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特許拒絶査定不服審判

2022-001111

空気調和装置

審判番号
2022-001111
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-536705外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年01月25日
審決日
2022年11月16日
公報発行日
2023年02月24日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (F25B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-536705「空気調和装置」拒絶査定不服審判事件〔〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

1 手続の経緯

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本願は、2021年1月28日を国際出願日とする出願であって、令和3年8月12日付けで拒絶の理由が通知され、令和3年10月4日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和3年11月9日付け(発送日:令和3年11月16日)で拒絶査定がなされ、それに対して、令和4年1月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和4年7月21日付けで拒絶の理由が通知され、令和4年9月15日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年9月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

「【請求項1】
室内機および室外機から構成される冷凍サイクルであって、前記室外機が膨張弁、熱交換器および圧縮機を含む冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルの動作を制御する制御手段とを有し、
前記室外機は、暖房運転をした場合に前記熱交換器と前記圧縮機との間を流れる冷媒の圧力を測定する圧カセンサと、前記熱交換器のガス集合管に配置されて前記冷媒の温度を測定する温度センサとを備え、前記冷凍サイクルにおける、前記温度センサから前記圧力センサに至る前記冷媒の流路が一本の経路であり、
前記冷凍サイクルが暖房運転を始動した場合に、前記制御手段は、前記圧カセンサが測定した圧力における飽和温度および前記温度センサが測定した前記冷媒の温度の2つの要素から、前記圧縮機に吸入される冷媒の過熱度を算出し、
前記過熱度が目標値よりも大きい場合には、前記膨張弁の開度を大きくし、前記過熱度が前記目標値よりも小さい場合には、前記膨張弁の開度を小さくする制御を行う、
空気調和装置。」

3 拒絶の理由

令和4年7月21日付けで当審が通知した請求項1に係る発明に対する拒絶の理由は次のとおりである。

この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物1~3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用例等一覧

1.韓国公開特許第10-2009-0067734号公報

2.特開2007-225264号公報

3.特開2015-111020号公報

4 引用例

(1)引用例1

当審の拒絶の理由に引用例1として引用された韓国公開特許第10-2009-0067734号公報には、次の事項が図面とともに記載されている(下線は当審にて付した。()内は当審による訳文である。以下同様。)。

ア「

[図:0001393765000001.jpg]

」

(【技術分野】

[1]本発明は空気調和機及びその制御方法に関することとして、特に少なくとも暖房モードの時、運転状況によって最適制御するための空気調和機の制御方法に関する。

【背景技術】

[2]一般的に空気調和機は圧縮機、コンデンサー、蒸発器、膨張バルブで成り立った空気調和サイクルを利用して前記空気調和機が設置された建物または部屋に冷気または温もりを供給するなど空気調和が成り立つようにする装置として、大きく分離型と一体型に区分される。

[3]上記した分離型と一体型は機能的には同じであるが分離型は室内機に室内熱交換器(蒸発器あるいはコンデンサー)を設置して、室外機に室外熱交換器(コンデンサーあるいは蒸発器)と圧縮機を設置してお互いに分離した二つの装置を冷媒配管で連結させたことで、一体型は室内熱交換器と圧縮機と室外熱交換器と膨張バルブを一つの装置で設置したことである。)

イ「

[図:0001393765000002.jpg]

」

(【発明の効果】

[15]上記した通り本発明による空気調和機の制御方法はアキュムレーター内液冷媒量によって空気調和機を最適の運転条件で制御することで、速かに安定化されることができて信頼性及び安定性が向上することができ、暖房効率が向上することができる利点を有する。

【発明の詳細な説明】

[16]以下、本発明による空気調和機の暖房運転の時の制御方法に対して図1を参照して詳細に説明する。

[17]暖房モードが開始されると(S2)、停滞されていた冷媒が圧縮機に押送されることによって冷媒が相対的に圧縮機に追われているところ、圧縮機が速かに起動されうるように、膨張弁が吸入過熱度制御される(S4)。

