商標取消審判
2021-300144
アイパテント
- 審判番号
- 2021-300144
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2016-074243
- 登録番号
- 5928282
- 請求日
- 2021年02月26日
- 審決日
- 2025年03月31日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】正林 真之
- 【請求人代理人】林 栄二
- 【請求人代理人】篠田 貴子
- 【被請求人】渕上 宏二
- 【被請求人代理人】渕上 宏二
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T131 .1 -Y (W45)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5928282号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5928282商標(以下「本件商標」という。)は、「iPatent」の文字を標準文字で表してなり、平成28年7月9日に登録出願、第45類「知的財産権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務,知的財産権の利用に関する契約の代理又は媒介,知的財産権に関する情報の提供,知的財産権に関する助言及びコンサルティング」を指定役務として、同29年3月3日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和3年3月15日である。
以下、本件審判の請求の登録前3年以内の期間(平成30年3月15日ないし令和3年3月14日)を「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を、令和3年2月26日付け審判請求書、同年7月14日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)及び同4年12月2日付け審判事件弁駁書(2)(以下「第二弁駁書」という。)において、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)弁駁書における主張
被請求人が提出した乙第1号証及び乙第2号証は、被請求人が、本件商標をその指定役務について使用していることを証明したものとはいえない。
ア 乙第1号証について
乙第1号証には、被請求人の氏名及び住所の記載がなく、被請求人に係るものであることが証明されていない。
また、「顧問料」との記載があるものの、提供されている役務がどのような内容か一切記載はなく、指定役務が提供されていることが証明されていない。なお、「弁理士事務所」との記載はあるが、そのことが「知的財産権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務」が提供されたことを意味するわけではなく、異なる内容の役務である可能性が十分にある。
さらに、乙第1号証には請求元の押印が見当たらず、また、請求先さえマスキングされて隠されており、真正な請求書であるか疑念を拭えない。
加えて、商標法第2条第3項第8号にあるとおり、「使用」といえるためには、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」である必要があるところ、乙第1号証が「展示、頒布、電磁的方法により提供」されたことが証明されておらず、「使用」とはいえない。
イ 乙第2号証について
乙第2号証には、被請求人の氏名及び住所の記載がなく、被請求人に係るものであることが証明されていない。
また、乙第2号証には請求元の押印が見当たらず、また、請求先さえマスキングされて隠されており、真正な請求書であるか疑念を拭えない。
さらに、商標法第2条第3項第8号にあるとおり、「使用」といえるためには、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」である必要があるところ、乙第1号証が「展示、頒布、電磁的方法により提供」されたことが証明されておらず、「使用」とはいえない。
(2)第二弁駁書における主張
被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第13号証は、被請求人が要証期間に、本件商標を、その指定役務について使用していることを証明したものとはいえない。
すなわち、令和4年3月29日付け審尋において、乙号証における住所と本件商標権者の住所が相違し、乙号証における「渕上宏二」氏と本件商標権者が同一人であるか否かが証明されていない旨指摘しているところ、この点については解消されていない。具体的には、被請求人が本件商標を表示していると主張している乙第1号証、乙第5号証及び乙第8号証は、その住所が「福岡市中央区大名・・・」(以下「住所1」という。)(本件商標を表示するものではないが、乙第4号証、乙第6号証の住所も同様である。)と、また、乙第2号証は、その住所が「福岡市中央区渡辺通・・・」(以下「住所2」という。)となっており、そのいずれもが所得税申告書(乙11)の「事業所所在地」として掲載されている「福岡県福岡市南区塩原・・・」(以下「住所3」という。)(本件商標を表示するものではないが、乙第7号証の住所も同様である。)とは異なるものとなっており、それら乙号証に係る商標の使用者のいずれもが本件商標権者であることが十分に証明されていない。
