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特許異議申立

2020-700421

プラズマ照射システム

審判番号
2020-700421
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2016-070447
登録番号
6644616
請求日
2020年06月17日
審決日
2021年10月04日
公報発行日
2022年05月27日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社FUJI
  • 【権利者代理人】特許業務法人ネクスト
  • 【権利者代理人】深津 泰隆
  • 【権利者代理人】片岡 友希
  • 【異議申立人】冨永 道治
審判長/審判官
  • 審判長 瀬川 勝久
  • 審判官 野村 伸雄
  • 審判官 松川 直樹
分類
P1651.121-ZDA(H05H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第126条第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項、特許法第135条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6644616号発明「大気圧プラズマ照射システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6644616号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。 特許第6644616号の請求項1、4ないし9に係る特許を取り消す。 特許第6644616号の請求項3に係る特許を維持する。 特許第6644616号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6644616号の請求項1~9に係る特許についての出願は、平成28年3月31日に出願され、令和2年1月10日にその特許権の設定登録がされ、令和2年2月12日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和 2年 6月17日 :特許異議申立人冨永道治(以下「申立人」と いう。)による請求項1~9に係る特許に対 する特許異議の申立て 令和 2年10月14日付け:取消理由通知書 令和 2年12月18日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和 3年 2月10日 :申立人による意見書の提出 令和 3年 4月 1日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和 3年 6月 4日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和 3年 7月26日 :申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「プラズマ」と記載されているのを、「大気圧プラズマ」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2ないし請求項9も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「プラズマの照射により光学的特性が変化する物を、被処理体に対して付与する」と記載されているのを、「供給装置から供給された物であって大気圧プラズマの照射により光学的特性が変化する物を、被処理体に対して付与する」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項3に「基材を、被処理体に対して設置する」と記載されているのを、「基材が複数、貼着されたキャリアテープから供給された当該基材を保持し、保持した基材を被処理体に対して設置する」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「前記測定装置により測定された物の光学的特性を指標する指標値と、予め設定された設定値とに基づいて」と記載されているのを、「前記測定装置により測定された物の光学的特性を指標する色差と、予め設定された色見本とに基づいて」に訂正する。 (6)訂正事項6 明細書の発明の名称及び明細書の段落【0001】、【0004】、【0005】、【0006】について、上記訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし9の記載と合わせる為の訂正を行う。 なお、訂正前の請求項1ないし9は、請求項2~9が請求項1の記載を直接または間接的に引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項1ないし9について請求されている。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正前の請求項1に係る発明は、大気圧プラズマ照射システムであるか、真空プラズマ照射システムであるかについて特定されていない。 これに対して、訂正後の請求項1に係る発明が、大気圧プラズマ照射システムであることを明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 同様に、訂正後の請求項3ないし請求項9についても、訂正後請求項1に記載された「大気圧プラズマ」との記載を引用することにより、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項1は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項3ないし請求項9の記載について訂正するものではなく、請求項3ないし請求項9のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。 大気圧プラズマに係る説明として、段落【0009】には、「・・・プラズマ照射システム10は、大気圧下で発生させたプラズマを被処理体に照射するシステムであり、・・・」との記載がなされている。 したがって、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正前の請求項1に係る発明では、被処理体に対して付与される物が、付与される前に何れに有るのかについては特定されていない。 これに対して、訂正後の請求項1に係る発明では、被処理体に対して付与される物が供給装置から供給されたものであることを明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項2は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。 被処理体に対して付与される物が供給装置から供給されたものであることに係る説明として、段落【0012】には、「インジケータフィーダ22は、インジケータ50を供給する装置であり、・・・」との記載がなされている。 また、段落【0025】には、「・・・載置板38の上に載置された被処理体36の上にインジケータ50を設置する。・・・」との記載がなされている。 したがって、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項2を削除する訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項3は、訂正前の請求項2を削除する訂正であるため、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、訂正前の請求項2を削除する訂正であるため、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的について 訂正前の請求項3に係る発明では、基材が何れから供給されて、どのように被処理体に設置するかについては特定されていない。 