特許異議申立
2021-700036
配線基板および半導体装置
- 審判番号
- 2021-700036
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-522399
- 登録番号
- 6725095
- 請求日
- 2021年01月14日
- 審決日
- 2022年01月06日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】大日本印刷株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
- 【異議申立人】飯田 進
- 審判長/審判官
- 審判長 清水 稔
- 審判官 畑中 博幸
- 審判官 須原 宏光
- 分類
- P1651.113-YAA(H05K) / P1651.121-YAA(H05K) / P1651.16 -YAA(H05K) / P1651.536-YAA(H05K) / P1651.537-YAA(H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条の2、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6725095号発明「配線基板および半導体装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6725095号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4、10、14ないし17、21ないし23、25〕、3、5、〔6、7〕、8、9、〔11ないし13〕、18、19、20、24、26、27、〔28、29〕、30、31、〔32ないし34〕、35、36、37、38について訂正することを認める。
特許第6725095号の請求項1ないし38に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6725095号の請求項1ないし25に係る発明についての出願は、2019年1月16日(優先権主張 平成30年6月21日 日本国(JP))を国際出願日とする出願であって、令和2年6月29日にその特許権が設定登録され、令和2年7月15日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 3年 1月14日 :特許異議申立人飯田 進による請求項1ないし25に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 3年 4月30日付け:取消理由通知書
令和 3年 7月16日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 3年10月26日付け:特許異議申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1.訂正の趣旨及び内容
令和3年7月16日付けの訂正請求の趣旨は、特許第6725095号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし38について訂正することを求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含む、配線基板。」と記載されているのを、
「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分と前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置し、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含む、配線基板。」に訂正する。
また、請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項4、10、14ないし17、21ないし23、25も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄い、配線基板。」と記載されているのを、
「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分と前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置し、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄い、配線基板。」に訂正する。
また、請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項4、10、14ないし17、21ないし23、25も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記第2導電層は、前記第1絶縁層の縁部のうち前記第2部分側に対応する第1縁部から離隔して配置されている、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、さらに「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第2導電層は、前記第1絶縁層の縁部のうち前記第2部分側に対応する第1縁部から離隔して配置されている、配線基板。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に
「前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第1縁部との間の距離は、前記第2導電層の縁部から前記第1縁部までの距離より小さい、請求項4に記載の配線基板。」とあるうち、請求項1及び請求項4を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第2導電層の縁部と、前記第1絶縁層の縁部のうち前記第2部分側に対応する第1縁部とが揃う部分を含み、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第1縁部との間の距離は、前記第2導電層の縁部から前記第1縁部までの距離より小さい、配線基板。」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に
「前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第1絶縁層の縁部までの距離が、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より小さい、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第1絶縁層の縁部までの距離が、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より小さい、配線基板。」に訂正する。
また、請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項7も同様に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8に
「前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より大きい、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より大きい、配線基板。」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項9に
「前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第2厚さの10%以上である、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第2厚さの10%以上である、配線基板。」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11に
「前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1導電層の外縁は、前記第1部分の側面および前記第2部分の側面を含む、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1導電層の外縁は、前記第1部分の側面および前記第2部分の側面を含む、配線基板。」に訂正する。
また、請求項11の記載を直接的又は間接的に引用する請求項12、13も同様に訂正する。
(9) 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項18に
「前記第2絶縁層は、開口を有し、
前記第2導電層は、前記開口を規定する前記第2絶縁層の側面と接触し、
前記第2導電層と前記第1絶縁層との間の一部に前記第2絶縁層が配置されている、請求項17に記載の配線基板。」とあるうち、請求項1及び請求項17を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第2部分および前記第1絶縁層に接触する第2絶縁層をさらに備え、
前記第1絶縁層は、無機材料を含み、
前記第2絶縁層は、有機材料を含み、
前記第2絶縁層は、開口を有し、
前記第2導電層は、前記開口を規定する前記第2絶縁層の側面と接触し、
前記第2導電層と前記第1絶縁層との間の一部に前記第2絶縁層が配置されている、配線基板。」に訂正する。
(10) 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項19に
「前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置され、前記第2導電層と離隔された導電層をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置され、前記第2導電層と離隔された導電層をさらに備える、配線基板。」に訂正する。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項20に
「前記第1導電層は、前記第2厚さより厚い第3厚さを有し前記第2部分に隣接する第3部分をさらに含み、
前記第1絶縁層は、さらに前記第3部分上に配置され、
前記第2導電層は、前記第1絶縁層に対して前記第3部分とは反対側においても配置されている、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第1導電層は、前記第2厚さより厚い第3厚さを有し前記第2部分に隣接する第3部分をさらに含み、
前記第1絶縁層は、さらに前記第3部分上に配置され、
前記第2導電層は、前記第1絶縁層に対して前記第3部分とは反対側においても配置されている、配線基板。」に訂正する。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項24に
「前記第1導電層に接続された前記貫通電極を含むインダクタをさらに備える、請求項21に記載の配線基板。」とあるうち、請求項1及び請求項21を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記基板を貫通する貫通電極をさらに備え、
前記貫通電極は、前記第1導電層に電気的に接続し、
前記第1導電層に接続された前記貫通電極を含むインダクタをさらに備える、配線基板。」に訂正する。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項3に
「前記第2導電層は、前記第1絶縁層の縁部のうち前記第2部分側に対応する第1縁部から離隔して配置されている、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、さらに「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第2導電層は、前記第1絶縁層の縁部のうち前記第2部分側に対応する第1縁部から離隔して配置されている、配線基板。」とし、新たに請求項26とする。
(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項5に
「記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第1縁部との間の距離は、前記第2導電層の縁部から前記第1縁部までの距離より小さい、請求項4に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2及び請求項4を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第2導電層の縁部と、前記第1絶縁層の縁部のうち前記第2部分側に対応する第1縁部とが揃う部分を含み、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第1縁部との間の距離は、前記第2導電層の縁部から前記第1縁部までの距離より小さい、配線基板。」とし、新たに請求項27とする。
(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項6に
「前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第1絶縁層の縁部までの距離が、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より小さい、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第1絶縁層の縁部までの距離が、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より小さい、配線基板。」とし、新たに請求項28とする。
(16)訂正事項16
特許請求の範囲の請求項7に
「前記境界は、前記第1絶縁層と前記基板との間に配置されている、請求項6に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2及び請求項6を引用するものについて、
「前記境界は、前記第1絶縁層と前記基板との間に配置されている、請求項28に記載の配線基板。」とし、新たな請求項29とする。
(17)訂正事項17
特許請求の範囲の請求項8に
「前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より大きい、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より大きい、配線基板。」とし、新たな請求項30とする。
(18)訂正事項18
特許請求の範囲の請求項9に
「前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第2厚さの10%以上である、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、独立形式と改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第2厚さの10%以上である、配線基板。」とし、新たな請求項31とする。
(19)訂正事項19
特許請求の範囲の請求項11に
「前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1導電層の外縁は、前記第1部分の側面および前記第2部分の側面を含む、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1導電層の外縁は、前記第1部分の側面および前記第2部分の側面を含む、配線基板。」とし、新たな請求項32とする。
(20)訂正事項20
特許請求の範囲の請求項12に
「前記第1絶縁層は、前記第1部分の側面を覆う、請求項11に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2および請求項11を引用するものについて、
「前記第1絶縁層は、前記第1部分の側面を覆う、請求項32に記載の配線基板。」とし、新たな請求項33とする。
(21)訂正事項21
特許請求の範囲の請求項13に
「前記第1絶縁層の一部は、前記第2導電層と前記第1部分の側面とに挟まれる、請求項12に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2、請求項11および請求項12を引用するものについて、
「前記第1絶縁層の一部は、前記第2導電層と前記第1部分の側面とに挟まれる、請求項33に記載の配線基板。」とし、新たな請求項34とする。
(22)訂正事項22
特許請求の範囲の請求項18に
「前記第2絶縁層は、開口を有し、
前記第2導電層は、前記開口を規定する前記第2絶縁層の側面と接触し、
前記第2導電層と前記第1絶縁層との間の一部に前記第2絶縁層が配置されている、請求項17に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2及び請求項17を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第2部分および前記第1絶縁層に接触する第2絶縁層をさらに備え、
前記第1絶縁層は、無機材料を含み、
前記第2絶縁層は、有機材料を含み、
前記第2絶縁層は、開口を有し、
前記第2導電層は、前記開口を規定する前記第2絶縁層の側面と接触し、
前記第2導電層と前記第1絶縁層との間の一部に前記第2絶縁層が配置されている、配線基板。」とし、新たな請求項35とする。
(23)訂正事項23
特許請求の範囲の請求項19に
「前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置され、前記第2導電層と離隔された導電層をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置され、前記第2導電層と離隔された導電層をさらに備える、配線基板。」とし、新たに請求項36とする。
(24)訂正事項24
特許請求の範囲の請求項20に
「前記第1導電層は、前記第2厚さより厚い第3厚さを有し前記第2部分に隣接する第3部分をさらに含み、
前記第1絶縁層は、さらに前記第3部分上に配置され、
前記第2導電層は、前記第1絶縁層に対して前記第3部分とは反対側においても配置されている、請求項1または請求項2に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第1導電層は、前記第2厚さより厚い第3厚さを有し前記第2部分に隣接する第3部分をさらに含み、
前記第1絶縁層は、さらに前記第3部分上に配置され、
前記第2導電層は、前記第1絶縁層に対して前記第3部分とは反対側においても配置されている、配線基板。」とし、新たに請求項37とする。
(25)訂正事項25
特許請求の範囲の請求項24に
「前記第1導電層に接続された前記貫通電極を含むインダクタをさらに備える、請求項21に記載の配線基板。」とあるうち、請求項2及び請求項21を引用するものについて、独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、」との発明特定事項を追加し、
「絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記基板を貫通する貫通電極をさらに備え、
前記貫通電極は、前記第1導電層に電気的に接続し、
前記第1導電層に接続された前記貫通電極を含むインダクタをさらに備える、配線基板。」とし、新たに請求項38とする。
(26)別の訂正単位とする求め
訂正後の請求項3、請求項5、請求項6、請求項6を引用する請求項7、請求項8、請求項9、請求項11、請求項11を引用する請求項12、13、請求項18、請求項19、請求項20、請求項24、請求項26、請求項27、請求項28、請求項28を引用する請求項29、請求項30、請求項31、請求項32、請求項32を引用する請求項33、34、請求項35、請求項36、請求項37および請求項38については、当該請求項についての訂正が認められる場合には 、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
2.訂正要件についての判断
(1)一群の請求項について
訂正事項1、3ないし12に係る本件訂正前の請求項1、3ないし25について、請求項3ないし25は請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。また、訂正事項2、13ないし25に係る本件訂正前の請求項2、3ないし25について、請求項3ないし25は請求項2を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。
よって、本件訂正前の請求項1ないし25に対応する本件訂正後の請求項1ないし38は、特許法第120条の5第4項に規定する関係を有する一群の請求項である。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定し、さらに、訂正前の請求項1における「第1絶縁層」の「端部」が、「第1部分」と「第2部分」との境界よりも「第2部分側に位置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許の願書に添付した明細書(以下、単に「本件特許明細書」という。)の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。また、同段落【0057】に「d1は、第2導電層14の側面14eと第1絶縁層13の側面13eとの距離に対応する。d2は、境界12-1pと側面13eとの距離に対応する。境界12-1pは、第1部分12-1と第2部分12-2との境界であり、第1絶縁層13と基板11との間に配置されている。」と記載され、図4によれば、第1絶縁層13の側面13e、即ち、第1絶縁層13の端部が境界12-1pより第2部分12-2側に位置していることが見て取れる。したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項1は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
イ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項2における「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定し、さらに、訂正前の請求項2における「第1絶縁層」の「端部」が、「第1部分」と「第2部分」との境界よりも「第2部分側に位置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。また、同段落【0057】に「d1は、第2導電層14の側面14eと第1絶縁層13の側面13eとの距離に対応する。d2は、境界12-1pと側面13eとの距離に対応する。境界12-1pは、第1部分12-1と第2部分12-2との境界であり、第1絶縁層13と基板11との間に配置されている。」と記載され、図4によれば、第1絶縁層13の側面13e、即ち、第1絶縁層13の端部が境界12-1pより第2部分12-2側に位置していることが見て取れる。したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項2は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項2の記載を引用しないものとし、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項3は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
エ 訂正事項4について
(ア)訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項5が請求項1及び請求項1を引用する請求項4、または、請求項2及び請求項2を引用する請求項4の記載を引用する記載であるところ、請求項2及び請求項2を引用する請求項4の記載を引用しないものとし、請求項1および請求項1を引用する請求項4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項4は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
オ 訂正事項5について
(ア)訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項6が請求項1または請求項2の記載を引用する記載であるところ、請求項2の記載を引用しないものとし、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項5は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
カ 訂正事項6について
(ア)訂正の目的
訂正事項6は、訂正前の請求項8の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項2の記載を引用しないものとし、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項6は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
キ 訂正事項7について
(ア)訂正の目的
訂正事項7は、訂正前の請求項9の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項2の記載を引用しないものとし、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項7は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ク 訂正事項8について
(ア)訂正の目的
訂正事項8は、訂正前の請求項11の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項2の記載を引用しないものとし、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項8は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ケ 訂正事項9について
(ア)訂正の目的
訂正事項9は、訂正前の請求項18の記載が訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項17、又は、請求項2及び請求項2を引用する請求項17の記載を引用する記載であったものを、請求項2及び請求項2を引用する請求項17の記載を引用しないものとし、請求項1及び請求項1を引用する請求項17を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項9は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
コ 訂正事項10について
(ア)訂正の目的
訂正事項10は、訂正前の請求項19の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項2の記載を引用しないものとし、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項10は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
