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特許異議申立

2021-701175

保護素子

審判番号
2021-701175
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2016-240735
登録番号
6886810
請求日
2021年12月13日
審決日
2022年08月17日
公報発行日
2022年11月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】デクセリアルズ株式会社
  • 【権利者代理人】野口 信博
  • 【権利者代理人】穂谷野 聡
  • 【異議申立人】西村 京子
審判長/審判官
  • 審判長 平瀬 知明
  • 審判官 段 吉享
  • 審判官 平田 信勝
分類
P1651.113-YAA(H01H) / P1651.121-YAA(H01H) / P1651.537-YAA(H01H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6886810号発明「保護素子」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6886810号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4~6、9〕、〔2、3、7、8、11~14〕、10について訂正することを認める。 特許第6886810号の請求項1~14に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6886810号の請求項1~10に係る特許についての出願は、平成28年12月12日の出願であって、令和 3年 5月19日にその特許権の設定登録がされ、同年 6月16日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和 3年12月13日 :特許異議申立人西村京子(以下、「申立人」 という。)による請求項1~10に係る特許 に対する特許異議の申立て 令和 4年 3月 7日付け:取消理由通知書 同年 5月 9日 :特許権者による意見書の提出及び訂正請求( 以下、この訂正請求を「本件訂正請求」とい い、この訂正請求による訂正を「本件訂正」 という。) 同年 6月21日 :申立人による意見書の提出 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容 本件訂正の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「絶縁基板と、上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、上記絶縁基板に形成された発熱体と、上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体と、上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材とを備え、上記保持部材は、上記発熱体引出電極に搭載されている保護素子。」と記載されているのを、「絶縁基板と、上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、上記絶縁基板に形成された発熱体と、上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体と、上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材とを備え、上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている保護素子。」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4~6、9も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「上記第1の電極から上記発熱体引出電極にわたって搭載された第1の可溶導体と、上記第2の電極から上記発熱体引出電極にわたって搭載された第2の可溶導体とを備える請求項1に記載の保護素子。」と記載されているのを、「絶縁基板と、上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、上記絶縁基板に形成された発熱体と、上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体と、上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材とを備え、上記保持部材は、上記発熱体引出電極に搭載され、上記可溶導体は、上記第1の電極から上記発熱体引出電極にわたって搭載された第1の可溶導体と、上記第2の電極から上記発熱体引出電極にわたって搭載された第2の可溶導体とを備え、上記第1の可溶導体と上記第2の可溶導体が上記発熱体引出電極上において互いに離間している保護素子。」に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3、7、8も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 (訂正事項3-1) 特許請求の範囲の請求項4に「上記保持部材は、上記可溶導体の溶融体が濡れ広がりやすくなる表面処理が施されている請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。」と記載されているのを、「上記保持部材は、上記可溶導体の溶融体が濡れ広がりやすくなる表面処理が施されている請求項1に記載の保護素子。」に訂正する(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5、6、9も同様に訂正する)。 (訂正事項3-2) 特許請求の範囲の請求項4に「上記保持部材は、上記可溶導体の溶融体が濡れ広がりやすくなる表面処理が施されている請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。」とあるうち、請求項2、3を引用するものについて、「上記保持部材は、上記可溶導体の溶融体が濡れ広がりやすくなる表面処理が施されている請求項2又は3に記載の保護素子。」と記載し、新たに請求項11とする。 (4)訂正事項4 (訂正事項4-1) 特許請求の範囲の請求項5に「上記保持部材は、上記発熱体引出電極の長手方向にわたって延在される、角柱状体、円柱状体、円筒状体、半円筒状体、らせん状体、又は上記発熱体引出電極に接続された板状の基部と上記基部から上記発熱体引出電極上に突出する突条部とを有する断面T字状の棒状体である請求項1~4のいずれか1項に記載の保護素子。」と記載されているのを、「上記保持部材は、上記発熱体引出電極の長手方向にわたって延在される、角柱状体、円柱状体、円筒状体、半円筒状体、らせん状体、又は上記発熱体引出電極に接続された板状の基部と上記基部から上記発熱体引出電極上に突出する突条部とを有する断面T字状の棒状体である請求項1又は4に記載の保護素子。」に訂正する。(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6、9も同様に訂正する)。 (訂正事項4-2) 特許請求の範囲の請求項5に「上記保持部材は、上記発熱体引出電極の長手方向にわたって延在される、角柱状体、円柱状体、円筒状体、半円筒状体、らせん状体、又は上記発熱体引出電極に接続された板状の基部と上記基部から上記発熱体引出電極上に突出する突条部とを有する断面T字状の棒状体である請求項1~4のいずれか1項に記載の保護素子。」とあるうち、請求項2、3を引用するもの、又は引用する請求項4のうち、請求項2、3を引用するものについて、「上記保持部材は、上記発熱体引出電極の長手方向にわたって延在される、角柱状体、円柱状体、円筒状体、半円筒状体、らせん状体、又は上記発熱体引出電極に接続された板状の基部と上記基部から上記発熱体引出電極上に突出する突条部とを有する断面T字状の棒状体である請求項2,3,11のいずれか1項に記載の保護素子。」と記載し、新たに請求項12とする。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に「上記保持部材は、長手方向と略直交する方向にわたる1若しくは複数の貫通若しくは非貫通のスリット、又は、1若しくは複数の貫通若しくは非貫通の開口部が形成されている請求項5に記載の保護素子。」とあるうち、引用する請求項5のうち、請求項2、3を引用するもの、又は引用する請求項5のうち、請求項2、3を引用する請求項4を引用するものについて、「上記保持部材は、長手方向と略直交する方向にわたる1若しくは複数の貫通若しくは非貫通のスリット、又は、1若しくは複数の貫通若しくは非貫通の開口部が形成されている請求項12に記載の保護素子。」と記載し、新たに請求項13とする。 (6)訂正事項6 (訂正事項6-1) 特許請求の範囲の請求項9に「上記発熱体と上記発熱体引出電極とが重畳されている請求項1~8のいずれか1項に記載の保護素子。」と記載されているのを、「上記発熱体と上記発熱体引出電極とが重畳されている請求項1,4~6のいずれか1項に記載の保護素子。」に訂正する。 (訂正事項6-2) 特許請求の範囲の請求項9に「上記発熱体と上記発熱体引出電極とが重畳されている請求項1~8のいずれか1項に記載の保護素子。」とあるうち、請求項2、3、7、8を引用するもの、引用する請求項4のうち、請求項2、3を引用するもの、引用する請求項5のうち、請求項2、3を引用するもの、引用する請求項5のうち、請求項2、3を引用する請求項4を引用するもの、引用する請求項6のうち、請求項2、3を引用する請求項5を引用するもの、又は引用する請求項6のうち、請求項2、3を引用する請求項4を引用する請求項5を引用するものについて、「上記発熱体と上記発熱体引出電極とが重畳されている請求項2,3,7,8,11~13のいずれか1項に記載の保護素子。」