特許訂正審判
2021-390198
画像形成装置及び省エネ制御プログラム
- 審判番号
- 2021-390198
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2012-189255
- 登録番号
- 5678016
- 請求日
- 2021年12月22日
- 審決日
- 2022年03月16日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】京セラ ドキュメントソリューションズ 株式会社
- 【請求人代理人】須藤 雄一
- 【請求人代理人】須藤 大輔
- 審判長/審判官
- 審判長 千葉 輝久
- 審判官 渡辺 努
- 審判官 木方 庸輔
- 分類
- P141 .841-Y (H04N) / P141 .851-Y (H04N) / P141 .853-Y (H04N) / P141 .854-Y (H04N) / P141 .855-Y (H04N) / P141 .856-Y (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第3項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第5678016号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第5678016号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4、9〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第5678016号(以下、「本件特許」という。)は、平成24年8月29日に出願され、その請求項1~8に係る発明について、平成27年1月9日に特許権の設定登録がされたものである。
その後、令和3年12月22日に本件特許に対して訂正審判の請求がされ、令和4年2月4日に補正書が提出されたものである。
なお、当該補正は、審判の請求に係る請求項の数の誤記を補正するためのものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、令和4年2月4日に提出された補正書により補正された審判請求書によれば、
「特許第5678016号の明細書、特許請求の範囲を、本審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、4、及び9について訂正することを認める、との審決を求める。」
というものである。
2 訂正の内容
本件訂正審判に係る訂正の内容は、以下のとおりである。
なお、下線部は訂正箇所を示す。
(1)一群の請求項1、2、4及び9に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、」と記載されているのを、「前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第2操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合に、前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2及び4も同様に訂正する。)
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが前記特定の機能に対応するジョブの発生に基づき明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させる、前記操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、」と記載されているのを、「前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記第2操作入力が特定の機能に対するものであることが前記特定の機能に対応するジョブの発生に基づき明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項3
ウ-1 訂正事項3-1
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3の何れか1項に記載の画像形成装置であって、前記省エネ制御部に対して前記省エネモードからの復帰モードを切り替える復帰モード切替部を備え、前記復帰モードは、前記部分復帰モードに加えて、何れの操作入力によっても全ての動作部を復帰させる全復帰モードと、前記全復帰モード及び部分復帰モードを併用し前記操作入力以外の特定操作に限って前記全復帰モードによる復帰を行う複合復帰モードとを含む、ことを特徴とする画像形成装置。」とあるうち、請求項1又は2を引用するものについて、「請求項1又は2記載の画像形成装置であって、前記省エネ制御部に対して前記省エネモードからの復帰モードを切り替える復帰モード切替部を備え、前記復帰モードは、前記部分復帰モードに加えて、何れの操作入力によっても全ての動作部を復帰させる全復帰モードと、前記全復帰モード及び部分復帰モードを併用し前記操作入力以外の特定操作に限って前記全復帰モードによる復帰を行う複合復帰モードとを含む、ことを特徴とする画像形成装置。」に訂正する。
ウ-2 訂正事項3-2
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3の何れか1項に記載の画像形成装置であって、前記省エネ制御部に対して前記省エネモードからの復帰モードを切り替える復帰モード切替部を備え、前記復帰モードは、前記部分復帰モードに加えて、何れの操作入力によっても全ての動作部を復帰させる全復帰モードと、前記全復帰モード及び部分復帰モードを併用し前記操作入力以外の特定操作に限って前記全復帰モードによる復帰を行う複合復帰モードとを含む、ことを特徴とする画像形成装置。」とあるうち、請求項3を引用するものについて、「請求項3に記載の画像形成装置であって、前記省エネ制御部に対して前記省エネモードからの復帰モードを切り替える復帰モード切替部を備え、前記復帰モードは、前記部分復帰モードに加えて、何れの操作入力によっても全ての動作部を復帰させる全復帰モードと、前記全復帰モード及び部分復帰モードを併用し前記操作入力以外の特定操作に限って前記全復帰モードによる復帰を行う複合復帰モードとを含む、ことを特徴とする画像形成装置。」と記載し、新たに請求項9とする。
