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特許異議申立

2025-700818

搬送手段

審判番号
2025-700818
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2024-213290
登録番号
7644880
請求日
2025年08月12日
審決日
2026年06月05日
公報発行日
2026年09月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】久米機電工業株式会社
  • 【権利者代理人】青山 秀夫
  • 【異議申立人】川口 真弓
審判長/審判官
  • 審判長 小宮 慎司
  • 審判官 松永 稔
  • 審判官 中野 浩昌
分類
P1651.536-YAA(B65G) / P1651.537-YAA(B65G) / P1651.121-YAA(B65G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7644880号発明「搬送手段」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7644880号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された、訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1~3、5〕〔4、6〕について訂正することを認める。 特許第7644880号の請求項1~6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7644880号の請求項1~6に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和6年12月6日に出願され、令和7年3月5日にその特許権の設定登録がされ、令和7年3月13日に特許掲載公報が発行された。 その後、その全ての請求項に係る特許について、令和7年8月12日に特許異議申立人 川口 真弓(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和7年11月10日付けで取消理由を通知した。 それに対し、特許権者は、その指定期間内である令和7年12月22日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、令和8年1月26日に当該訂正の請求についての手続補正書(方式)を提出した。 そして、当審は、令和8年2月27日付けで、申立人に対して意見書提出の期間を指定して、訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を行ったが、当該期間内に申立人から意見書の提出はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和7年12月22日になされ、令和8年1月26日に提出された手続補正書(方式)によって補正された訂正(以下「本件訂正」という。)の請求は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は、以下のとおりである。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「厚さが不均一な物品を搬送させる搬送手段において、 送出手段と、移動抵抗付加手段とを含み、 前記送出手段は、前記物品の搬送上流背面の左右に接して、下流に平行にスライドされて前記物品を送出させる一対のフィンガーを備え、 前記移動抵抗付加手段が、前記一対のフィンガーの間に配され、前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに中央移動抵抗を付加させ、 前記中央移動抵抗が、前記物品の左右に生じる移動抵抗よりも大きく、 前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記左右に生じる移動抵抗の大きさが異なっていても、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる、 ことを特徴とする搬送手段。」と記載されているのを、 「厚さが不均一な物品を搬送させる搬送手段において、 送出手段と、移動抵抗付加手段と、前記移動抵抗付加手段を挟んで配される左右一対のレールとからなる搬送レールとを含み、 前記物品が、前記移動抵抗付加手段に載せられ、 前記送出手段は、前記物品の搬送上流背面の左右に接する一対のフィンガーを備え、 前記一対のフィンガーの夫々が、前記左右一対のレールの夫々の内方に配されると共に、前記搬送レールに沿って下流に平行にスライドされ、前記物品を送出させ、 前記移動抵抗付加手段が、天面の高さが前記左右一対のレールがなす搬送基準面の高さよりも高く形成されると共に、前記一対のフィンガーの間に配され、前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに接して中央移動抵抗を付加させ、 前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対のレールと接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる、 ことを特徴とする搬送手段。」に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に従属する請求項2、3、5も同様に訂正する。)(下線は訂正請求書の記載のとおりである。以下同様。) (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3に 「前記樹脂部材の中央部及び搬送基準面よりも高い」と記載されているのを、 「前記樹脂部材の中央部及び前記搬送基準面の高さより高い」に訂正する。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に 「前記移動抵抗付加手段が、平板状体と、負圧発生手段とを含み、 前記平板状体が、前記物品の下側の面に面し、 前記負圧発生手段が、前記物品の下側の面に向けた負圧を前記平板状体に発生させて、前記中央移動抵抗を付加させる、 ことを特徴とする請求項1に記載の搬送手段。」