特許異議申立
2021-701084
作業機システム
- 審判番号
- 2021-701084
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-074502
- 登録番号
- 6875312
- 請求日
- 2021年11月17日
- 審決日
- 2023年02月22日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社FUJI
- 【権利者代理人】東口 倫昭
- 【異議申立人】弁理士法人 大手門国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 刈間 宏信
- 審判官 大山 健
- 審判官 中里 翔平
- 分類
- P1651.121-ZDA(G05B) / P1651.536-ZDA(G05B) / P1651.537-ZDA(G05B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 行政事件訴訟法46条特許法29条2項特許法113条2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6875312号発明「作業機システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6875312号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4、5〕、3について訂正することを認める。
特許第6875312号の請求項1、2、4、5に係る特許を取り消す。
特許第6875312号の請求項3に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6875312号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、2013年(平成25年)10月17日(以下、「原出願日」という。)を国際出願日とする特願2015-542446号の一部を、平成30年4月9日に新たな出願としたものであって、令和3年4月26日にその特許権の設定登録がされ、同年5月19日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許に対して特許異議の申立てがあり、その手続の概要は以下のとおりである。
令和 3年11月17日 :特許異議申立人 弁理士法人大手門国際特許事務所(以下、「申立人」という。)による全請求項(請求項1~5)に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 4年 3月18日付け:取消理由通知
同 年 5月27日 :特許権者による意見書の提出及び訂正請求
同 年 7月 7日 :申立人による意見書の提出
同 年 8月24日付け:取消理由通知(決定の予告)
同 年10月28日 :特許権者による意見書の提出及び訂正請求(この訂正請求による訂正を以下、「本件訂正」という。)
同 年12月21日 :申立人による意見書の提出
なお、令和4年5月27日提出の訂正請求については、取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否についての判断
1 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、一群の請求項〔1~5〕について、以下のとおりである。(なお、下線部は、各訂正事項について特許権者が付したものである。)
(1)訂正事項1-1
特許請求の範囲の請求項1に「制御装置と、該制御装置に電気的に接続されるタッチパネルである操作盤と、を各々が有する複数の作業機と、」と記載されているものを、「作業機を制御する制御装置と、該制御装置に電気的に接続されるものであり、作業者が画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した操作盤と、を各々が有する複数の該作業機と、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。)
(2)訂正事項1-2
特許請求の範囲の請求項1に「タッチパネルを有する無線端末を、」と記載されているものを、「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した無線端末を、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。)
(3)訂正事項1-3
特許請求の範囲の請求項1に「追加接続された該無線端末のタッチパネルの画面には、」と記載されているものを、「追加接続された該無線端末のディスプレイの全画面には、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。)
(4)訂正事項1-4
特許請求の範囲の請求項1に「複数の前記作業機の各々が備える前記操作盤の全画面に表示されたもの毎に切り換えて、」と記載されているものを、「複数の前記作業機の各々が備える前記操作盤のディスプレイの全画面に表示されたもの毎に切り換えて、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。)
(5)訂正事項1-5
特許請求の範囲の請求項1に「該無線端末のタッチパネルの画面に切り換えてそのまま単一で遠隔表示された、」と記載されているものを、「該無線端末のディスプレイの全画面に切り換えてそのまま単一で遠隔表示された、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。)
(6)訂正事項1-6
特許請求の範囲の請求項1に「複数の該作業機の各々が備える該操作盤の全画面に表示されたものは、」と記載されているものを、「複数の該作業機の各々が備える該操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものは、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。)
(7)訂正事項1-7
特許請求の範囲の請求項1に「無線端末」について、「作業者がタッチすることにより操作可能であり、」と記載されているものを、「作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能であり、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。)
(8)訂正事項1-8
特許請求の範囲の請求項1に「複数の該生産ラインが備える複数の該作業機が備える該操作盤の全画面に表示されたもの毎に切り換えて、」と記載されているものを、「複数の該生産ラインが備える複数の該作業機が備える該操作盤のディスプレイの全画面に表示されたもの毎に切り換えて、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。)
(9)訂正事項1-9
特許請求の範囲の請求項1に「そのまま単一で遠隔表示可能であることを特徴とする作業機システム。」と記載されているものを、「そのまま単一で遠隔表示が可能であるとともに、該無線端末のディスプレイの画面に作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能であることを特徴とする作業機システム。」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。)
(10)訂正事項2-1
特許請求の範囲の請求項2に「前記無線端末のタッチパネルの画面には、」と記載されているものを、「前記無線端末のディスプレイの全画面には、」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項4、5も同様に訂正する。)
(11)訂正事項2-2
特許請求の範囲の請求項2に「該画面に一覧で表示された複数の該作業機の該情報のうち、」と記載されているものを、「該全画面に一覧で表示された複数の該作業機の該情報のうち、」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項4、5も同様に訂正する。)
(12)訂正事項2-3
特許請求の範囲の請求項2に「該情報に関連する該作業機の前記操作盤の全画面に表示されたものが、」と記載されているものを、「該情報に関連する該作業機の前記操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものが、」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項4、5も同様に訂正する。)
(13)訂正事項2-4
特許請求の範囲の請求項2に「該無線端末のタッチパネルの画面にそのまま単一で遠隔表示される請求項1に記載の作業機システム。」と記載されているものを、「該無線端末のディスプレイの全画面にそのまま単一で遠隔表示される請求項1に記載の作業機システム。」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項4、5も同様に訂正する。)
(14)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3の末尾に「該生産ラインに接続される請求項1または請求項2に記載の作業機システム。」と記載されているうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、請求項3の冒頭に「制御装置と、該制御装置に電気的に接続されるタッチパネルである操作盤と、を各々が有する複数の作業機と、複数の該作業機を互いに電気的に接続するネットワークと、を備える作業機システムであって、前記制御装置および前記ネットワークのうち、少なくとも一方に、タッチパネルを有する無線端末を、無線で電気的に追加接続可能であり、追加接続された該無線端末のタッチパネルの画面には、複数の前記作業機の各々が備える前記操作盤の全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能であり、該無線端末のタッチパネルの画面に切り換えてそのまま単一で遠隔表示された、複数の該作業機の各々が備える該操作盤の全画面に表示されたものは、作業者がタッチすることにより操作可能であり、前記作業機システムは、複数の該作業機と、該ネットワークと、を有する生産ラインを複数備え、該無線端末は、複数の該生産ラインの各々に対して無線で接続して共用化され使用されるものであり、複数の該生産ラインが備える複数の該作業機が備える該操作盤の全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能であり、」という事項を付加し、末尾を「該生産ラインに接続される作業機システム。」と訂正する。
(15)訂正事項4-1
特許請求の範囲の請求項4に「複数の該作業機の該操作盤は、」と記載されているものを、「複数の該作業機の各々が備える該操作盤は、」に訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)
(16)訂正事項4-2
特許請求の範囲の請求項4に「該操作盤の画面に、該操作盤以外の操作盤の全画面を遠隔表示し、」と記載されているものを、「該操作盤のディスプレイの全画面に、該操作盤以外の操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものをそのまま単一で遠隔表示し、」に訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)
(17)訂正事項4-3
特許請求の範囲の請求項4に「該操作盤の画面に遠隔表示した、該操作盤以外の操作盤の全画面に表示されたものに、」と記載されているものを、「該操作盤のディスプレイの全画面にそのまま単一で遠隔表示した、該操作盤以外の操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものに、」に訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)
(18)訂正事項4-4
特許請求の範囲の請求項4に「該画面が操作可能である」と記載されているものを、「該全画面にそのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能である」に訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)
(19)訂正事項4-5
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の作業機システム。」と記載されているものを、「請求項1または請求項2に記載の作業機システム。」に訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)
(20)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の作業機システム。」と記載されているものを、「請求項1、請求項2、請求項4のいずれかに記載の作業機システム。」に訂正する。
(21)一群の請求項及び別の訂正単位とする求め
本件訂正前の請求項1~5は、その請求項2~5が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項〔1~5〕について請求されたものである。