[18]前記吸入過熱度制御は現在の空気調和機の運転状態で算出される現在の吸入過熱度が空気調和機の運転状態が安定化される目標吸入過熱度に到達するように、膨張弁の開度を制御することである。 ここで現在の吸入過熱度は圧縮機の吸入温度で蒸発温度、すなわち蒸発器として作用する室外熱交換器で蒸発作用される冷媒の温度を引いた値である。

[19]前記と一緒に圧縮機が起動されることと同時に暖房モード開始から経過された時間がチェックされる。 前記時間チェック結果、暖房モード開始から経過された時間が圧縮機の起動完了を判断するために既設定された起動時間に到達すると、圧縮機が起動されたことと判断される。 前記既設定された起動時間は空気調和機の容量、運転モードなどによって相違されることができるが、例えばおおよそ5分程度に設定されうる(S6)。)

上記ア、イの記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。)。

「圧縮機、コンデンサー、蒸発器、膨張バルブからなる空気調和サイクルを利用し、室内機に室内熱交換器(蒸発器あるいはコンデンサー)を設置し、室外機に室外熱交換器(コンデンサーあるいは蒸発器)と圧縮機を設置して、室内機と室外機とを冷媒配管で連結した空気調和機であって、
暖房運転の時に、暖房モードが開始されると、圧縮機が速やかに起動されうるように、膨張弁が吸入過熱度制御され、
前記吸入過熱度制御は、現在の運転状態で算出される吸入過熱度が、運転状態の安定する目標吸入過熱度に到達するように膨張弁の開度を制御するものである、
空気調和機。」

(2)引用例2

当審の拒絶の理由に引用例2として引用された特開2007-225264号公報には、次の事項が図面とともに記載されている(「・・・」は記載の省略を意味する。)。

ア「【0016】

室外機1a、1b内における圧力センサは、19a、19bが圧縮機2a、2bの吐出側、19c、19dが圧縮機2a、2bの吸入側に設けられ、それぞれ設置場所の圧力を計測し、その計測に基づく信号を送信する。室外機1a、1b内における温度センサは、20a、20bが圧縮機2a、2bの吐出側、20c、20dが圧縮機2a、2bの吸入側、20e、20fは室外熱交換器4a、4bのガス側出口、20g、20hは室外熱交換器4a、4bの液側出口、20i、20jは高低圧熱交換器17a、17bと流量調整弁5a、5bと流量調整弁18a、18bとの間、20k、20lはアキュームレータ6a、6bと四方弁3a、3bとの接続配管と高低圧熱交換器17a、17bとの間に設けられており、それぞれ設置場所の温度を計測する。温度センサ20m、20nは室外機1a、1bの周囲温度を計測し、その計測に基づく信号を送信する。」

イ「【0028】

次に暖房運転の動作について説明する。四方弁3a、3bでは、図1の破線方向に管が接続される。流量調整弁5a、5bは適度に流量を調整して、室外機内の冷媒分布状態が各室外機で同様になり、なおかつ流量調整弁5a、5bの前後で適度な差圧が生じるように開度を予め設定されている。流量調整弁18a、18bは全閉、膨張弁10p、10qは適度な開度に設定する。

【0029】

この場合の冷媒の流れは次のようになる。圧縮機2a、2bから吐出された高圧高温ガスの冷媒はオイルセパレータ15a、15b、四方弁3a、3bを通りガス配管7に流入する。オイルセパレータ15a、15bは前記した冷房運転時と同じ動作を行う。ガス配管7を通り室内機8に供給されたガス冷媒は室内機8p、8q内の室内熱交換器9p、9qで凝縮、液化された後、膨張弁10p、10qで減圧され、中間圧で液飽和状態に近い二相冷媒となる。中間圧の冷媒は液配管11を通った後、室外機1a、1bに分配され室外機1a、1bに流入する。流量調整弁5a、5bで適度に各室外機1a、1bの冷媒流量を調節しているため、流量調整弁5a、5bを通った冷媒は低圧二相状態となる。低圧二相状態となった冷媒は高低圧熱交換器17a、17bを通り、室外熱交換器4a、4bで蒸発し、ガス化した後、アキュムーレータ6a、6bを通り、圧縮機2a、2bに吸入される。アキュムーレータ6a、6bは前記した冷房運転時と同じ動作を行う。流量調整弁18a、18bは全閉しており、流れがないため、高低圧熱交換器17a、17bで冷媒間の熱交換はなされない。逆に流れがあると、熱交換するほど性能が低下することになる。」

