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特許拒絶査定不服審判

2022-004147

産業用ロボット操作装置

審判番号
2022-004147
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-121491外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年03月18日
審決日
2023年03月22日
公報発行日
2023年06月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (B25J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-121491「産業用ロボット操作装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年10月14日出願公開、特開2021-164990〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 22項目
理 由

第1 手続の経緯

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本件出願は、平成26年9月19日に特許出願した特願2014-191640号の一部を、平成30年8月2日に新たな特許出願とした特願2018-145867号の一部を、令和2年4月27日に新たな特許出願とした特願2020-78261号の一部を、更に令和3年7月26日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

令和3年 8月27日付け:拒絶理由の通知
令和3年10月29日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年12月13日付け:拒絶査定
令和4年 3月18日 :拒絶査定不服審判の請求
当該審判の請求と同時 :手続補正書の提出
令和4年10月13日付け:当審による拒絶理由の通知
令和4年12月13日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本件発明

本件出願の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、令和4年12月13日に提出の手続補正書により補正(以下「本件補正」という。)された特許請求の範囲の請求項1に記載された、以下の事項により特定されるとおりのものと認める。

「【請求項1】
作業者による入力操作に基づいてロボットを動作させるための動作用信号を出力してロボットコントローラに与える産業用ロボット操作装置であって、
表示・入力のためのタッチパネル部を有し、当該タッチパネル部を作業者が入力操作することにより前記動作用信号を出力する携帯可能な操作端末と、
前記操作端末を着脱可能で且つ前記タッチパネル部が外部に露出するように配置するベース部材とを備え、
前記ベース部材は、前記操作端末の裏面に対向する底板において、前記操作端末の長手方向から見た中央部より立設され、作業者が一方の手で入力操作を行う際に他方の手によって把持されるグリップ部と、
前記グリップ部を把持した状態で、当該グリップ部を把持している手によって操作可能な位置に設けられ、前記底板と平行な方向に操作されるイネーブルスイッチと、
前記操作可能な位置とは異なる位置であり、前記グリップ部を把持していない方の手で操作できる位置に設けられた非常停止スイッチとを有している産業用ロボット操作装置。」(下線は、本件補正の際に本件審判請求人が付したものである。)

第3 当審拒絶理由

当審が令和4年10月13日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、以下のとおりである。

<当審拒絶理由の概要>

本件補正前の請求項1に係る発明は、以下の引用文献1記載の発明、並びに、引用文献2及び/又は引用文献3記載の技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:国際公開第2014/127822号
引用文献2:米国特許第6708887号明細書
引用文献3:特表2006-502471号公報

第4 各引用文献記載の発明又は技術的事項

1 引用文献1

(1)引用文献1に記載された事項

当審拒絶理由にて引用した引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。ページ番号及び行番号は文献に付された番号に基づく。)。

ア Field of the invention(発明の分野)

「The present invention relates to ・・・ the industrial robot system.」(明細書第1ページ第8~12行)

<当審日本語訳>

「本発明は、複数の軸部にて可動するマニピュレータと、ロボットコントローラと、前記ロボットコントローラに接続されたイネーブルユニットを備えた産業用ロボットシステムに関するものであって、ロボットのジョグ動作を稼働させるイネーブルスイッチを含むものである。また、本発明は、産業用ロボットシステムを制御するための方法に関する。」

イ Prior Art(従来技術)

「An industrial robot includes a robot controller and a manipulator,・・・then jogging of the robot from the teach pendant is often restricted.」(明細書第1ページ第15行~第2ページ第11行)

<当審日本語訳>

「産業用ロボットは、ロボットコントローラとマニピュレータを備えており、所定の動作経路に沿った作業を実行するようにプログラムされる。ロボットに作業をプログラムする又は教示するために、マニピュレータは、手動で所望の動作経路に沿った位置に移動される。これらの位置は、ロボットコントローラのメモリ内に指示として保存される。この指示された位置を使用することで、ロボットプログラムが生成される。ロボット動作中に、ロボットプログラムが実行され、マニピュレータが所望のように作動する。
ロボットのオンラインまたはティーチインでのプログラミングのための現在の慣行は、一般的にティーチ・ペンダント・ユニット(TPU)と表される、携帯用のユーザ操作用のクライアント装置を使用して、マニピュレータを経路に沿って手動で移動させることによって、ロボットに動作経路を教示することを必要とする。マニピュレータを手動で動作させることを、通常、マニピュレータをジョグ動作すると呼んでいる。ロボットに教示する者は、オペレータまたはユーザと表される。今日、市販されるほとんど全てのロボットコントローラはティーチ・ペンダント・ユニットを備えており、ティーチ・ペンダント・ユニットは、典型的にはロボットをジョグ動作する又はプログラミングするための装置として定義される。ティーチ・ペンダント・ユニットは、オペレータのコントロール手段、例えば、ジョイスティック、ボール、一連のボタンを備えており、オペレータは、ロボットの動きを指示するためにそれらのコントロール手段を用いる。ティーチ・ペンダント・ユニットは、さらに視認用ディスプレイユニット、非常停止ボタン、及びイネーブル装置を備え、また、モード切替え装置を含むこともある。イネーブル装置は、例えば、デッドマンスイッチやプッシュボタンであり、ティーチ・ペンダント・ユニットによりロボットの手動制御を可能にするために、オペレータによって押圧されなければならないものである。TPUは、マニピュレータに対するユーザ指示動作に関する情報を生成して、そのジョグ情報とイネーブル装置の状態に関する情報をロボットコントローラに送信する。ロボットコントローラは、ティーチ・ペンダント・ユニットから受信したジョグ情報に基づき、イネーブル装置の状態に応じて、マニピュレータの動作を制御する。このティーチ・ペンダント・ユニットは、また、ロボットプログラムを監視するために、プログラム中の任意の変数を変更するために、プログラムを起動、停止及び編集するために、または、例えば手動操作と自動操作といった異なる制御モード間での切替えをするために、使用することができる。
産業用ロボットは、手動モードでも自動モードでも作動することができる。ロボットコントローラには、手動モードと自動モードとの間で切り替えるためのスイッチが設けられる。ロボットが自動モードにあるとき、ロボットの動作は、ロボットコントローラ上で実行される制御プログラムに従って制御される。ロボットが手動モードにあるとき、ロボットの動作は、ティーチ・ペンダント・ユニットによって制御される。ロボットが自動モードに切り替えられると、ティーチ・ペンダントからのロボットのジョグ動作は制限される。」

ウ Object and summary of the invention(発明の目的および概要)

(ア)「One object of the present invention is ・・・ without the need of a teach pendant unit for teaching and programming the robot.」(明細書第3ページ第20~22行)

<当審日本語訳>

「本発明の目的の1つは、産業用ロボットシステムの費用およびメンテナンスを削減することである。本発明のもう1つの目的は、ロボットに教示し、プログラミングするためのティーチ・ペンダント・ユニットを必要とすることのないロボットシステムを提供することである。」

(イ)「The industrial robot system comprises a manipulator movable ・・・ as well as providing an easier-to-use system.」(明細書第3ページ第27行~第5ページ第11行)