これに対して、訂正後の請求項3に係る発明では、複数の基材が貼着されたキャリアテープから基材が供給されて、供給された基材を付与装置が保持し、保持した基材を被処理体に対して設置することを明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項4は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。 複数の基材が貼着されたキャリアテープから基材が供給されることに係る説明として、段落【0012】には、「インジケータフィーダ22は、インジケータ50を供給する装置であり、・・・インジケータフィーダ22は、キャリアテープを巻回させた状態で収容しており、キャリアテープには、複数のインジケータ50が、長手方向に延びるように、所定の間隔で貼着されている。そして、・・・インジケータフィーダ22は、・・・インジケータ50を供給位置において供給する。」との記載がなされている。 また、供給された基材を付与装置が保持し、保持した基材を被処理体に対して設置することに係る説明として、段落【0024】には、「・・・供給位置においてインジケータ50を供給する。そして、・・・吸着ノズル62により、インジケータ50を吸着保持する。」との記載がなされており、 段落【0025】には、「続いて、保持ヘッド26は、・・・載置板38の上に載置された被処理体36の上にインジケータ50を設置する。・・・」との記載がなされている。 したがって、当該訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的について 訂正前の請求項5に係る発明では、測定装置により測定された物の光学的特性を指標する指標値、及び、予め設定された設定値については特定されていない。 これに対して、訂正後の請求項5に係る発明では、測定装置により測定された物の光学的特性を指標する指標値が色差であり、予め設定された設定値が色見本であることを明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項5は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項5は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。 測定装置により測定された物の光学的特性を指標する指標値が色差であることに係る説明として、段落【0021】には、「・・・色差計124は、インジケータ50の色に関する指標値として、色差ΔE*abを測定するものである。・・・」との記載がなされている。 また、予め設定された設定値が色見本であることに係る説明として、段落【0021】には、「・・・予め設定された色見本の明度L*及び色度a*、b*とに基づいて色差ΔE*abが演算される。・・・」との記載がなされている。 したがって、当該訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的について 訂正事項6は、上記訂正事項1~5に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 よって、訂正事項5は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6は、特許請求の範囲のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6は、上記訂正事項1~5と同様の根拠により特許掲載公報の明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。 したがって、当該訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 願書に添付した明細書の訂正に係る請求項についての説明 明細書の発明の名称には請求項1ないし9に対応する記載が、また明細書の段落【0001】、【0004】には請求項1ないし9に対応する記載が、また明細書の段落【0005】、【0006】には請求項1に対応する記載が、それぞれ記載されているから、訂正事項5による明細書の訂正に係る請求項は請求項1ないし9である。 よって、これは一群の請求項1ないし請求項9に関係する訂正である。 したがって、訂正事項5は、特許法120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。 3 小括 したがって、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 第3 本件特許発明 本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1、3ないし9に係る発明(以下順に「本件特許発明1」、「本件特許発明3」ないし「本件特許発明9」という。)は、下記のとおりのものである。 「【請求項1】 被処理体に大気圧プラズマを照射する大気圧プラズマ照射システムであって、 前記大気圧プラズマ照射システムが、 供給装置から供給された物であって大気圧プラズマの照射により光学的特性が変化する物を、被処理体に対して付与する付与装置と、 前記付与装置により付与された物と、被処理体とに大気圧プラズマを照射する大気圧プラズマ照射装置と、 前記大気圧プラズマ照射装置により大気圧プラズマ照射された物の光学的特性を測定する測定装置と を備えることを特徴とする大気圧プラズマ照射システム。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 前記付与装置が、 大気圧プラズマの照射により光学的特性が変化する基材が複数、貼着されたキャリアテープから供給された当該基材を保持し、保持した基材を被処理体に対して設置する装置であることを特徴とする請求項1に記載の大気圧プラズマ照射システム。 【請求項4】 前記プラズマ照射システムが、 前記測定装置により測定された物の光学的特性に基づいて、被処理体に対する大気圧プラズマ照射の適否を判定する判定装置を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の大気圧プラズマ照射システム。 【請求項5】 前記判定装置が、 前記測定装置により測定された物の光学的特性を指標する色差と、予め設定された色見本とに基づいて、被処理体に対する大気圧プラズマ照射の適否を判定することを特徴とする請求項4に記載の大気圧プラズマ照射システム。 【請求項6】 前記大気圧プラズマ照射システムが、 前記判定装置により、被処理体に対する大気圧プラズマ照射が適切でないと判定された場合に、その旨を報知する報知装置を備えることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の大気圧プラズマ照射システム。 【請求項7】 前記大気圧プラズマ照射システムが、 前記判定装置による判定結果と、被処理体を識別するための識別情報とを関連付けて記憶する第1記憶装置を備えることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1つに記載の大気圧プラズマ照射システム。 