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特許異議申立

2024-701114

糖および甘味料の呈する味質が改善したコーヒー飲料

審判番号
2024-701114
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-560067
登録番号
7486432
請求日
2024年11月15日
審決日
2025年09月24日
公報発行日
2026年01月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】サントリーホールディングス株式会社
  • 【権利者代理人】小林 浩
  • 【権利者代理人】箱田 満
  • 【異議申立人】長谷川 愛理
審判長/審判官
  • 審判長 天野 宏樹
  • 審判官 加藤 友也
  • 審判官 中村 和正
分類
P1651.113-YAA(A23F) / P1651.121-YAA(A23F) / P1651.537-YAA(A23F) / P1651.536-YAA(A23F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条4項1号特許法113条4号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7486432号発明「糖および甘味料の呈する味質が改善したコーヒー飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7486432号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし10及び20〕、〔11ないし19〕並びに21について訂正することを認める。 特許第7486432号の請求項1ないし21に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7486432号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし21に係る特許についての出願は、2019年(令和1年)12月6日(優先権主張 平成30年12月7日)を国際出願日とする出願であって、令和6年5月9日にその特許権の設定登録(請求項の数21)がされ、同年同月17日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、同年11月15日に特許異議申立人 長谷川 愛理(以下、「特許異議申立人」という。)から特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし21)がされ、令和7年2月3日付けで取消理由が通知され、同年4月4日に特許権者 サントリーホールディングス株式会社(以下、「特許権者」という。)から訂正請求がされるとともに意見書が提出され、同年同月24日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年5月26日に特許異議申立人から意見書が提出され、同年6月27日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年9月2日に特許権者から訂正請求がされるとともに意見書が提出されたものである。 なお、令和7年4月4日にされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 また、既に特許異議申立人に意見書の提出の機会が与えられており、下記第2 1のとおり、令和7年9月2日にされた訂正請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮され、下記第6及び7のとおり、提出された全ての証拠や意見等を踏まえて更に審理を進めたとしても特許を維持すべきとの結論となると合議体は判断し、特許法第120条の5第5項ただし書に規定された特別の事情があるときといえるから、特許異議申立人に再度の意見書の提出の機会を与えていない。 第2 本件訂正について 1 訂正の内容 令和7年9月2日にされた訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。下線は訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1において、訂正前の「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドEおよびモグロシドVからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み」から、「レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドEおよびモグロシドV」を削除し、「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み」と訂正する。併せて、請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2ないし10及び20も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1において、訂正前の「0.1<(X1+X2)≦20である、コーヒー飲料。」を「0.1<(X1+X2)≦20であり、 前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上である、コーヒー飲料。」と訂正する。併せて、請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2ないし10及び20も同様に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4において、訂正前の「X1が0.1~5.9である」を「X1が0.1~5.9であり、 前記ナトリウムは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つを含む」と訂正する。併せて、請求項4の記載を直接又は間接的に引用する請求項5ないし10も同様に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項7において、訂正前の「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドD、羅漢果抽出物、モグロシドVおよびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つである」から「羅漢果抽出物、モグロシドV」を削除し、「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドDおよびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つである」と訂正する。併せて、請求項7の記載を直接又は間接的に引用する請求項8ないし10も同様に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項8において、訂正前の「前記ナトリウムは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つである」から、「リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム」を削除し、「前記ナトリウムは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つである」と訂正する。併せて、請求項8の記載を直接又は間接的に引用する請求項9及び10も同様に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項10において、訂正前の「容器詰めされている、請求項1~9のいずれか一項に記載のコーヒー飲料。」を「容器詰めされており、 前記ナトリウムは、グルコン酸ナトリウムを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコーヒー飲料。」と訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項11において、訂正前の「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドEおよびモグロシドVからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み」から、「レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドEおよびモグロシドV」を削除し、「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み」と訂正する。併せて、請求項11の記載を直接又は間接的に引用する請求項12ないし19も同様に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項11において、訂正前の「0.1<(X1+X2)≦20である、コーヒー飲料 を製造する方法」を「0.1<(X1+X2)≦20であり、 前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上である、コーヒー飲料 を製造する方法」と訂正する。併せて、請求項11の記載を直接又は間接的に引用する請求項12ないし19も同様に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項14において、訂正前の「X1が0.1~5.9である」を「X1が0.1~5.9であり、 前記ナトリウムは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つを含む」と訂正する。併せて、請求項14の記載を直接又は間接的に引用する請求項15ないし19も同様に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項17において、訂正前の「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドD、羅漢果抽出物、モグロシドVおよびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つである」から、「羅漢果抽出物、モグロシドV」を削除し、「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドDおよびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つである」と訂正する。併せて、請求項17の記載を直接又は間接的に引用する請求項18及び19も同様に訂正する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項18において、訂正前の「前記ナトリウムは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つである」から、「リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム」を削除し、「前記ナトリウムは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つである」と訂正する。併せて、請求項18の記載を引用する請求項19も同様に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項21において、訂正前の「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドEおよびモグロシドVからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み」から、「レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドEおよびモグロシドV」との記載を削除し、「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み」と訂正する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項21において、訂正前の「X2が0.05~18.0である、コーヒー飲料の甘味増強方法。」を「X2が0.05~18.0であり、 前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上である、コーヒー飲料の甘味増強方法。」と訂正する。 