<当審日本語訳>

「産業用ロボットシステムは、複数の軸部にて可動するマニピュレータ、自動モード時にロボット制御プログラムに基づくとともに手動モード時に操作命令に基づいてマニピュレータの動作を制御するように構成されたロボットコントローラ、ロボットコントローラに接続されロボットのジョグ動作を稼働させるイネーブル装置を含むイネーブルユニットを備え、かつ、イネーブルユニットは、イネーブル装置の状態に関する情報をロボットコントローラに送信するように構成されている。ロボットコントローラは、イネーブルユニットからイネーブル装置の状態に関する情報を受信するように構成されている。当該システムは、さらに、ロボットコントローラと通信するように適合された少なくとも2つの汎用装置であって、汎用装置のそれぞれは、マニピュレータのジョグ動作を可能にするように適合されたユーザインタフェースと、手動モード時にロボットの制御を引き継ぐためにロボットコントローラに承認要求を送信するように構成された承認ハンドラと、ユーザインタフェースによるユーザの指示に応答してロボットコントローラに操作命令を送信するように構成された操作命令モジュールとを含む。イネーブルユニットと汎用装置とは別個の装置であって、それぞれ個々のハウジングに収納されている。ロボットコントローラは、汎用装置からの承認要求を受信し、認証要求に対して許可又は拒絶し、汎用装置から操作命令を受信し、かつ、手動モード時にはイネーブル装置の状態に応じて受信した操作命令に基づいたマニピュレータの動作を制御するように構成されるとともに、手動モード時に操作命令を送信する汎用装置にロボットを制御させることを承認する。
ティーチ・ペンダント・ユニットは、用途に特化したデバイスであり、産業用ロボットの制御に関連して使用することができるのみである。汎用装置は、多数の用途で使用することができる装置であり、特殊な用途のために設計されたものではない。本発明に使用される汎用装置には、ユーザからの入力、例えば、キーボード、ボタン、タッチスクリーン、ポインティングデバイス、音声、視線、又はジェスチャー等からの入力を受信して、入力を評価する機能を備える必要がある。さらに、本発明に使用される汎用装置には、例えば、アプリケーションのようなソフトウェア・モジュールをダウンロードすることで、機能を追加することが可能である必要がある。本発明に使用される汎用装置に追加されるべき機能は、手動モード時に制御を引き継ぐために承認を要求する能力、及びマニピュレータをジョグ動作する能力である。
本発明によれば、クライアント装置には、例えば、ユーザが当該装置に操作指示を入力することを可能にするなど、マニピュレータのジョグ動作を可能にするようユーザインタフェースを適合させるソフトウェアが備えられている。マニピュレータをジョグ動作することを可能にするために、汎用装置は、ユーザインタフェースとのユーザ対話に応じて、マニピュレータのジョグ動作を可能とし、操作命令をロボットコントローラに送信するように、当該装置の既存のユーザインタフェースを適合させるソフトウェアモジュールを備える。ソフトウェアモジュールは、汎用装置上で動作している。これにより、クライアントデバイス上の既存のユーザインタフェースは、マニピュレータをジョグ動作するために使用することができる。ソフトウェアモジュールは、例えばインターネットから、ロボットコントローラ自身から、またはその他の供給元から、汎用装置によって簡便にダウンロードすることができる。本発明は、マニピュレータをジョグ動作するために、マニピュレータをジョグ動作するための適切なソフトウェアを備えた、例えばスマートフォン、タブレット、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、パーソナルコンピュータ、パネルコンピュータ、対話式眼鏡、ジェスチャー認識ユニットなどの汎用装置を使用することを可能とするものである。汎用装置を使用することにより、入手可能かつ安易にアクセス可能なハードウエアを活用することとなるため、ロボットシステムのコストを低減することができる。ロボットは、汎用装置上のタッチスクリーンやボタンなど、汎用装置の既存のユーザインタフェースにより、ジョグ動作される。このようにして、ユーザインタフェースを有する任意の汎用装置からロボットのジョグ動作を提供することができる。
本発明は、ティーチ・ペンダントを必要としない完全なロボットシステムを提供するために、ロボットコントローラと、電話、PC、パネル、およびタブレットのような汎用装置とを構築する方法を示している。ロボットコントローラには、汎用装置とイネーブルユニットとを協働させ、両者でティーチ・ペンダント・ユニットとしての機能を満足するように調整するためのソフトウェアが備えられている。このように、ロボットシステムは、ティーチ・ペンダント・ユニットを必要としない。これは、エンドユーザ及び製造者にとって、費用の節減になるとともに、より使いやすいシステムを提供することになる。」

(ウ)「According to an embodiment of the invention, ・・・the general purpose device with the other hand.」(明細書第6ページ第19~24行)

<当審日本語訳>

「本発明の一実施形態によれば、汎用装置は手持ち式であって、例えば、スマートフォン、卓上コンピュータ、及び携帯情報端末(PDA)などである。ジョグ動作を容易にするために、手持ち式の汎用装置を使用することが有利である、なぜなら、マニピュレータをジョグ動作する際に、当該装置をオペレータが容易に保持することができるためである。例えば、オペレータは、一方の手でイネーブルユニットを、他方の手で汎用装置を操作することができる。」

(エ)「According to an embodiment of the invention, ・・・when the robot is manually controlled at a local site.」(明細書第9ページ第33行~第10ページ第9行)

<当審日本語訳>

「本発明の一実施形態によれば、イネーブルユニットは、2つの装置を1つのユニットとして取り扱うことを可能とするために、汎用装置の1つを着脱可能に取り付けることができるように設計されている。あるいは、本システムは、2つの装置を1つのユニットとして取り扱うことを可能とするために、イネーブルユニットを汎用装置の1つに着脱可能に取り付けるために配置された締結手段を含んでいる。イネーブルユニットと汎用装置とは、個別に独立したハウジング内に配置されるが、必要が生じたときに、迅速な着脱を可能にする単一のユニットとして2つの装置を取り扱うことが可能となるように、適切な機械的締結手段によって互いを取り付けることができる。例えば、イネーブルユニットは、1つの汎用装置のホルダまたはドッキングユニット(当審注:docketingはdockingの誤記と解される。)として設計されている。例えば、締結手段は、イネーブルユニットと汎用デバイスのうちの1つを受けるよう設計された棚を含んでもよい。あるいは、イネーブルユニットが汎用装置を物理的に受けるように構成されたドッキングステーションを備えてもよい。これは、一人のオペレータによりイネーブルユニットと汎用装置とを取り扱うことを容易にする。本実施形態は、現地でロボットを手動制御するときに都合がよい。」

エ Brief description of the drawings(図面の簡単な説明)

(ア)「Fig.1 shows a first example of an industrial robot system according to the invention.」(明細書第11ページ第31行)

<当審日本語訳>

「図1は、本発明に基づく産業用ロボットシステムの第1の例を示す図である。」

(イ)「Fig.3 shows a second example of an enabling unit designed as a holder for a client device.」(明細書第11ページ第35~36行)

<当審日本語訳>

「図3は、クライアント装置のためのホルダとして設計されているイネーブルユニットの第2の例を示す図である。」

(ウ)「Fig.5 shows a second example of an industrial robot system according to the invention.」(明細書第12ページ第2~3行)

<当審日本語訳>

「図5は、本発明に基づく産業用ロボットシステムの第2の例を示す図である。」

オ Detailed description of preferred embodiments of the invention(本発明の好ましい実施形態の詳細な説明)

(ア)「Figure 1 shows a first example of an industrial robot system ・・・possible to manually control the robot.」(明細書第12ページ第8~19行)

<当審日本語訳>

「図1は、本発明に基づく産業用ロボットシステムの第1の例を示す図である。産業用ロボットは、複数の軸部にて可動するマニピュレータ1と、当該マニピュレータの動作を制御するように構成されたロボットコントローラ2とを備えている。マニピュレータの軸の数は、2つ又はそれ以上であってもよい。ロボットは、例えばフェンスなどの安全装置に囲まれたロボットセル4内に配置される。ロボットコントローラ2は、手動モードと自動モードとの間で切り替えるためのスイッチ5が設けられている。ロボットが自動モードにあるとき、ロボットの動作は、ロボットコントローラ上で実行されている制御プログラムに従って制御される。ロボットが手動モードにあるとき、ロボットの動作は、人間のオペレータによって手動で制御される。ロボットが自動モードに切り替えられた時には、ロボットを手動で制御することがもはやできなくなる。」

(イ)「The industrial robot system further comprises ・・・the enabling unit does not have a joy stick or jog buttons.」(明細書第12ページ第21行~第13ページ第8行)

<当審日本語訳>

「産業用ロボットシステムは、さらに、ロボットコントローラに接続されるイネーブルユニット7を含む。図2は、イネーブル部7の詳細を示している。図3は、異なるイネーブルユニット10の例を示しており、後述する。本実施形態では、イネーブルユニット7は、ワイヤを介してロボットコントローラ2に接続されている。代替的に、イネーブルユニット7は、ロボットコントローラに無線で接続することができる。好ましくは、イネーブルユニットは携帯型であり、手持ち式である。イネーブルユニット7は、ロボットのジョグ動作を可能にするために操作されなければならないイネーブル装置9を備えている。イネーブル装置は、例えば、デッドマンスイッチ又は押しボタンであり、ロボットの手動制御を可能にするためにはオペレータによって押圧されその状態を保持する必要がある。イネーブルユニット7は、イネーブル装置の状態に関する情報をロボットコントローラ2に送信するように構成されている。ロボットコントローラ2は、イネーブルユニット7からイネーブル装置9の状態に関する情報、すなわち、イネーブル装置が操作されているか否かを受信し、手動モード時にイネーブル装置の状態に依存してマニピュレータ1の動作を制御するように構成されている。
イネーブルユニット7は、ロボットコントローラの安全システムに接続することができる。イネーブルユニット7がロボットコントローラの安全システムに接続されると、イネーブルユニットのイネーブル装置9が機能していることを意味する、ロボットのイネーブル機能が起動した状態となる。イネーブル装置が操作され、かつコントローラが手動モードの時に、マニピュレータをジョグ動作することが可能となり、イネーブル装置が作動されるとき、コントローラは手動モードであり、イネーブル装置が操作されず、又はコントローラが自動モードの時に、マニピュレータをジョグ動作することは不能となる。イネーブル機能が起動されると、ロボットコントローラは、イネーブル装置9が押されている場合に、ロボットのジョグ動作を許可することができる。イネーブルユニット7はまた、緊急停止ボタンを備えてもよい。しかし、イネーブルユニット7は、マニピュレータのジョグ動作を可能にするいかなる表示装置やユーザインタフェースを有しておらず、例えば、イネーブルユニットはジョイスティック又はジョグボタンを有していない。」

(ウ)「The system further comprises ・・・be used for jogging the manipulator.」(明細書第13ページ第10~37行)

