商標取消審判
2020-300911
- 審判番号
- 2020-300911
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2015-120593
- 登録番号
- 5845211
- 請求日
- 2020年12月16日
- 審決日
- 2025年05月15日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】上海市錦天城律師事務所
- 【請求人代理人】有馬 百子
- 【被請求人】株式会社 日本創発グループ
- 【被請求人代理人】江部 武史
- 【被請求人代理人】朝比 一夫
- 【被請求人代理人】高橋 康久
- 【被請求人代理人】山本 寿夫
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T132 .1 -Y (W45)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項、商標法第50条第1項、商標法第4条第1項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5845211号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5845211号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成27年12月8日に登録出願、第45類「特許権・実用新案権・商標権・意匠権等の工業所有権に関する管理事務,著作権の管理事務」及び第35類、第36類、第40類、第41類並びに第42類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、平成28年4月22日に設定登録されたものである。
そして、本件審判請求の登録は、令和3年(2021年)1月7日にされたものであり、この登録前3年以内の期間である平成30年(2018年)1月7日ないし令和3年(2021年)1月6日を、以下「要証期間」という場合がある。
第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の指定役務中、第45類「全指定役務」(以下「請求に係る指定役務」という。)を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を審判請求書及び令和3年4月28日付け審判事件答弁書(以下「第1答弁書」という。)に対する同年7月28日付け意見書(以下「意見書」という。)、同4年1月5日差出の回答書(以下「回答書」という。)に対する同年6月17日付け弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、請求に係る指定役務について、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 意見書における主張
(1)乙号証について
ア 乙第1号証について
被請求人は、乙第1号証として、株式会社日本創発グループ(以下「日本創発グループ社」という。)の2019年版の会社案内のコピーを提出した。
被請求人は、乙第1号証には、本件商標が付され、グループ会社の事業紹介とともに、被請求人の事業内容として、グループ会社の経営管理とともに、その付帯業務として「著作権、出版権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権等の財産権取得、譲渡、貸与および管理」が明確に記載されている(乙1)ことを主張した。
イ 乙第2号証について
被請求人は、乙第2号証として、被請求人のグループ会社の1つである株式会社ワン・パブリッシング(以下「ワン・パブリッシング社」という。)のウェブサイトの「ソリューション」タグにて、2020年8月10日付で表示されていたホームページのコピーを提出した。
乙第2号証の(「ソリューション」タグの「ライセンス」に関する記載)において、「ONE PUBLISHINGの多様な雑誌を(IP知的財産)として捉え、それぞれをライセンシー様に貸与することが可能です。特に、唯一無二の存在感を放つミステリー・マガジン「ムー」は、多彩なアウトプットで商品化も進行中。アパレルメーカーからアクセサリー、食玩まで各社とコラボして、「ムー」の公式グッズをライセンス展開しています。」と記載されている。
ウ 乙第3号証について
被請求人は、乙第3号証として、ワン・パブリッシング社の会社概要パンフレットのコピーを提出した。
乙第3号証に、本件商標が付され、「ソリューション事業」のソリューション事例として、「ライセンス」が記載されている。
エ その他の証拠について
