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商標取消審判

2022-300056

ジップス、ジェイアイピイエス

審判番号
2022-300056
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2000-095927
登録番号
4572349
請求日
2022年01月24日
審決日
2024年03月26日
公報発行日
2024年06月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】正林 真之
  • 【請求人代理人】林 栄二
  • 【被請求人】日本電子計算 株式会社
  • 【被請求人代理人】涌井 謙一
  • 【被請求人代理人】山本 典弘
  • 【被請求人代理人】鈴木 一永
  • 【被請求人代理人】工藤 貴宏
  • 【被請求人代理人】三井 直人
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 馬場 秀敏
  • 審判官 富澤 哲生
分類
T132 .1 -Y (Z42)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法2条3項3号商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第2項、商標法第50条、商標法第2条第3項第7号、商標法第2条第3項、商標法第2条第3項第3号、商標法第2条第3項第8号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第4572349号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第4572349号商標(以下「本件商標」という。)は、「JIPS」の欧文字を横書きしてなり、平成12年8月31日に登録出願、第42類に属する商標登録原簿に記載の役務(別掲)を指定役務として、同14年5月31日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録は、令和4年2月7日になされたものであるから、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成31年2月7日ないし令和4年2月6日の期間(以下「要証期間」という。)である。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定役務中、第42類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,電子計算機による情報処理,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,建築物の設計,測量,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」(以下「本件審判請求に係る指定役務」という。)についての商標登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書及び令和4年6月15日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年7月12日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。 なお、以下、証拠の表記にあたっては、甲(乙)第○号証を「甲(乙)○」のように省略して表示する場合がある。 1 請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本全国において、本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件審判請求に係る指定役務についての登録商標の使用をしていないものであるから、その登録は商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人が答弁書において提出した乙号証によっては、商標法第50条第2項に規定する商標の使用の証明がされたということはできない。 (1)被請求人提出の乙各号証について 被請求人は、答弁書において本件商標の使用事実を証明するものとして乙第1号証ないし乙第11号証を提出しているが、以下これらの乙各号証について反論する。 ア 乙第1号証は、本件商標の書誌事項である。 イ 乙第2号証は、商標権者ウェブサイト「JIPの強み 当社事業の特長」(写)とされているが、その1頁には、「JIPの強み」、「日本電子計算株式会社(JIP)は、1962年の設立以来、・・・」、「JIPは日本のITベンダーの先駆者として、・・」等と記載されているが、記載されているのは「JIP」の文字であり、本願商標「JIPS」とは異なるものである。 