2 訂正の目的、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)請求項1についての訂正について 訂正事項1による請求項1についての訂正は、「高甘味度甘味料b1」の択一的記載の要素から「レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドEおよびモグロシドV」を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項2による請求項1についての訂正は、「前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上であ」るとの記載を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1及び2による請求項1についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)請求項2、3及び20についての訂正について 訂正事項1及び2による請求項2、3及び20についての訂正は、請求項1についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1及び2による請求項2、3及び20についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)請求項4についての訂正について 訂正事項1及び2による請求項4についての訂正は、請求項1ないし3についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項3による請求項4についての訂正は、「ナトリウム」源に関する特定を追加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1ないし3による請求項4についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)請求項5及び6についての訂正について 訂正事項1ないし3による請求項5及び6についての訂正は、請求項1ないし4についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1ないし3による請求項5及び6についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)請求項7についての訂正について 訂正事項1ないし3による請求項7についての訂正は、請求項1ないし6についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項4による請求項7についての訂正は、「高甘味度甘味料」の択一的記載の要素から「羅漢果抽出物、モグロシドV」を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1ないし4による請求項7についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)請求項8についての訂正について 訂正事項1ないし4による請求項8についての訂正は、請求項1ないし7についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項5による請求項8についての訂正は、「ナトリウム」の択一的記載の要素から「リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム」を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1ないし5による請求項8についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (7)請求項9についての訂正について 訂正事項1ないし5による請求項9についての訂正は、請求項1ないし8についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1ないし5による請求項9についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (8)請求項10についての訂正について 訂正事項1ないし5による請求項10についての訂正は、請求項1ないし9についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項6による請求項10についての訂正は、「ナトリウム」源に関する特定を追加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1ないし6による請求項10についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (9)請求項11についての訂正について 訂正事項7による請求項11についての訂正は、「高甘味度甘味料b1」の択一的記載の要素から「レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドEおよびモグロシドV」を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項8による請求項11についての訂正は、「前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上であ」るとの記載を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項7及び8による請求項11についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (10)請求項12及び13についての訂正について 訂正事項7及び8による請求項12及び13についての訂正は、請求項11についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項7及び8による請求項12及び13についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (11)請求項14についての訂正について 訂正事項7及び8による請求項14についての訂正は、請求項11ないし13についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項9による請求項14についての訂正は、「ナトリウム」源に関する特定を追加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項7ないし9による請求項14についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (12)請求項15及び16についての訂正について 訂正事項7ないし9による請求項15及び16についての訂正は、請求項11ないし14についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項7ないし9による請求項15及び16についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (13)請求項17についての訂正について 訂正事項7ないし9による請求項17についての訂正は、請求項11ないし16についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項10による請求項17についての訂正は、「高甘味度甘味料」の択一的記載の要素から「羅漢果抽出物、モグロシドV」を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項7ないし10による請求項17についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (14)請求項18についての訂正について 訂正事項7ないし10による請求項18についての訂正は、請求項11ないし17についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項11による請求項18についての訂正は、「ナトリウム」の択一的記載の要素から「リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム」を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項7ないし11による請求項18についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (15)請求項21についての訂正について 訂正事項12による請求項21についての訂正は、「高甘味度甘味料b1」の択一的記載の要素から「レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドEおよびモグロシドV」を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項13による請求項21についての訂正は、「前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上であ」るとの記載を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項12及び13による請求項21についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 本件訂正についてのむすび 以上のとおり、訂正事項1ないし13による請求項1ないし21についての訂正は、いずれも、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。 また、訂正事項1ないし13による請求項1ないし21についての訂正は、いずれも、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。 なお、訂正前の請求項1ないし10及び20は一群の請求項に該当するものである。 そして、訂正事項1ないし6による請求項1ないし10及び20についての訂正は、それらについてされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものである。 訂正前の請求項11ないし19は一群の請求項に該当するものである。 そして、訂正事項7ないし11による請求項11ないし19についての訂正は、それらについてされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものである。 訂正事項12及び13による請求項21についての訂正は、請求項ごとにされたものである。 また、特許異議申立人からの特許異議の申立ては、訂正前の請求項1ないし21に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし10及び20〕、〔11ないし19〕並びに21について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし21に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいい、総称して「本件特許発明」という。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし21に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 (a)甘味強度X1相当の量の天然糖、 (b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料、および (c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウム を含み、 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み、 X1が0.05~5.9であり、 X2が0.05~18.0であり、 0.1<(X1+X2)≦20であり、 前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上である、コーヒー飲料。 【請求項2】 ナトリウムの含有量が25~60mg/100mlである、請求項1に記載のコーヒー飲料。 【請求項3】 エネルギーが50Kcal/100ml以下である、請求項1または2に記載のコーヒー飲料。 【請求項4】 X1が0.1~5.9であり、 前記ナトリウムは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のコーヒー飲料。 【請求項5】 カフェインを40mg/100ml~100mg/100ml含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコーヒー飲料。 【請求項6】 前記天然糖は、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖、異性化糖、乳糖、プシコース、アロース、タガトースおよびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1~5のいずれか一項に記載のコーヒー飲料。 【請求項7】 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドDおよびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1~6のいずれか一項に記載のコーヒー飲料。 【請求項8】 前記ナトリウムは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1~7のいずれか一項に記載のコーヒー飲料。 【請求項9】 25~40mg/100mlのナトリウムを含み、エネルギーが50Kcal/100ml以下、かつX1+X2が6以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載のコーヒー飲料。 【請求項10】 容器詰めされており、 前記ナトリウムは、グルコン酸ナトリウムを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコーヒー飲料。 【請求項11】 原材料に対し (i)(a)甘味強度X1の量の天然糖および(b)甘味強度X2の量の高甘味度甘味料を添加する工程と、 (ii)(c)飲料中のナトリウム含有量が5mg/100ml~60mg/100mlとなるようにナトリウムを添加する工程と、 を含み、 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み、 X1が0.05~5.9であり、 X2が0.05~18.0であり、 0.1<(X1+X2)≦20であり、 前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上である、コーヒー飲料 を製造する方法。 【請求項12】 前記コーヒー飲料においてナトリウムの含有量が25~60mg/100mlである、請求項11に記載の方法。 【請求項13】 前記コーヒー飲料のエネルギーが50Kcal/100ml以下である、請求項11または12に記載の方法。 【請求項14】 X1が0.1~5.9であり、 前記ナトリウムは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。 【請求項15】 前記コーヒー飲料がカフェインを40mg/100ml~100mg/100ml含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。 【請求項16】 前記天然糖は、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖、異性化糖、乳糖、プシコース、アロース、タガトースおよびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。 【請求項17】 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドDおよびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。 【請求項18】 前記ナトリウムは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。 【請求項19】 前記コーヒー飲料においてナトリウムの含有量が25~40mg/100ml、エネルギーが50Kcal/100ml以下、かつX1+X2が6以上である、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。 【請求項20】 (a)甘味強度X4相当の量の前記天然糖、 (b)甘味強度X5相当の量の前記高甘味度甘味料、および (c)50mg/100ml~600mg/100mlのナトリウム を含み、 (X4+X5)≦200である、請求項1に記載のコーヒー飲料を提供するための濃縮物。 