被請求人は、ワン・パブリッシング社が、様々なコンテンツを作成しており、動画コンテンツに関する著作権を有していることは明らかであり、被請求人が、ワン・パブリッシング社の著作権の管理業務を実際に行っていると主張した。
さらに、被請求人は、被請求人がすべてのグループ会社のホームページを一元管理しており、その他のグループ会社の商標権等も管理していると主張した。
(2)乙号証に対する意見
被請求人が提出した証拠は、第35類の役務についての使用にあたり、第45類の役務についての使用には該当しない。
特許庁が公表している「類似商品・役務審査基準」には、商標登録の区分「第45類」及びこれに含まれる「商品/サービス」について、以下のように記載されている。
商標登録の区分「第45類」は、冠婚葬祭に係る役務その他の個人の需要に応じて提供する役務(他の類に属するものを除く。)、警備及び法律事務に関する区分である。
具体的には、以下の役務に関する区分である。
ア 法律業務;有形財産及び個人の身体的保護のためのセキュリティサービス;個々の需要に応じて、他人が提供する人的及び社会的サービス
イ 第45類は、特に、以下のサービスを含むことが記載されている。
個人、組織及び会社に対して法律家によりなされるサービス;
人の身体的安全及び有形財産の安全に関するサービス、例えば、調査及び監視サービス;
社会的イベントに関し、個人に提供されるサービス、例えば、社交上の付き添いサービス、結婚相談所、葬儀の執行サービス;
ウ また、第45類は、特に、以下のサービスを含まないことが記載されている。
商業に従事する企業の職務又は業務において直接的に提供される専門的なサービス(第35類);
金融又は財政に関するサービス及び保険サービス(第36類);旅行者の添乗又は案内(第39類);
警備輸送(第39類);
あらゆる形態の人に対する教育を行うサービス(第41類);
歌手又はダンサーによる上演(第41類);
ソフトウェアの保護のための電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守のサービス(第42類);
コンピュータ及びインターネットセキュリティに関する助言及びデータの暗号化サービス(第42類);
人又は動物に、医療ケア、衛生又は美容ケアを施すために他人が提供するサービス(第44類);
特定の賃貸サービス(サービスのアルファベット順一覧表及びサービスの分類に関する一般的注釈(b)を参照。).
上述のとおり、被請求人は、乙第1号証には「著作権、出版権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権等の財産権取得、譲渡、貸与及び管理」が明確に記載されていることを主張している。
しかしながら、上述した証拠からは、被請求人がグループ会社の著作権等の管理業務を行うことは認められたとしても、本件商標の商標権を使用して他人に対して上記役務を提供した証拠となるとは認められない。
すなわち、被請求人の提出した証拠は、第35類の役務についての使用の証拠とは認められても、第45類の役務についての使用の証拠とは認められない。
被請求人が、営業ツールとして、上記会社案内を配布した場合、当該会社案内に接した需要者は、被請求人が弁護士、弁理士等法律専門家によらず、「著作権、出版権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権等の財産権取得、譲渡、貸与及び管理」に関する法律サービスを提供できるとは認識しないものと考えられる。すなわち、乙第1号証が、取引者、需要者に配布されとしても、被請求人は、法律事務所、特許事務所又は特許業務法人ではないため、取引者、需要者は、「著作権、出版権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権等の財産権取得、譲渡、貸与及び管理」という被請求人の付帯業務は、第35類に属する「商業に従事する企業の職務又は業務において直接的に提供される専門的なサービス」であると認識し、第45類に属するサービスが被請求人の業務内容であるとは認識しないものと考えられる。
上記乙第2号証、乙第3号証又はその他の証拠についても、同様に、第35類の役務「他人の商品及びサービスのライセンスに関する事業の管理」についての使用であって、第45類の役務についての使用であるとは認められない。
なお、仮に上記乙第1号証ないし乙第3号証及び被請求人が提出したその他の証拠が、本件商標の指定役務中、第45類「全指定役務」(請求に係る指定役務)に該当する場合、弁理士又は特許業務法人でない者がこのような業務を行うことは、弁理士法第75条に違反するおそれがある。
(3)結論
以上のとおり、被請求人が答弁書で提出した証拠は、「第45類」に含まれるサービスについての使用の事実を示すものではない。
すなわち、上記証拠は、本件商標の指定役務中、請求に係る指定役務についての使用の事実を示す証拠とはなり得ない。
