特許異議申立
2023-701074
預かり品管理装置及びプログラム
- 審判番号
- 2023-701074
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-129147
- 登録番号
- 7319609
- 請求日
- 2023年10月06日
- 審決日
- 2024年12月09日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社デジジャパン
- 【権利者代理人】松沼 泰史
- 【権利者代理人】平野 昌邦
- 【権利者】株式会社寺岡精工
- 【権利者代理人】松沼 泰史
- 【権利者代理人】平野 昌邦
- 【異議申立人】椛澤 貴正
- 【異議申立人代理人】樺澤 聡
- 【異議申立人代理人】山田 哲也
- 審判長/審判官
- 審判長 伏本 正典
- 審判官 松田 直也
- 審判官 緑川 隆
- 分類
- P1651.113-ZDA(G06Q) / P1651.121-ZDA(G06Q) / P1651.537-ZDA(G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 行政事件訴訟法46条特許法29条2項特許法113条2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7319609号発明「預かり品管理装置及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7319609号の特許請求の範囲を、令和6年5月31日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4について訂正することを認める。
特許第7319609号の請求項2に係る特許を取り消す。
特許第7319609号の請求項1、3、4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 経緯
特許第7319609号の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成30年7月6日に出願され、令和5年7月25日にその特許権の設定登録がされ、同年8月2日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、同年10月6日に特許異議申立人 椛澤 貴正(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。
その後の手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 4月 1日 取消理由通知書(起案日)
令和6年 5月31日 訂正請求書・意見書の提出(特許権者)
令和6年 6月20日 取消理由通知書(決定の予告)(起案日)
令和6年 9月25日 通知書(訂正請求があった旨の通知)(起案日)
令和6年10月25日 意見書の提出(申立人)
なお、特許権者から、指定期間内に取消理由通知書(決定の予告)に対する意見書等の提出はなかった。
第2 訂正請求について
1 訂正請求の趣旨
特許第7319609号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを求める。
なお、以下、本訂正請求書でする訂正を「本件訂正」という。
2 訂正の内容
(1)訂正事項1
本件訂正前の請求項1に
「 前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力する」
とあるのを、本件訂正により、
「 前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力し、
前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票を出力可能であり、
前記工場控えにおいては、前記預かり品番号と共に登録された預かり品の点数について、他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置して出力する」
と訂正する。
(2)訂正事項2
本件訂正前の請求項2に
「 前記出力手段は、一取引において登録された複数の預かり品について、預かり品を畳む仕上げ形態と前記預かり品を畳む以外の仕上げ形態とで分割された複数の前記第2の伝票を出力する
請求項1に記載の預かり品管理装置」
とあるのを、本件訂正により、独立形式に改め、
「 業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報を登録する登録手段と、
登録された預かり品に対応して預かり品番号の採番を行う採番手段と、
一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段とを備え、
前記出力手段は、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力し、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力し、
一取引において登録された複数の預かり品について、預かり品を畳む仕上げ形態と前記預かり品を畳む以外の仕上げ形態とで分割された複数の前記第2の伝票を出力し、
前記第2の伝票として、前記業者が運営する店舗で使用される店舗控え伝票を出力可能であり、
前記店舗控え伝票においては、登録された預かり品について指定された付加価値サービスを他の項目に対して強調される態様で出力する預かり品管理装置」
と訂正する。
(3)訂正事項3
本件訂正前の請求項3に
「 前記出力手段は、
前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票および前記業者が運営する店舗で使用される店舗控え伝票を出力可能であり、
登録された預かり品の点数について他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置した前記工場控え伝票を出力し、
登録された預かり品について指定された付加価値サービスが他の項目に対して強調される態様で前記店舗控え伝票を出力する
請求項1または2に記載の預かり品管理装置」
とあるのを、本件訂正により、本件訂正前の請求項1のみを引用するものを独立形式に改め、
「 業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報を登録する登録手段と、
登録された預かり品に対応して預かり品番号の採番を行う採番手段と、
一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段とを備え、
前記出力手段は、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力し、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力し、
前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票および前記業者が運営する店舗で使用される店舗控え伝票を出力可能であり、
登録された預かり品の点数について他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置した前記工場控え伝票を出力し、
登録された預かり品について指定された付加価値サービスが他の項目に対して強調される態様で前記店舗控え伝票を出力する預かり品管理装置」
と訂正する。
(4)訂正事項4
本件訂正前の請求項4に
「 一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段であって、前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力し、前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様であるとともに仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされたうえで、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力する出力手段」
とあるのを、本件訂正により、
「 一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段であって、前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力し、前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様であるとともに仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされたうえで、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力し、前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票を出力可能であり、前記工場控えにおいては、前記預かり品番号と共に登録された預かり品の点数について、他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置して出力する出力手段」
と訂正する。
3 別の訂正単位とする求めについて
訂正後の請求項2及び請求項3については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。
4 訂正についての当審の判断
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項1~3について、請求項2及び3は、請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(2)一群の請求項1~3について
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的について
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の構成に、「前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票を出力可能であり」、「前記工場控えにおいては、前記預かり品番号と共に登録された預かり品の点数について、他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置して出力する」との構成を付加して限定するものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項但し書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項1は、上記(ア)のとおり、本件訂正前の請求項1の構成を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求項の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
