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特許異議申立

2021-701221

半発酵茶、着香の半発酵茶、半発酵茶又は着香の半発酵茶を含む混合茶、半発酵茶、着香の半発酵茶又は混合茶からの抽出物、抽出物を含む飲食物

審判番号
2021-701221
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-078557
登録番号
6905123
請求日
2021年12月20日
審決日
2022年03月18日
公報発行日
2022年05月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】李 新敏
  • 【権利者代理人】木村 高明
  • 【異議申立人】カワサキ機工株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 瀬良 聡機
  • 審判官 小堀 麻子
  • 審判官 冨永 みどり
分類
P1651.113-Y (A23F) / P1651.121-Y (A23F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項
データ出所
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特許第6905123号発明「半発酵茶、着香の半発酵茶、半発酵茶又は着香の半発酵茶を含む混合茶、半発酵茶、着香の半発酵茶又は混合茶からの抽出物、抽出物を含む飲食物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6905123号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6905123号の請求項1~7に係る特許についての出願は、2007年11月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年11月29日、中国(CN))を国際出願日とする特願2009-538574号の一部を、平成26年9月11日に新たな特許出願とした特願2014-185739号の一部を、さらに平成28年9月26日に新たな特許出願とした特願2016-187636号の一部を、さらに平成30年8月2日に新たな特許出願とした特願2018-145721号の一部を、さらに令和2年4月27日に新たな特許出願としたもので、令和3年6月28日に特許権の設定登録がされ、同年7月21日にその特許公報が発行され、その後、令和3年12月20日付けで特許異議申立人 カワサキ機工株式会社(以下、「申立人」という。)により、請求項1~7に係る特許に対して、特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 特許第6905123号の請求項1~7の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、下記二つの特性を有することを特徴とする半発酵茶。 (1)茶葉の縁と表面及び裏面の随所に傷があり、前記傷のある箇所が発酵した又は発酵によって、赤く変色した特性; (2)茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGCGとECGの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の5重量%以下である特性。 【請求項2】 紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、下記二つの特性を有することを特徴とする半発酵茶。 (1)茶葉の縁と表面及び裏面の随所に傷があり、前記傷のある箇所が発酵した又は発酵によって、赤く変色した特性; (2)茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるポリフェノールの重量が当該茶葉の乾燥重量の19重量%以下である特性。 【請求項3】 紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、下記二つの特性を有することを特徴とする半発酵茶。 (1)茶葉の縁と表面及び裏面の随所に傷があり、前記傷のある箇所が発酵した又は発酵によって、赤く変色した特性; (2)茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGC、DL―C、EC、GCG、EGCG、ECGという6種類のカテキンの重量が前記茶葉の乾燥重量の8重量%以下である特性。 【請求項4】 請求項1~3のいずれか一項に記載の半発酵茶に天然の花の香又は花の精油を吸着させた着香の半発酵茶。 【請求項5】 請求項1~4のいずれか一項に記載の半発酵茶を含む混合茶。 【請求項6】 請求項1~4のいずれか一項に記載の半発酵茶又は請求項5記載の混合茶からの抽出物。 