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特許異議申立

2024-700135

複数素子ヒューズ

審判番号
2024-700135
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-511796
登録番号
7326676
請求日
2024年02月15日
審決日
2025年10月17日
公報発行日
2026年01月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】リテルフューズ、インコーポレイテッド
  • 【権利者代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
  • 【異議申立人】横沢 聡
審判長/審判官
  • 審判長 石井 孝明
  • 審判官 中屋 裕一郎
  • 審判官 岩瀬 昌治
分類
P1652.113-YAA(H01H) / P1652.121-YAA(H01H) / P1652.536-YAA(H01H) / P1652.537-YAA(H01H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7326676号発明「複数素子ヒューズ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7326676号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1~9〕、〔10~15〕、17について訂正することを認める。 特許第7326676号の請求項1、3~11、14、15、17に係る特許を維持する。 特許第7326676号の請求項2、12、13に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7326676号(以下「本件特許」という。)の請求項1~18に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)9月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年9月25日、(US)米国)を国際出願日とする出願であって、令和5年8月7日に特許権の設定登録がされ、同年8月16日に特許掲載公報が発行された。 その後、特許異議申立人 横沢 聡(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~15、17に係る特許に対して特許異議の申立てがされた。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和6年 2月15日 申立人による特許異議の申立て 同年 5月 1日付け 取消理由通知 同年 8月 5日 特許権者による訂正請求書及び意見書の提出 同年 9月30日 特許権者による手続補正書の提出 同年10月23日付け 訂正請求があった旨の通知 同年12月 4日 申立人による意見書の提出 令和7年 1月31日付け 取消理由通知(決定の予告) 同年 5月 1日 特許権者による訂正請求書及び意見書の提出 同年 6月 9日 特許権者による手続補正書の提出 同年 7月11日付け 訂正請求があった旨の通知 同年 8月12日 申立人による意見書の提出 なお、令和6年9月30日に提出された手続補正書により補正された同年8月5日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、令和7年6月9日に提出された手続補正書により補正された同年7年5月1日に提出された訂正請求書による訂正の請求がされたため、取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。 第2 本件訂正による訂正の適否 1 本件訂正の内容について 令和7年6月9日に提出された手続補正書により補正された同年7年5月1日に提出された訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~15、17について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下の訂正事項1~13を含むものである(下線部が訂正箇所である。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1における「前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させるリンク素子を更に備える、複数素子ヒューズ。」という事項を「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成され、前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させるリンク素子を更に備え、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、 内表面及び外表面を含む端子本体であって、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している、端子本体と、 前記端子本体を通って形成された開口と、を含む、複数素子ヒューズ。」に訂正する。 (訂正後の請求項1を引用する訂正後の請求項4~9についても同様に訂正する) (2)訂正事項2 請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「前記端子本体が、前記内表面及び前記外表面を接続する縁部を更に含み、前記リンク素子は、前記縁部と一体的に形成されている、請求項2に記載の複数素子ヒューズ。」と記載されているのを、 「複数素子ヒューズであって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子と、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子と、を備え、前記第1の端子対が、前記第2の端子対と直接物理的に結合されており、 前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させるリンク素子を更に備え、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、 内表面及び外表面を含む端子本体であって、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している、端子本体と、 前記端子本体を通って形成された開口と、を含み、 前記端子本体が、前記内表面及び前記外表面を接続する縁部を更に含み、前記リンク素子は、前記縁部と一体的に形成されている、複数素子ヒューズ。」と訂正する。 (訂正後の請求項3を直接的または間接的に引用する訂正後の請求項4~9についても同様に訂正する) (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3の何れか一項に記載の複数素子ヒューズ。」と記載されているのを、「請求項1または3に記載の複数素子ヒューズ。」と訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4の何れか一項に記載の複数素子ヒューズ。」と記載されているのを、「請求項1または3または4に記載の複数素子ヒューズ。」と訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6の何れか一項に記載の複数素子ヒューズ。」と記載されているのを、「請求項1、または3~6の何れか一項に記載の複数素子ヒューズ。」と訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7の何れか一項に記載の複数素子ヒューズ。」と記載されているのを、「請求項1、または3~7の何れか一項に記載の複数素子ヒューズ。」と訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8の何れか一項に記載の複数素子ヒューズ。」と記載されているのを、「請求項1、または3~8の何れか一項に記載の複数素子ヒューズ。」と訂正する。 (9)訂正事項9 請求項10の「リンク素子を使用して、前記第1の端子対を前記第2の端子対に接続することを更に含む、方法。」と記載されているのを、「リンク素子を使用して、前記第1の端子対を前記第2の端子対に接続することを更に含み、 前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が各々、同一平面に沿って延在する内表面を含み、前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が、前記リンク素子によって接続され、 前記方法は、 前記第2のヒューズ素子に隣接する前記第1のヒューズ素子を提供することと、 前記リンク素子を屈曲させて、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させることにより、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を、前記第2のヒューズ素子の前記内表面に直接結合することと、を更に含む、方法。」と訂正する。 (訂正後の請求項10を引用する請求項11、14及び15についても同様に訂正する) (10)訂正事項10 請求項12を削除する。 (11)訂正事項11 請求項13を削除する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項15に「請求項10~14の何れか一項に記載の方法。請求項10~14の何れか一項に記載の方法。」と記載されているのを、「請求項10または11または14に記載の方法。」と訂正する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項17における「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成されたリンク素子を更に備える、複数素子ヒューズ。」と記載されているのを、「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成されたリンク素子を更に備え、 前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している、複数素子ヒューズ。」と訂正する。 2 一群の請求項について 訂正前の請求項2~9は、訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用している。したがって、訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 また、訂正前の請求項11~15は、訂正前の請求項10を直接的又は間接的に引用している。したがって、訂正前の請求項10~15に対応する訂正後の請求項10~15は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 3 訂正の適否に関する当審における判断 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1における「リンク素子」に対して、「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成され」るという発明特定事項を直列的に付加し、「第1の端子対」と「第2の端子」に対して、「前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、内表面及び外表面を含む端子本体であって、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している、端子本体と、前記端子本体を通って形成された開口と、を含む」という発明特定事項を直列的に付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 次に、「リンク素子」が「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成され」るという事項は、本件特許の願書に添付された明細書の段落【0026】(「第1の端子対104A~B及び第2の端子対112A~Bと一体的に形成される1つ以上のリンク素子118」との記載)、段落【0041】の「項目19」に記載されており、本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲、及び図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載された事項といえる。 また、「前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、内表面及び外表面を含む端子本体であって、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している、端子本体と、前記端子本体を通って形成された開口と、を含む」という事項は、訂正前の請求項2に記載されている。そして、本件特許明細書等には、「第1及び第2のヒューズ素子102、110は、図5に示されるようにリンク素子118を折り畳むことによって重ね合わされてもよい」(段落【0031】)との記載があり、図5に示されたリンク素子118を折り畳む途中の様子、並びに図1及び2に示されたリンク素子118を折り畳んで得られた複数素子ヒューズの様子からみて、リンク素子118を折り畳んだ結果、第1の端子対の内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、互いに平行となり、かつ互いに接触することが理解できる。そうすると、第1の端子対の内表面と第2の端子対の内表面とが、「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより」、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触しているという事項は、本件特許明細書等に記載されているに等しいといえる。 したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 そして、訂正事項1は、上記のとおり、発明特定事項を直列的に付加するものであり、また、発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である そして、訂正事項2は、請求項2を削除するものにすぎないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合し、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の請求項1を間接的に引用し、訂正前の請求項2を直接的に引用する訂正前の請求項3を、独立形式の請求項とするとともに、訂正前の請求項2の「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している」という発明特定事項を「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している」とすることでさらに限定し、訂正後の請求項3に訂正するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであると同時に、同条同項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 次に、「複数素子ヒューズであって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子と、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子と、を備え、前記第1の端子対が、前記第2の端子対と直接物理的に結合されており、 前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させるリンク素子を更に備え」という発明特定事項は、訂正前の請求項1に、 「前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、 内表面及び外表面を含む端子本体であって、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している、端子本体と、 前記端子本体を通って形成された開口と、を含み、」という発明特定事項は、訂正前の請求項2に、それぞれ記載されており、上記(1)で述べたとおり、第1の端子対の内表面と第2の端子対の内表面とが、「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより」、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触しているという事項は、本件特許明細書等に記載されているに等しい事項といえる。よって、訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 そして、訂正事項3は、上述のとおり、他の請求項を引用する形式で記載されていた請求項を、独立形式の請求項とした上で、発明特定事項をさらに限定したものにすぎず、また、発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、訂正前の請求項4が訂正前の請求項1~3を引用していたところを、訂正後の請求項4においてその引用する請求項を1又は3のみとし、引用請求項の数を削減するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 次に、訂正事項4は、上述のとおり、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものにすぎないから、件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合し、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (5)訂正事項5~8について 訂正事項5~8は、上記(4)の訂正事項4と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合し、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (6)訂正事項9について 訂正事項9は、訂正前の請求項10における「第1のヒューズ素子」と「第2のヒューズ素子」に対して、「前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が各々、同一平面に沿って延在する内表面を含み、前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が、前記リンク素子によって接続され」という発明特定事項を直列的に付加し、訂正前の請求項10に係る方法に対して、その方法が「前記第2のヒューズ素子に隣接する前記第1のヒューズ素子を提供することと、前記リンク素子を屈曲させて、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させることにより、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を、前記第2のヒューズ素子の前記内表面に直接結合することと、を含む」という発明特定事項を直列的に付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 次に、「前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が各々、同一平面に沿って延在する内表面を含み、前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が、前記リンク素子によって接続され」という事項、方法が「前記第2のヒューズ素子に隣接する前記第1のヒューズ素子を提供すること」及び「前記第1のヒューズ素子の前記内表面を、前記第2のヒューズ素子の前記内表面に直接結合すること」を含むという事項は、訂正前の請求項12に記載されている。