特許明細書等の段落【0052】、【0063】、【0066】、【0067】、【図4】、【図9】等には、「前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票を出力可能であり、前記工場控えにおいては、前記預かり品番号と共に登録された預かり品の点数について、他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置して出力する」ことが記載されている。
よって、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(エ)独立特許要件について
本件においては、全ての請求項1~4について特許異議の申立てがなされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
イ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2を独立形式に改めた上で、本件訂正前の請求項1の構成に、「前記第2の伝票として、前記業者が運営する店舗で使用される店舗控え伝票を出力可能であり」、「前記店舗控え伝票においては、登録された預かり品について指定された付加価値サービスを他の項目に対して強調される態様で出力する」との構成を付加して限定するものである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項但し書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び、特許法第120条の5第2項但し書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項2は、上記(ア)のとおり、本件訂正前の請求項2を独立形式に改めた上で、構成を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
特許明細書等の段落【0073】、【0082】、【図5】等には、「前記第2の伝票として、前記業者が運営する店舗で使用される店舗控え伝票を出力可能であり、前記店舗控え伝票においては、登録された預かり品について指定された付加価値サービスを他の項目に対して強調される態様で出力する」ことが記載されている。
よって、訂正事項2は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(エ)独立特許要件について
本件においては、全ての請求項1~4について特許異議の申立てがなされているので、訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的について
訂正事項3は、本件訂正前の請求項3を、請求項2の引用を削除して、独立形式に書き換えたものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項但し書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び、特許法第120条の5第2項但し書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項3は、上記(ア)のとおり、請求項2の引用を削除して、独立形式に改めたものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(ウ)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
上記(ア)のとおり、本件訂正前の請求項3を、請求項2の引用を削除して、独立形式に改めたものである。
よって、訂正事項3は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(エ)独立特許要件について
本件においては、全ての請求項1~4について特許異議の申立てがなされているので、訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(3)請求項4(訂正事項4)について
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、本件訂正前の請求項4の構成に、「前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票を出力可能であり、前記工場控えにおいては、前記預かり品番号と共に登録された預かり品の点数について、他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置して出力」するとの構成を付加して限定するものである。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項但し書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項4は、上記アのとおり、本件訂正前の請求項4の構成を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
上記(2)ア(ウ)の同様の理由で、訂正事項4は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 独立特許要件について
本件においては、全ての請求項1~4について特許異議の申立てがなされているので、訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
5 訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第4号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであるから、訂正要件を満たすものである。
特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4について訂正することを認める。
そして、訂正事項2、3によって独立形式に改めた請求項2、3は、上記のとおり訂正が認められるので別の訂正単位とすることを認める。
第3 訂正後の特許請求の範囲
上記「第2」のとおり、訂正請求による特許請求の範囲の訂正は認められることから、訂正後の特許請求の範囲は、令和6年5月31日に提出された訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲に記載された、次のとおりのものである(以下、「請求項1」~「請求項4」に係る発明を、それぞれ、「本件訂正発明1」~「本件訂正発明4」といいこれらをまとめて「本件訂正発明」という。なお、下線は訂正箇所。特許権者が付与した。)。
「 【請求項1】
業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報を登録する登録手段と、
登録された預かり品に対応して預かり品番号の採番を行う採番手段と、
一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、
前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段とを備え、
前記出力手段は、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力し、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力し、
前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票を出力可能であり、
前記工場控えにおいては、前記預かり品番号と共に登録された預かり品の点数について、他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置して出力する
預かり品管理装置。
【請求項2】
業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報を登録する登録手段と、
登録された預かり品に対応して預かり品番号の採番を行う採番手段と、
一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、
前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段とを備え、
前記出力手段は、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力し、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力し、
一取引において登録された複数の預かり品について、預かり品を畳む仕上げ形態と前記預かり品を畳む以外の仕上げ形態とで分割された複数の前記第2の伝票を出力し、
前記第2の伝票として、前記業者が運営する店舗で使用される店舗控え伝票を出力可能であり、
前記店舗控え伝票においては、登録された預かり品について指定された付加価値サービスを他の項目に対して強調される態様で出力する
預かり品管理装置。
【請求項3】
業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報を登録する登録手段と、
登録された預かり品に対応して預かり品番号の採番を行う採番手段と、
一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段とを備え、
前記出力手段は、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力し、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力し、
前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票および前記業者が運営する店舗で使用される店舗控え伝票を出力可能であり、
登録された預かり品の点数について他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置した前記工場控え伝票を出力し、
登録された預かり品について指定された付加価値サービスが他の項目に対して強調される態様で前記店舗控え伝票を出力する
預かり品管理装置。
【請求項4】
コンピュータを、
業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報を登録する登録手段、
登録された預かり品に対応して預かり品番号の採番を行う採番手段、
