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特許拒絶査定不服審判

2023-020426

空調装置

審判番号
2023-020426
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-532659
請求日
2023年12月01日
審決日
2025年06月11日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】三菱電機株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人深見特許事務所
  • 【請求人】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人深見特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 間中 耕治
  • 審判官 大山 健
  • 審判官 正木 裕也
分類
P18 .121-Z (F25B) / P18 .572-Z (F25B) / P18 .575-Z (F25B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-532659「空調装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年1月21日国際公開、WO2021/009924〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和元年)7月18日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 令和3年10月29日 :手続補正書の提出 令和4年12月23日付け:拒絶理由通知書 令和5年 2月17日 :意見書、手続補正書の提出 同年 6月13日付け:拒絶理由通知書 同年 7月28日 :意見書、手続補正書の提出 同年10月20日付け:拒絶査定 同年12月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和5年12月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年12月1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「 冷房運転を行う冷凍サイクル装置であって、 前記冷房運転において第1冷媒が圧縮機、第1熱交換器、減圧装置、および第2熱交換器の第1循環方向に循環する第1サイクルユニットと、 水を含む第2冷媒がポンプ、前記第2熱交換器、および負荷装置の順に循環する第2サイクルユニットと、 前記第1サイクルユニットおよび前記第2サイクルユニットを制御する制御装置とを備え、 前記第1サイクルユニットは、前記圧縮機の吐出口と前記第2熱交換器との間に接続された切替弁を含み、 前記制御装置は、前記冷房運転において前記第2冷媒の凍結を示す第1条件が成立すると判定する場合、前記切替弁を制御して、前記吐出口からの前記第1冷媒を前記第1熱交換器および前記減圧装置を介さずに前記第2熱交換器に供給し、前記第1冷媒は、前記減圧装置において断熱膨張する、空調装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和5年7月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 「 冷房運転を行う冷凍サイクル装置であって、 前記冷房運転において第1冷媒が圧縮機、第1熱交換器、減圧装置、および第2熱交換器の第1循環方向に循環する第1サイクルユニットと、 水を含む第2冷媒がポンプ、前記第2熱交換器、および負荷装置の順に循環する第2サイクルユニットと、 前記第1サイクルユニットおよび前記第2サイクルユニットを制御する制御装置とを備え、 前記第1サイクルユニットは、前記圧縮機の吐出口と前記第2熱交換器との間に接続された切替弁を含み、 前記冷房運転において前記第2冷媒の凍結を示す第1条件が成立する場合、前記制御装置は、前記切替弁を制御して、前記吐出口からの前記第1冷媒を前記第1熱交換器および前記減圧装置を介さずに前記第2熱交換器に供給し、前記第1冷媒は、前記減圧装置において断熱膨張する、空調装置。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記冷房運転において前記第2冷媒の凍結を示す第1条件が成立する場合」について、「制御装置」が「判定する」との限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、本件補正は、本願明細書の段落【0043】の「図8に示されるように、制御装置3は、S101において凍結条件が成立したか否かを判定する。」