次に、方法が、「前記リンク素子を屈曲させて、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させる」ことを含むという事項は、訂正前の請求項13に記載されている。そして、前記リンク素子を屈曲させて、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させる「ことにより」、前記第1のヒューズ素子の前記内表面が前記第2のヒューズ素子の前記内表面に直接結合されることは、本件特許明細書の段落【0029】~【0031】、図3~5に記載されているヒューズ100を形成する方法から明らかである。したがって、訂正事項9は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 そして、訂正事項9は、上記のとおり、発明特定事項を直列的に付加するものであり、また、発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (7)訂正事項10、及び11について 訂正事項10は請求項12を、訂正事項11は請求項13をそれぞれ削除するものであり、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 そして、訂正事項10及び11は、請求項を削除するものにすぎないから、いずれも本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合し、また、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (8)訂正事項12について 訂正事項12は、上記(4)の訂正事項4と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合し、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 (9)訂正事項13について 訂正事項13は、訂正前の請求項17に係る発明に対して、「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している」という発明特定事項を直列的に付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 次に、「前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している」という事項は、訂正前の請求項2に記載されており、上記(1)で論じたことと同様に、「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより」、前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触しているという事項も、本件特許明細書等に記載されているに等しいといえるから、訂正事項13は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。 そして、訂正事項13は、上記のとおり、発明特定事項を直列的に付加するものであり、また、発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 4 訂正の適否についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、〔10~15〕、17について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1~15、17に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」等といい、総称して「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~15、17に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 複数素子ヒューズであって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子と、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子と、を備え、前記第1の端子対が、前記第2の端子対と直接物理的に結合されており、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成され、前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させるリンク素子を更に備え、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、 内表面及び外表面を含む端子本体であって、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している、端子本体と、 前記端子本体を通って形成された開口と、を含む、複数素子ヒューズ。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 複数素子ヒューズであって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子と、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子と、を備え、前記第1の端子対が、前記第2の端子対と直接物理的に結合されており、 前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させるリンク素子を更に備え、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、 内表面及び外表面を含む端子本体であって、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している、端子本体と、 前記端子本体を通って形成された開口と、を含み、 前記端子本体が、前記内表面及び前記外表面を接続する縁部を更に含み、前記リンク素子は、前記縁部と一体的に形成されている、複数素子ヒューズ。 【請求項4】 前記第1の可融性リンク及び前記第2の可融性リンクが、互いに平行に延在する、請求項1または3に記載の複数素子ヒューズ。 【請求項5】 前記第1の可融性リンクが、前記第1の端子対に接続された第1の組のショルダ領域を含み、前記第2の可融性リンクが、前記第2の端子対に接続された第2の組のショルダ領域を含む、請求項1または3または4に記載の複数素子ヒューズ。 【請求項6】 前記第1の組及び第2の組のショルダ領域が、湾曲形状を有する、請求項5に記載の複数素子ヒューズ。 【請求項7】 前記第1の端子対及び前記第1の可融性リンクが、異なる平面に沿って互いに平行に延在する、請求項1、または3~6の何れか一項に記載の複数素子ヒューズ。 【請求項8】 前記第2の端子対及び前記第2の可融性リンクが、異なる平面に沿って互いに平行に延在する、請求項1、または3~7の何れか一項に記載の複数素子ヒューズ。 【請求項9】 第3の可融性リンクによって接合された第3の端子対を更に備え、前記第3の端子対が、前記第1の端子対及び前記第2の端子対のうちの少なくとも1つと直接物理的に結合される、請求項1、または3~8の何れか一項に記載の複数素子ヒューズ。 【請求項10】 複数素子ヒューズを形成する方法であって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子を提供することと、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子を提供することと、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が、異なる平面に沿って互いに平行に配向されるように、前記第1の端子対を前記第2の端子対に直接結合することと、を含み、 リンク素子を使用して、前記第1の端子対を前記第2の端子対に接続することを更に含み、 前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が各々、同一平面に沿って延在する内表面を含み、前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が、前記リンク素子によって接続され、 前記方法は、 前記第2のヒューズ素子に隣接する前記第1のヒューズ素子を提供することと、 前記リンク素子を屈曲させて、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させることにより、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を、前記第2のヒューズ素子の前記内表面に直接結合することと、を更に含む、方法。 【請求項11】 前記第1のヒューズ素子の上に前記第2のヒューズ素子を積み重ねることを更に含む、請求項10に記載の方法。 【請求項12】 (削除) 【請求項13】 (削除) 【請求項14】 前記第1の端子対に接続された第1の組のショルダ領域を有する第1の可融性リンクと、前記第2の端子対に接続された第2の組のショルダ領域を有する第2の可融性リンクを提供することと、 前記第1の端子対及び前記第1の可融性リンクが、異なる平面に沿って互いに平行に延在し、前記第2の端子対及び前記第2の可融性リンクが、異なる平面に沿って互いに平行に延在するように、前記第1の組及び第2の組のショルダ領域を屈曲させることと、を更に含む、請求項10に記載の方法。 【請求項15】 第3の可融性リンクによって接合された第3の端子対を提供することを更に含み、前記第3の端子対が、前記第1の端子対及び前記第2の端子対のうちの少なくとも1つと直接物理的に結合される、請求項10または11または14に記載の方法。」 「【請求項17】 複数素子ヒューズであって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子と、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子と、を備え、前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、内表面及び外表面を含み、前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、平行であり、かつ互いに直接物理的に接触しており、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成されたリンク素子を更に備え、 前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している、複数素子ヒューズ。」 第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 1 取消理由通知(決定の予告)の概要 本件訂正前の本件特許の各請求項に係る特許に対して、当審合議体が令和7年1月31日付け取消理由通知(決定の予告)により特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 ・取消理由1(新規性)について 本件訂正前の本件特許の請求項1、4~9、17に係る発明は、本件特許の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 ・取消理由2(進歩性)について 本件訂正前の本件特許の請求項1、4~9、17に係る発明は、本件特許の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 ・取消理由3(サポート要件)について 本件訂正前の本件特許の請求項1、3~9、17に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないため、その発明に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 甲第1号証:特開2012-43573号公報 なお、当該甲第1号証は、申立人が提出した甲第1号証であり、以下「甲1」という。 2 甲1について (1)甲1の記載 甲1には次の記載がある(下線は当審にて付したもの。以下、同じ。)。 「【技術分野】 【0001】 この発明は、本発明は、インバータ等の電子回路などを保護するための速断ヒューズに関するものであり、特に、筒形ヒューズにおける可溶体の張架方法に特徴を有する速断ヒューズに関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、両端に金属キャップを被着した筒内に可溶体を張架した筒形ヒューズが知られている。このような筒形ヒューズにおいては、一般的に、筒の両端に被着した中キャップの内周縁に可溶体を溶接して張架するようにしている(例えば、特許文献1参照)。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし、上記した従来の技術では、可溶体を溶接して張架していたため、作業性が悪く、また、作業コストが高くなってしまうという問題があった。また、作業者の熟練度によっては、溶接する際に可溶体が延びてしまうことがあり、可溶体の特性が変わってしまうことがあった。このため、ヒューズの信頼性が下がってしまうという問題があった。 【0005】 そこで、本発明は、可溶体の溶接や半田付けが不要な速断ヒューズを提供することを課題とする。」 「【0020】 本実施形態に係る速断ヒューズ10は、図1に示すように、筒状のカバー体11の両端にそれぞれ可溶体保持部20が設けられている。この可溶体保持部20は、カバー体11の端部に圧入固定されたキャップ24によりカバー体11に対して固定されている。この可溶体保持部20は、カバー体11の内部において可溶体12を張架するためのものである。 【0021】 すなわち、図2に示すように、可溶体保持部20は、それぞれ一対の補助端子21からなり、この一対の補助端子21の間に前記可溶体12の端部15を挟み込んで保持することで、カバー体11の内部において可溶体12を張架している。」 「【0023】 可溶体12は、過電流時に自己発熱を利用して溶断し、回路を遮断させるためのものであり、極薄い金属(銀、銅など)で構成される部材である。この可溶体12は、図3に示すように、やや幅広に設けられた両側の端部15と、この両側の端部15の間に設けられた帯状の中央部13と、からなる。この可溶体12の中央部13には、所定間隔をおいて幅が狭小となる溶断部14が形成されており、この溶断部14は、過電流が流れたときに溶断して回路を遮断するためのものである。 【0024】 また、この可溶体12の端部15には、回路の端子等に接続するための端子孔15aと、後述する可溶体保持部20と確実に接合するための2つのリベット孔15bと、が設けられている。」 「【0029】 また、補助端子21の板状のリード部23は、一対の補助端子21を組み合わせて可溶体保持部20を形成したときに、2つのリード部23の側面が接することで挟持部20bを形成する。このようにして形成された挟持部20bは、可溶体12の端部15を挟み込んで保持するためのものである。 【0030】 なお、2つのリード部23は、図2及び図5に示すように、可溶体12の端部15とほぼ同一形状であり、かつ、可溶体12の端部15に設けられた端子孔15a及びリベット孔15bと対応する位置に、同一形状の端子孔23a及びリベット孔23bを有している。このため、2つのリード部23で形成する挟持部20bで可溶体12の端部15を挟み込んだときには、可溶体12の端子孔15aと2つのリード部23の端子孔23aとが連通し、可溶体12のリベット孔15bと2つのリード部23のリベット孔23bとが連通するようになっている。」 「【0034】 以下、本実施形態に係る速断ヒューズ10を組み立て手順について説明する。 【0035】 まず、図7(a)に示すように、可溶体12の一方の端部15に可溶体保持部20を固定する。すなわち、一対の補助端子21を、リード部23の側面が接するように重ね合わせて挟持部20bを形成し、この挟持部20bで可溶体12の端部15を挟み込んで保持する。 【0036】 このとき、前述したように、可溶体12のリベット孔15bと、2つのリード部23のリベット孔23bと、が連通するため、図7(b)に示すように、この連通した孔にリベットを差し込む。そして、リベットをかしめて、一対の補助端子21と可溶体12とを固定する。 【0037】 次に、図7(c)に示すように、可溶体12を覆うようにカバー体11を装着する。このとき、2つの補助端子21の基部22が円形の蓋板部20aを形成しているため、この蓋板部20aでカバー体11の一方の開口を塞ぐようにする。 【0038】 そして、図8(a)に示すように、この蓋板部20aを覆うように外側からキャップ24を圧入し、可溶体保持部20をカバー体11に固定する。なお、キャップ24を取り付けるときには、キャップ24の長孔27に挟持部20bを挿通させる。 【0039】 次に、図8(b)に示すように、可溶体12の他方の端部15に可溶体保持部20を取り付け、先ほどと同様にリベットでかしめて固定する。 【0040】 そして、図8(c)に示すように、この他方の側にもキャップ24を取り付ける。 【0041】 このように、カバー体11の両端にキャップ24を取り付けたら、硅砂等からなる消弧剤を消弧剤孔28から入れて、速断ヒューズ10の内部に充填する。その後、消弧剤孔28を塞いで速断ヒューズ10の内部を密閉し、組み立てが完了する。」 