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特許異議申立

2021-701224

保守作業支援装置、保守作業支援方法及び保守作業支援プログラム

審判番号
2021-701224
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-052019
登録番号
6897701
請求日
2021年12月21日
審決日
2022年10月12日
公報発行日
2023年01月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ダイキン工業株式会社
  • 【権利者代理人】伊東 忠重
  • 【異議申立人】角田 朗
審判長/審判官
  • 審判長 高瀬 勤
  • 審判官 関口 明紀
  • 審判官 古川 哲也
分類
P1651.121-YAA(G06Q) / P1651.537-YAA(G06Q) / P1651.841-YAA(G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第7項、特許法第29条、特許法第36条、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6897701号発明「保守作業支援装置、保守作業支援方法及び保守作業支援プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6897701号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2、5〕、7、11について訂正することを認める。 特許第6897701号の請求項1~13に係る特許を維持する。

理由

理 由 理 由 第1 手続の経緯 特許第6897701号の請求項1~13に係る特許についての出願(特願2019-52019号)は、令和3年6月14日にその特許権の設定登録がされ、同年7月7日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年12月21日に特許異議申立人角田 朗(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされ、当審は、令和4年3月23日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である同年5月24日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、これに対し、当審は、同年6月16日付けで訂正拒絶理由を通知し、特許権者は同年7月21日に意見書及び訂正請求書の補正書を提出し、申立人は、同年9月2日に訂正の請求に対して意見書を提出した。 第2 訂正の適否についての判断 1 令和4年5月24日にされた訂正請求の内容 令和4年5月24日にされた訂正請求の内容は次のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項2に「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、作業手順が記録された作業内容情報」と記載されているのを、「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が異常原因ごと及び異常箇所ごとに記録された作業内容情報」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項7に「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、作業手順が記録された作業内容情報」と記載されているのを、「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が異常原因ごと及び異常箇所ごとに記録された作業内容情報」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項11に「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、作業手順が記録された作業内容情報」と記載されているのを、「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が異常原因ごと及び異常箇所ごとに記録された作業内容情報」に訂正する。 2 令和4年7月21日にされた訂正請求書の補正について (1)令和4年7月21日にされた訂正請求書の補正は次のとおりである。 ア 補正事項1 訂正事項1を次のとおり補正する。 訂正特許請求の範囲の請求項2における「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が異常原因ごと及び異常箇所ごとに記録された作業内容情報」について、「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が記録された作業内容情報」とする。 イ 補正事項2 訂正事項2を次のとおり補正する。 訂正特許請求の範囲の請求項7における「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が異常原因ごと及び異常箇所ごとに記録された作業内容情報」について、「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が記録された作業内容情報」とする。 ウ 補正事項3 訂正事項3を次のとおり補正する。 訂正特許請求の範囲の請求項11における「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が異常原因ごと及び異常箇所ごとに記録された作業内容情報」について、「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が記録された作業内容情報」とする。 (2)補正の適否 ア 訂正事項1についての補正 補正事項1は、訂正事項1において、訂正内容の一部の「異常原因ごと及び異常箇所ごとに」を削除するものであるから、訂正請求の範囲の減縮であり、訂正請求書の要旨を変更するものではない。 イ 訂正事項2についての補正 補正事項2は、訂正事項2において、訂正内容の一部の「異常原因ごと及び異常箇所ごとに」を削除するものであるから、訂正請求の範囲の減縮であり、訂正請求書の要旨を変更するものではない。 ウ 訂正事項3についての補正 補正事項3は、訂正事項3において、訂正内容の一部の「異常原因ごと及び異常箇所ごとに」を削除するものであるから、訂正請求の範囲の減縮であり、訂正請求書の要旨を変更するものではない。 (3)小括 令和4年7月21日にされた訂正請求書の補正は、特許法120条の5第9項で準用する同法131条の2第1項に適合する。 3 本件訂正請求 本件訂正請求は、令和4年7月21日提出の手続補正書により補正された訂正請求書、訂正特許請求の範囲のとおり、特許第6897701号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2、5、7、11について訂正することを求めるものであり、訂正請求の内容は、上記2(1)のとおりである。 そして、訂正事項1に係る訂正前の請求項2、5について、請求項5は、請求項2を直接的に引用する関係にあり、請求項5は、訂正事項1によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものであるから、請求項2、5は特許法120条の5第4項に規定される一群の請求項であり、訂正事項1は、一群の請求項に対して請求されたものである。 また、訂正事項2に係る訂正前の請求項7、訂正事項3に係る請求項11は、他の請求項と引用関係を有しない請求項である。 よって、本件訂正請求は、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2、5〕、7、11について訂正することを求めるものである。 4 訂正の適否についての判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項2に「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、作業手順が記録された作業内容情報」と記載されているのを、「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が記録された作業内容情報」と限定するものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、請求項2、5を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、明細書の段落【0081】、【0082】の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件について 訂正事項1に係る請求項2、5は、本件特許異議の申立ての対象であるから、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項7に「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、作業手順が記録された作業内容情報」と記載されているのを、「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が記録された作業内容情報」と限定するものであるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、請求項7を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、明細書の段落【0081】、【0082】の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件について 訂正事項2に係る請求項7は、本件特許異議の申立ての対象であるから、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項11に「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、作業手順が記録された作業内容情報」と記載されているのを、「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が記録された作業内容情報」と限定するものであるから、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、請求項11を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、明細書の段落【0081】、【0082】の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件について 訂正事項3に係る請求項11は、本件特許異議の申立ての対象であるから、訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (4)小括 以上のとおり、訂正事項1~3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項、及び第6項に適合する。 したがって、本件訂正請求による訂正は適法にされたものであるから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2、5〕、7、11について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件発明1~13は、訂正後の請求項1~13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、下線部は本件訂正請求によって訂正された箇所である。 「【請求項1】 空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを取得する第1の取得部と、 前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品が記録された作業内容情報を取得する第2の取得部と、 前記第1の取得部により取得されたデータセットと、前記第2の取得部により取得された作業内容情報に記録された、前記交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品とを関連付けて学習した学習結果に基づき、新たに取得されたデータセットから、空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を推論する推論部と を有する保守作業支援装置。 【請求項2】 空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを取得する第1の取得部と、 前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が記録された作業内容情報を取得する第2の取得部と、 前記第1の取得部により取得されたデータセットと、前記第2の取得部により取得された作業内容情報に記録された前記作業手順とを関連付けて学習した学習結果に基づき、新たに取得されたデータセットから、空調機器に対する保守作業の作業手順を推論する推論部と を有する保守作業支援装置。 【請求項3】 空調機器に対する保守作業の作業結果を評価する評価情報に基づいて報酬を算出する算出部と、 前記空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットに従って、前記空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を学習する学習部と、を有し、 前記学習部は、前記報酬に基づいて、前記空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を学習する保守作業支援装置。 