特許異議申立
2021-700766
酸化ミクロフィブリルセルロース繊維およびその組成物
- 審判番号
- 2021-700766
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-509326
- 登録番号
- 6827146
- 請求日
- 2021年08月04日
- 審決日
- 2023年06月27日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】日本製紙株式会社
- 【権利者代理人】山本 修
- 【権利者代理人】中村 充利
- 【権利者代理人】小笠原 有紀
- 【権利者代理人】新井 規之
- 【異議申立人】高橋 和秀
- 審判長/審判官
- 審判長 藤原 直欣
- 審判官 久保 克彦
- 審判官 藤井 眞吾
- 分類
- P1651.113-YAA(D21H) / P1651.121-YAA(D21H) / P1651.537-YAA(D21H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6827146号発明「酸化ミクロフィブリルセルロース繊維およびその組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6827146号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。
特許第6827146号の請求項1~9に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6827146号の請求項1~9に係る特許についての出願は、平成31年3月28日(優先権主張 平成30年3月30日)を国際出願日とする出願であって、令和3年1月20日にその特許権の設定登録がされ、同年2月10日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立て以降の経緯は、次のとおりである。
令和3年 8月 4日 :特許異議申立人 高橋和秀(以下「申立人」という。)による請求項1~9に係る特許に対する特許異議の申立て
令和4年 6月29日付け:取消理由通知書
令和4年 8月31日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和4年10月18日 ;申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
訂正請求書による訂正の請求を、以下「本件訂正請求」といい、訂正自体を、「本件訂正」という。本件訂正の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、次のとおりである。
特許請求の範囲の請求項1について
「カナダ標準濾水度が200ml未満であって、平均繊維径が500nm以上であり、
pH8、固形分濃度1重量%の水分散体として測定した電気伝導度が10~100mS/mであり、
保水度が300%以上である、
酸化ミクロフィブリルセルロース繊維。」とあるのを、
「カナダ標準濾水度が150ml以下であって、平均繊維径が500nm以上であり、
pH8、固形分濃度1重量%の水分散体として測定した電気伝導度が10~100mS/mであり、
平均繊維長が400μm以上であり、
保水度が300%以上である、
酸化ミクロフィブリルセルロース繊維。」と訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~9も同様に訂正する)。
なお、本件訂正前の請求項2~9は、請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件訂正請求は、一群の請求項〔1~9〕について請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件訂正は、本件訂正前の「カナダ標準濾水度」について、本件訂正前の「200ml未満」のものを「150ml以下」として数値範囲を限定し、「酸化ミクロフィブリルセルロース繊維」について「平均繊維長が400μm以上」であることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
次に、本件特許明細書の段落【0012】及び【0035】の記載からみて、本件訂正は、新規事項を追加するものではなく、また、訂正前に記載されている発明特定事項をさらに限定するものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について、訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~9に係る発明(以下「本件発明1」等といい、これらを総称して「本件発明」ともいう。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~9にそれぞれ記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
