特許異議申立
2021-700496
酢酸含有飲食品
- 審判番号
- 2021-700496
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-233968
- 登録番号
- 6792252
- 請求日
- 2021年05月24日
- 審決日
- 2022年02月25日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社Mizkan Holdings
- 【権利者代理人】特許業務法人三枝国際特許事務所
- 【権利者】株式会社Mizkan
- 【権利者代理人】特許業務法人三枝国際特許事務所
- 【異議申立人】特許業務法人 藤央特許事務所
- 【異議申立人】森田 弘潤
- 審判長/審判官
- 審判長 村上 騎見高
- 審判官 瀬良 聡機
- 審判官 吉岡 沙織
- 分類
- P1651.113-YAA(A23L) / P1651.121-YAA(A23L) / P1651.537-YAA(A23L) / P1651.536-YAA(A23L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項、特許法第36条第6項第2号、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6792252号発明「酢酸含有飲食品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6792252号の明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の請求項1~15について訂正することを認める。
特許第6792252号の請求項1ないし15に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6792252号の請求項1ないし15に係る特許についての出願は、令和1年12月25日に特許出願され、令和2年11月10日に特許権の設定登録がされ、同年同月25日にその特許公報が発行され、その後、令和3年5月24日に、特許異議申立人 特許業務法人 藤央特許事務所(以下「特許異議申立人1」という。)により特許異議の申立て(以下「特許異議の申立て1」という」がされ、令和3年5月25日に、特許異議申立人 森田 弘潤(以下「特許異議申立人2」という。)により特許異議の申立て(以下「特許異議の申立て2」という」がされたものである。
そして、令和3年8月27日付けで当審から取消理由通知が通知され、令和3年10月29日に訂正請求書及び意見書が提出され、令和3年11月18日付けで当審から特許法120条の5第5項に基づく通知書が出され、特許異議申立人1から令和3年12月13日に意見書が提出され、特許異議申立人2から令和3年12月22日に意見書が提出されたものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和3年10月29日付け訂正請求(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の明細書を、訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり、以下の訂正事項1~3の訂正を求めるものである。
(1)訂正事項1
訂正事項1は、【0125】の訂正前の表15から、「タイプB」の列を削除し、【0126】の訂正前の表16から「実施例77」の列を削除する。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の【0126】の「試験例3-4.つゆ
表17に示す組成に従って原料を配合し、・・・結果を表18に示す。」を削除し、訂正前の【0127】【0128】を削除する。
(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の【0130】の「試験例3-6.ドレッシング
表21に示す組成に従って原料を配合し、・・・結果を表22に示す。」を削除し、訂正前の【0131】【0132】を削除する。
2 目的の適否
(1)上記訂正事項1は、訂正前の成分の含有量の点で不明瞭な記載である表15の「タイプB」の列及び表16の「実施例77」の列の記載を削除したものである。
したがって、上記訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)上記訂正事項2は、訂正前の成分の含有量の点で不明瞭な記載である表17及び表18及びそれらの説明記載を削除したものである。
したがって、上記訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(3)上記訂正事項3は、訂正前の成分の含有量の点で不明瞭な記載である表21及び表22及びそれらの説明記載を削除したものである。
したがって、上記訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
3 新規事項についての判断
(1)訂正事項1について
上記訂正事項1は、列ごとに独立した情報であるものを列全体を削除したものであるから、新たな技術的事項を導入するものとはいえず、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載された事項の範囲内のものと認められる。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。
(2)訂正事項2及び3について
上記訂正事項2及び3は、いずれも表の記載全体及びその説明記載を削除したものであるから、新たな技術的事項を導入するものとはいえず、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載された範囲内のものと認められる。
したがって、訂正事項2及び3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。
4 実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
(1)訂正事項1について
上記2、3で検討したとおり、訂正事項1は、本件特許明細書の表の一部の列全体を削除するものであり、特許請求の範囲の請求項1~15に関係するものではあるが、特許請求の範囲の記載の意味内容を間接的に変更するものとはいえず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。
(2)訂正事項2及び3について
上記2、3で検討したとおり、訂正事項2及び3は、いずれも、本件特許明細書の表の記載全体及びその説明記載を削除したものであるから、特許請求の範囲の請求項1~15に関係するものではあるが、特許請求の範囲の記載の意味内容を間接的に変更するものとはいえず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2及び3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。
5 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める。
第3 特許請求の範囲の記載
上記第2で述べたとおり、本件訂正によって、特許請求の範囲は訂正されていないので、本件特許の請求項1~15に係る発明は、本件特許登録時の特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定される次のとおりのものである(請求項1~15に係る特許発明をそれぞれ、「本件特許発明1」~「本件特許発明15」といい、まとめて「本件特許発明」ともいう。)。
「【請求項1】
酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である、酢酸含有飲食品。
【請求項2】
さらに、前記b成分を含有する、請求項1に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項3】
前記b成分の含有量が0.005~50000ppbである、請求項2に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項4】
さらに(c成分)2-ブタノンを含有する、請求項1~3のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項5】
さらに(d成分)3-メチルブタナールを含有する、請求項1~4のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項6】
前記d成分の含有量が0.01~15000ppbである、請求項5に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項7】
前記a成分及び前記b成分の合計含有量に対する酢酸エチル含有量の比(酢酸エチル濃度値(ppm)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.0001~25000である、請求項1~6のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項8】
前記a成分及び前記b成分の合計含有量に対するアセトアルデヒド含有量の比(アセトアルデヒド濃度値(ppm)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.0001~12500である、請求項1~7のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項9】
前記a成分、前記b成分、(c成分)2-ブタノン、及び(d成分)3-メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a~d合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である、請求項1~8のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項10】
そのまま喫食に供される飲食品である、請求項1~9のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項11】
喫食に供される飲食品の調製用組成物である、請求項1~9のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項12】
飲料、該飲料の調製用組成物、又は調味料である、請求項1~11のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項13】
酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された酢酸含有飲食品の製造方法。
【請求項14】
(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように酢酸含有飲食品に配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法。
【請求項15】
(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように酢酸含有飲食品に添加するための組成物。」
第4 取消理由及び特許異議申立理由
1 特許異議申立人が申し立てた理由
(1)特許異議申立人1が申し立てた理由
特許異議申立人1が申し立てた理由の概要は以下のとおりである。
(1-1-1)新規性
請求項1~3、7~9、11~15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7~10号証を参照すると、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~3、7~9、11~15に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(1-1-2)進歩性
請求項1~3、7~9、11~15に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明及び本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7~10号証記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3、7~9、11~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(1-2-1)新規性
請求項1~3、7~15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7~9、17号証を参照すると、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~3、7~15に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(1-2-2)進歩性
請求項1~3、7~15に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7~9、17号証記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3、7~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(1-3-1)新規性
請求項1、9、10、13、14に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である下記の甲第10号証を参照すると、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である下記の甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、9、10、13、14に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(1-3-2)進歩性
請求項1、9、10、13、14に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である下記の甲第3号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第10号証記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、9、10、13、14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(1-4-1)新規性
請求項1~5、7、8、11~15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7~15号証を参照すると、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である下記の甲第4号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~5、7、8、11~15に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(1-4-2)進歩性
請求項1~5、7、8、11~15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である下記の甲第4号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7~15号証記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5、7、8、11~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(1-5-1)新規性
請求項1~9、11~15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7~9、11~17号証を参照すると、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第5号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~9、11~15に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(1-5-2)進歩性
請求項1~9、11~15に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第5号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~9、11~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(1-6-1)新規性
請求項1~3、9、10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である下記の甲第18号証を参照すると、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である下記の甲第6号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~3、9、10に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(1-6-2)進歩性
請求項1~3、9、10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である下記の甲第6号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である下記の甲第18号証記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3、9、10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(1-7)サポート要件
請求項1~15に係る特許は、3-メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量やそれを用いた他成分の含有量との比が規定されているところ、甲第11号証を考慮すると、醤油には、3-メチルブタナールが含まれており、試験例3-3のタイプBの醤油を用いた実施例77(表15および表16)、試験例3-4(表17、18)、試験例3-6(表21、表22)の実施例や比較例に3-メチルブタナールが含まれていない(あるいは明らかに低すぎる)ことや、甲第9号証を考慮すると、食酢には一般的に酢酸イソアミルが含まれており、試験例の比較例に酢酸イソアミルが含まれていないのは、ともに技術常識に反する結果が記載されており、請求項1~15に係る発明が、その課題を解決できることの関係が不明確であるため、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
(1-8)明確性要件
請求項1~15に係る特許は、3-メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量やそれを用いた他成分の含有量との比が規定されているところ、甲第11号証を考慮すると、醤油には、3-メチルブタナールが含まれており、試験例3-3のタイプBの醤油を用いた実施例77(表15および表16)、試験例3-4(表17、18)、試験例3-6(表21、表22)の実施例や比較例に3-メチルブタナールが含まれていない(あるいは明らかに低すぎる)ことや、甲第9号証を考慮すると、食酢には一般的に酢酸イソアミルが含まれており、試験例の比較例に酢酸イソアミルが含まれていないのは、ともに技術常識に反する結果が記載されており、請求項1~15に係る発明の3-メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量を当業者が理解できないから、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
(1-9)実施可能要件
請求項1~15に係る特許に関して、3-メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量やそれを用いた他成分の含有量との比が規定されているところ、甲第11号証を考慮すると、醤油には、3-メチルブタナールが含まれており、試験例3-3のタイプBの醤油を用いた実施例77(表15および表16)、試験例3-4(表17、18)、試験例3-6(表21、表22)の実施例や比較例に3-メチルブタナールが含まれていない(あるいは明らかに低すぎる)ことや、甲第9号証を考慮すると、食酢には一般的に酢酸イソアミルが含まれており、試験例の比較例に酢酸イソアミルが含まれていないのは、ともに技術常識に反する結果が記載されており、発明の詳細な説明の3-メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量の記載に不備があり、当業者が請求項1~15に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないから、その発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に適合するものではなく、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