【請求項7】 請求項6記載の抽出物を含む飲食物。」 第3 申立理由の概要及び証拠 1 申立理由 申立人は、証拠方法として後記2で示す甲第1号証~甲第3号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲3」ともいう。)を提出して、以下の申立理由1、申立理由2を申し立てている。 申立理由1(新規性): 本件発明1~3は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、その特許は同法第29条第1項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定により取消されるべきものである。 申立理由2(進歩性): 本件発明4~7は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2、3号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は同法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定により取消されるべきものである。 後記のとおり、本件発明1~3の進歩性についても検討した。 2 申立人の提出した証拠 甲第1号証:村松敬一郎編、シリーズ<食品の科学>茶の科学、朝倉書店、1991年3月15日、59頁、115~121頁 甲第2号証:特開平04-071444号公報 甲第3号証:特開平07-111858号公報 第4 当審の判断 特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許を取り消すことはできないと判断する。 理由は以下のとおりである。 申立理由1(新規性)及び申立理由2(進歩性)について 1 甲号証の記載事項 (1)甲1の記載事項 本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲1には、以下の記載がある。 ア 「c.紅茶の製造5) 紅茶製造の原葉は熟練者によって摘採された一心二葉の若芽が理想的である. 不注意な摘採で成熟葉などが混入すると製品の品質を低下させる.この品質低下の原因は,葉の成熟に伴って酵素活性や,カテキン,カフェイン,アミノ酸などの成分量が減少するためである. … 2)萎凋 茶葉をしおらせて次の工程に必要な柔軟さを付与するとともに,香味の発揚に必要な生化学反応を起こさせるために行う.生化学変化については,呼吸作用による多糖類の減少,クロロフィルの分解,アミノ酸,カフェイン,有機酸などの増加があげられる.またポリフェノールオキシダーゼ活性が上昇し,細胞膜の透過性が高まって発酵に都合のよい状態になる.萎凋方法には,自然萎凋,人工萎凋があり,現在では人工萎凋が中心である. … 3)揉捻(オーソドックス製法) 茶葉の組織を破壊して酵素と基質を直接接触させ,発酵が急速に進むようにすると同時に,茶葉によりをつけて締まらせるために行う.揉捻機の構造はリーフ型用とブロークン型用とで異なっている.ブロークン型用は揉盤の中央に円錐状の突起がついていて,この突起を利用して茶葉を破砕しながら揉捻する. 20~30分揉捻してふるい分け,粗い部分は再び揉捻にかける.小型にする場合3~5回揉捻することがある.また機械室へは冷湿風を送って室温25℃,湿度85%程度を保つ.」(第58頁第2行~第59頁第15行) イ 「 4.4 茶のポリフェノール 茶に渋味があり,それがいわゆるタンニン(tannin)によることはよく知られている.このタンニンという術語は18世紀末頃に,皮をなめす(tan)性質をもった植物成分に与えられた名称で,“鞣質”と邦訳されている.このような成分は,植物界にかなり広く分布しており,一般に渋味を呈する. タンニンは,鞣皮料,染料あるいは食品,医薬品として,古くから人々の生活に密接な関係があったことから,19世紀初頭からすでに研究が始められている.しかし,その分離,精製の困難さのため,化学的に未詳な植物成分の一群として残されていた.タンニン類の分離,精製が比較的容易になったのは1980年代に入ってからで,これにより,この領域の化学が飛躍的に発展し,これまでに約500種のタンニン類の構造が明らかにされている.茶のいわゆるタンニンも例外ではなく,1980年代の初期までは,(-)-エピカテキン,同3-ガレート,(-)-エピガロカテキン,同3-ガレート,(+)-カテキンなどのフラバン-3-オール類とテオガリンなど約10種が分離されているにすぎなかったが、現在では約70種が単離され、構造が明らかにされている. … a.茶の製造法による分類 茶樹の起源に関しては,今なお議論されているが,いずれの茶の原料植物も,その葉に著量のフラバン-3-オールと強い活性の酸化酵素ポリフェノールオキシダーゼを併せ含んでいる.したがって,茶はその製造方法によってポリフェノールの組成と含有量を大きく異にしている. 