一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段であって、前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力し、前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様であるとともに仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされたうえで、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力し、前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票を出力可能であり、前記工場控えにおいては、前記預かり品番号と共に登録された預かり品の点数について、他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置して出力する出力手段
として機能させるためのプログラム。」
第4 令和6年6月20日付け取消理由(決定の予告)の概要
令和6年6月20日付けの取消理由(決定の予告)の概要は次のとおりである。
理由1(進歩性) 請求項2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
<引用文献等一覧>
1.クリーニング流通新聞、クリーニング通信社、2018年5月10日、4頁(甲第1号証)
第5 引用文献について
1 引用文献1に記載されている事項
本件特許の出願前である2018年5月10日に公開された引用文献1(甲第1号証)には、次の事項が記載されている。なお、下線は、申立人が付与した。
「
[図:0001422391000001.jpg]
」(4頁)
2 引用文献1の記載から把握できる事項
上記1の記載から、引用文献1には、次の事項が記載されているといえる。
(1)上記1の「レジの使い勝手ってなんでしょう? お店が便利になって、受付がしやすくなって・・・。」(I欄)との記載及び全体の記載から、「お店」はクリーニング店であり、「レジ」はクリーニング店に設置されたレジである。そして、上記1の「あずかりくんの伝票特集」、「株式会社ライト 3店舗で月額利用6,000円(基本料金込) 店舗通信費0円~ ライトクラウドサービス 298,000のライトクラウドサービス用レジあずかりくんSYS-800i」、「使いやすさを伝票にも!!」(以上、I~IVの欄外。なお、引用文献1の丸数字をローマ数字で表記した。この「2」の項において、以下同じ。)との記載から、引用文献1には、「クリーニング店に設置されたライトクラウドサービス用レジ」が記載されているといえる。
(2)引用文献1には、上記1のI欄の「お客様控え」との記載、II欄から、「お預かり票」伝票は「お客様控え」として用いられるものであることが記載されているといえる。
また、上記1のII欄の「仕上り日で伝票を分けているけど、繁忙期なんか伝票が多くて。渡しそびれないように気を使うのよ。」(原文ママ)との記載、同欄の「お預かり票」及び「工場控」の図、及び技術常識から、「お預かり票」及び「工場控」の文字は、ライトクラウドサービス用レジで印字されたものであることは明らかであり、上記1のI欄の「タグ付け用店舗控え」との記載を併せると、「お預かり票」、「タグ付け用店舗控え」及び「工場控」は、ライトクラウドサービス用レジが発行することも明らかである。
さらに、上記1のII欄で示される「お預かり票」には、「新井 涼太 様」、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「4月28日夕方仕上がります」、「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「4月30日夕方仕上がります」等が印字されており、「新井 涼太 様」の行の下側の余白(行間の大きさ)は、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」の行の下側の余白よりも大きく、「4月28日夕方仕上がります」、「4月30日夕方仕上がります」の行の下側の余白は、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」の行の下側の余白よりも大きいことが看取される。
そうすると、上記(1)と併せてみると、引用文献1には、ライトクラウドサービス用レジは「「新井 涼太 様」、「No.00526」、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「4月28日夕方仕上がります」、「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「4月30日夕方仕上がります」が印字され、「新井 涼太 様」の行の下側の余白(行間の大きさ)は、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」の行の下側の余白よりも大きく、「4月28日夕方仕上がります」、「4月30日夕方仕上がります」の行の下側の余白は、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」の行の下側の余白よりも大きい「お客様控え」である「お預かり票」を発行し、また、「タグ付け用店舗控え」を発行」する機能を有することが記載されているといえる。
(3)上記1のII欄には、「●お客様用はノーカットで1枚の伝票に。」、「●伝票タイトルを白黒反転すると、区切りがわかりやすくなります。」との記載されており、さらに、白黒反転された「工場控」が印字された伝票であって、「4月30日 夕方仕上がります」、「4月28日 夕方仕上がります」が印字された2つの伝票に分割されており、それぞれ、「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「00526 02/02」、及び、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「00526 01/02」が印字されており、「4月30日 夕方仕上がります」、「4月28日 夕方仕上がります」という仕上がり日は、それぞれ、「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「00526 02/02」、及び、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「00526 01/02」の上方に印字されている伝票が看取され、「工場控」の伝票は、工場が「控え」として所持するものであるから、ライトクライドサービス用レジで発行されることは明らかである。
そして、上記(2)の「また」の段落の事項を踏まえると、引用文献1には、ライトクラウドサービス用レジは、「「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「00526 02/02」よりも上に「4月30日 夕方仕上がります」が印字された「工場控」、及び、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「00526 01/02」よりも上に「4月28日 夕方仕上がります」が印字された「工場控」を発行」する機能を有することが記載されているといえる。
3 引用文献1に記載された発明
上記2から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。
「 「新井 涼太 様」、「No.00526」、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「4月28日夕方仕上がります」、「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「4月30日夕方仕上がります」が印字され、「新井 涼太 様」の行の下側の余白(行間の大きさ)は、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」の行の下側の余白よりも大きく、「4月28日夕方仕上がります」、「4月30日夕方仕上がります」の行の下側の余白は、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」の行の下側の余白よりも大きい「お客様控え」である「お預かり票」を発行し、また、「タグ付け用店舗控え」を発行し、
「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「00526 02/02」よりも上に「4月30日 夕方仕上がります」が印字された「工場控」、及び、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「00526 01/02」よりも上に「4月28日 夕方仕上がります」が印字された「工場控」を発行する
クリーニング店に設置されたライトクラウドサービス用レジ。」
4 引用文献1に記載された、その他の技術的事項
上記1の記載から、引用文献1には、さらに次の事項が記載されているといえる。
(1)上記1のIV欄には、「工場控」伝票が示されるとともに、「●大きな文字で視認性バツグン。遠くからでもハッキリ。」と記載されており、「工場控」伝票には、「2-678 ~ 2-680」又は「2-679(3点)」が印字されてることが看取されることから、引用文献1には次の事項(以下、「技術的事項1」という。)が記載されているといえる。
「 「2-678 紳士上着・・・」、「2-679 ズボン・・・」、「2-680 礼服上」、「5月 2日夕方仕上がります」より上にかつ大きな文字で視認性バツグンであり、遠くからでもハッキリの「2-678 ~ 2-680」又は「2-679(3点)」が印字された「工場控」。」
(2)上記1のIII欄には、「新井 涼太 様」、「2-651 Yシャツタタミ ・・・」、白黒反転した「しみ抜き」、「5月2日夕方仕上がります」、「2-652 コート ・・・」、白黒反転した「デラックス」、「5月2日夕方仕上がります」等が印字された「お預かり票」が示されるとともに、「付加価値品に力を入れてるけど、タグつけ忘れとかたまにあるのよね。タグがないと工場には伝わらないし。」、「●付加価値品やコースを白黒反転。」、「●格段の見やすさで、作業漏れを防ぎます。」、「●仕上り品のチェックにも活用しやすいですね。」と記載されており、「工場控」と「お客様控え」とに印刷される内容は、配置は別にして、顧客が個々の衣類に対して依頼した付加価値を、工場の作業者が実行する必要があることから、「工場控」においても「しみ抜き」、「デラックス」は、「お預かり票」と同じ「付加価値コースを白黒反転」した態様で印字されることは明らかであり、「お預かり票」は、「タグ付け用店舗控え」として使用されることも明らかである。
