特許異議申立
2021-700979
自動倉庫システム
- 審判番号
- 2021-700979
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-121157
- 登録番号
- 6857213
- 請求日
- 2021年10月12日
- 審決日
- 2023年08月23日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】住友重機械搬送システム株式会社
- 【権利者代理人】森下 賢樹
- 【権利者代理人】富所 輝観夫
- 【異議申立人】小川 鐵夫
- 審判長/審判官
- 審判長 小川 恭司
- 審判官 久島 弘太郎
- 審判官 平城 俊雅
- 分類
- P1651.121-ZDA(B65G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第126条第4項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6857213号発明「自動倉庫システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6857213号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕、6、7について訂正することを認める。
特許第6857213号の請求項1~5に係る特許を取り消す。
特許第6857213号の請求項6、7に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第6857213号の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成30年6月7日に出願した特願2018-109787号の一部を令和元年6月28日に新たな特許出願としたものであって、令和3年3月23日にその特許権の設定登録がされ、令和3年4月14日に特許掲載公報が発行された。
その後の本件異議申立事件に関する手続の経緯は次のとおりである。
令和 3年10月12日付け 特許異議申立人小川鐵夫(以下、「異議申立人」という。)による特許異議の申立て
令和 4年 2月 9日付け 取消理由通知
同年 5月13日付け 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 7月 8日付け 異議申立人による意見書の提出
同年 9月26日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年11月30日付け 特許権者による意見書の提出
令和 5年 3月 3日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 6月 2日付け 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
なお、令和4年5月13日付けで提出した訂正請求書による訂正請求は、令和5年6月2日付けで提出された訂正請求書による訂正請求がなされたため、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げたものとみなす。
2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
令和5年6月2日付けの訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである。
なお、下線部は訂正箇所を示す。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記制御部は、前記第2モードにおいて、同一の段内で前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる、」
と記載されているのを、
「前記制御部は、前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろす動作を、前記複数の段で同時に実行するように制御を行う、」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項3~5も同様に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「前記制御部は、
前記載置部に載置された複数の物品を、先に出庫される出荷対象と、後に出庫される出荷対象とに区別し、」
と記載されているのを、
「前記搬送手段は、
列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備え、
前記収納部は、前記列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成され、
前記第2搬送手段は、前記列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、
前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段から移動して前記列方向収納部にアクセス可能に構成され、
前記第1搬送手段および前記第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置され、
前記制御部は、
前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろす動作を、前記複数の段で同時に実行するように制御を行うとともに、
前記載置部に載置された複数の物品を、先に出庫される出荷対象と、後に出庫される出荷対象とに区別し、」
に訂正する。
請求項2の記載を引用する請求項3、4も同様に訂正する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に、
「前記制御部は、前記第1モードが実行されている際に前記第2モードの入力を受けた場合、実行されている前記第1モードが終了した後に前記第2モードを実行する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。」
と記載されているのを、
「複数の載置部で構成された収納部と、
出庫部と、
前記載置部および前記出庫部の間で物品を移動させることが可能な搬送手段と、
前記搬送手段を制御する制御部と、を備え、
前記収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成され、
前記制御部は、
前記物品を前記載置部から前記出庫部に移動させる第1モードと、
前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モードと、
によって前記搬送手段を制御し、
前記搬送手段は、
列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備え、
前記収納部は、前記列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成され、
前記第2搬送手段は、前記列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、
前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段から移動して前記列方向収納部にアクセス可能に構成され、
前記第1搬送手段および前記第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置され、
前記制御部は、
前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろすように制御を行い、
前記第1モードが実行されている際に前記第2モードの入力を受けた場合、実行されている前記第1モードが終了した後に前記第2モードを実行する、
自動倉庫システム。」
に訂正する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に、
「前記制御部は、前記第2モードを所定の時間帯あるいは所定のタイミングで実行するように構成されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。」
と記載されているのを、
「複数の載置部で構成された収納部と、
出庫部と、
前記載置部および前記出庫部の間で物品を移動させることが可能な搬送手段と、
前記搬送手段を制御する制御部と、を備え、
前記収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成され、
前記制御部は、
前記物品を前記載置部から前記出庫部に移動させる第1モードと、
前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モードと、
によって前記搬送手段を制御し、
前記搬送手段は、
列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備え、
前記収納部は、前記列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成され、
前記第2搬送手段は、前記列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、
前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段から移動して前記列方向収納部にアクセス可能に構成され、
前記第1搬送手段および前記第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置され、
前記制御部は、
前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろすように制御を行い、
前記第2モードを所定の時間帯で実行するように構成されている、
自動倉庫システム。」
に訂正する。
オ 訂正事項5
明細書の段落【0006】~【0008】を次のように訂正する。
「【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動倉庫システムは、複数の載置部で構成された収納部と、出庫部と、載置部および出庫部の間で物品を移動させることが可能な搬送手段と、搬送手段を制御する制御部と、を備える。収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成される。制御部は、物品を載置部から出庫部に移動させる第1モードと、物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モードと、によって搬送手段を制御する。搬送手段は、列方向に移動可能な第1搬送手段と、第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備える。収納部は、列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成される。第2搬送手段は、列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、第1搬送手段は、第2搬送手段から移動して列方向収納部にアクセス可能に構成され、第1搬送手段および第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置される。制御部は、第2モードにおいて、同一の段内で第1搬送手段が一の載置部の物品を搭載した状態で第2搬送手段に乗り込み、第2搬送手段が物品を搭載した第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、物品を搭載した第1搬送手段が第2搬送手段から他の載置部へと移動し、物品を他の載置部へ降ろす動作を、複数の段で同時に実行するように制御を行う。
【0007】
