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特許拒絶査定不服審判

2022-005336

ユーザ装置、基地局、通信方法、及び無線通信システム

審判番号
2022-005336
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-516371外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月11日
審決日
2022年11月08日
公報発行日
2023年01月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H04W)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-516371「ユーザ装置、基地局、通信方法、及び無線通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月16日国際公開、WO2017/195471〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)3月22日(優先権主張 平成28年5月11日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年 2月20日 :手続補正書の提出 令和3年 4月26日付け:拒絶理由通知書 令和3年 7月21日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年12月27日付け:拒絶査定 令和4年 4月11日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出 令和4年 8月22日 :上申書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1ないし4に係る発明は、令和4年4月11日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「 【請求項3】 NR無線通信システムのNR基地局及びLTE無線通信システムのLTE基地局と無線信号を送受信するステップと、 前記NR無線通信システム及び前記LTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報を前記NR基地局又は前記LTE基地局に通知するステップと、 を有し、 前記NR無線通信システム及び前記LTE無線通信システムとの同時通信に関する前記能力情報は、前記ユーザ装置の最大データレートに関連する、 ユーザ装置の通信方法。」 第3 拒絶の理由 原査定(令和3年12月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項1ないし4に対して、引用文献1ないし3 引用文献等一覧 1 特開2013-197820号(以下、「引用文献1」という。) 2 Ericsson、UE capabilities regarding dual connectivity[online]、3GPPTSG-SA WG1#72 S1-154246、インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG1_Serv/TSGS1_72_Anaheim/docs/S1-154246.zip>、2015年11月10日アップロード(以下、「引用文献2」という。) 3 Intel、Recommendation for the "Next Generation" system architecture study[online]、3GPP TSG-SA WG2#111 S2-153385、インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_111_Chengdu/Docs/S2-153385.zip>、2015年10月13日アップロード(以下、「引用文献3」という。) 第4 引用文献、引用発明及び周知技術 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由で引用された、本願優先日前に公開された引用文献1(特開2013-197820号)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。) (1)「【0002】 3GPP(Third Generation Partnership Project)は、通信の高速化および大容量化のための各種規格を策定してきた。このような通信の高速化および大容量化の手法として、複数のキャリア(carrier)を使用する技術を仕様化している。例えば、3GPPは、Release8において、複数のキャリアを同時に使用するMulticarrier_HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)技術を仕様化している。また、3GPPは、Release10において、LTE(Long Term Evolution)_Carrierを複数同時に使用するキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)技術を仕様化している。 【0003】 これらの技術を利用して、HSDPA_CarrierおよびLTE_Carrierを同時に使用して通信を行う技術が検討されている(例えば、非特許文献1~3参照)。」 (2)「【0027】 図1には、一例として、端末装置100と基地局装置200とは、複数のLTE_Carrierおよび複数のWCDMA_Carrierを同時に使用して通信を行っているものとする。より具体的には、端末装置100と基地局装置200とは、複数のLTE_Carrierおよび複数のWCDMA_Carrierによるキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)を行っている。 (中略) 【0030】 なお、図1には、下りリンクおよび上りリンクのいずれにおいても複数のCarrierを同時に使用してデータの送受信を行う例を示すが、下りリンクおよび上りリンクに対して、それぞれ使用するCarrierの数を設定してもよい。例えば、下りリンクについては、図1に示す5つのCarrierを同時に使用して通信を行い、上りリンクにつては、図1に示すCarrierのうち1つのLTE_Carrierのみを使用して通信を行ってもよい。」 (3)「【0040】 [b2:基地局装置200の構成] 図1に示す無線通信システムSYSにおいて使用される基地局装置200の構成について説明する。図3は、図1に示す無線通信システムSYSにおいて使用される基地局装置200の装置構成を示す模式図である。 (中略) 【0050】 [b3:基地局装置200の構成(変形例)] 図3に示す基地局装置200の構成に代えて、イントラサイトキャリアアグリゲーションの構成を採用してもよい。 【0051】 図4は、図1に示す無線通信システムSYSにおいて使用される変形例の基地局システム200Aの装置構成を示す模式図である。図4を参照して、基地局システム200Aは、LTE基地局装置260と、WCDMA基地局装置270と、基地局コントローラ280とを含む。」 (4)「【0091】 あるいは、図7に示す端末能力情報300Cに代えて、端末能力情報として、LTEでキャリアアグリゲーション可能な最大のCarrier数、WCDMAでキャリアアグリゲーション可能な最大のCarrier数、LTEとWCDMAとを合わせてキャリアアグリゲーション可能な最大のCarrier数といった情報を定義してもよい。さらに、これらの情報を、端末装置100の受信能力と送信能力とを別々に定義してもよい。」 (5)「【0093】 実施の形態1においては、端末装置100は、LTEおよびHSDPAの無線通信方式においてそれぞれ通知するUE Capabilityの両方に、上述のような端末能力情報300を付加する。このような端末能力情報300の通知方法を採用することで、端末装置100がいずれの無線通信方式でキャンプオンしたとしても、基地局装置200(ネットワーク側)は端末能力情報300を知ることができる。 【0094】 図8および図9は、実施の形態1に従う無線通信システムの通信手順を示すシーケンス図である。図8は、端末装置100がセルサーチによってLTEのCarrierを先に検出した例を示し、図9は、端末装置100がセルサーチによってWCDMAのCarrierを先に検出した例を示す。 (中略) 【0096】 図8および図9を参照して、電源ボタンの投入などによって端末装置100が起動されると(シーケンスSQ100)、端末装置100は、セルサーチを開始する(シーケンスSQ102)。図8に示す例では、セルサーチによってLTEのあるCarrierを先に検出した場合が想定されている(シーケンスSQ104)。 【0097】 すると、端末装置100は、LTEを通じて、自局の端末能力情報300を基地局装置200へ通知する(シーケンスSQ106)。この端末能力情報300は、典型的には、通常の端末能力を示す情報(LTEにおけるUE Capability)の一部として通知される。すなわち、端末装置100は、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報300を基地局装置200へ通知する。このとき、端末装置100は、UE Capabilityに端末能力情報300を付加して送信する。」 (6)「【0107】 図9に示す例では、セルサーチによってWCDMAのあるCarrierを先に検出した場合が想定されている。すなわち、図8には端末装置100がLTEにキャンプオンした場合の処理例を示し、図9には端末装置100がWCDMAにキャンプオンした場合の処理例を示す。図8と図9との相違点としては、図8に示す通信手順では、LTEを通じて通信制御が実行されるのに対して、図9に示すに示す通信手順では、WCDMAを通じて通信制御が実行される点である。 【0108】 すなわち、図9に示す例では、セルサーチによってWCDMAのあるCarrierを先に検出した場合が想定されている(シーケンスSQ105)。すると、端末装置100は、WCDMAを通じて、自局の端末能力情報300を基地局装置200へ通知する(シーケンスSQ107)。この端末能力情報300は、典型的には、通常の端末能力を示す情報(WCDMAにおけるUE Capability)の一部として通知される。すなわち、端末装置100は、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報300を基地局装置200へ通知する。このとき、端末装置100は、UE Capabilityに端末能力情報300を付加して送信する。」 (7)「 [図:0001392950000001.jpg] 」 (8)「 [図:0001392950000002.jpg] 」 (9)「 [図:0001392950000003.jpg] 」 (10)「 [図:0001392950000004.jpg] 」 上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。 