また、乙第2号証の1頁の記載は、日本電子計算株式会社の事業の特長について記載するものであり、JIPの文字それ自体が指定役務との関係で使用されているものではなく、当該頁の作成時期については何ら記載がなく、要証期間内の本件商標の使用であることは何ら立証されていない。 ウ 乙第3号証は、「JIP-CP SYSTEM」の操作説明書(抜粋)(写)とされるものであるが、その1頁には、「JIP-CP SYSTEM」と記載され、使用されている文字は「JIP-CP SYSTEM」であり、本件商標「JIPS」の文字が単独で使用されているものではない。 また、2.1.1 起動とログイン画面中のログイン画面の下部にJIPSの文字らしき記載があるが、これは単に当該操作説明書の記載中に含まれるものであって、「JIPS」の文字が指定役務との関係において使用していることの証明にはならない。 加えて、乙第3号証の「JIP-CP SYSTEM」の操作説明書は、2頁の「はじめに」の記載によれば、「2003年3月吉日」とされており、この記載は要証期間外のものであって、この操作説明書がその後、継続しているとの証左はなく、むしろこの種の操作説明書はアップデートによって記載内容が変更されるのが通常であることからすれば、乙第3号証の記載は何ら要証期間内に本件商標の使用を証明したことにはならない。 エ 乙第4号証は、CPシステム オンラインサービス契約書と称するものであるが、契約書の日付は、平成15年3月20日と記載されており、これは要証期間外のものであり、同契約第23条に契約期間についての記載があるが、これは単に当該契約の契約期間の取り決めに関するものにすぎず、むしろ契約先の相手方が黒く塗られていることからすれば、要証期間に当該契約書を頒布したことの証明にはならない。 加えて、CPシステム オンラインサービス契約書には、本件商標「JIPS」の記載はなく、当該契約書の別紙仕様書の、2.サービス内容には、「(1)乙は、乙が開発し保持する電子・手形CPシステムによるオンラインサービスを甲に提供する。」との記載内容からすれば、当該サービスは、オンラインによる電子計算機用プログラムの提供をその内容とするものであることは明らかであり、商標権者がその使用を主張する「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」とは異なる役務というべきである。 したがって、乙第4号証からは、要証期間内に本件商標を使用したことの証明にはならない。 オ 乙第5号証は、CPシステム オンラインサービスに係る契約書に基づいて、商標権者が契約当事者の甲に対して発行した請求書(控)の写しとのことであるが、当該契約書の件名は、「CPシステムオンラインサービス」と記載されるのみで、本件商標「JIPS」の記載はなく、また当該請求書を頒布したことの証明がなされていない。 カ 乙第6号証は、「JIP-RTGSシステム(RENOVA日銀RTGSシステム)」のログイン画面(写)とのことだが、タイトルには、JIP RTGSの記載があり、本件商標「JIPS」の記載はなく、同画面の下部にJIPSらしき記載はあるが、これは「Copyright(C)JIPS」(記載中の(C)は、丸付きの「C」の欧文字である。以下同じ。)と一体となった記載であり、「Copyright」の文字は著作権表示としての記載であり、このことから、本件商標を使用しているとはいえず、同画面には、日時が記載されておらず、要証期間における使用証明とはならない。 キ 乙第7号証は、「JIP-RTGSシステム(RENOVA日銀RTGSシステム)」に係る操作マニュアル(抜粋)(写)とのことであるが、同1頁には、2018年11月19日の記載はあるが、これは要証期間外であり、その他、本件商標「JIPS」の記載は見当たらない。 ク 乙第8号証は、「JIP-RTGSシステム(RENOVA日銀RTGSシステム)」のシステムに係る商標権者が発行した請求書(控)(写)、乙第9号証は、乙第8号証の請求書に関する納品受領書(写)とのことであるが、乙第8号証及び乙第9号証の件名には、「JIP-RTGSシステム(新日銀ネット対応版)ソフトウェア保守」との記載はあるものの、この構成中の「JIP-RTGSシステム」は、「JIP」と「RTGSシステム」がハイフンで結合されているものであるから、これから本件商標「JIPS」が使用されているとの証左にはならない。 また、これら請求書及び納品書の頒布の事実を確認する証左は提出されていない。 