また、本発明の他の態様の自動倉庫システムは、複数の載置部で構成された収納部と、出庫部と、載置部および出庫部の間で物品を移動させることが可能な搬送手段と、搬送手段を制御する制御部と、を備える。収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成される。制御部は、物品を載置部から出庫部に移動させる第1モードと、物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モードと、によって搬送手段を制御する。搬送手段は、列方向に移動可能な第1搬送手段と、第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備える。収納部は、列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成される。第2搬送手段は、列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、第1搬送手段は、第2搬送手段から移動して列方向収納部にアクセス可能に構成され、第1搬送手段および第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置される。制御部は、第2モードにおいて、同一の段内で第1搬送手段が一の載置部の物品を搭載した状態で第2搬送手段に乗り込み、第2搬送手段が物品を搭載した第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、物品を搭載した第1搬送手段が第2搬送手段から他の載置部へと移動し、物品を他の載置部へ降ろす動作を、複数の段で同時に実行するように制御を行うとともに、載置部に載置された複数の物品を、先に出庫される出荷対象と、後に出庫される出荷対象とに区別し、第2モードにおいて、先に出庫される予定の出荷対象を出庫部に近づけるように、一の載置部から他の載置部に移動させ、第1モードにおいて、第2モードで出庫部に対して近づけた先に出庫される予定の出荷対象を出庫部に搬送する。
また、本発明の他の態様の自動倉庫システムは、複数の載置部で構成された収納部と、出庫部と、載置部および出庫部の間で物品を移動させることが可能な搬送手段と、搬送手段を制御する制御部と、を備える。収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成される。制御部は、物品を載置部から出庫部に移動させる第1モードと、物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モードと、によって搬送手段を制御する。搬送手段は、列方向に移動可能な第1搬送手段と、第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備える。収納部は、列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成される。第2搬送手段は、列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、第1搬送手段は、第2搬送手段から移動して列方向収納部にアクセス可能に構成され、第1搬送手段および第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置される。制御部は、第2モードにおいて、同一の段内で第1搬送手段が一の載置部の物品を搭載した状態で第2搬送手段に乗り込み、第2搬送手段が物品を搭載した第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、物品を搭載した第1搬送手段が第2搬送手段から他の載置部へと移動し、物品を他の載置部へ降ろすように制御を行い、第1モードが実行されている際に第2モードの入力を受けた場合、実行されている第1モードが終了した後に第2モードを実行する。
また、本発明の他の態様の自動倉庫システムは、複数の載置部で構成された収納部と、出庫部と、載置部および出庫部の間で物品を移動させることが可能な搬送手段と、搬送手段を制御する制御部と、を備える。収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成される。制御部は、物品を載置部から出庫部に移動させる第1モードと、物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モードと、によって搬送手段を制御する。搬送手段は、列方向に移動可能な第1搬送手段と、第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備える。収納部は、列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成される。第2搬送手段は、列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、第1搬送手段は、第2搬送手段から移動して列方向収納部にアクセス可能に構成され、第1搬送手段および第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置される。制御部は、第2モードにおいて、同一の段内で第1搬送手段が一の載置部の物品を搭載した状態で第2搬送手段に乗り込み、第2搬送手段が物品を搭載した第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、物品を搭載した第1搬送手段が第2搬送手段から他の載置部へと移動し、物品を他の載置部へ降ろすように制御を行い、第2モードを所定の時間帯で実行するように構成されている
【0008】 (削除)」
(2)一群の請求項
訂正前の請求項1、3~7について、請求項3~7は請求項1を引用しており、訂正事項1による請求項1の訂正に連動して訂正されるものであり、訂正前の請求項1、3~7に対応する訂正後の請求項1、3~7は一群の請求項である。
また、訂正前の請求項2~4、6、7について、請求項3、4、6、7は請求項2を引用しており、訂正事項2による請求項2の訂正に連動して訂正されるものであり、訂正前の請求項2~4、6、7に対応する訂正後の請求項2~4、6、7は一群の請求項である。
そうすると、上記の2つの一群の請求項で共通する訂正後の請求項3、4、6、7は、訂正後の請求項1または2のいずれか1項を引用するので、これらの群は組み合わされて、訂正前の請求項1~7に対応する訂正後の請求項1~7は一群の請求項である。
よって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
(3)別の訂正単位とする求めについて
特許権者は、訂正後の請求項6、7については、これらの請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
(4)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1
(ア)
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の「前記制御部は、前記第2モードにおいて、同一の段内で前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる」ことに関し、「前記制御部は、前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろす動作を、前記複数の段で同時に実行するように制御を行う」とし、制御部により物品を移動させる動作を具体的に特定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
(イ)
また、訂正事項1は、発明を特定する事項をより具体化するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(ウ)
そして、願書に添付した明細書には、
「【0022】
台車14は、荷12を搭載して、第1レール40上をY軸方向に移動することができる。移動機構16は、台車14を搭載して、第2レール44上をX軸方向に移動することができる。」
「【0023】
・・・台車14は、各保管列24の各保管区26に対して荷12を出し入れするために、各保管列24の中で第1レール40をY軸方向に走行する。また、台車14は、移動機構16に乗降するために、移動機構16上をY軸方向に走行する。また、台車14は、一時保管部28の各保管区26に対して荷12を出し入れするために、一時保管部28の第1レール40上をY軸方向に走行する。」
「【0026】
・・・移動機構16は、第2レール44をX軸方向に走行して、空荷の状態または荷12を搭載した状態の台車14を搬送する。」
「【0032】
荷12は、台車14によって列方向に搬送され、移動機構16によって台車14とともに行方向に搬送される。・・・」
との記載及び【図1】、【図3】の記載、並びに、
「【0016】
・・・本実施の形態の自動倉庫システム100は、上下方向に層状に重ねられた3段の保管部22を有する。」
と記載され、また、段落【0039】~【0069】に各段で並替動作が実施されることが記載されていることから、複数の段で同時に実行することが示唆されているといえる。
そうすると、訂正事項1は、上記の明細書の記載からから、導き出される事項である。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
イ 訂正事項2
(ア)
訂正事項2は、訂正前の請求項2に係る発明の「搬送手段」に関し、「前記搬送手段は、列方向に移動可能な第1搬送手段と、前記第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備え、」「前記第2搬送手段は、前記列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段から移動して前記列方向収納部にアクセス可能に構成され、前記第1搬送手段および前記第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置され」との事項を付加し、「収納部」に関し、「前記収納部は、前記列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成され、」との事項を付加し、「制御部」に関し、「前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろす動作を、前記複数の段で同時に実行するように制御を行うとともに」との事項を付加し、それぞれ「搬送手段」、「収納部」、「制御部」の構成を特定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
(イ)
また、訂正事項2は、発明を特定する事項をより具体化するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(ウ)
そして、訂正事項2のうちの「搬送手段」、「収納部」に関する事項は、訂正前の請求項1の記載から導き出せる事項であり、「制御部」に関する事項は、願書に添付した明細書の段落【0022】、【0023】、【0026】、【0032】及び【図1】、【図3】の記載、並びに段落【0016】、【0039】~【0069】から導き出せる事項である(上記ア(ウ)参照。)。
よって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
ウ 訂正事項3
(ア)
訂正事項3のうち、訂正前の請求項6が請求項1~5の記載を引用するものであったのを、そのうちの請求項1を引用するものについて請求項間の引用を解消して独立形式請求項へ記載を改める訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものといえる。
また、訂正事項3のうち「制御部」に関し、「前記第2モードにおいて、同一の段内で前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる」を、「前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろすように制御を行い、」とする訂正は、第2モードでの物品の移動の動作を特定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
(イ)
訂正事項3のうち、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ記載を改める訂正は、実質的な内容の変更を伴うものではない。
また、訂正事項3のうち、発明特定事項を限定する訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(ウ)
訂正事項3のうち、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ記載を改める訂正は、訂正前の請求項1の記載から導き出せる事項である。
また、訂正事項3のうち「制御部」に関する訂正は、明細書の段落【0022】、【0023】、【0026】、【0032】及び【図1】、【図3】の記載から導き出せる事項である(上記ア(ウ)参照。)。