ア 上記「(2)」の【0027】には「図1には、一例として、端末装置100と基地局装置200とは、複数のLTE_Carrierおよび複数のWCDMA_Carrierを同時に使用して通信を行っているものとする。より具体的には、端末装置100と基地局装置200とは、複数のLTE_Carrierおよび複数のWCDMA_Carrierによるキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)を行っている。」と記載され、また、上記「(2)」の【0030】には「図1には、下りリンクおよび上りリンクのいずれにおいても複数のCarrierを同時に使用してデータの送受信を行う例を示す」と記載されているから、引用文献1には、端末装置100は基地局装置200と、複数のLTE_Carrierおよび複数のWCDMA_Carrierを同時に使用して通信(キャリアアグリゲゲーション)を行い、データの送受信を行うものが記載されている。 そうすると、引用文献1には、「端末装置は基地局装置と、複数のLTE_Carrierおよび複数のWCDMA_Carrierを同時に使用して通信(キャリアアグリゲゲーション)を行い、データの送受信を行う」ものが記載されているといえる。 イ 上記「(5)」の【0097】には「端末装置100は、LTEを通じて、自局の端末能力情報300を基地局装置200へ通知する(シーケンスSQ106)。この端末能力情報300は、典型的には、通常の端末能力を示す情報(LTEにおけるUE Capability)の一部として通知される。すなわち、端末装置100は、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報300を基地局装置200へ通知する。」と記載されているから、引用文献1には、端末装置100は、LTEを通じて、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報300を基地局装置200へ通知するものが記載されている。また、上記「(6)」の【0108】には、「端末装置100は、WCDMAを通じて、自局の端末能力情報300を基地局装置200へ通知する(シーケンスSQ107)。この端末能力情報300は、典型的には、通常の端末能力を示す情報(WCDMAにおけるUE Capability)の一部として通知される。すなわち、端末装置100は、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報300を基地局装置200へ通知する。」と記載されているから、引用文献1には、端末装置100は、WCDMAを通じて、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報300を基地局装置200へ通知するものが記載されている。 そして、上記「(5)」の【0096】には「図8に示す例では、セルサーチによってLTEのあるCarrierを先に検出した場合が想定されている(シーケンスSQ104)。」と記載され、上記「(6)」の【0107】には、「図9に示す例では、セルサーチによってWCDMAのあるCarrierを先に検出した場合が想定されている。」と記載されているから、端末装置が、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報をUE Capabilityの一部として基地局装置へ通知は、セルサーチによって先に検出されたWCDMA、LTEのどちらか一方、すなわち、セルサーチによって先に検出されたWCDMA又はLTEを通じて行われるものが記載されている。 そうすると、引用文献1には、「端末装置は、セルサーチによって先に検出されたWCDMA又はLTEを通じて、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報をUE Capabilityの一部として基地局装置へ通知する」ものが記載されているといえる。 ウ 上記「(4)」の【0091】には、「端末能力情報として、・・・LTEとWCDMAとを合わせてキャリアアグリゲーション可能な最大のCarrier数といった情報を定義してもよい。」と記載されている。 そうすると、引用文献1には、「端末能力情報は、LTEとWCDMAとを合わせてキャリアアグリゲーション可能な最大のCarrier数を含む」ものが記載されているといえる。 エ 上記「(5)」の【0094】には、「図8および図9は、実施の形態1に従う無線通信システムの通信手順を示すシーケンス図である。」と記載され、上記「(5)」の【0093】には、「実施の形態1においては、端末装置100は、LTEおよびHSDPAの無線通信方式においてそれぞれ通知するUE Capabilityの両方に、上述のような端末能力情報300を付加する。このような端末能力情報300の通知方法を採用することで、端末装置100がいずれの無線通信方式でキャンプオンしたとしても、基地局装置200(ネットワーク側)は端末能力情報300を知ることができる。」と記載されているから、上記「ア」ないし「ウ」での各動作及び定義は、端末装置が基地局装置へ端末能力情報を通知する方法に関する記載がされている。 そうすると、引用文献1には、「端末装置が基地局装置へ端末能力情報を通知する方法」が記載されているといえる。 