また、上記1のIII欄で示される「お預かり票」から、「2-651 Yシャツタタミ ・・・」、白黒反転した「しみ抜き」、「5月2日夕方仕上がります」との預かり品に関する印字と、「2-652 コート ・・・」、白黒反転した「デラックス」、「5月2日夕方仕上がります」との預かり品に関する印字とは、太線によって領域を区別されて印字されていることが看取される。
そうすると、引用文献1には次の事項(以下、「技術的事項2」、「技術的事項3」という。)が記載されているといえる。
(技術的事項2)
「 「お預かり票」と同じ態様で、「2-651 Yシャツタタミ ・・・」、白黒反転した「しみ抜き」、「5月2日夕方仕上がります」との預かり品に関する印字と、「2-652 コート ・・・」、白黒反転した「デラックス」、「5月2日夕方仕上がります」との預かり品に関する印字とが、太線によって領域を区別されて印字された「工場控」。」
(技術的事項3)
「 タグ付けのために使用され、「2-651 Yシャツタタミ ・・・」、白黒反転した「しみ抜き」、「5月2日夕方仕上がります」との預かり品に関する印字と、「2-652 コート ・・・」、白黒反転した「デラックス」、「5月2日夕方仕上がります」との預かり品に関する印字とが、太線によって領域を区別されて印字された「お預かり票」と同じ態様で「しみ抜き」、「デラックス」が印字された「タグ付け用店舗控え」。」
第6 取消理由(決定の予告)についての当審の判断
1 対比
本件訂正発明2と引用発明1とを対比する。
(1)本件訂正発明2の「業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報を登録する登録手段」について
引用発明1は「クリーニング店に設置されたライトクラウドサービス用レジ」の発明であるから、引用発明1の「お預かり票」、「タグ付け用店舗控え」及び「工場控」に印字された「Yシャツ」、「ジャンパー」、「礼服ズボン」、「礼服上」は、本件訂正発明2の「業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品」に相当する。
そして、引用発明1において、客が持ち込んだ「Yシャツ」、「ジャンパー」、「礼服ズボン」、「礼服上」を、クリーニング店の従業者が、持ち込まれた情報として、クリーニング店に設置されたライトクラウドサービス用レジに入力することは、当然に行われる事項であり、クリーニング店に設置されたライトクラウドサービス用レジは、「Yシャツ」、「ジャンパー」、「礼服ズボン」、「礼服上」を、情報として登録する機能を有することは明らかであるから、引用発明1の、登録される「Yシャツ」、「ジャンパー」、「礼服ズボン」、「礼服上」の情報は、本件訂正発明2の「業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報」に相当し、引用発明1の当該情報として登録する機能を実現するための手段は、本件訂正発明2の「業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報を登録する登録手段」に相当する。
(2)本件訂正発明2の「登録された預かり品に対応して預かり品番号の採番を行う採番手段」について
クリーニングサービスにおいて、客が持ち込んだ「Yシャツ」、「ジャンパー」、「礼服ズボン」、「礼服上」に対して、クリーニング店の端末によって、これらを管理するために番号を付与することは一般的に行われている事項であるから、引用発明1の客が持ち込んだ「Yシャツ」、「ジャンパー」、「礼服ズボン」、「礼服上」に付与された、「2-645」~「2-650」は、本件訂正発明2の「登録された預かり品に対応」する「預かり品番号」に相当する。
そして、引用発明1において、「クリーニング店に設置されたライトクラウドサービス用レジ」の上記管理するために番号を付与する機能を実現する手段は、本件訂正発明2の「登録された預かり品に対応して預かり品番号の採番を行う採番手段」に相当する。
(3)本件訂正発明2の「一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段」について
引用発明1の「お預かり票」及び「工場控」に日時と共に印字された「00526」は、同じ1つの取引を特定・管理するための番号であることは明らかである。
また、引用発明1の「お預かり票」は「お客様控え」である点で、本件訂正発明2の「一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、前記客に渡される第1の伝票」に相当し、引用発明1の「工場控」は、工場において業者が作業を行うために使用する点で、本件訂正発明2の「一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として」、「前記業者による作業にて使用される第2の伝票」に相当し、また、引用発明1の「タグ付け用店舗控え」も、店舗において業者がタグ付けを行うためのものであって、タグ付けのためには、預かり品に関連する情報が印字され「お預かり票」及び「工場控」と同様に、同じ1つの取引を特定・管理するための情報が印字されていることは明らかである点で、本件訂正発明2の「一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として」、「前記業者による作業にて使用される第2の伝票」に相当する。
そして、引用発明1において、「クリーニング店に設置されたライトクラウドサービス用レジ」は「お預かり票」、「タグ付け用店舗控え」及び「工場控」を発行する機能を実現する手段は、本件訂正発明2の「一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段」に相当する。
(4)本件訂正発明2の「前記出力手段は」、「前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力し」について
引用発明1は、「「新井 涼太 様」、「No.00526」、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「4月28日夕方仕上がります」、「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「4月30日夕方仕上がります」が印字され、「新井 涼太 様」の行の下側の余白(行間の大きさ)は、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」の行の下側の余白よりも大きく、「4月28日夕方仕上がります」、「4月30日夕方仕上がります」の行の下側の余白は、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」の行の下側の余白よりも大きい「お客様控え」である「お預かり票」を発行」するものである。 そして、引用発明1の「お預かり票」に印字される、「新井 涼太 様」、「No.00526」、「4月28日夕方仕上がります」、「4月30日夕方仕上がります」は、「2-645」~「2-650」とは異なる意味を持つ項目である点で、本件訂正発明2の「他の項目」に相当する。
また、引用発明1において、「お預かり票」に印字される「2-645」~「2-650」は、「新井 涼太 様」、「No.00526」、「4月28日夕方仕上がります」、「4月30日夕方仕上がります」と比較して、余白の大きさ基づいて目を引くものではないことは明らかである。
そうすると、引用発明1の「2-645」~「2-650」とともに、「新井 涼太 様」、「No.00526」、「4月28日夕方仕上がります」、「4月30日夕方仕上がります」が印字される「お預かり票」を発行することは、上記(3)を踏まえると、本件訂正発明2の「前記出力手段は」、「前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力」することに相当する。
(5)本件訂正発明2の「前記出力手段は」、「前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力し」について
上記(1)でみたとおり、引用発明1において、客が持ち込んだ「Yシャツ」、「ジャンパー」、「礼服ズボン」、「礼服上」を、クリーニング店の従業者が、持ち込まれた情報として、クリーニング店に設置されたライトクラウドサービス用レジに入力することは、当然に行われる事項であるから、引用発明1の、クリーニング店に設置されたライトクラウドサービス用レジに入力された「Yシャツ」、「ジャンパー」、「礼服ズボン」、「礼服上」の情報は、本件訂正発明2の「登録情報」に相当し、引用発明1の「工場控」において、「「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「00526 02/02」」よりも上に印字された「4月30日 夕方仕上がります」、及び「「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「00526 01/02」」よりも上に印字された「4月28日 夕方仕上がります」は、本件訂正発明2の「他の項目」に相当し、引用発明1の「4月30日」及び「4月28日」は、本件訂正発明2の「仕上がり日」に相当する。
また、引用発明1の「「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「00526 02/02」よりも上に「4月30日 夕方仕上がります」が印字された「工場控」、及び、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「00526 01/02」よりも上に「4月28日 夕方仕上がります」が印字された「工場控」」は、本件訂正発明2の「前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票」と、「前記採番手段により採番された預かり品番号と他の項目とを含み、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票」との点で共通する。
そうすると、引用発明1の「工場控」を発行することは、上記(3)を踏まえると、本件訂正発明2の「前記出力手段は」、「前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力する」と、「前記採番手段により採番された預かり品番号と他の項目とを含み、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力する」との点で、共通する。
(6)本件訂正発明2の「預かり品管理装置」について
引用発明1の「クリーニング店に設置されたライトクラウドサービス用レジ」は、上記(1)~(5)のとおりの機能を実現する点で、後述する相違点は別にして、本件訂正発明2の「預かり品管理装置」に相当する。