「【0043】 なお、上記説明では可溶体12を一枚であるとして説明したが、これに限らず、可溶体保持部20で複数の可溶体12を保持することとしてもよい。すなわち、本実施形態に係る速断ヒューズ10は、可溶体12の枚数を増やすことで容易に容量アップができるものである。 【0044】 このとき、図9に示すように、複数の可溶体12が互いに間隙を生じるように、可溶体保持部20に保持された端部15付近を治具などで曲げ加工すれば、放熱性を良くすることができる。 【0045】 また、上記説明では、リベットをかしめて一対の補助端子21を固定するようにしたが、これに限らない。例えば、図10に示すように、ダボ孔23dを有する補助端子21と、ダボ23eを有する補助端子21と、を一対として設けるようにしてもよい。なお、補助端子21のダボ23eは、リード部23の板面をダボ出し加工して形成すればよい。このような実施形態によれば、一方の補助端子21のダボ23eが、可溶体12のリベット孔15bを貫通して、他方の補助端子21のダボ孔23dに嵌合するため、この状態でダボ23eをかしめて固定すれば、リベットを用いなくても一対の補助端子21を固定することができる。」 「【図1】 [図:0001431096000001.jpg] 」 「【図3】 [図:0001431096000002.jpg] 」 「【図7】 [図:0001431096000003.jpg] 」 「【図9】 [図:0001431096000004.jpg] 」 (2)甲1に記載された発明 上記(1)の記載事項及び図面の図示内容から、甲1には次の技術的事項が記載されていると認められる。 ア 速断ヒューズ10は、可溶体保持部20で保持された可溶体12を含むこと(段落【0020】、【0021】参照)。 イ 可溶体保持部20で4枚の可溶体12を保持すること(段落【0043】、【0044】及び図9参照)。 ウ 可溶体12は、両側の板状の端部15と、この両側の端部15の間に設けられ、溶断部14が形成された中央部13とから構成されていること(段落【0023】及び図3参照)。 エ 可溶体12を4枚重ねた場合、下から1枚目の可溶体12(以下、単に「1枚目の可溶体12」という。)の両側の端部15の表面が、下から2枚目の可溶体12(以下、単に「2枚目の可溶体」という。)の両側の端部15の表面に直接接触した状態にあること(図9参照)。 オ 4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持部20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、リベットが、その連通したリベット孔に差し込まれ、かしめられることにより、4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定すること(段落【0035】、【0036】並びに図7及び図9参照)。 カ 4枚の可溶体12が、その両側の端部15に端子孔15aを有すること(段落【0024】、図3参照)。 以上を総合すると、甲1には次の物に係る発明(以下「甲1物発明」という。)と、その製造方法(以下「甲1方法発明」)に係る発明が記載されていると認められる。なお、「甲1物発明」と「甲1方法発明」とを総称して「甲1発明」という。 [甲1物発明] 「 可溶体保持体20で保持された4枚の可溶体12を備えた速断ヒューズ10であって、 両側の板状の端部15と、この両側の端部15の間に設けられ、溶断部14が形成された中央部13とからなる4枚の可溶体12と、 この可溶体12を4枚重ね、1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面が、2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態とし、その状態で、4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔にリベットを差し込まれ、かしめられることにより、前記1枚目と2枚目を含めた4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定するリベットを有し、 4枚の可溶体12が、 その両側の端部15に端子孔15aを有する、速断ヒューズ10。」 [甲1方法発明] 「 4枚の可溶体12とその両端の可溶体保持体20を有する速断ヒューズ10を製造する方法であって、 両側の板状の端部15と、この両側の端部15の間に設けられ、溶断部14が形成された中央部13とからなる可溶体12を4枚用意すること、 この可溶体12を4枚重ね、1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面が、2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態とすること、その状態で、4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔にリベットを差し込み、かしめることによって、1枚目と2枚目とを含めた4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定すること、を含む方法。」 3 取消理由に関する当審における判断 (1)取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1物発明とを対比する。 a 甲1物発明において、1枚目、2枚目を含め、4枚の可溶体121は同じ形状・構造を有する。 甲1物発明の1枚目の可溶体12の中央部13は「溶断部14」において溶断される。そうすると、甲1物発明の「1枚目の可溶体12」の「中央部13」は、本件発明1の「第1の可融性リンク」に相当する。 また、甲1物発明の「1枚目の可溶体12」の「両側の板状の端部15と、この両側の端部15の間に設けられ」た「中央部13とからなる」という形状は、“両側の端部15”が“中央部13によって接合されている”形状ともいえる。そうすると、甲1物発明の「1枚目の可溶体12」の「両側の端部15」は、本件発明1の「第1の端子対」に相当し、甲1物発明の「1枚目の可溶体12」に関して、「両側の板状の端部15と、この両側の端部15の間に設けられ、溶断部14が形成された中央部13とからなる」という構成は、本件発明1の「第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む」という構成に相当し、甲1物発明の「1枚目の可溶体12」は本件発明1の「第1のヒューズ素子」に相当する。 b 甲1物発明の「2枚目の可溶体12」についても、上記(ア)と同様に、その「中央部13」及び「両側の端部15」は、本件発明1の「第2の可融性リンク」及び「第2の端子対」に相当する。そして、甲1物発明の「2枚目の可溶体12」に関して、「両側の板状の端部15と、この両側の端部15の間に設けられ、溶断部14が形成された中央部13とからなる」という構成は、本件発明1の「第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む」という構成に相当し、甲1物発明の「2枚目の可溶体12」は本件発明1の「第2のヒューズ素子」に相当する。 c 甲1物発明の「前記1枚目と2枚目を含めた4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定する」という構成は、当然に“前記1枚目と2枚目の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定する”ものであるから、本件発明1の「前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させる」という構成に相当し、甲1物発明の「リベット」は、本件発明1の「リンク素子」に相当する。 d 甲1物発明の「1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面が、2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態とされ」、その表面同士が直接接触した状態で「前記1枚目と2枚目を含めた4枚の可溶体12の両側の端部15」を「挟んで固定する」という構成は、本件発明1の「前記第1の端子対が、前記第2の端子対と直接物理的に結合され」るという構成に相当する。 e 甲1物発明の可溶体12の「両側の板状の端部15」は、その形状から、当然に“2つの表面”を有するから、本件発明1の「内表面及び外表面を含む端子本体」ないし「端子本体」に相当する。 f 甲1物発明において、「1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面が、2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態」にあるとき、「1枚目の可溶体12の両側の端部15」の2つの表面のうち、「2枚目の可溶体12の両側の端部15」に接触する側の表面が、本件発明2の「第1の端子対」の「内表面」に相当し、「2枚目の可溶体12の両側の端部15」の2つの表面のうち、「1枚目の溶体12の両側の端部15」に接触する側の表面が、本件発明2の「第2の端子対」の「内表面」に相当する。また、「1枚目の可溶体12の両側の端部15」の「2枚目の可溶体12の両側の端部15」に接触する側の表面と、「2枚目の可溶体12の両側の端部15」の「1枚目の溶体12の両側の端部15」に接触する側の表面とは、必然的に「互いに平行」である。そうすると、甲1物発明の「1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面が、2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触」するという構成は、本件発明1の「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが」、「互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触」するという構成に相当する。 g 甲1物発明の可溶体12の「両側の端部15」の「端子孔15a」は、本件発明1の「端子本体を通って形成された開口」に相当する。 h 甲1物発明の「可溶体保持体20で保持された4枚の可溶体12を備えた速断ヒューズ10」ないし「速断ヒューズ10」は、本件発明1の「複数素子ヒューズ」に相当する。 以上のことから、本件発明1と甲1物発明は、次の一致点で一致し、次の相違点1-1で相違する。 [一致点] 複数素子ヒューズであって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子と、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子と、を備え、前記第1の端子対が、前記第2の端子対と直接物理的に結合されており、 前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させるリンク素子を更に備え、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、 内表面及び外表面を含む端子本体であって、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している、端子本体と、 前記端子本体を通って形成された開口と、を含む、複数素子ヒューズ。 [相違点1-1] 本件発明1は、「リンク素子」が、「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成され」ており、「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより」、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触しているのに対し、甲1物発明においては、「リベット」は、「4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔に差し込まれ、かしめられることにより」、1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面を2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態とした、4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定するものである点。 なお、本異議決定においては、証拠の番号と本件発明の番号を利用して相違点に番号を付すこととする。例えば、甲1物発明と本件発明1との間の相違点は、「相違点1-1」となり、甲1物発明と本件発明17との間の相違点は、相違点1-17となる。 (イ)判断 a 新規性について 上記相違点1-1は実質的な相違点である。 よって、本件発明1は、甲1物発明ではない。 b 進歩性について 上記相違点1-1について検討する。 甲1物発明においては、「リベット」は、「4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔に差し込まれ、かしめられることにより、前記1枚目と2枚目を含めた4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定する」ものである。 「4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定する」という機能を果たす上で、孔に差し込まれてかしめられるリベットを折り畳み可能とする必要があるとはいえず、甲1には、かかるリベットを折り畳み可能なものとすることについて記載も示唆もない。 また、複数の可溶体の連通したリベット孔に差し込まれるリベットを畳み可能とすることが周知技術であることを示す証拠もない。 したがって、甲1物発明から上記相違点1-1に係る本件発明1の構成に想到することは、当業者が容易になし得えたこととはいえない。 よって、本件発明1は、甲1物発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 イ 本件発明3について 本件訂正前の本件特許の請求項3に係る発明には、令和7年1月31日付け取消理由通知(決定の予告)により取消理由を通知していないが、本件発明4~9が本件発明3の発明特定事項をすべて含むものであるところ、本件発明3について検討する。 本件発明3と甲1物発明とを対比すると、甲1物発明の発明特定事項と本件発明1の発明特定事項との間には、上記ア(ア)a~hと同様の相当関係がいえる。加えて、甲1物発明の可溶体12の「両側の板状の端部15」は、その形状から、当然に“2つの表面を接続する縁部”を有しており、この「両側の板状の端部15」が有する縁部が、本件発明3の「端子本体」が含む「縁部」に相当する。 そうすると、本件発明3と甲1物発明とは、次の一致点で一致し、次の相違点1-3で相違する。 [一致点] 複数素子ヒューズであって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子と、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子と、を備え、 前記第1の端子対が、前記第2の端子対と直接物理的に結合されており、 前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させるリンク素子を更に備え、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、 内表面及び外表面を含む端子本体であって、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している、端子本体と、 前記端子本体を通って形成された開口と、を含み、 前記端子本体が、前記内表面及び前記外表面を接続する縁部を更に含む、複数素子ヒューズ。 [相違点1-3] 本件発明3は、リンク素子が「端子本体」が含む「内表面及び前記外表面を接続する縁部」「と一体的に形成され」ており、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより」、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触しているの対し、甲1物発明においては、「リベット」は、「4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔に差し込まれ、かしめられることにより」、1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面を2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態とした、4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定するものである点。 そして、上記相違点1-3に係る本件発明3の構成は、上記相違点1-1に係る本件発明1の構成との比較において、リンク素子が第1の端子対及び第2の端子対のどこに形成されるかが更に限定されているが、その他は同じである。 したがって、上記ア(イ)と同様に、本件発明3は、甲1物発明ではないし、甲1物発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものでもない。 ウ 本件発明4~9について 本件発明4~9は、本件発明1又は本件発明3の発明特定事項をすべて含む。 そして、本件発明1及び本件発明3については、それぞれ上記ア及びイのとおりであるから、本件発明4~9は、本件発明1又は本件発明3と同様に、甲1物発明ではないし、甲1物発明に基いて当業者が容易に発明することができたものでもない そうすると、本件発明1又は本件発明3の発明特定事項をすべて含む本件発明4~9は、本件発明1又は本件発明3と同様に、甲1物発明ではないし、甲1物発明に基いて当業者が容易に発明することができたものでもない。 エ 本件発明17について (ア)対比 本件発明17と甲1物発明とを対比すると、甲1物発明の発明特定事項と本件発明17の発明特定事項との間には、上記ア(ア)a、b、hと同じ相当関係がいえ、加えて次の相当関係がいえる。 a 甲1物発明の可溶体12の「両側の板状の端部15」は、その形状から、当然に“2つの表面”を有しており、これら“2つの表面”が本件発明1の「第1の端子対」及び「前記第2の端子対」の「内表面及び外表面」に相当する。 b 上記ア(ア)fと同様に、甲1物発明の「1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面が、2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触」するという構成は、本件発明1の「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面が、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触」するという構成に相当する。 