(2)特許異議申立人2が申し立てた理由
特許異議申立人2が申し立てた理由の概要は以下のとおりである。
(2-1)サポート要件
請求項1~15に係る特許は、官能評価試験に関して、適切な手続が踏まれていない点、パラメータに関して、数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意が出願時の技術常識を参酌して、当該範囲内であれば所望の効果が得られると当業者が認識できる程度に具体例を示していない点、酢酸の含有割合に関する上限値の規定が存在せず、酢酸の濃度が大きくなれば本件特許発明の課題の解決が困難であることは技術常識である(甲第9号証提出)点から、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
(2-2―1)新規性
請求項1~15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証、甲第3号証(-1~4)、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照すると、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~15に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2-2-2)進歩性
請求項1~15に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証、甲第3号証(-1~4)、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2-3―1)新規性
請求項1~15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証、甲第3号証(-1~4)、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照すると、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~15に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2-3-2)進歩性
請求項1~15に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証、甲第3号証(-1~3)、甲第4号証(1-3)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2-4―1)新規性
請求項1~15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1、2号証、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照すると、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1~15に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2-4-2)進歩性
請求項1~15に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第3号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1、2号証、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2-5―1)新規性
請求項1~15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1、2号証、甲第3号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照すると、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~15に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2-5-2)進歩性
請求項1~15に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1、2号証、甲第3号証(-1~3)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、1~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
特許異議申立人1の提出した証拠
甲第1号証:クックパッドレシピ、りんごジュースピクルス、[online]、2019年8月22日(更新日)、クックパッド、[2021年4月20日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/5793895>
甲第2号証:クックパッドレシピ、イチゴ酢、[online]、2013年5月26日(更新日)、クックパッド、[2021年4月20日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/2236510>
甲第3号証:特開2017-35003号公報
甲第4号証:特開2004-229623号公報
甲第5号証:クックパッドレシピ、お酢嫌いの春色鶏の南蛮漬け、[online]、2009年2月27日(更新日)、クックパッド、[2021年4月19日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/745483>
甲第6号証:特開2006-124490号公報
甲第7号証:食品成分データベース、検索食品:食酢[online]、日本食品標準成分表2020年版(八訂)、文部科学省、[2021年4月22日検索]、インターネット<https://fooddb.mext.go.jp/result/result_top.pl?USER_ID=16622&MODE=8>
甲第8号証:伊藤寛、食酢(2)、日本釀造協會雜誌、1978年、第73巻、第6号、p.453~460
甲第9号証:近藤徹弥 外2名、市販食酢の成分と官能特性の多変量解析、愛知県食品工業技術センター年報、1998年3月、第38号、p.29~35
甲第10号証:Norio Kakiuchi 外1名,Composition of Volatile Compounds of Apple Fruits in Relation to Cultivars, Journal of Japanese Society for Horticultural Science,1986年,Vol.55, No. 3, p.280~289
甲第11号証:横塚保(決定注:原文は、「塚」は旧字体) 外3名、醤油の香り(2)、日本釀造協會雜誌、1980年9月15日、第75巻、第9号、p.717~728
甲第12号証:永瀬一郎、醤油の香気成分についての一考察、日本釀造協會雜誌、1978年9月15日、第73巻、第9号、p.697~700
甲第13号証:Kyung Eun Lee 外4名,Comparative Volatile Profiles in Soy Sauce According to Inoculated Microorganisms, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2013年11月23日,Vol.77, No.11,p.2192~2200(抄訳添付)
甲第14号証:森田日出男 外1名、みりんと調理、調理科学、1970年、第3巻、第3号、p.135~139
甲第15号証:森田日出男 外2名、みりんの香気成分、日本釀造協會雜誌、1975年、第70巻、第1号、p.33~38
甲第16号証: 食材デポ、検索食材:ミツカンやさしいお酢[online]、株式会社ハピネス、[2021年4月26日検索]、インターネット<https://www.shokudepo.com/shop/g/g3131656/>
甲第17号証:Carolina Parra-Palma外5名,Comparative study of the volatile organic compounds of four strawberry cultivars and it relation to alcohol acyltransferase enzymatic activity,Scientia Horticulturae,2019年,Vol. 251,p.65~72(抄訳添付)
甲第18号証:特開平6-98760号公報
特許異議申立人2の提出した証拠
甲第1号証:クックパッドレシピ、即席(決定注:原文では、即席の後にハート記号) リンゴ酢ジュース、[online]、2012年2月21日(更新日)、クックパッド、[2021年5月14日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/1410714>
甲第2号証:クックパッドレシピ、黒酢はちみつりんごジュース、[online]、2013年8月31日(更新日)、クックパッド、[2021年5月14日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/1727197>
甲第3号証-1:消費者庁ウェブサイト、様式I :届出食品の科学的根拠等に関する基本情報(一般消費者向け) 商品名:まろやかりんご酢 はちみつりんご、[online]、2016年10月7日(届出日)<https://db.plusaid.jp/foods/B250>、[2021年5月24日検索]、インターネット<URL:https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=42110050080900>
甲第3号証-2 : 消費者庁ウェブサイト、商品名:まろやかりんご酢 はちみつりんごの変更事項 新旧対照表、[online]、令和3年4月9日(最終変更日)」インターネット甲第3号証-1から<URL:https://fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/shinkyu?taisyouHyouFile=B250%255 CB250_shinkyu.pdf>
甲第3号証-3 : ミツカン まろやかりんご酢 はちみつりんごの商品情報、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:http://www.mizkan.co.jp/products/detai1/series03/979942.pdf?_ga=2.82679318318.1854542095.1621855975-1877410275.162 1340865>https://www.mizkan.co.jp/product/group/index.html?gid=03017に現在変更
甲第3号証-4 : ミツカン まろやかりんご酢 はちみつりんごの商品ラベル、インターネット甲第3号証-1から<URL:https://fld.caa.go.jp/caaks/cssc07/hyouji_mihon?hyoujimihonFile=B250%255CB250_hyouji_mihon.pdf>
甲第4号証-1:消費者庁ウェブサイト、様式I :届出食品の科学的根拠等に関する基本情報(一般消費者向け) 商品名:りんご黒酢、[online]、2015年5月9日(届出日)<https://db.plusaid.jp/foods/A33>、[2021年5月24日検索]、インターネット<URL:https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=41704260330301>
甲第4号証-2 : 消費者庁ウェブサイト、商品名:りんご黒酢の変更事項 新旧対照表、[online]、令和3年4月16日(最終変更日)、インターネット甲第4号証-1から<URL:https://fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/shinkyu?taisyouHyouFile=B242%255CB242_shinkyu.pdf>
甲第4号証-3 : ミツカン りんご黒酢の商品情報、[online]、2015年11月23日(アーカイブ画面から)、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:http://www.mizkan.co.jp/products/detai1/series03/979937.pdf?_ga=2.179714468.1854542095.1621855975-1877410275.162 1340865>
https://www.mizkan.co.jp/product/group/index.html?gid=03008に現在変更
甲第4号証-4 : ミツカン りんご黒酢の商品ラベル、インターネット
甲第4号証-1から<URL:https://fld.caa.go.jp/caaks/cssc07/hyouji_mihon?hyoujimihonFile=B242%255CB242_hyouji_mihon.pdf>
甲第5号証:YOUKI鎮江香酢、ユウキ食品株式会社、[online]、<2019年11月20日(アーカイブ画面から)<URL:https://web.archive,org/web/20191120214953/http://www2.youki.co.jp:80/goods/524>>、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://www2.youki.co.jp/goods/524>
甲第5号証-2:お料理レシピ、黒酢のサングリア風、ユウキ食品株式会社、[online]、2015年3月16日(アーカイブ画面から)、[2021年5月25日印刷日]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20150316093256/https://www2.youki.co.jp/recipes/460>
甲第6号証:BRAGG オーガニックアップルサイダービネガー日本正規品 りんご酢、[online]、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://store.shopping.yahoo.co.jp/miya-naturalfoods/brasa001.html>
甲第7号証:MAILLE白ワインビネガー、LOHACO、[online]、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://lohaco.jp/product/J265482/?int_id=product_related.List_l>
甲第8号証:内堀醸造 美濃三年酢、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://item.rakuten.co.jp/tsutsu-uraura/uchibori-sannen500-3s/>
甲第9号証:株式会社エコニクスのウェブサイト、Econews Vo1.315 、感覚量と刺激量、株式会社エコニクス、[online]、2019年9月1日、[2021年5月20日印刷日]、インターネット<URL:http://www.econixe.co.jp/econews/detail.php?id=325>
甲第10号証:試験結果報告書、異議申立人 森田 弘潤、2021年5月24日
甲第11号証:N.Kakiuchi 外4名、Changes in the Composition and Amounts of Volatile Compounds of Apple Juice Associated with Thermal Processing、Nippon Syokuhin Kogyo Gakkaishi、1987年、Vol.34、No.2、p.115~122(抄訳添付)
甲第12号証:F.Gasperi 外6名,Effects of supercritical CO2 and N2O pasteurisation on the quality of fresh apple juice,Food Chemistry,2009年,115,p.129~136(抄訳添付)
甲第13号証:カロリー Slism リンゴジュース(林檎ジュース)、株式会社amaze、[online]、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://calorie. slism.jp/107149/>
甲第14号証:ウルトラフリーダム、黒酢大さじ1は何グラムか?黒酢小さじ1は何グラム?黒酢大さじ2は何グラムか?【黒酢の密度(比重)】、[online]、2020年4月19日、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://life-freedom888.com/kurozu-oosaji-g/>
甲第15号証:ウルトラフリーダム、はちみつ大さじ1は何グラム(何g)か?はちみつ大さじ2は何グラムか?はちみつ大さじ3は何gか?、[online]、2020年4月15日、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://life-freedom888.com/hachimitu-oosaji-g/>
甲第16号証:A.Bouseta 外2名,Characteristic aroma profiles of unifloral honeys obtained with a dynamic headspace GC-MS system,Journal of Apicultural Research,1992年,Vol.31,No.2,p.96~109(抄訳添付)
甲第17号証:荒井 綜一 外3名編、最新 香料の事典、株式会社 朝倉書店、2000年5月10日、p.256~259、360~361
甲第18号証:F.D.Tusa(決定注:原文は、「s」の下に「,」) 外5名、Analysis Of Flavor Compounds By GC/MS After Liquid-Liquid Extraction From Fruit Juices、AIP Conference Proceedings、2012年2月、Vol.1425、p.53~57
甲第19号証:L.Acena(決定注:原文は、「n」の上に「~」) 外4名、Chemical Characterization of Commercial Sherry Vinegar Aroma by Headspace Solid-Phase Microextraction and Gas Chromatography-Olfactometry、Journal of Agricultural and Food Chemistry、2011年3月16日、Vol.59、No.8、p.4062~4070(抄訳添付)
甲第20号証:平山 令明著、「香り」の科学 匂いの正体からその効能まで、株式会社 講談社、2017年6月20日、p.176~177
甲第21号証:クックパッドレシピ、家で簡単ビネガードリンク、[online]、2013年1月30日(更新日)、クックパッド、[2021年5月21日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/2100074>
甲第22号証:クックパッドレシピ、リンゴジュース酢ドリンク、[online]、2017年3月2日(更新日)、クックパッド、[2021年5月21日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/3983698>
甲第23号証:クックパッドレシピ、お酢が苦手な人に♪黒酢オレンジジュース、[online]、2012年9月13日(更新日)、クックパッド、[2021年5月21日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/1953971>
甲第24号証:mizkanウェブサイト、お酢ドリンクの商品情報、<2017年10月4日(アーカイブ画面から)>、[2021年5月21日印刷日]、インターネット<URL:http://www3.mizkan.co.jp/sapari/product/series/index.html?id=03>
甲第25号証:特開2019-129806号公報
甲第26号証:特開2005-15686号公報
甲第27号証:ミツカン ブルーベリー黒酢の商品情報、[online]、2016年7月5日(アーカイブ画面から)、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:http://www.mizkan.co.jp/products/detail/series03/979936.pdf?_ga=2.178705956.1854542095.1621855975-1877410275.1621340865>
https://www.mizkan.co.jp/product/group/index.html?gid=03005に現在変更