と記載し、新たに請求項14とする。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項10に「絶縁基板と、上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、上記絶縁基板に形成された発熱体と、上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体と、上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材と、上記絶縁基板の上記可溶導体が搭載された表面を覆うケースを備え、上記保持部材は、上記ケースの天面から内部に突出して設けられ、上記発熱体引出電極と近接し又は接している保護素子。」と記載されているのを、「絶縁基板と、上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、上記絶縁基板に形成された発熱体と、上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体と、上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材と、上記絶縁基板の上記可溶導体が搭載された表面を覆うケースを備え、上記保持部材は、上記ケースの天面から内部に突出して設けられ、上記発熱体引出電極と接している保護素子。」に訂正する。 2 本件訂正の適否について (1)訂正事項1について ア 訂正の目的の適否 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「保持部材」について、「上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている」ことを直列的に付加して減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、上記アのとおり、訂正前の請求項1の「保持部材」について発明特定事項を直列的に付加するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「保持部材」について、「上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている」ことを直列的に付加する訂正は、願書に添付した明細書の段落【0040】に「保持部材24は、熱硬化性の接着剤や、ハンダその他の低融点金属ペースト等の接続材料25によって発熱体引出電極16に搭載されている。」と記載されており、段落【0044】に「また、保持部材24は、発熱体引出電極16の長手方向の略全長にわたって設けることが好ましい。」と記載されているから、新規事項を追加するものではない。 よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的の適否 訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用するものであったところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項にするとともに、訂正前の請求項1を引用する請求項2の「第1の可溶導体」及び「第2の可溶導体」について、「上記第1の可溶導体と上記第2の可溶導体が上記発熱体引出電極上において互いに離間している」ことを直列的に付加して減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2は、上記アのとおり、訂正前の請求項1を引用する請求項2を独立形式請求項にするとともに、訂正前の請求項1を引用する請求項2の「第1の可溶導体」及び「第2の可溶導体」について発明特定事項を直列的に付加するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項2の、訂正前の請求項1を引用する請求項2の「第1の可溶導体」及び「第2の可溶導体」について、「上記第1の可溶導体と上記第2の可溶導体が上記発熱体引出電極上において互いに離間している」ことを直列的に付加する訂正は、願書に添付した明細書の段落【0028】に「第1の可溶導体31は、第1の電極11から発熱体引出電極16にわたって搭載され、第2の可溶導体32は、第2の電極12から発熱体引出電極16にわたって搭載され、これら第1、第2の可溶導体31,32は、発熱体引出電極16上において互いに離間している。」と記載されているから、新規事項を追加するものではない。 よって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的の適否 訂正事項3-1に係る請求項4についての訂正は、請求項4を、請求項1を引用するものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 同様に、訂正事項3-2に係る請求項11についての訂正は、請求項4を、請求項2、3を引用するものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3-1及び訂正事項3-2は、上記アのとおり、請求項4が引用する請求項を限定するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項3-1及び訂正事項3-2は、上記アのとおり、請求項4が引用する請求項を限定するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的の適否 訂正事項4-1に係る請求項5についての訂正は、請求項5を、請求項1を引用するもの、又は引用する請求項4のうち、請求項1を引用するものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 同様に、訂正事項4-2に係る請求項12についての訂正は、請求項5を、請求項2、3を引用するもの、又は引用する請求項4のうち、請求項2、3を引用するものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項4-1及び訂正事項4-2は、上記アのとおり、請求項5が引用する請求項を限定するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項4-1及び訂正事項4-2は、上記アのとおり、請求項5が引用する請求項を限定するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的の適否 訂正事項5に係る請求項13についての訂正は、請求項6を、引用する請求項5のうち、請求項2、3を引用するもの、又は引用する請求項5のうち、請求項2、3を引用する請求項4を引用するものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項5は、上記アのとおり、請求項6が引用する請求項を限定するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項5は、上記アのとおり、請求項6が引用する請求項を限定するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (6)訂正事項6について ア 訂正の目的の適否 訂正事項6-1に係る請求項9についての訂正は、請求項9を、請求項1を引用するもの、引用する請求項4のうち、請求項1を引用するもの、引用する請求項5のうち、請求項1、4を引用するもの、引用する請求項6のうち、請求項1、4を引用する請求項5を引用するものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 同様に、訂正事項6-2に係る請求項14についての訂正は、請求項9を、請求項2、3、7、8を引用するもの、引用する請求項4のうち、請求項2、3を引用するもの、引用する請求項5のうち、請求項2、3を引用するもの、引用する請求項5のうち、請求項2、3を引用する請求項4を引用するもの、引用する請求項6のうち、請求項2、3を引用する請求項5を引用するもの、又は引用する請求項6のうち、請求項2、3を引用する請求項4を引用する請求項5を引用するものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項6-1及び訂正事項6-2は、上記アのとおり、請求項5が引用する請求項を限定するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項6-1及び訂正事項6-2は、上記アのとおり、請求項5が引用する請求項を限定するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (7)訂正事項7について ア 訂正の目的の適否 訂正事項7は、訂正前の請求項10において、「上記保持部材は、」「上記発熱体引出電極と近接し又は接している」と記載されていたのを、「上記保持部材は、」「上記発熱体引出電極と接している」として、択一的記載の要素を一部削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項7は、上記アのとおり、訂正前の請求項10に係る発明について択一的記載の要素を一部削除するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項7は、上記アのとおり、訂正前の請求項10に係る発明について択一的記載の要素を一部削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 3 一群の請求項、別の訂正単位とする求めについて 訂正前の請求項1~9について、訂正前の請求項2~9は、訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9、11~14は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 また、訂正後の請求項2、3、7、8、11~14について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とする求めがなされている(訂正請求書の「8 別の訂正単位とする求め」の欄参照。)