特許異議申立
2024-700613
茶葉熱風処理装置
- 審判番号
- 2024-700613
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-186191
- 登録番号
- 7430318
- 請求日
- 2024年06月28日
- 審決日
- 2024年10月04日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社寺田製作所
- 【権利者代理人】長谷川 和家
- 【異議申立人】カワサキ機工 株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 淺野 美奈
- 審判官 加藤 友也
- 審判官 松本 陶子
- 分類
- P1651.121-Y (A23F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7430318号発明「茶葉熱風処理装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7430318号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7430318号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、令和1年10月9日の出願であって、令和6年2月2日にその特許権の設定登録(請求項の数4)がされ、同年同月13日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、同年6月27日付け(受付日:同年同月28日)で特許異議申立人 カワサキ機工株式会社(以下、「特許異議申立人」という。)から特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし4)がされ、同年7月30日付け(受付日:同年8月1日)で手続補正書(方式)が提出されたものである。
第2 本件特許発明
本件特許の請求項1ないし4に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいう。)は、それぞれ、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
一端を茶葉の投入口、他端を茶葉の排出口として円筒状の処理胴と、該処理胴を回転させる駆動手段と、前記処理胴の内側に備えた桟と、前記処理胴の一端より熱風を吹き込むための熱風供給手段とより構成する茶葉熱風処理装置において、茶葉排出口側の上部に排気量を調節できる排気口と茶葉排出口に茶葉排出弁を備え、処理胴を略密閉できるようにし、排気量を大きくすることで、茶葉から蒸発した水分により高湿度になった熱風を速やかに排出し茶葉に低湿度の熱風を供給することができる一方、排気量を抑えることで前記処理胴内に前記高湿度になった熱風を維持できるように処理胴内部の熱風気流を調節可能としたことを特徴とする、茶葉熱風処理装置。
【請求項2】
前記排気口に風量を調節可能な排気ファン、茶葉排出弁にロータリーバルブを備えたことを特徴とする、請求項1記載の茶葉熱風処理装置。
【請求項3】
前記投入口から蒸熱工程後の茶葉が投入されるものであることを特徴とする、請求項1または2記載の茶葉熱風処理装置。
【請求項4】
製茶工程中に複数台連続で設置されるものであることを特徴とする、請求項1、2または3記載の茶葉熱風処理装置。」
第3 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要等
令和6年7月30日付け(受付日:同年8月1日)手続補正書(方式)により補正された同年6月27日付け(受付日:同年同月28日)で特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要及び証拠方法は次のとおりである。
1 申立理由(甲第1号証に基づく進歩性)
本件特許発明1ないし4は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
2 証拠方法
甲第1号証:特開昭61-180881号公報
甲第2号証:特開昭61-161384号公報
甲第3号証:実願平3-112564号(実開平5-85285号)のCD-ROM
甲第4号証:特開2016-152774号公報
甲第5号証:特開2004-89043号公報
甲第6号証:特開2004-344089号公報
甲第7号証:実願昭51-129212号(実開昭53-46671号)のマイクロフィルム