ウ「【0043】

図6は本実施の形態に係る制御装置14が行う制御の処理に関するフローチャートを表す図である。図6に基づいて、制御装置14(特に制御装置14a、14b)が行う制御、特に室外流量制御手段34が行う流量調整弁5a、5bの開度の制御について説明する。まず、ステップS0で、圧縮機2a、2b等が起動して空気調和装置による暖房運転が開始される。ステップS1で、制御装置14を構成する各制御手段は、各センサの初期状態検知に応じた初期設定による固定値を設定する。

・・・

【0046】

室外流量制御手段34が行うステップS5a、S5bの内容として、まず、ステップS6a、S6bで、各室外機1a、1bの室外熱交換器4a、4bにおける蒸発器出口過熱度を、(温度センサ20eの温度)-(圧力センサ19cで計測される圧力から換算される飽和温度)、(温度センサ20fの温度)-(圧力センサ19dで計測される圧力から換算される飽和温度)により演算する。また、圧縮機2a、2bの圧縮機吐出過熱度を(温度センサ20aの温度)-(圧力センサ19aで計測される圧力から換算される飽和温度)、(温度センサ20bの温度)-(圧力センサ19bで計測される圧力から換算される飽和温度)により演算する。ここで、飽和温度については、制御装置14(室外流量制御手段34)が圧力-飽和温度換算テーブルのデータを記憶手段(図示せず)に記憶しており、計測される圧力の値に基づいて換算を行う。」

エ「【0068】

図9は温度センサ20e、20fの配設位置の他の例を表す図である。図1では、蒸発器出口過熱度を計測できるようにするため、室外熱交換器4a、4b内を通過する各パス(配管等)が集合した部分の管に温度センサ20e、20fを配置している。各パスにより過熱度のつきやすさにばらつきがあるため、各パスが集合した部分に配設すれば、平均の蒸発器出口過熱度に基づく温度が計測できる。」

オ「 【図1】

[図:0001393765000003.jpg]

」

カ 上記ア、イ、及び図1から、圧力センサ19c、19dが、室外機1a、1bでは、室外熱交換器4a、4bと圧縮機2a、2bとの間にあることが看取できる。

また、図1には、温度センサ20e、20fから、四方弁3a、3b、アキュムーレータ6a、6bを通り、圧力センサ19c、19dに至る流路が示されている。

ここで、上記流路における四方弁3a、3bと、アキュムーレータ6a、6bとの間に流量調整弁18a、18bから流れる流路が合流しているが、段落【0028】、【0029】に記載のとおり、暖房運転の動作においては、流量調整弁18a、18bは閉鎖されているから、当該流量調整弁18a、18bから流れる流路は、冷媒が流れる流路を構成しない。

以上のことから、温度センサ20e、20fから圧力センサ19c、19dに至る冷媒の流路は1本の経路であると認められる。

よって、引用例2には、以下の事項が記載されていると認められる(以下「引用例2記載の事項」という。)。

「室外機1a、1bは、室外熱交換器4a、4bと圧縮機2a、2bとの間で圧力を計測する圧力センサ19c、19dと、室外熱交換器4a、4bのガス側出口であって各パス(配管等)が集合した部分の管で温度を計測する温度センサ20e、20fとを備え、温度センサ20e、20fから圧力センサ19c、19dに至る冷媒の流路は1本の経路であり、
暖房運転が開始された後、蒸発器出口過熱度を(温度センサ20eの温度)一(圧カセンサ19cで計測される圧力から換算される飽和温度)、(温度センサ20fの温度)― (圧カセンサ19dで計測される圧力から換算される飽和温度)により演算する室外流量制御手段34を有する、
空気調和装置。」(以下「引用例2記載の事項」という。)