ところ、上記2(2)~(6)のとおり、訂正事項2~6は適法であるから、訂正後の請求項2、3、7、8、11~14についての訂正は、別の訂正単位として扱う。 4 むすび 上記2のとおり、訂正事項1ないし7に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 そして、本件特許異議の申立てにおいては、訂正前のすべての請求項1ないし10について特許異議の申立てがされているため、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 したがって、訂正事項1ないし7に係る訂正は、訂正の要件を満たしている。 よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4~6、9〕、〔2、3、7、8、11~14〕、10について訂正することを認める。 第3 本件訂正後の発明 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし14に係る発明(以下、各々「本件発明1」ないし「本件発明14」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 絶縁基板と、 上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、 上記絶縁基板に形成された発熱体と、 上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、 上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体と、 上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材とを備え、 上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている保護素子。 【請求項2】 絶縁基板と、 上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、 上記絶縁基板に形成された発熱体と、 上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、 上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体と、 上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材とを備え、 上記保持部材は、上記発熱体引出電極に搭載され、 上記可溶導体は、上記第1の電極から上記発熱体引出電極にわたって搭載された第1の可溶導体と、上記第2の電極から上記発熱体引出電極にわたって搭載された第2の可溶導体とを備え、上記第1の可溶導体と上記第2の可溶導体が上記発熱体引出電極上において互いに離間している保護素子。 【請求項3】 上記保持部材は、上記第1の可溶導体と上記第2の可溶導体との間に設けられている請求項2に記載の保護素子。 【請求項4】 上記保持部材は、上記可溶導体の溶融体が濡れ広がりやすくなる表面処理が施されている請求項1に記載の保護素子。 【請求項5】 上記保持部材は、上記発熱体引出電極の長手方向にわたって延在される、角柱状体、円柱状体、円筒状体、半円筒状体、らせん状体、又は上記発熱体引出電極に接続された板状の基部と上記基部から上記発熱体引出電極上に突出する突条部とを有する断面T字状の棒状体である請求項1又は4に記載の保護素子。 【請求項6】 上記保持部材は、長手方向と略直交する方向にわたる1若しくは複数の貫通若しくは非貫通のスリット、又は、1若しくは複数の貫通若しくは非貫通の開口部が形成されている請求項5に記載の保護素子。 【請求項7】 上記第1、第2の可溶導体に代えて又は上記第1、第2の可溶導体とともに、複数の第1の可溶導体片及び第2の可溶導体片が、それぞれ上記発熱体引出電極との間に独立して設けられている請求項2又は3に記載の保護素子。 【請求項8】 上記第1、第2の可溶導体又は上記第1、第2の可溶導体片は、それぞれ内層を低融点金属層とし、外層を高融点金属層とする積層構造を有する請求項2,3,7のいずれか1項に記載の保護素子。 【請求項9】 上記発熱体と上記発熱体引出電極とが重畳されている請求項1,4~6のいずれか1項に記載の保護素子。 【請求項10】 絶縁基板と、 上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、 上記絶縁基板に形成された発熱体と、 上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、 上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体と、 上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材と、 上記絶縁基板の上記可溶導体が搭載された表面を覆うケースを備え、 上記保持部材は、上記ケースの天面から内部に突出して設けられ、上記発熱体引出電極と接している保護素子。 【請求項11】 上記保持部材は、上記可溶導体の溶融体が濡れ広がりやすくなる表面処理が施されている請求項2又は3に記載の保護素子。 【請求項12】 上記保持部材は、上記発熱体引出電極の長手方向にわたって延在される、角柱状体、円柱状体、円筒状体、半円筒状体、らせん状体、又は上記発熱体引出電極に接続された板状の基部と上記基部から上記発熱体引出電極上に突出する突条部とを有する断面T字状の棒状体である請求項2,3,11のいずれか1項に記載の保護素子。 【請求項13】 上記保持部材は、長手方向と略直交する方向にわたる1若しくは複数の貫通若しくは非貫通のスリット、又は、1若しくは複数の貫通若しくは非貫通の開口部が形成されている請求項12に記載の保護素子。 【請求項14】 上記発熱体と上記発熱体引出電極とが重畳されている請求項2,3,7,8,11~13のいずれか1項に記載の保護素子。」 第4 取消理由の概要 当審が令和 4年 3月 7日付けで特許権者に通知した取消理由(以下、単に「取消理由通知」という。)の概要は、次のとおりである。 1.(新規性)本件特許の請求項1、2、4に係る発明は、引用文献1に記載された発明であり、請求項10に係る発明は引用文献4に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許の請求項1、2、4、10に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 2.(進歩性)本件特許の請求項1、2、4~9に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献1~3に記載の技術的事項に基いて、請求項10に係る発明は引用文献4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1、2、4~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <引用文献等一覧> 引用文献1:特許5192524号公報(申立人の提出した甲第1号証) 引用文献2:特許4110967号公報(申立人の提出した甲第3号証) 引用文献3:特開2015-97183号公報(申立人の提出した甲第4号 証) 引用文献4:特開2014-120278号公報(申立人の提出した甲第5 号証) 第5 当審の判断 1 引用文献に記載された事項及び引用発明 (1)引用文献1に記載された事項及び引用発明1 引用文献1には、以下の事項が記載されている。 ア「【0028】 図1A~図1Dを参照するに、本実施形態において、保護装置200aは、基板210、第1電極220、第2電極230、第3電極240、第4電極250、発熱素子260、第1補助媒体270、導電部分および少なくとも1つの橋絡素子290(図1A~図1Dにおいては1つの素子のみを概略例示する)を含む。第1電極220、第2電極230、第3電極240および第4電極250は、それぞれ基板210上に配置される。ここで、導電部分は、基板210に支持され、第1電極220と第2電極230との間に電気的に接続される金属素子280を含む。 【0029】 詳細には、本実施形態において、基板210は、中央部分Cと、この中央部分Cを囲む、第1周辺部212、第2周辺部214、第3周辺部216および第4周辺部218とを有する。第1周辺部212は第2周辺部214に対応して配置される。第3周辺部216は第4周辺部218に対応して配置される。第1電極220、第2電極230、第3電極240および第4電極250は、それぞれ、第1周辺部212、第2周辺部214、第3周辺部216および第4周辺部218上に配置される。基板210は、第1表面S1、および第1表面S1と反対側の第2表面S2を有し、第1電極220、第2電極230、第3電極240および第4電極250は、第1表面S1から第2表面S2まで延在するが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、第1表面S1もしくは第2表面S2上での各々の電極の割り当て、または各々の電極の有無は、実際の設計要件に従って決定される。他の実施形態において、第4電極250は第2表面S2上のみに配置することができる。他の実施形態において、第4電極250は省略することもでき、これは過電流および過電圧保護効果に影響を与えないということに留意すべきである。 【0030】 更に、第3電極240は、中間支持部242、第2延在部244および本体部246を含み、中間支持部242および第2延在部244は、それぞれ第1表面S1上および第2表面S2上に配置することができ、それぞれ中央部分C上の位置まで延在させることができる。そして、中間支持部242は、例えば本体部246に接続される。本実施形態において、中間支持部242および第2延在部244は、それぞれ2つの平面上に配置され、これら2つの平面はほぼ平行であるが互いに重ならない。