【請求項4】 空調機器に対する保守作業の作業結果を評価する評価情報に基づいて報酬を算出する算出部と、 前記空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットに従って、前記空調機器に対する保守作業の作業手順を学習する学習部と、を有し、 前記学習部は、前記報酬に基づいて、前記空調機器に対する保守作業の作業手順を学習する保守作業支援装置。 【請求項5】 前記機器情報は、前記空調機器の種別を含み、 前記空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響には、少なくとも、前記空調機器が異音を発すること、前記空調機器の電気代が高いこと、が含まれる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の保守作業支援装置。 【請求項6】 空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを取得する第1の取得工程と、 前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品が記録された作業内容情報を取得する第2の取得工程と、 前記第1の取得工程において取得されたデータセットと、前記第2の取得工程において取得された作業内容情報に記録された、前記交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品とを関連付けて学習した学習結果に基づき、新たに取得されたデータセットから、空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を推論する推論工程と をコンピュータが実行する保守作業支援方法。 【請求項7】 空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを取得する第1の取得工程と、 前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が記録された作業内容情報を取得する第2の取得工程と、 前記第1の取得工程において取得されたデータセットと、前記第2の取得工程において取得された作業内容情報に記録された前記作業手順とを関連付けて学習した学習結果に基づき、新たに取得されたデータセットから、空調機器に対する保守作業の作業手順を推論する推論工程と をコンピュータが実行する保守作業支援方法。 【請求項8】 空調機器に対する保守作業の作業結果を評価する評価情報に基づいて報酬を算出する算出工程と、 前記空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットに従って、前記空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を学習する学習工程と、をコンピュータが実行する保守作業支援方法であって、 前記学習工程は、前記報酬に基づいて、前記空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を学習する保守作業支援方法。 【請求項9】 空調機器に対する保守作業の作業結果を評価する評価情報に基づいて報酬を算出する算出工程と、 前記空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットに従って、前記空調機器に対する保守作業の作業手順を学習する学習工程と、をコンピュータが実行する保守作業支援方法であって、 前記学習工程は、前記報酬に基づいて、前記空調機器に対する保守作業の作業手順を学習する保守作業支援方法。 【請求項10】 空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを取得する第1の取得工程と、 前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品が記録された作業内容情報を取得する第2の取得工程と、 前記第1の取得工程において取得されたデータセットと、前記第2の取得工程において取得された作業内容情報に記録された、前記交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品とを関連付けて学習した学習結果に基づき、新たに取得されたデータセットから、空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を推論する推論工程と をコンピュータに実行させるための保守作業支援プログラム。 【請求項11】 空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを取得する第1の取得工程と、 前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が記録された作業内容情報を取得する第2の取得工程と、 前記第1の取得工程において取得されたデータセットと、前記第2の取得工程において取得された作業内容情報に記録された前記作業手順とを関連付けて学習した学習結果に基づき、新たに取得されたデータセットから、空調機器に対する保守作業の作業手順を推論する推論工程と をコンピュータに実行させるための保守作業支援プログラム。 【請求項12】 空調機器に対する保守作業の作業結果を評価する評価情報に基づいて報酬を算出する算出工程と、 前記空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットに従って、前記空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を学習する学習工程と、をコンピュータに実行させるための保守作業支援プログラムであって、 前記学習工程は、前記報酬に基づいて、前記空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を学習する保守作業支援プログラム。 【請求項13】 空調機器に対する保守作業の作業結果を評価する評価情報に基づいて報酬を算出する算出工程と、 前記空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットに従って、前記空調機器に対する保守作業の作業手順を学習する学習工程と、をコンピュータに実行させるための保守作業支援プログラムであって、 前記学習工程は、前記報酬に基づいて、前記空調機器に対する保守作業の作業手順を学習する保守作業支援プログラム。」 第4 特許異議の申立ての理由の概要 特許異議の申立ての理由の概要は次のとおりである。 甲1~3を証拠方法とし、本件の請求項1~13に係る発明は、甲1に記載された発明、及び周知技術、又は甲1に記載された発明、周知技術、及び甲3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~13に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 また、本件の請求項5の記載は明確でないから、請求項5に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 申立人の提出した証拠方法 甲1:特開2002-92206号公報 甲2:特開2003-172578号公報 甲3:特開2003-316423号公報 第5 令和4年3月23日付けの取消し理由通知の概要 訂正前の請求項1~13に係る特許に対して、当審が令和4年3月23日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 1(進歩性)請求項1、2、5~7、10、11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲1に記載された発明及び甲3に記載された技術事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2、5~7、10、11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第6 当審の判断 1 特許法第29条2項(進歩性)について (1)本件発明 本件発明1~13は、それぞれ、上記第3に記載した請求項1~13に係る発明である。 (2)甲1~甲3について ア 甲1(特開2002-92206号公報)について (ア)甲1には、以下のとおりの記載がある。下線は、当審が付した。 「【0008】このように従来の故障診断方式では、故障原因の推定や実際の修理作業に多くの時間、労力及びコストが使われており、これら時間短縮や労力及びコスト削減の点で改善の余地が残されていた。しかも、ユーザは、家電機器が故障すると長期間使用できなくなり日常生活を送る上での不便さが増してしまうので、このような点を改善するためにも、ユーザに対する迅速且つ的確なサポートを十分に行うことのできる故障診断システムが望まれていた。 【0009】本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、家電機器の故障原因の推定や修理作業を短時間で効率よく行うことのできる家電機器の故障診断システムを提供することにある。」 「【0022】<一般家庭を想定したモデルルームの説明>まず初めに、例えば一般家庭を想定したモデルルーム2について説明する。このモデルルーム2には、家電機器3として例えば電子レンジ3a、洗濯機3b及び冷蔵庫3cが設置されている。これら家電機器3の内部には、図示しないマイクロコンピュータ(マイコン)を主体とした制御回路が構成されており、この制御回路内のマイコンに書き込まれたソフトウェアによって全動作の制御が行われるようになっている。 【0023】また、図示はしないが、各家電機器3の内部には、各機能の動作状態の異常を検出するための複数のセンサが装着されており、各家電機器3の動作時にはマイコンにより常に全センサの監視が行われるようになっている。そして、制御回路内に設けられたROMには、異常が検出されたセンサ(異常センサ)とエラーコードとを対応付けた情報(エラーコード情報)が記録されており、マイコンにおいて、何れかのセンサの異常が検出されると、ROM内に記憶されたエラーコード情報に基づいてエラーコードが検出され、各家電機器3の図示しない表示部にそのエラーコードが表示されるようになっている。また、これら家電機器3の内部には、図示はしないが例えばBlueTooth仕様の通信機が装着されており、後述するホーム端末4との無線通信が可能になっている。」 「【0025】また、このモデルルーム2には、情報通信手段たるインターネット用回線7に接続されたDSU内蔵型のターミナルアダプタ8が設置されており、このターミナルアダプタ8にもBlueTooth仕様の通信端末9が有線接続により装着されている。そして、この通信端末9とホーム端末4とは無線通信により接続され、ホーム端末4がインターネットに接続できるようになっている。以上のように、このモデルルーム2では、ホーム端末4と各家電機器3とでネットワークが構築され、ホーム端末4により各家電機器3の遠隔操作が実行可能になっており、更にホーム端末4はインターネットにより後述する故障診断システム1やオペレータ端末11との情報通信が可能になっている。尚、図1では、ホーム端末4及びオペレータ端末11と故障診断システム1とが直線的に有線接続されているように描かれているが、実際には図示しないプロバイダを介在させて有線接続されている。 【0026】<故障診断システム1の説明>次に、故障診断システム1について説明する。図示しない故障診断専用のオフィスコンピュータ(オフコン)は、縦置型のオフコン本体にモニター、例えばハードディスクや光ディスク等の外部記憶装置等が接続されて構成されている。オフコン本体は、直方体型の筐体内部に図示しないCPUを主体とした制御回路が内蔵されて構成されている。この制御回路は、マザーボードにCPU、メモリ、ハードディスク、ビデオカードや通信用等の各種ボード、DVD-RAM等の記録媒体を読み書きするためのドライバ等が接続されて構成されている。」 「【0028】この故障診断システム1は、インターネットを通じて家電機器3の動作状態を遠隔で診断して診断結果を出力する遠隔診断手段12と、過去に行われた修理やユーザ対応に関するサポート事例を蓄積するサポート事例蓄積手段13と、これら診断結果及びサポート事例に基づいて家電機器3の故障原因を推定して後述する修理指示書14(図4参照)及び故障情報を作成する故障推定手段15と、同じく診断結果及びサポート事例に基づいてユーザからの問い合わせに対する回答を支援するためのサポート情報を作成するサポート情報作成手段16とで構成されている。」 「【0033】<故障診断システム1の作用説明>次に、故障診断システム1の作用について図3乃至図7を参照しながら説明する。遠隔診断手段12は、ホーム端末4とインターネットにより通信を行い、各家電機器3の動作状態の診断を行うものである。 【0034】この診断は、遠隔診断手段12からホーム端末4に対して所定の家電機器3に対する診断指令を出力することにより行われる。この診断指令が出力されると、ホーム端末4は、診断指令に基づいて指定された家電機器3と通信を行うことにより、該家電機器3に対して全センサの正常・異常を判定した結果であるセンサ情報を要求する。これに応じて該家電機器3は、センサ情報をホーム端末4に出力すると共に、何れかのセンサに異常が検出された場合には、そのセンサの異常に該当するエラーコードも出力する。そしてホーム端末4は、これらセンサ情報及びエラーコードを遠隔診断手段12に出力する。 【0035】遠隔診断手段12では、エラーコードを受信の有無により該家電機器3の異常の有無を判定する。そして、その判定の結果を診断結果として故障推定手段15及びサポート情報作成手段16に出力し、更に、該家電機器3に異常有りとの判定をした場合には、診断時のセンサ情報及びエラーコードを故障推定手段15に出力する。 【0036】サポート事例蓄積手段13は、修理サービスを提供している全家電機器3に関する情報をサポート事例として蓄積(記録)するものである。このサポート事例は、家電機器3の修理に関するサポート事例(修理対応サポート事例)と、ユーザからの問い合わせに関するサポート事例(顧客対応サポート事例)とに分類され、個別に記録されている。 【0037】修理対応サポート事例は、過去に修理の行われた家電機器3の機種名、エラーコード、センサ情報、故障原因及び修理方法が一つの集合要素として構成されている。