甲第28号証:ミツカン うめ黒酢の商品情報、[online]、2018年4月17日(アーカイブ画面から)、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:http://www.mizkan.co.jp/products/detail/series03/979939.pdf?_ga=2.155095480.1854542095.1621855975-1877410275.1621340865>
https://www.mizkan.co.jp/product/group/index.html?gid=03006に現在変更
甲第29号証:D.F.MEIGH,Volatile compounds produced by apples. I.-Aldehydes and Ketones, Journal of the Science of Food and Agriculture,1956年6月,Vol.7,Issue6,p.396~411
2 当審が通知した取消理由の概要
理由1:本件特許は、本件特許明細書【0014】の記載との整合性からみて、試験例2や試験例3の結果は、原材料の各成分の配合量が不明な場合であるから、試験例2の【0100】~【0107】に示された分析方法で測定した値であると一応理解できるところ、表16の実施例77(50ppb)、表18の実施例79(200ppb)、比較例6(0ppb)、表22の実施例81(1ppb)、実施例82(1ppb)、比較例8(0ppb)、比較例9 (0ppb)に示されたd成分である3-メチルブタナールの測定結果が特許異議申立人1の提出した甲第11号証の醤油の香味成分の定量の記載や表15、17、21の原料組成を考慮すると、整合しているとはいえず、請求項5の「さらに(d成分)3-メチルブタナールを含有する」との記載、請求項6の、「前記d成分の含有量が0.01~15000ppbである、請求項5に記載の酢酸含有飲食品。」との記載の(d成分)3-メチルブタナールの含有量の技術的意味が、結果として不明確となっており、請求項9にも、d成分である3-メチルブタナールの含有量に関する特定事項が存在し、上記請求項を請求項7、8、10~12も直接又は間接的に引用するし、同様に不明確であるから特許請求の範囲の請求項5~12の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
第5 当審の判断
当審は、請求項1~15に係る特許は、当審の通知した取消理由及び特許異議申立人が申し立てた理由によっては、取り消すことはできないと判断する。
理由は以下のとおりである。
各甲号証及び刊行物の記載
1 特許異議申立人1の甲号証について
(1-1)甲第1号証
(1-1a)「
りんごジュースピクルス
・・・
材料
季節の野菜 適量
酢 2/3カップ
りんごジュース 1/3カップ
塩 小さじ1/2
黒胡麻 5粒
ローリエの葉 1枚」(「材料」の欄)
(1-2)甲第2号証
(1-2a)「
イチゴ酢
・・・
材料
イチゴ 300g
砂糖 300g
酢 300cc」(「材料」の欄)
(1-3)甲第3号証
(1-3a)「
【請求項1】
レモン酢及びリンゴ果汁を含み、酢酸含有量(w/v%)に対するリンゴ果汁の含有量(果汁率換算 w/v%)の比が、2.3以上22.6以下である、酢酸含有飲料。
【請求項2】
レモン酢含有量(w/v%)に対するリンゴ果汁の含有量(果汁率換算 w/v%)の比が、0.2以上2.0以下である、請求項1に記載の酢酸含有飲料。
【請求項3】
リモネンと、酢酸と、リンゴ酸と、を含み、酢酸に対するリンゴ酸の含有量が、質量比で0.003以上0.098以下である、酢酸含有飲料。
【請求項4】
リモネンの含有量が、酢酸含有飲料全体に対して、10ppb以上である、請求項3に記載の酢酸含有飲料。
【請求項5】
酢酸の含有量が、酢酸含有飲料の全容量に対して、1000mg/L以上10000mg/L以下である、請求項3又は4に記載の酢酸含有飲料。
【請求項6】
レモン酢を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の酢酸含有飲料。」
(1-3b)「
【0052】
(実施例1)
レモン酢(特許第3859881号公報に記載の方法によって製造された市販品)及びリンゴ果汁(5倍濃縮透明果汁、市販品)を、果汁率換算で表1に示す割合で含む酢酸含有飲料を調製し、爽やかな酸味を評価した。なお、実施例で用いたレモン酢及びリンゴ果汁における、酢酸及びリンゴ酸の含有量は、レモン酢では、酢酸が88334mg/L、リンゴ酸が551mg/Lであり、リンゴ果汁では、酢酸が0mg/L、リンゴ酸が19547mg/Lであった。実施例1~4の爽やかな酸味の評価は、1が最も爽やかな酸味を弱く感じ、5が最も爽やかな酸味を強く感じるものとして、熟練した4名のパネルにより5段階で評価した。その平均値が、2.0未満のものを×、2.0以上2.5未満のものを△、2.5以上3.0未満ものを○、3.0以上のものを◎とした。
爽やかな酸味とは、酢カドが無く酢酸含有飲料らしさがシャープに感じられることを示す。ここで酢カドとは、酢酸に特有の酸味及び刺激臭のことを示し、酢酸含有飲料らしさとは、飲用時に酢酸の酸味又は風味を感じられることを示す。
【0053】
【表1】
[図:0001385168000001.jpg]
【0054】
表1から、1-1~1-4の組成の酢酸含有飲料は、爽やかな酸味に優れるものであることが示された。これら中でも、1-2及び1-3の配合の酢酸含有飲料は、爽やかな酸味が特に優れるものだった。」
(1-4)甲第4号証
(1-4a)「
【請求項1】
少なくとも醤油と糖類からなるベース液中の3-メチル-ブタナールが加熱前の1.4~5倍になる条件でベース液を加熱後冷却し、これに酒、みりん、化学調味料、香辛料、各種出汁類、食用油、食酢、おろし野菜や果実等から選ばれた少なくとも1種を添加、混合後、必要により再加熱して容器に充填、密封することを特徴とする調味料の製造法」
(1-4b)「【実験例】
[図:0001385168000002.jpg]
【0009】
上記原料中の醤油、砂糖、みりん、液糖を混合しこれをベース液とし、このベース液を表1に示す条件にて加熱、冷却した。各条件での加熱後のベース液中の3-メチル-ブタナール量を測定したところ、表1に示す結果が得られた。数値は加熱前のベース液中の3-メチル-ブタナール量との比で示した。
【0010】
【表1】
[図:0001385168000003.jpg]
【0011】
上記加熱条件で加熱したベース液を冷却後、これに食酢以下の添加調味料を添加、混合し、70℃達温で加熱した。得られた調味料を21名のパネルで以下に示す方法で官能評価を実施したところ表2及び表3に示す結果が得られた。数値は試験区を選択した人数であり、また**:危険率1%で有意差あり、*:危険率5%で有意差あり、-:有意差なし、を示す。
【0012】
官能評価方法
上記実験例で用いたベース液及び添加調味料を、ベース液を加熱することなく一括混合し、70℃達温で加熱したものを対照とし、各試験区と2点比較法で比較させ、まろやかな旨味の好ましい方を選択させた(表2)。
同じく各試験区と2点比較法で比較させ、品質の劣化が感じられる方を選択させた。(表3)
【0013】
【表2】
[図:0001385168000004.jpg]
【0014】
【表3】
[図:0001385168000005.jpg]
【0015】
上記実験例の結果から、醤油、砂糖、みりん、液糖からなるベース液を加熱して、加熱後のベース液中の3-メチル-ブタナール量が加熱前に対して1.4倍~5倍になるように調製したベース液を用いることによって、まろやかな旨みと豊かな風味をもった調味料を製造できることがわかった。また5倍以上になるように加熱すると劣化臭が生じて好ましくないこともわかった。」
(1-5)甲第5号証
(1-5a)「
■ 漬けダレ
ミツカン やさしいお酢 100cc
苺 50g(5~6粒)
砂糖 大さじ1 1/2
みりん 大さじ1
醤油 小さじ2」(「材料」の欄)
(1-5b)「このレシピの生い立ち
お酢嫌いの主人の為に、作ってみました。」(「このレシピの生い立ち」の欄)
(1-6)甲第6号証
(1-6a)「
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、酸類、エステル類、ラクトン類、含窒素化合物類、含硫化合物類、エーテル類、フラン類、アセタール類、ケタール類、柑橘精油、柑橘果汁およびレモングラス精油から選ばれる少なくとも1種を配合してなる発酵乳様香料組成物。」
(1-6b)「
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、より天然感あふれる、ヨーグルトまたはチーズ様の香味を有する香料組成物、および該組成物をより簡便に製造する方法を提供することにある。」
(1-6c)「
【実施例1】
【0033】
ヨーグルト様香料組成物の処方例を以下に示す。
【0034】
[図:0001385168000006.jpg]
(1-6d)「
【実施例3】
【0039】
・・・
──────────────────────
(ヨーグルト飲料) 重量部
──────────────────────
発酵乳 40
砂糖 14
安定剤 0.4
実施例1の香料組成物 0.05
水 45
──────────────────────
」
(1-7)甲第7号証
(1-7a)「
[図:0001385168000007.jpg]
」
(1-8)甲第8号証
(1-8a)「
[図:0001385168000008.jpg]
」
(1-9)甲第9号証
(1-9a)「
[図:0001385168000009.jpg]
」
(29頁左欄表1)
(1-9b)「食酢の香気成分としてアセトアルデヒド,プロピオンアルデヒド,酢酸エチル,エタノール,ジアセチル,酢酸イソアミル,フルフラールをヘッドスペースアナライザー (HSGO63型(株)パーキンエルマージャパン製)によって測定した。測定試料には,10ml容のバイアル瓶に食塩l.Ogと食酢1.8mlを入れ,内部標準物質として lOOOppmカプロン酸エチルとlOOOppm n-アミルアルコール水溶液をそれぞれ0.1mlずつ入れ,密栓し,50℃で30分加温後の気相成分を用いた。内部標準物質はあらかじめ食酢中に含まれていないことを確認した。それぞれの成分の含量は,得られたクロマトグラム上の各成分の対応するピーク面積を求め,内部標準であるn-アミルアルコールのピーク面積に対する比として表した。」(29頁右欄13~27行)
(1-9c)「
[図:0001385168000010.jpg]
」
(30頁表2)
(1-10)甲第10号証
(1-10a)「
[図:0001385168000011.jpg]
」
(284頁表1)
(1-11)甲第11号証
(1-11a)「
[図:0001385168000012.jpg]
」
(722頁表7)
(1-12)甲第12号証
(1-12a)「
[図:0001385168000013.jpg]
」
(698頁右欄表)
(1-13)甲第13号証
訳文にて示す。
(1-13a)「揮発性成分の抽出
固相マイクロ抽出(SPME)及び溶媒抽出を使用して醤油の揮発性プロファイルを得た。固相マイクロ抽出を用い、シリコン/テフロンセプタム(スペルコ、ベルフォンテ、米国ペンシルベニア州)を備える60mLバイアルに醤油サンプル(20mL)を入れ、lOμLのllppm(Z)-3-へキセニルアセテー卜(w/v)を内標準物質として加えた。」
(2193頁左欄36~41行)
(1-13b)「
[図:0001385168000014.jpg]
」
(2193頁表1)
(1-13c)「
[図:0001385168000015.jpg]
」
(2194~2195頁表2)
(1-14)甲第14号証
(1-14a)「
[図:0001385168000016.jpg]
」
(138頁左欄第9表)
(1-15)甲第15号証
(1-15a)「
みりん中の揮発性アルデヒド含有量は亜硫酸法で測定すると,アセトアルデヒドとして,1.2~1.8mg%18)程度である。」(34頁左欄38~40行)
(1-16)甲第16号証
(1-16a)
ミツカン やさしいお酢業務用1L|業務用食品・食材の通販は食材デポの中央の写真に「※本品15mlあたり食酢約5ml入っています。」との記載がある。
(1-17)甲第17号証
訳文にて示す。
(1-17a)「VOCは、ヘッドスペース固相マイクロ抽出(HS-SPME)によって抽出された。この目的のために、3.75 gの3つの粉砕したイチゴを3.75mLのmilliQ水と混合し、10μLの4-メチル-2-ペンタノール(O.75mgL-1)(内標準物質として用いられる)を含む20mLのガラスバイアル に入れた。」(66頁1~4行)
(1-17b)「
[図:0001385168000017.jpg]
」(68頁表1)
(1-18)甲第18号証
「
[図:0001385168000018.jpg]
」
2 特許異議申立人2の甲号証について
(2-1)甲第1号証
(2-1a)「即席 リンゴ酢ジュース
・・・
材料 (1杯分)
リンゴ酢、黒酢などお好みの酢 大さじ1~2
りんごジュース(100%) 200ml (コップ1杯分)
蜂蜜、黒蜜など お好みで小さじ1~」(材料の欄)
(2-1b)「作り方
1
上の写真は、リンゴ酢、リンゴジュース、蜂蜜を入れたもの。
グラスに全て入れて、かき混ぜたら出来上がり。」(作り方の欄)
(2-2)甲第2号証
(2-2a)「黒酢はちみつりんごジュース
・・・
材料(1人分)
りんごジュース 100cc
黒酢 大さじ1
はちみつ 小さじ1」(材料の欄)
(2-3)甲第3号証
(2-3a)
甲第3号証-1には、「まろやかりんご酢 はちみつりんご」が機能性表示食品として届けられていることが、
甲第3号証-2には、「まろやかりんご酢 はちみつりんご」に対して、H28.12.8からR3.4.9まで変更事項が存在していることが、それぞれ示され、
甲第3号証-3には、「ミツカン まろやかりんご酢 はちみつりんご」に関して、商品特徴の欄に、「商品特徴 りんご果汁をたっぷりと使用したまろやかなりんご酢に、はちみつを加えた、おいしいりんご酢飲料です。6倍希釈タイプです。本品90ml(希釈後540ml)に食酢(りんご酢)の主成分である酢酸750mgを含んでいます。酢酸には肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる機能があることが報告されています。内臓脂肪が気になる方に適した、機能性表示食品です。」との記載がある。
甲第3号証-4には、「ミツカン まろやかりんご酢 はちみつりんご」に関して、商品ラベルが示されている。
(2-4)甲第4号証
(2-4a)
甲第4号証-1には、「りんご黒酢」が機能性表示食品として届けられていることが、
甲第4号証-2には、「りんご黒酢」に対して、H28.12.9からR3.4.16まで変更事項が存在していることが、それぞれ示され、
甲第4号証-3には、「ミツカン りんご黒酢」に関して、商品特徴の欄に、「商品特徴 国産玄米を100%使って醸造した黒酢に、りんご果汁を加えて飲みやすく仕上げた、おいしく黒酢をとることがで きる黒酢飲料です。6倍希釈タイプです。本品60ml(希釈後360ml)に食酢(黒酢)の主成分である酢酸750mgを含んでいます。酢酸には肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる機能があることが報告されています。内臓脂肪が気になる方に適した、機能性表示食品です。」との記載がある。
甲第4号証-4には、「ミツカン りんご黒酢」に関して、商品ラベルが示されている。
(2-5)甲第5号証
(2-5a)
甲第5号証には、「YOUKI鎮江香酢」「賞味期間 2年」との記載がある。
甲第5号証-2には、黒酢のサングリア風のお料理レシピが示されている。
(2-6)甲第6号証
(2-6a)「BRAGG オーガニックアップルサイダービネガー日本正規品 りんご酢」「賞味期限60ヶ月」との記載がある。
(2-7)甲第7号証
(2-7a)「MAILLE白ワインビネガー」「賞味期限42ヶ月」との記載がある。
(2-8)甲第8号証
(2-8a)「内堀醸造 美濃三年酢」「賞味期限 製造日より2年」との記載がある。
(2-9)甲第9号証
(2-9a)「臭気指数とは、6人のバネラーに試料を嗅いでもらう判定試験で、試料を無臭空気で薄めていき、においを感じなくなるときの希釈倍率(臭気濃度)に10を乗じた値となります。・・・臭気指数=10×log(臭気濃度)」(1/3下から2行から2/3 2行)
(2-10)甲第10号証
(2-10a)「
[図:0001385168000019.jpg]
[図:0001385168000020.jpg]
[図:0001385168000021.jpg]
[図:0001385168000022.jpg]
[図:0001385168000023.jpg]
[図:0001385168000024.jpg]
[図:0001385168000025.jpg]
[図:0001385168000026.jpg]
」
(測定方法の欄)
(2-10b)「
[図:0001385168000027.jpg]
」(結果の欄)
(2-11)甲第11号証
訳文にて示す。
(2-11a)「
[図:0001385168000028.jpg]
」(119頁表2)
(2-12)甲第12号証
訳文にて示す。
(2-12a)「
[図:0001385168000029.jpg]
」
(133頁表4)
(2-13)甲第13号証
(2-13a)「りんごジュースのカロリーは100ml(105g)」(出力物の1/10頁)
(2-14)甲第14号証
(2-14a)「黒酢大さじ1は何グラムか?黒酢小さじ1は何グラム?黒酢大さじ2は何グラムか?【黒酢の密度(比重)】
黒酢小さじ1は何グラム?
→約5g
私達が生活している中でよく体積や重さに関する計算が必要となることがあります。
例えば、黒酢大さじ1や小さじ1、~グラムなどの表記をみかけることがありますが、これらはどのように変換できるのか理解していますか。
ここでは「黒酢大さじ1の重さは何グラムなのか?」「黒酢小さじ1は何グラムか?」 「黒酢大さじ2は何グラムか」について黒酢の比重・密度から計算する方法について解説していきます。
黒酢大さじ一杯の重さは何グラムなのか【黒酢の比重(密度)】
結論からいいますと、黒酢大さじ1は約15gほどに相当します。
黒酢大さじ1は何グラム?
→約15g
この詳細について以下で解説していきます。
基本的に黒酢の比重は約1.0 (つまり密度は約1.0g/cc(=1.0g/ml))であることと、大さじl = 15cc(15ml)であることを活用していきます。
具体的には黒酢大さじ1の重さを求めるにはこれらをかけ算すればよく、15×l.0=l5g程度となります。
もちろん黒酢の種類によっても若干の密度は変化しますが、おおよそこの数値となると理解しておくといいです。
黒酢小さじ1は何グラムなのか?【黒酢の比重や密度】
続いて今度は黒酢小さじ1に着目して計算してみましょう。
小さじ1=5cc (5ml)であることと黒酢の密度約1.0g/ccを使用しますと、5×1.0 =約5gほどが黒酢小さじ1 に相当することがわかります。
黒酢小さじ1は何グラム?
→約5g
黒酢の場合、比重が約1であるため、ccとグラムの前につく数値がほぼ一致することを理解しておくといいです。
黒酢大さじ2杯は何グラムなのか【黒酢の比重(密度)】
さらには、黒酢大さじ2の重さについても確認していきます。
黒酢の大さじ2となっても同じように計算すればよく、15× 2×1.0=約30gがこれに相当するといえます。
まとめ 黒酢小さじ1の重さは何グラムか?黒酢大さじ1は何グラム?黒酢大さじ2は何グラムか?【黒酢の密度(比重)】
ここでは黒酢小さじ1の重さは何グラムか?黒酢大さじ1は何グラム?黒酢大さじ2は何グラムか?について黒酢の密度(比重)を用いて計算する方法を確認しました。
黒酢の密度が約1.0g/cc、大さじl=15cc、小さじl= 5ccとなることとを活用して
・黒酢大さじ1=約15g
・黒酢小さじ1=約5g
・黒酢大さじ2 =約30g
と理解しておくといいです。
各種黒酢の重さと体積の関係を理解し、毎日の生活に役立てていきましょう。」(出力物の1/3~3/3頁)
(2-15)甲第15号証
(2-15a)「はちみつ大さじ1は何グラム(何g)か?はちみつ大さじ2は何グラムか?はちみつ大さじ3は何gか?
はちみつ大さじ2は何グラム?
→約42g
私達が生活している中でよく体積や重さに関する計算が必要となることがあります。
例えば、はちみつ大さじ1や大さじ2、大さじ3、~グラムなどの表記をみかけることがありますが、これらはどのように変換できるのか理解していますか。
ここでは「はちみつ大さじ1の重さは何グラムなのか?」「はちみつ大さじ2は何グラムか?」「はちみつ大さじ3は何グラムか」についてはちみつの比重?密度から計算する方法について解説していきます。
はちみつ大さじ1の重さは何グラムなのか【はちみつの比重(密度)】
結論からいいますと、はちみつ大さじ1は約21gほどに相当します。
はちみつ大さじ1は何グラム?
→約 21g
この詳細について以下で解説していきます。
基本的にはちみつの比重は約1.4 (つまり密度は約1.4g/cc(=1.4g/ml))であることと、大さじl =15cc(15ml)であることを活用していきます。
具体的にははちみつ大さじ1の重さを求めるにはこれらをかけ算すればよく、15×l.4=21g程度となリます。
もちろんはちみつの種類によっても若干の密度は変化しますが、おおよそこの数値となると理解しておくといいです。
はちみつ大さじ2は何グラムなのか?【はちみつの比重や密度】
続いて今度ははちみつ大さじ2に着目して計算してみましょう。
上と同様に計算すればよく大さじ2杯であることを考慮すると、15×2×1.4=約42gほどがはちみつ大さじ2に相当することがわかります。
はちみつ大さじ2は何グラム?