との記載に基づくものであるから、新規事項を追加する補正ではない。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1 (ア)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2014/102934号(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 a 「[0001] 本発明は、ヒートポンプ温水暖房機に関する。 背景技術 [0002] 従来、ヒートポンプシステムを利用する給湯器および温水暖房機等が用いられている。・・・冷媒回路は、圧縮機、室外熱交換器および室内熱交換器から構成され、冷媒が循環する回路である。水回路は、冷媒回路と室内熱交換器を共有し、水が流れる回路である。冷媒回路において、圧縮機で圧縮された高温の冷媒は、室内熱交換器において水と熱交換されて冷却され、減圧された後、室外熱交換器で外気と熱交換されて加熱される。水回路を流れる水は、室内熱交換器において冷媒と熱交換されて加熱される。 この給湯器のように、外気と冷媒との熱交換が行われる室外熱交換器を備えるヒートポンプ装置では、外気の温度が低い場合に、室外熱交換器に霜が付着して運転効率が低下することがある。この場合、ヒートポンプ装置は、室外熱交換器に付着した霜を融かすためのデフロスト運転を行う。例えば、ヒートポンプ装置は、冷媒回路における冷媒の循環方向を通常運転時と逆にする逆サイクル運転を行う。これにより、圧縮機で圧縮された高温の冷媒が室外熱交換器に流入して、室外熱交換器の除霜(デフロスト)が行われる。 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0003] しかし、外気の温度が低い条件下において、逆サイクル運転によるデフロストを長時間行うと、水回路の水が凍結するおそれがある。・・・ [0004] ・・・また、冷媒回路の逆サイクル運転によって室外熱交換器をデフロストする場合、水回路の水の温度、および、外気の温度が低い条件下において、依然として、水回路の水が凍結するおそれがある。 本発明の目的は、水の凍結を防止することができるヒートポンプ温水暖房機を提供することである。・・・」 b 「[0020] 第1熱交換器21は、冷媒-空気熱交換器である。第1熱交換器21では、冷媒回路20を循環する冷媒と、熱源との間の熱交換が行われる。熱源は、例えば、外気および地熱である。本実施形態では、熱源は、外気である。第1熱交換器21は、例えば、プレートフィンコイル熱交換器である。第1熱交換器21の近傍には、ファン21aが設置されている。ファン21aは、第1熱交換器21に外気を送風し、第1熱交換器21において冷媒と熱交換された外気を排出する。第1熱交換器21は、屋外に設置される室外熱交換器である。 圧縮機22は、冷媒回路20を流れる低圧の冷媒を吸入して圧縮し、高温高圧の冷媒を吐出する圧縮機である。圧縮機22は、例えば、ロータリー圧縮機である。 膨張弁23は、冷媒回路20を循環する冷媒の流量および圧力を調節するための電動弁である。」 c 「[0023] ・・・ 正サイクル運転時における冷媒回路20の動作について説明する。正サイクル運転は、ヒートポンプ温水暖房機10の通常運転時に行われる。冷媒は、低圧のガス冷媒として圧縮機22に吸入されて圧縮される。圧縮された冷媒は、高温高圧のガス冷媒として圧縮機22から吐出され、四方切替弁24の第1ポート24aおよび第2ポート24bを通過して、第2熱交換器25に送られる。第2熱交換器25では、冷媒が冷媒熱交換部25aを通過し、水が水熱交換部25bを通過する。第2熱交換器25では、高温の冷媒から低温の水へ熱が移動することで、冷媒と水との間で熱交換が行われる。これにより、第2熱交換器25において、高温高圧のガス冷媒である冷媒は、凝縮して高圧の液冷媒となる。そして、冷媒は、膨張弁23を通過することで減圧され、低圧の気液二相状態の冷媒となる。低圧の気液二相状態の冷媒は、第1熱交換器21において外気との熱交換により蒸発して、低圧のガス冷媒となる。そして、冷媒は、四方切替弁24の第3ポート24cおよび第4ポート24dを通過して、圧縮機22に送られる。正サイクル運転を行う冷媒回路20は、以上の工程を繰り返すことで、外気の熱を、冷媒を介して、水回路30を循環する水に供給する。 [0024] ・・・ [0025] (1-2)水回路 水回路30は、主として、第2熱交換器25と、給水ポンプ31と、貯湯タンク32と、暖房ユニット33とが接続された回路である。水回路30は、第2温度センサ34を有している。水回路30では、水が循環する。水回路30では、給水ポンプ31、第2熱交換器25、貯湯タンク32、暖房ユニット33および給水ポンプ31の順に、水が循環する。図1および図2において、水回路30を循環する水の流れ方向は、矢印で示されている。」 