特許異議申立
2021-700557
遊技機
- 審判番号
- 2021-700557
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-142837
- 登録番号
- 6826505
- 請求日
- 2021年06月08日
- 審決日
- 2022年03月08日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】岩壁 冬樹
- 【権利者代理人】塩川 誠人
- 【権利者代理人】井伊 正幸
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】特許業務法人平木国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 瀬津 太朗
- 審判官 北川 創
- 審判官 長崎 洋一
- 分類
- P1651.121-YAA(A63F) / P1651.113-YAA(A63F) / P1651.841-YAA(A63F) / P1651.851-YAA(A63F) / P1651.854-YAA(A63F) / P1651.855-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6826505号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6826505号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第6826505号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第6826505号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成29年7月24日の特許出願であって、令和3年1月19日に特許の設定登録がなされ、同年2月3日に特許掲載公報が発行され、同年6月8日にその特許に対し、特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社により特許異議の申立てがなされ、当審において、同年10月12日付けで取消理由が通知され、特許権者である株式会社三共より同年12月13日付けで意見書及び訂正請求書が提出され、これに対して、特許異議申立人に期間を指定して意見書を提出する機会を与えたところ、特許異議申立人から令和4年1月20日付けで意見書が提出されたものである。
2 訂正請求について
(1)訂正の内容
令和3年12月13日付け訂正請求書による本件特許の訂正の内容は、次のとおりである。
ア 訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1(以下「訂正前の請求項1」という。)に「前記第1状態において、複数の第1項目のうちのいずれかの項目は前記選択操作部を用いた選択操作により選択され、該選択された項目は前記第1操作部を用いた第1操作により決定され」及び「前記第2状態において、複数の第2項目のうちのいずれかの項目は前記選択操作部を用いた選択操作により選択され、該選択された項目は前記第2操作部を用いた第2操作により決定される」と記載されているのを、「前記第1状態において、複数の第1項目のうちのいずれかの項目は前記選択操作部を用いた選択操作により選択され、該選択された項目は前記第2操作部を用いた第2操作では決定されず前記第1操作部を用いた第1操作により決定され」及び「前記第2状態において、複数の第2項目のうちのいずれかの項目は前記選択操作部を用いた選択操作により選択され、該選択された項目は前記第1操作部を用いた前記第1操作では決定されず前記第2操作部を用いた前記第2操作により決定される」に訂正する。
イ 訂正事項2
本件特許の願書に添付した明細書の【0007】に「該選択された項目は前記第1操作部(たとえば、第2プッシュボタン57)を用いた第1操作により決定され」及び「該選択された項目は前記第2操作部(たとえば、第1プッシュボタン56)を用いた第2操作により決定される」と記載されているのを、「該選択された項目は前記第2操作部を用いた第2操作では決定されず前記第1操作部(たとえば、第2プッシュボタン57)を用いた第1操作により決定され」及び「該選択された項目は前記第1操作部を用いた前記第1操作では決定されず前記第2操作部(たとえば、第1プッシュボタン56)を用いた前記第2操作により決定される」に訂正する。
(2)訂正の適否
ア 訂正事項1
(ア)訂正の目的について
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1の「選択された項目」の「決定」操作に関して、「第1状態において、」「前記第2操作部を用いた第2操作では決定されず」、「第2状態において、」「前記第1操作部を用いた前記第1操作では決定され」ないことを限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1のうち「前記第1状態において、複数の第1項目のうちのいずれかの項目は前記選択操作部を用いた選択操作により選択され、該選択された項目は前記第2操作部を用いた第2操作では決定されず前記第1操作部を用いた第1操作により決定され」と訂正した部分については、願書に添付した明細書の【0059】に「メインメニュー状態において第2プッシュボタン57が操作され、「音量設定」の選択が受け付けられると、メインメニュー状態からサブメニュー状態である音量設定状態に移行する。」ことが記載され、【0061】に「また、メインメニュー状態において第1プッシュボタン56が操作されると、メインメニュー状態から再び通常状態に移行する。」と記載されている。
すなわち、願書に添付した明細書には、メインメニュー状態において、第1プッシュボタン56が操作されても「音量設定」等の選択が受け付けられず、第2プッシュボタン57が操作されると「音量設定」等の選択が受け付けられることが記載されており、上記の訂正した部分は、これらの記載に基づいて導き出される事項である。