よって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
エ 訂正事項4
(ア)
訂正事項4のうち、訂正前の請求項7が請求項1~6の記載を引用するものであったのを、そのうちの請求項1を引用するものについて請求項間の引用を解消して独立形式請求項へ記載を改める訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものといえる。
また、訂正事項4のうち「制御部」に関し、「前記第2モードにおいて、同一の段内で前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる」を、「前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろすように制御を行い、」とする訂正は、第2モードでの物品の移動の動作を特定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
さらに、訂正事項4のうち、「前記第2モードを所定の時間帯あるいは所定のタイミングで実行するように構成されている」を、「前記第2モードを所定の時間帯で実行するように構成されている」とする訂正は、択一的な要素を削除し限定する訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
(イ)
訂正事項4のうち、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ記載を改める訂正は、実質的な内容の変更を伴うものではない。
また、訂正事項4のうち、発明特定事項を限定する訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(ウ)
訂正事項4のうち、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ記載を改める訂正は、訂正前の請求項1の記載から導き出せる事項である。
また、訂正事項4のうち「制御部」に関する訂正は、明細書の段落【0022】、【0023】、【0026】、【0032】及び【図1】、【図3】の記載から導き出せる事項である(上記ア(ウ)参照。)。
さらに、訂正事項4のうち、択一的な要素を削除し限定する訂正は、願書に添付した明細書の、
「【0046】
・・・並替動作は、出庫動作が行われていない夜間などの時間帯に行うように設定される。」
との記載から導き出せる事項といえる。
よって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
オ 訂正事項5
(ア)
訂正事項5は、訂正前の明細書の段落【0006】~【0008】の記載が、訂正事項1~4により訂正される特許請求の範囲の記載と整合しなくなるため、当該段落の記載を整合させるためにする訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合する。
(イ)
また、訂正事項5により訂正される明細書の段落【0006】~【0008】の内容は、訂正事項1及び2と実質的に同じ内容であるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(5)小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条9項で準用する特許法第126条第4項、第5項及び第6項に適合するので、訂正後の請求項〔1~5〕、6、7について、訂正を認める。
3 本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1~7に係る発明(以下順に「本件発明1~7」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
複数の載置部で構成された収納部と、
出庫部と、
前記載置部および前記出庫部の間で物品を移動させることが可能な搬送手段と、
前記搬送手段を制御する制御部と、を備え、
前記収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成され、
前記制御部は、
前記物品を前記載置部から前記出庫部に移動させる第1モードと、
前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モードと、
によって前記搬送手段を制御し、
前記搬送手段は、
列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備え、
前記収納部は、前記列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成され、
前記第2搬送手段は、前記列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、
前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段から移動して前記列方向収納部にアクセス可能に構成され、
前記第1搬送手段および前記第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置され、
前記制御部は、前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろす動作を、前記複数の段で同時に実行するように制御を行う、
自動倉庫システム。
【請求項2】
複数の載置部で構成された収納部と、
出庫部と、
前記載置部および前記出庫部の間で物品を移動させることが可能な搬送手段と、
前記搬送手段を制御する制御部と、を備え、
前記収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成され、
前記制御部は、
前記物品を前記載置部から前記出庫部に移動させる第1モードと、
前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モードと、
によって前記搬送手段を制御し、
前記搬送手段は、
列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備え、
前記収納部は、前記列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成され、
前記第2搬送手段は、前記列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、
前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段から移動して前記列方向収納部にアクセス可能に構成され、
前記第1搬送手段および前記第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置され、
前記制御部は、
前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろす動作を、前記複数の段で同時に実行するように制御を行うとともに、
前記載置部に載置された複数の物品を、先に出庫される出荷対象と、後に出庫される出荷対象とに区別し、
前記第2モードにおいて、先に出庫される予定の出荷対象を前記出庫部に近づけるように、一の載置部から他の載置部に移動させ、
前記第1モードにおいて、前記第2モードで前記出庫部に対して近づけた前記先に出庫される予定の出荷対象を前記出庫部に搬送する、
自動倉庫システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記第1モードで出荷が予定されている物品群を前記出庫部に相対的に近い前記載置部に移動させる、請求項1または2に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記搬送手段は、列方向に移動可能な第1搬送手段、行方向に移動可能な第2搬送手段、および高さ方向に移動可能な第3搬送手段を備え、異なる段の間で前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記列方向収納部における少なくとも3つの載置部の物品を前記列方向収納部から搬出して、当該列方向収納部あるいは別の列方向収納部に搬入する、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項6】
複数の載置部で構成された収納部と、
出庫部と、
前記載置部および前記出庫部の間で物品を移動させることが可能な搬送手段と、
前記搬送手段を制御する制御部と、を備え、
前記収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成され、
前記制御部は、
前記物品を前記載置部から前記出庫部に移動させる第1モードと、
前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モードと、
によって前記搬送手段を制御し、
前記搬送手段は、
列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備え、
前記収納部は、前記列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成され、
前記第2搬送手段は、前記列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、
前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段から移動して前記列方向収納部にアクセス可能に構成され、
前記第1搬送手段および前記第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置され、
前記制御部は、
前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろすように制御を行い、
前記第1モードが実行されている際に前記第2モードの入力を受けた場合、実行されている前記第1モードが終了した後に前記第2モードを実行する、
自動倉庫システム。
【請求項7】
複数の載置部で構成された収納部と、
出庫部と、
前記載置部および前記出庫部の間で物品を移動させることが可能な搬送手段と、
前記搬送手段を制御する制御部と、を備え、
前記収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成され、
前記制御部は、
前記物品を前記載置部から前記出庫部に移動させる第1モードと、
前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モードと、
によって前記搬送手段を制御し、
前記搬送手段は、
列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備え、
前記収納部は、前記列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成され、
前記第2搬送手段は、前記列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、
前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段から移動して前記列方向収納部にアクセス可能に構成され、
前記第1搬送手段および前記第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置され、
前記制御部は、
前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろすように制御を行い、
前記第2モードを所定の時間帯で実行するように構成されている、
自動倉庫システム。」
4 取消理由の概要
当審が令和5年3月3日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
[取消理由]本件特許の請求項1~5、7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において頒布された下記の引用文献2に記載された発明及び引用文献1に記載の事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、請求項1~5、7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
引用文献1:特開昭53-26074号公報
引用文献2:特開2017-160040号公報
