特許拒絶査定不服審判
2022-011032
空気調和機
- 審判番号
- 2022-011032
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-139407
- 請求日
- 2022年07月14日
- 審決日
- 2023年02月16日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 松下 聡
- 審判官 白土 博之
- 審判官 平城 俊雅
- 分類
- P18 .121-WY (F24F) / P18 .575-WY (F24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-139407「空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年8月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年10月26日付け 拒絶理由通知
令和3年12月 9日 意見書、手続補正書の提出
令和4年 1月31日付け 拒絶理由通知(最後)
令和4年 4月 4日 意見書、手続補正書の提出
令和4年 6月 7日付け 補正の却下の決定、拒絶査定
令和4年 7月14日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年6月7日付け補正の却下の決定及び拒絶査定の概要
1.令和4年6月7日付け補正の却下の決定(以下、「補正却下」という。)の概要は次のとおりである。
令和4年4月4日付けの補正は特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。
しかし、当該補正後の請求項1に係る発明は、引用例1-4に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、令和4年4月4日付けの補正は却下すべきものである。
引用文献等一覧
1.特開2011-226667号公報
2.特開昭58-140548号公報
3.特開2001-300602号公報(周知技術を示す文献)
4.特開平5-115938号公報(周知技術を示す文献)
2.令和4年6月7日付け拒絶査定(以下、「原査定」という。)の概要は次のとおりである。
本願の請求項1-9に係る発明は、上記引用例1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第3 本願発明
本願の請求項1-9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、令和4年7月14日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
熱交換器の下流側の通風路の少なくとも一部、または、上下風向板の少なくとも一部に波状の撓みがある銅板または銅合金板を湾曲して配置した室内機を備える、空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機であって、
前記通風路は、ケーシング、ドレンパンの下面、左右風向板および室内送風ファンの少なくとも1つである空気調和機。
【請求項3】
請求項1に記載の空気調和機であって、
前記銅合金板は、銅に亜鉛が添加された銅-亜鉛合金、または、銅にニッケルおよび亜鉛が添加された銅-ニッケル-亜鉛合金である空気調和機。
【請求項4】
請求項1に記載の空気調和機であって、
前記銅板または前記銅合金板は、ビッカース硬さが185以上である空気調和機。
【請求項5】
請求項1に記載の空気調和機であって、
前記銅板または前記銅合金板は、ビッカース硬さが185以上であり、且つ、引張強さが610MPa以上である空気調和機。
【請求項6】
請求項1に記載の空気調和機であって、
前記通風路の少なくとも一部に、湾曲して配置した前記銅板または前記銅合金板に加え、平坦な形状の平銅板または平銅合金板を配置した空気調和機。
【請求項7】
請求項6に記載の空気調和機であって、
前記銅板または前記銅合金板は、厚さが0.1mm以下であり、前記平銅板または前記
平銅合金板は、厚さが0.1mmを超える空気調和機。
【請求項8】
請求項6に記載の空気調和機であって、
前記銅板または前記銅合金板は、ビッカース硬さが185以上であり、前記平銅板または前記平銅合金板は、ビッカース硬さが185未満である空気調和機。
【請求項9】
請求項6に記載の空気調和機であって、
前記銅板または前記銅合金板は、曲げ加工を施されて湾曲しており、前記平銅板または前記平銅合金板は、曲げ加工を施されてなく、前記銅板または前記銅合金板よりも湾曲率が小さい空気調和機。」
第4 引用例
1.引用例1
補正却下の決定及び原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例1には、「空気調和機」に関して図面とともに次の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。
(1)引用例1の記載
ア「【0001】
本発明は、室外機と室内機とが配管により接続されて構成される空気調和機に係り、詳しくは抗菌性が高くて防黴(カビ)性の優れた部材を機内の適所に備えることにより、室内機を長期的に清潔に保って高い空気清浄化機能を保持する構造の空気調和機に関する。」