中間支持部242は、金属素子280と基板210との間に配置される。第4電極250の第3延在部252は、第2表面S2上に配置され、中央部分C上の位置まで延在する。中間支持部242、第2延在部244および第3延在部252は、それぞれ第1電極220と第2電極230との間に配置される。加えて、中間支持部242の形状は本発明において限定されず、中間支持部を電極との接触がない基板上で独立した部分とすることができ、金属素子の融解時の破断を促進するために良好な熱伝導率を有する材料を含むということに留意すべきである。」 イ「【0032】 発熱素子260は、第2表面S2上に配置され、第2延在部244と第3延在部252との間に接続される。第3電極240の中間支持部242は、発熱素子260の上方に配置される(図1Cに示す)。発熱素子260の材料は、例えば、二酸化ルテニウム(RuO2)、カーボンブラック(カーボンブラックは、水ガラスのような無機接着剤中、または、熱硬化性樹脂のような有機接着剤中にドープすることができる)、銅、チタン、ニッケルクロム合金およびニッケル銅合金等を含む。発熱素子260を、その後の製造プロセス、周囲環境の湿度、酸度およびアルカリ度による影響から守るために、発熱素子260は、フリット接着剤製またはエポキシ樹脂製の断熱層310によって覆う。」 ウ「【0034】 金属素子280は、基板210の第1表面S1の上方に配置され、第1電極220、中間支持部242および第2電極230に接続される。詳細には、金属素子280は、第1電極220および第2電極230の融点よりも低い融点を有する犠牲構造として働く。金属素子280は、第1電極220、第1補助媒体270、中間支持部242および第2電極230の一部を覆う。発熱素子260が熱を発生させて、第1補助媒体270および金属素子280を融解する際に、金属素子280の融解効果が向上する。更に、第1補助媒体270は、融解した金属素子280が各々の電極上に流れて集まることができるように、融解した金属素子280と各々の電極との間のぬれ性を増大させ、融解した金属素子280自体の凝集力を高め、金属素子280を効果的に飛ばす(blow)ようにすることができる。加えて、金属素子280の材料は、錫鉛合金、錫銀鉛合金、錫インジウムビスマス鉛合金、錫アンチモン合金、錫銀銅合金および低融点を有する他の合金を含む。また、他の実施形態では、金属素子280の中にフラックス(例示せず)を埋め込んで、熱によって金属素子280を飛ばしやすくすることができる。本発明を、過電圧保護および過電流保護を同時に達成するために、発熱素子を有する保護装置を用いて説明するが、金属素子280を効果的に飛ばすことの安定性を高めるために、金属素子280の下方に第1補助媒体270を配置することをも、発熱素子を有さない構造に対しても適用して、過電流が生じ金属素子280が熱によって融解されるときに、金属素子280を飛ばすことの安定性を高めることができるということは、当業者であれば理解できるという点に留意されたい。 【0035】 保護装置200aは、橋絡素子290を含み、該橋絡素子290は、金属素子280中の電流フローの方向と交差する方向に、金属素子280を横切って跨り、部分的に金属素子280と接触し、また橋絡素子290は、第1端部292aおよび第1端部292aと反対側の第2端部292bを有する。特に、橋絡素子290の第1端部292aは、第3電極240の本体部246上に固定されるが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、橋絡素子290の第1端部292aは、中間支持部242が本体部246に接続される側で、第3電極240の中間支持部242上に固定することもできる。橋絡素子290のより良い性能を得るために、橋絡素子290の第2端部292bは、本体部246から離れた側で、第3電極240の中間支持部242に固定されるのが好ましい。すなわち、橋絡素子290の第1端部292aおよび第2端部292bは、それぞれ第3電極240の本体部246および中間支持部242上に固定し、橋絡素子290は、細長構造、例えば図1Dに示すようなアーチ状とする。特に、橋絡素子290の、基板210の第1表面S1上への正投影は、中間支持部242の、基板210の第1表面S1上への正投影に少なくとも部分的に重なる。更にまた、橋絡素子290は、金属素子280の融解時の破断を促進する。 【0036】 橋絡素子290の形状、数、およびパターンは本発明に限定されないということに留意されたい。本実施形態の橋絡素子290は、細長構造、例えば弓型形状を有し、特に金属ワイヤとするが、他の実施形態においては、図2Aを参照して、保護装置200a’の橋絡素子290aの第1端部292a’のみを、第3電極240の中間支持部242上に固定する。すなわち、橋絡素子290aは細長構造、例えば弓形形状にする。代わりに、図2Bを参照して、保護装置200bの橋絡素子290bは、細長構造、例えば帽子形状の曲げ形状、または他の適切な形状とすることもできる。代わりに、保護装置200aは、複数の橋絡素子290を有することができる。または、橋絡素子290は、複数の撚線(例示せず)を巻くことによって形成することができる。または、橋絡素子290は、長さに従って変化する厚みを有するチェーン、コイル、金網、ワイヤ形状、もしくは、長さに従って異なる位置に突起を有するワイヤ形状とすることができる。または、橋絡素子290は、硬いか、柔軟か、むくか、或いは、中空のものとする。または、橋絡素子290は、U字形状またはC字形状またはE字形状の断面および他の断面形状を有する。これらは、すべて本発明の範囲内とみなされる。 【0037】 本実施形態において、橋絡素子290は、部分的に金属素子280に接触し、間隔Dが、橋絡素子290の一番高い箇所と、金属素子280の基板210の反対側の表面との間に形成され、間隔Dは0.25mm、0~0.1mmの範囲内とするため、第2補助媒体275を、橋絡素子290と金属素子280との間に構成して、融解した金属素子280の流れを導く媒体としての機能を果たすことができる。ロジンのような第1補助媒体270の材料を用いることができるのに加えて、第2補助媒体275の材料を、はんだ層またはロジンとの組み合わせとすることもできる。言い換えれば、第1補助媒体270および第2補助媒体275の材料は、実際の設計要件に従って、同じものまたは異なるものとすることができる。また、橋絡素子290の第1端部292aと第3電極240の本体部246との間、および、橋絡素子290の第2端部292bと第3電極240の中間支持部242との間の接合部も、第2補助媒体275で覆って、橋絡素子290の第1端部292aおよび第2端部292bの酸化を避け、橋絡素子290の構造強度を高めることができる。 【0038】 本実施形態の保護装置200aは橋絡素子290を有するため、発熱素子260が熱を発生させ、金属素子280を融解させると、この融解した金属素子280は、表面張力およびウィッキング現象のために、接触した橋絡素子290に付着し、かつ更に中間支持部242の方へ流れることができ、回路を遮断して過電圧保護および過電流保護を達成する。すなわち、橋絡素子290の吸着のために、融解した金属素子280は、中間支持部242と第1電極220、または、中間支持部242と第2電極230を導通しにくくして、保護装置200aの短絡を防止し、ゆえに保護装置200aの高い信頼性を得ることができる。」 エ「【0041】 また、本実施形態において、橋絡素子290の材料は、例えば単一金属、二重層金属または合金である。単一金属は、例えば金、銀、錫、ニッケル、アルミニウムまたは銅であり、二重層金属は、例えば銀、金または錫被覆銅によって形成され、合金は、例えば銅銀合金、銅ニッケル合金、ニッケル錫合金または銅錫ニッケル合金であるが、本発明はこれらに限定されない。橋絡素子290を、良好なぬれ性を有する外側の金属層、および良好な熱伝導性を有する内側の金属層、例えば、銀めっき銅、ニッケルめっき銅、錫めっき銅、錫めっきニッケル、金めっき銅等の素材から作られる金属層、によって形成されるように、橋絡素子290の外表面が、融解した金属素子280に対して良好なぬれ性および吸収性(例えばはんだぬれ性)を有するということに留意されたい。橋絡素子290の素材が金属または合金であるため、橋絡素子290は熱放散機能を有し、保護装置200aの熱放散効果を向上させることができる。」 オ「【0048】 そして、図3Cを参照して、橋絡素子290の第1端部292aおよび第2端部292bを、それぞれ第3電極240の本体部246および中間支持部242上に固定できるように、橋絡素子290に、点溶接(図示せず)を用いて溶接工程を施す。ここで、用いられる溶接方法は、アーク溶接、超音波溶接、レーザー溶接、熱溶接、または溶融溶接、とすることができる。確かに、例示されない他の実施形態において、第3電極240の本体部246の上にバンプを形成するため(すなわち、橋絡素子290の第1端部292aを形成するため)に、スタッドバンプ装置を用いることができ、ボンディングワイヤは所定の長さに渡って上方に引き延ばし、その後、ボンディングワイヤが第3電極240の中間支持部242に下に引き延ばされた後(すなわち、橋絡素子290の第2端部292bを形成する)、スティッチを、橋絡素子290を形成するために引き延ばす。」 カ「【図1A】 [図:0001390575000001.jpg] 」 キ「【図1B】 [図:0001390575000002.jpg] 」 ク「【図1C】 [図:0001390575000003.jpg] 」 ケ「【図1D】 [図:0001390575000004.jpg] 」 コ「【図4A】 [図:0001390575000005.jpg] 」 サ「【図4B】 [図:0001390575000006.jpg] 」 シ「【図4C】 [図:0001390575000007.jpg] 」 ス 引用文献1の段落【0030】、段落【0032】及び【図1A】~【図1D】から、発熱素子260と中間支持部242とは、第2延在部244及び本体部246を介して電気的に接続されていると認められる。 