【請求項21】 コーヒー飲料に (a)甘味強度X1相当の量の天然糖、 (b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料、および (c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウム を含有させることを特徴とし、 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み、 X1が0.05~5.9であり、 X2が0.05~18.0であり、 前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上である、コーヒー飲料の甘味増強方法。」 第4 特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由の概要等 令和6年11月15日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した特許異議申立ての理由の概要及び証拠方法は次のとおりである。なお、判断の便宜上、当審において、新規性・進歩性については主引用文献ごとに申立理由を整理した。 1 申立理由1(甲第1号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許発明1ないし9及び21は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許発明1ないし21は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。なお、本件特許発明10ないし20について、特許異議申立書の「3.申立ての理由」の「A.申立理由の概要」及び「E.むすび」においては、甲第1号証に記載された発明である旨記載されているが、同「D.申立ての理由及び具体的理由」においては、具体的には甲第1号証に記載された発明である旨記載されていないので、上記のとおり申立理由を認定した。 2 申立理由2(甲第6号証に基づく進歩性) 本件特許発明1ないし21は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第6号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 3 申立理由3(甲第12号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許発明1ないし21は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第12号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第12号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 4 申立理由4(サポート要件及び実施可能要件) 本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第1号及び同法同条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (1)成分(a)「天然糖」 本件特許発明の解決課題は、「適度な甘味強度を呈し、コーヒー飲料の天然糖使用量を低く抑えつつ糖および甘味料の呈する味質を良好に改善する方法」の提供である。 本特許明細書の実施例では、成分(a)「天然糖」として「スクロースとグルコース」を用いたコーヒー飲料が、上記解決課題を解決することが示されている。 しかし、本件特許発明1、11及び21のコーヒー飲料に含まれる成分(a)「天然糖」には、如何なる天然糖も含まれる。これらの天然糖はそれぞれ甘味及び味質が異なるため、実施例で試験された「スクロースとグルコース」以外の天然糖の如何なるものでも、本件特許発明の解決課題が解決されるかは当業者には予測できるものではない。 従って、出願時の技術常識に照らしても、本件特許発明1、11及び21の全範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 以上の通り、本件特許発明1、11及び21並びにそれらに従属する本件特許発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、発明の詳細な説明の記載が当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないため、サポート要件及び実施可能要件を満たさない。 (2)成分(b)「高甘味度甘味料」 本特許明細書の実施例では、成分(b)「高甘味度廿味料」に関して、「高甘味度甘味料b1」として「レバウジオシドM、レバウジオシドD、モグロシドV」を用いたコーヒー飲料が、上記解決課題を解決することが示されている。 しかし、本件特許発明1、11及び21は、「前記高甘味度廿味料は、レバウジオシド M、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドOおよびレバウジオシドEからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み」を要件としている。 甲第11号証のp.D-1016~1017に、「(ステビア抽出物の)甘味成分としては、ステビオールをアグリコンとする以下のような10成分が知られている。各成分の味質、甘味倍率は大きく異なる。」と記載されている。このように、「レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドOおよびレバウジオシドE」は相互に味質、甘味倍率が大きく異なる。 従って、実施例で、「高甘味度甘味料b1」としての効果が実際に確かめられた「レバウジオシドM、レバウジオシドD、モグロシドV」以外の「レバウジオシドN、レバウジオシドOおよびレバウジオシドE」でも、本件特許発明の解決課題が解決されるかは当業者には予測できるものではない。 出願時の技術常識に照らしても、本件特許発明1、11及び21の全範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 以上の通り、本件特許発明1、11及び21並びにそれらに従属する本件特許発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、発明の詳細な説明の記載が当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないため、サポート要件及び実施可能要件を満たさない。 (3)成分(c)「ナトリウム」 本件特許発明1、11及び21は、ナトリウムとして、特に限定されておらず、如何なるナトリウム塩、水酸化ナトリウム等、例えば、本件特許発明8に記載されたナトリウム塩等をも包含する。 しかし、本特許明細書の実施例では、成分(c)「ナトリウム」として「グルコン酸ナトリウム」を用いたコーヒー飲料のみが、上記解決課題を解決することが示されているに過ぎない。 「グルコン酸ナトリウム」は、甲第6及び7号証に記載の通り、各種甘味料の苦みや甘味の質を和らげるとの極めて優れた効果を有する。それに対して、甲第6号証のp.56の表3(下記、参照)に記載の通り、グルコン酸ナトリウム以外のナトリウム塩は、閾値が低く、独自の苦味及び渋味を有している。 [図:0001431132000001.jpg] 従って、実施例で、「ナトリウム」としての効果が実際に確かめられた「グルコン酸ナトリウム」以外の如何なるナトリウム塩等でも、本件特許発明の解決課題が解決されるとは当業者には信じることができるものではない。 出願時の技術常識に照らしても、本件特許発明1、11及び21の全範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 以上の通り、本件特許発明1、11及び21並びにそれらに従属する本件特許発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、発明の詳細な説明の記載が当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないため、サポート要件及び実施可能要件を満たさない。 5 特許異議申立人が提出した証拠方法 甲第1号証:FFI Journal, Vol.223, No.1, 2018. P.78-83 甲第2号証:JAFAN, 第29巻, 第6号 (2010), p.355-362 甲第3号証:J. Appl. Glycosci., Vol.57, p.199-209 (2010) 甲第4号証:食品成分データベース(https://fooddb.mext.go.jp/)を用いて「コーヒー/浸出液」を検索した結果 甲第5号証:食品成分データベース(https://fooddb.mext.go.jp/)を用いて「普通牛乳、全粉乳及び脱脂粉乳」を検索した結果 甲第6号証:ビバリッジ ジャパン,No. 204(1998年12月号)表紙, p.55~57 甲第7号証:ビバリッジ ジャパン,No. 215(1999年11月号)表紙, p.75~76 甲第8号証:東京福祉大学・大学院紀要,第6巻,第2号, pp.109-125 (2016.3) 甲第9号証:ミンテルGNPDデータベース,記録番号:4781627 甲第10号証:ミンテルGNPDデータベース,記録番号:2792269 甲第11号証:第8版 食品添加物公定書解説書,谷村顕雄、棚元憲一監修,2007,廣川書店,表紙, p.D-1014-D-1022 甲第12号証:国際公開第2009/063921号 甲第13号証:パンフレット「FUSOのグルコン酸」、扶桑化学工業株式会社発行(2016年9月27日) 甲第14号証:川崎医療福祉学会誌、18巻、1号、p.305-314(2008) 、川崎医療福祉学会 甲第15号証:ミンテルGNPDデータベースを用いた検索結果、令和7年5月21日、長谷川愛理 甲第13ないし15号証は、令和7年5月26日に特許異議申立人から提出された意見書に添付されたものである。 証拠の表記は、特許異議申立書及び上記意見書の記載におおむね従った。以下、順に「甲1」のようにいう。 6 特許権者が提出した証拠方法 特許権者は、令和7年4月4日に提出された意見書に添付して以下の乙第1号証を提出し、同年9月2日に提出された意見書に添付して以下の乙第2-1ないし4号証を提出した。 乙第1号証:中林敏郎ら、コーヒー焙煎の化学と技術、初版復刻版(限定100部)、41、42、及び59ないし66頁、2002年11月30日、弘学出版株式会社 乙第2-1号証:“Suppression of Bitterness by Sodium: Variation Among Bitter Taste Stimuli”, https://academic.oup.com/chemse/article-abstract/20/6/609/380122、2025年8月28日(出力日) 乙第2-2号証:P.A.S. Breslinら、“Suppression of Bitterness by Sodium: Variation Among Bitter Taste Stimuli”, Chem. Senses 20: pp.609-623, 1995及びその抄訳、1995年12月1日(公開日) 乙第3-1号証:“Taste quality profiles for fifteen organic and inorganic salts”, https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/003193849500056O、2025年8月28日(出力日) 乙第3-2号証: Nicolette J. Van Der Klaauwら、“Taste quality profiles for fifteen organic and inorganic salts”, Physiology & Behavior, Vol. 58, No. 2, pp. 295-306, 1995及びその抄訳、2000年4月5日(公開日) 乙第4号証:国際公開第2018/225817号 証拠の表記は、上記意見書の記載におおむね従った。 第5 取消理由(決定の予告)の概要 令和7年6月27日付けで通知した取消理由(決定の予告)(以下、「取消理由(決定の予告)」という。)の概要は次のとおりである。 1 取消理由1(甲1に基づく新規性・進歩性) 本件特許発明1ないし7、9、10及び21は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許発明1ないし21は、甲1に記載された発明に基づいてその優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。なお、該取消理由1は申立理由1を包含する。 2 取消理由2(甲12に基づく新規性・進歩性) 本件特許発明1、4ないし7、10及び21は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲12に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許発明1ないし21は、甲12に記載された発明に基づいてその優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。なお、該取消理由2は申立理由3に包含される。 3 取消理由3(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。なお、該取消理由3は申立理由4(3)のうちのサポート要件とおおむね同旨である。 実施例で、「ナトリウム」としての効果が実際に確かめられた「グルコン酸ナトリウム」以外の如何なるナトリウム塩等でも、発明の課題が解決できるかは当業者が予測できるものではない。 他方、本件特許発明1ないし21は、「ナトリウム」として「グルコン酸ナトリウム」以外のナトリウム塩等を含むものである。 したがって、本件特許発明1ないし21が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえないし、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるともいえない。 第6 取消理由(決定の予告)についての当審の判断 1 取消理由1(甲1に基づく新規性・進歩性)及び申立理由1(甲1に基づく新規性・進歩性)について 取消理由1は申立理由1を包含することから、併せて検討する。 (1)甲1に記載された事項等 ア 甲1に記載された事項 甲1は、「ラカンカ抽出物を使用した甘味料製剤サンナチュレ○R(当審注:○Rは、Rを○で囲んだ記号である。