サ 訂正事項11について
(ア)訂正の目的
訂正事項11は、訂正前の請求項20の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項2の記載を引用しないものとし、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項11は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
シ 訂正事項12について
(ア)訂正の目的
訂正事項12は、訂正前の請求項24の記載が訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項21、又は、請求項2及び請求項2を引用する請求項21の記載を引用する記載であったものを、請求項2及び請求項2を引用する請求項21の記載を引用しないものとし、請求項1及び請求項1を引用する請求項21を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項12は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項12は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ス 訂正事項13について
(ア)訂正の目的
訂正事項13は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項1の記載を引用しないものとし、請求項2を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項26とするためのものであって、また、訂正前の請求項2の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項13は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項13は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
セ 訂正事項14について
(ア)訂正の目的
訂正事項14は、訂正前の請求項5が請求項1及び請求項1を引用する請求項4、または、請求項2及び請求項2を引用する請求項4の記載を引用する記載であるところ、請求項1及び請求項1を引用する請求項4の記載を引用しないものとし、請求項2および請求項2を引用する請求項4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項27とするためのものであって、また、訂正前の請求項2の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項14は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項14は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ソ 訂正事項15について
(ア)訂正の目的
訂正事項15は、訂正前の請求項6が請求項1または請求項2の記載を引用する記載であるところ、請求項1の記載を引用しないものとし、請求項2を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項28とするためのものであって、また、訂正前の請求項2の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項15は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項15は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
タ 訂正事項16について
(ア)訂正の目的
訂正事項16は、訂正前の請求項7が請求項1及び請求項6、又は、請求項2及び請求項6の記載を引用する記載であるところ、訂正事項15により、訂正前の請求項6が請求項2を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し新たな独立請求項28に改められたことに伴い、新たな請求項28との引用関係の整合を図るためになされたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項16は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項16は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
チ 訂正事項17について
(ア)訂正の目的
訂正事項17は、訂正前の請求項8の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項1の記載を引用しないものとし、請求項2を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項30とするためのものであって、また、訂正前の請求項2の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項17は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項17は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ツ 訂正事項18について
(ア)訂正の目的
訂正事項18は、訂正前の請求項9の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項1の記載を引用しないものとし、請求項2を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項31とするためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項18は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項18は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
テ 訂正事項19について
(ア)訂正の目的
訂正事項19は、訂正前の請求項11の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項1の記載を引用しないものとし、請求項2を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項32とするためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項19は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項19は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ト 訂正事項20について
(ア)訂正事項20は、訂正前の請求項12が請求項1及び請求項11、又は、請求項2及び請求項11の記載を引用する記載であるところ、訂正事項19により、請求項2及び請求項11を引用するものについて請求項間の引用関係を解消し新たな独立請求項32に改められたことに伴い、新たな請求項32との引用関係の整合を図るためになされたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正事項20は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項20は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ナ 訂正事項21について
(ア)訂正事項21は、訂正前の請求項13の記載が訂正前の請求項1、請求項1を引用する請求項11及び請求項11を引用する請求項12、又は、請求項2、請求項2を引用する請求項11及び請求項11を引用する請求項12の記載を引用する記載であったところ、上記訂正事項20により、新たな請求項33との引用関係の整合を図るためになされたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正事項21は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項21は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ニ 訂正事項22について
(ア)訂正の目的
訂正事項22は、訂正前の請求項18の記載が訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項17、又は、請求項2及び請求項2を引用する請求項17の記載を引用する記載であったものを、請求項1及び請求項1を引用する請求項17の記載を引用しないものとし、請求項2及び請求項2を引用する請求項17を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項35とするためのものであって、また、訂正前の請求項2の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項22は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項22は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ヌ 訂正事項23について
(ア)訂正の目的
訂正事項23は、訂正前の請求項19の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項1の記載を引用しないものとし、請求項2を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項36とするためのものであって、また、訂正前の請求項2の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項23は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項23は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ネ 訂正事項24について
(ア)訂正の目的
訂正事項24は、訂正前の請求項20の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項1の記載を引用しないものとし、請求項2を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項37とするためのものであって、また、訂正前の請求項2の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項24は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項24は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ノ 訂正事項25について
訂正事項25は、訂正前の請求項24の記載が訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項21、又は、請求項2及び請求項2を引用する請求項21の記載を引用する記載であったものを、請求項1及び請求項1を引用する請求項21の記載を引用しないものとし、請求項2及び請求項2を引用する請求項21を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項38とするためのものであって、また、訂正前の請求項1の「第1導電層」の「第1部分」及び「第2部分」の「厚さ」の違いから、「段差」が形成され、該「段差」を「第1絶縁層の縁部に沿って配置」することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
本件特許明細書の段落【0039】には「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の端部に沿って形成された段差12sの存在によって応力が緩和されることが見て取れる。したがって、訂正事項25は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項25は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(3)独立特許要件について
本件においては、訂正前の請求項1ないし25について特許異議の申立てがされているから、対応する訂正後の請求項1ないし38に係る発明について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3.小活
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。そして、特許権者から、訂正後の請求項3、請求項5、請求項6、請求項6を引用する請求項7、請求項8、請求項9、請求項11、請求項11を引用する請求項12、13、請求項18、請求項19、請求項20、請求項24、請求項26、請求項27、請求項28、請求項28を引用する請求項29、請求項30、請求項31、請求項32、請求項32を引用する請求項33、34、請求項35、請求項36、請求項37および請求項38については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱われる求めがあったことから、本件訂正後の請求項〔1、2、4、10、14ないし17、21ないし23、25〕、3、5、〔6、7〕、8、9、〔11ないし13〕、18、19、20、24、26、27、〔28、29〕、30、31、〔32ないし34〕、35、36、37、38について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正により訂正された請求項1ないし38に係る発明(以下「本件発明1ないし38」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし38に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分と前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置し、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含む、配線基板。
【請求項2】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分と前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置し、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄い、配線基板。
【請求項3】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第2導電層は、前記第1絶縁層の縁部のうち前記第2部分側に対応する第1縁部から離隔して配置されている、配線基板。
【請求項4】
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第2導電層の縁部と、前記第1絶縁層の縁部のうち前記第2部分側に対応する第1縁部とが揃う部分を含む、請求項1または請求項2に記載の配線基板。
【請求項5】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第2導電層の縁部と、前記第1絶縁層の縁部のうち前記第2部分側に対応する第1縁部とが揃う部分を含み、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第1縁部との間の距離は、前記第2導電層の縁部から前記第1縁部までの距離より小さい、配線基板。
【請求項6】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第1絶縁層の縁部までの距離が、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より小さい、配線基板。
【請求項7】
前記境界は、前記第1絶縁層と前記基板との間に配置されている、請求項6に記載の配線基板。
【請求項8】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より大きい、配線基板。
【請求項9】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第2厚さの10%以上である、配線基板。
【請求項10】
前記第1部分は、前記第2部分に囲まれている、請求項1または請求項2に記載の配線基板。
【請求項11】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1導電層の外縁は、前記第1部分の側面および前記第2部分の側面を含む、配線基板。
【請求項12】
前記第1絶縁層は、前記第1部分の側面を覆う、請求項11に記載の配線基板。
【請求項13】
前記第1絶縁層の一部は、前記第2導電層と前記第1部分の側面とに挟まれる、請求項12に記載の配線基板。
【請求項14】
前記第2部分の表面は、前記第1部分の表面より粗い、請求項1または請求項2に記載の配線基板。
【請求項15】
前記第1導電層は、少なくとも第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含む、請求項1または請求項2に記載の配線基板。
【請求項16】
前記第1導電層の側面には、前記第1膜の側面と前記第2膜の側面とにおいて形成される窪みが配置されている、請求項15に記載の配線基板。
【請求項17】
前記第2部分および前記第1絶縁層に接触する第2絶縁層をさらに備え、
前記第1絶縁層は、無機材料を含み、
前記第2絶縁層は、有機材料を含む、請求項1または請求項2に記載の配線基板。
【請求項18】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第2部分および前記第1絶縁層に接触する第2絶縁層をさらに備え、
前記第1絶縁層は、無機材料を含み、
前記第2絶縁層は、有機材料を含み、
前記第2絶縁層は、開口を有し、
前記第2導電層は、前記開口を規定する前記第2絶縁層の側面と接触し、
前記第2導電層と前記第1絶縁層との間の一部に前記第2絶縁層が配置されている、配線基板。
【請求項19】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置され、前記第2導電層と離隔された導電層をさらに備える、配線基板。
【請求項20】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第1導電層は、前記第2厚さより厚い第3厚さを有し前記第2部分に隣接する第3部分をさらに含み、
前記第1絶縁層は、さらに前記第3部分上に配置され、
前記第2導電層は、前記第1絶縁層に対して前記第3部分とは反対側においても配置されている、配線基板。
【請求項21】
前記基板を貫通する貫通電極をさらに備え、
前記貫通電極は、前記第1導電層に電気的に接続している、請求項1または請求項2に記載の配線基板。
【請求項22】
前記貫通電極は、前記第1導電層と同じ材料で形成され、前記第1導電層から連続的に延びている、請求項21に記載の配線基板。
【請求項23】
前記第1導電層は複数の膜を含み、
前記貫通電極は複数の膜を含み、
前記第1導電層における前記基板に最も近い膜は、前記貫通電極における前記基板に最も近い膜まで、連続して延びている、請求項21に記載の配線基板。
【請求項24】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記基板を貫通する貫通電極をさらに備え、
前記貫通電極は、前記第1導電層に電気的に接続し、
前記第1導電層に接続された前記貫通電極を含むインダクタをさらに備える、配線基板。
【請求項25】
請求項1または請求項2に記載の配線基板と、
前記配線基板に電気的に接続された半導体チップと、
を備える半導体装置。
【請求項26】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第2導電層は、前記第1絶縁層の縁部のうち前記第2部分側に対応する第1縁部から離隔して配置されている、配線基板。
【請求項27】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第2導電層の縁部と、前記第1絶縁層の縁部のうち前記第2部分側に対応する第1縁部とが揃う部分を含み、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第1縁部との間の距離は、前記第2導電層の縁部から前記第1縁部までの距離より小さい、配線基板。
【請求項28】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第1絶縁層の縁部までの距離が、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より小さい、配線基板。
【請求項29】
前記境界は、前記第1絶縁層と前記基板との間に配置されている、許求項28に記載の配線基板。
【請求項30】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より大きい、配線基板。
【請求項31】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第2厚さの10%以上である、配線基板。
【請求項32】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合において、前記第1導電層の外縁は、前記第1部分の側面および前記第2部分の側面を含む、配線基板。
【請求項33】
前記第1絶縁層は、前記第1部分の側面を覆う、請求項32に記載の配線基板。
【請求項34】
前記第1絶縁層の一部は、前記第2導電層と前記第1部分の側面とに挟まれる、請求項33に記載の配線基板。
【請求項35】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第2部分および前記第1絶縁層に接触する第2絶縁層をさらに備え、
前記第1絶縁層は、無機材料を含み、
前記第2絶縁層は、有機材料を含み、
前記第2絶縁層は、開口を有し、
前記第2導電層は、前記開口を規定する前記第2絶縁層の側面と接触し、
前記第2導電層と前記第1絶縁層との間の一部に前記第2絶縁層が配置されている、配線基板。
【請求項36】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置され、前記第2導電層と離隔された導電層をさらに備える、配線基板。
【請求項37】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第1導電層は、前記第2厚さより厚い第3厚さを有し前記第2部分に隣接する第3部分をさらに含み、
前記第1絶縁層は、さらに前記第3部分上に配置され、
前記第2導電層は、前記第1絶縁層に対して前記第3部分とは反対側においても配置されている、配線基板。
【請求項38】
絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記基板を貫通する貫通電極をさらに備え、
前記貫通電極は、前記第1導電層に電気的に接続し、
前記第1導電層に接続された前記貫通電極を含むインダクタをさらに備える、配線基板。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審が令和3年4月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)取消理由1
請求項1、2、4、10、14ないし17、21ないし23、25に係る発明は、本件特許出願の優先日前の特許出願であって、本件特許出願後に特許掲載公報の発行若しくは出願公開の発行がされた下記の特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が本件特許出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でないから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
記
先願:特願2017-246227号(特開2019-114635号公報)(甲第13号証)
(2)取消理由2
請求項1に「前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層」と記載されており、該記載からすれば、「第1絶縁層」の側面の位置は、単に「第2部分」から離隔していればよいことが規定されているといえる。
ここで、発明の詳細な説明の段落【0002】ないし【0004】によれば、本件発明は、MIM(Metal-Insulator-Metal)キャパシタの導電層と絶縁層とは、熱膨張係数に違いがあるため、製造プロセスなどによる熱履歴に応じた伸縮によって、応力が生じ、絶縁層が導電層から剥離したり、絶縁層にクラックが生じたりするところ、応力緩和のため、絶縁層を有機材料である弾性体とする技術が先行技術として存在したが、有機材料は、一般的に誘電正接が大きいため、素子の性能を低下させるという課題を解決するためになされたものである。
そして、発明の詳細な説明の段落【0039】に「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載されおり、また、同段落【0071】に「図16に示す比較例のキャパシタ100Zに比べて、図17に示すキャパシタ100では、段差12sの存在により、応力が緩和される結果が得られた。」と記載され、図17によれば、第1絶縁層13の縁部に沿って形成された段差12sが存在することによって、応力が緩和されることが見て取れる。
しかしながら、発明の詳細な説明及び図面には、「第1絶縁層13」が「第1導電層12の第1部分12-1」より小さく形成され、「第1絶縁層13」の「側面13e」が「境界12-1p」から離れた位置にある場合であっても、応力が緩和されることは記載されておらず、「第1絶縁層13」の「側面13e」が「境界12-1p」から離れたどの位置であっても応力が緩和されるのか明らかではない。そうすると、「第1絶縁層」の側面の位置が「第2部分」から離隔していれば応力が緩和されることが明らかであるとはいえず、上記課題が解決されることが把握できない。
したがって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。また、請求項2に係る発明、及び、請求項1及び請求項2を引用する請求項3ないし請求項25に係る発明も同様である。
よって、請求項1ないし25に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
2 取消理由の判断
(1)取消理由1について
ア 先願明細書等の記載事項及び先願発明
