商標取消審判
2024-300259
グリーン
- 審判番号
- 2024-300259
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2013-099147
- 登録番号
- 5676403
- 請求日
- 2024年04月23日
- 審決日
- 2025年08月12日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】正林 真之
- 【請求人代理人】林 栄二
- 【被請求人】山田 愼一
- 【被請求人代理人】弁理士法人OMNI国際特許事務所
- 【被請求人代理人】小山 靖
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 真鍋 伸行
- 分類
- T131 .1 -Y (W45)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5676403号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5676403号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「グリーン」の片仮名を横書きしてなるものであり、平成25年12月4日に登録出願され、第45類「訴訟事件その他に関する法律事務,登記又は供託に関する手続の代理,行政手続に関する助言又は代理」(以下「本件役務」という。)を指定役務として、同26年6月13日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年5月15日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和3年5月15日から令和6年5月14日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、令和6年7月17日付け答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年8月26日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
なお、以下、証拠の表示については、甲(乙)第1号証を「甲(乙)1」のように省略して表示する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、登録商標の使用をした事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁書による主張
(1)はじめに
不使用による商標登録取消審判においては、商標法第50条第2項の規定により、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品のいずれかについて、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を使用していることを証明しなければならないのであって、その証明ができない場合は、商標登録の取り消しを免れない。
しかし、本件商標の使用の証明においては、少なくとも、(2)以降の事項が証明されたということはできないから、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)によっては、商標法第50条第2項に規定する商標の使用の証明がされたということはできない。
したがって、本件商標の商標登録は、取り消しを免れない。
(2)商標の使用時期
ア 被請求人は、本件審判において、請求の登録前三年以内とは、本件審判の請求の登録が令和6年(2024年)5月15日になされたものであることから、令和3年(2021年)5月15日から令和6年(2024年)5月14日までの期間であるとした上で、本件商標の使用を証する証拠として乙第2号証及び乙第4号証ないし乙第12号証を提出している。
しかし、被請求人が提出した証拠説明書によれば、乙第2号証及び乙第4号証ないし乙第12号証の作成年月日は、いずれも、令和6年(2024年)7月9日とされているから、要証期間内に係るものではない。
イ 被請求人は、乙第3号証について、乙第2号証に係るLINE公式アカウントに関するものとして、グリーン司法書士法人(以下「本件使用者」という場合がある。)のLINE公式アカウントの管理画面であり、本件使用者のLINE公式アカウントの使用期間、及び使用に伴う使用料の支払い履歴が表示されており、遅くとも、2023年3月からLINE公式アカウントを開設し、利用していると主張している。
しかし、乙第3号証は、LINE公式アカウントの利用時期を示すにとどまるものであって、2023年3月当時のLINE公式アカウントの表示内容を証明するものではないから、乙第3号証をもって本件商標の使用の時期までが証明されているわけではない。
ウ 被請求人は、乙第4号証の4について、「(C)Copyright 2017-2024 グリーン司法書士法人 All Rights reserved.」(冒頭の「(C)」は「C」の欧文字を丸囲みしたもの。以下同じ。)、の記載があるから、2017年頃から現在に至るまでインターネット上で公開されていることがわかる旨主張している。
しかし、「(C)Copyright 2017-2024 グリーン司法書士法人 All Rights reserved.」の記載は、著作権の保持を表示しただけであって、如何なる著作物かを具体的に表すものではないし、まして、既成語の本件商標の「グリーン」の文字はもちろん、被請求人が答弁書において赤枠で囲んでいる「グリーン司法書士OnLine」の文字も、著作物の対象にも、著作権の対象にもなるものではないから、当該著作権の保持の表示をもって、2017年頃から現在に至るまで本件商標が使用されていることが証明されたということはできない。
エ 被請求人は、乙第6号証について、「2024.1.18」及び「2024.2.21」の記載があるから、乙第6号証のウェブサイトは要証期間内に公開された旨が、また、乙第7号証ついて、「2018.11.30」及び「2024.3.21」の記載があるから、乙第7号証のウェブサイトは要証期間内に公開された旨が、さらに、乙第10号証について、「公開日2023.4.11」及び「最終更新日2023.4.11」の記載があるから、乙第10号証のウェブサイトは要証期間内に公開された旨がわかると主張している。
しかし、乙第6号証に記載されているのは、冒頭に「事例」として2024.1.18」及び「2024.2.21」が記載されているのであり、また、乙第7号証に記載されているのは、冒頭に「相続の知識」として「2018.11.30」及び「2024.3.21」が記載されていることを踏まえると、乙第6号証のページについては、「事例」に関する部分が「2024.1.18」及び「2024.2.21」であると、乙第7号証のページについては、「相続の知識」に関する部分が「2018.11.30」及び「2024.3.21」であると表示しているだけであって、これらページの商標の使用時期までが証明されたということはできない。
