商標取消審判
2023-300585
バクサイ
- 審判番号
- 2023-300585
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2019-089935
- 登録番号
- 6278937
- 請求日
- 2023年08月15日
- 審決日
- 2024年11月20日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】高岡 賢太郎
- 【請求人代理人】丸山 一郎
- 【請求人代理人】伊藤 健一郎
- 【被請求人】株式会社 プライムサーカス
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 阿曾 裕樹
- 審判官 大島 勉
- 分類
- T131 .1 -Z (W0935414245)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第50条第2項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6278937号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6278937号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6278937号商標(以下「本件商標」という。)は、「bakusai」の文字を標準文字で表してなり、令和元年6月27日に登録出願、第9類「アプリケーションソフトウェア,コンピュータソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品,携帯情報端末,電気通信機械器具,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,通信ネットワークを通じてダウンロード可能な画像・映像・音楽・文字情報,電子出版物」、第35類「インターネット上のウェブサイト・ウェブログを通じて行う政治・経済・環境・文化・人権・国際情勢・科学技術・ビジネス・スポーツ・芸能・その他の時事問題に関する記事情報の提供,インターネット上のウェブサイト・ウェブログを通じて行う地域・グローバル・ライフスタイル・旅・イベント・アートその他の時事問題に関する記事情報の提供,新聞記事情報の提供,広告業,広告に関するコンサルティング,広告用具の貸与,インターネットにおける広告スペースの提供,商品及び役務の販売促進・提供促進のための企画及びその実行の代理,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集」、第41類「地域・グローバル・ライフスタイル・旅・イベント・アートその他の時事問題に関する記事を内容とする電子出版物の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,地域・グローバル・ライフスタイル・旅・イベント・アートその他の時事問題に関する記事を内容とする文字情報の提供,オンラインによる音楽・音声・映像・画像・文字情報の提供,地域・グローバル・ライフスタイル・旅・イベント・アートその他の時事問題に関する記事を内容とする電子出版物の制作,電子出版物の制作,書籍の制作,娯楽情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,美術品の展示,美術品の展示に関する情報の提供」、第42類「電子計算機による新聞記事に関する情報の検索のための検索エンジンの提供,インターネットにおける検索エンジンの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,インターネットにおける電子掲示板へのアクセスのためのコンピュータープログラムの提供,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),電子計算機用プログラムの提供,電子掲示板のためのサーバーの記憶領域の貸与,電子計算機の貸与,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案(広告に関するものを除く。),電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,気象情報の提供」及び第45類「時事情報の提供,タレント・芸能人・著名人に関する情報の提供,ファッション情報の提供,オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,占い,身の上相談」を指定商品及び指定役務として、令和2年8月11日に設定登録されたものである。
第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。
2 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務(以下「本件請求商品役務」という。)について、継続して3年以上(2020年8月31日から2023年8月30日まで。以下「要証期間」という。)日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
3 被請求人の主張に対する弁駁
(1)弁駁の理由
被請求人は、「bakusai.netのドメインを利用し、ウェブサイト運用の準備としてgoogleアナリティクスの登録を進めていたこと。」(以下「本件第1行為」という。)及び「上記と同じような時期にキーホルダーの作成、販売したこと。」(以下「本件第2行為」という。)を、本件商標の使用に該当する事実として主張する。
しかし、以下に詳述するように、被請求人の主張には理由がなく、本件商標の使用に該当する事実はない。