(3)引用例3

当審の拒絶の理由に引用例3として引用された特開2015-111020号公報には、次の事項が図面とともに記載されている

ア「【発明が解決しようとする課題】

【0005】

吐出過熱度に基づく膨張弁の制御において、運転が開始されても圧縮機が温まるまで、吐出温度は安定しない。そのため、吐出温度が安定するまで時間がかかり、膨張弁の制御ができず、この間、空気調和機は効率の悪い運転を行わなければならない。

【0006】

一方、吸込過熱度に基づく膨張弁の制御では、吐出温度が安定するのは早い。しかし、循環する冷媒量が少ないとき、最も効率のよい運転をする場合、蒸発器の温度と圧縮機に吸い込まれる冷媒の吸込温度との温度差が小さい。そのため、吸込過熱度が小さく、膨張弁の制御が困難となる。

【0007】

本発明は、上記に鑑み、循環する冷媒量の多少にかかわらず、すばやく効率のよい空調運転を行うことができる空気調和機の提供を目的とする。」

イ「【0041】

制御装置12は、目標吸込過熱度と取得した実吸込過熱度とを比較する(S13)。実吸込過熱度が目標吸込過熱度より大きいとき、制御装置12は、膨張弁6の開度を大きくするように制御する(S14)。膨張弁6は、現在の開度から予め決められた開度だけ開かれる。膨張弁6の開度が大きくなることにより、膨張弁6を通過する冷媒が増え、蒸発器において蒸発する液冷媒が多くなり、蒸発器から出た冷媒の温度が下がる。その結果、吸込温度が下がり、実吸込過熱度が小さくなって、実吸込過熱度が目標吸込過熱度に近づく。

【0042】

実吸込過熱度が目標吸込過熱度より小さいとき、制御装置12は、膨張弁6の開度を小さくするように制御する(S15)。膨張弁6は、現在の開度から予め決められた開度だけ閉じられる。膨張弁6の開度が小さくなることにより、膨張弁6を通過する冷媒が減り、蒸発器において蒸発する液冷媒が少なくなり、蒸発器から出る冷媒の温度の低下が抑えられる。その結果、吸込温度が上がり、実吸込過熱度が大きくなって、実吸込過熱度が目標吸込過熱度に近づく。なお、実吸込過熱度が目標吸込過熱度に等しいとき、制御装置12は、膨張弁6の開度を変えない。」

よって、引用例3には、以下の事項が記載されていると認められる(以下「引用例3記載の事項」という。)。

「目標吸込過熱度と実吸込過熱度とを比較し、実吸込過熱度が目標吸込過熱度よりも大きいとき、膨張弁6の開度を大きくするように制御し、
実吸込過熱度が目標吸込過熱度よりも小さいとき、膨張弁6の開度を小さくするように制御する制御装置12、
を備えた空気調和機。」

5 対比・判断

(1)対比

本願発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「室外熱交換器(コンデンサーあるいは蒸発器)」、「膨張バルブ」、「空気調和サイクル」は、それぞれ、本願発明の「熱交換器」、「膨張弁」、「冷凍サイクル」に相当する。

また、引用発明の「室外機に室外熱交換器(コンデンサーあるいは蒸発器)と圧縮機を設置」する点は、本願発明の「前記室外機が」「熱交換器および圧縮機を含む」点に相当する。

そして、引用発明は「圧縮機、コンデンサー、蒸発器、膨張バルブからなる空気調和サイクルを利用」するものであり、膨張弁の吸入過熱度制御を行うものであるから、空気調和サイクル(冷凍サイクル)の動作を制御する制御手段を有することは自明である。