特に、令和2年分の所得税申告書(乙11)は、乙第12号証及び乙第13号証によれば、税務署に提出したのが令和3年4月15日と思われるところ、本件審判請求の登録日の後のものである上、提出日の直前といえる同年2月18日に発行された乙第1号証でさえ、住所が異なっている。加えて、乙第7号証と乙第8号証は、同じ日を発行日にしているにもかかわらず、住所が異なっている。さらに、被請求人は、乙第9号証として「弁理士ナビ」の写しも提出しているが、証拠説明書によれば、この作成日は、令和3年12月5日とされており、本件審判請求の登録日の後のものであるから、要証期間の状況を証するものにはならない。
したがって、乙第1号証ないし乙第13号証をもってしては、乙1号証、乙第2号証、乙第5号証及び乙第8号証において、「iPatent」の商標を使用した者が本件商標権者であることが証明されたということはできない。
以上のとおりであるから、本件商標は、その指定役務のいずれについても、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、登録商標の使用をした事実が存しないといわざるを得ない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を令和3年5月25日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)、同年11月2日付け審尋に対する同年12月5日付け審判事件回答書(以下「第一回答書」という。)、同4年3月29日付審尋に対する同年5月11日付け審判事件回答書(以下「第二回答書」という。)及び同年9月1日付審尋に対する同年10月4日付け審判事件回答書(以下「第三回答書」という。)において、要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 答弁書における答弁
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人が顧客に提出する取引書類に当該商標を付したものの写しである。当該取引書類は、弁理士が顧客に提供する顧問業務の対価の請求に係る書類(請求書)である。
弁理士が行う顧問業務には、本件商標に係る指定役務に関する業務の全て、若しくは少なくともその一部が含まれることは、請求人及び被請求人において自明である。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、被請求人が顧客に提出する取引書類に当該商標を付したものの写しである。当該取引書類は、弁理士が顧客に提供する特許出願代理業務の対価の請求に係る書類(請求書)である。
特許出願代理業務は、本件商標に係る指定役務のうち、「知的財産に関する手続の代理」に該当する。
(3)本件商標の使用事実及び使用時期について
乙第1号証により、被請求人(被請求人が代表を務める弁理士事務所)が令和3年2月18日に、日本国内において、本件商標を、その指定役務全般について使用していたことが証される。
また、乙第2号証により、被請求人(被請求人が代表を務める弁理士事務所)が令和元年12月18日に、日本国内において、本件商標を、その指定役務のうち「知的財産に関する手続の代理」について使用していたことが証される。
(4)商標の態様について
乙第1号証及び乙第2号証によって使用の事実が証される商標は、本件商標の書体に軽微な変更を加えたものである。登録商標に軽微な書体の変更を施した商標は登録商標と社会通念上同一と認められるべきものであることから、当該商標の使用は登録商標の使用に該当する。
2 第一回答書における答弁
(1)乙第3号証について
乙第3号証は、被請求人が代理人を務めた商標登録出願に係る商標公報の写しである。出願番号は商願2020-45051、登録番号は商標登録第6270769号、商標権者はセトル株式会社である(以下セトル株式会社を「S社」、当該登録商標を「S社登録商標」という。)。
(2)乙第4号証について
乙第4号証は、被請求人が顧客に商標登録証を送付した際の書状の写しである。宛先はS社である。書状の右下には商標「iPatent」が付されている。
(3)乙第5号証について
乙第5号証は、被請求人が顧客に提出した請求書の写しである。宛先はS社である。請求書の右上には商標「iPatent」が付されている。請求書の後書きには差出人として「弁理士 渕上宏二」と記名されている。
(4)乙第6号証について
乙第6号証は、被請求人が顧客に送信した電子メール、及び顧客から返信された電子メールの写しである。電子メールの宛先はS社の担当者である。被請求人からS社の担当者宛てに送信された電子メールに請求書(乙5)が添付されている。
(5)乙第7号証について
乙第7号証は、被請求人が顧客に手続の完了を通知した際の書状の写しである。宛先はS社である。書状の右下には商標「iPatent」が付されている。
(6)乙第8号証について
乙第8号証は、被請求人が顧客に提出した請求書の写しである。宛先はS社である。書状の右上には商標「iPatent」が付されている。請求書の後書きには差出人として「弁理士 渕上宏二」と記名されている。
