2021-700477
スロットマシン
- 審判番号
- 2021-700477
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-155238外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6792679
- 請求日
- 2021年05月19日
- 審決日
- 2022年03月22日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】林 修身
- 【権利者代理人】大久保 岳彦
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】特許業務法人 武和国際特許事務所
- 分類
- P1651.113-YAA(A63F) / P1651.121-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第113条第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
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特許第6792679号の請求項1に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成29年2月27日(以下、「遡及日」という。)に出願した特願2017-35036の一部を令和1年8月28日に新たな特許出願(特願2019-155238)としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
(特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社)
なお、当該通知書による通知に対し、特許異議申立人からの応答はな かった。
第2 訂正の適否
本件訂正請求は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲について、以下のとおり訂正することを求めるものである(下線は、当合議体が付した。以下同様。)。
1 訂正請求の内容
本件訂正は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正する以下のとおりのものである。
(1)訂正事項1
特許権者は、本件特許の請求項1の「前記遊技制御手段は、」の後に「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、」を加える訂正をすることを請求する。
(2)訂正事項2
特許権者は、上記訂正事項1で訂正された請求項1の「・・・事前決定手段と、」の後に、「前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段と、」を加える訂正をすることを請求する。
(3)訂正事項3
特許権者は、本件特許の請求項1に、「通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、」とあるのを、「前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、」に訂正することを請求する。
(4)訂正事項4
特許権者は、本件特許の請求項1に、「前記有利区間において有利状態に制御可能な状態制御手段と、」とあるのを、「前記有利区間において有利状態と前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に制御可能な状態制御手段と、」に訂正することを請求する。
(5)訂正事項5
特許権者は、本件特許の請求項1に、「前記有利区間において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、」とあるのを、「前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、」に訂正することを請求する。
(6)訂正事項6
特許権者は、上記訂正事項5で訂正された請求項1の「・・・有利状態情報更新手段と、」の後に、「前記有利区間のうち前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段と、」を加える訂正をすることを請求する。
(7)訂正事項7
特許権者は、上記訂正事項6で訂正された請求項1の「・・・特定状態情報更新手段と、」の後に、「前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段と、」を加える訂正をすることを請求する。
(8)訂正事項8
特許権者は、本件特許の請求項1に、「前記有利状態に関わる情報にもとづいて、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、」とあるのを、「前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、」に訂正することを請求する。
(9)訂正事項9
特許権者は、本件特許の請求項1に、「前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報を初期化する初期化手段と、を含み、」とあるのを、「前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータを全て初期化する初期化手段と、を含み、」に訂正することを請求する。
(10)訂正事項10
特許権者は、上記訂正事項9で訂正された請求項1の「・・・初期化手段と、を含み、」の後に、「前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であり、」を加える訂正をすることを請求する。
(11)訂正事項11
特許権者は、上記訂正事項10で訂正された請求項1の「・・・前記有利区間に制御可能であり、」の後に、「前記有利区間終了手段は、前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行い、」を加える訂正をすることを請求する。
(12)訂正事項12
特許権者は、本件特許の請求項1に、「前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報が初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン。」とあるのを、「前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン。」に訂正することを請求する。
(13)訂正事項13
特許権者は、本件特許の明細書の【0008】に、
「 本発明のスロットマシンは、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、遊技の制御を行う遊技制御手段と、続きを表示(全16行)前記遊技制御手段に制御される特定ランプと、を備え、前記遊技制御手段は、通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、前記有利区間において有利状態に制御可能な状態制御手段と、前記有利区間において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、前記有利状態に関わる情報にもとづいて、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、前記特定ランプを制御する特定ランプ制御手段と、前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報を初期化する初期化手段と、を含み、前記特定ランプ制御手段は、前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ、前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報が初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、ことを特徴とする。・・・」とあるのを、
「 本発明のスロットマシンは、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、遊技の制御を行う遊技制御手段と、続きを表示(全22行)前記遊技制御手段に制御される特定ランプと、を備え、前記遊技制御手段は、導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段と、前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、前記有利区間において有利状態と前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に制御可能な状態制御手段と、前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、前記有利区間のうち前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段と、前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段と、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、前記特定ランプを制御する特定ランプ制御手段と、前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータを全て初期化する初期化手段と、を含み、前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であり、前記有利区間終了手段は、前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行い、前記特定ランプ制御手段は、前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ、前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、ことを特徴とする。・・・」に訂正することを請求する。
2 訂正要件についての判断
(1)訂正事項1
本件特許の明細書の【0008】、【0031】及び【0056】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」について、「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段」を含む点を限定するものである。
(2)訂正事項2
本件特許の明細書の【0108】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」について、「前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段」を含む点を限定するものである。
(3)訂正事項3
本件特許の明細書の【0038】及び【0047】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段」について、「前記事前決定手段の決定結果にもとづいて」いることを限定するものである。
(4)訂正事項4
本件特許の明細書の【0032】及び【0035】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「前記有利区間において有利状態に制御可能な状態制御手段」について、「有利状態」に加えて、「前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に」も制御可能であることを限定するものである。
(5)訂正事項5
本件特許の明細書の【0034】及び【0064】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「前記有利区間において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段」について、「有利区間」「のうち前記有利状態において」「有利状態に関わる情報を更新する」ことを限定するものである。
(6)訂正事項6
本件特許の明細書の【0088】及び【0139】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」について、「前記有利区間のうち前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段」を含む点を限定するものである。
(7)訂正事項7
本件特許の明細書の【0064】及び【0065】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」について、「前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段」を含む点を限定するものである。
(8)訂正事項8
本件特許の明細書の【0098】及び【0099】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「前記有利状態に関わる情報にもとづいて、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段」の有利区間の終了について、「前記有利状態に関わる情報」に加えて、「前記特定状態に関わる情報」「にもとづいて」「終了条件が成立する」ことを限定するとともに、「前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで」も終了することを限定するものである。
(9)訂正事項9
本件特許の明細書の【0044】、【0088】及び【0139】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報を初期化する初期化手段」について、初期化手段が初期化する対象が、「前記有利状態に関わる情報」に加え、「前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータ」であることを限定するとともに、「情報」と「データ」を「全て」初期化することを限定するものである。
(10)訂正事項10
本件特許の明細書の【0038】及び【0047】の記載及び図面の図12の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「有利区間制御手段」について、「前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であ」ることを限定するものである。
(11)訂正事項11