→約42g
はちみつの場合、密度が1よりも若干大きいためccの前の数値よりもgの目につく数値の方が大きくなることを理解しておくといいです。
粘り気があることからも想像しやすいことがわかるでしょう。
はちみつ大さじ3は何グラムなのか【はちみつの比重(密度)】)
さらには、はちみつ大さじ3の重さについても確認していきます。
はちみつの大さじ3となっても同じように計算すればよく、15×3×l.4=約63gがこれに相当するといえます。
まとめ はちみつ大さじ3の重さは何グラムか?はちみつ大さじ1は何グラム?はちみつ大さじ2は何グラムか?【はちみつの密度(比重)】
ここでははちみつ大さじ3の重さは何グラムか?はちみつ大さじ1は何グラム?はちみつ大さじ2は何グラム か?についてはちみつの密度(比重)を用いて計算する方法を確認しました。
はちみつの密度が約1.4g/cc、大さじ1=15ccとなることとを活用して
・はちみつ大さじ1=約21g
・はちみつ大さじ2=約42g
・はちみつ大さじ3=約63g
と理解しておくといいです。
各種はちみつの重さと体積の関係を理解し、毎日の生活に役立てていきましょう。」(出力物の1/3~3/3頁)
(2-16)甲第16号証
訳文にて示す。
(2-16a)「
[図:0001385168000030.jpg]
[図:0001385168000031.jpg]
」
(99頁、100頁から4化合物の部分を抜粋)
(2-17)甲第17号証
(2-17a)「
[図:0001385168000032.jpg]
」(258頁表6.5)
(2-18)甲第18号証
訳文にて示す。
(2-18a)「
[図:0001385168000033.jpg]
」
(55頁表1から3化合物の部分を抜粋)
(2-19)甲第19号証
訳文にて示す。
(2-19a)「
[図:0001385168000034.jpg]
」(F頁表2,3から抜粋)
(2-20)甲第20号証
(2-20a)「酢酸エチル(ethyl acetate)はパインアップルの果実に含まれ、日本酒やワインにも含まれるエステルで、エチルアルコールと酢酸を脱水縮合して得られます。香りは強く、甘くフルーティですが、薬品のエーテルのような香りが鼻につきます。草のようなグリーンな感じもします。酢酸エチルはマニキュアの除光液にも使われます。
・・・
酢酸イソアミル (isoamyl acetate) はバナナ、リンゴ、ブドウなどの果物に含まれます。甘く新鮮なバナナのような果物の強い香りを持ちます。希釈すると、果物のナシのような香りを感じるようになります。」(176頁10行~177頁8行)
(2-21)甲第21号証
(2-21a)「家で簡単ビネガードリンク
・・・
材料 (1人分)
100%果汁ジュース 50cc
■(写真はりんごジュース)
水(炭酸水) 100cc
お酢 小さじ1杯」(材料の欄)
(2-22)甲第22号証
(2-22a)「リンゴジュース酢ドリンク
酢を手軽にとるためにやってる方法です。
砂糖が気になる方に。
材料 (1人分)
酢 大匙1
リンゴジュース 200ml
塩 少々」(材料の欄)
(2-23)甲第23号証
(2-23a)「
お酢が苦手な人に♪黒酢オレンジジュース
オレンジジュースの酸味が黒酢でマイルドに! しかも、ジュースのレベルもアップした気分になれます。
・・・
材料
100%オレンジジュース 300cc
黒酢 大さじ1(15cc)」(出力物1/2頁1~4行及び材料の欄)
(2-24)甲第24号証
(2-24a)
甲第24号証には、mizkan商品情報として、お酢ドリンクカテゴリの商品一覧が示され、ブルーベリー黒酢等の一覧が示されている。
(2-25)甲第25号証
(2-25a)「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の方法における3-ヒドロキシ4,5-ジメチル2(5H)-フラノンは、高濃度では典型的なフェヌグリークまたはカレーの臭いがし、低濃度ではメープルシロップ、キャラメル、焦がした砂糖の臭いがする。そのため、これを含有した酸含有調味料の種類によっては、これらの臭いが被添加飲食品の風味に違和感を与えてしまうという問題があった。
【0008】
特許文献2の方法では、飲食品の風味に影響を与えず、酢酸臭を抑制する方法が提案されているが、焼成カルシウムは水に溶けにくく、液体状あるいは水分を多く含む飲食品には適用しづらいという問題があった。また、酸臭のみを抑制することで香りによる忌避効果は避けられるものの、摂取時に口腔内に入れた場合の酸味の刺激性は残ったままとなり、摂食忌避の要因の一つとして未だ改善の余地が残っていた。
【0009】
同様に特許文献3の方法においても、酢酸臭を低減させることはできるが、酸味の刺激性については低減できておらず、同様の課題があった。
【0010】
つまり、従来においては上記の通り、刺激的な酸臭及び酸味の両方をともに抑制できる簡単かつ応用性がある方法の開発が求められていた。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、風味に悪影響を及ぼすことなく酢酸含有飲食品の酸味及び酸臭をともに抑制することができる酢酸含有飲食品及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、風味に悪影響を及ぼすことなく酢酸含有飲食品の酸味及び酸臭をともに抑制することを通じてその品質を改善する方法を提供することにある。本発明のさらに別の目的は、上記の酢酸含有飲食品の一態様である酢酸含有穀類加工品を製造するのに好適な調製用飲食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の事情に鑑みて鋭意研究を行った結果、酢酸含有飲食品において酢酸以外の香気成分に着目し、特定種類の香気成分を含有させておくことで酸味及び酸臭の両方をともに抑制できることを新規に知見した。そして、本発明者らは上記の知見に基づいてさらに鋭意研究を進めることにより、最終的に下記の発明を完成させるに至ったのである。」
(2-26)甲第26号証
(2-26a)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然香料類、エステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、炭化水素類、含窒素及び/又は含硫化合物類、酸類からなる群より選ばれる1種又は2種以上の香料を含むことを特徴とするフルーツ様香料組成物、及び、該フルーツ様香料組成物を含む食品に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、例えば飲料、冷菓、デザート、菓子、調味料などの食品に清涼感、爽快感を有し、快適な使用感を付与することができ、また、上記食品の原材料、例えば着色料、苦味料、甘味料、調味料、酸化防止剤、酸味料、保存料、強化剤、増粘安定剤、乳化剤、溶剤、ガムベース、油脂、光沢剤などの香味(渋味、苦味、甘味、塩味、酸味、粉っぽさ、金属味など)の改善、原材料の匂い(脂肪臭、醗酵臭、焦げ臭、酸臭、薬品臭、金属臭などの悪臭)のマスキングなどに有効で、持続性があり且つ液性が酸性あるいは塩基性領域で安定であり、上記食品の原材料の作用・機能を阻害することのない優れた嗜好性を有するフルーツ様香料組成物および該香料組成物を含有する食品に関する。」
(2-27)甲第27号証
(2-27a)
甲第27号証には、「ミツカン ブルーベリー黒酢」に関して、商品特徴の欄に、「商品特徴 国産玄米を100%使って醸造した黒酢に、ブルーベリーとぶどうの果汁を加えて飲みやすく仕上げた、おいしく黒酢をとることができる黒酢飲料です。6倍希釈タイプです。本品60ml(希釈後360ml)に食酢(黒酢)の主成分である酢酸750mgを含んでいます。酢酸には肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる機能があることが報告されています。内臓脂肪が気になる方に適した、機能性表示食品です。」との記載がある。
(2-28)甲第28号証
(2-28a)
甲第28号証には、「ミツカン うめ黒酢」に関して、商品特徴の欄に、「商品特徴 国産玄米を100%使って醸造した黒酢に、梅果汁を加えて飲みやすく仕上げた、おいしく黒酢をとることができる黒酢飲料です。6倍希釈タイプです。本品60ml(希釈後360ml)に食酢(黒酢)の主成分である酢酸750mgを含んでいます。酢酸には肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる機能があることが報告されています。内臓脂肪が気になる方に適した、機能性表示食品です。」との記載がある。
(2-29)甲第29号証
訳文にて示す。
(2-29a)
「表4 ガス保存されたリンゴから生成されるアルデヒドおよびケトン:バルク中の2:4-ジニトロフェニルヒドラゾンの分析
化合物
アセトアルデヒド
2-ブタノン
(エチルメチルケトン)
3-メチルブタナール」(404頁表4)
当審が通知した取消理由の判断
1 理由(特許法第36条第6項第2号)について
(1)特許請求の範囲の記載について
ア 請求項5は、「さらに(d成分)3-メチルブタナールを含有する、請求項1~4のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。」と特定されているので、この記載の明確性を検討する。
請求項5が引用する請求項1には、
「酢酸を・・・含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が・・・であり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が・・・である、酢酸含有飲食品。」(下線は、当審にて追加。以下同様。)との特定事項からみて、酢酸、(a成分)プロピオン酸ブチルの含有量、a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))を数値範囲で特定していることは明らかであり、その数値範囲は、語のかかり具合及びその文脈から最終的な酢酸含有飲食品における濃度であると理解できる。
そして、その請求項1を引用する請求項5の「さらに(d成分)3-メチルブタナールを含有する、請求項1~4のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。」との記載も、特定事項からみて、請求項1において、酢酸、(a成分)プロピオン酸ブチルの含有量、a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))を最終的な酢酸含有飲食品における濃度として、数値範囲で特定しているのと同様に、その数値範囲は、語のかかり具合及びその文脈から最終的な酢酸含有飲食品における濃度であると理解できるといえる。
イ 請求項6は、「前記d成分の含有量が0.01~15000ppbである、請求項5に記載の酢酸含有飲食品。」と特定されているので、この記載の明確性を検討する。
「前記d成分の含有量が・・・である、請求項5に記載の酢酸含有飲食品。」との特定事項からみて、d成分である3-メチルブタナールの数値範囲で特定していることは明らかであり、その数値範囲は、語のかかり具合及びその文脈から最終的な酢酸含有飲食品における濃度であると理解できる。
ウ 請求項9にも、d成分である3-メチルブタナールの含有量に関する特定事項が存在しているが、請求項5、6について検討したのと同様に数値範囲は、明確であるといえる。
また、請求項7~8,10~12についても、上記請求項を直接又は間接的に引用しているところ、上記のとおり明確であるといえる。
(2)本件特許明細書の記載
ア 本件特許明細書の記載を念のため、その本件明細書全体を理解する前提で参照すると、【0014】には、「本発明の酢酸含有飲食品中の各成分の濃度の算出方法は、次の通りである。本発明の酢酸含有飲食品中の成分の濃度は、その成分の配合量が明らかである場合(例えば、酢酸含有飲食品が精製された各成分を混合することにより得られたものである場合等)はその配合量及び酢酸含有飲食品の容量から算出することができ、その成分の配合量が不明である場合は、後述の試験例2に記載の方法に従って又は準じて算出することができる。なお、本明細書中の「ppm」、及び「ppb」は、いずれも質量濃度(w/w)である。」との記載、
【0100】~【0107】には、「【0100】
なお、飲料中の酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、及びa~d成分それぞれの含有量は、以下のようにして測定した。
【0101】
<酢酸の含有量>
サンプルは、酢酸の濃度が100mg%付近になるように超純水で希釈し、以下の条件に従って、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、酢酸のピーク面積を分析した。また、超純水で希釈した100mg%の酢酸を、標品サンプルとして同様に分析し、外部標準法により各サンプルの酢酸の含有量を算出した。
・測定機器:高速液体クロマトグラフィー(島津製作所社製、機種LC-10ADVP)
・移動相(1)4mMp-トルエンスルホン酸水溶液、流速0.9mL/min
・移動相(2)4mMp-トルエンスルホン酸、80μMEDTAを含む16mMBis-Tris水溶液、流速0.9mL/min
・カラム:Shodex KC810P+KC-811×2(昭和電工社製)
・カラム温度:50℃
・検出:電気伝導度検出器
【0102】
<酢酸エチルの含有量>
サンプルは、酢酸エチルの濃度が0.05~0.20v/v%付近になるように超純水で希釈し、内部標準としてアセトン(純度99.9%以上、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)を0.25v/v%になるように添加し、以下の条件に従って、ガスクロマトグラフィー(GC)を用い、酢酸エチルのピーク面積を分析した。また、超純水で希釈した酢酸とアセトンの濃度が各0.25%(v/v)である標品サンプルを同様に分析し、内部標準法により各サンプルの酢酸エチルの含有量を算出した。
・測定機器:ガスクロマトグラフィー GC2014、クロマトパック C-R5A(島津製作所社製)
・カラム:パックドカラム(3.1m)充填剤:PEG-1000 25% Shimalite 60/80 BT(信和化工株式会社)
・キャリアガス:Heガス、ガス流量 40ml/min
・温度条件 :105℃(7min)→100℃/min昇温→120℃(2min)
・検出器: FID(150℃)
【0103】
<アセトアルデヒドの含有量>
サンプルはそのまま、以下の条件に従って、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、アセトアルデヒドのピーク面積を分析した。また、アセトアルデヒド(純度99.0%以上、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)を100ppmとなるよう超純水で希釈した標品サンプルを同様に分析し、外部標準法により各サンプルのアセトアルデヒドの含有量を算出した。
・測定機器:ガスクロマトグラフィ 6890(Agilent Technologies社製)
・カラム:TC-WAX 0.53mm X 30m 膜厚1.0μm (ジーエルサイエンス社製)
・キャリアガス:Heガス、ガス流量 5ml/min
・温度条件:40℃(5min) →2℃/min昇温→ 100℃(0min) →20℃/min昇温→ 230℃(10min)
・検出器:FID(250℃)
【0104】
<a~d成分の含有量>
〔1〕成分の分離濃縮方法
以下の条件に従って、成分の分離濃縮を行った。
サンプルは100gを1Lバイアルに測り取り、密封した後40℃で30min予備加熱をした。その後、バイアル中の気相をサンプルとして200mlを濃縮装置に導入した。
・揮発性成分濃縮装置
Entech7200(Entech社製)
・濃縮モード:CTD
・M1(Empty)温度 : Trap -40℃→Desorb 10℃
・M2(Tenax)温度 : Trap -50℃→Desorb 220℃
・M3(CryoFoucus)温度 : Trap -150℃→Desorb 80℃
【0105】
〔2〕成分の分析方法
以下の条件に従ってガスクロマトグラフ法及び質量分析法を用い、各成分のピーク面積を分析した。
<ガスクロマトグラフ条件>
・測定機器:Agilent 7980B GC System (Agilent Technologies社製)
・GCカラム:DB-1 (Agilent Technologies社製) 長さ60m,口径0.32mm,膜厚1.0μm
・キャリア:Heガス、ガス流量2.68mL/min
・温度条件:35℃(5min)保持→220℃まで3℃/min昇温→5分間保持
<質量分析条件>
・測定機器:Agilent 5977B MSD(Agilent Technologies社製)
・イオン化方式:EI
・測定モード:SCAN
【0106】
〔3〕成分の定量方法(外部標準法)
無水エタノールで希釈した濃度既知の各成分(配合に使用したものと同一のもの)を、標品サンプルとして分析し、検出されたピーク面積をもとに検量線を作成した。分析サンプルの分析結果を検量線にあてはめ、含有量を算出した。
【0107】
飲料のブリックス(Bx:%)については、市販のブリックス糖度計(株式会社アタゴ社製、型式:PR-201 α)を用いて、従来公知の手法に測定した。また、pHについては、pHメーター(HORIBA社製 pHMETER F-51)を用いて、品温20℃でのpH値を測定した。」との記載がある。
イ そして、【0014】の記載からみて、特許請求の範囲の請求項で特定された各成分の濃度は、本発明の酢酸含有飲食品中の成分の濃度は、その成分の配合量が明らかである場合(例えば、酢酸含有飲食品が精製された各成分を混合することにより得られたものである場合等)はその配合量及び酢酸含有飲食品の容量から算出することができ、その成分の配合量が不明である場合は、試験例2の【0099】~【0107】に示された分析方法で測定した値であると理解でき、不明確な点はない。
また、実施例や比較例の結果をみても不明確な実験結果が存在しているわけでもない。
(3)取消理由1のまとめ
以上のとおり、請求項5~12に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たした特許出願に対してされたものであるといえ、取消理由1は解消されている。
取消理由に採用しなかった特許異議申立人が申し立てた理由について(一部採用したものも含め記載)
1 申立理由1(1-1-1、1-2-1、1-3-1、1-4-1、1-5-1、1-6-1)、申立理由2(2-2-1、2-3-1、2-4-1、2-5-1)(特許法第29条第1項第3号)及び申立理由1(1-1-2、1-2-2、1-3-2、1-4-2、1-5-2、1-6-2)、申立理由2(2-2-2、2-3-2、2-4-2、2-5-2)(特許法第29条第2項)について
(1)特許異議申立人1の申立てた新規性・進歩性の理由(申立理由1(1-1-1、1-2-1、1-3-1、1-4-1、1-5-1、1-6-1)申立理由1(1-1-2、1-2-2、1-3-2、1-4-2、1-5-2、1-6-2)について
ア 特許異議申立人1の甲第1号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、摘記(1-1a)の記載があり、その材料からりんごジュースピクルスが製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。
「季節の野菜 適量、酢 2/3カップ、りんごジュース 1/3カップ、塩 小さじ1/2、黒胡麻 5粒、ローリエの葉 1枚からなるりんごジュースピクルス」(以下「甲1発明」という。)
「季節の野菜 適量、酢 2/3カップ、りんごジュース 1/3カップ、塩 小さじ1/2、黒胡麻 5粒、ローリエの葉 1枚からなるりんごジュースピクルスの製造方法」(以下「甲1製造方法発明」という。)
(イ)本件特許発明1と甲1発明との対比・判断
a 対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「りんごジュースピクルス」は、酢を材料に含んでいるので、「酢酸含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-1:本件特許発明1は、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが特定されているのに対して、甲1発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。
b 判断
(a)上記相違点1-1について、甲第1号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7号証の食酢中の酢酸の量に関する記載、甲第9号証の食酢中の酢酸イソアミルの量の記載、甲第10号証のりんご果実中のプロピオン酸ブチルの濃度の記載、甲第8号証の食酢中のアセトアルデヒドの濃度の記載を参照しても、甲1発明のりんごジュースピクルスに含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが記載されているに等しいということはできない。
(b)また、甲1発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲1発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」との特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点1-1の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(c)そして、本件特許発明1は、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である、酢酸含有飲食品。」との構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(d)以上のとおり、本件特許発明1は、甲第7~10号証記載の技術的事項を参照しても、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第7~10号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(ウ)本件特許発明2、3、7~9、11、12と甲1発明との対比・判断