セ 引用文献1の段落【0034】及び【図1A】~【図1D】から、金属素子280は、中間支持部242を介して第1電極220及び第2電極230間を接続していると認められる。 ソ 引用文献1の段落【0035】、【0048】及び【図1A】~【図1D】から、橋絡素子290は、中間支持部242に、金属素子280を横切って跨りつつ第1端部292a及び第2端部292bを溶接して固定することにより搭載されていると認められる。 タ 引用文献1の【図4C】から、金属素子280の左半分は、第1電極220から中間支持部242にわたって搭載されており、金属素子280の右半分は、第2電極230から中間支持部242にわたって搭載されていると認められる。 上記ア~シの摘記事項、並びに、上記ス~タの認定事項からみて、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。 【引用発明1】 「基板210と、 基板210に設けられた第1電極220及び第2電極230と、 基板210の第1表面S1に配置された発熱素子260と、 発熱素子260と第2延在部244及び本体部246を介して電気的に接続されている中間支持部242と、 中間支持部242を介して第1電極220及び第2電極230間を接続する金属素子280と、 中間支持部242に固定され、融解した金属素子280に対して良好なぬれ性及び吸収性を有する外側のめっきを有し、融解した金属素子280を吸着する橋絡素子290とを備え、 橋絡素子290は、中間支持部242に、金属素子280を横切って跨りつつ第1端部292a及び第2端部292bを溶接して固定され、第2補助媒体275が橋絡素子290と金属素子280との間に配置されており、 第1電極220から中間支持部242にわたって搭載された金属素子280の左半分と、 第2電極230から中間支持部242にわたって搭載された金属素子280の右半分とを備える保護装置200c。」 (2)引用文献2に記載された事項 引用文献2には、以下の事項が記載されている。 ア「【0006】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、基板上に発熱体及び低融点金属体を有し、発熱体の発熱により低融点金属体が溶断する保護素子において、定格電流を高くするために、低融点金属体の断面積を大きくした場合においても動作時間を短くし、かつ発熱体の発熱から溶断までの時間を安定化させることを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明者は、低融点金属体に電流を通す一対の電極間に、2条以上の低融点金属体を設けるなどにより、その電極間の低融点金属体の横断面を2以上の独立的な断面に区分すると、低融点金属体における溶断開始点が増え、動作時間が短縮し、かつ動作時間が安定することを見出した。 【0008】 即ち、本発明は、基板上に発熱体及び低融点金属体を有し、発熱体の発熱により低融点金属体が溶断する保護素子であって、低融点金属体に電流を通す一対の電極間において、該低融点金属体の少なくとも一部の横断面が発熱体の発熱時に2以上の独立的な断面に区分されるように、低融点金属体の中央部に、電流の流れる方向に伸びた溝が形成されていることを特徴とする保護素子を提供する。」 イ「【0018】 図1の保護素子1Aは、例えば、図3に示すように製造することができる。まず、基板2上に発熱体6用の電極(所謂、枕電極)3x、3yを形成し(同図(a))、次いで、発熱体6を形成する(同図(b))。この発熱体6は、例えば、酸化ルテニウム系ペーストを印刷し、焼成することにより形成する。次に、必要に応じて、発熱体6の抵抗値の調節のため、エキシマレーザー等で発熱体6にトリーミングを形成した後、発熱体6を覆うように絶縁層5を形成する(同図(c))。次に、低融点金属体用の電極3a、3b、3cを形成する(同図(d))。そして、この電極3a、3b、3cに橋かけするように2条の平板状低融点金属体4a、4bを設ける(同図(e))。」 ウ「【0025】 図7の保護素子1Cは、図1の2条の平板状低融点金属体4a、4bに代えて、4条の平板状低融点金属体4c、4d、4e、4fを、それらの合計の横断面積が、図1の2条の平板状低融点金属体4a、4bの合計の横断面積と等しくなるように設けたものである。」 エ「【図1】 [図:0001390575000008.jpg] 」 オ「【図7】 [図:0001390575000009.jpg] 」 (3)引用文献3に記載された事項 引用文献3には、以下の事項が記載されている。 ア「【0008】 ところで、この種の保護素子80に用いられる可溶導体83としては、例えばPbフリーハンダ等の低融点金属83aからなる箔を、AgやCuあるいはこれらを主成分とする合金等の高融点金属83bで被覆したものが提案されている。保護素子80は、低融点金属83aの箔が高融点金属83bで被覆された可溶導体83を用いることにより、リフロー等の実装温度における溶断を防止し、実装の容易化を図るとともに、溶断時には、低融点金属83aによる高融点金属83bの侵食作用(食われ現象)を利用し、高融点金属83bの融点以下の温度で溶融させ、速やかな溶断を実現することができる。」 イ「【図1】 [図:0001390575000010.jpg] 」 (4)引用文献4に記載された事項及び引用発明4 引用文献4には、以下の事項が記載されている。 ア「【0014】 [保護素子の構成] 図1、図2に示すように、本発明が適用された保護素子10は、絶縁基板11と、絶縁基板11に積層され、絶縁部材15に覆われた第1の発熱抵抗体14と、絶縁基板11の両端に形成された電極12(A1),12(A2)と、絶縁部材15上に第1の発熱抵抗体14と重畳するように積層された発熱体引出電極16と、両端が電極12(A1),12(A2)にそれぞれ接続され、中央部が発熱体引出電極16に接続された可溶導体13と、絶縁基板11上に載置され内部を保護するカバー部材19とを備える。」 イ「【0018】 発熱体引出電極16の一端は、第1の発熱抵抗体14に接続され、この第1の発熱抵抗体14を介して発熱体電極18(P1)に接続される。また、発熱体電極18(P1)は、後述するカバー部材19に設けられた導通電極22及び第2の発熱抵抗体25を介して、他方の発熱体電極18(P2)に接続される。 【0019】 可溶導体13は、第1の発熱抵抗体14の発熱により速やかに溶断される低融点金属からなり、例えばSnを主成分とするPbフリーハンダを好適に用いることができる。また、可溶導体13は、低融点金属と、Ag、Cu又はこれらを主成分とする合金等の高融点金属との積層体であってもよい。 【0020】 高融点金属と低融点金属とを積層することによって、保護素子5をリフロー実装する場合に、リフロー温度が低融点金属層の溶融温度を超えて、低融点金属が溶融しても、可溶導体13として溶断するに至らない。かかる可溶導体13は、高融点金属に低融点金属をメッキ技術を用いて成膜することによって形成してもよく、他の周知の積層技術、膜形成技術を用いることによって形成してもよい。なお、可溶導体13は、外層を構成する低融点金属を用いて、発熱体引出電極16及び電極12(A1),12(A2)へ、ハンダ接続することができる。 【0021】 なお、可溶導体13の酸化防止、及び可溶導体13の溶融時における濡れ性を向上させるために、可溶導体13上のほぼ全面にフラックス17を塗布してもよい。 【0022】 [第2の発熱体] 保護素子10は、絶縁基板11上に、これら電極12(A1),12(A2)、第1の発熱抵抗体14、絶縁部材15、発熱体引出電極16、及び発熱体電極18(P1),18(P2)が形成されるとともに可溶導体13が搭載されると、カバー部材19に覆われることによりその内部が保護される。 【0023】 カバー部材19は、保護素子10の側面を構成する側壁20と、保護素子10の上面を構成する天面部21とを有し、側壁20が絶縁基板11上に接続されることにより、保護素子10の内部を閉塞する蓋体となる。このカバー部材19は、上記絶縁基板11と同様に、たとえば、セラミックスやガラスエポキシ基板等の絶縁性を有する部材を用いて形成されている。 【0024】 側壁20は、基端部20aから天面部21に掛けて導通電極22が形成されている。導通電極22は、例えば、Cu、W、Mo、Au等公知の導電材料を用いることができる。また、導通電極22は、基端部20aの端面から臨まされている。そして、側壁20は、基端部20aが、導電性接着剤やハンダペースト等の接着剤23によって、発熱体電極18(P1),18(P2)に接続される。これにより、側壁20は、導通電極22が発熱体電極18(P1),18(P2)に電気的に接続されている。 【0025】 天面部21は、側壁20間に亘って第2の発熱抵抗体25が形成されている。第2の発熱抵抗体25は、上記第1の発熱抵抗体14と同様に、比較的抵抗値が高く通電すると発熱する導電性を有する部材であって、たとえばW、Mo、Ru等からなる。第2の発熱抵抗体25は、これらの合金あるいは組成物、化合物の粉状体を樹脂バインダ等と混合して、ペースト状にしたものを天面部21上にスクリーン印刷技術を用いてパターン形成して、焼成する等によって形成する。第2の発熱抵抗体25は、天面部21上に形成された後、さらにカバー部材19を構成する絶縁部材が積層されることにより、天面部21に内蔵される。また、第2の発熱抵抗体25は、カバー部材19が絶縁基板11上を覆うことにより、発熱体引出電極16と対向する位置に形成されている。 【0026】 また、第2の発熱抵抗体25は、両端が側壁20に形成された導通電極22と接続されている。そして、天面部21は、発熱体電極18(P1),18(P2)及び導通電極22を介して第2の発熱抵抗体25が通電されることにより発熱する。したがって、保護素子10は、カバー部材19の天面部21側からも、可溶導体13を加熱することができる。 【0027】 また、天面部21は、可溶導体13と対向する内面21aに、カバー部電極26を形成することが好ましい。カバー部電極26は、第2の発熱抵抗体25と重畳する位置に形成されている。このカバー部電極26は、第1、第2の発熱抵抗体14,25が発熱し、可溶導体13が溶融されると、溶融導体が接触して濡れ広がることにより、溶融導体を保持する許容量を増加させることができる。 