以下、同様。)シリーズの飲料への応用」というタイトルの論文であり、おおむね次の事項が記載されている。下線は当審で付したものと予め付されたものである。他の証拠についても同様。 ・「植物を由来原料とした高甘味度甘味料には、ステビア抽出物やカンゾウ抽出物、ソーマチン等が古くから知られています。しかし、これら植物由来の甘味料は、合成系の高甘味度甘味料と比較し、原料由来の苦味や渋味等の雑味を伴う場合があります。特に、飲料のように固形分が低く、甘味質が目立ち易い食品への砂糖代替では、その甘味質の改善方法について、これまでも度々課題として挙げられていました。」(第78ページ下段) ・「 [図:0001431132000002.jpg] 」(第79ページ下段) ・「サンナチュレ○RMS-Rは、ステビア抽出物とモグロシドV50%含有のラカンカ抽出物を混合した甘味料製剤です。・・・(略)・・・製剤中のステビア抽出物は甘味質に優れているレバウディオサイドA高含有品を使用しています。・・・ サンナチュレ○RMS-Fは、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物に加え、甘味の後引きや苦味を改善するため天然香料を配合した製剤です。サンナチュレ○RMS-Rよりも甘味の後切れがよく、すっきりとしたクリアな甘味が要求される飲料用途にご活用頂けます。」(第80ページ左欄) ・「表9は1本当たり(185ml)の糖質を約9gに抑えたカフェオレの処方例です。」(第81ページ右欄) ・「 [図:0001431132000003.jpg] 」(第82ページ左欄上段) ・「 [図:0001431132000004.jpg] 」(第82ページ左欄下段) イ 甲1に記載された発明 甲1に記載された事項を、特に表9のカフェオレ○2(当審注:○2は数字の2を○で囲んだ○付き数字である。他の○付き数字に関しても同様。)に関して整理すると、甲1には次の発明(以下、「甲1物発明」及び「甲1製法発明」という。)が記載されていると認める。 <甲1物発明> 「表9のカフェオレ○2。」(当審注:「表9のカフェオレ○2」については、上記ア参照。以下、同様。) <甲1製法発明> 「表9に記載された製法で表9のカフェオレ○2を製造する方法。」(当審注:「表9に記載された製法」については、上記ア参照。以下、同様。) (2)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲1物発明とを対比する。 <(a)甘味強度X1相当の量の天然糖> 甲1物発明は「天然糖」である砂糖を3.9kg/100L(3.9g/100ml)含む。 甲1物発明は、牛乳、脱脂粉乳及び全粉乳をそれぞれ7.5kg/100L(7.5g/100ml)、0.75kg/100L(0.75g/100ml)及び0.55kg/100L(0.55g/100ml)含むものであり、甲5によると、牛乳、脱脂粉乳及び全粉乳にはそれぞれ乳糖が4.4g/100ml、47.8g/100ml及び34.1g/100ml含まれることから、甲1物発明は「天然糖」である乳糖を約0.9g/100ml含むことになる。 そして、本件特許の発明の詳細な説明(以下、「発明の詳細な説明」という。)の【0025】の【表1】によると、砂糖及び乳糖の甘味度はそれぞれ1及び0.25であるから、甲1物発明における「天然糖」の「甘味強度X1」は約4.1(=3.9×1+0.9×0.25)と計算され、「X1が0.05~5.9であり」の範囲内となる(なお、甲1物発明は、脱脂粉乳及び全粉乳を含むことから、甲5によると、「天然糖」であるぶどう糖(グルコース)及びガラクトースも含むことになるが、乳糖と比べて極めて少量なので、「甘味強度X1」の値にほとんど影響を与えないものとして計算した。)。 すなわち、甲1物発明は本件特許発明1における「X1が0.05~5.9」である「(a)甘味強度X1相当の量の天然糖」「を含み」という発明特定事項を有する。 なお、仮に、甲1物発明における牛乳、脱脂粉乳及び全粉乳が甲5に記載されたものであるとは直ちにはいえないとしても、牛乳、脱脂粉乳及び全粉乳である以上、それほどの違いがあるとは考えられないし、乳糖の甘味度は0.25と「甘味強度X1」に与える影響は砂糖と比べて小さいので、甲1物発明における「天然糖」の「甘味強度X1」は「X1が0.05~5.9であり」の範囲内となる蓋然性は高いといえる。 <(b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料> 甲1物発明は、サンナチュレ○RMS-Fを含むものであり、サンナチュレ○RMS-Fは、甲1の表1に記載のとおり、「ステビア抽出物89.5%、ラカンカ抽出物4.7%」を含むものである。 甲2、3及び6によると、ステビア抽出物には「高甘味度甘味料」であるレバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO及びレバウジオシドEが含まれる。 発明の詳細な説明の【0030】及び【0031】によると、ラカンカ抽出物には「高甘味度甘味料」であるモグロシドVが含まれる。 甲1物発明はサンナチュレ○RMS-Fを0.012kg/100L(0.012g/100ml)含むものであり、甲1の表1によると、サンナチュレ○RMS-Fの甘味倍率は約350倍であるから、甲1物発明における「高甘味度甘味料」の「甘味強度X2」は約4.2(=0.012×350)と計算され、「X2が0.05~18.0であり」の範囲内となる。 すなわち、甲1物発明は本件特許発明1における「X2が0.05~18.0」である「(b) 甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料」「を含み」という発明特定事項を有する。 <(c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウム> 甲1物発明は、炭酸水素ナトリウムを0.06kg/100L(0.06g/100ml)(ナトリウムに換算すると、約16mg/100ml)含むものである。すなわち、甲1物発明は、少なくとも約16mg/100mlのナトリウムを含むものである。 また、甲14(第308ページの表2)によると、一般のミルク含有コーヒー飲料におけるナトリウム含有量は「18~38mg/100ml」であり、甲15によると、大多数のミルクコーヒー飲料におけるナトリウム含有量は「5~60mg/100ml」の範囲に含まれる。 これらを考慮すると、甲1物発明に含まれる「ナトリウム」の含有量は「5mg/100ml~60mg/100ml」の範囲内となる蓋然性が高く、甲1物発明は本件特許発明1における「(c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウム」「を含み」という発明特定事項を有する。 <高甘味度甘味料b1> 甲1物発明には、「高甘味度甘味料」であるレバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO及びレバウジオシドE並びにモグロシドVが含まれることから、甲1物発明は本件特許発明1における「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み」という発明特定事項を有する。 <0.1<(X1+X2)≦20> 甲1物発明における「天然糖」の「甘味強度X1」は約4.1であり、「高甘味度甘味料」の「甘味強度X2」は約4.2であるから、その和は約8.3であり、甲1物発明は本件特許発明1における「0.1<(X1+X2)≦20であり」という発明特定事項を有する。 <コーヒー飲料> 甲1物発明における「カフェオレ○2」は本件特許発明1における「コーヒー飲料」に相当する。 以上を踏まえると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「(a)甘味強度X1相当の量の天然糖、 (b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料、および (c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウム を含み、 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み、 X1が0.05~5.9であり、 X2が0.05~18.0であり、 0.1<(X1+X2)≦20である、 コーヒー飲料。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点1-1> 本件特許発明1においては「前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上である」と特定されているのに対し、甲1物発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-1について検討する。 甲1物発明は、甲1の表1の記載並びに甲2、3及び6に記載された事項から、「レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1」を含むものであるとまではいえるものの、「高甘味度甘味料」の全量に対して「高甘味度甘味料b1」がどの程度含有されるかは甲1を含めいずれの証拠にも記載も示唆もされていないことから、相違点1-1は実質的な相違点である。 また、当然、甲1を含めいずれの証拠にも、甲1物発明において、「高甘味度甘味料b1」の含有量を「高甘味度甘味料」の全量に対して50質量%以上とする動機付けとなる記載もない。 したがって、甲1物発明において、相違点1-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1は「低濃度ではあるが(c)ナトリウムがコーヒー飲料中に存在するために、(a)天然糖および(b)高甘味度甘味料が呈する甘味が増大され」「単なる甘味強度の合計を超える甘みを奏する」「コーヒー飲料」を提供できる(発明の詳細な説明の【0014】)という、甲1物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項からみて、本件特許発明1の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、本件特許発明1は甲1物発明であるとはいえないし、甲1物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)本件特許発明2ないし7、9及び10について 本件特許発明2ないし7、9及び10はいずれも、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1物発明であるとはいえないし、甲1物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (4)本件特許発明8について 本件特許発明8は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)本件特許発明11について ア 対比 本件特許発明11と甲1製法発明とを対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲1物発明の間と同様の関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「(a)甘味強度X1の量の天然糖、 (b)甘味強度X2の量の高甘味度甘味料、および (c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウム を含み、 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み、 X1が0.05~5.9であり、 X2が0.05~18.0であり、 0.1<(X1+X2)≦20である、コーヒー飲料 を製造する方法。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点1-11a> 本件特許発明11においては「原材料に対し (i)(a)甘味強度X1の量の天然糖および(b)甘味強度X2の量の高甘味度甘味料を添加する工程と、 (ii)(c)飲料中のナトリウム含有量が5mg/100ml~60mg/100mlとなるようにナトリウムを添加する工程と、 を含み」と特定されているのに対し、甲1製法発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点1-11b> 本件特許発明11においては「前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上である」と特定されているのに対し、甲1製法発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点1-11bについて検討する。 相違点1-11bは相違点1-1と実質的に同じであるから、その判断も同じである。すなわち、相違点1-11bは実質的な相違点である。また、甲1製法発明において、相違点1-11bに係る本件特許発明11の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明11は「低濃度ではあるが(c)ナトリウムがコーヒー飲料中に存在するために、(a)天然糖および(b)高甘味度甘味料が呈する甘味が増大され」「単なる甘味強度の合計を超える甘みを奏する」「コーヒー飲料」を提供できるという、甲1製法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項からみて、本件特許発明11の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明11は甲1製法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (6)本件特許発明12ないし19について 本件特許発明12ないし19はいずれも、請求項11の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明11の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明11と同様に、甲1製法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (7)本件特許発明20について 本件特許発明20は、請求項1の記載を引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (8)本件特許発明21について 甲1製法発明は甲1の表9に記載された原料を表9に記載された割合で混合してカフェオレの甘味を増強する方法の発明と捉えることもできる。 