商標拒絶査定不服審判
2022-005304
ギュータンスタンド、スタンド
- 審判番号
- 2022-005304
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-082550
- 請求日
- 2022年04月08日
- 審決日
- 2023年02月14日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社陣中
- 【請求人代理人】弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 飯田 亜紀
- 分類
- T18 .13 -Z (W293043)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020- 82550拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年7月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 7月 9日付け:拒絶理由通知書
令和3年 8月23日 :意見書の提出
令和4年 1月 4日付け:拒絶査定
令和4年 4月 8日 :審判請求書の提出
令和4年 9月14日付け:証拠調べ通知
令和4年10月27日 :意見書の提出
2 本願商標
本願商標は、「牛タンスタンド」の文字を標準文字で表してなり、第29類「牛タン焼き用肉製品」、第30類「弁当」及び第43類「牛タンを含む弁当を主とする飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、「本願商標は、「牛タンスタンド」の文字を標準文字で表してなり、その構成中の「牛タン」の文字は「牛の舌の肉。」の意味を、「スタンド」の文字は「街角や駅にある売店。立ったまま飲食する店。屋台店。スタンド-バーの略。」(いずれも「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)の意味を有する慣れ親しまれた語であり、本願商標は全体として、その指定商品及び指定役務との関係において、「牛タン(に係る商品)を取り扱う店」程の意味合いを理解させる。そして、飲食物を取り扱う業界において、例えば、「馬肉スタンド」、「ビーフスタンド」等「○○(に係る商品)を取り扱う店」(○○には普通名称が入る。)を指称して、「○○スタンド」の語が使用されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「牛タン(に係る商品)を取り扱う店」、すなわち、当該商品の販売場所又は当該役務の提供場所を認識するにとどまり、自他商品及び自他役務の識別標識として認識し得ないというのが相当である。したがって、本願商標は、商品の品質及び役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
4 当審における証拠調べ通知
審判長は、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和4年9月14日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
5 証拠調べに対する請求人の意見(要旨)
(1)牛タンは高級食材であり、調理前の牛の一部位を指すことから、調理済みのものを気軽に「短時間でさっと食べることを目的とした食材」とは言い難く、「スタンド」という、短時間で飲食する「立ち食い店」「屋台」を意味する一般大衆向けの名称と、「牛タン」という、調理前の牛肉の一部位を指す語との組み合わせは不自然なものと認識されることから、一般需要者は、本願商標が指定商品の「品質表示である」と認識することは考え難く、生の食材の「牛タン」と「スタンド」を組み合わせた「牛タンスタンド」は特異な結合語であるため、造語性の高い語である。
(2)一般的な辞書等において、「牛タンスタンド」一連の語句の説明は掲載されていない上、インターネット検索をしても、どの商品分野においても、記述的な用語として使用されている様子は伺えず、むしろ出願人(請求人)の使用例のみがヒットし、他人の使用が確認できないことから、本願商標は、「取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するもの」とはいえない。
(3)請求人は、一つの食材(牛タン)に特化した販売形態で、本願商標を付した商品の販売数量は、2017年度は、1万個に満たなかったが、2020年度には、弁当、物販合わせて36万個を超え、売上金額は総計で約2億7千万円と3年という短期間に躍進している(甲21)。2022年4月には、4店舗目となる「牛タンスタンド 利府店」をオープンしており(甲24)、本願商標は、請求人を出所として識別する機能を果たしている。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記2のとおり「牛タンスタンド」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「牛タン」の文字は「牛の舌の肉」を意味する語として、「スタンド」の文字は「街角や駅にある売店。立ったまま飲食する店。屋台店。」を意味する語(いずれも「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)として、いずれも広く一般に親しまれており、その構成全体からは「牛タンを販売する街角や駅にある売店」、「牛タンを立ったまま飲食する店」、「牛タンの屋台店」程の意味合いを容易に認識し得るものである。