イ「【0024】
その他、この室内機2では、少なくとも熱交換器16で熱交換するように送風する貫流ファン14からの気流を案内するためのケーシング部22の風路を形成する部分(風路自体はケーシング部22の他、これと連続して配置された吹出し口と吹出し風の方向を制御する羽根構造の上下風向板18及び左右風向板19とにより構成される)側について、ステンレス母板の表面にニッケルを主成分とするメッキ材をメッキ加工して成膜したシート状構造の抗菌防黴金属板26が貼り付けられて着設されている。因みに、ここでの抗菌防黴金属板26は、ケーシング部22における貫流ファン14からの気流に接する面であって、貫流ファン14周囲に沿うようにフィルタ15、15'よりも風路の下流側に配備されている。」
ウ「【0027】
ところが、非常に微細な塵埃についてはフィルタ15、15'を通過して貫流ファン14からの気流を案内するケーシング部22の風路部分に付着し易い。そこで、本実施例では、ケーシング部22の風路部分にステンレスの母板の表面にニッケルをメッキ加工して成る肉薄なシート状の抗菌防黴金属板26を着設している。」
エ「【0030】
金属イオンで抗菌性が高いものとしては銀や銅が広く知られているが、ニッケルはイオン化傾向が銀や銅よりも高く、抗菌性も一層優れているため、抗菌防黴メッキ層30はニッケルを主成分として含むメッキ材(純ニッケルでも良い)としている。メッキ加工するベースの金属板母材27としては、流入空気と接する面がより平滑で帯電し難く、メッキの塗膜密着性がより強固で抗菌性が発揮し易いものが良いため、ステンレス等の金属製板が適する。
【0031】
室内機2内部のケーシング部22に代表される樹脂部品の成型方法の殆どが溶解した樹脂をノズルから射出し、冷却して硬化する手法により作製される。このため、樹脂部品の表面は平滑に見えても細孔や凹凸が数多くあり、面粗さは約8μm程度であり、ステンレス板の場合の3μmと比べると約2.7倍にもなっている。樹脂部品の場合には、この凹凸に菌や黴が入り込み雑菌繁殖の温床となる。
【0032】
そこで、流入空気と接する樹脂部品の表面に面粗さの低い金属板を着設させることで流入空気と接する面をより平滑にし、菌、黴の付着を防ぎ、菌の増殖や黴の発生を防止することができる。また、冬季の暖房運転時は空気が乾燥し、静電気が発生し易くなって室内機2内部は帯電し易くなることにより、絨毯や衣類等から発生する糸埃は帯電した樹脂部品の表面に付着する。更に、乾燥した時期に蔓延するインフルエンザウイルス等の菌も糸ボコリに含まれて付着するようになる。このため、樹脂部品よりも空気の導通性が高く、帯電し難い金属板を流入空気と接する樹脂部品の表面に着設させれば、冬季の静電気による塵埃の付着を防止する効果も持つことになる。金属板母材27には一般的な鉄板を用いてもニッケルによる抗菌防黴メッキ層30の効果により抗菌、防黴の効果は得られるが、夏季の高湿環境下による使用時には錆等の腐食が発生し易い点と機器全体の重量が増大してしまうという点で余り適さない。このため、金属母材板27としては既に一般的な家電製品等で汎用されて流通しているSUS304を用いることが好ましい。」
オ「【図2】
[図:0001396164000001.jpg]
」
カ 図2より、ケーシング部22及び抗菌防黴金属板26が湾曲していることが看取できる。
(2)引用発明
上記(1)からみて、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「熱交換器16で熱交換するように送風する貫流ファン14からの気流を案内するためのケーシング部22及びこれと連続して配置された上下風向板18及び左右風向板19とにより構成される風路について、ステンレス母板の表面にニッケルを主成分とするメッキ材をメッキ加工して成膜したシート状構造の抗菌防黴金属板26がケーシング部22の風路部分に貼り付けられて着設し湾曲したものを配置した室内機2を備える、空気調和機。」
2.引用例2
補正却下の決定及び原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例2には、「空気調和機の風向変更装置」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例2の記載
ア 第1ページ左下欄第12-13行
「本発明は、空気調和機の風向変更装置に関するものである。」
イ 第1ページ右下欄第18行-第2ページ左上欄第5行
「まず、第1図、第2図により空気調和機の概略構造について説明する。
同図において、1は室内ユニット本体で、前面に吸込口2と吹出口3が形成されている。4は前記室内ユニット本体1内に形成された通風路で、前記吸込口2と吹出口3に連通し、その内部には周知の冷凍サイクルを構成する熱交換器5および送風機6が配設されている。」
ウ 第2ページ左上欄第12-17行
「この風向変更羽根8は、ニッケル-チタン合金、金-カドミウム合金、銅-亜鉛合金、ニッケル-アルミニウム合金などからなり、加熱することにより長手方向を軸にしてわん曲するような形状を記憶している。」
エ 第2ページ右上欄第8-15行