エ 訂正事項4
明細書の段落【0012】に「本発明は、ユーザーの利便性向上を図りながら消費電力の抑制効果を向上するために、選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部と、前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御部とを備え、前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有することを最も主な特徴とする。」とあるのを、「本発明は、ユーザーの利便性向上を図りながら消費電力の抑制効果を向上するために、選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部と、前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御部とを備え、前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第2操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合に、前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有することを最も主な特徴とする。」に訂正する。
第3 当審の判断
1 請求項1、2、4及び9に係る訂正について
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項1、2、4について、訂正前の請求項4は、請求項1、2の何れかを引用しているものであって、訂正事項1、2によって記載が訂正される請求項1、2に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1、2、4に対応する訂正後の請求項1、2、4及び9は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
(2)訂正事項1について
ア 訂正前及び訂正後の請求項1に係る発明
訂正事項1を判断するに当たり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「訂正前発明1」という。)及び訂正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「訂正後発明1」という。)を分説すると次のとおりである。下線は、訂正の箇所である。
A~Dは、構成要件を区別するために当審で付与したものであり、以下、「構成A」~「構成D」という。
ア-1 訂正前発明1
A 選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、
B 前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部と、
C 前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御部とを備え、
C 前記省エネ制御部は、
C1 前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、
C2 前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、
C3 前記操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
D ことを特徴とする画像形成装置。
ア-2 訂正後発明1
A 選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、
B 前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部と、
C 前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御部とを備え、
C 前記省エネ制御部は、
C1’ 前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、
C2’ 前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第2操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、
C3’ 前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合に、前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
D ことを特徴とする画像形成装置。
イ 訂正の目的について
訂正事項1は、
構成C1における2箇所の「前記操作入力」について、前者を「前記操作入力のうちの第1操作入力」、後者を「前記第1操作入力」に訂正(以下、「訂正事項1-1」という。)し、
構成C2における「前記操作入力」を「前記操作入力のうちの第2操作入力」に訂正(以下、「訂正事項1-2」という。)し、
構成C3における「前記操作入力」を「前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合に、前記第3操作入力」に訂正(以下、「訂正事項1-3」という。)するものである。
そうすると、訂正前発明1の構成C1~C3の「前記操作入力」が、同じ操作入力を指すものであるのか、操作入力として違う種類の操作入力に対応するものであるのかが明瞭でなかったものを、「前記操作入力」について、「前記操作入力のうちの第1操作入力」及び「前記第1操作入力」に訂正する訂正事項1-1、「前記操作入力」を「前記操作入力のうちの第2操作入力」に訂正する訂正事項1-2、「前記操作入力」を「前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合に、前記第3操作入力」に訂正する訂正事項1-3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、それぞれの「前記操作入力」を減縮したものであるから、訂正事項1-1~訂正事項1-3は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明及び特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項1に関連して、本件特許明細書には、以下のような記載がある。