そして、詳細は後述するが、家電機器3の修理が完了する毎に、サポート事例蓄積手段13において新たな修理対応サポート事例が作成されて記録されるようになっている。 【0038】また、サポート事例蓄積手段13では、所定の機種に対して新たな修理対応サポート事例が記録される毎にエラーコード及びセンサ情報に対する故障原因の統計がとられるようになっている。具体的には、所定のエラーコード及びセンサ情報に対して故障原因が複数存在する場合には、それらの故障原因に対してその出現頻度に応じた重み付けがなされる。この重み付けは、例えば複数の故障原因全体の出現頻度の合計を“1”とした場合に、各故障原因の出現頻度を“1”に対する割合で表したものである。また、所定のエラーコード及びセンサ情報に対して故障原因が一つだけ存在する場合には、その重み付けは“1”となる。このようにして、所定のエラーコード及びセンサ情報と、それに対して重み付けされた故障原因とが修理対応統計結果としてサポート事例蓄積手段13に記録される。」 「【0041】故障推定手段15は、遠隔診断手段12から受けた診断結果に基づいて、サポート事例蓄積手段13に記録された修理対応統計結果を参照しながら家電機器3の故障原因を推定するものである。まず、遠隔診断手段12から、家電機器3に異常有りとの診断結果、センサ情報及びエラーコードを受けると、サポート事例蓄積手段13に対して前記エラーコード及びセンサ情報に対応する修理対応統計結果を要求する。そして、これらエラーコード、センサ情報及び修理対応統計結果に基づいて推定条件を設定し、ニューラルネットワーク理論に基づいた計算アルゴリズムにより演算を行い、故障原因を推定する。」 「【0043】ここで家電機器3として電子レンジ3aを例に挙げて、図示しないドアスイッチが故障した場合のニューラルネットワーク理論に基づく故障原因の推定について、図3を参照しながら説明する。まず、ドアスイッチが故障した電子レンジ3aに対して遠隔診断手段12から診断指令が出力されると、電子レンジ3a内のマイコンによりドアスイッチの異常検出用の電流センサが異常であるとの判定がなされ、ROM内に記憶されているエラーコード情報に基づいてエラーコード「H11」が検出される。 【0044】次に、このエラーコードを受けた遠隔診断手段12では、電子レンジ3aに異常有りとの判定がなされ、この診断結果と共に診断時のセンサ情報及びエラーコードが故障推定手段15に出力される。また、サポート事例蓄積手段13では、故障推定手段15からの要求に応じて前記センサ情報及びエラーコードに対応する修理対応統計結果が検出されて故障推定手段15に出力される。 【0045】故障推定手段15では、これらセンサ情報、エラーコード及び修理対応統計結果に基づいて図3に示すような階層型ネットワーク20が形成される。この図3では、エラーコードのノード21aは「H11」を示し、センサ情報としてのインバータ部品に装着された温度センサの温度上昇値のノード21b、及び、インバータ入力部に装着された電流センサの電流値のノード21cは正常を示し、ドアスイッチに装着された電流センサの電流値のノード21dは異常を示している。また、修理対応統計結果のノード21eは、前記入力層のノード21a乃至21dに対して重み付けがなされた故障原因(例えば、ドアスイッチに装着された電流センサによりエラーコード「H11」が検出された場合には、ドアスイッチの故障の可能性大、インバータの故障の可能性小)を示している。」 「【0050】また、故障推定手段15では、推定した故障原因に基づいて、故障原因を記載した故障情報及び修理を行うために必要な修理情報を記載した修理指示書14を作成する機能を有している。図4は、前記電子レンジ3aにおいてドアスイッチが故障したと推定された場合に作成された修理指示書を示すものである。このように修理指示書14には、手配No、ユーザ氏名、ユーザ連絡先、修理指定日時、担当サービス技術者名、家電機器の機種名、故障時の症状(表示エラーコード)、推定された故障原因、修理に必要な部品名及び個数、修理手順マニュアル(修理方法)等の修理業務に必要な修理情報が記載されている。」 「【0070】<修理サービスセンター18での故障診断システム1の作用説明>次に、サービス技術者が家電機器3の修理作業を行う際の故障診断システム1の作用について図7(a)及び(b)を参照して説明する。 【0071】修理サービスセンター18では、修理サービス用端末24に修理指示書14が送られてくると、該当する家電機器3の修理を担当するサービス技術者は、まず、ユーザと連絡をとってユーザ宅へ修理に出向く日(修理指定日)の調整をする。次に、修理指示書14に基づいて必要な修理部品を調達する。そして、修理指定日に調達した修理部品を携えてユーザ宅に出向き、故障した家電機器3の修理を行う。 【0072】このようにして修理が完了すると、サービス技術者は、ユーザ宅のホーム端末4を借りて、図7(a)に示すような「修理サポート完了」という画面44を表示させる。そして、この画面44の表示に従って、修理指示書14の修理手順マニュアル通りに修理を完了させた場合には、「完了」ボタン45を押す。このボタン45が押されると、ホーム端末4からは、修理経過情報たる修理指示書14に示された修理方法(修理解決情報)がサポート事例蓄積手段13に送信され、サポート事例蓄積手段13では、家電機器3の故障原因が推定された際のエラーコード、センサ情報、故障原因及び修理解決情報に基づいて新たな修理対応サポート事例が作成されて記録される。 【0073】また、サービス技術者がユーザ宅にて直接的に家電機器3を診断した結果、その故障原因が修理指示書14に記載されたものとは異なる場合もある。その場合には、サービス技術者が故障原因を特定し、再度修理に必要な部品を調達して家電機器3の修理を完了させる。このようにして修理を完了させた場合には、サービス技術者は、図7(a)に示す画面44において、修理指示書14の修理手順マニュアルと異なる修理方法で修理を完了させたということで、「詳細入力」ボタン46を押す。すると、ホーム端末4の画面上には図7(b)に示すような「修理サポート結果/詳細入力」という画面47が表示される。 【0074】そこで、この画面47に従ってサービス技術者が特定した故障原因と故障部品名を専用の入力欄48に入力し、「完了」ボタン49を押す。このボタン49が押されると、ホーム端末4からは、修理経過情報たるサービス技術者が特定した故障原因及び故障部品名(修理解決情報)がサポート事例蓄積手段13に送信され、サポート事例蓄積手段13では、家電機器3の故障原因が推定された際のエラーコード及びセンサ情報と、修理解決情報に基づいて新たな修理対応サポート事例が作成されて記録される。」 「【0086】本発明の実施例では、情報通信手段としてインターネットを使用したが、これに限定されるものではなく、例えば専用電話回線やケーブル回線等の有線接続を適用してもよく、無線通信による無線接続を適用してもよい。また、ホーム端末と家電機器との接続も、BlueTooth仕様の無線通信による接続に限定されるものではなく、あらゆる有線通信や無線通信による接続が適用できる。本発明の実施例では、故障推定手段において故障原因を推定する際に、階層型ネットワーク方式の計算アルゴリズムで演算を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば相互結合ネットワーク方式を適用してもよい。また、故障原因の推定方法(演算方法)は、ニューラルネットワーク理論に基づいたものである必要はなく、故障原因の推定を正確に行うことのできる演算方法であればよい。」 「【0090】本実施例では、修理対応サポート事例は、過去に修理の行われた家電機器の機種名、エラーコード、センサ情報、故障原因及び修理方法を一つの集合要素として構成したが、これに限定されるものではなく、家電機器の故障原因を推定するのに必要な情報を組み合わせて集合要素を構成すればよい。故障原因を推定するのに必要な情報としては、例えばサービス技術者の経験・修練・技能等が挙げられる。また、家電機器の新製品の発売に合わせてその家電機器のサポート事例をサポート事例蓄積手段に蓄積するようにしてもよく、これにより新製品が故障した場合にも即座に故障原因を推定することができる。」 「【0093】本実施例では、故障通信システム、ホーム端末及びオペレータ端末は、常にインターネットに接続されている構成としたが、これに限定されるものではなく、必要に応じてインターネットに接続するようにしてもよい。本実施例では、家電機器として、電子レンジ、洗濯機、冷蔵庫を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、家庭電化製品と呼ばれるもの全てに適用できる。更に、例えば、ステレオ及びコンポ等の音響製品、ビデオ及びDVD等の映像関係製品、パソコン及びゲーム機等のコンピュータ製品などの家電機器にも適用できる。」 【図4】 [図:0001393083000001.jpg] 「故障内容」として「ドアスイッチの故障の可能性大、インバータの故障の可能性小」が、「故障時の症状」として「「H11」表示」であることが記載されている。 (イ)甲1発明 甲1の上記記載によれば、以下のことがいえる。 a 段落【0028】の記載によると、甲1には、「インターネットを通じて家電機器3の動作状態を遠隔で診断して診断結果を出力する遠隔診断手段12と、過去に行われた修理やユーザ対応に関するサポート事例を蓄積するサポート事例蓄積手段13と、これら診断結果及びサポート事例に基づいて家電機器3の故障原因を推定して後述する修理指示書14(図4参照)及び故障情報を作成する故障推定手段15と、同じく診断結果及びサポート事例に基づいてユーザからの問い合わせに対する回答を支援するためのサポート情報を作成するサポート情報作成手段16とで構成されている」「故障診断システム1」が記載されている。 b 段落【0022】、【0023】、【0025】、【0043】、【0050】、【0093】、図4の記載によると、甲1には、上記aの「家電機器3」の例として「電子レンジ、洗濯機、冷蔵庫」があるが、「家庭電化製品と呼ばれるもの全てに適用できる」ものであり、「家電機器3」は、「何れかのセンサの異常が検出されると、」「表示部にそのエラーコードが表示」され、「表示エラーコード」は「故障時の症状」であり、また、「各家電機器3」と「ホーム端末4」で「ネットワークが構築され」、「ホーム端末4はインターネット」により「故障診断システム1」との「情報通信が可能」であることが記載されている。 c 段落【0036】、【0037】の記載によると、甲1には、「サポート事例蓄積手段13は、修理サービスを提供している全家電機器3に関する情報をサポート事例として蓄積(記録)」し、「修理対応サポート事例は、過去に修理の行われた家電機器3の機種名、エラーコード、センサ情報、故障原因及び修理方法が一つの集合要素として構成」されるものであり、「家電機器3の修理が完了する毎に、サポート事例蓄積手段13において新たな修理対応サポート事例が作成されて記録される」ことが記載されている。 d 段落【0038】の記載によると、甲1には、「サポート事例蓄積手段13では、所定の機種に対して新たな修理対応サポート事例が記録される毎にエラーコード及びセンサ情報に対する故障原因の統計」をとり、「所定のエラーコード及びセンサ情報と、それに対して」「出現頻度に応じ」て「重み付けされた故障原因とが修理対応統計結果としてサポート事例蓄積手段13に記録される」ことが記載されている。 e 段落【0033】~【0035】によると、甲1には、「遠隔診断手段12は、ホーム端末4とインターネットにより通信を行い、各家電機器3の動作状態の診断を行う」際、「ホーム端末4」は「家電機器3」の「センサ情報及びエラーコードを遠隔診断手段12に出力」し、「遠隔診断手段12では、エラーコードを受信の有無により該家電機器3の異常の有無を判定」し、「該家電機器3に異常有りとの判定をした場合には、診断時のセンサ情報及びエラーコードを故障推定手段15に出力」することが記載されている。 f 段落【0041】、【0050】によると、甲1には、「故障推定手段15」は、「遠隔診断手段12から、家電機器3に異常有りとの診断結果、センサ情報及びエラーコードを受けると、サポート事例蓄積手段13に対して前記エラーコード及びセンサ情報に対応する修理対応統計結果を要求」し、「これらエラーコード、センサ情報及び修理対応統計結果に基づいて推定条件を設定し、ニューラルネットワーク理論に基づいた計算アルゴリズムにより演算を行い、故障原因を推定」するとともに、「故障原因を記載した故障情報及び修理を行うために必要な修理情報を記載した修理指示書14を作成する」ことが記載されている。 g 段落【0045】、【0050】、【0070】~【0074】、図4の記載によると、甲1には、「修理指示書14」には、「家電機器の機種名、故障時の症状(表示エラーコード)、」「ドアスイッチの故障の可能性大、インバータの故障の可能性小」といった「推定された故障原因、修理に必要な部品名及び個数、修理手順マニュアル(修理方法)等の修理業務に必要な修理情報が記載」されており、「該当する家電機器3の修理を担当するサービス技術者は、」「故障した家電機器3の」「修理作業を行」い、「修理が完了すると、サービス技術者」の操作により、「修理指示書14の修理手順マニュアル通りに修理を完了させた場合には」、「修理経過情報たる修理指示書14に示された修理方法(修理解決情報)がサポート事例蓄積手段13に送信され」、「故障原因が修理指示書14に記載されたものとは異なる場合」には、「修理経過情報たるサービス技術者が特定した故障原因及び故障部品名(修理解決情報)がサポート事例蓄積手段13に送信され」、「サポート事例蓄積手段13」へ、「新たな修理対応サポート事例が作成されて記録される」ことが記載されている。 h 上記段落【0026】の記載によると、甲1には、「故障診断システム1」は「故障診断専用のオフィスコンピュータ」により構成されることが記載されている。 