2021-700277
酢酸菌含有組成物
- 審判番号
- 2021-700277
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-509563外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6755606
- 請求日
- 2021年03月16日
- 審決日
- 2022年01月14日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社Mizkan Holdings
- 【権利者代理人】特許業務法人三枝国際特許事務所
- 【異議申立人】遠藤 眞理子
- 分類
- P1651.537-YAA(A23L) / P1651.536-YAA(A23L) / P1651.113-YAA(A23L) / P1651.121-YAA(A23L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 22項目
第1 手続の経緯
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本件特許第6755606号は、令和元年10月18日に出願され、令和2年8月28日に特許権の設定登録がなされ、同年9月16日にその特許公報が発行され、その後、請求項1~16に係る特許に対して、令和3年3月16日に特許異議申立人 遠藤眞理子(以下「申立人」という。)から特許異議の申立てがなされたものである。そして、その後の経緯は以下のとおりである。
同年 9月 1日 :訂正の請求及び意見書の提出(特許権者)
同年 9月17日付け:特許法第120条の5第5項に基づく通知
第2 訂正の可否
1 訂正の内容
令和3年9月1日付け訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである。なお、訂正前の請求項1~14、15、16は、それぞれ一群の請求項である。
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:10~100:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:136~74:1であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:123~324:1である、酢酸菌含有組成物。」を
「酢酸菌含有組成物であって、ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:10~100:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:136~74:1であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:123~324:1であり、且つ酢酸菌の含有量(乾燥質量換算)が酢酸菌含有組成物の乾燥質量100質量%に対して50~100質量%である、酢酸菌含有組成物。」に訂正する。
また、請求項1の記載を引用する請求項2、請求項1及び請求項2の記載を引用する請求項3、請求項1~3の記載を引用する請求項4、請求項1~4の記載を引用する請求項5、請求項1~5の記載を引用する請求項6、請求項1~6の記載を引用する請求項7、請求項1~7の記載を引用する請求項8、請求項8の記載を引用する請求項9、請求項1~9の記載を引用する請求項10、請求項1~9の記載を引用する請求項11、請求項11の記載を引用する請求項12、請求項1~9の記載を引用する請求項13、並びに請求項1~9の記載を引用する請求項14についても同様に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項は、訂正前の請求項1において、含有される酢酸菌の含有量を、本件【0055】の「本発明の酢酸菌含有組成物中の酢酸菌の含有量(乾燥質量換算)は、特に制限されるものではないが、本発明の酢酸菌含有組成物の乾燥質量100質量%に対して、例えば50~100質量%…である。」、及び、本件【0056】の「本発明の酢酸菌含有組成物が外部から添加された上記成分(ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、2-トリデカノン)を含む場合、本発明の酢酸菌含有組成物中の酢酸菌と該添加成分との合計含有量(乾燥質量換算)は、特に制限されるものではないが、本発明の酢酸菌含有組成物の乾燥質量100質量%に対して、例えば50~100質量%…である。」との記載に基づき規定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。また、新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項ないし第6項の各規定に適合するので、本件訂正を認める。
第3 本件訂正後の請求項1~16に係る発明
本件訂正により訂正された訂正請求項1~16に係る発明(以下、「本件訂正発明1」~「本件訂正発明16」、まとめて「本件訂正発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~16に記載された以下の事項によって特定されるとおりのものである。
「【請求項1】酢酸菌含有組成物であって、ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:10~100:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:136~74:1であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:123~324:1であり、且つ酢酸菌の含有量(乾燥質量換算)が酢酸菌含有組成物の乾燥質量100質量%に対して50~100質量%である、続きを表示(全38行)酢酸菌含有組成物。【請求項2】前記ピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:1~50:1である、請求項1に記載の酢酸菌含有組成物。【請求項3】前記ピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:100~50:1である、請求項1又は2に記載の酢酸菌含有組成物。【請求項4】前記ピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:100~10:1である、請求項1~3のいずれかに記載の酢酸菌含有組成物。【請求項5】前記ピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:100~100:1である、請求項1~4のいずれかに記載の酢酸菌含有組成物。【請求項6】前記ピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:10~50:1である、請求項1~5のいずれかに記載の酢酸菌含有組成物。【請求項7】前記ピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:10~100:1であり、前記ピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:100~50:1であり、且つ前記ピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:100~100:1である、請求項1~6のいずれかに記載の酢酸菌含有組成物。【請求項8】風味及び/又は食感調整用である、請求項1~7のいずれかに記載の酢酸菌含有組成物。【請求項9】酸味、苦味、甘味、塩味、旨味、辛味、渋味、コク、香り、食感、味しみ、及び味のびからなる群より選択される少なくとも1種の調整用である、請求項8に記載の酢酸菌含有組成物。【請求項10】請求項1~9のいずれかに記載の酢酸菌含有組成物を含有する、食品添加剤。【請求項11】請求項1~9のいずれかに記載の酢酸菌含有組成物を含有する、食品。【請求項12】調味料、食用油、果汁含有飲料、野菜ジュース、炭酸飲料、清涼飲料水、穀物飲料、茶系飲料、乳飲料、コーヒー飲料、粉末飲料、酢含有飲料、酒、デザート、焼菓子、蒸菓子、冷菓、チョコレート菓子、ガム、キャンディー、グミ、クリーム、ジャム、発酵食品、加工食品、調理食品、レトルト食品、又はシリアル食品、野菜摂取用固形食品、調理用油、剤型食品(健康・栄養(補助)食品)である、請求項11に記載の食品。【請求項13】請求項1~9のいずれかに記載の酢酸菌含有組成物を食品に添加することを含む、食品の風味及び/又は食感を調整する方法。【請求項14】請求項1~9のいずれかに記載の酢酸菌含有組成物を食品に添加することを含む、風味及び/又は食感が調整された食品を製造する方法。【請求項15】スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:10~100:1となり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:136~74:1となり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:123~324:1となるように、酢酸菌とノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンからなる群より選択される少なくとも1種とを混合することを含む、酢酸菌菌体臭を抑制する方法。【請求項16】スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:10~100:1となり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:136~74:1となり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:123~324:1となるように、酢酸菌とノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンからなる群より選択される少なくとも1種とを混合することを含む、酢酸菌菌体臭が抑制された酢酸菌含有組成物を製造する方法。」