d 「[0028] (1-3)制御部 制御部40は、ヒートポンプ温水暖房機10の各構成要素を制御するためのコンピュータである。制御部40は、圧縮機22、膨張弁23、四方切替弁24、第1温度センサ26、給水ポンプ31、暖房ユニット33および第2温度センサ34に接続されている。・・・ 制御部40は、圧縮機22の運転周波数を調節して、圧縮機22を起動および停止させることができる。制御部40は、膨張弁23の開度を調節して、膨張弁23を通過する冷媒の流量を制御することができる。制御部40は、給水ポンプ31の回転数を制御して、給水ポンプ31を起動および停止させることができる。制御部40は、暖房ユニット33に送られる湯の流量を調節して、暖房ユニット33が設置されている空間の温度を調節することができる。 制御部40は、四方切替弁24を制御して、第1連通状態と第2連通状態とを切り替えることができる。すなわち、制御部40は、四方切替弁24を制御して、正サイクル運転と逆サイクル運転とを切り替えることができる。」 e 「[0031] ・・・図2は、逆サイクル運転によるデフロスト運転時におけるヒートポンプ温水暖房機10の回路構成図である。図3は、正サイクル運転によるデフロスト運転時におけるヒートポンプ温水暖房機10の回路構成図である。 逆サイクル運転における冷媒回路20の冷媒の循環方向は、正サイクル運転における冷媒の循環方向と反対である。具体的には、逆サイクル運転において、冷媒回路20の冷媒は、圧縮機22、四方切替弁24(第1ポート24aおよび第3ポート24c)、第1熱交換器21、膨張弁23、第2熱交換器25、四方切替弁24(第2ポート24bおよび第4ポート24d)、圧縮機22を、順番に通過して循環する。」 f 「[0033] 次に、ヒートポンプ温水暖房機10が、通常運転を終了して、正サイクル運転によるデフロスト運転を開始する際の動作について説明する。最初に、制御部30は、給水ポンプ31の回転数をゼロにして、給水ポンプ31を停止させる。給水ポンプ31の停止により、第2熱交換器25への水の供給が停止する。次に、制御部30は、膨張弁23の開度を上げる。また、制御部30は、四方切替弁24を第1連通状態に維持する。すなわち、正サイクル運転によるデフロスト運転時において、圧縮機22から吐出される高温の冷媒は、通常運転時と同様に、第2熱交換器25に供給される。第2熱交換器25では、水熱交換部25bを水が通過していないので、第2熱交換器25における冷媒と水との熱交換は抑制されている。そのため、第2熱交換器25には、圧縮機22から供給される高温の冷媒の熱が蓄積される。その結果、第2熱交換器25の温度が上昇する。また、圧縮機22の温度も、圧縮機22の運転によって上昇する。圧縮機22および第2熱交換器25に蓄積された熱は、冷媒回路20を循環する冷媒を介して、膨張弁23を経由して第1熱交換器21に供給される。これにより、第1熱交換器21に付着している霜が融けて、第1熱交換器21がデフロストされる。 [0034] (2-2)水の凍結可能性の判断について このヒートポンプ温水暖房機10では、制御部40は、水回路30の水の凍結可能性を判断して、正サイクル運転によるデフロスト運転を行うか、または、逆サイクル運転によるデフロスト運転を行うかを選択する。制御部40は、水回路30の水が凍結する可能性があると判断した場合に、正サイクル運転によるデフロスト運転を行う。制御部40は、水回路30の水が凍結する可能性がないと判断した場合に、逆サイクル運転によるデフロスト運転を行う。 制御部40が、水回路30の水の凍結可能性を判断する時点は、通常運転が終了してデフロスト運転が開始する時点、または、逆サイクル運転によるデフロスト運転の実行時の少なくとも一方である。 [0035] ・・・ 図5は、逆サイクル運転によるデフロスト運転の実行時において、制御部40が、水回路30の水の凍結可能性を判断するルーチンを表すフローチャートである。このルーチンは、ステップS21~S25から構成される。ステップS21では、制御部40は、通常運転を停止する。ステップS22では、制御部40は、逆サイクル運転によるデフロスト運転を開始する。ステップS23では、制御部40は、水回路30の水の凍結可能性を判断する。制御部40が、水回路30の水が凍結する可能性があると判断した場合、ステップS24を実行し、凍結する可能性がないと判断した場合、逆サイクル運転によるデフロスト運転を続行する。ステップS24では、制御部40は、逆サイクル運転によるデフロスト運転を停止して、正サイクル運転によるデフロスト運転を開始する。ステップS25では、制御部40は、デフロスト運転を停止する。 [0036] 具体的には、制御部40は、以下に説明する6つの判断基準のいずれか1つに基づいて、水回路30の水の凍結可能性を判断する。次に、各判断基準について説明する。」