特許訂正審判
2021-390149
ステッピングモータ
- 審判番号
- 2021-390149
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2017-040174
- 登録番号
- 6877190
- 請求日
- 2021年09月07日
- 審決日
- 2022年02月04日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ミネベアミツミ 株式会社
- 【請求人代理人】末成 幹生
- 審判長/審判官
- 審判長 窪田 治彦
- 審判官 長馬 望
- 審判官 田合 弘幸
- 分類
- P141 .852-Y (H02K) / P141 .853-Y (H02K)
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6877190号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6877190号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について」)訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第6877190号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、平成29年3月3日に出願され、令和3年4月30日にその特許権の設定登録がされた。
そして、令和3年9月7日に訂正審判(以下、「本件訂正審判」という。)が請求され、令和3年11月26日に審判請求書の請求の趣旨を補正する手続補正(方式)がされた。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、令和3年11月26日に手続補正された審判請求書に記載のとおり「特許第6877190号の特許請求の範囲および明細書を、本件審判請求書に添付した特許請求の範囲および訂正明細書のとおりに訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判で請求人が求める訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項1ないし3のとおりである。
1 訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「前記環状の突起700の端面に複数のボス701を形成し、突起の端面に、複数のボスを前記コイルばねを囲むように一体に形成し、」とあるのを、「前記環状の突起の端面に複数のボスを前記コイルばねを囲むように一体に形成し、」に訂正する。
2 訂正事項2
本件特許の特許請求の範囲の請求項4に「前記フランジ部は前記円板部から径方向に延在する形態であって、該フランジ部が複数形成され、前記各フランジ部の前記円板部側には位置決めピンが設けられていることを特徴とする請求項4に記載のステッピングモータ。」とあるのを、「前記フランジ部は前記円板部から径方向に延在する形態であって、該フランジ部が複数形成され、前記各フランジ部の前記円板部側には位置決めピンが設けられていることを特徴とする請求項3に記載のステッピングモータ。」に訂正する。
3 訂正事項3
本件特許の明細書の段落0007に「前記環状の突起700の端面に複数のボス701を形成し、突起の端面に複数のボスを、前記コイルばねを囲むように一体に形成し、」とあるのを、「前記環状の突起の端面に、複数のボスを前記コイルばねを囲むように一体に形成し、」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1には、「前記環状の突起700の端面に複数のボス701を形成し、突起の端面に、複数のボスを前記コイルばねを囲むように一体に形成し」とある。この記載における「突起の端面」とは、同じくこの記載における「前記環状の突起700の端面」と同じ端面をいうのか否か明瞭でなく、また、その結果、「前記環状の突起700の端面に複数のボス701を形成し」における「複数のボス701」と「突起の端面に、複数のボスを前記コイルばねを囲むように一体に形成し」における「複数のボス」が同じボスをいうのか否か明瞭でないところ、訂正事項1は、「前記環状の突起の端面に複数のボスを前記コイルばねを囲むように一体に形成し、」として、環状の突起の端面に形成される複数のボスが、コイルばねを囲むように一体に形成されるものであることを明らかにするものであるから、特許法(以下、「法」という。)126条1項ただし書3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であるかについて
本件特許の明細書には、次のア及びイに示す事項が記載され、また本件特許の図面にはウに示す図2及び図3が記載されている(下線は、当審が付与した。以下同様。)。
ア「【0031】
図2に示すように、フロントプレート210の内面すなわちロータ400への対向面における軸受孔215の周囲には、環状の突起700が一体に形成されている。この突起700は、図3に示すように先端縁部に複数(この場合、3つ)のボス701が等間隔をおいて形成されている。ロータ400のシャフト403は、この突起700内を挿通している。そしてこの突起700内には、シャフト403に外装された状態でコイルばね800が収容されている。コイルばね800はフロントプレート210とロータ部材402との間に圧縮状態で介装されている。」
イ「【0033】
コイルばね800は突起700のボス701の端面から突出しており、ワッシャ902を介してロータ部材402をエンドプレート310側に付勢している。これによりロータ部材402はワッシャ903を介してエンドプレート310に弾性的に押し付けられ、互いに対向するロータ部材402とボス701の端面間には隙間が形成される。」
ウ 図2 図3
[図:0001383988000001.jpg]
前記ア及びイの記載より、環状の突起700の先端縁部に複数のボス701が等間隔に形成されているといえ、またこの突起700内には、コイルばね800が収容され、このコイルばね800は突起700のボス701の端面から突出していることから、等間隔に形成される複数のボス701は、コイルばね800を囲むように形成されるといえる。さらに、前記ウに示す図3(A)及び(B)の記載から、複数のボス701と環状の突起700は、一体に形成されているといえる。
以上のことから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、法126条5項に規定する要件をみたすものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
前記(1)に示すように、訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、法126条6項に規定する要件をみたすものである。
(4)独立特許要件について
前記(1)に示すとおり、訂正事項1は、法126条1項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であるから、法126条7項に規定する要件(独立特許要件)は、課されない。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、本件訂正前の請求項4に「・・・請求項4に記載のステッピングモータ。」とあるのを「・・・請求項3に記載のステッピングモータ。」とするものである。本件訂正前の請求項4は、請求項4自体を引用する形式で記載されているから、請求項4に「・・・請求項4に記載のステッピングモータ。」とあるのは、明らかな誤記である。そして、本件訂正前の請求項4には、「前記フランジ部」及び「前記円板部」との記載があるところ、本件訂正前の特許請求の範囲の記載において、「フランジ部」及び「円板部」の記載があるのは、請求項3のみであることから、請求項4が引用することができるのは、請求項3のみであることは明らかである。