第4 取消理由の概要及びこれに対する当審の判断
1 取消理由の概要
請求項1~16に係る特許に対して、当審が令和3年6月29日付け取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の要旨は以下のとおりである。
「A (新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
B (進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
記
(以上、まとめて「引用例1」という。)
(以上、まとめて「引用例2」という。)
(以上、まとめて「引用例3」という。)
(以上、まとめて「引用例4」という。)
引用例16:株式会社環境管理センターが作成した、「Bragg オーガニック アップルサイダービネガー」、「Coconut Secret Raw Coconut Vinegar」、「心の酢(純米米酢)」、「ferment works KOMBUCHA classic」、「よいとき」に含有されるノナナール、メチルヘプテノン、2-トリデカノン、ジメチルトリスルフィドを分析した令和3年3月11日付け「試験結果報告書」(甲第16号証)
第1 本件発明
特許第6755606号の請求項1~16に係る発明(以下、「本件発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるとおりのものである。
第2 理由A、Bについて
・本件発明1~7、11、12:引用例4
…
3 対比及び判断
(1)本件発明1~7
…
したがって、本件発明1~7の各々は、引用発明1-1、2-1、3-1、4であるから、本件発明1~7の各々は引用例1~4に記載された発明である。
また、各成分の数値範囲を本件発明1~7に規定される程度に調整してみることは、当業者が容易になし得ることと認められ、本件発明1~7の各々は、引用例1~4に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものである。
(2)本件発明11、12
…
したがって、本件発明11、12の各々は引用例1~4に記載された発明であり、引用例1~4に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものである。
(3)本件発明8~10
…
したがって、本件発明8~10の各々は、引用発明1-2、2-2、3-2であるから、本件発明8~10の各々は引用例1~3に記載された発明である。
あるいは、引用発明1-2、2-2、3-2の各々を本件発明8~10の用途に使用することは、当業者が容易になし得ることと認められ、本件発明8~10の各々は、引用例1~3に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものである。
(4)本件発明13、14
…
したがって、本件発明13、14の各々は、引用発明1-3、2-3、3-3であるから、本件発明13、14の各々は引用例1~3に記載された発明である。
あるいは、引用発明1-3、2-3、3-3の各々を本件発明13、14のような調整に使用することは、当業者が容易になし得ることと認められ、本件発明13、14の各々は、引用例1~3に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものである。」
2 当審の判断
(1)各引用例の記載事項
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ア 引用例1
(ア)引用例1-1
a 「Bragg オーガニック アップルサイダービネガー 【日本正規品】 りんご酢 946ml」(題名)
b 「原料 有機りんご果汁」(「原料」の項)
c 「・深みのある芳醇な香りと濃厚な味わい。Braggオーガニックアップルサイダービネガー・豊富な酵素を含有。非加熱、無ろ過製法のリンゴ酢だけが含む“マザー”…・栄養素がたっぷり詰まっていることで知られるアップルサイダービネガー(りんご酢)。…お水と混ぜて起床時、午前、午後の3度に分けてリフレッシュドリンクとしてどうぞ!また、サラダのドレッシングなど、いろいろアレンジしてお使いいただけます。」(「この商品について」の項)
d 「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日 2018/8/5」(「登録情報」の項)
e 「マザーとは一般的にりんご酢は製造中にろ過することで残留物を取り除きます。実はこのマザーと呼ばれる残留物には酵素やミネラルが含まれています。加熱処理をしてしまうとデリケートな酵素は破壊されてしまいます。濁りや沈殿物が発生するので見栄えをよくするために取り除かれているマザーですが、Braggのアップルサイダービネガーは非加熱、無ろ過製法にこだわり、マザーがしっかりと残されています。」(「商品の説明」の項)
(イ)引用例1-2(訳文で示す。)
a 「Raw Apple Cider Vinegarには、刺激的な自然の滋養分が詰まっており、驚くべき「マザーオブビネガー」が含まれています。」(2頁3~4行)
(ウ)引用例1-3
a 「■商品名 Bragg オーガニックアップルサイダービネガー Apple Cider Vinegar…■賞味期限60ヶ月」(1頁右欄上部)
イ 引用例2(訳文で示す。)
(ア)引用例2-1
a 「ココナッツシークレット 生ココナッツビネガー」(題名)
b 「アップルサイダービネガーよりも栄養価が高い - ココナッツシークレットの生ココナッツビネガーのビタミン、ミネラル、アミノ酸含有量は、他の種類の酢よりも多い。ココナッツビネガーには、消化器系の健康を促進するプレバイオティクスも含まれている。」(「MORE NUTRITIOUS THAN APPLE CIDER VINEGAR」の項)
c 「単一原料 - ココナッツビネガーは何ら変更なしに8ヶ月から1年生のココナッツ汁から作られる。非殺菌、非加熱で酵素が生きている。また、酢を作る種菌又は生きた培養物が含まれており、酵素やタンパク質、腸に優しいバクテリアがたっぷりと含まれている。」(「ONE INGREDIENT」の項)
(イ)引用例2-3
a 「生ココナッツビネガーただ一つの原料:ココナッツ汁から作られたおいしいシンプル非加熱で酵素が生きている“マザー”オブビネガーが含まれるアップルサイダービネガーより健康的」(1頁左端の画像のうち上から3番目の画像の拡大)
(ウ)引用例2-4
a 「用途とレシピのヒント今までアップルサイダービネガーを使っていたものには全てココナッツビネガーを使ってみてください。あなたのお気に入りのマリネのドレッシングに入れて使うほか、消化を助けることでスキンケアとして、または体内のクレンジングのために使えます。飲む場合は、大さじ1~2杯の酢を8オンスの水に混ぜ、お好みで生はちみつや当社のココナッツネクターで甘くしてお召し上がりください。お召し上がり前にココナッツビネガーに水や他の液体を混ぜて薄めることをお勧めします。」(「Uses & Recipe Tips」の項)
(エ)引用例2-5
a 「ココナッツビネガーの貯蔵寿命はどれくらいですか?製品ラベルでは、ココナッツビネガーの貯蔵寿命を2年としていますが、未開封で涼しく乾燥した場所に保管すると、「販売期限」から2年以内に使用できます。」(「Product FAQs」「Coconut Vinegar FAQs」の項)
ウ 引用例3
(ア)引用例3-1
a 「心の酢(純粋米酢)500ml【オーサワ】」(題名)
b 「使用方法心の酢(純粋米酢)500mlは、…。特徴的なおだやかな酸味とコクのあるうまみ、やわらかな香り、クセのない芳醇で深い味わいを楽しめます。お寿司や酢の物など、酢の味を主役とする和食にぜひおススメします。」(「重要なお知らせ」の項)
c 「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日 2010/4/12」(「登録情報」の項)