そうすると、本件特許発明21と甲1製法発明とを対比するに、両者の間には、本件特許発明11と甲1製法発明の間と同様の関係が成り立つから、両者の間には、少なくとも相違点1-11bと同様の相違点があり、それについての判断も同じである。 すなわち、本件特許発明21は甲1製法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (9)取消理由1及び申立理由1についてのむすび したがって、本件特許発明1ないし7、9、10及び21は、甲1物発明又は甲1製法発明、すなわち甲1に記載された発明であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえない。 また、本件特許発明1ないし21は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえず、特許第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるとはいえず、同法第113条第2号に該当しないので、取消理由1及び申立理由1によっては取り消すことはできない。 2 取消理由2(甲12に基づく新規性・進歩性)及び申立理由3(甲12に基づく新規性・進歩性)について 取消理由2は申立理由3に包含されることから、併せて検討する。 (1)甲12に記載された事項等 ア 甲12に記載された事項 甲12には、「ステビア抽出物の甘味質改善」に関しておおむね次の事項が記載されている。 ・「技術分野 [0001] 本発明は、ステビア抽出物の甘味質改善技術に関する。 [0002] より詳細には、第1の本発明は、ステビア抽出物の甘味主成分であるレバウディオサイドAの甘味質改善技術(例えば、レバウディオサイドAを含有する甘味料および経口組成物、経口組成物の甘味付与方法など)に関する。 [0003] また第2の本発明は、ステビア抽出物そのものの甘味質改善技術(例えば、甘味質改善方法、甘味質改善剤、並びに当該甘味質改善方法によって甘味質が改善された甘味料および経口組成物など)に関する。 [0004] さらに第3の本発明は、ステビア抽出物の甘味の発現を早める技術(例えば、甘味発現を早める方法、並びに当該方法によって甘味発現が早められた甘味料および経口組成物など)に関する。」 ・「発明が解決しようとする課題 [0016] 前述するように、従来から、高甘味度甘味料の甘味質を改善して、砂糖の甘味質にできるだけ近づけようとする試みが多く行われている。しかしながら、ステビア抽出物が有する問題、特に甘味に雑味(苦味)があること、甘味が長く口の中に残ること(後味の残存)、並びに口腔内での甘味発現が遅く甘味に物足りなさがあるといった問題を解消する方法としては十分ではなかった。 [0017] そこで本発明は、ステビア抽出物またはその甘味主成分(レバウディオサイドA)の甘味質を改善するための技術を提供することを目的とする。」 ・「[0121] 本発明が対象とするステビア抽出物は、キク科の植物であるステビアレバウディアナ・ベルトニの葉部から水またはエタノールなどで抽出して得られるステビオール配糖体を主成分とするものである。市販品としては、レバウディオJ-100、レバウディオA9-90、およびステビロンTK(以上、守田化学工業(株)製)、クリサンタ99-P、およびクリサンタAX-P(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、ステビアフィンH、およびステビアフィンHN2(以上、日本製紙ケミカル(株)製)、ステビアST-AB、およびハイステビア500(以上、池田糖化工業(株)製)などが入手可能である。」 ・「[0159] 実施例5 コーヒー飲料 (1)甘味料の調製 表6の処方に基づいて、5種類の甘味料(コントロール、比較例、実施例5-1~5-3)を調製した。なお、実施例5-1~5-3の甘味料中のレバウディサイドAとモグロシドVとの配合割合は、重量比で86:14に調整した。 [0160][表6] [図:0001431132000005.jpg] [0161](2)コーヒー飲料の調製 表7に示す処方に基づいて、まず水に上記甘味料(表6)と乳化剤の粉体混合物を加え、80℃で10分間撹拌溶解し、室温まで冷却した。これに牛乳、重曹およびコーヒーを順に加えて、pHが6.8になるように調整し、水で全量を100部とした。これを75℃まで加熱し、ホモゲナイザーで均質化し、最後にコーヒーフレーバーを加え、容器に充填した後、121℃で20分間、レトルト殺菌した。 [0162][表7] [図:0001431132000006.jpg] [0163](3)コーヒー飲料の評価(官能試験) 得られたコーヒー飲料(使用した甘味料に応じて、コントロール、比較例、実施例5-1、5-2および5-3とする)を10名のパネラーに試飲させた際の評価(甘味の発現の早さ、甘味の後味残存、苦味の有無)を表8に示す。なお、評価は、甘味料として砂糖のみを用いて調製したコーヒー飲料(コントロール)についての評価(甘味の発現の早さ、甘味の後味残存、苦味の有無)を基準として、それとの対比から行った。 [0164][表8] [図:0001431132000007.jpg] 」 イ 甲12に記載された発明 甲12に記載された事項を、特に実施例5-3の甘味料を用いたコーヒー飲料に関して整理すると、甲12には次の発明(以下、「甲12発明物」及び「甲12製法発明」という。)が記載されていると認める。 <甲12物発明> 「表7に示す処方で表6の実施例5-3の甘味料を用いたコーヒー飲料。」(当審注:「表7に示す処方」及び「表6の実施例5-3」については上記ア参照。以下、同様。) <甲12製法発明> 「表7に示す処方で表6の実施例5-3の甘味料を用いて[0161]記載の方法でコーヒー飲料を製造する方法。」(当審注:「[0161]記載の方法」については上記ア参照。以下、同様。) (2)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲12物発明とを対比する。 <(a)甘味強度X1相当の量の天然糖> 甲12物発明は、「天然糖」である砂糖を1.7質量部/100質量部(1.7g/100ml)含む。 甲12物発明は、牛乳を10.0質量部/100質量部(10g/100ml)含むものであり、甲5によると、牛乳には乳糖が4.4g/100ml含まれることから、甲12物発明は「天然糖」である乳糖を約0.4g/100ml含むことになる。 そして、発明の詳細な説明の【0025】の【表1】によると、砂糖及び乳糖の甘味度はそれぞれ1及び0.25であるから、甲12物発明における「天然糖」の「甘味強度X1」は約1.8(=1.7×1+0.4×0.25)と計算され、「X1が0.05~5.9であり」の範囲内となる。 すなわち、甲12物発明は本件特許発明1における「X1が0.05~5.9」である「(a)甘味強度X1相当の量の天然糖」「を含み」という発明特定事項を有する。 なお、仮に、甲12物発明における牛乳が甲5に記載されたものであるとは直ちにはいえないとしても、牛乳である以上、それほどの違いがあるとは考えられないし、乳糖の甘味度は0.25と「甘味強度X1」に与える影響は砂糖と比べて小さいので、甲12物発明における「天然糖」の「甘味強度X1」は「X1が0.05~5.9であり」の範囲内となる蓋然性は高いといえる。 <(b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料> 甲12物発明は、甲12の表6に記載のとおり、ステビア抽出物及び羅漢果抽出物を含むものである。 甲12の[0121]並びに甲2、3及び6によると、ステビア抽出物には「高甘味度甘味料」であるレバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO及びレバウジオシドEが含まれる。 甲12の[表6]によると、羅漢果抽出物には「高甘味度甘味料」であるモグロシドVが含まれる。 甲12物発明の甘味強度はコントロールの甘味料と同一の甘味強度5.0を有するように調整されていると考えられるから、甲12物発明における「高甘味度甘味料」の「甘味強度X2」は約3.3(=5.0-1.7)と計算され、「X2が0.05~18.0であり」の範囲内となる。 すなわち、甲12物発明は本件特許発明1における「X2が0.05~18.0」である「(b) 甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料」「を含み」という発明特定事項を有する。 <(c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウム> 甲14(第308ページの表2)によると、一般のミルク含有コーヒー飲料におけるナトリウム含有量は「18~38mg/100ml」であり、甲15によると、大多数のミルクコーヒー飲料におけるナトリウム含有量は「5~60mg/100ml」の範囲に含まれる。 これらを考慮すると、甲12物発明に含まれる「ナトリウム」の含有量は「5mg/100ml~60mg/100ml」の範囲内となる蓋然性が高く、甲12物発明は本件特許発明1における「(c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウム」「を含み」という発明特定事項を有する。 <高甘味度甘味料b1> 甲12物発明には、「高甘味度甘味料」であるレバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO及びレバウジオシドE並びにモグロシドVが含まれることから、甲12物発明は本件特許発明1における「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み」という発明特定事項を有する。 <0.1<(X1+X2)≦20> 甲12物発明における「天然糖」の「甘味強度X1」は約1.8であり、「高甘味度甘味料」の「甘味強度X2」は約3.3であるから、その和は約5.1であり、甲12物発明は本件特許発明1における「0.1<(X1+X2)≦20であり」という発明特定事項を有する。 以上を踏まえると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「(a)甘味強度X1相当の量の天然糖、 (b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料、および (c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウム を含み、 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み、 X1が0.05~5.9であり、 X2が0.05~18.0であり、 0.1<(X1+X2)≦20である、 コーヒー飲料。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点12-1> 本件特許発明1においては「前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上である」と特定されているのに対し、甲12物発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点12-1について検討する。 甲12物発明は、甲12の表6の記載並びに甲2、3及び6に記載された事項から、「レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1」を含むものであるとまではいえるものの、「高甘味度甘味料」の全量に対して「高甘味度甘味料b1」がどの程度含有されるかは甲12を含めいずれの証拠にも記載も示唆もされていないことから、相違点12-1は実質的な相違点である。 また、当然、甲12を含めいずれの証拠にも、甲12物発明において、「高甘味度甘味料b1」の含有量を「高甘味度甘味料」の全量に対して50質量%以上とする動機付けとなる記載もない。 したがって、甲12物発明において、相違点12-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1は「低濃度ではあるが(c)ナトリウムがコーヒー飲料中に存在するために、(a)天然糖および(b)高甘味度甘味料が呈する甘味が増大され」「単なる甘味強度の合計を超える甘みを奏する」「コーヒー飲料」を提供できるという、甲12物発明並びに甲12及び他の証拠に記載された事項からみて、本件特許発明1の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、本件特許発明1は甲12物発明であるとはいえないし、甲12物発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)本件特許発明2ないし10及び20について 本件特許発明2ないし10及び20はいずれも、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲12物発明であるとはいえないし、甲12物発明並びに甲12及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (4)本件特許発明11について ア 対比 本件特許発明11と甲12製法発明とを対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲12物発明の間と同様の関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「(a)甘味強度X1の量の天然糖、 (b)甘味強度X2の量の高甘味度甘味料、および (c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウム を含み、 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み、 X1が0.05~5.9であり、 X2が0.05~18.0であり、 0.1<(X1+X2)≦20である、コーヒー飲料 を製造する方法。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点12-11a> 本件特許発明11においては、「原材料に対し (i)(a)甘味強度X1の量の天然糖および(b)甘味強度X2の量の高甘味度甘味料を添加する工程と、 (ii)(c)飲料中のナトリウム含有量が5mg/100ml~60mg/100mlとなるようにナトリウムを添加する工程と、 を含み」と特定されているのに対し、甲12製法発明においては、そのようには特定されていない点。 <相違点12-11b> 本件特許発明11においては「前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上である」と特定されているのに対し、甲12製法発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点12-11bについて検討する。 