本件特許の明細書の【0044】、【0098】及び【0099】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「有利区間終了手段」について、「前記有利区間終了手段は、前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行」うことを限定するものである。
(12)訂正事項12
上記(9)と同様の目的で、本件特許の明細書の【0044】、【0088】及び【0139】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる初期化手段が初期化する対象が、「前記有利状態に関わる情報」に加え、「前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータ」であることを限定するとともに、「情報」と「データ」が「全て」初期化されることを限定するものである。
(13)小括
上記(1)~(12)のとおりであるから、請求項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(14)訂正事項13
訂正事項13は、特許請求の範囲に係る訂正事項1~12と整合性をとるために明細書を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項13は、訂正事項1~12について検討したのと同様に、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(15)まとめ
上記(1)~(14)のとおり、本件訂正請求による訂正事項1~13は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、訂正後の請求項1について本件訂正が認められるから、請求項1に係る特許は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、本件特許の請求項1に係る発明を「本件発明」という。なお、記号A等は、分説するため当合議体が付した。また、分説に際し、令和3年8月24日付け取消理由通知において、訂正前の請求項1に係る特許についてなされた分説と同じ発明特定事項である分説には、同じ記号A等を付し、本件訂正により訂正前の発明特定事項より減縮された分説には、記号F’等のように訂正前の記号F等に「’」を付し、新たに設けられた分説には、記号E1、E2、O、Pを付した。)。
本件発明
「【請求項1】A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、C 遊技の制御を行う遊技制御手段と、続きを表示(全21行)D 前記遊技制御手段に制御される特定ランプと、を備え、E 前記遊技制御手段は、E1 導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、E2 前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段と、F’ 前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、G’ 前記有利区間において有利状態と前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に制御可能な状態制御手段と、H’ 前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、E3 前記有利区間のうち前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段と、E4 前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段と、I’ 前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、J 前記特定ランプを制御する特定ランプ制御手段と、K’ 前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータを全て初期化する初期化手段と、を含み、O 前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であり、P 前記有利区間終了手段は、前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行い、L 前記特定ランプ制御手段は、M 前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ、N’ 前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン。」
第4 特許異議の申立て及び取消理由通知について
1 特許異議の申立ての概要
特許異議の申立ての理由の概要は以下のとおりである。
(1)(新規性)本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)(進歩性)本件特許発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証~甲第3号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
記
●理由(1)(新規性)について
本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明である。
●理由(2)(進歩性)について
本件特許発明は、甲第1号証~甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
2 令和3年8月24日付け取消理由通知の概要
令和3年8月24日付け取消理由通知の概要は以下のとおりである。
(1)(新規性)本件特許発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)(進歩性)本件特許発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基いて、又は、甲第3号証及び甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
記
●取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について
本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明であり、また、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
●取消理由(2)(進歩性)について
本件特許発明は、甲第3号証及び甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
第5 当合議体の判断
1 令和3年8月24日付け取消理由通知に記載した取消理由について
1-1 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について
(1)甲第1号証の記載事項
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本件特許の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、上記取消理由通知で引用された甲第1号証(特開2007-50088号公報、発明の名称:スロットマシン)には、次の事項が記載されている。
ア 記載事項
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、スロットマシンに関し、特に終了条件となる有価価値の付与数が異なる複数種類の特別遊技状態を有するスロットマシンにおける該特別遊技状態の終了の報知に関する。・・・続きを表示(全13行)【発明が解決しようとする課題】・・・【0009】本発明は、終了条件となる有価価値の付与数が異なる複数種類の特別遊技状態を有するスロットマシンにおいて、有価価値の付与数が少ない特別遊技状態が終了したときにも、有価価値の付与数の多いものとして特別遊技状態の継続を遊技者に期待させて、遊技の興趣を向上させることを目的とする。【課題を解決するための手段】【0010】上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかるスロットマシンは、1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置(可変表示装置2)に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシンにおいて、・・・」
(イ)「【発明を実施するための最良の形態】【0083】以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。【0084】図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。スロットマシン1の前面扉は、施錠装置19にキーを差し込み、時計回り方向に回動操作することにより開放状態とすることができる。このスロットマシン1の上部前面側には、3つのリール3L、3C、3Rから構成される可変表示装置2が設けられている。リール3L、3C、3Rは、それぞれリールモータ3ML、3MC、3MR(図4参照)の駆動によって回転/停止させられる。【0085】リール3L、3C、3Rの外周部には、図2に示すように、それぞれ「赤7」、「白7」、「青7」、「JAC」、「ベル」、「チェリー」、「スイカ」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で描かれている。リール3L、3C、3Rの外周部に描かれた図柄は、可変表示装置2において上中下三段に表示される。可変表示装置2には、図3に示すように、リール3L、3C、3Rのそれぞれについて上段または下段を選択して構成される8本の有効ラインが設定される。この有効ラインの何れかに後述する役の表示態様が導出されたときに、当該役に入賞となる。」
(ウ)「【0103】遊技制御基板101は、スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御するメイン側の制御基板であり、CPU111、RAM112、ROM113及びI/Oポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部110を搭載している。また、乱数発生回路115、サンプリング回路116その他の回路を搭載している。【0104】CPU111は、計時機能、タイマ割り込みなどの割り込み機能(割り込み禁止機能を含む)を備え、ROM113に記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うと共に、スロットマシン1内の制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。CPU111が取り扱うデータの1ワードは、8ビット(1バイト)であり、RAM112、ROM113のアドレスも、8ビット単位で割り付けられている。・・・【0110】遊技制御基板101には、また、流路切り替えソレノイド49、ペイアウト表示器51、クレジット表示器52、投入指示ランプ59、スタートランプ60、リプレイランプ62、HITランプ54、BETボタンランプ70a、70b、操作有効ランプ63L、63C、63R、入賞表示ランプ45a~45dが接続されており、CPU111は、遊技の進行状況に従ってこれらの動作を制御している。」
(エ)「【0121】図5(a)は、遊技状態別当選役テーブルを示す図である。遊技状態別当選役テーブルは、ROM113に予め格納され、内部抽選において当選と判定される役を判断するために用いられるものであるが、遊技状態別当選役テーブルの登録内容は、遊技状態に応じて定められた役を示すものとなる。このスロットマシン1における役としては、特別役としてレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、JACINが、小役としてベル、チェリーが、再遊技役としてリプレイが定められている。【0122】レギュラーボーナスの遊技状態では、小役であるベル及びチェリーが、入賞となる役として定められており、レギュラーボーナスにおける内部抽選で抽選の対象とされる。ビッグボーナスの遊技状態では、特別役であるJACIN、小役であるベル及びチェリーが入賞となる役として定められており、ビッグボーナスにおける内部抽選で抽選の対象とされる。通常の遊技状態では、特別役であるレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)及びビッグボーナス(2)、小役であるベル及びチェリー、再遊技役であるリプレイ(RTにおけるリプレイと区別するため、通常時リプレイという)が入賞となる役として定められており、通常の遊技状態における内部抽選で抽選の対象とされる。続きを表示(全18行)【0123】通常の遊技状態においてレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選し、当該ゲームで入賞しないと、その当選フラグが持ち越され、次のゲームから遊技状態がRT(Replay Time)に移行する。すなわち、レギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグ、レギュラーボーナス(2)当選フラグは、RT中フラグも兼ねるものとなる。RTでは、小役であるベル及びチェリー、再遊技役であるリプレイ(通常時リプレイと区別するため、RT時リプレイという)が入賞となる役として定められており、RTにおける内部抽選で抽選の対象とされる。なお、通常時リプレイと、RT時リプレイは、後述する判定値数の格納領域が異なるので当選確率が異なるものとなるが、他の点については共通している。・・・【0125】ビッグボーナス(1)は、通常の遊技状態またはRTにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「赤7-白7-白7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(2)は、通常の遊技状態またはRTにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「赤7-青7-青7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)入賞すると、それぞれ遊技状態がビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)(これらを纏めてビッグボーナスという)に移行する。ビッグボーナスにおいては、小役ゲームと称されるゲームを行うことができる。