以上を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 端末装置は基地局装置と、複数のLTE_Carrierおよび複数のWCDMA_Carrierを同時に使用して通信(キャリアアグリゲゲーション)を行い、データの送受信を行うものであって、 端末装置は、セルサーチによって先に検出されたWCDMA又はLTEを通じて、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報をUE Capabilityの一部として基地局装置へ通知し、 端末能力情報は、LTEとWCDMAとを合わせてキャリアアグリゲーション可能な最大のCarrier数を含む、 端末装置が基地局装置へ端末能力情報を通知する方法。」 オ 上記「(3)」の【0040】には、「図3は、図1に示す無線通信システムSYSにおいて使用される基地局装置200の装置構成を示す模式図である。」と記載され、上記「(7)」の図3からもWCDMAとLTEとで無線信号を送受信可能な基地局装置が単体で構成されているものが見て取れる。一方、上記「(3)」の【0051】には、「図4は、図1に示す無線通信システムSYSにおいて使用される変形例の基地局システム200Aの装置構成を示す模式図である。図4を参照して、基地局システム200Aは、LTE基地局装置260と、WCDMA基地局装置270と、・・・を含む。」と記載され、上記「(8)」の図4からもWCDMAで無線信号を送受信可能な基地局装置とLTEで無線信号を送受信可能な基地局装置がそれぞれ独立して構成されているものが見て取れるから、無線通信システムの基地局装置を、WCDMAとLTEとで無線信号を送受信可能な基地局装置に代えて、WCDMA基地局装置とLTE基地局装置とすることが記載されている。 そうすると、引用文献1には、以下の技術事項(以下、「技術事項」という。)が記載されているといえる。 「無線通信システムの基地局装置を、WCDMAとLTEとで無線信号を送受信可能な基地局装置に代えて、WCDMA基地局装置とLTE基地局装置とすること。」 2 周知技術について 原査定の拒絶の理由で引用された、本願優先日前に公開された引用文献2(Ericsson、UE capabilities regarding dual connectivity(当審訳:デュアルコネクティビティに関するUE機能)[online]、3GPPTSG-SA WG1#72 S1-154246、インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG1_Serv/TSGS1_72_Anaheim/docs/S1-154246.zip>、2015年11月10日アップロード)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。) (1)「1. Introduction The current text in the use case “Multiple RAT connectivity and RAT selection” is primarily describing the requirements to be able to provide data transmission using both the <5G New RAT> and E-UTRA RAT simultaneously. This is expected to be commonly supported by UEs used as e.g. smart phones. Due to the expected large diversity of market segments and type of UEs for the new system, it is also expected that some UEs will target lower complexity segments where single radio capability is preferred.」(1ページ9行目~14行目) (当審訳: 1.序章 ユースケース「Multiple RAT connectivity and RAT selection」の現在の文章は、主に<5G New RAT>とE-UTRA RATの両方を同時に使用してデータ伝送を提供できるようにするための要件を記述したものである。これは、スマートフォンなどのUEで一般的にサポートされることが期待されている。新システムでは、市場セグメントやUEの種類の多様化が予想されるため、一部のUEは単一無線機能が好まれる複雑性の低いセグメントをターゲットとすることも予想される。) 原査定の拒絶の理由で引用された、本願優先日前に公開された引用文献3(Intel、Recommendation for the "Next Generation" system architecture study(当審訳:“次世代”システムアーキテクチャ検討の提案)[online]、3GPP TSG-SA WG2#111 S2-153385、インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_111_Chengdu/Docs/S2-153385.zip>、2015年10月13日アップロード)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。) (2)「3 Interworking with legacy EPS and relation to RAN work phasing (中略) While there was no consensus in the workshop on the actual content of the two phases, there were several contributions proposing that Phase 1 would be focused on a non-standalone 5G RAT operating in Dual Connectivity (DC) mode as a booster cell controlled by an LTE-based anchor cell, as illustrated in Figure 3.2.」