「また暖房時は、開始時熱交換器5が加熱されていないことから送風機6によって吹出される風は冷たい。したがって風向変更羽根8は冷房時と同様平板状態にあり、吹出される風の方向は水平となる。そして温度が上昇し、形状記憶金属の変形温度点に達すると、第4図に示すようにその熱によってわん曲し、送風機6による送風方向は矢印B方向、すなわち下方向に吹出される。」
オ 第2図
「
[図:0001396164000002.jpg]
」
オ 第4図
「
[図:0001396164000003.jpg]
」
(2)引用例2に記載の事項
上記(1)からみて、引用例2には、以下の事項(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されている。
「空気調和機の室内ユニット1において、風向変更羽根8が銅-亜鉛合金からなり、加熱することにより長手方向を軸にしてわん曲するような形状を記憶していること。」
3.引用例3
補正却下の決定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例3には、「金属箔の製造方法」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例3の記載
ア「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属箔の製造方法に関し、特に、ロール圧延される金属箔の平坦度を精度よく制御することのできる金属箔の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】銅箔等の極薄の金属箔が、半導体チップを搭載する基板の配線材をはじめとして多くの電子部品に使用されている。ところで、極薄の金属箔を圧延によって製造する際の重要な管理ポイントとして、幅方向の平坦度が挙げられる。図4は、ロール圧延によって金属箔を製造するときの平坦度確保上の問題点を示したもので、(a)において、1a、1bは、背後を補強ロール2a、2bによってバックアップされた加工ロール、3は圧延される金属材を示す。
【0003】ロール1a、1bおよび2a、2bは、金属材3が送り込まれることによって図のように湾曲し、この湾曲が、圧延された金属箔の形状に悪影響を与える。図4の(b)は、圧延された金属箔4の状態を示し、ロール1a、1b、および2a、2bの湾曲のために耳部Aが過剰に圧延され、結果として耳部Aに波打ち14を発生させる。耳部Aを波打たせたこの形状は、品質的に好ましくない。」
イ「【図4】
[図:0001396164000004.jpg]
」
(2)引用例3に記載の事項
上記(1)からみて、引用例3には、以下の事項(以下、「引用例3記載事項」という。)が記載されている。
「銅箔等の極薄の金属箔を圧延によって製造する際、ロール1a、1bおよび2a、2bは、金属材3が送り込まれることによって図のように湾曲することにより耳部Aが過剰に圧延され、耳部Aに波打ち14が発生すること。」
4.引用例4
補正却下の決定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例4には、「ヒートシンク付きリードフレーム材の製造方法」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例4の記載
ア「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リードフレームを形成するためのリードフレーム材、特にヒートシンク付きリードフレーム材の製造方法に関する。」
イ「【0022】図1において、ロール10、11間に矢印L3方向に金属板13を挿入すると、金属板13の先端部がロール10、12の間に巻き込まれると共に、押圧されて図の左側に搬送される。このときロール10の凹部11の底面は金属板13に接触しないので、金属板13のその部分は圧延されず厚板部13aが形成されると共に、ロール10の凹部11以外の周面は金属板13を押圧するので金属板13のその部分が圧延されて薄板部13bが形成される。凹部11間は所定の間隔でロール10に設けられているので、厚板部13aの周囲には薄板部13bが形成される。これにより、圧延された金属板13の薄板部13bをリード部に、厚板部13aをヒートシンク部にすることができる。
【0023】次に具体的な数値を挙げて説明するが、この数値により限定されるものではない。
【0024】凹部11の開口部の寸法は約10mm×10mmであり、この凹部11がロール10の周面に約20mmピッチで形成されている。溝角度θを約70度とし、コーナー部の曲率Rを約1.0mmとした。金属板13には、厚さt1が約1.0mm、幅約30mmの無酸素銅系焼鈍材を用いた。ロール10、12の間隔を約0.4mmに設定し圧延を試みたところ、得られた圧延材では厚板部13aが凹部11内にやや湾曲し裏面に窪みが発生した点と、厚板部13aの幅方向両側に若干の波打ちが発生したが、極端なねじれや破断等は発生しなかった。この圧延材の寸法を測定した所、厚板部13aの厚さは約1.4mm、圧延材幅は約35~50mmとなり、厚板部13aのピッチは約30mmであった。この圧延材をスリータにより幅約30mmに加工すると若干湾曲している厚板部13aを平ロールにより平坦にし、その後引張り矯正を行った。この矯正により薄板部13bに発生していた波打ち状変形も無くなり、図2に示したようなヒートシンク付きリードフレーム材を得ることができた。」
ウ「【図1】
[図:0001396164000005.jpg]
」