(2)本件第1行為について
ア 本件請求商品役務のいずれにも該当しないこと
被請求人が、商標法第50条第1項が規定する商標登録の不使用取消しを免れるためには、請求人が本件審判請求書において取消しを請求する本件請求商品役務のいずれかについて、本件商標と同一の商標を使用した事実を主張立証する必要がある。
この点、被請求人は、「bakusai.netのドメインを利用し、ウェブサイト運用の準備としてgoogleアナリティクスの登録を進めていたこと。」を本件商標の使用の事実として主張する。
しかし、上記の内容は、請求人が取消しを請求する本件請求商品役務のいずれにも該当しない(そもそも、被請求人は、本件第1行為が、本件請求商品役務のうち、どの指定商品・指定役務についての使用に該当するのかということすら主張していない。)。
イ そもそも商標の使用に該当しないこと
被請求人が、商標法第50条第1項が規定する商標登録の不使用取消しを免れるためには、その主張する使用が、商標の使用について規定した商標法第2条第3項各号のいずれかの使用に該当しなければならない。
しかし、被請求人が主張する本件第1行為に係る使用は、いわばウェブサイト運用のための内部的な準備行為にすぎず、商標法第2条第3項が規定する、商品についての使用(同項第1号及び第2号)、役務についての使用(同項第3号から第7号)及び商品・役務についての広告的使用(同項第8号)のいずれにも該当しないことは明らかである。
したがって、被請求人が主張する本件第1行為に係る使用は、そもそも商標の使用に該当しない。
ウ 被請求人提出の証拠から被請求人の主張は裏付けられないこと
被請求人は、本件第1行為に係る使用を裏付ける証拠として、乙第1号証の受信メールの写しを提出している。
しかし、乙第1号証の受信メールの内容からは、「Googleアナリティクスチーム」から、「Googleアナリティクスアカウントヘのアクセスが許可されました」という件名のメールが送信されたこと、その「Googleアナリティクスチーム」からのメールの本文中に「bakusai.net」という表記があることといった程度のことしか導くことはできない。さらに、乙第1号証には、メールの受信者名が表示されていないため、そもそも被請求人に対して送信されたメールであるかどうかということさえ不明である。
したがって、被請求人が提出した乙第1号証の証拠のみからは、被請求人の本件第1行為に係る使用の主張は裏付けられない。
エ 以上から、被請求人が主張する、本件第1行為に係る本件商標の使用については、そもそも被請求人の主張を客観的かつ合理的に裏付けるに足りる証拠がなく、また、上述したように、商標の使用に該当しないこと等から、商標法第50条第2項本文が規定する、本件商標の使用に該当する事実がないことは明らかである。
(3)本件第2行為について
ア 本件請求商品役務のいずれにも該当しないこと
上述したように、被請求人が、商標法第50条第1項が規定する商標登録の不使用取消しを免れるためには、請求人が本件審判請求書において取消しを請求する本件請求商品役務のいずれかについて、本件商標と同一の商標を使用した事実を主張立証する必要がある。
この点、被請求人は、「上記と同じような時期にキーホルダーの作成、販売したこと。」を本件商標の使用の事実として主張する。
しかし、上記の内容は、請求人が取消しを請求する本件請求商品役務のいずれにも該当しない(本件第1行為と同様、そもそも、被請求人は、本件第2行為が、本件請求商品役務のうち、どの指定商品・指定役務についての使用に該当するのかということすら主張していない。)。
イ 本件のキーホルダーは商標法上の商品に該当しないこと
被請求人は、乙第3号証の領収証の存在から、乙第2号証の写真のキーホルダーが販売されたことを、本件商標の使用の事実として主張する。
この点、使用商品については、商標法上の商品に該当すること、具体的には取引性及び流通性が必要になると解される。
しかし、乙第3号証の領収証が乙第2号証の写真のキーホルダーについての領収証であるとすれば、キーホルダーは8名にしか販売されておらず、また、8枚の領収証の日付は、いずれも2020年10月19日で同じである。手書きの領収証が個別に作成されていること、他にキーホルダーを販売したことを裏付ける証拠がないことなども併せて考えると、乙第2号証の写真のキーホルダーは、広く需要者を対象として販売された、あるいは販売を予定していたものであるとはいえず、限定された一部の関係者に対してのみ、500円といういわば無償に近い廉価で販売されたと考えるのが合理的である。
このことからすれば、本件のキーホルダーは、取引の流通過程(一般市場)に置かれたとはいえないし、流通過程に置くことを目的として作成、販売されたともいえないから、流通性はない。また、500円という無償に近い廉価で販売されていることから、取引性もない。
したがって、本件のキーホルダーは、それ自体が独立の商取引の対象物である商品とはいえず、商標法上の商品に該当しない。
この点、東京高裁平成13年2月27日判決(判時1749号154頁)は、本件の判断においても参考にされるべきである。
ウ 被請求人提出の証拠から被請求人の主張は裏付けられないこと
被請求人は、本件第2行為に係る使用を裏付ける証拠として、(ア)乙第2号証として、2種類のキーホルダー、具体的には、「bakusai」という文字が2段に表記されたキーホルダーと「爆サイ」及び「bakusai」の文字が表記されたキーホルダーが写っている写真3枚、(イ)乙第3号証として、「キーホルダー代」と記載された領収証8枚のコピーを提出している。