カナダ標準濾水度が150ml以下であって、平均繊維径が500nm以上であり、
pH8、固形分濃度1重量%の水分散体として測定した電気伝導度が10~100mS/mであり、
平均繊維長が400μm以上であり、
保水度が300%以上である、
酸化ミクロフィブリルセルロース繊維。
【請求項2】
0.1~3.0mmol/gのカルボキシル基量を有する請求項1に記載の酸化ミクロフィブリルセルロース繊維。
【請求項3】
セルロースI型の結晶化度が50%以上である請求項1または2に記載の酸化ミクロフィブリルセルロース繊維。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の酸化ミクロフィブリルセルロース繊維と水を含む、組成物。
【請求項5】
原料パルプをさらに含む請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
接着剤をさらに含む請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
白色顔料をさらに含む請求項4~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
請求項4~7のいずれかに記載の組成物を乾燥してなる乾燥固形物。
【請求項9】
(A)パルプを酸化する工程、
(B)前記パルプを湿式粉砕する工程、を備える、
請求項1~3のいずれかに記載の酸化ミクロフィブリルセルロース繊維の製造方法。」
第4 申立人が提出した特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要
令和3年8月4日に申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。
(1) 申立理由1(甲第1号証に基づく新規性・進歩性)
本件発明1~5、8及び9は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件発明1~9は下記の甲第1号証に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(2) 申立理由2(甲第2号証に基づく新規性・進歩性)
本件発明1~9は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第2号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(3) 申立理由3(サポート要件)
本件特許の請求項1~9に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。
(4) 証拠方法
甲第1号証:国際公開第2017/014255号
甲第2号証:特表2013-531749号公報
甲第3号証:国際公開第2017/131084号公報
甲第4号証:Tsuguyuki Saitoほか, “Cellulose Nanofibers Prepared by TEMPO-Mediated Oxidation of Native Cellulose”, Biomacromolecules, 2007年,Vol.8, No.8, p.2485-2491
以下、甲各号証を「甲1」等という。
第5 取消理由通知に記載した取消理由について
当審が通知した取消理由の概要は以下のとおり。
【取消理由】(サポート要件)本件特許の請求項1~9に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。
第6 上記取消理由についての当審の判断
1 サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし、当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
そこで、検討する。
2 特許請求の範囲の記載
本件特許の特許請求の範囲の記載は、上記第3に記載のとおりである。
3 本件特許の明細書の発明の詳細な説明(以下、「詳細な説明」という。)の記載
詳細な説明には以下の記載がある。下線については当審において付与した。
「【技術分野】
本発明は酸化ミクロフィブリルセルロース繊維およびその組成物に関する。
【0002】