なお、下線は、説明のために、当審で付したものである。
「【0041】
図3において、「DP原稿セット」、「原稿マット開閉」、「コインベンダーコイン投入」、「ICカードタッチ」は、複数の機能に共通して行われるトリガー操作を示している。
【0042】
「DP原稿セット」及び「原稿マット開閉」は、それぞれ原稿送り装置3bへの原稿セット及び原稿カバー3aの開閉であり、コピー機能、スキャナー機能、FAX機能の際に共通に行われるトリガー操作である。これらのトリガー操作では、次に続く動作としてスキャンが行われることになる。従って、「DP原稿セット」及び「原稿マット開閉」の場合は、動作部5a,5bの復帰の要否として、スキャナー復帰が「要」でエンジン復帰が「不要」に設定されている。
【0043】
「コインベンダーコイン投入」及び「ICカードタッチ」は、それぞれコインベンダー3fへの硬貨の投入及びICカードリーダー3eでのICカードの読み取りであり、画像形成装置1を使用可能とする際に行われるトリガー操作である。これらのトリガー操作は、直接的に次に続く動作が不明であるが、その目的に応じて動作部5a,5bの復帰の要否が設定されている。
【0044】
「コインベンダーコイン投入」の場合は、画像形成装置1を店舗等で使用可能とする関係上、コピー機能が利用されることが多い。このため、「コインベンダーコイン投入」に対しては、スキャナー復帰及びエンジン復帰の双方が「要」に設定されている。
【0045】
「ICカードタッチ」の場合は、ユーザーの認証を通じて画像形成装置1の設定を行わせることが多い。このため、「ICカードタッチ」に対しては、スキャナー復帰及びエンジン復帰の双方が「不要」に設定されている。
【0046】
図3の「プリンター印刷」、「TWAIN/WIA」、「WSDスキャン」、「WSDプリント」、「NetworkFax送信」は、特定の機能に対するものであることが明確なトリガー操作を示している。
【0047】
「プリンター印刷」は、ユーザー端末(外部装置)からのプリント指示(プリントジョブ)の入力であり、プリント機能であることが明確なトリガー操作である。
【0048】
「TWAIN/WIA」は、TWAINやWIAドライバがインストールされたユーザー端末からのスキャン指示(スキャンジョブ)の入力であり、スキャン機能であることが明確なトリガー操作である。
【0049】
「WSDスキャン」は、WSDL機能をサポートしているOS(Operating System)がインストールされたユーザー端末からのスキャン指示(スキャンジョブ)の入力、「WSDプリント」は、同プリント指示(プリントジョブ)の入力である。このため、それぞれスキャン機能及びプリント機能であることが明確なトリガー操作である。
【0050】
「NetworkFax送信」は、ユーザー端末からのネットワークFAXの送信指示(FAXジョブ)の入力であり、FAX機能であることが明確なトリガー操作である。
【0051】
これらの「プリンター印刷」、「TWAIN/WIA」、「WSDスキャン」、「WSDプリント」、「NetworkFax送信」に対しては、それぞれ機能に必要な動作部5a,5bの復帰の要否が設定されている。」
「【0059】
こうして終了した省エネ制御処理は、トリガー操作が入力されるたびに行われ、各トリガー操作が複数の機能に共通する限り、トリガー操作の次に続く動作に必要な動作部5a及び5bの何れか一方又は双方を復帰させる。
【0060】
そして、トリガー操作が特定の機能に対するものであることが明確になった時点では、特定の機能に必要な動作部5a,5bを復帰させる。」
「【0063】
この状態で、例えば図3の「DP原稿セット」や「原稿マット開閉」が行われると、図4(b)のように次の動作に必要なスキャナー5aが復帰し稼動する。
【0064】
その後、例えば操作パネルでコピー実行指示がトリガー操作として行われると、コピージョブが発生してコピー機能であることが明確となる。この場合は、図4(c)のように、コピー機能に必要なプリントエンジン5bも復帰し稼動することになる。なお、実行指示入力の前に機能選択が行われる場合は、その時点で機能が明確となる。」
そうすると、「DP原稿セット」及び「原稿マット開閉」のトリガー操作は、訂正事項1-1の「前記操作入力のうちの第1操作入力」に対応し、「プリンター印刷」、「TWAIN/WIA」、「WSDスキャン」、「WSDプリント」、「NetworkFax送信」のトリガー操作及び「コピー実行指示」のトリガー操作は、訂正事項1-2の「前記操作入力のうちの第2操作入力」に対応し、「コインベンダーコイン投入」及び「ICカードタッチ」のトリガー操作は、訂正事項1-3の「前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合」に対応する。
したがって、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(3)訂正事項2について
ア 訂正前及び訂正後の請求項2に係る発明
訂正事項2を判断するに当たり、訂正前の特許請求の範囲の請求項2に係る発明(以下「訂正前発明2」という。)及び訂正後の特許請求の範囲の請求項2に係る発明(以下「訂正後発明2」という。)を分説すると次のとおりである。下線は、訂正の箇所である。
E~Gは、構成要件を区別するために当審で付与したものであり、以下、「構成E」~「構成G」という。
ア-1 訂正前発明2
E 請求項1記載の画像形成装置であって、
F 前記省エネ制御部は、
F1 前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、
F2 前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが前記特定の機能に対応するジョブの発生に基づき明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させる、
F3 前記操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
G ことを特徴とする画像形成装置。
ア-2 訂正後発明2
E 請求項1記載の画像形成装置であって、