甲第8号証:特開2000-167487号公報
甲第9号証:特開昭56-64776号公報
甲第10号証:特開平6-201265号公報
甲第11号証:特開昭57-125655号公報
甲第12号証:特開昭61-165579号公報
甲第13号証:特開平10-84870号公報
甲第14号証:昭和10年特許出願公告第3194号
甲第15号証:特開昭52-128298号公報
甲第16号証:実公昭29-9393号公報
証拠の表記はおおむね特許異議申立書の記載に従った。以下、順に「甲1」のようにいう。
第4 申立理由(甲1に基づく進歩性)について
1 甲1に記載された事項等
(1)甲1に記載された事項
甲1には、「回転ドラム型真空熱風循環装置」に関して、おおむね次の事項が記載されている。下線は当審で付したものである。
・「2.特許請求の範囲
(1)円筒の両端を鏡板で閉塞する回転ドラムを機枠上に配し回転可能に支持させると共に、回転ドラムを駆動源に連絡し連続してもしくは断続して回転ドラムを回転させ、更に回転ドラムには排気口と空気流入口を設け、排気口に接続する1台もしくは数台の排風機の運転により回転ドラム内部より外部に排気する空気量に対して、回転ドラム内部の空気が排除されるにしたがい、外気が回転ドラムに設ける空気流入口より空気加熱装置により加熱されながら、回転ドラム内部に流入する流入時の通過抵抗を所定の抵抗値とすることにより、外気の流入する空気量を前記回転ドラム内部より排気する空気量より小量に保持し、回転ドラム内部を所望の真空度に連続して維持しながら回転ドラム内部の空気温度を上昇させ、かつ、循環送風機を附設することにより回転ドラム内部に収容される被乾燥物を介して回転ドラム内空気を循環しながら乾燥を促進することを特徴とする回転ドラム型真空熱風循環乾燥方法。
(2)排風機の運転台数や回転数を調節することにより回転ドラム内部の真空度及び、回転ドラム内空気の入れ替え量を所定の目標値に合わせつつ乾燥を行なうことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の回転ドラム型真空熱風循環乾燥方法。」(第1ページ左下欄第4行ないし右下欄第8行)
・「<発明が解決しようとする問題点>
従来標高が高く気圧の低い山間部の高地において製茶乾燥を行なうと、乾燥物である茶葉の色および味が良好に乾燥できることは広く知られており」(第2ページ左上欄第7ないし11行)
・「本発明は、回転ドラム内部に被乾燥物を収容して連続してもしくは断続して回転ドラムを回転しながら、回転ドラム内部を水柱マノメーターでの水柱高差において、100~500m(100~500mAq)程度の真空条件下における熱風乾燥を可能にする。
<問題点を解決するための手段>
本発明に係る真空熱風循環乾燥装置の一実施例を添付図面に基いて具体的に説明する。
1は回転ドラムで、このドラムの外周の左右にはレール2,3を設けて、機枠4上に配した一対2組の案内ローラー5,5及び6,6で支持している。回転ドラム1は鏡板7,8で閉塞され、この一方の鏡板7にはチエンホイル9を他方の鏡板8には排気口10及び空気流入口11を設けると共に排気口10には4台の排風機12,12,・・を直列に接続して設け、また空気流入口11は空気加熱装置13を設ける。
また回転ドラム内部は鏡板8寄りに金網や打ち抜き鋼板等の多孔性で通気可能な隔壁14を設け、鏡板7との間に乾燥室15を、また鏡板8との間に送風機室24を形成すると共に、乾燥室15の下部には金網や打ち抜き鋼板等の多孔性で通気可能な風道16を設け、その一方は隔壁14を介して循環送風機17に連絡する。
ドラム1は上部に投入口18と、これを覆って開閉する開閉蓋19を設けて、ドラム1を回転して乾燥中は開閉蓋19は密閉し、被乾燥物を投入したり或は取り出すときは開くようにしてある。
またドラム1の下部には取出し用のベルトコンベア20を横設して、ドラム1を回転して、投入口18に設けた開閉蓋19を開いて取出ベルトコンベア20上に排出された被乾燥物を移送して取出すようにしてある。前記ドラム1は機枠4に設けたモータ21とチエン22を介して連絡し駆動するようにする。23は温度調整器で、空気加熱装置13のヒータに連絡してヒータの制御をおこなう。25は電気制御盤で、26は回転する回転ドラム1の電気制御盤25に電気を供給するスリップリングである。」(第2ページ右上欄第1行ないし左下欄末行)
・「<作用>