と記載されているのを、 「厚さが不均一な物品を搬送させる搬送手段において、 送出手段と、移動抵抗付加手段と、上下から前記物品を保持する左右一対の保持爪とを含み、 前記物品が、その中央部よりも外方の左右を、前記左右一対の保持爪により、上下方向に隙間をあけて保持されると共に、平板状体に載せられ、 前記送出手段は、前記物品の搬送上流背面の左右に接する一対のフィンガーを備え、 前記一対のフィンガーの夫々が、前記左右一対の保持爪の内方に配されると共に、前記平板状体に沿って下流に平行にスライドされ、前記物品を送出させ、 前記移動抵抗付加手段が、前記平板状体と、負圧発生手段とを含み、前記平板状体が、天面の高さが下方の一対の前記保持爪の天面高さよりも高く形成されると共に、前記物品の下側の面に面して、前記一対のフィンガーの間に配され、 前記負圧発生手段が、前記物品の下側の面に向けた負圧を前記平板状体に発生させ、 前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに前記負圧により前記中央移動抵抗を付加させ、 前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対の保持爪と接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる、 ことを特徴とする搬送手段。」に訂正する。(請求項4に従属する請求項6も同様に訂正する。) (4) 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に 「請求項1乃至4のいずれか一項に記載の搬送手段。」と記載されているのを、 「請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の搬送手段。」に訂正する。 (5) 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に 「第1反転搬送機と、第2反転搬送機とを含み、 前記物品がPTPシートを集積させた集積体とされ、 第1反転搬送機と第2反転搬送機とは、夫々の回転軸の周りに放射状に配された複数の集積体保持部を備えると共に、前記集積体を天地反転させて受け渡す受渡手段として機能され、 前記集積体保持部の各々が、前記集積体の中央部よりも外方の左右を保持する一対の保持爪を備え、 第1反転搬送機において、前記一対の保持爪の間の回転空間が、前記集積体を合掌貼り形式で帯掛けする空間として機能され、 前記移動抵抗付加手段が、第1反転搬送機から第2反転搬送機への受渡位置において、第1反転搬送機又は第2反転搬送機の少なくともいずれかに、前記一対の保持爪の内方に備えられている、 ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の搬送手段。」と記載されているのを、 「第1反転搬送機と、第2反転搬送機とを含み、 前記物品がPTPシートを集積させた集積体とされ、 第1反転搬送機と第2反転搬送機とは、搬送ライン上に連続して配され、夫々の回転軸の周りに放射状に配された複数の集積体保持部を備えると共に同一方向に回転され、第1反転搬送機の前記集積体保持部と第2反転搬送機の前記集積体保持部とが隣合う位置を受渡位置として、前記集積体を前記受渡位置で受け渡し、前記集積体を天地反転させて受け渡す受渡手段として機能され、 前記集積体保持部の各々が、前記集積体の中央部よりも外方の左右を保持する前記左右一対の保持爪を備え、 第1反転搬送機において、前記左右一対の保持爪の間の回転空間が、前記集積体を合掌貼り形式で帯掛けする空間として機能され、 前記移動抵抗付加手段が、前記受渡位置において、第1反転搬送機又は第2反転搬送機の少なくともいずれかに、前記左右一対の保持爪の内方に備えられている、 ことを特徴とする請求項4に記載の搬送手段。」に訂正する。 (6) 訂正事項6 明細書の段落【0018】に 「本発明の第1の発明は、厚さが不均一な物品を搬送させる搬送手段において、送出手段と、移動抵抗付加手段とを含み、前記送出手段は、前記物品の搬送上流背面の左右に接して、下流に平行にスライドされて前記物品を送出させる一対のフィンガーを備え、前記移動抵抗付加手段が、前記一対のフィンガーの間に配され、前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに中央移動抵抗を付加させ、前記中央移動抵抗が、前記物品の左右に生じる移動抵抗よりも大きく、前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記左右に生じる移動抵抗の大きさが異なっていても、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させることを特徴としている。」と記載されているのを、 「本発明の第1の発明は、厚さが不均一な物品を搬送させる搬送手段において、送出手段と、移動抵抗付加手段と、前記移動抵抗付加手段を挟んで配される左右一対のレールとからなる搬送レールとを含み、前記物品が、前記移動抵抗付加手段に載せられ、前記送出手段は、前記物品の搬送上流背面の左右に接する一対のフィンガーを備え、前記一対のフィンガーの夫々が、前記左右一対のレールの夫々の内方に配されると共に、前記搬送レールに沿って下流に平行にスライドされ、前記物品を送出させ、前記移動抵抗付加手段が、天面の高さが前記左右一対のレールがなす搬送基準面の高さよりも高く形成されると共に、前記一対のフィンガーの間に配され、前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに接して中央移動抵抗を付加させ、前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対のレールと接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させることを特徴としている。」に訂正する。 (7) 訂正事項7 明細書の段落【0025】に 「本発明の第3の発明は、第2の発明の搬送手段であって、前記樹脂部材の幅が、前記一対のフィンガーの間隔より狭く、前記樹脂部材の左右外縁の各々の高さが、前記樹脂部材の中央部及び搬送基準面よりも高いことを特徴としている。」と記載されているのを、 「本発明の第3の発明は、第2の発明の搬送手段であって、前記樹脂部材の幅が、前記一対のフィンガーの間隔より狭く、前記樹脂部材の左右外縁の各々の高さが、前記樹脂部材の中央部及び前記搬送基準面の高さよりも高いことを特徴としている。」に訂正する。 (8) 訂正事項8 明細書の段落【0028】に 「本発明の第4の発明は、第1の発明の搬送手段であって、前記移動抵抗付加手段が、平板状体と、負圧発生手段とを含み、前記平板状体が、前記物品の下側の面に面し、前記負圧発生手段が、前記物品の下側の面に向けた負圧を前記平板状体に発生させて、前記中央移動抵抗を付加させることを特徴としている。」