<当審日本語訳>

「本システムは、さらに、ロボットコントローラと通信することに適合された汎用装置の形態である、ユーザが操作可能な少なくとも2つのクライアント装置を備えている。ロボットコントローラとの通信は、無線または有線を介して行うことができる。クライアント装置の数は変化してもよく、限定されるものではない。クライアント装置は、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、パネルコンピュータ、対話式眼鏡等とすることができる。イネーブルユニット7とクライアント装置とは、別個のデバイスであって、それぞれ個別のハウジング内に収納されている。図1に示される実施例では、1つのクライアント装置は、ロボットセル4内に配置されたスマートフォン8であり、他方のクライアント装置は、ロボットセルの外側に配置されたラップトップコンピュータ6である。
クライアント装置は、マニピュレータをクライアント装置にてジョグ動作することができるようにする追加的なソフトウェアを備えている。各クライアント装置は、ユーザが当該装置に操作指示を入力することを可能とし、ユーザインタフェースとのユーザ対話に応じて、操作命令を生成してロボットコントローラに送信するように、当該装置の既存のインタフェースを構成するように適合させるソフトウェアモジュールを備える。ソフトウェアモジュールは、汎用装置上で動作している。
クライアント装置のそれぞれは、タッチスクリーン、表示装置、キーボード、マウス等のユーザインタフェースを含み、ユーザインタフェースによりユーザはロボットコントローラと通信することを可能にする。クライアント装置のユーザインタフェースは、マニピュレータのジョグ動作を可能にするように適合される。適合のために、クライアント装置は、ユーザインタフェースの手段によってマニピュレータのジョグ動作を可能にするようにユーザインタフェースを構成するソフトウェアを備えたものである。ソフトウェアの設計は、クライアント装置のユーザインタフェースの形式に依存する。これにより、クライアント装置上の既存のユーザインタフェースは、マニピュレータをジョグ動作するために使用することができる。例えば、スマートフォン8のタッチスクリーンと、ラップトップコンピュータ6のディスプレイスクリーン、キーボード及びマウスは、マニピュレータをジョグ動作するために使用することができる。」

(エ)「Although the enabling unit and the client devices are physically separated devices,・・・wake up button 17.」(明細書第14ページ第23行~第15ページ第9行)

<当審日本語訳>

「イネーブルユニットおよびクライアント装置は、物理的に分離された装置であるが、それらは互いに着脱可能に接続することができる。もし、図1に示されるように、クライアント装置がスマートフォン又はタブレット型コンピュータのような携帯可能なものであって、ロボットセル内の1人のオペレータによって使用されるならば、クライアント装置とイネーブルユニットとが、単一のユニットとして2台の装置を取り扱うことを可能とするように、互いに結合されるということには、利点がある。本発明の一実施形態では、ロボットシステムは、例えば、面ファスナによって、クライアント装置をイネーブルユニットに着脱取り付けるための締結手段を備えていてもよい。本発明の別の実施形態では、イネーブルユニットは、クライアント装置をイネーブルユニットとともに使用することを容易にするために、クライアント装置のためのドッキングステーションとして設計される。合体させたイネーブルユニットとクライアント装置とが片手又は両手で保持されると同時にイネーブル装置が保持されるように、タブレットホルダーまたはドッキングステーションは、人間工学的に設計することができる。空いている手または指は、次いで、タブレット端末やスマートフォンなどのクライアント装置のユーザインタフェースを操作するために使用される。イネーブルユニットのホルダ部は、バッテリまたはケーブルによって供給される電力のような駆動要素や、例えば有線および無線イーサネット(登録商標)、HDMA、VGAのようなネットワーク通信およびビデオ通信のための他の通信手段を含むことができる。
図3は、スマートフォン8の形態であるクライアント装置のためのホルダとして設計されているイネーブルユニット10を他の例として示している。イネーブルユニット10は、デッドマンスイッチの形態であるイネーブル装置12と、非常停止ボタン13とを備えている。イネーブルユニット10は、更に、スイッチまたはボタンの形態で確認部材14を備えている。スマートフォン8は、マニピュレータをジョグ動作するために構成されたユーザインタフェースを表示するタッチスクリーン16を備えている。オペレータは、スクリーン16に表示されたユーザインタフェースと対話することにより、ロボットをジョグ動作させる。スマートフォンには、更に、ウェークアップボタン17が設けられている。」

(オ)「Figure 5 shows an example of an industrial robot system,・・・to the robot controller connected to the enabling unit.」(明細書第19ページ第16~28行)

<当審日本語訳>

「図5は、本発明にしたがった産業用ロボットシステムであって、3台のロボットと、それぞれのロボットのマニピュレータと、ロボットコントローラとを含む産業用ロボットシステムの例を示している。本ロボットシステムは、3つのマニピュレータ1a~cと、マニピュレータのうちの1つの動作をそれぞれ制御する3つのロボットコントローラ2a~cを含む。各ロボットコントローラは、そのコントローラに接続されたマニピュレータの手動制御を可能とするためのイネーブルユニット10a~cに接続されている。各ロボットコントローラは、セッション・ハンドラが設けられている。このシステムは、さらに、スマートフォン8a~cの形態である複数のクライアント装置を備えており、クライアント装置は、マニピュレータをジョグ動作するための、また、手動モード時にロボットの制御を引き継ぐための承認のためロボットコントローラに要求を送信するための追加的なソフトウェアを備えている。オペレータは、マニピュレータのいずれかをジョグ動作するために自身のスマートフォンを使用することができる。オペレータがシステム内の別のロボットをジョグ動作させたいなら、そのオペレータは、別のロボットのイネーブルユニットを使用し、イネーブルユニットに接続されているロボットコントローラにロボットの制御を引き継ぐ承認要求を送信することさえすればよい。」

カ 図面

(ア)Fig.1(図1)

「
[図:0001397783000001.jpg]
」

(イ)Fig.3(図3)

「
[図:0001397783000002.jpg]
」

(ウ)Fig.5(図5)

「
[図:0001397783000003.jpg]
」

(2)引用文献1の記載からわかること

上記(1)に示した引用文献1に記載された事項から次のことがわかる。

ア 上記(1)ア~ウ及びオから、引用文献1には、ロボットに作業をプログラム又は教示するにあたり、システムをより使いやすく、かつ、費用を節減するために、産業用ロボットの操作に特化したティーチ・ペンダント・ユニット(TPU)に代えて、例えばスマートフォンや携帯情報端末(PDA)等の汎用装置と、デッドマンスイッチやプッシュボタンからなるイネーブル装置を含むイネーブルユニットとを協働して使用する技術が記載されていることがわかる。

イ 上記(1)ウ(エ)、(1)エ(イ)~(ウ)、(1)オ(エ)及び(1)カ(イ)~(ウ)から、引用文献1には、図3及び5に示される第2の例として、汎用装置であるスマートフォン8と、イネーブル装置12を含むイネーブルユニット10と、を着脱可能に取り付けた単一のユニットとするために、イネーブルユニット10をスマートフォン8のホルダとし、合体させたスマートフォン8とイネーブルユニット10とを片手で保持しながらイネーブル装置12を押圧保持できるように、人間工学的に設計した態様が記載されていると理解できる。

ウ 上記(1)ウ(イ)及び(1)オ(ウ)~(エ)から、引用文献1における、第1及び第2の例にて使用されるクライアント装置としての汎用装置であるスマートフォン8は、手持ち式であって、表示・入力のための既存のユーザインタフェースであるタッチスクリーン16を有しており、タッチスクリーン16を介してオペレータにより操作指示を入力することができ、当該操作指示に基づいて産業用ロボットのマニピュレータ1を動作させるための操作命令を生成して、ロボットコントローラ2に送信することができることがわかる。

エ 上記(1)ウ(エ)、(1)エ(イ)、(1)オ(エ)及び(1)カ(イ)から、引用文献1において第2の例として示されたイネーブルユニット10は、上記(1)オ(エ)の、「空いている手または指は、次いで、タブレット端末やスマートフォンなどのクライアント装置のユーザインタフェースを操作するために使用される。」との記載や、「スマートフォン8は、マニピュレータをジョグ動作するために構成されたユーザインタフェースを表示するタッチスクリーン16を備えている。」との記載、及び、上記カ(イ)に示される図3から、スマートフォン8のタッチスクリーン16が外部に露出するように、スマートフォン8を着脱可能に取り付けることがわかる。

オ 上記(1)オ(エ)の「合体させたイネーブルユニットとクライアント装置とが片手・・・で保持されると同時にイネーブル装置が保持されるように、タブレットホルダーまたはドッキングステーションは、人間工学的に設計することができる。空いている手・・・は、次いで、タブレット端末やスマートフォンなどのクライアント装置のユーザインタフェースを操作するために使用される。」との記載、及び、上記カ(イ)に示される図3から、引用文献1において第2の例として示されたイネーブル装置12を含むイネーブルユニット10は、クライアント装置としての汎用装置であるスマートフォン8と合体させた状態で、オペレータが一方の手で操作指示を行う際に他方の手によって保持されること、及び、イネーブルユニット10に設けられるイネーブル装置12は、イネーブルユニット10を保持した状態で、イネーブルユニット10を保持している当該他方の手によって操作可能な位置に設けられていることがわかる。

カ 引用文献1において第2の例として示されたイネーブルユニット10は、上記(1)オ(エ)の記載、及び、上記(1)カ(イ)に示される図3から、非常停止ボタン13を有しており、上記(1)オ(エ)の「空いている手または指は、次いで、タブレット端末やスマートフォンなどのクライアント装置のユーザインタフェースを操作するために使用される。」との記載、及び、上記(1)カ(イ)に示される図3から看取される非常停止ボタン13の配置位置から、当該非常停止ボタン13は、イネーブルユニット10を保持した状態で、イネーブルユニット10を保持している他方の手によってイネーブル装置12を操作可能な位置とは異なる位置であって、イネーブルユニット10を保持していない一方の手(タッチスクリーン16を操作できる一方の手)で操作できる、タッチスクリーン16に隣接した位置に設けられていることがわかる。