【0028】 このとき、保護素子10は、第2の発熱抵抗体25によってカバー部電極26も加熱されているため、第1の発熱抵抗体14の熱がカバー部電極26によって吸熱されることが無い。したがって、保護素子10は、カバー部電極26に確実に溶融導体を濡れ広がらせることができ、溢れた溶融導体による短絡を防止することができる。」 ウ「【0037】 以上のような構成からなるバッテリパック30において、本発明が適用された保護素子10は、図4に示すような回路構成を有する。すなわち、保護素子10は、発熱体引出電極16を介して直列接続された可溶導体13と、可溶導体13の接続点を介して通電して発熱することによって可溶導体13を溶融する第1の発熱抵抗体14と、第1の発熱抵抗体14と発熱体電極18(A1)及び導通電極22を介して通電して発熱することによって可溶導体13を溶融する第2の発熱抵抗体25とからなる回路構成である。また、保護素子10では、たとえば、可溶導体13が充放電電流経路上に直列接続され、第1、第2の発熱抵抗体14,25が電流制御素子37と接続される。保護素子10の2個の電極12のうち、一方は、A1に接続され、他方は、A2に接続される。また、発熱体引出電極16とこれに接続された発熱体電極18は、P1に接続され、他方の発熱体電極18は、P2に接続される。」 エ「【0039】 また、保護素子10は、発熱体引出電極16と対向してカバー部電極26が形成されているため、図5に示す発熱体引出電極16のみで溶融導体を保持する場合に比して、図6に示すように、溶融導体を保持する許容量を飛躍的に向上させることができる。このカバー部電極26は、天面部21に設けられた第2の発熱抵抗体25によって加熱されているため、可溶導体13の濡れ性を阻害することなく、充分に濡れ広がらせ、許容量を増大させることができる。」 オ「【図1】 [図:0001390575000011.jpg] 」 カ「【図2】 [図:0001390575000012.jpg] 」 キ「【図3】 [図:0001390575000013.jpg] 」 ク「【図4】 [図:0001390575000014.jpg] 」 ケ「【図5】 [図:0001390575000015.jpg] 」 コ「【図6】 [図:0001390575000016.jpg] 」 サ 引用文献4の段落【0018】、【0037】及び【図4】から、発熱体引出電極16は、第1の発熱抵抗体14と電気的に接続されていると認められる。 シ 引用文献4の段落【0014】及び【図1】から、可溶導体13は、発熱体引出電極16を介して電極12(A1)及び電極12(A2)間を接続していると認められる。 ス 引用文献4の段落【0027】、【図1】及び【図2】から、カバー部電極26は、発熱体引出電極16上に設けられており、可溶導体13が溶融した溶融導体が接触して濡れ広がることにより溶融導体を保持すると認められる。 セ 引用文献4の段落【0023】、【図1】及び【図2】から、カバー部材19は、絶縁基板11の可溶導体13が搭載された表面を覆うと認められる。 ソ 引用文献4の段落【0027】、【図1】及び【図2】から、カバー部電極26はカバー部材19の天面部21の内面21aに形成されていると認められる。そして、引用文献4の段落【0023】から、カバー部材19はセラミックスやガラスエポキシ基板等の絶縁性を有する部材を用いて形成されていると認められ、引用文献4の段落【0027】から、カバー部電極26は可溶導体13が溶融した溶融導体が接触して濡れ広がることにより溶融導体を保持するものであると認められるところ、カバー部材19とカバー部電極26は性質が異なるのであるから、両者は別の材料で形成されていると認められるため、カバー部電極26は、カバー部材19の天面部21の内面21aを基準として厚みが零ということはなく、少なくともいくらかの厚みを有するものと認められる。 そうすると、カバー部電極26は、カバー部材19の天面部21の内面21aを基準として少なくともいくらかの厚みを有するのであるから、カバー部電極26は、カバー部材19の天面部21から内部に突出して設けられ、カバー部材19の天面部21に比べて発熱体引出電極16に近接していると認められる。 上記ア~コの摘記事項、及び、上記サ~ソの認定事項からみて、引用文献4には、以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されているといえる。 【引用発明4】 「絶縁基板11と、 絶縁基板11に設けられた電極12(A1)及び電極12(A2)と、 絶縁基板11に積層された第1の発熱抵抗体14と、 第1の発熱抵抗体14と電気的に接続された発熱体引出電極16と、 発熱体引出電極16を介して電極12(A1)及び電極12(A2)間を接続する可溶導体13と、 発熱体引出電極16上に設けられており、可溶導体13が溶融した溶融導体が接触して濡れ広がることにより溶融導体を保持するカバー部電極26と、 絶縁基板11の可溶導体13が搭載された表面を覆うカバー部材19を備え、 カバー部電極26は、カバー部材19の天面部21から内部に突出して設けられ、カバー部材19の天面部21に比べて発熱体引出電極16と近接している保護素子10。」 2 対比・判断 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と引用発明1とを対比する。 引用発明1の「基板210」は、本件発明1の「絶縁基板」に相当する。 引用発明1の「第1電極220及び第2電極230」は、本件発明1の「第1、第2の電極」に相当する。 引用発明1の「発熱素子260」は、本件発明1の「発熱体」に相当し、引用発明1の「基板210の第1表面S1に配置された発熱素子260」は、本件発明1の「上記絶縁基板に形成された発熱体」に相当する。 引用発明1の「中間支持部242」は、本件発明1の「発熱体引出電極」に相当し、引用発明1の「発熱素子260と第2延在部244及び本体部246を介して電気的に接続されている中間支持部242」は、本件発明1の「上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極」に相当する。 引用発明1の「金属素子280」は、融解するものであるので、本件発明1の「可溶導体」に相当し、引用発明1の「中間支持部242を介して第1電極220及び第2電極230間を接続する金属素子280」は、本件発明1の「上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体」に相当する。 引用発明1の「中間支持部242に固定され」ることは、本件発明1の「上記発熱体引出電極上に設けられ」ることに相当し、引用発明1の「融解した金属素子280に対して良好なぬれ性及び吸収性を有する外側のめっきを有」することは、融解した金属素子280が外表面をぬれ拡がる構成であるので、本件発明1の「上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡が」ることに相当し、引用発明1の「融解した金属素子280を吸着する」ことは、本件発明1の「溶融体」を「保持する」ことに相当するため、引用発明1の「中間支持部242に固定され、融解した金属素子280に対して良好なぬれ性及び吸収性を有する外側のめっきを有し、融解した金属素子280を吸着する橋絡素子290」は、本件発明1の「上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材」に相当する。 引用発明1の「橋絡素子290は、中間支持部242に、金属素子280を横切って跨りつつ第1端部292a及び第2端部292bを溶接して固定され、第2補助媒体275が橋絡素子290と金属素子280との間に配置されて」いることは、本件発明1の「上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている」こととの関係において、「上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、搭載されている」限りにおいて一致する。 引用発明1の「保護装置200c」は、本件発明1の「保護素子」に相当する。 以上のとおりであるから、本件発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。 【一致点1】 「絶縁基板と、 上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、 上記絶縁基板に形成された発熱体と、 上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、 上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体と、 上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材とを備え、 上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、搭載されている保護素子。」 【相違点1】 本件発明1では、「上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている」のに対し、 引用発明1では、「橋絡素子290は、中間支持部242に、金属素子280を横切って跨りつつ第1端部292a及び第2端部292bを溶接して固定され、第2補助媒体275が橋絡素子290と金属素子280との間に配置されて」いる点。 イ 判断 上記相違点1について検討する。 まず、令和4年6月21日提出の意見書を踏まえ、上記相違点1に係る本件発明1の構成について検討する。 本件特許の明細書の段落【0037】には、「なお、第1、第2の可溶導体31,32は、発熱体引出電極16及び第1、第2の電極11,12へ、ハンダ等により接続されている。」と記載されている。また、本件特許の明細書の段落【0040】には、「保持部材24は、熱硬化性の接着剤や、ハンダその他の低融点金属ペースト等の接続材料25によって発熱体引出電極16に搭載されている。」と記載されている。 