(ア)先願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
「【0001】
本発明は、キャパシタ内蔵ガラス回路基板及びキャパシタ内蔵ガラス回路基板の製造方法に係り、特にキャパシタの高信頼性及び容量の安定化を実現できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高機能化及び小型化に伴って、半導体装置を構成する配線基板の高密度化の要求が高まっている。その中で、回路配線の微細化に合わせて、抵抗、キャパシタ、インダクタ等の受動部品についても小型化が求められている。しかしながら、これら受動部品の小型化と基板表面への高密度実装のみではさらなる小型化には限界がある。そこで、実装基板に受動素子を内蔵化する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術では、受動素子を印刷や真空
成膜法等で形成することで多層基板内に内蔵することで小型化が可能となる。さらに多層基板内に形成することで、配線長を短くすることが可能となり、高周波ノイズを軽減することも可能である。
(中略)
【0008】
上記の課題を解決する手段として、本発明の(本件発明1について)に記載の発明は、ガラス基板と、このガラス基板に積層され、内部に導体回路層が形成された絶縁樹脂層と、前記導体回路層の一部を下部電極とし、この下部電極上に積層形成される誘電体層と、前記誘電体層上に積層形成される上部電極層とを有するキャパシタとを備え、前記下部電極は、前記ガラス基板と前記絶縁樹脂層の積層方向を含む平面における断面視において前記誘電体層側に凸状段差部を有し、前記凸状段差部の表面は凸状段差部以外の表面より、表面粗さが小さく形成された。
(中略)
【0020】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るキャパシタ内蔵ガラス回路基板10の要部を示す縦断面図である。なお、図1中Pはキャパシタ形成部を示している。
【0021】
図1に示すようにキャパシタ内蔵ガラス回路基板10は、ガラス基板100を有している。
【0022】
ガラス基板100には表裏面を貫通する貫通孔101が形成されており、この貫通孔101内壁面及びガラス基板100の両面にわたってシード金属層102が形成されている。シード金属層102には、導体回路層104が形成されている。導体回路層104の一部はキャパシタ109を構成する下部電極105となる。
【0023】
キャパシタ109の導体回路層104の上面(表面)106は、導体回路層の上面106a領域と、下部電極105の上面(凸部の表面)106b領域とが形成されている(図4D参照)。
【0024】
キャパシタ109は、図1に示すように基本的に下部電極と誘電体層と上部電極とから構成されるが、さらに密着層、またはシード層を設けてもよい。従って、一つの形態としては、図4Iに示すように、下部電極105上に下部密着層110、誘電体層111、上部密着層112、シード金属層113を順次設けられている。シード金属層113の上部には上部電極114が形成されている。
【0025】
また、ガラス基板の両面に絶縁樹脂層131を設ける。絶縁樹脂層131には、ビアホール132、積層導体回路層133が形成される。さらに必要に応じて第2の絶縁樹脂層と第2の導体回路層が形成され積層される。最外部に外部接続端子134が形成されている。外部接続端子134の所定部位にははんだボール135が形成されている。
【0026】
次に、各要素の材質、形状等について詳細に説明する。ガラス基板100は、光透過性を有する透明のガラス材料である。ガラスの成分またはガラスに含有される各成分の配合比率、更にガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、ガラスとしては、無アルカリガラス、アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、サファイアガラス、感光性ガラス等が挙げられるが、ケイ酸塩を主成分とするいずれのガラス材料を用いてもよい。さらに、その他のいわゆるガラス材料を用いても良い。ただし、本実施形態にかかる半導体用途では、無アルカリガラスを用いるのが望ましい。また、ガラス基板100の厚さは1mm以下が好ましいが、ガラスの貫通孔形成プロセスの容易性や製造時のハンドリング性を考慮して、より好ましくは0.1mm以上0.8mm以下である。
(中略)
【0029】
シード金属層102はセミアディティブ工法における配線形成用において、電解めっきの給電層として作用する。ガラス基板100直上及び貫通孔101内壁に設けられるシード金属層102は、例えば、スパッタ法、またはCVD法によって形成され、例えば、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO、IZO、AZO、ZnO、PZT、TiN、Cu3N4、Cu合金単体もしくは複数組み合わせたものが用いられている。さらにその上に無電解めっき層(無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき等)が形成されている。
(中略)
【0031】
導体回路層104は、電解銅めっきであることが簡便で安価で、電気伝導性が良好であることから望ましいが、電解銅めっきの他、電解ニッケルめっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等であっても良い。
【0032】
キャパシタ109において、下部密着層110は、下部電極105と誘電体層111との密着性を向上させる機能を有し、上部密着層112は、誘電体層111とシード金属層113との密着性を向上させる機能を有している。下部密着層110及び上部密着層112の材質は、例えばTiである。この他、例えばCu、Ni、Al、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、Cu合金単体もしくは複数組み合わせたものを用いてもよい。Tiは、密着性、電気伝導性、製造の容易性の観点及びコスト面から優れている。
【0033】
下部密着層110及び上部密着層112の厚さは例えば、10nm以上1μm以下であることが望ましい。10nm未満である場合、密着強度が不十分となる虞がある。1μmを超える場合、後述する製造工程において、成膜時間がかかりすぎて量産性に欠けるばかりでなく、不要部分を除去する工程でさらに時間がかかる虞がある。下部密着層110及び上部密着層112の厚さは、より好ましくは10nm以上、500nm以下であることが望ましい。下部密着層110及び上部密着層112はそれぞれ厚さが異なってもよいが、構造上単純になるため同厚であることが望ましい。また、下部電極105と誘電体層111との密着が十分である場合は、下部密着層110はなくてもかまわない。誘電体層111とシード金属層113との密着が十分である場合は、上部密着層112はなくてもかまわない。
【0034】
誘電体層111は、絶縁性、比誘電率の観点からアルミナ、シリカ、シリコンナイトライド、タンタルオキサイド、酸化チタン、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムから選択することができる。誘電体層111の厚さは、10nm以上5μm以下であることが望ましい。誘電体層111の厚さが、10nm以下である場合、絶縁性を保つことができずにキャパシタとしての機能が発現しない。誘電体層111の厚さが、5μm以上の場合、成膜時間がかかりすぎて量産性に欠けるばかりでなく、不要部分を除去する工程でさらに時間がかかってしまう。より好ましくは50nm以上、1μm以下であることが望ましい。
(中略)
【0038】
その後、図1に示すように、ガラス直上の導体回路層104の一部を下部電極としてキャパシタ109を形成した後に絶縁樹脂層131、ビアホール132を形成する。その後、積層導体回路層133と絶縁樹脂層131を繰り返して形成することによって多層配線が形成される。なお、導体回路層104と積層導体回路層133は公知のセミアディティブ法あるいはサブトラクティブ法を用いて形成することができる。さらに積層導体回路層133を形成した後に外部接続端子134を形成する。さらに、外部接続端子134にはんだボール135を形成する。
(中略)
【0051】
図4A~図4Iは、図3F中二点鎖線Pの部分を拡大して示す縦断面図である。なお、これらの図において、ガラス基板100上に形成された導体回路層104上へのキャパシタ形成の一例を記載してあるが、導体回路層104の直上にキャパシタ109を作成することに限定されない。
【0052】
図4Aは、導体回路層104の一部であるキャパシタ109を構成する下部電極105を示している。続いて、図4Bに記載するように下部電極105の上部に導体回路層の上面(表面)106を保護するため、保護層Hを形成する。保護層Hとしては前述のフォトレジストパターンPRを適用することができ、前記と同じ方法で形成することができる。保護層の形成領域はその後のキャパシタ形成領域よりやや大きいことが好ましい。
【0053】
続いて、先ほど図3Fに示したシード金属層102の露出した部分を除去し、回路を電気的に分断することによって、導体回路層104が形成される。露出したシード層を除去する工程では、導体回路層104も同時にエッチングされる。この際、図4Cに記載するように、保護層Hで保護された導体回路層の部分は、 エッチングされず、凸状段差部が形成される。なお、シード層除去方法は本実施形態によって限定されることはないが、無電解Ni層、銅層、チタン層を順次化学エッチングにより除去する方法を用いることができる。エッチング液の種類は除去する金属種により適宜選択され、本実施形態によって限定されない。
【0054】
続いて、図4Dに示すように、不要になった保護層Hを除去する。保護層Hの除去は前述のフォトレジストパターンPRと同様に公知方法のアルカリ水溶液で除去剥離処理を行うことができる。この場合、保護層Hが形成されていた領域は導体回路層104がエッチング液から保護されていたため、エッチングされず、一方、非保護部の導体回路層のみがエッチングされ、導体回路層104上に凸状段差部が形成される。この凸状部は下部電極105としてキャパシタ109が形成される領域となる。
(中略)
【0057】
続いて、図4Fに記載するようにフォトレジストパターンPSを形成する。フォトレジストパターンPSの形成は、前述したフォトレジストパターンPRと同じ方法で行うことができる。この場合、フォトレジストパターンPSの開口領域は導体回路層の凸部上面106bの内側となるように形成し、積層方向における平面視においても内側になるように形成する(図2参照)。
【0058】
続いて、図4Gに示すように、シード金属層113を用いて電解めっき法によって上部電極114を形成する。
【0059】
上述したように、フォトレジストパターンPSは導体回路層の凸部上面106bの内側に開口部が形成されているため、上部電極114は導体回路層の凸部上面106bの内側にのみ形成される。
【0060】
続いて、図4Hに示すように、フォトレジストパターンPSを除去する。フォトレジストパターンPSの除去は公知方法のアルカリ水溶液で除去剥離処理を行うことができる。
【0061】
続いて、図4Iに示すように、上部電極114をマスクとして、シード金属層113、上部密着層112、誘電体層111、及び、下部密着層110の不要部分を除去する。シード金属層113、上部密着層112、誘電体層111、及び、下部密着層110の除去方法は化学エッチング法、ドライエッチング法、いずれも公知方法を用いることができ、各層毎で異なった方法でも、また、全ての層で同じ方法でもよく、本実施形態により限定されない。上述したように、上部電極114は導体回路層の凸部上面106bの内側に形成にされているため、上部電極114をマスクとして不要部分を除去すると誘電体層111は導体回路層の凸部上面106bの内側にのみ形成される。以上の工程によりキャパシタ109が形成される。
【0062】
その後、図1に示すように、ガラス直上の配線回路上にキャパシタ109を形成した後に絶縁樹脂層131、ビアホール132を形成する。その後、積層導体回路層133と絶縁樹脂層131を繰り返して形成することによって多層配線が形成される。なお、導体回路層104と積層導体回路層133は公知のセミアディティブ法あるいはサブトラクティブ法を用いて形成することができる。さらに積層導体回路層133を形成した後に外部接続端子134を形成する。さらに、外部接続端子134にはんだボール135を形成する。
【0063】
本実施形態による回路基板は図1に記載のように片面に積層導体回路層133、外部接続端子134、はんだボール135があってもよく、変形例として図6に示したように両面にあっても良い。さらに半導体チップ136、チップ部品137を搭載してもよい。
【0064】
以下に多層配線の形成方法について説明する。多層配線の形成方法は公知方法を用いることができる。すなわち、多層配線層の絶縁樹脂層131として使用できる例としてはエポキシ樹脂、ポリイミド、マレイミド樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリマー及びこれらの複合材料、あるいは感光性ポリイミド樹脂、感光性ポリベンゾオキサゾール、感光性アクリル-エポキシ樹脂を用いても良い。絶縁樹脂の形成方法は本実施形態により限定されないが、シート状のものであれば真空ラミネート、真空プレス、ロールラミネート法を用いることができる。液状のものであれば、スリットコート、カーテンコート、ダイコート、スプレーコート、静電塗装、インクジェットコート、グラビアコート、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、スピンコート、ドクターコートより選定できる。
(中略)
【0067】
このように構成されたキャパシタ内蔵ガラス回路基板と、このキャパシタ内蔵ガラス回路基板の製造方法によれば、次のような効果が得られる。すなわち、図4Bに示すように、導体回路層の上面106を保護層Hで保護することによって、図4Dに示すように、キャパシタの下部電極層側となる導体回路層の上面106に、シード金属層102のエッチング液に侵されない導体回路層の凸部上面(表面)106bの領域を形成可能である。導体回路層の凸部上面106bは、非保護部導体回路の上面106aと比較して、シード金属層102のエッチング液に侵されていないため滑らかな表面を得ることが可能である。この場合、より滑らかな面上にキャパシタを形成できるため、表面荒れに起因するキャパシタのショート低減や、電極表面積のバラつきに起因する容量のバラつきを低減できるため、歩留まりを向上することが可能である。
(中略)
【0076】
本発明によれば、ガラス基板を有するキャパシタ内蔵回路基板を高い信頼性で製造することが可能となる。なお、キャパシタ内蔵ガラス回路基板は、半導体パッケージ基板、インターポーザ、光学素子用基板の製造、あるいは電子部品の製造に利用することができる。」
図1
「
[図:0001384049000001.jpg]
」
図3F
「
[図:0001384049000002.jpg]
」
図4D
「
[図:0001384049000003.jpg]
」
図4I
「
[図:0001384049000004.jpg]
」
(イ)先願明細書等の上記記載及び図面から、次のことがいえる。
a 段落【0020】によれば、先願明細書等には、キャパシタ内蔵ガラス回路基板10が記載されており、同段落【0038】によれば、キャパシタ内蔵ガラス基板10には、多層配線が形成される。
b 段落【0021】によれば、キャパシタ内蔵ガラス回路基板10は、ガラス基板100を有し、同段落【0022】によれば、ガラス基板100の両面にわたってシード金属層102が形成され、シード金属層102には、導体回路層104が形成される。
また、図3Fによれば、シード金属層102上に導体回路層104が形成されていることが見て取れる。
よって、キャパシタ内蔵ガラス回路基板10は、両面にわたってシード金属層102が形成され、シード金属層102上に導体回路層104が形成されるガラス基板100を有しているといえる。
c 段落【0024】によれば、キャパシタ109は、下部電極と誘電体層と上部電極とから構成される。そして、同段落【0024】の「一つの形態としては、図4Iに示すように、下部電極105上に下部密着層110、誘電体層111、上部密着層112、シード金属層113を順次設けられている。シード金属層113の上部には上部電極114が形成されている。」との記載、及び、同段落【0022】の「導体回路層104の一部はキャパシタ109を構成する下部電極105となる。」との記載からすれば、キャパシタ109は、導体回路層104の一部である下部電極105上に誘電体層111が設けられ、誘電体層111上に上部電極114が形成されるといえる。
d 段落【0023】に「下部電極105の上面(凸部の表面)106b領域」と、同段落【0067】に「図4Dに示すように、キャパシタの下部電極層側となる導体回路層の上面106に、・・・凸部上面(表面)106bの領域を形成可能である。」と、それぞれ記載されており、図4Dによれば、下部電極105上に凸部が形成されることが見て取れる。
よって、下部電極105上には、凸部が形成されるといえる。
e 図4Dによれば、凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みは、凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みより薄いことが見て取れる。
f 段落【0061】によれば、上部電極114は凸部上面106bの内側に形成にされ、誘電体層111は凸部上面106bの内側にのみ形成される。
よって、上記aないしfによれば、先願明細書等には次の発明(以下、「先願発明1」という。)が記載されている。
「両面にわたってシード金属層102が形成され、シード金属層102上に導体回路層104が形成されるガラス基板100と、
導体回路層104の一部である下部電極105上に誘電体層111が設けられ、誘電体層111上に上部電極114が形成されたキャパシタ109とを有し、
下部電極105上には、凸部が形成され、
凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みは、凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みより薄く、
上部電極114は凸部上面106bの内側に形成にされ、誘電体層111は凸部上面106bの内側にのみ形成される、
多層配線が形成されたキャパシタ内蔵ガラス基板10。」
(ウ)上記(イ)で述べた点に加え、先願明細書等の記載(上記(ア)を参照)から、次のことがいえる。
g 【0029】によれば、シード金属層102は、スパッタ法、またはCVD法によって形成され、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO、IZO、AZO、ZnO、PZT、TiN、Cu3N4、Cu合金単体もしくは複数組み合わせたものが用いられ、その上に無電解めっき層(無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき等)が形成されるものであり、同【0031】によれば、導体回路層104は、電解銅めっきにより形成されるものである。
よって、上記(イ)で述べたaないしf、及び上記gによれば、先願明細書等には次の発明(以下、「先願発明2」という。)が記載されている。
「両面にわたってシード金属層102が形成され、シード金属層102上に導体回路層104が形成されるガラス基板100と、
導体回路層104の一部である下部電極105上に誘電体層111が設けられ、誘電体層111上に上部電極114が形成されたキャパシタ109とを有し、
下部電極105上には、凸部が形成され、
凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みは、凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みより薄く、
上部電極114は凸部上面106bの内側に形成にされ、誘電体層111は凸部上面106bの内側にのみ形成され、
シード金属層102は、スパッタ法、またはCVD法によって形成され、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO、IZO、AZO、ZnO、PZT、TiN、Cu3N4、Cu合金単体もしくは複数組み合わせたものが用いられ、その上に無電解めっき層(無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき等)が形成され、
導体回路層104は、電解銅めっきにより形成される、
多層配線が形成されたキャパシタ内蔵ガラス基板10。」
イ 対比・判断
(ア)本件発明1と先願発明1との対比、判断
a 先願発明1の「ガラス基板」は、絶縁性の基板であるから、本件発明1の「絶縁表面を有する基板」に相当する。
b 先願発明1において、「ガラス基板」の「両面にわたってシード金属層102が形成され、シード金属層102上に導体回路層104が形成され」ることから、先願発明1の「導体回路層104の一部である下部電極105」は、「ガラス基板」上に配置されているといえ、本件発明1の「第1導電層」に相当する。
そして、先願発明1において、「下部電極105上には、凸部が形成」され、「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みは、凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みより薄」いところ、「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」と「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」が隣接していることは明らかである。
してみると、先願発明1の「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」と、「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚み」より薄く「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」に隣接する「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」とを含む「導体回路層104の一部である下部電極105」は、本件発明1の「前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層」に相当する。
c 先願発明1の「誘電体層111」は、絶縁層であることは明らかである。
そして、先願発明1の「誘電体層111」は、「凸部上面106bの内側にのみ形成される」ことから、「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」から離れた位置であり、「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」上に配置されるといえる。
してみると、先願発明1の「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」から離れた位置であり、「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」上に配置される「誘電体層111」は、本件発明1の「前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層」に相当する。
d 先願発明1において、「導体回路層104の一部である下部電極105上に誘電体層111が設けられ、誘電体層111上に上部電極114が形成され」、「上部電極114は凸部上面106bの内側に形成され」る。
してみれば、先願発明1の「上部電極114」は、「誘電体層111」に対して「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」とは反対側に配置されているといえ、本件発明1の「前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層」に相当する。
e 先願発明1では「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みは、凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みより薄」いことから、「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」と「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」との厚さの違いにより段差が形成されることは当然のことである。
してみれば、先願発明1において「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」と「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」との厚さの違いにより段差が形成されることと本件発明1とは、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され」る点で共通する。
ただし、段差に関し、本件発明1は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明1はその旨特定されていない点で相違する。
f 本件発明1は「前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分の前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置」するのに対し、先願発明1はその旨特定されていない点で相違する。
g 先願発明1の「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」および「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」が同一材料で形成されていることは明らかであるから、先願発明1は、本件発明1の「前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された」に相当する構成を備える。
h 先願発明1の「キャパシタ内蔵ガラス基板10」は、「多層配線が形成され」ているから、本件発明1の「配線基板」に相当する。
i 上記aないしhによれば、本件発明1と先願発明1とは、次の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「 絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含む、配線基板。」
<相違点1>
段差に関し、本件発明1は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明1はその旨特定されていない点。
<相違点2>
本件発明1は「前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分の前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置」するのに対し、先願発明1はその旨特定されていない点。