さらに、乙第10号証についても、「公開日2023.4.11」及び「最終更新日2023.4.11」の記載がいずれの記載部分かは明らかになっていない。そもそも、乙第6号証も、乙第7号証も、乙第10号証も、答弁書の主張を踏まえると、乙第4号証のウェブサイトの記事の一部とおぼしきところ、同じウェブサイトの記事なのに、このように時期に関する記述が区々で異なっているのは、それら時期の記載は個々の限られた記述に関する時期を表示したものとみるべきであって、これら記載の時期が要証期間内であったとしても、本件商標の使用時期までが証明されたということはできない。
オ 以上のとおりであるから、被請求人が提出した乙号証をもって、本件商標が要証期間内に使用されていたことが証明されたということはできない。
(3)登録商標と使用商標との同一性
ア 商標法第50条の審判において、被請求人が証明しなければならない商標の使用は、登録商標と同一(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)でなければならない。
イ この点、被請求人が提出した乙第2号証には、「わたしたちは、『信頼』で育つグリーン」及び「グリーン司法書士法人」の記載が、乙第4号証ないし乙第8号証のヘッダーには、「グリーン司法書士法人OnLine」の記載が、乙第9号証には、「グリーン司法書士法人が運営しています。」及び「運営会社」として「グリーン司法書士法人」の記載が、乙第10号証には、「任意整理の無料相談ならグリーンへ」の記載が、乙第11号証には、「グリーン司法書士法人のご紹介」及び「運営事務所」として「グリーン司法書士法人」の記載が、また、乙第12号証には、「グリーン司法書士法人運営」及び「グリーン司法書士法人では相談料・着手金は不要」などの記載がされている。
ウ しかし、上記イで述べた乙第2号証の「わたしたちは、『信頼』で育つグリーン」の記載及び乙第10号証の「任意整理の無料相談ならグリーンへ」の記載は、「グリーン」の記載のみではなく、他の文字とともに、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔、同じ色彩の文字による記述中の単語として「グリーン」の文字が使用されているだけであって、「グリーン」の文字部分だけが独立した記載として需要者に認識されることはないから、これら記述をもって本件商標と同一の商標が使用されているということはできない。
エ また、上記イで述べた記載のうち、上記ウ以外の「グリーン司法書士法人」の記載は、その他の文字とともに記載されているものを含め、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔、同じ色彩の文字によって記載されているものであり、外観上、これら文字のうち「グリーン」の文字だけが独立した記載として需要者に認識されることはない。また、観念上も、本件商標の「グリーン」の文字は我が国においては「緑色。草地。緑地。芝生。」を意味する語として知られており、「緑色。草地。緑地。芝生。」の観念を生じるものであるのに対し、使用商標である「グリーン司法書士法人」の文字は、その全体をもって法人名の略称として認識されるものであって、本件商標と使用商標は、観念において同一ということができるものではない。さらに、称呼上も、本件商標は「グリーン」の称呼が生じるものであるのに対し、使用商標は「グリーンシホウショシホウジン」と淀みなく一連に称呼し得るものであり、本件商標と使用商標は、称呼においても同一ということはできないものである。
オ 以上のとおりであるから、被請求人が提出した乙号証をもって、本件商標について、社会通念上、同一の商標を使用していたということはできない。
なお、商標法第50条の審判において、被請求人が証明しなければならない商標の使用は、上記アのとおり、登録商標と同一である商標の使用であって、登録商標と類似の商標の使用では足りないこと明らかである。かかる観点を考えても、被請求人が提出した乙号証をもって、本件商標と同一の商標の使用を証明したということはできない。
(4)使用役務
ア 被請求人は、本件使用者の業務として、不動産登記、相続登記及商業登記等の登記に関する手続き、訴訟手続及び強制執行等に関する法律事務、並びに建設業等の許認可申請に関する行政手続き等が含まれることも記載されているとして、本件商標の指定役務である「訴訟事件その他に関する法律事務,登記又は供託に関する手続の代理,行政手続に関する助言又は代理」に含まれることは明らかであると主張している。
イ しかし、被請求人は、本件使用者と主張する「グリーン司法書士法人」は、司法書士法人であって、弁護士や行政書士又はこれらの法人でないことが明らかであるところ、法律事務の業務は弁護士や弁護士法人、行政手続きの業務は行政書士や行政書士法人といったように国家資格等を有することが義務づけられており、本件商標の審査時にはなされていなかったものと思われるが、近年の商標審査便覧41.100.04においては、業務を行うために法令に定める国家資格等を有することが義務づけられている。この点、被請求人が提出した乙号証では、司法書士法人であるにもかかわらず、法律事務の業務や行政手続きの業務を行っていると記載されており、商標審査便覧41.100.04を踏まえても、法律事務の業務や行政手続きの業務を行っているとの証明は十分ということはできない。
ウ 以上のとおりであるから、被請求人が提出した乙号証をもって、使用役務に関する主張、証明も十分ということはできない。
(5)まとめ
以上のとおりであるから、被請求人が提出した乙各号証のいずれをもってしても、商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものではなく、同項で定める登録商標の使用を証明したということはできないから、本件商標の商標登録は取り消されるべきである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を答弁書において、要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁書による主張
(1)通常使用権の許諾
本件商標権者(被請求人)は、本件商標に係る商標権について、令和3年11月1日より、グリーン司法書士法人(本件使用者)に対し、通常使用権を許諾している(乙1)。
なお、本件使用者は、本件商標権者が代表を務める司法書士法人である。
(2)本件使用者による本件商標の使用
本件使用者は、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の請求の登録前三年以内に、日本国内において、指定役務の全てについて継続して使用している。
ア 乙第2号証ないし乙第12号証からは、以下の事実を認めることができる。
(ア)乙第2号証
乙第2号証は、本件使用者のLINE公式アカウント(URL:https://page.line.me/255wnmeb)のスクリーンショットである。当該LINE公式アカウントには、以下のとおり、「わたしたちは、」、「「信頼」で育つ」及び「グリーン」との緑色の文字が、上から順に三段書きで記載されている。また、「グリーン司法書士法人」との記載もなされている上、友だち登録を行うことにより、LINEを通じて無料相談に応じることも記載されている。