製紙工程ではパルプや顔料を水に分散させた組成物が使用される。製造工程の効率化や製品品質向上の観点から当該組成物の保水性が重要である。例えば、原紙の原料となるパルプスラリーにおいては、パルプスラリーの保水性がワイヤーでの水切れやパルプの分散性に大きな影響を与え、その結果製造された紙の紙力や透気抵抗度や嵩高さに大きな影響を与える。また、顔料塗工液の保水性によって接着剤の原紙へのしみこみの程度が変化するので顔料塗工層や原紙の強度や接着性に大きな影響を与える。近年セルロースを原料としたセルロースナノファイバーの検討が盛んであり、・・・」
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らはセルロースナノファイバーよりも解繊の程度の低いミクロフィブリルセルロース繊維を用いて組成物の保水性を向上できれば、紙力を高めた紙を低コストで製造できるとの着想を得たが、このような検討は従来なされてこなかった。かかる事情を鑑み、本発明は、保水性に優れる組成物を与え、紙に添加した際に紙力向上効果を発現するミクロフィブリルセルロース繊維を提供することを課題とする。」
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、特定の濾水度を有する酸化ミクロフィブリルセルロース繊維が前記課題を解決することを見出した。よって前記課題は以下の本発明によって解決される。
(1)カナダ標準濾水度が200ml未満であって、平均繊維径が500nm以上である、酸化ミクロフィブリルセルロース繊維。
(2)pH8、固形分濃度1重量%の水分散体として測定した電気伝導度が500mS/m以下である、(1)に記載の酸化ミクロフィブリルセルロース繊維。
(3)0.1~3.0mmol/gのカルボキシル基量を有する(1)または(2)に記載の酸化ミクロフィブリルセルロース繊維。
(4)セルロースI型の結晶化度が50%以上である(1)~(3)のいずれかに記載の酸化ミクロフィブリルセルロース繊維。
(5)前記(1)~(4)のいずれかに記載の酸化ミクロフィブリルセルロース繊維と水を含む、組成物。
(6)原料パルプをさらに含む(5)に記載の組成物。
(7)接着剤をさらに含む(5)または(6)に記載の組成物。
(8)白色顔料をさらに含む(5)~(7)のいずれかに記載の組成物。
(9)前記(5)~(8)のいずれかに記載の組成物を乾燥してなる乾燥固形物。
(10)(A)パルプを酸化する工程、
(B)前記パルプを湿式粉砕する工程、を備える、(1)~(4)のいずれかに記載の酸化ミクロフィブリルセルロース繊維の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、保水性に優れる組成物を与え、紙に添加した際に紙力向上効果を発現するミクロフィブリルセルロース繊維を提供できる。」
「【0008】
1.酸化ミクロフィブリルセルロース繊維
(1)酸化ミクロフィブリルセルロース繊維
ミクロフィブリルセルロース繊維(以下「MFC」ともいう)とは、パルプ等のセルロース系原料をフィブリル化して得られる500nm以上の平均繊維径(平均繊維幅ともいう)を有する繊維であり、酸化ミクロフィブリルセルロース繊維(以下「酸化MFC」ともいう)とは、酸化セルロース系原料をフィブリル化して得られるMFCである。フィブリル化は後述するとおり機械的処理によって実施されることが好ましいが、酸化パルプはほぐれやすくなっているため、一連の酸化工程(特に酸化後の脱水洗浄)において繊維が細かくなったり、ゆるんだりしてある程度フィブリル化が進行していると考えられる。よって本発明において、酸化MFCは機械的処理を経ていない酸化パルプも含む。本発明において平均繊維径とは長さ加重平均繊維径であり、当該繊維径はABB株式会社製ファイバーテスターやバルメット社製フラクショネータ等の画像解析型繊維分析装置で測定できる。例えばMFCは、セルロース系原料をビーターやディスパーザーなどで比較的弱く解繊または叩解処理して得られる。したがってMFCは、高圧ホモジェナイザーなどでセルロース系原料を強く解繊処理して得られるセルロースナノファイバーと比較して繊維径が大きく、また繊維自体の微細化(内部フィブリル化)を抑制しながら効率的に繊維表面を毛羽立たせた(外部フィブリル化した)形状を有する。
【0009】