d 「商品の説明■商品名:心の酢(純粋米酢)■山形産有機米・富士バナジウム水使用 静置発酵 上澄み無濾過 クセがなく芳醇で深い味わい…■賞味期間:常温で2年」(「商品の説明」の項)
(イ)引用例3-2
a 「『純米 心の酢 』は、有機栽培米コシヒカリと富士山伏流水。 そして、種麹・酵母・種酢の菌の働きだけで醸し出されています。 麹造りから始まり、酒精発酵・酢酸発酵に約4ヶ月。熟成に8ヶ月以上。 ゆっくり時間をかけて酢酸菌が落ち着くのを待ち、粕が沈み上澄みができて、まるやかな味へと変わってゆくのをひたすら待ちます。人工的に発酵を早めたり、食品添加物を使用することは一切しません。」(「商品の説明」の項)
エ 引用例4
(ア)引用例4-1
a 「ferment works KOMBUCHA classic[国産無添加クラフトコンブチャ/紅茶キノコ/ストレートタイプ]720ml」(題名)
b 「保存方法賞味期限:製造日より1年…」(「詳細情報」の項)
c 「安全上のお知らせ****当店のコンブチャは無ろ過のため、糸状の浮遊物や澱(モヤ)があります。コンブチャ特有の酢酸菌や酵母由来のものです。」(「重要なお知らせ」の項)
d 「日本で最初の本格国産クラフトコンブチャを製造販売・茶葉と砂糖だけのクラシックなタイプの国産クラフトコンブチャを製造、発酵、流通販売するのはferment works だけ。・酵素やコンブチャエキスを混ぜたりするコンブチャ風飲料とは異なる、本格醸造のクラフトなコンブチャです。・大量生産には向かないコンブチャをゆっくり丁寧に手作りでお届けしています続きを表示(全13行)添加物ゼロの国産無添加クラフトコンブチャ 原材料は茶葉と砂糖だけ・茶葉は有機JASを取得したものだけを使用・砂糖はミネラルたっぷりのきびざとうを使用(砂糖は甘みのためではなく、発酵のために使用しています)・添加物不使用なので、妊婦さんや授乳中のママ、お子様にも喜ばれています。・国内で手作りで作っています・アルコール分は0.2%以下。ferment worksのコンブチャは自然発酵のためアルコール分が極微量に発生します。漬物や味噌、醤油なども同様に微量に発生しますが、体に影響はありません。製造毎に分析し、0.2%以下のものだけを出荷しております。(通常は0.05~0.1%程度のアルコール含有量です)(アルコールアレルギーなどの方はご遠慮くださいますようお願い致します。)…・コンブチャの味を決定づけるのがベースとなる紅茶。ferment worksでは味と香りどちらも活かしたこだわりのブレンドで、海外コンブチャによくある特有の臭みをなくした後味のよい味と香りのコンブチャです。」(「商品の説明」の項)
オ 引用例16
a 「既存商品中の、ノナナール、メチルヘプテノン、2-トリデカノン、ジメチルトリスルフィドの分析」(件名)
b 「目的依頼のあった試験方法に準じ測定し、各成分のピーク面積比を算出することを目的とした。1.試料「Braggオーガニック アップルサイダービネガー」続きを表示(全14行)(賞味期間:製造後60ヵ月 賞味期限:2024年9月5日)「Coconut Secret Raw Coconut Vinegar」(賞味期間:製造後4年 賞味期限:2023年1月15日「心の酢(純粋米酢)」(賞味期間:製造後2年 賞味期限:2019年5月17日)「ferment works KOMBUCHA classic」(賞味期間:製造後1年 賞味期限:2020年1月31日)「よいとき」(賞味期間:製造後18ヵ月 賞味期限:2021年1月19日)計5試料(2021年1月8日当事業所受取)」(1頁)
c 「2.測定項目及び測定機器GERSTEL社製の捕集剤(以下、TWISTERと記す)を用いて、試料成分のスターバー抽出(Stir Bar Sorptive Extraction : SBSE)を行った。次に、ジーエルサイエンス社製加熱脱着装置Handy TD265(以下、HandyTDと記す)にて加熱脱着処理し、ガスクロマトグラフ質量分析法(以下、GC/MS法と記す)及びガスクロマトグラフ(FPD)法(以下、FPD法と記す)で測定した。測定成分ごとの方法を表-1に示し、測定機器及び測定条件を表-2に示した。…4.測定結果対象4成分は以下のリテンションタイムで検出された。各成分の標品について、試料溶液と同様に測定することで、ピーク位置が一致することを確認した。…各試料の測定結果(ピーク面積値)を表-4に示した。また、ノナナールのピーク面積値に対するその他3成分のピーク面積比を表-5に示した。…[図:0001384087000001.jpg]」(3~8頁)
カ 引用例13
a 「mother of vinegarmother of vinegar酢母〔医生〕日外35万語科学技術用語大辞典ページ6149での【mother of vinegar】単語。」
キ 引用例14
a 「酢母・醋母 (読み)さくぼ精選版 日本国語大辞典の解説〔名〕=さくさんきん(酢酸菌)」
ク 引用例15、引用例18
引用例15及び引用例18は、引用例1-1及び引用例3-1の商品から酢酸菌「Komagataeibacter属」が検出されたことを示す。
(2)引用例1~4に記載された発明
引用例16(特に、上記(1)オc)、加えて引用例1に対しては引用例13~15、引用例2に対しては引用例13~14、引用例3に対しては引用例18を参照すると、引用例1~4の各々には、それぞれ以下の発明が記載されていると認められる。
ア 引用例1
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が2:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:2であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:1である、酢酸菌含有組成物。」(以下、「引用発明1-1」という。)
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が2:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:2であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:1である、サラダのドレッシングに使用する酢酸菌含有組成物。」(以下、「引用発明1-2」という。)
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が2:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:2であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:1である、酢酸菌含有組成物をサラダのドレッシングに使用する方法。」(以下、「引用発明1-3」という。)
イ 引用例2
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が9:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が10:1であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:1である、酢酸菌含有組成物。」(以下、「引用発明2-1」という。)
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が9:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が10:1であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:1である、マリネのドレッシングに使用する酢酸菌含有組成物。」(以下、「引用発明2-2」という。)
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が9:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が10:1であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:1である、酢酸菌含有組成物をマリネのドレッシングに使用する方法。」(以下、「引用発明2-3」という。)
ウ 引用例3
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が9:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が2:1であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が8:1である、酢酸菌含有組成物。」(以下、「引用発明3-1」という。)
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が9:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が2:1であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が8:1である、お寿司や酢の物など、酢の味を主役とする和食に使用する酢酸菌含有組成物。」(以下、「引用発明3-2」という。)