また、乙第2号証の第2頁には、本件使用者が運営するウェブサイトのURLが複数記載され、これらのウェブサイトにリンクされている。
(イ)乙第3号証
乙第3号証は、本件使用者のLINE公式アカウントの管理画面(URL:https://manager.line.biz/account/@255wnmeb/purchase/history)のスクリーンショットである。当該管理画面には、本件使用者のLINE公式アカウントの使用期間、及び使用に伴う使用料の支払い履歴が表示されており、本件使用者は、遅くとも2023年3月からLINE公式アカウントを開設し、利用していることが認められる。
(ウ)乙第4号証の1ないし乙第4号証の4
乙第4号証の1は、乙第2号証のLINE公式アカウントに記載されているURL(https://green-osaka.com/online/)のリンク先ウェブサイト「グリーン司法書士OnLine」のトップページのスクリーンショット抜粋である。当該トップページのヘッダーには、以下のとおり、「グリーン司法書士法人OnLine」との記載が認められる。
また、当該ウェブサイトのトップページには、乙第4号証の1ないし乙第4号証の3に示すとおり、本件使用者が提供するサービスメニューとして、相続や商業登記等の登記の相談及び手続に関する広告が表示されている。
さらに、当該ウェブサイトのトップページには、以下のとおり、「(C)Copyright 2017-2024 グリーン司法書士法人 All rights reserved.」との記載がある(乙4の4)。したがって、当該ウェブサイトは、要証期間を含む、2017年頃から現在に至るまで、インターネット上で公開されているものであることが認められる。
(エ)乙第5号証
乙第5号証は、乙第4号証の1のウェブサイトにおける料金のページ(URL:https://green-osaka.com/online/fee)のスクリーンショット抜粋である。当該料金のページのヘッダーには、トップページと同様、「グリーン司法書士法人OnLine」との記載が認められる。また、当該料金のページには、本件使用者が提供する相続及び登記の手続並びに相談に関する価格表が記載されている。
(オ)乙第6号証
乙第6号証は、乙第4号証の1のウェブサイトにおける商業登記の経験談・解決事例のページ(URL:https://green-osaka.com/online/case/exp-trade-register-01)のスクリーンショット抜粋である。当該ページのヘッダーには、トップページと同様、「グリーン司法書士法人OnLine」との記載が認められる。
また、当該ページには、「2024.1.18」、及び「2024.2.21」との記載もあり、当該ページが要証期間内に公開されたものであることが認められる。さらに、当該ページには、以下のとおり、「商業登記の経験談・解決事例」との記載があり、その記載内容から、当該ページには、本件使用者が提供するサービスの一つである商業登記について解説されていることが認められる。
(カ)乙第7号証の1ないし乙第7号証の3
乙第7号証の1は、乙第4号証の1のウェブサイトにおける相続に関する解説ページ(URL:https://green-osaka.com/online/inheritance-knowledge/mortgage-cancellation)のスクリーンショット抜粋である。当該解説ページのヘッダーには、トップページと同様、「グリーン司法書士法人OnLine」との記載が認められる。
また、当該解説ページには、以下のとおり、「2018.11.30」、及び「2024.3.21」との記載もあり、解説ページが要証期間内に公開されていたものであることが認められる。
さらに、当該解説ページには、例えば、「抵当権抹消に必要な書類を用意できなくなると、通常の手続き方法ではなく、供託や裁判といった特殊な手続きが必要です。」との記載がある。
また、当該解説ページには、以下のとおり、「実務的に1番多くとられている手法は、債務額の金額を供託する方法です。被担保債権や利息、損害金等の全ての金額を供託して、抵当権の抹消を行います。明治や大正時代の古い抵当権の場合は、費用が安くすむメリットがあります。戦後のものだと供託金額は数十万円くらいの場合が多いでしょう。」との記載もある。
これらの記載内容から、当該ページには、本件使用者が提供するサービスの一つである相続や供託及び訴訟手続について解説されていることが認められる。
(キ)乙第8号証
乙第8号証は、乙第4号証の1のウェブサイトにおける運営者情報のページ(URL:https://green-osaka.com/online/company)のスクリーンショット抜粋である。当該運営者情報のページのヘッダーには、トップページと同様、「グリーン司法書士法人OnLine」との記載が認められる。また、当該運営者情報のページには、当該ウェブサイトの運営者が本件使用者であり、その代表者が本件商標権者であることが記載されている。さらに、当該運営者情報のページには、本件使用者の業務内容も記載されている。そして、業務内容としては、不動産登記、相続登記及び商業登記等の登記に関する手続、訴訟手続及び強制執行等に関する法律事務、並びに建設業等の許認可申請に関する行政手続等が記載されている。
(ク)乙第9号証の1ないし乙第9号証の2
乙第9号証の1は、乙第2号証のLINE公式アカウントに記載されているURL(https://green-osaka.com/sh-knowhow/)のリンク先ウェブサイト「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」のトップページのスクリーンショット抜粋である。当該トップページのヘッダーには、以下のとおり、「グリーン司法書士法人運営」との記載が認められる。
また、当該ウェブサイトのトップページには、乙第9号証の2に示すとおり、当該ウェブサイトの運営者が、グリーン司法書士法人であることが記載されている。
(ケ)乙第10号証
乙第10号証は、「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」のウェブサイトにおける解決事例を紹介するページ(URL:https://green-osaka.com/sh-knowhow/solution-example/niniseiri-03.html)のスクリーンショット抜粋である。当該ページには、「公開日2023.04.11」、及び「最終更新日2023.04.11」との記載がある。また、当該ページには、「訴訟提起された状態で手続に入ったが和解ができたケース」との記載があり、さらにその記載内容からは、本件使用者が、係属中の訴訟事件において、依頼人のために和解交渉を行い、事件を解決に導いたケースを扱ったことがあることが認められる。
また、当該ページには、「任意整理の無料相談ならグリーンへ」との記載がある。
(コ)乙第11号証