と記載されているのを、 「本発明の第4の発明は、厚さが不均一な物品を搬送させる搬送手段において、送出手段と、移動抵抗付加手段と、上下から前記物品を保持する左右一対の保持爪とを含み、前記物品が、その中央部よりも外方の左右を、前記左右一対の保持爪により、上下方向に隙間をあけて保持されると共に、平板状体に載せられ、前記送出手段は、前記物品の搬送上流背面の左右に接する一対のフィンガーを備え、前記一対のフィンガーの夫々が、前記左右一対の保持爪の内方に配されると共に、前記平板状体に沿って下流に平行にスライドされ、前記物品を送出させ、前記移動抵抗付加手段が、前記平板状体と、負圧発生手段とを含み、前記平板状体が、天面の高さが下方の一対の前記保持爪の天面高さよりも高く形成されると共に、前記物品の下側の面に面して、前記一対のフィンガーの間に配され、前記負圧発生手段が、前記物品の下側の面に向けた負圧を前記平板状体に発生させ、前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに前記負圧により前記中央移動抵抗を付加させ、前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対の保持爪と接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させることを特徴としている。」に訂正する。 (9) 訂正事項9 明細書の段落【0030】に 「本発明の第5の発明は、第1から第4の発明の搬送手段であって、~」と記載されているのを 「本発明の第5の発明は、第1から第3の発明の搬送手段であって、~」に訂正する。 (10) 訂正事項10 明細書の段落【0032】に 「本発明の第6の発明は、第1から第4の搬送手段であって、第1反転搬送機と、第2反転搬送機とを含み、前記物品がPTPシートを集積させた集積体とされ、第1反転搬送機と第2反転搬送機とは、夫々の回転軸の周りに放射状に配された複数の集積体保持部を備えると共に、前記集積体を天地反転させて受け渡す受渡手段として機能され、前記集積体保持部の各々が、前記集積体の中央部よりも外方の左右を保持する一対の保持爪を備え、第1反転搬送機において、前記一対の保持爪の間の回転空間が、前記集積体を合掌貼り形式で帯掛けする空間として機能され、前記移動抵抗付加手段が、第1反転搬送機から第2反転搬送機への受渡位置において、第1反転搬送機又は第2反転搬送機の少なくともいずれかに、前記一対の保持爪の内方に備えられていることを特徴としている。」と記載されているのを、 「本発明の第6の発明は、第4の発明の搬送手段であって、第1反転搬送機と、第2反転搬送機とを含み、前記物品がPTPシートを集積させた集積体とされ、第1反転搬送機と第2反転搬送機とは、搬送ライン上に連続して配され、夫々の回転軸の周りに放射状に配された複数の集積体保持部を備えると共に同一方向に回転され、第1反転搬送機の前記集積体保持部と第2反転搬送機の前記集積体保持部とが隣合う位置を受渡位置として、前記集積体を前記受渡位置で受け渡し、前記集積体を天地反転させて受け渡す受渡手段として機能され、前記集積体保持部の各々が、前記集積体の中央部よりも外方の左右を保持する前記左右一対の保持爪を備え、第1反転搬送機において、前記左右一対の保持爪の間の回転空間が、前記集積体を合掌貼り形式で帯掛けする空間として機能され、前記移動抵抗付加手段が、前記受渡位置において、第1反転搬送機又は第2反転搬送機の少なくともいずれかに、前記左右一対の保持爪の内方に備えられていることを特徴としている。」に訂正する。 (11) 訂正事項11 明細書の段落【0033】に 「第1反転搬送機から第2反転搬送機への受渡位置においては、第1反転搬送機及び第2反転搬送機の両方に中央移動抵抗付加手段が備えられていると好適であるが、第1反転搬送機又は第2反転搬送機の少なくとも一方に中央移動抵抗付加手段が備えられていれば~」と記載されているのを、 「第1反転搬送機から第2反転搬送機への受渡位置においては、第1反転搬送機及び第2反転搬送機の両方に移動抵抗付加手段が備えられていると好適であるが、第1反転搬送機又は第2反転搬送機の少なくとも一方に移動抵抗付加手段が備えられていれば~」に訂正する。 (12) 訂正事項12 明細書の段落【0057】に 「図3(A)図は側面図にを示し」と記載されているのを、 「図3(A)図は側面図を示し」に訂正する。 (13) 一群の請求項、及び独立特許要件について ア 訂正前の請求項1~6について、請求項2~6は請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 そして、特許権者は、訂正後の請求項1~3及び5について、当該請求項について訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正をすることを求めている。 イ 本件特許異議申立事件においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~6が特許異議申立の請求の対象とされているので、訂正前の請求項1~6に係る訂正事項に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正事項1~10に係る訂正の目的 訂正事項1~10に係る本件訂正は、訂正前の請求項1の「前記中央移動抵抗が、前記物品の左右に生じる移動抵抗よりも大きく、 前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記左右に生じる移動抵抗の大きさが異なっていても、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる、」との記載における「物品の左右に生じる移動抵抗」(左右に生じる移動抵抗)が不明であるとの取消理由(下記「第4の1」)を解消することを目的とするから、訂正事項1~10に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2) 訂正事項1、6について ア 訂正の目的の適否 訂正事項1に係る本件訂正は、次の訂正事項からなる。 (ア) 訂正事項1-1 訂正前の請求項1に係る搬送手段が、送出手段及び移動抵抗付加手段に加えて、さらに「前記移動抵抗付加手段を挟んで配される左右一対のレールとからなる搬送レール」を含むこと、及び、「前記物品が、前記移動抵抗付加手段に載せられ」ることを付加する訂正。(下線は、訂正請求書の記載のとおりである。以下同様。) (イ) 訂正事項1-2 送出手段について 訂正前の請求項1の「前記送出手段は、前記物品の搬送上流背面の左右に接して、下流に平行にスライドされて前記物品を送出させる一対のフィンガーを備え、」との記載を、 「前記送出手段は、前記物品の搬送上流背面の左右に接する一対のフィンガーを備え、 前記一対のフィンガーの夫々が、前記左右一対のレールの夫々の内方に配されると共に、前記搬送レールに沿って下流に平行にスライドされ、前記物品を送出させ、」と訂正することにより、送出手段における一対のフィンガーの「下流に平行にスライドされて前記物品を送出させる」動作が「前記一対のフィンガーの夫々が、前記左右一対のレールの夫々の内方に配されると共に、前記搬送レールに沿って」行われることを付加する訂正。 (ウ) 訂正事項1-3 移動抵抗付加手段と中央移動抵抗について 訂正前の請求項1の「前記移動抵抗付加手段が、前記一対のフィンガーの間に配され、前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに中央移動抵抗を付加させ、」との記載を、 「前記移動抵抗付加手段が、天面の高さが前記左右一対のレールがなす搬送基準面の高さよりも高く形成されると共に、前記一対のフィンガーの間に配され、前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに接して中央移動抵抗を付加させ、」と訂正することにより、 移動抵抗付加手段について「天面の高さが前記左右一対のレールがなす搬送基準面の高さよりも高く形成され」ること、及び、中央移動抵抗が、移動抵抗付加手段が前記物品の下側の面のみに接して付加されるものであることを付加する訂正。 (エ) 訂正事項1-4 移動抵抗について 訂正前の請求項1の「前記中央移動抵抗が、前記物品の左右に生じる移動抵抗よりも大きく、 前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記左右に生じる移動抵抗の大きさが異なっていても、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる、」との記載を、 「前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対のレールと接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる、」と訂正することにより、 「移動抵抗」が、「前記物品のいずれかの部分が前記左右一対のレールと接して」発生するものであることを付加する訂正。 (オ) 訂正の目的についての小括 訂正事項1に係る本件訂正は、上記(1)のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、加えて、上記(ア)~(エ)のとおり、発明を特定するための事項を直列的に付加する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 (ア) 訂正事項1-1によって付加される「搬送レール」については、本件の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の段落0052、図2に、 また、訂正事項1-1によって付加される「前記物品が、前記移動抵抗付加手段に載せられ」ることについては、本件明細書等の段落0055、0060、図2(B)、(E-1)、(E-2)に開示がある。 (イ) 訂正事項1-2によって付加される事項は、本件明細書等の段落0052、図2に開示がある。 (ウ) 訂正事項1-3によって付加される「移動抵抗付加手段」の天面の高さに係る事項については、本件明細書等の段落0052、0055、図2(B)、(E-1)、(E-2)に開示があり、また、訂正事項1-3によって付加される「中央移動抵抗」の発生に係る事項については、本件明細書等の段落0056に開示がある。 (エ) 訂正事項1-4によって付加される事項については、本件明細書等の段落0077に開示がある。 (オ) 小括 以上のとおり、訂正事項1に係る本件訂正は、いずれも、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1に係る本件訂正は、上記アのとおり訂正前の発明特定事項を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 エ 訂正事項1、6についてのまとめ 上記のとおり、訂正事項1に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1、3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 また、訂正事項6に係る本件訂正は、明細書の段落0018の記載を訂正後の請求項1に整合させる訂正であるから、訂正事項1に係る本件訂正と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書第1、3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3) 訂正事項2、7 訂正事項2に係る本件訂正は、移動抵抗付加手段が含む樹脂部材の左右外縁の各々の高さについての「前記樹脂部材の中央部及び搬送基準面よりも高い」との記載を「前記樹脂部材の中央部及び前記搬送基準面の高さより高い」に訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 また、訂正事項7に係る本件訂正は、明細書の段落0026の記載を訂正後の請求項3に整合させる訂正であるから、訂正事項2に係る本件訂正と同様である。 (4) 訂正事項3、8 ア 訂正の目的の適否 訂正事項3に係る本件訂正は、次の訂正事項からなる。 (ア) 訂正事項3-1 訂正前の請求項1を引用する請求項4に係る搬送手段が、送出手段及び移動抵抗付加手段に加えて、さらに「上下から前記物品を保持する左右一対の保持爪」を含むこと、及び、「前記物品が、その中央部よりも外方の左右を、前記左右一対の保持爪により、上下方向に隙間をあけて保持されると共に、平板状体に載せられ」ることを付加する訂正。 (イ) 訂正事項3-2 送出手段について 訂正前の請求項1の「前記送出手段は、前記物品の搬送上流背面の左右に接して、下流に平行にスライドされて前記物品を送出させる一対のフィンガーを備え、」との記載を、 「前記送出手段は、前記物品の搬送上流背面の左右に接する一対のフィンガーを備え、 前記一対のフィンガーの夫々が、前記左右一対の保持爪の内方に配されると共に、前記平板状体に沿って下流に平行にスライドされ、前記物品を送出させ、」と訂正することにより、送出手段における一対のフィンガーの「下流に平行にスライドされて前記物品を送出させる」動作が「前記一対のフィンガーの夫々が、前記左右一対の保持爪の夫々の内方に配されると共に、前記平板状体に沿って」行われることを付加する訂正。