前述のとおり、本発明の酸化MFCはパルプを化学変性(酸化)処理した酸化パルプであってもよいが、酸化の後に機械的に解繊等の処理を施して得られる機械的処理酸化ミクロフィブリルセルロース繊維(以下「機械的処理酸化MFC」ともいう)であることが好ましい。すなわち本発明の酸化MFCは、機械的処理の有無にかかわらず、繊維表面に電荷を有するカルボキシル基を有するため、未変性のパルプと比較して、保水度が向上し、各種薬品との親和性も変化する。しかしながら、酸化パルプに機械的処理を施して得られた機械的処理酸化MFCは比表面積が増大するので、高いレベルで本発明の効果を得ることができる。機械的処理酸化MFCは酸化パルプ等の酸化したセルロース系原料を比較的弱く解繊または叩解処理して得られるので、繊維間に存在する強固な水素結合が化学変性によって弱められ、単に機械的に解繊または叩解処理しただけのMFCと比較して、繊維同士がほぐれやすく、繊維の損傷が少なく、かつ適度な内部フィブリル化および外部フィブリル化した形状を有する。さらに、本発明の酸化MFCを水に分散して得られた水分散体は、高い親水性、保水性、粘度を有する。
【0010】
上記のとおり、MFCはセルロース系原料とはフィブリル化の度合いが異なる。フィブリル化の度合いを定量化することは一般に容易ではないが、発明者らはMFCのカナダ標準式濾水度や保水度、透明度によってフィブリル化度合を定量化することが可能であることを見出した。
【0011】
本発明の酸化MFCはアニオン性基であるカルボキシル基が導入されており、カルボキシル基の形態、すなわち当該基が酸型(H型)であるか塩型(Na型)であるかによって、水との親和性をはじめ各種物性が変化する。用途によってカルボキシル基の形態は適宜調整されるので特性も異なる。特に断りがない限り、本発明の酸化MFCの繊維特性は、アルカリ性の水分散体を与えるもの、具体的にはpH8の1重量%水分散体を与える酸化MFCについて測定された値で評価される。酸化MFCは通常のパルプとは異なり、アニオン性の置換基が導入されているため、アニオン性であることの特徴を利用した分散剤や凝集剤等の添加剤として好適に使用することができる。
【0012】
<カナダ標準式濾水度>
前記条件を満たすように測定された本発明の酸化MFCのカナダ標準濾水度は200ml未満であるが、150ml以下が好ましい。当該濾水度の下限は限定されないが、0mlより高いことが好ましい。原料である酸化パルプを処理する際に短繊維化、ナノ化およびフィブリル化の度合いを調整することによって本発明の酸化MFCのカナダ標準式濾水度を調整できる。発明者らは、鋭意検討を行った結果、酸化パルプのフィブリル化を進めてカナダ標準式濾水度を低下させることで、通常の化学パルプやセルロースナノファイバー(「CNF」ともいう)とは異なる新規材料が得られることを見出した。すなわち、本発明の酸化MFCはカナダ標準式濾水度が200ml未満であるため、十分にフィブリル化が進んだ繊維形状を有していると推測される。また、繊維を強力に解繊しシングルナノレベルまで微小化したCNFのカナダ標準式濾水度は0mlであるので本発明の酸化MFCはCNFとは異なる。カナダ標準式濾水度が200ml未満である酸化MFCは、保水性が非常に良好であり保水材料としても好適に使用することができる。また、本発明の酸化MFCを製紙用添加剤として使用した場合、酸化MFC表面のフィブリルがセルロース繊維間の結合点の増加に寄与すると考えられるため、酸化MFC同士や酸化MFCとパルプの間で強固なネットワークが形成され、紙のバリア性や紙力を向上させた紙を製造できる。
【0013】
<保水度>
本発明の酸化MFCの保水度は、300%以上であることが好ましい。保水度が300%未満であると本発明の酸化MFCを含む組成物の保水性を向上させるという本発明の効果を十分に得ることができない可能性がある。保水度は、JIS P-8228:2018に従って測定される。
【0014】
<水分散体における透明度>
本発明の酸化MFCは、水を分散媒とする水分散体としたときに、透明度が低いという特徴を有する。本発明において透明度とは、酸化MFC等の対象となる材料を固形分1%(w/v)の水分散体とした際の、波長660nmの光の透過率をいう。具体的な透明度の測定方法は、以下の通りである:
酸化MFC分散体(固形分1%(w/v)、分散媒:水)を調製し、UV-VIS分光光度計UV-1800(島津製作所製)を用い、光路長10mmの角型セルを用いて、660nm光の透過率を測定する。
【0015】
本発明において前記透明度は、好ましくは40%以下であり、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは20%以下であり、よりさらに好ましくは10%以下である。一般にセルロース系材料の前記透明度は、結晶性を維持したままナノ化が進んだ場合に上昇するが、本発明の酸化MFCはナノ化がそれほど進んでおらず繊維の形状を維持しているため、前記透明度が低くなる。前記透明度が40%以下の酸化MFCを紙に内添した場合、酸化MFCは紙中で繊維形状を維持するため、紙厚の低下や紙の密度低下が起こりにくく、剛度を落とさずに紙力を向上させることができる。
【0016】
<電気伝導度>