乙第11号証は、「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」のウェブサイトおける運営者情報のページ(URL:https://green-osaka.com/sh-knowhow/company)のスクリーンショット抜粋である。当該運営者情報のページには、「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」のウェブサイトの運営者が本件使用者であり、代表者が本件商標権者であることが記載されている。また、当該運営者情報のページには、本件使用者の業務内容も記載されている。
(サ)乙第12号証
乙第12号証は、乙第9号証の1のウェブサイトにおける料金のページ(URL:https://green-osaka.com/sh-knowhow/about-price)のスクリーンショット抜粋である。当該料金のページのヘッダーには、トップページと同様、「グリーン司法書士法人運営」との記載が認められる。また、当該料金のページには、本件使用者が提供する債務整理に関する手続の価格表が記載されている。
イ 本件使用者のLINE公式アカウントでの使用
(ア)使用に係る商標の態様
本件使用者は、乙第2号証に示されるとおり、本件使用者のLINE公式アカウントにおいて、「わたしたちは、」、「「信頼」で育つ」及び「グリーン」との緑色の文字を、上から順に三段書きにして表示している。
これらの文字のうち、「わたしたちは、」及び「「信頼」で育つ」の文字部分は、それらの意味内容を考慮すると、本件使用者の事務所理念ないし理想を表したものとして需要者に認識され得る。他方、「グリーン」の文字部分(以下「使用商標1」という。)は、本件使用者の商号である「グリーン司法書士法人」において、法人の種類を表示する「司法書士法人」を除いた部分と同じであることから、需要者は、これに着目して出所識別標識として認識するものと解される。すなわち、使用商標1は、LINE公式アカウントにおいて、出所表示機能を果たす態様で使用されていると思料する。
ここで、使用商標1は、本件商標と比較して色彩及び字体が異なるだけであり、称呼及び観念を同じくする。このような変形を加えた使用は、広く一般的に行われている範囲にとどまるものであるから、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一の商標に当たると解される。
なお、仮に、使用商標1が出所表示機能を果たす態様で使用されていないと解されるとしても、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一の商標に当たることにかわりないと解される。すなわち、商標法第50条の主な趣旨は、登録された商標には、その使用の有無にかかわらず、排他独占的な権利が発生することから、長期間にわたり全く使用されていない登録商標を存続させると、当該商標に係る権利者以外の者の商標選択の余地を狭め、国民一般の利益を不当に侵害するという弊害を招くおそれがあるため、一定期間使用されていない登録商標の商標登録を取り消すことについて、審判を請求することが認められているものと解される。
このような趣旨に鑑みれば、商標法第50条所定の「使用」は、当該商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用(商標法第2条第3項各号)されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではないと解されるからである(知財高裁平成26年(行ケ)第10234号、及び知財高平成28年(行ケ)第10086号)。
(イ)使用態様
前記(2)ア(ウ)、(オ)ないし(キ)でも述べたとおり、本件使用者が運営する「グリーン司法書士OnLine」のウェブサイトにおいては、本件使用者が提供する相続及び登記等に関するサービスメニューが記載され(乙4の1ないし乙4の3)、商業登記や相続、供託及び訴訟手続に関する事例紹介等が記載されている(乙6及び乙7)。また、本件使用者の業務内容として、不動産登記、相続登記及び商業登記等の登記に関する手続、訴訟手続及び強制執行等に関する法律事務、並びに建設業等の許認可申請に関する行政手続等が含まれることも記載されている(乙8)。そして、これらの記載にある各サービスは、本件商標の指定役務である「訴訟事件その他に関する法律事務,登記又は供託に関する手続の代理,行政手続に関する助言又は代理」に含まれることは明らかである。
また、前記(2)ア(エ)でも述べたとおり、本件使用者が運営する「グリーン司法書士OnLine」のウェブサイトにおいては、本件使用者が提供するサービスに関する価格表も表示されている(乙5)。
そして、「グリーン司法書士OnLine」のウェブサイトは、使用商標1が表示されている本件使用者のLINE公式アカウントにおいて、当該「グリーン司法書士OnLine」のURLが記載され、リンクが張られることにより、当該LINE公式アカウントの閲覧者に容易に閲覧させることができるようになっている。このようなリンクを通じた閲覧方法は、インターネットを利用した広告において、一般的な形態の一つであると解される。
そうすると、本件使用者は、乙第2号証のLINE公式アカウント及び乙第4号証の1の「グリーン司法書士OnLine」のウェブサイトを通じて、日本の需要者に向けて、本件役務に関する広告に使用商標1を付して電磁的方法により提供していたと認められ、これは、商標法第2条第3項第8号の「役務に関する広告、価格表を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
(ウ)使用時期
乙第2号証のLINE公式アカウントは、乙第3号証における当該LINE公式アカウントの管理画面のスクリーンショットから明らかなとおり、遅くとも2023年3月には開設され現在に至るまで運営されている。
また、乙第4号証の1の「グリーン司法書士OnLine」のウェブサイトは、乙第4号証の4から明らかなとおり、2017年頃から公開され現在に至るまで、閲覧可能となっている。
さらに、乙第4号証の1のウェブサイトにおいては、商業登記に関する解決事例を紹介する記事が「2024.1.18」及び「2024.2.21」に公開されたものであることが記載され(乙6)、また相続等に関する解説の記事が「2018.11.30」及び「2024.3.21」に公開されたものであることが記載されている(乙7の1)。
したがって、使用商標1は、要証期間内に日本国内において使用されている。
(エ)小括
以上から、本件商標は、要証期間内に日本国内において、本件使用者であるグリーン司法書士法人により、乙第2号証のLINE公式アカウント及び乙第4号証の1の「グリーン司法書士OnLine」のウェブサイトを通じて、本件役務に関する広告及び価格表を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一の使用商標1を付して電磁的方法により提供することにより使用されていたものである。
ウ 本件使用者のウェブサイト「グリーン司法書士OnLine」での使用
(ア)使用に係る商標の態様