茶は製造法により,不発酵茶(緑茶),半発酵茶(ウーロン茶),発酵茶(紅茶),後発酵茶(黒茶)に分類される.各種茶の製造法の概略を図4.11に示す.…半発酵茶は摘葉後萎凋する.この工程で,フラバン-3-オール類は酸化酵素により酸化,重合し,色素類やプロアントシアニジンポリマーに変換する.… [図:0001384289000001.jpg] [図:0001384289000002.jpg] b.茶のポリフェノールの組成と含有量 茶のポリフェノールとしては,これまでに70種を超える成分が分離され,構造が明らかにされている.主要ポリフェノールおよび特殊ポリフェノールの名称と構造式をそれぞれ表4.22と図4.12に示す. ポリフェノールは,生葉中に元来含まれる一次ポリフェノールと製造工程(萎凋,発酵)で,フラバン-3-オール類から変換した二次ポリフェノールとに大別される.一次ポリフェノールは,フラバン-3-オール類,アントシアニジン類,ウーロンホモビスフラバン類,アッサミカイン類および加水分解型タンニンに分類される.二次ポリフェノールには,紅茶,ウーロン茶の色素,テアフラビン類,テアフラガリン類のほかにテアシネンシン類がある.これらの成分のうち,渋味を呈するのはプロアントシアニジンポリマーで,ほかは無味ないしは緩和な渋味を呈するにすぎない. … 表4.23に示すポリフェノールの含有量は,高速液体クロマトグラフ法によって約30種のポリフェノールを分離定量し,各化合物群ごとに小計したものである.総計は高速液体クロマトグラフフィーによるものであるので,比較的低分子のポリフェノール類の総含有量である.皮粉法と記した欄は,日本工業規格に従って定量した値で,高分子ポリフェノールも含んだ総含有量である.両方での含有量差から高分子タンニンの量を知ることができる. … ウーロン茶では,フラバン-3-オール類は酸化酵素によりプロアントシアニジンポリマーや色素類に変換されて,総ポリフェノール量の30~40%にまで減少している。ウーロン茶特有のポリフェノールとしては,微量ではあるが,ウーロンホモビスフラバン類がある. [図:0001384289000003.jpg] 」(第115頁第7行~第121頁第8行)(決定注:本文中の記号は申立人が手書きしたもの) (2)甲2の記載事項 本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲2には、以下の記載がある。 ア 「特許請求の範囲 (1)製茶材料を出入れするための開閉可能な蓋部を有する製茶用密閉容器であって、その壁面の少なくとも一部が、水蒸気及び低分子量の気体を選択的に外部に通過させることのできるセラミックフィルターにより構成されていることを特徴とする、茶の附香、萎凋、乾燥用製茶装置。」(特許請求の範囲) イ 「(1)産業上の利用分野 本発明は、茶の製造に係るものであり、特に茶の附香、萎凋、乾燥用に共通して用いることができ、従来のものに比べ香りを良く保持した茶を作り出すことのできる製茶装置を提供するものである。 … 特に、附香茶(いわゆるジャスミン茶で代表されるような、芳香性をもつ花、葉、果実等により茶葉に附香を行なった茶:別名花茶)などでは、せっかく茶葉に移転吸収させた芳香が、乾燥のために長時間加温することにより散逸し、製品の品質を落としていた。」(第1頁右欄第2行~第2頁左上欄第3行) ウ 「このように、茶の乾燥工程においては、香気成分の散逸という問題点があったが、茶の製造全般についてみると、乾燥工程以外の工程にも、香りの保持及び、茶葉の水分率と雰囲気中の湿度のコントロールが問題となる工程がある。 … なお、本発明者が、実験した結果では、附香には、相対湿度60~75%の雰囲気が最も適しており、湿度がそれ以下であっても、それ以上であっても、附香の効率は低くなった。また、被附香体である茶の含水率は、表面、内部ともに均質的で、5~10%のとき附香効率が高く、含水率が増えるに従って、従来指摘されてきたように附香効率は低下した。ただし、含水率5%以下の極度の乾燥状態においてもやはり附香効率が低くなることから、附香、すなわち花等の附香素材から茶への芳香物質の移転と定着には、適量の水分の存在が重要な鍵をにぎっていると考えられる。 … 以上述べてきたように、茶の製造においては、いくつかの工程を通して、茶の含水率を下げるうえでの共通した技術的課題が見出せる。 (3)、(決定注:原文ママ)課題を解決するための手段 本発明者は、芳香成分の損失を押えつつ茶の含水率を効果的に下げる手段と、附香、萎凋工程での雰囲気の相対湿度のコントロール手段とについてそれぞれ鋭意研究してきたが、その結果、濾過間隙0.5~10ミクロン程度のセラミックフィルターをその壁面の少なくとも一部に用いた密閉容器により、両課題をあわせて解決することができることを見出だした。」(第2頁左上欄第11行~右下欄第14行) エ 「実験条件 装置:円筒型(直径17cm、高さ7cm)の試験用密閉容器A、Bを作る。