また、訂正事項1のうち「前記第2状態において、複数の第2項目のうちのいずれかの項目は前記選択操作部を用いた選択操作により選択され、該選択された項目は前記第1操作部を用いた前記第1操作では決定されず前記第2操作部を用いた前記第2操作により決定される」と訂正した部分については、願書に添付した明細書の【0061】に「音量設定状態において第1プッシュボタン56が操作されると、切替えられた音量が選択される。また、音量設定状態において第2プッシュボタン57が操作されると、音量設定状態から元のメインメニュー状態に移行する。」、「よって、メインメニュー状態では第2プッシュボタン57の操作により選択項目を選択することが可能であったが、サブメニュー状態である音量設定状態では第2プッシュボタン57による選択項目の選択操作は無効化されるということができる。」との記載に基づいて導き出される事項である。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正事項2(【0007】)
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正により、訂正前の請求項1における特許請求の範囲の訂正を行った結果、記載が一致しなくなった願書に添付した明細書の段落【0007】の記載を、訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正により、訂正前の請求項1における特許請求の範囲の訂正を行った結果、記載が一致しなくなった願書に添付した明細書の段落【0007】の記載を、訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるから、訂正事項1と同様に本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 小括
訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3)まとめ
上記(2)ア~ウにおいて検討したとおりであるから、本件特許の明細書及び特許請求の範囲についての訂正を認める。
3 本件訂正発明について
本件特許の訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(当審判合議体にて請求項1をA~Jに分説した。なお、下線は、訂正された箇所を示す。)。
(本件訂正発明)
「【請求項1】
A 遊技を行う遊技機において、
B 選択操作部と、
C 第1操作部と、
D 第2操作部と、
E 第1状態において複数の第1項目のうちのいずれかの項目を決定可能である第1決定手段と、
F 前記第1状態において第1項目が決定されたときに第2状態に移行させる状態移行手段と、
G 前記第2状態において複数の第2項目のうちのいずれかの項目を決定可能である第2決定手段と、を備え、
H 前記第1状態において、複数の第1項目のうちのいずれかの項目は前記選択操作部を用いた選択操作により選択され、該選択された項目は前記第2操作部を用いた第2操作では決定されず前記第1操作部を用いた第1操作により決定され、
I 前記第2状態において、複数の第2項目のうちのいずれかの項目は前記選択操作部を用いた選択操作により選択され、該選択された項目は前記第1操作部を用いた前記第1操作では決定されず前記第2操作部を用いた前記第2操作により決定される
J ことを特徴とする遊技機。」
4 特許異議申立理由の概要
異議申立人は、訂正前の本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)に対して、証拠として甲第1~3号証を提示し、本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明であり、本件特許は、特許法第29条第1項3号に該当するものであるから、取り消されるべきものである旨、主張すると共に、本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第3号証等に記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、取り消されるべきものである旨、主張する。
<証拠方法>
甲第1号証:特許第6060409号公報
甲第2号証:特開2016-87208号公報(周知技術を示す文献)
甲第3号証:特開2017-86605号公報(周知技術を示す文献)
5 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
特許異議申立人による、特許異議の申立書の提出を受け、当審により、令和3年10月12日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
本件特許発明は、甲1号証に記載された発明と同一であるから、本件特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
仮に、そうでないとしても、本件特許発明は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
(2)甲第1号証の記載事項、甲1発明
ア 記載事項
甲第1号証(特許第6060409号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
(ア)「【発明を実施するための形態】
【0010】
<<第1の実施形態>>
以下、図面を用いて、本発明を適用可能なパチンコ機100等の弾球遊技機(封入式のものも含む)について詳細に説明する。なおここにいう封入式のものとは、遊技機内に封入された遊技球を循環使用する封入式遊技機等のことをいう。」
(イ)「【0671】