【0126】遊技状態がビッグボーナスにある間は、ビッグボーナス中フラグがRAM112に設定される。ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞すると、次のビッグボーナスの1ゲーム目で表示結果が導出されるまで、ビッグボーナス入賞フラグもRAM112に設定される。次のゲームが開始すると、ビッグボーナス入賞フラグが消去されて、ビッグボーナス開始フラグがRAM112に設定される。このビッグボーナス開始フラグに基づいて、ビッグボーナスの1ゲーム目の結果が導出された後には、ウェイトがかけられる。ウェイトの完了後ビッグボーナス開始フラグが消去される。【0127】JACINは、ビッグボーナス中の小役ゲームにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「ベル-チェリー-チェリー」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、小役ゲーム以外の遊技状態では、この組み合わせが揃ったとしてもJACIN入賞とならない。JACIN入賞すると、ビッグボーナスの中で前述したレギュラーボーナスが提供されることとなり、ビッグボーナス中フラグに併せてレギュラーボーナス中フラグもRAM112に設定される。【0128】ビッグボーナス(1)とビッグボーナス(2)とでは、遊技性としては同一であるが、それぞれの間において遊技者が獲得できるメダルの枚数の上限に違いがある。より詳しく説明すると、ビッグボーナス(1)における獲得メダル枚数の上限は180枚であり、払い出し総数が入賞時の最大払い出し枚数である15枚を減算した165枚を越えたときにビッグボーナス(1)が終了する。ビッグボーナス(2)における獲得メダル枚数の上限は360枚であり、払い出し総数が入賞時の最大払い出し枚数である15枚を減算した345枚を越えたときにビッグボーナス(2)が終了する。ビッグボーナス中のレギュラーボーナスで165枚、345枚に達したときは、ビッグボーナスとともに当該レギュラーボーナスも終了する。・・・【0130】リプレイは、通常の遊技状態またはRTにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「赤7-JAC-チェリー」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、レギュラーボーナスやビッグボーナス(小役ゲーム及びレギュラーボーナス)では、この組み合わせが揃ったとしてもリプレイ入賞とならない。・・・」
(オ)「【0149】例えば、図7(a)に示すように、通常の遊技状態では、内部抽選の対象役となる役は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ベル、チェリー、リプレイであり、設定値6においては、それぞれの判定値数は、31、30、30、3562、269、2245となる。・・・【0151】これらの判定値数に基づいて算出される各役のおおよその当選確率は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ベル、チェリー、リプレイのそれぞれについて、1/528.5、1/546.1、1/546.1、1/4.6、1/60.9、1/7.3となる。なお、0~10216が内部抽選用の乱数として取得されたときには、全ての役にハズレとなる。【0152】また、図7(b)に示すように、小役ゲームでは、JACIN、ベル、チェリーが内部抽選の対象役となり、それぞれの判定値数が4311、3562、269であるので、12073~16383、8511~12072、8242~8510が内部抽選用の乱数として取得されたときに、当選と判定される。また、それぞれの役のおおよその当選確率は、1/3.8、1/4.6、1/60.9となる。なお、0~8241が内部抽選用の乱数として取得されたときには、全ての役にハズレとなる。」
(カ)「【0244】次に、上記したステップS6の入賞判定処理について詳しく説明する。図16は、CPU111がステップS6で実行する入賞判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、何れかの有効ライン上にビッグボーナス(1)の表示態様(赤7-白7-白7)が導出されたかどうかを判定する(ステップS601)。ビッグボーナス(1)の表示態様が導出されていれば、RAM112にビッグボーナス中フラグ及びビッグボーナス出力禁止フラグを設定するとともに、RAM112に設定されているビッグボーナス当選フラグを消去する。また、ビッグボーナス終了数を165に設定してRAM112の所定の領域に保存する。さらに、HITランプ54を点灯する(ステップS602)。そして、ステップS617の処理に進む。【0245】ビッグボーナス(1)の表示態様が導出されていない場合には、何れかの有効ライン上にビッグボーナス(2)の表示態様(赤7-青7-青7)が導出されたかどうかを判定する(ステップS603)。ビッグボーナス(2)の表示態様が導出されていれば、RAM112にビッグボーナス中フラグ及びビッグボーナス出力禁止フラグを設定するとともに、RAM112に設定されているビッグボーナス当選フラグを消去する。また、ビッグボーナス終了数を345に設定してRAM112の所定の領域に保存する。さらに、HITランプ54を点灯する(ステップS604)。そして、ステップS617の処理に進む。」
(キ)「【0255】次に、RAM112にレギュラーボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供されたものを含む)になっているかどうかを判定する(ステップS702)。現在の遊技状態がレギュラーボーナスとなっていなければ、ステップS706の処理に進む。現在の遊技状態がレギュラーボーナスとなっていれば、RAM112のカウンタを用いて、当該レギュラーボーナスにおけるゲーム数と入賞数とをカウントする(ステップS703)。【0256】そのカウントの結果として、レギュラーボーナスの終了条件となったかどうかを判定する(ステップS704)。レギュラーボーナスの終了条件となっていれば、RAM112のレギュラーボーナス中フラグを消去する。また、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化する(ステップS705)。そして、ステップS706の処理に進む。レギュラーボーナスの終了条件となっていない場合も、ステップS706の処理に進む。【0257】ステップS706では、RAM112にビッグボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がビッグボーナスとなっているかどうかを判定する。現在の遊技状態がビッグボーナスとなっていれば、RAM112のカウンタを用いて、当該ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントする(ステップS707)。ここでカウントした払出メダル枚数がRAM112に設定されたビッグボーナス終了数を越えて、ビッグの終了条件が成立したかどうかを判定する(ステップS708)。【0258】ビッグボーナスの終了条件が成立していれば、RAM112のビッグボーナス中フラグを消去する。レギュラーボーナス中フラグが設定されていれば、これも消去する。また、ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするためのカウンタの値を初期化するビッグボーナス中のレギュラーボーナスであった場合もあるので、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化する(ステップS709)。【0259】さらに、ビッグボーナス中フラグ及びレギュラーボーナス中フラグの設定状況に基づいて現在の遊技状態(次のゲームで適用される遊技状態であって、ここでは通常の遊技状態となる)を示す状態コマンドを生成して、演出制御基板102に送信する(ステップS710)。さらに、HITランプ54を消灯させる(ステップS711)。ここで、CPU111の内部タイマを用いてウェイト時間の計時を開始する(ステップS712)。」
(ク)図7
「【図7】[図:0001385167000001.jpg]」
(ケ)図16
「【図16】[図:0001385167000002.jpg]」
(コ)図17
「【図17】[図:0001385167000003.jpg]」
イ 甲第1号証に記載された発明
上記アから、甲第1号証には、スロットマシンに関し、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている(記号a~nは、本件発明の分説A~Pに対応させて付与した。なお、記号e3、e4、o、pは用いていない。)。
甲1発明
「a それぞれリールモータ3ML、3MC、3MRの駆動によって回転/停止させられ、その外周部には、それぞれ「赤7」、「白7」、「青7」、「JAC」、「ベル」、「チェリー」、「スイカ」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で描かれている3つのリール3L、3C、3Rから構成される可変表示装置2が設けられ(【0084】、【0085】)、b 1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置2に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシン1において(【0010】、【0103】)、c スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御するメイン側の制御基板であり、CPU111、RAM112、ROM113及びI/Oポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部110を搭載している遊技制御基板101と(【0103】)、d、j 遊技制御基板101に接続され、CPU111が遊技の進行状況に従って動作を制御しているHITランプ54と、を備え(【0110】)、続きを表示(全17行)e、e1、e2、f’ 遊技制御基板101に搭載されたCPU111は、計時機能、タイマ割り込みなどの割り込み機能(割り込み禁止機能を含む)を備え、遊技制御基板101に搭載されたROM113に記憶されたプログラムを実行して遊技の進行に関する処理を行い、ROM113に予め格納され、内部抽選において当選と判定される役を判断するために用いられる遊技状態別当選役テーブルには、役としては、特別役としてレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、JACINが、小役としてベル、チェリーが、再遊技役としてリプレイが定められ(【0103】、【0104】、【0121】)、通常の遊技状態では、特別役であるレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)及びビッグボーナス(2)、小役であるベル及びチェリー、再遊技役であるリプレイ(RTにおけるリプレイと区別するため、通常時リプレイという)が入賞となる役として定められており、通常の遊技状態における内部抽選で抽選の対象とされる一方(【0122】)、通常の遊技状態においてレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選し、当該ゲームで入賞しないと、その当選フラグが持ち越され、次のゲームから遊技状態がRT(Replay Time)に移行して、RTでは、小役であるベル及びチェリー、再遊技役であるリプレイ(通常時リプレイと区別するため、RT時リプレイという)が入賞となる役として定められており、RTにおける内部抽選で抽選の対象とされ、通常時リプレイと、RT時リプレイは、当選確率が異なるものとなっていて(【0123】)、ビッグボーナス(1)は、通常の遊技状態またはRTにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「赤7-白7-白7」の組み合わせが揃ったときに入賞となり、ビッグボーナス(2)は、通常の遊技状態またはRTにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「赤7-青7-青7」の組み合わせが揃ったときに入賞となるものであって、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞すると、それぞれ遊技状態がビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)(以下、これらを纏めて「ビッグボーナス」ということがある。)