j 相違点に対する判断
まず、相違点2について検討する。
先願発明1では「上部電極114は凸部上面106bの内側に形成にされ」るところ、先願明細書の段落【0067】に「図4Dに示すように、キャパシタの下部電極層側となる導体回路層の上面106に、シード金属層102のエッチング液に侵されない導体回路層の凸部上面(表面)106bの領域を形成可能である。導体回路層の凸部上面106bは、非保護部導体回路の上面106aと比較して、シード金属層102のエッチング液に侵されていないため滑らかな表面を得ることが可能である。この場合、より滑らかな面上にキャパシタを形成できるため、表面荒れに起因するキャパシタのショート低減や、電極表面積のバラつきに起因する容量のバラつきを低減できるため、歩留まりを向上することが可能である。」、同段落【0070】に「また、図4F~図4Hに示すように、上部電極114は、導体回路層の凸部上面106bに対して、平面視において内側に形成することによって、キャパシタを導体回路層の凸部上面106bの内側に形成できる。この場合、キャパシタの下部電極層の全面がより滑らかな面である導体回路層の凸部上面106bであるため、より歩留まりを向上することができる。」とそれぞれ記載されていることから、先願発明1は、上部電極114を凸部上面106bの内側に形成することによって、より滑らかな面上にキャパシタを形成し、歩留まりを向上させるものである。
そして、先願明細書の段落【0061】に記載されているように、「誘電体層111」は、上部電極114をマスクとして誘電体層111の不要部分を除去し、凸部上面106bの内側にのみ形成されるから、先願発明1において、「誘電体層111」の端が、凸部上面106bの外側、即ち、「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」と「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」との境界よりも「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」側に位置するように、「誘電体層111」を形成し得ることはないといえる。
したがって、上記相違点2は課題解決のための具体化手段における微差ではない。よって、相違点1について判断するまでもなく、本件発明1に係る発明は、先願発明1と実質同一ではない。
(イ)本件発明2と先願発明2との対比、判断
a 先願発明2の「ガラス基板」は、絶縁性の基板であるから、本件発明2の「絶縁表面を有する基板」に相当する。
b 先願発明2において、「ガラス基板」の「両面にわたってシード金属層102が形成され、シード金属層102上に導体回路層104が形成され」ることから、先願発明2の「シード金属層102」及び「導体回路層104の一部である下部電極105」は、「ガラス基板」上に配置されているといえ、本件発明2の「第1導電層」に相当する。
そして、先願発明2において、「下部電極105上には、凸部が形成」され、「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みは、凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みより薄」いところ、「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」と「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」が隣接していることは明らかである。
してみると、先願発明2の「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」と、「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」の厚みより薄く「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」に隣接する「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」とを含む「導体回路層104の一部である下部電極105」、および、「シード金属層102」は、本件発明2の「前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層」に相当する。
c 先願発明2の「誘電体層111」は、絶縁層であることは明らかである。
そして、先願発明2の「誘電体層111は凸部上面106bの内側にのみ形成される」ことから、「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」から離れた位置であり、「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」上に配置されるといえる。
よって、先願発明2の「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」から離れた位置であり、「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」上に配置される「誘電体層111」は、本件発明2の「前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層」に相当する。
d 先願発明2において、「導体回路層104の一部である下部電極105上に誘電体層111が設けられ、誘電体層111上に上部電極114が形成され」、「上部電極114」は「凸部の上面106bの内側に形成され」る。
してみれば、先願発明2の「上部電極114」は、「誘電体層111」に対して「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分 」とは反対側に配置されているといえ、本件発明2の「前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層」に相当する。
e 先願発明2では「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みは、凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みより薄」いことから、「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」と「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」との厚さの違いにより段差が形成されることは当然のことである。
してみれば、先願発明2において「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」と「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」との厚さの違いにより段差が形成されることと本件発明1とは、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され」る点で共通する。
ただし、段差に関し、本件発明1は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明2はその旨特定されていない点で相違する。
f 本件発明1は、「前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分の前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置」するのに対し、先願発明2はその旨特定されていない点で相違する。
g 先願発明2において、「シード金属層102」は「スパッタ法、またはCVD法によって形成され、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO、IZO、AZO、ZnO、PZT、TiN、Cu3N4、Cu合金単体もしくは複数組み合わせたものが用いられ、その上に無電解めっき層(無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき等)が形成され」るものであり、一方「導体回路層104」は「電解銅めっきにより形成される」ものである。
してみれば、先願発明2の「シード金属層102」と「導体回路層104の一部である下部電極105」とは、その性質が異なることは明らかであり、本件発明2の「前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含」む構成を備えている。
h 先願発明2において、「ガラス基板102」の「両面」にわたって形成された「シード金属層102上」に「導体回路層104」が形成され、「導体回路層104の一部である下部電極105上」に「誘電体層111」が設けられる。
してみれば、先願発明2の「導体回路層104の一部である下部電極105」は、「シード金属層102」と「誘電体層111」に挟まれて配置されているといえ、本件発明2の「前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され」る構成を備える。
i 先願発明2の「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みは、凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分の厚みより薄」いことは、本件発明2の「前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄い」ことに相当する。
j 先願発明2の「キャパシタ内蔵ガラス基板10」は、「多層配線が形成され」ているから、本件発明2の「配線基板」に相当する。
k 上記aないしjによれば、本件発明2と先願発明2とは、
「 絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄い、配線基板。」の点で一致し、
以下の点で相違する。
<相違点3>
段差に関し、本件発明2は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明2はその旨特定されていない点。
<相違点4>
本件発明2は、「前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分の前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置」するのに対し、先願発明2はその旨特定されていない点。
l 相違点に対する判断
まず、相違点4について判断する。
相違点4は、相違点2と同じであるから、相違点2に対する理由と同様に、相違点4は課題解決のための具体化手段における微差(周知技術の付加であって新たな効果を奏するものではないもの)ではない。よって、相違点3について判断するまでもなく、本件発明2に係る発明は、先願発明2と実質同一ではない。
(ウ)本件発明4、10、14ないし17、21ないし23、25について
本件発明4、10、14ないし17、21ないし23、25は、本件発明1又は本件発明2の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであるから、上記(ア)又は(イ)で述べた理由と同じ理由により、本件発明4、10、14ないし17、21ないし23、25は先願発明1又は先願発明2と実質的に同一の発明であるとはいえない。
(エ)小括
以上のとおり、請求項1、2、4、10、14ないし17、21ないし23、25に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と実質同一ではないので、特許法第29条の2に該当しない。
(2)取消理由2について
令和3年4月30日付け取消理由通知において、発明の詳細な説明及び図面には、「第1絶縁層13」が「第1導電層12の第1部分12-1」より小さく形成され、「第1絶縁層13」の「側面13e」が「境界12-1p」から離れた位置にある場合であっても、応力が緩和されることは記載されておらず、「第1絶縁層13」の「側面13e」が「境界12-1p」から離れたどの位置であっても応力が緩和されるのか明らかではないから、「第1絶縁層」の側面の位置が「第2部分」から離隔していれば応力が緩和されることが明らかであるとはいえず、課題が解決されることが把握できない旨通知した。
これに対し、本件訂正により、請求項1、2、及び、請求項1又は請求項2との引用関係を解消して独立請求項へ改めた請求項3、5、6、8、9、11、18ないし20、24、26ないし28、30ないし32、35ないし38に「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」ることが追加されたことにより、請求項1、2、3、5、6、8、9、11、18ないし20、24、26ないし28、30ないし32、35ないし38に係る発明、請求項1又は2を引用する請求項4、10、14、15、17、21、25、請求項6を引用する請求項7、請求項11を引用する請求項12、請求項12を引用する請求項13、請求項15を引用する請求項16、請求項21を引用する請求項22及び請求項23、請求項28を引用する請求項29、請求項32を引用する請求項33、請求項33を引用する請求項34に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものとなった。
したがって、本件の請求項1ないし38に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるということはできない。
(3)特許異議申立人の主張について
ア 取消理由1について
特許異議申立人は、令和3年10月26日付け意見書を提出しているものの、取消理由1について何等意見していない。
イ 取消理由2について
(ア)特許異議申立人は、上記意見書において、a「段差が縁部に沿うことを特定しても側面の位置が「第2部分」から隔離しているかについては不明なままであり、応力が緩和される「第1絶縁層」の側面の位置が明らかになっていません。そもそも、「第1絶縁層」の側面の位置が「第2部分」から離隔している場合の応力の緩和について明細書には何ら記載されていません。」、b「図17には絶縁層13の側面が第1導電層12の段差部12sの側面と一致している場合のシミュレーションが示されていますが、このシミュレーションの条件については「所定の設計条件」と記載されているだけであり、当業者が確認可能に記載されているとはいえません。」、c「また、図17は「第1実施形態に係るキャパシタの第1導電層の応力分布を説明する図である。」と記載されていますが、第1実施形態は図4に示されるとおりの段差部12sの関係は、図17の図示内容と整合しておらず、第1実施形態でどのような応力分布になるのか当業者に理解できるものではありません。さらに、段落【0058】の第1実施形態の説明では、d2は0.2μmである場合であると記載され、図17のように0μmとなる場合もある旨記載されていることから、図17のシミュレーションは0μmの場合と理解されます。しかしながら、d2が0.2μmの場合の応力分布が図17に記載されたようになるのか当業者には理解できないものと思われます。」、d「下部電極上にある絶縁層の端部で特に強く生じる応力を、従来のキャパシタよりも緩和すること(段落【0035】を参照)から考えると、導電層と導電層に接する絶縁層の端部の位置が影響するものと考えられます。そのため、図17のシミュレーションでは、訂正事項bの「前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分と前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置」することを特定している請求項1および請求項2に記載された発明が、課題が解決できるものであるのか明らかではありません。」、e「訂正事項aのみで特定されている請求項は段差部と絶縁層の側面が一致しない場合を含むものであり、仮に段差部と絶縁層の側面が一致することで発明の課題が解決されるとしても、訂正事項aのみで特定された請求項は課題が解決できる範囲を超えているものであります。」、とそれぞれ主張する。(第8頁12行ないし第9頁16行を参照)
(イ)特許異議申立人の上記各主張について検討する。
(a)本件発明1では、「第1導電層」は「第1部分」及び「第1部分」が有する「第1厚さよりも薄い第2厚さ」を有する「第2部分」を含み、「第1絶縁層」は「第2部分から離隔して第1部分上に配置」され、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違い」によって「段差」が形成され、該「段差」が「第1絶縁層の縁部に沿って配置され」る。
ここで、本件特許明細書の段落【0057】、【0059】によれば、「第1絶縁層13」の「側面13e」は「第1絶縁層13の縁部」に対応することから、本件発明1において「第1絶縁層」の「側面」が「段差」の大きさ分だけ「第2部分」から隔離し、「段差」は「第1絶縁層」の「側面」に沿って配置されているといえ、「段差」と「第1絶縁層」の「側面」との位置関係は明らかである。
そして、同段落【0039】の「第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」、同段落【0055】の「キャパシタ100のうち、段差12s近傍の詳細の構造について説明する。・・・。すなわち、第1部分12-1の上面12-1uは、第1絶縁層13と接触する。一方、第2部分12-2の上面12-2uは、第1絶縁層13と離隔している。」との記載及び図4を参照すれば、本件特許明細書には、「第1絶縁層」の側面の位置が「第2部分」から「段差」の大きさの分だけ離隔し、「第1絶縁層」の「側面」に沿って形成された「段差」の存在によって第1絶縁層の応力が緩和されることが記載されているといえる。
(b)また、本件特許明細書【0071】に「図16と図17とを比較すると、図16に示す比較例のキャパシタ100Zに比べて、図17に示すキャパシタ100では、段差12sの存在により、応力が緩和される結果が得られた。」と記載されており、図16及び図17を参照すれば、シミュレーションの設定条件を明らかにせずとも、段差の存在によって応力が低減していることは明確に把握できる。
(c)そして、図17に関して、本件特許明細書には、第1絶縁層13の側面と、段差12s、即ち、第1導電層12の第1部分12-1と第2部分12-2との境界との位置関係については明記されていないものの、本件特許明細書の段落【0039】の「この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」、同【0070】の「上述したキャパシタ100は、段差12sにより第1絶縁層13が受ける応力が低減される。」、同【0071】の「図16に示す比較例のキャパシタ100Zに比べて、図17に示すキャパシタ100では、段差12sの存在により、応力が緩和される結果が得られた。」との記載からすれば、図4に示される第1実施形態においても、段差部12sの存在によって応力が緩和されることは容易に理解し得ることである。
(d)本件特許明細書の段落【0039】の「第1導電層12のうち、第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。この段差12sが存在することによって、第1絶縁層13への応力が緩和される。」と記載され、図17によれば、キャパシタ100には第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成され、図16の比較例よりも応力が低減していることが見て取れ、また、本件特許明細書には、「第1絶縁層13」の「側面13e」が、「第1部分12-1」と「第2部分12-2」との「境界12-1p」より、「第2部分12-2」側に位置する場合、応力が増加することは記載されていない。
してみれば、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」、「前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分の前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置」することが追加された本件発明1は、応力を緩和するという課題を解決できることは明らかである。
(e)上記(d)で述べたように、本件特許明細書の段落【0039】の記載及び図17からすれば、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されることにより、応力が緩和されるのであるから、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項のみが追加された請求項に係る発明は、応力を緩和するという課題を解決できることは明らかである。
そして、上記段落【0039】の「第1絶縁層13の縁部近傍には、第1絶縁層13の縁部に沿って段差12sが形成されている。」との記載から、「段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項のみが追加された請求項に係る発明においても、「第1絶縁層」の「縁部」近傍に「段差」が形成されることは明らかであり、「第1絶縁層」の「縁部」近傍に「段差12s」が形成されることにより、応力が緩和されることは明らかである。
してみれば、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項のみが追加された請求項に係る発明は、課題が解決できる範囲を越えているとはいえない。
(f)以上から、特許異議申立人の主張は採用できない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立て理由の概要
特許異議申立書における特許異議申立ての要旨は、次のとおりである。
(1)申立理由1(特許法第29条第1項第3号)
訂正前の請求項1ないし3、6ないし8、10、15ないし18、20ないし24に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1ないし3、6ないし8、10、15ないし18、20ないし24に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)申立理由2(特許法第29条第2項)
訂正前の請求項1ないし13、15ないし24に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明に基づいて、
訂正前の請求項25に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明、甲第6号証に記載された技術に基づいて、
本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これら請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)申立理由3(特許法第29条の2)
訂正前の請求項1ないし4、8ないし10、14ないし18、21ないし25に係る発明は、本件特許の優先日前の特許出願であって、本件特許の出願後に出願公開がされた甲第13号証の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の出願の発明者が本件特許の出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が上記特許の出願人と同一でもないから、これら請求項に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
(4)申立理由4(特許法第36条第4項第1号及び同第6項第1号)
訂正前の請求項4、5に記載された発明は発明の詳細な説明に記載されたものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
訂正前の請求項4、5に記載された発明を当業者が実施することができる程度に発明の詳細な説明に記載されておらず、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
甲第1号証:特開2018-073888号公報
甲第2号証:特許第4447881号公報
甲第3号証:特開平11-177244号公報
甲第4号証:特許第5295199号公報
甲第5号証:特開2018-022894号公報
甲第6号証:特開2018-093061号公報
甲第7号証:特許第4916715号公報
甲第8号証:特開2017-139422号公報
甲第9号証:特開2018-074134号公報
甲第10号証:特開2007-294580号公報
甲第11号証:特開2008-135648号公報
甲第12号証:特開2010-118417号公報
甲第13号証:特開2019-114635号公報
2 異議申立の対象請求項について
本件では訂正前の請求項1ないし25について特許異議の申立がされている。
その後になされた本件訂正請求について、上記第2で判断したとおり、訂正は全て認められる。
してみると、本件訂正前後の請求項の対応関係から、本件訂正後の請求項26ないし38に係る発明は、異議申立がされた訂正前の請求項3、5、6ないし9、11ないし13、18、19、20、24に係る発明の請求項2を引用する部分を新たな請求項とし、さらに減縮するものであるから、本件訂正後の請求項26ないし38に係る発明も申立人による異議申立ての対象である。
3 甲第1号証ないし甲第12号証の記載事項
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0020】
図1に示すように、本実施形態の電子部品1は、基材の一例である基板2と、第1キャパシタ3と、第2キャパシタ4と、パッシベーション層5とを有する。基板2は、例えば、絶縁基板または半導体基板である。図3に示すように、第1キャパシタ3と第2キャパシタ4とは、直列接続されている。第1キャパシタ3と第2キャパシタ4とは、いずれも薄膜状のキャパシタすなわち薄膜キャパシタである。
【0021】
図1に示すように、第1キャパシタ3は、順に、基板2すなわち第1表面21上の第1電極31と、第1電極31上の第1誘電体32と、第1誘電体32上の第2電極33とを有する。図1の例において、第1電極31は、基板2の第1表面21に直接接している。基板2の第1表面21と第1電極31との間には、シリコン酸化膜などの他の膜が位置していてもよい。
【0022】
図1に示すように、第2キャパシタ4は、順に、第2電極33と、第2電極33上の第2誘電体41と、第2誘電体41上の第3電極42とを有する。
【0023】
パッシベーション層5は、各電極31、33、42および各誘電体32、41の端縁を被覆している。一方、パッシベーション層5は、キャパシタ3、4への電圧印加のために配線を接続することが必要な領域は被覆していない。図1の例において、パッシベーション層5は、第1電極31の一部の領域と第3電極42の中央側の領域とを露出させるように各電極31、33、42および各誘電体32、41の端縁を被覆している。
(省略)
【0028】
(電極31、33、42の外形)
