特許異議申立
2023-700269
自動倉庫システム
- 審判番号
- 2023-700269
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-119881
- 登録番号
- 7137372
- 請求日
- 2023年03月10日
- 審決日
- 2024年02月19日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】住友重機械搬送システム株式会社
- 【権利者代理人】森下 賢樹
- 【権利者代理人】富所 輝観夫
- 【異議申立人】西内 大生
- 審判長/審判官
- 審判長 平城 俊雅
- 審判官 尾崎 和寛
- 審判官 中屋 裕一郎
- 分類
- P1651.113-Y (B65G) / P1651.121-Y (B65G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7137372号発明「自動倉庫システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7137372号の請求項1~11に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7137372号の請求項1~11に係る特許についての出願は、平成30年6月25日に出願され、令和4年9月6日にその特許権の設定登録がされ、令和4年9月14日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 3月10日 :特許異議申立人西内大生(以下、「特許異議
申立人」という。)による請求項1~11に
係る特許に対する特許異議の申立て
令和5年 5月31日付け:取消理由通知書
令和5年 8月 2日 :特許権者による意見書の提出
令和5年 9月29日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和5年11月22日 :特許権者による上申書の提出
令和5年12月11日 :特許権者による意見書の提出
令和5年12月26日 :異議申立人による上申書の提出
2 証拠一覧
特許異議申立人が特許異議申立において提出した証拠は次のとおりである。
甲第1号証:2017年4月21日公開YouTube動画、 URL:https://www.youtube.com/watch?v=dh6dSGgsLt4、タイトル「Intralogistics automation: Robotic and data-driven miniload and pallet handling」
甲第2号証:特公昭51-24795号公報
甲第3号証:特開平7-109008号公報
甲第4号証:特開2002-338008号公報
甲第5号証:特開平7-277412号公報
甲第6号証:特開2001-19382号公報
甲第7号証:特開2009-184762号公報
甲第8号証:特開2013-186615号公報
甲第9号証:特開平11-134029号公報
甲第10号証:特開平6-24505号公報
甲第11号証:特開2006-111027号公報
甲第12号証:特開2014-144846号公報
3 取消理由(決定の予告)の概要
請求項1~11に係る特許に対して、当審が令和5年9月29日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は次のとおりである。
(1)本件の請求項1~6、9及び11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(甲第1号証に開示された発明)であるから、請求項1~6、9及び11に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)本件の請求項1~7、9~11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(甲第1号証に開示された発明)及び本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第2~5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、本件の請求項8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(甲第1号証に開示された発明)及び本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第2~9号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
なお、引用文献等については、上記「2 証拠一覧」を参照。
4 本件発明
本件特許の請求項1~11に係る発明は、次のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明11」という。)。
[本件発明1]
「荷を保管可能な保管棚部を有する自動倉庫システムであって、
荷を搭載して第1方向に移動する第1台車と、
前記保管棚部の間口近傍を、前記第1台車を搭載して前記第1方向と交差する第2方向に移動する第2台車と、
を備え、
前記第2台車は、前記第1方向の第1位置における前記第2方向の第1の端部の高さが、前記第1方向の第1位置と異なる第2位置における前記第2方向の第2の端部の高さよりも低く、