(7)乙第9号証について
乙第9号証は、日本弁理士会が提供するウェブサイト「弁理士ナビ」の表示画面の写しである。本件商標権者が渕上弁理士事務所に所属していることが公開されている。
(8)本件商標の使用事実及び使用時期について
乙第3号証ないし乙第9号証により、本件商標権者である被請求人が、日本国内において、少なくとも2020年7月15日に、本件商標を「知的財産に関する手続の代理、その他の事務」に関する請求書に付して電磁的方法により提供する行為を実施していたことが証される。
(9)商標の態様について
乙第3号証ないし乙第9号証により使用の事実が証される商標は、本件商標に軽微な書体の変更が加えられたものである。登録商標に軽微な書体の変更が施された商標は登録商標と社会通念上同一と認められるべきものであることから、当該商標の使用は商標法第50条に規定する登録商標の使用に該当する。
3 第二回答書における答弁
(1)乙第10号証について
乙第10号証は、本件商標権者が所属する渕上弁理士事務所から、S社に送信した電子メールの写しである。メール本文に記載された添付書類のうち手続完了報告書が乙第7号証に該当し、請求書が乙第8号証に該当する。
(2)乙第11号証について
乙第11号証は、「福岡県春日市一の谷・・・」(以下「住所4」という。)を住所とする渕上宏二が、渕上弁理士事務所(住所3)に拠点を置く渕上弁理士事務所に所属する弁理士として、令和2年1月から12月までに得た収入に関する申告決算書の写しである。
(3)結び
乙第3号証ないし乙第8号証、乙第10号証及び乙第11号証により、被請求人が、渕上弁理士事務所に所属する弁理士として、「知的財産に関する手続の代理又は鑑定その他の事務に関する業務」について、本件商標を使用していることが証される。
4 第三回答書における答弁
被請求人は、乙第11号証を、国税庁に対して正式に提出している。
(1)乙第12号証について
乙第12号証は、乙第11号証を、国税庁に対して電子送信した際の送信票(兼送付書)の写しであり、本件商標権者が、受付日時「令和3年4月15日 17:38:03」に、受付番号「20210415173803611218」にて、乙第11号証を国税庁に電子申請したことを示す。
(2)乙第13号証について
乙第13号証は、国税庁筑紫税務署長が、乙第11号証の電子申請の電子到達を証明するデータシートの写しであり、本件商標権者が、受付番号「20210415173803611218」にて電子申請した乙第11号証が、到達日時「令和3年4月15日 17:38:03」に電子到達したことを示す。
(3)結び
乙第3号証ないし乙第13号証により、被請求人が、渕上弁理士事務所に所属する弁理士として、「知的財産に関する手続の代理又は鑑定その他の事務に関する業務」について、本件商標を使用していることが証される。
第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第3号証について
S社登録商標の商標公報(乙3)には、登録番号として「商標登録第6270769号(T6270769)」、登録商標として、その構成中に、「settle GLOCAL HOTEL」の欧文字及び「ITOSHIMA」の欧文字を有する商標、商品及び役務の区分として「第43類」、出願番号として「商願2020-45051(T2020-45051)」、出願日として「令和2年4月23日(2020.4.23)」、商標権者の氏名又は名称として「S社」、代理人の氏名又は名称として「渕上 宏二」の記載がある。
(2)乙第4号証について
「渕上弁理士事務所」(以下「渕上事務所」という場合がある。)が、S社代表取締役に宛てた2020年(令和2年)8月18日付け「商標権設定登録に係る手続完了のお知らせ」(乙4)には、右上部に、同事務所の住所として住所1及び電話番号「050-5218-・・・」、右下には、「iPatent(R)((R)は、○内に「R」の文字が小さく付されていることを表す。以下同じ。以下「本件使用商標」という場合がある。別掲) Fuchigami IP Law」の記載がある。また、中央下部に、商標登録番号として「商標登録第6270769号」、登録日として「2020年(令和2年)7月16日」、商標登録出願番号として「商願2020-045051」、商標権者として「S社」、商標として「settle GLOCAL HOTEL ITOSHIMA」、区分として「第43類」の記載がある。
また、添付書類として、「商標登録証 1部」及び「商標権者の皆様へ 1部」の記載がある。
(3)乙第5号証について
渕上事務所が、S社に宛てた「請求書」(乙5)には、左上部に、住所1及び電話番号「050-5218-・・・」、右上部には本件使用商標の記載がある。また、中央部には、案件名として「商標権設定登録」、詳細として「商標『settle GLOCAL HOTEL』、指定商品(役務)第43類」、発行日として「令和2年7月15日」、「総額」、さらにその下部には「弁理士 渕上宏二 拝」の記載がある。
(4)乙第6号証について
渕上事務所が、2020年(令和2年)7月15日11時48分に、S社の担当者に宛てた電子メール(乙6の上部)には、商願2020-045051(商標『settle GLOCAL HOTEL』)の商標権設定登録に係る手続が完了したことを知らせる旨が記載され、添付書類として「商標登録料納付書 1通」及び「請求書 1通」の記載があり、その下部には、これら2つの添付書類のプレビューが表示されている。さらにその下には、「渕上事務所」、住所1及び電話番号「050-5218-・・・」の記載がある。