【請求項8】 前記大気圧プラズマ照射システムが、 前記測定装置により測定された物の光学的特性と、被処理体を識別するための識別情報とを関連付けて記憶する第2記憶装置を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の大気圧プラズマ照射システム。 【請求項9】 前記大気圧プラズマ照射システムが、 前記測定装置により測定された物の光学的特性と、前記大気圧プラズマ照射装置によるプラズマの照射条件とを関連付けて記憶する第3記憶装置を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の大気圧プラズマ照射システム。」 第4 取消理由の概要 1 訂正前の請求項1~9に係る特許に対して、当審が特許権者に通知した令和3年4月1日付け取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。 本件特許発明1-4,6-8は、甲1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、 本件特許発明5は、甲1に記載された発明、追1に記載の技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、 本件特許発明9は、甲1に記載された発明、甲8に記載の技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 2 訂正前の請求項1~9に係る特許に対して、当審が特許権者に通知した令和2年10月14日付け取消理由の概要は、次のとおりである。 本件特許発明1,3は、甲1に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものであり、 本件特許発明1-4,6-8は、甲1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、 本件特許発明5は、甲1に記載された発明、甲5に記載の技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、 本件特許発明9は、甲1に記載された発明、甲8に記載の技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 3 引用文献等一覧 甲第1号証:国際公開第2015/025699号 甲第2号証:特開2015-13982号公報 甲第3号証:特開2015-186913号公報 甲第4号証:特開平4-1280号公報 甲第5号証:特開2015-149263号公報 甲第6号証:特開2001-156141号公報 甲第8号証:特開2004-356154号公報 甲第9号証:特開昭62-48037号公報 (以下、甲第1ないし6、8、9号証を順に「甲1」ないし「甲6」、「甲8」、「甲9」と略して記載する。) 参考文献1:特開2015-198111号公報 参考文献2:特開2004―103940号公報 参考文献3:特開2007-242952号公報 (以下、参考文献1ないし3を順に「参1」ないし「参3」と略して記載する。) 追加文献1:特開2015-200531号公報 (以下、「追1」と略して記載する。) 4 なお、上記取消理由、及び取消理由(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由はない。 第5 当審の判断 当審は、本件特許の請求項1、4~9に係る特許は、取消理由によって、特許を取り消すと判断する。 また、本件特許の請求項2に係る特許については、請求項が削除されたので、特許異議申立てを却下する。 さらに、本件特許の請求項3に係る特許については、取消理由によって、これらの特許を取り消すことができないと判断する。 以下、詳述する。 1 引用文献の記載事項 (1)甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与した、以下同じ。)。 ア 「請求の範囲 [請求項1] 電子デバイス製造装置に用いられるインジケータであって、 (1) 前記インジケータは、プラズマ、オゾン、紫外線、及びラジカル含有ガスからなる群から選ばれた少なくとも1種を検知し、 (2) 前記インジケータの形状が、前記電子デバイス製造装置で使用される基板の形状と同一であり、 (3) 前記インジケータは、変色層を含み、 (4) 前記変色層は、プラズマ、オゾン、紫外線、及びラジカル含有ガスからなる群から選ばれた少なくとも1種と反応することにより変色又は消色するインキ組成物によって形成されている、ことを特徴とする、インジケータ。 [請求項2] 前記インジケータは、前記基板に対して酸化、窒化、成膜、不純物添加、洗浄及びエッチングからなる群から選ばれた少なくとも1種の工程を行う電子デバイス製造装置に用いられる、請求項1に記載のインジケータ。 ・・・(略)・・・ [請求項4] 前記変色層が、基材の少なくとも一方の主面上に隣接して形成されている、請求項1~3のいずれかに記載のインジケータ。」 「技術分野 [0001] 本発明は、電子デバイス製造装置に用いられるインジケータ、並びにその装置設計及び/又は管理方法に関する。」 「[0006] 上述のように、上記処理(プラズマ、オゾン、紫外線、及びラジカル含有ガスからなる群から選ばれた少なくとも1種の処理)は、半導体製造装置内で半導体ウエハ全体に対して均一に行われる必要があり、半導体以外の電子デバイス(発光ダイオード(LED)、太陽電池、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、半導体レーザ、パワーデバイス等)を製造する上においても同様に、上記処理が基板全体に対して均一に行われる必要がある。しかしながら、上記処理が基板全体に対して均一に行われているかどうかについて、実際にその処理を実施して、得られた膜の特性や加工精度等を別途測定して確認する上記手法は、均一性の確認(一連の処理から評価まで)に多くの労力と時間を要するという問題がある。 ・・・(略)・・・ [0008] 本発明は、電子デバイス製造装置内において、簡便にプラズマ、オゾン、紫外線、及びラジカル含有ガスからなる群から選ばれた少なくとも1種の処理が基板全体に対して均一に行われているかどうかを検知することが可能なインジケータ、並びに上記インジケータを用いた装置の設計及び/又は管理方法を提供することを目的とする。」 「[0017] ≪(i) プラズマ検知用≫ 本発明のインジケータは、プラズマ検知用インジケータを包含する。プラズマ検知用インジケータは、プラズマと反応することにより変色又は消色するインキ組成物によって形成されている変色層を含む。」 「[0072] 変色層の形成方法 変色層の形成は、前記インキ組成物を用い、スピンコート、スリットコート、ゾルゲル、スプレー、シルクスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷等の公知の印刷方法;公知の塗布方法などに従って行うことができる。また、上記印刷以外の方法、例えば、基材をインキ組成物中に浸漬することによって変色層を形成することもできる。不織布等のようにインキが浸透する材料には特に好適である。」 「[0138] 本発明では、上記各処理の完了が確認できる限り、変色層と非変色層とをどのように組み合わせても良い。例えば、変色層の変色によりはじめて変色層と非変色層の色差が識別できるように変色層及び非変色層を形成したり、あるいは変色によってはじめて変色層及び非変色層との色差が消滅するように形成することもできる。本発明では、特に、変色によってはじめて変色層と非変色層との色差が識別できるように変色層及び非変色層を形成することが好ましい。」 