審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2024-007884

移送方法、冷凍方法、冷凍システム及び冷凍システム用ホース

審判番号
2024-007884
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-102833外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年05月13日
審決日
2026年01月07日
公報発行日
2026年03月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (F25B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2023-102833「移送方法、冷凍方法、冷凍システム及び冷凍システム用ホース」拒絶査定不服審判事件〔令和 6年 1月11日出願公開、特開2024- 2978〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本件に係る特許出願(以下、「本願」という。)は、令和5年6月22日(優先権主張 令和4年6月23日)の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和5年8月24日付け:拒絶理由通知 令和5年10月27日 :意見書及び手続補正書の提出 令和6年2月5日付け :拒絶査定 令和6年5月13日 :審判請求書の提出 2 本願発明 本願の請求項1~7に係る発明は、令和5年10月27日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 冷凍システム又は空調システム内での伝熱流体を移送する方法であって、 前記システム内の1つ又はそれ以上のホースを通して伝熱流体を循環させる循環工程を含み、 前記伝熱流体がフルオロエチレンを含み、 前記フルオロエチレンが1,2-ジフルオロエチレンを含み、 前記ホースは樹脂で形成されている、伝熱流体の移送方法。」 3 原査定における拒絶の理由 原査定(拒絶査定)における拒絶の理由2のうち、本願発明に対する拒絶の理由は、概ね次のとおりのものである。 本願発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基いて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2021-46490号公報 引用文献2:特表2010-513827号公報 引用文献3:特開2022-63099号公報 4 引用文献に記載された事項及び引用発明 (1)引用文献1について ア 引用文献1の記載 引用文献1には、次の記載事項及び図示事項がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。 (ア)「【0010】 本発明(I)は、冷媒輸送配管用熱可塑性樹脂組成物に関する。冷媒輸送配管とは、エアコンディショナー等の冷媒を輸送するための配管をいう。配管は、可撓性を有するホースであってもよいし、堅く容易に変形しないパイプであってもよい。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特に、自動車のエアコンディショナーの冷媒を輸送するためのホースを作製するのに好適に使用することができる。冷媒輸送配管は、通常、内管と補強層と外管からなるが、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特に、冷媒輸送配管の内管を作製するのに好適に使用することができる。エアコンディショナーの冷媒としてはハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、炭化水素、二酸化炭素、アンモニアなどを挙げることができ、HFCとしてはR410A、R32、R404A、R407C、R507A、R134aなどが挙げられ、HFOとしてはR1234yf、R1234ze、1233zd、R1123、R1224yd、R1336mzzなどが挙げられ、炭化水素としてはメタン、エタン、プロパン、プロピレン、ブタン、イソブタン、ヘキサフルオロプロパン、ペンタンなどが挙げられる。」 イ 上記アから認められること 上記アから、引用文献1には、次の事項が認められる。 (ア)段落【0010】の記載事項から、自動車のエアコンディショナーにおいて冷媒輸送管により冷媒を輸送することが明らかであり、自動車のエアコンディショナー内での冷媒を輸送する方法が認められる。 (イ)段落【0010】の記載事項から、冷媒輸送配管が輸送する冷媒は、R1123などのハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含むことが認められる。 ウ 引用発明 上記ア及びイによると、引用文献1には、次の事項からなる発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「自動車のエアコンディショナー内での冷媒を輸送する方法であって、 前記自動車のエアコンディショナー内の冷媒輸送配管を通して冷媒を輸送させる輸送の工程を含み、 前記冷媒がR1123などのハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含み、 前記冷媒輸送配管は熱可塑性樹脂組成物で作製されている、冷媒の輸送方法。」 (2)引用文献2について ア 引用文献2の記載 引用文献2には、次の記載事項及び図示事項がある。 (ア)「【0001】 本発明は、高圧流体を取り扱うことができ、かつ、エアコンおよび冷凍システムにおける透過損失に対するバリアを提供することができる可撓性ホースの使用に関する。より具体的には、本発明は、新規の低地球温暖化係数(GWP)冷媒代替品が使用される、移動式エアコンシステムをはじめとする、エアコンおよび冷凍システムにおけるかかるホースの使用に関する。」 (イ)「【0023】 本発明によれば、冷凍またはエアコンシステムが提供される。蒸気圧縮システムである、かかるシステムは図1に示される。蒸気-圧縮システムは、1ステップで冷却効果を、そして異なるステップで加熱効果をもたらす多段階で冷媒を再使用する閉ループシステムである。かかるシステムは一般に、図1に関して詳細に下で説明されるように、蒸発器、圧縮機、凝縮器および膨張デバイスを含む。図1に関連して、蒸発器(42)からのガス状冷媒は、ホース(63)を通って圧縮機(12)の入口に流れ、次に放出される。流体を圧縮するための機械的手段に依存して、または容積式(例えば、往復、スクロールもしくはスクリュー)もしくは動的(例えば、遠心もしくはジェット)のような、往復、ロータリー、ジェット、遠心、スクロール、スクリューもしくは軸流をはじめとする、様々なタイプの圧縮機が本発明で使用されてもよい。 【0024】 圧縮機からの圧縮冷媒ガスは、圧縮機出口を通っておよびホース(61)を通って凝縮器(41)に流れる。ホース(61)中に圧力調整バルブ(51)が用いられてもよい。このバルブは、冷媒流れのホース(63)経由での圧縮機へのリサイクルバックを可能にし、それによって凝縮器(41)に達する冷媒の圧力を制御する、かつ、必要ならば圧縮機サージを防ぐ能力を与える。圧縮された冷媒は凝縮器で凝縮し、こうして熱を放出する。液体冷媒は、膨張デバイス(52)を通ってホース(62)経由で、パッセンジャー・コンパートメントに配置されている、蒸発器(42)に流れる。蒸発器で、液体冷媒は気化し、冷却を提供し、サイクルはそれから繰り返す。膨張デバイス(52)は、膨張バルブ、毛細管またはオリフィスチューブであってもよい。 【0025】 本発明の閉ループ蒸気圧縮システムは、固定式または移動式冷凍またはエアコン用途のどちらで用いられてもよい。固定式冷凍装置または固定式エアコン装置は、建物で空気を冷やす、または通常の非移動式、非車両の据え付けシステムで、食品、製薬材料などの傷みやすい商品を冷却するために用いられる設備を意味する。これらのシステムには、チラー、ダクト付きおよびダクト無エアコンおよびヒートポンプ、家庭用冷蔵庫および冷凍庫。商業用冷蔵庫および冷凍庫、スーパーマーケットおよび工業用冷凍システムが含まれてもよい。」 (ウ)「【0027】 移動式冷凍装置または移動式エアコン装置は、道路、鉄道、海または空用の移動式輸送装置中へ組み込まれた任意の冷凍またはエアコン装置を意味する。加えて、「複合一貫輸送」システムとして知られる、任意の移動運搬装置とは無関係のシステムに冷凍またはエアコンを提供することを意味する、装置も本発明に含められる。かかる複合一貫輸送システムには、「スワップボディ」(複合道路および鉄道輸送)だけでなく「コンテナ」(複合海/陸輸送)も含まれる。本発明は、自動車用エアコン装置または冷凍道路輸送設備などの、道路輸送冷凍またはエアコン装置に特に有用である。」 (エ)「【0030】 本発明に従って、冷凍またはエアコンシステム内に伝熱流体の移送を提供する方法であって、前記システムの1つ以上のホースを通して伝熱流体組成物を循環させる工程を含む方法が提供される。本発明の一実施形態では、ホースは、エラストマーおよびポリアミドからなる群から選択された材料を含む外層を含んでもよい。ホースは、エラストマー、ポリアミドおよび熱可塑性樹脂からなる群から選択された材料を含む内層をさらに含んでもよい。特に、内層は熱可塑性ベニヤを含んでもよく、外層はエラストマーを含んでもよい。」 (オ)「【図1】 [図:0001432555000001.jpg] 」 イ 引用文献2の技術事項 上記アから、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2の技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「蒸発器、圧縮機、凝縮器及び膨張デバイスを含む自動車用エアコン装置などの移動式エアコンシステム内での伝熱流体を移送する方法において、前記蒸発器で冷却を提供するサイクルを構成するため、前記移動式エアコンシステム内の1つ以上の樹脂からなるホースを通して伝熱流体を循環させる循環工程を含むこと。」 (3)引用文献3について ア 引用文献3の記載 引用文献3には、次の記載事項及び図示事項がある。 (ア)「【0001】 本開示は、冷媒を含む組成物、及び冷媒を含む組成物を安定化する方法に関する。 