引用文献3:特開平6-239422号公報
引用文献4:特開平5-201503号公報
引用文献5:特開平7-257707号公報
引用文献1~5は、それぞれ、令和3年10月12日付けの異議申立人による特許異議申立書の甲第1~5号証である。
5 取消理由に対する当審の判断
(1)引用文献
ア 引用文献2に記載された事項及び引用発明
引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。
(ア)
「【請求項 8】
複数行複数列の収容部を有する棚部と、
物品を入庫するための入庫部と、
物品を出庫するための出庫部と、
前記収容部間を移動可能であり、前記収容部へ物品の搬入・搬出を行う搬送台車と、
前記棚部に隣接して設けられ、前記棚部と前記入庫部又は前記出庫部との間を走行可能な走行台車と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
一の収容部に載置された物品を他の収容部へ搬送して載置するように前記搬送台車を制御し、
前記他の収容部に載置された物品を前記走行台車が回収するように前記走行台車を制御し、
前記物品を回収した前記走行台車は物品を前記出庫部へ搬送するよう前記走行台車を制御し、その間、前記棚部内で別の物品の搬送をするように前記搬送台車を制御することを特徴とする自動倉庫システム。」
(イ)
「【0001】
本発明は、物品を入庫・出庫する自動倉庫システム及びスタッカークレーンに関する。」
(ウ)
「【0045】
(並列動作)
次に、スタッカークレーン50と搬送台車30の並列動作の第1例を説明する。第1例は複数の物品90を出庫する動作で、制御部60はスタッカークレーン50と搬送台車30が以下の動作をするように制御する。まず、制御部60は、開端部18aから離れた一の収容部10に載置された物品90を開端部18aに近い他の収容部である収容部10aへ搬送して載置するように搬送台車30を制御する。また、制御部60は、収容部10aに載置された物品90をスタッカークレーン50が回収するようにスタッカークレーン50を制御する。また、制御部60は、物品90を回収したスタッカークレーン50が物品90を出庫部16へ搬送するようスタッカークレーン50を制御する。また、制御部60は、スタッカークレーン50が物品90を出庫部16へ搬送して出庫する間、棚部12内で別の物品90の搬送をするように搬送台車30を制御する。
【0046】
次に、スタッカークレーン50と搬送台車30の並列動作の第2例を説明する。第2例も複数の物品90を出庫する動作で、制御部60はスタッカークレーン50と搬送台車30が以下の動作をするように制御する。まず、スタッカークレーン50は開端部18aに近い収容部10aの物品90に対して単独出庫動作を実行する。その間に、搬送台車30は、開端部18aから離れた収容部10から別の物品90を開端部18aに搬送して待機し、単独出庫動作を終えたスタッカークレーン50が到着したら、速やかに連携出庫動作により物品90をスタッカークレーン50に受け渡しする。スタッカークレーン50は受け渡しされた物品90を出庫部16に搬送して出庫する。
【0047】
次に、スタッカークレーン50と搬送台車30の並列動作の第3例を説明する。第3例では入庫動作と出庫動作を並列に実行するもので、スタッカークレーン50が単独入庫動作をする間に、搬送台車30は、開端部18aから離れた収容部10bから出庫すべき物品90を開端部18aに搬送して待機する。搬送台車30は、単独入庫動作を終えたスタッカークレーン50が到着したら、速やかに連携出庫動作により物品90をスタッカークレーン50に受け渡しする。スタッカークレーン50は受け渡しされた物品90を出庫部16に搬送して出庫する。このように、自動倉庫システム100では、入庫動作と出庫動作とを並列に実行することが可能である。このようにスタッカークレーン50と搬送台車30とが並列動作することで、スタッカークレーン50と搬送台車30の待ち時間を減らし、総合的な倉庫の稼働効率を向上することができる。」
(エ)
「【0057】
(第5変形例)
次に、第5変形例に係る自動倉庫システム200について説明する。実施の形態の自動倉庫システム100の走行台車が、昇降機構51を備えるスタッカークレーン50であるのに対して、自動倉庫システム200の走行台車は昇降機構を具備しない。つまり、自動倉庫システム200は、自動倉庫システム100に対して走行台車が昇降機構を有せず、別に設けた昇降エレベータに移載して昇降させるように構成される点で相違し、その他の構成は同様である。したがって、重複する説明を省略し相違する点を重点的に説明する。
【0058】
図12は第5変形例に係る自動倉庫システム200の正面図である。図12では重要でない部材や部分の記載を適宜省略している。図13は自動倉庫システム200の側面図である。図13では後述する昇降部260の記載を省略している。自動倉庫システム200は、棚部12と、搬送台車30と、軌道270と、走行台車250と、昇降部260と、入庫部15と、出庫部16と、を主に含む。軌道270は、各々の収容部10に隣接して各段ごとに設けられており、行方向(X方向)に延伸する一対のレール272を含む。一対のレール272それぞれは、走行台車250の車輪253が走行できるように、例えば互いに内側が開いたL字状の断面を有する。
【0059】
昇降部260は、各段の軌道270の一端270aに隣接して昇降部260が設けられる。自動倉庫システム200では、昇降部260によって、ある段の軌道270の一端270aに位置する走行台車250を他の段の軌道270へ移動可能に構成される。昇降部260は、支柱部262と、昇降台264と、昇降機構266と、を含み、昇降エレベータとして機能する。支柱部262は、例えば横断面が矩形状の支柱で床76に立設される。昇降台264は、例えばX方向及びY方向に延在する板状の部材で支柱部262に昇降可能にガイドされる。昇降台264は走行台車250を載置可能な形状を有する。昇降台264には軌道270上を走行してきた走行台車250の車輪253が走行できるような走行面を有する。昇降機構266は、例えば支柱部262の根元に設けられる。昇降機構266は、昇降台264を吊っているワイヤーロープ(不図示)を巻取り・送出することによって、昇降台264を昇降駆動する。昇降部260の最下段に隣接して入庫部15および出庫部16が設けられる。
【0060】
次に、走行台車250について説明する。図14は、走行台車250の斜視図である。走行台車250は、搬送台車30を収容可能に、軌道270上を行方向(X方向)に走行可能に、昇降台264上を走行して乗り移り可能に構成される。走行台車250は、車体251と、収容台252と、一対のガイド部256と、複数(例えば2組)の車輪253と、駆動機構(不図示)と、充電部259と、を主に含む。走行台車250は、その上部に設けられた収容台252に搬送台車30を収容可能に構成される。
【0061】
車体251は、上面視が略矩形状で、上下に薄い偏平形状を有する筐体である。車輪253は、例えば樹脂材料から形成されるタイヤであり、車体251のY方向の両側に設けられる。車輪253の数に制限はなく、例えば6輪以上であってもよい。車輪253は駆動機構(不図示)によって回転駆動される。収容台252は、車体251の上部に設けられる平坦な台部で、搬送台車30が走行して乗り移れるように構成される。一対のガイド部256は、車体251の上部に収容台252をX方向に挟むように設けられる壁体で、搬送台車30の走行をガイドするように構成される。収容台252は、一対のガイド部256の上面から下側に窪んだ凹部形状を有する。換言すれば、一対のガイド部256は収容台252の上面から上側に張り出した形状を有する。
【0062】
走行台車250は、例えば各段の軌道270に沿って設けた架線(不図示)からトロリ機構(不図示)によって電力の供給を受けてもよい。走行台車250は、例えば車体251の下部に内蔵されるバッテリ258を含んでもよい。バッテリ258は、各種の手段によって充電されてもよい。バッテリ258は充電部259を通じてバッテリ37を充電するための電力を供給してもよい。
【0063】
充電部259は、例えば一対のガイド部256の内側側面の一方に設けられてもよい。充電部259はX方向に移動して搬送台車30の受電部36に接近するように構成されてもよい。充電部259は、例えば高周波電磁誘導を利用して、非接触でバッテリ37に給電可能に構成されてもよい。充電部259は、所定のタイミングで、搬送台車30の受電部36を通じてバッテリ37を充電するように構成されてもよい。
【0064】
(出庫動作)
自動倉庫システム200の出庫動作の一例を説明する。収容部10内の物品90を出庫する際には、例えば以下の動作を実行してもよい。なお、物品90はパレット92に載せられた状態で搬送されてもよい。
(1)搬送台車30で物品90を回収する。
(2)物品90を回収した搬送台車30を走行台車250に収容する。
(3)搬送台車30を収容した走行台車250を軌道270に沿って昇降部260まで走行させる。
(4)昇降部260によって、走行台車250を最下段の軌道270まで降ろす。
(5)走行台車250を最下段の軌道270に沿って出庫部16まで走行させる。
(6)搬送台車30上の物品90を出庫部16に回収する。
【0065】
(入庫動作)
自動倉庫システム200の入庫動作の一例を説明する。収容部10内の物品90を入庫する際には、例えば以下の動作を実行してもよい。なお、物品90はパレット92に載せられた状態で搬送されてもよい。
(1)物品90を入庫部15から搬送台車30上に移載する。
(2)物品90を載せた搬送台車30を走行台車250に収容する。
(3)走行台車250を最下段の軌道270に沿って昇降部260まで走行させる。
(4)昇降部260によって、走行台車250を所定の段の軌道270まで上昇させる。
(5)走行台車250を軌道270に沿って所定の収容部10の間口前まで走行させる。
(6)搬送台車30で物品90を所定の収容部10に収容する。
【0066】
これらの変形例は、自動倉庫システム100と同様の構成を具備することで、上述した自動倉庫システム100と同様の特徴を有する。加えて、第5変形例の自動倉庫システム200は、各段毎に走行台車250が設けられるから、一の走行台車250は他の走行台車250と同時並行に別の動作をすることができる。つまり、昇降部260が一の走行台車250の昇降を完了させた後は、当該走行台車250による出庫又は入庫作業が完了するのを待つことなく、順次他の走行台車250の昇降が可能であるから、倉庫の稼働効率を向上することができる。」
(オ)
【図12】
[図:0001405768000001.jpg]
(カ)
【図13】
[図:0001405768000002.jpg]
(キ)
【図12】及び【図13】から、棚部12は複数の収容部10が3行3列3段に組まれて構成されていること、搬送台車30は棚部12を列方向に移動し、走行台車250は棚部12に隣接して行方向に走行すること、搬送台車30と走行台車250は各段ごとに配置されていることを看取しうる。
(ク)
上記(ウ)段落【0045】~【0047】の記載、上記(エ)段落【0057】の記載から、搬送台車30と、スタッカークレーンに代わる走行台車250及び昇降部260とは、制御部により制御されると認められる。
以上の(ア)、(イ)、(エ)~(カ)の記載事項及び認定事項から、引用文献2には第5変形例として次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明〕
「複数の収容部10が3行3列3段に組まれた棚部12と、
物品90を出庫するための出庫部16と、
前記収容部10間を列方向に移動可能であり、前記収容部10へ物品の搬入・搬出を行う搬送台車30と、
前記棚部12に隣接して行方向に走行し、前記搬送台車30を収容可能であり、前記棚部12と前記出庫部16との間を走行可能な走行台車250と、
前記走行台車250が走行する軌道270の一端に設けられ、前記走行台車250を他の段へ移動させる昇降部260と、
制御部と、を備え、
搬送台車30と走行台車250は各段ごとに配置され、
前記制御部は、
(1)搬送台車30で物品90を回収し、
(2)物品90を回収した搬送台車30を走行台車250に収容し、
(3)搬送台車30を収容した走行台車250を軌道270に沿って昇降部260まで走行させ、
(4)昇降部260によって、走行台車250を最下段の軌道270まで降ろし、
(5)走行台車250を最下段の軌道270に沿って出庫部16まで走行させ、
(6)搬送台車30上の物品90を出庫部16に回収し、