相違点12-11bは相違点12-1と実質的に同じであるから、その判断も同じである。すなわち、相違点12-11bは実質的な相違点である。また、甲12製法発明において、相違点12-11bに係る本件特許発明11の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明11は「低濃度ではあるが(c)ナトリウムがコーヒー飲料中に存在するために、(a)天然糖および(b)高甘味度甘味料が呈する甘味が増大され」「単なる甘味強度の合計を超える甘みを奏する」「コーヒー飲料」を提供できるという、甲12製法発明並びに甲12及び他の証拠に記載された事項からみて、本件特許発明11の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明11は甲12製法発明であるとはいえないし、甲12製法発明並びに甲12及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (5)本件特許発明12ないし19について 本件特許発明12ないし19はいずれも、請求項11の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明11の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明11と同様に、甲12製法発明であるとはいえないし、甲12製法発明並びに甲12及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (6)本件特許発明21について 甲12製法発明は甲12の表7に記載された原料を[0161]に記載された製法で混合するコーヒー飲料の甘味を増強する方法の発明と捉えることもできる。 そうすると、本件特許発明21と甲12製法発明を対比するに、両者の間には、本件特許発明11と甲12製法発明の間と同様の関係が成り立つから、両者の間には、少なくとも相違点12-11bと同様の相違点があり、それについての判断も同じである。 すなわち、本件特許発明21は甲12製法発明であるとはいえないし、甲12製法発明並びに甲12及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (7)取消理由2及び申立理由3についてのむすび したがって、本件特許発明1ないし21は、甲12物発明又は甲12製法発明、すなわち甲12に記載された発明であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえない。 また、本件特許発明1ないし21は、甲12に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえず、特許第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるとはいえず、同法第113条第2号に該当しないので、取消理由2及び申立理由3によっては取り消すことはできない。 3 取消理由3(サポート要件)及び申立理由4(サポート要件及び実施可能要件)のうちのサポート要件について 取消理由3は申立理由4のうちのサポート要件に包含されるので、取消理由3と申立理由4のうちのサポート要件について、併せて検討する。 (1)サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 そこで、検討する。 (2)サポート要件の判断 ア 特許請求の範囲の記載 本件特許の特許請求の範囲(以下、「特許請求の範囲」という。)の記載は上記第3のとおりである。 イ 判断 (ア)発明の詳細な説明の【0001】ないし【0008】及び【0015】によると、本件特許発明1ないし10の解決しようとする課題は「適度な甘味強度を呈し、コーヒー飲料の天然糖使用量を低く抑えつつ糖および甘味料の呈する味質(フレーバー(香味)の強さ及び雑味(苦み、渋味等)の抑制の少なくとも1つ)を良好に改善するコーヒー飲料」を提供すること、本件特許発明11ないし19の解決しようとする課題は上記「コーヒー飲料」を製造する方法を提供すること、本件特許発明20の解決しようとする課題は上記「コーヒー飲料」を提供するための「濃縮物」を提供すること及び本件特許発明21の解決しようとする課題は「適度な甘味強度を呈し、コーヒー飲料の天然糖使用量を低く抑えつつ糖および甘味料の呈する味質(フレーバー(香味)の強さ及び雑味(苦み、渋味等)の抑制の少なくとも1つ)を良好に改善する」ような「コーヒー飲料の甘味増強方法」を提供することである(以下、総称して「発明の課題」という。)。 発明の詳細な説明の【0009】には「本発明者らは天然糖だけではなく、特定の高甘味度甘味料を配合させ、かつ低濃度のナトリウムを添加させることにより天然糖と特定の高甘味度甘味料の併用に基づく甘味を増大させ、かつ、味質を改善させることに初めて成功した。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0010】には「即ち、本発明は、以下のとおりである。 [1] (a)甘味強度X1相当の量の天然糖、 (b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料、および (c)5mg/100ml~90mg/100mlのナトリウム を含み、 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドE、羅漢果抽出物、モグロシドVおよびソーマチンからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み、 0.1<(X1+X2)≦20である、コーヒー飲料。 [2] ナトリウムの含有量が25~60mg/100mlである、[1]に記載のコーヒー飲料。 [3] エネルギーが50Kcal/100ml以下である、[1]または[2]に記載のコーヒー飲料。 [4] X1が0.1~5.9である、[1]~[3]のいずれかに記載のコーヒー飲料。 [5] カフェインを40mg/100ml~100mg/100ml含む、[1]~[4]のいずれかに記載のコーヒー飲料。 [6] 前記天然糖は、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖、異性化糖、乳糖、プシコース、アロース、タガトースおよびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つである、[1]~[5]のいずれかに記載のコーヒー飲料。 [7] 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドD、羅漢果抽出物、モグロシドVおよびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つである、[1]~[6]のいずれかに記載のコーヒー飲料。 [8] 前記ナトリウムは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つである、[1]~[7]のいずれかに記載のコーヒー飲料。 [9] 25~40mg/100mlのナトリウムを含み、エネルギーが50Kcal/100ml以下、かつX1+X2が6以上である、[1]~[8]のいずれかに記載のコーヒー飲料。 [10] 容器詰めされている、[1]~[9]のいずれかに記載のコーヒー飲料。 [11] 原材料に対し (i)(a)甘味強度X1の量の天然糖および(b)甘味強度X2の量の高甘味度甘味料を添加する工程と、 (ii)(c)飲料中のナトリウム含有量が5mg/100ml~90mg/100mlとなるようにナトリウムを添加する工程と、 を含み、 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドE、羅漢果抽出物、モグロシドVおよびソーマチンからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み、 0.1<(X1+X2)≦20である、コーヒー飲料 を製造する方法。 [12] 前記コーヒー飲料においてナトリウムの含有量が25~60mg/100mlである、[11]に記載の方法。 [13] 前記コーヒー飲料のエネルギーが50Kcal/100ml以下である、[11]または[12]に記載の方法。 [14] X1が0.1~5.9である、[11]~[13]のいずれかに記載の方法。 [15] 前記コーヒー飲料がカフェインを40mg/100ml~100mg/100ml含む、[11]~[14]のいずれかに記載の方法。 [16] 前記天然糖は、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖、異性化糖、乳糖、プシコース、アロース、タガトースおよびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つである、[11]~[15]のいずれかに記載の方法。 [17] 前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドM、レバウジオシドD、羅漢果抽出物、モグロシドVおよびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つである、[11]~[16]のいずれかに記載の方法。 [18] 前記ナトリウムは、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つである、[11]~[17]のいずれかに記載の方法。 [19] 前記コーヒー飲料においてナトリウムの含有量が25~40mg/100ml、エネルギーが50Kcal/100ml以下、かつX1+X2が6以上である、[11]~[18]のいずれかに記載の方法。 [20] (a)甘味強度X4相当の量の天然糖、 (b)甘味強度X5相当の量の高甘味度甘味料、および (c)50mg/100ml~900mg/100mlのナトリウム を含み、 (X4+X5)≦200である、[1]に記載のコーヒー飲料を提供するための濃縮物。 [21] コーヒー飲料に (a)甘味強度X1相当の量の天然糖、 (b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料、および (c)5mg/100ml~90mg/100mlのナトリウム を含有させることを特徴とする、コーヒー飲料の甘味増強方法。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0014】には「つまり、本発明のコーヒー飲料において、甘味を呈する成分は、(a)特定の量の天然糖および(b)特定の量の特定の高甘味度甘味料である。本発明のコーヒー飲料が呈する甘味は、計算上は、成分(a)をコーヒー飲料に添加したときの甘味強度と成分(b)をコーヒー飲料に添加したときの甘味強度の合計値となるはずである。しかしながら、低濃度ではあるが(c)ナトリウムがコーヒー飲料中に存在するために、(a)天然糖および(b)高甘味度甘味料が呈する甘味が増大され、本発明のコーヒー飲料は、単なる甘味強度の合計を超える甘みを奏する。本発明はこれら成分(a)~(c)に加えて、乳分、酸味料、香料、エキス等の追加の成分を含み得ることを意味する。しかしながら、本発明のコーヒー飲料は、成分(a)(b)以外の甘味成分を甘味料として含むものではない。」と「ナトリウムがコーヒー飲料中に存在する」ことの技術的意義が記載されている。 発明の詳細な説明の【0021】には「本発明において「天然糖」とは、Cm(H2O)nの一般式(ここでmとnは独立の自然数を表す)で表され、ヒトが消化可能なD体の炭水化物を含み、その例としてはグルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖(例えば、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等)、異性化糖、乳糖、プシコース、アロース、タガトースおよびその組み合わせが挙げられる。また、乳分由来の糖も、天然糖に含まれる。 グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖、異性化糖、乳糖の組み合わせの例としては、以下が挙げられる。具体的には、スクロースと異性化糖、スクロースとグルコース、スクロースとフルクトース、スクロースとマルトース、スクロースとオリゴ糖、スクロースと乳糖、異性化糖とオリゴ糖、スクロースとプシコース、スクロースと異性化糖とグルコース、スクロースと異性化糖とフルクトース、スクロースと異性化糖とマルトース、スクロースと異性化糖とオリゴ糖、スクロースと異性化糖とグルコースとオリゴ糖、スクロースとグルコースとフルクトースとオリゴ糖、グルコースとスクロースとフルクトースとマルトースとオリゴ糖と異性化糖と乳糖とタガトース、などの組み合わせが挙げられる。」と記載され、同【0022】には「天然糖はエネルギーが多いため、天然糖の含有量を低減することで、コーヒー飲料のエネルギー(カロリー)を大きく低減させることができる。本発明は天然糖の濃度を低く抑え、低エネルギー(すなわち低カロリー)でありながらも、天然糖、高甘味度甘味料およびナトリウムの組み合わせにより、摂取した際に甘味が強く感じられる。したがって、天然糖の甘味強度X1の量とは、好ましくは50Kcal/100ml以下のエネルギーを提供する量である。」と記載され、同【0023】には「また、「甘味強度X1」のX1は・・・(略)・・・0.05~0.5、・・・(略)・・・0.1~5.9、・・・(略)・・・であり得る。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0027】には「本発明では、高甘味度甘味料として、レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドE、羅漢果抽出物、モグロシドVおよびソーマチンからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を使用する。 成分(b)である高甘味度甘味料の全量(100質量%)に対する、高甘味度甘味料b1の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。」と記載され、同【0040】には「特に、高甘味度甘味料b1としては、レバウジオシドD、レバウジオシドM、またはレバウジオシドDおよびレバウジオシドMの混合物が好適である。」と記載され、同【0041】には「レバウジオシドDまたはレバウジオシドMは、レバウジオシドAに見られるような収斂味や金属味といったネガティブな香味が少なく、良質な甘味等の特徴を有し、食品、飲料分野での使用が期待されている(日本化学会誌(5)、(1981年)726~735、“ステビア葉の甘味ジテルペン配糖体-レバウディオシド-A、-D、-Eおよび関連配糖体の合成ならびに甘味と化学構造との相関-、笠井、金田、田中、山崎、坂本、森本、岡田、北畑、古川)。