前記第1の端部は、前記第2方向で前記第2の端部と同じ側に配置され、前記第2台車上を人が前記第2方向に通過するための凹部を構成し、
前記第2台車の走行路には、人が移動するための床板が設けられていることを特徴とする自動倉庫システム。」
[本件発明2]
「前記第2台車は、前記第2の端部の高さが、前記第1方向の第2位置における前記第2方向の中央部の高さよりも高く構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫システム。」
[本件発明3]
「前記第2台車は、前記第1方向の第1位置における前記第2方向の両端部の高さが、前記第1方向の第2位置における前記第2方向の少なくとも一方の端部の高さよりも低く構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動倉庫システム。」
[本件発明4]
「前記第1方向の第1位置は端部であり、前記第1方向の第2位置は中央部であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自動倉庫システム。」
[本件発明5]
「前記第2台車は、前記第1方向の第1位置とは反対側の端部である第3位置における前記第2方向の端部の高さが、前記第2の端部の高さよりも低く構成されていることを特徴とする請求項4に記載の自動倉庫システム。」
[本件発明6]
「前記第1の端部の前記第1方向幅は、前記第2台車と前記保管棚部の間口との間の隙間より広く構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の自動倉庫システム。
[本件発明7]
「前記第第1の端部の前記第1方向幅は、300mm以上であることを特徴とする請求項6に記載の自動倉庫システム。」
[本件発明8]
「前記第2の端部に、前記第2台車の動作を操作するための操作スイッチを含む操作部が設けられることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の自動倉庫システム。」
[本件発明9]
「前記第1の端部には、人の足を載せるための補強部材が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の自動倉庫システム。」
[本件発明10]
「前記第1の端部の高さは、前記第2台車の下面から400mm以下に設定されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の自動倉庫システム。」
[本件発明11]
「荷を保管可能な保管棚部を有する自動倉庫システムであって、
荷を搭載して第1方向に移動する第1台車と、
前記保管棚部の間口近傍を、前記第1台車を搭載して前記第1方向と交差する第2方向に移動する第2台車と、
を備え、
前記第2台車には、人が前記第2方向に通過するための凹部が設けられており、
前記第2台車の走行路には、人が移動するための床板が設けられていることを特徴とする自動倉庫システム。」
5 当審の判断
(1)各号証に記載の事項等
a 甲第1号証について
取消理由(決定の予告)で引用した甲第1号証である、2017年4月21日公開YouTube動画、 URL:https://www.youtube.com/watch?v=dh6dSGgsLt4、タイトル「Intralogistics automation: Robotic and data-driven miniload and pallet handling」は、令和6年2月13日時点で非公開となっている。
したがって、甲第1号証の動画が本件特許出願前の2017年4月21日に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものか立証できず、甲第1号証を本件発明1~11の新規性及び進歩性の有無を判断するにあたっての証拠として採用することができない。
b 甲第2号証~甲第11号証について
甲第2号証~甲第11号証には次の記載がある。
(a)甲第2号証
「垂直方向、水平方向ともに多数の区画収納空間2を有する棚1と、この棚1の一側にそつて設けられた荷搬入出装置走行通路4と、該通路4内で前記側1にそつて走行可能でかつ昇降自在な荷受渡し装置7を有する荷搬入出装置3とを有する倉庫設備において、前記側1を適当間隔置きに相対向させて並設して前記通路4を1つ置きに形成し、これら通路4のある側とは反対の側の相対向部間に、水平方向の通路床10を高さ方向適当間隔おきに設けると共に該通路床10により両棚1を連結し、これら通路床10上に前記側1にそつて移動自在な台車13を設けて該通路床10側からも前記区画収納空間2に対して荷9を出し入れすることができるようにしたことを特徴とする倉庫設備。」(特許請求の範囲)
「また荷受渡し装置7が荷9の受渡し作業を行なつているときの各区画収納空間2に納めた荷9からのピツクアツプ作業は、台車12を通路床10上で走行させ、作業者が該通路床10側から各区画収納空間2に納められた荷9の適数をピツクアツプし、そしてこれを荷収納箱16に収納することにより行なえ、このピツクアツプ作業が終ったのちに前記台車12を第2荷さばき場17まで走行させて荷収納箱16の荷卸しを行なう。」(第3欄第3行~第11行)
(b)甲第3号証
「【請求項1】2列の棚(1A、1B)と、両棚(1A、1B) 間に架設された点検歩廊(2、3) と、当該点検歩廊(2,3)で区画された上下方向複数段の各通路(A~C)内を走行する上下複数段の入出庫用電車 (8a~10c)と、点検歩廊(2、3)に対する昇降用梯子(22、23)とを備えた自動倉庫・・・」