本件特許発明2、3、7~9、11、12は、本件特許発明1を引用し、さらに技術的特定を加えたものであるから、甲1発明との対比においても、少なくとも上記相違点1-1を有する。
したがって、本件特許発明1と同様に、上記(イ)b(a)~(d)のとおり、本件特許発明2、3、7~9、11、12は、甲第7~10号証記載の技術的事項を参照しても、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第7~10号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(エ)本件特許発明13、14と甲1製造方法発明との対比・判断
a 本件特許発明13と甲1製造方法発明との対比・判断
(a)本件特許発明13と甲1製造方法発明を対比すると、
甲1製造方法発明の「りんごジュースピクルス」は、酢を材料に含んでいるので、本件特許発明13の「酢酸含有飲食品の製造方法」に該当する。
したがって、本件特許発明13と甲1製造方法発明とは、「酢酸含有飲食品の製造方法」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-13:本件特許発明13が、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」方法であることが特定されているのに対して、甲1製造方法発明においては、そのような成分に関する特定及び酢酸臭及び/又は刺激臭が低減されたとの特定がされていない点。
(b)本件特許発明13と甲1製造方法発明の上記相違点1-13について、甲第1号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7号証の食酢中の酢酸の量に関する記載、甲第9号証の食酢中の酢酸イソアミルの量の記載、甲第10号証のりんご果実中のプロピオン酸ブチルの濃度の記載、甲第8号証の食酢中のアセトアルデヒドの濃度の記載を参照しても、甲1製造方法発明のりんごジュースピクルスに含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」方法であることが記載されているに等しいということはできない。
(c)また、甲1製造方法発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲1製造方法発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」ことの特定事項を満たすように成分組成を変更し、その作用の特定をする動機付けはなく、相違点1-13の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(d)そして、本件特許発明13は、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された酢酸含有飲食品の製造方法。」との構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(e)以上のとおり、本件特許発明13は、甲第7~10号証記載の技術的事項を参照しても、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第7~10号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
b 本件特許発明14と甲1製造方法発明との対比・判断
(a)本件特許発明14と甲1製造方法発明を対比すると、
甲1製造方法発明の「りんごジュースピクルス」は、酢を材料に含んでいるので、甲1製造方法発明は、本件特許発明14の「酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法」と、「酢酸含有飲食品」に係る方法の点で共通している。
したがって、本件特許発明14と甲1製造方法発明とは、「酢酸含有飲食品に係る方法」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-14:本件特許発明14が、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、」「酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることが特定されているのに対して、甲1製造方法発明においては、そのような成分に関する特定及び酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることの特定がされていない点。
(b)本件特許発明14と甲1製造方法発明の上記相違点1-14について、甲第1号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7号証の食酢中の酢酸の量に関する記載、甲第9号証の食酢中の酢酸イソアミルの量の記載、甲第10号証のりんご果実中のプロピオン酸ブチルの濃度の記載、甲第8号証の食酢中のアセトアルデヒドの濃度の記載を参照しても、甲1製造方法発明のりんごジュースピクルスに含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることが記載されているに等しいということはできない。
(c)また、甲1製造方法発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲1製造方法発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」ことの特定事項を満たすように成分組成を変更し、その作用の特定をする動機付けはなく、相違点1-14の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(d)そして、本件特許発明14は、「(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように酢酸含有飲食品に配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法。」との構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(e)以上のとおり、本件特許発明14は、甲第7~10号証記載の技術的事項を参照しても、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第7~10号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(エ)本件特許発明15と甲1発明との対比・判断
a 対比
本件特許発明15と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「りんごジュースピクルス」は、酢を材料に含んでおり、結果として「組成物」を形成しているのであるから、「酢酸含有飲食品に係る組成物。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-15:本件特許発明15は、「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように酢酸含有飲食品に添加するための組成物。」であることが特定されているのに対して、甲1発明においては、そのような成分に関する特定及び「酢酸含有飲食品に添加するための組成物」であることが特定されていない点。
b 判断
(a)上記相違点1-15について、甲第1号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7号証の食酢中の酢酸の量に関する記載、甲第9号証の食酢中の酢酸イソアミルの量の記載、甲第10号証のりんご果実中のプロピオン酸ブチルの濃度の記載、甲第8号証の食酢中のアセトアルデヒドの濃度の記載を参照しても、甲1発明のりんごジュースピクルスに含有される各成分が特定でき、少なくとも「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように」することが記載されているに等しいということはできない。
(b)また、甲1発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲1発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、少なくとも「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように」するとの特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点1-15の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(c)そして、本件特許発明15は、「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように酢酸含有飲食品に添加するための組成物。」との構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(d)以上のとおり、本件特許発明15は、甲第7~10号証記載の技術的事項を参照しても、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第7~10号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
イ 特許異議申立人1の甲第2号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第2号証には、摘記(1-2a)の記載があり、その材料からイチゴ酢が製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。
「イチゴ 300g、砂糖 300g、酢 300ccからなるイチゴ酢」(以下「甲2発明」という。)
「イチゴ 300g、砂糖 300g、酢 300ccからなるイチゴ酢の製造方法」(以下「甲2製造方法発明」という。)
(イ)本件特許発明1と甲2発明との対比・判断
a 対比
本件特許発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「イチゴ酢」は、酢を材料に含んでいるので、「酢酸含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点2-1:本件特許発明1は、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが特定されているのに対して、甲2発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。
b 判断
(a)上記相違点2-1について、甲第2号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7号証の食酢中の酢酸の量に関する記載、甲第9号証の食酢中の酢酸イソアミルの量の記載、甲第17号証のイチゴ中のプロピオン酸ブチルの濃度の記載、甲第8号証の食酢中の酢酸エチルの濃度の記載を参照しても、甲2発明のイチゴ酢に含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが記載されているに等しいということはできない。
(b)また、甲2発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲2発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」との特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点2-1の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(c)そして、本件特許発明1は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(d)以上のとおり、本件特許発明1は、甲第7~9、17号証の技術的事項を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明及び甲第7~9、17号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(ウ)本件特許発明2、3、7~12と甲2発明との対比・判断
本件特許発明2、3、7~12は、本件特許発明1を引用し、さらに技術的特定を加えたものであるから、甲2発明との対比においても、少なくとも上記相違点2-1を有する。
したがって、本件特許発明1と同様に、上記(イ)b(a)~(d)のとおり、本件特許発明2、3、7~12は、甲第7~9、17号証記載の技術的事項を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明及び甲第7~9、17号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(エ)本件特許発明13、14と甲2製造方法発明との対比・判断
a 本件特許発明13と甲2製造方法発明との対比・判断
(a)本件特許発明13と甲2製造方法発明を対比すると、甲2製造方法発明の「イチゴ酢」は、酢を材料に含んでいるので、本件特許発明13の「酢含有飲食品の製造方法」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点2-13:本件特許発明13が、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」方法であることがが特定されているのに対して、甲2製造方法発明においては、そのような成分に関する特定及び酢酸臭及び/又は刺激臭が低減されたとの特定がされていない点。
(b)本件特許発明13と甲2製造方法発明の上記相違点2-13について、甲第2号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7~9、17号証記載の技術的事項を参照しても、甲2製造方法発明のイチゴ酢に含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」方法であることが記載されているに等しいということはできない。
(c)また、甲2製造方法発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲2製造方法発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」ことの特定事項を満たすように成分組成を変更し、その作用の特定をする動機付けはなく、相違点2-13の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(d)そして、本件特許発明13は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(e)以上のとおり、本件特許発明13は、甲第7~9、17号証記載の技術的事項を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明及び甲第7~10号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
b 本件特許発明14と甲2製造方法発明との対比・判断
(a)本件特許発明14と甲2製造方法発明を対比すると、
甲2製造方法発明の「イチゴ酢」は、酢を材料に含んでいるので、甲2製造方法発明は、本件特許発明14の「酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法」と、「酢酸含有飲食品」に係る方法の点で共通している。
したがって、本件特許発明14と甲2製造方法発明とは、「酢酸含有飲食品に係る方法」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点2-14:本件特許発明14が、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、」「酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることが特定されているのに対して、甲2製造方法発明においては、そのような成分に関する特定及び酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることの特定がされていない点。
(b)本件特許発明14と甲2製造方法発明の上記相違点1-14について、甲第2号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7~9、17号証記載の技術的事項を参照しても、甲2製造方法発明のイチゴ酢に含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることが記載されているに等しいということはできない。
(c)また、甲2製造方法発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲2製造方法発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」ことの特定事項を満たすように成分組成を変更し、その作用の特定をする動機付けはなく、相違点2-14の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(d)そして、本件特許発明14は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(e)以上のとおり、本件特許発明14は、甲第7~9、17号証記載の技術的事項を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明及び甲第7~9、17号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(エ)本件特許発明15と甲2発明との対比・判断
a 対比
本件特許発明15と甲2発明とを対比すると、甲1発明の「イチゴ酢」は、酢を材料に含んでおり、結果として「組成物」を形成しているのであるから、「酢酸含有飲食品に係る組成物。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点2-15:本件特許発明15は、「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように酢酸含有飲食品に添加するための組成物。」であることが特定されているのに対して、甲2発明においては、そのような成分に関する特定及び「酢酸含有飲食品に添加するための組成物」であることが特定されていない点。
b 判断
(a)上記相違点2-15について、甲第2号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7~9、17号証記載の技術的事項を参照しても、甲2発明のイチゴ酢に含有される各成分が特定でき、少なくとも「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように」することが記載されているに等しいということはできない。
(b)また、甲2発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲2発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、少なくとも「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように」するとの特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点2-15の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(c)そして、本件特許発明15は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(d)以上のとおり、本件特許発明15は、甲第7~9、17号証記載の技術的事項を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明及び甲第7~9、17号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
ウ 特許異議申立人1の甲第3号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第3号証には、請求項1に係る発明(摘記(1-3a))に対応した実施例の表1の試験サンプル1-1~1-4(摘記(1-3c)の記載があり爽やかな酸味に優れることが記載され、レモン酢及びリンゴ果汁から酢酸含有飲料が製造されたことが記載されているから、以下の発明が記載されている。
「レモン酢1.5(w/v%)及びリンゴ果汁を0.3、0.5、1、3(果汁率換算 w/v%)いずれかを含み、酢酸含有量が1325(mg/L)であり、酢酸含有量(w/v%)に対するリンゴ果汁の含有量(果汁率換算 w/v%)の比が、それぞれ、2.3、3.8、7.5、22.6である、爽やかな酸味に優れる酢酸含有飲料。」(以下「甲3発明」という。)
「レモン酢1.5(w/v%)及びリンゴ果汁を0.3、0.5、1、3(果汁率換算 w/v%)いずれかを含み、酢酸含有量が1325(mg/L)であり、酢酸含有量(w/v%)に対するリンゴ果汁の含有量(果汁率換算 w/v%)の比が、それぞれ、2.3、3.8、7.5、22.6である、爽やかな酸味に優れる酢酸含有飲料の製造方法」(以下「甲3製造方法発明」という。)
(イ)本件特許発明1と甲3発明との対比・判断
a 対比
本件特許発明1と甲3発明とを対比すると、甲3発明の「酢酸含有量は1325(mg/L)であ」ることは、本件特許発明1の「酢酸を0.02w/v%以上含有」することに該当し、甲3発明の「酢酸含有飲料」は、本件特許発明1の「酢酸含有飲食品」に該当するので、「酢酸を0.02w/v%以上含有する酢酸含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点3-1:本件特許発明1は、「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが特定されているのに対して、甲3発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。
b 判断