(3)引用発明1

上記(1)~(2)から、引用文献1に記載された事項を本件発明の発明特定事項に倣って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているといえる(なお、引用発明1は、複数の実施例のうち「第2の例」の内容に基づいて認定した。)。

「オペレータによる操作指示に基づいて産業用ロボットのマニピュレータ1を動作させるための操作命令を生成してロボットコントローラ2に送信する、着脱可能に合体されたスマートフォン8及びイネーブルユニット10であって、
表示・入力のためのタッチスクリーン16を有し、タッチスクリーン16をオペレータが操作指示することにより操作命令を生成して送信する手持ち式のスマートフォン8と、
スマートフォン8を着脱可能で且つタッチスクリーン16が外部に露出するように取り付けるイネーブルユニット10と、
を備え、
イネーブルユニット10は、
スマートフォン8と合体させた状態で、オペレータが一方の手で操作指示を行う際に他方の手によって保持され、
イネーブルユニット10を保持した状態で、イネーブルユニット10を保持している手によって操作可能な位置に設けられるイネーブル装置12と、
当該操作可能な位置とは異なる位置であり、イネーブルユニット10を保持していない方の手で操作できる位置に設けられた非常停止ボタン13と、
を有している、
着脱可能に合体されたスマートフォン8及びイネーブルユニット10。」

2 引用文献2

(1)引用文献2に記載された事項

当審拒絶理由にて引用した引用文献2には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。欄番号は文献に付された番号に基づく。行番号は文献に付された番号とは異なり、空白行を含めずに数えている。)。

ア TECHNICAL FIELD(技術分野)

「This invention relates to a detachable handle・・・one or more functions on the hand-held computer.」(第1欄第4~10行)

<当審日本語訳>

「本発明は、携帯情報端末(PDA)等のような既存の手持ち式コンピュータの使用を容易にする着脱可能なハンドルに関し、より詳細には、手持ち式コンピュータを操作可能に受け入れるクレードルであって、そこから延在するジョイスティック型のハンドルを有し、手持ち式コンピュータ上での1つまたは複数の機能の作動を容易にするためのトリガを有する、クレードルに関する。」

イ BACKGROUND OF THE INVENTION(本発明の背景)

(ア)「Portable data entry devices are widely used・・・the employees frequently hold and operate the device for hours.」(第1欄第12~22行)

<当審日本語訳>

「携帯用データ入力装置は、種々の用途に広く使用されている。例えば、食料雑貨店または薬局などの小売店では、従業員は、定期的にこのような装置を使用して、在庫を追跡し、価格を検証または変更する。具体的には、従業員は、携帯用バーコード読取装置又は類する装置を持って店内にわたって移動し、装置を操作して、店舗内の各商品上のコードを読み取る。装置によって収集された情報は、通常、さらなる処理のためにメインコンピュータに送信される。達成されるべき業務によっては、従業員は、頻繁に、数時間も装置を携えて操作する。」

(イ)「More recently, some manufacturers of hand-held retail sales scanners・・・portable scanning devices as previously described.」(第1欄第37行~第2欄第9行)

<当審日本語訳>

「最近では、手持ち型小売スキャナのいくつかの製造業者が、スキャナを人間工学に基づく形状に改善しようとしている。例えば、カリフォルニア州サンノゼのSymbol Corporationは、ユーザの手の掌内に保持されるように設計された種々の手持ち式スキャナを販売している。これらの設計には、ユーザの指を収容するための凹部と、スキャナから延在するハンドルを作動させるための、より人間工学的なトリガを備えている、実質的に平面状のスキャナを含む。これらの改良された装置は、より軽量で、従来のものより容易に持ちやすくなっているものの、それらは依然として高価であり、個々の部品が動作不能になると、そのユニット全体を交換し又は修理することが必要となる。
コンピュータ製造における最近の進歩により、携帯用コンピュータの大部分が、より小型で、軽量で、かつ経済的な手持ち式ユニット内に配置できるようになった。これらの手持ち式コンピュータは、携帯情報端末(PDA)(例えば、Palm Pilot、Visor、Jordana等)やポケットPCを含むさまざまな名称で一般に知られている。それらは、計算、データベース管理、記憶、通信等の様々な機能を発揮する。
これらの形式の手持ち式コンピュータの人気は、利用可能なアプリケーションの範囲が広がるとともに増加している。手持ち式コンピュータのいくつかの製造業者は、手持ち式コンピュータに着脱可能に固定することができる、又は、手持ち式コンピュータと一体であるバーコード読取装置を提供する。しかしながら、情報は、通常、装置の上面に配置されたキーボードまたはタッチスクリーンを介してこれらのタイプの手持ち式コンピュータに入力される。このデータエントリの形式は、ユーザが情報を入力する間コンピュータを保持することを必要とする。したがって、これらのタイプの手持ち式コンピュータが手頃な価格で軽量である一方、データ入力の既知の形態は、前述したような手持ち式コンピュータを携帯用読取装置として使用するなどの幾つかの用途のためには、これらの種類の装置の有用性に制限を与える。」

ウ SUMMARY OF THE INVENTION(本発明の概要)

「Accordingly, despite the available improvements・・・the present invention fulfills these needs.」(第2欄第28~36行)

<当審日本語訳>

「したがって、従来の手持ち式スキャナ、手持ち式コンピュータ、及び、手持ち式コンピュータを受け入れるための関連したクレードルによってもたらされた利用可能な改良にもかかわらず、スキャン動作などのデータ入力を容易にするために、既存の手持ち型コンピュータに着脱可能に固定することのできる、軽量で経済的であり、バランスのとれたジョイスティック型ハンドル組立体が依然として必要とされている。以下の開示において明らかとなる他の利点に加えて、本発明は、これらの必要性を満たすものである。」

エ BRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWINGS(図面の簡単な説明)

「FIG.1 is an isometric view・・・the detachable hand-held computer handle of FIG.1」(第2欄第65行~第3欄7行)

<当審日本語訳>

「図1は、本発明の好ましい実施形態による取り外し可能な手持ち式コンピュータのハンドルであって、ハンドルに操作可能に固定された手持ち式コンピュータを有するハンドルの斜視図である。
図2は、図1の取り外し可能な手持ち式コンピュータのハンドルであって、手持ち式コンピュータを取り外した状態のハンドルの斜視図である。
図3は、図1の取り外し可能な手持ち式コンピュータのハンドルの底部からの分解図、斜視図である。」

オ DETAILED DESCRIPTION(詳細な説明)

(ア)「A hand-held computer handle 10 that may be detachably secured・・・securing the hand-held computer 12 to the computer handle 10.」(第3欄第13~50行)

<当審日本語訳>

「既存の手持ち式コンピュータ12に着脱可能に固定することのできる手持ち式コンピュータハンドル10を図1~5に示す。
コンピュータハンドル10は、好ましくは、前側16、後側18、左側20及び右側22を有する実質的に平らな手持ち式コンピュータの取付部14と、取付部14からほぼ直交して延在する人間工学的な形状を有するジョイスティック型ハンドル部24とを備えている。コンピュータの取付部14は、手持ち式コンピュータ12に設けられた電気コネクタ28と動作可能に係合するための電気コネクタ26を備える。手持ち式コンピュータ12はコンピュータハンドル10に操作可能にかつ着脱可能に接続され、手持ち式コンピュータ12はハンドル10上の電気コネクタ26と係合する。
図2に最もよく示されるように、このようなハンドル10とコンピュータ12との接続をなすための既知の工夫のひとつとして、一方の装置であるハンドル10には、コンピュータの取付部14の左側20、右側22及び後側18のそれぞれの各部に上側リップ32を有するスリーブ30が固定されている。上側リップ32の高さ34は、手持ち式コンピュータ12の各側面36,38を摺動可能に受け入れるように寸法決めされている。1つまたは複数の係止爪50a,50bが載置面の前側に固定されている。好ましくは、係止爪50a,50bは、図1に示される係合位置に付勢されている。より好ましくは、係止爪50a,50bは、図3に最もよく示されるように、コンピュータの取付部14の底部52に固定された梁状の弾性体である。
手持ち型コンピュータ12をハンドル10に着脱可能に固定するために、ユーザは、図2に示されるように、手持ち式コンピュータ12の前縁56をスリーブ30に挿入することによって、係止爪50a,50bを下方に曲げる、これによって、コンピュータの取付部14の左側20及び右側22のスリーブ30を介してコンピュータの取付部14の上面60に手持ち式コンピュータ12の背面58をスライドすることを可能とする。手持ち式コンピュータ12が電気コネクタ26に操作可能に係合すると、係止爪50a,50bは係合位置に戻り、それにより、手持ち式コンピュータ12をハンドル10に固定する。」

(イ)「As best shown in FIGS. 1 and 5, the handle portion 24 includes a trigger 62・・・from the interface module 64a and then executes the commanded function.」(第3欄第51行~第4欄第7行)