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が9:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が2:1であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が8:1である、酢酸菌含有組成物をお寿司や酢の物など、酢の味を主役とする和食に使用する方法。」(以下、「引用発明3-3」という。)
エ 引用例4
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が4:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が3:1であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が8:1である、酢酸菌含有組成物。」(以下、「引用発明4」という。)
(3)対比及び判断
ア 本件訂正発明1
(ア)引用発明1-1、2-1、3-1、4のいずれにおいても、「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有」するものであり、
「スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)」、
「SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)」、
「SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)」のいずれも、本件訂正発明1の規定を満たし、
「酢酸菌含有組成物」を構成するものである。
そうすると、本件訂正発明1と引用発明1-1、2-1、3-1、4の各々とは、以下の点で一致する。
一致点:
「酢酸菌含有組成物であって、ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:10~100:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:136~74:1であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:123~324:1である、酢酸菌含有組成物。」
そして、本件訂正発明1と引用発明1-1、2-1、3-1、4の各々とは、以下の点で相違する。
相違点:
「酢酸菌の含有量(乾燥質量換算)」に関し、本件訂正発明1は「酢酸菌含有組成物の乾燥質量100質量%に対して50~100質量%である」のに対し、引用発明1-1、2-1、3-1、4の各々は何ら明らかでない点。
(イ)相違点について検討する。
引用例1~4は、各々に記載された商品を電気通信回線を通じて開示したものであって、各商品において含有される酢酸菌の含有量については何ら開示がない。そして、これらの商品において酢酸菌の含有量を調整することの記載ないし示唆は存在せず、また各商品における酢酸菌の含有量を調整することが当業者において技術常識であったということもできない。
したがって、本件訂正発明1は、引用発明1-1、2-1、3-1、4であるとはいえず、また、その余の甲各号証を参照しても、引用発明1-1、2-1、3-1、4から当業者が容易になしえたものとはいえない。
イ 本件訂正発明2~14について
本件訂正発明2~14は、本件訂正発明1を更に限定するものである。したがって、本件訂正発明1が引用発明1-1、2-1、3-1、4であるとはいえず、また、その余の甲各号証を参照しても、引用発明1-1、2-1、3-1、4から当業者が容易になしえたものとはいえないことに鑑みると、本件訂正発明2~14も引用発明1-1、2-1、3-1、4であるとはいえず、また、その余の甲各号証を参照しても、引用発明1-1、2-1、3-1、4から当業者が容易になしえたものとはいえない。
(4)まとめ
よって、本件訂正発明1~14は、引用例1~4の各々に記載された発明とも、引用例1~4の各々に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
3 まとめ
以上のことから、当審が令和3年6月29日付け取消理由通知で示した取消理由には、理由がない。
第5 異議申立ての理由について
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1 申立人の異議申立ての理由について
申立人の異議申立ての理由は、概要以下のとおりである。
<証拠方法>(以下、甲第1-1~18号証を「甲1-1」~「甲18」という。)
甲16:株式会社環境管理センターが作成した、「Bragg オーガニック アップルサイダービネガー」、「Coconut Secret Raw Coconut Vinegar」、「心の酢(純米米酢)」、「ferment works KOMBUCHA classic」、「よいとき」に含有されるノナナール、メチルヘプテノン、2-トリデカノン、ジメチルトリスルフィドを分析した令和3年3月11日付け「試験結果報告書」
<特許異議申立書における異議申立ての理由>
訂正前の本件請求項1~16に係る発明(以下、「本件発明1~16」という。)についての特許に対する異議申立ての理由は以下のとおりである。
(1)申立理由1(明確性要件違反)
本件発明1~16は、特許請求の範囲の記載により特許を受けようとする発明が明確ではない。よって、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2)申立理由2(実施可能要件違反)
本件発明1~16は、これらの発明を実施することができる程度に、明細書に必要な事項を記載しているとは認められない。よって、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
(3)申立理由3(サポート要件違反)
本件発明1~16は、特許請求の範囲の記載が、発明の詳細な説明に記載したものではない。よって、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(4)申立理由4(甲1を主引用例とする新規性・進歩性要件違反)
本件発明1~16は、甲1に記載されたものであるか、他の公知文献を参酌することにより当業者が容易に想到しうるものに過ぎない。よって、本件発明1~16は、甲1に記載の発明に対して新規性又は進歩性を欠くものである。
(5)申立理由5(甲2を主引用例とする新規性・進歩性要件違反)
本件発明1~16は、甲2に記載されたものであるか、他の公知文献を参酌することにより当業者が容易に想到しうるものに過ぎない。よって、本件発明1~16は、甲2に記載の発明に対して新規性又は進歩性を欠くものである。
(6)申立理由6(甲3を主引用例とする新規性・進歩性要件違反)
本件発明1~16は、甲3に記載されたものであるか、他の公知文献を参酌することにより当業者が容易に想到しうるものに過ぎない。よって、本件発明1~16は、甲3に記載の発明に対して新規性又は進歩性を欠くものである。
(7)申立理由7(甲4を主引用例とする新規性・進歩性要件違反)
本件発明1~16は、甲4に記載されたものであるか、他の公知文献を参酌することにより当業者が容易に想到しうるものに過ぎない。よって、本件発明1~16は、甲4に記載の発明に対して新規性又は進歩性を欠くものである。
(8)申立理由8(甲5を主引用例とする新規性・進歩性要件違反)
本件発明1~7、11、12、15、16は、甲5に記載されたものであるか、他の公知文献を参酌することにより当業者が容易に想到しうるものに過ぎない。よって、本件発明1~7、11、12、15、16は、甲5に記載の発明に対して新規性又は進歩性を欠くものである。
2 判断
(1)申立理由1について
ア 申立人は申立書において以下のとおり主張する。
「各香気成分の割合につき、その配合量を重量比率等、当該技術分野において汎用されている比率で規定することが容易に行うことが出来るにも拘らず、敢えてスターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定したピーク面積比で規定していることの技術的意味が不明である。…その上、このような情報のみでは、具体的に各香気成分が該酢酸菌含有組成物中に具体的にどの程度含まれているものを規定しているのか、過度な試行錯誤なくして理解することができず、第三者に不測の不利益を与えることになる。……よって、本件発明における香気成分の配合割合の規定は、いずれも明確性要件の趣旨に反するものであり、従って本件特許につき明確性要件違反の取消理由が存在することは明らかと言える。」(申立書(4-2-2))
イ 上記主張について検討する。
(ア)本件訂正発明の解決課題は、「酢酸菌の菌体臭が抑制された酢酸菌含有組成物の提供、酢酸菌の菌体臭が抑制された、酢酸菌菌体含有食品の提供、及び酢酸菌の菌体臭が抑制され、かつ食品の風味が調整された酢酸菌菌体含有食品の提供」(【0007】)にあるものと認められる。