「[0179] 半導体以外の各処理 電子デバイスがLED、半導体レーザ、パワーデバイス又は液晶ディスプレイである場合、上記電子デバイスが半導体である場合と同様、処理工程として成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、アッシング工程、洗浄工程等がある。電子デバイスが太陽電池又は有機ELディスプレイである場合は、上記電子デバイスが半導体である場合と同様、処理工程として成膜工程、洗浄工程等がある。つまり、電子デバイスがLED、半導体レーザ、パワーデバイス、液晶ディスプレイ、太陽電池又は有機ELディスプレイである場合、上記各工程で使用される装置において、本発明のインジケータを使用することができる。 [0180] 本発明インジケータを前記処理に置く工程については、基板に対して酸化、窒化、成膜、不純物添加、洗浄及びエッチングからなる群から選ばれた少なくとも1種の工程を行う電子デバイス製造装置で行うことが好ましい。 [0181] インジケータの使用に際しては、電子デバイスを製造する際に上記処理を行う各電子デバイス製造装置内の基板の設置箇所に、本発明インジケータを置けばよい。例えば、ウエハステージ、ヒータ、真空チャックテーブル等に対して水平(横)に寝かせるように配置してもよく、また、ウエハボート等を用いて垂直(縦)に配置してもよい。これは一例であって、製造されている基板と同一形状であることから全く制限されるものでなく、基板と同様に設置できることを意味する。この場合、装置内に置かれたインジケータが上記処理に曝露され、変色又は消色することにより、上記処理の面内均一性を、簡便に検知することができる。」 イ 引用発明 上記アをまとめると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる(以下、甲1発明の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付した。)。 「電子デバイス製造装置に用いられるインジケータであって、 (1) 前記インジケータは、プラズマ、オゾン、紫外線、及びラジカル含有ガスからなる群から選ばれた少なくとも1種を検知し、 (2) 前記インジケータの形状が、前記電子デバイス製造装置で使用される基板の形状と同一であり、 (3) 前記インジケータは、変色層を含み、 (4) 前記変色層は、プラズマ、オゾン、紫外線、及びラジカル含有ガスからなる群から選ばれた少なくとも1種と反応することにより変色又は消色するインキ組成物によって形成されている、インジケータであって、([請求項1]) 前記インジケータは、前記基板に対して酸化、窒化、成膜、不純物添加、洗浄及びエッチングからなる群から選ばれた少なくとも1種の工程を行う電子デバイス製造装置に用いられ、([請求項2]) 前記変色層が、基材の少なくとも一方の主面上に隣接して形成されており、([請求項4]) 電子デバイスを製造する上において、プラズマ処理が基板全体に対して均一に行われる必要があり、([0016]) インジケータは、プラズマ検知用インジケータを包含し、プラズマ検知用インジケータは、プラズマと反応することにより変色又は消色するインキ組成物によって形成されている変色層を含み、([0017]) 変色層の形成は、前記インキ組成物を用い、公知の印刷方法;公知の塗布方法などに従って行い、([0072]) 変色層の変色によりはじめて変色層と非変色層の色差が識別できるように変色層及び非変色層を形成し、([0138]) 前記インジケータの使用に際しては、電子デバイスを製造する際に処理を行う各電子デバイス製造装置内の基板の設置箇所に、ウエハボート等を用いて垂直(縦)に配置し、装置内に置かれたインジケータが上記処理に曝露され、変色又は消色することにより、上記処理の面内均一性を、簡便に検知することができる([0181])インジケータ。」 (2)甲2には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、プラズマ処理検知用インキ組成物及びそれを用いたプラズマ処理検知インジケーターに関する。なお、本明細書におけるプラズマ処理は、プラズマ発生用ガスを用い、交流電圧、パルス電圧、高周波、マイクロ波等を印加することにより発生するプラズマを利用したプラズマ処理を意味し、減圧プラズマ及び大気圧プラズマの両方が該当する。」 「【0086】 本発明のインジケーターは、プラズマ発生用ガスを用いるプラズマ処理であればいずれにも適用できる。つまり、減圧プラズマ処理及び大気圧プラズマ処理の両方に適用できる。 【0087】 減圧プラズマ処理の具体例としては、例えば、フラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイなど)の洗浄、表面改質等の用途;半導体製造工程における製膜、灰化、洗浄、表面改質等の用途;実装基板又はプリント配線基板の洗浄、表面改質等の用途;医療器具などの滅菌用途;実装部品の洗浄、表面改質等の用途等が挙げられる。 【0088】 また、大気圧プラズマ処理の具体例としては、例えば、フラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイなど)の製膜、灰化、洗浄、表面改質等の用途;実装基板又はプリント配線基板の洗浄、表面改質等の用途;自動車、航空機部品等の表面改質用途、医療分野(歯科又は外科)における消毒、殺菌、治療等の用途等が挙げられる。」 「【0096】 ・・・(略)・・・ 4.描画具 更に、本発明は本発明のインキ組成物を充填した描画具の発明も包含している。 【0097】 上記描画具は、筆記具(マーカー、ボールペン、筆付き容器、スタンプ等)又は塗布具を含む意味であり、プラズマ処理装置の大きさの関係でプラズマ処理物の周辺にインジケーターを配置するスペースがない場合などに、プラズマ処理に供する被処理物の一部に上記描画具によりマークを付けておき、マークの変色によって所定のプラズマ処理が完了したことを確認することができる。 【0098】 筆記具の中では、例えば、インキ組成物をペン先から滲出させるマーカー、サインペンのような中芯式筆記具、又はボールペンの形態であることが好ましい。ボールペンは、インキ組成物を装填したインキ収容管が軸内に設けられ、小さい球を装着したペン先から、インキ組成物を滲出させて筆記を行う筆記具である。中芯式筆記具は、インキ収容部として繊維束が収束された中芯、及び中芯に貯蔵されたインキ組成物を流出するペン先(チップ)を有し、ペン先として、例えば、ボール、繊維、プラスチック芯、ブラシ状物、又は筆状物を備える筆記具である。」 (3)甲3には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 酸性化手段によって酸性化処理が行われた被処理物の表面にpH指示薬を付与する付与手段と、 前記被処理物表面に付与された前記pH指示薬の色情報を検出する色情報検出手段と、 前記色情報から前記被処理物表面のpH値を特定するpH特定手段と、 前記酸性化処理が行われた面にインクジェット記録を行う記録手段と、 を備えることを特徴とする印刷装置。 【請求項2】 前記付与手段は、インクジェットヘッドであることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。」 「【0017】 実施形態1において、プラズマ処理には、たとえば誘電体バリア放電を利用した大気圧非平衡プラズマ処理を採用することができる。大気圧非平衡プラズマによる酸性化処理は、電子温度が極めて高く、ガス温度が常温付近であるため、記録媒体などの被処理物に対するプラズマ処理方法として好ましい方法の1つである。」 (4)甲4には、以下の事項が記載されている。 「【産業上の利用分野】 本発明は、例えば医療分野や食品分野での高圧蒸気滅菌処理の工程管理における滅菌状態の確認に用いられ、特にインクジェットプリンタ印刷に適した湿熱変色性インク組成物に関する。 