(7)そうすると、本件訂正発明2と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報を登録する登録手段と、
登録された預かり品に対応して預かり品番号の採番を行う採番手段と、
一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段とを備え、
前記出力手段は、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力し、
前記採番手段により採番された預かり品番号と他の項目とを含み、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力する
預かり品管理装置。
<相違点>
(相違点1)
本件訂正発明2は、「前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ」るのに対して、引用発明1は、「「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「00526 02/02」よりも上に「4月30日 夕方仕上がります」が印字され」、「「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「00526 01/02」よりも上に「4月28日 夕方に仕上がります」が印字され」るものの、「2-645」~「2-650」が、「新井 涼太 様」、「No.00526」、「4月28日夕方仕上がります」、「4月30日夕方仕上がります」とするものであって、「預かり品番号」が、「仕上がり日及び登録情報」よりも「上方」に位置しておらず、「他の項目」に対して「強調」されていない点。
(相違点2)
本件訂正発明2は、「一取引において登録された複数の預かり品について、「預かり品を畳む仕上げ形態」と「前記預かり品を畳む以外の仕上げ形態」とで分割された複数の前記第2の伝票を出力」し、「前記第2の伝票として、前記業者が運営する店舗で使用される店舗控え伝票を出力可能であ」り、「前記店舗控え伝票においては、登録された預かり品について指定された付加価値サービスを他の項目に対して強調される態様で出力する」のに対し、引用発明1は、「「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「00526 02/02」よりも上に「4月30日 夕方仕上がります」が印字された「工場控」、及び、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「00526 01/02」よりも上に「4月28日 夕方仕上がります」が印字された「工場控」」として分割された工場控えを印字するものであって、「仕上げの態様」に基づいて分割されておらず、「前記第2の伝票として、前記業者が運営する店舗で使用される店舗控え伝票を出力可能であ」るか定かではない点。
2 相違点の判断
(1)相違点1について
引用文献1には、上記「第5」の4(1)のとおりの技術的事項1が記載されており、技術的事項1の「5月 2日夕方仕上がります」の「5月 2日」は、本件訂正発明2の「仕上がり日」に相当し、また、技術的事項1の「2-678 紳士上着・・・」、「2-679 ズボン・・・」、「2-680 礼服上」は、「紳士上着」、「ズボン」、「礼服上」を含む点で、本件訂正発明2の「登録情報」に相当するものである。また、技術的事項1の「「2-678 紳士上着・・・」、「2-679 ズボン・・・」、「2-680 礼服上」」「より上」にかつ「大きな文字」で「視認性バツグンであり、遠くからでもハッキリ」印字された「2-678 ~ 2-680」は、本件訂正発明2の「他の項目に対して強調される態様で仕上がり日及び登録情報」「よりも上方に位置する」「前記採番手段により採番された預かり品番号」に相当する。
そうすると、引用発明1に上記技術的事項1を適用することで、上記相違点1の構成とすることは当業者が容易に想到することができた事項である。
(2)相違点2について
引用文献1には、上記「第5」の4(2)のとおりの技術的事項2が記載されており、技術的事項2の「タタミ」は、本件訂正発明2の「畳む仕上げ形態」に相当し、技術的事項2において「デラックス」は、本件訂正発明2の「畳む以外の仕上げ形態」に相当する。
そして、技術的事項2は、太線によって、「2-651 Yシャツタタミ ・・・」、白黒反転した「しみ抜き」、「5月2日夕方仕上がります」との預かり品に関する印字と、「2-652 コート ・・・」、白黒反転した「デラックス」、「5月2日夕方仕上がります」との預かり品に関する印字とを区別して印字していることから、引用発明1に引用文献1に記載された技術的事項2を適用することで、工場控を、「畳む仕上げ形態」の工場控と、畳む以外の仕上げの形態」の工場控えとに分割することで、本件訂正発明2の「前記出力手段」が「一取引において登録された複数の預かり品について、預かり品を畳む仕上げ形態と前記預かり品を畳む以外の仕上げ形態とで分割された複数の前記第2の伝票を出力」する構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
また、引用文献1には、上記「第5」の4(2)のとおりの技術的事項3が記載されており、技術的事項3の「しみ抜き」、「デラックス」は、本件訂正発明2の「付加価値サービス」に相当し、また、技術的事項3の「しみ抜き」、「デラックス」が「白黒反転」して印字されることは、本件訂正発明2の「強調する態様」で出力されることに相当する。
そして、「タグ付け用店舗控え」である「お預かり票」は、客に渡されるものではない点で、本件訂正発明2の「第2の伝票」に相当し、クリーニング店で出力されることは明らかである。
そうすると、引用発明1に引用文献1に記載された技術的事項3を適用することで、本件訂正発明2の「前記出力手段」が「前記第2の伝票として、前記業者が運営する店舗で使用される店舗控え伝票を出力可能であ」り、「前記店舗控え伝票においては、登録された預かり品について指定された付加価値サービスを他の項目に対して強調される態様で出力する」構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
よって、本件訂正発明2は、引用発明1及び技術的事項1~技術的事項3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)効果について
上記相違点1、2の構成とすることで奏する効果は、当業者が予測し得た事項の範囲内である。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明2は、引用発明1及び技術的事項1~技術的事項3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 採用しなかった申立理由について
申立人がする上記「第4」以外の主張は、次のとおりである。
なお、理由番号は当審で付与した。
1 理由1(甲1を主引用例とする新規性・進歩性)
(1)理由1-1-1(請求項1)、理由1-1-4(請求項4)
請求項1、4に係る発明は、甲1に記載された発明である。
(2)理由1-2-1(請求項1)、理由1-2-4(請求項4)
請求項1、4に係る発明は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)理由1-3
請求項3に係る発明は、甲1に記載された発明及び周知技術又は公知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 理由2(甲6を主引用例とする新規性・進歩性)
請求項1、3、4に係る発明は、甲6に記載された発明及び甲1に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、それぞれの請求項に対する理由を、理由2-1、理由2-3、理由2-4という。
3 理由3(明確性)
請求項1、4の「登録情報」が不明確であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
4 証拠方法
申立人は、次の甲第1号証~甲第6号証を証拠として提出した。
甲第1号証 :クリーニング流通新聞、クリーニング通信社、2018年5月10日
甲第2号証の1:クリーニング受付POSシステムの操作マニュアル、株式会社日本ソフトウェアシステム、2015年11月
甲第2号証の2:株式会社日本ソフトウェアシステムのウェブページ、[online]、2012年9月28日、[検索日2023年9月7日]、インターネット<https://web.archive.org/web/20120928052209/http://www.nssystem.co.jp:80/pos.html>
甲第3号証の1:株式会社シーフォース、「C★STAR TypeII」のカタログ
甲第3号証の2:株式会社シーフォースのウェブページ、取扱い商品、[online]、2016年5月5日、[検索日2023年9月7日]、インターネット、<https://web.archive.org/web/20160505100216/http://www.cfourth.com:80/product>(甲第3号証の1が、2016年5月5日以前に公知になっていたことを示す証拠)
甲第4号証の1:株式会社新日本商事、「ロボットタッチ グリーン」のカタログ
甲第4号証の2:CLEANING NAVIのウェブページ、【クリーニング口座#6】みんな知らないクリーニング業界用語 仕上げの種類、[online]、2019年11月8日、[検索日2023年8月9日]、インターネット<https://cleaning-navi.amebaownd.com/posts/7256397/>
甲第5号証 :商標登録第4853608号公報
甲第6号証 :特開2012-105731号公報
また、甲第1号証~甲第6号証を、以下、それぞれ、「甲1」~「甲6」という。
第8 採用しなかった申立理由に対する当審の判断
1 甲号証に記載された事項、甲号証に記載された発明について
(1)甲1(引用文献1)について
本件特許の出願前である2018年(平成30年)5月10日に公開された甲1には、上記「第5」の3のとおりの「引用発明1」が、また同4のとおり、「技術的事項1」~「技術的事項3」が記載されている。
(2)甲2の1について
本件特許の出願前である2015年(平成27年)11月に公開された甲2の1には、次の事項が記載されている。
「このたびは当社のPOSシステムをご購入いただきありがとうございます。
このマニュアルはPOSを操作をするために準備しました。」(3頁、原文ママ)
「・登録預品分類区分・・・その商品がなんであるか、預品の分類区分です。
0:商品丸めコード、1:預かり商品、2:修理加工品、3:物品販売品、