各段毎に走行台車250が設けられるから、一の走行台車250は他の走行台車250と同時並行に別の動作をすることができる、
自動倉庫システム200。」
イ 引用文献1に記載された事項
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)
「本発明はトランスロボットとラックを組合せた立体自動倉庫に於ける出庫側物品仕分け方法に関する。」(1頁右下欄8~10行)
(イ)
「次にラック30は、第3図に示す如く物品(パレツトを含む。以下同様)を支持するレーン31が複数段且つ複数列縦横に形成されている。
而して前記レーン31を走行するトランスロボツト40はレーン32の入庫側の間口載荷位置に置かれた物品を出庫側へ順次一列に並べる機能と、出庫側の間口載荷位置から物品を取出した際に再びレーン31上に載置されている物品を出庫側へ並び換える機能とを有しており、例えば特公昭49-4189号公報に記載されている構造のものを用いることが出来る。
前述したトランスフアリフト1は同図に示す如く前記ラック30の出庫側近傍に配設されるもので、上下のレール10、12はラツク30の各レーン31の間口に対して平行に敷設され、従ってトランスフアリフト1はレーン31に対して横方向に走行し得るべく位置させてある。
而して当該トランスフアリフト1に隣接した出庫側のラツク間口対向位置には複数の仕分け用コンベア50・・・が設備してある。
尚、トランスフアリフト1のフオーク8はラツク30の出庫側の間口載荷位置Xから仕分け用コンベア50・・・の受け渡し位置Yまで可動でき、物品の移送が可能な如く構成されている。」(3頁左下欄1行~同頁右下欄4行)
(ウ)
「次に本発明に依る物品の仕分け方法を述解する。
まずトランスフアリフト1をラツク30の所望のレーン31に向かつてその走行装置並びに昇降装置4を可動させて停止させ、フオーク8を旋回装置6にてラツク間口に向ける。しかる後リーチ装置7を作動させフオーク8をパレツトに挿入する。次いでリーチ装置7にて物品(パレット上の)を昇降体6の真下に位置させて前記旋回装置6に依り180度旋回させ、再び走行装置並びに昇降装置4にて所望の仕分け用コンベア50に向かわせる。そしてリーチして仕分け用コンベア50の受け渡し位置Yに載置すれば以後は該コンベア50に依り搬出され、この様な動作を繰返して仕分け作業を行なう。
又、第1図、第2図に示したトランスフアリフト1を通常、ラック30の入庫側にも設けておくのだが、この場合、例えば第4図に示す如く1つのレーンをあけて置けば例えその前に異種の物品があつても入庫側付近にある物品を出庫することが出来る。即ち第5図から第7図に示す様に入庫側並びに出庫側のトランスフアリフト1、1’と、トランスロボツトの働きに依り一旦出庫側付近にある物品Bを第3レーンに移し換えて、その後方にある物品Aを出庫用コンベア50に移送させることができる。
従来に於てはレーンに1品種の物品しか格納していない場合が多く、従つてその品種の物品数が少なければ倉庫としては充填効率が悪いことになる。然し先述した如く1レーンを移動専用としてあけて置けば1つのレーンに多種の物品があつても容易に出庫でき、特にレーン数の多い場合にはラツクの充填効率が向上するので極めて有効である。
又、本発明に採用したトランスフアリフト1は物品の搬送のみならず、トランスロボツト40の他のレーン31への移し換えも容易に行なえる。従つて該トランスロボツト40は必要最小限の台数のみで有効に稼働できることになる。」(3頁右下欄5行~4頁右上欄2行)
(エ)
「以上既述した如く本発明の物品仕分け方法に依ればラツクの間口載荷位置から仕分け用コンベアの受け渡し位置まで簡単な構造のトランスフアリフトで移送できるので従来のものに比してそのサイクルタイムは大幅に短縮され、然も仕分け用コンベアは通常のもので良く、別途複雑な機構或は他のコンベアを設ける必要がないので設備費が極めて安くなると共に自動制御が行ない易く、特にこの場合には実効がある等諸種の効果を奏するものである。」(4頁右上欄3~12行)
(オ)
「第4図から第7図は同一レーンの出庫側に異種の物品がありその入庫側の物品を出庫する入れ換え方法を示す略式平面図」(4頁右上欄下から3~1行)
(カ)
第4図
[図:0001405768000003.jpg]
(キ)
第5図
[図:0001405768000004.jpg]
(ク)
第6図
[図:0001405768000005.jpg]
(ケ)
第7図
[図:0001405768000006.jpg]
ウ 引用文献3に記載された事項
引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動倉庫において出庫予定の品を保管する棚を事前に移動することにより出庫時間の短縮をはかる自動倉庫管理装置に関する。」
(イ)
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】自動倉庫内の品は入庫されたときの棚に保管されていて出庫のために棚を移動することはなく、出庫要求がかかった時クレーンは要求された品のある所まで移動するが、その棚が出庫ステーションから遠ければその分クレーンの移動時間がかかり、出庫要求してから出庫完了までの時間がかかっていた。
【0004】本発明は上記の事情に鑑み、入出庫の空き時間を利用し、出庫予定の日時がより早いものを、出庫ステーションにより近い棚を移動することによって、出庫要求から出庫完了までの時間を短縮することができる自動倉庫出庫短縮システムを提供することを目的としている。」
(ウ)
「【0010】棚1よりの棚に出庫予定日時の早いものが保管されているので棚1に近いほど空き棚になる頻度が高い。入出庫が行なわれていない時、すなわちクレーンが動作していない時に、計算機に記憶された情報に基づき、出庫予定の早い品をより出庫ステーションに近い空き棚に移動させる。」
(エ)
「【0019】又、1台のクレーンが作動中の場合、そのクレーンの動作に合わせて計算機によってもう1台のクレーンを効率よく動作させる。今クレーン2Aが出庫中(棚から出庫ステーションへクレーンが移動中)だとするともう1台のクレーン2Bは出庫ステーションから移動さすべき品の入っている棚へいき、出庫中のクレーン2Aが出庫ステーションに到着しその後次出庫要求によって既当棚に移動する時に元の棚からクレーン2Bを最適保管棚に移動さすことによって自動倉庫の運用時間の短縮をはかる。このように自動倉庫の運用によって記算機がクレーンの動作をルール化し、制御を行う。」
(オ)
【図1】
[図:0001405768000007.jpg]
(カ)
【図3】
[図:0001405768000008.jpg]
エ 引用文献4に記載された事項
引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)
「【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の技術においては、次に記すような問題があった。すなわち、一般に、棚3の各収納部2には、高さ方向の段数の低い方から順に段番号が付され、長さ方向のホームステーション4から近い順に連番号が付されている。そして、物品を入庫させる際には、空いている収納部2のうち、段番号及び連番号の小さい収納部2から順に収納されるようになっていた。つまり、物品の過去の入出庫頻度等の優先順位は無視され、優先させたい物品、例えば入出庫頻度の高い物品がホームステーション4から遠い位置にある収納部2に収納される場合が生じていた。
【0007】そのため、入出庫頻度が高いにもかかわらずホームステーション4から遠い位置にある収納部2に物品を搬送する場合には、その搬送に時間がかかってしまい、入出庫にかかる所要時間の増大を招来し、ひいては作業効率を低下させるおそれがあった。
【0008】一方で、入出庫操作を行わない場合には、前記スタッカクレーン5は駆動されず、同スタッカクレーン5の有効な活用が図られていなかった。本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は物品の入出庫時における作業効率の向上及びクレーンの有効活用を図ることの可能な自動倉庫の入出庫管理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、物品を収納するために、少なくとも長さ方向と高さ方向に配列された複数の収納部を有する棚と、物品を搬送するためのクレーンと、物品を入庫するための入庫口と、物品を出庫するための出庫口と、前記クレーンの動きを制御するコンピュータとを備え、入庫物品を前記入庫口から前記収納部まで搬送したり、出庫物品を前記収納部から前記出庫口まで搬送するようにした自動倉庫において、前記物品の入出庫が行われていない間に、予め定められた物品の優先順位に基づいて、その優先順位の高い物品ほど前記入庫口又は前記出庫口に近いゾーンに位置する収納部に収納するようにした自動倉庫の入出庫管理方法をその要旨とする。」
(イ)
「【0025】処理がこのルーチンへ移行すると、先ずステップ101において、現在、入替え処理モードであるか否か、すなわち、入出庫が行われておらず、かつ、作業者によって入替えモードが選択されたか否かを判断する。そして、入替え処理モードでない場合には一連の処理を終了する。また、入替え処理モードである場合には、次のステップ102において、前記表1に示すように、過去に入出庫された全物品の入出庫頻度順位を決定する。
【0026】・・・次に、ステップ104において、その収納部2に収納されている物品について、先のステップ102において決定した入出庫頻度順位に基づきソートする。・・・
【0027】・・・そして、全ての収納部2のソート処理が未だ終了していない場合には、ステップ104に移行し、各収納部2に収納されている物品のソート処理を繰り返す。つまり、(1,1)の収納部2から始まって、(1,2)、(1,3)、……、(6,6)の収納部2のソートが完了するまで上記の動作を繰り返す。
【0028】そして、全ての収納部2のソート処理が終了した場合には、ステップ107に移行する。同ステップ107において、先にソート処理を行った結果に基づいて、前記図3において説明した仮想棚3aを作成する。つまり、入替え処理後に配置される物品を収納した状態での仮想棚3aの収納データを作成する。
【0029】そして、ステップ108において、ステップ107において作成した仮想棚3aの収納データに基づいて、スタッカクレーン5を駆動させ、各物品を現在収納されている収納部2から各物品を仮想棚3aの収納部2まで搬送させ、その後、一連の処理を終了する。なお、このときの搬送は公知の技術に基づいて最も効率のよい方法にて搬送されるのが望ましい。
【0030】このようにして、入出庫作業が行われていない間に、入出庫頻度の高い物品はホームステーション4に近い収納部2に、また、入出庫頻度の低い物品はホームステーション4に遠い収納部2にそれぞれ収納される。」
(ウ)
「【0036】(4)前記実施例においては、入出庫が行われておらず、かつ、作業者によって入替えモードが選択されたことによって入替えモードが成立するようにしたが、作業者によって入替えモードが選択されずとも、定期的又は定時刻であって、かつ、自動的に入替え作業を行うようにしてもよい。」
(エ)
【図1】
[図:0001405768000009.jpg]
(オ)
【図3】
[図:0001405768000010.jpg]
(カ)
【図4】
[図:0001405768000011.jpg]
オ 引用文献5に記載された事項
引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)
「【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明の物品搬送方法が適用される自動倉庫の全体構成図で、物品を支持するレーン11?14が複数段且つ複数列形成され入庫側及び出庫側に開口を有するラック10と、レーン内を走行し、レーンに置かれた物品20を移動させる搬送台車30と、ラック10の入庫側及び出庫側近傍に設けられた移動手段であるリフト40(40a、40b)と、図示しない外部制御装置とを備えている。尚、図ではレーンは4段しか示されていないが、これにより多くてもまた少なくてもよく、また紙面と直交する方向に複数列の同じ構成のレーンが設けられているものとする。」
(イ)
「【0020】次に以上のような構成における自動倉庫における搬出方法について説明する。各レーンには入庫された物品が、搬送車体によって出庫側に一列に並んで収納されており、複数のレーンのうち、少なくとも1つのレーンは物品の全く収納されていない空レーン13になっており、空レーン13は物品を出庫側から入庫側に移動する第2の機能を有するように外部制御装置により切り替えられている。このような状態において、あるレーン12に4種の物品A、B、C、Dが収納されているとし、そのうち、物品をB又はCを取り出す場合の動作を説明する。尚、図において説明の為に物品の数は8個のみが記載されているが、実際にはこれより多数n個の物品を収納することができる。