そうすると、本件発明17と甲1物発明とは、次の一致点で一致し、次の相違点1-17で相違する。 [一致点] 複数素子ヒューズであって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子と、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子と、を備え、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、内表面及び外表面を含み、前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、平行であり、かつ互いに直接物理的に接触しており、 前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している、複数素子ヒューズ。 [相違点1-17] 本件発明17は、「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成されたリンク素子を更に備え」、「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、」前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触しているのに対し、甲1物発明は、「リベット」を有し、その「リベット」を「4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔に差し込まれ、かしめられることにより」、1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面を2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態とした、4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定するものである点。 (イ)判断 上記相違点1-17は、上記相違点1-1と実質的に同じである。 したがって、上記ア(イ)と同様に、本件発明17は、甲1物発明ではないし、甲1物発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものでもない。 オ 取消理由1及び2についてのまとめ 以上とおり、本件発明1、4~9、17は、甲1物発明ではないし、甲1物発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものでもないから、取消理由1及び2により、その発明に係る特許を取消すことはできない。 (2)取消理由3(サポート要件)について ア 本件発明1について 本件発明が解決しようとする課題は、複数素子のヒューズが、製造がより複雑で費用がかかることにかんがみ(本件特許明細書等の段落【0003】)、組み立てがより簡単で、かつ部品を最少化する、複素子ヒューズを1つの部品にする設計及び製造を簡略化すること(同段落【0025】)である。 そして、本件特許明細書等には、上記課題を解決するための手段として、第1の端子対104~Bと第2の端子対112A~Bとを結合するリンク素子118を設け(同段落【0026】)、「リンク素子118を折り畳む」ことによって、第1の端子対104A~Bは、第2の端子対112A~Bに直接物理的に結合され、及び/又は、第2の端子対112A~Bに直接隣接し、かつそれと当接するようにしたもの(同段落【0031】、図1~5)、あるいは、「リンク素子を屈曲させて」、第1のヒューズ素子の内表面を第2のヒューズ素子の内表面に当接させたもの(同段落【0041】中の項目19)が記載されている。 これに対し、本件発明1は、「前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させるリンク素子を更に備え」、「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している」ものであり、上記課題を解決するための手段が反映されたものとなっている。 したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明において、上記課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものではなく、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。 イ 本件発明3について 上記アで述べた課題、及び課題解決手段に対して、本件発明3は、「前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させるリンク素子を更に備え」、「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している」ものであり、上記課題を解決するための手段が反映されたものとなっている。 したがって、本件発明3は、発明の詳細な説明において、上記課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものではなく、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。 ウ 本件発明4~9について 本件発明4~9は、本件発明1又は本件発明3の発明特定事項をすべて含む。 したがって、本件発明4~9は、上記ア、イと同様に、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。 エ 本件発明17について 上記アで述べた課題、及び課題解決手段に対して、本件発明17は、「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成されたリンク素子を更に備え」、「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触している」ものである。そして、「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成された」リンク素子は、“第1の端子対を第2の端子対に結合させる”ものといえる。したがって、本件発明17は、上記課題を解決するための手段が反映されたものとなっている。 よって、本件発明17は、発明の詳細な説明において、上記課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものではなく、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。 オ 取消理由3についてのまとめ 以上とおり、本件発明1、3~9、17は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、取消理由3により、その発明に係る特許を取消すことはできない。 第5 取消理由通知(決定の予告)に採用しなかった特許異議申立理由について 1 採用しなかった特許異議申立理由の概要 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議の申立ての理由は、概ね、次のとおりである。 (1)申立理由1(甲1発明を引用発明とする新規性) 本件訂正前の本件特許の請求項10に係る発明は、本件特許の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)申立理由2(甲1発明を主引用発明とする進歩性) 本件訂正前の本件特許の請求項1~15、17に係る発明は、本件特許の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の甲1、甲第2号証~甲第4号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3)申立理由3(甲第2号証記載の発明を引用発明とする新規性) 本件訂正前の本件特許の請求項1、10、17に係る発明は、本件特許の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (4)申立理由4(甲第2号証記載の発明を主引用発明とする進歩性) 本件訂正前の本件特許の請求項1~15、17に係る発明は、本件特許の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の甲第2号証、甲1、甲第3~4号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (5)申立理由5(実施可能要件) 本件訂正前の本件特許の請求項1~15、17に係る発明は、発明の詳細な説明において当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないから、その発明に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (6)申立理由6(サポート要件) 本件訂正前の本件特許の請求項2、10~15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないため、その発明に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (7)申立理由7(明確性要件) 本件訂正前の本件特許の請求項1~15、17に係る発明は、特許を受けようとする発明が明確でないため、その発明に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 申立人が提出した証拠 申立人が特許異議申立の際に提出した証拠は、上記甲1に加え、以下のとおりである。 甲第2号証:特開2017-4634号公報 甲第3号証:特開2015-84328号公報 甲第4号証:特開2017-117565号公報 なお、以下、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証を「甲2」、「甲3」、「甲4」という。 3 甲各号証について (1)甲1について 甲1には、上記「第4」2(2)のとおりの甲1物発明、甲1方法発明が記載されている。 (2)甲2について ア 甲2の記載 甲2には、図面ともに次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本願発明は、主に自動車用電気回路等に用いられるヒューズエレメントに関し、特に、一対の端子部間に複数のエレメントを並列させて配置したヒューズエレメントに関する。」 「【0005】 しかしながら、このヒューズエレメント20(特許文献1の図7に示す符号を引用する)においては、電流が、上下に位置する上部エレメント(12e)及び下部エレメント(12c)よりも、中央に位置する中央部エレメント(12d)へ流れ易くなっている。これは、中央部エレメント(12d)と電流が入出力する両端子部11との距離が、他のエレメントと両端子部11との距離よりも短いので、それだけ当該エレメント部分の抵抗値も小さくなり、電流が流れ易くなるためである。 【0006】 そして、電流は、中央に位置する中央部エレメント(12d)へ流れ易いことから、当該中央部エレメント(12d)に電気的負荷が集中するという問題があった。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0008】 そこで、本願発明は、特定のエレメントに電気的負荷が集中することを防止するヒュー ズエレメント、及び当該ヒューズエレメントを複数備えた一体型ヒューズエレメントを提 供する。」 「【0020】 (実施形態1) 図1(a)は、本願発明の実施形態1に係るヒューズHの全体斜視図を示すものである。ヒューズHの構造は、従来技術と基本的に同じであり、合成樹脂等の絶縁材料で形成されたケーシングGと、そのケーシングGの内部に2枚組のヒューズエレメント100が格納され、このヒューズエレメント100とケーシングGとの間に、消弧材(不図示である。)を封入したものである。また、ヒューズエレメント100の両端の端子部110の一部は、ケーシングGの端部から外部に露出しており、電気回路等と電気的に接続される。 【0021】 次に、図1(b)には、ケーシングGを取り外した状態が示してあり、同じ形状をした2つのヒューズエレメント100を背中合わせにして、互いの端子部110を半田付け等により接続固定している。各ヒューズエレメント100は、端子部110と、当該端子部110の間に配置された複数のエレメント120と、当該エレメント120の略中央部に設けられた溶断部130とを備えている。そして、ヒューズHは、このヒューズエレメント100を二つ備えることから、全体として、計4つのエレメント120を備えることになる。 【0022】 では次に、図2を参照して、当該ヒューズエレメント100の製造工程について、詳しく説明する。 【0023】 まず、銅やその合金等の導電性金属からなる、厚さが均一の平坦な板状部材を、図2(a)に示すような形状に、プレス機等で打ち抜く。図に示すような所定の形状にかたどられたヒューズエレメント100は、両側の端子部110と、その端子部110の間に並列に配置された2つのエレメント120a及びエレメント120bを備える。この各エレメント120は、ヒューズエレメント100の長手方向に延びる直線状の本体部121と、本体部121の両端に直角に交わる脚部122とを備え、平面視コ字形状をしている。また、エレメント120の略中央部には、複数の小孔131が所定の間隔を開けて打ち抜かれている。そして、この複数の小孔131の間に出来た幅の狭い部分が、各溶断部130となる、さらに、各脚部122に、折り曲げ位置の目安となる、目安線L1及び目安線L2を形成しておく。なお、エレメント120aに含まれる各要素の符号には、末尾に「a」を付け、エレメント120bに含まれる各要素の符号には、末尾に「b」を付している。 【0024】 次に、脚部122の一部を目安線L1に沿って、端子部110から立ち上がるように略45度折り曲げる。さらに、本体部121と脚部122の境界部分を目安線L2に沿って、略90度内側に折り曲げる。すると、ヒューズエレメント100は、図2(b)に示すように、各エレメント120が端子部110から上方に立ち上がる立体的形状となる。なお、本実施例では、目安線L1と目安線L2にて、折曲線ができているが、後述する図3に示すように、折曲線が出来ない様に、滑らかに湾曲させてもよい。また、脚部122の長さは、後述する図3に示すように長くしてもよいし、反対に短くしてもよく、任意の長さに設定することができる。」 「【0039】 (実施形態3) 以下では、図4及び5を参照して、本願発明の実施形態3に係る一体型ヒューズエレメント200の製造方法について説明する。 【0040】 まず、銅やその合金等の導電性金属からなる、厚さが均一の平坦な板状部材を、図4(a)に示すような形状に、プレス機等で打ち抜く。図に示すような所定の形状にかたどられた一体型ヒューズエレメント200は、並列に配置されたヒューズエレメント100B及びヒューズエレメント100Cと、端子部110B及び端子部110Cを連結する連結部210を備える。この連結部210は、端子部110B及び端子部110Cと同一の形状をしている。また、各脚部122に、折り曲げ位置の目安となる、目安線L1及び目安線L2を形成する。同様に、各端子部110と連結部210との間に、折り曲げ位置の目安となる目安線L3も形成する。 【0041】 このヒューズエレメント100B及びヒューズエレメント100Cのそれぞれは、図2に示すヒューズエレメント100と同一の形状をしている。そのため、ヒューズエレメント100Bは、図4(a)に示すように展開した状態で、両側の端子部110Bを結ぶ直線P(ヒューズエレメント100Bの中心線)に対して線対称な形状となっており、エレメント120Baとエレメント120Bbも対称な形状である。よって、エレメント120Baとエレメント120Bbの抵抗値は等しい。」 「【0043】 次に、ヒューズエレメント100Bの各脚部122の一部を目安線L1に沿って、端子部110Bから立ち上がるように略45度折り曲げる。さらに、各本体部121と各脚部122との境界部分を目安線L2に沿って、略90度内側に折り曲げる。同様に、ヒューズエレメント100Cについても、エレメント120Bの折り曲げ方向とは反対に、目安線L1及び目安線L2に沿って折り曲げる。すると、一体型ヒューズエレメント200は、図4(b)に示す形状となる。 【0044】 次に、図4(c)に示すように、連結部210を、連結部210と端子部110Cの間にある目安線L3に沿って、端子部110Cに向けて折り曲げる。また、端子部110Bを、連結部210と端子部110Bの間にある目安線L3に沿って、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、連結部210に向けて折り曲げる。そして、連結部210が端子部110Cに、端子部110Bが連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げると、図5に示す状態となる。また、端子部110B、連結部210及び端子部110Cは同一形状をしているので、折り重なると、固定孔111B、固定孔211、及び固定孔111Cが一致する(以下、この一致した部分を、固定孔230と呼ぶ)。 【0045】 図5(a)及び(b)に示すように、端子部110Cと連結部210、連結部210と端子部110Bは折り重なり、互いに面接触して密着状態となる(以下、折り重なった部分を、端子部220と呼ぶ。)。そして、ヒューズエレメント100B及びヒューズエレメント100Cは、互いに背中合わせの状態で、ケーシングGの内部に消弧材と共に封入され、ヒューズが完成する。」 「【0047】 また、一体型ヒューズエレメント200は、図1に示すヒューズエレメント100を2つ利用した場合と、同じ数の同じ形状のエレメント120を備える点では共通する。しかしながら、一体型ヒューズエレメント200は、一枚の金属板を所定の形状にかたどり、所定の形状に折り曲げて成形しているので、図1に示すように、2つのヒューズエレメント100を背中合わせにして、互いに半田付けや溶接等で固定するという面倒な作業を省くことができ、作業効率がよい。また、各ヒューズエレメント100の端子部110が連結部210に重なることから、各ヒューズエレメント100を上下方向に配置でき、一体型ヒューズエレメント200全体として非常にコンパクトになるので、無理なくケーシングG内に収納することができる。 【0048】 また、図1に示すものは、2つのヒューズエレメント100の端子部110を互いに半田付けや溶接等で、電気的に接続固定しているが、各ヒューズエレメント100はもともと別体で電気的に一体でないことから、端子部110の接続箇所には、不可避的に接続抵抗が存在する。しかしながら、一体型ヒューズエレメント200は、一枚の金属板から成形されており、各ヒューズエレメント100の端子部110は、連結部210を介して一体成形されて、電気的に一体となっている。