(イ)これに対し、本件明細書には以下の記載があり、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、2-トリデカノンとのピーク面積比が、本件訂正発明に係る酢酸菌含有組成物自身の菌体臭、及び風味を有する組成物(食品等)に添加した際の菌体臭の抑制という、本件訂正発明の課題の解決のために有用な指標となることが理解できる。
a 「【課題を解決するための手段】【0008】本発明者は上記課題に鑑みて鋭意研究を進めた結果、ノナナール及びメチルヘプテノンを含有し、且つスターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:10~100:1である、酢酸菌含有組成物、であれば、上記課題を解決できることを見出した。本発明者はこの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。」
b 「【0047】本発明の酢酸菌含有組成物は、メチルヘプテノンを含有する。酢酸菌含有組成物に含有されるメチルヘプテノンの由来は特に限定されず、酢酸菌体自体が有するメチルヘプテノンであってもよいし、飲食品に配合される原料由来でもよいし、香料の成分や、単一製剤としてでもよく、飲食品に適するものであればいずれでもよく、ノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比が1:10~100:1であればよい。【0048】本発明の酢酸菌含有組成物は、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:10~100:1である。これにより、本発明の酢酸菌含有組成物自身の菌体臭、及び風味を有する組成物(食品等)に添加した際の菌体臭が抑制される。ピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)は、菌体臭抑制の観点から、好ましくは1:6~60:1、より好ましくは1:1~50:1であり、より好ましくは1:1~20:1、さらに好ましくは2:1~10:1、よりさらに好ましくは3:1~7.6:1、特に好ましくは3.1:1~7.6:1である。続きを表示(全12行)【0049】本発明の酢酸菌含有組成物は、菌体臭抑制の観点から、好ましくはさらにジメチルトリスルフィドを含有する。ジメチルトリスルフィド(dimethyl trisulfide(CAS登録番号:3658-80-8)は、新鮮なタマネギ様の臭気を持つ無色ないし淡黄色の液体で、天然にはホップ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどに存在する成分である。本発明の酢酸菌含有組成物は、菌体臭抑制の観点から、より好ましくはSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:100~50:1である。ピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)は、同様の観点から、さらに好ましくは1:100~15:1、よりさらに好ましくは1:100~10:1、とりわけさらに好ましくは1:30~10:1、とりわけよりさらに好ましくは1:25~10:1、特に好ましくは1:20~5:1である。【0050】本発明の酢酸菌含有組成物は、菌体臭抑制の観点から、好ましくはさらに2-トリデカノンを含有する。2-トリデカノン(2-Tridecanone(CAS登録番号:593-08-8))は、ココナッツ油、パーム油、各種ベリー、各種チーズ等に存在する成分である。本発明の酢酸菌含有組成物は、菌体臭抑制の観点から、より好ましくはSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:100~100:1である。ピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)は、同様の観点から、さらに好ましくは1:50~50:1、よりさらに好ましくは1:10~50:1、とりわけさらに好ましくは1:6~25:1、とりわけよりさらに好ましくは1.7:1~23:1である。【0051】本発明の酢酸菌含有組成物は、菌体臭抑制の観点から、(ノナナールとメチルヘプテノンに加え)、好ましくは、さらにジメチルトリスルフィド及び2-トリデカノンを含有し、前記ピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:1~50:1であり、前記ピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:100~50:1であり、且つ前記ピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:100~100:1である。この態様における各ピーク面積比として、上記した好ましい範囲を採用することができる。【0052】上記各ピーク面積値及びピーク面積比のSBSE-GC/MSによる測定は、後述の実施例に記載の方法によって行われる。」
(ウ)そして、実施例の記載から、SBSE-GC/MSで測定した場合における「ノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:10~100:1」、「ノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:136~74:1」、「ノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:123~324:1」である場合において、有意に本件訂正発明の課題が解決することを確認できる。
(エ)したがって、「スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定したピーク面積比で規定していることの技術的意味」は明確であり、本件特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるといえる。
ウ よって、申立人が主張する申立理由1には、理由がない。
(2)申立理由2について
ア 申立人は申立書において以下のとおり主張する。
「本件明細書のどこを見ても、具体的にどのような割合で香気成分を配合すれば、構成要件A乃至Iに規定する配合割合とすることが出来るのか、その対応関係に関する記載が(被申立人において容易に記載できたにも拘らず)一切存在しない。…第三者において過度の試行錯誤を要することなく本件発明を実施できないことは明らかである…。」(申立書(4-3))
イ 上記主張について検討する。
本件訂正発明は、「酢酸菌の菌体臭が抑制された酢酸菌含有組成物の提供、酢酸菌の菌体臭が抑制された、酢酸菌菌体含有食品の提供、及び酢酸菌の菌体臭が抑制され、かつ食品の風味が調整された酢酸菌菌体含有食品の提供」(【0007】)という課題を、上記(1)イ(イ)に示すように、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、2-トリデカノンとのピーク面積比を指標とすれば、その解決に有用であることを見出したものであって、ノナナールとメチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、2-トリデカノンを各実施例に記載のように調整すれば、本件訂正発明に係る各配合割合とすることは、当業者であれば容易になし得ることと認められる。
したがって、本件訂正発明の実施に際し、第三者において過度の試行錯誤を要するものとはいえず、本件発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。
ウ よって、申立人が主張する申立理由2には、理由がない。
(3)申立理由3について
ア 申立人は申立書において以下のとおり主張する。
「本件明細書においては、本件発明の作用効果の裏付けとして様々な試験例が記載されているが、以下のとおり、いずれの試験例も本件発明のサポートとはなり得ない。…このように、本件明細書では評価は1~5の5段階で行われ、専門パネラー10名の評価の平均値によって、酢酸菌菌体臭の評価結果が算出されているものと理解することが出来る。しかしながら、その評価基準は極めて曖昧であり、本件明細書のどこを見ても、「専門パネラー10名」において、これらの加点の基準を共通にするなどの手順が踏まれているような形跡は存在しない。そのため、菌体臭が「全く感じられない」「あまり感じられない」「少し感じられる」「感じられる」「強く感じる」の評価はパネラーによって区々になっていることが容易に推測される。…以上のことから、伊藤園トマトジュース事件判決の規範に照らし、上記官能評価試験において適切な手順が踏まれていたとは到底認められないものであり、本件発明は「発明の詳細な説明は、その数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意味が、特許出願時において、具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載」されているとも、「特許出願時の技術常識を参酌して、当該数式が示す範囲内であれば、所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に、具体例を例示」されているとも認められない。以上より、本件明細書の試験例はいずれも本件発明のサポートとなり得ないのであるから、本件発明はいずれもサポート要件に違反することが明らかである。」(申立書(4-4-2))