(a)上記相違点3-1について、甲第3号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第10号証のリンゴ果実中のプロピオン酸ブチルの濃度の記載を参照しても、甲3発明の酢酸含有飲料に含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが記載されているに等しいということはできない。
(b)また、甲3発明は、レモン酢とリンゴ果汁を原料とし、そのリンゴ酸と酢酸の比に着目し完成されたものとして提示されているのであるから、甲3発明において、プロピオン酸ブチルや酢酸イソアミルという成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」との特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点3-1の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(c)そして、本件特許発明1は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(d)以上のとおり、本件特許発明1は、甲第10号証の技術的事項を参照しても、甲第3号証に記載された発明とはいえないし、甲第3号証に記載された発明及び甲第10号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(ウ)本件特許発明9、10と甲3発明との対比・判断
本件特許発明9、10は、本件特許発明1を引用し、さらに技術的特定を加えたものであるから、甲3発明との対比においても、少なくとも上記相違点3-1を有する。
したがって、本件特許発明1と同様に、上記(イ)b(a)~(d)のとおり、本件特許発明9、10は、甲第10号証記載の技術的事項を参照しても、甲第3号証に記載された発明とはいえないし、甲第3号証に記載された発明及び甲第10号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(エ)本件特許発明13、14と甲3製造方法発明との対比・判断
a 本件特許発明13と甲3製造方法発明との対比・判断
(a)本件特許発明13と甲3製造方法発明を対比すると、甲3製造方法発明の「酢酸含有量は1325(mg/L)であ」ることは、本件特許明細書【0072】において、配合の態様を限定していないことから、本件特許発明13の「酢酸を0.02w/v%以上の濃度となるように配合する」ことに相当するといえ、甲3製造方法発明の「酢酸含有飲料の製造方法」は、本件特許発明1の「酢酸含有飲食品の製造方法」に該当する。
したがって、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度となるように配合する酢酸含有飲食品の製造方法。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点3-13:本件特許発明13が、「(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」方法であることが特定されているのに対して、甲3製造方法発明においては、そのような成分に関する特定がされておらず、爽やかな酸味に優れるものと特定されるものの、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減されたとの特定がされていない点。
(b)本件特許発明13と甲3製造方法発明の上記相違点3-13について、甲第3号証には、原料について市販品とあるだけで、どのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第10号証記載の技術的事項を参照しても、甲3製造方法発明の酢酸含有飲料に含有される各成分が特定でき、「(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」方法であることが記載されているに等しいということはできない。
(c)また、甲3製造方法発明は、レモン酢とリンゴ果汁を原料とし、そのリンゴ酸と酢酸の比に着目し完成されたものの製造方法として提示されているのであるから、甲3製造方法発明において、プロピオン酸ブチルや酢酸イソアミルという成分について全く着目していない状況で、「(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」ことの特定事項を満たすように成分組成を変更し、その作用の特定をする動機付けはなく、相違点3-13の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(d)そして、本件特許発明13は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(e)以上のとおり、本件特許発明13は、甲第10号証記載の技術的事項を参照しても、甲第3号証に記載された発明とはいえないし、甲第3号証に記載された発明及び甲第10号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
b 本件特許発明14と甲3製造方法発明との対比・判断
(a)本件特許発明14と甲3製造方法発明を対比すると、甲3製造方法発明の「酢酸含有飲料の製造方法」は、本件特許発明14の「酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法」と、「酢酸含有飲食品」に係る方法の点で共通している。
したがって、本件特許発明14と甲3製造方法発明とは、「酢酸含有飲食品に係る方法」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点3-14:本件特許発明14が、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、」「酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることが特定されているのに対して、甲3製造方法発明においては、そのような成分に関する特定及び爽やかな酸味に優れるものと特定されるものの、「酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることの特定がされていない点。
(b)本件特許発明13に関して上記a(a)~(d)で検討したのと同様に、甲3製造方法発明において、本件特許発明14と甲3製造方法発明との上記相違点3-14について、記載されているに等しいということはできない。
(c)また、甲3製造方法発明において、相違点3-14の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(d)そして、本件特許発明14は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(e)以上のとおり、本件特許発明14は、甲第10号証記載の技術的事項を参照しても、甲第3号証に記載された発明とはいえないし、甲第3号証に記載された発明及び甲第10号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
エ 特許異議申立人1の甲第4号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第4号証には、実施例の調味料の使用原料配合の記載があり(摘記(1-4b))、ベース液に添加調味料を加えて調味料が製造されたことが記載されているから、以下の発明が記載されている。
「醤油450ml、砂糖150g、みりん150ml、液糖100gを混合したベース液に、食酢20ml、ごま油8g、香辛料1g、おろしりんご100g、おろしにんにく10g、おろし生葱10g、水適宜の添加調味料を添加した調味料。」(以下「甲4発明」という。)
「醤油450ml、砂糖150g、みりん150ml、液糖100gを混合したベース液に、食酢20ml、ごま油8g、香辛料1g、おろしりんご100g、おろしにんにく10g、おろし生葱10g、水適宜の添加調味料を添加する調味料の製造方法」(以下「甲4製造方法発明」という。)
(イ)本件特許発明1と甲4発明との対比・判断
a 対比
本件特許発明1と甲4発明とを対比すると、甲4発明の「調味料」は、食酢を原料に含んでいるので、「酢酸含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点4-1:本件特許発明1は、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが特定されているのに対して、甲4発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。
b 判断
(a)上記相違点4-1について、甲第4号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7号証の食酢中の酢酸の量に関する記載、甲第9号証の食酢中の酢酸イソアミルの量の記載、甲第11~13号証の酢酸、3-メチルブタナール、酢酸エチル、アセトアルデヒド、酢酸イソアミル、2-ブタノンの濃度の記載、甲第8号証の食酢中のアセトアルデヒド及び酢酸エチルの濃度の記載、甲第14号証のみりん中の酢酸の濃度の記載、甲15号証のみりん中のアセトアルデヒドの濃度の記載を参照しても、甲4発明の調味料に含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが記載されているに等しいということはできない。
(b)また、甲4発明は、実施例の使用原料の配合として完成されたものとして提示されているのであり、ベース液中の3-メチルブタナールの加熱前後量の増加に着目したものであるから、甲4発明において、3-メチルブタナール以外の含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」との特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点4-1の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(c)そして、本件特許発明1は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(d)以上のとおり、本件特許発明1は、甲第7~9、11~15号証の技術的事項を参照しても、甲第4号証に記載された発明とはいえないし、甲第4号証に記載された発明及び甲第7~9、11~15号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(ウ)本件特許発明2~5、7、8、11、12と甲4発明との対比・判断
本件特許発明2~5、7、8、11、12は、本件特許発明1を引用し、さらに技術的特定を加えたものであるから、甲4発明との対比においても、少なくとも上記相違点4-1を有する。
したがって、本件特許発明1と同様に、上記(イ)b(a)~(d)のとおり、本件特許発明2~5、7、8、11、12は、甲第7~9、11~15号証記載の技術的事項を参照しても、甲第4号証に記載された発明とはいえないし、甲第4号証に記載された発明及び甲第7~9、11~15号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(エ)本件特許発明13、14と甲4製造方法発明との対比・判断
a 本件特許発明13と甲4製造方法発明との対比・判断
(a)本件特許発明13と甲4製造方法発明を対比すると、甲4製造方法発明の「調味料」は、食酢を原料に含んでいるので、甲4製造方法発明の本件特許発明13の「酢酸含有飲食品の製造方法」に該当する。
したがって、本件特許発明13と甲4製造方法発明とは、「酢酸含有飲食品の製造方法」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点4-13:本件特許発明13が、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」方法であることが特定されているのに対して、甲4製造方法発明においては、そのような成分に関する特定及び酢酸臭及び/又は刺激臭が低減されたとの特定がされていない点。
(b)本件特許発明13と甲4製造方法発明の上記相違点4-13について、甲第4号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7~9、11~15号証記載の技術的事項を参照しても、甲4製造方法発明の調味料に含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」方法であることが記載されているに等しいということはできない。
(c)また、甲4製造方法発明は、実施例の使用原料の配合として完成されたものとして提示されているのであり、ベース液中の3-メチルブタナールの加熱前後量の増加に着目したものであるから、甲4製造方法発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」ことの特定事項を満たすように成分組成を変更し、その作用の特定をする動機付けはなく、相違点4-13の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(d)そして、本件特許発明13は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(e)以上のとおり、本件特許発明13は、甲第7~9、11~15号証記載の技術的事項を参照しても、甲第4号証に記載された発明とはいえないし、甲第4号証に記載された発明及び甲第7~9、11~15号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
b 本件特許発明14と甲4製造方法発明との対比・判断
(a)本件特許発明14と甲4製造方法発明を対比すると、甲4製造方法発明の「調味料」は、食酢を原料に含んでいるので、甲4製造方法発明は、本件特許発明14の「酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法」と、「酢酸含有飲食品」に係る方法の点で共通している。
したがって、本件特許発明14と甲4製造方法発明とは、「酢酸含有飲食品に係る方法」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点4-14:本件特許発明14が、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、」「酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることが特定されているのに対して、甲4製造方法発明においては、そのような成分に関する特定及び酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることの特定がされていない点。
(b)本件特許発明13に関して上記a(a)~(d)で検討したのと同様に、甲4製造方法発明において、本件特許発明14と甲4製造方法発明との上記相違点4-14について、記載されているに等しいということはできない。
(c)また、甲4製造方法発明において、相違点4-14の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(d)そして、本件特許発明14は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(e)以上のとおり、本件特許発明14は、甲第7~9、11~15号証記載の技術的事項を参照しても、甲第4号証に記載された発明とはいえないし、甲第4号証に記載された発明及び甲第7~9、11~15号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(エ)本件特許発明15と甲4発明との対比・判断
a 対比
本件特許発明15と甲4発明とを対比すると、甲4発明の「調味料」は、食酢を原料に含んでおり、結果として「組成物」を形成しているのであるから、「酢酸含有飲食品に係る組成物。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点4-15:本件特許発明15は、「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように酢酸含有飲食品に添加するための組成物。」であることが特定されているのに対して、甲4発明においては、そのような成分に関する特定及び「酢酸含有飲食品に添加するための組成物」であることが特定されていない点。
b 判断
(a)上記相違点4-15について、甲第4号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7~9、11~15号証記載の技術的事項を参照しても、甲4発明の調味料に含有される各成分が特定でき、少なくとも「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように」することが記載されているに等しいということはできない。
(b)また、甲4発明は、実施例の使用原料の配合として完成されたものとして提示されているのであり、ベース液中の3-メチルブタナールの加熱前後量の増加に着目したものであるから、甲4発明において、3-メチルブタナール以外の含まれる成分について全く着目していない状況で、少なくとも「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように」するとの特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点4-15の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(c)そして、本件特許発明15は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(d)以上のとおり、本件特許発明15は、甲第7~9、11~15号証記載の技術的事項を参照しても、甲第4号証に記載された発明とはいえないし、甲第4号証に記載された発明及び甲第7~9、11~15号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
オ 特許異議申立人1の甲第5号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第5号証には、摘記(1-5a)の記載があり、その材料から漬けダレが製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。
「ミツカン やさしいお酢 100cc、苺 50g(5~6粒)、砂糖 大さじ1 1/2、みりん 大さじ1、醤油 小さじ2からなる漬けダレ」(以下「甲5発明」という。)
「ミツカン やさしいお酢 100cc、苺 50g(5~6粒)、砂糖 大さじ1 1/2、みりん 大さじ1、醤油 小さじ2からなる漬けダレの製造方法」(以下「甲5製造方法発明」という。)
(イ)本件特許発明1と甲5発明との対比・判断
a 対比
本件特許発明1と甲5発明とを対比すると、甲5発明の「漬けダレ」は、酢を材料に含んでいるので、「酢酸含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点5-1:本件特許発明1は、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが特定されているのに対して、甲5発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。
b 判断
(a)上記相違点5-1について、甲第5号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、商品名や材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第16号証のミツカンやさしいお酢中の食酢の量、甲第7号証の食酢中の酢酸の量に関する記載、甲第9号証の食酢中の酢酸イソアミルの量の記載、甲第11~13号証の酢酸、3-メチルブタナール、酢酸エチル、アセトアルデヒド、酢酸イソアミル、2-ブタノンの濃度の記載、甲第8号証の食酢中のアセトアルデヒド及び酢酸エチルの濃度の記載、甲第14号証のみりん中の酢酸の濃度の記載、甲15号証のみりん中のアセトアルデヒドの濃度の記載、甲第17号証のイチゴ中のプロピオン酸ブチルの濃度の記載を参照しても、甲5発明の漬けダレに含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが記載されているに等しいということはできない。
(b)また、甲5発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲5発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」との特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点5-1の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(c)そして、本件特許発明1は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(d)以上のとおり、本件特許発明1は、甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項を参照しても、甲第5号証に記載された発明とはいえないし、甲第5号証に記載された発明及び甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(ウ)本件特許発明2~9、11、12と甲5発明との対比・判断
本件特許発明2~9、11、12は、本件特許発明1を引用し、さらに技術的特定を加えたものであるから、甲5発明との対比においても、少なくとも上記相違点5-1を有する。
したがって、本件特許発明1と同様に、上記(イ)b(a)~(d)のとおり、本件特許発明2~9、11、12は、甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項を参照しても、甲第5号証に記載された発明とはいえないし、甲第5号証に記載された発明及び甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(エ)本件特許発明13、14と甲5製造方法発明との対比・判断
a 本件特許発明13と甲5製造方法発明との対比・判断