4:保管(たたみ・立体・大物)、5:値引き・金券、6:割引、7:単価変更、8:未収金
A:コメント(キズあり・ボタン無し・しみあり)
・・・
・保管区分の設定 ※
・・・
* ※印しの項目は伝票の振り分けが出来ます。」(7頁)
(3)甲3の1について
本件特許の出願前である2016年(平成28年)5月5日以前(甲3の2参照)に公開された甲3の1には、次の事項が記載されている。
「
[図:0001422391000002.jpg]
」(1頁)
なお、赤丸は、申立人が付与した。
「複雑な伝票割引が可能
商品の洗いや仕上、納期による分割だけでなく、デラックスコースなどのハイクラス商品の分割、加工などの特定の付加価値付商品の分割まで自動で行うことが可能です。」(3頁、原文ママ)
(4)甲4の1について
甲4の1には、次の事項が記載されている。なお、甲4の1の公知日は判然としないものの、ここでは、甲4の1の「基本構成」の「ハードウェア構成」として「Windows 7 Home Premium 32ビット」との記載から、甲4の1を本件特許の出願前に公知になったものと仮定する。
「
[図:0001422391000003.jpg]
」(1頁)
「POINT 4 スムーズ伝票分割
平面、立体で分割、または洗い区分でも組み合わせても可能です。サーマル、複写伝票OK。」(2頁)
(5)甲4の2について
甲4の2は、本件特許の出願日である平成30年7月6日より後である2019年(令和元年)11月8日に公開された文献である。
他方、甲4の2は、クリーニグ業界における一般的な用語を説明するものであるから、その意味において、甲4の2の記載事項を確認する。
「2 たたみとは
それでは たたみ ってなんなん?
っていう声が聞こえてきます。
たたみとは手仕上げの商品で折りたたんだ商品のことを たたみ と呼びます。
また、平面 とも呼ぶことがあります。
手仕上げ加工をしているため、その分手間もかかる仕上げです。」
(6)甲6について
ア 甲6の記載されている事項
甲6には、次の事項が記載されている。なお、下線は、当審で付与した。
「【0016】
図1において、1はクリーニング物管理装置で、このクリーニング物管理装置1は、例えば単一のクリーニング工場およびこの工場との間でクリーニング物Aの出入荷を行う複数のクリーニング店において用いられ、顧客から預かった複数のクリーニング物Aを管理するシステムである。
【0017】
なお、クリーニング物Aは、クリーニング工場でクリーニング処理されるクリーニング品(商品)であって、例えば衣類(ズボン、ワイシャツ等)、靴、布団、および毛布等である。そして、クリーニング物Aには、その1点ごとに無線式のICタグ(RF IDタグ)2と紙製の連番タグ(識別タグ)3とが取り付けられる。なお、ICタグ2および連番タグ3は、クリーニング物管理装置1の一部を構成する。
【0018】
クリーニング物管理装置1は、図1に示されるように、クリーニング物Aに関するレジスタ処理を行うレジスタ手段であるPOSレジスタ4と、このPOSレジスタ4に電気的に接続され、主としてクリーニング物Aに取り付けられる前のICタグ2のID情報であるID番号情報(タグID番号情報)を読み取る読取手段であるICリーダ5とを備えている。これらPOSレジスタ4およびICリーダ5は、例えば顧客との間でクリーニング物Aの受け渡しを行う各クリーニング店に設置されている。
【0019】
POSレジスタ4は、情報入力部6、情報記憶部7、情報処理部8、および情報出力部9等を有している。
【0020】
情報入力部6は、例えば情報表示部を兼ねたタッチパネル等にて構成されたもので、クリーニング物Aに関するクリーニング情報を入力するためのものである。なお、情報入力部6は、キーボードおよびマウス等からなるものでもよい。
【0021】
情報記憶部7は、例えばRAMおよびハードディスク等にて構成されたもので、クリーニング物Aに関するクリーニング情報、ICタグ2のID番号情報、および連番タグ3の連番情報等を記憶するものである。
【0022】
なお、クリーニング情報は、例えば顧客情報(顧客氏名、顧客住所、顧客番号等)、および物品情報(品名、その色や材質、請求金額、クリーニング仕様内容、伝票番号、物品点数等)を含むものである。
【0023】
情報処理部(情報関連付け部)8は、例えばCPU等にて構成されたものである。そして、情報処理部8は、例えばクリーニング物Aの預かり時にクリーニング店の店員による操作に基づいて情報入力部6からクリーニング情報が入力された場合に、この入力されたクリーニング情報と、その入力により設定された連番タグ3の連番情報と、クリーニング物Aの預かり時(顧客の来店時)よりも前に予めICリーダ5による読み取りに基づいて情報記憶部7にストックID番号情報として記憶された複数のID番号情報のうちの所定のID番号情報とを互いに関連付ける処理を行う。また、情報処理部8は、クリーニング物Aに関するレジスタ処理等を行う。
【0024】
情報出力部9は、例えば伝票発行手段であるプリンタ等にて構成されたものである。そして、情報出力部9は、例えば情報処理部8にて互いに関連付けられたクリーニング情報、連番情報およびID番号情報等が記載された預かり伝票(預かり証)を各顧客ごとに出力発行する。このため、例えばクリーニング店の店員(作業員)は、情報出力部9が出力発行した預かり伝票に記載されたID番号情報とICタグ2のID番号表示2aとを目視確認しながら、ICタグ2を対応するクリーニング物Aに取り付けることが可能である。なお、POSレジスタ4は、特開2006-99589号公報記載の機能を備えたものであることが好ましい。」
「【0036】
連番タグ3は、従来から周知である耐洗紙等からなる使い捨てのもので、この連番タグ3の表面には、アセンブリ作業等を容易にするための連番情報に対応した連番表示3aが付されている(図7参照)。そして、連番タグ3は、クリーニング物Aの預かり時に例えばホッチキス等によってクリーニング物Aに取り付けられて、クリーニング物Aの返却時には取り外されない。顧客は、次にクリーニング物Aを着る際に、連番タグ3をクリーニング物Aから取り外す。」
「【0043】
そして、顧客の来店があり、その顧客からクリーニング物Aを預かる場合、まず、クリーニング店の店店員は、POSレジスタ4の情報入力部6を操作し、入力すべきクリーニング情報(顧客番号、品名、その色や材質、クリーニング仕様内容等)を入力する。
【0044】
すると、POSレジスタ4の情報処理部8は、入力されたクリーニング情報と、その入力により各クリーニング物Aごとに自動的に連番設定された連番タグ3の連番情報と、予めストックしておいた複数のID番号情報のうちの所定のID番号情報とを互いに関連付けるとともに、これら関連付けられた情報をサーバ16に送信する。」
「【0046】
続いて、POSレジスタ4の情報出力部9は、情報処理部8にて互いに関連付けられたクリーニング情報、連番情報およびID番号情報等が記載された預かり伝票をレシート形式で例えば2部発行する。店員はその1部を顧客に渡し、もう1部を控えとして保管する。
【0047】
図5には預かり伝票の一例を示す。この例では、「ズボン」に対して「1-234」(連番情報)と「6745」(ID番号情報)とが関連付けられて表示され、「ワイシャツ」に対して「1-235」(連番情報)と「6749」(ID番号情報)とが関連付けられて表示されている。」
「【0055】
そして、ICタグ2が「永続タグ」として取り付けられる場合には、その「永続タグ」に関連付けられたクリーニング情報(顧客番号、品名、その色や材質、クリーニング仕様内容等)が、その「永続タグ」のID番号情報とともに情報記憶部7に登録される。」
「【0075】
さらに、連番タグ3とICタグ2との両方がクリーニング物Aに取り付けられているため、クリーニング処理後のアセンブリ作業を容易に行うことができる。」
「
[図:0001422391000004.jpg]
」(【図5】
なお、上記【図5】から、「預かり伝票には、連番情報、品名の他に「伝票番号:678」、「顧客番号」、「ID番号」として「6745」及び「6749」、「金額」として「400円」及び「200円」、「合計2点600円」が表示され」ていることが看守される。
イ 甲6に記載された発明
上記アから、甲6には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されているといえる。
「 クリーニング工場およびこの工場との間でクリーニング物Aの出入荷を行う複数のクリーニング店において用いられ、顧客から預かった複数のクリーニング物Aを管理するシステムであるクリーニング物管理装置1が備えているクリーニング物Aに関するレジスタ処理を行うレジスタ手段であるPOSレジスタ4であって(【0016】、【0018】)、
クリーニング物Aは、クリーニング工場でクリーニング処理されるクリーニング品(商品)であって、衣類(ズボン、ワイシャツ等)、靴、布団、および毛布等であり、紙製の連番タグ(識別タグ)3とが取り付けられ(【0017】)、
POSレジスタ4は、情報入力部6、情報出力部9等を有しており(【0019】)、
クリーニング情報は、物品情報(品名、その色や材質、請求金額、クリーニング仕様内容、伝票番号、物品点数等)を含み(【0022】)、
情報出力部9は、伝票発行手段であるプリンタ等にて構成されたものであって、互いに関連付けられたクリーニング情報、連番情報が記載された預かり伝票(預かり証)を各顧客ごとに出力発行し(【0024】)、
連番タグ3は、従来から周知である耐洗紙等からなる使い捨てのもので、この連番タグ3の表面には、アセンブリ作業等を容易にするための連番情報に対応した連番表示3aが付されており(【0036】)、
顧客の来店があり、その顧客からクリーニング物Aを預かる場合、まず、クリーニング店の店員は、POSレジスタ4の情報入力部6を操作し、入力すべきクリーニング情報を入力し(【0043】)、
POSレジスタ4は、入力されたクリーニング情報と、その入力により各クリーニング物Aごとに自動的に連番設定された連番タグ3の連番情報とを互いに関連付け(【0023】【0044】)、
POSレジスタ4の情報出力部9は、互いに関連付けられたクリーニング情報、連番情報等が記載された預かり伝票をレシート形式で2部発行し、店員はその1部を顧客に渡し、もう1部を控えとして保管し(【0046】)、
預かり伝票には、「ズボン」に対して「1-234」(連番情報)、が関連付けられて表示され、「ワイシャツ」に対して「1-235」(連番情報)が関連付けられて表示されており(【0047】、【図5】)、
預かり伝票には、連番情報、品名の他に「伝票番号:678」、「顧客番号」、「ID番号」として「6745」及び「6749」、「金額」として「400円」及び「200円」、「合計2点600円」が表示される(【図5】)、
POSレジスタ4。」
以下、事案に鑑み、新規性・進歩性(本件訂正発明1、3、4の順)、明確性の順で検討をする。