本件使用者は、乙第4号証の1に示されるとおり、本件使用者のウェブサイト「グリーン司法書士OnLine」において、「グリーン司法書士OnLine」と表記している。
当該表記中、「司法書士」の文字は、士業又は国家資格の普通名称を表示するものである。また、「OnLine」の文字は、インターネットなどのネットワーク経由で提供されるサービスを、普通に用いられる方法で表すものである。
そうすると、当該表記に接した需要者は、「司法書士」及び「OnLine」の文字部分が役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示したものと理解するにとどまり、これらの文字部分を出所識別標識として認識しないと解される。他方、「グリーン」の文字部分(以下「使用商標2」という。)については、本件使用者の商号である「グリーン司法書士法人」において、法人の種類を表示する「司法書士法人」を除いた部分と同じであることから、需要者は、当該表記中、これに着目して出所識別標識として認識するものと解される。すなわち、使用商標2は、本件使用者のウェブサイト「グリーン司法書士OnLine」において、出所表示機能を果たす態様で使用されていると思料する。
ここで、使用商標2は、本件商標と比較して字体が異なるだけであり、称呼及び観念を同じくする。このような変形を加えた使用は、広く一般的に行われている範囲にとどまるものであるから、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標に当たると解される。
なお、仮に、使用商標2が出所表示機能を果たす態様で使用されていないと解されるとしても、前記(2)イ(ア)で述べたのと同様の理由により、使用商標2は本件商標と社会通念上同一の商標に当たると解される。
(イ)使用態様
前記(2)イ(イ)でも述べたとおり、本件使用者が運営する「グリーン司法書士OnLine」のウェブサイトにおいては、本件使用者が提供するサービスであって、本件役務を含むものが表示され、また、本件使用者が提供するサービスに関する価格表も表示されている(乙4の1ないし乙8)。
そうすると、本件使用者は、乙第4号証の1の「グリーン司法書士OnLine」のウェブサイトを通じて、日本の需要者に向けて、本件役務に関する広告に使用商標を付して電磁的方法により提供していたと認められ、これは、商標法第2条第3項第8号の「役務に関する広告、価格表を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
(ウ)使用時期
乙第4号証の1の「グリーン司法書士OnLine」のウェブサイトは、乙第4号証の4から明らかなとおり、2017年頃から公開され現在に至るまで、閲覧可能となっている。
さらに、乙第4号証の1のウェブサイトにおいては、商業登記に関する解決事例を紹介する記事が「2024.1.18」及び「2024.2.21」に公開されたものであることが記載され(乙6)、相続等に関する解説の記事が「2018.11.30」及び「2024.3.21」に公開されたものであることが記載されている(乙7の1)。
したがって、使用商標2は、要証期間内に日本国内において使用されている。
(エ)小括
以上から、本件商標は、要証期間内に日本国内において、本件使用者であるグリーン司法書士法人により、乙第4号証の1の「グリーン司法書士OnLine」のウェブサイトを通じて、本件役務に関する広告及び価格表を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一の使用商標2を付して電磁的方法により提供することにより使用されていたものである。
エ 本件使用者のウェブサイト「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」での使用
(ア)使用に係る商標の態様
a 本件使用者は、乙第9号証の1及び乙第9号証の2に示されるとおり、本件使用者のウェブサイト「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」において、「グリーン司法書士法人」と表記している。
当該表記中、「司法書士法人」の文字部分は、法人の種類を表示する一般名称である。そうすると、当該表記に接した需要者は、「司法書士法人」の文字部分を出所識別標識として認識しないものと解される。他方、「グリーン」の文字部分(以下「使用商標3」という。)については、取引の実際において、しばしば商号中にある法人の種類を表す部分を省略し、残余の部分をもって取引に当たることも少なくないという経験則に照らすと、需要者は、当該「グリーン」に着目して出所識別標識として認識するものと解される。その結果、使用商標3は、出所表示機能を果たす態様で使用されていることは明らかであると思料する。
b 本件使用者は、乙第10号証に示されるとおり、本件使用者のウェブサイト「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」において、「任意整理の無料相談ならグリーンへ」と表記している。また、当該表記においては、「任」の文字サイズを、他の文字の文字サイズよりも大きく表している。
ここで、当該表記中、「任意整理の無料相談なら」の文字部分は、本件使用者が提供するサービスとの直接的な関連性を有するものであり、普通に用いられる方法で表示されたものであるため、需要者は、出所識別標識として認識しないものと解される。他方、「グリーン」の文字部分(以下「使用商標4」という。)については、本件使用者の商号である「グリーン司法書士法人」において、法人の種類を表示する「司法書士法人」を除いた部分と同じであることから、需要者は、これに着目して出所識別標識として認識するものと解される。
c ここで、使用商標3及び使用商標4は、本件商標と比較して字体が異なるだけであり、称呼及び観念を同じくする。このような変形を加えた使用は、広く一般的に行われている範囲にとどまるものであるから、使用商標3及び使用商標4はそれぞれ、本件商標と社会通念上同一の商標に当たると解される。
なお、仮に、使用商標3及び使用商標4が出所表示機能を果たす態様で使用されていないと解されるとしても、前記(2)イ(ア)で述べたのと同様の理由により、使用商標3及び使用商標4は本件商標と社会通念上同一の商標に当たると解される。
(イ)使用態様
前記(2)ア(ケ)でも述べたとおり、本件使用者が運営する「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」のウェブサイトにおいては、債務整理及び訴訟事件に関する事例紹介が記載され(乙10)、本件使用者の業務内容として、不動産登記、相続登記及び商業登記等の登記に関する手続、訴訟手続及び強制執行等に関する法律事務、並びに建設業等の許認可申請に関する行政手続等が含まれることも記載されている(乙11)。そして、これらの記載にある各サービスは、本件商標の指定役務に含まれることは明らかである。
また、前記(2)ア(サ)でも述べたとおり、本件使用者が運営する「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」のウェブサイトにおいては、本件使用者が提供するサービスに関する価格表も表示されている(乙12)。