ここで、本件特許の明細書の段落【0040】には、「接続材料25としてハンダ等の導通性を有する材料を用いることにより、第1、第2の可溶導体31,32を発熱体引出電極16に接続する接続材料としても用いることができる。」とも記載されているところ、上記段落【0037】の記載に照らせば、当該段落【0040】の記載は、接続材料25としてハンダ等の導通性を有する材料を用いることにより、接続材料25を、保持部材24を発熱体引出電極16に接続する接続材料として用いることができるし、第1、第2の可溶導体31,32を発熱体引出電極16に接続する接続材料としても用いることができるということを意味すると認められ、接続材料25として第1、第2の可溶導体31,32を用いることができることを意味するとは認められない。 次に、本件発明1では、「接続材料によって」「保持部材」が「発熱体引出電極」に「接続されることにより搭載されている」ところ、引用発明1では、「橋絡素子290は、中間支持部242に、金属素子280を横切って跨りつつ第1端部292a及び第2端部292bを溶接して固定され、第1補助媒体270が金属素子280の下方に配置され、第2補助媒体275が橋絡素子290と金属素子280との間に配置されて」おり、「橋絡素子290は」「金属素子280を横切って跨」るのであるから、金属素子280によって、橋絡素子290が中間支持部242に接続されることにより搭載されるものではないため、引用発明1の「金属素子280」は、本件発明1の「接続材料」に相当するとはいえない。 また、引用発明1の「第1補助媒体275」は、引用文献1の段落【0037】の「・・・第2補助媒体275を、橋絡素子290と金属素子280との間に構成して、融解した金属素子280の流れを導く媒体としての機能を果たすことができる。」との記載に照らせば、融解した金属素子280の流れを導くための媒体であり、第1補助媒体275によって、橋絡素子290が中間支持部242に接続されることにより搭載されるものではないため、引用発明1の「第1補助媒体275」は、本件発明1の「接続材料」に相当するとはいえない。 そうすると、本件発明1の「接続材料」が可溶導体を含むものを意味するとは認められず、引用発明1の「金属素子280」及び「第1補助媒体275」は、本件発明1の「接続材料」に相当するものでもないため、引用発明1が「上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている」との構成を有するとは認められない。 したがって、本件発明1は、引用発明1であるとはいえない。 さらに、引用文献2~4は、「上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている」との構成を開示するものではないし、他に「上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている」との構成が本件特許の出願前に周知技術であったとする証拠もないことから、引用発明1を相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことということはできない。 以上のとおりであるから、本件発明1は、引用発明1ではなく、また、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2について ア 対比 引用発明1の「橋絡素子290は、中間支持部242に、金属素子280を横切って跨りつつ第1端部292a及び第2端部292bを溶接して固定することにより搭載され」ることは、本件発明1の「上記保持部材は、上記発熱体引出電極に搭載され」ることに相当する。 引用発明1の「金属素子280の左半分」は、本件発明2の「第1の可溶導体」に相当し、引用発明1の「金属素子280の右半分」は、本件発明2の「第2の可溶導体」に相当する。 引用発明1の「第1電極220から中間支持部242にわたって搭載された金属素子280の左半分と、第2電極230から中間支持部242にわたって搭載された金属素子280の右半分とを備える」ことは、本件発明2の「上記可溶導体は、上記第1の電極から上記発熱体引出電極にわたって搭載された第1の可溶導体と、上記第2の電極から上記発熱体引出電極にわたって搭載された第2の可溶導体とを備え、上記第1の可溶導体と上記第2の可溶導体が上記発熱体引出電極上において互いに離間している」こととの関係において、「上記可溶導体は、上記第1の電極から上記発熱体引出電極にわたって搭載された第1の可溶導体と、上記第2の電極から上記発熱体引出電極にわたって搭載された第2の可溶導体とを備え」る限りにおいて一致する。 そして、上記(1)アの本件発明1と引用発明1との相当関係を踏まえると、本件発明2と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。 【一致点2】 「絶縁基板と、 上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、 上記絶縁基板に形成された発熱体と、 上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、 上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体と、 上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材とを備え、 上記保持部材は、上記発熱体引出電極に搭載され、 上記可溶導体は、上記第1の電極から上記発熱体引出電極にわたって搭載された第1の可溶導体と、上記第2の電極から上記発熱体引出電極にわたって搭載された第2の可溶導体とを備える保護素子。」 【相違点2】 本件発明2では、「上記第1の可溶導体と上記第2の可溶導体が上記発熱体引出電極上において互いに離間している」のに対し、 引用発明1では、そのように特定されていない点。 イ 判断 上記相違点2について検討する。 まず、引用発明1は、「上記第1の可溶導体と上記第2の可溶導体が上記発熱体引出電極上において互いに離間している」との構成を有しないため、本件発明2は、引用発明1であるとはいえない。 ここで、申立人の提出した甲第2号証には、段落【0028】~【0043】、【図3】及び【図13】の記載から、絶縁性の基板1と、基板1の一方の主表面上に設けられた電極膜3と、基板1の他方の主表面上に設けられ、電流が流れることによって発熱するヒータ導体4と、電極膜3に近接して設けられ、それぞれが所定の電子回路に接続された一方の主配線導体2および他方の主配線導体2と、一方の主配線導体2と電極膜3とを電気的に接続する一方の低融点導体5と、他方の主配線導体2と電極膜3とを電気的に接続する他方の低融点導体5とを備え、遮断指令が出されるとヒータ導体4の温度上昇により低融点金属導体5が溶融し、基板1、電極膜3及びヒータ導体4が一体となって重力にしたがって落下する遮断機構10であって、一方の低融点導体5と他方の低融点導体5とが離間して設けられているものが記載されていると認められる。 また、申立人が令和 4年 6月21日に意見書の中で言及した特許5656466号公報(以下、「意見書言及公報」という。)には、段落【0035】及び【図1】~【図7】から、半田ペースト116が均一な層厚となるように、絶縁膜117で仕切られた2つの離間した配置位置116a、116bに、ヒューズ101として機能する半田ペースト116とヒューズ102として機能する半田ペースト116とを配置した保護素子100が記載されていると認められる。 他方で、引用発明1の「保護装置200c」は、発熱素子260が熱を発生させて金属素子280を融解させると、表面張力及びウィッキング現象により、融解した金属素子280が橋絡素子290及び中間支持部242に向かって流れることで回路を遮断するものであるが、甲第2号証に記載された「遮断機構10」は、重力を利用して回路を遮断するものであり、引用発明1の「保護装置200c」とは、装置の具体的構成も動作原理も異なるため、引用発明1に甲第2号証に記載されたものを適用する動機付けがなく、意見書言及公報に記載された「保護素子100」は、絶縁膜で仕切られた2つの配置位置に2つの金属素子を配置するものであるが、橋絡素子を有するものではなく、融解した金属素子が橋絡素子及び中間支持部に向かって流れることで回路を遮断するものではないため、引用発明1に意見書言及公報に記載されたものを適用する動機付けがない。 さらに、引用文献2~4は、「上記第1の可溶導体と上記第2の可溶導体が上記発熱体引出電極上において互いに離間している」との構成を開示するものではないし、他に「上記第1の可溶導体と上記第2の可溶導体が上記発熱体引出電極上において互いに離間している」との構成が本件特許の出願前に周知技術であったとする証拠もないことから、引用発明1を相違点2に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことということはできない。 以上のとおりであるから、本件発明2は、引用発明1ではなく、また、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明4~6、9について 本件特許の請求項4~6、9は、請求項1を引用するものであって、本件発明4~6、9は、本件発明1の発明特定事項の全てを含むものである。 そして、上記(1)で述べたとおり、本件発明1が引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明ということはできないのであるから、本件発明4~6、9が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではないことが明らかである。 (4)本件発明3、7~8、11~14について 本件発明3、7~8、11~14は、本件発明2を引用するものであって、本件発明2の発明特定事項の全てを含むものである。 そして、上記(2)で述べたとおり、本件発明2が引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明ということはできないのであるから、本件発明3、7~8、11~14が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではないことが明らかである。 (5)本件発明10について ア 対比 本件発明10と引用発明4とを対比する。 引用発明4の「絶縁基板11」は、本件発明10の「絶縁基板」に相当する。 引用発明4の「電極12(A1)及び電極12(A2)」は、本件発明10の「第1、第2の電極」に相当する。 引用発明4の「第1の発熱抵抗体14」は、本件発明10の「発熱体」に相当するため、引用発明4の「絶縁基板11に積層された第1の発熱抵抗体14」は、本件発明10の「上記絶縁基板に形成された発熱体」に相当する。 引用発明4の「発熱体引出電極16」は、本件発明10の「発熱体引出電極」に相当する。 引用発明4の「可溶導体13」は、本件発明10の「可溶導体」に相当する。 引用発明4の「可溶導体13が溶融した溶融導体が接触して濡れ広がることにより溶融導体を保持する」ことは、本件発明10の「上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する」ことに相当し、このように機能が共通することから、引用発明4の「カバー部電極26」は、本件発明10の「保持部材」に相当する。 引用発明4の「カバー部材19」は、本件発明10の「ケース」に相当する。 引用発明4の「カバー部電極26は、カバー部材19の天面部21から内部に突出して設けられ、カバー部材19の天面部21に比べて発熱体引出電極16と近接している」ことは、本件発明10の「上記保持部材は、上記ケースの天面から内部に突出して設けられ、上記発熱体引出電極と接している」こととの関係において、「上記保持部材は、上記ケースの天面から内部に突出して設けられている」限りにおいて一致する。 引用発明4の「保護装置10」は、本件発明10の「保護素子」に相当する。 以上のとおりであるから、本件発明10と引用発明4との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。 【一致点3】 「絶縁基板と、 上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、 上記絶縁基板に形成された発熱体と、 上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、 上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体と、 上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材と、 上記絶縁基板の上記可溶導体が搭載された表面を覆うケースを備え、 上記保持部材は、上記ケースの天面から内部に突出して設けられている保護素子。」 【相違点3】 本件発明10では、「上記保持部材は、上記ケースの天面から内部に突出して設けられ、上記発熱体引出電極と接している」のに対し、 引用発明4では、「カバー部電極26は、カバー部材19の天面部21から内部に突出して設けられ、カバー部材19の天面部21に比べて発熱体引出電極16と近接している」点。 イ 判断 上記相違点3について検討する。 引用発明4では、「カバー部電極26は、カバー部材19の天面部21から内部に突出して設けられ、カバー部材19の天面部21に比べて発熱体引出電極16と近接して」おり、「カバー部電極26」は「発熱体引出電極16」と接しているものではない。 したがって、本件発明10は、引用発明4であるとはいえない。 さらに、引用文献1~3は、「カバー部電極26は、カバー部材19の天面部21から内部に突出して設けられ、カバー部材19の天面部21に比べて発熱体引出電極16と近接している」との構成を開示するものではないし、他に「カバー部電極26は、カバー部材19の天面部21から内部に突出して設けられ、カバー部材19の天面部21に比べて発熱体引出電極16と近接している」との構成が本件特許の出願前に周知技術であったとする証拠もないことから、引用発明4を相違点3に係る本件発明10の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことということはできない。 以上のとおりであるから、本件発明10は、引用発明4ではなく、また、引用発明4に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 申立人の意見について (1)申立人の意見の内容 申立人は、令和 4年 6月21日に意見書を提出した上で、当該意見書において以下のア及びイのように主張している。 ア 本件発明1について (ア)明確性要件違反について 本件訂正により、特許請求の範囲の請求項1が「絶縁基板と、上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、上記絶縁基板に形成された発熱体と、上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、上記発熱体引出電極を介して上記第1、第2の電極間を接続する可溶導体と、上記発熱体引出電極上に設けられ、上記可溶導体が溶融した溶融体が濡れ拡がり保持する保持部材とを備え、上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている保護素子。」と訂正されたが、「上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって」との記載は、「長手方向」を一義的に定めることができないうえ、「長手方向の略全長」とは、全長なのかそれよりも短いのか長いのか、当業者においても把握できないため、不明確である(第2頁第7~20行。)。 (イ)新規性及び進歩性欠如について 本件発明1の「上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている」との構成に関し、本件特許の明細書段落【0040】の記載に照らすと、「接続材料」には可溶導体そのものも含まれうる。 そうすると、本件発明1の「接続材料」は、引用文献1における「第2補助媒体275」ないし「金属素子280」に相当し、本件発明1の「上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている」との構成は、引用文献1に記載されていることになり、本件発明1は、引用文献1に記載された発明であり、あるいは引用発明1から容易に想到し得たものである(第2頁第21行~第5頁第5行。)。 イ 本件発明2について 本件発明2の「上記第1の可溶導体と上記第2の可溶導体が上記発熱体引出電極上において互いに離間している」との構成に関し、甲第2号証及び意見書言及公報(特許5656466号公報)の記載に照らせば、可溶導体を一体とするか、発熱体引出電極上において2つに分離するかは設計事項であり、周知技術にすぎず、引用発明1に周知技術である甲第2号証に記載された構成等を適用して本件発明2とすることは、当業者が容易に想到し得たことである(第5頁第6行~第8頁第4行。)。 (2)申立人の意見についての検討 上記申立人の主張について検討する。 ア 本件発明1について (ア)明確性要件違反について 一般的に「長手」とは、「長めなこと。長い方のもの。」(広辞苑第六版)を意味し、一般的に「略」とは、「おおかた。およそ。」(広辞苑第六版)を意味することを考慮すると、「発熱体引出電極」の形状が特定されれば、自ずから、「発熱体引出電極の長手方向」と「略全長」は特定できるといえ、当該記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確とはいえない。 よって、上記申立人の主張を採用することはできない。 (イ)新規性及び進歩性欠如について 上記2(1)イに記載したように、本件発明1の「接続材料」が可溶導体を含むものを意味するとは認められず、引用発明1の「金属素子280」及び「第1補助媒体275」は、本件発明1の「接続材料」に相当するものでもないため、引用発明1が「上記保持部材は、上記発熱体引出電極に、接続材料によって上記発熱体引出電極の長手方向の略全長にわたって接続されることにより搭載されている」との構成を有するとは認められない。 よって、上記申立人の主張を採用することはできない。 イ 本件発明2について 上記2(2)イに記載したように、引用発明1の「保護装置200c」は、発熱素子260が熱を発生させて金属素子280を融解させると、表面張力及びウィッキング現象により、融解した金属素子280が橋絡素子290及び中間支持部242に向かって流れることで回路を遮断するものであるが、甲第2号証に記載された「遮断機構10」は、重力を利用して回路を遮断するものであり、引用発明1の「保護装置200c」とは、装置の具体的構成も動作原理も異なるため、引用発明1に甲第2号証に記載されたものを適用する動機付けがなく、意見書言及公報に記載された「保護素子100」は、絶縁膜で仕切られた2つの配置位置に2つの金属素子を配置するものであるが、橋絡素子を有するものではなく、融解した金属素子が橋絡素子及び中間支持部に向かって流れることで回路を遮断するものではないため、引用発明1に意見書言及公報に記載されたものを適用する動機付けがない。 よって、上記申立人の主張を採用することはできない。 したがって、申立人の意見を採用することはできない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件発明1~14に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の発明ではなく同法同条第2項の規定により特許を受けることができない発明でもないから同法第113条第2号に該当しないので、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。 また、他に本件発明1~14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-701175

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