<当審日本語訳>

「図1及び図5に最もよく示されるように、ハンドル部24はトリガ62を備え、手持ち式コンピュータ12と好ましくは電気コネクタ26を介して電気的に通信されることで、手持ち式コンピュータ12の1つまたは複数の機能は、トリガ62の操作によって制御することができる。この手持ち式コンピュータの1つまたは複数の機能のためのトリガの操作は、特定の手持ち式コンピュータ12の遠隔インタフェース機能に依存して、種々の異なる方法で達成することができる。例えば、ある手持ち式コンピュータのインタフェースでは、手持ち式コンピュータへの外部キーボードの接続を可能にする。したがって、トリガの操作は、所望の機能を作動させるために、キーボード命令にて代替動作することができる。トリガ組立体は、コンピュータハンドル10に含まれるインタフェースモジュール64aにスイッチ閉信号を送信することができる。スイッチ閉鎖信号の検出に応答して、インタフェースモジュール64aは、所望の予め定められたプログラム可能なキーコードを手持ち式コンピュータ12に送信する。手持ち式コンピュータ12は、インタフェースモジュール64aからキーコードを受信し、命令された機能を実行する。」

(ウ)「Preferably and as best shown in FIG. 1,・・・the computer handle 10 is avoided.」(第4欄第46~52行)

<当審日本語訳>

「好ましくは、図1に最も良く示されるように、ハンドル部24は、ユーザが快適に把持することができるような形状であり、ハンドル10と手持ち式コンピュータ12の重心と合致している。そのため、ハンドル10上の中心から外れて手持ち式コンピュータ12を位置決めすることにより生じる任意のねじりモーメントを回避することができる。」

(エ)「It can be appreciated that these bolts 94a-e・・・to accommodate either left or right handed users.」(第5欄第47~60行)

<当審日本語訳>

「これらのボルト94a~eは、ユーザのこれらの構成要素のそれぞれの位置を調整する必要性に応じて、個々に又は集合的に緩められたり締められたりすることができ、それによって、特定のユーザのためのハンドルグリップ部82の位置を最適化することが理解されるであろう。好ましくは、ハンドルグリップ部82は、手持ち式コンピュータ12が設置された状態でのハンドル10の重心の中心と実質的に合致され、それによって、ハンドル10上の中心から外れて手持ち式コンピュータ12を位置決めすることにより生じる任意のねじりモーメントを回避することができる。加えて、ハンドル部24のボール84とソケット88は、ハンドルグリップ部82がボール84を中心に回転することを可能にし、このことによって、ハンドルグリップ部82が左利きのユーザでも右利きのユーザでも適合するように容易に回転することができる。」

(オ)「In a preferred embodiment,・・・dropping of the computer handle 10 with the hand-held computer 12 installed.」(第6欄第4~10行)

<当審日本語訳>

「好ましい実施形態では、ハンドル10は、既存の市販の手持ち式コンピュータ12を受容するように寸法決めされている。他の利点に加えて、ハンドル10は、手持ち式コンピュータ12が設置された状態でのハンドル10の不注意による落下に伴う衝撃に対して既製品の手持ち式コンピュータをさらに保護するために役立つ。」

カ 図面

(ア)FIG.1~FIG.2(図1~2)

「
[図:0001397783000004.jpg]
」

(イ)FIG.3(図3)

「
[図:0001397783000005.jpg]
」

(2)引用文献2の記載からわかること

上記(1)に示した引用文献2に記載された事項から次のことがわかる。

ア 上記(1)ア~ウ及びオから、引用文献2には、手持ち式コンピュータを着脱可能に受け入れるハンドルに関し、従来の携帯用データ入力装置は、軽量化とともに人間工学に基づく形状とすることで容易に保持するための試みがなされるものの、装置が動作不能になるとユニット全体を交換し又は修理することが必要となり、経済的な負担があることから、PDA等の既存の手持ち式コンピュータを、ジョイスティック型のハンドル部及びトリガを有するハンドルに着脱可能に固定することで、軽量で経済的であり、バランスのとれたハンドル組立体とした技術が記載されていることがわかる。

イ 上記(1)オ(ア)及び(1)カ(ア)から、引用文献2に記載されたハンドル10は、PDA等の既存の手持ち式コンピュータ12を着脱可能に固定するものであり、また、上記(1)イ(イ)から、手持ち式コンピュータ12はタッチスクリーンが配置されており、上記(1)カ(ア)の図1から、手持ち式コンピュータ12がハンドル10に固定された状態では、タッチスクリーンが外部に露出していることが看取される。

ウ 上記(1)オ(ア)及び(1)カ(ア)~(イ)から、引用文献2に記載されたハンドル10は、手持ち式コンピュータ12の背面58に対向する上面60を有するコンピュータの取付部14の底部52(上記(1)オ(ア)の記載、並びに上記(1)カ(ア)の図2及び上記(1)カ(イ)図3)を備えていることがわかる。

また、上記(1)オ(ウ)~(エ)及び上記(1)カ(ア)~(イ)の図1~3から、引用文献2に記載されたハンドル10は、当該底部52から立設するハンドル部24を有するものであって、当該ハンドル部24は、「ハンドルグリップ部82の位置を最適化する」ことで、「手持ち式コンピュータ12が設置された状態でのハンドル10の重心の中心と実質的に位置合わせされ」るものであるから、手持ち式コンピュータ12の長手方向から見た中央部より立設されているといえる。

さらに、上記(1)オ(ウ)の「ハンドル部24は、ユーザが快適に把持することができるような外形」であるとの記載、及び、上記(1)オ(エ)の「ハンドルグリップ部82が左利きのユーザでも右利きのユーザでも適合するように回転」するとの記載からみて、当該ハンドル部24は、ユーザの片方の手によって把持されるものであることがわかる。

エ 上記(1)オ(イ)及び(1)カ(ア)~(イ)から、引用文献2に記載されたハンドル10のハンドル部24は、トリガ62を備えていることがわかる。そして、当該トリガ62は、上記(1)イ(イ)に示される「人間工学的なトリガ」と同様の思想のもと、ユーザによる操作が容易なものとなるように構成されていることは自明であって、上記(1)カ(ア)の図2、及び上記(1)カ(イ)の図3をあわせてみれば、ハンドル部分24を把持している手によって操作可能な位置に設けられ、底部52と平行な方向に操作されるものであると理解できる。

(3)引用文献2記載の技術的事項

上記(1)~(2)から、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる。

「手持ち式コンピュータ12を着脱可能で且つタッチスクリーンが外部に露出するように固定するハンドル10であって、
手持ち式コンピュータ12の背面58に対向するコンピュータの取付部14の底部52において、手持ち式コンピュータ12の長手方向から見た中央部より立設され、ユーザの片方の手によって把持されるハンドル部分24と、
ハンドル部分24を把持した状態で、ハンドル部分24を把持している手によって操作可能な位置に設けられ、コンピュータの取付部14の底部52と平行な方向に操作されるトリガ62と、を有していること。」

3 引用文献3

(1)引用文献3に記載された事項

当審拒絶理由にて引用した引用文献3には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

ア 技術分野

「【技術分野】
【0003】
本発明の実施の形態のいくつかは、バーコード、高周波識別、キーエントリー、音声又はデータ通信、及びその他の方法を介したデータ入力のようなユーザ入力/出力機能性のための携帯用装置に関する。特に、本発明の実施の形態のいくつかは、個人用デジタル補助(PDA)装置の使用、及び携帯用ユーザ入力/出力装置としての或いはそのような装置と併用したそれの使用に関する。」

イ 背景技術

「【背景技術】
【0004】
携帯用データ入力装置は、例えばバーコード業界のような自動識別システムにて利用されることが知られている。バーコードスキャナ、高周波識別装置、及びキーエントリー型手持ち式コンピュータのような携帯用データ入力装置は在庫追跡、店内発注入力、宅配、巡回販売等のような用途に使用される。様々な専用製品がこの目的のために開発されており、そのような製品としては、バーコードスキャニングシステム、高周波識別システム、データ処理システム、通信機構が挙げられる。そのような装置は、データ収集及び通信性能に加えて携帯性に関する所望の特性を備えているが、その装置は高価であり、それらの操作において比較的柔軟性がない。
【0005】
個人用電子手帳及び個人用デジタル補助(PDA)装置も開発されている。PDA装置とは、実行リスト、連絡先リスト及び予約のような個人情報マネージメント(PIM)ソフトウェア及び情報入力手段を備えた手持ち式装置である。PDA装置は、所望の機能を実行することに関する著しい処理能力を有している。
【0006】
携帯用データ入力装置と比較して、PDA装置はスケールメリットの利点を有している。従って、PDA装置はあまり高価ではなく、より小型であり、そしてより速いペースで新技術を採用することによりいくつかの分野にてより高い性能を提供する。その結果として、携帯用データ入力用途のためにPDA装置を採用することは、有利であろう。しかしながら、PDA装置は、バーコードスキャナ、数字及び/又はアルファベット文字を備えたキーボード、無線通信システム、及び高周波識別読取機のような、携帯用データ入力用途の多くに必要不可欠ないくつかの重要な機能が欠けている。
【0007】
PDA装置に不足している重要な機能のその他のものとしては耐久性であり、これは装置の使用最中に利用者が移動するときに必要不可欠である。(対照的に、PDA装置の利用者は一般的に装置の実際の使用中に動かない。)加えて、PDA装置は携帯用データ入力装置が使用される様々な異なった環境において、単純な携帯用データ入力が可能な形状因子を備えるようには設計されていない。」