【従来の技術】 ・・・(略)・・・ 飲料缶の滅菌確認にも医療器具と同様な化学的インジケータを用いれば良いが、飲料缶の製造個数があまりにも多いため、全ての缶にインジケータを貼り付けて滅菌を確認することは不可能に近い。そこで被滅菌物にインジケータであるインク組成物をインクジェットプリンタで直接印刷する方法が考えられた。例えば製造年月日を印刷すれば、その文字をインジケータとしても利用出来、便利である。」(第2頁左上欄第2行-右上欄第15行) (5)甲5には、以下の事項が記載されている。 ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 プラズマの照射により光学的特性が変化するインジケータを用いて、プラズマ処理装置によるプラズマ処理の適否を判断するためのプラズマ処理判断システムにおいて、 当該プラズマ処理判断システムが、 前記プラズマ処理装置によりプラズマ処理された前記インジケータの光学的特性を指標する指標値を検出する検出センサと、 前記検出センサによって検出された前記指標値が、設定値によって区画される一方の領域に含まれる場合に、前記プラズマ処理装置によるプラズマ処理が適切に行われていると判断し、前記検出センサによって検出された前記指標値が、前記設定値によって区画される他方の領域に含まれる場合に、前記プラズマ処理装置によるプラズマ処理が適切に行われていないと判断する判断装置と を備えることを特徴とするプラズマ処理判断システム。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、インジケータを用いて、プラズマ処理装置によるプラズマ処理の適否を判断するためのプラズマ処理判断システムに関するものである。」 「【0018】 <プラズマ処理の適否判定> 大気圧プラズマ発生装置10では、上述したように、プラズマ照射ヘッド14から照射されるプラズマによって、被処理体23に対するプラズマ処理が行われている。ただし、電極36に印加される電圧不足,反応室34に供給される処理ガスの流量不足等により、処理ガスが適切にプラズマ化されず、被処理体23に対するプラズマ処理を適切に行えない場合がある。このため、大気圧プラズマ発生装置10では、インジケータを用いて、プラズマ照射ヘッド14によるプラズマ処理の適否が判定される。 ・・・(略)・・・ 【0021】 受光センサ52は、レーザー光を受光すると、受光した光の検出値を、コントローラ72に送信する。そして、コントローラ72では、受信した検出値に基づいて、透過率が演算される。さらに、コントローラ72では、演算された透過率が、第1閾値以下であるかが判定される。インジケータは、上述したように、プラズマの照射により透過率が低下するものであり、第1閾値は、インジケータに適切にプラズマが照射された場合のインジケータの透過率の最高値に設定されている。このため、コントローラ72で演算された透過率が、第1閾値以下である場合には、インジケータに適切にプラズマが照射されていると判定される。つまり、プラズマ照射ヘッド14によるプラズマ処理は、適切に行われていると判定される。これにより、プラズマ照射ヘッド14によるプラズマ処理を適切に行うことが可能となる。 【0022】 一方、透過率が第1閾値を超えている場合には、その透過率が第2閾値以下であるか否かが判定される。第2閾値は、インジケータに僅かにプラズマが照射された場合のインジケータの透過率の最高値に設定されており、第1閾値より大きな値である。このため、透過率が第2閾値以下である場合には、インジケータに僅かにプラズマが照射されていると判定される。ただし、プラズマの照射量が少ないため、適切なプラズマ処理を行うことができない。このため、パネル80に、プラズマの照射量が少ないため、適切なプラズマ処理を行うことができない旨のコメントが表示される。これにより、作業者は、プラズマの照射量を増加させるための処置を行うことが可能となり、プラズマの照射量の低下に対して、適切な処置を行うことが可能となる。 【0023】 また、透過率が第2閾値を超えている場合には、インジケータに殆どプラズマが照射されていないと判定される。このため、パネル80に、プラズマが殆ど照射されていないため、適切なプラズマ処理を行うことができない旨のコメントが表示される。これにより、作業者は、プラズマが発生しない要因を探り、その要因に対して所定の処置を行うことが可能となる。」 イ 図4は以下のものである。 [図:0001384018000001.jpg] (6)甲6には、以下の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子デバイスの製造ラインに適用される電子デバイスの欠陥分類に関する欠陥解析装置,検査システム、及び、検査方法に係る。 【0002】 【従来の技術】半導体デバイスは、ウェハに対してパターンの露光,酸化,成膜,エッチング等の複数工程を経ることにより形成される。ウェハは、その複数工程の途中で必要に応じて異物検査装置,外観検査装置により検査され、ウェハ上の異物や外観不良の位置,大きさ,個数等の結果が収集される。なお、ここでは、異物検査装置の検出対象である異物と、外観検査装置の検出対象である外観不良とを総じて欠陥と呼ぶ。また、欠陥が発生した原因を究明するため、欠陥をその種類に応じて分類することが必要である。半導体デバイスの場合、欠陥の分類情報を、欠陥のカテゴリと呼んでいる。」 「【0024】検査装置8で検出された欠陥を、更に詳細に検査する必要がある場合、レビューステーションやレビューSEMと呼ばれるレビュー装置10によって、欠陥が観察される。レビュー装置10で観察された欠陥は、異物,パターン不良,膜残り、致命かどうかが、ADC装置11で自動的に分類される。 【0025】図3は、ADC装置における、欠陥レビューデータに基づく欠陥分類データの一例を示す画面図である。レビュー装置10で検出した画像がデータのひとつとして、解析ユニット13に保存されるとともに、ADC装置11での分類結果、「パターン不良」というカテゴリが付けられ、一緒に解析ユニット13に保存される。」 「【0033】図5において、ウェハを識別する情報である品種名,ロット名,ウェハNo.等は、解析ユニットの図示しない記憶装置内のウェハ情報領域500ヘ格納され、検査装置で検出された欠陥の欠陥座標,大きさ,分類結果等は、欠陥情報領域501へ格納される。ウェハ情報と欠陥情報とは、キーにより関連付けられる。ひとつのウェハ情報には、欠陥の数分の欠陥情報領域501が関連付けられる。以上は、図4に示した従来例と同じである。異なる点は、欠陥情報領域501に対し、さらに分類情報領域502を複数設けたことである。分類情報領域502には、検査装置で検出されADC装置で分類された欠陥長さX,欠陥長さY,面積,カテゴリ等が格納され、欠陥情報領域501とキー503により関連付けられる。別の欠陥情報領域511には、レビュー装置でレビューされ、ADC装置で分類された欠陥長さX,欠陥長さY,面積,カテゴリ,画像等が格納され、同じく欠陥情報領域501とキー512により関連付けられる。」 イ 図5は以下のものである。 [図:0001384018000002.jpg] 図5において、「欠陥情報領域501」には、「画像」が含まれている。 ウ 甲6の記載において、「ウェハNo.」は、検査対象物の識別情報であり、「欠陥の分類情報」は判定結果である。 (7)甲8には、以下の事項が記載されている。 「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は半導体装置の製造方法に関し、特に、ウェハの段差を低減するための技術に関する。」 