このように、レバウジオシドDまたはレバウジオシドMは単独で用いるとレバウジオシドAに比べ雑味が少なくショ糖に近い甘味を持つと言う点に優れる。レバウジオシドDまたはレバウジオシドMは、ショ糖(スクロース)の約200倍の甘味を有する。」と記載されている。 そして、発明の詳細な説明の【0123】ないし【0135】において、「(a)甘味強度X1相当の量の天然糖、(b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料、および(c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウムを含み、前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み、X1が0.05~5.9であり、X2が0.05~18.0である」という条件を満たし、「成分(c)」の「ナトリウム」として「グルコン酸ナトリウム」を用いたコーヒー飲料の実施例は、発明の課題を解決できることを確認している。 (イ)ところで、令和7年9月2日に提出された意見書に添付して提出された乙第2-1及び乙第2-2号証には、「塩化ナトリウム」及び「酢酸ナトリウム」は「グルコン酸ナトリウム」と同様の苦味抑制効果があることが示されている。 また、上記意見書に添付して提出された乙第3-1及び乙第3-2号証には、8種類のナトリウム塩(NaCl、Na2SO4、NaNO3、NaTar、NaAsc、MSG、NaCit、NaAc)の味質(甘味、酸味、苦味)の差は、本件特許発明において特定されたような低濃度のナトリウムの範囲では小さく、同程度であることが示されている。 さらに、ナトリウムイオンはサイズが小さいことから拡散性が高く、一般的に受容体との親和性が高いことから、同濃度でもグルコン酸イオンよりもナトリウムイオンの方が味覚への影響が高いことが合理的に予想される。 すなわち、乙第2-1及び乙第2-2号証並びに乙第3-1及び乙第3-2号証等に示される当業者の技術常識を踏まえると、本件特許発明において特定されたような低濃度のナトリウムの範囲では、味質に関しては、ナトリウム塩の違いによる差は小さく、「グルコン酸イオン」の様な対イオンの影響よりも「ナトリウムイオン」の影響の方が大きく、「グルコン酸ナトリウム」以外の如何なるナトリウム塩でも「グルコン酸ナトリウム」と同様の効果を奏すると当業者は理解する。 (ウ)そうすると、発明の詳細な説明に、「成分(c)」の「ナトリウム」として「グルコン酸ナトリウム」を用いたコーヒー飲料の実施例しか示されていないとしても、発明の詳細な説明の記載及び当業者の技術常識から、当業者は「(a)甘味強度X1相当の量の天然糖、(b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料、および(c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウムを含み、前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み、X1が0.05~5.9であり、X2が0.05~18.0である、コーヒー飲料」、該「コーヒー飲料」を製造する方法、該「コーヒー飲料」を濃縮した濃縮物及び「コーヒー飲料に、(a)甘味強度X1相当の量の天然糖、(b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料、および(c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウムを含有させる方法であって、前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み、X1が0.05~5.9であり、X2が0.05~18.0である方法」は発明の課題を解決できると当業者は認識できる。 そして、本件特許発明1ないし10は上記「コーヒー飲料」をさらに限定したものであり、本件特許発明11ないし19は上記「コーヒー飲料」を製造する方法をさらに限定したものであり、本件特許発明20は上記「コーヒー飲料」を濃縮した濃縮物をさらに限定したものであり、本件特許発明21は上記「コーヒー飲料に、(a)甘味強度X1相当の量の天然糖、(b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料、および(c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウムを含有させる方法」をさらに限定したものである。 (エ)したがって、本件特許発明1ないし21は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえ、本件特許発明1ないし21に関して、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合するものである。 (3)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人の申立理由4(1)ないし(3)における主張について検討する。 ア 申立理由4(1)における主張について 発明の詳細な説明の【0021】ないし【0023】から、当業者は「天然糖」は「Cm(H2O)nの一般式(ここでmとnは独立の自然数を表す)で表され、ヒトが消化可能なD体の炭水化物」であって「その例としてはグルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖(例えば、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等)、異性化糖、乳糖、プシコース、アロース、タガトースおよびその組み合わせが挙げられる」ものであり、「甘味強度X1が0.05~0.09相当の量」含む又は含ませればよいと理解する。 そうすると、発明の詳細な説明に、「天然糖」として「スクロースとグルコース」を用いたコーヒー飲料しか示されていないとしても、「スクロースとグルコース」以外の如何なる天然糖でも、「甘味強度X1相当の量」を含ませれば、程度の差はあるとしても、「スクロースとグルコース」と同様の効果を奏すると当業者は理解する。 また、「スクロースとグルコース」以外の天然糖では、発明の課題を解決できないことの具体的な証拠が示されている訳でもない。 したがって、「実施例で試験された「スクロースとグルコース」以外の天然糖の如何なるものでも、本件特許発明の解決課題が解決されるかは当業者には予測できるものではない。」とはいえず、特許異議申立人の申立理由4(1)における主張は採用できない。 イ 申立理由4(2)における主張について 本件訂正により、「高甘味度甘味料b1」は「レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つ」に特定されたことから、特許異議申立人の申立理由4(2)における主張は解消した。 なお、特許異議申立人は、令和7年5月26日に提出された意見書において、「高甘味度甘味料の含有量は、「甘味強度X2相当の量」で規定されているが、「高甘味度甘味料b1」が高甘味度甘味料中にどの程度含まれるかは全く規定されていない。 従って、訂正後の請求項1、11及び21には、レバウジオシドM、レバウジオシドD又はモグロシドVを極微量しか含まない、甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料を含むコーヒー飲料等が含まれている。このようなコーヒー飲料では、本件特許発明の課題は解決できない。」と主張する(上記意見書第4ページ)が、本件訂正により、本件特許発明1、11及び21における「高甘味度甘味料b1」の含有量は「高甘味度甘味料の全量」に対して「50質量%以上」であると特定されたことから、該主張が妥当なものであったとしても、解消した。 ウ 申立理由4(3)における主張について 上記(2)イ(イ)のとおり、当業者の技術常識を踏まえると、本件特許発明において特定されたような低濃度のナトリウムの範囲では、味質に関しては、「グルコン酸イオン」の様な対イオンの影響よりも、「ナトリウムイオン」の影響の方が大きく、「グルコン酸ナトリウム」以外の如何なるナトリウム塩でも、「グルコン酸ナトリウム」と同様の効果を奏すると当業者は理解する。 したがって、「実施例で、「ナトリウム」としての効果が実際に確かめられた「グルコン酸ナトリウム」以外の如何なるナトリウム塩等でも、本件特許発明の解決課題が解決されるとは当業者には信じることができるものではない。」とはいえず、特許異議申立人の申立理由4(3)における主張は採用できない。 なお、特許異議申立人は、令和7年5月26日に提出された意見書において、「上記表に記載の通り、コーヒー飲料でナトリウムイオンに解離するナトリウム塩であっても、対イオンが相違すると、刺激性、苦味、渋味、閾値を含む呈味特性が異なる。 従って、当業者は対イオンの寄与を全く無視して、呈味特性がナトリウムイオンの寄与のみであると考えることは決してない。 更に、甲第13号証の上記表によれば、グルコン酸ナトリウムではなく、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、コハク酸ナトリウムを用いた場合、「苦味、渋味」が増加するため、本特許発明の課題である「雑味(苦味、渋味等)の抑制」を逆に阻害することになり、本特許発明の課題を解決できないことが十分に想定される。」と主張する(上記意見書第3ページ)が、上記(2)イ(イ)のとおり、当業者の技術常識を踏まえると、本件特許発明において特定されたような低濃度のナトリウムの範囲では、味質に関しては、ナトリウム塩の違いによる差は小さく、「グルコン酸イオン」の様な対イオンの影響よりも「ナトリウムイオン」の影響の方が大きく、「グルコン酸ナトリウム」以外の如何なるナトリウム塩でも「グルコン酸ナトリウム」と同様の効果を奏すると当業者は理解するから、該主張も採用できない。 (4)取消理由3及び申立理由4のうちのサポート要件についてのむすび したがって、本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当せず、取消理由3及び申立理由4のうちのサポート要件によっては取り消すことはできない。 第7 取消理由(決定の予告)として採用しなかった特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由について 取消理由(決定の予告)として採用しなかった特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由は、次のとおりである。 ・申立理由2(甲6に基づく進歩性) ・申立理由3(甲12に基づく新規性・進歩性)のうちの一部 ・申立理由4(1)及び(2)のうちのサポート要件 ・申立理由4(1)ないし(3)のうちの実施可能要件 そして、申立理由3(甲12に基づく新規性・進歩性)のうちの一部並びに申立理由4(1)及び(2)のうちのサポート要件については、上記第6で検討したとおりであるから、以下、申立理由2(甲6に基づく進歩性)及び申立理由4(1)ないし(3)のうちの実施可能要件について、順に検討する。 1 申立理由2(甲6に基づく進歩性)について (1)甲6に記載された事項等 ア 甲6に記載された事項 甲6には、「グルコン酸ナトリウム・グルコン酸カリウムの飲料への利用」というタイトルの論文であり、おおむね次の事項が記載されている。 ・「●はじめに グルコン酸ナトリウム・グルコン酸カリウムは,1998年9月18日に,新たに指定告示された食品添加物である。・・・(略)・・・当社は本年10月1日,「ヘルシャスA」(グルコン酸ナトリウム)を新発売した。」(第55ページ左列欄) ・「 [図:0001431132000008.jpg] [図:0001431132000009.jpg] 」(第56ページ左列欄) ・「●ヘルシャスの主な働き ヘルシャスの機能と食品への応用例は,表2のとおりである。飲料での応用としてまず期待したいのは,呈味改善効果である。ヘルシャスは表3に示したように,他の有機酸塩に比べ閾値が高く,高濃度で使用しても食品の味への影響が少ないという特徴がある。また,他の有機酸塩に比べ刺激性,苦味,渋味が弱い。・・・(略)・・・さらに,各種甘味料の苦味や甘味の質を和らげる効果もある。」(第56ページ左列欄及び中央列欄) ・「しかし,高甘味度甘味料は糖質の甘味料に比べて,甘味の質に独特の癖がある。この味を改善する方法として,糖質の甘味料を併用する方法があるが,・・・(略)・・・好ましくはない。そこで,ヘルシャスAを併用し,少量の添加量で高甘味度甘味料の味を改善する方法を評価した。」(第56ページ中央列欄及び右列欄) ・「味の改善を目的としてアスパルテームとヘルシャスAを併用した時の甘味の質について,砂糖を対照に官能検査により評価した。結果は図1に示すとおりヘルシャスAの添加によってアスパルテームの味が顕著に改善され,砂糖の味に近くなることが明らかとなった。」(第56ページ右列欄) ・「 [図:0001431132000010.jpg] [図:0001431132000011.jpg] 」(第56ページ中央列欄及び右列欄) ・「そこで,サッカリンナトリウムに対するヘルシャスAの味の改善効果(甘味の質と苦味の強さ)について官能検査により評価した。結果は図2・3に示すとおりで,ヘルシャスAの添加によって甘味の質は砂糖の味に近づくことが確認された。また,苦味の強さについても軽減されることが確認できた。」(第57ページ左列欄) イ 甲6に記載された発明 甲6に記載された事項を、特に図1の「αz」に関して整理すると、甲6には次の発明が記載されていると認める。 <甲6物発明> 「アスパルテーム0.083%水溶液にヘルシャスAを0.3%となるように添加した溶液。」 <甲6製法発明> 「アスパルテーム0.083%水溶液にヘルシャスAを0.3%となるように添加する工程を有する溶液の製造方法。」 なお、特許異議申立人は、特許異議申立書において、「甲第7号証のp.75の右欄の「●ヘルシャスの具体的効果 (1)低カロリ化-高甘味度甘味料の呈味効果」の節の第1文に、以下の通り、記載されている。 「飲料の低カロリー化には、アスパルテーム、ステビア、直近に指定されたスクラロースなどに代表される高甘味度甘味料の使用が常識的であるが、これらの高甘味度甘味料の使用では、甘味以外の固有の呈味性が問題となっている。」(下線強調) 甲第7号証の発明の課題は、本件特許発明の解決課題と全く同じである。 甲第7号証では、上記記載に続いて、「・・・(略)・・・特にステビアの雑味を低減する効果が顕著であり、・・・(略)・・・と記載されている。 