に移行し、遊技状態がビッグボーナスにある間は、ビッグボーナス中フラグがRAM112に設定され(【0125】、【0126】)、g ’ ビッグボーナスは、小役ゲーム及びレギュラーボーナスからなり(【0130】)、JACINは、ビッグボーナス中の小役ゲームにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「ベル-チェリー-チェリー」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、小役ゲーム以外の遊技状態では、この組み合わせが揃ったとしてもJACIN入賞とならず、JACIN入賞すると、ビッグボーナスの中でレギュラーボーナスが提供され(【0127】)、通常の遊技状態では、レギュラーボーナスのおおよその当選確率は、1/528.5となり(【0149】、【0151】)、小役ゲームでは、JACINのおおよその当選確率は、1/3.8となり(【0152】)、l、m CPU111が実行する入賞判定処理では、まず、何れかの有効ライン上にビッグボーナス(1)の表示態様(赤7-白7-白7)が導出されたかどうかを判定し(ステップS601)、ビッグボーナス(1)の表示態様が導出されていれば、RAM112にビッグボーナス中フラグ及びビッグボーナス出力禁止フラグを設定するとともに、RAM112に設定されているビッグボーナス当選フラグを消去し、また、ビッグボーナス終了数を165に設定してRAM112の所定の領域に保存して、さらに、HITランプ54を点灯し(ステップS602)、ビッグボーナス(1)の表示態様が導出されていない場合には、何れかの有効ライン上にビッグボーナス(2)の表示態様(赤7-青7-青7)が導出されたかどうかを判定し(ステップS603)、ビッグボーナス(2)の表示態様が導出されていれば、RAM112にビッグボーナス中フラグ及びビッグボーナス出力禁止フラグを設定するとともに、RAM112に設定されているビッグボーナス当選フラグを消去し、また、ビッグボーナス終了数を345に設定してRAM112の所定の領域に保存して、さらに、HITランプ54を点灯し(ステップS604)(【0244】、【0245】、図16)、h’、i’、k’、n’RAM112にレギュラーボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供されたものを含む)になっているかどうかを判定し(ステップS702)、現在の遊技状態がレギュラーボーナスとなっていれば、RAM112のカウンタを用いて、当該レギュラーボーナスにおけるゲーム数と入賞数とをカウントし(ステップS703)(【0255】、図17)、そのカウントの結果として、レギュラーボーナスの終了条件となったかどうかを判定し(ステップS704)、レギュラーボーナスの終了条件となっていれば、RAM112のレギュラーボーナス中フラグを消去し、また、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化し(ステップS705)(【0256】、図17)、RAM112にビッグボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がビッグボーナスとなっているかどうかを判定し(ステップS706)、現在の遊技状態がビッグボーナスとなっていれば、RAM112のカウンタを用いて、当該ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントし(ステップS707)、ここでカウントした払出メダル枚数がRAM112に設定されたビッグボーナス終了数を越えて、ビッグの終了条件が成立したかどうかを判定し(ステップS708)(【0257】、図17)、ビッグボーナスの終了条件が成立していれば、RAM112のビッグボーナス中フラグを消去し、ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするためのカウンタの値を初期化し、ビッグボーナス中のレギュラーボーナスであった場合もあるので、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化して(ステップS709)(【0258】、図17)、さらに、次のゲームで適用される遊技状態であって、ここでは通常の遊技状態となることを示す状態コマンドを生成して、演出制御基板102に送信し(ステップS710)、さらに、HITランプ54を消灯させる(ステップS711)、スロットマシン1(【0103】、【0259】、図17)。」
(2)本件発明と甲1発明との対比
分説に従い、本件発明と甲1発明とを対比する。
ア 構成A、Bについて
甲1発明の構成a、構成bは、本件発明の構成A、構成Bに相当することは明らかである。
イ 構成Cについて
甲1発明の「スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御する」ことは、本件発明の「遊技の制御を行う」ことに相当し、甲1発明の「遊技制御基板101」は、本件発明の「遊技制御手段」に相当する。
よって、甲1発明の構成cは、本件発明の構成Cに相当する。
ウ 構成D、Jについて
甲1発明の構成d、jの「遊技制御基板101」の「CPU111が遊技の進行状況に従って動作を制御している」ことは、本件発明の「遊技制御手段に制御される」ことに相当し、甲1発明の構成d、jの「HITランプ54」は、本件発明の構成D、Jの「特定ランプ」に相当する。
また、甲1発明の「HITランプ54」は、「遊技制御基板101に接続され」ていることを考慮すると、「スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御する」「遊技制御基板101」が、本件発明の構成Jの「特定ランプを制御する特定ランプ制御手段」に相当する機能を具備することも明らかである。
よって、甲1発明の構成d、jは、本件発明の構成D、Jに相当する。
エ 構成E~E2について
(ア)甲1発明の構成e、e1、e2、f’の「CPU111」及び「ROM113」が「搭載された」「遊技制御基板101」は、本件発明の構成Eの「遊技制御手段」に相当し、甲1発明の構成e、e1、e2、f’において、「ROM113に予め格納され、内部抽選において当選と判定される役を判断するために用いられる遊技状態別当選役テーブル」を用いて、「ROM113に記憶されたプログラムを実行して遊技の進行に関する処理を行」う「遊技制御基板101」は、本件発明の構成E1の「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段」に相当する機能を具備する。
(イ)また、甲1発明の構成e、e1、e2、f’において「内部抽選において当選と判定される役を判断するために用いられる遊技状態別当選役テーブル」では、「通常の遊技状態における内部抽選で抽選の対象とされる」「通常時リプレイ」と、「RTにおける内部抽選で抽選の対象とされ」る「RT時リプレイ」とは、「当選確率が異なるものとなってい」るから、甲1発明の構成e、e1、e2、f’における「通常の遊技状態」と「RT」は、本件発明の構成E2の「前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態」に相当する。
そして、甲1発明の「スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御する」「遊技制御基板101」が、遊技状態の制御を行うことは明らかであるから、甲1発明の構成e、e1、e2、f’において、「通常の遊技状態においてレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選し、当該ゲームで入賞しないと、その当選フラグが持ち越され、次のゲームから遊技状態がRT(Replay Time)に移行」することは、「通常の遊技状態」から「RT」へ移行させる制御を行う「遊技制御基板101」が、本件発明の構成E2の「複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段」に相当する機能を具備するということができる。
(ウ)上記(ア)、(イ)より、甲1発明の構成e、e1、e2、f’は、本件発明の構成E、E1及びE2に相当する構成を備えている。
オ 構成F’について
(ア)甲1発明の構成e、e1、e2、f’において、「ビッグボーナス中フラグがRAM112に設定され」ている「遊技状態がビッグボーナスにある間」、すなわち、「遊技状態がビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)」にある間は、本件発明の構成F’の「有利区間」に相当するとともに、スロットマシンにおける技術常識を考慮すると、甲1発明の「ROM113に記憶されたプログラムを実行して遊技の進行に関する処理を行」う「遊技制御基板101」が、本件発明の構成F’の「通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
(イ)また、甲1発明の構成e、e1、e2、f’において、「遊技状態がビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)(以下、これらを纏めて「ビッグボーナス」ということがある。)」(本件発明の「有利区間」に相当。)に移行するのは、通常の遊技状態またはRTにおいて有効ライン(8本)のいずれかに、「特別役である」「ビッグボーナス(1)」を示す「「赤7-白7-白7」の組み合わせ」、又は、「特別役である」「ビッグボーナス(2)」を示す「「赤7-青7-青7」の組み合わせが揃っ」って「入賞」したときである。
そして、甲1発明の構成e、e1、e2、f’において、「特別役として」「定められた」「ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)」は、「内部抽選において当選と判定される役を判断する」ことにより決定されることが明らかであるから、上記エ(ア)の検討を踏まえると、本件発明の構成E1の「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段」に相当する機能を具備する甲1発明の「遊技制御基板101」は、本件発明の構成F’である「前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
(ウ)上記(ア)、(イ)より、甲1発明の構成e、e1、e2、f’は、本件発明の構成F’に相当する構成を備えている。
カ 構成G’について
上記オ(イ)より、甲1発明の「ビッグボーナス」が、本件発明の「有利区間」に相当することを踏まえると、甲1発明の「レギュラーボーナス」は、本件発明の「有利状態」に相当する。また、甲1発明におけるレギュラーボーナスのおおよその当選確率について、「通常の遊技状態では」「1/528.5」である一方、「ビッグボーナス」中の「小役ゲームにおいて」「入賞すると、ビッグボーナスの中でレギュラーボーナスが提供され」る「JACIN」は「1/3.8」であって、レギュラーボーナスの当選確率は、「通常の遊技状態」より「ビッグボーナス」中の「小役ゲーム」の方が有利である。してみれば、甲1発明の「ビックボーナス」中の「小役ゲーム」は、本件発明の「前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態」に相当する。
また、スロットマシンにおける技術常識を考慮すると、甲1発明の「ROM113に記憶されたプログラムを実行して遊技の進行に関する処理を行」う「遊技制御基板101」が、本件発明の構成G’の「状態制御手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
よって、甲1発明の構成g’は、本件発明の構成G’に相当する。
キ 構成H’について
上記オ(イ)より、甲1発明の「ビッグボーナス」が、本件発明の「有利区間」に相当し、上記カより、甲1発明の「レギュラーボーナス」が、本件発明の「有利状態」に相当することを踏まえ、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’において、「現在の遊技状態がレギュラーボーナスとなっていれば、RAM112のカウンタを用いて、当該レギュラーボーナスにおけるゲーム数と入賞数とをカウント」することは、本件発明の「前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する」ことに相当し、また、スロットマシンにおける技術常識を考慮すると、甲1発明の「ROM113に記憶されたプログラムを実行して遊技の進行に関する処理を行」う「遊技制御基板101」が、本件発明の構成H’の「有利状態情報更新手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
してみれば、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’は、本件発明の構成H’に相当する構成を備えている。
ク 構成I’について
甲1発明の構成h’、i’、k’、n’の「ビッグボーナスの終了条件が成立していれば、RAM112のビッグボーナス中フラグを消去」するというステップS709における動作の一部は、本件発明の構成I’の「前記有利区間を終了させ」ることに相当し、甲1発明のステップS709における動作の一部である「次のゲームで適用される遊技状態であって、ここでは通常の遊技状態となることを示す状態コマンドを生成して、演出制御基板102に送信」することは、本件発明の構成I’の「通常区間に制御する」ことに相当する。
また、スロットマシンにおける技術常識を考慮すると、甲1発明の「ROM113に記憶されたプログラムを実行して遊技の進行に関する処理を行」う「遊技制御基板101」が、本件発明の構成I’の「有利区間終了手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
してみれば、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’と本件発明の構成I’とは、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段を備える点で共通する。
ケ 構成K’について
上記オ(イ)より、甲1発明の「ビッグボーナス」が、本件発明の「有利区間」に相当し、上記カより、甲1発明の「レギュラーボーナス」が、本件発明の「有利状態」に相当し、上記キより、甲1発明の「当該レギュラーボーナスにおけるゲーム数と入賞数」が、本件発明の「有利状態に関わる情報」に相当することに加え、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’の「当該ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントし」、「ここでカウントした払出メダル枚数」は、本件発明の構成K’の「有利区間に関するデータ」に相当する。
さらに、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’のステップS709において、「ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするためのカウンタの値を初期化」すること、及び、「ビッグボーナス中のレギュラーボーナスであった場合もあるので、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化」することは、上記のとおり、ステップS709が、「ビッグボーナスの終了条件が成立してい」ることを前提として実行される動作であるので、本件発明の構成K’の「前記有利区間を終了させるときに」「前記有利状態に関わる情報」を「初期化する」ことに相当する。
また、スロットマシンの技術常識を考慮すると、甲1発明の「スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御する」「遊技制御基板101」が、本件発明の構成K’の「初期化手段」に相当する機能を具備することも明らかである。
よって、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’と本件特許発明の構成K’とは、「前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報」「を含む前記有利区間に関するデータを」「初期化する初期化手段と、を含」んでいるという点で共通する。
コ 構成L、Mについて
上記ウで検討したとおり、甲1発明の「遊技制御基板101」が、本件発明の「特定ランプ制御手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