また、本件訂正後の請求項3に係る訂正について、特許権者は、当該本件訂正が認められるときに一群の請求項〔1、2、4、5〕とは別の訂正単位として扱われることを求めている。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
請求項〔1、2、4、5〕及び別の訂正単位とする求めのある請求項3についての訂正(訂正事項1-1~訂正事項5)について、訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否を以下に検討する。
なお、本件訂正前の全請求項(請求項1~5)について特許異議申立がされているので、訂正事項1-1~訂正事項5について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(1)訂正事項1-1
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1-1は、概ね、請求項1について、「作業機を制御する」との記載により「制御装置」を具体的に特定し限定するものであるとともに、「該制御装置に電気的に接続されるものであり、作業者が画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」との記載により「操作盤」を具体的に特定し限定するものであるから、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、「該作業機」との訂正について、「該」との記載により、「該作業機」よりも前に記載された「作業機を制御する制御装置」との係り受けを明確化するものであるから、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項1-1の「作業機を制御する制御装置」との訂正については、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項(以下「本件明細書等」という。)の段落【0021】に基づいてなされたものであるから、当該訂正は、本件明細書等の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
また、訂正事項1-1の「該制御装置に電気的に接続されるものであり、作業者が画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した操作盤」との訂正については、本件明細書等の段落【0021】に、「操作盤21は、制御装置20に、無線で電気的に接続されている。・・・操作盤21は、タッチパネル210を備えている。作業者は、タッチパネル210を介して、作業機2の情報を視認することができる。また、作業者は、タッチパネル210を介して、作業機2を操作することができる。」と記載されている。
そして、本件明細書等には、「操作盤」の「タッチパネル」が「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」ものであることの明記はないものの、上記段落【0021】の「操作盤21は、タッチパネル210を備えている。・・・作業者は、タッチパネル210を介して、作業機2の情報を視認することができる。」との記載から、作業者からみて、タッチパネルの奥に作業機2の情報を表示するディスプレイがあることは明らかである。ここで、本件明細書等には、該タッチパネルとディスプレイの大小についての記載はないが、原出願日前において、ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルが配置されることは技術常識である(必要ならば、甲9(特開2000-47807号)の図1、甲10(特開2000-172442号)の図1等を参照。)。また、本件明細書等の図3~図9の画面S1~S7は、操作盤21のタッチパネル210の画面でもある(段落【0037】)ところ、画面上のボタンは、特定の位置にだけ配置されるのではなく、複数の画面のレイアウトに応じて、画面上の様々な位置に配置され得ることを理解できる。そして、画面上の様々な位置に配置され得るボタンの全部が、タッチにより機能するためには、画面上の全画面がタッチパネルである必要があることは明らかであるから、訂正事項1-1の「該制御装置に電気的に接続されるものであり、作業者が画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した操作盤」は本件明細書等から自明の事項と認められる。
以上から、訂正事項1-1は、本件明細書等の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(2)訂正事項1-2
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1-2は、請求項1について、「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」との記載により「無線端末」を具体的に特定し限定するものであり、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項1-2の「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した無線端末」との訂正については、当該訂正に関連して、本件明細書等の段落【0024】に、「本実施形態の作業機システム1によると、無線端末4のタッチパネル40に、任意の生産ライン9a~9c(単一でも複数でもよい)の任意の作業機2(単一でも複数でもよい)のタッチパネル210の画面を、そのまま表示することができる。このため、作業者は、タッチパネル40を介して、任意のタッチパネル210の画面の情報(つまり任意の作業機2の情報)を視認することができる。また、作業者は、タッチパネル40を介して、任意のタッチパネル210の画面(つまり任意の作業機2の画面)を操作することができる。」と記載されている。
そして、本件明細書等には、「無線端末」の「タッチパネル」が「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」ものであることの明記はないものの、上記段落【0024】の「無線端末4のタッチパネル40に、・・・表示することができる。作業者は、タッチパネル40を介して、任意のタッチパネル210の画面の情報(つまり任意の作業機2の情報)を視認することができる。」との記載から、作業者からみて、タッチパネルの奥に作業機2の情報を表示するディスプレイがあることは明らかである。そして、無線端末4のタッチパネル40には、作業機2のタッチパネル210の画面がそのまま表示されるところ、作業機2のタッチパネル210について、ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置したものといえることは、上記(1)イで説示するとおりであるから、無線端末4のタッチパネル40についても同様に、ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置したものといえる。したがって、訂正事項1-2の「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した無線端末」は本件明細書等から自明の事項と認められる。
以上から、訂正事項1-2は、本件明細書等の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-2は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(3)訂正事項1-3
訂正事項1-3は、訂正事項1-2の「無線端末」について、「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」と訂正したことに伴い、「無線端末のタッチパネルの画面」を、「無線端末のディスプレイの全画面」と訂正するものであるから、訂正事項1-2(上記(2)を参照。)と同様に、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、又は特許請求の範囲の他の記載と整合させるものであって、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、本件明細書等の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当しない。
(4)訂正事項1-4
訂正事項1-4は、訂正事項1-1の「操作盤」について、「該制御装置に電気的に接続されるものであり、作業者が画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」と訂正したことに伴い、「操作盤の全画面」を「操作盤のディスプレイの全画面」と訂正するものであるから、訂正事項1-1(上記(1)を参照。)と同様に、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、又は特許請求の範囲の他の記載と整合させるものであって、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、本件明細書等の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当しない。
(5)訂正事項1-5
訂正事項1-5は、訂正事項1-2の「無線端末」について、「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」と訂正したことに伴い、「無線端末のタッチパネルの画面」を、「無線端末のディスプレイの全画面」と訂正するものであるから、訂正事項1-2(上記(2)を参照。)と同様に、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、又は特許請求の範囲の他の記載と整合させるものであって、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、本件明細書等の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当しない。
(6)訂正事項1-6
訂正事項1-6は、訂正事項1-1の「操作盤」について、「該制御装置に電気的に接続されるものであり、作業者が画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」と訂正したことに伴い、「操作盤の全画面」を「操作盤のディスプレイの全画面」と訂正するものであるから、訂正事項1-1(上記(1)を参照。)と同様に、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、又は特許請求の範囲の他の記載と整合させるものであって、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、本件明細書等の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当しない。
(7)訂正事項1-7
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1-7は、請求項1について、「作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能であり、」との記載により、「作業機」並びにその操作方法をより具体的に特定し、更に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項1-7は、本件明細書等の段落【0024】、【0037】、【0041】に基づいてなされたものであるから、当該訂正は、本件明細書等の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-7は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(8)訂正事項1-8
訂正事項1-8は、訂正事項1-1の「操作盤」について、「該制御装置に電気的に接続されるものであり、作業者が画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」と訂正したことに伴い、「操作盤の全画面」を「操作盤のディスプレイの全画面」と訂正するものであるから、訂正事項1-1(上記(1)を参照。)と同様に、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、又は特許請求の範囲の他の記載と整合させるものであって、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、本件明細書等の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当しない。
(9)訂正事項1-9
訂正事項1-9は、訂正事項1-7の「無線端末」について、「作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能であり、」と訂正したことに伴い、請求項1の「作業機」について、「そのまま単一で遠隔表示可能である」を、「そのまま単一で遠隔表示が可能であるとともに、該無線端末のディスプレイの画面に作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能である」と訂正するものであるから、訂正事項1-7(上記(7)を参照。)と同様に、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、又は特許請求の範囲の他の記載と整合させるものであって、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、本件明細書等の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当しない。