(3ページ8行目~4ページ9行目) (当審訳: 3 レガシーEPSとのインターワーキングおよびRAN作業フェーズとの関係 (中略) ワークショップでは、2つのフェーズの内容に関するコンセンサスは得られなかったが、フェーズ1では、図3.2に示すように、LTEベースのアンカーセルが制御するブースターセルとしてデュアルコネクティビティ(DC)モードで動作する非スタンドアロンの5G RATに焦点を当てるという提案がいくつか出された。) 上記(1)及び(2)の記載並びに当業者の技術常識を考慮すると、E-UTRA RATとはLTEで用いられるラジオアクセステクノロジであることは技術常識であるから、「LTEと5GのRATの両方を同時に使用してデータ伝送(デュアルコネクティビティ)を行う」ことは、周知技術(以下、「周知技術」という。)である。 第5 対比 本願発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。 1 引用発明の端末装置は、本願発明の「ユーザ装置」に対応することは明らかなので、引用発明の「端末装置」は、本願発明の「ユーザ装置」に相当する。 2 引用発明は、端末装置が基地局装置へ端末能力情報を通知する方法であって、引用発明の端末装置は、基地局装置と、複数のLTE_Carrierおよび複数のWCDMA_Carrierを同時に使用して通信(キャリアアグリゲゲーション)を行い、データの送受信を行うものであり、LTE_Carrier及びWCDMA_Carrierは、それぞれ用いられる無線通信方式が採用される無線通信システム上で用いられるものであることは技術常識であるから、LTE_Carrierは、LTE無線通信システム上で用いられるものであり、また、WCDMA_Carrierは、LTEとは異なるWCDMA無線通信システム上で用いられるものであるといえる。 そうすると、引用発明の端末装置は、LTEとは異なるWCDMA無線通信システム及びLTE無線通信システムの基地局装置と無線信号を送受信するものであるといえる。 一方、本願発明のユーザ装置はLTEとは異なるNR無線通信システムの無線信号をNR基地局と送受信するものであって、また該ユーザ装置はLTE無線通信システムのLTE基地局と無線信号を送受信するものであるから、本願発明と引用発明のユーザ装置は、引用発明のユーザ装置が、LTEとは異なるWCDMA無線通信システム及びLTE無線通信システムの基地局装置と無線信号を送受信するもの、すなわち、LTEとは異なるの無線通信システムとLTE無線通信システムとで無線信号を送受信可能なの基地局装置で構成されるものであって、LTEとは異なる無線通信システムの基地局装置とLTE無線通信システムの基地局装置とのそれぞれの基地局で構成されてるものと無線信号を送受信するものではないものの、「LTEとは異なる無線通信システム及びLTE無線通信システムの基地局と無線信号を送受信するステップ」と同等の機能を備えているステップである点で共通する。 3 引用発明の端末装置は、セルサーチによって先に検出されたWCDMA又はLTEを通じて、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報をUE Capabilityの一部として基地局装置へ通知するものであり、引用発明の端末装置は、複数のLTE_Carrierおよび複数のWCDMA_Carrierを同時に使用して通信するものであるから、複数の無線通信方式のうち一つは、LTE無線通信方式であり、またもう一つはLTEとは異なるWCDMA無線通信方式であって、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報は、同時通信に関する能力情報であるといえる。そして、引用発明の端末装置は、セルサーチによって先に検出されたWCDMA又はLTEを通じて、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報を基地局装置へ通知するものであるから、該通知は、LTEとは異なるWCDMA無線通信方式又はLTE無線通信方式によって基地局装置に対して通知されるものであるといえる。ここで、無線通信方式は、無線通信システム上で用いられるものであることは技術常識であるから、LTE無線通信方式は、LTE無線通信システム上で用いられるものであり、また、LTEとは異なるWCDMA無線通信方式は、LTEとは異なる無線通信システム上で用いられるものであるといえる。 そうすると、引用発明の端末装置は、LTEとは異なる無線通信システム及びLTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報をLTEとは異なるWCDMA無線通信システム及びLTE無線通信システムの基地局装置に通知するものである。 