ウ 発明の概要

「【発明の概要】
【0013】
本発明の実施の形態は、携帯用データ入力用途、データ管理用途、画像捕捉用途及び携帯電話又は無線通信用途のようなユーザ入力/出力用途のいくらかに市販のPDA装置を順応させることの可能なユニットを提供する。このユニットは単独又はPDAと併用のいずれかで操作可能である。このユニットは使用最中に利用者が移動するときに手持ち式操作に容易な及び/又は丈夫な寸法及び形状であってよい。このユニットは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)通信、移動体通信又はカメラのような、キーエントリー、バーコードスキャニング、高周波識別及び無線通信のような、携帯用データ入力及び/又は通信或いは画像化に望ましい特徴を備えている。本発明の実施の形態は、処理装置集約的な状態すなわち(a)ある特定の携帯用ユーザ入力/出力操作にて使用するためのPDA装置を含むスレーブモードのみならず、処理装置集約的でない状態すなわち(b)特定の別の携帯用ユーザ入力/出力操作にて使用するためのPDA装置を含まない独立型モードで操作されることを可能とする。」

エ 発明の詳細な説明

「【発明の詳細な説明】
【0016】
一般的に、本発明の実施の形態は、データ入力、データ管理、携帯電話通信、カメラを介した画像捕捉等のような入力及び/ 又は出力用途のためのユーザ入力/出力ユニットからなる。ユニットは望ましくはユニットの使用最中に利用者が移動するときに手持ち式操作に容易な寸法及び形状である。過酷な環境での使用最中の損害に対してPDAユニットを保護するためにユニットは格納時に、ケースに入れるか或いはPDAユニットに取り付けても良い。
【0017】
続きを表示(全13行)
上記ユーザ入力/出力ユニットとしてはまた、無線通信のための無線モジュールや、バーコードを読み取るためのスキャナ、高周波識別のための読取機及び、無線通信のための無線モジュールのうちの一つ以上が挙げられる。
【0018】
ユーザ入力/ 出力ユニット20は、例えば、補助プロセッサ、補助バッテリ及びその他のコンピュータを有する手持ち式クレードルユニットからなっていて良く、これらはPDA装置を包含することなく独立型にて手持ち式クレードルユニットを操作することを可能とするよう接続され、組立てられている。加えて、手持ち式クレードルユニット中の補助バッテリが、バッテリ充電の間に一体ユニット(すなわち、PDA及びクレードルユニット)の作動寿命を増加させる。
【0019】
手持ち式入力/出力ユニットには銃型スキャニングを容易にする握りが装備されていても良い。握りにはこの場合バーコードスキャニング及び/又は高周波識別のためのトリガースイッチが装備されていてもよい。代替として、手持ち式入力/出力ユニットは使用中に片手で装置をゆったりと握ることを可能とするようキーパッド部分にて円周が狭められていて良い。手持ち式入力/ 出力ユニットはまた市販のPDA装置の間の操作上の連結を可能とするよう構成されており、これは異なる寸法特性を有していて良い。
【0020】
本発明の実施の形態において、ユーザ入力/出力ユニットは、例えばその中でPDA装置がドッキングコネクタに結合し、更に、様々な幅のPDA装置をその中に収容することが可能な空洞のようなドッキングポートを備えている。入力/出力ユニットの形状はまた使用時にPDA装置のそれとの連結を容易にし、結果として生じる形態は全体として小さく、手持ち式操作のために構成されている。そのような機構は以下に記載されている実施の形態に見出される。もう一つの方法として、PDA装置とともに又はPDA装置とは独立して使用する別の方法において、入力/出力ユニットはPDA装置に対して選択的に取り付け可能な部分からなっていて良い。
【0021】
次に、図1~図7に示されるような本発明による第一の実施の形態を検討してみると、携帯用データ入力装置10は、市販のPDAユニット90と選択的に連結されるユーザ入力/出力ユニット20(すなわちa)からなる。PDAユニット90としては、表側にディスプレイ91と底部に入力-出力コネクション92とを含んでいる。図7の断面図は、回路付き内部プリント回路基板93、PDAの内部バッテリ94、及びPDAの外部ケース95を示している。入力/出力ユニット20は、空洞21、補助ディスプレイ57、キーパッド22及び任意のハンドル23からなる。バーコード(記号923、エンジン、ホルツビル、NY)及び/又はRFID読取機(テキサスインスツルメンツ製のタイリスシリーズ2000ミニRFMエンジン及びアンテナ、ダラス、TX)、スキャニングモジュール24は、ハンドル23に据え付けられたトリガースイッチ25と連携して作動する。PDAユニット90は入力/出力ユニット20の空洞21中へ挿入される。任意のエンドキャップ34は、携帯性データ入力環境においてPDA90を損傷から保護する。入力/出力ユニット設計では、PDA90が空洞21中に完全に納められているとき、PDA90のディスプレイ91の少なくとも動作部が明確に目に見える状態にある。向かい合う表側のスクリーン91の下方に備わっている外部ケース95の如何なる小区分も、入力/出力ユニットキーパッド22によって全体をカバーされていて良い。ある操作モードにおいて、ひとたびPDAユニット90が空洞21中に完全に納められると、操作スイッチ又はPDAユニット90のその他の作動装置がカバーされ使用不可能となる。もう一つの方法として、入力/出力ユニット20は、所望であればこれらの作動装置にアクセスすることを可能とするよう構成されることが可能である。・・・。」

オ 図面の簡単な説明

「【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態による携帯用データ入力装置からなるユーザ入力/出力ユニットの分解図である。
【図2】図1に示す装置の上面図である。
【図3】図1に示す装置の側面図である。
・・・
【図6】本発明の実施の形態による装置の内部構成要素を示す図5の直線A-Aに沿った断面図である。」

カ 図面

(ア)【図1】

「
[図:0001397783000006.jpg]
」

(イ)【図2】

「
[図:0001397783000007.jpg]
」

(ウ)【図3】

「
[図:0001397783000008.jpg]
」

(エ)【図6】

「
[図:0001397783000009.jpg]
」

(2)引用文献3の記載からわかること

上記(1)に示した引用文献3に記載された事項から次のことがわかる。

ア 上記(1)ア~エから、引用文献3には、携帯用データ入力装置として市販のPDA装置を順応させることの可能なユーザ入力/出力ユニットに関し、従来の携帯用データ入力装置は高価であり、操作において柔軟性がないところ、既存の手持ち式のPDA装置をユーザ入力/出力ユニットと連結して使用するモードで操作可能なものであって、手持ち式操作に容易な及び/又は丈夫な寸法及び形状とした(上記(1)イ及び(1)ウ)技術が記載されていることがわかる。

イ 上記(1)エの段落【0021】、(1)カ(ア)~(エ)の【図1】~【図3】、【図6】から、引用文献3に記載されたユーザ入力/出力ユニット20は、PDAユニット90を着脱可能で且つディスプレイ91が外部に露出するように配置することができるものであることがわかる。

ウ 上記(1)エの段落【0019】~【0021】、(1)カ(ア)~(エ)の【図1】~【図3】、【図6】から、引用文献3に記載されたユーザ入力/出力ユニット20は、PDAユニット90の裏面に対向する底板(上記(1)カ(エ)の図6)を有しており、その底板において、PDAユニット90の長手方向から見た中央部より立設されたハンドル23を有していることがわかる。また、当該ハンドル23は、その形状(上記(1)カ(ア)の【図1】、(1)カ(ウ)の【図3】、及び(1)カ(エ)の【図6】)や、上記(1)エの段落【0019】の「銃型スキャニングを容易にする握りが装備されていても良い」との記載から、ユーザの片方の手によって把持されるものであると理解できる。

エ 上記(1)エの段落【0019】及び【0021】、並びに上記(1)カ(ウ)~(エ)の【図3】及び【図6】から、引用文献3に記載されたユーザ入力/出力ユニット20は、ハンドル23にトリガースイッチ25を有していることがわかる。また、当該トリガースイッチ25は、その配置(上記(1)カ(ウ)の【図3】、及び(1)カ(エ)の【図6】)からみて、ハンドル23を把持した状態で、ハンドル23を把持している手によって操作可能な位置に設けられていると理解でき、さらに、底板と平行な方向に操作されることがわかる。

(3)引用文献3に記載された技術的事項

上記(1)~(2)から、引用文献3には、次の技術的事項(以下「引用文献3に記載された技術的事項」という。)が記載されているといえる。

「PDAユニット90を着脱可能で且つディスプレイ91が外部に露出するように配置するユーザ入力/出力ユニット20であって、
PDAユニット90の裏面に対向する底板において、PDAユニット90の長手方向から見た中央部より立設され、ユーザの片方の手によって把持されるハンドル23と、
ハンドル23を把持した状態で、ハンドル23を把持している手によって操作可能な位置に設けられ、底板と平行な方向に操作されるトリガースイッチ25と、を有していること。」