2 本件訂正発明1の新規性・進歩性について
(1)理由1-1-1(新規性)、理由1-2-1(進歩性)、理由2-1(進歩性)について
ア 本件訂正発明1と本件訂正発明2との関係について
本件訂正発明1と本件訂正発明2とは、
「 業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報を登録する登録手段と、
登録された預かり品に対応して預かり品番号の採番を行う採番手段と、
一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、
前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段とを備え、
前記出力手段は、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力し、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力し、」(以下、「構成A」という。)
との点で、共通の構成を有し、
本件訂正発明1は、本件訂正発明2の「一取引において登録された複数の預かり品について、預かり品を畳む仕上げ形態と前記預かり品を畳む以外の仕上げ形態とで分割された複数の前記第2の伝票を出力し」との構成を有しておらず、
本件訂正発明1は、「前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票を出力可能であり」との構成を有しているのに対し、本件訂正発明2は、「前記第2の伝票として、前記業者が運営する店舗で使用される店舗控え伝票を出力可能であり」との構成を有しており、
本件訂正発明1は、「前記工場控えにおいては、前記預かり品番号と共に登録された預かり品の点数について、他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置して出力する」との構成を有しているのに対して、本件訂正発明2は、そのような構成を有しておらず、
本件訂正発明1は、本件訂正発明2の「前記店舗控え伝票においては、登録された預かり品について指定された付加価値サービスを他の項目に対して強調される態様で出力する」との構成を有していない点で、構成を異にする。
イ 対比
本件訂正発明1と、引用発明1とを対比する。
(ア)本件訂正発明1の構成Aについて
上記アの構成Aについては、上記「第6」の1(1)~(5)のとおりである。
(イ)本件訂正発明1の「前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票を出力可能であり」について
引用発明1は「「2-648 ジャンパー ・・・」、「2-649 礼服ズボン ・・・」、「2-650 礼服上 ・・・」、「00526 02/02」よりも上に「4月30日 夕方仕上がります」が印字された「工場控」、及び、「2-645 Yシャツタタミ ・・・」、「2-646 Yシャツタタミ ・・・」、「2-647 Yシャツタタミ ・・・」、「00526 01/02」よりも上に「4月28日 夕方仕上がります」が印字された「工場控」を発行する」ものである。
そうすると、引用発明1の「クリーニング店に設置されたライトクラウドサービス用レジ」が「工場控」を発行する機能を備えることは、本件訂正発明1の「前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票を出力可能」であることに相当する。
(ウ)本件訂正発明1の「預かり品管理装置」について
引用発明1の「クリーニング店に設置されたライトクラウドサービス用レジ」は、上記(ア)、(イ)のとおりの機能を実現する点で、後述する相違点は別にして、本件訂正発明1の「預かり品管理装置」に相当する。
(エ)そうすると、本件訂正発明1と引用発明1との一致点及び又は相違点は、次のとおりである。
<一致点>
業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報を登録する登録手段と、
登録された預かり品に対応して預かり品番号の採番を行う採番手段と、
一取引において登録された預かり品に関連する項目が印刷された媒体として、前記客に渡される第1の伝票および前記業者による作業にて使用される第2の伝票を出力する出力手段とを備え、
前記出力手段は、
前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調されない態様で前記第1の伝票を出力し、
前記採番手段により採番された預かり品番号と他の項目とを含み、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票を出力し、
前記第2の伝票として、前記業者が運営する工場で使用される工場控え伝票を出力可能である
預かり品管理装置。
<相違点>
本件訂正発明1は、「前記工場控えにおいては、前記預かり品番号と共に登録された預かり品の点数について、他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置して出力する」であるのに対して、引用発明1は、そのような構成になっているのか定かではない点。
ウ 理由1-1-1(新規性)について
上記イのとおり、本件訂正発明1と引用発明1との間には相違点があり、実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は、引用発明1ではない。
よって、本件訂正発明1は、新規性を有する。
エ 理由1-2-1(進歩性)、理由2-1(進歩性)について(相違点の判断)
引用文献1(甲1)のII欄及びIV欄には、「工場控」の例が示されている。そして、工場控え伝票を、アセンブリ作業の際に親ハンガーのクリップにて挟持されることが技術常識であるとしても、引用文献1に示されている「工場控」は概念図にすぎず、この「工場控」がクリップで挟まれるときの状況を考慮した例であることは、引用文献1には記載も示唆もされていない。このため、引用発明1の「工場控」伝票に、「クリップに挟む位置を示すクリップ用領域」を設けようとする動機付けはない。
そうすると、当該相違点の構成は、引用発明1に基づいて、当業者であっても容易に想到することができたものではない。
また、甲2の1、甲3の1、甲4の1、甲4の2、甲6にも、「クリップに挟む位置を示すクリップ用領域」について、記載も示唆もされていない。
このため、引用発明1に、甲2の1、甲3の1、甲4の1、甲4の2に記載された事項、甲6発明を適用しても、当該相違点の構成に至らないことは明らかである。
そうすると、当該相違点の構成は、引用発明1、甲2の1、甲3の1、甲4の1、甲4の2に記載された事項、甲6発明に基づいて、当業者であっても容易に想到することができたものではない。
さらに、上記のとおりであるから、甲6発明を主引用発明とし、甲6発明に、引用発明1を適用しても、当該相違点の構成に至らないことは明らかである。
また、当該相違点の構成とすることで、「このようにクリップ用領域CLPにおいて・・・、クリップで挟んでも工場控え伝票VC2に印刷された情報がクリップによって隠されてしまうことがない。」(本件特許明細書【0066】)との、格別顕著な作用効果を奏するものである。
オ 小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、引用発明1ではなく(理由1-1-1)、本件訂正発明1は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない(理由1-2-1)。また、本件訂正発明1は、甲6発明、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない(理由2-1)。
3 本件訂正発明3の進歩性(理由1-3、理由2-3)について
(1)本件訂正発明3と本件訂正発明1との関係について
本件訂正発明3と本件訂正発明1とを比較すると、本件訂正発明3は「登録された預かり品の点数について他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置した前記工場控え伝票を出力し」との構成を有しており、本件訂正発明1は、「前記工場控えにおいては、前記預かり品番号と共に登録された預かり品の点数について、他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置して出力する」構成を有していることから、どちらも、「工場控え(伝票)」が「クリップ用領域」を有する点で、少なくとも共通の構成を有している。
(2)対比・相違点の判断
本件訂正発明3と引用発明1とを対比すると、上記(1)のとおりであるから、本件訂正発明3は、「工場控え伝票」が「クリップに挟む位置を示すクリップ用領域」を有するのに対して、引用発明1は、そのような構成を有していない点で、少なくとも相違する。
このため、当該相違点についての判断は、上記2(1)エのとおりであるから、引用発明1及び甲6発明のどちらを主引用発明であるとしても、当該相違点の構成とすることは、当業者であっても容易に想到することができたものではない。
そして、当該相違点によって奏する効果も、上記2(1)エのとおり、格別顕著な作用効果を奏するものである。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明3は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない(理由1-3)。また、本件訂正発明3は、甲6発明、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない(理由2-3)。
4 本件訂正発明4の新規性・進歩性(理由1-1-4(新規性)、理由1-2-4(進歩性)、理由2-4(進歩性))について
(1)本件訂正発明4と本件訂正発明1との関係について
本件訂正発明4は、「預かり品管理装置」の発明である本件訂正発明1を「プログラム」の発明としたものであって、その構成は、本件訂正発明1の構成を、プログラムの発明に適合するようしたのみである。
(2)対比・相違点の判断
上記(1)のとおりであるから、本件訂正発明4と、引用発明1をプログラムに書き換えた発明(以下、「引用発明1B」という。)とを対比すると、実質的に、上記2(1)イのとおりであるから、
本件訂正発明4は、「前記工場控えにおいては、前記預かり品番号と共に登録された預かり品の点数について、他の項目に対して強調される態様とし、クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置して出力する」ものであるのに対して、引用発明1Bは、そのような構成を有していない点
で相違する。
このため、上記2(1)ウのとおり、当該相違点は、実質的な相違点であるから、本件訂正発明4は、引用発明1Bではない(理由1-1-4)。