球貯留皿付扉108は、パチンコ機100の前面において本体104の下側に対して、施錠機能付きで且つ開閉自在となるように装着された扉部材である。この球貯留皿付扉108は、前面枠扉106を開放した状態で操作可能となる不図示の開放レバーを押すことによって開く。なお、球貯留皿付扉108が開いたことを検出する球貯留皿付扉センサを設けてもよい。球貯留皿付扉108は、複数の遊技球(以下、単に「球」と称する場合がある)が貯留可能で且つ発射装置110へと遊技球を案内させる通路が設けられている上皿126と、上皿126に貯留しきれない遊技球を貯留する下皿128と、遊技者の操作によって上皿126に貯留された遊技球を下皿128へと排出させる球抜ボタン130と、遊技者の操作によって下皿128に貯留された遊技球を遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出させる球排出レバー132と、遊技者の操作によって発射装置110へと案内された遊技球を遊技盤の遊技領域124へと打ち出す球発射ハンドル134と、遊技者の操作によって各種演出装置206(図66参照)の演出態様に変化を与える演出ボタン136と、演出ボタン136に内蔵され、その演出ボタン136を発光させるチャンスボタンランプ138と、遊技店に設置されたカードユニット(CRユニット)に対して球貸し指示を行う球貸操作ボタン140と、カードユニットに対して遊技者の残高の返却指示を行う返却操作ボタン142と、遊技者の残高やカードユニットの状態を表示する球貸表示部(不図示)と、を備える。また、図64に示すパチンコ機100には、下皿128が遊技球によって満タンになったことを検知する下皿満タン検知センサ(不図示)が設けられている。さらに、操作キーユニット137も備えている。」
(ウ)「【2451】
図195は、本実施形態にかかるパチンコ機100において実行されるミニゲームの演出の他の一例について段階的に示す図である。以下の図では、括弧書きのアルファベット順に演出が進んでいく様子が示されている。
・・・
【2453】
そして、図195(b)に示すタイミングで演出ボタン136が操作されると、図195(c)に示されるように、装飾図柄表示装置208では、メニュー画面が表示される。図195(c)に示されるメニュー画面では、会員登録、カスタマイズ、ミニゲーム、個人データクリア、終了の各項目が縦列に並んで表示され、その下方には、方向キー操作促進画像137pとともに「選択」の文字表示が行われ、また、OKボタン操作促進画像137q及びボタン画像136aとともに「決定」の文字表示が行われており、操作キーユニット137の上ボタン137aや下ボタン137bを操作してカーソルCSLを移動させ、OKボタン137eあるいは演出ボタン137を操作することにより、カーソルCSLで指示された項目が実行されることが示されている。
・・・
【2456】
そして、図195(c)に示されるように、カーソルCSLが「会員登録」を指示している状態で下ボタン137bが1回操作されると、図195(d)に示すように、カーソルCSLが「カスタマイズ」を指示する。そして、カーソルCSLが「カスタマイズ」を指示している状態でOKボタン137eが操作されると、図97(e)に示すように、カスタマイズメニュー画面に移行する。
【2457】
カスタマイズメニュー画面では、オートボタンモードのオン/オフ、エコモードのオン/オフ、プレミア予告出現率の設定、チュートリアル表示のオン/オフの各種設定が縦列に並んで表示され、その下方には、方向キー操作促進画像137pとともに「選択」の文字表示が行われ、また、OKボタン操作促進画像137qとともに「決定」の文字表示が行われており、操作キーユニット137の上ボタン137aや下ボタン137bを操作してカーソルCSLを上下方向に移動し、左ボタン137c及び右ボタン137bを操作することで、カーソルCSLに指示された設定の変更を行うことができる。
・・・
【2463】
そして、図195(g)に示すように、「オートボタンモード」の設定が「オン」とされた状態でOKボタン137eが1回操作されると、「オートボタンモード」の設定が「オン」に確定される。その後、演出ボタン136が1回操作されると、図97(h)に示すように、メニュー画面に移行する。なお、「オートボタンモード」の設定が「オン」とされた状態でOKボタン137eが操作されず、演出ボタン136が操作された場合には、「オートボタンモード」の設定の結果を反映しないでメニュー画面に移行してもよいし、「オートボタンモード」の設定の結果を反映(確定)した上でメニュー画面に移行するようにしてもよい。」
(エ)「【2554】
パチンコ機100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」と呼ぶ)に応じて主に演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、主制御部300が送信するコマンドに応じて主に遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御部600と、遊技球の発射制御を行う発射制御部630と、パチンコ機100に供給される電源を制御する電源制御部660と、によって構成している。」
(オ) 「【2665】
図210(a)に示すように、操作キーユニット137は、上ボタン137a、下ボタン137b、左ボタン137c、右ボタン137d、OKボタン137e及びクリアボタン137fの6つのボタンを有して構成されている。なお、以下の説明では、説明を簡略化するために、操作キーユニット137の構成部分のうち、上ボタン137a、下ボタン137b、左ボタン137c、右ボタン137d及びOKボタン137eについては、図210(b)に示す態様で表す場合がある。」
イ 認定事項
【2453】に「図195(c)に示されるメニュー画面では、…OKボタン137eあるいは演出ボタン137を操作することにより、…」との記載があるが、当該記載中の「演出ボタン137」は、【図195】を説明する【2453】、【2463】の記載から、「演出ボタン136」の誤記と認める。
ウ 甲1発明
上記アの記載事項及び上記イの認定事項から、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。a~jは、本件特許の請求項1の分説(A~J)に対応させて、当審にて付与。以下同様。)が開示されていると認められる。
