商標拒絶査定不服審判
2022-000764
マスクフチョー、フチョー
- 審判番号
- 2022-000764
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-101287
- 請求日
- 2022年01月18日
- 審決日
- 2022年12月07日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】藤本 一
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 藤村 浩二
- 分類
- T18 .13 -Z (W05)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-101287拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年8月17日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年2月8日付け :拒絶理由通知書
令和3年3月18日 :意見書の提出
令和3年10月11日付け:拒絶査定
令和4年1月18日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「マスク不調」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,医療用接着テープ,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。),人工受精用精液」を指定商品として、登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「マスク不調」の文字を標準文字で表してなるところ、「マスク不調」の文字は、「新型コロナウイルスの感染予防でマスクの着用が日常化している昨今、マスクを着用することによる肌荒れや熱中症などの体の不調」程の意味合いで使用されている。そうすると、本願商標をその指定商品中「マスク着用による不調に対応した商品」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、上記意味合いを理解するにとどまり、本願商標は、単に商品の品質等を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、本願商標がその指定商品中「薬剤,衛生マスク」との関係において、同項同号に該当すると認めるに足りる事実を、新たに別掲1から別掲3のとおり発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和4年8月16日付けの証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
5 証拠調べに対する意見
請求人は、前記4の証拠調べ通知に対し、令和4年10月3日付けで意見書を提出し、要旨以下のように意見を述べた。
(1)別掲2の事実について、ここでいう「体の不調」及び「心身の不調」には、「頭痛」や「肌荒れ」をはじめ、「首や顔の筋肉がこわばったり」、「耳が痛い」、「だるさ・息苦しさ」、「吐き気、熱中症」、「冷え、肥満、低体温までも引き起こし脳へのダメージ」など、様々な症状が現に存在すと理解される。そうすると、本願商標から「マスク着用による不調」との意味合いが生じる場合があるとしても、具体的な「不調」の内容を具体的に理解することはできないというべきである。
(2)別掲3の事実について、商品「薬剤」について、鎮痛剤との関係では「マスク頭痛」、外用薬との関係では「マスク肌荒れ」などといった語が用いられている。そして、これら引用されたいずれのテクスト中にも、「マスク不調」との語は見られない。
また、商品「衛生マスク」についての記述はいずれも、マスクの選び方や装着方法といった「症状への「マスク」による対策が紹介されている」ものである。すなわち、いずれの記述も商品「衛生マスク」の「特徴」等を表すものではない。また、これらのうち、「マスク不調」との語が用いられているのは一部であり、いずれの文脈でも、「マスク不調」の語は、健康情報について説明する文章中に表れているにすぎず、その文章も具体的な商品を説明するものではない。また、これらテクスト中の「マスク不調」の内容は、「熱中症」、「酸欠・脱水症状」、「肩こり」、「肌荒れ・痛み」、「頭痛」、「肌荒れ」及び「耳の痛み」など多岐にわたり、当該語が特定の内容を表しているとはいえない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「マスク不調」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「マスク」の文字は、「病菌・埃などを防ぐために鼻・口を覆うもの。」(広辞苑第七版:岩波書店)を、「不調」の文字は、「調子が悪いこと」(前掲書)の意味を有する、いずれも親しまれた語である。
そして、近時、新型コロナ感染症対策でもマスク着用が重要な対策となっているところ、別掲2のとおり、「マスク○○」、「マスク不調」の語が、それぞれ「マスク(を着用すること)による○○」(○○は体の不調の症状)、「マスク(を着用すること)による心身の不調」を意味する語として使用されている事実が認められる。
また、別掲3のとおり、マスクを着用することによる心身の不調(頭痛・めまい・肩こりの症状、肌に関する症状、息苦しさ・耳の痛みの症状等)に対応した「薬剤」や、それらの症状への「マスク」による対策が紹介されている事例が認められる。
さらに、本願商標は、標準文字で表されているから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといえる。
以上を踏まえると、「マスク」及び「不調」の語を結合してなる本願商標が、その指定商品中「薬剤」及び「衛生マスク」に使用された場合には、これに接する取引者、需要者は、本願商標から、「マスク着用による身体の不調」程の意味合いを認識し、当該商品が「マスク着用による身体の不調」を改善、予防する薬剤及び衛生マスクであることを理解するにとどまるものであるから、本願商標は、商品の用途、品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「マスク不調」の内容には、「熱中症」、「酸欠・脱水症状」、「肩こり」、「肌荒れ・痛み」、「頭痛」、「肌荒れ」及び「耳の痛み」等の様々な意味があり、また、「不調」の語は、身体のどの部位の調子が悪いのか不明確であり、本願商標からは具体的な品質を認識することができない旨主張する。
しかしながら、本願指定商品中の「薬剤,衛生マスク」に関連する分野における取引実情(別掲2、3)のとおり、マスク着用による様々な身体の不調が一般的に「不調」の語を用いて表現されている事実に照らせば、本願商標が、その指定商品に用いられた場合に生じる「マスク着用による身体の不調」を改善、予防する薬剤や衛生マスクであるとの認識は、十分に具体的である。
イ 請求人は、過去の審決例、審査例から、本願商標も同様に自他商品識別力を有することが認められて然るべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標は、商品の用途、品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当であることは、前記(1)のとおりであって、過去の審決例、審査例の存在をもって、本願商標がその指定商品に使用された場合も、自他商品の識別機能を有するとすることはできない。
ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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