【0021】まず外部制御装置により出庫側のm番目(m≦n/2とする)、例えば3番目の物品Cを搬出する出庫命令が入力されると、これによりリフト40が作動し、水平移動機構及び上下駆動機構42によって筐体41を所望のレーン12に位置させる。これにより、レーン12の搬送車体は物品Aを載せた状態で筐体41に乗込み、物品Aを筐体41に残し、レーン12に戻る。リフト40がこの物品Aを載せた筐体41を空レーン13まで移動させて、その出庫側開口に対向させる。これにより空レーン13の搬送車体が筐体41に乗込み、筐体41に収納された物品Aをその上に載置し、空レーン13に移動し、物品Aを空レーン13の入庫側に移動させる(図4(a))。
【0022】・・・この間、リフト40は再び筐体41をレーン12の出庫側開口に対向させ、これにより更に物品Bが筐体41内に搬出される。更にリフト40は筐体41を空レーン13の入庫側に移動させて、物品Bを空レーン13に搬入する。空レーン13では搬送車体30がこの2番目の物品Bを1番目の物品Aの近傍まで移動させる。この間、リフト40は再び筐体41をレーン12の出庫側開口に対向させ、これにより取り出すべき物品Cを筐体41内に搬出する。しかる後に筐体41を、仕分け用コンベア等の後続する所定の仕分け装置に搬送する(同図(b))。」
(ウ)
【図4】
[図:0001405768000012.jpg]
(エ)
【図5】
[図:0001405768000013.jpg]
(2)対比・判断
ア 本件発明1
(ア)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
後者の「収容部10」は、前者の「載置部」に相当する。
後者の「複数の収容部10が3行3列3段に組まれた棚部12」は、前者の「複数の載置部で構成された収納部」に相当するとともに、前者の「前記収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成され」たこと、及び、前者の「前記収納部は、前記列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成され」たことに相当する。
後者の「物品90を出庫するための出庫部16と、」は、前者の「出庫部と、」に相当する。
後者の「列方向」、「行方向」は、前者の「列方向」、「行方向」に相当する。
後者の「前記収容部10間を列方向に移動可能であ」ることは、前者の「列方向に移動可能な」ことに相当し、後者の「搬送台車30」は、前者の「第1搬送手段」に相当する。
後者の「前記搬送台車30を収容可能」なことは、前者の「前記第1搬送手段を搭載」することに相当し、後者の「前記棚部12に隣接して行方向に走行」することは、前者の「行方向に移動可能な」こと、及び、前者の「前記列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され」ていることに相当し、後者の「走行台車250」は、前者の「第2搬送手段」に相当する。
後者の「搬送台車30」と「走行台車250」とは、前者の第1搬送手段と第2搬送手段とを備えた「搬送手段」に相当し、後者の走行台車250が「前記棚部12と前記出庫部16との間を走行可能な」ことは、前者の搬送手段が「前記載置部および前記出庫部の間で物品を移動させることが可能な」ことに相当する。
後者は、搬送台車30が走行台車250に収容されるとともに収容部10間を列方向に移動するものであるので、搬送台車30が走行台車250から収容部10に移動する構成を備えており、前者の「前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段から移動して前記列方向収納部にアクセス可能に構成され」る構成を備えている。
後者の「搬送台車30と走行台車250は各段ごとに配置され」ることは、前者の「前記第1搬送手段および前記第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置され」ることに相当する。
後者の「制御部」は、搬送台車30と走行台車250を制御するので、前者の「前記搬送手段を制御する制御部」に相当する。
後者の「前記制御部は、(1)搬送台車30で物品90を回収し、(2)物品90を回収した搬送台車30を走行台車250に収容し、(3)搬送台車30を収容した走行台車250を軌道270に沿って昇降部260まで走行させ、(4)昇降部260によって、走行台車250を最下段の軌道270まで降ろし、(5)走行台車250を最下段の軌道270に沿って出庫部16まで走行させ、(6)搬送台車30上の物品90を出庫部16に回収する」ことは、要するに、物品90を収容部10から出庫部16に移動させるように制御部が搬送台車30、走行台車250、昇降部260を制御することであるので、前者の「前記制御部は、前記物品を前記載置部から前記出庫部に移動させる第1モード」「によって前記搬送手段を制御」することに相当する。
後者の「自動倉庫システム200」は、前者の「自動倉庫システム」に相当する。
そうすると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
〔一致点〕
「複数の載置部で構成された収納部と、
出庫部と、
前記載置部および前記出庫部の間で物品を移動させることが可能な搬送手段と、
前記搬送手段を制御する制御部と、を備え、
前記収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成され、
前記制御部は、
前記物品を前記載置部から前記出庫部に移動させる第1モード、
によって前記搬送手段を制御し、
前記搬送手段は、
列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備え、
前記収納部は、前記列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成され、
前記第2搬送手段は、前記列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、
前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段から移動して前記列方向収納部にアクセス可能に構成され、
前記第1搬送手段および前記第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置された、
自動倉庫システム。」
〔相違点1〕
本件発明1は、制御部が「前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モード」を備え、「前記制御部は、前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろす動作を、前記複数の段で同時に実行するように制御を行う」ものであるのに対し、引用発明は、「(1)搬送台車30で物品90を回収し、(2)物品90を回収した搬送台車30を走行台車250に収容し、(3)搬送台車30を収容した走行台車250を軌道270に沿って昇降部260まで走行させ、(4)昇降部260によって、走行台車250を最下段の軌道270まで降ろし、(5)走行台車250を最下段の軌道270に沿って出庫部16まで走行させ、(6)搬送台車30上の物品90を出庫部16に回収し、各段毎に走行台車250が設けられるから、一の走行台車250は他の走行台車250と同時並行に別の動作をすることができる、」ものであり、一の収容部10から他の収容部10に物品90を搬送するものではない点。
(イ)判断
上記相違点1について検討する。
〔相違点1について〕
引用文献1には、1つのレーンの出庫側に異種の複数の物品Bがある場合に、一旦物品Bを同じ段の他のレーンに移し換えて、その後方にある複数の物品Aを順に出庫部側に近づけるように搬送し、出庫用コンベアに移送することが記載されている(3頁右下欄5行~4頁右上欄2行、4頁右上欄下から3~1行、第4~7図参照。なお、第4~7図が「略式平面図」であることから「一旦部品Bを同じ段の他のレーンに移し換えて」いると認定した。以下、「引用文献1に記載の事項」という。)。
そして、引用発明においても、搬送台車30により列方向に隣接した収容部10に順に物品90を載置するものであって、先に出庫する物品90が奥まった収容部10b(【図13】参照。)に載置されていることは十分起こりうることであり、その場合、先に出庫する物品90より出庫部16側の収容部10a(【図13】参照。)にある他の物品90の移し換えを要することは明らかである。
ここで、引用発明においては、引用文献2の段落【0064】、【0065】の記載を参照すると、一列の収容部10に対する物品90の搬出・搬入は、搬送台車30と走行台車250とが協働して行うものである。
さらに、引用発明においては「各段毎に走行台車250が設けられるから、一の走行台車250は他の走行台車250と同時並行に別の動作をすることができる」ものであるから、各段の搬送台車30と走行台車250との協働は同時に行われるものといえる。
してみれば、引用発明において、引用文献1に記載の事項のように、空いている他の一列の収容部10に物品90を移し換えるよう、搬送台車30と走行台車250とを協働させ、当該協働を各段で同時に実行する「第2モード」とし、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことといえる。
また、本件発明1の奏する作用及び効果を検討しても、引用発明及び引用文献1に記載の事項から予測できる程度のものであって格別のものではない。
よって、本件発明1は、引用発明及び引用文献1に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明2
(ア)対比
本件発明2は、本件発明1に「前記載置部に載置された複数の物品を、先に出庫される出荷対象と、後に出庫される出荷対象とに区別し、前記第2モードにおいて、先に出庫される予定の出荷対象を前記出庫部に近づけるように、一の載置部から他の載置部に移動させ、前記第1モードにおいて、前記第2モードで前記出庫部に対して近づけた前記先に出庫される予定の出荷対象を前記出庫部に搬送する」との事項を追加したものである。
そうすると、本件発明2と引用発明とを対比するに際し、上記アの対比結果を踏まえれば、上記一致点で一致し、上記相違点1に加えて以下の点で相違する。
〔相違点2〕
本件発明2は、「前記載置部に載置された複数の物品を、先に出庫される出荷対象と、後に出庫される出荷対象とに区別し、前記第2モードにおいて、先に出庫される予定の出荷対象を前記出庫部に近づけるように、一の載置部から他の載置部に移動させ、前記第1モードにおいて、前記第2モードで前記出庫部に対して近づけた前記先に出庫される予定の出荷対象を前記出庫部に搬送する」ものであるのに対して、引用発明はそのような構成を備えていない点。
(イ)判断
相違点1については検討済みであるので、相違点2について検討する。
〔相違点2について〕
引用文献1に記載の事項において、物品Aは「先に出庫される出荷対象」であり、物品Bは「後に出庫される出荷対象」であり、物品Aと物品Bとは区別されているといえる。
また、引用文献1に記載の事項の、複数の物品Aを順に出庫部側に近づけるように搬送することは「先に出庫される予定の出荷対象を出庫部に近づけるように、一の載置部から他の載置部に移動させ」ることであり、出庫用コンベアに移送することは「出庫部に対して近づけた先に出庫される予定の出荷対象を出庫部に搬送する」ことであるといえる。
そして、上記ア(イ)で述べたとおり、引用発明においても、奥まった収容部10bにある物品90を先に出庫することは充分に起こりうることであるので、引用文献1に記載の事項に基づいて、引用発明の搬送台車30と走行台車250とを協働させる「第2モード」とし、相違点2に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことといえる。
また、本件発明2の奏する作用及び効果を検討しても、引用発明及び引用文献1に記載の事項から予測できる程度のものであって格別のものではない。
よって、本件発明2は、引用発明及び引用文献1に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 本件発明3
(ア)対比