ドラム1を停止位置で停止し、上部の投入口18の開閉蓋19を開いてパケット昇降機やベルトコンベア等の供給装置により被乾燥物を投入する。この投入が終了すると開閉蓋19を閉じ密閉し、排風機12,12・・、循環送風機17、空気加熱装置13及びモータ21を起動して乾燥を開始する。排風機12、12・・の運転により、回転ドラム1内の空気は連続して外部に排除されることにより回転ドラム1内部は負圧状態となり、外気は空気加熱装置13で加熱されて回転ドラム1内部に流入し、ドラム内空気と共に循環送風機17により、金網や打ち抜き鋼板等の多孔性で通気可能な風道16に圧送され、被乾燥物間を通気しながら加熱乾燥をおこなった後金網や打ち抜き鋼板等の多孔性で通気可能な隔壁14より送風機室24に流入し、排風機12、12・・より外部に排除されると共に一部は空気加熱装置13を介して外部より流入する加熱空気とともに循環送風機17に吸入される。」(第2ページ右下欄第1行ないし末行)
・「<発明の効果>
含水率10%程度の荒茶を含水率4~5%に乾燥する製茶の仕上げ乾燥における発明の効果を簡単に説明すると、生産農家で乾燥加工される茶葉は、含水率が10%内外でありこれを荒茶と称し、この荒茶を4~5%に乾燥すると共に、製茶仕上げと称する茶の味や外観を損う水茎や硬葉を除去し、かつ茶葉の形を揃える作業を行ない、ブレンドして商品とするものであり、従来は通気バンドコンベア式の連続乾燥機が使用され、100℃位の熱風により40分程度で乾燥させるために茶葉の色彩の劣化は避けられないものであった。
本発明による方法においては、次の日に製茶仕上げを行なう量(通常2トン~5トン程度)を、作業終了後に本発明に係る回転ドラム型真空熱風循環乾燥方法による回転ドラム内に収容し、次の日の作業開始時間迄の間に、真空条件下において低い温度による長時間の乾燥を可能とすると共に乾燥終了後、回転ドラムより必要量づつ排出させながら連続して製茶仕上げ作業を行なえるもので貯蔵装置及び定量供給装置としての役目をも果たすもので、製茶仕上げ工場の合理化に寄与する。
本方法における大型装置においては、30m3の容量の回転ドラム内に5トン程度の茶葉を収容し、40~60℃の熱風を循環させながら12時間で乾燥を終了する。
まず前半の第1工程は、第1工程乾燥時間タイマースイッチを4時間に設定することにより、4台の排風機を運転し60℃の熱風を循環させて乾燥する。従って、真空度を高く換気量(乾燥室内空気の入れ替え量)を増加し、茶葉の初期乾燥を速やかにおこない、異臭の発生や変色を避ける。
次ぎに中間の第2工程は、第2工程乾燥時間タイマースイッチを第1工程と同じく4時間に設定し、3台の排風機を運転し1台の排風機は停止するために、蒸発水分の減少に合せ真空度は低く換気量も減少させ50℃の熱風を循環させて乾燥する。
次ぎに後半の第3工程は、第2工程乾燥時間タイマースイッチを4時間に設定し、蒸発水分は更番;減少するために2台の排風機を運転し2台の排風機は停止させ、真空度は低く換気量も更に減少させて40℃の熱風を循環させて乾燥を終了させる。また各乾燥工程を通じて、通常は停止位置に停止させ、1時間に1回10分程度度回転ドラムを回転させることにより、収容する茶葉の混合をおこない乾燥ムラの発生を防止する。」(第3ページ左下欄第1行ないし第4ページ左上欄第6行)
・「
[図:0001416510000001.jpg]
」(第4ページ左下欄)
(2)甲1に記載された発明
甲1に記載された事項を、特に特許請求の範囲及び実施例に関して整理すると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。
<甲1発明>
「円筒の両端を鏡板7,8で閉塞する回転ドラム1を機枠4上に配し回転可能に支持させると共に、回転ドラム1には投入口18とこれを覆って開閉する開閉蓋19を設けて、茶葉を投入したり或は取り出すときは開くようにしてあり、回転ドラム1を駆動源21に連絡し連続してもしくは断続して回転ドラム1を回転させ、更に回転ドラム1には排気口10と空気流入口11を設け、排気口10に接続する1台もしくは数台の排風機12の運転により回転ドラム1内部より外部に排気する空気量に対して、回転ドラム1内部の空気が排除されるにしたがい、外気が回転ドラム1に設ける空気流入口11より空気加熱装置13により加熱されながら、回転ドラム1内部に流入する流入時の通過抵抗を所定の抵抗値とすることにより、外気の流入する空気量を前記回転ドラム1内部より排気する空気量より小量に保持し、回転ドラム1内部を所望の真空度に連続して維持しながら回転ドラム1内部の空気温度を上昇させ、かつ、循環送風機17を附設することにより回転ドラム1内部に収容される茶葉を介して回転ドラム1内空気を循環しながら乾燥を促進する回転ドラム型真空熱風循環乾燥装置。」