上記構成に加えて、更に、本実施形態の電子部品1は、図2に示すように、平面視において、第2電極33の外形が、第1電極31の外形に包含され、また、第3電極42の外形が、第2電極33の外形に包含されている。
(省略)
【0032】
ここで、3つの電極31、33、42のうち、最下層の第1電極31と最上層の第3電極42は、キャパシタ33、41の電極としての機能と、配線としての機能とを兼ねることがある。配線として機能する場合、第1電極31および第3電極42は、厚み方向D1に直交する面方向D2に十分な電流を流すことが求められる。面方向D2に十分な電流を流すために、第1電極31および第3電極42は、面方向D2の電気抵抗値が低いこと、すなわち、ある程度の厚みt1、t3があることが求められる。したがって、第1電極31および第3電極42を配線として機能させる観点から、各電極31、42の薄型化には一定の限界がある。
(省略)
【0036】
図4Aは、本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。先ず、図4Aに示すように、基板2を準備する。
【0037】
図4Bは、図4Aに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。基板2を準備した後、図4Bに示すように、基板2上に金属の第1シード層311を形成する。第1シード層311の形成は、例えば、スパッタ、蒸着または無電解めっき法等の成膜方法で行ってもよい。第1シード層311を構成する金属は、例えば、Ni、Cu、TiまたはCrなどであってもよい。
【0038】
図4Cは、図4Bに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。第1シード層311を形成した後、図4Cに示すように、第1シード層311上にレジスト7を塗布する。そして、フォトリソグラフィ法等によって、第1電極31に対応する範囲内の第1シード層311が露出するように、レジスト7をパターニングする。
【0039】
図4Dは、図4Cに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。レジスト7をパターニングした後、図4Dに示すように、第1シード層311上に、電解めっき法によって第1金属層312を形成する。これにより、第1シード層311と第1金属層312とを含む第1電極31が形成される。第1金属層312は、例えば、Cuであってもよい。
【0040】
図4Eは、図4Dに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。第1電極31を形成した後、図4Eに示すように、レジスト7を剥離する。
【0041】
図5Aは、図4Eに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。レジストを剥離し、エッチングによって第1金属層312で覆われていない第1シード層311を除去した後、第1電極31および基板2上にTi、Cr、Ni等の金属からなる不図示の密着層を形成する。密着層を形成した後、図5Aに示すように、第1電極31および基板2上に第1誘電体32を形成する。第1誘電体32の形成は、例えば、気相成長法、スパッタ法、原子層堆積法等で行ってもよい。また、第1誘電体32は、例えば、無機酸化物や無機窒化物などの無機化合物であってもよい。
【0042】
図5Bは、図5Aに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。第1誘電体32を形成した後、図5Bに示すように、第1誘電体32上に、第2電極33に対応する範囲にわたってレジスト7をパターニングする。
【0043】
図5Cは、図5Bに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。第1誘電体32上にレジスト7をパターニングした後、図5Cに示すように、レジスト7をマスクとして第1誘電体32の不要部分を除去し、その後、レジスト7を剥離する。
【0044】
図5Dは、図5Cに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。第1誘電体32の不要部分を除去した後、図5Dに示すように、基板2、第1電極31および第1誘電体32上に、第2シード層331を形成する。第2シード層331の形成方法および材質は、第1シード層311と同じであってもよい。
【0045】
図6Aは、図5Dに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。第2シード層331を形成した後、図6Aに示すように、第2シード層331上にレジスト7を塗布する。そして、フォトリソグラフィ法等によって、第2電極33に対応する範囲内の第2シード層331が露出するように、レジスト7をパターニングする。
【0046】
図6Bは、図6Aに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。レジスト7をパターニングした後、図6Bに示すように、第2シード層331上に第2金属層332を形成する。これにより、第2シード層331と第2金属層332とを含む第2電極33が形成される。第2金属層332の形成方法および材質は、第1金属層312と同じであってもよい。
【0047】
図6Cは、図6Bに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。第2電極33を形成した後、図6Cに示すように、レジスト7を剥離する。
【0048】
図7Aは、図6Cに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。レジスト7を剥離した後、図7Aに示すように、基板2の上面を全面エッチングすることで、第2シード層331の不要部分を除去するとともに、第2電極33の厚みを減少させる。
(省略)
【0076】
(第3の変形例)
次に、第1キャパシタ3および第2キャパシタ4に並列接続された追加のキャパシタを備えた第3の変形例について説明する。図12は、本実施形態の第3の変形例による電子部品1を示す断面図である。
【0077】
図12に示すように、第3の変形例の電子部品1は、第2の変形例と同様に、基材2上の第4電極81と、第4電極81上の第3誘電体82と、第3誘電体82上の第5電極83とを有する第3キャパシタ8を備える。一方、第3の変形例の電子部品1は、第2の変形例の電子部品1に対して、第4キャパシタ9が省略されている点で異なる。より具体的には、第3の変形例において、配線10は、第3電極42および第5電極83の双方に接するように設けられている。
【0078】
第3の変形例の電子部品1は、第2誘電体41を形成するときに、第4誘電体91の形成を省略し、また、第3電極42を形成するときに第6電極92の形成を省略することで得ることができる。
(省略)
【0095】
図16に示すように、第7の変形例の電子部品1は、図1の電子部品1の構成に加えて、更に、第2インダクタ14と、第2インダクタ14と第1電極31とを接続する配線15とを備えている。
【0096】
図16に示すように、第2インダクタ14は、厚み方向D1に基板2を貫通し、配線15を介して第1表面21上において第1電極31に接続された第1貫通電極141と、第2表面22上において第1貫通電極141に接続された導電層142と、第2表面22上において導電層142に接続され、第1貫通電極141と異なる位置において厚み方向D1に基板2を貫通する第2貫通電極143とを有する。
【0097】
第7の変形例の電子部品1は、第6の変形例の電子部品1と同様に、第1キャパシタ3および第2キャパシタ4と第2インダクタ14とによるLC共振回路を構成することができる。第7の変形例の電子部品1は、第6の変形例の電子部品1と比べてインダクタ14とキャパシタ3、4との間の配線長を短縮できる。配線長を短縮できることで、損失を低減し、クオリティ・ファクタすなわちQ値を大きくすることができる。
(省略)
【0110】
また、本開示の電子部品1の具体的な使用態様は特に限定されない。例えば、電子部品1は、無線通信モジュールのベースバンドICとパワーアンプICとを中継するインターポーザ基板に組み込まれてもよく、または、既存の基板に搭載されてもよく、あるいは、それ自体がパッケージされた電子部品を構成してもよい。」
図1
「
[図:0001384049000005.jpg]
」
図2
「
[図:0001384049000006.jpg]
」
図4E
「
[図:0001384049000007.jpg]
」
図6C
「
[図:0001384049000008.jpg]
」
図7A
「
[図:0001384049000009.jpg]
」
図12
「
[図:0001384049000010.jpg]
」
図16
「
[図:0001384049000011.jpg]
」
イ 甲第1号証の上記記載及び図面から、次のことがいえる。
(ア)段落【0020】によれば、甲第1号証には、「絶縁基板である」「基板2」が記載されている。
(イ)同段落【0020】の「図1に示すように、本実施形態の電子部品1は、基材の一例である基板2と、第1キャパシタ3と、第2キャパシタ4と、パッシベーション層5とを有する。」と記載され、図1によれば、基板2上に第1キャパシタが配置されていることが見て取れる。
よって、甲第1号証には、基板2上に第1キャパシタが配置されているといえる。
(ウ)段落【0021】によれば、第1キャパシタ3は、順に、基板2すなわち第1表面21上の第1電極31と、第1電極31上の第1誘電体32と、第1誘電体32上の第2電極33とを有する。
(エ)段落【0028】によれば、平面視において、第2電極33の外形が、第1電極31の外形に包含される。
(オ)段落【0032】によれば、第1電極31は、キャパシタの電極としての機能と、配線としての機能とを兼ねる。
(カ)段落【0039】、【0041】、【0046】によれば、第1電極31は第1シード層311と第1金属層312とを含み、第1誘電体32は気相成長法、スパッタ法、原子層堆積法等で形成され、第2電極33は第2シード層331と第2金属層332とを含む。
よって、上記(ア)ないし(カ)によれば、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明1」という。)が記載されている。
「絶縁基板である基板2と、
基板2上に第1キャパシタが配置され、
第1キャパシタ3は、順に、基板2すなわち第1表面21上の第1電極31と、第1電極31上の第1誘電体32と、第1誘電体32上の第2電極33とを有し、
平面視において、第2電極33の外形が、第1電極31の外形に包含され、
第1電極31は、キャパシタの電極としての機能と、配線としての機能とを兼ね、
第1電極31は第1シード層311と第1金属層312とを含み、
第1誘電体32は気相成長法、スパッタ法、原子層堆積法等で形成され、
第2電極33は第2シード層331と第2金属層332とを含む、基板2。」
ウ 上記「イ」で述べた点に加え、甲第1号証の記載(上記「ア」を参照)から、次のことがいえる。
(キ)段落【0037】によれば、基板2上にNi、Cu、TiまたはCrなどの金属からなる第1シード層311がスパッタ、蒸着または無電解めっき法等の成膜方法で形成され、段落【0039】によれば、第1シード層311上にCuからなる第1金属層312が電解めっき法により形成され、第1シード層311と第1金属層312とを含む第1電極31が形成される。
よって、上記イで述べた(ア)ないし(カ)、及び上記(キ)によれば、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されている。
「絶縁基板である基板2と、
基板2上に第1キャパシタが配置され、
第1キャパシタ3は、順に、基板2すなわち第1表面21上の第1電極31と、第1電極31上の第1誘電体32と、第1誘電体32上の第2電極33とを有し、
平面視において、第2電極33の外形が、第1電極31の外形に包含され、
第1電極31は、キャパシタの電極としての機能と、配線としての機能とを兼ね、
基板2上にNi、Cu、TiまたはCrなどの金属からなる第1シード層311がスパッタ、蒸着または無電解めっき法等の成膜方法で形成され、第1シード層311上にCuからなる第1金属層312が電解めっき法により形成され、
第1シード層311と第1金属層312とを含む第1電極31が形成され、
第1誘電体32は気相成長法、スパッタ法、原子層堆積法等で形成され、
第2電極33は第2シード層331と第2金属層332とを含む、基板2。」
(2)甲第2号証
ア 甲第2号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0016】
図1に示すように、例えば膜厚5μmのポリイミド樹脂膜より成る支持基材10上には、例えば膜厚300nmのCr膜と膜厚700nmのAu膜とを順次積層して成る下部電極12が形成されている。
【0017】
下部電極12上には、例えば膜厚100nmのBaXSr1-XTiO3(以下、「BST」という)より成る誘電体膜14が形成されている。
【0018】
誘電体膜14上には、例えば膜厚100nmのAu膜より成る上部電極16が形成されている。
【0019】
下部電極12と誘電体膜14と上部電極16とを有するキャパシタ18が構成されている。
【0020】
支持基材10上及びキャパシタ18上には、全面に、例えば膜厚3μmのポリイミドより成る保護膜20が形成されている。」
図1
「
[図:0001384049000012.jpg]
」
イ 甲第2号証の上記記載及び図面から、次のことがいえる。
(ア)段落【0016】ないし【0019】によれば、支持基材10上に下部電極12が形成され、下部電極12上に誘電体膜14が形成され、誘電体膜14上に上部電極16が形成されて、キャパシタ18が構成される。
(イ)図1によれば、右から2番目のキャパシタの誘電体膜14と上部電極16の縁部が揃えることが見て取れる。
よって、上記(ア)、(イ)によれば、甲第2号証には、次の技術事項(以下、「甲第2号証の技術事項」という。)が記載されている。
「支持基材10上に下部電極12が形成され、下部電極12上に誘電体膜14が形成され、誘電体膜14上に上部電極16が形成されて構成されたキャパシタ18において、誘電体膜14と上部電極16の縁部が揃えること。」
(3)甲第3号証
ア 甲第3号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0022】実際上このコンデンサ19においては、図2に示すように、最上層のガラスセラミツク基板11A上に設けられた導体層12A上に銅及び酸素の拡散防止のためのバリアメタル層20が形成されると共に、当該バリアメタル層20上に高誘電体材料からなる高誘電体層21が積層形成され、当該高誘電体層21上に金等の電極材料からなる上部電極層22が積層形成されることにより構成されている。」
図2
「
[図:0001384049000013.jpg]
」
イ 甲第3号証の上記記載及び図面から、次のことがいえる。
(ア)段落【0022】によれば、ガラスセラミツク基板11A上に設けられた導体層12A上に、高誘電体層21が積層形成され、当該高誘電体層21上に、上部電極層22が積層形成されることによりコンデンサ19が構成される。
(イ)図2によれば、高誘電体層21と上部電極層22の端部が揃えることが見て取れる。
よって、上記(ア)、(イ)によれば、甲第3号証には、次の技術事項(以下、「甲第3号証の技術事項」という。)が記載されている。
「支ガラスセラミツク基板11A上に設けられた導体層12A上に、高誘電体層21が積層形成され、当該高誘電体層21上に、上部電極層22が積層形成されることにより構成されるコンデンサ19において、高誘電体層21と上部電極層22の端部を揃えること。」
(4)甲第4号証
甲第4号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0037】
この時、エッチングで金属層の一部を除去して所定のパターンを形成する場合、エッチング工程自体の属性から、基板などにより支持されないパターンの上端部は面積が狭くなるので所定の偏差が発生する。これをエッチング偏差といい、以下、図2及び図3を参照して、下部電極120の厚みに応ずるエッチング偏差の差を説明する。
【0038】
図2及び図3を参照し、絶縁層210、310上に金属層が形成された銅箔積層板にキャパシタを形成するために金属層の一部をエッチングで除去して下部電極220、320を形成する場合について説明する。この場合、誘電層240、340に接する下部電極220、320の上端部が銅箔積層板の絶縁層210、310に接する下部電極220、320の下端部に比して面積が狭く形成されるので、結局、誘電層240、340に接する面積にエッチング偏差d1、d2が発生してキャパシタの静電容量に誤差が発生する。」
図2
「
[図:0001384049000014.jpg]
」
上記記載及び図面によれば、甲第4号証には、次の技術事項(以下、「甲第4号証の技術事項」という。)が記載されている。
「絶縁層210上に金属層が形成された銅箔積層板にキャパシタを形成するために金属層の一部をエッチングで除去して下部電極220を形成する場合、誘電層240に接する下部電極220の上端部が絶縁層210に接する下部電極220の下端部に比して面積が狭く形成されること。」
(5)甲第5号証
甲第5号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0069】
図5A(a)に示すように、シリコン基板などの基板501上に、プラズマCVDを用いて、膜厚が3μmのSiO2膜(P-SiO2膜)502を形成する。次に、スパッタリングにより、膜厚が0.1μmのTi膜503と、膜厚が0.3μmのCu膜504aを成膜する。Ti膜503は、基板501にCuが拡散しないようにするためのバリアメタル膜としての役割を果たす。また、Cu膜504aは、電解メッキによりCuを成長させるためのシードとしての役割を果たす。なお、ここでは、Ti以外のバリアメタルの材料として、TiNや高融点金属のTaなどを用いることも可能である。
【0070】
次に、図5A(b)に示すように、Cu膜504aの上にフォトレジストを塗布した後に、露光及び現像を行うことにより配線パターン505を形成する。その後、電解メッキを用いて配線パターン505より露出しているCu膜504a上に膜厚が4.4μmとなるようにCu膜504を成長させる。なお、本実施形態では、ここでのCuは第1層の配線材料として用いられ、配線の厚さの設計寸法値は4.0μmとしている。
【0071】
次に、Cuを成長させた後に配線パターン505を形成するフォトレジストを有機溶媒により除去し、図5A(c)の構造を得る。なお、フォトレジストの除去には、有機溶媒を用いる代わりに、酸素プラズマによるアッシングを用いることもできる。
【0072】
次に、図5A(d)に示すように、配線パターン505により覆われていたCu膜504aの部分及びTi膜503の部分を、酸性の水溶液によって除去し、第1層におけるCu配線504bを形成する。配線パターン505により覆われていた部分のCu膜504aの除去により、膜厚が4.4μmであったCu膜504の膜厚は約4.0μmに減少し、設計寸法値を達成することができる。なお、酸性の水溶液を用いてCu膜504a及びTi膜503を除去する代わりに、イオンミリングを用いることもできる。
【0073】
酸性の水溶液を用いる場合には、図6に示すようにアンダーカット601が大きくなり、特に配線の幅が5μm以下になると、Cu配線504bと下地の基板との間での十分な密着性が取れなくなり、Cu配線が自身の応力などによって剥離してしまうことがある。一方、イオンミリングを用いる場合には、このようなアンダーカットが起こり難いので、微細な配線形成が可能となる。」
図5A
「
[図:0001384049000015.jpg]
」
図6
「
[図:0001384049000016.jpg]
」
上記記載及び図面によれば、甲第5号証には、次の技術事項(以下、「甲第5号証の技術事項」という。)が記載されている。
「基板501上にTi膜503と、Cu膜504aを成膜し、Cu膜504aの上にフォトレジストを塗布した後に、露光及び現像を行うことにより配線パターン505を形成し、電解メッキを用いて配線パターン505より露出しているCu膜504a上にCu膜504を成長させ、Cuを成長させた後に配線パターン505を形成するフォトレジストを除去し、配線パターン505により覆われていたCu膜504aの部分及びTi膜503の部分を、酸性の水溶液によって除去し、Cu配線504bを形成する場合には、アンダーカット601が大きくなり、Cu配線504bと下地の基板との間での十分な密着性が取れなくなること。」
(6)甲第6号証
ア 甲第6号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0020】
図1に示すように電子部品10は、ガラスコア基板20を有している。このガラスコア基板20の上面には、第1上側多層配線層130A、第2上側多層配線層130Bが順次積層配置されている。また、ガラスコア基板20の下面には、第1下側多層配線層130C、第2下側多層配線層130Dが順次積層配置されている。
【0021】
ガラスコア基板20は、ガラス基材100を有している。ガラス基材100には貫通孔101が形成されており、この貫通孔101内壁面及びガラス基材100の両面にわたってシード金属層102が形成されている。さらにシード金属層102は、銅めっき層(導体部)103によって覆われている。銅めっき層103の所定位置には外部接続端子104及びMIMキャパシタ109が形成されている(図17参照)。
【0022】
MIMキャパシタ109は、図17に示すように、銅めっき層103上全面に下部電極110、誘電体層111、上部電極112、シード金属層113を順次設けられている。シード金属層113の上部には上部電極114が形成されている。
【0023】
上述したガラス基材100の両面にわたって絶縁樹脂層120が形成され、銅めっき層103、外部接続端子104、MIMキャパシタ109を覆っている。
【0024】
第1上側多層配線層130Aは、絶縁樹脂層131を備えている。絶縁樹脂層131にはビアホール132や、導体回路133が形成されている。導体回路133の所定部位には外部接続端子134が形成されている。なお、第2上側多層配線層130B、第1下側多層配線層130C、第2下側多層配線層130Dについても同様である。」
「【0064】
図19は本発明の第3の実施形態に係る電子部品10Bを示す縦断面図である。なお、なお、以下の説明において、図1及び図18と同一要素又は同一機能を有する各部分には、同一符号を用いて、重複する説明は省略する。
【0065】
電子部品10Bにおいては、はんだボール135が両面にあっても良い。さらに半導体チップ150やチップ部品151を搭載してもよい。」
図1
「
[図:0001384049000017.jpg]
」
図17
「
[図:0001384049000018.jpg]
」
図19
「
[図:0001384049000019.jpg]
」
イ 図17によれば、下部電極110と誘電体層111の縁部を揃えることが見て取れる。
よって、上記記載及び図面によれば、甲第6号証には、次の技術事項(以下、「甲第6号証の技術事項1」という。)が記載されている。
「ガラスコア基板20に形成され、下部電極110、誘電体層111、上部電極112、シード金属層113が順次設けられたMIMキャパシタ109において、下部電極110と誘電体層111の縁部を揃えること。」
ウ また、上記記載及び図面によれば、甲第6号証には、次の技術事項(以下、「甲第6号証の技術事項2」という。)も記載されている。
「ガラスコア基板20は、ガラス基材100を有し、ガラス基材100には貫通孔101が形成され、貫通孔101内壁面及びガラス基材100の両面にわたってシード金属層102が形成されて、シード金属層102は、銅めっき層(導体部)103によって覆われ、銅めっき層103上全面にMIMキャパシタ109の下部電極110を設けること。」
エ 図19によれば、ガラスコア基板20に半導体チップ150を搭載することが見て取れる。
よって、上記記載及び図面によれば、甲第6号証には、次の技術事項(以下、「甲第6号証の技術事項3」という。)も記載されている。
「上面に第1上側多層配線層130A、第2上側多層配線層130Bが順次積層配置され、下面に第1下側多層配線層130C、第2下側多層配線層130Dが順次積層配置されたガラスコア基板20に半導体チップ150を搭載すること。」
(7)甲第7号証
ア 甲第7号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0023】
キャパシタ10A,10Bは、各々、電極膜11,12および誘電体膜13からなる積層構造を有する。キャパシタ10A,10Bの積層構成を図5に示す。
(省略)
【0039】
次に、図7(c)に示すように、レジストパターン66および誘電体膜13をマスクとして利用して、露出している金属膜63をエッチング除去する。これにより、キャパシタ10の電極膜11および第1配線部41がパターン形成される。エッチング手法としては、イオンミリング法やウエットエッチング法を採用することができる。本工程の後、レジストパターン66を除去する。
【0040】
次に、図8(a)に示すように、所定のレジストパターン(図示略)を使用して行う電気めっき法により、所定箇所に導電材料を成長させる。これにより、キャパシタ10の電極膜12、コイルインダクタ20、および電極パッド30の本体部を形成することができる。
【0041】
次に、図8(b)に示すように、保護膜50を形成する。保護膜50は、電極膜12の一部、第1配線部41の一部、および電極パッド30の本体部の一部を露出させるための開口部51,52,53を有する。
【0042】
次に、図8(c)に示すように、所定のレジストパターン(図示略)を使用して行う電気めっき法により、所定箇所に導電材料を成長させる。これにより、第2配線部42、第3配線部43、および電極パッド30の表層部を形成することができる。以上のようにして、図1に示す集積型電子部品Xを製造することができる。」
図7(c)
「
[図:0001384049000020.jpg]
[図:0001384049000021.jpg]
」
図8c
「
[図:0001384049000022.jpg]
」
イ 図7c、図8cによれば、誘電体膜13の下面側に位置する電極膜11の側面を誘電体膜13が覆うことが見て取れる。
よって、上記記載及び図面によれば、甲第7号証には、次の技術事項(以下、「甲第7号証の技術事項」という。)が記載されている。
「電極膜11,12および誘電体膜13からなる積層構造を有するキャパシタにおいて、誘電体膜13の下面側に位置する電極膜11の側面を誘電体膜13が覆うこと。」
(8)甲第8号証
ア 甲第8号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0036】
無機誘電体層5上に、コンデンサ用上部電極32が直接設けられ、上部電極32は、無機誘電体層5を介して下部電極31に対向する。このように、下部電極31と、上部電極32と、下部電極31と上部電極32との間の無機誘電体層5とが、コンデンサ3を構成する。
(省略)
【0038】
無機誘電体層5上に、第1コイル導体21が直接設けられ、第1コイル導体21は、上部電極32に電気的に接続される。上部電極32および第1コイル導体21を覆うように、無機誘電体層5上に、第2絶縁層42が設けられる。第2絶縁層42上に、第2コイル導体22が設けられ、第2コイル導体22を覆うように、第2絶縁層42上に、第3絶縁層43が設けられる。