3 弁駁書における主張
(1)乙号証について
ア 乙第1号証について
被請求人は、乙第1号証として、日本創発グループ社の2019年版の会社案内のコピーを提出した。
被請求人は、乙第1号証には、本件商標が付され、グループ会社の事業紹介とともに、被請求人の事業内容として、グループ会社の経営管理とともに、その付帯業務として「著作権、出版権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権等の財産権取得、譲渡、貸与および管理」が明確に記載されている(乙1)ことを主張した。
また、被請求人は、「本件商標権者が傘下グループ会社に対していかなる内容の役務を行っているのかが把握することができない。」との合議体の見解に対して、以下にも述べるように、傘下グループ会社の1つである東京リスマチック社との知財管理に関する業務委託契約書を提出した。そして、被請求人が東京リスマチック社の有する12件の商標権に関する管理事務を提供していることを主張した。
さらに、被請求人は、乙第1号証4,500部の印刷発注日、印刷発注先、納品日を客観的に証明するための追加証拠として乙第10号証ないし乙第18号証を提出した。
上記被請求人の主張に対する請求人の意見を以下に示す。
乙第1号証の日本創発グループ社の2019年版の会社案内には、被請求人の事業内容として、「傘下グループ会社の経営管理およびそれに付帯する業務」が記載され、その1つとして「著作権、出版権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権等の財産権取得、譲渡、貸与および管理」が挙げられている。
商標法で、「役務」とは、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものをいう」と解釈される(「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説[第20版]」)。ここで、被請求人の提示した乙第1号証に記載された「傘下グループ会社の経営管理およびそれに付随する業務」は、他人のために行う労務又は便益には該当しないものと考えられる。
特に、被請求人が役務の内容として提示した、連結対象子会社である東京リスマチック社の有する12件の商標権に関する管理事務が、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」に該当するとは認められない。
また、被請求人が提出した乙第10号証ないし乙第18号証には、「社用2019コーポレートガイド」(見積書の備考、作業指示書の品名、納品書の品名)と記載されており、社用であることが明示されている。
この記載より、乙第1号証の会社案内は、社内向けに配布されたものと推測され、被請求人の「被請求人の営業担当によって顧客に手渡され、郵送されるものである」との主張は認められない。
よって、乙第1号証の会社案内が頒布されたことは証明できず、商標法第2条第3項第8号の使用については何ら証明されていない。
また、たとえ、乙第1号証の会社案内が頒布されたとしても、上述のとおり、乙第1号証に記載されている業務は、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」である役務には該当せず、乙第1号証の頒布が当該役務の広告には該当ないことは明らかである。
イ 乙第7号証ないし乙第9号証について
被請求人は、傘下グループ会社の一つである東京リスマチック社が、2015年1月5日付で、被請求人に、知財管理に関する業務等を委託し、被請求人がその委託を引き受けた事実を示す証拠として業務委託契約書(乙8)及び料金表(乙9)を提出した。
しかし、乙第8号証に記載されている日付2015年1月5日は、要証期間(2018年1月7日~2021年1月6日)内のものではなく、乙第8号証及び乙第9号証に、本件商標は記載されていない。
さらに、料金表(乙9)には、「労務管理手数料、経理事務手数料、請求事務手数料」、及び「経営指導料(売上対応、純資産対応、総資産及び負債対応)」などの請求名目が記載されているが、「知財管理に関する業務」は、上記いずれの請求名目にも属しない。
以上のとおり、乙第7号証ないし乙第9号証は、要証期間外の証拠であり、本件商標が記載されていないため、商標法第2条第3項に規定される使用を証明する証拠とは認められない。
ウ 乙第2号証について
被請求人は、乙第2号証として、被請求人のグループ会社の1つであるワン・パブリッシング社のウェブサイトの「ソリューション」タグにて、2020年8月10日付で表示されていたホームページのコピーを提出した。