(a)本件特許発明13と甲5製造方法発明を対比すると、甲5製造方法発明の「漬けダレ」は、酢を材料に含んでいるので、本件特許発明13の「酢酸含有飲食品の製造方法」に該当する。
したがって、本件特許発明13と甲5製造方法発明とは、「酢酸含有飲食品の製造方法」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点5-13:本件特許発明13が、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」方法であることがが特定されているのに対して、甲5製造方法発明においては、そのような成分に関する特定及び酢酸臭及び/又は刺激臭が低減されたとの特定がされていない点。
(b)本件特許発明13と甲5製造方法発明の上記相違点5-13について、甲第5号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、商品名及び材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項を参照しても、甲5製造方法発明の漬けダレに含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」方法であることが記載されているに等しいということはできない。
(c)また、甲5製造方法発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲5製造方法発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された」ことの特定事項を満たすように成分組成を変更し、その作用の特定をする動機付けはなく、相違点5-13の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(d)そして、本件特許発明13は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(e)以上のとおり、本件特許発明13は、甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項を参照しても、甲第5号証に記載された発明とはいえないし、甲第5号証に記載された発明及び甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
b 本件特許発明14と甲5製造方法発明との対比・判断
(a)本件特許発明14と甲5製造方法発明を対比すると、
甲5製造方法発明の「漬けダレ」は、酢を材料に含んでいるので、甲5製造方法発明は、本件特許発明14の「酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法」と、「酢酸含有飲食品」に係る方法の点で共通している。
したがって、本件特許発明14と甲5製造方法発明とは、「酢酸含有飲食品に係る方法」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点5-14:本件特許発明14が、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する、」「酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることが特定されているのに対して、甲5製造方法発明においては、そのような成分に関する特定及び酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることの特定がされていない点。
(b)本件特許発明14と甲5製造方法発明の上記相違点1-14について、甲第5号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7~9、17号証記載の技術的事項を参照しても、甲2製造方法発明のイチゴ酢に含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(a成分)プロピオン酸ブチルを、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように配合する」こと及び「酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」方法であることが記載されているに等しいということはできない。
(c)本件特許発明13に関して上記a(a)~(d)で検討したのと同様に、甲5製造方法発明において、本件特許発明14と甲5製造方法発明との上記相違点5-14について、記載されているに等しいということはできない。
また、甲5製造方法発明において、相違点5-14の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(d)そして、本件特許発明14は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(e)以上のとおり、本件特許発明14は、甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項を参照しても、甲第5号証に記載された発明とはいえないし、甲第5号証に記載された発明及び甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(エ)本件特許発明15と甲5発明との対比・判断
a 対比
本件特許発明15と甲5発明とを対比すると、甲5発明の「漬けダレ」は、酢を材料に含んでおり、結果として「組成物」を形成しているのであるから、「酢含有飲食品に係る組成物。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点5-15:本件特許発明15は、「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように酢酸含有飲食品に添加するための組成物。」であることが特定されているのに対して、甲5発明においては、そのような成分に関する特定及び「酢酸含有飲食品に添加するための組成物」であることが特定されていない点。
b 判断
(a)上記相違点5-15について、甲第5号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、商品名及び材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項を参照しても、甲5発明のイチゴ酢に含有される各成分が特定でき、少なくとも「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように」することが記載されているに等しいということはできない。
(b)また、甲5発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲2発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、少なくとも「(a成分)プロピオン酸ブチルを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記a成分の含有量が0.05~100000ppbになるように且つ前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100になるように」するとの特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点5-15の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(c)そして、本件特許発明15は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(d)以上のとおり、本件特許発明15は、甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項を参照しても、甲第5号証に記載された発明とはいえないし、甲第5号証に記載された発明及び甲第7~9、11~17号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
カ 特許異議申立人1の甲第6号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第6号証には、請求項1に係る発明(摘記(1-6a))に対応した実施例1の香料組成物を含有した実施例3のヨーグルト飲料(摘記(1-6d)の記載があり、その原料からヨーグルト飲料が製造されたことが記載されているから、以下の発明が記載されている。
「発酵乳40重量部、砂糖14重量部、安定剤0.4重量部、表1のY1~Y10の香料組成物0.05重量部、水45重量部からなるヨーグルト飲料。」(以下「甲6発明」という。)
「発酵乳40重量部、砂糖14重量部、安定剤0.4重量部、表1のY1~Y10の香料組成物0.05重量部、水45重量部からなるヨーグルト飲料の製造方法」(以下「甲6製造方法発明」という。)
(イ)本件特許発明1と甲6発明との対比・判断
a 対比
本件特許発明1と甲6発明とを対比すると、甲6発明の「ヨーグルト飲料」は、「飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点6-1:本件特許発明1は、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である酢酸含有飲食品」であることが特定されているのに対して、甲6発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。
b 判断
(a)上記相違点6-1について、甲第6号証には、ヨーグルト飲料の原料名と、原料の一成分として表1にヨーグルト様香料組成物の処方例がY1~Y10まで示され、酢酸を含有するものもしないものも示されており、実施例3のヨーグルト飲料に用いる香料組成物が特定されていないこと、材料名が同じであるからといって、同一組成であるとはいえないことが技術常識であることを考慮すると、甲第18号証の発酵乳中の酢酸の濃度の記載を参照しても、甲6発明の酢酸含有飲料に含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが記載されているに等しいということはできない。
(b)また、甲6発明は、炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、酸類、エステル類、ラクトン類、含窒素化合物類、含硫化合物類、エーテル類、フラン類、アセタール類、ケタール類、柑橘精油、柑橘果汁およびレモングラス精油から選ばれる少なくとも1種を配合してなる発酵乳様香料組成物を用いて、より天然感あふれる、ヨーグルトまたはチーズ様の香味を有する香料組成物、および該組成物をより簡便に製造する方法を提供することに着目し完成されたものとして提示されているのであるから、甲6発明において、プロピオン酸ブチルや酢酸イソアミルという成分について特に着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」との特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点6-1の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
(c)そして、本件特許発明1は、構成全体によって、本件特許明細書【0010】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。
(d)以上のとおり、本件特許発明1は、甲第18号証の技術的事項を参照しても、甲第6号証に記載された発明とはいえないし、甲第6号証に記載された発明及び甲第18号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(ウ)本件特許発明2、3、9、10と甲6発明との対比・判断
本件特許発明2、3、9、10は、本件特許発明1を引用し、さらに技術的特定を加えたものであるから、甲6発明との対比においても、少なくとも上記相違点6-1を有する。
したがって、本件特許発明1と同様に、上記(イ)b(a)~(d)のとおり、本件特許発明2、3、9、10は、甲第18号証記載の技術的事項を参照しても、甲第6号証に記載された発明とはいえないし、甲第6号証に記載された発明及び甲第18号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(2)特許異議申立人2の申立てた新規性・進歩性の理由(申立理由2(2-2-1、2-3-1、2-4-1、2-5-1)申立理由2(2-2-2、2-3-2、2-4-2、2-5-2)について
ア 特許異議申立人2の甲第1号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第1号証には、摘記(2-1a)摘記(2-1b)が記載され、その材料からリンゴ酢ジュースが製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。
「リンゴ酢、黒酢などお好みの酢 大さじ1~2、りんごジュース(100%) 200ml(コップ1杯分)、蜂蜜、黒蜜など お好みで小さじ1~からなるリンゴ酢ジュース」(以下「甲2-1発明」という。)
「リンゴ酢、黒酢などお好みの酢 大さじ1~2、りんごジュース(100%) 200ml(コップ1杯分)、蜂蜜、黒蜜など お好みで小さじ1~からなるリンゴ酢ジュースの製造方法」(以下「甲2-1製造方法発明」という。)
(イ)本件特許発明1と甲2-1発明とを対比すると、「酢酸含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点2-1-1:本件特許発明1は、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが特定されているのに対して、甲2-1発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。
(ウ)上記相違点2-1-1について、甲第1号証には、材料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、商品名が同じであるからといって、同一組成であるとは限らないことが技術常識であることを考慮すると、黒酢はちみつりんごジュースに関する甲第2号証の記載、ミツカン まろやかりんご酢 はちみつりんごに関する甲第3号証-1~甲第3号証-4の記載、ミツカン りんご黒酢に関する甲第4号証-1~甲第4号証-4の記載、YOUKI鎮江香酢に関する甲第5号証の記載、BRAGG オーガニックアップルサイダービネガー日本正規品 りんご酢に関する甲第6号証の記載、MAILLE白ワインビネガーに関する甲第7号証の記載、内堀醸造 美濃三年酢に関する甲第8号証の記載(甲第6~8号証は、各甲号証に記載された製品の賞味期限が示されているだけで、各甲号証の公知日は不明である。)、市販の食酢・お酢ドリンク製品の各成分測定結果を記載しているものの、その測定サンプルの保管状態、入手経緯、甲第1号証の材料との関係が不明な甲第10号証の試験結果報告書、高真空蒸留法によるリンゴの生果汁および低温殺菌果汁中の揮発性化合物の含有量推定に関する甲第11号証の記載、参照及び処理したリンゴジュースの化学的特性に関する甲第12号証の記載、リンゴジュースのカロリ-に関する甲第13号証の記載、黒酢やはちみつの大さじ1の質量に関する甲第14、15号証の記載、パージ&トラップインジェクターを用いて84種類のユニフローラルハニーから同定された化合物に関する甲第16号証の記載、果物やシェリービネガー、日本酒、ワインに含まれる香気成分に関する甲第17~20号証の記載、果汁と食酢の混合飲料に関する甲第21~24号証の記載、酢酸含有飲食品の酸味及び酸臭の抑制の課題について記載がある甲第25号証の記載、フルーツ様香料組成物を含み香味の改善や原材料のマスキングに関する甲第26号証の記載、ミツカン ブルーベリー黒酢、ミツカン うめ黒酢の商品情報に関する甲第27、28号証の記載、ガス保存されたリンゴから生成されるアルデヒドおよびケトンに関する甲第29号証の記載を参照しても、甲2-1発明のリンゴ酢ジュースに含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが記載されているに等しいということはできない。
特許異議申立人2は、ミツカン まろやかりんご酢 はちみつりんごに関する甲第3号証-1~甲第3号証-4の記載、ミツカン りんご黒酢に関する甲第4号証-1~甲第4号証-4の記載から機能性表示食品の変更履歴に基づき製品の成分配合量が不変であることや甲第1号証との直接の関係がない甲第10号証の試験結果報告書、及び甲第1号証との直接の関係がないその他の証拠の各成分の記載を前提に計算を行い、本件特許発明1が新規性がないことについて主張しているが、上述のとおり、甲第3号証には、甲2-1発明の材料として何が用いられたかの具体的記載も示唆もないし、甲第10号証の試験結果報告書で用いられた商品との関係も入手経緯、保管状態も全く記載がないことも考慮すると、多くの仮定の上で計算した結果に基づく上記特許異議申立人2の主張を採用することはできない。
(エ)また、甲2-1発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲2-1発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」との特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点2-1の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
そして、すでに論じたとおり、本件特許発明1は、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」との特定事項を有することにより、予測できない顕著な効果を奏している。
(オ)以上のとおり、本件特許発明1は、甲第2号証、甲第3号証(-1~4)、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第3号証(-1~4)、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(カ)本件特許発明2~12、15と甲2-1発明との対比・判断、本件特許発明13、14と甲2-1製造方法発明との対比・判断においても、上記(イ)~(オ)で検討したのと同様に、本件特許発明2~15は、甲第2号証、甲第3号証(-1~4)、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証(-1~4)、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
イ 特許異議申立人2の甲第2号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第2号証には、摘記(2-2a)の記載があり、その材料から黒酢はちみつりんごジュースが製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。
「りんごジュース 100cc、黒酢 大さじ1、はちみつ 小さじ1からなる黒酢はちみつりんごジュース」(以下「甲2-2発明」という。)
「りんごジュース 100cc、黒酢 大さじ1、はちみつ 小さじ1からなる黒酢はちみつりんごジュースの製造方法」(以下「甲2-2製造方法発明」という。)
(イ)本件特許発明1と甲2-2発明とを対比すると、「酢酸含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点2-2-1:本件特許発明1は、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが特定されているのに対して、甲2-2-1発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。
(ウ)前記ア(ウ)~(オ)で検討したのと同様に、本件特許発明1は、甲第1号証、甲第3号証(-1~4)、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第3号証(-1~4)、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(エ)本件特許発明2~12、15と甲2-2発明との対比・判断、本件特許発明13、14と甲2-2製造方法発明との対比・判断においても、上記(イ)~(ウ)で検討したのと同様に、本件特許発明2~15は、甲第1号証、甲第3号証(-1~4)、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第3号証(-1~4)、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
ウ 特許異議申立人2の甲第3号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第3号証には、摘記(2-3a)「まろやかりんご酢 はちみつりんご」が株式会社Mizkanから機能性表示食品として届けられていることが記載され、その「まろやかりんご酢 はちみつりんご」が何らかの方法で製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。
「株式会社Mizkanから機能性表示食品として届けられている「まろやかりんご酢 はちみつりんご」」(以下「甲2-3発明」という。)
「株式会社Mizkanから機能性表示食品として届けられている「まろやかりんご酢 はちみつりんご」の製造方法」(以下「甲2-3製造方法発明」という。)
(イ)本件特許発明1と甲2-3発明とを対比すると、「酢酸含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点2-3:本件特許発明1は、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが特定されているのに対して、甲2-3発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。