よって、引用発明の「圧縮機、コンデンサー、蒸発器、膨張バルブからなる空気調和サイクルを利用し、室内機に室内熱交換器(蒸発器あるいはコンデンサー)を設置し、室外機に室外熱交換器(コンデンサーあるいは蒸発器)と圧縮機を設置して、室内機と室外機とを冷媒配管で連結した」点と、本願発明の「室内機および室外機から構成される冷凍サイクルであって、前記室外機が膨張弁、熱交換器および圧縮機を含む冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルの動作を制御する制御手段とを有」する点とは、

「室内機および室外機から構成される冷凍サイクルであって、前記室外機が、熱交換器および圧縮機を含む冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルの動作を制御する制御手段とを有」するという限りにおいて一致する。

イ 引用発明の「暖房運転の時に、暖房モードが開始される」点は、本願発明の「前記冷凍サイクルが暖房運転を始動した場合」に相当する。また、引用発明の「吸入過熱度」は、本願発明の「圧縮機に吸入される冷媒の過熱度」に相当する。

よって、引用発明の「暖房運転の時に、暖房モードが開始されると、圧縮機が速やかに起動されうるように、膨張弁が吸入過熱度制御され、

前記吸入過熱度制御は、現在の運転状態で算出される吸入過熱度が、運転状態の安定する目標吸入過熱度に到達するように膨張弁の開度を制御するものである」点と、

本願発明の「前記冷凍サイクルが暖房運転を始動した場合に、前記制御手段は、前記圧カセンサが測定した圧力における飽和温度および前記温度センサが測定した前記冷媒の温度の2つの要素から、前記圧縮機に吸入される冷媒の過熱度を算出し、

前記過熱度が目標値よりも大きい場合には、前記膨張弁の開度を大きくし、前記過熱度が前記目標値よりも小さい場合には、前記膨張弁の開度を小さくする制御を行う」点とは、

「前記冷凍サイクルが暖房運転を始動した場合に、前記制御手段は、冷媒の過熱度に基づき膨張弁の制御を行う」という限りにおいて一致する。

ウ 引用発明の「空気調和機」は、本願発明の「空気調和装置」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明とは、

「室内機および室外機から構成される冷凍サイクルであって、前記室外機が熱交換器および圧縮機を含む冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルの動作を制御する制御手段とを有し、
前記冷凍サイクルが暖房運転を始動した場合に、前記制御手段は、冷媒の過熱度に基づき膨張弁の制御を行う、
空気調和装置。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]

冷凍サイクルに関して、本願発明は、「室外機が膨張弁」を含むのに対し、引用発明は、「膨張バルブ」の配置について明示されていない点。

[相違点2]

本願発明は、「前記室外機は、暖房運転をした場合に前記熱交換器と前記圧縮機との間を流れる冷媒の圧力を測定する圧カセンサと、前記熱交換器のガス集合管に配置されて前記冷媒の温度を測定する温度センサとを備え、前記冷凍サイクルにおける、前記温度センサから前記圧力センサに至る前記冷媒の流路が一本の経路であり、

前記冷凍サイクルが暖房運転を始動した場合に、前記制御手段は、前記圧カセンサが測定した圧力における飽和温度および前記温度センサが測定した前記冷媒の温度の2つの要素から、前記圧縮機に吸入される冷媒の過熱度を算出」するのに対し、引用発明では、そのように特定されていない点。

[相違点3]

膨張弁の制御に関して、本願発明は、「過熱度が目標値よりも大きい場合には、膨張弁の開度を大きくし、前記過熱度が前記目標値よりも小さい場合には、前記膨張弁の開度を小さくする制御を行う」のに対し、引用発明は、「現在の運転状態で算出される吸入過熱度が、運転状態の安定する目標吸入過熱度に到達するように膨張弁の開度を制御する」点。

(2)判断

ア 相違点1について検討する。

膨張弁を室外機に設けることは、例示するまでもなく周知の技術である。

したがって、引用発明に上記周知の技術を適用し、室外機が膨張弁を含むように構成することは当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2について検討する。