「【0016】 次に、図2のステップS3-4において、エッチング装置170は、露光領域230が除去された部分すなわち高段差領域210を、エッチング除去する。このときのエッチングは、ドライエッチングまたはウェットエッチングのいずれを用いてもよい。図3(f)は、高段差領域210除去後のウェハ200を示す図3(a)のA-A断面図である。」 「【0020】 このとき、1枚目のウェハの処理において、段差情報の他に、研磨時間を含む研磨情報やエッチング時間を含むエッチング情報等も各製造装置から取得し、記憶装置112に記憶させることにより、情報をよりきめ細かくフィードバックさせることが可能となる。」 (8)甲9には、以下の事項が記載されている。 「2.特許請求の範囲 1.ダイシング済ウェハを貼着したダイシング用テープを貼り付ける帯状テープと、この帯状テープを長手方向に巻取つて前記ダイシング済ウェハを所定方向に移動させる巻取手段と、前記ダイシング済ウェハが所定位置に来たことを検知する検知手段と、この検知手段により所定位置に来たことが検知されたときに前記帯状テープの移動を停止させる停止手段とを備えるダイシング済ウェハの搬送装置。」(第1頁左下欄第4-13行) 「〔発明の効果〕 以上説明したように本発明によれば、ダイシング済ウェハを帯状テープににって搬送しながらダイマウントするようにしたので、ダイマウント装置を小型化することができ、かつダイシング済ウェハの自動搬送を容易に行なうことのできるダイシング済ウェハの搬送装置が得られる。」(第3頁右上欄第13-19行) (9)参1には、以下の事項が記載されている。 ア 「【0011】 前記ウエハボート3は、例えば5本の支柱31を備えており、ウエハWの外縁部を支持して、複数枚例えば111枚のウエハWを棚状に保持できるようになっている。このウエハWは直径が300mm以上であり、例えばウエハボート3のウエハ配列領域の上部側(例えば最上段のウエハから3枚分)及び下部側(例えば最下段のウエハから3枚分)にはダミーウエハDWが搭載されている。図2ではウエハボート3上のウエハの内、上部側の2枚及び下部側の2枚をダミーウエハDWとしている。前記ボートエレベータ22は図示しない昇降機構により昇降自在に構成され、前記回転軸24は駆動部をなすモータMにより鉛直軸周りに回転自在に構成されている。図中25は断熱ユニットである。こうしてウエハボート3は、当該ウエハボート3が反応容器1内にロード(搬入)され、蓋体23により反応容器1の基板搬入出口21が塞がれる処理位置と、反応容器1の下方側の搬出位置との間で昇降自在に構成される。」 「【0038】 こうして成膜工程を行った後、例えばバルブV3、V4を開いて、反応容器1に窒素ガスを供給し、反応容器1内を大気圧に復帰させる。次いでウエハボート3を搬出(アンロード)し、当該ウエハボート3に対して、成膜処理が終了したウエハWの取り出しと、未処理のウエハWの受け渡しとを行い、ダミーウエハDWは載置したまま次のバッチ処理を開始する。こうしてダミーウエハDWを載置したままの状態で、バッチ処理を複数回繰り返す。」 イ 図2は以下のものである。 [図:0001384018000003.jpg] (10)参2には、以下の事項が記載されている。 「【0009】 被処理体支持装置3は、被処理体であるウエハを支持するウエハボード3aが炉蓋3bに搭載されて構成されており、図示しない昇降機構によって、炉体1内とロード室2との間を昇降するように設けられている。被処理体支持装置3の上昇位置においてウエハボートaは炉体1内に位置し、したがってウエハが炉体1内に収容される。また、被処理体支持装置3の下降位置(図1の位置)においてウエハボート3aはロード室2内に位置する。被処理体支持装置3の下降位置においては、図示しないウエハ移載ロボットによってウエハがウエハボード3aに載置され、若しくはウエハ取出が行われる。」 (11)参3には、以下の事項が記載されている。 「【0002】 半導体製造工程において使用される減圧CVD装置にあっては、一般に、炉内におけるプロセスガスの流れや温度等を均一に保持するため及び/又はシリコンウエハに形成される膜厚やパーティクルの付着度等を調査,確認するためにウエハボード内にシリコンウエハと同一形状のダミーウエハが配置される。なお、膜厚,パーティクル付着度等の調査,確認するためのダミーウエハはモニターウエハと称せられることがあるが、以下においては、このようなモニターウエハも含めてダミーウエハということとする。」 「【0006】 ところで、ウエハボード内においてダミーウエハないしモニターウエハとしての上記役割を適正に発揮するためには、一般に、ダミーウエハにおける平面度での変形量δ(図1(A)参照)がδ≦0.3mmであることが好ましいとされている。また、ダミーウエハのウエハボードへの搬入,搬出手段として、一般に、ロボットアームが使用されるが、δ≦0.3mmのダミーウエハであれば、かかるロボットアームによる移載も良好に行うことができる。」 (12)追1には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 プラズマの照射により色が変化するインジケータと、 プラズマが照射された後の前記インジケータの色に着色された色見本体と を備え、ユーザが、前記インジケータと前記色見本体との比較により、プラズマ処理装置によるプラズマ処理の適否を判断するためのプラズマ処理判断シート。」 2 進歩性について (1)本件特許発明1 ア 本件特許発明1の「供給装置から供給された物であって大気圧プラズマの照射により光学的特性が変化する物を、被処理体に対して付与する付与装置」との特定事項について (ア)甲1発明の「インジケータ」は、「プラズマ・・・と反応することにより変色又は消色するインキ組成物によって形成」された「変色層」を備えるから、本件特許発明1における「プラズマの照射により光学的特性が変化する物」に相当する。 また、甲1発明の「電子デバイス製造装置で使用される基板」は、本件特許発明1における「被処理体」に相当する。 (イ)甲1発明の「インジケータ」は、「電子デバイス製造装置内の基板の設置箇所」に「ウエハボート等」を用いて配置するものであり、この際、通常は、専用の搬送装置により配置するものであるから、甲1発明は、「インジケータ」を設置箇所に配置する搬送装置を備えていると考えるのが自然である。 (ウ)「ウエハボート」は、通常、複数のウエハを配置する棚と、その上下にダミーウエハを配置する棚とを備えており(必要ならば、参1の図2参照されたい。)、甲1発明は「ウエハボート等」に「基板」を配置して「処理」しており、その際、「インジケータ」は「ウエハボート等」の、ダミーウエハ等を配置する棚に配置するのが自然であるから、甲1発明において「インジケータ」はプラズマ処理される基板の近傍に配置されるものと認められる。 ここで、上記「被処理体に対して付与する」という特定事項について、本件の明細書には【0025】に「インジケータ50は、被処理体36の上面の設置部(図2参照)160に設置され・・・(略)・・・被処理体36では、表面全体がプラズマ処理の対象でなく、表面の一部の領域(以下、「プラズマ処理領域」と記載する)162が、プラズマ処理の対象領域であり、設置部160は、プラズマ処理領域162の近傍とされている。」と記載され、また、【0044】には「本明細書での被処理体36の上に、インジケータ50が設置若しくは、粘性流体が吐出されること、及び、被処理体36の隣に、インジケータ50が設置若しくは、粘性流体が吐出されることは、被処理体36に対してインジケータ50が設置若しくは、粘性流体が吐出されるという概念に含まれる。つまり、被処理体36に対してインジケータ50若しくは、粘性流体が付与されるという概念に含まれる。」