(10)訂正事項2-1
訂正事項2-1は、訂正事項1-2の「無線端末」について、「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」と訂正したことに伴い、「無線端末のタッチパネルの画面」を、「無線端末のディスプレイの全画面」と訂正するものであるから、訂正事項1-2(上記(2)を参照。)と同様に、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、又は特許請求の範囲の他の記載と整合させるものであって、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、本件明細書等の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当しない。
(11)訂正事項2-2
訂正事項2-2は、訂正事項2-1の「無線端末」について、「無線端末のタッチパネルの画面」を、「無線端末のディスプレイの全画面」と訂正したことに伴い、「無線端末」について、「該画面」を、「該全画面」に訂正するものであるから、訂正事項2-1(上記(10)を参照。)と同様に、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、又は特許請求の範囲の他の記載と整合させるものであって、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、本件明細書等の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当しない。
(12)訂正事項2-3
訂正事項2-3は、訂正事項1-1の「操作盤」について、「該制御装置に電気的に接続されるものであり、作業者が画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」と訂正したことに伴い、「操作盤の全画面」を「操作盤のディスプレイの全画面」と訂正するものであるから、訂正事項1-1(上記(1)を参照。)と同様に、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、又は特許請求の範囲の他の記載と整合させるものであって、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、本件明細書等の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当しない。
(13)訂正事項2-4
訂正事項2-4は、訂正事項2-1の「無線端末」について、「無線端末のタッチパネルの画面」を、「無線端末のディスプレイの全画面」と訂正したことに伴い、「無線端末のタッチパネルの画面」を、「無線端末のディスプレイの全画面」に訂正するものであるから、訂正事項2-1(上記(10)を参照。)と同様に、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、又は特許請求の範囲の他の記載と整合させるものであって、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、本件明細書等の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当しない。
(14)訂正事項3
訂正事項3は、請求項3について、訂正前の請求項3が請求項1または2の記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
訂正事項3は、実質的に内容の変更を伴うものではないから、当該訂正は、本件明細書等の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当しない。
(15)訂正事項4-1
ア 訂正の目的の適否
訂正事項4-1は、請求項4について、「複数の該作業機の各々が備える」との記載により、「操作盤」をより具体的に特定し、更に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項4-1は、本件明細書等の段落【0021】、【0039】、【0041】に基づいてなされたものであるから、当該訂正は、本件明細書等の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4-1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(16)訂正事項4-2及び訂正事項4-3
ア 訂正の目的の適否
訂正事項4-2及び訂正事項4-3の「操作盤の画面」を「操作盤のディスプレイの全画面」とする訂正、「操作盤の全画面」及び「操作盤の全画面に表示されたもの」を「操作盤のディスプレイの全画面に表示されたもの」とする訂正は、概ね、訂正事項1-1の「操作盤」について、「該制御装置に電気的に接続されるものであり、作業者が画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」と訂正したことに伴うものであるから、訂正事項1-1(上記(1)を参照。)と同様に、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、又は特許請求の範囲の他の記載と整合させるものであって、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また、訂正事項4-2及び訂正事項4-3における「そのまま単一で」との訂正は、遠隔表示の方法をより具体的に特定し、更に限定するものであるから、当該訂正は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項4-2及び訂正事項4-3は、本件明細書等の段落【0025】、【0039】、【0041】に基づいてなされたものであるから、当該訂正は、本件明細書等の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4-2及び訂正事項4-3は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(17)訂正事項4-4
ア 訂正の目的の適否
訂正発明4-4は、請求項4について、「該全画面にそのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能である」との記載により、画面を介した遠隔操作の方法をより具体的に特定し、更に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、「遠隔操作が可能」について「が」を挿入したのは、「可能」である対象が「遠隔操作」であることを明確化するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項4-4は、本件明細書等の段落【0025】、【0039】、【0041】に基づいてなされたものであるから、当該訂正は、本件明細書等の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4-4は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(18)訂正事項4-5
訂正事項4-5は、請求項4について、訂正前の請求項4が請求項1ないし3の記載を引用する記載であるところ、請求項3を引用しないものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
また、訂正事項4-5は、実質的に内容の変更を伴うものではないから、当該訂正は、本件明細書等の範囲内の訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(19)訂正事項5
訂正事項5は、請求項5について、訂正前の請求項5が請求項1ないし4の記載を引用する記載であるところ、請求項3を引用しないものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
また、訂正事項5は、実質的に内容の変更を伴うものではないから、当該訂正は、本件明細書等の範囲内の訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
3 本件訂正に対する申立人の主張
(1)申立人の主張の概要
申立人は、令和4年12月21日提出の意見書の2~3ページにおいて、本件明細書等には、「操作盤」及び「無線端末」において、「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置」することは記載されておらず、図面にもそのような構成は開示されていないから、本件訂正は新規事項を追加するものである旨を主張している。
(2)申立人の主張に対する判断
申立人の主張するとおり、本件明細書等には、「操作盤」及び「無線端末」において、「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置」することは明記されていないが、上記2(1)、(2)で説示したとおり、本件明細書等の段落【0021】、【0024】の記載から、「操作盤」及び「無線端末」において、作業者からみて、タッチパネルの奥に作業機2の情報を表示するディスプレイがあることは明らかである。ここで、本件明細書等には、該タッチパネルとディスプレイの大小についての記載はないが、原出願日前において、ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルが配置されることは技術常識であることや、図3~図9の記載を考慮すれば、「操作盤」及び「無線端末」について、「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した」との限定は本件明細書等から自明の事項であると認められるから、本件訂正についての申立人の主張は採用できない。
4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1、2、4、5〕、3について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。また、便宜上、概ね申立人の分説(異議申立書7~8ページ)に倣って、当審で本件発明の各構成について、「1A」~「5A」の符号を付して分説した。以下、それぞれの構成について、「構成1A」などという場合がある。また、請求項3における、請求項1の「構成1A」などと類似する構成は「1A’」などとした。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
1A: 作業機を制御する制御装置と、該制御装置に電気的に接続されるものであり、作業者が画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した操作盤と、を各々が有する複数の該作業機と、
複数の該作業機を互いに電気的に接続するネットワークと、
を備える作業機システムであって、
1B: 前記制御装置および前記ネットワークのうち、少なくとも一方に、ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した無線端末を、無線で電気的に追加接続可能であり、
1C: 追加接続された該無線端末のディスプレイの全画面には、複数の前記作業機の各々が備える前記操作盤のディスプレイの全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能であり、
1D: 該無線端末のディスプレイの全画面に切り換えてそのまま単一で遠隔表示された、複数の該作業機の各々が備える該操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものは、作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能であり、
1E: 前記作業機システムは、複数の該作業機と、該ネットワークと、を有する生産ラインを複数備え、
1F: 該無線端末は、複数の該生産ラインの各々に対して無線で接続して共用化され使用されるものであり、複数の該生産ラインが備える複数の該作業機が備える該操作盤のディスプレイの全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示が可能であるとともに、該無線端末のディスプレイの画面に作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能であることを特徴とする作業機システム。
【請求項2】
2A: 前記無線端末のディスプレイの全画面には、複数の前記作業機の情報が一覧で表示された画面が、切り換えて表示され、
2B: 作業者が、該全画面に一覧で表示された複数の該作業機の該情報のうち、所望の該作業機の該情報に触れることにより、
該情報に関連する該作業機の前記操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものが、該無線端末のディスプレイの全画面にそのまま単一で遠隔表示される請求項1に記載の作業機システム。
【請求項3】
1A’: 制御装置と、該制御装置に電気的に接続されるタッチパネルである操作盤と、を各々が有する複数の作業機と、