本発明の酸化MFCの電気伝導度は、1.0重量%濃度の水分散体としてpH8の条件下で測定した場合に、好ましくは500mS/m以下であり、より好ましくは300mS/m以下であり、さらに好ましくは200mS/m以下であり、よりさらに好ましくは100mS/m以下であり、最も好ましくは70mS/mである。前記電気伝導度の下限は、好ましくは5mS/m以上であり、より好ましくは10mS/m以上である。酸化MFCの当該電気伝導素は原料である酸化セルロース系材料の電気伝導度と比較して高い値を示す。また、当該電気伝導度が上限値を超えることは酸化セルロース系材料の水分散液中に溶存する金属塩や無機塩の濃度が一定値以上であることを意味する。当該材料の金属塩や無機塩等の濃度が低いと繊維同士の静電反発が起こりやすく、効率的にフィブリル化を進めることができる。」
「【0032】
3)機械的処理
本工程では、酸化パルプを機械的に解繊、叩解、離解し、平均繊維径を500nm以上とする。機械的な解繊、叩解、または離解を「機械的処理」といい、酸化パルプの水分散体を解繊または叩解することを湿式粉砕ともいう。機械的処理は1回行ってもよいし、同じ処理または異なる処理を組合せて複数回行ってもよい。複数回の場合の各処理の時期はいつでもよく、使用する装置は同一でも異なってもよい。本工程は、例えば以下のように実施してよい。
前記水分散体を脱水などにより高濃度化(20重量%以上)してから叩解処理する;
前記水分散体を低濃度(20重量%未満、好ましくは10重量%以下)にしてから叩解または離解などの機械的処理を行う;
酸化パルプを乾燥してから機械的に解繊または叩解処理する;
酸化パルプをあらかじめ乾式粉砕し短繊維化してから機械的に解繊または叩解処理する。
本発明では、短繊維化を抑制しつつフィブリル化を進めるために、機械的処理は1回行うことが好ましく、酸化パルプの低濃度水分散体をリファイナーまたは高速離解機で処理することがより好ましい。」
「【0035】
本工程により酸化MFCが得られる。酸化MFCの平均繊維径は、長さ加重平均繊維径にして500nm以上であり、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。平均繊維径の上限は60μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。平均繊維長は長さ加重平均繊維長にして300μm以上が好ましく、400μm以上がより好ましい。平均繊維長の上限は、3000μm以下が好ましく、1500μm以下が好ましく、1100μm以下がさらに好ましく、最も好ましくは900μm以下である。本発明によれば、事前に原料パルプを酸化し、繊維の切断を抑制した方法で機械的処理に供するため、繊維を極端に短くすることなくフィブリル化を進めることができる。また、酸化によりセルロース繊維の水との親和性が向上しているため、繊維長が長い場合であっても濾水度を低くすることができる。
【0036】
長さ加重平均繊維径および長さ加重平均繊維長は、画像解析型繊維分析装置で測定することができ、例えば、ABB株式会社製ファイバーテスターやバルメット株式会社製フラクショネータを用いて求められる。酸化MFCの平均アスペクト比は、10以上が好ましく、30以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、1000以下が好ましく、100以下がより好ましく、80以下がさらに好ましい。平均アスペクト比は、下記の式により算出できる。
平均アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径」
「【実施例】
【0057】
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。物性評価は以下のとおりに行った。
平均繊維長、平均繊維径:試料にイオン交換水を加えて0.2重量%スラリーを調整し、バルメット社製フラクショネータを用いて測定した。
カナダ標準濾水度(c.s.f.):JIS P 8121-2:2012に従った。
電気伝導度:試料(酸化MFC等)の濃度が1.0重量%である水分散体を準備し、pH8の条件下で、堀場製ポータブル型電気伝導度計を用いて測定した。
バルク厚さ、およびバルク密度:JIS P 8223:2006を参考にして測定した。
比引張強さ:JIS P 8223:2006を参考にして測定した。
ショートスパン比圧縮強さ:JIS P 8156:2012を参考とした。
リングクラッシュ比圧縮強さ:JIS P 8126:2005を参考とした。
透気抵抗度:JIS P 8117:2009に従い、王研式透気度・平滑度試験機により測定した。
【0058】
[実施例A1]