したがって、一体型ヒューズエレメント200の各端子部110の間には、図1に示すような、接続抵抗は存在しない。なお、一体型ヒューズエレメント200においても、各端子部110同士を半田付けや溶接等により、さらに強固に接続してもよい。ただ、その場合であっても、もともと、各端子部110は連結部210を介して一体成形され、電気的に一体となっているので、図1に示す場合と比較して、接続抵抗を軽減できる。 【0049】 (実施形態4) 以下では、図6及び7を参照して、本願発明の実施形態4に係る一体型ヒューズエレメント200Aの製造方法について説明する。 【0050】 まず、銅やその合金等の導電性金属からなる板状部材を、図6に示すような形状に、プレス機等で打ち抜く。図に示すような所定の形状にかたどられた一体型ヒューズエレメント200Aは、並列に配置されたヒューズエレメント100D、ヒューズエレメント100E、及びヒューズエレメント100Fと、各ヒューズエレメント100の端子部110同士を連結する連結部210a及び連結部210bを備える。この連結部210a及び連結部210bは、各端子部110と同一の形状をしている。また、各端子部110と各連結部210との間に、折り曲げ位置の目安となる目安線L3も形成する。 【0051】 なお、一体型ヒューズエレメント200Aの形状に象る板状部材は、厚さが厚い部分と薄い部分とからなる異型材であり、各ヒューズエレメント100の各エレメント120が成形される部分は板状部材の薄い部分で、各ヒューズエレメント100の各端子部110及び各連結部210が成形される部分は板状部材の厚い部分となっている。したがって、図6(b)に示すように、一体型ヒューズエレメント200Aを展開した状態で、各端子部110及び各連結部210の厚さは厚く、各エレメント120の厚さは薄くなっている。 【0052】 また、ヒューズエレメント100D、ヒューズエレメント100E、及びヒューズエレメント100Fは、すべて図2に示すヒューズエレメント100と同一形状をしている(または、ヒューズエレメント100を縮小した相似形状としてもよい)。そのため、各ヒューズエレメント100は、両側の端子部110を結ぶ直線(ヒューズエレメント100の中心線)に対して線対称な形状となっており、各ヒューズエレメント100に含まれる2つのエレメント120は、互いに抵抗値が等しい。その結果、エレメント120Da、エレメント120Db、エレメント120Ea、エレメント120Eb、エレメント120Fa、及びエレメント120Fbの抵抗値は全て等しくなる。 【0053】 次に、図7(a)に示すように、連結部210bを、連結部210bと端子部110Fの間にある目安線L3に沿って、端子部110Fに向けて折り曲げる。また、端子部110Eを、連結部210bと端子部110Eの間にある目安線L3に沿って、連結部210bを折り曲げた方向とは反対方向に、連結部210bに向けて折り曲げる。同様に、連結部210a及び端子部110Dについても、目安線L3に沿って交互に折り曲げていく。そして、各端子部110と各連結部210が、それぞれ重なるまで折り曲げると、図7(b)に示す状態となる。 【0054】 図7(b)に示すように、各端子部110と各連結部210は折り重なり、互いに面接触して密着状態となる。一方、各エレメント120は、各端子部110の両側へ突出した状態となる。そして、各エレメント120は、各端子部110より厚さが薄いので、図に示すように、互いに所定の間隔を開けて離れている。この状態の一体型ヒューズエレメント200Aを、ケーシング内に消弧材と共に封入し、ヒューズが完成する。 【0055】 このように、一体型ヒューズエレメント200Aは、一枚の金属板を所定の形状にかたどり、所定の形状に折り曲げて成形できることから、ヒューズエレメント100を複数用意して、互いに半田付けや溶接等で固定するという面倒な作業を省くことができ、作業効率がよい。また、各ヒューズエレメント100の端子部110が連結部210に折り重なることから、各ヒューズエレメント100を上下方向に配置でき、一体型ヒューズエレメント200全体として非常にコンパクトになるので、無理なくケーシングに収納することができる。」 「【図2】 [図:0001431096000005.jpg] 」 「【図4】 [図:0001431096000006.jpg] 」 「【図5】 [図:0001431096000007.jpg] 」 イ 甲2に記載された発明 上記アの記載から、甲2には、図4及び図5に示された態様の「一体型ヒューズエレメント」について次の事項が記載されているといえる。 (ア)一体型ヒューズエレメント200は、ヒューズエレメント100Bと、ヒューズエレメント100Cと、連結部210とを備える。このヒューズエレメント100B及びヒューズエレメント100Cのそれぞれは、図2に示すヒューズエレメント100と同一の形状をしている(段落【0041】参照)。 (イ)ヒューズエレメント100Bは、両側の板状の端子部110Bと、この両側の端子110Bの間に並列に配置されたエレメント120Ba・120Bbを備えていること(段落【0023】及び【0040】参照)。また、エレメント120Ba・120Bbは溶断部を有する(段落【0023】及び図4等参照)。 (ウ)上記(イ)と同様に、ヒューズエレメント100Cも、両側の板状の端子部110Cと、この両側の端子110Cの間に並列に配置されたエレメント120Ca・120Cbを備え、エレメント120Ca・120Cbは溶断部を有する。 (エ)連結部210は、前記両側の端子部110Bと前記両側の端子部110Cとを一体的に連結するものであり、前記両側の端子部110Bと前記両側の端子部110Cと一体成形されたものである(段落【0040】及び【0048】参照)。 (オ)連結部210を端子部110Cに向けて折り曲げ、また、端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、連結部210に向けて折り曲げることで、連結部210が端子部110Cに、端子部110Bが連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げ(段落【0044】、図4)、端子部110Cと連結部210、連結部210と端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態とする(段落【0045】、図5)。 (カ)前記両側の端子部110B及び前記両側の端子部110Cのそれぞれに、固定孔111B、固定孔111Cを設ける(段落【0044】、図4)。 また、図4及び図5に示された態様の「一体型ヒューズエレメント」の製造方法について、上記(ア)~(カ)に加えて、次の事項が記載されていると認められる。 (キ)まず、一枚の板状部材から、上記(イ)~(エ)で述べたヒューズエレメント100Bと、ヒューズエレメント100Cと、連結部210とを一体的に打ち抜く(段落【0040】)。 (ク)上記(キ)のあと、連結部210を端子部110Cに向けて折り曲げ、また、端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、連結部210に向けて折り曲げることで、前記連結部210が前記端子部110Cに、前記端子部110Bが前記連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げ、前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態とする(上記(オ)参照)。 以上を総合すると、甲2には、図4及び図5に示された態様の「一体型ヒューズエレメント」について、次の物に係る発明(以下、「甲2物発明」という。)とその製造方法に係る発明(以下、「甲2方法発明」という。)が記載されていると認められる。なお、「甲2物発明」と「甲2方法発明」とを総称して「甲2発明」という。 [甲2物発明] 「 一体型ヒューズエレメント200であって、 両側の板状の端子部110Bと、この両側の端子110Bの間に並列に配置され、溶断部を有するエレメント120Ba・120Bbを備えたヒューズエレメント100Bと、 両側の板状の端子部110Cと、この両側の端子110Cの間に並列に配置され、溶断部を有するエレメント120Ca・120Cbを備えたヒューズエレメント100Cと、を備え、 前記両側の端子部110Bと前記両側の端子部110Cとを一体的に連結する連結部210であって、前記両側の端子部110B及び前記両側の端子部110Cと一体成形された連結部210を備え、 前記連結部210を前記端子部110Cに向けて折り曲げ、また、前記端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、前記連結部210に向けて折り曲げることで、前記連結部210が前記端子部110Cに、前記端子部110Bが前記連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げ、前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態とし、 前記両側の端子部110B及び前記両側の端子部110Cにそれぞれ固定孔111B、固定孔111Cを設けた、一体型ヒューズエレメント200。」 [甲2方法発明] 「 一体型ヒューズエレメント200を製造する方法であって、 一枚の板状部材から、両側の板状の端子部110Bと、この両側の端子110Bの間に並列に配置され、溶断部を有するエレメント120Ba・120Bbを備えたヒューズエレメント100Bと、 両側の板状の端子部110Cと、この両側の端子110Cの間に並列に配置され、溶断部を有するエレメント120Ca・120Cbを備えたヒューズエレメント100Cと、 前記両側の端子部110Bと前記両側の端子部110Cと、を一体的に連結する連結部210と、を一体的に打ち抜くこと、 前記連結部210を前記端子部110Cに向けて折り曲げ、また、前記端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、前記連結部210に向けて折り曲げることで、前記連結部210が前記端子部110Cに、前記端子部110Bが前記連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げ、前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態とすること、を含む方法。」 (3)甲3について 甲3には、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、自動車分野で用いられる高電圧用ヒューズに係り、特に、容易に製造可能な高電圧用ヒューズ、及びこのような高電圧用ヒューズに適したケーシングに関するものである。 【背景技術】 【0002】 図6は、高電圧用ヒューズを製造するための従来の製造工程を示す。図6(a)、(b)、(c)、(d)は平面図で、図6(e)、(f)、(g)、(h)は各図の側面図である。先ず、金属板を打ち抜くことで、図6(a)、及び(e)に示す形態のヒューズエレメント要素100を形成する。次ぎに、図6(a)、(b)、(c)、(e)、(f)、(g)中、矢印で示すように、ヒューズエレメント要素100の両側を内側へ折り畳むようにして、図6(c)、(g)に示すように、ヒューズエレメント要素100の両側を三枚重ねにする。次ぎに、図6(d)、(h)に示すように、ヒューズエレメント要素100の両側に取付孔101を開けることによって端子部102が形成されると共に、ヒューズエレメント103が完成する。 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 図6(g)、(h)に示すように、ヒューズエレメント103の端子部102は三枚重ねの構造になっているため、三枚重ねにするための作業が繁雑で、且つ、面倒であるため、高電圧用ヒューズを製造する作業の作業性が悪いという問題があった。 【0004】 又、前述のように、ヒューズエレメント103の端子部102は三枚重ねの構造になっているため、三枚重ねの部分の重なり具合が不完全であって、密着性が悪い場合には、当該端子部102の電気抵抗が大きくなる。このため、製品毎に前記密着性が異なる場合には、ヒューズエレメント103に過電流が流れた際に、製品毎に前記密着性が異なることに基づき、溶断部の溶断時間のばらつきが製品毎に大きくなり、ヒューズとしての機能上好ましくない場合があった。 【0005】 本発明は、前記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、容易に製造できる上に、過電流が流れた場合には即座に溶断できるようにすることによって、機能を向上させることのできる高電圧ヒューズ用ケーシング及び該ケーシングを用いた高電圧用ヒューズを提供することにある。」 「【図6】 [図:0001431096000008.jpg] 」 上記記載から次のことがいえる。 ・ヒューズエレメント103は一つの溶断部を有する(図6等)。 ・図6(a)から、ヒューズエレメント要素100の1つの溶断部の両側に、折り畳むようにして三枚重ねにすることが可能な板状部をそれぞれ設ける点が看て取れる。 ・上記板状部を折り畳むようにして三枚重ねにすることで、ヒューズエレメント103の三枚重ね構造の端子102を形成している(段落【0002】)。 以上を総合すると、甲3には次の技術的事項が記載されているといえる。 [甲3記載の技術的事項] 「 1つの溶断部を有するヒューズエレメント103の三枚重ね構造の端子102を得るため、 ヒューズエレメント要素100の1つの溶断部の両側に板状部をそれぞれ設け、 その板状部を折り曲げることで、ヒューズエレメント103の三枚重ね構造の端子102を得ること。」 (4)甲4について 甲4には、次の記載がある。 「【請求項2】 前記ヒューズエレメントは、一枚の金属板を加工して一体成形しており、 当該ヒューズエレメントの端子部は、前記一枚の金属板の端部を、折り曲げて重ね合わせることで成形していることを特徴とする請求項1に記載のヒューズの製造方法。」 「【技術分野】 【0001】 本願発明は、主に自動車用電気回路等に用いられるヒューズに関し、特に、ケーシング内にヒューズエレメントを張架して保持するヒューズの製造方法及びヒューズに関する。」 「【0023】 以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下で説明する実施形態におけるヒューズの各部材の形状や材質等は、一例を示すものであって、これらに限定されるものではない。なお、本明細書に記載されている「上下方向」とは、ヒューズエレメントの長尺方向に対して直角方向のことである。 【0024】 (実施形態1) 図1は、本願発明の実施形態1に係るヒューズを構成する部品であるヒューズエレメント100を示している。このヒューズエレメント100は、一枚の薄板状の金属板から成形されており、一対の端子部110と、当該端子部110の間に位置する溶断部120とからなる。この溶断部120の両端は、連結部122によって端子部110と連結している。また、この端子部110は、上下方向に貫通した接続孔111と、端子部110の表面から上方向に略直角に立ち上がる当接片131及び当接片132と、端子部110の裏面から下方向に略直角に立ち上がる当接片133とからなる。 【0025】 溶断部120は、幅が狭くなったヒューズエレメント100の一部に複数の小孔121をあけて形成したもので、電気回路等に意図しない過電流が流れた際に、発熱して溶断し、過電流を遮断するものである。また、相対する当接片131は長さL1だけ離れている。同様に、相対する当接片132は長さL1だけ離れ、相対する当接片133も長さL1だけ離れている。 【0026】 では次に、図2を参照して、ヒューズエレメント100を一体成形する方法について説明する。まず、銅やその合金等の導電性金属からなる、厚さが均一の平坦な板状部材を、図2(a)に示すような形状に、プレス機等で打ち抜く。図に示すような所定の形状にかたどられた一枚の金属板の端部には、上側端部112、中間端部113及び下側端部114が形成されている。この上側端部112、中間端部113及び下側端部114のそれぞれの境界には、折り目Xが設けられている。また、上側端部112と溶断部120は、平坦な連結部122によって連結されている。 【0027】 この上側端部112、中間端部113及び下側端部114のそれぞれには接続孔111が設けられており、後述するように、各端部が折り重なった際に、各接続孔111は一致する。また、上側端部112には、当接片131及び当接片132が設けられ、中間端部113との境界付近には、上下に貫通した係止孔115が設けられている。さらに、下側端部114の側方端部には係止爪116が設けられている。 【0028】 次に、図2(b)に示すように、上側端部112の当接片131及び当接片132を、上方に向けて略直角に折り曲げる。また、下側端部114の当接片133も、上方に向けて略直角に折り曲げる。さらに、中間端部113を折り目Xにて上側端部112の裏面へ向けて折り返す。すると、図2(c)に示す状態となる。この図2(c)に示すように、中間端部113は上側端部112の裏面側に折り重なっており、上側端部112の係止孔115に、中間端部113の裏面側が現れている。 【0029】 次に、図2(d)に示すように、下側端部114を折り目Xにて中間端部113へ向けて折り返す。すると、図3(a)及び(b)に示すように、下側端部114は中間端部113に折り重なる。また、下側端部114の係止爪116は、上側端部112の係止孔115の側方へ突出している。次に、図3(b)に示すように、係止爪116を係止孔115に向けて折り返し、係止孔115に現れた中間端部113の裏面へ折り重ねる。」 「【0039】 以上により、図3(c)に示すような、ヒューズエレメント100が完成する。このように、端子部110は、一枚の金属板の端部である上側端部112、中間端部113、及び下側端部114を折り曲げて重ね合わせることで形成されている。また、係止爪116は係止孔115に係合しているので、上側端部112、中間端部113、及び下側端部114が折り重なった状態を強固に維持できる。また、当接片131、当接片132、及び当接片133は、端子部110から略直角に立ち上がるように折り曲げて形成されている。」 「【図1】 [図:0001431096000009.jpg] 」 「【図2】 [図:0001431096000010.jpg] 」 上記記載から次のことがいえる。 ・図2に示されたヒューズエレメント100は、「【請求項2】」の記載事項で特定されるヒューズエレメントの具体例である。 ・ヒューズエレメント100は、一つの溶断部120を有する(段落【0024】、図2)。 以上を総合すると、甲4には次の技術的事項が記載されているといえる。 [甲4記載の技術的事項] 「 一つの溶断部120を有するヒューズエレメント100を、一枚の金属板を加工して一体成形するに際し、 当該ヒューズエレメント100の端子部110は、前記一枚の金属板の端部を、折り曲げて重ね合わせることで成形すること。」 