(省略)
【0067】
図7に示すように、第3実施形態の電子部品10Bにおいて、無機誘電体層5の厚みT50は、一定であり、無機誘電体層5は、下部電極31の形状に追従して、形成される。このような構成においても、第1実施形態と同様に、コイル2は、無機誘電体層5上に設けられているので、コイル2(インダクタ)の配線間の浮遊容量が、無機誘電体層5において増加せず、コイル2の性能の低下を抑制できる。」
図7
「
[図:0001384049000023.jpg]
」
イ 図7によれば、下部電極31の側面を無機誘電体層5が覆うことが見て取れる。
よって、上記記載及び図面によれば、甲第8号証には、次の技術事項(以下、「甲第8号証の技術事項」という。)が記載されている。
「下部電極31と、上部電極32と、下部電極31と上部電極32との間の無機誘電体層5とから構成されるコンデンサ3において、下部電極31の側面を無機誘電体層5が覆うこと。」
(9)甲第9号証
ア 甲第9号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0096】
まず、上述の実施の形態の場合と同様に、基板12を準備する。また、基板12の第1面13上、第2面14及び側壁21上に、例えば無電解めっきによって下地層362を形成する。続いて、下地層362上に部分的にレジスト層37を形成する。その後、レジスト層37を露光及び現像して、図19に示すように、レジスト層37に開口部37cを形成する。レジスト層37は、開口部37cに面する側面37fを含む。側面37fは、下地層362に接する裾野部37hを含んでいてもよい。裾野部37hは、開口部37c側に突出するとともに、開口部37c側に向かうにつれて厚みが小さくなる形状を有する。このような裾野部37hは、例えば、ネガ型の感光性樹脂をレジスト層37として用いる場合に形成され得る。
【0097】
次に、電解めっきによって、レジスト層37によって覆われていない下地層362上に本体層363を形成する。続いて、図20に示すように、レジスト層37を除去する。本体層363は、レジスト層37の側面37fに対応する形状を有する側面363fと、レジスト層37の裾野部37hに対応する形状を有する下側湾曲部363hとを有する。
【0098】
次に、図21に示すように、下地層362のうちレジスト層37によって覆われていた部分を、例えばウェットエッチングにより除去する。この際、下地層362がサイドエッチングされることにより、下地層362の側面362fが、本体層363の側面363fよりも内側に位置するようになる。また、下地層362に比べてエッチングレートは低いが、本体層363もエッチングされる。この結果、図21に示すように、本体層363の側面363fの上側にも上側湾曲部363gが形成され得る。」
図19
「
[図:0001384049000024.jpg]
」
図20
「
[図:0001384049000025.jpg]
」
図21
「
[図:0001384049000026.jpg]
」
イ 上記記載及び図面によれば、甲第9号証には、次の技術事項(以下、「甲第9号証の技術事項」という。)が記載されている。
「基板12の第1面13上に下地層362を形成し、下地層362上に部分的にレジスト層37を形成し、レジスト層37に開口部37cを形成し、レジスト層37によって覆われていない下地層362上に本体層363を形成し、レジスト層37を除去し、下地層362のうちレジスト層37によって覆われていた部分を、ウェットエッチングにより除去する際、下地層362がサイドエッチングされることにより、下地層362の側面362fが、本体層363の側面363fよりも内側に位置すること。」
(10)甲第10号証
ア 甲第10号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0014】
以下の実施形態では、本発明に係る配線基板を詳細に説明するが、本発明はこうした実施形態に限定されるものではない。図1は、本発明の配線基板の一例を示す断面図である。本発明の配線基板10は、例えば半導体からなる基体11と、この基体11の一面11aに形成された絶縁層12と、この絶縁層12の一面12aに所定のパターンで形成された帯状の導電層14とから概略構成されている。
【0015】
また、絶縁層12の一面12aには、導電層14で覆われる凹部13が形成されている。さらに、導電層14と絶縁層12との間には、密着層15および給電層16が配されている。
【0016】
このような構成の配線基板10によれば、絶縁層12の一面12aに形成された凹部13によって導電層14の下面側が絶縁層12の内側に食い込むので、導電層14の形成時に、導電層14と絶縁層12との間に配された密着層15や給電層16が、導電層14の配線幅W1よりも内側まで抉られてしまっても、導電層14が絶縁層12から剥離してしまうことが防止される。」
図1
「
[図:0001384049000027.jpg]
[図:0001384049000028.jpg]
」
イ 上記記載及び図面によれば、甲第10号証には、次の技術事項(以下、「甲第10号証の技術事項」という。)が記載されている。
「基体11と、この基体11の一面11aに形成された絶縁層12と、この絶縁層12の一面12aに所定のパターンで形成された帯状の導電層14とから構成されている配線基板10において、導電層14と絶縁層12との間には、密着層15および給電層16が配され、導電層14の形成時に、導電層14と絶縁層12との間に配された密着層15や給電層16が、導電層14の配線幅W1よりも内側まで抉られること。」
(11)甲第11号証
ア 甲第11号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0017】
図2に示すように、強誘電体キャパシタ101は、2個ずつが1つの共通の下部電極21を有し、下部電極21上に2個に分離された上部電極25が配置され、下部電極21と上部電極25との間に、上部電極25に対応して分離された強誘電体膜23が配置された構成をなす。対をなす強誘電体キャパシタ101の外側の側面は、2段の傾きを有している。下側、すなわち、下部電極21の側面の傾き(下部電極21の下面等に対する傾斜角)は、上側、すなわち、上部電極25及び強誘電体膜23の側面の傾きよりも緩やかである。そして、下部電極21の側面に連なる層間絶縁膜13の表面は、下部電極21の下面よりわずかに下側に形成されている。」
図2
「
[図:0001384049000029.jpg]
」
イ 上記記載及び図面によれば、甲第11号証には、次の技術事項(以下、「甲第11号証の技術事項」という。)が記載されている。
「強誘電体キャパシタ101は、2個ずつが1つの共通の下部電極21を有し、下部電極21上に2個に分離された上部電極25が配置され、下部電極21と上部電極25との間に、上部電極25に対応して分離された強誘電体膜23が配置された構成であること。」
(12)甲第12号証
ア 甲第12号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0022】
図4に示すように、メモリセルアレイ1aは、基板10上に順次積層されたトランジスタ層20、キャパシタ層30、及び配線層40を有する。トランジスタ層20は、上記セルトランジスタTrの機能を有する。キャパシタ層30は、強誘電体キャパシタCの機能を有する。また、トランジスタ層20及びキャパシタ層30は、上記メモリセルMCの機能を有する。」
(省略)
【0028】
キャパシタ層30は、図4に示すように、第1導電層31、強誘電体層32、ストッパー層33、第2導電層34、保護層35、第3、第4コンタクトプラグ層36、37、及び層間絶縁層38を有する。
【0029】
第1導電層31は、各々のコンタクト層25の上面に形成されている。強誘電体層32は、各々の第1導電層31の上面にて、第1方向に所定距離をもって2つ形成されている。ストッパー層33は、第1導電層31の上面、すなわち、強誘電体層32と同層に形成されている。ストッパー層33は、強誘電体層32の側面に接するように形成されている。第2導電層34は、強誘電体層32の上面及びストッパー層33の上面に形成されている。」
図4
「
[図:0001384049000030.jpg]
」
イ 上記記載及び図面によれば、甲第12号証には、次の技術事項(以下、「甲第12号証の技術事項」という。)が記載されている。
「基板10上に順次積層されたトランジスタ層20、キャパシタ層30において、キャパシタ層30は、第1導電層31、強誘電体層32、第2導電層34を有し、強誘電体層32は、各々の第1導電層31の上面にて、第1方向に所定距離をもって2つ形成され、第2導電層34は、強誘電体層32の上面に形成されること。」
4 申立理由に対する判断
(1)申立理由1(特許法第29条第1項第3号)及び申立理由2(特許法第29条第2項)について
ア 本件発明1と甲1発明1との対比、判断
(ア)対比
本件発明1と甲1発明1を対比する。
a 甲1発明1の「基板2」は「絶縁基板」であるから、本件発明1の「絶縁表面を有する基板」に相当する。
b 甲1発明1の「第1シード層311と第1金属層312」とを含む「第1電極31」は、導電層といえ、該「第1電極31」は「基板2上」に配置されていることは明らかである。
ここで、甲第1号証に、本件発明1の「第1導電層」に含まれる「第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分」に相当する構成が記載されているか否か検討する。
(a)本件訂正により「第1部分と第2部分との厚さの違いよって形成された段差」との発明特定事項が追加されたように、本件発明1における「第1部分」と「第2部分」とは「段差」を形成するための構成である(本件特許明細書段落【0055】を参照)。
しかし、甲第1号証には、本件発明1の「第1導電層」に相当する「第1電極31」に段差を形成させる技術思想は何等記載されていない。
(b)また、甲第1号証に記載された「電子部品1の製造方法」に係る一部記載及び図1、図7Aを再掲すると以下のとおりである。(下線は、当審で付与した。)
「【0046】
図6Bは、図6Aに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。レジスト7をパターニングした後、図6Bに示すように、第2シード層331上に第2金属層332を形成する。これにより、第2シード層331と第2金属層332とを含む第2電極33が形成される。第2金属層332の形成方法および材質は、第1金属層312と同じであってもよい。
【0047】
図6Cは、図6Bに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。第2電極33を形成した後、図6Cに示すように、レジスト7を剥離する。
【0048】
図7Aは、図6Cに続く本実施形態による電子部品1の製造方法を示す断面図である。レジスト7を剥離した後、図7Aに示すように、基板2の上面を全面エッチングすることで、第2シード層331の不要部分を除去するとともに、第2電極33の厚みを減少させる。」
(下線は当審が付与した。)
[図:0001384049000031.jpg]
[図:0001384049000032.jpg]
図7Aを参酌すると、第1金属層312に段差らしきものが見て取れるが、「本実施形態による電子部品1を示す断面図」である図1には段差は見当たらない。
そして、図7Aを説明する段落【0048】は「第2シード層331の不要部分を除去するとともに、第2電極33の厚みを減少させる」工程を説明するものであり、第1電極31に「段差」を形成させる工程を説明するものではない。
(c)そして、上記段落【0046】の「第2金属層332の形成方法および材質は、第1金属層312と同じであってもよい。」との記載によれば、原則、第1金属層312と第2金属層332との形成方法及び材質は異なるものであることは明らかであるから、段落【0048】のように「基板2の上面を全面エッチングすることで、第2シード層331の不要部分を除去するとともに、第2電極33の厚みを減少させ」たとしても、第2金属層332と形成方法及び材質が異なる第1金属層312における第2シード層331が除去して露出した部分がエッチングにより厚みが減少するとはいえない。
(d)よって、甲第1号証には、本件発明1の「第1導電層」に含まれる「第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分」に相当する構成が記載されているとはいえない。
以上(a)ないし(d)によれば、甲第1号証に、本件発明1の「第1導電層」に含まれる「第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分」に相当する構成が記載されているとはいえない。
してみると、甲1発明1において「基板2上」に配置され、「第1シード層311と第1金属層312」とを含む「第1電極31」と本件発明1の「第1導電層」とは、「基板上に配置された第1導電層」である点で共通する。
ただし、第1導電層に関し、本件発明1は「第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む」のに対し、甲1発明1はその旨特定されていない点で相違する。
c 甲1発明1の「第1誘電体32」は「第1電極31上」に配置されていることは明らかである。また、「第1誘電体32」は絶縁体といえ、「気相成長法、スパッタ法、原子層堆積法等で形成され」る「第1誘電体32」は層状であることは当然のことである。
よって、甲1発明1の「第1電極31上」に配置され「気相成長法、スパッタ法、原子層堆積法等で形成され」る「第1誘電体32」と本件発明1の「第1絶縁層」とは、「第1導電層上に配置された絶縁層」である点で共通する。
ただし、絶縁層に関し、本件発明1は「前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置され」ているのに対し、甲1発明1はその旨特定されていない点で相違する。
d 甲1発明1の「第2シード層331と第2金属層332」とを含む「第2電極33」は、導電層といえる。
そして、「第2電極33」は「第1誘電体32上」に、「第1誘電体32」は「第1電極31上」にそれぞれ配置されていることは明らかであるから、「第2電極33」は「第1誘電体32」に対して「第1電極31」とは反対側に配置されるといえる。
よって、甲1発明1の「第1誘電体32」に対して「第1電極31」とは反対側に配置され、「第2シード層331と第2金属層332」とを含む「第2電極33」と本件発明1の「第2導電層」とは、「前記第1絶縁層に対して前記第1導電層とは反対側に配置された第2導電層」である点で共通する。
ただし、第2導電層に関し、本件発明1は「第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置され」るのに対し、甲1発明1はその旨特定されていない点で相違する。
e 本件発明1は「第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」るのに対し、甲1発明1はその旨特定されていない点で相違する。
f 本件発明1は「前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分と前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置」するのに対し、甲1発明1はその旨特定されていない点で相違する。
g 本件発明1は「前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含む」のに対し、甲1発明1はその旨特定されていない点で相違する。
h 甲1発明1の「第1電極31」は「配線としての機能とを兼ね」るものであることから、「第1電極31」が配置される「基板2」は、配線基板といえ、本件発明1の「配線基板」に相当する。
i 上記aないしhによれば、次の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「絶縁表面を有する基板と、
基板上に配置された第1導電層と、
第1導電層上に配置された絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1導電層とは反対側に配置された第2導電層と、
を備える配線基板。」
<相違点5>
第1導電層に関し、本件発明1は「第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む」のに対し、甲1発明1はその旨特定されていない点。
<相違点6>
絶縁層に関し、本件発明1は「前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置され」ているのに対し、甲1発明1はその旨特定されていない点。
<相違点7>
第2導電層に関し、本件発明1は「第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置され」るのに対し、甲1発明1はその旨特定されていない点。
<相違点8>
本件発明1は「第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」るのに対し、甲1発明1はその旨特定されていない点。
<相違点9>
本件発明1は「前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分と前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置」するのに対し、甲1発明1はその旨特定されていない点。
<相違点10>
本件発明1は「前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含む」のに対し、甲1発明1はその旨特定されていない点。
(イ)判断
a 特許法第29条第1項について
本件発明1と甲1発明1とは上記相違点5ないし相違点10を有するので、本件発明1は甲第1号証に記載された発明ではない。したがって、特許法第29条第1項第3号に該当せず、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。
b 特許法第29条第2項について
まず、上記相違点5について検討する。
上記「(ア)b」で述べたように、甲第1号証には、「第1電極31」に段差を形成させる技術思想は何等記載されていない。
また、MIMキャパシタを構成する下部電極に段差を形成させることが周知・慣用であることを示す文献も提示されておらず、さらに、このような段差を甲1発明1の「第1電極31」に採用する格別な理由も見当たらない。
そうすると、相違点5に係る構成は、甲1発明1に基づいて当業者が容易になし得たものではない。
したがって、本件発明1は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
イ 本件発明2と甲1発明2との対比、判断
(ア)対比
本件発明2と甲1発明2を対比する。
a 甲1発明2の「基板2」は「絶縁基板」であるから、本件発明2の「絶縁表面を有する基板」に相当する。
b 甲1発明2の「第1シード層311と第1金属層312」とを含む「第1電極31」は、導電層といえ、該「第1電極31」は「基板2上」に配置されていることは明らかである。
そして、上記「ア(ア)」で述べたように、甲第1号証に、本件発明1の「第1導電層」に含まれる「第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分」に相当する構成が記載されているとはいえないから、甲1発明2における「基板2上」に配置され、「第1シード層311と第1金属層312」とを含む「第1電極31」と本件発明1の「第1導電層」とは、「基板上に配置された第1導電層」である点で共通する。
ただし、第1導電層に関し、本件発明2は「第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む」のに対し、甲1発明2はその旨特定されていない点で相違する。
c 甲1発明2の「第1誘電体32」は「第1電極31上」に配置されていることは明らかである。また、「第1誘電体32」は絶縁体といえ、「気相成長法、スパッタ法、原子層堆積法等で形成され」る「第1誘電体32」は層状であることは当然のことである。
よって、甲1発明2の「第1電極31上」に配置され「気相成長法、スパッタ法、原子層堆積法等で形成され」る「第1誘電体32」と本件発明1の「第1絶縁層」とは、「第1導電層上に配置された絶縁層」である点で共通する。
ただし、絶縁層に関し、本件発明2は「前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置され」ているのに対し、甲1発明2はその旨特定されていない点で相違する。
d 甲1発明2の「第2シード層331と第2金属層332」とを含む「第2電極33」は、導電層といえる。
そして、「第2電極33」は「第1誘電体32上」に、「第1誘電体32」は「第1電極31上」にそれぞれ配置されていることは明らかであるから、「第2電極33」は「第1誘電体32」に対して「第1電極31」とは反対側に配置されるといえる。
よって、甲1発明2の「第1誘電体32」に対して「第1電極31」とは反対側に配置され、「第2シード層331と第2金属層332」とを含む「第2電極33」と本件発明2の「第2導電層」とは、「前記第1絶縁層に対して前記第1導電層とは反対側に配置された第2導電層」である点で共通する。
ただし、第2導電層に関し、本件発明2は「第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置され」るのに対し、甲1発明2はその旨特定されていない点で相違する。
e 本件発明2は「第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」るのに対し、甲1発明2はその旨特定されていない点で相違する。
f 本件発明2は「前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分と前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置」するのに対し、甲1発明2はその旨特定されていない点で相違する。
g 甲1発明2の「第1シード層311」は「Ni、Cu、TiまたはCrなどの金属」からなり、「スパッタ、蒸着または無電解めっき法等の成膜方法」で形成され、「第1金属層312」は「Cu」からなり、「電解めっき法」により形成さることから、「第1シード層311」と「第1金属層312」とは膜質が異なるといえ、本件発明2の「第1膜」と「第2膜」に相当する。
よって、甲1発明2の「第1電極31」が、「第1シード層311」と「第1シード層311」と膜質が異なる「第1金属層312」を含むことは、本件発明2の「前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含」むことに相当する。
h 甲1発明2において、「第1シード層311上に」「第1金属層312」が形成され、「第1シード層311と第1金属層312と」を含む「第1電極31上」に「第1誘電体32」が配置されるから、「第1金属層312」は「第1シード層311」と「第1誘電体32」とに挟まれて配置されるといえる。
よって、甲1発明2において第1金属層312」は「第1シード層311」と「第1誘電体32」とに挟まれて配置されることは、本件発明2の「前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され」ることに相当する。
i 本件発明2は「前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄い」のに対し、甲1発明2はその旨特定されていない点で相違する。
j 甲1発明2の「第1電極31」は「配線としての機能とを兼ね」るものであることから、「第1電極31」が配置される「基板2」は、配線基板といえ、本件発明2の「配線基板」に相当する。
k 上記aないしjによれば、次の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「絶縁表面を有する基板と、
基板上に配置された第1導電層と、
第1導電層上に配置された絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1導電層とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置される、配線基板。」
<相違点11>
第1導電層に関し、本件発明2は「第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む」のに対し、甲1発明2はその旨特定されていない点。
<相違点12>
絶縁層に関し、本件発明2は「前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置され」ているのに対し、甲1発明2はその旨特定されていない点。
<相違点13>
第2導電層に関し、本件発明2は「第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置され」るのに対し、甲1発明2はその旨特定されていない点。
<相違点14>
本件発明2は「第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」るのに対し、甲1発明2はその旨特定されていない点。
<相違点15>
本件発明2は「前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分と前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置」するのに対し、甲1発明2はその旨特定されていない点。
<相違点16>
本件発明2は「前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄い」のに対し、甲1発明2はその旨特定されていない点。
(イ)判断
a 特許法第29条第1項について
本件発明2と甲1発明2とは上記相違点11ないし相違点16を有するので、本件発明2は甲第1号証に記載された発明ではない。したがって、特許法第29条第1項第3号に該当せず、本件発明2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。
b 特許法第29条第2項について
まず、相違点11について検討すると、相違点11は上記「ア(イ)b」で検討した相違点5と同じであるから、相違点5に対する理由と同じ理由により、相違点11に係る構成は、甲1発明1に基づいて当業者が容易になし得たものではない。
したがって、本件発明2は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、本件発明2は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
ウ 本件発明3、6ないし8、10、15、17、18、20ないし22、24と甲1発明1との対比、判断
(ア)特許法第29条第1項第3号について