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムが5.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水で洗浄することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。カルボキシル基量が1.4mmol/gのTEMPO酸化パルプ(酸化MFC)を製造した。
【0059】
[実施例A2]
実施例A1で得たTEMPO酸化パルプを水に分散し4重量%の水分散体とし、シングルディスクリファイナー(製品名:14インチ ラボリファイナー(相川鉄工株式会社製))で処理して実施例A2の機械的処理酸化MFCを得た。
【0060】
[実施例A3]
実施例A2の処理を高速離解機(製品名:トップファイナー(相川鉄工株式会社製))で行った以外は、実施例A2と同様にして実施例A3の機械的処理酸化MFCを得た。
【0061】
[実施例A4]
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムが1.5mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水で洗浄することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。カルボキシル基量が0.6mmol/gのTEMPO酸化パルプを製造した。当該TEMPO酸化パルプを使用した以外は実施例A2と同様にしてリファイナー処理を行い、実施例A4の機械的処理酸化MFCを得た。
【0062】
[比較例A2]
酸化しないパルプ(NBKP、日本製紙株式会社製)を用いた以外は実施例A2と同様にして、リファイナーで処理されたNBKPパルプを得た。これらの物性を表1に示す。表1中、比較例A2の原料としたNBKPを比較例A1と表記した。
【0063】
[実施例B1]
96重量%の段ボール古紙(日本製紙株式会社製)、4重量%の実施例A2で調製した酸化MFC(c.s.f.10ml以下)を混合して固形分濃度0.8重量%の混合パルプとした。当該混合パルプの合計量に対し、1.0重量%の硫酸バンド、0.15重量%のポリアクリルアミド、0.2重量%のサイズ剤を添加して紙料を調製した。得られたパルプスラリーを用いて坪量100g/m2を目標に手抄きシートを製造して評価した。手すきシートはJIS P 8222を参考に製造した。
【0064】
[実施例B2、B3]
実施例A3、A4で得た酸化MFCを用いた以外は、実施例B1と同様にして手抄きシートを製造して評価した。
【0065】
[比較例B1、B2]
酸化MFCを用いなかった以外は、実施例B1と同様にして手すきシートを製造し、評価した。比較例B1は実施例B1と同じロットの段ボール古紙を使用し、比較例B2は比較例B3と同じロットの段ボール古紙を使用した。
【0066】
[比較例B3]
酸化MFCの代わりに、比較例A2で得たパルプを用いた以外は、実施例B1と同様にして手すきシートを製造し、評価した。これらの物性を表2に示す。
【0067】
【表1】
[図:0001401586000001.jpg]
【0068】
【表2】
[図:0001401586000002.jpg]
」
4 サポート要件の判断
詳細な説明の段落【0004】によると、本件発明の解決しようとする課題は、「保水性に優れる組成物を与え、紙に添加した際に紙力向上効果を発現するミクロフィブリルセルロース繊維を提供すること」(以下、「発明の課題」という。)である。
そして、詳細な説明の段落【0005】には、「発明者らは、特定の濾水度を有する酸化ミクロフィブリルセルロース繊維が前記課題を解決することを見出した。よって前記課題は以下の本発明によって解決される。(1)カナダ標準濾水度が200ml未満であって、平均繊維径が500nm以上である、酸化ミクロフィブリルセルロース繊維。」と記載され、酸化ミクロフィブリルセルロース繊維について、段落【0008】及び【0009】に詳細に説明されており、段落【0010】において、カナダ標準式濾水度や保水度によってフィブリル化度合いを定量化することが可能であると記載されている。
さらに、段落【0012】においてカナダ標準式濾水度について150ml以下とすることの技術的な意義と作用機序が記載されており、段落【0013】では、保水度と保水性との関係も記載されている。
加えて、詳細な説明の実施例及び比較例において、カナダ標準濾水度が150ml以下、平均繊維径が500nm以上であり、かつ、平均繊維長が400μm以上である、酸化ミクロフィブリルセルロース繊維は、カナダ標準濾水度が150ml以下であるから保水性が良好であり、また、当該カナダ標準濾水度が150ml以下であって、平均繊維径が500nm以上である、酸化ミクロフィブリルセルロース繊維を利用したシートは紙力が優れたものが得られており、前記条件を満たさないセルロース繊維を利用した比較例のシートは、紙力が優れたものが得られていない。