2 本件特許発明1について
(1)対比
本件特許発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明における「円筒の両端を鏡板7,8で閉塞する回転ドラム1」は本件特許発明1における「円筒状の処理胴」に相当する。
甲1発明における「回転ドラム1」を「連続してもしくは断続して」「回転させ」る「駆動源21」は本件特許発明1における「該処理胴を回転させる駆動手段」に相当する。
甲1発明における「外気が回転ドラムに設ける空気流入口11より空気加熱装置13により加熱されながら、回転ドラム1内部に流入する流入時の通過抵抗を所定の抵抗値とすることにより、外気の流入する空気量を前記回転ドラム1内部より排気する空気量より小量に保持し、回転ドラム1内部を所望の真空度に連続して維持しながら回転ドラム1内部の空気温度を上昇させ」る「循環送風機17」は本件特許発明1における「前記処理胴の一端より熱風を吹き込むための熱風供給手段」に相当する。
甲1発明における「回転ドラム型真空熱風循環乾燥装置」は、「茶葉」を「熱風を循環させながら」乾燥するものであるから、本件特許発明1における「茶葉熱風処理装置」に相当する。
甲1の<作用>欄の記載からみて、甲1発明における「回転ドラム1」は「略密閉できるように」されているといえる。
そうすると、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「円筒状の処理胴と、該処理胴を回転させる駆動手段と、前記処理胴の一端より熱風を吹き込むための熱風供給手段とより構成する茶葉熱風処理装置において、処理胴を略密閉できるようにした、茶葉熱風処理装置。」
そして、両者は次の点で相違する。
<相違点1>
本件特許発明1においては「一端を茶葉の投入口、他端を茶葉の排出口として円筒状の処理胴」「とより構成する」と特定された上で、「茶葉排出口側の上部に排気量を調節できる排気口と茶葉排出口に茶葉排出弁を備え」と特定されているのに対し、甲1発明においては「回転ドラム1には投入口18とこれを覆って開閉する開閉蓋19を設けて、茶葉を投入したり或は取り出すときは開くようにしてあり」と特定されているものの、本件特許発明1のようには特定されていない点。
<相違点2>
「茶葉熱風処理装置」に関して、本件特許発明1においては「前記処理胴の内側に備えた桟」「とより構成する」と特定されているのに対し、甲1発明においてはそのようには特定されていない点。
<相違点3>
本件特許発明1においては「排気量を大きくすることで、茶葉から蒸発した水分により高湿度になった熱風を速やかに排出し茶葉に低湿度の熱風を供給することができる一方、排気量を抑えることで前記処理胴内に前記高湿度になった熱風を維持できるように処理胴内部の熱風気流を調節可能とした」と特定されているのに対し、甲1発明においてはそのようには特定されていない点。
(2)相違点1についての判断
相違点1について検討する。
甲1発明は、「投入口18」が「茶葉」の「投入口」と「排出口」を兼ねるものであるところ、甲1には、甲1発明において、「茶葉」の「投入口」と「排出口」を別々に設けるようにする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。
そして、当然、甲1には、甲1発明において、「茶葉」の「投入口」と「排出口」を別々に設けた上で、「排出口」に「茶葉排出弁」を設けるようにする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。
また、当然、甲1には、甲1発明において、「茶葉」の「投入口」と「排出口」を別々に設けた上で、「排出口側の上部」に「排気量を調節できる排気口」を設けるようにする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。
したがって、甲1発明において、相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
そして、本件特許発明1の奏する「茶葉熱風処理装置の処理胴内部の熱風の流れを制御することができるようになり、茶葉の投入流量や茶葉の性状による茶葉処理程度の変化を抑え、乾燥不足や過乾燥、焦げなどの品質低下につながる現象を減らすことができ、安定的に良好な茶葉処理状態を保って処理を行うことができる。」(本件特許の発明の詳細な説明の【0010】)という効果は、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項からみて、本件特許発明1の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものである。