「a パチンコ機100等の弾球遊技機(【0010】)であって、
遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号に応じて主に演出の制御を行う第1副制御部400とを備え(【2554】)、
c 遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与える演出ボタン136(【0671】)と、
d 操作キーユニット137(【0671】)を備え、
b 操作キーユニット137は、カーソルCSLを移動させる上ボタン137a、下ボタン137b、左ボタン137c、右ボタン137dや、OKボタン137e及びクリアボタン137fの6つのボタンを有して構成され(【2453】、【2457】、【2665】)、
e、h 第1副制御部400は、ミニゲームの演出において、
メニュー画面の会員登録、カスタマイズ、ミニゲーム、個人データクリア、終了の各項目を、装飾図柄表示装置208に縦列に並んで表示し、
その下方に、方向キー操作促進画像137pとともに「選択」の文字を表示し、
また、OKボタン操作促進画像137q及びボタン画像136aとともに「決定」の文字を表示し、
操作キーユニット137の上ボタン137aや下ボタン137bを操作してカーソルCSLを移動させ、OKボタン137eあるいは演出ボタン136を操作することにより、カーソルCSLで指示された項目を実行し(【2451】、【2453】、【2554】)、
f 第1副制御部400は、カーソルCSLが「カスタマイズ」を指示している状態でOKボタン137eが操作されると、カスタマイズメニュー画面に移行させ(【2456】、【2554】)、
g、i 第1副制御部400は、カスタマイズメニュー画面において、
オートボタンモードのオン/オフ、エコモードのオン/オフ、プレミア予告出現率の設定、チュートリアル表示のオン/オフの各種設定を縦列に並んで表示し、
その下方には、方向キー操作促進画像137pとともに「選択」の文字を表示し、
また、OKボタン操作促進画像137qとともに「決定」の文字を表示し、
操作キーユニット137の上ボタン137aや下ボタン137bを操作してカーソルCSLを上下方向に移動させ、左ボタン137c及び右ボタン137bを操作することで、カーソルCSLに指示された設定の変更を行い(【2457】、【2554】)、
カスタマイズメニュー画面では、「オートボタンモード」の設定が「オン」とされた状態でOKボタン137eが1回操作されると、「オートボタンモード」の設定を「オン」に確定する(【2457】、【2463】)、
j パチンコ機100等の弾球遊技機(【0010】)。」
(3)甲第2号証の記載事項
ア 記載事項
甲第2号証(特開2016-87208号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)「【0010】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る遊技台(例えば、パチンコ機100等の弾球遊技機やスロット機等の回胴遊技機)について詳細に説明する。」
(イ)「【1575】
図101(f)に続く図101(g)は、遊技者がチャンスボタン136を押下して装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dにメニュー画像を表示させたユーザーメニュー演出770を実行している状態を示している。なお、普図表示装置210では普図変動遊技が実行されている。ユーザーメニュー演出770が開始されると、デモ演出が中止されるため注意喚起報知演出750も終了する。こうすることにより、デモ演出中に行われた注意喚起報知を遊技者による操作で隠すことができる。遊技者がチャンスボタン136を操作したことに基づいてユーザーメニューの表示が開始されると、実行されていたデモ演出が中止されるので、注意喚起報知を不要と考えている遊技者がデモ演出を任意に中止することができる。
【1576】
本実施例によるパチンコ機100は、遊技者が操作可能な設定操作部を有している。設定操作部は、例えば、球貯留皿付扉108のチャンスボタン136近傍に配置されている。設定操作部は、設定者(例えば、遊技者、遊技店員)による押下が可能な押ボタン式のスイッチとして、確定(OK)ボタンと、確定ボタンの上方に位置する上ボタンと、確定ボタンの下方に位置する下ボタンと、確定ボタンの右方に位置する右ボタンと、確定ボタンの左方に位置する左ボタンと、右ボタンのさらに右方に位置するキャンセル(C)ボタンとを備えている。また、設定操作部は、各ボタンのそれぞれの押下を検出する操作部センサを備えている。本例の設定操作部は、各ボタンおよび操作部センサが一体化したユニット構造を有している。設定操作部の各ボタンのうち少なくとも1つは、所定条件が成立したときの遊技者の操作によって各種演出装置206(図64参照)の演出態様に変化を与えるチャンスボタンとして機能するようになっていてもよい。」
(ウ)「【1581】
図102(a)に続く図102(b)は、遊技者が設定操作部のボタンを操作して、メニュー画像に表示されている「パスワード入力」アイコンにポインタを位置させて設定操作部の確定ボタンを押下した結果、演出表示領域208dにパスワード入力画面が表示された状態を示している。演出表示領域208dの上段には「パスワード入力」の文字列が中央に配置されたタイトルバーが表示されている。画面左側には4桁の数字を入力する入力領域が表示されている。入力領域にはすでに上位2桁に「15」が入力されている。下位2桁には未入力を示す「**」が表示されている。画面右側にはテンキーが表示され、ポインタが「5」の位置にあることが示されている。
【1582】
図102(b)に続く図102(c)は、遊技者がポインタをテンキーの「OK」アイコンに位置させて、設定操作部の確定ボタンを押下した結果、パチンコ機100側から「パスワードの入力を受け付けました」という報知が表示された状態を示している。」