そうすると、本件使用者は、乙第9号証の1の「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」のウェブサイトを通じて、日本の需要者に向けて、本件役務に関する広告に使用商標3及び使用商標4を付して電磁的方法により提供していたと認められ、これは、商標法第2条第3項第8号の「役務に関する広告、価格表を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
(ウ)使用時期
乙第10号証によれば、乙第9号証の1のウェブサイトにおいては、債務整理に関する解決事例を紹介する記事が2023年4月11日に公開されたものであることが記載されている。
したがって、使用商標3及び使用商標4は、要証期間内に日本国内において使用されている。
(エ)小括
以上から、本件商標は、要証期間内に日本国内において、本件使用者であるグリーン司法書士法人により、乙第9号証の1の「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」のウェブサイトを通じて、本件役務に関する広告及び価格表を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一の使用商標3及び使用商標4を付して電磁的方法により提供することにより使用されていたものである。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、全ての指定役務について、要証期間内に、日本国内において、本件使用者によって使用されていたということができる。
よって、商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実が明確である以上、本件商標が不使用を理由に取り消されるべきではない。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人の主張及びその提出に係る証拠によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第1号証
乙第1号証は、「商標使用許諾契約書」であり、1葉目において、その契約書の表題の記載の下に、「許諾者A(以下、「甲」という)と、被許諾者グリーン司法書士法人(以下、「乙」という)は、商標登録第5676403号に関する商標(以下、「本件商標」という)の使用について、以下のとおり契約を締結する。」(合議体注:「A」は本件商標権者(被請求人)。以下同じ。)の記載、「第1条(使用許諾)甲は、乙に対し、本件商標を使用することを許諾する。」、「第2条(使用範囲)1.乙は、本件商標を、乙の提供するサービスに関する広告、宣伝、商品パッケージ、ウェブサイト、その他の媒体において使用することができる。2.乙は、本件商標を、日本国内においてのみ使用することができる。」及び「第5条(契約期間)本契約の有効期限は、本契約締結日から2年間とする。」の記載がある。
また、2葉目において、「令和3年11月1日」の記載の下に、甲の住所と氏名並びに乙の住所と名称及び代表社員として甲の氏名の記載がある。
イ 乙第10号証
乙第10号証は、被請求人が「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」のウェブサイトにおける解決事例を紹介するページのスクリーンショットであると主張するものであり、1葉目には、冒頭左上に、別掲2のとおり「グリーン司法書士法人運営」と「借金返済ノウハウ」の文字を2段に書してなる記載がある。そして、「【任意整理】訴訟提起された状態で手続に入ったが和解ができたケース」の見出しの下、「監修者:A」、「解決事例 債務整理のプロが解決事例を解説」、「30代 女性 借金総額300万円 訴訟提起された状態で手続に入ったが和解ができたケース」、「公開日2023.04.11」及び「最終更新日2023.04.11」の順で記載があり、さらにその下に、「任意整理 30代|女性|アルバイト」、「【借金の理由】生活費」の記載に続き、「債務整理前」及び「債務整理後」の項目とともに数字(期間や金額など)などを用いた表の記載がある。
また、1葉目から2葉目にかけて、「依頼前の状況」と「依頼内容・対応と結果」の項目が設けられており、「依頼内容・対応と結果」の項目には、「家計を見直したところ、整理すれば月5万円程度の返済は可能と判断できたため、それを依頼者へ説明し、任意整理に決定。幸い、取引期間はいずれも長く、ある程度の返済実績はあったので和解交渉は比較的スムーズに進んだ。」の記載がある。
さらに、2葉目の中央部には、別掲3のとおり、「任意整理の無料相談ならグリーンへ」(「任」の文字は、他の文字の約4倍の大きさで表されている。以下同じ。)の見出しの下、「電話相談は9:00~20:00・・・で受付中です。「借金返済のブログをみた」とお問い合わせいただけるとスムーズです。」及び電話番号などの記載がある。
ウ 乙第11号証
乙第11号証は、被請求人が、「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」のウェブサイトにおける運営者情報のページのスクリーンショットであると主張するものであり、1葉目には、冒頭左上に、別掲2のとおり、「グリーン司法書士法人運営」と「借金返済ノウハウ」の文字を2段に書してなる記載がある。そして、「グリーン司法書士法人のご紹介」の見出しの下、「サイト名 借金返済ノウハウ」、「運営事務所 グリーン司法書士法人(法人番号略)」及び「代表司法書士 A(簡裁訴訟代理認定(番号略))」の記載がある。
また、2葉目には、「東京事務所」の見出しの下、「運営事務所名 グリーン司法書士法人 東京事務所」、「代表社員/常駐社員 A(簡裁訴訟代理認定(番号略) 特定社員 司法書士)」の記載がある。
(2)上記(1)アないしウによれば、以下の事実を認めることができる。
ア 本件商標権者(被請求人)は、令和3年11月1日に、契約の有効期間を同日から2年間(令和5年10月末日まで)として、本件使用者(グリーン司法書士法人)に対し、本件商標(登録第5676403号商標)を使用することを許諾する旨の契約を締結した。
そして、その使用範囲は、本件使用者が提供するサービスに関する広告、宣伝、商品パッケージ、ウェブサイト、その他の媒体において、日本国内のみで使用することができるものである(乙1)。
イ 乙第10号証及び乙第11号証の1葉目の冒頭左上には、別掲2のとおり、共通して「グリーン司法書士法人運営」と「借金返済ノウハウ」の文字とを2段に書してなるところ、下段の「借金返済ノウハウ」の文字部分は、乙第10号証及び乙第11号証に表されたウェブサイトの冒頭に共通して目立つように表されているものであり、「サイト名 借金返済ノウハウ」との記載もある(乙11)ことから、乙第10号証及び乙第11号証の内容が掲載されているウェブサイト(以下「本件ウェブサイト」という。)の名称を表すものであると認められる。