複数の該作業機を互いに電気的に接続するネットワークと、
を備える作業機システムであって、
1B’: 前記制御装置および前記ネットワークのうち、少なくとも一方に、タッチパネルを有する無線端末を、無線で電気的に追加接続可能であり、
1C’: 追加接続された該無線端末のタッチパネルの画面には、複数の前記作業機の各々が備える前記操作盤の全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能であり、
1D’: 該無線端末のタッチパネルの画面に切り換えてそのまま単一で遠隔表示された、複数の該作業機の各々が備える該操作盤の全画面に表示されたものは、作業者がタッチすることにより操作可能であり、
1E : 前記作業機システムは、複数の該作業機と、該ネットワークと、を有する生産ラインを複数備え、
1F’: 該無線端末は、複数の該生産ラインの各々に対して無線で接続して共用化され使用されるものであり、複数の該生産ラインが備える複数の該作業機が備える該操作盤の全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能であり、
3A: 複数の前記生産ラインの各々は、前記無線端末が接続される電波エリアを設定可能であり、
3B: 複数の該生産ラインの複数の該電波エリアのうち、特定の該電波エリアに該無線端末が入っている場合に、該無線端末は特定の該電波エリアの該生産ラインに接続される作業機システム。
【請求項4】
4A: 前記生産ラインを構成する複数の前記作業機の各々が備える前記操作盤は、前記制御装置および前記ネットワークのうち、少なくとも一方に無線で電気的に接続された状態で該作業機に対して着脱可能であり、
4B: 複数の該作業機の各々が備える該操作盤は、各々が、該作業機に取り付けられた状態および該作業機から取り外された状態において、該操作盤のディスプレイの全画面に、該操作盤以外の操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものをそのまま単一で遠隔表示し、
4C: 該操作盤のディスプレイの全画面にそのまま単一で遠隔表示した、該操作盤以外の操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものに、作業者がタッチすることにより、該全画面にそのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能である請求項1または請求項2に記載の作業機システム。
【請求項5】
5A: 複数の前記作業機は、ワークに対して所定の加工を施す同種の工作機械である請求項1、請求項2、請求項4のいずれかに記載の作業機システム。」
第4 当審が令和4年8月24日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由について
1 取消理由の概要
令和4年5月27日提出の訂正請求書により訂正された請求項1、2、4、5に係る特許に対して、当審が令和4年8月24日付けの取消理由通知(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
請求項1に係る発明は、甲6に記載された発明及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
請求項2、4、5に係る発明は、甲6に記載された発明、甲1に記載された技術的事項1及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項1、2、4、5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
2 証拠
甲第6号証:特開2005-31876号公報
甲第1号証:特開2012-43041号公報
甲第3号証:特開平5-324037号公報
甲第4号証:特開2011-255472号公報
甲第5号証:特開2000-218496号公報
(以下、申立人が提出した甲各号証の証拠を、「甲6」などという。)
第5 取消理由についての判断
上記第2のとおり、本件訂正は認められるところ、本件訂正後の請求項に係る発明を基に取消理由(上記第4の1)について検討する。
1 取消理由通知(決定の予告)に記載した引用文献について
(1)甲6の記載及び甲6発明について
甲6には、次の記載がされている。(以下、下線は当審で付した。以下同様。)
ア 「【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態について図1ないし図5に基づいて説明すると以下の通りである。すなわち、本実施形態に係る制御システム1は、オペレータがシステムのHMIとして動作するプログラマブル表示器12から離れていても当該プログラマブル表示器12を操作可能なシステムであって、図1に示すように、例えば、ベルトコンベアー式の自動組付機など、ターゲットシステム2のデバイス2aを制御するために用いられている。」
イ 「【0034】
すなわち、上記制御システム1には、上記デバイス2aを制御する制御装置としてのPLC11と、多くの場合、制御対象近傍に配されると共に、制御システム1のHMIとして、デバイス2aの状態を表示し、オペレータによるデバイス2aへの操作を受け付けるプログラマブル表示器12とを備えている。また、本実施形態に係るプログラマブル表示器12は、詳細は後述するように、PLCとしての機能も備えており、それぞれに対応するPLC11だけではなく、自らが制御するデバイス2aにも直接接続されている。
【0035】
さらに、本実施形態に係る制御システム1では、各プログラマブル表示器12は、イーサネット(登録商標)などのLAN(ローカルエリアネットワーク)13によって互いに接続されている。また、上記LAN13には、多くの場合、プログラマブル表示器12よりも離れた場所から、制御システム1全体を管理する制御用ホストコンピュータ14が接続されている。なお、上記プログラマブル表示器12が特許請求の範囲に記載の制御用表示装置の本体に対応し、当該プログラマブル表示器12および後述するリモートコントローラ31が制御用表示装置に対応している。
【0036】
また、上記各プログラマブル表示器12は、シリアルケーブルなどの通信路を介して、それぞれに対応するPLC11と接続されている。また、図1では、説明の便宜上、LAN13にプログラマブル表示器12が2台接続され、各プログラマブル表示器12には、PLC11およびデバイス2aがそれぞれ1台ずつ接続されると共に、各PLC11にデバイス2aが1台接続されている場合を例示しているが、当然ながら、それぞれの接続台数は任意に設定できる。」
ウ 「【0040】
上記プログラマブル表示器12は、後述する画面データに基づいて、デバイスの状態を画面表示する際の動作や、画面への操作に応じてデバイスの状態を制御する際の動作を特定するものであって、PLC11と通信するPLC・IF部21と、上記LAN13に接続するためのLAN・IF部22と、例えば、液晶表示装置などからなるディスプレイ(表示手段)23と、ディスプレイ23の画面上に配されたタッチパネル(操作手段)24と、上記各部材21~24を制御するHMI処理部(制御手段)25と、当該HMI処理部25によって参照され、上記画面データおよび後述する変数が格納されるメモリ26とを備えている。
【0041】
上記画面データは、画面上の領域と、当該領域への表示や入力に対応するデバイスとの対応関係を示すタグを組み合わせて構成されている。本実施形態では、HMI処理部25が複数の単位画面を切り換え表示可能であり、上記タグは、当該タグが有効となる単位画面を示すファイル番号と、単位画面上で実行すべき動作内容を特定する事象名と、各事象毎に参照される参照情報とを含んでいる。
【0042】
例えば、上記タグが所定の画面領域(表示座標範囲)へ所定のデバイスの状態に応じた部品図形を表示する表示タグの場合、上記参照情報には、表示座標範囲と、デバイスを特定可能な変数と、例えば、部品図形がスイッチの場合、ONを示す図形のファイルおよびOFFを示す図形のファイルなど、表示時に参照するファイル番号とが含まれる。さらに、タグが入力タグの場合、参照情報として、有効入力座標範囲と、入力結果が書き込まれるデバイスの変数とが含まれる。」
エ 「【0046】
また、タッチパネル24への押し操作など、オペレータの入力操作を受け付けると、HMI処理部25は、上記画面データから、現在表示中のベース画面に対応し、当該入力操作にマッチする入力タグを検索すると共に、入力結果に応じて、タグに対応する変数の内容を更新する。さらに、HMI処理部25は、デバイス2aの状態を取得する場合と略同様に、PLC11やプログラマブル表示器12と通信するなどして、上記変数の内容に応じて、デバイス2aの状態を制御させる。ここで、入力操作の後も、HMI処理部25は、デバイス2aの状態を画面表示するので、操作結果が画面表示に反映される。
【0047】
加えて、HMI処理部25は、例えば、他のプログラマブル表示器12や制御用ホストコンピュータ14など、LAN13に接続された機器から自らに接続されたPLC11のデバイス2aへの制御指示を受け取った場合や、これとは逆に、上記機器へ報告すべきデバイス2aの状態を自らのPLC11から受け取った場合には、上述したプロトコル変換によって、LAN13での通信、および、PLC11との通信の間を中継できる。
【0048】
さらに、本実施形態に係るプログラマブル表示器12は、リモートコントローラ31によって操作できるように構成されている。」
オ 「【0049】
具体的には、本実施形態に係るリモートコントローラ31には、デバイスの状態を示す操作画面を表示するディスプレイ32と、操作画面への操作を受け付けるための操作キー33と、上記プログラマブル表示器12と通信するための通信処理部(リモート側通信手段)34と、プログラマブル表示器12から受信した状態情報に基づいて、デバイスの状態を示す操作画面を上記ディスプレイ32に表示すると共に、上記操作キー33による操作画面への操作を示す操作情報を上記通信処理部34に送信させる制御部(リモート側制御手段)35とを備えている。
【0050】
一方、上記プログラマブル表示器12には、リモートコントローラ31の通信処理部34と電波や赤外線などを利用することにより自由空間を介して通信するための通信処理部(本体側通信手段)41が設けられており、上記HMI処理部25は、上記デバイスの状態に応じた状態情報を通信処理部41に送信させると共に、上記通信処理部41が操作情報を受信した場合、当該操作情報が示す操作に応じて、デバイスの状態を制御することができる。」
カ 「【0052】
本実施形態では、状態情報の一例として、HMI処理部25がディスプレイ23に表示している操作画面に、操作キー33によって操作される場所を示すポインタPが重畳された画面を示すビットマップデータが伝送されており、HMI処理部25は、図2に示すように、ディスプレイ23に操作画面を表示する場合と同様にして、操作画面のビットマップデータを作成すると共に、当該ビットマップデータにポインタPを示すビットマップを重畳することによって、上記状態情報を生成できる。
【0053】
また、HMI処理部25は、自機器(プログラマブル表示器12)を示す識別子を上記状態情報に付加している。ここで、上記識別子は、制御システム1内の各プログラマブル表示器12が、それぞれ異なった値を持つように決定されており、プログラマブル表示器12は、自らの識別子を上記状態情報に予め記憶している。
【0054】
一方、リモートコントローラ31の上記制御部35は、通信処理部34が受信した状態情報に、現在操作中のプログラマブル表示器12を示す識別子が付されている場合、図3に示すように、当該状態情報のビットマップデータが示すビットマップ、すなわち、図2に示す操作画面へポインタPが重畳された画面をディスプレイ32に表示できる。」
キ 「【0060】
この結果、オペレータは、プログラマブル表示器12のディスプレイ23を確認し、タッチパネル24を操作可能な特定の位置に常時いる必要がなくなり、例えば、1本のラインに配置されている複数のプログラマブル表示器12や、複数のラインに配置されている複数のプログラマブル表示器12など、複数のプログラマブル表示器12を操作できる。したがって、制御システム1の操作に必要な人員を削減できる。」
ク 「【0064】
また、本実施形態に係る操作情報には、リモートコントローラ31が現在操作しているプログラマブル表示器12の識別子が付されており、プログラマブル表示器12のHMI処理部25は、自機器を示す識別子が付されている場合、自機器への操作と判断して、操作情報に応じた処理を行う。一方、自機器を示す識別子以外の識別子が付されている場合には、自機器への操作ではないと判断して、操作情報に応じた処理を行わない。したがって、リモートコントローラ31の通信圏内に複数のプログラマブル表示器12が存在する場合であっても、リモートコントローラ31は、何ら支障なく、特定のプログラマブル表示器12を遠隔操作できる。
【0065】
同様に、本実施形態に係る状態情報には、当該状態情報を送信したプログラマブル表示器12の識別子が付されており、リモートコントローラ31の制御部35は、リモートコントローラ31が現在操作しているプログラマブル表示器12の識別子として予め記憶されている識別子と、受信した状態情報の識別子とが一致した場合に、自機器への状態情報と判断し、ディスプレイ32の操作画面を、状態情報に応じて更新する。一方、一致しなかった場合、制御部35は、自機器への状態情報ではないと判断して、基本的には、より詳細には、後述する異常発生時を除いて、当該状態情報を無視する。したがって、リモートコントローラ31の通信圏内に複数のプログラマブル表示器12が存在する場合であっても、リモートコントローラ31は、何ら支障なく、特定のプログラマブル表示器12からの状態情報に基づいて、ディスプレイ32の操作画面を更新できる。