4 申立理由に関する当審における判断 上記「第2」のとおり、請求項2、12、13は削除されたので、以下では、本件発明1、3~11、14、15、17について、上記1(1)~(7)の理由があるか以下かについて検討する。 (1)申立理由1(甲1発明を引用発明とする新規性)について ア 対比 本件発明10と甲1方法発明とを対比する。 (ア)甲1方法発明の「1枚目の可溶体12」について、上記「第4」3(1)ア(ア)aと同様のことがいえ、甲1方法発明の「1枚目の可溶体12」は本件発明1の「第1のヒューズ素子」に相当する。 また、甲1方法発明の「2枚目の可溶体12」について、上記「第4」3(1)ア(ア)bと同様のことがいえ、甲1方法発明の「2枚目の可溶体12」は本件発明1の「第2のヒューズ素子」に相当する。 (イ)甲1方法発明について、「可溶体12」を「4枚用意」すれば、その4枚には「1枚目の可溶体12」と「2枚目の可溶体12」とが当然含まれるから、上記(ア)を踏まえれば、甲1方法発明の「両側の板状の端部15と、この両側の端部15の間に設けられ、溶断部14が形成された中央部13とからなる可溶体12を4枚用意すること」は、本件発明10の「第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子を提供すること」及び「第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子を提供すること」に相当する。 (ウ)甲1方法発明の「リベット」は本件発明10の「リンク素子」に相当する。そして、甲1方法発明において、「この可溶体12を4枚重ね、1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面が、2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態とすること」に加え、さらに「その状態で、4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔にリベットを差し込み、かしめることによって、前記1枚目と2枚目を含めた4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定すること」は、本件発明10の「前記第1の端子対を前記第2の端子対に直接結合すること」に相当する。 甲1方法発明において、「1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面が、2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態」となるとき、「1枚目の可溶体の両側の端部15」と「2枚目の両側の端部15」とは、必然的にそれぞれ“異なる平面”内に存在し、かつ、その“異なる平面に沿い”ながら“互いに平行”な状態となる。そうすると、甲1方法発明の「1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面が、2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態」とすることは、本件発明10の「前記第1の端子対及び前記第2の端子対が、異なる平面に沿って互いに平行に配向されるように」することに相当する。 (エ)甲1方法発明の「その状態で、4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔にリベットを差し込み、かしめることによって、前記1枚目と2枚目を含めた4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定すること」は、本件発明10の「リンク素子を使用して、前記第1の端子対を前記第2の端子対に接続すること」に相当する。 (オ)甲1方法発明において、「1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面が、2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態」にされるとき、「1枚目の両側の端部15」の「2枚目の可溶体12の両側の端部15」に接触する側の表面が、本件発明10の「第1のヒューズ素子」の「内表面」に相当し、「2枚目の可溶体12の両側の端部15」の「1枚目の可溶体12の両側の端部15」に接触する側の表面が、本件発明10の「第2のヒューズ素子」の「内表面」にあたる。そして、甲1方法発明の「1枚目の両側の端部15」の「2枚目の可溶体12の両側の端部15」に接触する側の表面と「2枚目の可溶体12の両側の端部15」の「1枚目の可溶体12の両側の端部15」に接触する側の表面とは、当然に“同一平面に沿う”ものであるから、本件発明10の「同一平面に沿って延在する内表面」に相当する。 甲1方法発明において、「その状態で、4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔にリベットを差し込み、かしめることによって、前記1枚目と2枚目を含めた4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定すること」は、リベットによって、1枚目の可溶体12と2枚目の可溶体12とを固定することともいえるから、本件発明10の「前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が、前記リンク素子によって接続され」ることに相当する。 (カ)甲1方法発明の「この可溶体12を4枚重ね、1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面が、2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態とすること」に加え、さらに「4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔にリベットを差し込み、かしめることによって、前記1枚目と2枚目を含めた4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定すること」が、本件発明10の「前記第2のヒューズ素子に隣接する前記第1のヒューズ素子を提供すること」及び「前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させることにより、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を、前記第2のヒューズ素子の前記内表面に直接結合すること」に相当する。 (キ)甲1方法発明の「4枚の可溶体12とその両端の可溶体保持体20を有する速断ヒューズ10を製造する方法」は、本件発明10の「複数素子ヒューズを形成する方法」に相当する。 以上のことから、本件発明10と甲1方法発明は、次の一致点で一致し、次の相違点1-10で相違する。 [一致点] 複数素子ヒューズを形成する方法であって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子を提供することと、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子を提供することと、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が、異なる平面に沿って互いに平行に配向されるように、前記第1の端子対を前記第2の端子対に直接結合することと、を含み、 リンク素子を使用して、前記第1の端子対を前記第2の端子対に接続することを更に含み、 前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が各々、同一平面に沿って延在する内表面を含み、前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が、前記リンク素子によって接続され、 前記方法は、 前記第2のヒューズ素子に隣接する前記第1のヒューズ素子を提供することと、 前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させることにより、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を、前記第2のヒューズ素子の前記内表面に直接結合することと、を更に含む、方法。 [相違点1-10] 本件発明10は、「前記リンク素子を屈曲させて」、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させるのに対し、甲1方法発明は、リベットを屈曲させることにより、可溶体12を重ねるようにするものではない点。 イ 判断 上記相違点1-10は、実質的な相違点であり、本件発明10は、甲1方法発明ではない。 よって、申立理由1には理由がない。 (2)申立理由2(甲1発明を主引用発明とする進歩性)について ア 本件発明1について 本件発明1と甲1物発明とを対比すると、上記「第4」3(1)ア(ア)のとおり、両者は以下の点で相違する。 [相違点1-1](再掲) 本件発明1は、「リンク素子」が、「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成され」ており、「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより」、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触しているのに対し、甲1物発明においては、「リベット」は、「4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔に差し込まれ、かしめられることにより」、1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面を2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態とした、4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定するものである点。 上記相違点1-1について検討する。 甲2物発明は、「前記両側の端子部110Bと前記両側の端子部110Cとを一体的に連結する連結部210と、を備え」るという構成を有している。 しかしながら、甲2物発明は、「前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態」するものであるから、甲1物発明に甲2物発明を適用したとしても、本件発明1の「第1の端子対の内表面と第2の端子対の内表面とが」、「互いに直接物理的に接触する」という構成にはなり得ない。 また、甲3には「ヒューズエレメント要素100の1つの溶断部の両側に板状部をそれぞれ設け、その板状部を折り曲げることで、ヒューズエレメント103の三枚重ね構造の端子102を得ること」という技術的事項が、甲4には「ヒューズエレメント100を、一枚の金属板を加工して一体成形するに際し、当該ヒューズエレメント100の端子部110は、前記一枚の金属板の端部を、折り曲げて重ね合わせることで成形する」という技術的事項が記載されているが、これらは、いずれも溶断部が1つのヒューズに係るものであり、これらの技術的事項を甲1物発明に適用する動機付けはない。仮に、甲3記載の技術的事項及び甲4記載の技術的を適用したとしても、甲1物発明の1枚の可溶体12の両側の端部15を板状部を折り曲げて重ね合わせて形成するという構成となるにとどまり、複数の可溶体12の端部同士を折り曲げ可能なように互いにつなぐとう構成にはなり得ないから、本件発明1の「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより」、「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが」、「互いに直接物理的に接触している」という構成にはなり得ない。 さらに、「リンク素子が折り畳み可能であることにより」、第1の端子対の内表面と第2の端子対の内表面とを互いに直接物理的に接触させることが周知技術であることを示す証拠もない。 したがって、甲1物発明、甲2物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項から、上記相違点1-1に係る本件発明1の構成に想到することは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、本件発明1は、甲1物発明、甲2物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 イ 本件発明3について 本件発明3と甲1物発明とを対比すると、上記「第4」3(1)イのとおり、両者は以下の点で相違する。 [相違点1-3](再掲) 本件発明3は、リンク素子が「端子本体」が含む「内表面及び前記外表面を接続する縁部」「と一体的に形成され」ており、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより」、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触しているの対し、甲1物発明においては、「リベット」は、「4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔に差し込まれ、かしめられることにより」、1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面を2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態とした、4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定するものである点。 そして、上記「第4」3(1)イで述べたとおり、上記相違点1-3に係る本件発明1の構成は、上記相違点1-1に係る本件発明1の構成との比較において、リンク素子が第1の端子対及び第2の端子対のどこに形成されるかが更に限定されているが、その他は同じである。 したがって、上記アと同様に、甲1物発明、甲2物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項から、上記相違点1-3に係る本件発明1の構成に想到することは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、本件発明3は、甲1物発明、甲2物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 ウ 本件発明4~9について 本件発明4~9は、本件発明1又は本件発明3の発明特定事項をすべて含む。 よって、上記ア及びイと同様に、本件発明4~9は、甲1物発明、甲2物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 エ 本件発明10について 本件発明10と甲1方法発明とを対比すると、上記(1)アのとおり、両者は以下の点で相違する。 [相違点1-10](再掲) 本件発明10は、「前記リンク素子を屈曲させて」、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させるのに対し、甲1方法発明は、リベットを屈曲させることにより、可溶体12を重ねるようにするものではない点。 上記相違点1-10ついて検討すると、上記アと同様のことがいえる。 すなわち、甲2方法発明は、「前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態」するものであるから、甲1物発明に甲2物発明を適用したとしても、本件発明10の「第1のヒューズ素子の内表面を第2のヒューズ素子の内表面に当接させる」という構成にはなり得ない。 また、甲3及び甲4記載の技術的事項は、いずれも溶断部が1つのヒューズに係るものであるいから、これらの技術的事項を甲1物発明に適用する動機付けはないし、仮に、甲3及び甲4記載の技術的事項を甲1発明に適用したとしても、甲1物発明の1枚の可溶体12の両側の端部15を板状部を折り曲げて重ね合わせて形成するという構成になるとどまり、複数の可溶体12同士を折り曲げ可能なように互いにつなぐとう構成にはなり得ないから、本件発明10の「前記リンク素子を屈曲させて、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させる」という構成にはなり得ない。 さらに、「前記リンク素子を屈曲させて」、第1のヒューズ素子の内表面を第2のヒューズ素子の内表面に当接させることが周知技術であることを示す証拠もない。 したがって、甲1方法発明、甲2方法発明、甲3及び甲4記載の技術的事項から、上記相違点1-10に係る本件発明10の構成に想到することは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、上記アと同様に、本件発明10は、甲1方法明、甲2方法発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 オ 本件発明11、14、15について 本件発明11、14、15は、本件発明10の発明特定事項をすべて含む。 したがって、上記エと同様に、本件発明11、14、15は、甲1方法発明、甲2方法発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 カ 本件発明17について 本件発明17と甲1物発明とを対比すると、上記「第4」3(1)ウ(ア)のとおり、両者は以下の点で相違する。 [相違点1-17](再掲) 本件発明17は、「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成されたリンク素子を更に備え」、「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、」前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触しているのに対し、甲1物発明は、「リベット」を有し、「4枚の可溶体12のリベット孔15bと可溶体保持体20のリード部23のリベット孔23bを連通させ、その連通したリベット孔に差し込まれ、かしめられることにより」、1枚目の可溶体12の両側の端部15の表面を2枚目の可溶体12の両側の端部15の表面に直接接触した状態とした、4枚の可溶体12の両側の端部15を可溶体保持体20の挟持部20bで挟んで固定するものである点。 当該相違点1-17について検討するに、当該相違点1-17は、上記相違点1-1と実質的に同じである。 したがって、上記アと同様に、本件発明17は甲1物発明、甲2物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 キ 申立理由2についてのまとめ 以上とおり、本件発明1、3~11、14、15、17は、本件発明17は甲1発明、甲2発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 よって、申立理由2には、理由がない。 (3)申立理由3(甲2発明を引用発明とする新規性)及び4(甲2発明を主引用例とする進歩性)について ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲2物発明とを対比する。 a 甲2物発明の「エレメント120Ba・120Bb」は「溶断部」において溶断される。そうすると、甲2物発明の「溶断部を有するエレメント120Ba・120Bb」ないし「エレメント120Ba・120Bb」は、本件発明1の「第1の可融性リンク」に相当する。 また、甲2物発明の「ヒューズエレメント100B」の「両側の板状の端子部110Bと、この両側の端子110Bの間に」「エレメント120Ba・120Bbを備えた」という形状は、“両側の端子部110B”が“エレメント120Ba・120Bbによって接合されている”形状ともいえる。そうすると、甲2物発明の「両側の端子部110B」は本件発明1の「第1の端子対」に相当し、甲2物発明の「両側の板状の端子部110Bと、この両側の端子110Bの間に並列に配置され、溶断部を有するエレメント120Ba・120Bbを備えた」という構成は、本件発明1における「第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む」という構成に相当し、甲2物発明の「ヒューズエレメント100B」が、本件発明1の「第1のヒューズ素子」に相当する。 b 上記aと同様に、甲2物発明の「溶断部を有するエレメント120Ba・120Bb」ないし「エレメント120Ba・120Bb」及び「両側の板状の端子部110C」は、本件発明1の「第2の可融性リンク」及び「第2の端子対」に相当する。そして、甲2物発明の「両側の板状の端子部110Cと、この両側の端子110Cの間に並列に配置され、溶断部を有する」という構成は、本件発明1の「第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む」という構成に相当し、甲2物発明の「ヒューズエレメント100C」は本件発明1の「第2のヒューズ素子」に相当する。 c 本件特許明細書の段落【0036】の「図示されるように、第1の端子対304A~Bは、例えば、第1及び第2の端子対304A~B及び312A~Bと一体的に形成される1つ以上のリンク素子318によって、第2の端子対312A~Bと直接物理的に結合される。」との記載に鑑みれば、甲2物発明において「連結部210」によって「前記両側の端子部110Bと前記両側の端子部110Cとを一体的に連結する」ことは、本件発明1の「前記第1の端子対」を「前記第2の端子対と直接物理的に結合」することに相当するといえる。 d 甲2物発明の「前記両側の端子部110B及び前記両側の端子部110Cと一体成形され」ることは、本件発明1の「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成され」ることに相当し、甲2物発明の「前記両側の端子部110Bと前記両側の端子部110Cとを一体的に連結する」ことは、本件発明1の「前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させる」ことに相当し(上記c参照)、甲2物発明の「連結部210」は本件発明1の「リンク素子」に相当する。 e 甲2物発明の可溶体12の「前記両側の板状の端子部110B」及び「前記両側の板状の端子部110C」は、その形状から、当然に“2つの表面”を有するから、本件発明1の「内表面及び外表面を含む端子本体」ないし「端子本体」に相当する。 f 甲2物発明において、「前記連結部210を前記端子部110Cに向けて折り曲げ、また、前記端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、前記連結部210に向けて折り曲げることで、前記連結部210が前記端子部110Cに、前記端子部110Bが前記連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げ、前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態」とすると、その密着した状態において、「端子部110B」と「前記端子部110C」の互いに対向する表面は当然に“互いに平行”になる。そうすると、甲2物発明において、「前記連結部210を前記端子部110Cに向けて折り曲げ、また、前記端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、前記連結部210に向けて折り曲げることで、前記連結部210が前記端子部110Cに、前記端子部110Bが前記連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げ、前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態と」することは、本件発明1の「端子本体」において、「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、互いに平行であ」ることに相当する。 g 甲2物発明の「前記両側の端子部110B及び前記両側の端子部110Cにそれぞれ」「設けた」「固定孔111B、固定孔111C」は、本件発明1の「前記端子本体を通って形成された開口」に相当する。 h 甲2物発明の「一体型ヒューズエレメント200」は、本件発明1の「複数素子ヒューズ」に相当する。 以上のことから、本件発明1と甲2物発明は、次の一致点で一致し、次の相違点2-1で相違する。 [一致点] 複数素子ヒューズであって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子と、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子と、を備え、前記第1の端子対が、前記第2の端子対と直接物理的に結合されており、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成され、前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させるリンク素子を更に備え、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、 内表面及び外表面を含む端子本体であって、 前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、互いに平行である、端子本体と、 前記端子本体を通って形成された開口と、を含む、複数素子ヒューズ。 [相違点2-1] 本件発明1は、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、「互いに直接物理的に接触している」のに対し、甲2物発明は、「前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態と」する点。 (イ)判断 a 新規性について 上記相違点2-1は実質的な相違点である。 よって、本件発明1は、甲2物発明ではない。 b 進歩性について 上記相違点2-1について検討する。 甲1物発明は、本件発明1の「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが」、「互いに平行であり、互いに直接物理的に接触している」という構成を備えているが(上記「第4」3(1)ア(ア)f参照)、甲1物発明は、もともと別々の可溶体12の端部15を重ねるものであって、甲2物発明のような「連結部」により繋がった端子部を、「連結部」を「折り曲げ」ることにより重ねるものでなく、甲2物発明とはその基本的な構造が異なるものであるから、甲2物発明に甲1物発明の上記構成を適用する動機付けがあるとはいえない。 また、甲3には「ヒューズエレメント要素100の1つの溶断部の両側に板状部をそれぞれ設け、その板状部を折り曲げることで、ヒューズエレメント103の三枚重ね構造の端子102を得ること」という技術的事項が、甲4には「ヒューズエレメント100を、一枚の金属板を加工して一体成形するに際し、当該ヒューズエレメント100の端子部110は、前記一枚の金属板の端部を、折り曲げて重ね合わせることで成形する」という技術的事項が記載されているが、これらは、いずれも溶断部が1つのヒューズに係るものであり、これら甲3及び甲4記載の技術的事項を甲2物発明に適用する動機付けがあるとはいえないし、甲3及び甲4記載の技術的事項はいずれも、本件発明1の「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが」、「互いに直接物理的に接触している」という構成を備えるものではないので、甲2物発明に甲3及び甲4記載の技術的事項を適用したとしても、相違点2-1に係る本件発明1の構成にはなり得ない。 さらに、「リンク素子が折り畳み可能であることにより」、第1の端子対の内表面と第2の端子対の内表面とを互いに直接物理的に接触させることが周知技術であることを示す証拠もない。 したがって、甲2物発明、甲1物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項から、上記相違点2-1に係る本件発明1の構成に想到することは当業者が容易になし得たことではない。 よって、本件発明1は、甲2物発明、甲1物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 申立人は、令和7年8月12日に提出した意見書において、本件発明1の「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが互いに直接物理的に接触している」構成について、「甲第1号証には、「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、互いに平行であり、かつ互いに直接物理的に接触」するという構成が記載されている(令和7年1月31日付け取消理由通知書第18-19頁(カ)参照)。」(意見書第4頁第13~16行)と述べるとともに、「甲第2号証にも、ヒューズエレメント100を2つ用意して、互いに背中合わせにし、互いの端子部110を半田付けや溶接等により連結している構成が開示されている(【0031】【図1(b)】【図2(c)】)。当該構成においては、2つのヒューズエレメントの端子部が直接物理的に接触している。」(意見書第4頁第17~21行)と述べた上で、これらの甲1記載の技術的事項や甲2記載の技術的事項を、甲2物発明に適用することが容易である旨主張している。 しかし、甲1記載の技術的事項を甲2物発明に適用する適用する動機付けはないことは、上述の通りである。 また、申立人が挙げる甲2記載の技術的事項も、もともと別々のヒューズエレメント100の端部を重ねるものであって、甲2物発明のような「連結部」により繋がった端子部を、連結部を「折り曲げ」ることにより重ねるものでなく、甲2物発明とはその基本的な構造が異なっており、甲2物発明に申立人が挙げる甲2記載の技術的事項を適用する動機付けがあるとはいえない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 イ 本件発明3について 本件発明3と甲2物発明とを対比すると、甲2物発明の発明特定事項と、本件発明3との発明特定事項との間には、上記ア(ア)のa~hとほぼ同様の相当関係がいえ、それに加え、甲2物発明の「前記両側の板状の端子部110B」及び「前記両側の板状の端子部110C」は、上記ア(ア)eのとおり“2つの表面”を有するが、「板状」という形状から、“2つの表面”を接続する“縁部”も有しているといえ、この“縁部”が本件発明3の「前記内表面及び前記外表面を接続する縁部」相当する。 そうすると、本件発明3と甲2物発明は、次の一致点で一致し、次の相違点2-3a、相違点2-3bで相違する。 [一致点] 複数素子ヒューズであって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子と、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子と、を備え、前記第1の端子対が、前記第2の端子対と直接物理的に結合されており、 前記第1の端子対を前記第2の端子対に結合させるリンク素子を更に備え、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、 内表面及び外表面を含む端子本体であって、 前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、互いに平行である、端子本体と、 前記端子本体を通って形成された開口と、を含み、 前記端子本体が、前記内表面及び前記外表面を接続する縁部を更に含む、複数素子ヒューズ。 [相違点2-3a] 本件発明3は、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、「互いに直接物理的に接触している」のに対し、甲2物発明は、「前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態と」する点。 [相違点2-3b] 本件発明3は、「前記端子本体が、前記内表面及び前記外表面を接続する縁部を更に含み、前記リンク素子は、前記縁部と一体的に形成されている」のに対し、甲2物発明は、「連結部」は、「前記両側の端子部110B及び前記両側の端子部110Cと一体成形され」ているが、端子部110B及び端子部110C「縁部」と一体的に形成されているものか、明らかでない点。 上記相違点2-3aは、上記相違点2-1と実質的に同じである。 したがって、上記ア(イ)と同様に、甲2物発明、甲1物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項から、上記相違点2-3aに係る本件発明1の構成に想到することは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、上記相違点2-3bについて検討するまでもなく、本件発明3は、甲2物発明、甲1物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 ウ 本件発明4~9について 本件発明4~9は、本件発明1又は本件発明3の発明特定事項をすべて含む。 したがって、上記ア及びイと同様に、本件発明4~9は、甲2物発明、甲1物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 エ 本件発明10について (ア)対比 本件発明10と甲2方法発明とを対比する。 a 上記ア(ア)a及びbと同様に、甲2方法発明の「エレメント120Ba・120Bb」、「両側の板状の端子部110B」及び「ヒューズエレメント100B」は、本件発明10の「第1の可融性リンク」、「第1の端子対」及び「第1のヒューズ素子」に相当し、甲2方法発明の「エレメント120Ca・120Cb」、「両側の板状の端子部110C」及び「ヒューズエレメント100C」は、本件発明1の「第2の可融性リンク」、「第2の端子対」及び「2のヒューズ素子」に相当する。 そして、甲2方法発明の「一枚の板状部材から、両側の端子部110Bと、この両側の端子110Bの間に並列に配置され、溶断部を有するエレメント120Ba・120Bbを備えたヒューズエレメント100Bと、両側の端子部110Cと、この両側の端子110Cの間に並列に配置され、溶断部を有するエレメント120Ca・120Cbを備えたヒューズエレメント100Cと」を「打ち抜くこと」は、本件発明10の「第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子を提供すること」及び「第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子を提供すること」に相当する。 b 甲2方法発明において、「前記連結部210を前記端子部110Cに向けて折り曲げ、また、前記端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、前記連結部210に向けて折り曲げることで、前記連結部210が前記端子部110Cに、前記端子部110Bが前記連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げ」た結果、「前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態と」した場合、両側の端子部110Cと両側の端子部110Bとは“異なる平面”に位置するし、その“異なる平面に沿い”ながら“互いに平行”となる。そして、甲2方法発明により、「前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態と」した場合においても、依然として、「前記両側の端子部110Bと前記両側の端子部110C」とは「連結部」により「一体的に連結」されていることに変わりなく、当該事項は、上記ア(ア)cを踏まえると、本件発明10の「前記第1の端子対を前記第2の端子対に直接結合すること」に相当する。 そうすると、甲2方法発明の「前記両側の端子部110Bと前記両側の端子部110Cと、を一体的に連結する連結部210」を「打ち抜くこと」に加え、更に「前記連結部210を前記端子部110Cに向けて折り曲げ、また、前記端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、前記連結部210に向けて折り曲げることで、前記連結部210が前記端子部110Cに、前記端子部110Bが前記連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げ、前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態とすること」は、本件発明10の「前記第1の端子対及び前記第2の端子対が、異なる平面に沿って互いに平行に配向されるように、前記第1の端子対を前記第2の端子対に直接結合すること」に相当する。 c 甲2方法発明において、「前記連結部210を前記端子部110Cに向けて折り曲げ、また、前記端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、前記連結部210に向けて折り曲げることで、前記連結部210が前記端子部110Cに、前記端子部110Bが前記連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げ」た結果、「前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態と」した場合、「前記端子部110B」の「前記端子部110C」に対向する表面と、「前記端子部110C」の「前記端子部110B」に対向する表面とは、互いに平行となるが、このとき「前記端子部110B」の「前記端子部110C」に対向する表面と、「前記端子部110C」の「前記端子部110B」に対向する表面とは、“同一平面に沿って延在する”状態にある。