ここで、上記オ(ア)で検討したとおり、甲1発明において、「ビッグボーナス中フラグがRAM112に設定され」ている「遊技状態がビッグボーナスにある間」、すなわち、「遊技状態がビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)」にある間は、本件発明の「有利区間」に相当するから、甲1発明の構成l、mで、「CPU111が実行する入賞判定処理」において、「何れかの有効ライン上にビッグボーナス(1)の表示態様(赤7-白7-白7)」又は「ビッグボーナス(2)の表示態様(赤7-青7-青7)が導出され」ていると判定され、「RAM112にビッグボーナス中フラグ」「を設定する」ことにより、「遊技状態がビッグボーナス」(本件発明の「有利区間」に相当。)となる。そして、甲1発明の構成l、mが、「さらに、HITランプ54を点灯」することは、本件発明の構成Mの「前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ」ることに相当する。
よって、甲1発明の構成l、mは、本件発明の構成L、Mに相当する。
サ 構成N’について
上記クで検討したとおり、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’の「ビッグボーナスの終了条件が成立していれば、RAM112のビッグボーナス中フラグを消去」するという動作が、本件発明の「前記有利区間を終了させ」ることに相当する。
また、上記ケにおいて、甲1発明の「ビッグボーナス」が、本件発明の「有利区間」に相当し、甲1発明の「レギュラーボーナス」が、本件発明の「有利状態」に相当し、甲1発明の「当該レギュラーボーナスにおけるゲーム数と入賞数」が、本件発明の「有利状態に関わる情報」に相当することに加え、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’の「当該ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントし」、「ここでカウントした払出メダル枚数」が、本件発明の「有利区間に関するデータ」に相当し、さらに、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’のステップS709において、「ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするためのカウンタの値を初期化」すること、及び、「ビッグボーナス中のレギュラーボーナスであった場合もあるので、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化」することが、本件発明の「前記有利区間を終了させるときに」「前記有利状態に関わる情報」を「初期化する」ことに相当することは検討済みである。
そして、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’においては、「ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするためのカウンタの値を初期化」し、「ビッグボーナス中のレギュラーボーナスであった場合もあるので、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化」するという動作を行うステップS709の後に、「さらに、HITランプ54を消灯させる」というステップS711の制御が実行される。
ここで、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’の「HITランプ54を消灯させる」ことは、本件発明の構成N’の「特定ランプを消灯する」ことに相当し、また、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’の「スロットマシン1」は、いうまでもなく、本件発明の構成N’の「スロットマシン」に相当する。
そうすると、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’において、「ビッグボーナスの終了条件が成立していれば、RAM112のビッグボーナス中フラグを消去」し、「ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするためのカウンタの値を初期化」し、「ビッグボーナス中のレギュラーボーナスであった場合もあるので、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化」して(ステップS709)、「さらに、HITランプ54を消灯させる」(ステップS711)ことと、本件発明の構成N’とは、「前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報を」「含む前記有利区間に関するデータが」「初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン」という点で共通する。
シ 上記ア~サより、本件発明と甲1発明とは、
【一致点】
(なお、相違点を含む分説については、分説を表す記号の下に、I’等のように下線を付した。)
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、C 遊技の制御を行う遊技制御手段と、D 前記遊技制御手段に制御される特定ランプと、を備え、続きを表示(全14行)E 前記遊技制御手段は、F’ 前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、G’ 前記有利区間において有利状態と前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に制御可能な状態制御手段と、H’ 前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、I’ 前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、J 前記特定ランプを制御する特定ランプ制御手段と、K’ 前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータを初期化する初期化手段と、を含み、L 前記特定ランプ制御手段は、M 前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ、N’ 前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
【相違点】
・相違点1(構成E3、K’、N’)
特定状態に関わる情報について、本件発明は、遊技制御手段が「前記有利区間のうち前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段」を含むとともに(構成E3)、有利区間を終了させるときに、特定ランプを消灯する前に、「特定状態に関わる情報」を含んだ「全て」の有利区間に関するデータを初期化する(構成K’、N’)のに対し、甲1発明は、小役ゲームという遊技状態において、当該遊技状態に関わる情報を更新及び初期化しているかどうか不明である点。
・相違点2(構成E4、I’、P)
有利区間に移行してからのゲーム数について、本件発明は、遊技制御手段が、「前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段」を含むとともに(構成E4)、「前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで」有利区間を終了させ(構成I’)、かつ、「前記有利区間終了手段は、前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行」う(構成P)のに対し、甲1発明は、遊技状態がビッグボーナスとなっていれば、当該ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするものの、ゲーム数をカウントし、カウントされたゲーム数を基にビッグボーナスを終了させるものではない点。
・相違点3(構成O)
本件発明は、「前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であ」るのに対し、甲1発明においては、ビッグボーナス移行の特別役として定められたビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)は、通常の遊技状態では内部抽選の対象であるものの、遊技状態がRTでは内部抽選の対象となっていない点。
(3)当合議体の判断
ア 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)について
本件発明と甲1発明とは、上記「(2)シ【相違点】」で挙げた相違点1~3で相違するので、本件発明は甲1発明ではなく、新規性を有している。
イ 甲第1号証に基づく取消理由(2)(進歩性)について
本件発明と甲1発明とは、上記「(2)シ【相違点】」で挙げた相違点1~3で相違し、かつ、上記相違点1~3に係る本件発明の構成が周知でも設計変更等でもなく、当該構成のようにする動機もないので、本件発明は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
1-2 甲第3号証及び甲第1号証に基づく取消理由(2)(進歩性)について
(1)甲第3号証の記載事項
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本件特許の遡及日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、上記取消理由通知で引用された甲第3号証(特許第6064189号公報、発明の名称:スロットマシン)には、次の事項が記載されている。
ア 記載事項
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、スロットマシンに関する。・・・【発明が解決しようとする課題】・・・【0008】そこで、本発明は、セット序盤でのセット継続に対する期待感の大きさを遊技者の心理状況に応じたものとすることが出来る、セット数管理型のスロットマシンを提供することである。」
(イ)「【発明を実施するための形態】【0014】以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。【0015】続きを表示(全13行)図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシン1の斜視図である。【0016】スロットマシン1は、前面が開放された箱型の本体2と、本体2の前面を開閉可能に設けられた前扉3とを備えている。【0017】本体2内には、上下方向の中央部より少し上方の位置に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが左右に並べて配置されている。左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rは、ドラム状のリール枠の周面にリール帯を巻着した構成を有しており、リール枠の中心で左右方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられている。リール帯には、21個の図柄が周方向に並べて配列されている。【0018】前扉3には、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rと対向する位置に、表示パネルユニット5が配置されている。【0019】表示パネルユニット5には、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの周面の一部を視認可能にするためのリール窓6が形成されている。左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転中は、リール窓6内に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの図柄が次々に現れる(図柄の変動表示)。左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが停止すると、リール窓6内に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rのそれぞれ3個の図柄、合計9個の図柄が表示される(図柄の停止表示)。」
(ウ)「【0030】左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rのすべてが停止した時点で、有効化されている入賞ライン(以下、「有効ライン」という。)上に所定の図柄の組合せが並ぶと、その図柄の組合せに応じた処理が行われる。以上で1ゲームが終了となり、すべてのベット数表示LED9が消灯され、メダル受付可否表示LED12が点灯される。【0031】たとえば、有効ライン上に小役に係る図柄の組合せが並ぶと、所定の配当数のメダルが配当として付与され、その配当数が配当数表示器8に表示される。配当は、スロットマシン1に50枚を上限としてクレジットされ、50枚を超える分については、メダル排出口22からメダルトレイ23に排出される。配当がクレジットされると、クレジット数が配当数だけ増え、クレジット数表示器CRの表示が更新される。」
(エ)「【0035】図3は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。【0036】スロットマシン1は、ゲームの中枢的な制御を実行する主制御装置31と、ゲームに付随する演出のための制御を実行する副制御装置32と、液晶表示装置24を制御する液晶制御装置33とを備えている。続きを表示(全13行)【0037】主制御装置31には、CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45が備えられている。CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45は、バスにより、データを通信可能に接続されている。また、主制御装置31には、CPU41にクロックパルスを与えるクロック発生回路46と、乱数を生成する乱数生成回路47とが備えられている。【0038】CPU41は、ROM42に格納されているプログラムを実行し、入出力ポート44から入力される信号に基づいて、入出力ポート44に接続されている各制御対象を制御する。【0039】RAM43は、CPU41によるプログラムの実行時のワークエリアとして使用される。・・・【0041】入出力ポート(出力ポート)44には、クレジット数表示器CR/指示モニタNM、有利状態ランプYL、配当数表示器8、ベット数表示LED9、リプレイ表示LED10、スタート可否表示LED11およびメダル受付可否表示LED12が制御対象として接続されている。・・・」