また、S社が、2020年(令和2年)7月15日22時6分に、渕上事務所に宛てた電子メール(乙6の下部)には、「渕上弁理士事務所 弁理士 渕上 宏二様・・・内容確認致しました。引き続きよろしくお願いいたします。」の記載がある。
(5)乙第7号証について
渕上事務所が、S社の代表取締役に宛てた2020年(令和2年)4月23日付け「手続完了報告書」(乙7)には、右上部に、住所2及び電話番号「050-5218-・・・」、右下部には、本件使用商標及び「Fuchigami IP Law」の記載がある。また、中央下部に、出願番号として「商願2020-045051」、出願日として「2020年(令和2年)4月23日」、出願人として「S社」、商標として「settle GLOCAL HOTEL ITOSHIMA」、区分として「第43類」の記載があり、添付書類として「(1)商標登録願 1通」「(2)早期審査に関する事情説明書 1通」及び「(3)請求書 1通」の記載((1)~(3)は丸付き数字)がある。
(6)乙第8号証について
渕上事務所が、S社に宛てた「請求書」(乙8)には、左上部に、住所1及び電話番号「050-5218-・・・」、右上部には本件使用商標の記載がある。また、中央部に、案件名として「商標登録出願」、詳細として「商標(settle GLOCAL HOTEL)の出願手続きに係る費用」、発行日として「令和2年4月23日」、請求額、さらにその下部には、「弁理士 渕上宏二 拝」の記載がある。
(7)乙第9号証について
令和3年12月5日を作成日とする弁理士ナビのウェブサイトの写し(乙9)には、弁理士の登録番号として「14000」、氏名として「渕上宏二」、事務所として「(主)渕上弁理士事務所 住所3」及び電話番号「050-5218-・・・」並びに同登録番号として「14000」、氏名として「渕上宏二」、事務所として「(従)渕上弁理士事務所 住所1」が表示されている。
(8)乙第10号証について
渕上事務所が、2020年(令和2年)4月23日21時45分に、S社の担当者に宛てた電子メール(乙10の1葉目の上部)には、商標登録出願に係る手続が完了したことを報告する旨が記載され、添付書類として「(1)手続完了報告書 1通」「(2)商標登録出願 1通」「(3)早期審査に関する事情説明書 1通」及び「(4)請求書 1通」の記載((1)~(4)は丸付き数字)が、さらにその下には、「渕上弁理士事務所」、住所1及び電話番号「050-5218-・・・」の記載がある。
また、S社の担当者が、2020年(令和2年)4月22日(水)8時23分に、渕上事務所に宛てた電子メール(乙10の1葉目の下部)には、「渕上弁理士事務所 弁理士 渕上宏二様・・・こちらの分で申請をお願いいたします。」の記載とともに「セトル(株)」の記載及びその担当者の姓の記載がある。
さらに、乙第10号証の2葉目の下部には、添付ファイル4件として、「手続完了報告書(S社様)・・・」「商標登録出願に係る請求書(S社様)・・・」「商標登録願(S社様)・・・」等の記載がある。
そして、乙第4号証ないし乙第10号証に記載された渕上事務所の電話番号は全て一致している。
(9)乙第11号証について
令和3年4月15日を作成日とする「令和02年分所得税青色申告決算書(一般用)」の写し(乙11)には、氏名として「フチガミ コウジ/渕上 宏二」、住所として住所4、事業所所在地として住所3、業種名として「弁理士」、屋号として「渕上弁理士事務所」の記載がある。そして、当該住所(住所4)は本件商標権者の住所と、また、当該事業所所在地(住所3)は、弁理士ナビのウェブサイトの写し(乙9)に記載された、弁理士の登録番号「14000」の「渕上宏二」氏の事務所(主)の所在地と一致している。
また、乙第11号証の左中程には、「令和3年4月15日」「損益計算書(自1月1日至12月31日)」の記載が、右下には、「国税庁HP(2021:04:15;17:38.43.7b)」の記載がある。
(10)乙第12号証について
令和3年4月15日17時38分3秒を受付日時とする「令和02年分の申告書等送信票(兼送付書)」の写し(乙12)には、住所として住所4、氏名として「フチガミ コウジ/渕上 宏二」、受付日時として「2021/04/15 17:38:03」、受付番号として「2021―0415―1738―0361―1218」の記載がある。そして、当該住所(住所4)は本件商標権者の住所と一致している。
また、乙第12号証の下部には、「国税庁HP(2021:04:15;17:38.33.6c)」「筑紫税務署 行」の記載がある。
(11)乙第13号証について
令和3年4月15日付の「電子申請等証明データシート」の写し(乙13)には、住所(納税地等)として住所4の、氏名(名称)として「渕上 宏二」の記載があり、その下には、到達日として「2021/04/15 17:38:03」の、到達した電子申請等の年分又は事業年度として「令和02年分」、到達した電子申請等の名称として「所得税及び復興特別所得税申告」の記載が、さらにその下には、「第20210415173803611218号」の記載がある。そして、当該住所(住所4)は本件商標権者の住所と一致し、「第20210415173803611218号」の記載のうちの数字部分は、乙第12号証に記載の受付番号の数字部分と一致している。