また、上段の「グリーン司法書士法人運営」の文字の構成中「運営」の語は、「組織・機構などをはたらかせること」(岩波書店「広辞苑 第七版」参照)を意味するものであって、組織・機構などを運営する者を表す際に、例えば「○○○運営」(「○○○」は運営する者の名称)のように表されることが一般に行われていることからすると、「グリーン司法書士法人運営」の文字部分は、下段に表された「借金返済ノウハウ」と題するウェブサイト(本件ウェブサイト)の運営者が本件使用者(グリーン司法書士法人)であることを表すものである。
そうすると、乙第10号証及び乙第11号証に掲載記事の内容は、本件使用者(グリーン司法書士法人)が運営する「借金返済ノウハウ」と題するウェブサイト(本件ウェブサイト)において掲載されたものであると認められる。
ウ 乙第11号証の本件使用者(グリーン司法書士法人)の紹介記事における「代表社員/常駐社員 A(簡裁訴訟代理認定(番号略) 特定社員 司法書士)」の記載から、遅くとも本書証の出力日である2024年(令和6年)7月9日には、本件商標権者(被請求人)は、司法書士法第3条2項に規定する簡裁訴訟代理等関係業務(以下「簡裁訴訟代理等関係業務」という。)を行うことができる司法書士(以下「簡裁訴訟代理認定司法書士」という。)であって、かつ、本件使用者(グリーン司法書士法人)の代表社員であって、同法人の社員として所属していたものと認められる(乙11)。
エ 乙第10号証の掲載記事(以下「本件掲載記事」という。)は、30代女性から依頼を受けた任意整理の事例をもとに、債務整理前(依頼前の状況)と債務整理後(依頼内容・対応と結果)における具体的な債務整理の内容を解説したものであって、2葉目には「任意整理の無料相談ならグリーンへ」の項目の下、任意整理の無料相談に関するお問い合わせの記事が掲載されていることが認められる。
そうすると、本件掲載記事は、本件使用者(グリーン司法書士法人)が運営する「借金返済ノウハウ」と題するウェブサイトにおいて、本件使用者がこれまでに借金返済に関する依頼を受けた事案のうち、債務整理(任意整理)を行った事例を解説したものであって、本件掲載記事を閲覧した一般の需要者に対し、上記債務整理(任意整理)の事例を参考として示した上で、本件使用者が債務整理(任意整理)などの借金返済に関する無料相談に関心がある者に、電話での問い合わせ先などを提示していたことが認められる。
また、当該ウェブサイトのページ内には、「公開日2023.04.11」及び「最終更新日2023.04.11」の記載があることから、少なくともその最終更新日である2023年(令和5年)4月11日から2024年(令和6年)7月9日(乙10の出力日)の間には、本件掲載記事がウェブサイト上で掲載されていたものと認められる。
オ 上記ア、イ及びエによれば、本件使用者は、本件商標権者から本件商標を使用することを許諾する旨の契約の下、2023年(令和5年)4月11日以降、本件掲載記事を本件使用者が運営するウェブサイト上に掲載しており、そのウェブサイトには、「グリーン司法書士法人運営」及び「任意整理の無料相談ならグリーンへ」の文字が使用されていることが認められる。
2 判断
上記1(2)オの行為について、以下のように判断できる。
(1) 使用標章について
ア 「グリーン司法書士法人運営」の文字について
乙第10号証の1葉目の冒頭左上の「グリーン司法書士法人運営」の記載(別掲2参照)のうち、「運営」の文字部分は、上記1(2)イのとおり、組織・機構などを運営する者を表す際に用いられている語と認識されるにすぎないものであるから、当該文字部分は、役務等の出所識別標識として機能するものではない。
また、その構成中「司法書士法人」の文字部分は、法人の一形態を表す語として一般に使用されていることから、当該文字部分も、役務等の出所識別標識として機能するものではなく、法人の一形態を表す語である「司法書士法人」の部分を省略して「グリーン」のように簡略に当該法人を表すことも一般に行われているから、需要者は、当該「グリーン」の文字部分を出所識別標識として認識するものといえる。
そうすると、「グリーン司法書士法人運営」の構成中「グリーン」の文字部分(以下「使用標章1」という場合がある。)が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
そして、本件商標は、別掲1のとおり、「グリーン」の文字をやや丸みを帯びた書体で横書きしてなるものであるところ、本件商標と使用標章1は、書体が異なるものの、同じ構成の文字を横書きしてなるものである。
以上によれば、使用標章1は、本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり、本件商標と社会通念上同一のものである。
イ 「任意整理の無料相談ならグリーンへ」の文字について
乙第10号証は、上記1(2)イのとおり、「グリーン司法書士法人」が運営するウェブサイトであって、本件掲載記事は、本件使用者が、これまでに依頼を受けた債務整理(任意整理)の事例を参考として示した上で、「任意整理の無料相談ならグリーンへ」(別掲3参照)、「電話相談は9:00~20:00・・・で受付中です。「借金返済のブログをみた」とお問い合わせいただけるとスムーズです。」及び電話番号などの記載があることからすれば、債務整理(任意整理)などの借金返済に関する無料相談に関心がある者に、「グリーン」へ電話での問い合わせ(相談)を提案することを内容とするものである。
そして、上記「グリーン」とは、本ウェブサイトを運営しているのが「グリーン司法書士法人」であって、かつ、「グリーン司法書士法人」のうち、法人の一形態を表す語である「司法書士法人」の部分を省略して「グリーン」のように簡略に当該法人を表すことも一般に行われており、「グリーン」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得る部分であることなども併せて考慮すれば、「任意整理の無料相談ならグリーンへ」の文字(別掲3参照)に接する需要者は、その構成中「グリーン」の文字部分が「グリーン司法書士法人」を表すものと理解するというのが相当である。
そうすると、本件掲載記事は、本件使用者が依頼を受けて提供する債務整理に関する宣伝・広告を内容とするものであると理解されるとともに、「任意整理の無料相談ならグリーンへ」の記載のうち「グリーン」の文字部分(以下「使用標章2」という。)は、本件使用者自らを表すものであって、かつ、本件使用者の業務に係る識別標識たる商標でもあると理解されるとみるのが相当である。
そして、本件商標は、別掲1のとおり、「グリーン」の文字をやや丸みを帯びた書体で横書きしてからなるものであるところ、本件商標と使用標章2は、書体が異なるものの、同じ構成の文字を横書きしてなるものである。
以上によれば、使用標章2は、本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり、本件商標と社会通念上同一のものである。
(2) 使用標章の使用時期及び使用地域