第5 本件発明と引用発明1との対比

1 本件発明と引用発明1を対比すると、以下の相当関係を有することがわかる。

(1)引用発明1における「オペレータ」は、本件発明における「作業者」に相当し、以下同様に、「操作指示」は「入力操作」に、「産業用ロボット」は「ロボット」に、「ロボットコントローラ2」は「ロボットコントローラ」に、それぞれ相当する。

また、引用発明1における「操作命令を生成してロボットコントローラ2に送信する」ことは、その作用・機能からみて、本件発明における「動作用信号を出力してロボットコントローラに与える」ことと同義である。

さらに、引用発明1における「着脱可能に合体されたスマートフォン8及びイネーブルユニット10」は、単一のユニットとして、産業用ロボットのマニピュレータ1をジョグ動作するために使用される(上記第4の1(2)ア~イを参照。)ことから、本件発明における「産業用ロボット操作装置」に相当する。

(2)引用発明1における「タッチスクリーン16」は、その機能からみて、本件発明における「タッチパネル部」に相当し、以下同様に、「手持ち式のスマートフォン8」は「携帯可能な操作端末」にそれぞれ相当し、「イネーブルユニット10」は、スマートホン8を着脱可能に合体するものであるから、「ベース部材」に相当する。

また、引用発明1における「スマートフォン8を・・・取り付ける」との動作と、本件発明における「操作端末を・・・配置する」との動作とは、その作用や状態からみて同義である。

(3)引用発明1における、「イネーブルユニット10は、スマートフォン8と合体させた状態で、オペレータが一方の手で操作指示を行う際に他方の手によって保持され」るとの点に関し、

ア 引用発明1における「保持」は、本件発明における「把持」に相当する。

イ 上記(1)オ(エ)の「合体させたイネーブルユニットとクライアント装置とが片手・・・で保持されると同時にイネーブル装置が保持されるように、タブレットホルダーまたはドッキングステーションは、人間工学的に設計することができる。空いている手・・・は、次いで、タブレット端末やスマートフォンなどのクライアント装置のユーザインタフェースを操作するために使用される。」との記載から、

(ア)合体させたイネーブルユニット10とスマートフォン8とが片手で保持されること

(イ)イネーブルユニット10等を保持する手で同時にイネーブル装置12が保持されること

(ウ)空いている手で、スマートフォン8のタッチスクリーン16を操作ができること

の3条件を同時に満足するよう、合体させたイネーブルユニットとクライアント装置を片手で保持するためには、イネーブルユニット10の裏面側の部位(例えば、図3では、紙面に描画されていない部位)を手のひらで覆うように保持すると考えるのが技術常識からみても自然である。

ウ してみると、引用発明1における「イネーブルユニット10は、スマートフォン8と合体させた状態で、オペレータが一方の手で操作指示を行う際に他方の手によって保持され」る、との状態は、

「イネーブルユニット10は、スマートフォン8と合体させた状態で、オペレータが一方の手で操作指示を行う際に他方の手によって保持され」る部位を有している、ことを示しているといえる。

エ そして、本件発明における「グリップ部」は、「ベース部材」が有している一部位であるところ、

引用発明1における「イネーブルユニット10は、スマートフォン8と合体させた状態で、オペレータが一方の手で操作指示を行う際に他方の手によって保持され」る部位を有していること(上記ウ)は、

「ベース部材は、作業者が一方の手で入力操作を行う際に他方の手によって把持されるベース部材の一部位を有している」という限りにおいて、

本件発明における「作業者が一方の手で入力操作を行う際に他方の手によって把持されるグリップ部・・・を有している」ことに相当する。

(4)引用発明1における「イネーブル装置12」は、その機能からみて本件発明における「イネーブルスイッチ」に相当する。

また、上記(3)のとおり、本件発明において、ベース部材はグリップ部を有している、言い換えれば、グリップ部はベース部材の一部位であることから、

引用発明1における「イネーブルユニット10を保持した状態で、イネーブルユニット10を保持している手によって操作可能な位置に設けられるイネーブル装置12」は、

「ベース部材の一部位を把持した状態で、ベース部材の一部位を把持している手によって操作可能な位置に設けられるイネーブルスイッチ」であるといえ、この限りにおいて、

本件発明における「グリップ部を把持した状態で、当該グリップ部を把持している手によって操作可能な位置に設けられ・・・るイネーブルスイッチ」に相当する。

(5)引用発明1における「非常停止ボタン13」は、その機能からみて本件発明における「非常停止スイッチ」に相当する。

また、上記(3)のとおり、本件発明において、ベース部材はグリップ部を有している、言い換えれば、グリップ部はベース部材の一部位であるところ、

引用発明1における「当該操作可能な位置とは異なる位置であり、イネーブルユニット10を保持していない方の手で操作できる位置に設けられた非常停止ボタン13」は、

「操作可能な位置とは異なる位置であり、ベース部材の一部位を保持していない方の手で操作できる位置に設けられた非常停止スイッチ」であるといえ、この限りにおいて、

本件発明における「前記操作可能な位置とは異なる位置であり、前記グリップ部を把持していない方の手で操作できる位置に設けられた非常停止スイッチ」に相当する。

2 一致点

したがって、本件発明と引用発明1とは、以下の点で一致する。

「作業者による入力操作に基づいてロボットを動作させるための動作用信号を出力してロボットコントローラに与える産業用ロボット操作装置であって、
表示・入力のためのタッチパネル部を有し、当該タッチパネル部を作業者が入力操作することにより前記動作用信号を出力する携帯可能な操作端末と、
前記操作端末を着脱可能で且つ前記タッチパネル部が外部に露出するように配置するベース部材とを備え、
前記ベース部材は、作業者が一方の手で入力操作を行う際に他方の手によって把持される前記ベース部材の一部位と、
前記ベース部材の一部位を把持した状態で、当該ベース部材の一部位を把持している手によって操作可能な位置に設けられるイネーブルスイッチと、
前記操作可能な位置とは異なる位置であり、前記ベース部材の一部位を把持していない方の手で操作できる位置に設けられた非常停止スイッチとを有している産業用ロボット操作装置。」

3 相違点

そして、本件発明と引用発明1とは、以下の点で相違する。

<相違点>

本件発明においては「ベース部材」が「操作端末の裏面に対向する底板において、操作端末の長手方向から見た中央部より立設され、作業者が一方の手で入力操作を行う際に他方の手によって把持されるグリップ部」を有し、「イネーブルスイッチ」が「グリップ部を把持した状態で、グリップ部を把持している手によって操作可能な位置に設けられ、底板と平行な方向に操作され」、「非常停止スイッチ」が「(グリップ部を把持した状態で、グリップ部を把持している手によって)操作可能な位置とは異なる位置であり、グリップ部を把持していない方の手で操作できる位置に設けられ」ているのに対し、

引用発明1においては、本件発明の「ベース部材」、「イネーブルスイッチ」及び「非常停止スイッチ」にそれぞれ相当する「イネーブルユニット10」、「イネーブル装置12」及び「非常停止ボタン13」を有しているものの、引用発明1の「イネーブルユニット10」には、本件発明における「グリップ部」に相当する部材が底板の長手方向からみた中央部より立設されておらず、そのため、「イネーブル装置12」も「グリップ部」を把持している手によって操作可能な位置に設けられておらず、「非常停止ボタン13」も「グリップ部」を把持している手によって操作可能な位置とは異なる位置であり、「グリップ部」を把持していない方の手で操作できる位置に設けられているとまでいえない点。

第6 相違点の検討

上記相違点について検討する。

1 引用文献2~3記載の技術的事項について

引用文献2記載の技術的事項は、上記第4の2(3)に示した以下のとおりである(再掲)。

「手持ち式コンピュータ12を着脱可能で且つタッチスクリーンが外部に露出するように固定するハンドル10であって、
手持ち式コンピュータ12の背面58に対向する底部52において、手持ち式コンピュータ12の長手方向から見た中央部より立設され、ユーザの片方の手によって把持されるハンドル部分24と、
ハンドル部分24を把持した状態で、ハンドル部分24を把持している手によって操作可能な位置に設けられ、底部52と平行な方向に操作されるトリガ62と、を有していること。」

また、引用文献3記載の技術的事項は、上記第4の3(3)に示した以下のとおりである(再掲)。

「PDAユニット90を着脱可能で且つディスプレイ91が外部に露出するように配置するユーザ入力/出力ユニット20であって、
PDAユニット90の裏面に対向する底板において、PDAユニット90の長手方向から見た中央部より立設され、ユーザの片方の手によって把持されるハンドル23と、
ハンドル23を把持した状態で、ハンドル23を把持している手によって操作可能な位置に設けられ、底板と平行な方向に操作されるトリガースイッチ25と、を有していること。」

そして、引用文献2に記載された「ハンドル部24」及び引用文献3に記載された「ハンドル23」は、いずれも、作業者の片方の手によって把持される「グリップ部」として機能するといえ、また、引用文献2に記載された「トリガ62」及び引用文献3に記載された「トリガースイッチ25」は、いずれも、グリップ部(ハンドル部24、ハンドル23)を把持した状態で、当該グリップ部を把持している手によって操作可能な位置に設けられ、底板(底部52、底板)と平行な方向に操作される「スイッチ」として機能するといえる。