i 甲1発明 上記a~hによると、甲1には、 「インターネットを通じて家電機器の動作状態を遠隔で診断して診断結果を出力する遠隔診断手段と、過去に行われた修理やユーザ対応に関するサポート事例を蓄積するサポート事例蓄積手段と、これら診断結果及びサポート事例に基づいて家電機器の故障原因を推定して後述する修理指示書及び故障情報を作成する故障推定手段と、同じく診断結果及びサポート事例に基づいてユーザからの問い合わせに対する回答を支援するためのサポート情報を作成するサポート情報作成手段とで構成されている故障診断システムであって(上記a)、 家電機器の例として電子レンジ、洗濯機、冷蔵庫があるが、家庭電化製品と呼ばれるもの全てに適用できるものであり、家電機器は、何れかのセンサの異常が検出されると、表示部にそのエラーコードを表示し、表示エラーコードは故障時の症状であり、また、各家電機器とホーム端末でネットワークが構築され、ホーム端末はインターネットにより故障診断システムとの情報通信が可能であり(上記b)、 サポート事例蓄積手段は、修理サービスを提供している全家電機器に関する情報をサポート事例として蓄積(記録)し、修理対応サポート事例は、過去に修理の行われた家電機器の機種名、エラーコード、センサ情報、故障原因及び修理方法が一つの集合要素として構成されるものであり、家電機器の修理が完了する毎に、サポート事例蓄積手段において新たな修理対応サポート事例が作成されて記録され(上記c)、 また、サポート事例蓄積手段では、所定の機種に対して新たな修理対応サポート事例が記録される毎にエラーコード及びセンサ情報に対する故障原因の統計をとり、所定のエラーコード及びセンサ情報と、それに対して出現頻度に応じて重み付けされた故障原因とが修理対応統計結果として記録され(上記d)、 遠隔診断手段は、ホーム端末とインターネットにより通信を行い、各家電機器の動作状態の診断を行う際、ホーム端末は家電機器のセンサ情報及びエラーコードを遠隔診断手段に出力し、遠隔診断手段では、エラーコードの受信の有無により該家電機器の異常の有無を判定し、該家電機器に異常有りとの判定をした場合には、診断時のセンサ情報及びエラーコードを故障推定手段に出力し(上記e)、 故障推定手段は、遠隔診断手段から、家電機器に異常有りとの診断結果、センサ情報及びエラーコードを受けると、サポート事例蓄積手段に対して前記エラーコード及びセンサ情報に対応する修理対応統計結果を要求し、これらエラーコード、センサ情報及び修理対応統計結果に基づいて推定条件を設定し、ニューラルネットワーク理論に基づいた計算アルゴリズムにより演算を行い、故障原因を推定するとともに、故障原因を記載した故障情報及び修理を行うために必要な修理情報を記載した修理指示書を作成し(上記f)、 修理指示書には、家電機器の機種名、故障時の症状(表示エラーコード)、ドアスイッチの故障の可能性大、インバータの故障の可能性小といった、推定された故障原因、修理に必要な部品名及び個数、修理手順マニュアル(修理方法)等の修理業務に必要な修理情報が記載されており、該当する家電機器の修理を担当するサービス技術者は、故障した家電機器の修理作業を行い、修理が完了すると、サービス技術者の操作により、修理指示書の修理手順マニュアル通りに修理を完了させた場合には、修理経過情報たる修理指示書に示された修理方法(修理解決情報)がサポート事例蓄積手段に送信され、故障原因が修理指示書に記載されたものとは異なる場合には、修理経過情報たるサービス技術者が特定した故障原因及び故障部品名(修理解決情報)がサポート事例蓄積手段に送信され、サポート事例蓄積手段へ、新たな修理対応サポート事例が作成されて記録される(上記g)、 故障診断専用のオフィスコンピュータによって構成される故障診断システム。(上記h)」(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。 イ 甲2(特開2003-172578号公報)について 甲2には、以下のとおりの記載がある。下線は、当審が付した。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、通信機能を備えた一般家庭内の家電機器の保守、点検に関する。」 「【0021】図1は本発明の1つの実施の形態のシステム構成図である。1はネットワーク対応家電機器を接続したシステムで、一般家庭2内の家庭内ネットワークにより冷蔵庫201、洗濯機202、電子レンジ203、エアコン204、照明205等のネットワーク対応家電機器206と接続された家庭内サーバ200とサービスセンタ3内のサーバ300さらに使用者の携帯端末としての携帯電話4とインターネット等の公衆回線を通じて結ばれている。 【0022】ネットワーク対応家電機器として冷蔵庫201を例に取って図2に基づいて説明する。冷蔵庫201は断熱箱体211により冷蔵室212、野菜室214、冷凍室216に分けられ、それぞれ冷蔵室扉213、野菜室扉215、冷凍室扉216により食品の出し入れが可能となっている。冷蔵室212、野菜室214、冷凍室216を冷却するために、圧縮機221、凝縮器222、減圧装置(図示せず)、冷蔵室冷却器224、冷凍室冷却器226からなる冷凍サイクル220が設けられ、冷蔵室用冷却ファン225により冷蔵室212、野菜室214、冷凍室用冷却ファン227により冷凍室216に冷気が供給される。冷蔵庫201の運転は、制御器230により制御され、制御器230は冷蔵庫の機能をデジタル制御する冷蔵庫制御器233、ネットワーク用の配線を接続する端子を備えた通信制御器235、あらかじめ型式、製造番号等の製品情報と運転状態を記録する情報記録装置234からなり、家庭内電源からコンセント231、ヒューズ230、DC電源232を介して電力が供給される。また、通信制御器235には、停電時にも通信可能なように別系統の電源としてのバックアップ電源236が設けられてる。冷蔵庫制御器233は、空気温度検出器240、冷蔵室温度検出器241、冷蔵室冷却器温度検出器242、野菜室温度検出器243、冷凍室温度検出器244、冷凍室冷却器温度検出器245、凝縮器温度検出器246、圧縮機温度検出器247、扉開閉検出器248の各検出器の検出値に基づき、冷凍サイクル220の圧縮機221、凝縮器用ファン223、冷蔵室用ファン225、冷凍室用ファン227が制御される。これらの検出値、及び冷凍サイクルの圧縮機221、凝縮器用ファン223、冷蔵室用ファン225、冷凍室用ファン227の回転数は情報記録装置234に保存される。」 「【0024】サービスセンタ3内のサーバ300には故障解析用のワークステーション301、顧客情報を記録した顧客データ302、各家電機器の情報を記録した製品データ、解析結果を出力するプリンタ304が接続されている。サーバ300には図示していないが、製造メーカ、販売店と情報交換が可能なように通信回線が設けられている。」 「【0029】図7に記載したフローチャートに基づいて冷蔵庫301を例に取って説明する。20でサービスセンタのワークステーション301が顧客データ303に記載された点検日が当日であれば、21に進みサーバ300、公衆回線、家庭内サーバ200を介して冷蔵庫301にパスワードと運転情報要求信号が送られる。このとき液晶パネル250内の定期点検がON(保守点検サービス期間中であっても使用者がデータを送信させたくない場合がある。このような場合にこの定期点検スイッチをオフにしておくことで、サービスセンタのサーバーから運転情報送信要求信号が送られてきても、これを無視することができる)になっていると、設定パスワードと送られてきたパスワードを照合し一致している場合のみ、情報記録装置234に記録されたデータを返信する。22で返信されたデータを受け取ったワークステーション301は、23で送られてきた製品情報から製品データ303内に記憶された製品データを読込み、24で家電機器の異常の有無を点検を行う。 【0030】まず、液晶パネル250の運転設定で設定された冷蔵室温度、野菜室温度、冷凍室温度と扉開閉検出器247で検出される扉開閉が一定時間無い時の冷蔵室温度検出器241、野菜室温度検出器243、冷凍室温度検出器244で検出された温度を読み込み、製品データ303に記憶されている基準値と比較し、偏差が許容値以下であれば冷蔵庫の基本機能が正常と判断し、許容値以上であれば異常と判断する。次に、個別部品の機能を点検する。圧縮機221、冷蔵室用冷却ファン225、冷凍室用ファン242、凝縮器用ファン223の回転数が設定値と冷蔵室温度検出器241、野菜室温度検出器243、冷凍室温度検出器244で検出された温度から製品データの基準値と比較し偏差が許容値以下であれば正常と判断し、許容値以上であれば、許容値以上の部品を故障と判断する。さらに、圧縮機221、冷蔵室用冷却ファン225、冷凍室用ファン242、凝縮器用ファン223の回転数と空気温度検出器240、冷蔵室温度検出器241、冷蔵室冷却器温度検出器242、野菜室温度検出器243、冷凍室温度検出器244で検出される温度を用いて機器データから基準となる圧縮機温度、凝縮器温度、冷蔵室冷却器温度、冷凍室冷却器温度を算出し、冷蔵室冷却器温度検出器242、冷凍室冷却器温度検出器245、凝縮器温度検出器246、圧縮機温度検出器247で検出された温度と比較し偏差が許容値以下であれば正常と判断し、基準値以上では、基準値以上の温度が生じた部品と機器データ303に記録されているデータベースから異常箇所を推定する。例えば、冷蔵室冷却器温度検出器242、冷凍室冷却器温度検出器245、凝縮器温度検出器246で検出される温度が基準値より低く、圧縮機温度検出器247で検出される温度が基準値より高い場合、冷媒漏れと判断する。」 「【0032】25で異常のある場合、サーバー300は、この旨をサービスセンタ3内の表示装置に表示し、場合によってはプリンタ304にプリントアウトする。24で判断した異常箇所から、サーバー300は、27で修理に必要な工具リストを作成するとともにサービス品の在庫状況をデータベースから検出、28でサービス員のスケジュールから修理可能な日程を算出し、29で使用者に異常箇所と修理可能日程を図9に示すように記載し連絡する。なお、この連絡は、サービス員が行っても良い。この場合、サーバー300は、少なくとも異常個所及びサービス品の在庫状況を表示若しくはプリントアウトする。異常のある場合、電子メール、郵便以外にも、販売店にも連絡し、販売店から使用者宅に訪問し結果の連絡と修理日を調整してもよい。30で顧客データ302の点検日を次回の日付に変更すし、定期点検を終了する。」 「【0038】上記実施例ではネットワーク対応家電機器として冷蔵庫を用いたが、エアコン、洗濯機、電子レンジ等でもデジタル制御装置を有するものでは同等の動作を行うことができる。」 「【0042】以上、上記説明した本実施例によれば、ネットワーク対応家電機器において、運転情報と予め決められたパスワードを記録する記憶手段と、外部からの運転情報要求信号とパスワード信号に対し、パスワードが一致した場合に運転情報を送信する手段を備えることにより、安全に家電機器に特別な診断手段を設けることなく外部機器から運転状態を把握することができる。また、ネットワークの送受信手段の電源装置に家電機器本体の電源系統とは別の電源系統を備えることにより、異常発生により、家電機器本体の電源に異常をきたしても、通信装置が動作し、異常発生時の運転状態をサービスセンタ等に送信でき、故障箇所の把握でき修理が迅速にできる。」 以上、上記記載によると、甲2には、 「一般家庭内の家庭内ネットワークにより冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、エアコン、照明等のネットワーク対応家電機器と接続された家庭内サーバとサービスセンタ内のサーバさらに使用者の携帯端末としての携帯電話とインターネット等の公衆回線を通じて結ばれているシステムにおいて、 ネットワーク対応家電機器は、運転情報と予め決められたパスワードを記録し、外部からの運転情報要求信号とパスワード信号に対し、パスワードが一致した場合に運転情報を送信し、 返信されたデータを受け取ったサーバに接続されたワークステーションは、送られてきた製品情報から製品データ内に記憶された製品データを読込み、家電機器の異常の有無を点検を行うものであり、例えば、冷蔵室冷却器温度検出器、冷凍室冷却器温度検出器、凝縮器温度検出器で検出される温度が基準値より低く、圧縮機温度検出器で検出される温度が基準値より高い場合、冷媒漏れと判断し、 判断した異常箇所から、サーバーは、修理に必要な工具リストを作成するとともにサービス品の在庫状況をデータベースから検出、サービス員のスケジュールから修理可能な日程を算出し、使用者に異常箇所と修理可能日程を記載し連絡を行うこと。」(以下、「甲2に記載された技術的事項」という。)が記載されている。 ウ 甲3(特開2003-316423号公報)について 甲3には、以下のとおりの記載がある。下線は、当審が付した。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、空調設備、電気設備などの各種設備機器と接続され、前記設備機器の故障や異常などの原因を診断するための設備機器診断装置及び設備機器診断システムに関する。 【0002】 省略 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記診断装置の診断テーブルは、故障個所等の診断の際、単に正常時のモリエル線図と、空調機の運転時のモリエル線図とを比較するだけであり、故障等の原因を十分に特定できるものではない。本発明は、空調機器などの各種設備機器に生じている現象に応じて故障や異常の原因の特定を行うことが可能な診断装置を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】請求項1に係る設備機器診断装置は、設備機器を診断するための設備機器診断装置であって、状態情報取得部と、現象情報取得部と、診断部と、を備えている。状態情報取得部は、設備機器の状態に関する状態情報を取得する。現象情報取得部は、設備機器に関する現象を示す現象情報を取得する。診断部は、状態情報及び現象情報に基づいて、設備機器の診断を行う。 【0005】ここでは、状態情報取得部により設備機器から状態情報が取得される。状態情報とは、設備機器の状態、例えば空調室外機の設置場所における外気温を示す情報である。現象情報は、通信ラインに接続されたチェッカーや、キーボードなどの入力機器により入力されたり、ネットワークにより送信されたりすることによって取得される。現象情報とは、設備機器の故障や異常に起因する現象、例えば「冷えない」、「運転停止」、「電気代が高い」などを示す情報である。診断部により、状態情報及び現象情報に基づいて設備機器が診断される。なお、診断とは、設備機器の故障診断や、設備機器の故障予知などである。」 「【0015】 【発明の実施の形態】<第1実施形態> [構成]図1は、本発明に係る診断システムの全体構成図である。