(当審注:[0032]、[0033]における「制御部30」は「制御部40」の誤記と認める。) g 「[0041] (2-2-5)第5の判断基準 第5の判断基準では、制御部40は、通常運転を終了して逆サイクル運転によるデフロスト運転を実行している時に、水回路30の水の凍結可能性を判断する。制御部40は、水回路30の第2温度センサ34から、第2熱交換器25の水熱交換部25bに流入する水の温度を取得する。制御部40は、水熱交換部25bに流入する水の温度が所定の温度以下である場合、水回路30の給水ポンプ31を停止し、四方切替弁24を第2連通状態から第1連通状態に切り替えて、正サイクル運転によるデフロスト運転を開始する。制御部40は、水熱交換部25bに流入する水の温度が所定の温度を超える場合、逆サイクル運転によるデフロスト運転を続行する。」 「【図2】 [図:0001425198000001.jpg] 【図3】 [図:0001425198000002.jpg] 【図5】 [図:0001425198000003.jpg] 」 (イ)引用文献1の記載事項から理解できる事項 上記(ア)の引用文献1の記載事項から、次の技術的事項が理解できる。 a 上記(ア)c、eの記載事項及び図2から、ヒートポンプ温水暖房機10は、逆サイクル運転において、冷媒が圧縮機22、第1熱交換器21、膨張弁23、および第2熱交換器25の順に循環する冷媒回路20を備えること、及び水が給水ポンプ31、第2熱交換器25、および貯湯タンク32、暖房ユニット33の順に循環する水回路30を備えることが理解できる。 b 上記(ア)dの記載事項から、ヒートポンプ温水暖房機10は、冷媒回路20および水回路30を制御する制御部40を備えることが理解できる。 c 上記(ア)fの記載事項及び図3から、正サイクル運転の場合、冷媒回路20は、圧縮機22の吐出口と第2熱交換器25との間に接続された四方切替弁24を含むことが理解できる。 d 上記(ア)f、gの記載事項及び図3、5から、制御部40は、逆サイクル運転において水回路の水が凍結する可能性があると判断した場合、四方切替弁24を制御して、正サイクル運転によるデフロスト運転を開始し、圧縮機22の吐出口からの冷媒を第1熱交換器21および膨張弁23を介さずに第2熱交換器25に供給することが理解できる。 e 上記(ア)b、cの記載事項から、膨張弁23は、冷媒回路20を循環する冷媒の流量および圧力を調節するものであり、冷媒は、膨張弁23を通過することで減圧されることが理解できる。 (ウ)引用発明 上記(ア)、(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「逆サイクル運転を行うヒートポンプ温水暖房機10であって、 前記逆サイクル運転において冷媒が圧縮機22、第1熱交換器21、膨張弁23、および第2熱交換器25の順に循環する冷媒回路20と、 水が給水ポンプ31、前記第2熱交換器25、および貯湯タンク32、暖房ユニット33の順に循環する水回路30と、 前記冷媒回路20および前記水回路30を制御する制御部40とを備え、 前記冷媒回路20は、前記圧縮機22の吐出口と前記第2熱交換器25との間に接続された四方切替弁24を含み、 前記制御部40は、前記逆サイクル運転において6つの判断基準のいずれか1つに基づいて前記水回路30の水が凍結する可能性があると判断した場合、前記四方切替弁24を制御して、正サイクル運転によるデフロスト運転を開始し、前記吐出口からの前記冷媒を前記第1熱交換器21および前記膨張弁23を介さずに前記第2熱交換器25に供給し、前記冷媒は、前記膨張弁23を通過することで減圧される、ヒートポンプ温水暖房機10。」 イ 引用文献6 (ア)同じく原査定の拒絶の理由で周知例として例示された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開平2-37265号公報(以下「引用文献6」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 「ここで、除霜時は圧縮機1から吐出された冷媒は、オイルセパレータ7、四方弁6を介して室外熱交換器4へ流入し、霜を溶かして冷媒は凝縮する。さらに減圧器5で断熱膨張し、室内熱交換器3で蒸発して、四方弁6、アキュームレータ2を介して圧縮機1へ吸入されていくもので、いわゆる逆サイクル除霜である。」(2ページ左上欄12-18行) (イ)上記記載から、引用文献6には、次の技術的事項(以下「引用文献6記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「冷媒を、減圧器5で断熱膨張すること。」 