【0066】
また、リモートコントローラ31の制御部35は、操作キー33bによる、予め定められた操作を受け付けると、当該操作に応じて、リモートコントローラ31が操作対象とするプログラマブル表示器12を変更する。これにより、リモートコントローラ31のオペレータは、複数のプログラマブル表示器12を切り換えながら、各プログラマブル表示器12を操作できる。」
ケ 「【0082】
さらに、本実施形態では、プログラマブル表示器12のディスプレイ23が表示している操作画面自体に、ポインタを重畳しているので、プログラマブル表示器12において、画面データに基づいて操作画面を生成する構成を、リモートコントローラ31の画面を生成するためにも使用できる。また、画面データに基づいて操作画面を生成する構成を使用しているので、ディスプレイ23に表示される操作画面を変更するために、画面データを変更すると、それに伴なってリモートコントローラ31の画面も変更される。したがって、プログラマブル表示器12の操作画面を変更するためのデータとリモートコントローラ31の操作画面を変更するためのデータとが別々の場合よりも、操作画面変更に要する手間を削減できる。
【0083】
また、上記では、リモートコントローラ31の制御部35が、操作画面中にポインタを含む操作画面を表示する場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、プログラマブル表示器12と同様に、ディスプレイ32上にタッチパネルを設け、オペレータが当該タッチパネルを操作した位置によって、操作画面において、操作される位置(操作位置)を検出してもよい。いずれの場合であっても、リモートコントローラ31が操作画面への操作を受け付けることができれば、略同様の効果が得られる。
【0084】
ただし、本実施形態のように、ポインタの表示位置によって操作位置を決定する構成では、リモートコントローラ31のディスプレイ32のサイズが、ディスプレイ上にタッチパネルを設け、当該タッチパネルをタッチする構成では、所望の位置を操作できない程度に小さい場合であっても、何ら支障なく、所望の位置を操作できる。」
コ 図1
[図:0001399321000001.jpg]
サ 図2
[図:0001399321000002.jpg]
シ 図3
[図:0001399321000003.jpg]
また、甲6の記載から、以下の事項が認められる。
ス 上記ウ、エ、オより、デバイス2aはプログラマブル表示器12のタッチパネル24で操作可能であるが、さらにリモートコントローラ31を追加接続して操作が可能であることが認められる。
セ 上記キより、複数のプログラマブル表示器12が複数のラインに配置されていることが認められ、上記クより、1つのリモートコントローラ31により通信圏内の複数のプログラマブル表示器12を操作できることが認められることから、リモートコントローラ31は、複数のラインに配置されている複数のプログラマブル表示器12の各々に対して無線で接続して共用化され使用されるものであることが認められる。
ソ 上記クより、リモートコントローラ31に特定のプログラマブル表示器12からの状態情報に基づいてディスプレイ32の操作画面を更新して表示すること及びリモートコントローラ31により複数のプログラマブル表示器12を切り換えながら遠隔で操作可能であることが認められ、リモートコントローラ31により操作対象とするプログラマブル表示器12を切り換えた際には、ディスプレイ32の操作画面も切り換わり、そのまま単一で遠隔表示可能であることは明らかである。
タ 上記カ及び上記サ、シの図2、図3より、プログラマブル表示器12のディスプレイ23に表示される操作画面(図2)と同様の操作画面をリモートコントローラ31のディスプレイ32に表示(図3)することが認められる。
チ 上記ア及び上記コの図1より、制御システム1及びターゲットシステム2を含むシステムが記載されていると認められる。
さらに、上記イの段落【0034】から、PLC11及びプログラマブル表示器12を備える制御システム1と、デバイス2a(複数のベルトコンベアー式の自動組付機など)とは、近傍に配されていることが理解できる。
ツ 上記ケの段落【0083】の「プログラマブル表示器12と同様に、ディスプレイ32上にタッチパネルを設け、オペレータが当該タッチパネルを操作した位置によって、操作画面において、操作される位置(操作位置)を検出してもよい。いずれの場合であっても、リモートコントローラ31が操作画面への操作を受け付けることができれば、略同様の効果が得られる。」との記載から、リモートコントローラ31のディスプレイ32上にタッチパネルが設けられていることが認められる。
テ 上記ア~ツの事項から、甲6には次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されているといえる。
<甲6発明>
「デバイス2aを制御するPLC11と(上記イ参照)、PLC11にシリアルケーブルなどの通信路を介して接続されるものであり、オペレータが画面にタッチすることにより該デバイス2aを操作するためのタッチパネル24及びディスプレイ23を備えたプログラマブル表示器12と(上記ウ~オ参照)、複数のベルトコンベアー式の自動組付機などのデバイス2aと(上記ア参照)、
各プログラマブル表示器12を介してPLC11及びデバイス2aを互いに接続するLAN13と(上記イ参照)、
を備える制御システム1及びターゲットシステム2を含むシステムであって(上記チ参照)、
前記プログラマブル表示器12を介してPLC11およびLAN13に、タッチパネル及びディスプレイ32を設けたリモートコントローラ31を、無線で追加接続可能であり(上記エ、ス、ツ参照)、
追加接続された該リモートコントローラ31のタッチパネルが設けられたディスプレイ32には、複数の前記タッチパネル24を備えたプログラマブル表示器12のディスプレイ23の全画面に表示された操作画面と同様の操作画面毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能であり(上記セ、ソ、ツ参照)、
該リモートコントローラ31のタッチパネルが設けられたディスプレイ32に切り換えてそのまま単一で遠隔表示された、該タッチパネル24を備えたプログラマブル表示器12のディスプレイ23の全画面に表示された操作画面は、オペレータがタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該デバイス2aの遠隔操作が可能であり(上記セ、ソ、タ、ツ参照)、
前記制御システム1及びターゲットシステム2を含むシステムは、複数の該デバイス2aと、該LAN13と、を有するラインを複数備え(上記セ、チ参照)、
該リモートコントローラ31は、複数の該ラインの各々に対して無線で接続して共用化され使用されるものであり、複数の該ラインが有する該タッチパネル24を備えたプログラマブル表示器12に表示された操作画面と同様の操作画面毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示が可能である(上記セ、ソ、タ、ツ参照)とともに、該リモートコントローラ31のタッチパネルの画面にオペレータがタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該デバイス2aの遠隔操作が可能である(上記ス、ソ、タ、ツ参照)、制御システム1及びターゲットシステム2を含むシステム。」
(2)甲1の記載及び技術的事項について
甲1には、次の記載がされている。
ア 「【0055】
各加工装置3から装置情報を受信すると、図3に示すように、各加工装置3の状態が反映された選択画像が表示部42に表示される。このように選択画像が表示された状態において、操作者から操作部44を介して遠隔操作を行う特定の加工装置3の選択が行われると(すなわち、装置選択キー302が選択されると)、遠隔操作PC4から特定の加工装置3に対して操作画像を要求する制御信号(以下、「操作画像要求信号」という)が送信される(ST604)。
【0056】
遠隔操作PC4から操作画像要求信号を受信すると、VNC処理部35の画像データ取得部35aにより操作画像の画像データ(以下、適宜「操作画像データ」という)が記憶部33から取得され(ST605)、取得された操作画像データが画像データ送信部35bから遠隔操作PC4に送信される(ST606)。この場合、例えば、図4に示すような操作画像が遠隔操作PC4に送信される。
【0057】
加工装置3から送信された操作画像データは、VNC処理部46の画像データ受信部46aにより受信され(ST607)、画像データ表示部46bにより表示部42に表示される(ST608)。これにより、遠隔操作PC4の表示部42に、遠隔操作対象となる加工装置3のオペレーションパネル32に表示された操作画像と同一の操作画像が表示されることとなる。なお、加工装置3のオペレーションパネル32に表示された操作画像に撮像画像が含まれる場合には、遠隔操作PC4の表示部42にも同様に、撮像画像を含む操作画像が表示される。」
イ 図3
[図:0001399321000004.jpg]
ウ 上記ア、イより、甲1には次の技術的事項(以下、「甲1に記載された技術的事項」という。)が記載されているといえる。
「各加工装置3の状態が反映された選択画像を表示部42に表示し、表示画像から特定の加工装置3の選択を行うと、遠隔操作PC4の表示部42に遠隔操作対象となる加工装置3のオペレーションパネル32に表示された操作画像と同一の操作画像が表示されること。」
(3)甲3の記載について
甲3には、次の記載がされている。
「【0008】図1は、本発明にかかるリモート操作パネル付NC装置の操作パネルの外観図である。すなわち、操作パネルは主操作部1及びその主操作部1から脱着可能なハンディ操作部3により構成されている(図1はハンディ操作部3を主操作部1に装着した状態を示す)。・・・」
「【0029】また、上記実施例では、主操作部1とハンディ操作部3とのデータ通信は接続ケーブルにより行うように構成したが、これに限らず、例えば無線、赤外線等を用いてデータ通信できるように構成してもよい。」
(4)甲4の記載について
甲4には、次の記載がされている。
「【0018】
表示モニタ6は、図2に示すハウジング8の嵌合凹部26中に嵌合することにより加工装置本体4に搭載され、更に矢印Aに示すように加工装置本体4から取り外すことができる。」
「【0022】
一方、加工装置本体4の制御手段30は第2無線送受信部32を有しており、この第2無線送受信部32を介して表示モニタ6からの操作情報を受信するとともに、表示モニタ6に加工装置本体4の稼動情報を送信する。加工装置本体4と表示モニタ6との間の無線通信は、ブルートゥス、ミリ波等の狭帯域通信を用いるのが好ましい。狭帯域通信により誤作動を防止することができる。」
「【0024】
上述した実施形態によると、表示モニタ6を加工装置本体4から取り外すことができるため、どの作業者でも動作条件等の入力及び表示画面の読み取りが容易となる。また、メンテナンスや調整時にも任意の場所へと表示モニタ6を持ち運ぶことができるため、加工装置が大型化しても作業性が悪化することがない。」
(5)甲5の記載について
甲5には、次の記載がされている。
「【0015】ところで、前記のごとく構成されたワイヤソー10では、その運転に際して操作情報をワイヤソー本体11の側面部に設けられた操作盤60から入力する。そして、その運転情報は操作盤60に設置された表示モニタ62の液晶画面62A上に表示される。この表示モニタ62は、ワイヤソー本体11から分離可能に形成されており、ワイヤソー本体11とはケーブル64を介して接続されている。そして、通常は図4に示すように操作盤60に設置されたホルダ66に保持されてワイヤソー本体11と一体化されている。」
「【0026】また、本実施の形態では、表示モニタ62は1台のみであるが、複数台設置してもよい。さらに、本実施の形態では、表示モニタ62はケーブル64を介してワイヤソー本体11と接続されているが、ワイヤソー10の運転状況を示す情報を、ワイヤソー本体11側から無線で通信するようにしてもよい。これにより、ケーブルの長さ等に拘束されずに任意の位置に表示モニタ62を設置、移動させることができる。」
(6)周知の技術的事項について
上記(3)~(5)に摘記した甲3~甲5の記載から、以下の周知の技術的事項(以下、「周知の技術的事項1」という。)が認められる。
「装置を操作可能な表示部を無線で電気的に接続された状態で着脱可能に構成すること。」
2 本件発明1、2、4、5について
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲6発明との対比
(ア)甲6発明の「ベルトコンベアー式の自動組付機などのデバイス2a」又は「デバイス2a」は、システムにより制御される対象であり、さらに作業を行う機器でもあることから、その機能に鑑みれば、本件発明1の「作業機」に相当する。
(イ)また、甲6発明の「PLC11」は制御対象を制御する制御装置であるから本件発明1の「制御装置」に相当し、以下同様に、「シリアルケーブルなどの通信路を介して接続される」は「電気的に接続される」に、「オペレータ」は「作業者」に、「プログラマブル表示器12」はデバイスを制御するものであるから「操作盤」に、「互いに接続する」「LAN13」は「互いに電気的に接続する」「ネットワーク」に、「制御システム1及びターゲットシステム2を含むシステム」はデバイス2aとLAN13とを備え作業を行うデバイス2a(作業機)を制御することから「作業機システム」に、「無線で追加接続可能」は「無線で電気的に追加接続可能」に、「ライン」は「生産ライン」に、それぞれ相当する。