(本項目では、当審が、下線を、訂正前の請求項1に対する訂正箇所を示すために付加した。) (ウ) 訂正事項3-3 移動抵抗付加手段と中央移動抵抗について 訂正前の請求項1の「前記移動抵抗付加手段が、前記一対のフィンガーの間に配され、前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに中央移動抵抗を付加させ、」との記載、及び、訂正前の請求項4の「前記移動抵抗付加手段が、平板状体と、負圧発生手段とを含み、 前記平板状体が、前記物品の下側の面に面し、 前記負圧発生手段が、前記物品の下側の面に向けた負圧を前記平板状体に発生させて、前記中央移動抵抗を付加させる、」との記載を、 「前記移動抵抗付加手段が、前記平板状体と、負圧発生手段とを含み、前記平板状体が、天面の高さが下方の一対の前記保持爪の天面高さよりも高く形成されると共に、前記物品の下側の面に面して、前記一対のフィンガーの間に配され、 前記負圧発生手段が、前記物品の下側の面に向けた負圧を前記平板状体に発生させ、 前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに前記負圧により前記中央移動抵抗を付加させ、」と訂正することにより、 平板状体が、「天面の高さが下方の一対の前記保持爪の天面高さよりも高く形成される」ること、及び、中央移動抵抗が、「前記負圧により」付加されるものであることを付加する訂正。 (エ) 訂正事項3-4 (物品の左右に生じる)移動抵抗について 訂正前の請求項1の「前記中央移動抵抗が、前記物品の左右に生じる移動抵抗よりも大きく、 前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記左右に生じる移動抵抗の大きさが異なっていても、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる、」との記載を、 「前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対の保持爪と接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる、」と訂正することにより、 「移動抵抗」が、「前記物品のいずれかの部分が前記左右一対の保持爪と接して」発生するものであることを付加する訂正。 (オ) 訂正事項3-5 訂正前の請求項4の「ことを特徴とする請求項1に記載の搬送手段。」との記載を「ことを特徴とする搬送手段。」とする訂正。 (カ) 小括 訂正事項3に係る本件訂正は、上記(1)のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、また、上記(ア)~(エ)の訂正事項3-1~3-4に係る本件訂正は、発明を特定するための事項を直列的に付加する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 加えて、上記(オ)の訂正事項3-5に係る本件訂正は、訂正前の請求項1を引用する請求項4について独立形式とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる請求項間の引用関係の解消を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 (ア) 本件明細書等の段落0063の「実施例2以下では、移動抵抗付加手段以外の構成は、実施例1と同一の構成としているため、同一の符号を付して説明を省略している。」との記載を踏まえると、訂正事項3-1によって付加される「保持爪」に係る事項については、本件明細書等の段落0060、0061、図3に開示があり、また、訂正事項3-1によって付加される「平板状体」に係る事項について、本件明細書等の段落0064、図4に開示がある。 (イ) 訂正事項3-2によって付加される事項は、本件明細書等の段落0065、0068、図4に開示がある。 (ウ) 訂正事項3-3によって付加される「平板状体」の天面の高さに係る事項については、本件明細書等の段落0065、0068、図4に開示があり、また、訂正事項3-3によって付加される「中央移動抵抗」の発生に係る事項については、本件明細書等の段落0068に開示がある。 (エ) 訂正事項3-4によって付加される事項については、本件明細書等の段落0068に開示がある。 (オ) 小括 以上のとおり、訂正事項3に係る本件訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記アのとおり訂正事項3に係る本件訂正は、訂正前の発明特定事項を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 エ 訂正事項3、8についてのまとめ 上記のとおり、訂正事項3に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1、3、4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 また、訂正事項8に係る本件訂正は、明細書の段落0028の記載を訂正後の請求項4に整合させる訂正であるから、訂正事項3に係る本件訂正と同様である。 (5) 訂正事項4、9 訂正事項4に係る本件訂正は、上記(1)のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、加えて、多数項を引用している請求項5の引用請求項数を削減するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 また、訂正事項9は、明細書の段落0030の記載を訂正後の請求項5に整合させる訂正であるから、訂正事項4に係る本件訂正と同様である。 (6) 訂正事項5、10 ア 訂正の目的の適否 訂正事項5に係る本件訂正は、次の訂正事項からなる。 (ア) 訂正事項5-1 訂正前の請求項6の「第1反転搬送機と第2反転搬送機とは、夫々の回転軸の周りに放射状に配された複数の集積体保持部を備えると共に、前記集積体を天地反転させて受け渡す受渡手段として機能され、」との記載を、 「第1反転搬送機と第2反転搬送機とは、搬送ライン上に連続して配され、夫々の回転軸の周りに放射状に配された複数の集積体保持部を備えると共に同一方向に回転され、第1反転搬送機の前記集積体保持部と第2反転搬送機の前記集積体保持部とが隣合う位置を受渡位置として、前記集積体を前記受渡位置で受け渡し、前記集積体を天地反転させて受け渡す受渡手段として機能され、」と訂正することにより、「第1反転搬送機と第2反転搬送機」が、「搬送ライン上に連続して配され、」「同一方向に回転され、第1反転搬送機の前記集積体保持部と第2反転搬送機の前記集積体保持部とが隣合う位置を受渡位置として、前記集積体を前記受渡位置で受け渡」すことを付加する訂正。 (イ) 訂正事項5-2 訂正前の請求項6の「前記一対の保持爪」との記載を、「前記左右一対の保持爪」と訂正することにより、「第1反転搬送機と第2反転搬送機」が備える集積体保持部の各々が備える「一対の保持爪」が「左右」一対の保持爪であることを付加する訂正。 (ウ) 訂正事項5-3 訂正前の請求項6の「請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の搬送手段。」との記載を「請求項4に記載の搬送手段。」と、多数項を引用している請求項6の引用請求項数を削減する訂正。 (エ) 小括 訂正事項5に係る本件訂正は、上記(1)のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、また、上記(ア)~(イ)の訂正事項5-1~5-2に係る本件訂正は、発明を特定するための事項を直列的に付加する訂正であり、上記(ウ)の訂正事項5-3に係る本件訂正は、引用請求項数を削減する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項5-1によって付加される事項は本件明細書等の段落0061、0062、図3(A)に開示があり、また、訂正事項5-2によって付加される事項は本件明細書等の段落0060~0065、図3(B)に開示があるから、訂正事項5に係る本件訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記のとおり、訂正事項5に係る本件訂正は、訂正前の発明特定事項を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 エ 訂正事項5、10についてのまとめ 上記のとおり、訂正事項5に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1、3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 また、訂正事項10に係る本件訂正は、明細書の段落0032、0033の記載を訂正後の請求項6に整合させる訂正であるから、訂正事項5に係る本件訂正と同様である。 (7) 訂正事項11 訂正事項11に係る本件訂正は、明細書の段落0033の明らかな誤記を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであり、かつ、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (8) 訂正事項12 訂正事項12に係る本件訂正は、明細書の段落0057の明らかな誤記を訂正するものであるから、誤記の訂正を目的とするものであり、かつ、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 3 訂正要件についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1~4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、本件特許の明細書特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、5〕〔4、6〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正請求による訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 厚さが不均一な物品を搬送させる搬送手段において、 送出手段と、移動抵抗付加手段と、前記移動抵抗付加手段を挟んで配される左右一対のレールとからなる搬送レールとを含み、 前記物品が、前記移動抵抗付加手段に載せられ、 前記送出手段は、前記物品の搬送上流背面の左右に接する一対のフィンガーを備え、 前記一対のフィンガーの夫々が、前記左右一対のレールの夫々の内方に配されると共に、前記搬送レールに沿って下流に平行にスライドされ、前記物品を送出させ、 前記移動抵抗付加手段が、天面の高さが前記左右一対のレールがなす搬送基準面の高さよりも高く形成されると共に、前記一対のフィンガーの間に配され、前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに接して中央移動抵抗を付加させ、 前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対のレールと接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる、 ことを特徴とする搬送手段。 【請求項2】 前記移動抵抗付加手段が、樹脂部材を含み、 前記樹脂部材が前記物品の下側の面に接している、 ことを特徴とする請求項1に記載の搬送手段。 【請求項3】 前記樹脂部材の幅が、前記一対のフィンガーの間隔より狭く、 前記樹脂部材の左右外縁の各々の高さが、前記樹脂部材の中央部及び前記搬送基準面の高さより高い、 ことを特徴とする請求項2に記載の搬送手段。 【請求項4】 厚さが不均一な物品を搬送させる搬送手段において、 送出手段と、移動抵抗付加手段と、上下から前記物品を保持する左右一対の保持爪とを含み、 前記物品が、その中央部よりも外方の左右を、前記左右一対の保持爪により、上下方向に隙間をあけて保持されると共に、平板状体に載せられ、 前記送出手段は、前記物品の搬送上流背面の左右に接する一対のフィンガーを備え、 前記一対のフィンガーの夫々が、前記左右一対の保持爪の内方に配されると共に、前記平板状体に沿って下流に平行にスライドされ、前記物品を送出させ、 前記移動抵抗付加手段が、前記平板状体と、負圧発生手段とを含み、前記平板状体が、 天面の高さが下方の一対の前記保持爪の天面高さよりも高く形成されると共に、前記物品の下側の面に面して、前記一対のフィンガーの間に配され、 前記負圧発生手段が、前記物品の下側の面に向けた負圧を前記平板状体に発生させ、 前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに前記負圧により前記中央移動抵抗を付加させ、 前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対の保持爪と接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる、 ことを特徴とする搬送手段。 【請求項5】 更に、一対のガイド壁を含み、 前記一対のガイド壁が、搬送方向に交差する方向に、前記物品の左右に配されると共に、前記一対のフィンガーを挟んで、対称に位置変更可能とされている、 ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の搬送手段。 【請求項6】 第1反転搬送機と、第2反転搬送機とを含み、 前記物品がPTPシートを集積させた集積体とされ、 第1反転搬送機と第2反転搬送機とは、搬送ライン上に連続して配され、夫々の回転軸の周りに放射状に配された複数の集積体保持部を備えると共に同一方向に回転され、第1反転搬送機の前記集積体保持部と第2反転搬送機の前記集積体保持部とが隣合う位置を受渡位置として、前記集積体を前記受渡位置で受け渡し、前記集積体を天地反転させて受け渡す受渡手段として機能され、 前記集積体保持部の各々が、前記集積体の中央部よりも外方の左右を保持する前記左右一対の保持爪を備え、 第1反転搬送機において、前記左右一対の保持爪の間の回転空間が、前記集積体を合掌貼り形式で帯掛けする空間として機能され、 前記移動抵抗付加手段が、前記受渡位置において、第1反転搬送機又は第2反転搬送機の少なくともいずれかに、前記左右一対の保持爪の内方に備えられている、 ことを特徴とする請求項4に記載の搬送手段。」 