(c)甲第4号証
「【請求項1】 荷物を格納する棚が上下左右のマトリクス状に設けられた格納棚ユニットを移送通路を挟んで配置し、前記棚の上下段毎に前記移送通路に沿って移動可能で荷物を移載するためのドーリを配置した自動倉庫において、前記移送通路には、前記各ドーリの通過及び荷物の移載の邪魔にならない高さ位置であって、前記棚の上下段毎または複数段毎の高さ位置に、移送通路に沿って人が通る歩行廊を設け、該歩行廊には、荷物を載せて前記移送通路に沿って移送できる補助運搬装置を設けたことを特徴とする自動倉庫。」
(d)甲第5号証
「【請求項1】 互いが間隔を置いて対峙し且つそれぞれにラックが多列多段に設けられた一方の格納部及び他方の格納部と、同各格納部の間に設けられて同各格納部のラックを上下複数段に区画する内側歩廊と、上記各格納部の各ラックのうち水平方向に並ぶ各ラックに沿って設けられたラック側レールと、同ラック側レールを走行するドーリと、上記内側歩廊の外側に設けられた外側歩廊と、同外側歩廊の外端部側に設置されたリフタと、同リフタと上記内側歩廊の端部との間の上記外側歩廊上に移動可能に設けられた昇降式移載装置と、同昇降式移載装置上に設けられて上記ラック側レールに接続可能な移載装置側レールと、上記外側歩廊上に上記昇降式移載装置の移動路に平行に設置された入出庫コンベアとを具えていることを特徴とした自動倉庫。」
「【0007】
【作用】本発明の自動倉庫は前記のように構成されており、リフタにより運び込んだ物品を入出庫コンベアのリフタ側端部に載せて、同入出庫コンベアにより格納部側へ搬送し、次いで格納部側に移動して待機している昇降式移載装置上のドーリに載せ、次いで昇降式移載装置を昇降させて、移載装置側レールを目的のラックのラック側レールに接続させ、次いでドーリを移載装置側レール→ラック側レールに走行させ、目的のラック位置に達したら、物品を目的のラックに格納する。また物品をラックからリフタへ出庫する場合には、逆の手順で行う。そしてドーリが故障したときには、昇降式移載装置をリフタ側に移動させて、外側歩廊と内側歩廊とを連絡し、次いで作業員が外側歩廊から内側歩廊に入って、故障したドーリの所までゆき、このドーリをラック側レールの端部まで押してゆき、次いで昇降式移載装置を格納部側に戻し、上記ドーリを押して昇降式移載装置のレール上に乗り込ませ、次いで昇降式移載装置をリフタ側に移動させて、上記ドーリをリフタに乗り込ませる一方、リフタに積み込んでおいた正常なドリーを昇降式移載装置のレール上に乗り込ませ、次いで昇降式移載装置を格納部側に移動させ、正常なドーリを移載装置側レール→ラック側レールに乗り入れさせて、故障したドーリと正常なドーリとを交換する。」
(e)甲第6号証
「【0007】図1は、無人搬送車の側面を示したものである。無人搬送車1は、車体21の前方に、フォーク用油圧シリンダ11、ロック用油圧シリンダ53(図3参照)が設置されており、その前方には、フォーク6が昇降自在に設置されている。フォーク6は、前側の部分が二股に形成されており、それぞれの先端際の下側には、前輪(従動輪)16,16が回転自在に設置されている。また、車体21の上方には、油圧ユニット14が内蔵されており、その油圧ユニット14の上には、操作パネル15が設けられている。操作パネル15には、フォーク用油圧シリンダ11の操作スイッチS1やロック用油圧シリンダ53の操作スイッチS2等の各種のマニュアル操作用の操作スイッチが設置されている。一方、車体21の下側には、走行用駆動装置10が、水平面内で回転自在に設けられている。」
「【図1】
[図:0001407827000001.jpg]
」
(f)甲第7号証
「【0019】
図2は、無人搬送車12の斜視図である。図3は、無人搬送車12の上面図である。図2、図3に示すように、無人搬送車12の前部には操作パネル16が設けられており、この操作パネル16によって走行速度、走行経路等を設定することが可能となっている。また、無人搬送車12の前部には光学センサ18が設けられており、この光学センサ18によって制御用の標識(例えば後述する第1停止ポールP1及び第2停止ポールP2)を認識することが可能となっている。」
「【図2】
[図:0001407827000002.jpg]
」
(g)甲第8号証
「【0034】
〔第1実施形態に係る自動搬送車1〕
本発明を具現化した第1実施形態の自動搬送車1について、図1~図3を参照して説明する。自動搬送車1は、後述する搬送経路情報RRIに従って、自律的に搬送物CAを搬送する。自動搬送車1は、RAM101と、ROM102と、CPU103と、車輪2と、駆動部7を制御して車輪2の回転、及び操舵を制御する走行制御部74と、自動搬送車1と周囲の物体との距離を計測するLRF(レーザレンジファインダ)3と、プログラム開始、搬送開始、停止等の指示を入力可能な入力部4と、異常動作、正常動作、停止中などの状態をユーザに示す出力部5と、搬送物CAが積載される平面である搬送台6と、搬送物CA、及び自動搬送車1に関する環境情報を検知するセンサ8と、電源を供給する電源部9と、外部との通信をおこなう通信部11と、を備え、各構成要素は、相互に接続されている。」
「【図1】
[図:0001407827000003.jpg]
」
(h)甲第9号証
「【0010】