と記載されているように、「被処理体に対して付与する」とは、「プラズマ処理領域」の「近傍」に配置することを意味していると認められる。 そうすると、甲1発明の「インジケータ」をプラズマ処理される基板の近傍に配置することは、本件特許発明1の「プラズマの照射により光学的特性が変化する物(インジケータ)」を、「被処理体に対して付与する」ことといえる。 (エ)したがって、甲1発明は、上記特定事項のうち「プラズマの照射により光学的特性が変化する物を、被処理体に対して付与する付与装置」を備えているといえる。 イ 本件特許発明1の「前記付与装置により付与された物と、被処理体とに大気圧プラズマを照射する大気圧プラズマ照射装置」との特定事項について (ア)上記ア(ウ)のとおり、甲1発明の「インジケータ」は「ウエハボート等」の基板を配置する棚に配置され、他の棚にはプラズマ処理される「基板」が配置され、「インジケータ」と「基板」は共に、プラズマにより処理される。 (イ)したがって、甲1発明は、上記特定事項のうち「前記付与装置により付与された物と、被処理体とにプラズマを照射するプラズマ照射装置」を備えているといえる。 ウ 本件特許発明1の「前記大気圧プラズマ照射装置により大気圧プラズマ照射された物の光学的特性を測定する測定装置」との特定事項について (ア)甲1発明は、「装置内に置かれたインジケータが上記処理に曝露され、変色又は消色することにより、上記処理の面内均一性を、簡便に検知する」するにあたり、「変色層と非変色層の色差」を「識別」しており、「色差」を「識別」し、「処理の面内均一性を、簡便に検知する」するからには、なんらかの色を測定する装置を用いることが技術常識である。 ここで、色を測定する装置を用いない場合は、人が目視により「色差」を認識することも考えられるが、そのような場合は、「検知」とは記載せず「観察」又は「見知」と記載するのが通常であり、「検知」と記載されているからには、目視による認識ではなく装置を用いた測定であると理解するのが自然である。 (イ)したがって、甲1発明は、上記特定事項のうち「前記プラズマ照射装置によりプラズマ照射された物の光学的特性を測定する測定装置」を備えているといえる。 エ 本件特許発明1の「被処理体に大気圧プラズマを照射する大気圧プラズマ照射システムであって、前記大気圧プラズマ照射システム」、「大気圧プラズマ照射システム」との特定事項について 上記ア-ウのとおり、甲1発明は、本件特許発明1でいう、「付与装置」と、「プラズマ照射装置」と、「測定装置」を備えているところ、このような複数の装置から構成される物は、通常、「システム」と呼ばれているから、甲1発明は「プラズマ照射システム」であるといえる。 したがって、甲1発明は、上記特定事項のうち「被処理体にプラズマを照射するプラズマ照射システムであって、前記プラズマ照射システム」、「プラズマ照射システム」を備えているといえる。 オ 以上のことから、本件特許発明1と甲1発明とは、 「被処理体にプラズマを照射するプラズマ照射システムであって、 前記プラズマ照射システムが、 プラズマの照射により光学的特性が変化する物を、被処理体に対して付与する付与装置と、 前記付与装置により付与された物と、被処理体とにプラズマを照射するプラズマ照射装置と、 前記プラズマ照射装置によりプラズマ照射された物の光学的特性を測定する測定装置と を備えるプラズマ照射システム。」の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)プラズマが、本件特許発明1は、大気圧プラズマであるのに対し、甲1発明は、そのようなものか明らかでない点。 (相違点2)プラズマの照射により光学的特性が変化する物が、本件特許発明1は、供給装置から供給された物であるのに対し、甲1発明は、そのようなものか明らかでない点。 カ 相違点1についての検討 (ア)インジケータが適用できるプラズマ処理に関する技術において、大気圧プラズマ処理は周知技術(必要ならば、甲2(特に、【0086】、【0088】参照。)、甲3(特に、請求項1、2、【0017】参照。)、甲5(特に、【0018】-【0023】参照。)を参照されたい。)である。 (イ)そして、甲1の[0179]には「電子デバイスがLED、半導体レーザ、パワーデバイス又は液晶ディスプレイである場合、上記電子デバイスが半導体である場合と同様、処理工程として成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、アッシング工程、洗浄工程等がある。電子デバイスが太陽電池又は有機ELディスプレイである場合は、上記電子デバイスが半導体である場合と同様、処理工程として成膜工程、洗浄工程等がある。つまり、電子デバイスがLED、半導体レーザ、パワーデバイス、液晶ディスプレイ、太陽電池又は有機ELディスプレイである場合、上記各工程で使用される装置において、本発明のインジケータを使用することができる。」と液晶ディスプレイ等の洗浄工程等の各種工程において、本発明のインジケータが使用できることも記載されている。 そして、例えば、甲2の【0088】には「大気圧プラズマ処理の具体例としては、例えば、フラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイなど)の製膜、灰化、洗浄、表面改質等の用途;実装基板又はプリント配線基板の洗浄、表面改質等の用途;自動車、航空機部品等の表面改質用途、医療分野(歯科又は外科)における消毒、殺菌、治療等の用途等が挙げられる。」と記載されているように、フラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイなど)等の洗浄工程等の各種工程が、大気圧下で処理されることは技術常識である。 したがって、甲1のプラズマは、真空での照射以外の各種工程で照射されることも示唆されているといえる。 (ウ)そうすると、甲1発明に周知技術を適用し、プラズマを大気圧プラズマとすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。 キ 相違点2についての検討 (ア)上記ア(ウ)で検討したように、甲1発明において「インジケータ」はプラズマ処理される基板の近傍に配置されるものと認められる。 (イ)ここで、配置されるインジケータは、所定の場所から供給されたものであることは自明であり、その場合には、供給するために装置を有すると考えるのが自然である。 (ウ)また、電子デバイス製造装置内で部材を、ロボットアーム等を用いて搬送することは周知技術(必要ならば、参2(特に、【0009】参照。)、参3(特に、【0002】、【0006】参照。)を参照されたい。)である。 (エ)そうすると、甲1発明のインジケータはプラズマ処理される基板の近傍に配置するだけでなく、配置される前に、ロボットアーム等のなんらかの供給装置を用いることは、当業者が容易に想到し得た事項である。 ク したがって、本件特許発明1は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件特許発明3 ア (相違点3)付与装置について、本件特許発明3は、大気圧プラズマの照射により光学的特性が変化する基材が複数、貼着されたキャリアテープから供給された当該基材を保持し、保持した基材を被処理体に対して設置する装置であるのに対し、甲1発明は、そのようなものか明らかでない点。 イ 甲9には以下の技術的事項が記載されている(以下、甲9技術的事項という。)。 「ダイシング済ウェハを貼着したダイシング用テープを貼り付ける帯状テープと、この帯状テープを長手方向に巻取つて前記ダイシング済ウェハを所定方向に移動させる巻取手段とを備えるダイシング済ウェハの搬送装置。」 