そうすると、当業者は、「カナダ標準濾水度が150ml以下であって、平均繊維径が500nm以上であり、かつ平均繊維長が400μm以上である、酸化ミクロフィブリルセルロース繊維」であれば、発明の課題を解決できると認識でき、当業者は、本件発明1が、本件特許に係る発明の課題を解決できると認識する。
したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識でいる範囲のものであるといえる。
本件発明2~9についても同様である。
よって、本件発明1~9に関して、特許請求の範囲の記載は、サポート要件に適合する。
5 申立人の主張の検討
申立人は、特許異議申立書において、請求項1の「保水度が300%以上である」について、発明の詳細な説明には、その具体例が記載されていないから、サポート要件を満たさない旨、また、請求項3の「セルロースI型の結晶化度が50%以上」について、その具体例が記載されていないから、サポート要件を満たさない旨主張する。
上記主張について検討すると、上記4において検討したとおり、本件特許の特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合するものであって、保水度やセルロースI型の結晶化度は、本件特許の課題解決手段とは関係がないから、申立人の主張は失当であって採用できない。
6 まとめ
以上のとおりであるから、当審が通知した取消理由には、理由がない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立て理由
取消理由通知において通知しなかった、特許異議の申立理由は、上記第4の申立理由1(甲1に基づく新規性・進歩性)及び申立理由2(甲2に基づく新規性・進歩性)であるので、順次検討する。
1 申立理由1(甲1に基づく新規性・進歩性)について
(1) 甲1に記載された発明
甲1の実施例4に着目して総合すると、甲1にはカナダ標準濾水度(CFS)が35mlになるまで叩解処理を行った酸化セルロース繊維として、以下の甲1実施例4発明が記載されていると認める。
<甲1実施例4発明>
「カナダ標準濾水度(CFS)が35mlであって、平均繊維径が18μm、平均繊維長が0.6mmである酸化セルロース繊維。」
(2) 本件発明1との対比・判断
本件発明1と甲1実施例4発明とを対比する。
甲1実施例4発明の「酸化セルロース繊維」は、本件発明1の「酸化ミクロフィブリルセルロース繊維」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1実施例4発明とは、
「カナダ標準濾水度が150ml以下であって、平均繊維径が500nm以上であり、平均繊維長が400μm以上である、
酸化ミクロフィブリルセルロース繊維。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
本件発明1は、「pH8、固形分濃度1重量%の水分散体として測定した電気伝導度が10~100mS/mであり」と特定するのに対し、甲1実施例4発明はこの点と特定しない点
<相違点1-2>
本件発明1は、「保水度が300%以上である」と特定するのに対し、甲1実施例4発明はこの点を特定しない点
以下、相違点について検討する。
<相違点1-1>について
甲1実施例4発明の電気伝導度については、甲1には全く記載がなく、酸価1.6mmol/gであることは甲1の段落【0061】の記載から理解できても、当該酸価から電気伝導度を導く証拠は提示されていない。
また、甲1実施例4発明の電気伝導度がどの程度になるかを示す証拠もない。
申立人は、本件特許明細書に記載の実施例A1の製造過程と対比することで、甲1実施例4発明の電気伝導度が10~100mS/mである蓋然性が高い旨主張するが、実施例A1と甲1実施例4とはその配合量比は異なっているし、酸価も異なっていることから、当該主張は採用することができない。
そうすると、<相違点1-1>は実質的な相違点であるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1実施例4発明であるとはいえない。
次に進歩性について検討する。
甲1実施例4発明において、その電気伝導度を<相違点1-1>に係る発明特定事項のように特定しようとする動機はない。
そうすると、甲1実施例4発明において、<相違点1-1>に係る発明特定事項を満たすようにすることは当業者においても容易に想到し得たことということはできない。
よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1実施例4発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、甲1の他の実施例を引用発明としたとしても同様に判断される。
(3) 本件発明2~9について
本件発明2~9は、本件発明1を直接的あるいは間接的に引用する発明であって、本件発明1の発明特定事項を全て有しさらに限定するものであるから、上記(2)の判断の同様に、甲1に記載された発明でないし、また、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(4) まとめ
以上のとおりであるから、申立人の申立理由1には理由がない。
2 申立理由2(甲2に基づく新規性・進歩性)について
(1) 甲2に記載された発明
甲2の実施例3として記載されている試験番号2のセルロース繊維組成物として、以下の発明が記載されていると認める。
<甲2実施例3試験番号2発明>
「晒クラフトカバノキパルプのセルロース繊維を化学処理であるCT3と機械処理であるMT1(30)に付し、得られた、繊維長680μm、繊維幅25μmである組成物。」
(2) 本件発明1との対比・判断
本件発明1と甲2実施例3試験番号2発明とを対比する。
甲2実施例3試験番号2発明の「組成物」は、本件発明1の「酸化ミクロフィブリルセルロース繊維」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲2実施例3試験番号2発明とは、
「平均繊維径が500nm以上である、
酸化ミクロフィブリルセルロース繊維。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-1>
本件発明1は、「カナダ標準濾水度が150ml以下であって」と特定するのに対し、甲2実施例3試験番号2発明は、この点を特定しない点
<相違点2-2>
本件発明1は、「pH8、固形分濃度1重量%の水分散体として測定した電気伝導度が10~100mS/mであり」と特定するのに対し、甲2実施例3試験番号2発明は、この点を特定しない点
<相違点2-3>
本件発明1は、「保水度が300%以上である」と特定するのに対し、甲2実施例3試験番号2発明は、この点を特定しない点
以下、相違点について検討する。
<相違点2-1>について
甲2実施例3試験番号2発明のカナダ標準濾水度については、甲2には全く記載がなく、甲2実施例3試験番号2発明のカナダ標準濾水度を甲2の記載から求める手段を示す証拠や、甲2実施例3試験番号2におけるカナダ標準濾水度がどの程度であるかを示す証拠は提示されていない。
申立人は、本件特許明細書の段落【0012】の記載を踏まえて当該明細書の実施例A1の製造過程と甲2実施例3試験番号2の製造過程を対比することで、甲2実施例3試験番号2のカナダ標準濾水度が150ml以下である蓋然性が高い旨主張するが、実施例A1と甲2実施例3試験番号2発明とはその配合量比は異なっているし、酸価も異なっていることから、当該主張は採用することができない。
そうすると、<相違点2-1>は実質的な相違点であるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2実施例3試験番号2発明であるとはいえない。
次に進歩性について検討する。
甲2実施例3試験番号2発明において、そのカナダ標準濾水度を<相違点2-1>に係る発明特定事項のように特定しようとする動機はない。
そうすると、甲2実施例3発明において、<相違点2-1>に係る発明特定事項を満たすようにすることは当業者においても容易に想到し得たことということはできない。
よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2実施例3試験番号2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、甲2の他の実施例を引用発明としたとしても同様に判断される。
(3) 本件発明2~9について
本件発明2~9は、本件発明1を直接的あるいは間接的に引用する発明であって、本件発明1の発明特定事項を全て有しさらに限定するものであるから、上記(2)の判断の同様に、甲2に記載された発明でないし、また、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(4) まとめ
以上のとおりであるから、申立人の申立理由2には理由がない。
第7 まとめ
以上のとおりであるから、請求項1~9に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては、請求項1~9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700766