イ 上記主張について検討する。
本件実施例の記載からは、菌体臭、酸味、苦味、辛味、甘味、塩味の各々において、それぞれ5段階の評価基準が明確に設定されていることが、当業者に認識される。そして、各「専門」パネラー10名において、各評価基準による評価がまちまちになっていると解される根拠は、本件発明の詳細な説明のいずれからも見いだすことができない。
したがって、官能評価試験に関する本件実施例及び比較例の記載により、本件訂正発明はいわゆるサポート要件を満たすと当業者に認識されるものであり、本件訂正発明は、本件発明の詳細な説明に記載したものでないとはいえない。
ウ 次に、申立人は以下のとおり主張する。
「本件発明の技術的課題は、酢酸菌の菌体臭が抑制された酢酸菌含有組成物の提供等を目的としており(段落【0007】)、その課題解決のために上記4成分の配合並びにピーク面積比をそれぞれ規定しているのであるから、酢酸菌の種類(状態)、組成物中に占める酢酸菌の割合、ノナナールなど香気成分の含有量(濃度)、並びに酢酸菌とノナナールなど香気成分の配合比率などは、当該発明の課題解決のための必須の要素であることは言うまでもない。しかしながら、本件発明では、これらの要素に関して何一つ特定されておらず、これらの課題解決に必須の条件…を捨象して、ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンのピーク面積比を特定するのみで、その課題が解決し得るとは到底認められない。…以上のことから、これらのパラメータに関し何らの技術的意味も見出せず、実施例・比較例の種々の条件の中から、本件発明に規定する香気成分の面積比率以外の要素を捨象し、本件発明の構成によってその技術的課題を解決し得るとは到底認められない。無論、その数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意味が、特許出願時において、具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載されているとも、特許出願時の技術常識を参酌して、当該数式が示す範囲内であれば、所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に、具体例を開示して記載されているとも認められない。」(申立書(4-4-3))
エ 上記主張について検討する。
上記(1)イで検討したとおり、実施例の記載から、SBSE-GC/MSで測定した場合における「ノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:10~100:1」、「ノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:136~74:1」、「ノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:123~324:1」であれば、有意に本件発明の課題が解決することを確認できる。
したがって、本件訂正発明の各種パラメータに関し、本件実施例及び比較例の記載により、本件発明はいわゆるサポート要件を満たすと当業者に認識されるものであり、本件訂正発明は、本件発明の詳細な説明に記載したものでないとはいえない。
オ 更に、申立人は以下のとおり主張する。
「本件明細書の段落【0211】乃至【0370】において、実施例4の酢酸菌含有組成物を添加した各種食品の各種風味及び食感についての評価試験の結果が記載されているが、これらの食品はごく限られた種類についてしか示されていないため、これをもって、本件発明11の「食品」ないし本件発明12の「…」までその効果を一般化・抽象化することは出来ない(同様のことは、食品の風味及び/又は食感を調整する方法を規定する本件発明13、及び風味及び/又は食感が調整された食品を製造する方法を規定する本件発明14にも当てはまる)。…以上のことから、本件明細書の実施例の作用効果を本件発明の範囲まで一般化・抽象化し得ないことは明らかであり、本件発明11乃至14がサポート要件に違反することは明らかである。」(申立書(4-4-4))
カ 上記主張について検討する。
(ア)本件発明の詳細な説明には以下の記載があり、本件発明が各種食品に対して風味及び/又は食感の調整に使用されることが理解できる。
「【0058】2.用途本発明の酢酸菌含有組成物は、酢酸菌菌体臭が抑制されており、食品添加剤、食品等に利用することができる。この観点から、本発明は、その一態様において、本発明の酢酸菌含有組成物を含有する、食品添加剤(本明細書において、「本発明の食品添加剤」と示すこともある。)、本発明の酢酸菌含有組成物を含有する、食品(本明細書において、「本発明の食品」と示すこともある。)等に関する。【0059】続きを表示(全13行)また、本発明の酢酸菌含有組成物は、酢酸菌菌体臭が抑制されており、且つ食品の風味及び/又は食感の調整作用を有するので、風味及び/又は食感調整用に使用することができる。この観点から、本発明は、その一態様において、本発明の酢酸菌含有組成物を食品に添加することを含む、食品の風味及び/又は食感を調整する(又は調整作用を付与する)方法、本発明の酢酸菌含有組成物を食品に添加することを含む、風味及び/又は食感が調整された(又は調整作用を有する)食品を製造する方法等に関する。以下に、これらについて説明する。【0060】調整対象としては、特に制限されず、例えば酸味、苦味、甘味、塩味、旨味、辛味、渋味、コク、香り、食感、味しみ、味のび等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは酸味、苦味、辛味、甘味、塩味等が挙げられる。本発明の酢酸菌含有組成物を使用することにより、酸味、苦味、辛味、甘味等を抑制することができ、また塩味を増強することができる。この観点から、本発明の酢酸菌含有組成物は、好適には、酸味抑制用、苦味抑制用、辛味抑制用、甘味抑制用、塩味増強用等に使用することができる。【0061】また、上記風味調整作用のより具体的な例として、又は上記以外の風味調整作用として、例えば味のび、青臭さ(例えば野菜、豆、果物等)の抑制、磯臭さの抑制、酸臭の抑制、米の甘味の増強、米の劣化臭の抑制、ムレ臭(黒酢、りんご酢等の)の抑制、フルーツ・果汁(リンゴ、柑橘類、パイナップル、ぶどう等)のフレッシュな(又はさわやかな)香り又は果汁感の増強、酢ののどへの刺激の抑制、甘味の後引感の抑制、甘味のべたつき感の抑制、甘い香りの増強、濃厚感(クリーミーさ)(例えば乳成分、ごま、野菜ジュース、豆乳等の)の増強、焙煎香(例えばごま、コーヒー等の)の増強、乳臭さの抑制、カカオの苦味の抑制、油分の酸化臭の抑制、スパイスの風味の増強、はちみつの風味の増強、薬品臭さの抑制、肉の臭みの抑制、醤油辛さの抑制、だしの香りの増強、だしの生臭みの抑制、塩味の尖りの抑制、レトルト臭(金属様の臭み)の抑制、米の臭みの抑制、味むらの抑制、納豆臭さの抑制、(濃縮還元に伴うもわっとした)加熱臭の抑制、えぐみ(例えば野菜など)の抑制、コク(例えばココアの)の増強、みその香りの増強、しその香りの増強、味からみの増強、清涼感の増強、芳ばしさの増強、米の旨味の増強、酸味の尖りの抑制、油の焦げ臭の抑制、魚の生臭みの抑制、加熱後の風味の強さの改善、野菜の甘みの増強、ヨーグルトの収斂味の抑制、香りのなじみの増強、ビタミン臭の抑制、炭酸の爽快感の増強、フルーツ・果汁(リンゴ、柑橘類、パイナップル、ぶどう等)のフレッシュな(又はさわやかな)甘みの増強、コラーゲンの臭みの抑制等が挙げられる。【0062】食感調整作用としては、特に制限されず、例えばべたつき感(例えば米等の)の抑制、歯ごたえ(例えば野菜などのシャキシャキ感、焼菓子のさくさく(又はパリパリ)した食感等)の増強、肉のやわらかさの向上、菓子生地のやわらかさの向上、麺のこしの増強等が挙げられる。【0063】本発明の食品添加剤は、本発明の酢酸菌含有組成物のみからなるものであってもよいし、該組成物の他に他の成分が含まれるものであってもよい。ここで食品添加剤とは、食品の製造過程において、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用されるものである。他の成分としては、食品に配合可能な成分であれば特に限定されないが、食品に配合可能な担体(例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊補助剤、滑沢剤、湿潤剤等)や添加剤等が挙げられる。本発明の食品添加剤の形態としては、特に制限されず、例えば顆粒剤、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤(硬カプセル剤および軟カプセル剤が含まれる)等が挙げられる。」
(イ)また、【0064】~【0175】において、各食品を例に挙げて、それぞれの風味及び/又は食感の調整作用を発揮することが記載されている。