また、乙第13号証の下部には、「令和03年04月15日 筑紫税務署 長」の記載がある。
2 上記の認定事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件商標の使用者及び使用時期について
ア 商標登録出願番号を「商願2020-045051」、商標登録番号を「商標登録第6270769号」とする登録商標(S社登録商標)に係る代理人は、渕上宏二弁理士であり(乙3)、S社のためにS社登録商標に係る商標権設定登録の手続を行った(乙4)。
イ 住所1を所在地とする渕上事務所は、S社に宛てた電子メールに、上記S社商標権設定登録手続に係る「請求書」等を添付して、2020年(令和2年)7月15日に送信した(乙5、乙6)。そして、電子メールに添付された請求書(乙5)には、本件使用商標が付されている。
ウ 住所1を所在地とする渕上事務所は、2020年(令和2年)4月22日、S社登録商標に係る出願手続についてのS社からの依頼に対して、同月23日に同社に宛てた電子メールにおいて、当該手続に係る「手続完了報告書」、同「商標登録出願手続に係る請求書」等を添付した(乙7、乙8、乙10)。そして、当該電子メールに添付された上記書類には、本件使用商標が付されている。
なお、乙第10号証には、商標の構成態様等についての記載がないものの、乙第7号証及び乙第8号証における書類の日付と乙第10号証における電子メールの送信日が一致し、また、その宛先(送信先)はいずれもS社であることから、乙第7号証、乙第8号証及び乙第10号証はS社登録商標の商標登録出願手続に係るものであると推認できる。
エ 渕上宏二弁理士は、住所3を主たる事業所の所在地、住所1を従たる事業所の所在地とする渕上事務所に所属している(乙9)。
オ 渕上宏二弁理士は、住所4を住所とし、住所3を事業所所在地とする渕上事務所で弁理士業務を行い、当該各住所(所在地)を記載して、令和2年度の所得税青色申告決算書(一般用)を、2021年(令和3年)4月15日に、筑紫税務署に対し電子申請によって送付した(乙11~乙13)。
なお、乙第9号証、乙第11号証ないし乙第13号証は、要証期間後の証拠であるが、要証期間後に渕上宏二氏の住所及び渕上事務所の所在地が変更された形跡は見当たらず、また、そのような事実を証する証拠も確認できないことから、要証期間においても、同号証に記載された住所及び所在地にあったものと推認し得るものである。
カ 上記アないしオを総合すると、「渕上宏二」氏は弁理士であり、同氏が弁理士業務を行っている渕上事務所の所在地は、住所1ないし住所3で異なるものの、その電話番号を共通にすることから、同氏は複数所在地を有する事務所において弁理士業務を行っていることを推認することができる。
また、同氏が住所とする住所4は、本件商標権者の住所と一致していることに加え同氏が税務署に提出した申告書に記載の事業所所在地が住所3と一致することから、同氏は本件商標権者と同一人であるといえる。
そして、本件商標権者である「渕上宏二」氏は、弁理士としてS社登録商標の商標登録出願手続及び商標権設定登録手続の代理を行い、令和2年4月23日、同年7月15日及び同年8月18日に、S社に対して、それぞれに本件使用商標を付したこれらの手続の代理費用に係る請求書及びこれら手続が完了したことを報告する書類を添付した電子メールを送付したことが認められる。
(2)本件商標と本件使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は、「iPatent」の文字からなるものである。
他方、本件使用商標は、「iPatent(R)」の文字及び記号からなるところ、「(R)」は登録商標であることを示すために一般に使用されているものであるから、自他識別標識としての機能を果たすのは「iPatent」の文字であるといえる。
そこで、本件使用商標と本件商標を比較すると、これらは同一の文字からなるものであるから、両者は社会通念上同一の商標と認められる。
(3)使用役務について
上記(1)カにおいて本件商標権者が弁理士として顧客(S社)のために行った「商標登録出願手続及び商標権設定登録手続の代理」は、本件商標の指定役務「知的財産権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務」に含まれるものである。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、本件商標権者は、要証期間に含まれる令和2年4月23日、同年7月15日及び同年8月18日に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、請求に係る指定役務に含まれる役務の取引書類に付し、電磁的方法によって顧客に提供したと認めることができる。
そして、本件商標権者による上記行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件商標権者が、請求に係る指定役務に含まれる「商標登録出願手続及び商標権設定登録手続の代理」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-300144