上記1(2)オのとおり、2023年(令和5年)4月11日以降、使用標章1及び使用標章2を含む本件掲載記事が、本件使用者の運営するウェブサイト上に掲載されており、同ウェブサイトは日本語で表示されていることから、少なくとも我が国における需要者を対象にウェブサイト上に掲載されていたものと認められる。
以上によれば、使用標章1及び使用標章2のいずれについても、日本国内で要証期間内に使用されたものといえる。
なお、請求人は、乙第10号証は、答弁書の主張を踏まえると、乙第4号証のウェブサイトの記事の一部とおぼしきところ、同じウェブサイトの記事であるのに、時期に関する記述が区々で異なっているのは、それら時期の記載は個々の限られた記述に関する時期を表示したものとみるべきであって、本件商標の使用時期までが証明されたということはできない旨主張する。
しかしながら、被請求人は、乙第10号証が「グリーン司法書士法人運営 借金返済ノウハウ」のウェブサイトにおける解決事例を紹介するページの記事であると主張したうえで、当該ウェブサイトのURLのアドレスを記載しているのであって(答弁書11頁、7(2)ア(ケ))、乙第4号証のウェブサイトの記事の一部であるとの主張はしていないことから、請求人のこの主張は、その前提において採用することができない。
(3) 使用標章の使用役務及び使用行為について
上記(1)イのとおり、本件掲載記事は、本件使用者が依頼を受けて提供する債務整理に関する宣伝・広告に該当する。そして、債務整理は、借金の減額、免除または支払いの猶予を目的として行う手続きであって、債権者と利息や分割支払いの期間について直接交渉し、合意に基づいて一定額ずつ返済する「任意整理」を含むもの(共同通信社「共同通信ニュース用語解説」参照)であって、これは、民事に関する紛争について、相談に応じ、又は裁判外の和解について代理することを業とするものに含まれることから、この役務は、本件審判の請求に係る指定役務のうち「訴訟事件その他に関する法律事務」に含まれるものである。
以上によれば、本件使用者が、本件審判の請求に係る指定役務のうち「訴訟事件その他に関する法律事務」に含まれる「債務整理」に関する広告を内容とする情報に使用標章1及び使用標章2を付して電磁的方法(インターネット)により提供する行為をしていたと認められ、これは、商標法第2条第3項第8号に規定する行為に該当する。
なお、請求人は、「法律事務」の業務を行うには弁護士や弁護士法人といった国家資格を有することが義務づけられているところ、被請求人が提出した乙各号証では、本件使用者は司法書士法人であるにもかかわらず、法律事務の業務を行っていると記載されていることから、これらの証左からは、本件使用者が法律事務の業務を行っているとの証明は十分ということはできない旨主張する。
しかしながら、司法書士の業務は司法書士法第3条で定められているところ、同条第1項第7号において、「民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額(合議体注:訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求)を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。」と規定されており、同規定の範囲内において行われる債務整理が、司法書士の業務に含まれることは、「債務整理を依頼された認定司法書士は,当該債務整理の対象となる個別の債権の価額が法3条1項7号に規定(合議体注:司法書士法)する額を超える場合には,その債権に係る裁判外の和解について代理することができないと解するのが相当である。」と最高裁判所が判示していることからも明らかである(最高裁裁判所第一小法廷・平成26年(受)第1813号、同第1814号・平成28年6月27日判決)。
そして、乙第10号証において、「【任意整理】訴訟提起された状態で手続に入ったが和解ができたケース」の見出しの下、「監修者:A」の記載があることから、本件掲載記事は、A(本件商標権者)により監修がされたものであると理解するのが相当であって、その監修した内容である債務整理は、簡裁訴訟代理認定司法書士が行うことができる業務であること、Aは、令和3年11月1日に本件使用者(グリーン司法書士法人)との間で本件商標(登録第5676403号商標)の使用許諾に関する契約を締結していること(乙1)、令和6年7月9日時点において本件使用者の代表社員であって、簡裁訴訟代理認定司法書士として同法人に所属していたこと(乙11)、本件掲載記事は、本件使用者が運営するウェブサイトに掲載されていたこと(乙10)などからすると、本件掲載記事が掲載されていた令和5年4月11日には、本件掲載記事を監修したAが本件使用者に簡易訴訟代理人認定司法書士として所属していたものと推認することができる。また、司法書士法人の業務の範囲について、簡裁訴訟代理等関係業務に関しては、社員のうち簡易訴訟代理認定司法書士がある司法書士法人に限って行うことができると規定されていることから(司法書士法第29条第2項)、上記のとおり、簡易訴訟代理認定司法書士が社員として所属している本件使用者は、簡裁訴訟代理等関係業務、すなわち、債務整理に関する業務を行うことができたものであるというのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(4) 使用標章の使用者について
上記1(2)アのとおり、本件商標権者(被請求人)は、令和3年11月1日から同5年10月30日までを有効期間として、本件使用者(グリーン司法書士法人)に対し、本件商標を使用することを許諾する旨の契約を締結したものであって、使用標章1及び使用標章2を含む本件掲載記事は令和5年4月11日から同6年7月9日の間に本件使用者の運営するウェブサイト上に掲載されていたものであるから、本件掲載記事が掲載されていた期間のうち、少なくとも上記契約の有効期間内において、本件使用者は、本件商標の通常使用権者であったと認められる。
また、本件掲載記事の内容は、本件使用者の提供するサービス(債務整理)に関する宣伝・広告において、我が国における需要者を対象にウェブサイト上に掲載されていたものであるから、本件掲載記事に含まれる使用標章1及び使用標章2の使用は、本件商標の通常使用権の使用の範囲内のものであると認められる。
(5)小括
以上によれば、本件商標の通常使用権者である本件使用者(グリーン司法書士法人)は、要証期間に日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務のうち、第45類「訴訟事件その他に関する法律事務」に含まれる「債務整理」の役務に関する宣伝・広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一の商標である使用標章1及び使用標章2を付して、電磁的方法(インターネット)により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)をしていたものと認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、通常使用権者が、要証期間に日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-300259