Aは、セラミック微粒子を抄きこんだ紙(例えば、新富土製紙株式会社より、アポロンシートという商品名で提供されているもの:0.2mm厚)で壁面を構成したもの、Bは、0.2mm厚のケント紙製(新富土製紙株式会社製)容器で、紙自体によるフィルター効果を見るためのものである。なお、従来法は、伝統的な布袋法によるものを参考までに示す。 香気の吸着濃度比較法:附香茶3gを秤量し、40度Cの抽出液(純水150ml、n-ブタノール2ml、醋酸(IN)1滴から成る)で、2回抽出し、両抽出液を合せてガスクロマトグラフ(以下GCと略す)で分析する。 香気の主要成分の検出パターンに注目し、(例えば、キンモクセイ花の場合は、ヨノン、リナロール、デカノールアセトンなど、ユズ果皮の場合は、リモネン、シトラール、リナロール、ゲラニオール、アンスラニル酸エチルなど、)その、濃度レベルが、A、B両検体ほぼ同等になるよう、一方を抽出液で稀釈する。その、稀釈倍数で、吸着濃度の比較をする。 水分の測定:カール・フィッシャー法による。 実施例1 (紅茶、キンモクセイ花、2回附香) A、B両容器の双方に、それぞれ紅茶200gとキンモクセイ花(鮮花)70gを混合して詰め、恒温槽に入れて、35度Cに10時間保つ。 10時間後、花を除き、吸香した茶の水分を調べる。さらに、新たに、キンモクセイ花70gを混合し、第2回の附香を8時間行ない、その後同様に花を除き、茶の水分を調べる。 最後に、花香茶の水分が7%程度に落ちるまで恒温槽(40度C)で乾燥する。 … 実施例2 (半醗酵茶、ユズ果皮、3回附香) A、B両容器の双方に、それぞれ半醗酵茶(いわゆるウーロン茶)250gとユズ果皮60gを混合して詰め、恒温槽に入れて、32度Cに12時間保つ。 12時間後、果皮を除き、茶を容器に戻し、さらに恒温槽(36度C)でどちらも水分率7~8%になるよう乾燥してから検体各3gを採取する(検体A-1,B-1)。 検体採取後、茶に再びユズ果皮各60gを混合し、元の容器に詰め、恒温槽(36度C)で8時間かけ、第2回の附香を行なう。 8時間後、前回向様果皮を除き、恒温槽(36度C)でどちらも水分率8~9%になるよう乾燥してから検体各3gを採取する(検体A-2,B-2)。 検体採取後、茶に再びユズ果皮各60gを混合し、元の容器に詰め、恒温槽(36度C)で5時間かけ、第3回の附香を行なう。 5時間後、果皮を除き、元の容器に茶を詰め、恒温槽(38度C)でどちらも水分率7~8%になるよう乾燥してから検体各3gを採取する(検体A-3,B-3)。」(第3頁右下欄第10行~第4頁左下欄最終行) (3)甲3の記載事項 ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 ウーロン茶葉と、白茶葉及び/又は清茶葉の重量比率を1:0.1~1.2に調製した茶葉より抽出されたウーロン茶抽出液と白茶及び/又は清茶抽出液よりなる混合茶飲料。 【請求項2】 水100重量部に対してウーロン茶葉0.4~3.6重量部の割合で抽出したウーロン茶抽出液と、水100重量部に対して白茶葉及び/又は清茶葉を、上記ウーロン茶葉の0.1~1.2倍量の割合で抽出した白茶及び/又は清茶抽出液を、1:1の重量比率で混合したものに相当するウーロン茶抽出液と白茶及び/又は清茶抽出液よりなる混合茶飲料。 【請求項3】 ウーロン茶葉、白茶葉及び清茶葉の抽出条件が、90~98°C、1~7分間である請求項1乃至2記載の混合茶飲料。」 イ 「【0009】本発明の混合茶飲料は、上記した茶葉から抽出されたウーロン茶抽出液と、白茶及び/又は清茶抽出液が混合されたものである。上記抽出液を混合する方法としては、ウーロン茶葉と、白茶葉及び/又は清茶葉を予め特定の割合で混合した後、一度に抽出する方法、或るいは、各茶葉をそれぞれ別個に抽出し、得られた抽出液を混合する方法がある。いずれの方法を用いてもよいが、より優れた風味が得られる点において前者を採用する方が好ましい。」 ウ 「【実施例1】 【0016】ウーロン茶葉(種類:水仙/色種の混合)8.4重量部、白茶葉(種類:福建新白茶)3.6重量部を95°Cの熱水400重量部で3分間抽出処理を行い、濾過処理して得られた抽出液に、純水1600重量部を加え、ウーロン茶抽出液と、白茶葉抽出液よりなる混合茶飲料を得た。 【実施例2】 【0017】白茶葉に換えて清茶(種類:文山包種茶)を用いること以外は、実施例1と同様の方法により、ウーロン茶抽出液と清茶葉抽出液よりなる混合茶飲料を得た。 【実施例3】 【0018】ウーロン茶葉(種類:水仙/色種の混合)8.4重量部、白茶葉(種類:福建新白茶)1.8重量部、清茶(種類:文山包種茶)1.8重量部を95°Cの熱水400重量部で3分間抽出処理を行い、濾過処理して得られた抽出液に、純水1600重量部を加え、ウーロン茶抽出液、白茶葉抽出液、及び清茶葉抽出液よりなる混合茶飲料を得た。 【実施例4】 【0019】ウーロン茶葉(種類:水仙/色種の混合)8.4重量部を、95°Cの熱水300重量部で3分間抽出処理を行い、濾過処理してウーロン茶抽出液を得た。次に、白茶葉(種類:福建新白茶)3.6重量部を95°Cの熱水100重量部で3分間抽出処理を行い、濾過処理して白茶葉抽出液を得た。