(3)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、おおむね次のとおり主張する。
ア 「甲第1号証(特開昭61-180881号公報)の明細書の本文及び図面には、以下の記載がある。
・・・(略)・・・
「排出口に設けられた茶葉排出弁に相当する開閉蓋19」
(明細書P2下段左側7行目及び図面)」(特許異議申立書第6ページ)
イ 「これらの記載によれば、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「A’ 茶葉の投入口及び茶葉の排出口を有する円筒状の処理胴と、該処理胴を回転させる駆動手段と、
B 前記処理胴の一端より熱風を吹き込むための熱風供給手段とより構成する茶葉熱風処理装置において、
C’ 茶葉排出口の側部に排気量を調節できる排気口と茶葉排出口と茶葉排出口に茶葉排出弁を備え、処理胴を略密閉できるようにし、
D 真空度を高く換気量(乾燥室内空気の入れ替え量)を増加して茶葉の初期乾燥を速やかにおこなうことができる一方、蒸発水分の減少に合せるように真空度を低く換気量を減少させて熱風を循環させて乾燥することができるように処理胴内部の熱風気流を調節可能としたことを特徴とする、茶葉熱風処理装置。」の開示がある。」(同第6及び7ページ)
ウ 「本件特許発明1と甲1発明は、本件が「一端を茶葉の投入口、他端を茶葉の排出口」であるのに対し、甲1発明は、投入口と排出口が同一である点で相違する。
相違点1:本件が「一端を茶葉の投入口、他端を茶葉の排出口」であるのに対し、甲1発明は、投入口と排出口が同一である点。
そこで、相違点1について検討する。
この分野において、「一端を茶葉の投入口、他端を茶葉の排出口」とすることは従来技術であることから(例えば、甲第3号証、甲第4号証に一端を茶葉の投入口、他端を茶葉の排出口とする熱風処理装置が記載されている。)、従来周知の技術事項を甲1発明に適用することは適宜なし得ることにすぎない。」(同第15ページ)
そこで、上記主張について検討するに、次のとおりいずれの主張も採用できない。
・アについて
本件特許の発明の詳細な説明の【0018】の「本発明は茶葉排出をロータリーバルブを設けて、茶葉排出口からの排気を防ぐと共に、排気ファンを調節して、処理胴1内で処理に利用された排気熱風の排出量を調節することで、処理胴1内熱風の温度や湿度を制御でき、自然排気よりも安定的に茶葉の処理程度を調節、維持できる。」という記載によると、本件特許発明1における「茶葉排出弁」は「茶葉排出口」からの排気を防いで、排気熱風の排出量を調節するものであり、甲1発明における「開閉蓋19」はそのような排出量の調節を行うものではないから、甲1発明における「開閉蓋19」は「排出口に設けられた茶葉排出弁」に相当するとはいえない。
・イについて
上記アについてのとおり、甲1発明における「開閉蓋19」は「排出口に設けられた茶葉排出弁」に相当するとはいえないから、特許異議申立人が主張する甲1発明が記載されているとはいえない。
・ウについて
仮に、甲3及び4に記載されている事項から、「この分野において、「一端を茶葉の投入口、他端を茶葉の排出口」とすることは従来技術である」といえたとしても、甲1発明において、上記従来技術を採用する動機付けとなる記載が、甲1を含めいずれの証拠にもない以上、「従来周知の技術事項を甲1発明に適用することは適宜なし得ることにすぎない。」とはいえない。
(4)まとめ
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本件特許発明2ないし4について
本件特許発明2ないし4は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 申立理由についてのむすび
したがって、本件特許発明1ないし4は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえず、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであるとはいえないから、同法第113条第2号に該当せず、申立理由によっては取り消すことはできない。
第5 結語
以上のとおり、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700613