ウ 引用文献7 (ア)同じく原査定の拒絶の理由で周知例として例示された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開平11-264622号公報(以下「引用文献7」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 「【0005】ここで、除霜時は圧縮機1から吐出された冷媒は、オイルセパレータ7、四方弁6を介して室外熱交換器4へ流入し、霜を溶かして冷媒は凝縮する。さらに減圧器5a,5bで断熱膨張し、室内熱交換器3a,3bで蒸発して、四方弁6、アキュームレータ2を介して圧縮機1へ吸入されていくもので、所謂逆サイクル(冷房運転)除霜である。・・・」 (イ)上記記載から、引用文献7には、次の技術的事項(以下「引用文献7記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「冷媒を、減圧器5a,5bで断熱膨張すること。」 エ 引用文献8 (ア)同じく原査定の拒絶の理由で周知例として例示された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2018-066515号公報(以下「引用文献8」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 「【0017】 本発明にかかるヒートポンプ温水暖房システム1の実施の形態について図1乃至図5に基づき説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。」 「【0034】 図3を用いて、ヒートポンプ温水暖房システム1における逆サイクル除霜運転についてについて説明する。冷媒循環回路20は、四方弁24の切り換えで、圧縮機23の吐出口23aが第一の熱交換器21に連接されている。圧縮機23、四方弁24、第一の熱交換器21、膨張弁22、第二の熱交換器13、四方弁24から再び、圧縮機23の吸入口23bに戻る、逆サイクル除霜運転のための経路が形成されている。なお、逆サイクル除霜運転においては、送風機25は駆動させてない。」 「【0038】 この動作を繰り返すことにより、冷媒循環回路20による逆サイクル除霜運転が、第一の熱交換器21の除霜が完了したと判断される条件まで行われる。なお、この逆サイクル除霜運転については、基本的には第二の熱交換器13において、熱媒水を冷却する運転となるので、ヒートポンプ温水暖房システム1においては、熱媒水を冷却して、被加熱装置30がファンコイルの場合の、冷水を循環する冷房も可能な構成となっている。」 「図3 [図:0001425198000004.jpg] 」 (イ)上記記載から、引用文献8には、次の技術的事項(以下「引用文献8記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「ヒートポンプ温水暖房システム1において、冷媒を圧縮機23、第一の熱交換器21、膨張弁22、第二の熱交換器13の順に供給する逆サイクル除霜運転によって、第二の熱交換器13において熱媒水を冷却し、被加熱装置30の冷水を循環する冷房が可能であること。」 オ 引用文献9 (ア)同じく原査定の拒絶の理由で周知例として例示された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2019-078433号公報(以下「引用文献9」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 「【0001】 この発明は、ヒートポンプ装置を熱源とする負荷側循環液によって室内端末機が空調運転を行う、ヒートポンプ式温調システムに関する。」 「【0074】 一方、前記図4(b)は図2に示した構成例における冷房運転時の循環方向を示しており、圧縮機7から吐出した冷媒が室外熱交換器8、膨張弁9、水-冷媒熱交換器11の順で流通する。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機7で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、前記室外熱交換器8(凝縮器として機能)において前記室外ファン10の送風で冷却されることで外気に熱を放出しながら高圧の液体に変化する。こうして液体になった冷媒は前記膨張弁9で減圧されて低圧の液体となり蒸発しやすい状態となる。その後、低圧の液体が前記水-冷媒熱交換器11(蒸発器として機能)において蒸発してガスに変化することで前記冷温水戻り管3からの冷水から吸熱を行う。そして冷媒は、低温・低圧のガスとして再び前記圧縮機7へと戻る。 【0075】 このとき、前記のようにして水-冷媒熱交換器11で冷却された冷水は、冷温水往き管2から前記室内端末機(図2の例における冷温水パネル51及びファンコイルユニット52の2つ)に供給されて室内空気から吸熱して室内を冷却し、その後に前記シスターンタンク13を通過して再び前記循環ポンプ12へ戻る。以上のような冷媒循環回路21の冷凍サイクルと冷温水循環回路22との間で熱交換を行うことにより、室内空気の温度を下げる冷房運転が行われる。」 