得られたウーロン茶抽出液300重量部と白茶葉抽出液100重量部を混合し、更に純水1600重量部を加え、ウーロン茶抽出液と白茶葉抽出液よりなる混合茶飲料を得た。得られた混合茶飲料は、実施例1により得られた混合茶飲料とほぼ同程度の風味・色調を有するものであった。」 2 甲1に記載された発明 上記1(1)イ、特に表4.23の台湾産ウーロン茶の記載から、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる。 「含有量4.22%のフラバン-3-オール類、及び総計(HPLC法)で含有量5.36%のポリフェノール類を含む台湾産ウーロン茶。」(以下、「甲1発明」という。) 3 本件発明についての検討 (1)申立理由1(新規性)について ア 本件発明1について (ア)本件発明1と、甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 上記1(1)イには、「半発酵茶(ウーロン茶)、発酵茶(紅茶)」と記載されているから、ウーロン茶は「半発酵茶」で、紅茶は「発酵茶」と区別されるといえる。 そして、一般に茶は乾燥した状態にあるから、甲1発明の「台湾産ウーロン茶」は、本件発明1の「紅茶を除く、乾燥した半発酵茶」に相当する。 そうすると、両者は、「紅茶を除く、乾燥した半発酵茶」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-1:紅茶を除く、乾燥した半発酵茶が、本件発明1では、「(1)茶葉の縁と表面及び裏面の随所に傷があり、前記傷のある箇所が発酵した又は発酵によって、赤く変色した特性」を有するのに対し、甲1発明では、そのような特性を有するか明らかでない点。 相違点2-1:紅茶を除く、乾燥した半発酵茶が、本件発明1では、「(2)茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGCGとECGの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の5重量%以下である特性」を有するのに対し、甲1発明では、そのような特性を有するか明らかでない点。 (イ)検討 事案に鑑み、まず相違点2-1について検討する。 ウーロン茶は、通常茎が取り除かれたものであるから、甲1発明も、茎が取り除かれた茶葉であると認められる。 上記1(1)イの表4.22には、「フラバン-3-オール類(18種):(-)-エピカテキン,同3-ガレート,(-)-エピガロカテキン,同3-ガレート,(+)-カテキン,(-)-エピアフゼレチン-3-ガレート」と記載されているから、甲1発明の「フラバン-3-オール類」はEGCGとECGを含むものといえる。 そして、一般に茶は乾燥した状態にあるから、甲1発明の「含有量4.22%」とは、茶葉の乾燥重量における含有量であると認められる。 そうすると、甲1発明は、茶葉の乾燥重量において含有量4.22%のフラバン-3-オール類を含み、フラバン-3-オールはEGCGとECGを含むから、甲1発明のEGCGとECGの合計重量は、4.22%未満であるといえる。 したがって、甲1発明は茎が取り除かれた茶葉であり、EGCGとECGの合計含有量は茶葉の乾燥重量の4.22%未満であるから、「(2)茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGCGとECGの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の5重量%以下である特性」を有するといえる。 よって、相違点2-1は実質的な相違点でない。 次に、相違点1-1について検討する。 甲1には、甲1発明の茶葉に傷があること、傷のある箇所が発酵すること又は傷のある箇所が発酵によって、赤く変色することについて記載がない。 また、甲1発明の製造方法は明らかでないから、製造方法から、甲1発明の茶葉の縁と表面及び裏面の随所に傷があると理解することはできず、さらに、傷のある箇所が発酵した又は傷のある箇所が発酵によって、赤く変色した特性を有するともいえない。 そうすると、相違点1-1は実質的な相違点である。 したがって、本件発明1は、甲1発明ではなく、甲1に記載された発明でない。 (ウ)小括 以上のとおり、本件発明1は、甲1に記載された発明でなく、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。 イ 本件発明2について (ア)本件発明2と甲1発明との対比 本件発明2と甲1発明とを対比すると、 「紅茶を除く、乾燥した半発酵茶」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-2:紅茶を除く、乾燥した半発酵茶が、本件発明2では、「(1)茶葉の縁と表面及び裏面の随所に傷があり、前記傷のある箇所が発酵した又は発酵によって、赤く変色した特性」を有するのに対し、甲1発明では、そのような特性を有するか明らかでない点。 