(ウ)更に、本件実施例では、酢の物、りんご系食酢飲料、ごまだれ、ホットミルク、ハイカカオチョコレート、ヨーグルト、すし飯、ピクルス、ホットレモネード、ぽん酢、温つゆ(うどんつゆ)、レトルト寄せ鍋つゆ、おむすび調味料、納豆、グレープフルーツジュース、トマトジュース、青汁、豆乳、ココア(無糖)、アイスコーヒー、みそ汁、梅干、酢豚、マーボー豆腐、パイナップルキャンディ、グミ、ソフトキャンディー(キャラメル)、錠菓(ラムネ)、オレンジゼリー、シリアルバー、クッキー、せんべい、キムチ、牛肉の蒸し物、白身魚のフライ、ホットケーキ、うどん、かぼちゃのペースト、ヨーグルト系食酢飲料、ベリー系食酢飲料、炭酸飲料、スムージー、りんご果汁入り飲料、美容系飲料といった、広範囲の食品について、本件発明が風味、食感、おいしさにおいて有意な調整作用を奏することが試験されている。
(エ)そして、上記本件発明の詳細な説明の記載及び本件明細書の実施例の記載に鑑みると、本件訂正発明の作用効果を本件訂正発明の範囲にまで一般化・抽象化し得ないとする根拠を見いだすことはできず、本件訂正発明11乃至14はいわゆるサポート要件を満たすものといえる。
キ よって、申立人が主張する申立理由3には、理由がない。
(4)申立理由4~7について
ア 本件訂正発明1~14に対する申立理由4~7について
本件訂正発明1~14に対する申立理由4~7は、上記第4において検討したとおりである。
また、申立理由7のうち、本件請求項8~10、13、14に係る発明については、本件訂正発明8~10、13、14は、本件訂正発明1を更に限定するものであり、本件訂正発明1が甲4発明であるとはいえず、また、その余の甲各号証を参照しても、甲4発明から当業者が容易になしえたものとはいえないことに鑑みると、本件訂正発明8~10、13、14も甲4発明であるとはいえず、また、その余の甲各号証を参照しても、甲4発明から当業者が容易になしえたものとはいえない。
以上のことから、これらの申立理由には理由がない。
イ 本件訂正発明15~16に対する申立理由4~7について
(ア)甲1~4の各々の記載事項及び各々に記載された発明は、上記第4 2(1)及び(2)のとおりである。
(イ)そうすると、本件訂正発明15及び16の各々と、甲1~4の各々に記載された発明とは、少なくとも以下の点で相違する。
相違点:
本件訂正発明15は「酢酸菌菌体臭を抑制する方法」、本件訂正発明16は「酢酸菌菌体臭が抑制された酢酸菌含有組成物を製造する方法」であるのに対し、甲1~4の各々にはそのような記載が存在しない点。
(ウ)上記相違点について検討する。
甲1~4は、各々に記載された商品を電気通信回線を通じて開示したものであって、各商品において「酢酸菌菌体臭を抑制する方法」や「酢酸菌菌体臭が抑制された酢酸菌含有組成物を製造する方法」については何ら開示がない。そして、これらの商品において酢酸菌菌体臭を抑制することの記載ないし示唆は存在せず、また各商品における酢酸菌菌体臭を抑制することが当業者において技術常識であったということもできない。
したがって、本件訂正発明15及び16は、甲1~4の各々に記載された発明であるとはいえず、また、その余の甲各号証を参照しても、甲1~4の各々に記載された発明から当業者が容易になしえたものとはいえない。
ウ よって、申立人が主張する申立理由4~7には、理由がない。
(5)申立理由8について
ア 甲各号証の記載事項
以下、甲5-1と甲5-2をまとめて「甲5」という。
(ア)甲5-1
a 「よいとき」(題名)
b 「にごり酢生まれの酢酸菌酵素を配合した健康食品です。」(題名直下)
(イ)甲5-2
a 「飲食の前後、途中など、お好きな飲物と飲めるソフトカプセルです。」(「無香料・無着色・保存料無添加」の項)
(ウ)甲16(再掲)
a 「既存商品中の、ノナナール、メチルヘプテノン、2-トリデカノン、ジメチルトリスルフィドの分析」(件名)
b 「目的依頼のあった試験方法に準じ測定し、各成分のピーク面積比を算出することを目的とした。1.試料「Braggオーガニック アップルサイダービネガー」続きを表示(全14行)(賞味期間:製造後60ヵ月 賞味期限:2024年9月5日)「Coconut Secret Raw Coconut Vinegar」(賞味期間:製造後4年 賞味期限:2023年1月15日「心の酢(純粋米酢)」(賞味期間:製造後2年 賞味期限:2019年5月17日)「ferment works KOMBUCHA classic」(賞味期間:製造後1年 賞味期限:2020年1月31日)「よいとき」(賞味期間:製造後18ヵ月 賞味期限:2021年1月19日)計5試料(2021年1月8日当事業所受取)」(1頁)
c 「2.測定項目及び測定機器GERSTEL社製の捕集剤(以下、TWISTERと記す)を用いて、試料成分のスターバー抽出(Stir Bar Sorptive Extraction : SBSE)を行った。次に、ジーエルサイエンス社製加熱脱着装置Handy TD265(以下、HandyTDと記す)にて加熱脱着処理し、ガスクロマトグラフ質量分析法(以下、GC/MS法と記す)及びガスクロマトグラフ(FPD)法(以下、FPD法と記す)で測定した。測定成分ごとの方法を表-1に示し、測定機器及び測定条件を表-2に示した。…4.測定結果対象4成分は以下のリテンションタイムで検出された。各成分の標品について、試料溶液と同様に測定することで、ピーク位置が一致することを確認した。…各試料の測定結果(ピーク面積値)を表-4に示した。また、ノナナールのピーク面積値に対するその他3成分のピーク面積比を表-5に示した。…[図:0001384087000002.jpg]」(3~8頁)
(エ)甲13(再掲)
「mother of vinegarmother of vinegar酢母〔医生〕日外35万語科学技術用語大辞典ページ6149での【mother of vinegar】単語。」
(オ)甲14(再掲)
「酢母・醋母 (読み)さくぼ精選版 日本国語大辞典の解説〔名〕=さくさんきん(酢酸菌)」
イ 甲5に記載された発明
甲16(特に、上記ア(ウ)c)を参照すると、甲5には以下の発明が記載されていると認められる。
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が4:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:9であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が4:1である、酢酸菌酵素含有組成物。」(以下、「甲5発明」という。)
ウ 対比及び判断
(ア)本件訂正発明1
a 甲5発明は、「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有」するものであり、
「スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)」、
「SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)」、
「SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)」のいずれも、本件訂正発明1の規定を満たす。
しかし、「酢酸菌酵素」と「酢酸菌」は一致するものではない。
そうすると、本件訂正発明1と甲5発明とは、以下の点で一致する。
「ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンを含有し、スターバー抽出加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析法(SBSE-GC/MS)で測定した場合におけるノナナールとメチルヘプテノンとのピーク面積比(ノナナール:メチルヘプテノン)が1:10~100:1であり、SBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールとジメチルトリスルフィドとのピーク面積比(ノナナール:ジメチルトリスルフィド)が1:136~74:1であり、且つSBSE-GC/MSで測定した場合におけるノナナールと2-トリデカノンとのピーク面積比(ノナナール:2-トリデカノン)が1:123~324:1である、組成物。」
そして、本件訂正発明1と甲5発明とは、以下の点で相違する。
相違点:
本件訂正発明1は「酢酸菌含有組成物」であり、「酢酸菌の含有量(乾燥質量換算)」は「酢酸菌含有組成物の乾燥質量100質量%に対して50~100質量%である」のに対し、甲5発明は「酢酸菌酵素含有組成物」であり、「酢酸菌」の含有量は何ら明らかでない点。
b 相違点について検討する。
甲5は、商品を電気通信回線を通じて開示したものであって、係る商品において酢酸菌が含有されるかは何ら明らかでない。そして、係る商品において酢酸菌を含有させること、そしてその量を調整することの記載ないし示唆は存在せず、また係る商品において酢酸菌を含有させたり、その量を調整したりすることが当業者において技術常識であったということもできない。
したがって、本件訂正発明1は、甲5発明であるとはいえず、また、その余の甲各号証を参照しても、甲5発明から当業者が容易になしえたものとはいえない。