本件発明3は、本件発明1に「前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記第1モードで出荷が予定されている物品群を前記出庫部に相対的に近い前記載置部に移動させる、」との事項を追加したものである。
そうすると、本件発明3と引用発明とを対比するに際し、上記アの対比結果を踏まえれば、上記一致点で一致し、上記相違点1に加えて以下の点で相違する。
〔相違点3〕
本件発明3は、「前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記第1モードで出荷が予定されている物品群を前記出庫部に相対的に近い前記載置部に移動させる、」ものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
(イ)判断
相違点1については検討済みであるので、相違点3について検討する。
〔相違点3について〕
引用文献1に記載の事項において、複数の物品Aは「出荷が予定されている物品群」であるといえ、物品Aを出庫部側に近づけることは「物品群を出庫部に相対的に近い前記載置部に移動させる」ことといえる。
してみれば、引用発明を、相違点1に係る本件発明3の構成としたときに、相違点3に係る本件発明3の構成を備えることになるといえる。
よって、本件発明3は、引用発明及び引用文献1に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 本件発明4
(ア)対比
本件発明4は、本件発明1に「前記搬送手段は、列方向に移動可能な第1搬送手段、行方向に移動可能な第2搬送手段、および高さ方向に移動可能な第3搬送手段を備え、異なる段の間で前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる、」との事項を追加したものである。
そして、上記ア(ア)で検討したとおり、引用発明の「搬送台車30」は、本件発明4
の「第1搬送手段」に相当し、引用発明の「走行台車250」は、前者の「第2搬送手段」に相当する。
さらに、引用発明の「前記走行台車250を他の段へ移動させる昇降部260」は、本件発明4の「高さ方向に移動可能な第3搬送手段」に相当する。
そうすると、本件発明4と引用発明とを対比するに際し、上記アの対比結果及び上記の対比結果を踏まえれば、上記一致点に加え「前記搬送手段は、列方向に移動可能な第1搬送手段、行方向に移動可能な第2搬送手段、および高さ方向に移動可能な第3搬送手段を備え」る点で一致し、上記相違点1に加えて以下の点で相違する。
〔相違点4〕
本件発明4は、「異なる段の間で前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる、」ものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
(イ)判断
相違点1については検討済みであるので、相違点4について検討する。
〔相違点4について〕
引用発明に引用文献1に記載の事項を適用するに際し、物品の移し換え先の収容部10を他の段のものとすることは、技術の具体的な適用に伴う設計的事項といえる。
よって、本件発明4は、引用発明及び引用文献1に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 本件発明5
(ア)対比
本件発明5は、本件発明1に「前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記列方向収納部における少なくとも3つの載置部の物品を前記列方向収納部から搬出して、当該列方向収納部あるいは別の列方向収納部に搬入する、」との事項を追加したものである。
そうすると、本件発明5と引用発明とを対比するに際し、上記アの対比結果を踏まえれば、上記一致点で一致し、上記相違点1に加えて以下の点で相違する。
〔相違点5〕
本件発明4は、「前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記列方向収納部における少なくとも3つの載置部の物品を前記列方向収納部から搬出して、当該列方向収納部あるいは別の列方向収納部に搬入する、」ものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
(イ)判断
相違点1については検討済みであるので、相違点5について検討する。
〔相違点5について〕
上記ア(イ)で検討したのと同様に、引用発明を、引用文献1に記載の事項のように、「前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記列方向収納部」「の載置部の物品を前記列方向収納部から搬出して、」「別の列方向収納部に搬入する、」ように構成することは、当業者が容易に想到し得たことといえる。そして、引用文献1には、他のレーンに移し換える物品Bの数は3つ以上が示されており、「列方向収納部」の「載置部の物品」を「少なくとも3つ」とすることは、当業者が適宜になし得る設計的事項といえる。
よって、本件発明5は、引用発明及び引用文献1に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 本件発明6
(ア)対比
本件発明6は、本件発明1の「前記物品を前記他の載置部へ降ろす動作を、前記複数の段で同時に実行するように制御を行う」を「前記物品を前記他の載置部へ降ろすように制御を行う」とし、「前記第1モードが実行されている際に前記第2モードの入力を受けた場合、実行されている前記第1モードが終了した後に前記第2モードを実行する、」との事項を追加するものである。
そうすると、本件発明6と引用発明とを対比するに際し、上記アの対比結果を踏まえれば、上記一致点で一致し、上記相違点1に加えて以下の点で相違する。
〔相違点6〕
本件発明6は、制御部が「前記第1モードが実行されている際に前記第2モードの入力を受けた場合、実行されている前記第1モードが終了した後に前記第2モードを実行する、」ものであるのに対し、引用発明は、制御部がそのような構成を備えていない点。
(イ)判断
相違点1については検討済みであるので、相違点6について検討する。
〔相違点6について〕
引用文献1には、物品Bの他のレーンへの移し換えの後に、物品Aの出庫を行うことは記載されているが、物品Aの出庫が実行されている間に、物品Bの他のレーンへの移し換えの入力があることは記載も示唆もされていない。
引用文献5には、物品A、Bを空レーン13へ移動した後に、物品Cの出庫を行うことが記載されているが(段落【0021】、【0022】参照。)、物品Cの出庫が実行されている間に、物品A、Bのレーンの移し換えの入力があることは記載も示唆もされていない。
引用発明を、引用文献1に記載された、出庫側の物品を他のレーンに移し換えて、その後方にある物品を出庫部側に近づけるように搬送するとの事項に基づいて、相違点1に係る本件発明1の「第2モード」を備えるとしたものにおいて、相違点6に係る本件発明6の構成とすることは、引用文献1、5に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たとはいえない。
引用文献3には、入出庫が行なわれていない時、すなわちクレーンが動作していない時に、出庫予定の早い品をより出庫ステーションに近い空き棚に移動させることが記載されているが(段落【0010】、【0019】参照。)、入出庫作業を行っている時に、出庫予定の早い品を移動させる指令が入力されることは記載も示唆もされていないし、その場合の処理についても同様である。
引用文献4には、物品の入出庫が行われていない間、あるいは、定期的または定時刻に自動的に、予め定められた物品の優先順位に基づいて、その優先順位の高い物品ほど入庫口又は出庫口に近いゾーンに位置する収納部に収納することが記載されているが(段落【0009】、【0025】~【0030】参照。)、入出庫作業を行っている時に、物品の優先順位に基づいた出庫予定の早い品を移動させる指令が入力されることは記載も示唆もされていないし、その場合の処理についても同様である。
引用文献1に記載された、物品の他のレーンへの移し換えは、物品の出庫作業の一部をなすものであり、これに対して、引用文献3、4に記載された、物品の棚または収納部間の並べ替えは、出庫作業のための事前の作業をなすものであり、両者の物品の移動は技術的意義が異なるといえる。
そうすると、引用発明を、引用文献1に記載の事項に基づいて、相違点1に係る本件発明1の「第2モード」を備えるとしたものに対して、引用文献3、4に記載された事項を適用する動機付けはないといえる。
また、相違点6に係る本件発明6の構成に関し、周知の事項であるとする証拠もない。
したがって、引用発明を、相違点6に係る本件発明6の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえず、本件発明6は、引用発明から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
キ 本件発明7
(ア)対比
本件発明7は、本件発明1の「前記物品を前記他の載置部へ降ろす動作を、前記複数の段で同時に実行するように制御を行う」を「前記物品を前記他の載置部へ降ろすように制御を行う」とし、「前記第2モードを所定の時間帯で実行するように構成されている、」との事項を追加するものである。
そうすると、本件発明7と引用発明とを対比するに際し、上記アの対比結果を踏まえれば、上記一致点で一致し、上記相違点1に加えて以下の点で相違する。
〔相違点7〕
本件発明7は、制御部が「前記第2モードを所定の時間帯で実行するように構成されている、」ものであるのに対し、引用発明は、制御部がそのような構成を備えていない点。
(イ)判断
相違点1については検討済みであるので、相違点7について検討する。
〔相違点7について〕
引用文献1、5の記載事項は、上記カ(イ)で述べたとおりであり、他のレーンへの移し換えを「所定の時間帯で実行する」ことは、引用文献1、5には記載されていない。
また、上記カ(イ)で述べたとおり、引用発明を、引用文献1に記載された事項に基づいて、相違点1に係る本件発明1の「第2モード」を備えるとしたものに対して、引用文献3、4に記載された事項を適用する動機付けはない。
また、ほかに相違点7に係る本件発明7の構成を示唆する証拠もないし、周知の事項であるとする証拠もない。
したがって、引用発明を、相違点7に係る本件発明7の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえず、本件発明7は、引用発明から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由、及び、意見書における異議申立人の主張について
異議申立人は、特許異議申立書において、本件発明6、7に対して、甲第1号証(引用文献1)に記載された発明を主たる発明として、甲第2~5号証に記載された事項を従たる証拠として、進歩性欠如の異議申立理由を主張しているので、以下のとおり検討する。
(1)本件発明6について
ア 甲第1号証に記載された発明
甲第1号証の記載事項は上記1(1)イ(ア)~(ケ)のとおりであり、これらの記載事項から以下の(コ)~(サ)の事項が認められる。
(コ)
上記1(1)イ(イ)の「次にラック30は第3図に示す如く物品(パレットを含む。以下同様)を支持するレーン31が複数段且つ複数列縦横に形成されている。」との記載及び第3図、第4図の記載から、延びた方向に物品A、B、Cを載置する部分を3つ以上備えたレーン31を、横方向に3列以上並べたものを1段として、複数段にしてラック30を構成していると認められる。
(サ)
上記1(1)イ(ウ)の記載及び第4~7図の記載からみて、トランスファリフト1及びトランスロボット40により、物品A、B、Cをラック30の物品を載置する部分から所望の仕分け用コンベア50の受け渡し位置Yに移動させる動作と、出庫側にある物品A、B、Cを一のレーン31から他のレーン31(空いているレーン、第3レーン)に移し換えるとともに、一のレーン31内で物品A、B、Cを順に出庫側に移し換える動作とを行わせ、一のレーン31に載置された物品A、Bのうち、先に出庫される物品Aを出庫側に近づけるように、物品Bを他のレーン31に移し換える動作と、物品Aを出庫用コンベア50の受け渡し位置Yに移送する動作を行うと認められる。
そうすると、上記1(1)イ(ア)~(ケ)の記載事項、第3図の記載、及び上記(コ)、(サ)の認定事項からみて、引用文献1には、「立体自動倉庫のシステム」に関する次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
〔甲1発明〕