「図4 [図:0001425198000005.jpg] 」 (イ)上記記載から、引用文献9には、次の技術的事項(以下「引用文献9記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「室内端末機が空調運転を行う、ヒートポンプ式温調システムにおいて、冷媒を圧縮機7、室外熱交換器8、膨張弁9、水-冷媒熱交換器11の順に供給する冷房運転によって、水-冷媒熱交換器11で冷温水戻り管3からの冷水から吸熱を行い、この冷水が室内端末機に供給されて室内空気から吸熱して室内を冷却すること。」 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明(上記(2)ア(ウ))とを対比する。 (ア)引用発明の「ヒートポンプ温水暖房機10」は、圧縮、凝縮、膨張、蒸発のサイクルを利用して熱を移動するものであり、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器を備えるから、熱を移動させるとの機能やその構成に鑑みれば、本件補正発明の「冷凍サイクル装置」に相当する。 (イ)引用発明の「冷媒」は、本件補正発明の「第1冷媒」に相当し、以下同様に、「圧縮機22」は「圧縮機」に、「第1熱交換器21」は「第1熱交換器」に、「膨張弁23」は「減圧装置」に、「第2熱交換器25」は「第2熱交換器」に、「冷媒回路20」は「第1サイクルユニット」に、それぞれ相当する。 以上から、引用発明の「前記逆サイクル運転において冷媒が圧縮機22、第1熱交換器21、膨張弁23、および第2熱交換器25の順に循環する冷媒回路20」と、本件補正発明の「前記冷房運転において第1冷媒が圧縮機、第1熱交換器、減圧装置、および第2熱交換器の第1循環方向に循環する第1サイクルユニット」とは、「第1冷媒が圧縮機、第1熱交換器、減圧装置、および第2熱交換器の第1循環方向に循環する第1サイクルユニット」である限りで一致している。 (ウ)引用発明の「水」は、本件補正発明の「水を含む第2冷媒」に相当し、以下同様に、「給水ポンプ31」は「ポンプ」に、「貯湯タンク32、暖房ユニット33」は「負荷装置」に、「水回路30」は「第2サイクルユニット」に、それぞれ相当する。 以上から、引用発明の「水が給水ポンプ31、前記第2熱交換器25、および貯湯タンク32、暖房ユニット33の順に循環する水回路30」は、本件補正発明の「水を含む第2冷媒がポンプ、前記第2熱交換器、および負荷装置の順に循環する第2サイクルユニット」に相当する。 (エ)引用発明の「制御部40」は、本件補正発明の「制御装置」に相当する。 してみると、引用発明の「前記冷媒回路20および前記水回路30を制御する制御部40」は、本件補正発明の「前記第1サイクルユニットおよび前記第2サイクルユニットを制御する制御装置」に相当する。 (オ)引用発明の「四方切替弁24」は、本件補正発明の「切替弁」に相当する。 してみると、引用発明の「前記冷媒回路20は、前記圧縮機22の吐出口と前記第2熱交換器25との間に接続された四方切替弁24を含」むことは、本件補正発明の「前記第1サイクルユニットは、前記圧縮機の吐出口と前記第2熱交換との間に接続された切替弁を含」むことに相当する。 (カ)引用発明の「6つの判断基準」は、水が凍結する可能性があることの判断基準なのであるから、本件補正発明の「第1条件」に相当する。 してみると、引用発明の「6つの判断基準のいずれか1つに基づいて前記水回路の水が凍結する可能性があると判断した場合」は、本件補正発明の「前記第2冷媒の凍結を示す第1条件が成立すると判定する場合」に相当する。 以上から、引用発明の「前記逆サイクル運転において6つの判断基準のいずれか1つに基づいて前記水回路の水が凍結する可能性があると判断した場合」と、本件補正発明の「前記冷房運転において前記第2冷媒の凍結を示す第1条件が成立すると判定する場合」とは、「前記第2冷媒の凍結を示す第1条件が成立すると判定する場合」である限りで一致している。 (キ)引用発明の「冷媒は、前記膨張弁23を通過することで減圧される」ことは、冷媒が膨張弁23において減圧されて膨張することが明らかであるから、本件補正発明の「前記第1冷媒は、前記減圧装置において断熱膨張する」ことと、「前記第1冷媒は、前記減圧装置において膨張する」ことである限りで一致している。 (ク)引用発明の「ヒートポンプ温水暖房機10」と、本件補正発明の「空調装置」とは、「冷凍サイクル装置」である限りで一致している。