(オ)「【0044】また、スタートレバー19が操作されると、CPU41は、内部抽選を実行する。具体的には、CPU41は、スタートレバー19が操作されたタイミングで、乱数生成回路47から乱数を取得する。そして、CPU41は、ROM42に格納されている抽選テーブルを参照する。抽選テーブルでは、乱数生成回路47が生成する乱数の範囲(たとえば、0~65535)が複数の抽選区分に分けられ、抽選区分の個々に1以上の役が対応づけられている。CPU41は、乱数生成回路47から取得した乱数が属する抽選区分に対応づけられた役を当選役として決定する。また、CPU41は、乱数生成回路47から取得した乱数がどの抽選区分にも属さない場合には、内部抽選の結果を不当選(純ハズレ)と決定する。【0045】その後、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転速度が一定になると、CPU41は、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rを有効化する。そして、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されると、CPU41は、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されたタイミングと内部抽選の結果とに基づいて、左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの停止を制御する。このとき、左ストップボタン20Lが押操作されたタイミングでの左リール4Lの回転位置を基準として、所定コマ数分の図柄が移動する引込範囲内で左リール4Lの回転が停止される(引込制御)。中リール4Cおよび右リール4Rについても同様である。・・・」
(カ)「【0057】以下、スロットマシン1のゲーム性について詳細に説明する。<1.遊技状態について>スロットマシン1は、遊技状態として、通常の遊技状態である通常状態と、通常状態と比較して遊技者にとって有利な状態である有利状態とを備える。具体的に、有利状態には、内部抽選処理により、後述する押し順小役に当選した場合に、配当が最大の小役の入賞に必要なストップボタン20L、20C、20Rの操作順(以下、正解押し順という)を遊技者に報知するAT(Assist Time)状態と、該AT状態への移行確率が通常状態に比較して高くなる高確状態とを含む。【0058】スロットマシン1は、通常状態において所定の開始条件が成立した場合に遊技状態を有利状態に移行させるとともに、有利状態において所定の終了条件が成立した場合に遊技状態を通常状態に移行させる。このように、スロットマシン1は、通常状態と有利状態との間で遊技状態を切り替えながら遊技を進行させる。」
(キ)「【0064】<3.通常状態>図5は、通常状態中のゲーム処理の流れを示している。先ず、ステップS501にて内部抽選処理を実行し、次のステップS502にて、内部抽選処理の結果に応じて、有利状態移行抽選処理(低確)を実行する。続きを表示(全15行)図6(a)は、有利状態移行抽選処理(低確)の具体的な抽選内容を示している。通常状態中の内部抽選処理の結果、リプレイ役及び押し順小役1~6に当選したゲームでは、有利状態移行抽選処理(低確)は実行せず、スキップする。【0065】通常状態中に小役1~2に当選したゲームでは、高確状態へ移行させるか否かのみを判定する。高確状態へ移行させると判定する確率は、小役1に当選したゲームでは2%、小役1に当選したゲームでは3%に設定している。【0066】通常状態中にレア小役1~4に当選したゲームでは、AT状態へ移行させるか否か、及び高確状態へ移行させるか否かの双方を判定する。先ず、AT状態へ移行させるか否かを判定する。AT状態へ移行させると判定する確率は、レア小役1に当選したゲームでは1%、レア小役2に当選したゲームでは10%、レア小役3に当選したゲームでは50%、レア小役4に当選したゲームでは100%に設定している。・・・【0068】図5に戻り、次のステップS503では、有利状態移行抽選処理(低確)の結果、当選したか否かを判定する。具体的には、有利状態移行抽選処理(低確)の結果、AT状態または高確状態に移行させると判定された場合に当選と判定する。ステップS503にてイエスと判断した場合には、ステップS504の有利状態中処理へ移行して通常状態中処理を終了する一方、ノーと判断した場合にはステップS501に戻る。」
(ク)「【0070】図7は、有利状態中のゲーム処理の流れを示している。先ず、ステップS701にて、有利状態ランプYLを点灯させるとともに、有利ゲーム数にゼロをセットする。次のステップS702では、前述の有利状態移行抽選処理(低確)の結果、AT状態に移行させると判定されたか否かを判断する。ステップS702にて、イエスと判断した場合にはステップS703にてAT中処理へ移行させる一方、ノー判断した場合にはステップS704にて高確中処理へ移行させて、リターンする。【0071】続きを表示(全12行)<4-1.AT中処理>図8は、AT中のゲーム処理の流れを示している。先ず、ステップS801にて、セット数及び特化ゾーンフラグにそれぞれ1をセット視する。次のステップS802では、セットゲーム数及びポイント数にそれぞれゼロをセットする。【0072】ここで、セット数とは、1セットあたり30ゲームとし、当該セットの残りの数を示している。セットゲーム数は現セット中に消化したゲーム数、ポイント数は現セット中に獲得したポイント数を示している。特化ゾーンフラグについては後述する。【0073】次のステップS803では内部抽選処理を実行し、これに応じて、次のステップS804にて、セットゲーム数及び有利ゲーム数にそれぞれ1を加算する。次のステップS805では、有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS821へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS806へ移行する。」
(ケ)「【0082】図8のステップS813に戻り、当該ステップではセットゲーム数が30ゲームに至ったか否かを判断し、ノーと判断した場合にはステップS803に戻ってセットを継続する。一方、ステップS813にてイエスと判断した場合、即ち当該セットの終了ゲームと判断した場合には、ステップS814にてセット数から1を減算する。・・・【0087】ステップS820では、セット数がゼロか否かを判断し、ノーと判断した場合、即ち次セットへ移行させる場合には、ステップS802に戻る。一方、ステップS820にてイエスと判断した場合、即ち当該セットでAT状態を終了させる場合、及びステップS805にてイエスと判断した場合、即ち有利状態下で消化したゲーム数が1500ゲームへ至りリミッタ機能が作動した場合には、次のステップS821にて有利状態終了処理を実行する。具体的に有利状態終了処理では、有利状態ランプYLの消灯処理、並びにの有利状態中の制御に係る各種変数が記憶されているRAM43上の領域のクリア処理を行う。そして、次のステップにて通常状態中処理へ移行させ、AT中処理を終了する。」
(コ)「【0088】<4-2.高確中処理>図9は、高確中のゲーム処理の流れを示している。先ず、ステップS901では内部抽選処理を実行し、これに応じて、次のステップS902にて、有利ゲーム数に1を加算する。・・・」
(サ)図7
「[図:0001385167000004.jpg]」
(シ)図8
「【図8】[図:0001385167000005.jpg]」
(ス)図9
「【図9】[図:0001385167000006.jpg]」
イ 認定事項
(ア)スロットマシン1のAT中処理の流れを示すフローチャートである図8より、「有利ゲーム数=1500?」(ステップS805)にて「NO」と判断した場合、ステップS806、ステップS807等のフローを経て、「セット数=0?」(ステップS820)を判断するステップに至ることが看取される。
(イ)また、【0073】には、「・・・次のステップS805では、有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断し、・・・ノーと判断した場合には、ステップS806へ移行する。」と記載され、【0087】には、「ステップS820では、セット数がゼロか否かを判断し、ノーと判断した場合、即ち次セットへ移行させる場合には、ステップS802に戻る。一方、ステップS820にてイエスと判断した場合、即ち当該セットでAT状態を終了させる場合・・・」と記載されている。
(ウ)上記(ア)、(イ)より、甲第3号証には、有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断し(ステップS805)、ノーと判断した場合、その後に、セット数がゼロか否かを判断して(ステップS820)、AT状態を終了させるかどうかを判断することが記載されていると認められる。
ウ 甲第3号証に記載された発明
上記ア、イより、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されている(記号a~pは、本件発明の分説A~Pに対応させて付与した。なお、記号oは用いていない。)。
甲3発明
「a スロットマシン1の本体2内には、上下方向の中央部より少し上方の位置に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが左右に並べて配置され、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rは、ドラム状のリール枠の周面にリール帯を巻着した構成を有しており、リール枠の中心で左右方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられ、リール帯には、21個の図柄が周方向に並べて配列されていて、前扉3には、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rと対向する位置に、表示パネルユニット5が配置され、表示パネルユニット5には、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの周面の一部を視認可能にするためのリール窓6が形成され、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転中は、リール窓6内に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの図柄が次々に現れ(図柄の変動表示)(【0016】-【0019】)、b 左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが停止すると、リール窓6内に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rのそれぞれ3個の図柄、合計9個の図柄が表示され(図柄の停止表示)(【0019】)、 左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rのすべてが停止した時点で、有効化されている入賞ライン(以下、「有効ライン」という。)上に所定の図柄の組合せが並ぶと、その図柄の組合せに応じた処理が行われ、たとえば、有効ライン上に小役に係る図柄の組合せが並ぶと、所定の配当数のメダルが配当として付与されるスロットマシン1において(【0016】、【0030】、【0031】)、c、d、j ゲームの中枢的な制御を実行する主制御装置31を備え、続きを表示(全22行)主制御装置31には、CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45が備えられ、CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45は、バスにより、データを通信可能に接続され、RAM43は、CPU41によるプログラムの実行時のワークエリアとして使用され、CPU41は、ROM42に格納されているプログラムを実行し、入出力ポート44から入力される信号に基づいて、入出力ポート44に接続されている各制御対象を制御し、入出力ポート44には、有利状態ランプYLが制御対象として接続され(【0036】-【0039】、【0041】)、e、e1 主制御装置31が備えるCPU41は、スタートレバー19が操作されると、内部抽選を実行し、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されると、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されたタイミングと内部抽選の結果とに基づいて、左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの停止を制御して(【0037】、【0044】、【0045】)、f’、g’ 遊技状態として、通常の遊技状態である通常状態と、通常状態と比較して遊技者にとって有利な状態である有利状態とを備え、有利状態は、内部抽選処理により、押し順小役に当選した場合に、配当が最大の小役の入賞に必要なストップボタン20L、20C、20Rの操作順を遊技者に報知するAT状態と、該AT状態への移行確率が通常状態に比較して高くなる高確状態とを含み(【0057】)、通常状態中のゲーム処理では、内部抽選処理の結果に応じて、有利状態移行抽選処理(低確)を実行するものであって、通常状態中に小役1~2に当選したゲームでは、高確状態へ移行させるか否かのみを判定し、通常状態中にレア小役1~4に当選したゲームでは、AT状態へ移行させるか否か、及び高確状態へ移行させるか否かの双方を判定することによって、有利状態移行抽選処理(低確)の結果、AT状態または高確状態に移行させると判定された場合に当選と判定して、有利状態中処理へ移行して通常状態中処理を終了して(【0064】~【0068】)、h’、e3、e4、l、m通常状態において所定の開始条件が成立した場合に遊技状態を有利状態に移行させるとともに、有利状態において所定の終了条件が成立した場合に遊技状態を通常状態に移行させ(【0058】)、有利状態中のゲーム処理において、先ず、有利状態ランプYLを点灯させるとともに、有利ゲーム数にゼロをセットし(ステップS701)、次に有利状態移行抽選処理(低確)の結果、AT状態に移行させると判定されたか否かを判断し(ステップS702)、イエスと判断した場合にはAT中処理へ移行させる一方(ステップS703)、ノーと判断した場合には高確中処理へ移行させ(ステップS704)(【0070】、図7)、AT中処理では、セット数に1をセットし(ステップS801)、セットゲーム数にゼロをセットし(ステップS802)、ここで、セット数とは、1セットあたり30ゲームとし、当該セットの残りの数を示し、セットゲーム数は現セット中に消化したゲーム数を示し、内部抽選処理を実行し(ステップS803)、これに応じて、セットゲーム数及び有利ゲーム数にそれぞれ1を加算し(ステップS804)(【0071】~【0073】)、高確中処理では、内部抽選処理を実行し(ステップS901)、これに応じて有利ゲーム数に1を加算し(ステップS902)(【0088】、図9)、また、セットゲーム数が30ゲームに至ったか否かを判断し(ステップS813)、イエスと判断した場合、即ち当該セットの終了ゲームと判断した場合には、セット数から1を減算し(ステップS814)(【0082】)、i’、k’、p、n’ AT中処理では、セット数がゼロか否かを判断し(ステップS820)、イエスと判断した場合、即ち当該セットでAT状態を終了させる場合、及び、有利状態下で消化したゲーム数が1500ゲームへ至りリミッタ機能が作動した場合には、有利状態ランプYLの消灯処理、並びに有利状態中の制御に係る各種変数が記憶されているRAM43上の領域のクリア処理を行う有利状態終了処理を実行(ステップS821)して、次のステップにて通常状態中処理へ移行させ(【0071】、【0082】、【0087】、図8)、有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断し(ステップS805)、ノーと判断した場合、その後に、セット数がゼロか否かを判断して(ステップS820)、AT状態を終了させるかどうかを判断する(認定事項)、スロットマシン1(【0016】)。」