【背景技術】 【0002】 特許文献1には、電動圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とを備えると共にこれらを連絡する循環経路を備え、前記循環経路に、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)等の冷媒及び潤滑油を循環させる冷凍サイクルにおいて、前記循環経路には、該循環経路内で発生した酸を中和する中和剤と水分を吸着する吸着剤とを備えた酸中和吸着器を設けてなり、前記吸着剤として、ゼオライト、活性炭、アルミナ、又はシリカゲルが使用される冷凍サイクルが開示されている。」 (イ)「【0007】 項2. 前記冷媒は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、トリフルオロエチレン(HFO-1123)、及びテトラフルオロエチレン(FO-1114)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上を含む、前記項1に記載の組成物。」 (ウ)「【0036】 [1]組成物 (1)冷媒 本開示の組成物は、冷媒とカーボンとを含み、前記冷媒は、炭素-炭素不飽和結合を一以上有する分子式で表される化合物を少なくとも一種以上含む。 【0037】 本開示の組成物において、前記冷媒は、好ましくは、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))(トランス体及び/又はシス体を併せてHFO-1132(E/Z)と記す)、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、トリフルオロエチレン(HFO-1123)、及びテトラフルオロエチレン(FO-1114)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分である。」 イ 引用文献3の技術事項 上記アから、引用文献3には、以下の事項(以下、「引用文献3の技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「電動圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とを備えると共にこれらを連絡する循環経路を備えた冷凍サイクルにおいて、前記循環経路に循環させる冷媒として、トリフルオロエチレン(HFO-1123)の他に、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))(トランス体及び/又はシス体を併せてHFO-1132(E/Z)と記す)が選択可能であること。」 5 対比 本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 (1)後者の「自動車のエアコンディショナー」は、空調システムといえるから、前者の「冷凍システム又は空調システム」に相当する。 また、後者の「冷媒」は、前者の「伝熱流体」に相当し、同様に「輸送」は「移送」に相当する。 そして、後者の「自動車のエアコンディショナー内での冷媒を輸送する方法」は、前者の「冷凍システム又は空調システム内での伝熱流体を移送する方法」に相当する。 (2)後者の「冷媒輸送配管」は、前者の「1つ又はそれ以上のホース」に相当する。 そして、後者の「前記自動車のエアコンディショナー内の冷媒輸送配管を通して冷媒を輸送させる輸送の工程」と、前者の「前記システム内の1つ又はそれ以上のホースを通して伝熱流体を循環させる循環工程」とは、「前記システム内の1つ又はそれ以上のホースを通して伝熱流体を移送させる移送工程」という限りにおいて一致する。 (3)後者の「前記冷媒がR1123などのハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含」むことと、前者の「前記伝熱流体がフルオロエチレンを含み、前記フルオロエチレンが1,2-ジフルオロエチレンを含」むこととは、「前記伝熱流体がハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含」むという限りにおいて一致する。 (4)後者の「熱可塑性樹脂組成物」は、前者の「樹脂」に相当する。 そして、後者の「前記冷媒輸送配管は熱可塑性樹脂組成物で作製されている」ことは、前者の「前記ホースは樹脂で形成されている」ことに相当する。 (5)後者の「冷媒の輸送方法」は、前者の「伝熱流体の移送方法」に相当する。 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「冷凍システム又は空調システム内での伝熱流体を移送する方法であって、 前記システム内の1つ又はそれ以上のホースを通して伝熱流体を移送させる移送工程を含み、 前記伝熱流体がハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含み、 前記ホースは樹脂で形成されている、伝熱流体の移送方法。」 [相違点1] 「前記システム内の1つ又はそれ以上のホースを通して伝熱流体を移送させる移送工程」について、本願発明は、「伝熱流体を循環させる循環工程」であるのに対して、引用発明は、「冷媒を輸送させる輸送の工程」である点。 [相違点2] 「前記伝熱流体がハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含」むことについて、本願発明は、「前記伝熱流体がフルオロエチレンを含み、前記フルオロエチレンが1,2-ジフルオロエチレンを含」むのに対して、引用発明は、「前記冷媒がR1123などのハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含」む点。 6 判断 (1)相違点の検討 ア 相違点1の検討 移動式エアコンシステム内での冷媒(伝熱流体)を移送する方法において、冷凍サイクルが循環工程を含むことは、引用文献2の技術事項から理解できるように本願の優先日前に技術常識であって、引用発明において当該技術常識と異なるものとする特段の事項もないから、相違点1に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明も実質的に備えている。 仮に相違点1が実質的な相違点であるとしても、引用発明において、技術常識に基づき、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点2の検討 引用発明の自動車のエアコンディショナーは、冷凍サイクルを構成するものといえるから、引用文献3の技術事項とは、冷凍サイクルにおけるハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含む冷媒という技術分野及び機能が共通するから、引用発明の冷媒に引用文献3の技術事項を適用する動機付けが認められる。 そして、引用文献3の技術事項には、冷媒として、引用発明で採用し得るフルオロエチレンであるR1123とともに、同じくフルオロエチレンである1,2-ジフルオロエチレンが選択可能であることが示されているから、引用発明におけるR1123などのハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含む冷媒について、引用文献3の技術事項を踏まえ、R1123に代えて1,2-ジフルオロエチレンを選択し、相違点2に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (2)効果について そして、本願発明の奏する効果は、全体をみても、引用発明、引用文献3の技術事項及び技術常識から、当業者が予測できた範囲内のものであり、格別に顕著な効果ではない。 (3)請求人の主張について ア 主張の内容 請求人は、審判請求書の【請求の理由】3.の3-2.において、次の主張をする。 ・「(1)」における主張 「引用文献3は、冷媒の安定性に優れる組成物に関する発明が記載されたものであって、引用文献3に記載の発明が解決しようとする課題は、「冷媒の安定性に優れる組成物を提供する」点にあります。これに対し、主引例である引用文献1に記載の発明が解決しようとする課題は、「バリア性が高く、柔軟であり、かつ押出加工性が良好な冷媒輸送配管用熱可塑性樹脂組成物を提供すること」にあります。したがって、引用文献1に記載の発明の課題と、引用文献3に記載の発明の課題とは共通性が全くないことが明らかです。特に引用文献1に記載される発明は、冷媒輸送配管用熱可塑性樹脂組成物に関する発明であるのに対し、引用文献3は冷媒組成物に関する発明でありますので、両者は技術分野すら共通しておらず、また、両発明の作用及び機能も全く異なるといえます。これらの点に鑑みれば、引用文献1に記載の発明と引用文献3に記載の発明とを結び付けることはできないし、引用文献3を引用文献1に適用するための妥当な動機付けも存在しません。」(5頁~6頁) ・「(3)」における主張 「本願発明1は、前述の構成(a)を備えるものであり、これによって、「1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))を含む伝熱流体の移送時の冷媒損失を抑制することができると共に、ホースの安定性にも優れ、結果として、フルオロエチレンを安定的に移送することができる」という格別の効果を奏することができます。 これに対し、引用文献1には、フルオロエチレンを含む伝熱流体を移送する方法が開示されているものの、伝熱流体の移送時の冷媒損失やホースの安定性については全く記載されていません。引用文献2には、冷凍システム又は空調システム内での伝熱流体を移送する方法において、樹脂で形成したホースを使用することが開示されているものの、冷媒損失やホースの安定性は全く検討されていませんので、引用文献2に記載の発明から1,2-ジフルオロエチレンに対するホースの安定性を予測することもできません。また、引用文献3には、多数ある冷媒の一種として1,2-ジフルオロエチレンが記載されているに過ぎないので、当該記載だけで本願発明が奏する格別の効果を予測できる理由にはなりません。 従って、当業者が仮に引用文献1~3を参照して1,2-ジフルオロエチレンを引用文献1に記載の発明に適用することがあったとしても、当該適用によって、伝熱流体の移送時の冷媒損失が抑制されることやホースの安定性が優れることを予測できる理由は全くないといえます。すなわち、引用文献1~3を総合したとしても、本願発明が奏する上記格別の効果を予測することができる理由は全く存在しません。」