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「 冷凍サイクル装置であって、 第1冷媒が圧縮機、第1熱交換器、減圧装置、および第2熱交換器の第1循環方向に循環する第1サイクルユニットと、 水を含む第2冷媒がポンプ、前記第2熱交換器、および負荷装置の順に循環する第2サイクルユニットと、 前記第1サイクルユニットおよび前記第2サイクルユニットを制御する制御装置とを備え、 前記第1サイクルユニットは、前記圧縮機の吐出口と前記第2熱交換器との間に接続された切替弁を含み、 前記制御装置は、前記第2冷媒の凍結を示す第1条件が成立すると判定する場合、前記切替弁を制御して、前記吐出口からの前記第1冷媒を前記第1熱交換器および前記減圧装置を介さずに前記第2熱交換器に供給し、前記第1冷媒は、前記減圧装置において膨張する、冷凍サイクル装置。」 <相違点1> 冷凍サイクル装置に関して、本件補正発明は、「冷房運転」を行う「空調装置」であるのに対し、引用発明は、「逆サイクル運転」を行う「ヒートポンプ温水暖房機」である点。 <相違点2> 減圧装置における第1冷媒の膨張に関して、本件補正発明は、「断熱膨張」であるのに対し、引用発明は、断熱膨張であるか不明な点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点1について 冷媒が、圧縮機、第1熱交換器、減圧装置、第2熱交換器の順で循環する運転を行う冷凍サイクル装置において、圧縮機から吐出された冷媒が第1熱交換器で冷やされ、減圧装置で断熱膨張して、第2熱交換器が冷却されることは技術常識である。 そして、冷凍サイクル装置が、ヒートポンプによる暖房機において、暖房時とは逆サイクルの運転により冷房を可能とすることは、引用文献8記載の技術的事項及び引用文献9記載の技術的事項(上記(2)エ、オ)に示されているように、周知の技術的事項である。 したがって、冷媒が、圧縮機、第1熱交換器、減圧装置、第2熱交換器の順で循環する運転を行う機能の点で共通する、引用発明に周知の技術的事項を適用して、引用発明の逆サイクル運転における制御部40での制御を、空調装置の冷房運転に適用して、相違点1に係る本件補正発明とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点2について 引用文献6記載の技術的事項及び引用文献7記載の技術的事項(上記(2)イ、ウ)に示されているように、逆サイクル運転時に、冷媒を、減圧器で断熱膨張することは、周知の技術的事項である。 そして、引用発明においても、冷媒は、膨張弁23において減圧されて膨張されるものと解されるところ、相違点2は、実質的な相違点ではない。 ウ また、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び上記周知の技術的事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献6-9に記載の技術的事項に係る周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和5年12月1日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-13に係る発明は、令和5年7月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりのものである。 本件補正前の、令和5年7月28日にされた手続補正により補正された請求項1-13に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2-9に記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.国際公開第2014/102934号 引用文献2.特開2017-142039号公報 引用文献3.特開2008-116152号公報 引用文献4.国際公開第2017/221383号 引用文献5.特許第5492523号公報 引用文献6.特開平2-37265号公報 引用文献7.特開平11-264622号公報 引用文献8.特開2018-066515号公報 引用文献9.特開2019-078433号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、6-9及びそれらの記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記冷房運転において前記第2冷媒の凍結を示す第1条件が成立する場合」について、「制御装置」が「判定する」との限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献6-9に記載の技術的事項に係る周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献6-9に記載の技術的事項に係る周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-020426

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