乙第2号証の(「ソリューション」タグの「ライセンス」に関する記載)には、「ONE PUBLISHINGの多様な雑誌をIP(知的財産)として捉え、それぞれをライセンシー様に貸与することが可能です。特に、唯一無二の存在感を放つミステリー・マガジン「ムー」は、多彩なアウトプットで商品化も進行中。アパレルメーカーからアクセサリー、食玩まで各社とコラボして、「ムー」の公式グッズをライセンス展開しています。」と記載されている。
しかし、役務(サービス)とは、上述のとおり、商標法において、他人のために行う労務又は便益であって独立して取引対象となるものとされている。上記ウェブサイトに記載の「ONE PUBLISHINGの多様な雑誌をIP(知的財産)として捉え、それぞれをライセンシー様に貸与することが可能です」の文言からは、需要者に対して、どのようなサービスを提供するものか、全く理解できない。仮に、需要者が、「ライセンス」というサービスがあることを理解したとしても、「他人の商品及びサービスのライセンスに関する事業の管理」(類似群コード 35B01)は、第35類に属する役務であり、本件商標の指定役務である第45類「特許権・実用新案権・商標権・意匠権等の工業所有権に関する管理事務,著作権の管理事務」には該当しない。また、上記ウェブサイトに記載の内容は、あくまでも営業案内としての記載であって、それ自体が独立して商取引の目的たり得るべきものとはいえない。
さらに、ワン・パブリッシング社のウェブサイトには、ワン・パブリッシング社所有の商標登録第6344857号商標(ロゴ+ONE PUBLISHING、以下「ワン・パブリッシング商標」という。)がホームページの左上に配置されている。
一方、本件商標は、ワン・パブリッシング社が学研プラスと日本創発グループの共同出資によるパブリッシャーであることを説明するため、GAKKEN(登録商標第2349282号)の下のホームページの最下位に配置されている。
ワン・パブリッシング商標が主要な位置に大きく表示されている乙第2号証に接した需要者は、当然、ワン・パブリッシング商標を当該ホームページに記載の事業内容についての出所識別標識として認識するものと考えられる。
一方、本件商標は、小さく表示され、需要者にとっては、当該ホームページに記載の事業内容についての出所識別標識として認識されない。
エ 乙第3号証について
被請求人は、乙第3号証として、ワン・パブリッシング社の会社概要パンフレットのコピーを提出した。
乙第3号証に、本件商標が付され、「ソリューション事業」のソリューション事例として、「ライセンス」が記載されている。
乙第3号証の表紙には、ワン・パブリッシング商標が大きく表示されている。
したがって、当該パンフレットに接した需要者は、記載されている事業内容の出所識別標識として、当然ワン・パブリッシング商標を認識するものと考えられる。
さらに、当該パンフレットには、本件商標以外に、複数の登録商標が記載されており、どの商標が、どの事業内容についての出所識別標識として認識されるか、すなわち、どの商標とどの事業が対応している全く不明である。
そして、乙第3号証に記載された事業内容は、本件商標の指定役務中、第45類「特許権・実用新案権・商標権・意匠権等の工業所有権に関する管理事務,著作権の管理事務」(請求に係る指定役務)には該当しない。
さらに、乙第3号証のパンフレットが、需要者に頒布された客観的な証拠は示されていない。
なお、当該パンフレットでは、本件商標の色彩が正しく印刷されておらず、裏面の文字も小さくて読み難い点を勘案すると、需要者に頒布されたと推定することもできない。
オ 乙第29号証について
乙第29号証は、商標登録第5496422号の登録情報であり、その指定役務には、第45類「著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,著作権又は著作隣接権の管理,著作権又は著作隣接権の管理に関するコンサルティング」と記載されている。
すなわち、本件商標の指定役務中、請求に係る指定役務に明記されている特許権・実用新案権・商標権・意匠権等の工業所有権に関するサービスは記載されていない。
弁理士法(平成12年法律第49号)では、第75条の規定により、弁理士又は特許業務法人(以下「弁理士等」という。審決注:令和3年度の弁理士法の改正により、2022年(令和4年)4月1日より弁理士の設立する法人の名称が「特許業務法人」から「弁理士法人」に改められることとなった。以下同じ。)ではない者に対して業務制限を課し、これらの者は弁理士等の業務範囲の一部を業とすることができないものとしている。同条の趣旨は、工業所有権の権利発生の内容に直接関わる業務を誰でも業として行えることとすると、無用な手続の遅滞を招き、併せて、出願人の迅速かつ的確な権利取得を妨げる可能性があることから、高度の専門性を有する弁理士という資格者の専権業務とすることである。