【実施例】図1~図7に実施例を示す。図1において2は無人搬送車で、4はその機体、6はフロントバンパー、8はリアバンパー、10は操作パネル等を取り付けたフロントパネルで、11は物品を昇降させるためのリフターであり、コンベア等でも良く、12はリアパネルである。フロントバンパー6とリアバンパー8は形状や構造が対称で、両者を共通して呼ぶ場合にはベースバンパーと呼び、以下ではフロントバンパー6側を説明するが、リアバンパー8側も同様である。バンパー6,8の両側部には図5,図7に示す蟻溝状のコーナーバンパー取付溝20を設けて、コーナーバンパー14を嵌着により装着する。16は帯状でフロントバンパー6から両側部のコーナーバンパー18,18に渡る接触センサで、例えば弾性樹脂に一対の導電帯を埋設し、他の無人搬送車やステーション等と接触した際にその圧力で導電帯が接触して導通するようにしたもの、等を用いる。」
「【図1】
[図:0001407827000004.jpg]
」
(i)甲第10号証
「【0021】例えば、液晶ディスプレイに表示されるピッキングの指示には、ピッキングすべき物品の種類・数量のみならず、パレットへの積み付けパターンをも表示することができる。また、無人搬送車9には、ピッキング作業の効率を向上させるために、ステップを設けて無人搬送車9上に作業員が上がって作業できるようにすることができる。」
(j)甲第11号証
「【0015】
昇降機能付き搬送台車1は、前記搬送台昇降支持手段と、搬送台4を基台2に対して昇降させる図示しない昇降駆動装置と、基台2の上側に設けられ、被搬送物に対して作業を行う作業者が乗るための作業足場12と、作業足場12を基台2に対して昇降可能に支持する作業足場昇降支持手段と備えている。そして、本発明は、作業足場12に作用する重力による操作力が前記作業足場昇降支持手段及び搬送台昇降支持手段を介して搬送台4に伝達され、搬送台4を上昇させる方向に作用する力が生じるように、前記作業足場昇降支持手段と前記搬送台昇降支持手段とを連動させることにより、前記昇降駆動装置の負荷を小さくすることができるものである。ここで、昇降駆動装置により搬送台4を昇降させる構成としては、搬送台車上に設けたシリンダ装置によるもの、床面上に設けたカムレールに昇降リンクの転動体を沿わせるもの等からなる一般的な構成を採用することができる。」
(k)甲第12号証
「【0009】
また、前記搬送台車の搬送台を作業者が乗って作業を行う作業床とし、前記搬送台の上面及び前記パレットの上面を略面一に形成してなると好ましい。
このような構成によれば、作業床が略平坦に形成されるため、作業床に乗った状態でワークに対して作業を行う作業者の作業性が向上する。」
(2)特許法第29条第1項第3号について
上記(1)aのとおり、甲1号証は新規性を判断する証拠として採用できないから、本件発明1~6、9及び11が、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(甲第1号証に開示された発明)であるとはいえない。
(3)特許法第29条第2項について
上記(2)のとおりであるから、本件発明1~11は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(甲第1号証に開示された発明)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、上記(1)bのとおり、甲第2~11号証はいずれも自動倉庫ないし搬送台車に関する技術的事項を開示しているものの、甲第2~11号証には、本件発明1~10の「荷を搭載して第1方向に移動する第1台車と、前記保管棚部の間口近傍を、前記第1台車を搭載して前記第1方向と交差する第2方向に移動する第2台車と、を備え」た「荷を保管可能な保管棚部を有する自動倉庫システム」に相当する構成、及び、本件発明11の「荷を搭載して第1方向に移動する第1台車と、前記保管棚部の間口近傍を、前記第1台車を搭載して前記第1方向と交差する第2方向に移動する第2台車と、を備え」た「荷を保管可能な保管棚部を有する自動倉庫システム」に相当する構成は記載も示唆もされていない。
したがって、本件発明1~11は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(甲第1号証に開示された発明)及び本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第2~11号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)特許異議申立人の上申書での主張について
特許異議申立人は、主たる証拠として甲第1号証の動画が公開されているURLを示し、甲第1号証の動画の一部をキャプチャーした画像を複写したもの提出しているところ、令和5年12月26日に提出した上申書において、甲第1号証の名称を「2017年4月21日公開YouTube動画」から「2017年4月21日公開YouTube動画の一部を示す画像」などに変更する用意があるとしている。
しかしながら、かかる変更は、引用発明の認定の基礎とする証拠の変更となり、特許異議申立書の要旨を実質的に変更することとなるから、認められない。
また、異議申立人は、上記上申書において、新たな証拠方法の追加(甲第1号証と同様の内容を示すYouTube動画の追加)を提案しているが、上記と同様の理由により、認めることはできない。
6 むすび
したがって、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1~11に係る特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700269