本件発明3、6ないし8、10、15、17、18、20ないし22、24は、上記相違点5ないし10に係る構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、本件発明3、6ないし8、10、15、17、18、20ないし22、24は甲第1号証に記載された発明ではない。
したがって、特許法第29条第1項第3号に該当せず、本件発明3、6ないし8、10、15、17、18、20ないし22、24に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものでない。
(イ)特許法第29条第2項について
また、本件発明1と同じ理由により、本件発明3、6ないし8、10、15、17、18、20ないし22、24は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明3、6ないし8、10、15、17、18、20ないし22、24に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでない。
エ 本件発明26、28ないし30、35、37、38と甲1発明2との対比、判断
(ア)特許法第29条第1項第3号について
本件発明26、28ないし30、35、37、38は、上記相違点11ないし16に係る構成を備えるものであるから、本件発明2と同じ理由により、本件発明26、28ないし30、35、37、38は甲第1号証に記載された発明ではない。
したがって、特許法第29条第1項第3号に該当せず、本件発明26、28ないし30、35、37、38に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものでない。
(イ)特許法第29条第2項について
また、本件発明2と同じ理由により、本件発明26、28ないし30、35、37、38は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明26、28ないし30、35、37、38に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでない。
オ 本件発明4と甲1発明1又は甲1発明2との対比、判断
(ア)本件発明4は、請求項1又は請求項2を引用する請求項4に係る発明であるところ、請求項1を引用する請求項4に係る発明と甲1発明1とは、少なくとも相違点5ないし10に係る点で相違するから、まず、相違点5から検討する。
特許異議申立人は、異議申立書(51頁第20ないし26行を参照)において、「甲第1号証に記載のキャパシタは、上部電極となる第2電極33の縁部は誘電体32から離れているが、一部が離れていないように設定することも、MIMキャパシタの、例えば甲第2号証の図1(・・省略・・)、甲第3号証の図2(・・省略・・)にみられるように一般的なものであるから、甲第1号証の第2電極33の縁部の一部を誘電体32の縁部と一致させる程度のことは、当業者が適宜なし得ることである。」と主張するが、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術事項(上記「4」「(2)(3)」)には、配線基板上に形成されるキャパシタの下部電極に段差を形成することは記載されていない。
してみると、甲1発明1に甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術事項を採用したとしても、相違点5に係る構成を得ることはできない。
したがって、請求項1を引用する請求項4に係る発明は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1発明1、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(イ)次に、請求項2を引用する請求項4に係る発明と甲1発明2とは、少なくとも相違点11ないし16に係る点で相違し、相違点11は相違点5と同じであるから、上記(ア)で述べたように、請求項1を引用する請求項4に係る発明に対する理由と同じ理由により、甲1発明2、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(ウ)よって、本件発明4は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
カ 本件発明5と甲1発明1、本件発明27と甲2発明2との対比、判断
(ア)本件発明5と甲1発明1とは、少なくとも相違点5ないし10に係る点で相違するから、まず、相違点5から検討する。
特許異議申立人は、異議申立書(52頁第11ないし17行を参照)において、「このエッチングの際に、甲第4号証及び甲第5号に記載のように、上層と下層のエッチング偏差により、第1部分と第2部分との境界が上層(誘電体32)からサイドエッチングされるものであるが、そのエッチング距離はわずかであって、第2導電層の縁部から第1縁部までの距離より小さくなるといえ、請求項5において特定する事項は実質的に甲第1号証が開示するところである。また、甲第1号証の開示事項から当業者が適宜定めることである。」と主張するが、甲第2号証ないし甲第5号証に記載された技術事項(上記「4」「(2)ないし(5)」を参照)には、配線基板上に形成されるキャパシタの下部電極に段差を形成することは記載されていない。
してみると、甲1発明1に甲第4号証及び甲第5号証に記載された技術事項を採用したとしても、相違点5に係る構成を得ることはできない。
したがって、本件発明5は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1発明1及び甲第2号証ないし甲第5号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(イ)次に、本件発明27と甲1発明2とは、少なくとも相違点11ないし16に係る点で相違し、相違点11は相違点5と同じであるから、上記(ア)で述べたように、本件発明5に対する理由と同じ理由により、甲1発明2甲第2号証ないし甲第5号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(ウ)よって、本件発明5及び本件発明27は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第5号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでないから、本件発明5及び本件発明27に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
キ 本件発明9と甲1発明1、本件発明31と甲1発明2との対比、判断
本件発明9と甲1発明1とは、少なくとも相違点5ないし10に係る点で相違するから、本件発明1と同じ理由により、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明31と甲1発明2とは、少なくとも相違点11ないし16に係る点で相違するから、本件発明2と同じ理由により、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、本件発明9、31に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでない。
ク 本件発明11と甲1発明1、本件発明32と甲1発明2との対比、判断
(ア)本件発明11と甲1発明1とは、少なくとも相違点5ないし10に係る点で相違するから、まず、相違点5から検討する。
特許異議申立人は、異議申立書(55頁第25行ないし56頁第5行を参照)において「MIMキャパシタの構造として、下部電極と誘電体の縁部が揃うように配置された構造は、例えば甲第2号証の図1(・・省略・・)、甲第6号証の図17(・・省略・・)にみられるように一般的なものであるから、、甲第1号証の第1金属層312の縁部と誘電体32の縁部とを一致させる程度のことは、当業者が適宜なし得ることである。そうすると、第1金属層312の外縁は、第1の部分の側面および第2の部分の側面を含むものとなることは明らかである。」と主張するが、甲2号証及び甲第6号証に記載された技術事項(上記「4」「(2)」「(6)イ」を参照)には、配線基板上に形成されるキャパシタの下部電極に段差を形成することは記載されていない。
してみると、甲1発明1に甲第2号証及び甲第6号証に記載された技術事項を採用したとしても、相違点5に係る構成を得ることはできない。
したがって、本件発明11は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1発明1、甲第2号証及び甲第6号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(イ)次に、本件発明32と甲1発明2とは、少なくとも相違点11ないし16に係る点で相違し、相違点11は相違点5と同じであるから、上記(ア)で述べたように、本件発明11に対する理由と同じ理由により、甲1発明2、甲第2号証及び甲第6号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(ウ)よって、本件発明11及び本件発明32は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第6号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでないから、本件発明11及び本件発明32に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
ケ 本件発明12と甲1発明1、本件発明33と甲2発明2との対比、判断
(ア)本件発明12は、請求項11を引用する請求項12に係る発明であるところ、本件発明12と甲1発明1とは、少なくとも相違点5ないし10に係る点で相違するから、まず、相違点5から検討する。
特許異議申立人は、異議申立書(56頁第16ないし20行を参照)において「MIMIキャパシタの構造として、絶縁層が下部電極の側面を覆うようにして形成された構造は、例えば甲第7号証の図7(c)(・・省略・・)、甲第8号証の図7(・・省略・・)にみられるように特別なものではないから、このような構造を採用する程度のことは、当業者が適宜なし得ることである。」と主張するが、甲第7号証及び甲第8号証に記載された技術事項(上記「4」「(7)、(8)」を参照)には、配線基板上に形成されるキャパシタの下部電極に段差を形成することは記載されていない。
してみると、甲1発明1に甲第7号証及び甲第8号証に記載された技術事項を採用したとしても、相違点5に係る構成を得ることはできない。
したがって、本件発明12は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1発明1、甲第2号証に記載された技術事項、甲第6号証ないし甲第8号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(イ)次に、本件発明33は、請求項32を引用する請求項33に係る発明であるところ、本件発明33と甲1発明2とは、少なくとも相違点11ないし16に係る点で相違し、相違点11は相違点5と同じであるから、上記(ア)で述べたように、本件発明12に対する理由と同じ理由により、甲1発明2、甲第2号証に記載された技術事項、甲第6号証ないし甲第8号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(ウ)よって、本件発明12及び本件発明33は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術事項、甲第6号証ないし甲第8号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでないから、本件発明12及び本件発明33に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
コ 本件発明13と甲1発明1、本件発明34と甲2発明2との対比、判断
(ア)本件発明13は、請求項11及び請求項12を引用する請求項13に係る発明であるところ、本件発明13と甲1発明1とは、少なくとも相違点5ないし10に係る点で相違するから、まず、相違点5から検討する。
特許異議申立人は、異議申立書(57頁第5ないし10行を参照)において「MIMキャパシタの構造として、絶縁層が上部電極と下部電極の側面に挟まれる構造は、例えば甲第2号証の図1(・・省略・・)、甲第3号証の図2(・・省略・・)にみられるように特別なものではないから、このような構造を採用する程度のことは、当業者が適宜なし得ることである。」と主張するが、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術事項(上記「4」「(2)、(3)」を参照)には、配線基板上に形成されるキャパシタの下部電極に段差を形成することは記載されていない。
してみると、甲1発明1に甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術事項を採用したとしても、相違点5に係る構成を得ることはできない。
したがって、本件発明13は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1発明1、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術事項、及び、甲第6号証ないし甲第8号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(イ)次に、本件発明34は、請求項32及び請求項33を引用する請求項34に係る発明であるところ、本件発明34と甲1発明2とは、少なくとも相違点11ないし16に係る点で相違し、相違点11は相違点5と同じであるから、上記(ア)で述べたように、本件発明13に対する理由と同じ理由により、甲1発明2、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術事項、及び、甲第6号証ないし甲第8号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(ウ)よって、本件発明13及び本件発明34は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術事項、及び、甲第6号証ないし甲第8号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでないから、本件発明13及び本件発明34に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
サ 本件発明16と甲1発明1又は甲1発明2との対比、判断
(ア)特許法第29条第1項第3号について
本件発明16は、請求項1及び請求項15又は請求項2及び請求項15を引用する請求項16に係る発明であるところ、請求項1及び請求項15を引用する請求項16に係る発明と甲1発明1とは、少なくとも相違点5ないし10に係る点で相違するから、請求項1及び請求項15を引用する請求項16にかかる発明は、甲第1号証に記載された発明ではない。
また、請求項2及び請求項15を引用する請求項16にかかる発明と甲1発明2とは、少なくとも上記相違点11ないし16にかかる点で相違するから、請求項2及び請求項15を引用する請求項16にかかる発明は、甲第1号証に記載された発明ではない。
したがって、特許法第29条第1項第3号に該当せず、本件発明16にかかる特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。
(イ)特許法第29条第2項について
a まず、相違点5から検討する。
特許異議申立人は、異議申立書(58頁第9ないし13行を参照)において「シード層(下地層、給電層)と下部電極(本体層、導電層)の側面にエッチングレートの違いにより窪みが形成されることは甲第9号証及び甲第10号証に記載されているように、周知の技術事項である。そして、甲第1号証に記載された第1電極31は第1シード層311に第1金属層312を形成したものであるから、相違点13は実質的に甲第1号証に記載されている。」と主張するが、甲第9号証及び甲第10号証に記載された技術事項(上記「4」「(9)(10)」を参照)には、配線基板上に形成されるキャパシタの下部電極に段差を形成することは記載されていない。
してみると、甲1発明1に甲第9号証及び甲第10号証に記載された技術事項を採用したとしても、相違点5に係る構成を得ることはできない。
したがって、請求項1及び請求項15を引用する請求項16に係る発明は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1発明1、甲第9号証及び甲第10号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
b 次に、請求項2及び請求項15を引用する請求項16に係る発明と甲1発明2とは、少なくとも相違点11ないし16に係る点で相違し、相違点11は相違点5と同じであるから、上記aで述べたように、請求項1及び請求項15を引用する請求項16に係る発明に対する理由と同じ理由により、甲1発明2、甲第9号証及び甲第10号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
c よって、本件発明16は、甲第1号証に記載された発明、甲第9号証及び甲第10号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
シ 本件発明19と甲1発明1、本件発明36と甲2発明2との対比、判断
(ア)本件発明19と甲1発明1とは、少なくとも相違点5ないし10に係る点で相違するから、まず、相違点5から検討する。
特許異議申立人は、異議申立書(60頁第6ないし11行を参照)において「MIMキャパシタの構造として、絶縁層に対して下部電極の反対側に上部電極を複数揃える構造は、例えば甲第11号証の図2(・・省略・・)、甲第12号証の図4(・・省略・・)にみられるように特別なものではないから、このような構造を採用する程度のことは、当業者が適宜なし得ることである。」と主張するが、甲第11号証及び甲第12号証に記載された技術事項(上記「4」「(11)、(12)」を参照)には、配線基板上に形成されるキャパシタの下部電極に段差を形成することは記載されていない。
してみると、甲1発明1に甲第11号証及び甲第12号証に記載された技術事項を採用したとしても、相違点5に係る構成を得ることはできない。
したがって、本件発明19は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1発明1、甲第11号証及び甲第12号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(イ)次に、本件発明36と甲1発明2とは、少なくとも相違点11ないし16に係る点で相違し、相違点11は相違点5と同じであるから、上記(ア)で述べたように、本件発明19に対する理由と同じ理由により、甲1発明2、甲第11号証及び甲第12号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(ウ)よって、本件発明19及び本件発明36は、甲第1号証に記載された発明、甲第11号証及び甲第12号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでないから、本件発明19及び本件発明36に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない
ス 本件発明23と甲1発明1又は甲1発明2との対比、判断
(ア)特許法第29条第1項第3号について
本件発明23は、請求項1及び請求項21又は請求項2及び請求項21を引用する請求項23に係る発明であるところ、請求項1及び請求項21を引用する請求項23に係る発明と甲1発明1とは、少なくとも上記相違点5ないし10に係る点で相違するから、請求項1及び請求項21を引用する請求項23に係る発明は、甲第1号証に記載された発明ではない。
また、請求項2及び請求項21を引用する請求項23に係る発明と甲1発明2とは、少なくとも上記相違点11ないし16に係る点で相違するから、請求項2及び請求項21を引用する請求項23に係る発明は、甲第1号証に記載された発明ではない。
したがって、特許法第29条第1項第3号に該当せず、本件発明23に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものでない。
(イ)特許法第29条第2項について
a まず上記相違点5について検討する。
特許異議申立人は、異議申立書(62頁第15ないし19行を参照)において「下部電極が複数の膜を含み、貫通電極は複数の膜を含み、下部電極における基板に最も近い膜が貫通電極における基板に最も近く膜まで、連続して延びるように形成することは、甲第6号証に記載されている(・・省略・・)ように、普通に採用されることであり、相違点20は実質的に甲第1号証に記載されている。」と主張するが、甲第6号証に記載された技術事項(上記「4」「(6)ウ」を参照)には、配線基板上に形成されるキャパシタの下部電極に段差を形成することは記載されていない。
してみると、甲1発明1に甲第6号証に記載された技術事項を採用したとしても、相違点5に係る構成を得ることはできない。
したがって、請求項1及び請求項21を引用する請求項23に係る発明は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1発明1及び甲第6号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
b 次に、請求項2及び請求項21を引用する請求項23に係る発明と甲1発明2とは、少なくとも相違点11ないし16に係る点で相違し、相違点11は相違点5と同じであるから、上記aで述べたように、請求項1及び請求項21を引用する請求項23に係る発明に対する理由と同じ理由により、甲1発明2及び甲第6号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
c よって、本件発明23は、甲第1号証に記載された発明及び甲第6号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明23に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
セ 本件発明25と甲1発明1又は甲1発明2との対比、判断
(ア)本件発明25は、請求項1又は請求項2を引用する請求項25に係る発明であるところ、請求項1を引用する請求項25に係る発明と甲1発明1とは、少なくとも相違点5ないし10に係る点で相違するから、まず、相違点5から検討する。
特許異議申立人は、異議申立書(63頁第17ないし20行を参照)において「電子部品として配線基板に半導体チップを搭載することは、例えば、甲第6号証の記載事エ)オ)に記載のように公知であり、相違点23は、甲第6号証に基づいて、当業者が容易になし得ることである。」と主張するが、甲第6号証に記載された技術事項(上記「4」「(6)エ」を参照)には、配線基板上に形成されるキャパシタの下部電極に段差を形成することは記載されていない。
してみると、甲1発明1に甲第6号証に記載された技術事項を採用したとしても、相違点5に係る構成を得ることはできない。
したがって、請求項1を引用する請求項25に係る発明は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1発明1及び甲第6号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(イ)次に、請求項2を引用する請求項25に係る発明と甲1発明2とは、少なくとも相違点11ないし16に係る点で相違し、相違点11は相違点5と同じであるから、上記(ア)で述べたように、請求項1を引用する請求項25に係る発明に対する理由と同じ理由により、甲1発明2及び甲第6号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(ウ)よって、本件発明25は、甲第1号証に記載された発明及び甲第6号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明25に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
ソ 特許異議申立人の意見書における主張について
(ア)特許異議申立人は令和3年10月26日付け意見書において、
a「記載事項a)ないしc)の図7Aの説明によれば、基板2の上面を全面エッチングする際に第2シード層331の不要部分の除去とともに第2電極33(第2金属層332)の厚みを減少させます。その際の現象については次のように理解できます。基板2の上面の全面エッチングは、短絡防止のため第2シード層331の不要部分を確実に除去することが必要であり、そのためには第1金属層312の上面が少なくとも露出するまでエッチングすることが必要となります。そして、段落【0046】に記載されているように第2金属層332は第1金属層312と同じであってもよいものとされることから、第2電極33(第2金属層332)の厚みがエッチングにより減少するように、露出した第1金属層312についてもエッチングによりわずかに減少するものと考えられます。そして、この基板2の上面が全面エッチングされた状態として、図7Aに段差を有する第1金属層312が図示されています。すなわち、第1金属層312の誘電体32から露出した部分は誘電体32が配置される部分よりその厚みが減少しています。なお、この現象は、本件特許明細書の段落【0068】に記載された「第1上部導電層123のうち、第1絶縁層13から露出している部分の一部を除去して段差12sを形成する。このとき、第1上部導電層123から露出されているシード層1210についても除去される。すなわち、第1導電層12のうち、境界12-1pより外側において第2部分12-2の上面12-2uが形成される。」と同様の現象であります。
したがって、第1金属層312は、誘電体32が配置される部分の第1の厚さおよび第1厚さより薄い第2の厚さを有し、誘電体32の配置される部分(以下、「第1の部分」といいます。)に隣接する部分(以下、「第2の部分」といいます。)を含むものであります。そして、上記製造方法からみて、第1の部分と第2の部分の厚さの違いによって形成された段差が誘電体32の縁部に沿って配置されることは明らかであり、上記訂正事項a「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」ることが記載されています。」と主張し(3頁1行ないし4頁18行を参照)、
b 「甲第1号証においては、誘電体32から露出した第1金属層312は誘電体32をマスクとしてエッチングされて厚みが減少するものです。このエッチングの際に、上層(誘電体32)と下層(第1金属層312)のエッチング偏差により、第1金属層312の第1の部分と第2の部分との境界の側面が誘電体32からサイドエッチングされます。そのため、誘電体の縁部は、第1の部分と第2の部分との境界よりも第2の部分側に位置することは技術的に明らかであり、上記訂正事項b「前記第1絶縁層の縁部は、前記第1部分と前記第2部分との境界よりも前記第2部分側に位置」することは、甲第1号証に接した当業者が想定する事項であります。」と主張する。(4頁19行ないし5頁2行を参照)