「複数の物品A、B、Cを載置する部分を備えたラック30と、
仕分け用コンベア50の受け渡し位置Yと、
前記ラック30の物品A、B、Cを載置する部分および前記受け渡し位置Yの間で物品A、B、Cを移動させることが可能なトランスファリフト1及びトランスロボット40と、
前記ラック30は、延びた方向に物品A、B、Cを載置する部分を3つ以上備えたレーン31を、3列以上並べたものを1段として、複数段にして構成され、
前記物品A、B、Cを前記ラック30の物品を載置する部分から前記所望の仕分け用コンベア50の受け渡し位置Yに移動させる動作と、
前記物品A、B、Cを一のレーン31から他のレーン31に移し換えるとともに、前記一のレーン31内で前記物品A、B、Cを順に出庫側に移し換える動作 と、
によって前記トランスファリフト1及びトランスロボット40を動作させ、
一のレーン31に載置された物品A、Bのうち、先に出庫される物品Aを出庫側に近づけるように、物品Bを他のレーン31に移し換えるとともに、前記一のレーン31内で先に出庫される物品Aを出庫側に移し換え、物品Aを出庫用コンベア50の受け渡し位置Yに移送し、
前記トランスファリフト1及びトランスロボット40は、
前記レーン31を走行するトランスロボット40と、
前記トランスロボット40の他のレーン31への移し換えを行えるトランスファリフト1と、を備え、
前記トランスファリフト1は、前記ラック30の出庫側近傍に配設されて、各レーン31の間口に対して平行な横方向に走行し得るべく位置させた、
立体自動倉庫のシステム。」
イ 対比・判断
本件発明6と甲1発明とを対比する。
後者の「複数の物品A、B、Cを載置する部分」は、前者の「複数の載置部」に相当し、後者の「ラック30」は、前者の「収納部」に相当する。
後者の「仕分け用コンベア50の受け渡し位置Y」は、前者の「出庫部」に相当する。
後者の「ラック30の物品A、B、Cを載置する部分および受け渡し位置Yの間で物品A、B、Cを移動させること」は、前者の「載置部および出庫部の間で物品を移動させること」に相当するので、後者の「トランスファリフト1及びトランスロボット40」は、前者の「搬送手段」に相当する。
後者の「レーン31」は、前者の「列」に相当し、後者のレーン31における「延びた方向に物品A、B、Cを載置する部分」は、前者の「行」に相当する。
そうすると、後者の「延びた方向に物品A、B、Cを載置する部分を3つ以上備えた」ことは、前者の「複数の行」で構成されたことに相当し、後者の「レーン31を、3列以上並べ」たことは、前者の「複数の列」で構成されたことに相当し、結局、後者の「レーン31を、3列以上並べたものを1段として、複数段にして構成」することは、前者の「複数の行、複数の列および複数の段」で構成することに相当する。
後者の「物品A、B、Cをラック30の物品を載置する部分から所望の仕分け用コンベア50の受け渡し位置Yに移動させる動作」は、前者の「物品を載置部から出庫部に移動させる第1モード」に相当する。
後者の「物品A、B、Cを一のレーン31から他のレーン31に移し換えるとともに、前記一のレーン31内で前記物品A、B、Cを順に出庫側に移し換える動作」は、前者の「物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モード」 に相当する。
そして、後者の「トランスファリフト1及びトランスロボット40を動作させ」ることと、前者の「制御部は、」第1モードと第2モードと「によって搬送手段を制御」することとは、第1モードと第2モードとによって「搬送手段を動作」させる限りにおいて一致する。
後者の「レーン31を走行するトランスロボット40」は、レーン31の延びる方向が列方向といえるので、前者の「列方向に移動可能な第1搬送手段」に相当する。
後者の「トランスファリフト1」に関し、「各レーン31の間口に対して平行な横方向に走行し得る」ことは、レーン31の延びる方向である列方向に対し横方向である行方向に移動することを意味し、「トランスロボット40の他のレーン31への移し換えを行える」ことは、トランスロボット40を2つのレーン31間、すなわち行方向に移動させることができることを意味する。そうすると、後者の「トランスファリフト1」は、前者の「第1搬送手段を搭載して行方向に移動可能な第2搬送手段」と、「第1搬送手段を行方向に移動可能な第2搬送手段」である限りにおいて一致する。
後者の「延びた方向に物品A、B、Cを載置する部分を3つ以上備えたレーン31」は、前者の「列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部」に相当し、後者の「レーン31を、3列以上並べ」ることは、前者の「列方向収納部が行方向に3つ以上配置されること」に相当し、後者の「レーン31を、3列以上並べたものを1段」とすることは、前者の「列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成され」ることに相当する。
後者の「ラック30の出庫側近傍に配設されて、各レーン31の間口に対して平行な横方向に走行し得る」ことは、前者の「列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能」であることに相当し、後者の「トランスファリフト1は、ラック30の出庫側近傍に配設されて、各レーン31の間口に対して平行な横方向に走行し得るべく位置させた」ことは、前者の「第2搬送手段は、列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され」たことに相当する。
後者の「トランスロボット40」は、トランスファリフト1によって移し換えられたレーン31を走行するものであり、トランスファリフト1からレーン31にアクセスするように構成されているといえるので、前者の「第1搬送手段は、第2搬送手段から移動して列方向収納部にアクセス可能に構成され」ているといえる。
後者の「立体自動倉庫のシステム」は、前者の「自動倉庫システム」に相当する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点ア〕
「複数の載置部で構成された収納部と、
出庫部と、
前記載置部および前記出庫部の間で物品を移動させることが可能な搬送手段と、を備え、
前記収納部は、複数の行、複数の列および複数の段で構成され、
前記物品を前記載置部から前記出庫部に移動させる第1モードと、
前記物品を一の載置部から他の載置部に移動させる第2モードと、
によって前記搬送手段を動作させ、
前記搬送手段は、
列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段を行方向に移動可能な第2搬送手段と、を備え、
前記収納部は、前記列方向に3つ以上の載置部を備えて構成された列方向収納部が行方向に3つ以上配置されることにより各段が構成され、
前記第2搬送手段は、前記列方向収納部のそれぞれの端に沿って移動可能に構成され、
前記第1搬送手段は、前記第2搬送手段から移動して前記列方向収納部にアクセス可能に構成された、
自動倉庫システム。」
〔相違点ア〕
第1モードと第2モードとによって「搬送手段を動作」させることに関し、本件発明6は、「搬送手段を制御する制御部」を備え、制御部が第1モードと第2モードとによって搬送手段を「制御」するものであるのに対し、甲1発明は、制御部を備えるとは特定されていない点。
〔相違点イ〕
本件発明6は、第2搬送手段が第1搬送手段を「搭載して」移動可能であり、「第1搬送手段および第2搬送手段の組が各段のそれぞれに配置され」たものであり、制御部は「前記第2モードにおいて、同一の段内で前記第1搬送手段が一の載置部の前記物品を搭載した状態で前記第2搬送手段に乗り込み、前記第2搬送手段が前記物品を搭載した前記第1搬送手段を他の載置部へアクセス可能な位置まで搬送し、前記物品を搭載した前記第1搬送手段が前記第2搬送手段から前記他の載置部へと移動し、前記物品を前記他の載置部へ降ろすように制御を行」うのに対して、甲1発明は、トランスファリフト1がトランスロボット40を搭載するとは特定されておらず、各段に搬送手段が配置されるものではない点。
〔相違点ウ〕
本件発明6は、制御部が「前記第1モードが実行されている際に前記第2モードの入力を受けた場合、実行されている前記第1モードが終了した後に前記第2モードを実行する、」ものであるのに対して、甲1引用発明は、そのような構成を備えていない点。
上記相違点ウについて検討すると、上述の相違点ウは、上記5(2)カ(ア)で挙げた相違点6と同じ内容であり、同(イ)で検討したとおり、当該構成は甲第2~5号証に記載されていない。したがって、甲1発明を、上記相違点ウに係る本件発明6の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
よって、他の相違点ア、相違点イについて検討するまでもなく、本件発明6は、甲1発明及び上記5(1)ア、ウ~オに記載した引用文献2~5すなわち甲第2~5号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
異議申立人は、本件発明6と甲1発明とを対比して、本件発明6は「前記制御部は、」「前記第1モードが実行されている際に前記第2モードの入力を受けた場合、実行されている前記第1モードが終了した後に前記第2モードを実行する」点で、甲1発明と相違するとし、当該相違点は甲第4号証(引用文献4)に記載された事項から当業者が容易に想到し得たと主張している(特許異議申立書の58頁14行~59頁18行)。しかし、上記のとおり、当該構成は引用文献4に記載されていない。
(2)本件発明7について
本件発明7と甲1発明とを対比すると、上記(1)の一致点アで一致し、相違点ア、相違点イに加えて、以下の相違点エで相違する。
〔相違点エ〕
本件発明7は、制御部が「前記第2モードを所定の時間帯で実行するように構成されている、」ものであるのに対して、甲1発明は、そのような構成を備えていない点。
上記相違点エについて検討すると、上述の相違点エは、上記5(2)キ(ア)で挙げた相違点7と同じ内容であり、上記5(2)カ(イ)で述べたとおり、甲1発明の、物品の他のレーンへの移し換えは、物品の出庫作業の一部をなすものであり、引用文献3、4に記載された、物品の棚または収納部間の並べ替えとは、技術的意義が異なるといえ、甲1発明に対して、引用文献3、4すなわち甲第3、4号証に記載された事項を適用する動機付けはない。また、引用文献2、5すなわち甲第2、5号証にも、「所定の時間帯で実行する」ことは記載されていない。
よって、他の相違点ア、相違点イについて検討するまでもなく、本件発明7は、甲1発明及び上記5(1)ア、ウ~オに記載した引用文献2~5すなわち甲第2~5号証 に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
異議申立人は、本件発明7と甲1発明とを対比して、本件発明7は「前記制御部は、」「前記第2モードを所定の時間帯で実行するように構成されている」点で、甲1発明と相違するとし、当該相違点は甲第4号証(引用文献4)に記載された事項から当業者が容易に想到し得たと主張している(特許異議申立書の59頁24行~60頁16行)。しかし、上記のとおり、甲1発明に対して、引用文献3、4に記載された事項を適用する動機付けはない。
また、異議申立人は、令和4年7月8日付けの意見書において、甲第6号証(実願平2-73424号(実開平4-31719号)のマイクロフィルム)、甲第7号証(米国特許出願公開第2013/0129469号明細書)、甲第8号証(特開平10-87020号公報)を添付して、本件発明1~7の進歩性欠如に関する意見を述べているが、甲第6~8号証はいずれも本件発明1に関する補充の証拠であり、相違点6に係る本件発明6の構成、及び、相違点7に係る本件発明7の構成を示唆するものではない。
よって、申立人の特許異議申立書における主張、及び、意見書における主張を採用することはできない。
7 むすび
以上のとおり、本件特許の請求項1~5に係る発明は、引用発明(引用文献2に記載された発明)及び引用文献1に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、その発明に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件特許の請求項6、7に係る特許は、取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができず、他に取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-700979