F 前記省エネ制御部は、
F1’前記省エネモード中の前記第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、
F2’前記省エネモード中の前記第2操作入力が特定の機能に対するものであることが前記特定の機能に対応するジョブの発生に基づき明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、
F3’前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
G ことを特徴とする画像形成装置。
イ 訂正の目的について
訂正事項2は、
構成F1における2箇所の「前記操作入力」について、「前記第1操作入力」に訂正(以下、「訂正事項2-1」という。)し、
構成F2における「前記操作入力」を「前記第2操作入力」に訂正(以下、「訂正事項2-2」という。)し、
構成F2における「復帰させる」を「復帰させ」に訂正(以下、「訂正事項2-3」という。)し、
構成F3における「前記操作入力」を「前記第3操作入力」に訂正(以下、「訂正事項2-4」という。)するものである。
そうすると、訂正前発明2の構成F1~F3の「前記操作入力」が、同じ操作入力を指すものであるのか、操作入力として違う種類の操作入力に対応するものであるのかが明瞭でなく、また、訂正事項1により、各「操作入力」が「第1操作入力」、「第2操作入力」、「第3操作入力」に訂正されたために訂正後発明1の記載との関係において不合理を生じている記載となったことに伴い、「前記操作入力」について、「前記第1操作入力」に訂正する訂正事項2-1、「前記操作入力」を「前記第2操作入力」に訂正する訂正事項2-2、「前記操作入力」を「前記第3操作入力」に訂正する訂正事項2-4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、それぞれの「前記操作入力」を減縮したものであるから、訂正事項2-1、訂正事項2-2、訂正事項2-4は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正前発明2の構成F~構成Gは、「前記省エネ制御部は、・・・復帰させ、・・・復帰させる、・・・を有する、ことを特徴とする画像形成装置。」であり、日本語の文章として明瞭でなく、「復帰させる」を「復帰させ」に訂正する訂正事項2-3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明及び特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項2-1、訂正事項2-4については、上記(2)ウと同様である。
訂正事項2-2について、本件特許明細書の【0064】の記載から、「コピー実行指示」のトリガー操作は、訂正事項2-2の「前記操作入力のうちの第2操作入力」に対応する。
訂正事項2-3は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではない。
したがって、訂正事項2は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
また、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3-1は、請求項4の「請求項1~3の何れか1項」を「請求項1又は2の何れか1項」とする訂正であり、訂正事項3-2は、請求項4の「請求項1~3の何れか1項」を「請求項3」とし、新たな請求項9とする訂正である。
訂正事項3-1及び訂正事項3-2は、3つの請求項を引用している1の請求項を、2つの請求項を引用している1の請求項と1つの請求項を引用している1の請求項の2つの請求項に変更する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項3は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではない。
したがって、訂正事項3は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
また、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(5)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正事項1により請求項1に係る発明を訂正したことに伴い、特許請求の範囲の請求項1の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。
したがって、訂正事項4に関する「訂正の目的」、「新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無」についての判断は、上記(2)イ、ウにおいて検討したとおりである。
よって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明及び特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許法第126条第5項、第6項の規定に適合するものである。
(6)独立特許要件について
訂正事項1~3に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とすることを含むものであるところ、訂正後における特許請求の範囲の請求項1、2、4、9に記載される事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
訂正事項4は、訂正事項1により請求項1に係る発明を訂正したことに伴い、特許請求の範囲の請求項1の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、訂正事項4に関する独立特許要件についての判断は、訂正事項1に関する独立特許要件違反についての判断と同様に、訂正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
したがって、訂正事項1~4は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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