ケ 乙第10号証は、商標権者発行のニュースレター(写)とのことであるが、「別冊JIPsDIRECT」(写)の記載は定期刊行物(第16類)の題号としてのものであり、本件商標の指定役務との関連性は全く認められず、また、その表示態様も横一列にまとまりよく「JIPsDIRECT」と記載されていることから、これより、本件商標「JIPS」がその指定役務について使用されているとはいえない。 コ 乙第11号証は、商標権者ウェブサイト「製品・サービス」の項の写しとのことであるが、本件商標「JIPS」の文字の記載はなく、またそもそも本件ウェブサイトにおいて表示された時期の記載がないことから、要証期間内に使用された証拠とはいえない。 (2)本件商標と使用商標との社会通念上の同一性について 本件商標は、「JIPS」の欧文字を表してなるものであり、被請求人の提出に係る証拠には、「JIPS」の欧文字が他の文字と結合されているものや、「JIPS」の欧文字の記載があったとしても、要証期間内に指定役務について使用した事実を証明するものは何ら提出されていない。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、被請求人提出の乙号証のいずれをもってしても、商標法第50条第2項で定める日本国内において継続して3年以上、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定役務について本件商標の使用していたことを証明できたということはできないから、本件商標の商標登録は取り消されるべきである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書及び令和5年2月6日付け審尋(以下「審尋」という。)に対する同年3月20日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。 1 答弁の理由 本件商標については、商標権者が、要証期間に、我が国において、本件審判請求に係る指定役務中の、少なくとも「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に使用しているので、本件審判請求には理由がない。 以下、商標権者が、本件商標を本件審判請求に係る指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に使用している事実を立証する。 (1)本件商標を使用している役務について 商標権者は、本件商標を本件審判請求に係る指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に使用している。 (2)証拠の説明 ア 乙第1号証は、本件商標の書誌事項である。 イ 乙第2号証は、商標権者ウェブサイト「JIPの強み 当社事業の特長」のページの写しである。 ウ 乙第3号証は、「JIP-CP SYSTEM」の操作説明書(抜粋)の写しである。 エ 乙第4号証は、乙第3号証のシステム(コンピュータプログラム)に係る商標権者(契約当事者の乙)と銀行(契約当事者の甲)との間で平成15年3月20日に締結した契約書の写しである。 オ 乙第5号証は、乙第3号証のシステム(コンピュータプログラム)に係る商標権者(契約当事者の乙)と、銀行(契約当事者の甲)との間で平成15年3月20日に締結した契約書に基づいて、被請求人(契約当事者の乙)が、銀行(契約当事者の甲)に対して2021年12月30日に発行した「12月分」の「電子・手形CPシステムオンラインサービス月例利用料」を請求した請求書(控)の写しである。 カ 乙第6号証は、「JIP-RTGSシステム(RENOVA 日銀RTGSシステム)」のログイン画面のハードコピーの写しである。 キ 乙第7号証は、乙第6号証のシステム(コンピュータプログラム)に係る操作マニュアル(抜粋)の写しである。 ク 乙第8号証は、乙第6号証のシステム(コンピュータプログラム)に係り、商標権者が三井住友信託銀行株式会社に宛てて2019年4月26日に発行した請求書(控)の写しである。 ケ 乙第9号証は、乙第8号証の請求書に関する納品受領書の写しである。 コ 乙第10号証は、商標権者発行のニュースレターの写しである。 サ 乙第11号証は、商標権者ウェブサイト「製品・サービス」のページの写しである。 (3)商標権者の業務について 商標権者は、多様なITサービスを提供する企業であるが、その多様なサービスの一つとして、例えば、各種業界向けシステムの開発や保守、すなわち「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」に該当するサービスを提供している。 この点は、商標権者ウェブサイトの「JIPの強み 当社事業の特長」のページには(乙2)、「日本電子計算株式会社(JIP)は、1962年の設立以来、OmegaFSをはじめとする証券分野の総合システム、総合行政サービスのWizLIFEなどで豊富な実績を有するほか、銀行、大学、教育などの各分野でも多くのITシステム提供や関連サービスを提供しております。」