すると、甲第7号証を参照して、甲第6号証には、ステビア等の高甘味度甘味料の甘味の質には独特の癖があり、この味を改善する方法として、(ア)糖質の甘味料を併用する方法、及び(イ)グルコン酸ナトリウムを添加する方法が存在することが示されている。 ステビア抽出物(守田品種からの高レバウディオサイドA抽出物)には、前記の甲第3号証に記載の通り、レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドOおよびレバウジオシドEが含まれている。 また、甲第11号証・・・(略)・・・10成分にレバウジオシドD及びレバウジオシドEが含まれている。 以上より、甲第6号証には、以下の甲6発明が記載されている。 [甲6発明] (b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料(レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドOおよびレバウジオシドEを含むステビア抽出物)、および (c)グルコン酸ナトリウムを含む、飲料。」旨主張する(特許異議申立書第16ページ。なお、空白行の摘記は省略した。以下、同様。)。 そこで、検討する。 甲6自体には「ステビア抽出物」という記載はないし、当然、「レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドOおよびレバウジオシドEを含むステビア抽出物」という記載はない。また、他の証拠に記載された事項を都合よく組み合わせて発明を認定することはできない。 したがって、甲6に特許異議申立人の主張するような発明が記載されているということはできず、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 (2)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲6物発明とを対比する。 甲6物発明における「溶液」は本件特許発明1における「コーヒー飲料」と、「液」という限りにおいて一致する。 そうすると、両者は、次の点で一致する。 <一致点> 「液。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点6-1a> 本件特許発明1においては「(a)甘味強度X1相当の量の天然糖、(b)甘味強度X2相当の量の高甘味度甘味料、および(c)5mg/100ml~60mg/100mlのナトリウムを含み」と特定された上で「X1が0.05~5.9であり、X2が0.05~18.0であり、0.1<(X1+X2)≦20であり」と特定されているのに対し、甲6物発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点6-1b> 本件特許発明1においては「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み」と特定された上で「前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上である」と特定されているのに対し、甲6物発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点6-1c> 「液」に関して、本件特許発明1においては「コーヒー飲料」と特定されているのに対し、甲6物発明においては「溶液」と特定されている点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点6-1bについて検討する。 甲6には、甲6物発明における「アスパルテーム」を「レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含」む「高甘味度甘味料」とした上で「前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上」にする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲6物発明において、相違点6-1bに係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 なお、仮に、甲6物発明における「アスパルテーム」を甲3に記載された「ステビア抽出物」にすることを想到できたとしても、「ステビア抽出物」は「レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドOおよびレバウジオシドE」を含むものであり、その中から「レバウジオシドD」に着目し、その含有量を50%以上にする動機付けがあるとはいえず、相違点6-1bに係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することには至らない。 そして、本件特許発明1は「低濃度ではあるが(c)ナトリウムがコーヒー飲料中に存在するために、(a)天然糖および(b)高甘味度甘味料が呈する甘味が増大され」「単なる甘味強度の合計を超える甘みを奏する」「コーヒー飲料」を提供できるという、甲6物発明並びに甲6及び他の証拠に記載された事項からみて、本件特許発明1の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲6物発明並びに甲6及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明2ないし10及び20について 本件特許発明2ないし10及び20はいずれも、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲6物発明並びに甲6及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)本件特許発明11について ア 対比 本件特許発明11と甲6製法発明とを対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲6物発明の間と同様の関係が成り立つ。 そうすると、両者は、次の点で一致する。 <一致点> 「液を製造する方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点6-11a> 本件特許発明11においては「原材料に対し(i)(a)甘味強度X1の量の天然糖および(b)甘味強度X2の量の高甘味度甘味料を添加する工程と、(ii)(c)飲料中のナトリウム含有量が5mg/100ml~60mg/100mlとなるようにナトリウムを添加する工程と、を含み」と特定された上で「X1が0.05~5.9であり、X2が0.05~18.0であり、0.1<(X1+X2)≦20であり」と特定されているのに対し、甲6製法発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点6-11b> 本件特許発明11においては「前記高甘味度甘味料は、レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つの高甘味度甘味料b1を含み」と特定された上で「前記高甘味度甘味料の全量に対する、前記高甘味度甘味料b1の含有量が50質量%以上である」と特定されているのに対し、甲6製法発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点6-11c> 「液」に関して、本件特許発明11においては「コーヒー飲料」と特定されているのに対し、甲6製法発明においては「溶液」と特定されている点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点6-11bについて検討する。 相違点6-11bは相違点6-1bと実質的に同じであるから、その判断も同じである。すなわち、甲6製法発明において、相違点6-11bに係る本件特許発明11の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明11は「低濃度ではあるが(c)ナトリウムがコーヒー飲料中に存在するために、(a)天然糖および(b)高甘味度甘味料が呈する甘味が増大され」「単なる甘味強度の合計を超える甘みを奏する」「コーヒー飲料」を提供できるという、甲6製法発明並びに甲6及び他の証拠に記載された事項からみて、本件特許発明11の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 (5)本件特許発明12ないし19について 本件特許発明12ないし19はいずれも、請求項11の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明11の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明11と同様に、甲6製法発明並びに甲6及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (6)本件特許発明21について 甲6製法発明は飲料の甘味を改善する方法の発明と捉えることもできる。 そうすると、本件特許発明21と甲6製法発明を対比するに、両者の間には、本件特許発明11と甲6製法発明の間と同様の関係が成り立つから、両者の間には、少なくとも相違点6-11bと同様の相違点があり、それについての判断も同じである。 すなわち、本件特許発明21は甲6製法発明並びに甲6及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (7)申立理由2についてのむすび したがって、本件特許発明1ないし21は、甲6物発明又は甲6製法発明、すなわち甲6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、特許第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるとはいえず、同法第113条第2号に該当しないので、申立理由2によっては取り消すことはできない。 2 申立理由4(1)ないし(3)のうちの実施可能要件について (1)実施可能要件の判断基準 上記第3のとおり、本件特許発明1ないし10及び20は物の発明であるところ、物の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産し、使用をすることができる程度の記載があることを要する。 本件特許発明11ないし19は物を生産する方法の発明であるところ、物を生産する方法の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産する方法の使用をし、その方法により生産した物の使用をすることができる程度の記載があることを要する。 本件特許発明21は方法の発明であるところ、方法の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その方法の使用をすることができる程度の記載があることを要する。 そこで、検討する。 (2)実施可能要件の判断 発明の詳細な説明の【0016】ないし【0094】には本件特許発明1ないし10の各発明特定事項について具体的に記載されている。 発明の詳細な説明の【0095】ないし【0113】には本件特許発明11ないし19の各発明特定事項について具体的に記載されている。 発明の詳細な説明の【0114】ないし【0118】には本件特許発明20の各発明特定事項について具体的に記載されている。 発明の詳細な説明の【0119】及び【0120】には本件特許発明21の各発明特定事項について具体的に記載されている。 発明の詳細な説明の【0122】ないし【0138】には本件特許発明1ないし19の実施例に相当するコーヒー飲料及びそれを製造する方法について具体的に記載され、その味質改善効果についても確認している。 したがって、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、本件特許発明1ないし10及び20を生産し、使用することができる程度の記載があるといえるし、本件特許発明11ないし19の使用をし、それにより生産した物の使用をすることができる程度の記載があるといえるし、本件特許発明21の使用をすることができる程度の記載があるといえる。 よって、本件特許発明1ないし21に関して、発明の詳細な説明の記載は実施可能要件を充足する。 (3)特許異議申立人の申立理由4(1)ないし(3)における主張について検討する。 ア 申立理由4(1)における主張について 実施可能要件の判断は、上記(1)の判断基準に従って行われるものであり、「スクロースとグルコース」以外の天然糖の如何なるものでも発明の課題を解決できるかどうかによって、実施可能要件の判断が変わることはない。 したがって、特許異議申立人の申立理由4(1)における主張は採用できない。 イ 申立理由4(2)における主張について 実施可能要件の判断は、上記(1)の判断基準に従って行われるものであり、「レバウジオシドM、レバウジオシドD、モグロシドV」以外の「レバウジオシドN、レバウジオシドO及びレバウジオシドE」でも発明の課題を解決できるかどうかによって、実施可能要件の判断が変わることはない。 なお、本件訂正により、本件特許発明1ないし21における「高甘味度甘味料b1」は「レバウジオシドMおよびレバウジオシドDからなる群より選択される少なくとも1つ」に特定されている。 したがって、特許異議申立人の申立理由4(2)における主張は採用できない。 ウ 申立理由4(3)における主張について 実施可能要件の判断は、上記(1)の判断基準に従って行われるものであり、「グルコン酸ナトリウム」以外の如何なるナトリウム塩等でも発明の課題を解決できるかどうかによって、実施可能要件の判断が変わることはない。 したがって、特許異議申立人の申立理由4(3)における主張は採用できない。 (4)申立理由4(1)ないし(3)のうちの実施可能要件についてのむすび したがって、本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当せず、申立理由4(1)ないし(3)のうちの実施可能要件によっては取り消すことはできない。 第8 結語 上記第6及び第7のとおり、本件特許の請求項1ないし21に係る特許は、取消理由(決定の予告)及び特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由によっては取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし21に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701114

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    共通の審決分類: 113・A23F、121・A23F、536・A23F、537・A23F

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