イ 甲第2号証に記載された技術事項
上記アの記載事項から、甲第2号証には、次の技術事項が開示されていると認められる。
「メニュー画像に表示されている「パスワード入力」アイコンにポインタを位置させて設定操作部の確定ボタンを押下した結果、演出表示領域208dにパスワード入力画面が表示され、
パスワード入力画面が表示された状態で、遊技者がポインタをテンキーの「OK」アイコンに位置させて、設定操作部の確定ボタンを押下した結果、パチンコ機100側から「パスワードの入力を受け付けました」という報知が表示された状態となるパチンコ機100。」
(4)甲第3号証の記載事項
ア 記載事項
甲第3号証(特開2017-86605号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)「【0020】
[第1実施形態]
第1実施形態では、本発明がスロットマシンに適用された場合の一例を説明する。図1は、本実施形態に係るスロットマシン1の全体構造を示す正面図である。スロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筺体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bとを含む。前面扉1bの中央上部には、液晶表示器51が設けられている。液晶表示器51は、所定の演出を実行可能な表示領域を有している。」
(イ)「【0068】
設定メニュー画面は、リールが停止しており、かつボタン演出が実行されていない状態において、演出用スイッチ56が操作されたときに表示される画面である(図16のS819参照)。
【0069】
図17は、設定メニュー画面の一例を示した図である。図17の設定メニュー画面では、「オート連打の有効・無効を変更」などの文字が表示され、遊技者にオート連打の機能の設定操作を促す表示がなされる。また、図17の例では、設定メニュー画面においてオート連打の機能の有効を示す選択肢400とオート連打の機能の無効を示す選択肢401が表示される。また、図17の例では、カーソル(図17の例では太線)が、選択肢400に合わせられている(選択肢400が選択されている状態であるものとする)。
設定メニュー画面が表示されているときにおいて、左ストップスイッチ8Lを操作することによりカーソルを移動させることができる。また、選択肢400または選択肢401が選択されている状態で、リールの回転を開始させる操作(つまり、スタートスイッチ7への操作)が行われると、設定メニュー画面が消去されるとともに、該選択されていた選択肢に決定される。」
イ 甲3号証に記載された技術事項
上記アの記載事項から、甲第3号証には、次の技術事項が開示されていると認められる。
「設定メニュー画面が表示されているときにおいて、左ストップスイッチ8Lを操作することによりカーソルを移動させることができ、選択肢400または選択肢401が選択されている状態で、リールの回転を開始させる操作(つまり、スタートスイッチ7への操作)が行われると、設定メニュー画面が消去されるとともに、該選択されていた選択肢に決定されるスロットマシン1。」
(5)当審の判断
ア 対比
本件訂正発明と甲1発明とを分説に従い対比する。
(a、j)
甲1発明の「パチンコ機100等の弾球遊技機」は、本件訂正発明の「遊技を行う遊技機」および「遊技機」に相当する。
したがって、甲1発明の構成a、jは、本件訂正発明の構成A、Jに相当する。
(b)
甲1発明の「操作キーユニット137」のうち、「カーソルCSLを移動させる上ボタン137a、下ボタン137b、左ボタン137c、右ボタン137d」は、本件訂正発明の「選択操作部」に相当する。
したがって、甲1発明の構成bは、本件訂正発明の構成Bに相当する。
(c)
甲1発明の「遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与える演出ボタン136」は、本件訂正発明の「第1操作部」に相当する。
したがって、甲1発明の構成cは、本件訂正発明の構成Cに相当する。
(d)
甲1発明の「操作キーユニット137」のうち、構成bにより特定される「OKボタン137e」は、本件訂正発明の「第2操作部」に相当する。
したがって、甲1発明の構成b、dは、本件訂正発明の構成Dに相当する。
(e)
甲1発明の「ミニゲームの演出において、メニュー画面の」「各項目を、装飾図柄表示装置208に縦列に並んで表示し」ている状態は、本件訂正発明の「第1状態」に相当する。
そして、甲1発明の「会員登録、カスタマイズ、ミニゲーム、個人データクリア、終了の各項目」は、本件訂正発明の「複数の第1項目」に相当する。
そうすると、引用発明の「カーソルCSLで指示された項目を実行」する「第1副制御部400」は、本件訂正発明の「いずれかの項目を決定可能である」「第1決定手段」としての機能を有する。
したがって、甲1発明の構成e、hは、本件訂正発明の構成Eに相当する。
(f)
甲1発明の「カーソルCSLが「カスタマイズ」を指示している状態でOKボタン137eが操作される」ときは、構成e、hより、「ミニゲームの演出において、メニュー画面の会員登録、カスタマイズ、ミニゲーム、個人データクリア、終了の各項目を、装飾図柄表示装置208に縦列に並んで表示」されていることから、本件訂正発明の「第1状態において第1項目が決定されたとき」に相当する。
甲1発明の「カスタマイズメニュー画面」は、「カーソルCSLが「カスタマイズ」を指示している状態でOKボタン137eが操作される」と「移行」するものであり、構成g、iによると、「オートボタンモードのオン/オフ、エコモードのオン/オフ、プレミア予告出現率の設定、チュートリアル表示のオン/オフの各種設定を縦列に並んで表示」するものであるから、「カスタマイズメニュー画面」を表示している状態は、本件訂正発明の「第2状態」に相当する。
そうすると、甲1発明の「カスタマイズメニュー画面に移行させ」る「第1副制御部400」は、本件訂正発明の「第2状態に移行させる状態移行手段」としての機能を有する。