、「JIPは日本のITベンダーの先駆者として、これまで3,500社を超えるお客様のために、信頼性の高い情報システムの構築・運用を行ってきました。」や、「・・・コンサルティングから企画・開発・導入・保守・BPOに至る総合的なITサービスを、お客様のニーズに合わせて提供」等と記載されているとおりである。 (4)商標の使用事実について ア 使用事実1について 乙第3号証は、「JIP-CP SYSTEM」の操作説明書(抜粋)の写しである。「CP」とは「Commercia1 Paper」の略であって、「JIP-CP SYSTEM」は、商標権者が提供している電子CP、手形CPの取引支援のためのシステム(コンピュータプログラム)であり、その第2-1-1-1頁に記載されたログイン画面下部には、商標「JIPS」が付されている。 顧客によって利用されるコンピュータプログラムの起動時に、「JIPS」が顧客によって商標として視認できるように、顧客による作業時のインターフェースに表示されるのである。 乙第4号証は「JIP-CP SYSTEM」(コンピュータプログラム)の利用に際し銀行と締結した契約書の写しであり、当該契約書はオンラインで当該システム(コンピュータプログラム)を提供するに際して締結したものであり、この点は、乙第3号証の操作説明書(Prologue 1頁)に、「本書は『電子/手形CPシステム』の運用手順・操作方法について記載した操作説明書です。」と記載されており、一方で契約書の「要綱」に記載されたサービス名が「電子・手形CPシステムオンラインサービス」となっていることからも明らかである。 また、契約書の第14条には、「乙(商標権者である日本電子計算株式会社)は、サービス提供時間内において常にサービスを正常な状態に維持する・・・」、「乙は、サービスの質的改善のため、サービス内容を変更し・・・」、「乙は、サービス内容及び運用規則の見直しを定期的に行い、・・・」、「乙はサービス上のソフトウェアに誤りや不具合を発見し、それを修正したときは・・・」等と記載されており、当該サービスが「保守」までも含むものであることがわかる。 なお、契約書は、平成15年3月20日に締結され、契約期間は要綱に記載のとおり、同15年4月1日ないし同16年3月31日の一年間となっているが、その第23条において、「・・・期間満了の3か月前までに甲乙いずれかから書面による本契約終了又は変更の申し出がない限り、本契約と同一条件で引き続き延長されるものとし、その後も同様とする。」とされており、特段の事情がなければ自動更新が前提となっている。 この契約は現在に至るまで継続しており、商標権者は、継続して保守を含めた当該システム(コンピュータプログラム)の提供を行っている。 この点は、乙第5号証に係る銀行に宛てた「CPシステム」の利用料に係る請求書(控)の写しに、契約書(乙4)の右上に記載された契約番号と同じ「0218101360」と記載されている事からも明らかである。 なお、乙第4号証及び乙第5号証について、公開されることを望まない事項について黒塗りしていることを付言する。 以上のとおり、「保守」までを含めた利用契約を締結しているシステム(コンピュータプログラム)「JIP-CP SYSTEM」のログイン画面に表示されている「JIPS」は、本件審判請求に係る指定役務のうちの「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」に関する、商標法第2条第3項第7号の使用に該当する。 イ 使用事実2について 乙第6号証は、「JIP-RTGSシステム(RENOVA日銀RTGSシステム)」のログイン画面のハードコピーの写しである。 「Real Time Gross Settlement(即時グロス決済)」に関し、商標権者が提供しているシステム(コンピュータプログラム)であり、そのログイン画面下部には、商標「JIPS」が付されている。 顧客によって利用されるコンピュータプログラムの起動時に、「JIPS」が顧客によって商標として視認できるように、顧客による作業時のインターフェースに表示されるのである。 これが、ログイン画面であることは、商標権者が作成した当該ソフトウェアの操作マニュアル(抜粋)の写し(乙7)の第1-1頁に同様の画面の記載があることからもわかる。 乙第8号証は、2019年4月26日付けの三井住友信託銀行株式会社宛請求書(控)の写しであり、上記システム(コンピュータプログラム)について、「ソフトウェア保守料」を請求していることから、当該サービスが要証期間においても継続して提供されているものであることがわかる。 念のため、三井住友信託銀行株式会社から受領した納品受領書の写しも提出する(乙9)。 