(6頁~7頁) イ 検討 (ア)「(1)」における主張について 上記(1)イで述べたとおり、引用発明と引用文献3の技術事項とは、冷凍サイクルにおけるハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含む冷媒という技術分野及び機能が共通するから、引用発明に引用文献3の技術事項を適用する動機付けがあるものと認められる。 (イ)「(2)」における主張について 引用文献1の段落【0005】に「本発明は、バリア性が高く、柔軟であり、かつ押出加工性が良好な冷媒輸送配管用熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。」と記載されているように、引用発明においても、冷媒輸送配管は、バリア性が高く、冷媒の輸送時の冷媒損失を抑制できるものであり、また、柔軟であることにより、圧力変化に対応できて破断しにくく、安定性に優れた効果を奏するといえる。 そうすると、本願発明は、引用発明、引用文献3の技術事項及び技術常識から予測し得る範囲を超える、格別顕著な効果を奏するとは認めることができない。 したがって、請求人の主張は採用することができない。 (4)まとめ したがって、本願発明は、引用発明、引用文献3の技術事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-007884

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決726件(ダイキン工業株式会社)
  • 2025-000523拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)撥剤
    同じ当事者: ダイキン工業株式会社
  • 2025-000820拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)撥剤
    同じ当事者: ダイキン工業株式会社
  • 2025-002484拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)撥剤
    同じ当事者: ダイキン工業株式会社
  • 2025-002485拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)撥剤
    同じ当事者: ダイキン工業株式会社
  • 2024-007053拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)機器性能値予測方法、システム、およびプログラム
    同じ当事者: ダイキン工業株式会社
検索でもっと見る →
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2024-013752拒絶査定不服審判 / 2026-07-15 / 請求不成立ヒートポンプ
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-011277拒絶査定不服審判 / 2026-05-25 / 請求不成立冷媒サイクルシステム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-007130拒絶査定不服審判 / 2025-11-26 / 請求不成立マルチカスケード冷却システム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-020426拒絶査定不服審判 / 2025-06-11 / 請求不成立空調装置
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-013659拒絶査定不服審判 / 2025-01-31 / 請求不成立冷凍装置
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)246件(121・F25B)
  • 2024-013752拒絶査定不服審判 / 2026-07-15 / 請求不成立ヒートポンプ
    共通の審決分類: 121・F25B
  • 2024-000308拒絶査定不服審判 / 2026-06-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)冷凍装置
    共通の審決分類: 121・F25B
  • 2024-017643拒絶査定不服審判 / 2026-06-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)極低温冷凍機および熱スイッチ
    共通の審決分類: 121・F25B
  • 2024-009129拒絶査定不服審判 / 2026-06-02 / 原査定取消(特許/登録すべき)冷凍サイクル装置
    共通の審決分類: 121・F25B
  • 2024-002085拒絶査定不服審判 / 2026-05-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)空気調和装置
    共通の審決分類: 121・F25B

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存