相違点2-2:紅茶を除く、乾燥した半発酵茶が、本件発明2では、「(2)茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるポリフェノールの重量が当該茶葉の乾燥重量の19重量%以下である特性」を有するのに対し、甲1発明では、そのような特性を有するか明らかでない点。 (イ)検討 事案に鑑み、まず相違点2-2について検討する。 ウーロン茶は、通常茎が取り除かれたものであるから、甲1発明も、茎が取り除かれた茶葉であると認められる。 そして、一般に茶は乾燥した状態にあるから、甲1発明の「総計(HPLC法)で含有量5.36%」とは、茶葉の乾燥重量における含有量であると認められる。 そうすると、甲1発明は茎が取り除かれた茶葉であり、茶葉の乾燥重量の総計5.36%のポリフェノールを含むから、「(2)茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるポリフェノールの重量が当該茶葉の乾燥重量の19重量%以下である特性」を有するといえる。 したがって、相違点2-2は実質的な相違点でない。 相違点1-2について検討する。上記ア(イ)と同様に、相違点1-2は実質的な相違点である。 そうすると、本件発明2は、甲1発明ではなく、甲1に記載された発明でない。 (ウ)小括 以上のとおり、本件発明2は、甲1に記載された発明でなく、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。 ウ 本件発明3について (ア)本件発明3と甲1発明との対比 本件発明3と甲1発明とを対比すると、 「紅茶を除く、乾燥した半発酵茶」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1-3:紅茶を除く、乾燥した半発酵茶が、本件発明3では、「(1)茶葉の縁と表面及び裏面の随所に傷があり、前記傷のある箇所が発酵した又は発酵によって、赤く変色した特性」を有するのに対し、甲1発明では、そのような特性を有するか明らかでない点。 相違点2-3:紅茶を除く、乾燥した半発酵茶が、本件発明3では、「(2)茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGC、DL―C、EC、GCG、EGCG、ECGという6種類のカテキンの重量が前記茶葉の乾燥重量の8重量%以下である特性。」を有するのに対し、甲1発明では、そのような特性を有するか明らかでない点。 (イ)検討 事案に鑑み、まず相違点2-3について検討する。 ウーロン茶は、通常茎が取り除かれたものであるから、甲1発明も、茎が取り除かれた茶葉であると認められる。 そして、一般に茶は乾燥した状態にあるから、甲1発明の「総計(HPLC法)で含有量5.36%」とは、茶葉の乾燥重量における含有量であると認められる。 また、ポリフェノール含有量の「総計(HPLC法)」は、EGC、DL―C、EC、GCG、EGCG、ECGという6種類のカテキンを含むものと認められる。 そうすると、甲1発明は茎が取り除かれた茶葉であり、茶葉の乾燥重量の総計5.36%のポリフェノールを含み、ポリフェノールはEGC、DL―C、EC、GCG、EGCG、ECGという6種類のカテキンを含むから、「(2)茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGC、DL―C、EC、GCG、EGCG、ECGという6種類のカテキンの重量が前記茶葉の乾燥重量の8重量%以下である特性」を有するといえる。 したがって、相違点2-3は実質的な相違点でない。 相違点1-3について検討する。上記ア(イ)と同様に、相違点1-3は実質的な相違点である。 そうすると、本件発明3は、甲1発明ではなく、甲1に記載された発明でない。 (ウ)小括 以上のとおり、本件発明3は、甲1に記載された発明でなく、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。 エ 申立人の主張 申立人は異議申立書において、申立理由1について、甲1の117頁の図4.11に半発酵茶(ウーロン茶)の製造法の開示があること、甲1の59頁には、揉捻工程の詳細について、「茶葉の組織を破壊して酵素と基質を直接接触させ発酵が急速に進むようにすると同時に、茶葉によりをつけて締まらせる」との記載があるから、揉捻工程による茶葉の組織が破壊された部分が、本願の「傷」に相当すること、図4.11の揉捻工程の次工程が加熱工程であることを鑑みると、少なくとも加熱処理がされるまでは発酵が促進されるものと考えられるから、本件発明1の半発酵茶は甲1発明の台湾産ウーロン茶と実質同等のものと推察されることを主張している。 上記1(1)イのとおり、甲1の表4.23は、「各種茶のポリフェノール含有量(%)」として、緑茶、ウーロン茶、紅茶、黒茶(プアール茶)について、約30種のポリフェノールを分離定量し、各化合物群ごとに小計したものである。 