第4 取消理由、及び申立理由 1 取消理由 (1) 本件訂正前の請求項1~6に係る特許に対して、当審が令和7年11月10日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 理由(明確性) 本件特許は、明細書又は特許請求の範囲の記載が下記ア、イの点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 ア 請求項1において、搬送手段が含む移動抵抗付加手段が付加する「中央移動抵抗」を特定する基準となる「物品の左右に生じる移動抵抗」が不明であるから、請求項1に係る発明、及び請求項1を引用する請求項2~6に係る発明は明確でない。 イ また、仮に、請求項1に、物品の左右に移動抵抗を生じさせる手段が含まれるとしても、請求項1に係る発明の、移動抵抗付加手段により付加される中央移動抵抗、及び、物品の左右に生じる移動抵抗は、一意に決まらず、請求項1の「前記中央移動抵抗が、前記物品の左右に生じる移動抵抗よりも大きく」との発明特定事項は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確といえるから、請求項1に係る発明、及び請求項1を引用する請求項2~6に係る発明は明確でない。 (2) 取消理由についての当審の判断 ア 請求項1~3、5について 訂正事項1-4に係る本件訂正により、本件発明1について、その「移動抵抗」が、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対のレールと接して発生するものであること、及び、中央移動抵抗と移動抵抗との関係が、「前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対のレールと接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる」ものであることが明確になったことによって、請求項1~3、5についての取消理由は解消した。 イ 請求項4、6について 上記アと同様に、訂正事項3-4に係る本件訂正により、本件発明4について、その「移動抵抗」が、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対の保持爪と接して発生するものであること、及び、中央移動抵抗と移動抵抗との関係が、「前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対の保持爪と接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる」ものであることが明確になったことによって、請求項4、6についての取消理由は解消した。 2 申立理由 (1) 申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において下記の証拠方法に基づき次の理由を申し立てた。 ア 申立理由1(甲第1号証を主引用例とする新規性・進歩性欠如) 本件発明1は甲第1号証に記載された発明であり、本件発明1~6は甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 申立理由2(甲第2号証を主引用例とする新規性・進歩性欠如) 本件発明1は甲第2号証に記載された発明であり、本件発明1~6は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 申立理由3(サポート要件違反) 本件発明1~6は、サポート要件を満たしていない。 エ 申立理由4(明確性要件違反) 本件発明1~3、5、6は、明確性要件を満たしていない。 オ 申立理由5(実施可能要件違反) 本件明細書は、本件発明1、4~6を実施し得る程度に明確に記載されて おらず、実施可能要件を満たしていない。 証拠方法 甲第1号証: 特公昭57-42535号公報 甲第2号証: 特開2019-26353号公報 甲第3号証: 実願平2-15541号(実開平3-105210号)のマイクロフィルム 甲第4号証: 特公昭63-11990号公報 甲第5号証: 実願昭51-487号(実開昭52-93181号)のマイクロフィルム 甲第6号証: 特表2014-532593号公報 甲第7号証: 特開平9-025028号公報 甲第8号証: 特開2019-099286号公報 甲第9号証: 特開昭59-230910号公報 甲第10号証:特開2013-035552号公報 (2) 申立理由についての当審の判断 ア 申立理由1、2について (ア) 本件発明1~3、5について 本件発明1の「前記移動抵抗付加手段が、天面の高さが前記左右一対のレールがなす搬送基準面の高さよりも高く形成されると共に、前記一対のフィンガーの間に配され、前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに接して中央移動抵抗を付加させ、 前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対のレールと接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる」点については、甲第1号証及び甲第2号証を含め、いずれの証拠にも、記載も示唆もされていないから、本件発明1は甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明ではなく、また、本件発明1~3、5は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (イ) 本件発明4、6について 本件発明4の「前記負圧発生手段が、前記物品の下側の面に向けた負圧を前記平板状体に発生させ、 前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに前記負圧により前記中央移動抵抗を付加させ、 前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対の保持爪と接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる」点については、甲第1号証及び甲第2号証を含め、いずれの証拠にも、記載も示唆もされていないから、本件発明4、6は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 申立理由3~5について (ア)a 申立人は、申立書22~24ページの「3(4)エ(c)~(e)」において、本件発明1について、「物品の左右に生じる移動抵抗」自体が何を意味し、どのように生じ、どのような場合に左右で大きさが異なるのか、また、「中央移動抵抗」とどのような関係のものなのか明らかでないから、明確性要件、サポート要件、実施可能要件を満たしていない旨主張する。 