しかし、請求人は、乙第1号証には「著作権、出版権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権等の財産権取得、譲渡、貸与および管理」が明確に記載されていることを主張している。上記記載からは、被請求人は、弁理士等の業務範囲の一部を業とするとも考えられる。厳密にいえば、乙第1号証に記載の事業内容は、弁理士法第75条に抵触するおそれがある。
ここで、弁理士法第75条で制限されているのは、「他人の求めに応じて報酬を得て」行う業務に限定される。
すなわち、被請求人の業務が他人の求めに応じたものでない(他人のために行うものでない)自己のための業務であれば、弁理士法第75条に抵触することとはないと考えられる。
しかしながら、この場合は、上記業務は、商標法でいう役務には該当しない。
カ ワン・パブリッシング社が被請求人の通常使用権者であることについて
請求人は、ワン・パブリッシング社に、本件商標の使用を許諾していた事実を証明する証拠を提出しておらず、本件商標の使用を黙示で許諾し使用を継続させていたものであると主張した。
しかしながら、ワン・パブリッシング社と、被請求人である日本創発グループ社との関係について、客観的証拠は提出されていない。
乙第2号証と乙第3号証には、「株式会社ワン・パブリッシングは、学研プラスと日本創発グループの共同出資によるパブリッシャーです」と記載されているが、乙第2号証及び乙第3号証はあくまで私的な文書であり、公的証明書が示されない限り、上記主張は認められない。
(2)結論
以上のとおり、被請求人が令和4年1月5日に提出した乙第1号証ないし乙第29号証は、「第45類」に含まれる役務についての使用の事実を示すものではない。
すなわち、上記証拠は、本件商標の指定役務中、請求に係る指定役務についての使用の事実を示す証拠とはなり得ない。
第3 被請求人の主張の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、第1答弁書及び令和3年12月2日付け審尋に対する回答書及び弁駁書に対する同4年11月8日付け審判事件答弁書(以下「第2答弁書」という。)において、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第30号証を提出した。
1 第1答弁書における主張
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなり、請求に係る指定役務は第45類「特許権・実用新案権・商標権・意匠権等の工業所有権に関する管理事務,著作権の管理事務」である。
なお、被請求人は、2016年4月18日付で、その「ブランド・コミュニケーション・ガイドライン」を作成している(参考資料1)。
当該ガイドラインでは、ブランドの本質に関し、具体的な成果として具現化されることとして、「保護・活用していくべき知的財産権」が掲げられている。
また、本件商標がシンボルマークとして定められ、その色、使用態様が詳細に記載されている。
このように、被請求人は、2016年4月18日から、本件商標を十分に管理して使用している。
なお、現在でも同一のシンボルマークが継続して使用されている(乙1~乙3)。
(2)本件商標の使用について
本件商標が、商標権者である被請求人又は通常使用権者であるグループ会社により、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務について使用されていた事実を示す資料として、乙第1号ないし乙第3号証を提出する。
ア 乙第1号証について
乙第1号証は、「CORPORATE GUIDE 2019」と記載されているとおり、被請求人である日本創発グループ社の2019年版の会社案内のコピーである。
なお、当該コピーの用紙1枚目を横置きにした状態で、右半分が表紙であり、左半分が裏表紙であり、当該会社案内は、冊子として構成されている。
その表紙には、「CORPORATE GUIDE 2019」の記載とともに、本件商標が付されている。
また、当該会社案内には、グループ会社の事業紹介とともに、被請求人の事業内容として、グループ会社の経営管理とともに、その付帯業務として、「著作権、出版権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権等の財産権取得、譲渡、貸与および管理」が明確に記載されている(会社案内)。当該記載は、被請求人が、第45類の指定役務に関する事業を行う企業であることを明示していると思料する。
このような会社案内は、被請求人及びグループ会社によって、営業ツールとして、すなわち、被請求人が提供するサービスの広告として使用されており、2019年版としては、4,500部が準備され(参考資料2)、被請求人及びグループ会社によって、2019年度の期間にわたって日本国内の顧客等に対して頒布された。