したがって、甲1発明の構成fは、本件訂正発明の構成Fに相当する。
(g)
上記(f)より、甲1発明の「カスタマイズメニュー画面」を表示している状態は、本件訂正発明の「第2状態」に相当する。
そして、甲1発明の「オートボタンモードのオン/オフ、エコモードのオン/オフ、プレミア予告出現率の設定、チュートリアル表示のオン/オフの各種設定」に係る項目は、本件訂正発明の「複数の第2項目」に相当する。
また、甲1発明において、「カスタマイズメニュー画面では、「オートボタンモード」の設定が「オン」とされた状態でOKボタン137eが1回操作されると、「オートボタンモード」の設定を「オン」に確定する」ことから、甲1発明における「OKボタン137e」の「1回操作」は、本件訂正発明の「複数の第2項目のうちのいずれかの項目を決定可能」とする機能を有するものであるといえる。
そうすると、甲1発明の「カスタマイズメニュー画面において」「操作キーユニット137の上ボタン137aや下ボタン137bを操作してカーソルCSLを上下方向に移動し、左ボタン137c及び右ボタン137bを操作することで、カーソルCSLに指示された設定の変更を行い」、「「オートボタンモード」の設定が「オン」とされた状態でOKボタン137eが1回操作されると、「オートボタンモード」の設定を「オン」に確定する」「第1副制御部400」は、本件訂正発明の「第2状態において複数の第2項目のうちのいずれかの項目を決定可能である第2決定手段」としての機能を有する。
したがって、甲1発明の構成g、iは、本件訂正発明の構成Gに相当する。
(h)
甲1発明の「操作キーユニット137の上ボタン137aや下ボタン137bを操作してカーソルCSLを移動させ」ることは、本件訂正発明の「複数の第1項目のうちのいずれかの項目は選択操作部を用いた選択操作により選択され」ることに相当する。
そして、上記(c)より、甲1発明の「演出ボタン136」は、本件訂正発明の「第1操作部」に相当する。
そうすると、甲1発明の「メニュー画面」が表示されている状態で「演出ボタン136を操作することにより、カーソルCSLで指示された項目を実行」することは、本件訂正発明の「該選択された項目は」「前記第1操作部を用いた第1操作により決定され」ることに相当する。
また、後述する(i)より、甲1発明の「操作キーユニット137」のうち、構成bにより特定される「OKボタン137e」は、本件訂正発明の「第2操作部」に相当する。
そして、甲1発明は、「メニュー画面」が表示されている状態で「操作キーユニット137の上ボタン137aや下ボタン137bを操作してカーソルCSLを移動させ、OKボタン137eあるいは演出ボタン136を操作することにより、カーソルCSLで指示された項目を実行」するものであり、また、構成fより、「カーソルCSLが「カスタマイズ」を指示している状態でOKボタン137eが操作されると、カスタマイズメニュー画面に移行させ」るものである。
そうすると、甲1発明において、「メニュー画面」が表示されている状態で「OKボタン137e」が操作されると、「カーソルCSLで指示された項目を実行」するものである。
したがって、甲1発明の構成e、hと、本件訂正発明の構成Hとは、「第1状態において、複数の第1項目のうちのいずれかの項目は選択操作部を用いた選択操作により選択され、該選択された項目は」「前記第1操作部を用いた第1操作により決定され」る点で共通する。
(i)
上記(f)より、甲1発明の「カスタマイズメニュー画面」を表示している状態は、本件訂正発明の「第2状態」に相当する。
そして、上記(g)より、甲1発明の「オートボタンモードのオン/オフ、エコモードのオン/オフ、プレミア予告出現率の設定、チュートリアル表示のオン/オフの各種設定」に係る項目は、本件訂正発明の「複数の第2項目」に相当する。
また、甲1発明の「左ボタン137c及び右ボタン137bを操作することで、カーソルCSLに指示された設定の変更を行」うことは、本件訂正発明の「複数の第2項目のうちのいずれかの項目は選択操作部を用いた選択操作により選択され」ることに相当する。
さらに、甲1発明の「操作キーユニット137」のうち、構成bにより特定される「OKボタン137e」は、本件訂正発明の「第2操作部」に相当する。
そうすると、甲1発明の「「オートボタンモード」の設定が「オン」とされた状態でOKボタン137eが1回操作されると、「オートボタンモード」の設定を「オン」に確定する」ことは、本件訂正発明の「該選択された項目は」「前記第2操作部を用いた前記第2操作により決定される」ことに相当する。
ここで、甲1発明は、「「オートボタンモード」の設定が「オン」とされた状態でOKボタン137eが1回操作されると、「オートボタンモード」の設定を「オン」に確定する」のであって、「オートボタンモード」の設定が「オン」とされた状態で「演出ボタン136」を操作しても「オートボタンモード」の設定を「オン」に確定するのでないことは明らかであり、このことは、本件訂正発明の「選択された項目は第1操作部を用いた第1操作では決定され」ないことに相当する。
したがって、甲1発明の構成g、iは、本件訂正発明の構成Iに相当する。
(k)小括
上記(a、j)~(i)より、本件訂正発明と甲1発明は、
「A 遊技を行う遊技機において、
B 選択操作部と、
C 第1操作部と、
D 第2操作部と、
E 第1状態において複数の第1項目のうちのいずれかの項目を決定可能である第1決定手段と、
F 前記第1状態において第1項目が決定されたときに第2状態に移行させる状態移行手段と、
G 前記第2状態において複数の第2項目のうちのいずれかの項目を決定可能である第2決定手段と、を備え、
H´前記第1状態において、複数の第1項目のうちのいずれかの項目は前記選択操作部を用いた選択操作により選択され、該選択された項目は前記第1操作部を用いた第1操作により決定され、
I 前記第2状態において、複数の第2項目のうちのいずれかの項目は前記選択操作部を用いた選択操作により選択され、該選択された項目は前記第1操作部を用いた前記第1操作では決定されず前記第2操作部を用いた前記第2操作により決定される