一方、本願発明のユーザ装置も、LTEとは異なるNR無線通信システム及びLTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報をLTEとは異なる基地局又はLTE基地局に通知するものであるから、本願発明と引用発明は、引用発明の端末装置が、能力情報をLTEとは異なるWCDMA無線通信システム及びLTE無線通信システムの基地局装置に通知するものであって、当該能力情報を、LTEとは異なる無線通信システムの基地局装置又はLTE無線通信システムの基地局装置に通知するものでないものの、「LTEとは異なる無線通信システム及びLTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報を基地局に通知するステップ」を有する点で機能上共通する。 4 引用発明の端末能力情報は、上記「3」で述べたとおり、LTEとは異なる無線通信システム及びLTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報であるといえる。 そして、引用発明の端末能力情報は、WCDMAとLTEとを合わせてキャリアアグリゲーション可能な最大のCarrier数を含むものであり、例えば、LTEにおいてキャリアアグリゲーションを行うCarrierの対象はCC(コンポーネントキャリア)であるから、引用発明の端末能力情報が示すキャリアアグリゲーション可能な最大のCarrier数とはコンポーネントキャリア数であるといえる。そして、コンポーネントキャリア数が、最大データレートに関連することは技術常識であるから、引用発明の端末能力情報が、WCDMAとLTEとを合わせてキャリアアグリゲーション可能な最大のCarrier数を含むものであることとは、引用発明の端末能力情報が、LTEとは異なる無線通信システム及びLTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報であって、端末装置の最大データレートに関連するものであるといえる。 一方、本願発明の能力情報は、上記「3」で述べたとおり、LTEとは異なるNR無線通信システム及びLTE無線通信システムとの同時通信に関するものであり、ユーザ装置の最大データレートに関連するものである。 そうすると、本願発明と引用発明は、「LTEとは異なる無線通信システム及びLTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報は、端末装置の最大データレートに関連する」点で共通する。 5 引用発明の端末装置が基地局装置へ端末能力情報を通知する方法は、通知する方法が通信によるものであることは明らかであるから、端末装置の通信方法であるといえる。 そうすると、本願発明と引用発明は「ユーザ装置の通信方法」という点で共通する。 以上を総合すると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。 (一致点) 「LTEとは異なる無線通信システム及びLTE無線通信システムの基地局と無線信号を送受信するステップと、 LTEとは異なる無線通信システム及びLTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報を基地局に通知するステップと、 を有し、 LTEとは異なる無線通信システム及びLTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報は、端末装置の最大データレートに関連する、 ユーザ装置の通信方法。」 (相違点1) LTEとは異なる無線通信システムが、本願発明では、「NR無線通信システム」であるのに対し、引用発明では、「WCDMA_Carrierを使用して通信する」無線通信システムである点。 (相違点2) LTEとは異なる無線通信システム及びLTE無線通信システムの基地局と無線信号を送受信するステップ及びLTEとは異なる無線通信システム及びLTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報を基地局に通知するステップに関して、本願発明ではユーザ装置が「NR無線通信システムのNR基地局及びLTE無線通信システムのLTE基地局と送受信を行う」ものであって、「NR無線通信システムのNR基地局又はLTE無線通信システムのLTE基地局にNR無線通信システム及びLTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報を通知する」ものであるのに対し、引用発明では端末装置が「基地局装置と複数のLTE_Carrierおよび複数のWCDMA_Carrierを同時に使用して通信(キャリアアグリゲゲーション)を行」うものであり、引用発明の端末装置は、「セルサーチによって先に検出されたWCDMA又はLTEを通じて、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報をUE Capabilityの一部として基地局装置へ通知」するものであって、該基地局装置が、WCDMA無線通信システムとLTE無線通信システムそれぞれの無線通信システムの基地局装置として存在するものであるのかが特定されておらず、基地局装置がそれぞれの無線通信システムの基地局装置として存在した場合、「複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報」がいずれの基地局装置に対して通知されるものであるのか特定されていない点。 第6 判断 1 相違点1について 上記「第4」、「2 周知技術について」で述べたとおり、「LTEと5GのRATの両方を同時に使用してデータ伝送(デュアルコネクティビティ)を行う」ことは周知技術である。また、5GとNRは同じRATを表すものであることは技術常識である。