このシステムは、診断装置1と、ステーション2と、保守用端末5とが公衆電話回線やLANなどのネットワーク6を介して接続されているものである。ステーション2には、2芯式ケーブルなどにより所定台数の空調機3が接続される。ステーション2は、空調機3から、空調機3の運転状態に関する情報(以下、状態情報という)を所定時間、例えば10秒ごとに受信し図示しないメモリなどに記憶する。そして、記憶された状態情報を、所定時間、例えば1時間ごとに診断装置1に送信する。 【0016】保守用端末5は、送受信部50と、入力部51と、出力部52とを含む。入力部51は、空調機3の故障や異常に起因して観測される現象、例えば「冷えない」、「運転停止」、「電気代が高い」などを示す情報である現象情報の入力を受け付け、送受信部50を介して診断装置1に送信する。出力部52は、所定の情報、例えば上記現象の原因を示す原因情報を、診断装置1から送受信部50を介して受信し、液晶ディスプレイやプリンタなどに出力する。送受信部50は、診断装置1との間で所定のデータ、例えば現象情報や原因情報の送受信を行うためのインターフェースである。保守用端末5は、携帯電話やPDA(Personal Digital(Data) Assistants)のような移動体端末やパソコンなどにより構成可能であり、空調機3の保守を行う者が操作する。 【0017】診断装置1は、メモリ11と、現象取得部12と、状態取得部13と、診断部14と、テーブル入力部15と、送受信部16とを含む。メモリ11は、例えばDRAMであり、所定のデータ、例えば後述する診断テーブル111を記憶する。現象取得部12は、保守用端末5の入力部51により入力された現象情報を送受信部16を介して取得し、メモリ11に格納する。状態取得部13は、ステーション2から送受信部16を介して状態情報を取得する。診断部14は、診断テーブル111から原因情報を抽出し、送受信部16を介して保守用端末5に送信する。テーブル入力部15は、診断テーブル111に記憶されている情報の追加・変更・削除等を受け付け、診断テーブル111に格納する。診断装置1は、パソコンなどにより構成可能であり、空調機3が設置された建造物内、空調機3が設置された建造物から遠隔の場所に位置し空調機3の保守を統括管理するためのサービスセンター、その他任意の場所に存在させることができる。 【0018】図2は、診断テーブル111に蓄積されている情報の概念説明図である。このテーブルには、原因情報と、現象情報と、空調室外機3の状態に関する条件を定義する条件情報とが対応付けられて蓄積されている。ここで、条件情報は、空調機3に備えられた温度計や圧力計などの各種計器により計測され、状態取得部13により取得される「外気温」、「吐出管温」、「高圧温度」、「内吸込温度」、「電流」、「電動弁開度」などの入力数値のしきい値と、「温調モード」、「電磁弁オン・オフ」など数値以外で示される空調機3のその他の状態に関する条件とを含む「入力」と、複数の入力数値を代入する算術式及びその算術式で算出される数値のしきい値を定義する「入力演算」と、入力数値が連続してしきい値に達している時間やその他の状態が連続して条件を満たしている時間、または入力数値がしきい値に達している積算時間やその他の状態であった積算時間の条件である「時間条件」と、を含む。以下、原因情報と、現象情報と、条件情報とを対応づけた情報を診断情報という。現象情報、条件情報、またはその両方が定まれば、このテーブルを参照することにより、対応する原因情報を抽出可能である。例えば、このテーブルによると、積算して20分間「低温側圧力」<0.5kg/cm2Gであり、かつ空調機3に「冷えない」という現象が生じている場合は、対応する原因「ガス欠」を特定できる。あるいは、60分間連続して「高圧温度」<0℃であり、(「外気温」-「高圧温度」)>20℃であり、かつ空調機3に「冷えない」という現象が生じている場合は、対応する原因「ガス漏れ」を特定できる。」 「【0020】[診断処理]図3は、診断装置1で行われる診断処理の流れを示すフローチャートである。この処理では、保守用端末5に入力された現象情報と、ステーション2から送信される状態情報とに基づいて原因情報が診断テーブル111から抽出され、保守用端末5に送信される。 【0021】ステップS11では、保守用端末5の入力部51に入力され、送受信部50により送信された現象情報が、送受信部16を介して現象取得部12により取得され、メモリ11に記憶される。ステップS12では、ステーション2から送信された状態情報が、送受信部16を介して状態取得部13により取得され、メモリ11に記憶される。 【0022】ステップS13では、メモリ11に記憶された現象情報及び状態情報に対応する原因情報が診断部14により抽出され、送受信部16を介して保守用端末5に送信される。」 【図2】 [図:0001393083000002.jpg] 「原因情報」として「ガス欠、ガス漏れ、熱交汚れ、エアフィルタ汚れ、吐出管異常、高圧異常等」が、「現象情報」として「冷えない、運転停止、電気代が高い」こと、「入力」として「外気温、吐出管温、高圧温度、高圧側圧力、低圧側圧力、外熱交温、温調モード、電磁弁開度」が記載されている。 以上、上記記載によると、甲3には、 「診断装置と、ステーションと、保守用端末とが公衆電話回線やLANなどのネットワークを介して接続されている診断システムにおいて、 診断装置は、診断テーブルを記憶するメモリと、現象取得部と、状態取得部と、診断部と、テーブル入力部と、送受信部とを含み、現象取得部は、保守用端末の入力部により入力された現象情報を送受信部を介して取得して、メモリに格納し、状態取得部は、ステーションから送受信部を介して状態情報を取得し、診断テーブルは、原因情報と、現象情報と、空調室外機の状態に関する条件を定義する条件情報とが対応付けられて蓄積されており、 診断装置による空調機の診断にあたり、「ガス欠、ガス漏れ、熱交汚れ、エアフィルタ汚れ、吐出管異常、高圧異常」といった原因情報を、「冷えない、運転停止、電気代が高い」といった現象情報と、状態取得部により取得された「外気温」、「吐出管温」、「高圧温度」、「内吸込温度」、「電流」、「電動弁開度」などの入力数値と、「温調モード」、「電磁弁オン・オフ」など数値以外で示される空調機のその他の状態とに基づいて抽出すること」(以下、「甲3に記載された技術的事項」という。)が記載されている。 (3)本件発明1について ア 本件発明1と甲1発明との対比 (ア)甲1発明の「家電機器」は「電子レンジ、洗濯機、冷蔵庫」に限ったものでなく「家庭電化製品と呼ばれるもの全て」を対象とするものであり、「空調機器」も「電気機器」の一種といえるから、甲1発明の「家電機器」と、本件発明1の「空調機器」とは、「電気機器」である点で共通する。 また、甲1発明の家電機器の「機種名」は、機器の機種を示す情報であるから、本件発明1の「機器情報」に相当する。 甲1発明の電気機器の「エラーコード」は故障原因を推定するための情報であって、故障時に機器に表示されるものである。そうすると、引用発明において、機器が故障すると、機器にエラーコードが表示されることは、機器に起こる現象といえるから、甲1発明の機器にエラーコードが表示されたことを示す情報と、本件発明1の「該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報」とは、「電気機器に起こる現象」「を示す現象情報」である点で、共通する。 甲1発明の「サポート事例蓄積手段」は、所定の機種に対して新たな修理対応サポート事例が記録される毎に故障原因の統計をとり、エラーコード及びセンサ情報と、それに対して出現頻度に応じて重み付けされた故障原因とを「修理対応統計結果」として記録しており、その際、「修理対応サポート事例」から、「機器情報」(「機種名」)と上記「電気機器に起こる現象を示す現象情報」(「エラーコード」)との組み合わせ、すなわち「データセット」を取得することや、「サポート事例蓄積手段」が、そのための「取得手段」を有していることは明らかである。 よって、甲1発明の、「修理対応サポート事例」から、「電気機器」の「機器情報」と、「電気機器に起こる現象を示す現象情報」との組み合わせを含む「データセット」を取得する「サポート事例蓄積手段」の「取得手段」は、本件発明1の「空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを取得する第1の取得部」と、「電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを取得する手段」である点で共通する。 (イ)一般的に修理は保守に含まれるから、甲1発明の機器の「修理作業」は、本件発明1の「保守作業」に相当し、また、甲1発明の「家電機器の修理を担当するサービス技術者」は、本件発明1の「保守作業者」に相当する。 甲1発明の「修理対応サポート事例」は修理完了後に、サービス技術者の操作により送信される、「修理経過情報たる修理指示書に示された修理方法(修理解決情報)」や「故障原因及び故障部品名(修理解決情報)」といった作業の内容に基づくものであり、前者には「修理に必要な部品名」が含まれているし、後者には「故障部品名」が含まれる。 甲1発明の「修理対応サポート事例」は、「サービス技術者」が行った修理の内容である修理経過情報に基づくものであり、「交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品」を含むものであるから、甲1発明の当該「修理対応サポート事例」は、本件発明1の「保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品が記録された作業内容情報」に相当する。 甲1発明は、上記(ア)で示したように「修理対応サポート事例」から、「データセット」(「機器情報」と「電気機器に起こる現象を示す現象情報」との組み合わせ)を取得する「取得手段」を有するものであり、甲1発明の「修理対応サポート事例」が、過去に修理の行われた家電機器の機種名、エラーコード、センサ情報、故障原因及び修理方法を「一つの集合要素」としたものであることを勘案すると、当該「取得手段」が「データセット」を取得するのに、先だって「修理対応サポート事例」を取得していることは自明である。 よって、甲1発明の「修理対応サポート事例」から、「データセット」を取得するために、「サービス技術者」が行った修理の内容である修理経過情報に基づくものであり、「交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品」を含む「修理対応サポート事例」を取得する「取得手段」と、本件発明1の「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品が記録された作業内容情報を取得する第2の取得部」とは、「前記電気機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品が記録された作業内容情報を取得する手段」である点で共通する。 (ウ)甲1発明は、「修理対応統計結果」と、遠隔診断手段から受けた、センサ情報及びエラーコードによって、故障原因を推定するものであり、甲1発明の「修理対応統計結果」は、所定の「機種」に対するものであるから、甲1発明において「故障推定手段」が故障原因の推定を行うのに際して、「電気機器に起こる現象を示す現象情報」(「エラーコード」)に加えて「機種名」、すなわち「機器情報」を取得していることは明らかである。よって、甲1発明の「故障推定手段」が故障原因を推定する際に、遠隔手段から受ける、「エラーコード」及び「機種名」は、本件発明1の「新たに取得されたデータセット」に相当する。 また、甲1発明の「故障推定手段」が推論の結果作成する修理指示書には「修理に必要な部品名」が含まれており、当該情報は、修理によって交換される新たな部品の情報といえるから、甲1発明の「修理に必要な部品名」と、本件発明1の「新たに取得されたデータセットから、空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品」のうち、択一的に記載された「交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品」の一方の「交換後の新たな部品」とは、「新たに取得されたデータセットから、電気機器において交換後の新たな部品」である点で共通する。 ここで、上記(ア)で示したように、甲1発明の「修理対応統計結果」はセンサ情報、及び出現頻度に応じて重み付けされた故障原因や、取得した「データセット」に基づいて作成されるものであるから、甲1発明の「データセットを取得する手段」により取得された「データセット」に基づく「修理対応統計結果」、及び遠隔診断手段から受けた「新たに取得されたデータセット」(遠隔診断手段から受けた「エラーコード」及び「機種名」)とに基づいて、故障原因を推定して、「修理に必要な部品名」を含む修理指示書を作成する「故障推定手段」と、本件発明1の「前記第1の取得部により取得されたデータセットと、前記第2の取得部により取得された作業内容情報に記録された、前記交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品とを関連付けて学習した学習結果に基づき、新たに取得されたデータセットから、空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を推論する推論部」とは、「前記データセットを取得する手段により取得されたデータセット、に基づき、新たに取得されたデータセットから、電気機器における交換後の新たな部品を特定する手段」である点で共通する。 (エ)甲1発明の「故障診断システム」は、「保守作業者」向けに修理指示書を作成することで、「保守作業者」の支援をしているといえるし、「故障診断専用のオフィスコンピュータ」によって構成されるものであるから、下記の相違点を除いて、本件発明1の「保守作業支援装置」に相当する。 (オ)以上(ア)~(エ)によると、本件発明1と甲1発明とは次の一致点、相違点を有する。 [一致点] 「電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを取得する手段と、 前記電気機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品が記録された作業内容情報を取得する手段と、 前記データセットを取得する手段により取得されたデータセットに基づき、新たに取得されたデータセットから、電気機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を特定する手段と を有する保守作業支援装置。」 [相違点1-1] 保守作業支援装置が対象とする「電気機器」が、本件発明1では「空調機器」であるのに対し、甲1発明では「家電機器」であり、「空調機器」には特定されていない点。 [相違点1-2] 「データセットを取得する手段」が取得する「データセット」や、「推論部」による「推論」のために「新たに取得されたデータセット」に含まれる情報が、「機器に起こる現象を示す現象情報」に加えて、本件発明1では「機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報」を含むのに対し、甲1発明では「機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報」を含まない点。 [相違点1-3] 「データセットを取得する手段」と「交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品が記録された作業内容情報を取得する手段」とが、本件発明1では、それぞれ、「第1の取得部」と「第2の取得部」であるのに対し、甲1発明では、「データセットを取得する手段」が「データセット」を取得することに先だって「修理対応サポート事例」を取得するものであって、両「取得する手段」が機能的に分離した「取得する手段」ではない点。 [相違点1-4] 「交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を特定する手段」が、本件発明1では「前記第1の取得部により取得されたデータセットと、前記第2の取得部により取得された作業内容情報に記録された、前記交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品とを関連付けて学習した学習結果に基づき、新たに取得されたデータセットから」「推論する」のに対し、甲1発明では「データセットを取得する手段により取得されたデータセット」、及びセンサ情報、及び出現頻度に応じて重み付けされた故障原因とに基づいた「修理対応統計結果」と、「新たに取得されたデータセット」及びセンサ情報からニューラルネットワーク理論に基づいた計算アルゴリズムによる演算によって「故障原因」を推定し、「修理に必要な部品名」を含む修理指示書を作成するものであり、「前記交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品とを関連付けて学習」するものではなく、推論の対象が「故障原因」であり、「交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品」自体を推論するものではない点。 イ 当審の判断 上記ア(オ)で挙げた相違点について、事案に鑑み、上記[相違点1-4]について検討する。 ニューラルネットワーク理論に基づいた情報推定のために学習を行うことは一般的に行われていることから、甲1発明においてニューラルネットワーク理論に基づいた情報推定を行うのにあたり、各情報を「関連付けて学習した学習結果」を「推論」に用いる構成を採用することも考えられ、その場合は、「修理対応統計結果」に関する、「データセットを取得する手段により取得されたデータセット」、センサ情報、出現頻度に応じて重み付けされた故障原因を「関連付けて学習した学習結果」を用いる構成となり得る。 しかしながら、「作業内容情報を取得する手段」が取得した「交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品」を「学習」に用いることは、当業者であっても容易に想到し得たとはいえない。また、甲1発明の「推論部」(「故障推定手段」)は、「故障原因」を推定し、「交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品」(「修理に必要な部品名」)を含む「修理指示書」を作成するものであり、「故障原因」を推定するための「学習結果」のための「学習」に、「修理対応統計結果」に含まれていない「修理に必要な部品名」を用いるようにする積極的な理由もない。 また、「推論部」が「前記第1の取得部により取得されたデータセットと、前記第2の取得部により取得された作業内容情報に記録された、前記交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品とを関連付けて学習した学習結果に基づき、新たに取得されたデータセットから」「推論する」点は、甲2、甲3にも記載されておらず、本件出願時の周知技術であるともいえない。 したがって、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が上記[相違点1-4]に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 よって、上記[相違点1-1]~[相違点1-3]について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明2について ア 本件発明2と甲1発明との対比 (ア)甲1発明の「家電機器」は「電子レンジ、洗濯機、冷蔵庫」に限ったものでなく「家庭電化製品と呼ばれるもの全て」を対象とするものであり、「空調機器」も「電気機器」の一種といえるから、甲1発明の「家電機器」と、本件発明2の「空調機器」とは、「電気機器」である点で共通する。 また、甲1発明の家電機器の「機種名」は、機器の機種を示す情報であるから、本件発明2の「機器情報」に相当する。 甲1発明の電気機器の「エラーコード」は故障原因を推定するための情報であって、故障時に機器に表示されるものである。そうすると、引用発明において、機器が故障すると、機器にエラーコードが表示されることは、機器に起こる現象といえるから、甲1発明の機器にエラーコードが表示されたことを示す情報と、本件発明2の「該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報」とは、「電気機器に起こる現象」「を示す現象情報」である点で、共通する。 甲1発明の「サポート事例蓄積手段」は、所定の機種に対して新たな修理対応サポート事例が記録される毎に故障原因の統計をとり、エラーコード及びセンサ情報と、それに対して出現頻度に応じて重み付けされた故障原因とを修理対応統計結果として記録しており、その際、「修理対応サポート事例」から、「機器情報」(「機種名」)と上記「電気機器に起こる現象を示す現象情報」(「エラーコード」)との組み合わせ、すなわち「データセット」を取得することや、「サポート事例蓄積手段」が、そのための「取得手段」を有していることは明らかである。 よって、甲1発明の、「修理対応サポート事例」から、「電気機器」の「機器情報」と、「電気機器に起こる現象を示す現象情報」との組み合わせを含む「データセット」を取得する「サポート事例蓄積手段」の「取得手段」は、本件発明2の「空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを取得する第1の取得部」と、「電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを取得する手段」である点で共通する。 (イ)一般に、修理は保守の一部といえるし、修理方法には修理の手順が含まれるから、甲1発明の機器の「修理作業」、「家電機器の修理を担当するサービス技術者」は、それぞれ、本件発明2の「保守作業」、「保守作業者」に相当し、甲1発明の「修理方法」は、「保守」の「作業手順」を含むものといえる。 甲1発明の「修理対応サポート事例」は「サービス技術者」が行った修理の内容である修理経過情報に基づくものであり、「修理方法」等が記録された情報であるから、甲1発明の当該「修理対応サポート事例」は、本件発明2の「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が記録された作業内容情報」と、「保守作業者が行った保守作業の内容であって、作業手順が記録された作業内容情報」である点で共通する。 甲1発明は、上記(ア)で示したように「修理対応サポート事例」から、「データセット」(「機器情報」と「電気機器に起こる現象を示す現象情報」との組み合わせ)を取得する「取得手段」を有するものであり、甲1発明の「修理対応サポート事例」が、過去に修理の行われた家電機器の機種名、エラーコード、センサ情報、故障原因及び修理方法を「一つの集合要素」としたものであることを勘案すると、当該「取得手段」が「データセット」を取得するのに、先だって「修理対応サポート事例」を取得していることは自明である。 よって、甲1発明の「修理対応サポート事例」から、「データセット」を取得するために、「サービス技術者」が行った修理の内容である修理経過情報に基づくものであり、「修理方法」等が記録された「修理対応サポート事例」を取得する「取得手段」と、本件発明2の「前記空調機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が記録された作業内容情報を取得する第2の取得部」とは、「前記電気機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、作業手順が記録された作業内容情報を取得する手段」である点で共通する。 (ウ)甲1発明は、「修理対応統計結果」と、遠隔診断手段から受けた、センサ情報及びエラーコードによって、故障原因を推定するものであり、甲1発明の「修理対応統計結果」は、所定の「機種」に対するものであるから、甲1発明において「故障推定手段」が故障原因の推定を行うのに際して、「電気機器に起こる現象を示す現象情報」(「エラーコード」)に加えて「機種名」、すなわち「機器情報」を取得していることは明らかである。よって、甲1発明の「故障推定手段」が故障原因を推定する際に、遠隔手段から受ける、「エラーコード」及び「機種名」は、本件発明2の「新たに取得されたデータセット」に相当する。 また、甲1発明の「故障推定手段」が推論の結果作成する「修理指示書」には「修理手順マニュアル(修理方法)」が含まれており、(イ)に示したとおり「修理方法」は、「保守」の「作業手順」を含むものといえるから、甲1発明の「故障推定手段」が推論する「修理指示書」に含まれる「修理手順」は、本件発明2の「保守作業の作業手順」に相当する。 ここで、上記(ア)で示したように、甲1発明の「修理対応統計結果」はセンサ情報、及び出現頻度に応じて重み付けされた故障原因や、取得した「データセット」(「機器情報」と「電気機器に起こる現象を示す現象情報」との組み合わせ)に基づいて作成されるものであるから、甲1発明の「データセットを取得する手段」により取得された「データセット」に基づく「修理対応統計結果」と、遠隔診断手段から受けた「新たに取得されたデータセット」(遠隔診断手段から受けた「エラーコード」及び「機種名」)とに基づいて、故障原因を推定して、「修理手順マニュアル(修理方法)」を含む修理指示書を作成する「故障推定手段」と、本件発明2の「前記第1の取得部により取得されたデータセットと、前記第2の取得部により取得された作業内容情報に記録された前記作業手順とを関連付けて学習した学習結果に基づき、新たに取得されたデータセットから、空調機器に対する保守作業の作業手順を推論する推論部」とは、「前記データセットを取得する手段により取得されたデータセット、に基づき、新たに取得されたデータセットから、電気機器に対する保守作業の作業手順を特定する手段」である点で共通する。 (エ)甲1発明の「故障診断システム」は、「保守作業者」向けに修理指示書を作成することで、「保守作業者」の支援をしているといえるし、「故障診断専用のオフィスコンピュータ」によって構成されるものであるから、下記の相違点を除いて、本件発明2の「保守作業支援装置」に相当する。 (オ)以上(ア)~(エ)によると、本件発明2と甲1発明とは次の一致点、相違点を有する。 [一致点] 「電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを取得する手段と、 前記空調電気機器に対して保守作業者が行った保守作業の内容であって、作業手順が記録された作業内容情報を取得する手段と、 前記データセットを取得する手段により取得されたデータセットに基づき、新たに取得されたデータセットから、電気機器に対する保守作業の作業手順を特定する手段と を有する保守作業支援装置。」 [相違点2-1] 保守作業支援装置が対象とする「電気機器」が、本件発明2では「空調機器」であるのに対し、甲1発明では「家電機器」であり、「空調機器」には特定されていない点。 [相違点2-2] 「データセットを取得する手段」が取得する「データセット」や、「推論部」による「推論」のために「新たに取得されたデータセット」に含まれる情報が、「機器に起こる現象を示す現象情報」に加えて、本件発明2では「機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報」を含むのに対し、甲1発明では「機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報」を含まない点。 [相違点2-3] 「作業手順が記録された作業内容情報を取得する手段」が、本件発明2では「交換または修理すべき部品を特定するための作業手順が記録された作業内容情報」を「取得」するのに対し、甲1発明では、修理経過情報たる「作業手順」(「修理方法」)が記録された「作業内容情報」(「修理対応サポート事例」)を取得する点。 [相違点2-4] 「データセットを取得する手段」と「作業手順が記録された作業内容情報を取得する手段」とが、本件発明2では「第1の取得部」と「第2の取得部」であるのに対し、甲1発明では、それぞれ、「データセットを取得する手段」が「データセット」を取得することに先だって「修理対応サポート事例」を取得するものであって、両「取得する手段」が機能的に分離した「取得する手段」ではない点。 [相違点2-5] 「保守作業の作業手順を特定する手段」が、本件発明2では「前記第1の取得部により取得されたデータセットと、前記第2の取得部により取得された作業内容情報に記録された前記作業手順とを関連付けて学習した学習結果に基づき、新たに取得されたデータセットから」「推論する」のに対し、甲1発明では「データセットを取得する手段により取得されたデータセット」、及びセンサ情報、及び出現頻度に応じて重み付けされた故障原因とに基づいた「修理対応統計結果」と、「新たに取得されたデータセット」及びセンサ情報からニューラルネットワーク理論に基づいた計算アルゴリズムによる演算によって「故障原因」を推定し、「修理手順マニュアル(修理方法)」を含む修理指示書を作成するものであり、「前記作業手順とを関連付けて学習」するものではなく、推論の対象が「故障原因」であり、「空調機器に対する保守作業の作業手順」自体を推論するものではない点。 イ 当審の判断 上記ア(オ)で挙げた相違点について、事案に鑑み、上記[相違点2-5]について検討する。 ニューラルネットワーク理論に基づいた情報推定のために学習を行うことは一般的に行われていることから、甲1発明において、各情報を「関連付けて学習した学習結果」を「推論」に用いる構成を採用することも考えられ、その場合は、「修理対応統計結果」に関する、「データセットを取得する手段により取得されたデータセット」、センサ情報、出現頻度に応じて重み付けされた故障原因を「関連付けて学習した学習結果」を用いる構成となり得る。 しかしながら、「作業内容情報を取得する手段」が取得した「作業手順」を「学習」に用いることは、当業者であっても容易に想到し得たとはいえない。また、甲1発明の「推論部」(「故障推定手段」)は、「故障原因」を推定し、「保守作業の作業手順」(「修理手順マニュアル(修理方法)」)を含む「修理指示書」を作成するものであり、「故障原因」を推定するための「学習結果」のための「学習」に、「修理対応統計結果」に含まれていない「保守作業の作業手順」(「修理手順マニュアル(修理方法)」)を用いるようにする積極的な理由もない。 また、「推論部」が「前記第1の取得部により取得されたデータセットと、前記第2の取得部により取得された作業内容情報に記録された前記作業手順とを関連付けて学習した学習結果に基づき、新たに取得されたデータセットから」「推論する」点は、甲2、甲3にも記載されておらず、本件出願時の周知技術であるともいえない。 したがって、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が上記[相違点2-5]に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 よって、上記[相違点2-1]~[相違点2-4]について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明3について ア 本件発明3と甲1発明との対比 (ア)甲1発明の「家電機器」は「電子レンジ、洗濯機、冷蔵庫」に限ったものでなく「家庭電化製品と呼ばれるもの全て」を対象とするものであり、「空調機器」も「電気機器」の一種といえるから、甲1発明の「家電機器」と、本件発明3の「空調機器」とは、「電気機器」である点で共通する。 また、一般的に修理は保守に含まれるから、甲1発明の機器の「修理作業」は、本件発明3の「保守作業」に相当する。 甲1発明の「修理対応サポート事例」は、過去に修理の行われた家電機器の機種名、エラーコード、センサ情報、故障原因及び修理方法が一つの集合要素として構成されるものであって、家電機器の修理が完了する毎に作成される、「修理作業」の結果といえるから、甲1発明の「修理対応サポート事例」は、本件発明3の「保守作業の作業結果」に相当する。 よって、甲1発明の「家電機器」の「修理対応サポート事例」と、本件発明3の「空調機器に対する保守作業の作業結果」とは、「電気機器に対する保守作業の作業結果」である点で共通する。 (イ)甲1発明の家電機器の「機種名」は、機器の機種を示す情報であるから、本件発明3の「機器情報」に相当する。 また、甲1発明の電気機器の「エラーコード」は故障原因を推定するための情報であって、故障時に機器に表示されるものである。そうすると、引用発明において、機器が故障すると、機器にエラーコードが表示されることは、機器に起こる現象といえるから、甲1発明の機器にエラーコードが表示されたことを示す情報と、本件発明3の「該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報」とは、「電気機器に起こる現象」「を示す現象情報」である点で、共通する。 甲1発明の「サポート事例蓄積手段」は、所定の機種に対して新たな修理対応サポート事例が記録される毎に故障原因の統計をとり、エラーコード及びセンサ情報と、それに対して出現頻度に応じて重み付けされた故障原因とを「修理対応統計結果」として記録しており、その際、「修理対応サポート事例」から、「機器情報」(「機種名」)と上記「電気機器に起こる現象を示す現象情報」(「エラーコード」)との組み合わせ、すなわち「データセット」を取得することは明らかであり、当該「データセット」と、本件発明3の「前記空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセット」とは、「前記電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセット」である点で、共通する。 また、甲1発明の「故障推定手段」が推論の結果作成する修理指示書には「修理に必要な部品名及び個数」が含まれており、当該情報は、修理によって交換される新たな部品の情報といえるから、甲1発明の「修理に必要な部品名」と本件発明3の「空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品」のうち、択一的に記載された「交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品」の一方の「交換後の新たな部品」とは、「電気機器において交換後の新たな部品」である点で共通する。 そして、甲1発明では、「修理に必要な部品名」を含む修理指示書を作成するために、甲1発明の「修理対応サポート事例」からの、「機器情報」と「電気機器に起こる現象を示す現象情報」との組み合わせを用いているといえるから、甲1発明の「修理対応サポート事例」からの、「機器情報」と「電気機器に起こる現象を示す現象情報」との組み合わせを用いて「修理に必要な部品名」を特定するために「故障原因の統計」を取る「サポート事例蓄積手段」と、本件発明3の「前記空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットに従って、前記空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を学習する学習部」とは、「電気機器において交換後の新たな部品を特定するために、前記電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを処理する手段」である点で共通する。 (ウ)甲1発明の「故障診断システム」は、「保守作業者」向けに修理指示書を作成することで、「保守作業者」の支援をしているといえるし、「故障診断専用のオフィスコンピュータ」によって構成されるものであるから、下記の相違点を除いて、本件発明3の「保守作業支援装置」に相当する。 (エ)以上(ア)~(ウ)によると、本件発明3と甲1発明とは次の一致点、相違点を有する。 [一致点] 「電気機器に対する保守作業の作業結果を用い、 電気機器において交換後の新たな部品を特定するために、前記電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを処理する手段を有する、 保守作業支援装置。」 [相違点3-1] 保守作業支援装置が対象とする「電気機器」が、本件発明3では「空調機器」であるのに対し、甲1発明では「家電機器」であり、「空調機器」には特定されていない点。 [相違点3-2] 「現象情報」が、「機器に起こる現象を示す現象情報」に加えて、本件発明3では「機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報」を含むのに対し、甲1発明では「機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報」を含まない点。 [相違点3-3] 本件発明3では学習部の学習のために、「算出部」が「電気機器に対する保守作業の作業結果」を評価する評価情報に基づいて報酬を算出するのに用いるのに対し、甲1発明ではそのような報酬を算出するものではない点。 [相違点3-4] 電気機器において交換後の新たな部品を特定するために、本件発明3は「前記電気機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットに従って、前記電気機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を学習する学習部と、を有し、前記学習部は、前記報酬に基づいて、前記空調機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を学習する」のに対し、甲1発明は、電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを用いた故障原因の統計処理を行うものであり、「前記報酬に基づいて、前記電気機器において交換または修理すべき部品あるいは交換後の新たな部品を学習する」「学習部」を有していない点。 イ 当審の判断 上記ア(エ)で挙げた相違点について、事案に鑑み、上記[相違点3-3]、[相違点3-4]についてまとめて検討する。 甲1発明の「故障推定手段」は、遠隔診断手段から、家電機器に異常有りとの診断結果、センサ情報及びエラーコードを受けると、サポート事例蓄積手段に対して前記エラーコード及びセンサ情報に対応する修理対応統計結果を要求し、これらエラーコード、センサ情報及び修理対応統計結果に基づいて推定条件を設定し、ニューラルネットワーク理論に基づいた計算アルゴリズムにより演算を行い、故障原因を推定するとともに、故障原因を記載した故障情報及び修理を行うために必要な修理情報を記載した修理指示書を作成するものである。 ここで、甲1には「故障原因の推定方法(演算方法)は、ニューラルネットワーク理論に基づいたものである必要はなく、故障原因の推定を正確に行うことのできる演算方法であればよい。」(【0086】)との記載があるから、このことは、甲1発明の「故障推定手段」をニューラルネットワーク理論以外の手法によって推定することについて、示唆するものといえる。 仮に、当該示唆に基づいて、甲1発明において、各情報を学習に用いることとし、そのための「評価部」や「学習部」を備える構成を採用することが当業者にとって容易に想到し得たことであったとしても、その場合は、「修理対応統計結果」に関する、「データセットを取得する手段により取得されたデータセット」、センサ情報、出現頻度に応じて重み付けされた故障原因を用いて学習を行う構成となり得るが、「学習部」が「修理対応統計結果」に含まれていない「交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品」を学習に用いることや、「評価部」が「電気機器に対する保守作業の作業結果を評価する評価情報に基づいて報酬を算出する」ようにすることは、当業者であっても容易に想到し得たとはいえない。 また、「学習部」が「交換または修理した部品あるいは交換後の新たな部品」を学習に用いることや、「評価部」が「電気機器に対する保守作業の作業結果を評価する評価情報に基づいて報酬を算出する」ようにすることは、甲2、甲3にも記載されておらず、本件出願時の周知技術であるともいえない。 したがって、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が上記[相違点3-3]、[相違点3-4]に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 よって、上記[相違点3-1]、[相違点3-2]について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明4について ア 本件発明4と甲1発明との対比 (ア)甲1発明の「家電機器」は「電子レンジ、洗濯機、冷蔵庫」に限ったものでなく「家庭電化製品と呼ばれるもの全て」を対象とするものであり、「空調機器」も「電気機器」の一種といえるから、甲1発明の「家電機器」と、本件発明4の「空調機器」とは、「電気機器」である点で共通する。 また、一般に、修理は保守の一部といえるし、修理方法には修理の手順が含まれるから、甲1発明の機器の「修理作業」は、本件発明4の「保守作業」に相当し、甲1発明の「修理方法」は、「保守」の「作業手順」を含むものといえる。 甲1発明の「修理対応サポート事例」は、過去に修理の行われた家電機器の機種名、エラーコード、センサ情報、故障原因及び修理方法が一つの集合要素として構成されるものであって、家電機器の修理が完了する毎に作成される、「修理作業」の結果といえるから、甲1発明の「修理対応サポート事例」は、本件発明4の「保守作業の作業結果」に相当する。 よって、甲1発明の「家電機器」の「修理対応サポート事例」と、本件発明4の「空調機器に対する保守作業の作業結果」とは、「電気機器に対する保守作業の作業結果」である点で共通する。 (イ)甲1発明の家電機器の「機種名」は、機器の機種を示す情報であるから、本件発明4の「機器情報」に相当する。 また、甲1発明の電気機器の「エラーコード」は故障原因を推定するための情報であって、故障時に機器に表示されるものである。そうすると、引用発明において、機器が故障すると、機器にエラーコードが表示されることは、機器に起こる現象といえるから、甲1発明の機器にエラーコードが表示されたことを示す情報と、本件発明4の「該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報」とは、「電気機器に起こる現象」「を示す現象情報」である点で、共通する。 