しかし、乙第3号証の領収証が、乙第2号証に写っているキーホルダーの販売代金についての領収証であることを合理的に根拠付ける証拠等はなく、乙第3号証の領収証が、乙第2号証のキーホルダーの販売代金についての領収証であるとは直ちにいえない。そもそも、領収証に記載されている500円という販売代金が、キーホルダー1個の金額なのか、2個の金額なのか等も不明である。さらに言えば、そもそも乙第3号証の領収証が、記載されている2020年10月19日に作成されたことを裏付ける証拠等もないから、実際に、同日に500円を領収したか(キーホルダーが販売されたか)どうかも、乙第3号証のみからは認定できない。
したがって、被請求人提出の証拠のみから、被請求人が主張する本件第2行為の事実を合理的に裏付けることはできない(言い換えれば、使用の事実を作出するために乙第3号証の領収証が作成された可能性を否定できない。)から、そもそも被請求人主張の事実自体がないというべきである。
エ 以上から、被請求人が主張する本件第2行為に係る使用については、本件第1行為と同様、そもそも被請求人の主張を客観的かつ合理的に裏付ける証拠がなく、また、上述したように、本件第2行為は、本件請求商品役務のいずれにも該当しないこと等から、商標法第50条第2項本文が規定する、本件商標の使用に該当する事実がないことは明らかである。
4 弁駁の理由の補充
(1)請求人は、弁駁の理由について、要旨以下のとおり補充し、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(枝番号あり。)を提出した。
(2)「爆サイ.com」について
「爆サイ.com」は、インターネット上のいわゆる掲示板サイトであるところ、同掲示板は、現在は月間11億PV(ページビュー。ユーザーがWebページを閲覧した回数のこと。)、MAU(マンスリーアクティブユーザー。特定の1か月間にWebサイトを利用したユーザー数のこと。)1500万人、1日投稿数約70万回という規模にまで成長しており、国内最大規模の掲示板サイトというべきものである(甲第1号証、甲第2号証)。
(3)この点、上記第2の3(1)のとおり、被請求人は主張する。
しかし、上述したように「爆サイ.com」が掲示板サイトとして国内最大の規模にまで成長しており、現在は日本国内主要サイトランキングにおいてDMM.Comやライブドア、5ちゃんねるよりも上位の第1位となっており、検索回数も2ちゃんねる(現5ちゃんねる)よりも上に位置し、掲示板のカテゴリ数でも第1位となっている。このように日本国内において第1位の認知度を有する掲示板サイトであることからすれば、被請求人が本件商標を使用したとするいずれの行為も本件商標を使用したとは評価できない。
第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証から乙第3号証を提出した。
2 答弁の理由
bakusai.netのドメインを利用し、ウェブサイト運用の準備としてgoogleアナリティクスの登録を進めていたこと(乙第1号証)。
上記と同じような時期にキーホルダーの作成、販売したこと(乙第2号証、乙第3号証)。
以上の日時から、請求人が取消し請求をする事由にあたらないため、本件の審判請求は成り立たない。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)2020年10月21日には、Googleアナリティクスチームから本件商標権者に対して、「Googleアナリティクスアカウント「bakusai.net」」(以下「本件使用商標」という場合がある。)に関する「ユーザー管理、編集」のアクセス権が付与された(乙第1号証)。
(2)「bakusai」の文字を表示したキーホルダーがある(乙第2号証)。
2 上記の認定事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)上記のとおり、要証期間において本件商標権者に対して、Googleアナリティクスアカウントに関するアクセス権が付与されていたとしても、それを用いて何らかの商品又は役務が製造、販売又は提供されていたかは明らかではないから、本件請求商品役務への使用事実が確認できない。
(2)本件商標は、上記第1のとおり、「bakusai」の文字を標準文字で表してなるところ、「バクサイ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
他方、Googleアナリティクスアカウントである本件使用商標は、「bakusai.net」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、その構成文字に相応して「バクサイドットネット」の称呼を生じ、「bakusai.netというドメイン名」程の観念を生じる。
そうすると、本件商標と本件使用商標は、「bakusai」の欧文字を共通にするものの、「.net」の文字等の有無の差異があるから、両商標は社会通念上同一の商標とは認められない。
(3)「bakusai」の文字を表示したキーホルダーがあるとしても、商品「キーホルダー」は、本件請求商品役務に含まれていない。
(4)以上によれば、被請求人の提出証拠によっては、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、要証期間に、本件商標又はそれと社会通念上同一の商標を、本件請求商品役務について使用したと認めることはできない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を本件請求商品役務について使用をしていることを証明したものと認めることができない。
また、被請求人は、本件請求商品役務について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の本件請求商品役務についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
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