(ウ)a また、甲6発明の「画面にタッチすることにより該デバイス2aを操作するためのタッチパネル24及びディスプレイ23を備えたプログラマブル表示器12」は、以下に説示するとおり、本件発明1の「画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した操作盤」に相当する。
b すなわち、甲6の段落【0041】(上記1(1)ウ)に「上記画面データは、画面上の領域と、当該領域への表示や入力に対応するデバイスとの対応関係を示すタグを組み合わせて構成されている。本実施形態では、HMI処理部25が複数の単位画面を切り換え表示可能であり、上記タグは、当該タグが有効となる単位画面を示すファイル番号と、単位画面上で実行すべき動作内容を特定する事象名と、各事象毎に参照される参照情報とを含んでいる。」及び段落【0042】に「例えば、上記タグが所定の画面領域(表示座標範囲)へ所定のデバイスの状態に応じた部品図形を表示する表示タグの場合、上記参照情報には、表示座標範囲と、デバイスを特定可能な変数と、例えば、部品図形がスイッチの場合、ONを示す図形のファイルおよびOFFを示す図形のファイルなど、表示時に参照するファイル番号とが含まれる。さらに、タグが入力タグの場合、参照情報として、有効入力座標範囲と、入力結果が書き込まれるデバイスの変数とが含まれる。」と記載されており、図2、3の画面データにおいて、起動スイッチ及び停止スイッチ等の部品図形(タッチによる入力操作を受け付ける部品図形)は、任意の表示座標範囲に配置できるもの、すなわち、部品図形は画面上の特定の座標に配置するものではなく、画面上の任意の座標に配置できるものと解釈できる。そして、部品図形が、画面上のどのような座標に配置されたとしても、当該部品図形への入力を認識できるためには、タッチパネルは、ディスプレイの全画面上に配置されている必要があることは明らかである。
c したがって、甲6発明の「画面にタッチすることにより該デバイス2aを操作するためのタッチパネル24及びディスプレイ23を備えたプログラマブル表示器12」は、本件発明1の「画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した操作盤」に相当する。
d これに対して、特許権者は、甲6発明のタッチパネルに関して、甲6の図2、3の画面のうち、「起動」部分だけ(多くとも「起動」部分と「停止」部分)であると解釈するのが自然であり、少なくとも「運転状況モニタ」部分については、タッチパネルではないと解釈する方が自然であるから、甲6では、「プログラマブル表示器12のタッチパネル24は、ディスプレイ23の画面上の一部に配置されているだけ」であるとともに、「リモートコントローラ31のタッチパネルは、ディスプレイ32の画面上の一部に配置されているだけ」である旨を主張している(令和4年10月28日提出の意見書の9~12ページ)。
e しかしながら、甲6の【図面の簡単な説明】に記載されているとおり、図2は、制御システムのプログラマブル表示器のディスプレイに表示される操作画面の一例を示す図面であり、同様に、図3は、制御システムのリモートコントローラのディスプレイに表示される操作画面の一例を示す図面であるところ、ベルトコンベアー式の自動組付機などのターゲットシステム2のデバイス2a(段落【0032】)を制御するための操作画面が、多種多様な画面構成であり得ることは明らかであり、図2、3に例示されている画面構成のみに基づいて、プログラマブル表示器及びリモートコントローラの画面上の一部の領域のみにタッチパネルが配置されていると解することは適当できない。
f 加えて、仮に、甲6において、画面上の一部の領域のみにタッチパネルが配置されているとすると、上記bで説示する「部品図形」の有効入力座標範囲は、ディスプレイ上の表示座標ではなく、タッチパネル上の座標として示される必要があるか、仮に、ディスプレイ上の表示座標で示されるとしても、タッチパネルの部分に含まれるように「部品図形」を配置する必要があると解される。しかし、甲6には、「部品図形」の有効入力座標範囲がタッチパネル上の座標として示されていないし、有効入力座標範囲が、ディスプレイ上の表示座標のうちで、タッチパネルの部分に含まれるか否かを判別するようなことは記載も示唆もないから、甲6において、画面上の一部の領域のみにタッチパネルが配置されていると解するのは不自然である。
g したがって、特許権者の上記dに係る主張は採用できない。
(エ)上記(ウ)と同様に、甲6発明の「タッチパネル及びディスプレイ32を設けた」「リモートコントローラ31」は、本件発明1の「ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した無線端末」に相当する。
(オ)また、甲6発明の「前記プログラマブル表示器12を介してPLC11およびLAN13に、タッチパネル及びディスプレイ32を設けたリモートコントローラ31を、無線で追加接続可能」と、本件発明1の「前記制御装置および前記ネットワークのうち、少なくとも一方に、ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した無線端末を、無線で電気的に追加接続可能」とは、「前記制御装置および前記ネットワークに、ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した無線端末を、直接的又は間接的に、無線で電気的に追加接続可能」である点では共通している。
(カ)また、甲6発明の「追加接続された該リモートコントローラ31のタッチパネルが設けられたディスプレイ32には、複数の前記タッチパネル24を備えたプログラマブル表示器12のディスプレイ23の全画面に表示された操作画面と同様の操作画面毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能」と、本件発明1の「追加接続された該無線端末のディスプレイの全画面には、複数の前記作業機の各々が備える前記操作盤のディスプレイの全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能」とは、「追加接続された該無線端末のディスプレイの全画面には、前記操作盤のディスプレイの全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能」である点では共通している。
(キ)また、甲6発明の「該リモートコントローラ31のタッチパネルが設けられたディスプレイ32に切り換えてそのまま単一で遠隔表示された、該タッチパネル24を備えたプログラマブル表示器12のディスプレイ23の全画面に表示された操作画面は、オペレータがタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該デバイス2aの遠隔操作が可能」と、本件発明1の「該無線端末のディスプレイの全画面に切り換えてそのまま単一で遠隔表示された、複数の該作業機の各々が備える該操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものは、作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能」とは、「該無線端末のディスプレイの全画面に切り換えてそのまま単一で遠隔表示された、該操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものは、作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤に対応する該作業機の遠隔操作が可能」である点で共通している。
(ク)また、上記相当関係に照らせば、甲6発明の「該リモートコントローラ31は、複数の該ラインの各々に対して無線で接続して共用化され使用されるものであり、複数の該ラインが有する該タッチパネル24を備えたプログラマブル表示器12に表示された操作画面と同様の操作画面毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示が可能」と、本件発明1の「該無線端末は、複数の該生産ラインの各々に対して無線で接続して共用化され使用されるものであり、複数の該生産ラインが備える複数の該作業機が備える該操作盤のディスプレイの全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示が可能」は、「該無線端末は、複数の該生産ラインの各々に対して無線で接続して共用化され使用されるものであり、複数の該生産ラインが備える複数の該作業機に対応する該操作盤のディスプレイの全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示が可能」である点で共通している。
(ケ)同様に、上記相当関係に照らせば、甲6発明の「該リモートコントローラ31のタッチパネルの画面にオペレータがタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該デバイス2aの遠隔操作が可能」と、本件発明1の「該無線端末のディスプレイの画面に作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能」は、「該無線端末のディスプレイの画面に作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤に対応する該作業機の遠隔操作が可能」である点で共通している。
イ 一致点及び相違点
以上のことから、本件発明1と甲6発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
作業機を制御する制御装置と、該制御装置に電気的に接続されるものであり、作業者が画面にタッチすることにより該作業機を操作するためのディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した操作盤と、複数の該作業機と、
複数の該作業機を互いに電気的に接続するネットワークと、
を備える作業機システムであって、
前記制御装置および前記ネットワークに、ディスプレイの画面上の全画面にタッチパネルを配置した無線端末を、直接的又は間接的に、無線で電気的に追加接続可能であり、
追加接続された該無線端末のディスプレイの全画面には、前記操作盤のディスプレイの全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能であり、
該無線端末のディスプレイの全画面に切り換えてそのまま単一で遠隔表示された、該操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものは、作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤に対応する該作業機の遠隔操作が可能であり、
前記作業機システムは、複数の該作業機と、該ネットワークと、を有する生産ラインを複数備え、
該無線端末は、複数の該生産ラインの各々に対して無線で接続して共用化され使用されるものであり、複数の該生産ラインが備える複数の該作業機に対応する該操作盤のディスプレイの全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示が可能であるとともに、該無線端末のディスプレイの画面に作業者がタッチすることにより、そのまま単一で遠隔表示された該操作盤に対応する該作業機の遠隔操作が可能である作業機システム。
【相違点1】
無線端末の追加接続が、本件発明1では、「制御装置およびネットワークのうち、少なくとも一方に」、追加接続可能であるのに対して、甲6発明では、プログラマブル表示器12を介して、PLC11及びLAN13に、追加接続可能である点。
【相違点2】
「作業機」が、本件発明1では、「制御装置」と「操作盤」とを「各々が有する」とされているのに対し、甲6発明では、作業機に相当するデバイス2aの各々が、PLC11と、プログラマブル表示器12とを有するか明瞭でない点。
ウ 判断
(ア)相違点1について検討する。
甲6発明のリモートコントローラ31は、(プログラマブル表示器12を介して、)PLC11及びLAN13の双方に追加接続可能なものであり、相違点1に係る本件発明1のように「制御装置およびネットワークのうち、少なくとも一方に」追加接続可能であるものに含まれることは明らかである。
してみると、相違点1は実質的な相違点であるとはいえない。
さらに、仮に、本件発明1において、無線端末が、制御装置およびネットワークのうち、少なくとも一方に、(プログラマブル表示器12を介さずに)直接的に接続されていることが特定されているとしても、甲6発明のPLC11において、制御の状態を表示するためのディスプレイや操作を行うためのタッチパネルが必要なことは明らかであり、PLC11に不可欠なディスプレイやタッチパネルを備えるプログラマブル表示器12を、PLC11と一体的に設けるか、PLC11と別体に設けるかは、設計事項の範ちゅうにすぎない。
そして、プログラマブル表示器12をPLC11と一体的に設ければ、無線端末に相当するリモートコントローラ31が、制御装置に相当するPLC11に直接的に接続されることになることは明らかである。