ウ 上記(1)で説示したように、甲1発明の「インジケータ」は、電子デバイス製造装置内に配置するものであることから、ロボットアーム等の何らかの供給装置を用いることまでは、当業者が容易に想到し得た事項である。 しかしながら、甲1には、上記供給装置の具体的な態様について明記はなく、ましてや、インジケータを複数、貼着されたキャリアテープを用いる動機はない。 そして、上記甲9技術的事項は、ダイシング済ウェハに関するものであり、インジケータに関するものではなく、甲1発明に甲9技術的事項を適用しても、相違点3に係る本件特許発明3に係る構成にはならない。 したがって、本件特許発明3は、甲1発明、甲9技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明4 甲1発明は、「プラズマ検知用インジケータは、プラズマと反応することにより変色又は消色するインキ組成物によって形成されている変色層を含み、」「装置内に置かれたインジケータが上記処理に曝露され、変色又は消色することにより、上記処理の面内均一性を、簡便に検知する」ものであるから、プラズマ照射の適否を判定しているものといえる。 したがって、本件特許発明4は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)本件特許発明5 ア 追1には、プラズマの照射により色が変化するインジケータと、プラズマが照射された後の前記インジケータの色に着色された色見本体とを備え、ユーザが、前記インジケータと前記色見本体との比較により、プラズマ処理装置によるプラズマ処理の適否を判断することが記載されている。 イ そうすると、甲1発明において、「インジケータ」の「変色」により、「プラズマ」「処理の面内均一性」を「検知」する際に、予め設定された色見本を用いることは、当業者にとって容易になし得たことである。 ウ したがって、本件特許発明5は、甲1発明、追1に記載の技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)本件特許発明6 また、なんらかの不具合が発生した場合に、その旨を報知することは周知技術であるから(必要であれば、甲5を参照されたい。)、検知した結果、プラズマ処理が適切でないと判断された場合に、その旨を報知することも、当業者にとって容易になし得たことである。 したがって、本件特許発明6は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)本件特許発明7 ア 検査装置において、検査対象物の識別情報と検査結果とを関連付けて記録することは、甲6に記載のとおり周知技術である。 イ そして、甲1発明は、「基板」の「処理」が適切に行われているかを確認するものだから、プラズマ処理が行われる「基板」を識別する情報と、検知結果とを関連付けて記録することは、当業者にとって容易になし得たことである。 したがって、本件特許発明7は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (7)本件特許発明8 甲6には、判定結果である「欠陥の分類情報」と、「ウエハ」を識別する情報とを関連付けて記録すると共に、判定の基となった「画像」についても同時に記録することが記載されているように、判定(評価)の際に最終的な判定結果と共に、判定の基となった情報も記録することは周知技術である。 そうすると、甲1発明において、検知結果の基となる情報である、「インジケータの変色」、すなわち、光学的特性も併せて記録することは、当業者にとって容易になし得たことである。 したがって、本件特許発明8は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (8)本件特許発明9 甲8には、エッチング情報を検査結果と併せて記録することが記載されている。 そして、甲1発明においても、「インジケータの変色」がいかなる「エッチング条件の違い」に基づくのか検討するために、「エッチング条件」(プラズマの照射条件)についても「基板」を識別する情報や識別結果に加えて、関連付けて記録することは、当業者にとって容易になし得たことである。 したがって、本件特許発明9は、甲1発明、甲8に記載の技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (9)特許権者の意見書での主張について ア 特許権者は、令和3年6月4日に提出した意見書において、「大気圧プラズマの照射により光学的特性が変化する物を供給装置により供給し、その供給装置から供給された物を付与装置が被処理体に対して付与することで、作業者の手を煩わせることなく、大気圧プラズマ照射装置により大気圧プラズマ照射された物の光学的特性を測定することが可能になるという効果があります。」「インジケータがどのように載置されるかについて、甲一号証に開示、示唆されていないことから、甲一号証に、大気圧プラズマの照射により光学的特性が変化する物を供給装置により供給し、その供給装置から供給された物を付与装置が被処理体に対して付与するという構成は存在しないと考えます。」旨主張する。 イ 上記主張について、検討する。 上記(1)キで説示したとおりであり、甲1は、電子デバイス製造装置内でインジケータを使用することから、作業者の手を煩わせることなくロボットアーム等の供給装置を使用することが示唆されている。 したがって、当該主張は採用できない。 (10)申立人の意見書での主張について ア 申立人は、令和3年7月26日に提出した意見書において、「甲1発明において、電子デバイス製造分野の点で技術分野が同じ又は類似である甲第9号証に開示されたキャリアテープを導入し、半導体基板と同一形状(ダミー基板)のインジケータをキャリアテープにより順次搬送することは当業者にとって容易想到な事項であることは明らかである。また、半導体基板ごとのプラズマ処理の面内均一性をより詳細に確認するために、ウエハボード等に半導体基板とダミー基板(インジケータ)とを一対一で対応させて載置することは当業者が適宜なし得る設計事項の範疇であるといえ、この場合はキャリアテープによる順次搬送の効果も得られ易い。また、甲1発明ではプラズマ処理の面内均一性を確認するために半導体基板と同一形状(ダミー基板)のインジケータを用いているが、面内均一性を考慮しない場合には半導体基板よりも小型のプラズマ検知インジケータをキャリアテープで順次搬送し、半導体基板と一対一で組み合わせるように設計変更することもまた容易である。」旨主張している。 イ 上記(2)ウで説示したとおりであり、当該主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件特許の請求項1、4~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許を受けることができないものである。 したがって、本件特許の請求項1、4~9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 本件特許の請求項3に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に本件特許の請求項3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件特許の請求項2に係る特許は、訂正により削除されたため、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定により、この特許についての特許異議の申立ては却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2020-700421

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