そして、引用文献1の【0003】に、「HSDPA_CarrierおよびLTE_Carrierを同時に使用して通信を行う技術が検討されている」と記載されるように、異なる無線通信方式を同時に使用して通信する技術が検討されるところ、新たな無線通信方式を採用することによって、より改善された無線通信システムを構築することは、当業者が適宜なし得ることである。そうすると、引用発明のWCDMAを用いた無線通信システムに代えて、より高速、低遅延通信の可能な無線通信システムであるNR無線通信システムを採用することは、当業者が適宜なし得ることである。 よって、相違点1は当業者が適宜なし得ることである。 2 相違点2について 上記「第4」、「1 引用文献1について」、「オ」に技術事項として記載したとおり、引用文献1には、「無線通信システムの基地局装置を、WCDMAとLTEとで無線信号を送受信可能な基地局装置に代えて、WCDMA基地局装置とLTE基地局装置とすること。」が記載されている。また、引用発明は、「端末装置は、セルサーチによって先に検出されたWCDMA又はLTEを通じて、複数の無線通信方式を同時に使用して通信することが可能であるか否かを示す端末能力情報をUE Capabilityの一部として基地局装置へ通知」するものであるから、無線通信システムの基地局装置を、WCDMAとLTEとで無線信号を送受信可能な基地局装置に代えて、WCDMA基地局装置とLTE基地局装置とすること、その際に、端末装置は、端末能力情報をWCDMA又はLTEを通じて、各々の基地局装置へ通知することは当業者が容易に想到し得たことである。なお、端末装置と、WCDMAとLTEとで通信可能な基地局装置との通信では、端末能力情報は、セルサーチによって先に検出されたWCDMA又はLTEを通じて基地局装置に通知されるものであるところ、当該構成に代えて、WCDMA基地局装置とLTE基地局装置とする構成を採用した場合、すなわち、単一の通信規格を備えた複数の装置として構成した場合にも、端末装置がセルサーチを行うことに変わりはなく、各基地局装置と無線信号を送受信し、端末能力情報を先に検出されたWCDMA基地局装置とLTE基地局装置のいずれかに通知する構成とすることは当業者にとって通常のことである。また、採用する無線通信システムをWCDMA基地局装置に代えてNR基地局とすることは、相違点1で検討したとおり、当業者が適宜なし得ることであり、NR無線通信システムを採用するに伴ってLTEとは異なる無線通信システムの基地局をNR基地局とすることは、当業者に自明のことである。 よって、相違点2は当業者が適宜なし得ることである。 3 審判請求人の主張について 審判請求人は、令和4年4月11日に提出された審判請求書において、本願発明と引用発明は「「前記NR無線通信システム及び前記LTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報を前記NR基地局又は前記LTE基地局に通知する能力情報通知部」を有し、「前記NR無線通信システム及び前記LTE無線通信システムとの同時通信に関する前記能力情報は、前記ユーザ装置の最大データレートに関連する」構成を有するのに対し、引用発明では、このような記載はない点。」で相違すると主張している。 しかしながら、「前記NR無線通信システム及び前記LTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報を前記NR基地局又は前記LTE基地局に通知する」点については、上記「1」で検討したとおり、LTEと同時に使用する無線通信方式をWCDMAに代えてNRとすることは、当業者が適宜なし得ることであるし、「前記NR無線通信システム及び前記LTE無線通信システムとの同時通信に関する前記能力情報は、前記ユーザ装置の最大データレートに関連する」点については、上記「第5」「4」に述べたとおり、引用発明の端末能力情報は、WCDMAとLTEとを合わせてキャリアアグリゲーション可能な最大のCarrier数を含むものであり、例えば、LTEにおいてキャリアアグリゲーションを行うCarrierの対象はCC(コンポーネントキャリア)であるから、引用発明の端末能力情報が示すキャリアアグリゲーション可能な最大のCarrier数とはコンポーネントキャリア数であるといえ、コンポーネントキャリア数が、最大データレートに関連することは技術常識であるから、引用発明の端末能力情報が、WCDMAとLTEとを合わせてキャリアアグリゲーション可能な最大のCarrier数を含むものであることとは、引用発明の端末能力情報が、LTEとは異なる無線通信システム及びLTE無線通信システムとの同時通信に関する能力情報であって、端末装置の最大データレートに関連するものであるといえる。 よって、いずれの点についても、審判請求人の主張を採用することはできない。 また、請求人は令和4年8月22日に提出された上申書において、特許請求の範囲の請求項1について、補正案を示し補正する機会を求めている。 しかしながら、「第5」「第6」で検討したとおり、本願発明は、引用発明並びに技術事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。よって、補正の機会を再度与える合理的な理由を見出すことはできない。 3 まとめ 以上のとおりであるから、本願発明は引用発明並びに技術事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明並びに技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-005336

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