J 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。
[相違点](構成H)
「第1状態」における「複数の第1項目のうちのいずれかの項目」の決定に関し、本件訂正発明は、「複数の第2項目のうちのいずれかの項目」の「決定」に用いられる「第2操作部を用いた第2操作では決定され」ないのに対して、引用発明は、「「オートボタンモード」の設定を「オン」に確定する」「OKボタン137e」、あるいは、「演出ボタン136を操作することにより、カーソルCSLで指示された項目を実行」する点。
イ 判断
上記相違点(構成H)について検討する。
甲1発明は、「メニュー画面の会員登録、カスタマイズ、ミニゲーム、個人データクリア、終了の各項目」の中から、「OKボタン137eあるいは演出ボタン136を操作すること」により一つの項目を決定するものであるが、「メニュー画面」に表示された各項の中から一つの項目を決定する際に、「演出ボタン136」による操作のみを有効とし、「オートボタンモード」の設定を確定する際に操作される、「OKボタン137e」による操作を無効化することについて、記載も示唆もされていない。
そして、甲第2号証に記載された技術事項は、「メニュー画像」が表示された状態、及び、「パスワード入力画面が表示された状態」のいずれの場合も、項目の確定には、同じ「確定ボタン」を用いる遊技機に関するものである。
また、甲第3号証に記載された技術事項は、「設定メニュー画面が表示されているときにおいて、選択肢400または選択肢401が選択されている状態で、リールの回転を開始させる操作(つまり、スタートスイッチ7への操作)が行われると、設定メニュー画面が消去されるとともに、該選択されていた選択肢に決定されるものである。したがって、甲第2号証、甲第3号証はいずれも上記相違点に係る構成を備えるものでない。
一方、本件訂正発明は、上記相違点に係る構成を備えることで、本件特許明細書に記載された
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の遊技機では、メインメニュー画面でパスワード入力画面に移行させる操作と、パスワード入力画面でパスワードを決定するための操作が同一の演出用スイッチによる操作であるため、メインメニュー画面が表示されているときに遊技者が誤って演出用スイッチを連続操作してしまうと、パスワード入力画面に移行させる操作とパスワード入力画面で文字を決定する操作が連続して受け付けられてしまい、パスワード入力画面で遊技者の意図しない文字が決定されてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、遊技者が意図しない第2項目を決定してしまうことを抑止できる遊技機を提供することを目的とする。」
と記載されているように、「メインメニュー画面でパスワード入力画面に移行させる操作と、パスワード入力画面でパスワードを決定するための操作」とを異ならせることで、「遊技者が意図しない第2項目を決定してしまうことを抑止」することを目的とし、同じく【0007】に記載された「遊技者が意図しない第2項目を決定してしまうことを抑止できる。」という効果を奏するものであるから、技術的意義を有するものである。
また、「遊技者が意図しない第2項目を決定してしまうことを抑止」するために、「第1状態」における「複数の第1項目のうちのいずれかの項目」の決定に関し、「複数の第2項目のうちのいずれかの項目」の「決定」に用いられる「第2操作部を用いた第2操作では決定されず第1操作部を用いた第1操作により決定され」ることは、特許異議申立人が提出した甲第1~3号証のいずれの証拠にも記載も示唆もされておらず、また、遊技機の技術分野において、周知の技術事項でない。
したがって、本件訂正発明は、甲1発明と同一ではなく、かつ、甲1発明、及び、甲第2号証及び甲第3号証に記載された事項に基づいて、本件訂正発明の構成Hを備えることは、当業者が容易になし得たものでもない。
よって、特許異議申立人が提出した証拠によっては、本件訂正発明について、甲1発明と同一であるとも、甲1発明、及び、甲第2号証及び甲第3号証に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものであるといえない。
6 令和4年1月20日付け意見書における異議申立人の主張について
特許異議申立人の特許異議申立書における主張を踏まえて上述のとおり検討をしたが、以下、令和4年1月20日付け意見書における異議申立人の主張についても検討する。
(1)意見書における異議申立人の主張の概要
ア 本件訂正の適法性
(ア)訂正の目的要件
文理解釈上、「前記第1操作部を用いた第1操作により決定され」ることは、文理解釈上、「前記第2操作部を用いた第2操作」により決定されることと同義ではないから、「前記第1操作部を用いた第1操作により決定され」ることが、「前記第2操作部を用いた第2操作」により決定されることでないことは自明である。
また、遊技機には、第2操作部以外にも第1操作部の第1操作と関わりのない操作部が存在し得るのであって、それらの関わりのない操作部から第2操作部が関わりのないものであることを選択することに技術的意義はないため、訂正事項1について、訂正前と訂正後とで技術的意義に変わりはない。
よって、訂正事項1は、形式的には文言を付加しているものの、実質的にその技術的範囲にいささかも変更を加えるものではなく、実質的に、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明のいずれをも目的とするものではないことから、訂正の目的要件を欠き、特許法第120条の5第2項ただし書の規定に適合しない訂正である。
(イ)新規事項の追加及び特許請求の範囲の実質的拡張又は変更