b 明確性について、 上記1(2)のとおり、本件訂正によって、本件発明1において、「物品の左右に生じる移動抵抗」自体が何を意味し、どのように生じ、どのような場合に左右で大きさが異なるのか、また、「中央移動抵抗」とどのような関係のものなのか明らかになった。 c サポート要件について 本件明細書の発明の詳細な説明の段落0017には「物品の幅が変更されても、連続搬送時、間欠搬送の駆動・停止時、又は各工程の受渡時等において、物品を傾かせないで、安定した姿勢で送り出すことができる汎用性の高い搬送手段を提供すること」との発明が解決する課題が記載されている。 そして、本件発明1は「前記一対のフィンガーが移動中又は停止したときに、前記物品のいずれかの部分が前記左右一対のレールと接して移動抵抗が発生して、前記移動抵抗が物品の左右で異なった大きさとなっても、前記中央移動抵抗が、前記移動抵抗よりも大きく、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる」ものであって、上記課題を解決するものであるから、本件発明1は、サポート要件を満たす。 d 実施可能要件について 上記1(2)のとおり、本件訂正により本件発明1の「移動抵抗」が明確になったことにより、本件明細書は、本件発明1を、当業者が、実施し得る程度に明確に記載されているといえる。 e 小括 以上のとおり、申立書22~24ページの「3(4)エ(c)~(e)」の申立理由は、本件訂正により解消したから、理由がない。 (イ) 申立人は、申立書21~22ページの「3(4)エ(a)、(b)」において、本件発明1によって、本件明細書の段落0022に記載された「物品を左右に傾かせず、安定した姿勢で受け渡すこと」との効果が得られないことによるサポート要件違反、及び、本件訂正前の請求項1に記載された「前記左右に生じる移動抵抗の大きさが異なっていても、前記物品が左右に傾かないように、移動の際の姿勢を安定化させる」ことについて、本件明細書が、当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていない旨主張する。 しかしながら、本件訂正によって、本件発明1は、上記(ア)cのとおり、サポート要件を満たし、また、上記(ア)dのとおり、本件明細書は実施可能要件を満たすから、これらの申立理由は理由がない。 (ウ) 申立人は、申立書24ページの「3(4)エ(f)」において、本件発明1の「前記物品が左右に傾かないように」との記載について、上下関係について傾くことを意味するのか、水平方向に傾くことを意味するのか明らかでない旨主張する。 しかしながら、本件発明1において、「前記物品が左右に傾かないように」とは、送出方向に対して前後関係に傾くこと、すなわち水平方向に傾くことを意味するのか明らかであるから、当該申立理由は理由がない。 (エ) 申立人は、申立書24~25ページの「3(4)エ(g)」において、本件発明2の移動抵抗付加手段が含む「樹脂部材」について、十分な摩擦抵抗を発生することができないものや耐久性のないもの、物品の下側の面を汚損するものを除外していないから、本件発明2は不明確であり、サポート要件に違反する旨主張する。 しかしながら、本件発明2の「樹脂部材」は、摩擦抵抗、耐久性等にかかわらず、樹脂で作られた部材であるという点で明確である。 また、本件発明2は、その構成をすべて含む本件発明1について上記(ア)cで判断したとおり、サポート要件を満たす。 したがって、当該申立理由は理由がない。 (オ) 申立人は、申立書25ページの「3(4)エ(h)」において、本件発明3の「搬送基準面」が明確でない旨主張する。 しかしながら、本件発明3の「搬送基準面」は、本件発明3がその構成をすべて含む本件発明1において、左右一対のレールがなす高さと特定されているから、明確である。 したがって、当該申立理由は理由がない。 (カ) 申立人は、申立書25~26ページの「3(4)エ(i)」において、本件発明3は、樹脂部材の左右外縁に物品が接触しない態様において、本件明細書の段落0026に記載された「樹脂部材の左右外縁の高さは、搬送基準面よりも約3mm高くされていると、物品をなすPTPシートが広幅に変更され、捻りが発生していたとしても、中央移動抵抗が有効に発生されやすく好適である。」との作用効果を得られないから、サポート要件違反である旨主張する。 しかしながら、本件発明3は、その構成をすべて含む本件発明1について上記(ア)cで判断したとおり、サポート要件を満たすから、当該申立理由は理由がない。 (キ) 申立人は、申立書26~27ページの「3(4)エ(j)」において、本件明細書の段落0064、0065の記載に基づいて、平板状体60は、保持爪121と負圧発生手段とに挟まれているものであって、請求項4が引用する本件訂正前の請求項1の「前記移動抵抗付加手段が、前記一対のフィンガーの間に配され、前記物品を上下から挟まないで、前記物品の下側の面のみに中央移動抵抗を付加させ」との記載と矛盾するから、サポート要件、実施可能要件に違反する旨主張する。 しかしながら、本件明細書の段落0064、0065の記載においても、平板状体60は、負圧発生手段を構成するものであって、保持爪121と負圧発生手段とに挟まれて配置されるものではないから、申立人の主張は、その前提において誤りである。 また、本件発明4において、左右一対の把持爪と、移動抵抗付加手段が含む平板状体と負圧発生手段との関係に不明確な点はなく、また、これらの発明特定事項と発明の詳細な説明との対応関係にも不明確な点はないから、サポート要件、実施可能要件についての当該申立理由は理由がない。 (ク) 申立人は、申立書28ページ4~6行において、本件発明1~4のいずれかを要件とする本件発明5、6についても、サポート要件、明確性要件を満たしておらず、また、本件明細書は、本件発明5、6を実施し得る程度に明確に記載されておらず、実施可能要件を満たしていない旨主張する。 しかしながら、上記(ア)~(キ)のとおり、本件発明1~4はいずれもサポート要件を満たし、また、本件発明1~3はいずれも明確性要件を満たし、加えて、本件明細書は、本件発明1、4を実施し得る程度に明確に記載されているから、本件発明5、6についての申立人の主張は理由がない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由、並びに、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許1~6を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700818

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