なお、乙第8号証及び乙第9号証について、公開されることを望まない事項について黒塗りしていることを付言する。 以上のとおり、「JIP RTGSシステム」のログイン画面に、商標「JIPS」が付され、そのシステムに係る保守料金の請求を行っていることからすれば、商標「JIPS」の指定役務「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」に関する、商標法第2条第3項第7号の使用に該当するといえる。 ウ 使用事実3について 乙第10号証は、商標権者の発行しているニュースレター(業界情報等を発信するためのニュースレター)の一例であり、その標題に「JIPS」の語が使用されており、当該ニュースレターでは、業界情報の提供等を行うとともに、自社製品・サービスの紹介がなされている。 例えば、ニュースレターの2頁に記載されている「OmegaFSシリーズ」は、商標権者のウェブサイトの製品・サービスの頁(乙11)に「・・・初期導入支援・カスタマイズサポート、運用保守サービス等を含んだトータルソリューションによって、高信頼の業務プロセスを早期かつ確実に構築します。」等と記載されているとおり、保守までをも含んだ一連のサービスとしてコンピュータプログラムを提供するものであることがわかる。 したがって、このようなサービスを紹介することを目的としているニュースレターに使用されている「JIPS」の語は、指定役務「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」に係る広告的な使用であるといえ、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。 (5)商標の使用態様について 乙第3号証(第2-1-1-1頁)、乙第6号証、乙第7号証(第1-1頁)及び乙第10号証には、いずれも「JIPS」の語が付されており、本件商標と同一又はこれと社会通念上同一の商標が使用されていると認められる。 (6)本件商標の使用者 本件商標は、商標権者がそのサービスを提供する際に使用をしているものである。 (7)商標を使用している指定役務について 商標権者は、多様なITサービスを提供しているが、各種システム(コンピュータプログラム)を提供するに際して、その保守までをサービスとして提供していることは、前記契約書(乙4)、請求書(控)及び納品書(乙8、乙9)、ウェブサイトの記載(乙11)等のとおりであり、そのようなサービスを提供するに際して本件商標を使用していることからすれば、本件商標を本件審判請求に係る指定役務のうちの「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」との関係で使用していることが容易に把握できる。 (8)商標の使用の時期 ア 使用事実1について 「JIP-CP SYSTEM」に係るログイン画面が掲載された操作説明書は、乙第3号証中の表紙に「VER.1.18 2019.10」と記載があることから、2019年の10月版のものであることがわかり、当該システム(コンピュータプログラム)に係る契約書が自動更新を前提とするものになっており、かつ、要証期間である2021年が利用期間に含まれる請求書が存在すること等を勘案すれば、「JIP-CP SYSTEM」に係るサービスが要証期間においても提供されており、本件商標が要証期間においても使用されているものであることがわかる。 イ 使用事実2について 「JIP-RTGSシステム(RENOVA日銀RTGSシステム)」のログイン画面のハードコピーについては、現時点で出力したものにはなるが、要証期間である2019年ないし2020年が対象期間となっている2019年4月26日付けの請求書が存在し、かつ、厳密には要証期間前ではあるものの、2018年11月19日に改定された操作マニュアル(第1-1頁)に既に同様のログイン画面の記載があることを考慮すれば、要証期間に本件商標が付された同様のログイン画面が使用されていたと考えるのが自然である。 ウ 使用事実3について 使用事実3に係る本件商標が付されたニュースレターの発行時期は、その表紙に「Mar.25 2021」等と記載があることから、要証期間である2021年3月25日のものであることがわかる。 (9)まとめ 以上のとおり、本件については、商標権者が、要証期間に、本件商標を日本国内において、本件審判請求に係る指定役務中、少なくとも、「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」について、これをプログラムのログイン画面やニュースレター等に表示する形で、商標法第2条第3項第7号又は同項第8号に該当する使用をしている事実は明らかである。 