訂正事項1は、本件訂正前の事項に、前記第2操作部を用いた第2操作によっては決定されない、という新たな構成を付加したものに変更するものであるから、その構成を付加する点において、本件特許の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないものとなる。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定にも適合しない訂正である。
また、本件訂正により、本件特許発明は、明細書等に記載した事項の範囲を超えるものを含むこととなるので、同法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定にも適合しない訂正である。
イ 訂正発明について
(ア)発明の成立性及び産業上の利用可能性
訂正事項1で追加された、「前記第2操作部を用いた第2操作では決定されず」及び「前記第1操作部を用いた前記第1操作では決定されず」は、いずれもその主体が明らかになっておらず、人間により操作部を選択して操作することが排除されていない。
したがって、訂正後の発明は、人間の操作部の選択と操作という事項を要件として含むものであるから、自然法則を利用した発明であるとも、また、産業上利用可能なものであるともいえない。
したがって、本件訂正後の発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する要件に違反するものであるから、本件特許は、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
(イ)サポート要件
訂正事項1は、本件特許明細書等に記載されておらず、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されていないものである。
また、訂正事項1は、本件訂正前の事項に、第2操作部を用いた第2操作によっては決定されない、という新たな構成を付加したものに変更するものであることになるが、その構成を裏付ける実施例は十分に記載されていない。
また、発明の詳細な説明に記載された事項から、出願時の技術常識に照らしても、本件訂正後の請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるものであるともいえない。
したがって、訂正事項は、特許法第36条第6項第1号の要件に違反するものであるから、本件特許は、同法第113条第4号の規定に該当し、同法第114条第2項の規定により取り消されるべきものである。
(2)異議申立人の主張についての検討
ア 本件訂正の適法性
(ア)訂正の目的要件
上記「2(2)ア(ア)」において検討したように、訂正事項1は、「選択された項目」が「決定」される操作部の範囲を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記「5(5)イ 判断」において検討したように、本件訂正発明は、本件特許明細書に記載された「遊技者が意図しない第2項目を決定してしまうことを抑止」することを目的とするものであって、訂正事項1により、「選択された項目」の「決定」操作に関して、どの操作部を操作すると「選択された項目」が「決定」されないかについて特定することで、「選択された項目」を「決定」操作する「第1操作部」及び「第2操作部」の範囲を限定することにより、上記目的を解決するものである。
したがって、訂正事項1は、発明の目的解決のための特定事項に関するものであるので、技術的意義を有するものである。
(イ)新規事項の追加及び特許請求の範囲の実質的拡張又は変更
上記「2(2)ア(ウ)」において検討したように、訂正事項1は、願書に添付した明細書の【0059】、【0061】の記載に基づくものであって、新たな技術事項を導入するものではない。
したがって、異議申立人の上記「(1)ア(イ)」の主張を採用することはできない。
イ 訂正発明について
(ア)発明の成立性及び産業上の利用可能性
訂正発明において、「複数の第1項目のうちのいずれかの項目」の「決定」、及び、「複数の第2項目のうちのいずれかの項目」の「決定」は、あくまでも、「遊技機」が備える「第1決定手段」、「第2決定手段」により決定されるものであって、人間の操作そのものが「遊技機」の構成要件に含まれているものではない。
また、本件訂正発明は、(i)人間を手術、治療又は診断する方法の発明、(ii)業として利用できない発明、(iii)実際上、明らかに実施できない発明、のいずれにも該当しないものであるから、産業上の利用可能性の要件を満たすものである。
したがって、本件訂正発明は、産業上利用可能なものといえる。
また、本件訂正発明は、項目の決定を行うための「第1状態において複数の第1項目のうちのいずれかの項目を決定可能である第1決定手段」、「前記第1状態において第1項目が決定されたときに第2状態に移行させる状態移行手段」、及び、「前記第2状態において複数の第2項目のうちのいずれかの項目を決定可能である第2決定手段」によって、遊技機という装置(ハードウェア資源)において、機器等に対する制御又は制御に伴う処理を具体的に行うものであるから、自然法則を利用していることは明らかである。
したがって、本件訂正発明は、全体として、上述の項目の決定制御を具体的に行うものであり、自然法則を利用していることは明らかであるから、本件訂正発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」に当たるものと理解することができる。
よって、異議申立人の上記「(1)イ(ア)」の主張を採用することはできない。
(エ)サポート要件
上記「2(2)ア(ウ)」において検討したように、訂正事項1は、願書に添付した明細書の【0059】、【0061】の記載に基づくものであって、明細書に訂正事項1の構成を裏付ける実施例は十分に記載されている。
したがって、異議申立人の上記「(1)イ(イ)」の主張を採用することはできない。
ウ 小括
上記ア、イより、異議申立人の令和4年1月20日付け意見書における主張は採用することができない。
7 むすび
以上のことから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-700557