また、当該相違点についての判断は、上記2(1)エのとおりであるから、引用発明1B及び甲6発明をプログラムに書き換えた発明(以下、「甲6発明B」という。)のどちらを主引用発明であるとしても、当該相違点の構成とすることは、当業者であっても容易に想到することができたものではない。
そして、当該相違点によって奏する効果も、上記2(1)エのとおり、格別顕著な作用効果を奏するものである。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明4は、引用発明1Bではなく(理由1-1-4)、本件訂正発明4は、引用発明1Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない(理由1-2-4)。また、本件訂正発明4は、甲6発明B、引用発明1Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない(理由2-4)。
5 本件訂正発明1、4(明確性)について
(1)申立人の主張の概要
「本件発明1の構成1F及び本件訂正発明4の構成4Dには、「・・・仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置する・・・」とあるが、この「登録情報」が具体的にどのような情報を意味するのか不明であり、当該「登録情報」として、如何なる情報が含まれるのかも不明である。」(申立書32頁)
(2)当審の判断
本件訂正発明1は、「業者が客からクリーニングの対象として預かる預かり品に関する預かり品情報を登録する登録手段」、「前記採番手段により採番された預かり品番号が他の項目に対して強調される態様で仕上がり日及び登録情報よりも上方に位置するようにされ、前記登録された預かり品の仕上がり日に対応して分割した複数の前記第2の伝票」との構成を有する(下線は、当審で付与した。以下、同じ。)。
このため、「登録情報」は、登録手段によって登録された「預かり品に関する預かり品情報」であると解釈される。
この点、本件特許明細書には、「登録情報」について、次の事項が記載されている。
「【0013】
手順2[会計]
客CSからのクリーニング処理の依頼を受けた店員CLは、預かったクリーニング対象品(預かり品)を対象として会計を行う。会計に際して、店員CLは、POS端末20を操作して、預かり品を登録する操作を行う。会計において、POS端末20は、例えば店員CLの操作に応じて、預かり品のクリーニング処理に関する料金についての決済処理を実行する。」
「【0048】
次に、図4を参照して、工場控え伝票VC2(VC2-1、VC-2)の印刷内容例について説明する。
同図の工場控え伝票VC2は、図3に示した客控え伝票VC3と同じ受注内容に対応する。工場控え伝票VC2も、客控え伝票VC3と同様に、一取引に対応する預かり品について異なる仕上がり日により区分される場合には、仕上がり日に応じた返却単位ごとに対応して複数が発行される。」
「【0054】
会員番号領域AR35は、対応のクリーニング処理を発注した客の会員番号を示す領域である。
仕上がり日領域AR36は、当該工場控え伝票VC2-1に対応する預かり品についての仕上がり日を示す領域である。
登録情報領域AR37は、対応のクリーニング処理の受注において登録された預かり品のうち、当該工場控え伝票VC2-1に対応する返却単位の預かり品に関する登録内容を示す領域である。
点数内訳領域AR38は、当該工場控え伝票VC2-1に対応して登録された預かり品の点数についての返却単位に応じた内訳を示す領域である。」
「【0069】
次に、図5を参照して、店舗控え伝票VC1(VC1-1、VC-2)の印刷内容例について説明する。
同図の店舗控え伝票VC1は、図3に示した客控え伝票VC3と同じ受注内容に対応する。店舗控え伝票VC1も、客控え伝票VC3と同様に、一取引に対応する預かり品について異なる仕上がり日により区分される場合には、仕上がり日に応じた返却単位ごとに対応して発行される。」
「【0076】
仕上がり日領域AR57は、当該店舗控え伝票VC1-1に対応する預かり品についての仕上がり日を示す領域である。
登録情報領域AR58は、対応のクリーニング処理の受注において登録された預かり品のうち、当該店舗控え伝票VC1-1に対応する返却単位の預かり品に関する登録内容を示す領域である。
点数内訳領域AR59は、当該店舗控え伝票VC1-1に対応する預かり品についての点数に関する情報を示す領域である。
店舗情報領域AR60は、店舗STに関する情報を示す領域である。」
「
[図:0001422391000005.jpg]
」(【図4】)
「
[図:0001422391000006.jpg]
」(【図5】)
このように、本件訂正発明1の「登録情報」を上記のとおり解釈しても、本件特許明細書の上記記載に整合しないことにはならない。
よって、本件訂正発明1の「登録情報」は明確である。
同様の理由で、本件訂正発明4の「登録情報」も明確である。
また、本件訂正により、本件訂正発明2にも「登録情報」を構成要件に含まれることとなったものの、上記のとおりであるから、明確である。
以上のとおりであるから、申立人の明確性についての上記主張に理由はない。
第9 申立人の主張について
1 申立人の主張の概要
申立人は、令和6年10月25日提出の意見書で、次のように主張する。
(主張1)
「 本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、両者は以下の点のみで相違し、その他の点では一致する。
[相違点1]
「(他の項目に対して強調される態様で出力される)預かり品の点数」に関し、本件訂正発明1では、「クリップに挟む位置を示すクリップ用領域よりも下側に配置して出力する」のに対し、甲1発明では、「工場での組み合わせ作業の際に親ハンガーのクリップによって挟まれる上端側余白部よりも下側に配置して出力する」点。」(意見書18頁)
(主張1-1)
「甲1発明の工場控え伝票は、甲第1号証の第4頁の第I欄中の「工場で組み.....合わせ作業に......」という記載からみて、クリーニング工場での組み合わせ作業(アセンブリ作業)の際に使用されるものであることは明らかである。
また、その組み合わせ作業の際に、甲1発明の工場控え伝票の上端側余白部が親ハンガーのクリップによって挟まれることも明らかである。
すなわち、例えば甲第7号証ないし甲第10号証からみても明らかなように、甲1発明の工場控え伝票は、その上端側余白部が親ハンガーのクリップによって挟まれた状態とされ、このような状態で工場の作業者によって仕上品の組み合わせ作業(アセンブリ作業)が行われることは、当該技術分野の技術常識であって甲第1号証に記載されているに等しい事項である。
またそもそも、例示するまでもないが、例えば甲第11号証及び甲第12号証に記載されているように、伝票の上端側余白部をクリップで挟むことは、一般的に行われている事項(一般的技術常識)に過ぎない。」(意見書18~19頁)
(主張1-2)
「仮に、本件特許権者が、「クリップに挟む位置を示すクリップ用領域には、上端側余白部が含まれる」(積極的な破線表示は必須ではなく単なる余白でもよい)旨の主張をした場合、本件訂正発明1は新規性及び進歩性を有しないことになる。」(意見書19~22頁)
(主張1-3)
「 本件特許の出願に基づく分割出願(特願2023-114097号)の意見書(甲第13号証)・・・(の)本件特許権者の主張を前提とすれば、分割出願に係る発明のみならず、本件訂正発明1、3及び4も新規性及び進歩性を有しないことが明らかであるといえる。」(意見書22~23頁)
(主張2)
「相違点1は当業者にとって設計事項に過ぎないが、以下に述べるように、そもそも相違点1は存在せず、その結果、本件訂正発明1、3及び4は新規性及び進歩性を有しない。
すなわち、甲第1号証記載の伝票において、上端側余白部の下には白黒反転した「工場控」という白抜き文字が配置されているが、この伝票タイトル(印刷情報)は、工場での組み合わせ作業(アセンブリ作業)には必要のない部分である。
・・・
つまり、クリーニング工場の作業者は、何ら説明がなく横長矩形の破線を見ただけでは、その破線の枠が示す意味を正しく理解することができず、例えば組み合わせ作業の完了のチェック欄等であると認識し得る。」(意見書25頁)
(主張3)
「 訂正後の請求項1、3及び4には、「クリップに挟む位置を示すクリップ用領域」と記載されているが、当該クリップ用領域は、どのような手段でクリップに挟む位置を示すものであるか不明である。」(意見書26~27頁)
(主張4)
「 訂正後の請求項1及び4には、「前記工場控えにおいては、・・・」と記載されている。
しかし、その「前記工場控え」とは、(a)「控え」が本来不要で「前記工場」を意味するのか、(b)「伝票」が本来必要で「前記工場控え伝票」を意味するのか、(c)「伝票」を意図的に削除したことで伝票以外の媒体からなる工場控えを意味するのか、いずれの意味であるのか不明である。」(意見書28頁)
2 申立人の主張についての検討
主張1は、新たな主張・証拠に基づく進歩性の理由であるため、新たな異議理由を追加するものであり、主張3、主張4は、明確性についての新たな異議理由を追加するものである。
このため、これらの主張は、特許異議申立書の要旨を変更するものであるため、失当である。
主張2に対応するものとして、申立人は、特許異議申立書21頁では、「「クリップに挟む位置を示すクリップ用領域」を「伝票の種別を示す伝票種別領域」よりも上側に設けるようなことは、当業者が必要に応じて適宜行う設計事項に過ぎない。」ことを、新規性・進歩性を否定する理由とするのみであって、この点、上記「第8」の3(2)のとおり、当業者が容易に想到することができたものではない。これに対して、令和6年10月25日提出の意見書で追加した上記主張2は、上記で検討した事項を超えたものを含むため、新たな新規性・進歩性の理由の追加に該当し、特許異議申立書の要旨を変更するものとなるから、当該主張は失当である。
第10 むすび
以上のとおりであるから、本件特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを認める。
本件訂正後の請求項1、3、4に係る特許は、取消理由通知で通知した理由によって、取り消すことはできず、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっても取り消すことはできない。
他方、本件訂正後の請求項2に係る発明は、引用発明1及び技術的事項1~技術的事項3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件訂正後の請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
よって、上記の結論のとおり決定する。
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2023-701074