したがって、仮に、本件発明1の無線端末が、制御装置およびネットワークのうち、少なくとも一方に、直接的に接続されているものであるとしても、無線端末を制御装置に直接的に接続することは、甲6発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものである。
(イ)相違点2について検討する。
上記1(1)チで説示したとおり、甲6の段落【0034】には、PLC11及びプログラマブル表示器12を備える制御システム1と、デバイス2a(複数のベルトコンベアー式の自動組付機など)とが、近傍に配されている旨が記載されているといえるものであり、さらに作業機自体と制御装置及び操作装置を一体的に構成することは例示するまでもなく周知の技術的事項(以下、「周知の技術的事項2」という。)であるから、甲6発明において、作業機であるデバイス2a(ベルトコンベアー式の自動組付機など)を、PLC11及びプログラマブル表示器12を備えるものとすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
(ウ)したがって、本件発明1は、甲6発明及び周知の技術的事項2に基いて、当業者が容易に想到し得るものであるから、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)本件発明2について
ア 一致点及び相違点
本件発明2と、甲6発明とを対比すると、本件発明2と甲6発明とは、上記相違点1及び2の他、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
【相違点3】
本件発明2は、
「前記無線端末のディスプレイの全画面には、複数の前記作業機の情報が一覧で表示された画面が、切り換えて表示され、
作業者が、該全画面に一覧で表示された複数の該作業機の該情報のうち、所望の該作業機の該情報に触れることにより、
該情報に関連する該作業機の前記操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものが、該無線端末のディスプレイの全画面にそのまま単一で遠隔表示される」ものであるのに対して、甲6発明は、当該構成を有さない点。
イ 判断
(ア)以下、相違点3について検討する。
甲6発明と甲1に記載された技術的事項(上記1(2)ウ参照)とは、ともに複数の装置を遠隔操作により操作する技術である点で共通しているから、甲6発明のリモートコントローラ31において、複数のデバイス2aの状態を制御する操作画面の切り換えを容易にするために該甲1に記載された技術的事項を適用し、相違点3に係る構成とすることは当業者にとって容易になし得ることである。
(イ)したがって、本件発明2は、甲6発明、甲1に記載された技術的事項及び周知の技術的事項2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)本件発明4について
ア 一致点及び相違点
本件発明4と、甲6発明とを対比すると、本件発明4と甲6発明とは、上記相違点1ないし3の他、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
【相違点4】
本件発明4は、
「前記生産ラインを構成する複数の前記作業機の各々が備える前記操作盤は、前記制御装置および前記ネットワークのうち、少なくとも一方に無線で電気的に接続された状態で該作業機に対して着脱可能であり、
複数の該作業機の各々が備える該操作盤は、各々が、該作業機に取り付けられた状態および該作業機から取り外された状態において、該操作盤のディスプレイの全画面に、該操作盤以外の操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものをそのまま単一で遠隔表示し、
該操作盤のディスプレイの全画面にそのまま単一で遠隔表示した、該操作盤以外の操作盤のディスプレイの全画面に表示されたものに、作業者がタッチすることにより、該全画面にそのまま単一で遠隔表示された該操作盤を備える該作業機の遠隔操作が可能である」のに対して、甲6発明は当該構成を有さない点。
イ 判断
(ア)以下、相違点4について検討する。
上記1(6)に説示したとおり、装置を操作可能な表示部を無線で電気的に接続された状態で着脱可能に構成することは周知の技術的事項(周知の技術的事項1)である。
甲6発明において、オペレータの操作性を向上させる観点から、上記周知の技術的事項1を採用しプログラマブル表示器12を着脱可能とすることは当業者が容易になし得ることである。
また、甲6発明において、プログラマブル表示器12を着脱可能に構成した際に、リモートコントローラ31と同様に、該プログラマブル表示器12以外の他のプログラマブル表示器12のディスプレイ23に表示された操作画面に、オペレータがタッチすることにより操作可能とすることは当業者が容易になし得ることである。
(イ)したがって、本件発明4は、甲6発明、甲1に記載された技術的事項及び周知の技術的事項1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(4)本件発明5について
ア 一致点及び相違点
本件発明5と、甲6発明とを対比すると、上記相違点1ないし4の他、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
【相違点5】
複数の作業機が、本件発明5では、「ワークに対して所定の加工を施す同種の工作機械である」のに対して、甲6発明では、「複数のベルトコンベアー式の自動組付機などのデバイス2a」である点。
イ 判断
(ア)以下、相違点5について検討する。
デバイスとして、ワークに対して所定の加工を施す同種の工作機械は特に例示するまでもなく周知のものであり、甲6発明の制御システム1及びターゲットシステム2を含むシステムにおける制御対象の各デバイス2aを、ワークに対して所定の加工を施す同種の工作機械とすることに格別の困難性は認められず、当業者であれば容易になし得ることである。
(イ)したがって、本件発明5は、甲6発明、甲1に記載された技術的事項及び周知の技術的事項1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(5)本件発明1、2、4、5の進歩性についての特許権者の主張
【主張の概要】
特許権者は、令和4年10月28日提出の意見書の14~19ページにおいて、本件発明1、2、4、5の進歩性に関連して、甲6の場合、「プログラマブル表示器12のタッチパネル24は、ディスプレイ23の画面上の一部に配置されているだけ」であるとともに、「リモートコントローラ31のタッチパネルは、ディスプレイ32の画面上の一部に配置されているだけ」であるから、構成上の共通点及びコスト削減という動機付けにより、甲9~10の開示事項よりも、乙1~3(乙1:特開2010-282459号公報、乙2:特開2006-163619号公報、乙3:特開2013-89047号公報)の開示事項を、甲6発明に組み込む方が自然である旨の主張をしている。
【主張の判断】
上記主張について検討すると、上記(1)ア(ウ)a~gに説示したとおり、甲6発明において、「プログラマブル表示器12のタッチパネル24は、ディスプレイ23の画面上の一部に配置されているだけ」であるとともに、「リモートコントローラ31のタッチパネルは、ディスプレイ32の画面上の一部に配置されているだけ」であると解することはできないものであるから、上記特許権者の主張は採用できない。
第6 本件発明3についての異議申立理由について
1 本件発明3に対する申立理由の概要
取消理由(決定の予告)において、本件発明3に対して取消理由を通知しなかったが、申立人による本件発明3(訂正前の請求項1及び3)に対する異議申立理由の要旨は、概ね、以下のとおりである。
(1)申立理由1(進歩性):本件発明3の発明特定事項(構成3A、3B)は甲2(特開2007-156645号公報)に記載されているから、本件発明3は、甲6発明又は甲1発明に、甲2に記載された技術的事項を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、本件発明3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。(申立書42~46、58~60ページ)
(2)申立理由2(明確性):本件発明3は、その記載が明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、同法第113条第4号の規定により取消されるべきである。(申立書66~68ページ)
(3)申立理由3(サポート要件):本件発明3は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、同法第113条第4号の規定により取消されるべきである。(申立書68ページ)
(4)申立理由4(実施可能要件):本件発明3は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、同法第113条第4号の規定により取消されるべきである。(申立書68~70ページ)
2 申立理由に対する判断
(1)申立理由1(進歩性)について
ア 甲2の記載及び甲2に記載された技術的事項について
(ア)甲2には以下の記載がある。
「【0001】
本発明は設備操作システムに関し、より詳しくは、異なる処理を行う複数の処理設備とそれらを操作する携帯端末装置とを備えた設備操作システムに関する。」
「【0003】
ところで、従来では、複数の処理設備を備えた大きな生産ラインにおいては、複数の操作者によって各処理設備を操作するようにしているが、上述した特許文献1のように携帯端末装置が1台だけしかない場合には、異なる処理設備を同時に複数の操作者によって操作しようとしても、それができない。
そこで、このような場合には、携帯端末装置を複数配備し、所要の場合には異なる操作者がそれぞれ携帯端末装置を所持して処理設備を操作するようにすれば良い。
しかしながら、このように複数の携帯端末装置を設けて、各操作者が所持する携帯端末装置により各処理設備を操作する場合には、特定の処理設備に対して1人の操作者が調整作業を行っている時に他の操作者が同じ設備に対して運転を行わせる虞があり、極めて危険である。
【0004】
上述した事情に鑑み、本発明は、相互に離隔して配置されて所要の処理を行う複数の処理設備と、無線通信手段を介して各処理設備と通信可能な少なくとも1台の携帯端末装置とを備え、上記携帯端末装置によって各処理設備を操作できるようにした設備操作システムにおいて、
隣り合う処理設備における上記携帯端末装置による操作可能となる操作範囲を相互に重複しないように設定して、隣り合う処理設備における一方だけに対して上記携帯端末装置による処理設備の操作が可能となるように構成し、さらに、各処理設備の操作範囲内に上記携帯端末装置が位置すると、該操作範囲内の処理設備を上記携帯端末装置によって自動的に操作可能となるようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
上述した構成によれば、複数の操作者を配置して各処理設備を操作するにあたって、1つの処理設備に対して複数台の携帯端末装置によって同時に操作することはできない。したがって、各操作者の安全を確保して各処理設備を円滑に操作することができる。
【0006】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図2において、1は本実施例の設備操作システムを示したものであり、この設備操作システム1は容器処理ライン2に設けた各処理設備M1~Mnを操作するためのシステムである。
容器処理ライン2は、容器に対してそれぞれ異なる処理を施す複数の処理設備M1~Mnと、相前後する処理設備の間にそれぞれ配置されて下流側となる次工程の処理設備へ容器を搬送する搬送コンベヤ3と、複数の携帯端末装置4、5を用いて各処理設備M1~Mnを操作する設備操作システム1とから構成されている。」
「【0010】
RFID81は、携帯端末装置4,5との通信可能距離が約1メートルとなっており、処理設備M1における所要位置に1箇所貼りつけられている。RFID81には、それを貼り付けた処理設備M1を特定するための設備特定情報が予め記憶されている。携帯端末装置4、5を所持する操作者が処理設備M1のRFID81から1メートル以内の操作範囲A1内に入ることで、携帯端末装置4,5の設備認識部15がRFID81から設備特定情報を受信できるようになっている。これにより、携帯端末装置4、5を処理設備M1に対して接触させることなく、各携帯端末装置4,5により操作しようとする処理設備が該処理設備M1であることを特定できるようになっている。なお、処理設備M1が大型である場合には、同じ設備情報を記憶させた複数のRFID81を処理設備M1の複数箇所に分散させて貼り付けるようにしても良い。
また、図2に示すように隣り合う各処理設備M1~Mnの操作範囲A1~Anは相互に離隔させている。つまり、隣り合う各処理設備の操作範囲が重複しないように設定することにより、携帯端末装置4,5が操作できる処理設備は1台のみとなるようにしている。」
「【0011】
次に、上述したように処理設備M1の制御手段C1に設けたLAN通信部13は、無線LAN7を介して携帯端末装置4,5および管理システム6と通信可能となっている。この無線LAN7の通信可能な範囲は数十メートルにも及ぶものであり、したがって、管理システム6と各処理設備M1~Mnの制御手段C1~Cnおよび各携帯端末装置4,5は常に無線LAN7を介して相互に通信可能となっている。
上記処理設備M1の制御手段C1は上述した構成を備えており、この他の処理設備M2~Mnの制御手段C2~Cnも上記処理設備M1の制御手段C1と同様の構成を備えている。
【0012】