そして、甲1の図4.11は各種茶の製造法の概略図であり、「2.半発酵茶(ウーロン茶) 新鮮葉→萎凋→揉捻→加熱→乾燥」と記載されているが、表4.23に記載された台湾産ウーロン茶である甲1発明が図4.11の製造法で製造されたと理解できる記載はない。 さらに、上記1(1)アの「揉捻(オーソドックス製法) 茶葉の組織を破壊して酵素と基質を直接接触させ発酵が急速に進むようにすると同時に、茶葉によりをつけて締まらせる」との記載は、ウーロン茶ではなく、紅茶の製法に関するものである。 そうすると、甲1には、台湾産ウーロン茶を含む各種茶のポリフェノール含有量、半発酵茶(ウーロン茶)の製造法の概略図、及び紅茶の製法がそれぞれ断片的に記載されているにすぎず、このような断片的な記載から、甲1に、茶葉の組織を破壊して、茶葉の縁と表面及び裏面の随所に傷をつけて発酵させ、甲1発明の台湾産ウーロン茶を製造するという、ひとまとまりの具体的な技術的思想が記載されているとはいえない。 そうすると、申立人の主張は採用することができない。 オ 小括 よって、本件発明1~3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものではない。 (2)申立理由2(進歩性)について ア 本件発明1~3について (ア)検討 本件発明1~3については、申立理由2は挙げられていないが、検討しておくこととする。 相違点1-1~相違点1-3について検討する。甲2は、特に茶の附香、萎凋、乾燥用に共通して用いることができ、従来のものに比べ香りを良く保持した茶を作り出すことのできる製茶装置に関するものであり、甲3は、ウーロン茶葉と、白茶葉及び/又は清茶葉の重量比率を1:0.1~1.2に調製した茶葉より抽出されたウーロン茶抽出液と白茶及び/又は清茶抽出液よりなる混合茶飲料に関するものであるところ、甲1~3のいずれにも、茶葉の縁と表面及び裏面の随所に傷をつけることに関しては記載も示唆もされていない。 そうすると、当業者は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基いて、茶葉縁と表面及び裏面の随所に傷をつけることを容易に想到し得たとはいえない。 また、甲1に記載された紅茶の製法における揉捻工程を、台湾産ウーロン茶である甲1発明の製造に適用する動機付けもない。 そして、本件発明1~3は、その発明特定事項全体に基いて、茶ポリフェノールと茶カテキン等苦渋み成分の含有量が少なく、茶色素の含有量が多く、茶湯の液色が鮮やかで、飲み口がよくて、香りもあるという、甲1~3から当業者が予測できない格別顕著な効果を奏すると認められる。 したがって、本件発明1~3は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ)小括 以上のとおり、本件発明1~3は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 イ 本件発明4~7について 本件発明4~7は、本件発明1~3の発明特定事項すべてを、その発明特定事項とし、さらに技術的に限定するものである。 したがって、本件発明1~3が、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件発明4~7も、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 申立人の主張について 申立人は、異議申立書において、申立理由2について、本件発明4は、甲1発明及び甲2に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に想到し得たものであること、本件発明5~7は、甲1発明及び甲3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に想到し得たものであることを主張する。 上記ア(ア)のとおり、本件発明1~3は、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、本件発明1~3の発明特定事項すべてを、その発明特定事項とし、さらに技術的に限定する本件発明4~7も、甲1発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 したがって、申立人の主張は採用することができない。 エ 小括 よって、本件発明4~7に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものではない。 第5 むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1~7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-701221

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