(2)引用例4に記載の事項
上記(1)からみて、引用例4には、以下の事項(以下、「引用例4記載事項」という。)が記載されている。
「ロール10、11間に無酸素銅系焼鈍材からなる金属板13を挿入し圧延を試みたところ、得られた圧延材では厚板部13aの幅方向両側に波打ちが発生したこと。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「熱交換器16」、「上下風向板18」、「室内機2」、「空気調和機」は、それぞれ本願発明1の「熱交換器」、「上下風向板」、「室内機」、「空気調和機」に相当する。
引用発明の「ケーシング部22」は、「熱交換器16で熱交換するように送風する貫流ファン14からの気流を案内するための」ものであるから、「ケーシング部22」は、「熱交換器16」の下流側になることは明らかである。
よって、引用発明の「熱交換器16で熱交換するように送風する貫流ファン14からの気流を案内するためのケーシング部22及びこれと連続して配置された上下風向板18及び左右風向板19とにより構成される風路」は、本願発明1の「熱交換器の下流側の通風路」に相当する。
引用発明における、「ステンレス母板の表面にニッケルを主成分とするメッキ材をメッキ加工して成膜したシート状構造の抗菌防黴金属板26」は、本願発明1における「波状の撓みがある銅板または銅合金板」と、「金属板」という限りにおいて一致する。
そうすると、引用発明における、「熱交換器16で熱交換するように送風する貫流ファン14からの気流を案内するためのケーシング部22及びこれと連続して配置された上下風向板18及び左右風向板19とにより構成される風路について、ステンレス母板の表面にニッケルを主成分とするメッキ材をメッキ加工して成膜したシート状構造の抗菌防黴金属板26がケーシング部22の風路部分に貼り付けられて着設し湾曲したものを配置した室内機2」は、本願発明1における、「熱交換器の下流側の通風路の少なくとも一部、または、上下風向板の少なくとも一部に波状の撓みがある銅板または銅合金板を湾曲して配置した室内機」と、「熱交換器の下流側の通風路の少なくとも一部に金属板を湾曲して配置した室内機」という限りにおいて一致する。
したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
「熱交換器の下流側の通風路の少なくとも一部に金属板を湾曲して配置した室内機を備える、空気調和機。」
(相違点)
「金属板」に関し、本願発明1では、「波状の撓みがある銅板または銅合金板」であるのに対し、引用発明では、「ステンレス母板の表面にニッケルを主成分とするメッキ材をメッキ加工して成膜したシート状構造の抗菌防黴金属板26」である点。
以下、相違点について検討する。
熱交換器の下流側の通風路又は上下風向板に波状の撓みがある銅板又は銅合金板を湾曲して配置することは、引用例1、2のいずれにも記載も示唆もされていない。たとえ、引用例3記載事項及び引用例4記載事項が、金属の圧延時に波状の撓みが生じることが周知の問題となる現象であることを示すとしても、本願発明1は、引用例3、4に記載されるような、通常は問題とされる撓みのある金属板を敢えて用いようとするものである。そうしてみると、引用発明において、「熱交換器の下流側の通風路の少なくとも一部に湾曲して配置した」金属板を「撓みがある銅板または銅合金板」とすることが単なる設計的事項であるとはいえず、当業者といえども容易に想到し得たものではない。
そして、引用発明は、「流入空気と接する樹脂部品の表面に面粗さの低い金属板を着設させることで流入空気と接する面をより平滑にし、菌、黴の付着を防ぎ、菌の増殖や黴の発生を防止」(段落【0032】(上記第4 1.(1)エ)を参照。)しようとするためのものであるから、引用発明の金属板に対し波状の撓みがある部材を適用することは、上記に反するものであり、阻害要因があるというべきである。
一方、本願発明1は、上記相違点に係る発明特定事項を有することで、「波打ち現象を生じた金属板であっても、湾曲させて配置することによって、波状の撓みを目立たなくさせることができる。そのため、金属板の硬度や厚さにかかわらず、圧延材を湾曲させた銅板や銅合金板によって、室内機100の意匠性を高めることができる。」(段落【0055】を参照)という、引用発明にない効果を奏するものであり、しかもその点は当業者にとって自明な事項でもない。
したがって、本願発明1は、引用発明及び引用例2-4記載事項に基いて当業者が容易に発明し得たとすることはできない。
2.本願発明2-9について
本願の特許請求の範囲における請求項2-9は、請求項1の記載を他の記載と置き換えることなく直接あるいは間接的に引用して記載されたものであるから、本願発明2-9は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2-9は、本願発明1と同様の理由により引用例2-4記載事項に基いて当業者が容易に発明し得たとすることはできない。
第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1-9に係る発明は、当業者が引用発明及び引用例2-4記載事項に基いて容易に発明し得たとすることはできない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-011032