引用例2記載の事項の「室外熱交換器4a、4b」、「圧縮機2a、2b」、「圧力センサ19c、19d」、「各パス(配管等)が集合した部分の管」、「温度センサ20e、20f」は、それぞれ、本願発明の「熱交換器」、「圧縮機」、「圧力センサ」、「ガス集合管」、「温度センサ」に相当する。

また、引用例2記載の事項の「温度センサ20e、20fから圧力センサ19c、19dに至る冷媒の流路は1本の経路」である点は、本願発明の「前記冷凍サイクルにおける、前記温度センサから前記圧力センサに至る前記冷媒の流路が一本の経路」である点に相当する。

そして、引用例2記載の事項の「暖房運転が開始された後、蒸発器出口過熱度を(温度センサ20eの温度)一(圧カセンサ19cで計測される圧力から換算される飽和温度)、(温度センサ20fの温度)― (圧カセンサ19dで計測される圧力から換算される飽和温度)により演算する」点は、本願発明の「前記冷凍サイクルが暖房運転を始動した場合に、前記制御手段は、前記圧カセンサが測定した圧力における飽和温度および前記温度センサが測定した前記冷媒の温度の2つの要素から、前記圧縮機に吸入される冷媒の過熱度を算出」する点に相当する。

そして、引用発明と引用例2記載の事項とは、共に圧縮機に吸入される冷媒の過熱度を制御に用いる空気調和装置である点で共通するものであるから、引用発明における冷媒の過熱度の算出に引用例2記載の事項を適用し、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

ウ 相違点3について検討する。

引用例3記載の事項の「目標吸込過熱度と実吸込過熱度とを比較し、実吸込過熱度が目標吸込過熱度よりも大きいとき、膨張弁6の開度を大きくするように制御し、実吸込過熱度が目標吸込過熱度よりも小さいとき、膨張弁6の開度を小さくするように制御する」点は、本願発明の「過熱度が目標値よりも大きい場合には、膨張弁の開度を大きくし、前記過熱度が前記目標値よりも小さい場合には、前記膨張弁の開度を小さくする制御を行う」点に相当する。

そして、引用発明と引用例3記載の事項とは、共に圧縮機に吸入される冷媒の現在の過熱度と目標過熱度とを比較して膨張弁の開度を制御する空気調和装置である点で共通するから、引用発明における膨張弁の制御に引用例3記載の事項を適用し、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

エ 本願発明が奏する効果について

本願発明が奏する効果は、当業者が引用発明、引用例2記載の事項、引用例3記載の事項及び周知の技術から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

オ 請求人の主張について

請求人は、令和4年9月15日に提出された意見書において「してみると、相違点2に示した如く、前記冷凍サイクルにおける、前記温度センサから前記圧カセンサに至る前記冷媒の流路が一本の経路である本願の発明は、上記の制御を行うことができますが、過冷却回路の合流後に圧力を測定する引例2の構成では、当該制御を実行することができません。」(「(5)本願と引例との対比」最下行から14~17行参照)と主張する。

しかしながら、上記4(2)オで検討したとおり、引用例2の図1から、温度センサ20e、20fから圧力センサ19c、19dに至る冷媒の流路は1本の経路であると認められるものであり、過冷却回路(流量調整弁18a、18bから流れる流路)が合流していたとしても、温度センサから圧力センサに至る冷媒の経路は1本であることに変わりはない。

さらに、上記4(2)カで述べたとおり、暖房運転の動作においては、過冷却回路の流量調整弁18a、18bは全閉されており、過冷却回路には冷媒は流れないため、過冷却回路が温度センサから圧カセンサに至る冷媒の流路に合流していても圧力の測定に影響を与えることはない。

よって、請求人の主張は採用できない。

カ まとめ

よって、本願発明は、引用発明、引用例2記載の事項、引用例3記載の事項及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-001111

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