2 回答書による主張 (1)審尋における合議体の暫定的な見解について ア 合議体は、乙第6号証について「Copyright(C)JIPS」に「JIPS」が含まれているものの、「Copyright(C)」の部分が著作権を表していることからすれば、ログイン画面に本件商標が付されているとはいえないとしている。 この点、確かに、「Copyright(C)」の部分は著作権を表しているといえるが、「Copyright(C)JIPS」の表示からは、全体として当該コンピュータプログラムの著作権者が「JIPS」であることを容易に認識することができ、同時に、このプログラムに係るサービスを提供するものが「JIPS」であろうことを容易に需要者に認識させる表示である。 このような表示態様において、「Copyright(C)」の部分は、その前後に表示された者が、権利の主体であることを示すにすぎず、自他商品役務の識別力の弱い部分であると考える方が自然であり、当該表示部分中、自他商品役務の識別標識としての機能を果たすのは「JIPS」の部分であることを自然に理解することができる。 「Copyright(C)」の表示が「JIPS」と併記されていることにより、「当該プログラムが『JIPS』の著作物である」ということを理解させたとしても、それ自体は「JIPS」の表示の商標としての機能を何ら損なう理由にはならないし、「JIPS」の横に、自他商品の識別標識としての機能を欠く「Copyright(C)」の語が併記されていたとしても、本件商標「JIPS」が商標として使用されていないということにもならない。 よって、当該プログラムのログイン画面に表示されている「JIPS」は、著作権表示と併記されているとしても、本件商標の使用にならない理由とすることはできない。 イ 合議体は、ログイン画面に本件商標が付されているとしても、「サービス」を受ける者が「JIPS-RTGSシステム」のコンピュータプログラムを利用することで得られる便益と、「保守」との関係が不明であるとし、また、「JIP-CP SYSTEM」と同様に、当該プログラムが、既存のコンピュータプログラムではなく、利用者から発注等を受けて本件商標権者が作成した(既存のコンピュータプログラムをカスタマイズしたものを含む。)ものであるならば、第42類「電子計算機プログラムの設計・作成または保守」のうちの「設計・作成」について商標法第2条第3項各号の該当性を検討する余地があるが)当該コンピュータプログラムがどのように作成されたものか不明であるとしている。 この点に関し、「JIPS」の使用が少なくとも「電子計算機プログラムの設計・作成」への使用に該当することを示す新たな証拠として、令和3年4月27日に行われた銀行に対するプレゼンテーションシートの写し(抜粋)を提出する(乙12)。 なお、現時点でプレゼンテーションを実施した相手先企業から企業名を開示することについての承諾は得られていないことから、企業名とプレゼンテーションシートの内容の一部を黒塗りしていることを付言する。 当該プレゼンテーションは「JIP-RTGSシステム」の導入の提案に係るものであり、その概要は第2頁の目次のとおりである。 その中には「カスタマイズ対応」の項があり、第5・6頁を見ると「JIP-RTGSシステム」は、単にこれを導入するだけではなく、銀行の現行のシステムと、商標権者が提案する「JIP-RTGS」の差異を埋めるために、種々のカスタマイズをすることを前提としたものとなっていることがわかる。 また、「導入スケジュール案」の項(第12頁)には「カスタマイズ機能開発」の項が設けられており、かつ、「概算御見積」の項(第13・14頁)には、「初期導入・開発費用」として「カスタマイズ開発」の項目が挙げられていることが把握できる。このような点を見れば、当該コンピュータプログラムが、単に一つのパッケージとなったコンピュータプログラムを導入するだけではなく、顧客の事情に合ったカスタマイズがなされる類のものであることを把握することができる。 上記のとおり、「JIP-RTGSシステム」のログイン画面に付された「Copyright(C)JIPS」は「Copyright(C)」の部分の意味合いからすれば「JIPS」の使用に該当するものであり、また、当該コンピュータプログラムが顧客の事情に応じて作成(カスタマイズ)されるものであることからすれば、仮に、「JIPS」の使用が「電子計算機プログラムの設計・作成または保守」のうちの「保守」への使用にあたらないとしても、「電子計算機プログラムの設計・作成」について商標法第2条第3項各号に該当する商標の使用がされているといえる。 (2)弁駁書における請求人の主張について 請求人は弁駁書において、答弁書において提出した乙号証によっては、商標の使用の証明がされたということはできないとして、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第11号証について、それぞれ個別に「要証期間のものであるか否か」「本件商標JIPSが付されているか否か」等の点について言及している。 