(2)本件発明と甲3発明との対比
ア 構成A、Bについて
甲3発明の構成a、構成bは、本件発明の構成A、構成Bに相当することは明らかである。
イ 構成C、D、Jについて
甲3発明の構成c、d、jの「ゲームの中枢的な制御を実行する」ことは、本件発明の構成Cの「遊技の制御を行う」ことに相当し、甲3発明の構成c、d、jの「主制御装置31」が備える「CPU41」は、本件発明の構成Cの「遊技制御手段」に相当し、甲3発明の構成c、d、jの「CPU41は、」「入出力ポート44に接続されている各制御対象を制御」することは、本件発明の構成Dの「前記遊技制御手段に制御される」ことに相当し、甲3発明の構成c、d、jの「有利状態ランプYL」は、本件発明の構成Dの「特定ランプ」に相当し、また、甲3発明の構成c、d、jの「CPU41」が、本件発明の構成Jの「特定ランプ制御手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
よって、甲3発明の構成c、d、jは、本件発明の構成C、D、Jに相当する。
ウ 構成E、E1について
上記イの検討より、甲3発明の構成e、e1の「主制御装置31が備えるCPU41」は、本件発明の構成Eの「遊技制御手段」に相当する。
また、甲3発明のe、e1において、「内部抽選を実行し、」「左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されたタイミングと内部抽選の結果とに基づいて、左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの停止を制御」する「主制御装置31が備えるCPU41」は、本件発明の構成E1の「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段」に相当する機能を具備する。
よって、甲3発明の構成e、e1は、本件発明の構成E、E1に相当する。
エ 構成F’、G’について
(ア)甲3発明の構成f’、g’の「通常の遊技状態である通常状態」は、本件発明の構成F’の「通常区間」に相当し、甲3発明の構成f’、g’の「通常状態と比較して遊技者にとって有利な状態である有利状態」は、本件発明の構成F’の「有利区間」に相当する。
(イ)甲3発明の構成f’、g’において、「有利状態」(本件発明の構成F’の「有利区間」に相当。)に含まれる「配当が最大の小役の入賞に必要なストップボタン20L、20C、20Rの操作順を遊技者に報知するAT状態」、「該AT状態への移行確率が通常状態に比較して高くなる高確状態」はそれぞれ、本件発明の構成G’の「有利状態」、「前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態」に相当する。
(ウ)そして、甲3発明の構成f’、g’における、通常状態(本件発明の「通常区間」に相当。)から有利状態(本件発明の「有利区間」に相当。)に移行するための「有利状態移行抽選処理(低確)」において、「内部抽選処理の結果に応じて、」「AT状態または高確状態」、すなわち、「有利状態」(本件発明の「有利区間」に相当。)に移行するものである。
また、甲3発明の「主制御装置31が備えるCPU41」が、本件発明の構成F’の「有利区間制御手段」及び構成G’の「状態制御手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
(エ)上記(ア)~(ウ)より、甲3発明の構成f’、g’は、本件発明の構成F’、G’に相当する。
オ 構成H’、E3、E4、L、Mについて
(ア)上記エ(ア)より、甲3発明の「有利状態」が、本件発明の「有利区間」に相当し、上記エ(イ)より、甲3発明の「AT状態」が、本件発明の「有利状態」に相当し、さらに、甲3発明の構成f’、g’より、「有利状態は、」「AT状態と、」「高確状態とを含」んでいることを踏まえると、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mの「有利状態」に含まれる「AT状態」に移行した「AT中処理」において、「現セット中に消化したゲーム数を示」す「セットゲーム数にゼロをセットし」、「内部抽選処理を実行し」たこと「に応じて、セットゲーム数」に「1を加算」すること、及び、「セットゲーム数が30ゲームに至ったか否かを判断し」、「イエスと判断した場合、即ち当該セットの終了ゲームと判断した場合には、セット数から1を減算」することは、本件発明の構成H’の「前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する」ことに相当する。
また、甲3発明の「主制御装置31が備えるCPU41」が、本件発明の構成H’の「有利状態情報更新手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
そうすると、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mは、本件発明の構成H’に相当する構成を備えている。
(イ)上記(ア)と同様、甲3発明の構成f’、g’より、「有利状態は、」「AT状態と、」「高確状態とを含」んでいることを踏まえると、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mの「有利状態」に含まれる「高確状態」に移行した「高確中処理では、内部抽選処理を実行し(ステップS901)、これに応じて有利ゲーム数に1を加算して」いることと、本件発明の構成E3とは、前記有利区間のうち前記特定状態において前記ゲーム数を更新する手段を備えているという点で共通する。
また、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mでは、「有利状態」(本件発明の「有利区間」に相当。)に移行した「有利状態中のゲーム処理において、」「有利ゲーム数にゼロをセットし」、「次に有利状態移行抽選処理(低確)の結果、AT状態に移行させると判定されたか否かを判断し」、「AT中処理では、」「内部抽選処理を実行し」たこと「に応じて、」「有利ゲーム数にそれぞれ1を加算」する一方、「高確中処理では、内部抽選処理を実行し」たこと「に応じて有利ゲーム数に1を加算して」いる。
そうすると、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mにおいて、「有利状態」では、「AT状態」に移行した「AT中処理で」も、「高確状態」に移行した「高確中処理で」も、「内部抽選処理を実行し」たこと「に応じて有利ゲーム数に1を加算」することは、本件発明の構成E4の「前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御して いるかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新する」ことに相当する。
そして、甲3発明の「主制御装置31が備えるCPU41」が、本件発明の構成E4の「ゲーム数更新手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
してみれば、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mは、本件発明の構成E4に相当する構成を備えている。
(ウ)上記イより、甲3発明の「有利状態ランプYL」が、本件発明の「特定ランプ」に相当し、また、甲3発明の「CPU41」が、本件発明の「特定ランプ制御手段」に相当することに加え、上記エ(ア)より、甲3発明の「有利状態」が、本件発明の「有利区間」に相当することを踏まえると、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mの「有利状態中のゲーム処理において、先ず、有利状態ランプYLを点灯させる」ことは、本件発明の構成Mの「前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ」ることに相当する。
よって、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mは、本件発明の構成L、Mに相当する構成を備えている。
カ 構成I’について
甲3発明の構成i’、k’、p、n’において、「有利状態終了処理」が実行される条件は、次の(ア)又は(イ)のいずれかの場合である。
(ア)「AT状態」(本件発明の「有利状態」に相当。)に移行したAT中処理では、セットゲーム数が30ゲームに至ったか否かを判断し(ステップS813)、イエスと判断した場合、即ち当該セットの終了ゲームと判断した場合には、セット数から1を減算し(ステップS814)、その後、セット数がゼロか否かを判断し(ステップS820)、イエスと判断した場合、即ち当該セットでAT状態を終了させる場合」
(イ)「有利状態」(本件発明の「有利区間」に相当。)である「有利状態下で消化したゲーム数が1500ゲームへ至りリミッタ機能が作動した場合」
ここで、上記オ(ア)の検討より、甲3発明における、「AT状態」に移行した「AT中処理」における「セットゲーム数」及び「セット数」は、本件発明の「有利状態に関わる情報」に相当するといえるから、上記(ア)の場合、すなわち、甲3発明の構成i’、k’、p、n’において、「セットゲーム数が30ゲームに至った」ことにより、「セット数から1を減算し」、「その後、セット数がゼロ」となることは、本件発明の構成I’の「前記有利状態に関わる情報」「にもとづいて終了条件が成立する」ことに相当する。
また、上記(イ)の場合、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態下で消化したゲーム数」、「1500ゲームに至」ること、はそれぞれ」、本件発明の構成I’の「有利区間へ移行してからのゲーム数」、「所定ゲーム数に到達すること」に相当する。
また、上記(ア)、(イ)それぞれの場合に共通する処理として、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態終了処理を実行」すること、「次のステップにて通常状態中処理へ移行させ」ることは、それぞれ、本件発明の構成I’の「前記有利区間を終了させ」ること、「通常区間に制御する」ことに相当し、また、甲3発明の「CPU41」が、本件発明の構成I’の「有利区間終了手段」に相当する機能を具備することも明らかである。
してみれば、甲3発明の構成i’、k’、p、n’と本件発明の構成I’とは、「前記有利状態に関わる情報」「にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段」である点で共通する。
キ 構成K’について
甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態終了処理を実行」するときは、本件発明の構成K’の「前記有利区間を終了させるとき」に相当する。
上記カより、甲3発明における、「AT状態」に移行した「AT中処理」における「セットゲーム数」及び「セット数」は、本件発明の「有利状態に関わる情報」に相当し、甲3発明の構成f’、g’より、「有利状態は、」「AT状態と、」「高確状態とを含」んでいることを踏まえると、構成i’、k’、p、n’の「有利区間に関するデータ」に、「AT状態」に移行した「AT中処理」における「セットゲーム数」及び「セット数」が含まれていることは明らかである。
また、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態終了処理」では、「有利状態中の制御に係る各種変数が記憶されているRAM43上の領域のクリア処理を行う」ことは、本件発明の構成K’の「有利区間に関するデータを全て初期化する」ことに相当する。
そして、甲3発明の「CPU41」が、本件発明の構成K’の「初期化手段」に相当する機能を具備することも明らかである。
してみれば、甲3発明の構成i’、k’、p、n’と本件発明の構成K’とは、「前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報」「を含む前記有利区間に関するデータを全て初期化する初期化手段と、を含」んでいる点で共通する。
ク 構成Pについて
甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断し(ステップS805)、ノーと判断した場合」は、本件発明の構成Pの「前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたとき」に相当する。
また、上記カより、甲3発明の構成i’、k’、p、n’において、「その後、セット数がゼロ」となることは、本件発明の構成I’の「前記有利状態に関わる情報」「にもとづいて終了条件が成立する」ことに相当することを踏まえると、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「セット数がゼロか否かを判断して(ステップS820)、AT状態を終了させるかどうかを判断」することは、本件発明の構成Pの「前記有利状態に関わる情報」「にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行」うことに相当する。
してみれば、甲3発明の構成i’、k’、p、n’と本件発明の構成Pとは、「前記有利区間終了手段は、」「前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報」「にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行」うという点で共通する。