(イ)本件訂正発明2~7、11、12について
本件訂正発明2~7、11、12は、本件訂正発明1を更に限定するものである。したがって、本件訂正発明1が甲5発明であるとはいえず、また、その余の甲各号証を参照しても、甲5発明から当業者が容易になしえたものとはいえないことに鑑みると、本件訂正発明2~7、11、12も甲5発明であるとはいえず、また、その余の甲各号証を参照しても、甲5発明から当業者が容易になしえたものとはいえない。
(ウ)本件訂正発明15及び16について
上記(4)イと同旨により、本件訂正発明15及び16の各々は、甲5発明であるとはいえず、また、その余の甲各号証を参照しても、甲5発明から当業者が容易になしえたものとはいえない。
エ よって、申立人が主張する申立理由8には、理由がない。
3 まとめ
以上のことから、申立人が主張する申立ての理由にはいずれも理由がなく、これらの申立の理由によっては本件訂正発明に係る特許を取り消すことはできない。
第6 申立人提出の意見書における主張について
当該意見書において、申立人は、本件訂正により下記1及び2の新たな取消理由が発生した旨主張する。新たな取消理由が発生したか否かはさておき、この点について検討する。
1 明確性要件違反について
(1)申立人は、新たな明確性要件違反として、以下のとおり主張する。
「引用例1~4の「食酢」ないし「飲料」は、「酢酸菌含有組成物」それ自体ではなく、これを含有する「食品」であって、本件訂正発明1の新規性・進歩性に関しては、当該食品に含有される「酢酸菌含有組成物」の乾燥質量に対する酢酸菌の含有量が規定の数値範囲を満たすか否かが問われることになるのではないかとの疑問が生じますが、被申立人はこの点を何ら明らかにしていません。そもそも、「酢酸菌含有組成物」を含有する「食品」も、酢酸菌を含有する組成物である点において「酢酸菌含有組成物」にあたるとも解し得るところ、「酢酸菌含有組成物」と酢酸菌含有組成物を含有する「食品」とをどのように区別したらよいか、本件明細書のどの記載に照らしても理解することができません。また、同様に、本件発明は酢酸菌の菌体臭が抑制された酢酸菌含有組成物の食品への利用を課題としていることに鑑み、「酢酸菌含有組成物」それ自体が食品等にあたるとも解し得るため、やはり「酢酸菌含有組成物」と酢酸菌含有組成物を含有する「食品」とを区別することは不可能と言わざるを得ません(なおこの点は、本件発明10の「食品添加剤」についても同じことが言えます)。このように、本件訂正によって酢酸菌の含有量を酢酸菌含有組成物に対する質量%で規定するという発明特定事項が追加されたことにより、酢酸菌含有組成物を含む「食品添加剤」ないし「食品」が、「酢酸菌含有組成物」にあたるのか否かという点の不明確性が顕在化したといえます。」(意見書3(2)(2-1))
(2)上記主張について検討する。
本件請求項10には「請求項1~9のいずれかに記載の酢酸菌含有組成物を含有する、食品添加剤。」、同11には「請求項1~9のいずれかに記載の酢酸菌含有組成物を含有する、食品。」、同13及び14には「請求項1~9のいずれかに記載の酢酸菌含有組成物を食品に添加する」と規定されている。
また、本件訂正発明に係る「酢酸菌含有組成物」と「食品」に関し、【0066】には
「本発明の食品における本発明の酢酸菌含有組成物(乾燥状態換算)の含有量は、本発明の食品100質量%に対して、例えば0.001~10質量%である。該含有量は、菌体臭、風味及び/又は食感調整作用等の観点から、例えば0.003~7質量%、好ましくは0.01~5質量%である。」
との記載があり、各種「食品」に関して【0072】、【0076】、【0080】、【0083】、【0087】、【0091】、【0095】、【0099】、【0103】、【0107】、【0111】、【0115】、【0119】、【0123】、【0127】、【0131】、【0135】、【0139】、【0143】、【0147】、【0151】、【0155】、【0159】、【0163】、【0167】、【0171】、【0175】に同様の記載がある。
上記各請求項の規定における「酢酸菌含有組成物」が「食品」に含有されることの規定からみて、本件請求項1~9に規定される酢酸菌含有組成物と、食品や食品添加剤とは区別されていることが明確である。
加えて、これらの「酢酸菌含有組成物」を各々例示される「食品」に加えることや、実施例において「酢酸菌含有組成物」を各種「食品」に加えることが明細書に記載されていることからみても、本件訂正発明に係る「酢酸菌含有組成物」と「食品」とは明確に区別できることが明らかである。
よって、本件訂正発明でいう「食品」は「酢酸菌含有組成物」にあたるものではなく、本件訂正発明は明確である。
2 サポート要件違反について
(1)申立人は、新たなサポート要件違反として、以下のとおり主張する。
「本件訂正により酢酸菌の配合割合が明確に規定された以上、その解決手段としてのノナナールなど香気成分の配合量(これによって間接的に酢酸菌とノナナールなど香気成分の配合比率も一定程度決まることになります)が課題解決のための必須の解決手段となることは言うまでもありません。この点、現に本件明細書の段落【0044】において「該含有量は、SBSE-GC/MSで測定された場合におけるノナナールのピーク面積値が、例えば5~1000万、好ましくは20~500万、より好ましくは40~300万、さらに好ましくは50~250万、よりさらに好ましくは60~200万、とりわけさらに好ましくは70~150万である」と規定されており、その配合量がその課題解決の重要な要素であることが読み取れる以上、この点を規定することなく本件発明がサポート要件を充足することは考えられません。…然るところ、試験例1及び2で得られた酢酸菌含有組成物については酢酸菌含有量がほぼ100%に対し、ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンなどの香気成分を、ノナナールのピーク面積値が、おおよそ100万(ノナナールの含有量(濃度)は、おおよそ70ppb)となるように調整していることが読み取れます。従いまして、仮に試験例1及び2の結果から何らかの効果が読み取れるとしても、ノナナールの含有量(濃度)がおおよそ70ppbの配合量になるように調整されていることが、その課題解決の必須の解決手段と考える他ありません(すなわち、ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、及び2-トリデカノンなどの香気成分の比率をこのままにその絶対量を減らしていけば、その課題解決が難しくなっていくことが容易に理解できます)。このように、菌体臭が抑制されるべき酢酸菌の配合割合が具体的に規定されているにも拘わらず、単に香気成分の配合割合を規定するのみでいずれの香気成分に関してもその具体的な配合量が規定されていなければ、その課題解決原理として成り立ち得ず、それゆえ、本件訂正発明がサポート要件を充足しないことは自明と言えます。さらに、試験例1及び2で得られた酢酸菌含有組成物については酢酸菌含有量がほぼ100%の態様しか開示されていませんので、本件訂正によって追加された「50~100質量%」という数値範囲のうち、特に下限値付近において本件訂正発明の作用効果が得られることについては、本件明細書の記載によって全くサポートされていません。」(意見書3(2)(2-2))
(2)上記主張について検討する。
本件訂正発明は、酢酸菌の菌体臭の抑制という課題(本件【0007】、上記第5 2(2)イ)を解決できるように明細書に記載されていることは、上記第5(3)で述べたとおりであり、酢酸菌の含有量によって、課題を解決したものではない。
また、含有量が好ましい範囲を逸脱したところで課題が解決できないとはいえないし、「酢酸菌の含有量」を特定することは、それにより課題が解決できないことになるわけではない。
「50~100質量%」という数値範囲については、本件【0055】の「本発明の酢酸菌含有組成物中の酢酸菌の含有量(乾燥質量換算)は、特に制限されるものではないが、本発明の酢酸菌含有組成物の乾燥質量100質量%に対して、例えば50~100質量%…である。」、及び、本件【0056】の「本発明の酢酸菌含有組成物が外部から添加された上記成分(ノナナール、メチルヘプテノン、ジメチルトリスルフィド、2-トリデカノン)を含む場合、本発明の酢酸菌含有組成物中の酢酸菌と該添加成分との合計含有量(乾燥質量換算)は、特に制限されるものではないが、本発明の酢酸菌含有組成物の乾燥質量100質量%に対して、例えば50~100質量%…である。」との記載に基づき設定できるものであり、また、係る下限値付近で本件訂正発明の作用効果が得られないとする理由はなく、申立人はその根拠を示さない。
よって、本件訂正発明は、本件発明の詳細な説明に記載したものである。
3 まとめ
したがって、上記主張を勘案することはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、異議申立ての理由及び当審からの取消理由によっては、請求項1~16に係る発明の特許を取り消すことはできない。また、他に当該特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700277