そうすると、本件訂正前の請求項4に「・・・請求項4に記載のステッピングモータ。」とあるのは、「・・・請求項3に記載のステッピングモータ。」の明らかな誤記であり、明らかな誤記を正しい記載に訂正する訂正事項2は、法126条1項ただし書2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
(2)願書に最初に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であるかについて
本件特許の願書に最初に添付した特許請求の範囲には、次のアに示す事項が記載され、本件特許の願書に最初に添付した明細書には、次のイに示す事項が記載され、また本件特許の願書に最初に添付した図面にはウに示す図4及び図5が記載されている。
ア「【請求項1】
シャフトを有するロータと、
前記ロータに近接して配設されたステータと、
前記ロータの軸方向一端側に対向して配設され、前記シャフトを支持する支持部を有するプレートと、
を備え、
前記プレートは、前記ロータへの対向面に、前記ロータ側に突出し、かつ前記シャフトを囲む環状の突起を有し、
前記突起の内側に、前記シャフトに外装された状態で前記プレートと前記ロータとの間に介装され、前記ロータを軸方向他端側に付勢して該ロータを他の部材に弾性的に押し付けるコイルばねが設けられていることを特徴とするステッピングモータ。
【請求項2】 略
【請求項3】
前記プレートは、前記ステータのコイルが接続される端子ピンが設けられる端子台部と、フランジ部とを備え、
前記フランジ部には、固定部材への固定用の固定ピンが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のステッピングモータ。
【請求項4】
前記プレートの前記フランジ部は径方向に延在する形態であって、該フランジ部が複数形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のステッピングモータ。
【請求項5】 略」
イ「【0040】
次に、第2実施形態のフロントプレート250を説明する。図4および図5に示すように、フロントプレート250は、フロント側ステータアッシー200に対し同軸的に位置付けられてこのフロント側ステータアッシー200を覆う円板部251を主体としており、この円板部251の両側に、円板部251の径方向外方に延びるフランジ部253がそれぞれ形成されている。フランジ部253は、図5において円板部251のほぼ下半分の領域における縁部から斜め上方に延び、幅が均一であって先端が半円弧状に形成されている。
【0041】
図6に示すように、円板部251の中心にはシャフト403の軸受孔255が形成されている。一方、エンドプレート350にもシャフト403の軸受孔355が形成されている。シャフト403は、第1実施形態と同様に、フロントプレート250とエンドプレート350に形成された軸受孔255,355に通され、それら軸受孔255,355の内周面255a,355aに直接接触し摺動することで回転自在に支持されている。
【0042】
図4および図5において円板部251の上部には端子台部256が一体に形成されている。端子台部256には第1実施形態と同様に軸方向に延びる4本の端子ピン214が埋め込まれている。さらに、各フランジ部253の円板部251に対する根元部分と、端子台部256の下部には、軸方向に延びる位置決めピン259がそれぞれ一体に形成されている。位置決めピン259は3本で周方向にほぼ90°のピッチで配置されているが、本数は限定されない。さらにフランジ部253の先端部付近には、軸方向に突出する上下一対の固定ピン258が固定されている。固定ピン258は第1実施形態の固定ピン258と同様の略U字型の金属部材であり、フランジ部253に設けられた孔に圧入され固定されている。固定ピン258は、シャフト403の中心と端子台部256の中点を通る線(図5の二点鎖線)を対称軸として略線対称に配置されている。」
ウ 図4 図5
[図:0001383988000002.jpg]
前記イの記載から、フロントプレート250は、円板部251と端子台部256と、円板部251の両側に円板部251の径方向外方に延びるフランジ部253とを備え、フランジ部253には、固定ピン258が固定されているといえる。また、円板部251の両側にフランジ部253がそれぞれ形成されていることから、フランジ部253は複数形成されているといえる。さらにフランジ部253の円板部251に対する根元部分には、位置決めピン259が形成されていることから、フランジ部253の前記円板部251側には位置決めピン259が設けられているといえ、前記ウに示す図面をみても、位置決めピン259はフランジ部253の前記円板部251側に設けられているといえる。
以上のこと並びに、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項3及び請求項4の記載(前記ア参照)から、訂正事項2は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、法126条5項に規定する要件をみたすものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
前記(1)に示すように、訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、法126条6項に規定する要件をみたすものである。
(4)独立特許要件について
本件訂正後における特許請求の範囲の請求項4に記載されている事項により特定される発明を拒絶すべき理由を発見しないので、訂正後における特許請求の範囲の請求項4に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、訂正事項2は、法126条7項に規定する要件をみたすものである。
3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正事項3は、訂正事項1により本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載が訂正されたことに伴い、明細書の対応する記載を訂正事項1と同様に訂正するものであって、法126条1項ただし書3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であるかについて
訂正事項3は、訂正事項1と同様の事項を明細書について行うものであるから、訂正事項1と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、法126条5項に規定する要件をみたすものである(前記1(2)参照)。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項3は、訂正事項1と同様の事項を明細書について行うものであるから、訂正事項1と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、法126条6項に規定する要件をみたすものである(前記1(3)参照)。
(4)独立特許要件について
前記(1)に示すとおり、訂正事項3は、法126条1項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であるから、法126条7項に規定する要件(独立特許要件)は、課されない。
4 一群の請求項について
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2ないし4は、請求項1を引用する請求項であるから、請求項1ないし4は、一群の請求項である。そして、本件訂正は、特許請求の範囲の請求項1ないし4について訂正することを求めるものであるから、一群の請求項ごとに訂正を請求するものであり、法126条3項及び4項に規定する要件をみたすものである。
5 結論
以上のとおり、本件訂正審判の請求は、法126条1項ただし書2号又は3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条3項ないし7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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