次に、管理システム6は、無線LAN7を介して上記各処理設備M1~Mnの制御手段C1~Cnと常時交信して、各処理設備M1~Mnによる生産履歴やアラーム履歴、消耗部品管理などのために容器処理ライン2の稼動情報などを一括で管理するようになっている。」
「【0016】
次に、図3に示すように、携帯端末装置4は、表示と操作入力用とを兼ねたタッチパネル16と、上記各処理設備M1~Mnの制御手段C1~Cnと無線LAN7を介して通信可能なLAN通信部17と、上記タッチパネル16に表示する各画面や各操作者のデータを記憶する記憶部18とを備えている。また、携帯端末装置4は、各処理設備M1~MnのRFID81~8nの情報を読み取る設備認識部15を備えるとともに、操作者を認証する操作者認証部21を備えている。
タッチパネル16は、表示画面内に操作対象となる各処理設備M1~Mnの制御手段C1~Cnから無線LAN7を介して伝達される各処理設備M1~Mnの稼動状況を表示するとともに、操作者が携帯端末装置4により各制御手段C1~Cnを操作したり、表示画面を切換えたりするための操作入力部を表示するようになっている。この操作入力部を指やペン等により押圧することにより入力を感知するようになっている。」
(イ)以上から、甲2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「生産ラインの複数の処理設備M1~Mnについて、管理システム6と各処理設備M1~Mnの制御手段C1~Cn及び各携帯端末装置4,5は常に無線LAN7を介して相互に通信可能となっており、当該処理設備M1~Mnの操作範囲A1~Anのうち、特定の該操作範囲A1~Anに携帯端末装置4、5が入っている場合に、該携帯端末装置4、5は、携帯端末装置4、5により操作しようとする処理設備が処理設備M1であることを特定できるように、携帯端末装置4、5の設備認識部15がRFID81から設備特定情報を受信できること。」
イ 甲2による本件発明3の進歩性
(ア)甲2の携帯端末装置4、5は、無線LAN7を介して管理システム6や、各処理設備M1~Mnの制御手段C1~Cnと常に通信可能となっている(段落【0011】)ものであり、RFID81からの設備特定情報によって制御手段C1~Cnと通信可能となっているわけではないから、RFID81の操作範囲A1~An(1メートル以内)は、携帯端末装置4、5と生産ラインとを接続するための「電波エリア」とはいえない。
したがって、甲2において、携帯端末装置4、5は、RFID81から設備特定情報を受信するものの、RFID81の操作範囲A1~Anによって生産ラインと接続されるものでないから、甲2には、本件発明3の発明特定事項である
「複数の前記生産ラインの各々は、前記無線端末が接続される電波エリアを設定可能」(構成3A)であることも、
「複数の該生産ラインの複数の該電波エリアのうち、特定の該電波エリアに該無線端末が入っている場合に、該無線端末は特定の該電波エリアの該生産ラインに接続される」(構成3B)ことも記載されていない。
(イ)また、仮に、甲2の無線LAN7の「通信可能な範囲」が、本件発明3の「電波エリア」に相当すると仮定しても、甲2が複数の生産ラインを備えるものでない以上、甲2において、無線LAN7の「通信可能な範囲」を設定する際に、複数の生産ラインの各々に対して個別に設定するのか、それとも、複数の生産ラインを全て含むように設定するのかは不明というほかないから、甲2には、本件発明3の発明特定事項である
「複数の前記生産ラインの各々は、前記無線端末が接続される電波エリアを設定可能」(構成3A)であることも、
「複数の該生産ラインの複数の該電波エリアのうち、特定の該電波エリアに該無線端末が入っている場合に、該無線端末は特定の該電波エリアの該生産ラインに接続される」(構成3B)ことも記載されていない。
(ウ)さらにまた、本件発明3の構成3A、3Bは、甲6及び甲1にも記載されていない。
(エ)以上から、本件発明3は、甲6発明又は甲1発明に甲2に記載された技術的事項を適用しても、当業者が容易になし得たということはできず、申立理由1に基づいて、本件発明3に係る特許を取り消すことはできない。
(2)申立理由2(明確性)について
ア 申立理由2の概要
申立理由2は、訂正前の請求項1及び3に対する理由であるところ、申立人は、申立理由2について、以下の点を主張している。
(ア)訂正前の請求項1の構成要件1F(本件発明3の構成1F’)の「該無線端末は、複数の該生産ラインの各々に対して無線で接続して共用化され使用されるものであり、複数の該生産ラインが備える複数の該作業機が備える該操作盤の全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能であり」における「該操作盤」は、「複数の該作業機」のいずれの作業機が備える「操作盤」を示しているのか不明確である。
(イ)訂正前の請求項1の構成要件1B(本件発明3の構成1B’)の「前記制御装置および前記ネットワークのうち、少なくとも一方に、タッチパネルを有する無線端末を、無線で電気的に追加接続可能であり」における「前記制御装置」は、作業機システムに含まれる「複数の制御装置」のいずれを示しているのか不明確である。
(ウ)本件発明3の構成3Bには、「複数の該生産ラインの複数の該電波エリアのうち、特定の該電波エリアに該無線端末が入っている場合に」との記載があるが、どのようにして特定された電波エリアが、「特定の該電波エリア」に該当するのか不明確である。
イ 申立理由2の判断
上記(ア)の点について、本件発明3には、「制御装置と、該制御装置に電気的に接続されるタッチパネルである操作盤と、を各々が有する複数の作業機と、・・・該無線端末は、複数の該生産ラインの各々に対して無線で接続して共用化され使用されるものであり、複数の該生産ラインが備える複数の該作業機が備える該操作盤の全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能であり」と記載されているから、「該操作盤」が、複数の該作業機の各々が有する操作盤のうち、無線端末で遠隔表示する単一の操作盤のことを指し示すことは明らかであり、本件発明3の構成1F’が不明確であるという申立人の主張は採用できない。
上記(イ)の点について、本件発明3には、「制御装置と、該制御装置に電気的に接続されるタッチパネルである操作盤と、を各々が有する複数の作業機」(構成1A’)との記載があり、構成1B’の「前記制御装置」が上記構成1A’の「制御装置」を指し示すことは明らかであるから、本件発明3の構成1B’が不明確であるという申立人の主張は採用できない。
上記(ウ)の点については、本件発明3の構成3Bにおいて、「複数の該生産ラインの複数の該電波エリアのうち、特定の該電波エリア」と特定されているから、本件発明3の構成3Bの「特定の該電波エリア」とは「複数の該生産ラインの複数の該電波エリア」のうちから特定されるものであることが明確に理解でき、その特定手段が記載されていないことにより、本件発明3が理解できないような特段の事情は見当たらないから、申立人の主張は採用できない。
(3)申立理由3(サポート要件)について
ア 申立理由3の概要
申立人は、申立理由3について、本件発明3の構成3Bは、「複数の該生産ラインの複数の該電波エリアのうち、特定の該電波エリアに該無線端末が入っている場合に、該無線端末は特定の該電波エリアの該生産ラインに接続される」と特定されるところ、該電波エリアがどのようにして特定されるかについて、発明の詳細な説明に記載されていない旨を主張している。
イ 申立理由3の判断
本件明細書等の段落【0014】に「・・・複数の前記作業機と、前記ネットワークと、を有する複数の生産ラインを備え、複数の該生産ラインは、各々、電波エリアを設定可能であり、所望の該生産ラインの該電波エリアに前記無線端末が入っている場合、該無線端末は該生産ラインに無線で電気的に接続されている構成とする方がよい。本構成によると、作業者は、生産ラインごとに、簡単に、所望の作業機を遠隔操作することができる。また、作業機システムは、生産ラインごとに、簡単に、所望の作業機の情報を遠隔表示することができる。」及び段落【0045】に「また、図3に示す設定を予め行うことにより、無線端末4を保有する作業者が、所望の生産ライン9a~9cの電波エリアに入っただけで、自動的に、無線端末4と、所望の生産ライン9a~9cと、を接続することができる。」と記載されているから、本件発明3の構成3Bは本件明細書等の発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。
そして、電波エリアがどのようにして特定されるかについて、発明の詳細な説明に記載されていないことにより、本件発明3が発明の詳細な説明に記載されていないということはできない。
(なお、仮に、申立理由3を「電波エリア」の「特定」に関する実施可能要件違反の主張であると解したとしても、複数の電波エリアから特定の電波エリアを特定することは、例えば、作業者が選択する、電波エリアを識別番号で識別するなど、各種の特定方法があることが技術常識であるから、発明の詳細な説明に具体的な特定方法が記載されていないことのみを理由として、実施可能要件違反とはいえない。)
以上から、申立人の主張は採用できない。
(4)申立理由4(実施可能要件)について
ア 申立理由4の概要
申立理由4は、訂正前の請求項1に対する理由であるところ、申立人は、申立理由4について、以下の点を主張している。
(ア)訂正前の請求項1の構成要件1B(本件発明3の構成1B’)には、「前記制御装置および前記ネットワークのうち、少なくとも一方に、タッチパネルを有する無線端末を、無線で電気的に追加接続可能であり」と記載されているところ、発明の詳細な説明には、制御装置20およびネットワーク3の双方に、無線端末4を、無線で電気的に追加接続できることについて、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
(イ)訂正前の請求項1の構成要件1C(本件発明3の構成1C’)は、「追加接続された該無線端末のタッチパネルの画面には、複数の前記作業機の各々が備える前記操作盤の全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能であ」るところ、無線端末4が制御装置20又はネットワーク3のうち、少なくとも一方に、追加接続されただけで、どのようにして、各制御装置20に接続される各プログラマブル表示器12の全画面に表示されたもの毎に切り換えて、そのまま単一で遠隔表示可能となるのか、発明の詳細な説明には、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない。
イ 申立理由4の判断
上記(ア)の点については、本件明細書等の段落【0021】の「・・・操作盤21は、制御装置20に、無線で電気的に接続されている。・・・」、段落【0022】の「ネットワーク3は、無線親機(図略)を備えている。無線親機は、無線LANアクセスポイントである。無線親機は、無線LANと、有線LANと、の接続機能を有している。」及び段落【0023】の「無線端末4は、タブレットPCである。無線端末4は、無線子機(図略)を備えている。無線端末4は、三つの生産ライン9a~9c(具体的には、三つのネットワーク3)の各々に対して、無線LANを介して、電気的に接続可能である。すなわち、無線端末4は、三つの生産ライン9a~9cに対して、共用化されている。」との記載等を参酌すれば、無線LANにより、無線端末を他の機器(制御装置やネットワーク機器等)に接続できることは明らかである。そして、操作盤21と制御装置20とを無線で接続することが記載されているから、無線端末4についても、操作盤21と同様に、制御装置20と無線で接続することができることは、当業者が当然に理解できる。したがって、本件明細書等の発明の詳細な説明には、無線端末4を、制御装置及びネットワーク(の双方)に無線で電気的に追加接続できることについて、実施できる程度に明確かつ十分に記載されていると認められる。
上記(イ)の点については、本件明細書等の段落【0027】~【0036】及び図2~9には、無線端末4のタッチパネル40に、所望の作業機2の操作盤21のタッチパネル210の画面S1~S7を、そのまま表示することができること(段落【0038】)が記載されており、無線端末が無線LANにより他の機器(制御装置、ネットワーク)に接続されれば、無線端末と他の機器との間で信号を伝達できることは明らかであるから、発明の詳細な説明には、無線端末が制御装置又はネットワークに追加接続されることにより、無線端末のタッチパネルに、所望の作業機の操作盤のタッチパネルの画面をそのまま表示できることが、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていると認められる。
以上から、申立人の主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、請求項1、2、4、5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1、2、4、5に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
請求項3に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に、請求項3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、上記のとおり決定する。
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2021-701084