そして、上記bでも述べたとおり、甲2方法発明により、「前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態と」した場合においても、依然として、「前記両側の端子部110Bと前記両側の端子部110C」とは「連結部」により「一体的に連結」されていることに変わりない。 そうすると、甲2方法発明の「前記両側の端子部110Bと前記両側の端子部110Cと、を一体的に連結する連結部210」を「打ち抜くこと」に加え、更に「前記連結部210を前記端子部110Cに向けて折り曲げ、また、前記端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、前記連結部210に向けて折り曲げることで、前記連結部210が前記端子部110Cに、前記端子部110Bが前記連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げ、前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態とすること」とは、本件発明10の発明特定事項との間に上記bの相当関係を有すると同時に、本件発明10の「前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が各々、同一平面に沿って延在する内表面を含み、前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が、前記リンク素子によって接続され」ることにも相当する。 d 甲2方法発明の「一枚の板状部材から、両側の端子部110Bと、この両側の端子110Bの間に並列に配置され、溶断部を有するエレメント120Ba・120Bbを備えたヒューズエレメント100Bと、両側の端子部110Cと、この両側の端子110Cの間に並列に配置され、溶断部を有するエレメント120Ca・120Cbを備えたヒューズエレメント100Cと、前記両側の端子部110Bと前記両側の端子部110Cと、を一体的に連結する連結部210と、を一体的に打ち抜くこと」は、本件発明10の「前記第2のヒューズ素子に隣接する前記第1のヒューズ素子を提供すること」に相当する。 e 甲2方法発明の「前記連結部210を前記端子部110Cに向けて折り曲げ、また、前記端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、前記連結部210に向けて折り曲げることで、前記連結部210が前記端子部110Cに、前記端子部110Bが前記連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げる」ことは、本件発明10の「前記リンク素子を屈曲させ」ることに相当する。 f 甲2方法発明の「一体型ヒューズエレメント200を製造する方法」は本件発明10の「複数素子ヒューズを形成する方法」に相当する。 以上のことから、本件発明10と甲2方法発明は、次の一致点で一致し、次の相違点2-10で相違する。 [一致点] 複数素子ヒューズを形成する方法であって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子を提供することと、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子を提供することと、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が、異なる平面に沿って互いに平行に配向されるように、前記第1の端子対を前記第2の端子対に直接結合することと、を含み、 リンク素子を使用して、前記第1の端子対を前記第2の端子対に接続することを更に含み、 前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が各々、同一平面に沿って延在する内表面を含み、前記第1のヒューズ素子及び前記第2のヒューズ素子が、前記リンク素子によって接続され、 前記方法は、 前記第2のヒューズ素子に隣接する前記第1のヒューズ素子を提供することと、 前記リンク素子を屈曲させることと、を更に含む、方法。 [相違点2-10] 本件発明10は、リンク素子を屈曲させて、「前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させることにより、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を、前記第2のヒューズ素子の前記内表面に直接結合する」ものであるが、甲2方法発明は、「連結部210を端子部110Cに向けて折り曲げ、また、端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、連結部210に向けて折り曲げることで、前記連結部210が前記端子部110Cに、前記端子部110Bが前記連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げ」ることにより、「前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態とする」ものである点。 (イ)判断 a 新規性について 上記相違点2-10は実質的な相違点である。 よって、本件発明10は、甲2方法発明ではない。 b 進歩性について 上記相違点2-10について検討する。 上記相違点2-10に係る本件発明10の、リンク素子を屈曲させて、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させるという構成は、上記相違点2-1に係る本件発明1の、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、互いに直接物理的に接触しているという構成と実質的に同じである。 したがって、上記ア(イ)と同様に、甲2方法発明、甲1方法発明、甲3及び甲4記載の技術的事項から、上記相違点2-10に係る本件発明10の構成に想到することは当業者が容易になし得たことではない。 よって、本件発明10は、甲2方法発明、甲1方法発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 オ 本件発明11、14、15について 本件発明11、14、15は、本件発明10の発明特定事項をすべて含む。 したがって、上記エと同様に、本件発明11、14、15は、甲2方法発明、甲1方法発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 カ 本件発明17について (ア)対比 本件発明17と甲2物発明とを対比すると、甲2物発明の発明特定事項と、本件発明17との発明特定事項との間には、上記ア(ア)のa、b、hと同じ相当関係がいえ、それに加え以下の相当関係がいえる。 a 甲2物発明の「前記両側の板状の端子部110B」及び「前記両側の板状の端子部110C」はそれぞれ、その形状から、当然に“2つの表面”を有しており、これら“2つの表面”が本件発明17の「第1の端子対」及び「前記第2の端子対」の「内表面及び外表面」に相当する。 b 上記ア(ア)fを踏まえれば、甲2物発明において、「前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態と」することは、本件発明17において、「前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面とが、互いに平行である」こと相当する。 c 甲2物発明の「前記両側の端子部110B及び前記両側の端子部110Cと一体成形され」ること、及び「連結部210」は、本件発明17の「前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成され」ること、及び「リンク素子」に相当する。 d 上記ア(ア)fと同様に、甲2物発明において、「前記連結部210を前記端子部110Cに向けて折り曲げ、また、前記端子部110Bを、先の連結部210を折り曲げた方向とは反対方向に、前記連結部210に向けて折り曲げることで、前記連結部210が前記端子部110Cに、前記端子部110Bが前記連結部210に、それぞれ重なるまで折り曲げ、前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態と」することは、本件発明17において「前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、互いに平行であ」ることに相当する。 以上のことから、本件発明17と甲2物発明は、次の一致点で一致し、次の相違点2-17で相違する。 [一致点] 複数素子ヒューズであって、 第1の可融性リンクによって接合された第1の端子対を含む第1のヒューズ素子と、 第2の可融性リンクによって接合された第2の端子対を含む第2のヒューズ素子と、を備え、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対が各々、 内表面及び外表面を含み、 前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、平行であり、 前記第1の端子対及び前記第2の端子対と一体的に形成されたリンク素子を更に備え、 前記リンク素子が折り畳み可能であることにより、前記第1の端子対の前記内表面及び前記第2の端子対の前記内表面が、互いに平行である、複数素子ヒューズ。 [相違点2-17] 本件発明17は、前記第1の端子対の前記内表面と前記第2の端子対の前記内表面が、「互いに直接物理的に接触している」のに対し、甲2物発明は、「前記端子部110Cと前記連結部210、前記連結部210と前記端子部110Bを折り重ね、互いに面接触して密着状態と」する点。 (イ)判断 a 新規性について 上記相違点2-17は実質的な相違点である。 よって、本件発明17は、甲2物発明ではない。 b 進歩性について 上記相違点2-17について検討すると、上記相違点2-17は、上記相違点2-1と実質的に同じであり、上記ア(イ)と同様に、甲2物発明、甲1物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項から、上記相違点2-17に係る本件発明1の構成に想到することは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、本件発明17は、甲2物発明、甲1物発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 キ 申立理由3及び4についてのまとめ 以上とおり、本件発明1、3~11、14、15、17は、甲2発明ではないし、甲2発明、甲1発明、甲3及び甲4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 よって、申立理由3及び4には理由がない。 (4)申立理由5(実施可能要件)について 本件発明に係る「複数素子ヒューズ」に関し、本件特許明細書等の段落【0026】~【0031】、図1~5には、第1及び第2のヒューズ素子102、110の材料や、第1及び第2のヒューズ素子102、110を単一の材料片から機械加工/製造する工程、リンク素子118を折り畳むことによって、第1及び第2第1及び第2のヒューズ素子102、110を重ね合わせる工程が具体的に記載されている。また、段落【0001】、【0002】から、本件発明に係る「複素子ヒューズ」を、電気回路のための過電流保護デバイスとして使用できることは、明らかである。 したがって、発明の詳細な説明は、「複数素子ヒューズ」という「物」の発明である本件発明1、3~9、17について、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、「複数素子ヒューズ」を作ることができ、かつ、使用することがきる程度に記載されているといえる。 また、発明の詳細な説明は、「複数素子ヒューズを形成する方法」という「方法」の発明である本件発明10、11、14、15について、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、「複数素子ヒューズを形成する方法」を使用することができる程度に記載されているといえる。 よって、発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1、3~11、14、15、17の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているものといえる。 申立人は、特許異議申立書において、「本件特許発明は、リンク素子の材料や、ヒューズ素子の端子本体の縁部への取り付け形態が不明であり、どのように課題を解決できるのか理解できず、技術常識を踏まえても当業者が実施できるとは言えない」(第51頁第1~3行)と主張する。 しかし、発明の詳細な説明における、 ・「第1及び第2のヒューズ素子102、110は、良好な導電性及び展性を示す銅又は銅合金であってもよい」(段落【0026】)、 ・「図示されるように、端子本体120A~Dは、内表面124A~D及び外表面128A~Dを接続する隣接する縁部を更に含み、リンク素子118は、縁部と一体的に形成されている」(段落【0027】)、 ・「いくつかの実施形態では、第1のヒューズ素子102及び第2のヒューズ素子110は、初期に、単一の材料片から機械加工/製造された後、同じ平面に沿って互いに隣接して配置される。第1及び第2のヒューズ素子102、110は、第1及び第2の端子対104A~B、112A~Bの各々の内縁部の間に延在することができるリンク素子118のみによって互いに結合することができる」(段落【0029】) などの記載から、「リンク素子」の材料に関し、リンク素子は第1及び第2のヒューズ素子と同じ材料から一体的に形成してよいこと、「リンク素子」の取り付け態様に関し、リンク素子は第1及び第2のヒューズ素子の端子本体の縁部に設けて良いことが、理解できるから、申立人の主張は採用できない。 よって、申立理由5には理由がない。 (5)申立理由6(サポート要件)について 上記「第4」3(2)アのとおり、本件特許明細書等には、課題を解決するための手段として、第1の端子対104~Bと第2の端子対112A~Bとを結合するリンク素子118を設け(同段落【0026】)、「リンク素子118を折り畳む」ことによって、第1の端子対104A~Bは、第2の端子対112A~Bに直接物理的に結合され、及び/又は、第2の端子対112A~Bに直接隣接し、かつそれと当接するようにしたもの(同段落【0031】、図1~5)、あるいは、「リンク素子を屈曲させて」、第1のヒューズ素子の内表面を第2のヒューズ素子の内表面に当接させたもの(同段落【0041】中の項目15)が記載されている。 これに対して、本件発明10は、「リンク素子を使用して、前記第1の端子対を前記第2の端子対に接続すること」と、「前記リンク素子を屈曲させて、前記第1のヒューズ素子の前記内表面を前記第2のヒューズ素子の前記内表面に当接させること」とを含むものであり、上記課題を解決するための手段が反映されたものとなっている。 したがって、本件発明10は、発明の詳細な説明において、上記課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものではなく、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。 本件発明11、14、15は本件発明10の発明特定事項をすべて含むところ、本件発明10と同様に、本件発明11、14、15は発明の詳細な説明に記載されたものといえる。 申立人は、特許異議申立書において、「請求項1-15、17は、リンク素子を備えること、又はリンク素子を使用して、第1の端子対を第2の端子対に接続すること、と規定するのみで、明細書や図面、出願時の技術常識を考慮しても、リンク素子によって課題(【0003】)を解決できると認識できない」(第52頁第14~17行)、「リンク素子がヒューズ素子と一体に形成されたものと解するならば、どのような構成を有し、リンク素子自体が折り畳まれ、またリンク素子の周囲が折り畳まれるのか記載されている必要がある。また、複数素子ヒューズの製造工程において、第1、第2のヒューズ素子を提供することと、リンク素子を使用して第1の端子対を第2の端子対に接続することの要件が経時的にどのような意義を有することになるのか記載されている必要がある」(第52頁第25行~第53頁第2行)と主張している。 しかし、本件訂正により、リンク素子が第1の端子対及び第2の端子対と一体的に形成されること、当該リンク素子が屈曲することで、第1のヒューズ素子の内表面と第2のヒューズ素子の内表面とを接触させることが本件発明に反映された。また、リンク素子が屈曲することで、第1のヒューズ素子の内表面と第2のヒューズ素子の内表面とを接触させるものである以上、必然的に、リンク素子が第1の端子対及び第2の端子対と一体的にされた後に、折り畳み又は屈曲されるという経時的な事項も明らかとなったといえる。 したがって、申立人の主張はもはや当たらない。 よって、申立理由6には理由がない。 (6)申立理由7(明確性要件)について 特許請求の範囲において、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確な記載は見当たらず、本件発明1、3~15、17は明確である。 申立人は、特許異議申立書において、「リンク素子は、第1、第2のヒューズ素子の一部として一体成形されているものなのか、別の部材として第1、第2のヒューズ素子に取り付けられたものなのか、またどのように取り付けられたものなのかも不明であり、技術常識を踏まえても、請求項の記載が不明確である。」(第53頁第16~20行)と主張しているが、本件訂正により、本件発明に、リンク素子が第1の端子対及び第2の端子対と一体的に形成されることが本件発明に反映された。 したがって、申立人の主張はもはや当たらない。 よって、申立理由7には理由がない。 第5 むすび 以上のとおり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された申立理由によっては、本件特許の請求項1、3~11、14、15、17に係る特許を取り消すことはできない。 さらに、他に本件特許の請求項1、3~11、14、15、17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、本件特許の請求項2、12、13に係る特許は、上記のとおり、本件訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項2、12、13に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700135

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