(ウ)前記ア(ウ)~(オ)で検討したのと同様に、本件特許発明1は、甲第1、2号証、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第3号証に記載された発明とはいえないし、甲第3号証に記載された発明及び甲第1、2号証、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(エ)本件特許発明2~12、15と甲2-3発明との対比・判断、本件特許発明13、14と甲3-3製造方法発明との対比・判断においても、上記(イ)~(ウ)で検討したのと同様に、本件特許発明2~15は、甲第1、2号証、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第3号証に記載された発明とはいえないし、甲第3号証に記載された発明及び甲第1、2号証、甲第4号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
エ 特許異議申立人2の甲第4号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第4号証には、摘記(2-4a)「りんご黒酢」が株式会社Mizkanから機能性表示食品として届けられていることが記載され、その「りんご黒酢」が何らかの方法で製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。
「株式会社Mizkanから機能性表示食品として届けられている「りんご黒酢」」(以下「甲2-4発明」という。)
「株式会社Mizkanから機能性表示食品として届けられている「りんご黒酢」の製造方法」(以下「甲2-4製造方法発明」という。)
(イ)本件特許発明1と甲2-4発明とを対比すると、「酢酸含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点3-3:本件特許発明1は、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」ことが特定されているのに対して、甲2-4発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。
(ウ)前記ア(ウ)~(オ)で検討したのと同様に、本件特許発明1は、甲第1、2号証、甲第3号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第4号証に記載された発明とはいえないし、甲第4号証に記載された発明及び甲第1、2号証、甲第3号証(-1~4)、甲第5~9、11~28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
(エ)本件特許発明2~12、15と甲2-4発明との対比・判断、本件特許発明13、14と甲2-4製造方法発明との対比・判断においても、上記(イ)~(ウ)で検討したのと同様に、本件特許発明2~15は、甲第1、2号証、甲第3号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第4号証に記載された発明とはいえないし、甲第4号証に記載された発明及び甲第1、2号証、甲第3号証(-1~4)、甲第5~9、11~29号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。
オ 申立理由2(2-2-1、2-3-1、2-4-1、2-5-1)申立理由2(2-2-2、2-3-2、2-4-2、2-5-2)には、理由がない。
2 申立理由1(1-7)、申立理由2(2-1)(特許法第36条第6項第1号)及び、申立理由1(1-9)(特許法第36条第4項第1項)について(申立理由1(1-8)特許法第36条第6項第2項については、取消理由通知の理由として採用されている。なお、食酢に酢酸イソアミルが一般に含まれている(甲第9号証)ことに基づく、比較例の値が不明確であるという点は、技術常識に反するとまではいえないため、上記理由として採用されていない。)
(1)申立理由1(1-3)、申立理由2(2-4)、申立理由3(3-1)(特許法第36条第6項第1号)について
ア 特許法第36条第6項第1号の判断の前提
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
イ 特許請求の範囲の記載
前記第3に記載されたとおりの発明特定事項を有する酢酸含有飲食品の発明が、請求項1~12に、酢酸含有飲食品の製造方法の発明が請求項13に、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法の発明が請求項14に、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ酢酸含有飲食品に添加するための組成物の発明が請求項15にそれぞれ記載されている。
ウ 発明の詳細な説明の記載
(ア)本件特許明細書の発明の詳細な説明には、請求項1~15に係る発明に関する記載として、特許請求の範囲の実質的繰り返し記載を除いて、【0002】~【0007】の背景技術、発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段の記載、【0010】の発明の効果の記載、【0014】~【0016】の酢酸含有飲食品の酢酸の含有量、刺激臭源としての酢酸エチル、アセトアルデヒドに関する記載、【0017】【0018】のa成分(プロピオン酸ブチル)の香気特性や酢酸臭や刺激臭抑制及びボディ感向上の効果に関する数値範囲の技術的意義の記載、【0019】【0020】のb成分(酢酸イソアミル)の香気特性や酢酸臭や刺激臭抑制及びボディ感向上効果に関する数値範囲の技術的意義の記載、【0021】~【0025】のaA成分とb成分の合計含有量の数値範囲の技術的意義の記載、a成分とb成分の合計含有量に対する酢酸含有量の比の数値範囲の技術的意義の記載、a成分とb成分の合計含有量に対するアセトアルデヒド含有量の比の数値範囲の技術的意義の記載、【0026】【00276】のC成分(2-ブタノン)の香気特性や酢酸臭や刺激臭抑制及びボディ感向上の効果に関する数値範囲の技術的意義の記載、【0028】【0029】のd成分(3-メチルブタナール)の香気特性や酢酸臭や刺激臭抑制及びボディ感向上の効果に関する数値範囲の技術的意義の記載、【0030】のc成分とd成分の割合に関する記載、【0031】~【0033】のa~d成分の合計含有量に対する酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒドの含有量の比の数値範囲の技術的意義の記載、【0034】~【0071】の酢酸含有飲食品の性状、そのまま喫食に供される飲食品の例示、喫食に供される飲食品の調製用組成物の例示、調味料等の例示、原料の例示、食酢の例示等の記載、【0072】の本件特許発明の酢酸含有飲食品の製造方法に関する記載、【0073】の本件特許発明の酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法の記載、【0074】の酢酸、a~d成分、その他の成分の配合のタイミングに関する記載、【0075】【0076】の酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ酢酸含有飲食品に添加するための組成物、その性状に関する記載、【0077】のc,d成分添加の技術的意義に関する記載がある。
そして、実施例として、
試験例1の風味評価試験1として、風味評価対象成分の希釈液を調製した。70%エタノール水溶液に、(a成分)プロピオン酸ブチル、(b成分)酢酸イソアミル、(C成分)2-ブタノン、及び(d成分)3-メチルブタナールの各種成分をそれぞれ添加し、十分に攪拌して10,000ppmの溶液を調製し、イオン交換水で希釈して、1000ppmの溶液及び100ppmの溶液を調製し、続いて、イオン交換水に、酢酸、酢酸エチル及びアセトアルデヒドの各種成分をそれぞれ添加し、十分に攪拌して15%溶液、及び、1%溶液を調製し、続いて評価対象成分の希釈液を添加し、十分に攪拌して、表1~6に示される配合組成及び濃度の試験液(実施例1~57)を調製したこと、一方で、評価対象成分を含まない以外は実施例1~57と同配合のコントロール(対照試験液)を調製したこと、評価に先立って、酢酸、酢酸エチル、及びアセトアルデヒドが低い濃度のコントロール(コントロールA(酢酸0.02w/v%、酢酸エチル0.1ppm、アセトアルデヒド0.01ppm)、及びコントロールB(酢酸0.2w/v%、酢酸エチル5ppm、アセトアルデヒド3ppm))であっても、酢酸臭及び刺激臭が感じられることを確認したことが記載されている(【0079】~【0082】)。
また、【0083】~【0088】には、評価方法、評価基準、専門パネラーの条件等の記載があり、【0089】~【0095】には、表1~6の実験結果、【0096】~【0098】の考察結果の記載がある。
さらに、試験例2の風味評価試験2として、表7~8に示す組成に従って原料を配合し、酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、及びa~d成分(試験例1と同じものを使用した。)を表9~10に記載の含有量となるように適宜添加して、飲料(比較例1及び実施例58~71)を調製したことが示されている(【0100】~【0108】には、各成分の含有量測定方法の記載が、【0109】~【0113】には評価方法の記載が、【0114】~【0118】には、表7~10の実験結果の記載がある。
そして、【0119】~【0126】【0129】【0130】には、試験例3の風味評価試験3として、風味ゼリー、すし酢、調味酢、たれの原料配合表(表11、13、15)、実験結果(表12、14、16)の記載がある。
エ 判断
(ア)本件特許発明の課題について
上記ウの【0002】~【0008】の背景技術、発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段の記載及び本件特許明細書全体を参酌して、本件特許発明1~12の課題は、酢酸臭及び/又は刺激臭が抑制された酢酸含有飲食品を提供することにあり、本件特許発明13の課題は、該酢酸含有飲食品の製造方法を提供することにあり、本件特許発明14の課題は、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法を提供することにあり、本件特許発明15の課題は、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するために酢酸含有飲食品に添加する組成物を提供することにあると認める。
(イ)判断
上記ウの(ア)(イ)のとおり、本件特許発明1の各構成であるパラメータに対応して、本件特許明細書には、酢酸含有量、a成分(プロピオン酸ブチル)の含有量、A成分とB成分(酢酸イソアミル)の合計含有量に対する酢酸含有量の比の各パラメータの上下限の技術的意義の一般的記載が存在し、酢酸含有飲食品に対するa成分とb成分の添加によって、含まれる酢酸エチル、アセトアルデヒドによる酢酸臭及び/又は刺激臭の発生を抑制し及びボディ感を向上するという技術的思想が示されており、各パラメータ間の技術的意議の相関記載に技術的矛盾はなく、酢酸含有飲食品の各成分の配合方法や含有量測定方法や酢酸含有飲食品の製造方法の記載が存在し、各成分の含有量を変更した場合でも本件特許発明1の効果を奏した具体的検証結果の記載も存在するのであるから、本件特許発明1の構成によって、当業者であれば上記本件特許発明1の課題を解決できることを認識できるといえる。
また、本件特許発明2~15に関しても、【0034】~【0071】の酢酸含有飲食品の性状、そのまま喫食に供される飲食品の例示、喫食に供される飲食品の調製用組成物の例示、調味料等の例示、原料の例示、食酢の例示等の記載、【0072】の本件特許発明の酢酸含有飲食品の製造方法に関する記載、【0073】の本件特許発明の酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法の記載、【0074】の酢酸、a~d成分、その他の成分の配合のタイミングに関する記載、【0075】【0076】の酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ酢酸含有飲食品に添加するための組成物、その性状に関する記載ついても併せて考慮すれば、本件特許発明1と同様に、本件特許発明2~15の構成によって、当業者であれば上記本件特許発明2~15の課題を解決できることを認識できるといえる。
(ウ)特許異議申立人1のサポート要件に関する主張(申立理由1(1-7))について
特許異議申立人1は、前記第4 1(1-7)に記載のとおり、請求項1~15に係る特許は、3-メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量やそれを用いた他成分の含有量との比が規定されているところ、甲第11号証を考慮すると、醤油には、3-メチルブタナールが含まれており、試験例3-3のタイプBの醤油を用いた実施例77(表15および表16)、試験例3-4(表17、18)、試験例3-6(表21、表22)の実施例や比較例に3-メチルブタナールが含まれていない(あるいは明らかに低すぎる)ことや、甲第9号証を考慮すると、食酢には一般的に酢酸イソアミルが含まれており、試験例の比較例に酢酸イソアミルが含まれていないのは、ともに技術常識に反する結果が記載されており、発明の課題を解決できることの関係が不明確である旨主張している。
しかしながら、本件訂正によって、試験例3-3のタイプBの醤油を用いた実施例77、試験例3-4(表17、18)、試験例3-6(表21、表22)の実施例や比較例の不明瞭な記載は訂正によって削除されており、訂正された本件特許明細書を考慮すると、上記(イ)で検討したとおり、本件の特許請求の範囲の記載は、サポート要件を満たしており、訂正前存在した実施例や比較例が技術常識に反するとの上記主張を採用することはできない。
(エ)特許異議申立人2のサポート要件に関する主張(申立理由2(2-1))について
特許異議申立人2は、前記第4 2(2-1)に記載のとおり、請求項1~15に係る特許は、官能評価試験に関して、適切な手続が踏まれていない点、パラメータに関して、数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意が出願時の技術常識を参酌して、当該範囲内であれば所望の効果が得られると当業者が認識できる程度に具体例を示していない点、酢酸の含有割合に関する上限値の規定が存在せず、酢酸の濃度が大きくなれば本件特許発明の課題の解決が困難であることは技術常識である点からサポート要件を満たさない旨主張している。
しかしながら、本件特許明細書の【0083】~【0088】、【0108】~【0113】、【0119】には、試験例1~3の官能評価試験について、パネラーの選考や評価手法を含めた評価基準が詳細に記載されており、酢酸臭、刺激臭、ボディ感の説明も存在し、酢酸含有飲食品という本件特許発明との関係で特殊な評価項目とはいえないことも考慮すると、本件特許発明に係る官能評価試験に関して、適切な手続が踏まれていないとはいえない。
また、本件特許明細書には、酢酸含有量、a成分(プロピオン酸ブチル)の含有量、a成分と(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比の各パラメータの上下限の技術的意義の一般的記載が存在し、酢酸含有飲食品に対するa成分とb成分の添加によって、含まれる酢酸エチル、アセトアルデヒドによる酢酸臭及び/又は刺激臭の発生を抑制し及びボディ感を向上するという技術的思想が示されており(c成分とd成分の添加によってさらに作用効果が高まることも示されている。)のであるから、本件特許発明のパラメータが特殊なパラメータの数式を発明の特定事項にしているわけではないことも考慮すると、数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意が出願時の技術常識を参酌して、当該範囲内であれば所望の効果が得られると当業者が認識できる程度に具体例を示していないとはいえない。
さらに、酢酸の含有割合に関する上限値の規定については、本件訂正によって上限値が規定されている。
以上のとおり、上記特許異議申立人2の主張は採用できない。
(2)申立理由2(1-9)(特許法第36条第4項第1項)について
ア 本件特許明細書の発明の詳細な説明には、前記(1)ウの記載があり、本件特許発明1~12の酢酸含有飲食品、本件特許発明13の酢酸含有飲食品の製造方法、本件特許発明14の酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法、本件特許発明15の酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するために酢酸含有飲食品に添加する組成物の各発明を、本願出願時の技術常識を考慮して、当業者が過度な試行錯誤なく製造でき、使用できるように記載されているといえ、前記(1)エ(イ)で検討したのと同様に、本件の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たしているといえる。
イ 特許異議申立人2は、前記第4 2(1-9)に記載のとおり、請求項1~15に係る特許に関して、3-メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量やそれを用いた他成分の含有量との比が規定されているところ、甲第11号証を考慮すると、醤油には、3-メチルブタナールが含まれており、試験例3-3のタイプBの醤油を用いた実施例77(表15および表16)、試験例3-4(表17、18)、試験例3-6(表21、表22)の実施例や比較例に3-メチルブタナールが含まれていない(あるいは明らかに低すぎる)ことや、甲第9号証を考慮すると、食酢には一般的に酢酸イソアミルが含まれており、試験例の比較例に酢酸イソアミルが含まれていないのは、ともに技術常識に反する結果が記載されており、発明の詳細な説明の3-メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量の記載に不備があり、当業者が請求項1~15に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない旨主張している。
しかしながら、本件訂正によって、試験例3-3のタイプBの醤油を用いた実施例77、試験例3-4(表17、18)、試験例3-6(表21、表22)の実施例や比較例の不明瞭な記載は訂正によって削除されており、訂正された本件特許明細書を考慮すると、発明の詳細な説明には、上述のとおり、前記(1)ウの記載があり、上述のとおり本件の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たしており、訂正前存在した実施例や比較例が技術常識に反するとの上記主張を採用することはできない。
3 特許異議申立人の意見書について
(1)特許異議申立人1の意見書の主張について
特許異議申立人1は、令和3年12月13日提出の意見書において、実施例77、表17、18、実施例79、81、82、比較例8、9を指摘し、3―メチルブタナールの測定方法や測定結果の不備の根本的原因について釈明していないので、その他の成分についても同様に不備がある蓋然性が高い旨主張している。
しかしながら、本件訂正によって、試験例3-3のタイプBの醤油を用いた実施例77、試験例3-4(表17、18)、試験例3-6(表21、表22)の実施例や比較例の不明瞭な記載は訂正によって削除されており、訂正された本件特許明細書を考慮すると、前記2で検討したとおり、本件の特許請求の範囲の記載は、明確性要件を満たしており、訂正前存在した実施例や比較例に基づく不備の釈明やその他の成分についての不備の蓋然性に言及する上記主張を採用することはできない。
(2)特許異議申立人2の意見書の主張について
ア 特許異議申立人2は、令和3年12月22日提出の意見書において、訂正前の請求項の記載が最終含有量を示すことが明らかであれば、明瞭でない記載が存在しないし、取消理由に対し最終的に最終含有量であると理解できるようになったのであれば実質上特許請求の範囲を拡張または変更するもので、訂正要件を満たさない旨主張している。
しかしながら、本件訂正は、取消理由の通知を受けて、不明瞭な記載である実施例や比較例の記載を単に削除したものであるから、前記第2で検討したとおり、訂正要件を満たすものであり、上記主張を採用することはできない。
イ 特許異議申立人2は、本件特許明細書の【0014】を指摘し、その成分の配合量が明らかであり、その配合量等から算出する場合と、その成分の配合量が不明で試験例2の方法で算出する場合の基準が絶対的に決まらないので本件の特許請求の範囲の記載が明確性要件を満たさない旨主張している。
しかしながら、本件特許明細書の【0014】の配合量の基準は、技術常識からみて合理的なものであり、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとする事情はなく、上記主張を採用することはできない。
ウ 特許異議申立人2は、甲第3号証、甲第4号証に記載された発明に基づく新規性・進歩性の主張を繰り返しているが、前記2(2)ウ、エで述べたとおり、甲第3号証、甲第4号証記載の発明は、機能性食品として届けられた食品であることがわかるにとどまり、その成分組成は明らかでなく、甲第3号証、甲第4号証との直接の関係がない甲第10号証の試験結果報告書、及びそれらの証拠との直接の関係がないその他の証拠の各成分の記載を前提に計算を行い、本件特許発明1が新規性がないことについて主張しているが、甲第3号証、甲第4号証記載の発明の材料として何が用いられたかの具体的記載も示唆もないし、甲第10号証の試験結果報告書で用いられた商品との関係も入手経緯、保管状態も全く記載がないことも考慮すると、多くの仮定の上で計算した結果に基づく主張を採用することはできない。
また、甲第3号証、甲第4号証記載の発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02w/v%以上含有し、(a成分)プロピオン酸ブチルを含有し、前記a成分の含有量が0.05~100000ppbであり、前記a成分及び(b成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/a及びb合計の濃度値(ppb))が0.00002~100である」との特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
したがって、上記主張を採用することはできない。
第6 むすび
以上のとおり、本件請求項1~15に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、取り消されるべきものとはいえない。
また、他に本件請求項1~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-700496