甲1発明の「サポート事例蓄積手段」は、所定の機種に対して新たな修理対応サポート事例が記録される毎に故障原因の統計をとり、エラーコード及びセンサ情報と、それに対して出現頻度に応じて重み付けされた故障原因とを「修理対応統計結果」として記録しており、その際、「修理対応サポート事例」から、「機器情報」(「機種名」)と上記「電気機器に起こる現象を示す現象情報」(「エラーコード」)との組み合わせ、すなわち「データセット」を取得することは明らかであるから、当該「データセット」と、本件発明4の「前記空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセット」とは、「前記電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセット」である点で、共通する。 また、甲1発明の「故障推定手段」が推論の結果作成する「修理指示書」には「修理手順マニュアル(修理方法)」が含まれており、(ア)に示したとおり「修理方法」は、「保守」の「作業手順」を含むものといえるから、甲1発明の「故障推定手段」が推論する「修理指示書」に含まれる「修理手順」は、本件発明4の「保守作業の作業手順」に相当する。 そして、甲1発明では、「保守作業の作業手順」を含む修理指示書を作成するために、甲1発明の「修理対応サポート事例」からの、「機器情報」と「電気機器に起こる現象を示す現象情報」との組み合わせを用いているといえるから、甲1発明の「修理対応サポート事例」からの、「機器情報」と「電気機器に起こる現象を示す現象情報」との組み合わせを用いて「保守作業の作業手順」を特定するために「故障原因の統計」を取る「サポート事例蓄積手段」と、本件発明4の「前記空調機器の機器情報と、該空調機器に起こる現象及び該空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットに従って、前記空調機器に対する保守作業の作業手順を学習する学習部」とは、「電気機器に対する保守作業の作業手順を特定するために、前記電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを処理する手段」である点で共通する。 (ウ)甲1発明の「故障診断システム」は、「保守作業者」向けに修理指示書を作成することで、「保守作業者」の支援をしているといえるし、「故障診断専用のオフィスコンピュータ」によって構成されるものであるから、下記の相違点を除いて、本件発明4の「保守作業支援装置」に相当する。 (エ)以上(ア)~(ウ)によると、本件発明4と甲1発明とは次の一致点、相違点を有する。 [一致点] 「電気機器に対する保守作業の作業結果を用い、 電気機器に対する保守作業の作業手順を特定するために、前記電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを処理する手段を有する、 保守作業支援装置。」 [相違点4-1] 保守作業支援装置が対象とする「電気機器」が、本件発明4では「空調機器」であるのに対し、甲1発明では「家電機器」であり、「空調機器」には特定されていない点。 [相違点4-2] 「現象情報」が、「機器に起こる現象を示す現象情報」に加えて、本件発明4では「機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報」を含むのに対し、甲1発明では「機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響を示す現象情報」を含まない点。 [相違点4-3] 本件発明4では学習部の学習のために、「算出部」が「電気機器に対する保守作業の作業結果」を評価する評価情報に基づいて報酬を算出するのに用いるのに対し、甲1発明ではそのような報酬を算出するものではない点。 [相違点4-4] 電気機器に対する保守作業の作業手順を特定するために、本件発明4は「前記電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットに従って、前記電気機器に対する保守作業の作業手順を学習する学習部と、を有し、前記学習部は、前記報酬に基づいて、前記電気機器に対する保守作業の作業手順を学習する」のに対し、甲1発明は、電気機器の機器情報と、該電気機器に起こる現象を示す現象情報と、の組み合わせを含むデータセットを用いた故障原因の統計処理を行うものであり、「前記報酬に基づいて、前記空調機器に対する保守作業の作業手順を学習する」「学習部」を有していない点。 イ 当審の判断 上記ア(エ)で挙げた相違点について、事案に鑑み、上記[相違点4-3]、[相違点4-4]についてまとめて検討する。 甲1発明の「故障推定手段」は、遠隔診断手段から、家電機器に異常有りとの診断結果、センサ情報及びエラーコードを受けると、サポート事例蓄積手段に対して前記エラーコード及びセンサ情報に対応する修理対応統計結果を要求し、これらエラーコード、センサ情報及び修理対応統計結果に基づいて推定条件を設定し、ニューラルネットワーク理論に基づいた計算アルゴリズムにより演算を行い、故障原因を推定するとともに、故障原因を記載した故障情報及び修理を行うために必要な修理情報を記載した修理指示書を作成するものである。 ここで、甲1には「故障原因の推定方法(演算方法)は、ニューラルネットワーク理論に基づいたものである必要はなく、故障原因の推定を正確に行うことのできる演算方法であればよい。」(【0086】)との記載があるから、このことは、甲1発明の「故障推定手段」をニューラルネットワーク理論以外の手法によって推定することについて、示唆するものといえる。 仮に、当該示唆に基づいて、甲1発明において、各情報を学習に用いることとし、そのための「評価部」や「学習部」を備える構成を採用することが当業者にとって容易に想到し得たことであったとしても、その場合は、「修理対応統計結果」に関する、「データセットを取得する手段により取得されたデータセット」、センサ情報、出現頻度に応じて重み付けされた故障原因を用いて学習を行う構成となり得るが、「学習部」が「修理対応統計結果」に含まれていない「作業手順」を学習に用いることや、「評価部」が「電気機器に対する保守作業の作業結果を評価する評価情報に基づいて報酬を算出する」ようにすることは、当業者であっても容易に想到し得たとはいえない。 また、「学習部」が「作業手順」を強化学習に用いることや、「評価部」が「電気機器に対する保守作業の作業結果を評価する評価情報に基づいて報酬を算出する」ようにすることは、甲2、甲3にも記載されておらず、本件出願時の周知技術であるともいえない。 したがって、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が上記[相違点4-3]、[相違点4-4]に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 よって、上記[相違点4-1]、[相違点4-2]について検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明5について 本件発明5は、本件発明1~4の構成に限定を加えて減縮したものであるから、本件発明1~4と同様の理由により、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明6について 本件発明6は、本件発明1の「保守作業支援装置」の発明を「保守作業支援方法」の発明として記載したものであるから、上記(3)ア(オ)で示した上記[相違点1-1]~[相違点1-4]に記載の相違点に係る構成と同様の構成を備えるものである。 そして、上記(3)イで示したとおり、上記[相違点1-4]に係る構成に関しては、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえないから、他の相違点である上記[相違点1-1]~[相違点1-3]について検討するまでもなく、本件発明6は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明7について 本件発明7は、本件発明2の「保守作業支援装置」の発明を「保守作業支援方法」の発明として記載したものであり、上記(4)ア(オ)で示した上記[相違点2-1]~[相違点2-5]に記載の相違点に係る構成と同様の構成を備えるものである。 そして、上記(4)イで示したとおり、上記[相違点2-5]に係る構成に関しては、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえないから、他の相違点である上記[相違点2-1]~[相違点2-4]について検討するまでもなく、本件発明7は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明8について 本件発明8は、本件発明3の「保守作業支援装置」の発明を「保守作業支援方法」の発明として記載したものであるから、上記(5)ア(エ)で示した上記[相違点3-1]~[相違点3-4]に記載の相違点に係る構成と同様の構成を備えるものである。 そして、上記(5)イで示したとおり、上記[相違点3-3]、[相違点3-4]に係る構成に関しては、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえないから、他の相違点である上記[相違点3-1]、[相違点3-2]について検討するまでもなく、本件発明8は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)本件発明9について 本件発明9は、本件発明4の「保守作業支援装置」の発明を「保守作業支援方法」の発明として記載したものであるから、上記(6)ア(エ)で示した上記[相違点4-1]~[相違点4-4]に記載の相違点に係る構成と同様の構成を備えるものである。 そして、上記(6)イで示したとおり、上記[相違点4-3]、[相違点4-4]に係る構成に関しては、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえないから、他の相違点である上記[相違点4-1]、[相違点4-2]について検討するまでもなく、本件発明9は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (12)本件発明10について 本件発明10は、本件発明1の「保守作業支援装置」の発明を「保守作業支援プログラム」の発明として記載したものであるから、上記(3)ア(オ)で示した上記[相違点1-1]~[相違点1-4]に記載の相違点に係る構成と同様の構成を備えるものである。 そして、上記(3)イで示したとおり、上記[相違点1-4]に係る構成に関しては、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえないから、他の相違点である上記[相違点1-1]~[相違点1-3]について検討するまでもなく、本件発明10は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (13)本件発明11について 本件発明11は、本件発明2の「保守作業支援装置」の発明を「保守作業支援プログラム」の発明として記載したものであり、上記(4)ア(オ)で示した上記[相違点2-1]~[相違点2-5]に記載の相違点に係る構成と同様の構成を備えるものである。 そして、上記(4)イで示したとおり、上記[相違点2-5]に係る構成に関しては、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえないから、他の相違点である上記[相違点2-1]~[相違点2-4]について検討するまでもなく、本件発明11は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (14)本件発明12について 本件発明12は、本件発明3の「保守作業支援装置」の発明を「保守作業支援プログラム」の発明として記載したものであるから、上記(5)ア(エ)で示した上記[相違点3-1]~[相違点3-4]に記載の相違点に係る構成と同様の構成を備えるものである。 そして、上記(5)イで示したとおり、上記[相違点3-3]、[相違点3-4]に係る構成に関しては、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえないから、他の相違点である上記[相違点3-1]、[相違点3-2]について検討するまでもなく、本件発明12は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (15)本件発明13について 本件発明13は、本件発明4の「保守作業支援装置」の発明を「保守作業支援プログラム」の発明として記載したものであるから、上記(6)ア(エ)で示した上記[相違点4-1]~[相違点4-4]に記載の相違点に係る構成と同様の構成を備えるものである。 そして、上記(6)イで示したとおり、上記[相違点4-3]、[相違点4-4]に係る構成に関しては、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえないから、他の相違点である上記[相違点4-1]、[相違点4-2]について検討するまでもなく、本件発明13は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 特許法第36条第6項第2号(明確性)について 本件特許の請求項5に記載された「前記空調機器の故障や異常によって室内または室外に対して及ぼす影響には、少なくとも、前記空調機器が異音を発すること、前記空調機器の電気代が高いこと、が含まれる」における「空調機器の電気代が高い」とは、技術常識・一般常識を考慮すると、当該「空調機器」の定格消費電力から想定される電気代や、これまでの当該「空調機器」の電気代と比較して、利用者等が変化を感じる程度に「空調機器の電気代が高い」ことを意味することは明らかである。 よって、本件発明5は明確であり、その特許請求の範囲の記載は特許法36条6項2号に規定する要件を満たしている。 第7 むすび 以上のとおり、本件訂正請求は認められるものであり、また、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~13に係る特許を取り消すことはできない。 そして、他に請求項1~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-701224

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