手段も前記4(2)オ(イ)に記載したとおり、本願の優先権主張の日前において知られていたことである。
そうすると、前記(3)に記載したとおり、当業者が適宜なし得たことと言わざるを得ないから、上記審判請求人の意見は採用できない。
また、審判請求人は、上申書において、引用文献6(引用文献C)に記載された発明と本件補正後の請求項1に係る発明とは「課題および解決手段」が異なるとし、本件補正発明の構成を記載も示唆もしないため、引用文献1に記載された発明において、引用文献6に記載された技術を採用したとしても、本件補正後の請求項1に係る発明を容易に想到することはできないと主張している。
しかし、前記4(2)オ(ア)に記載したとおり、「光ビームの走査手段が回転方向を変える部分において、得られるデータの精度が担保できない」という課題は、引用文献Cに記載されているのみならず、引用文献B(原査定の拒絶の理由における引用文献7)にも記載されているように、本願の優先権主張の日前において、広く認識されていたものである。そして、引用文献Cの段落[0057]には、「スキャン幅を広げることで、キャピラリーアレイの最外周のスパイクも除去することができる。」と記載されている。スキャン幅を、キャピラリーアレイの最外周のスパイクが除去される程度に広げることは、「キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さ」を「前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さ方向の終点に近づく際の動きの加減速による、前記終点に隣接する領域における不均等な照明をもたらす影響を、前記キャピラリアレイの幅の部分において避けるために十分」に設定していることであるといえる。
したがって、上記審判請求人の意見も採用できない。
7 むすび
以上のとおり、上記相違点は、いずれも、当業者が容易に想到し得るものであって、その効果も引用文献1の記載及び周知技術に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本件発明
1 本件発明
本件補正は、前記第2に記載したとおり却下されることなったので、本願の請求項に係る発明は、令和6年2月27日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項6に係る発明(以下「本件発明」という。)は、前記第2の1(1)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、この出願の請求項1及び6に係る発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
引用文献1:米国特許第6134002号明細書
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2の4(1)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本件発明は、本件補正発明から、第2の光学スキャナ出力光における「ライン」の「キャピラリアレイの幅よりも大きく」した「キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さ」を、「前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さと前記キャピラリアレイの幅との差の部分の長さが、前記レーザ光が、前記ラインの、前記キャピラリアレイの幅に平行な次元の成分の長さ方向の終点に近づく際の動きの加減速による、前記終点に隣接する領域における不均等な照明をもたらす影響を、前記キャピラリアレイの幅の部分において避けるために十分」とする限定事項を省いたものである。
そうすると、本件発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の5~7に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 上申書補正案について
審判請求人は、上申書において、請求項1及び請求項6に係る発明について、「前記キャピラリアレイから放出された蛍光光を受け取るように配置された分散要素であって、前記蛍光光をスペクトル的に分散する分散要素」と、「前記分散要素によってスペクトル的に分散された後に前記蛍光光を受け取って、検出するように配置された光学センサ」を、さらに含むとする補正案を提示している。そこで、当該補正案どおりに補正された請求項1に係る発明(以下「上申書補正案発明」という。)において、拒絶理由を解消しているといえるかについて、以下に検討する。
上申書補正案発明と引用発明とを対比すると、前記2の5(1)~(6)において検討した事項に加えて、引用発明の「スペクトル分離手段」は、「前記点からなる線におけるスペクトルを分離する」ものであって、「所定の走査パターンの点からなる線」は、「サンプル面内に位置する同一平面内に平行に配列された複数のマイクロキャピラリー」に設定されるものである。そうすると、引用発明の「スペクトル分離手段」は、「サンプル面内に位置する同一平面内に平行に配列された複数のマイクロキャピラリー」から放出される蛍光を受け取り、そのスペクトルを分離するものといえる。したがって、引用発明の「スペクトル分離手段」は、上申書補正案発明の「分散要素」に相当し、「前記キャピラリアレイから放出された蛍光光を受け取るように配置された」とする要件、及び、「前記蛍光光をスペクトル的に分散する」とする要件を満たしている。
また、引用発明の「検出器アレイ」は、「スペクトル分離手段の後段」に配置されたものである。そうすると、引用発明の「検出器アレイ」は、上申書補正案発明の「光学センサ」に相当し、「前記分散要素によってスペクトル的に分散された後に前記蛍光光を受け取って、検出するように配置された」とする要件を満たしている。
以上より、仮に、上申書において提示された補正案のとおり補正されたとしても、上申書補正案発明と引用発明とは、前記第2の5(7)に記載した[相違点1]~[相違点3」でのみ相違することになる。そして、いずれの相違点も、前記第2の6において検討したとおり、当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、上申書において提示された補正案のとおり補正されたとしても、拒絶理由が解消するとはいえない。
第5 むすび
以上のとおり、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-014568