そして、本願の指定商品及び指定役務との関係において、飲食料品や飲食物の提供を取り扱う業界では、原審において示した事実(別掲1)及び証拠調べ通知において示した事実(別掲2)によれば、「スタンド」の文字が、商品名、役務の質(料理名)(以下「○○」という場合がある。)の名称と結合し、「○○スタンド」として、「○○(に係る商品)を販売する店」、「○○料理を立ったまま飲食する店」若しくは「○○料理を提供する店」程の意味合いで使用されている実情が認められる。
そうすると、本願商標を、その指定商品及び指定役務に使用する場合は、これに接する取引者、需要者に、「牛タン(に係る商品)を取り扱う店」、「牛タン弁当を取り扱う店」、「牛タンを含む弁当を主とする立ったまま飲食する形式による飲食物の提供」及び「牛タンを含む弁当を主とする飲食物の提供」という商品の販売場所、品質及び役務の提供の場所、質(内容)を表示したものと認識、理解させるにとどまり、本願商標は、自他商品及び自他役務の識別標識として認識されることはないというべきである。
したがって、本願商標は、商品の販売場所、品質及び役務の提供の場所、質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、牛タンは高級食材であり、調理前の牛の一部位を指すことから、調理済みのものを気軽に「短時間でさっと食べることを目的とした食材」とはいい難く、「スタンド」という、短時間で飲食する「立ち食い店」、「屋台」を意味する一般大衆向けの名称と、「牛タン」という、調理前の牛肉の一部位を指す語との組み合わせは不自然なものと認識されることから、一般需要者は、本願商標が指定商品の「品質表示である」と認識することは考え難く、生の食材の「牛タン」と「スタンド」を組み合わせた「牛タンスタンド」は特異な結合語であるため、造語性の高い語である旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する「牛タン」及び「スタンド」の各文字は、前記(1)のとおり、「牛の舌の肉」及び「街角や駅にある売店。立ったまま飲食する店。屋台店。」を意味する語として、いずれも広く一般に親しまれているものであり、また、「牛タン」の文字が、牛タン弁当や牛タン料理など、食材や料理名として広く一般に親しまれていることから、別掲1及び別掲2に示す「馬肉スタンド」、「チキンスタンド」、「焼肉スタンド」、「ステーキスタンド」等と同様に、食材又は料理名との組み合わせからなるものと理解されるというのが自然である。
イ 請求人は、一般的な辞書等において、「牛タンスタンド」一連の語句の説明は掲載されていない上、インターネット検索をしても、どの商品分野においても、記述的な用語として使用されている様子は伺えず、むしろ出願人(請求人)の使用例のみがヒットし、他人の使用が確認できないことから、本願商標は、「取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するもの」とはいえない旨主張する。
しかしながら、本願商標を使用しているのが請求人のみであるとしても、「牛タン」の文字が「牛の舌の肉」を意味する語として広く一般に親しまれ、かつ、牛タン弁当や牛タン料理など、食材や料理名としても広く一般に親しまれていること、そして、商品名、役務の質(料理名)の名称と結合し、「○○スタンド」として、「○○(に係る商品)を販売する店」、「○○料理を立ったまま飲食する店」若しくは「○○料理を提供する店」程の意味合いで使用されている事実があることは前記(1)のとおりであり、さらに、牛タンに関する商品、牛タン弁当及び牛タン料理を提供する者は請求人以外にも存在することを踏まえると、本願商標が、「取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するもの」とはいえないとはいい難い。
ウ 請求人は、一つの食材(牛タン)に特化した販売形態で、本願商標を付した商品の販売数量は、2017年度は、1万個に満たなかったが、2020年度には、弁当、物販合わせて36万個を超え、売上金額は総計で約2億7千万円と3年という短期間に躍進し(甲21)、2022年4月には、4店舗目となる「牛タンスタンド 利府店」をオープンしており(甲24)、本願商標は、請求人を出所として識別する機能を果たしている旨主張する。
しかしながら、提出された資料からは、請求人が本願商標をその指定商品及び指定役務に使用している事実はうかがえるものの、牛タン焼き用肉製品及び牛タン弁当を販売する者や牛タン料理を提供する者は請求人以外にも存在するところ、請求人の主張する売上高について、その多寡を客観的に評価し得る市場占有率等を具体的に裏付ける証拠の提出はなく、また、宣伝、広告などの詳細は不明であることから、当該提出された資料のみをもって、本願商標が、請求人を出所として識別する機能を果たしているということはできない。
エ 請求人は、過去の登録例や審決例を挙げ、本願もこれらと同様に判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本件については前記(1)のとおりであるから、請求人の挙げた登録例があることが、本件の判断を左右するものではない。
オ したがって、上記アないしエの請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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