しかしながら、本件商標が使用されているといえるか否かは、提出した証拠及び主張の内容を総合して考慮し、要証期間において対象商標が使用された本件審判請求に係る指定役務の提供がなされているかを判断すれば足り、個別の証拠について、前記のような手法で判断することは大きな意味を持つものではない。 本件については、その全体からして、本件商標権者が多様なITサービスを提供する企業であり、「電子計算機用プログラムの設計・作成または保守」に該当する役務を行っていること、サービスの提供を受ける需要者が視認する画面等に「JIPS」の商標が付されていること、当該商標を使用したサービスが要証期間に提供されている(又は提供されていると考えるのが妥当である)と考えられることからすれば、本件商標が本件審判請求に係る指定役務に使用されていると考えるのが自然である。 なお、請求人が弁駁書において指摘する以下の事項については、念のため被請求人の意見を述べる。 まず、乙第3号証について、「ログイン画面の下部にJIPSの文字らしき記載があるが、これは単に当該操作説明書の記載中に含まれるものであって、『JIPS』の文字が指定役務との関係において使用していることの証明にはならない」としている。 しかしながら、操作説明書中の記載であっても、当該ログイン画面が、需要者がサービスを利用する際に視認する画面を張り付けたものであることは容易に理解できることからすれば、上記主張は誤ったものであることが明らかである。 なお、請求人は乙第3号証の「はじめに」の頁に「2002年3月吉日」となっている点をもって要証期間のものではない等と述べ、同時にこの種の操作説明書はアップデートにより記載内容が変更されるのが通常であるともの述べている。 この点、答弁書においても述べたとおり、当該操作説明書は、その表紙部分に「VER.1.18 2019.10」とあることから「改定がなされて1.18版となった2019年10月時点の操作説明書」であることが明らかであるから、上記主張は失当である。 また、乙第8号証及び乙第9号証については、請求書及び納品書の頒布の事実を確認する証拠は提出されていないとしている。 しかしながら、乙第8号証が取引先である「三井住友信託銀行株式会社」宛ての請求書であるのに対し、乙第9号証が「納品受領書(サービス確認書)」であり、2019年4月26日の受領日の記載があること、先方の要望もあり、担当者の所属部署や氏名を明らかにすることはできないことから黒塗りとはしているものの、受領印の欄に押印がなされており、三井住友信託銀行株式会社がこれを受領していることが確認できることからすれば、上記請求人の主張が失当であることも明らかである。 なお、提出した各証拠書類において黒塗りした部分が開示されないことが、本件審判の認定に重大な影響を及ぼす場合には、改めて顧客に開示の許可等を依頼する準備があることを付言する。 (3)まとめ 以上のとおり、これまでに提出した各証拠及び主張と、今回提出する新たな証拠及び主張をふまえて考えれば、本件商標が要証期間において、本件審判請求に係る指定役務である「電子計算機用プログラムの設計・作成または保守」について使用されているといえる。 第4 当審の判断 1 被請求人の立証責任 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。 すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定役務のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。 2 事実認定 被請求人が提出した乙各号証によれば、以下のとおりである。 なお、被請求人の本件商標の使用についての主張は、全体としてこれをくむべき理由は見当たらないが、同人が、回答書で述べるとおり、本件商標が使用されているといえるか否かは、提出した証拠を総合して考慮し、要証期間において本件商標が使用された本件審判請求に係る指定役務の提供がなされているかを判断すれば足りるので、以下、被請求人が提出した証拠に基づき判断する。 (1)乙第3号証は、2019年10月に作成された「JIP-CP SYSTEM」の「Operation Manual」の「VER.1.18」であり、本号証の7葉目の「JIP-CP SYSTEM」のログイン画面の下部に「JIPS」の欧文字(以下「使用商標」という。)が記載されている。 なお、「JIP-CP SYSTEM」は、「電子計算機用プログラム」であると推認でき、また、本件商標と使用商標は、構成文字を同じくし、いずれも「ジェイアイピーエス」の称呼を共通にする社会通念上同一の商標であるといえる。 (2)乙第4号証は、「CPシステム オンラインサービス契約書」の標題の書類であり、本号証の1葉目の右上に、「契約番号 第0218101360号」の記載、その下に、「CPシステム オンラインサービス契約書」の記載、その下に、「・・・銀行(以下「甲」という。)と、日本電子計算株式会社(以下「乙」という。)は、電子・手形CPシステムオンラインサービス(以下「サービス」という。)に関し以下の要綱および契約条項に基づき契約(以下「本契約」という。)を締結する。」の記載、その下の「要綱」の「4.契約期間」の項目に「自 平成15年4月1日」及び「至 平成16年3月31日」の記載があり、契約の締結日として「平成15年3月20日」の記載があり、その下の(甲)として「○○銀行」(「○○」は黒塗りされている。以下同じ。)の記載、(乙)として「日本電子計算株式会社」の記載がある。 また、乙第4号証の2葉目に「契約条項」の記載があり、本号証の5葉目に、契約条項の「第23条」として、「本契約の有効期間は、要綱4.のとおりとする。ただし期間満了の3ヵ月前までに甲乙いずれかから書面による本契約終了または変更の申し出がない限り、本契約と同一条件で引続き1年間延長されるものとし、その後も同様とする。」の記載がある。 そうすると、乙第4号証は、商標権者が製作した電子計算機用プログラム「JIP-CP SYSTEM」を契約者である「○○銀行」にオンラインにて提供するサービスに関する契約書であると推認でき、商標権者が、電子計算機用プログラムをオンラインで提供する役務は、本件審判請求に係る指定役務中の「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」の範ちゅうに属する役務であると推認できる。 (3)乙第5号証は、商標権者が2021年12月30日に「○○銀行」に対して、電子計算機用プログラム「JIP-CP SYSTEM」の利用料金の請求書(控)の写しであり、本号証の左上に「2021年12月30日」及び「下記の通りご請求申し上げます。」の記載、その下の「請求内訳」の表中に「オンラインサービス月例利用料」、「契約番号:0218101360」の記載及び「利用期間:2021年4月1日~2022年3月31日」の記載、その下に「振込みにてお支払頂いた場合は、原則として領収書は発行いたしませんのでご了承ください。」の記載がある。 そうすると、商標権者は、要証期間である2021年12月30日に、電子計算機用プログラム「JIP-CP SYSTEM」の利用料金を顧客である「○○銀行」に請求したことが推認できる。 3 判断 上記2によると、商標権者である日本電子計算株式会社は、同社が製作した電子計算機用プログラム「JIP-CP SYSTEM」を「○○銀行」にオンラインで提供する役務を行っており、「○○銀行」が提供を受ける電子計算機用プログラムのログイン画面に本件商標と社会通念上同一の使用商標を使用していることが認められる。 また、「○○銀行」が、電子計算機用プログラム「JIP-CP SYSTEM」をオンラインで利用した2021年4月1日及び、商標権者が「○○銀行」に電子計算機用プログラム「JIP-CP SYSTEM」の利用料金を請求した同年12月30日は、いずれも要証期間であり、電子計算機用プログラムをオンラインで提供する役務は、本件審判請求に係る指定役務中の「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」の範ちゅうに属する役務であると推認できる。 そして、電子計算機用プログラムをオンラインで提供する役務の提供に当たり、その提供を受ける者の利用に供する電子計算機用プログラムのログイン画面に本件商標と社会通念上同一の商標を使用する行為は、商標法第2条第3項第3号の使用行為に該当する。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者が、本件審判請求に係る指定役務中の「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」の範ちゅうに属する役務である電子計算機用プログラム「JIP-CP SYSTEM」をオンラインで提供する役務のログイン画面に本件商標と社会通念上同一の商標を使用したことを証明し、この使用行為は、商標法第2条第3項第3号に該当する。 したがって、本件商標のその指定役務中、本件審判請求に係る指定役務についての登録を、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-300056

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