(イ)上記aの点について検討すると、上記「ア(ア)b」で述べたように、甲第1号証には、本件発明1の「第1導電層」に相当する「第1電極31」に段差を形成させる技術思想は何等記載されておらず、また、段落【0046】の記載によれば、原則、第1金属層312と第2金属層332との形成方法及び材質は異なるものであることは明らかであるから、段落【0048】のように「基板2の上面を全面エッチング」したとしても、第1金属層312における第2シード層331が除去して露出した部分がエッチングにより厚みが減少するとはいえない。
また、本件特許明細書の段落【0068】に記載された製造工程は、「第1上部導電層123」(本件発明1の「第1導電層」の一部に相当)のうち、第1絶縁層13から露出している部分の一部を除去して段差12sを形成しつつ、第1上部導電層123から露出されている「シード層1210」(本件発明1の「第1導電層」の一部に相当)についても除去するエッチング工程であるところ、甲第1号証項に記載された段落【0048】及び図7Aは、「第2シード層331」(本件発明1の「第2導電層」の一部に相当)の不要部分を除去するとともに、「第2電極33」(本件発明1の「第2導電層」の一部に相当)の厚みを減少させるエッチング工程であることから、両者はエッチングする対象が異なり、さらにエッチングする理由も異なることから、同様の現象を起こすものとはいえない。
(ウ)上記bの点について検討すると、甲第1号証には「誘電体32から露出した第1金属層312は誘電体32をマスクとしてエッチングされて厚みが減少する」ことは記載されていないし、上記「ア(ア)b」で述べたように、段落【0046】、【0048】の記載からしても、「基板2の上面を全面エッチング」したとしても、第1金属層312における第2シード層331が除去して露出した部分がエッチングにより厚みが減少するとはいえない。
さらに、甲第1号証には、上層(誘電体32)と下層(第1金属層312)のエッチング偏差により、第1金属層312の第1の部分と第2の部分との境界の側面が誘電体32からサイドエッチングされることも記載されていないから、誘電体32の縁部が、第1の部分と第2の部分との境界よりも第2の部分側に位置するともいえない。
(エ)以上から、特許異議申立人の主張は採用できない。
タ 申立理由1及び申立理由2についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし3、6ないし8、10、15ないし18、20ないし24、26、28ないし30、35、37、38に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではなく、また、本件発明1ないし13、15ないし38に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでもない。
(2)申立理由3(特許法第29条の2)について
ア 甲第13号証の記載事項、先願発明
甲第13号証の先願明細書等に記載された記載事項、及び、甲第13号証の先願明細書等に記載された発明は、上記「第4 2 (1)」「アないしウ」に記載したとおりである。
イ 本件発明1、2、4、10、14ないし17、21ないし23、25と先願発明との対比
上記「第4 2 (1)」で述べたように、本件発明1、2、4、10、14ないし17、21ないし23、25は、甲第1号証に記載された発明と実質同一ではないので、本件発明1、2、4、10、14ないし17、21ないし23、25に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
ウ 本件発明3と先願発明1、本件発明26と先願発明2との対比
(ア)本件発明3は、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3を独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項を追加したものであるから、上記「第4 2 (1)イ(ア)」で述べた点を踏まえれば、本件発明3と先願発明1とは、次の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「 絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含む、配線基板。」
<相違点17>
段差に関し、本件発明3は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明1はその旨特定されていない点。
<相違点18>
本件発明3は、「第2導電層は、前記第1絶縁層の縁部のうちの前記第2部分側に対応する第1縁部から離隔して配置されている」のに対し、先願発明1はその旨特定されていない点。
まず、相違点18について検討する。
先願発明1では「上部電極114」及び「誘電体層111」は「凸部上面106bの内側」に形成にされるところ、先願明細書の段落【0061】に記載されているように、「誘電体層111」は、上部電極114をマスクとして凸部上面106bの内側に形成されるから、先願発明1において、「上部電極114」は、その端が「誘電体層111」の端と一致するように形成されるから、「上部電極114」が「誘電体層111」の端から隔離して配置されることはない。
したがって、上記相違点18は課題解決のための具体化手段における微差ではないため、上記相違点17について判断するまでもなく、本件発明3に係る発明は、先願発明1と実質同一ではない。
(イ)本件発明26は、訂正前の請求項2を引用する訂正前の請求項3を独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項を追加し、新たな請求項26としたものであるから、上記「第4 2 (1)イ(イ)」で述べた点を踏まえれば、本件発明26と先願発明2とは、次の一致点及び相違点を有する。
「 絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄い、配線基板。」の点で一致し、
以下の点で相違する。
<相違点19>
段差に関し、本件発明26は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明2はその旨特定されていない点。
<相違点20>
本件発明26は「前記第2導電層は、前記第1絶縁層の縁部のうち前記第2部分側に対応する第1縁部から離隔して配置されている」のに対し、先願発明2はその旨特定されていない点。
まず、相違点20について検討する。
相違点20は、上記(ア)で述べた相違点18と同じであるから、相違点18に対する理由と同じ理由により、相違点20は課題解決のための具体化手段における微差ではないため、上記相違点19について判断するまでもなく、本件発明26に係る発明は、先願発明2と実質同一ではない。
(ウ)よって、本件発明3、26は、甲第13号証の先願明細書等に記載された発明と実質同一ではないので、本件発明3、26に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
エ 本件発明8と先願発明1、本件発明30と先願発明2との対比
(ア)本件発明8は、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項8を独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項を追加したものであるから、上記「第4 2 (1)イ(ア)」で述べた点を踏まえれば、本件発明8と先願発明1とは、次の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「 絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含む、配線基板。」
<相違点21>
段差に関し、本件発明8は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明1はその旨特定されていない点。
<相違点22>
本件発明8は、「第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より大きい」のに対し、先願発明1はその旨特定されていない点。
まず、相違点22について検討する。
甲第13号証の先願明細書等には、「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」と「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」との境界から下部電極105の端の基板表面の法線方向に沿って見た距離と、「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」と「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」との厚みの差との関係性は何等記載されていない。
したがって、相違点22は課題解決のための具体化手段における微差ではないため、相違点21について判断するまでもなく、本件発明8に係る発明は、先願発明1と実質同一ではない。
(イ)本件発明30は、訂正前の請求項2を引用する訂正前の請求項8を独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項を追加し、新たな請求項30としたものであるから、上記「第4 2 (1)イ(イ)」で述べた点を踏まえれば、本件発明30と先願発明2とは、次の一致点及び相違点を有する。
「 絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄い、配線基板。」の点で一致し、
以下の点で相違する。
<相違点23>
段差に関し、本件発明30は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明2はその旨特定されていない点。
<相違点24>
本件発明30は「前記第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第1厚さと前記第2厚さとの差より大きい」のに対し、先願発明2はその旨特定されていない点。
まず、相違点24について検討する。
相違点24は、上記(ア)で述べた相違点22と同じであるから、相違点22に対する理由と同じ理由により、相違点24は課題解決のための具体化手段における微差ではないため、相違点23について判断するまでもなく、本件発明30に係る発明は、先願発明2と実質同一ではない。
(ウ)よって、本件発明8、30は、甲第13号証の先願明細書等に記載された発明と実質同一ではないので、本件発明8、30に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
オ 本件発明9と先願発明1、本件発明31と先願発明2との対比
(ア)本件発明9は、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項9を独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項を追加したものであるから、上記「第4 2 (1)イ(ア)」で述べた点を踏まえれば、本件発明9と先願発明1とは、次の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「 絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含む、配線基板。」
<相違点25>
段差に関し、本件発明9は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明1はその旨特定されていない点。
<相違点26>
本件発明9は、「第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第2厚さの10%以上である」のに対し、先願発明1はその旨特定されていない点。
まず、相違点26について検討する。
甲第13号証の先願明細書等には、「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」と「凸部の上面106bと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」との境界から下部電極105の端の基板表面の法線方向に沿って見た距離と、「凸部以外の下部電極105の上面106aと下部電極105の下面との間の下部電極105の部分」の厚さとの関係性は何等記載されていない。
したがって、相違点26は課題解決のための具体化手段における微差ではないため、相違点25について判断するまでもなく、本件発明9に係る発明は、先願発明1と実質同一ではない。
(イ)本件発明31は、訂正前の請求項2を引用する訂正前の請求項9を独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項を追加し、新たな請求項31としたものであるから、上記「第4 2 (1)イ(イ)」で述べた点を踏まえれば、本件発明31と先願発明2とは、次の一致点及び相違点を有する。
「 絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄い、配線基板。」の点で一致し、
以下の点で相違する。
<相違点27>
段差に関し、本件発明31は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明2はその旨特定されていない点。
<相違点28>
本件発明31は「第1部分と前記第2部分との境界から前記第2部分の縁部までの前記基板の表面の法線方向に沿って見た場合における距離は、前記第2厚さの10%以上である」のに対し、先願発明2はその旨特定されていない点。
まず、相違点28について検討する。
相違点28は、上記(ア)で述べた相違点26と同じであるから、相違点26に対する理由と同じ理由により、相違点28は課題解決のための具体化手段における微差ではないため、相違点27について判断するまでもなく、本件発明31に係る発明は、先願発明2と実質同一ではない。
(ウ)よって、本件発明9、31は、甲第13号証の先願明細書等に記載された発明と実質同一ではないので、本件発明9、31に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
カ 本件発明18と先願発明1、本件発明35と先願発明2との対比
(ア)本件発明18は、訂正前の請求項1及び請求項17を引用する訂正前の請求項18を独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項を追加したものであるから、上記「第4 2 (1)イ(ア)」で述べた点を踏まえれば、本件発明18と先願発明1とは、次の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「 絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記第2部分および前記第1絶縁層に接触する第2絶縁層をさらに備え、
前記第1絶縁層は、無機材料を含み、
前記第2絶縁層は、有機材料を含む、配線基板。」
<相違点29>
段差に関し、本件発明18は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明1はその旨特定されていない点。
<相違点30>
本件発明18は、「第2絶縁層は、開口を有し、前記第2導電層は、前記開口を規定する前記第2絶縁層の側面と接触し、前記第2導電層と前記第1絶縁層との間の一部に前記第2絶縁層が配置されている」のに対し、先願発明1はその旨特定されていない点。
まず、相違点30について検討する。
甲第13号証の先願明細書の段落【0061】によれば、「誘電体層111」は「上部電極114をマスク」として形成されるから、「誘電体層111」の端の位置と「上部電極114」の端の位置は一致し、「誘電体層111」と「上部電極114」との間に、本件発明18の「第2絶縁層」に相当する「絶縁樹脂層131」が配置され得ない。
したがって、相違点30は課題解決のための具体化手段における微差ではないため、相違点29について判断するまでもなく、本件発明18に係る発明は、先願発明1と実質同一ではない。
(イ)本件発明35は、訂正前の請求項2及び請求項17を引用する訂正前の請求項18を独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項を追加し、新たな請求項35としたものであるから、上記「第4 2 (1)イ(イ)」で述べた点を踏まえれば、本件発明35と先願発明2とは、次の一致点及び相違点を有する。
「 絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記第2部分および前記第1絶縁層に接触する第2絶縁層をさらに備え、
前記第1絶縁層は、無機材料を含み、
前記第2絶縁層は、有機材料を含む、配線基板。」
<相違点31>
段差に関し、本件発明35は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明2はその旨特定されていない点。
<相違点32>
本件発明35は、「第2絶縁層は、開口を有し、前記第2導電層は、前記開口を規定する前記第2絶縁層の側面と接触し、前記第2導電層と前記第1絶縁層との間の一部に前記第2絶縁層が配置されている」のに対し、先願発明2はその旨特定されていない点。
まず、相違点32について検討する。
相違点32は、相違点30と同じであるから、相違点30に対する理由と同じ理由により、相違点32は課題解決のための具体化手段における微差ではないため、相違点31について判断するまでもなく、本件発明35に係る発明は、先願発明2と実質同一ではない。
(ウ)よって、本件発明18、35は、甲第13号証の先願明細書等に記載された発明と実質同一ではないので、本件発明18、35に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
キ 本件発明24と先願発明1、本件発明38と先願発明2との対比
(ア)本件発明24は、訂正前の請求項1及び請求項21を引用する訂正前の請求項21を独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項を追加したものであるから、上記「第4 2 (1)イ(ア)」で述べた点を踏まえれば、本件発明24と先願発明1とは、次の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「 絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され、
前記第1部分および前記第2部分は、前記第1絶縁層側において同一材料で形成された領域を含み、
前記基板を貫通する貫通電極をさらに備え、
前記貫通電極は、前記第1導電層に電気的に接続する、配線基板。」
<相違点33>
段差に関し、本件発明24は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明1はその旨特定されていない点。
<相違点34>
本件発明24は、「前記第1導電層に接続された前記貫通電極を含むインダクタをさらに備える」のに対し、先願発明1はその旨特定されていない点。
まず、相違点34について検討する。
甲第13号証の先願明細書等には、キャパシタ内蔵ガラス回路基板にインダクタを内蔵させることは記載されていないから、「第1導電層に接続された貫通電極」を含む「インダクタ」を備えることは、課題解決のための具体化手段における微差であるとはいえない。
したがって、相違点34は課題解決のための具体化手段における微差ではないため、相違点33について判断するまでもなく、本件発明24に係る発明は、先願発明1と実質同一ではない。
(イ)本件発明38は、訂正前の請求項2及び請求項21を引用する訂正前の請求項24を独立形式に改め、さらに、「前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が前記第1絶縁層の縁部に沿って配置され」との発明特定事項を追加し、新たな請求項38としたものであるから、上記「第4 2 (1)イ(イ)」で述べた点を踏まえれば、本件発明38と先願発明2とは、次の一致点及び相違点を有する。
「 絶縁表面を有する基板と、
前記基板上に配置された第1導電層であって、第1厚さを有する第1部分および当該第1厚さよりも薄い第2厚さを有し当該第1部分に隣接する第2部分を含む第1導電層と、
前記第2部分から離隔して前記第1部分上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して前記第1部分とは反対側に配置された第2導電層と、
を備え、
前記第1部分と前記第2部分との厚さの違いによって形成された段差が配置され、
前記第1導電層は、第1膜および当該第1膜とは膜質が異なる第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第1絶縁層とに挟まれて配置され、
前記第2部分における前記第2膜は、前記第1部分における前記第2膜よりも薄く、
前記基板を貫通する貫通電極をさらに備え、
前記貫通電極は、前記第1導電層に電気的に接続する、配線基板。」
<相違点35>
段差に関し、本件発明38は「第1絶縁層の縁部に沿って」配置されるのに対し、先願発明2はその旨特定されていない点。
<相違点36>
本件発明38は、「前記第1導電層に接続された前記貫通電極を含むインダクタをさらに備える」のに対し、先願発明2はその旨特定されていない点。
まず、相違点36について検討する。
相違点36は、相違点34と同じであるから、相違点34に対する理由と同じ理由により、相違点36は課題解決のための具体化手段における微差ではないため、相違点35について判断するまでもなく、本件発明38に係る発明は、先願発明2と実質同一ではない。
(ウ)よって、本件発明24、38は、甲第13号証の先願明細書等に記載された発明と実質同一ではないので、本件発明24、38に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
ク 申立理由3についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし4、8ないし10、14ないし18、21ないし25、26、30、31、35、38に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
(3)申立理由4(特許法第36条第4項第1号及び同第6項第1号)について
ア 特許異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の請求項4に関して、
「請求項4で特定している「第2導電層の縁部と、第1絶縁層の縁部のうち第2部分側に対応する第1縁部とが揃う」構造は、段落【0058】の記載によれば、d1が0μmの場合であるものと一応理解できる。そして、d1が0μmである場合の実施形態として、第14実施形態として説明がなされ、第14実施形態の製造方法についても、段落【0117】、【0118】、【図42】及び【図43】で説明がなされている。しかしながら、ここに記載された製造方法では、第2導電層の縁部と、第1絶縁層の縁部のうち第2部分側に対応する第1縁部とが全て揃う構造になるのであるから、第2導電層の縁部と、第1絶縁層の縁部のうち第2部分側に対応する第1縁部とが揃う部分を含む構造を示すものではない。そして、発明の詳細な説明に、請求項4で特定されている「第2導電層の縁部と、第1絶縁層の縁部のうち第2部分側に対応する第1縁部とが揃う部分を含む」構造に関する記載は見当たらない。
したがって、請求項4に記載された発明は発明の詳細な説明に記載されたものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
また、請求項4に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載されておらず、その発明を実施するための記載もないから、当業者が請求項4に係る発明をどのように実施すればよいかがわからない。
したがって、請求項4に記載された発明を当業者が実施することができる程度に発明に詳細な説明に記載されておらず、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。」と主張し、訂正前の請求項5に関して、
「請求項5に記載された発明は請求項4を引用するものであるから、請求項4と同様に、特許法第36条第6項第1号及び特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。」と主張する。(異議申立書第73頁第11行ないし同第74頁6行参照。なお、上記下線部は特許異議申立人が付与している。)
イ ここで、本件特許明細書の【0059】に「境界12-1p、側面12-2e、側面13eおよび側面14eは、・・・、第1部分12-1の縁部、第2部分12-2の縁部、第1絶縁層13の縁部および第2導電層14の縁部、にそれぞれ対応する。」、段落【0057】に「d1は、第2導電層14の側面14eと第1絶縁層13の側面13eとの距離に対応する。」、同段落【0058】に「d1を小さくするときには、側面13eと側面14eとがほぼ一致し、d1が0μmになる場合もある。」、同段落【0115】に「図41は、本開示の第14実施形態に係るキャパシタを示す概略断面図である。図41に示すキャパシタ100Mは、第1実施形態におけるキャパシタ100においてd1=0である場合に相当する。すなわち、第1絶縁層13の側面13eと、第2導電層14Mの側面14Meとが同一面を形成し、基板11の表面の法線方向に沿って見た場合に、側面13eと側面14Meとが揃っている。」、同段落【0117】に「図42は、本開示の第14実施形態に係るキャパシタを製造する方法を説明する図である。・・(省略)・・。」、同段落【0118】に「図43は、本開示の第14実施形態に係るキャパシタを製造する方法を説明する図である。・・・図41に示すキャパシタ100Mが実現される。」と記載され、図4によれば、「第2部分12-2」側に対応する「第1絶縁層13」の「側面13e」が見て取れる。
してみると、本件特許明細書及び図面には、「第2導電層の縁部」と、「第1絶縁層の縁部のうち第2部分側に対応する第1縁部」とが全て揃うキャパシタ構造が開示されており、当該キャパシタ構造は、「第2導電層の縁部と、第1絶縁層の縁部のうち第2部分側に対応する第1縁部とが揃う部分を含む」構造の一例を示していることは明らかである。
そして、上記各段落の記載及び図面からすれば、本件特許明細書には「第2導電層の縁部と、第1絶縁層の縁部のうち第2部分側に対応する第1縁部とが揃う部分を含む」構造を実施することができる程度に記載されているといえる。
したがって、請求項4に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、その発明を実施することも記載されている。
ウ 以上から、特許異議申立人の主張を採用することはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した異議申立理由によっては、請求項1ないし38に係る特許を取り消すことはできない。また、他に取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700036