そうすると、引用文献2~3記載の技術的事項は、いずれも、本件発明の用語を用いて整理すると次のように表現することができる。

「操作端末を着脱可能で且つタッチパネル部が外部に露出するように配置するベース部材であって、
操作端末の裏面に対向する底板において、操作端末の長手方向から見た中央部より立設され、作業者の片方の手によって把持されるグリップ部と、
グリップ部を把持した状態で、当該グリップ部を把持している手によって操作可能な位置に設けられ、底板と平行な方向に操作されるスイッチと、を有していること。」

2 本件発明の容易想到性

引用発明1において、引用文献2記載の技術的事項又は引用文献3記載の技術的事項を適用することで、上記相違点に係る本件発明のようにすることは、以下のとおり、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(1)引用発明1は、クライアント装置としての汎用装置である「スマートフォン8」を、ホルダとしてのイネーブルユニット10に取り付けるものである(上記第4の1(2)イ等)ところ、引用文献1には、クライアント装置としての汎用装置として、スマートフォンのほか、携帯情報端末(PDA)も例示されている(上記第4の1(1)オ(ウ)等)。

(2)引用発明1と、引用文献2記載の技術的事項又は引用文献3記載の技術的事項とは、いずれも、スマートフォンやPDAといった手持ち式の汎用装置を、ロボット操作システムやバーコード自動識別システムといった、従前専用の操作機器を用いていた分野への適用を図る技術(上記第4の1(2)ア、第4の2(2)ア及び第4の3(2)ア等)である点で、技術的な着想が共通し、また、いずれも、手持ち式の汎用装置を用いることで、従前の専用の操作機器を用いる場合に比して費用を節減したいとの課題についても共通している。

また、スマートフォンやPDAといった携帯可能な操作端末を、イネーブル装置12が設けられた「イネーブルユニット10」(引用発明1)や、トリガ62が設けられた「ハンドル10」(引用文献2記載の技術的事項)、トリガースイッチ25が設けられた「ユーザ入力/出力ユニット20」(引用文献3記載の技術的事項)に、着脱可能で且つタッチパネル部が外部に露出するように配置して結合する点、及び、結合された操作装置を片手で把持し、当該操作装置を把持している手によって、「イネーブル装置12」(引用発明1)や、「トリガ62」(引用文献2記載の技術的事項)、「トリガースイッチ25」(引用文献3記載の技術的事項)を操作可能とする点で、引用発明1と、引用文献2記載の技術的事項又は引用文献3記載の技術的事項とは、作用・機能も共通する。さらに、引用文献1には、上記第4の1(1)オ(エ)における「合体させたイネーブルユニットとクライアント装置とが片手・・・で保持されると同時にイネーブル装置が保持されるように、タブレットホルダーまたはドッキングステーションは、人間工学的に設計することができる。」との記載のとおり、人間工学的に片手で保持するためにより適した形態に設計変更をすることの引用文献中の示唆も認められる。

(3)してみると、引用発明1において、上記(2)のとおり、技術的な着想、課題、及び作用・機能が共通する引用文献2記載の技術的事項又は引用文献3記載の技術的事項である「把持する手によって操作可能な位置にスイッチが設けられたグリップ部をベース部材の底板の長手方向からみた中央部より立設する」技術を適用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

そして、引用発明1は、イネーブルユニット10を把持した状態で、イネーブルユニット10を把持している手によって操作可能な位置に設けられる「イネーブル装置12」を備え、イネーブルユニット10を把持しつつ、同じ手でイネーブル装置12を操作するようになっているところ、上記適用により把持部となるグリップ部について、把持する側の手によって操作可能な位置に設けられた「スイッチ」を「イネーブルスイッチ」として機能させることは自然なことであり、特段の創意は要しない。

さらに、引用発明1においては、「非常停止ボタン13」が、「イネーブルユニット10を把持した状態で、イネーブルユニット10を把持している手によってイネーブル装置12を操作可能な位置」とは「異なる位置」であって、イネーブルユニット10を把持していない方の手(タッチスクリーン16を操作できる一方の手)で操作できる、タッチスクリーン16に隣接した位置に、既に設けられている(上記第4の1(1)カ(イ)に示した図3、及び、上記第4の1(2)カを参照のこと。)ところ、引用発明1に引用文献2記載の技術的事項又は引用文献3記載の技術的事項を適用したとしても、「非常停止ボタン13」を引用発明1に設けられた位置のままグリップ部を把持していない方の手で操作できるものとすることの困難性も認められない。

3 小括

よって、本件発明は、引用発明1、及び、引用文献2記載の技術的事項又は引用文献3記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 請求人の主張について

1 請求人の主張の概要

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本件審判請求人は、当審拒絶理由に対する令和4年12月13日提出の意見書において、概ね以下の2点を主張している。

(1)「産業用ロボット操作装置におけるイネーブルスイッチは、規格で決められているとおり「3ポジション型」であり、作業者は、ロボットによる作業を継続的に実施させるためには、イネーブルスイッチを意識的にMIDのポジションに維持する必要がある。本件発明の要旨は、グリップ部にイネーブルスイッチを配置することで、把持している手の指はイネーブルスイッチの操作に集中させ、もう一方のフリーな状態の手によって操作できる位置に非常停止スイッチを配置した点にある。それに対して、引用文献2のトリガ62及び引用文献3のトリガースイッチ25は「2ポジション型」のスイッチであり、「3ポジション型」のスイッチについては全く開示がない。また、引用文献1の「イネーブル装置12」は、イネーブルユニット10の図中右側方に配置されるため、仮に引用文献1~3を組み合わせたとしても、グリップ部には精密な操作を必要としない力一杯押せば機能するスイッチを設置することに留まる。」(意見書(B)(b))

(2)「引用文献1は、作業者の一方の手でイネーブリングユニット7を把持すると共に、他方の手でスマートフォン8を収容したイネーブルユニット10を把持した状態で、ロボット1の操作を行うことを前提としている。引用文献1の構成に引用文献2、3の構成を転用しようとすれば、引用文献1の前提構成である、一方の手でイネーブリングユニット7を把持すると共に、他方の手でイネーブリングユニット10を把持した状態で、ロボット1のティーチングや操作を行うことができないため、引用文献1の構成に引用文献2、3の構成を組み合わせることには阻害要因がある。」(意見書(B)(c))

2 請求人の主張に対する検討

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(1)上記1(1)の主張に関して検討する。上記第4の1(1)オ(エ)のとおり、引用発明1の「イネーブル装置12」は、「デッドマンスイッチの形態」、すなわち、操作する人がスイッチに力を加えている間だけ、作動状態に保つものである。そして、引用発明1における「イネーブル装置12」は、イネーブルユニット10を保持した状態で、イネーブルユニット10を保持している同じ手によって操作可能な位置に設けられるもの、すなわち、保持とスイッチ操作とを同じ手で同時にするものであることから、引用発明1に引用文献2記載の技術的事項又は引用文献3記載の技術的事項を適用し、イネーブルユニット10の底板から、イネーブルユニット10を片手で保持するためのグリップ部を立設した場合、当該保持する手で「イネーブル装置12」を操作可能とするべく、当該グリップ部に設けたスイッチを「イネーブル装置12」として機能するようすることは自然なことである。

また、イネーブルスイッチが3ポジション型である旨の主張については、本件発明において、そのような特定がないし、3ポジション型とすることに伴ってグリップ部等に特段の工夫をしたものとも認められないから、結局、引用発明1に引用文献2記載の技術的事項又は引用文献3記載の技術的事項を適用したものと相違がなく、当該主張に根拠がない。

(2)上記1(2)の主張に関して検討する。引用文献1には、図1に示される第1の例として、クライアント装置としての汎用装置であるスマートフォン8と、イネーブル装置9を含むイネーブルユニット7とを、それぞれ一方の手と他方の手とで保持する態様が記載され、請求人の当該主張はこの態様に基づくものと解される。他方、上記第4の1(3)において引用発明1として認定したのは、図3及び5に示される第2の例であって、イネーブルユニット7に代えてイネーブルユニット10を採用し、汎用装置であるスマートフォン8とイネーブル装置12を含むイネーブルユニット10とを着脱可能に取り付けた単一のユニットとしたものであり、イネーブルユニット10をスマートフォン8のホルダとし、合体させたスマートフォン8とイネーブルユニット10とを片手で保持しながらイネーブル装置12を押圧保持できるようにしたものである。

そして、令和4年10月13日付け当審拒絶理由においても、引用発明1として、上記第2の例を認定している。このことは、同拒絶理由において、引用発明1の認定の根拠箇所として図3及び明細書第14ページ第32~36行を示しており、後者の箇所における「合体させたイネーブルユニットとクライアント装置とが片手・・・で保持されると同時にイネーブル装置が保持されるように、タブレットホルダーまたはドッキングステーションは、人間工学的に設計することができる。空いている手・・・は、次いで、タブレット端末やスマートフォンなどのクライアント装置のユーザインタフェースを操作するために使用される。」との記載(上記第4の1(1)オ(エ))からも明らかである。

よって、本件請求人の主張は、第2の例により認定した引用発明1に対してされたものでなく、当を得ていない。

3 小括

したがって、本件審判請求人の主張は採用できない。

第8 むすび

以上のとおり、本件発明は、引用発明1、及び、引用文献2記載の技術的事項又は引用文献3記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本件出願は、拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-004147

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