ケ 構成N’について
上記カにおいて、甲3発明の構成i’、k’、p、n’において、「有利状態終了処理」が実行される条件について、(ア)又は(イ)に場合分けして、(ア)の場合、甲3発明の構成i’、k’、p、n’において、「セット数がゼロ」となることが、本件発明の構成I’の「前記有利状態に関わる情報」「にもとづいて終了条件が成立する」ことに相当し、(イ)の場合、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態下で消化したゲーム数」、「1500ゲームに至」ること、がそれぞれ、本件発明の構成I’の「有利区間へ移行してからのゲーム数」、「所定ゲーム数に到達すること」に相当するとともに、上記(ア)、(イ)それぞれの場合に共通する処理として、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態終了処理を実行」することが、本件発明の構成I’の「前記有利区間を終了させ」ることに相当し、また、甲3発明の「CPU41」が、本件発明の構成I’の「有利区間終了手段」に相当する機能を具備することも明らかであることは検討済みである。
そして、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態下で消化したゲーム数が1500ゲームへ至りリミッタ機能が作動した場合には、有利状態ランプYLの消灯処理、並びに有利状態中の制御に係る各種変数が記憶されているRAM43上の領域のクリア処理を行う」ことと本件発明の構成Nの「前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化されてから、前記特定ランプを消灯する」こととは、「前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報」「が初期化され、前記特定ランプを消灯する」点で共通する。
また、甲3発明の「スロットマシン1」は、本件発明の「スロットマシン」に相当する。
してみれば、甲3発明の構成i’、k’、p、n’と本件発明の構成N’とは、「前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報」「を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化され、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン」である点で共通する。
コ 上記ア~ケより、本件発明と甲3発明とは、
【一致点】
(なお、相違点を含む分説については、分説を表す記号の下に、E3等のように下線を付した。)
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、C 遊技の制御を行う遊技制御手段と、D 前記遊技制御手段に制御される特定ランプと、を備え、続きを表示(全18行)E 前記遊技制御手段は、E1 導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、F’ 前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、G’ 前記有利区間において有利状態と前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に制御可能な状態制御手段と、H’ 前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、E3 前記有利区間のうち前記特定状態において前記ゲーム数を更新する手段と、E4 前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段と、I’ 前記有利状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、J 前記特定ランプを制御する特定ランプ制御手段と、K’ 前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータを全て初期化する初期化手段と、を含み、P 前記有利区間終了手段は、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行い、L 前記特定ランプ制御手段は、M 前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ、N’ 前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化され、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
【相違点】
・相違点4(構成E2)
本件発明は、「前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段」を含むのに対し、甲3発明は、そのような構成を備えていない点。
・相違点5(構成E3、I’、K’、P)
特定状態に関わる情報について、本件発明は、「前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段」を含み(構成E3)、有利区間の終了条件の成立条件の判断が、「特定状態に関わる情報にもとづいて」いることを条件として含む(構成I’、K’、P)のに対し、甲3発明は、有利状態に含まれる高確状態に移行した高確中処理では、内部抽選処理を実行したことに応じて有利ゲーム数に1を加算しているものの、有利ゲーム数は、有利状態下で消化したゲーム数を示すものであって、高確状態におけるゲーム数を取得するものではない点。
・相違点6(構成O)
上記「・相違点4」で検討したとおり、甲3発明は、本件発明の構成E2の「抽選状態制御手段」に相当する構成を含んでいないことに付随して、本件発明は、「前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であ」るのに対し、甲3発明は、そのような構成を備えていない点。
・相違点7(構成P)
有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達したか否かの判定について、本件発明は、「前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず」判定を行うのに対し、甲3発明は、AT状態に移行したAT中処理では、有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断(ステップS805)するものの、高確状態に移行した高確中処理では、有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断していない点。
・相違点8(構成N’)
有利区間が終了するときに、初期化手段により有利状態に関わる情報が初期化される処理と、特定ランプを消灯する処理とが実行される順序について、本件発明では、「有利区間に関するデータが全て初期化されてから、前記特定ランプを消灯する」のに対し、甲3発明では、両処理の順序について規定されていない点、及び、初期化されるデータについて、本件発明では、「特定状態に関わる情報」を含むのに対し、甲3発明では、上記「・相違点5」で検討したとおり、高確状態におけるゲーム数を取得するものではない点。
(3)当合議体の判断
ア 事案に鑑み、まず相違点6(構成O)について検討する。
上記取消理由通知において副引例として引用した、本件特許の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証(特開2007-50088号公報、発明の名称:スロットマシン)に記載の事項は、「第5 当合議体の判断」「1 令和3年8月24日付け取消理由通知に記載した取消理由について」「1-1 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について」「(1)甲第1号証の記載事項」「イ 甲第1号証に記載された発明」において、甲1発明として認定したとおりである。そして、同「1-1 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について」「(2)本件発明と甲1発明との対比」「シ【相違点】」において、「・相違点3(構成O)」として示したとおり、構成Oは、本件特許との相違点であって、甲1発明は、本件特許の構成Oに相当する構成を備えていない。また、構成Oに係る本件発明の構成が周知技術であるとも認められない。
したがって、甲3発明において、上記相違点6に係る本件発明の構成のようになすことは当業者が甲第1号証に記載の事項に基づいて容易になし得たものであるとはいえない。
よって、他の相違点である上記相違点4、5、7及び8について検討するまでもなく、本件発明は、甲3発明及び甲第1号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
イ 小括
以上のとおりであるから、本件発明は、甲3発明及び甲第1号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるということはできない。
1-3 まとめ
令和3年8月24日付け取消理由通知に対応して、特許権者は、令和3年10月28日に訂正請求書及び意見書を提出し、当合議体は、令和3年11月30日付けで、通知書(訂正請求があった旨の通知)において、参考として、取消理由通知に対応する特許権者の意見書副本を送付したが、特許異議申立人からの意見書の提出はなされなかった。
そして、上記「1-1」「1-2」で検討したとおり、令和3年8月24日付け取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件発明を取り消すことはできない。
2 令和3年8月24日付け取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)上記「第4 特許異議の申立てについて」「1 特許異議の申立ての概要」において示した「●理由(2)(進歩性)について
本件特許発明は、甲第1号証~甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。」という異議申立理由について、上記取消理由通知では通知していない。なお、その余の異議申立理由は、上記「1 令和3年8月24日付け取消理由通知に記載した取消理由について」「1-1 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について」において判断済みである。
異議申立の証拠として提示され、本件特許の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証(特開2007-50088号公報、発明の名称:スロットマシン)に記載の事項は、「第5 当合議体の判断」「1 令和3年8月24日付け取消理由通知に記載した取消理由について」「1-1 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について」「(1)甲第1号証の記載事項」「イ 甲第1号証に記載された発明」において、甲1発明として認定したとおりである。
そして、本件発明と甲1発明とを対比すると、同「1-1 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について」「(2)本件発明と甲1発明との対比」「シ【一致点】」で挙げた点で一致し、同「シ【相違点】」で挙げた相違点1~3で相違する。
事案に鑑み、当該相違点3(構成O)について検討する。
異議申立の証拠として提示され、本件特許の遡及日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証(特許第6064189号公報)に記載された事項は、「第5 当合議体の判断」「1 令和3年8月24日付け取消理由通知に記載した取消理由について」「1-2 甲第3号証及び甲第1号証に基づく取消理由(2)(進歩性)について」「(1)甲第3号証の記載事項」「ウ 甲第3号証に記載された発明」において、甲3発明として認定したとおりであって、本件特許の構成Oについては、同「「1-2 甲第3号証及び甲第1号証に基づく取消理由(2)(進歩性)について」「(2)本件発明と甲3発明との対比」「コ」「・相違点3(構成O)」としたとおり、甲3発明との相違点であって、甲第3号証にはそのような構成は記載も示唆もされていない。
また、異議申立の証拠として提示され、本件特許の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証(特開2007-229370号公報)には、スロットマシンのAT抽選について、「上記ステップS36のリール停止処理が終了し、全てのリール6L,6C,6Rの回転が停止すると、CPU1001は、入賞判定処理を行う。図11に戻って、有効ライン13上にボーナス役入賞図柄の組合せが揃い、ボーナス役の入賞が成立した場合には(ステップS37:YES)、CPU1001は、入賞したボーナス役の種類に応じたボーナスゲーム処理を実行し(ステップS38)、そしてボーナス役の当選フラグをOFFとし、その後遊技状態をATゲーム状態に移行させるか否かを決定するためのAT抽選を実行する(ステップS39)。・・・」(【0104】)といった事項が記載されているものの、AT抽選の「抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに」ATゲーム状態へ移行しないことや、あるいは、「いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに」ATゲーム状態へ移行することのいずれの記載もなく、本件発明の構成Oについて、甲第2号証には記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明において、上記相違点3に係る本件発明の構成のようになすことは当業者が甲第2号証及び第3号証に記載の事項に基づいて容易になし得たものであるとはいえない。
よって、他の相違点である相違点1及び2について検討するまでもなく、本件発明は、甲1発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
(3)まとめ
以上より、特許異議申立の理由と及び証拠によっては、「●理由(1)(新規性)について」及び「●理由(2)(進歩性)について」のいずれによっても、本件特許を取り消すことはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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