参考資料2には、2017年版ないし2021年版の会社案内の納品日及び印刷部数が示されており、上記会社案内は、2019年9月24日付で被請求人に納品された改訂版である。なお、当該年月日と、上記会社案内の裏表紙に記載された「201909」とは対応している。
また、上記会社案内には、連結従業員数の基準日として、2018年12月31日と記載されている。
当該基準日、裏表紙の「201909」の記載並びに参考資料2の納品日及び印刷部数から、上記会社案内が、2019年度の期間内に日本国内の顧客等に対して頒布されたものであることは明らかであると思料する。
以上から、乙第1号証は、被請求人が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務に関する広告に本件商標を付して頒布した行為を証明するものと思料する。
イ 乙第2号証について
乙第2号証は、被請求人のグループ会社の1つであるワン・パブリッシング社のウェブサイトの「ソリューション」タグにて、2020年8月10日付で表示されていたホームページのコピーである。
なお、ワン・パブリッシング社は、2020年7月1日に設立された、学研プラスと被請求人の共同出資会社である(乙3)。
当該ホームページのコピーは、インターネットユーザーが誰でも参照できるINTERNET ARCHIVEのWay Back Machineというサービスを利用して、上記ウェブサイトのアドレスを入力して取得したものである(参考資料3)。参考資料3は、上記ウェブサイトのアドレスで公開されていた情報が、2020年8月10日及び2021年1月20日の間に3回保存されたことを示している。
当該ホームページの内容は、2020年8月10日付でWay Back Machineによって保存されたものである。
そして、当該ホームページのコピー(ブラウザ上では、ページスクロール後の最下部)に、本件商標が付されている。
これに関し、被請求人は、本件商標に係る商標権について、ワン・パブリッシング社に通常使用権を許諾している。
また、当該ホームページのコピー(「ソリューション」タグの「ライセンス」に関する記載)において、「ONE PUBLISHING の多様な雑誌をIP(知的財産)として捉え、それぞれをライセンシー様に貸与することが可能です。」と記載されている。かかる記載は、被請求人の通常使用権者であるワン・パブリッシング社が、様々な雑誌に係る知的財産権を貸与する業務(著作権の利用に関する契約を媒介する業務等)を行うことを広告しているものと思料する。
以上から、乙第2号証は、被請求人の通常使用権者であるワン・パブリッシング社が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務に関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供していることを証明するものと思料する。
ウ 乙第3号証について
乙第3号証は、ワン・パブリッシング社の会社概要パンフレットのコピーである。当該コピーの右下隅に、本件商標が付され、右上に、「ソリューション事業」のソリューション事例として、「ライセンス」が記載されている。
当該会社概要パンフレットは、ワン・パブリッシング社の設立日後に準備され、2020年12月には日本国内の顧客等に対して、頒布、Eメール送信されたものである。
以上から、乙第3号証は、被請求人の通常使用権者であるワン・パブリッシング社が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務に関する広告に本件商標を付して頒布した行為、及び請求に係る指定役務に関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供した行為を証明するものと思料する。
エ まとめ
以上のとおり、商標権者である被請求人及び通常使用権者であるワン・パブリッシング社は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務について本件商標を使用している。
(3)その他
ワン・パブリッシング社は、様々なコンテンツを制作しており、例えば、乙第2号証のホームページのコピー(「ソリューション」タグで表示されているホームページの「動画制作」)において、「ウェブCMからSNS用動画、コーポレートのブランディングムービーまで、多種多様な動画を制作可能です」と記載されている。
そのため、ワン・パブリッシング社が、動画コンテンツに関する著作権を有していることは明らかであるところ、被請求人は、ワン・パブリッシング社の著作権の管理事務を実際に行っている。例えば、被請求人及びワン・パブリッシング社の所在地は、同一フロア内であるところ(乙1、乙3)、ワン・パブリッシング社が創作した著作物(動画等)に関する問合せには、被請求人が対応している。
また、被請求人は、すべてのグループ会社のホームページを一元管理しており、その他のグループ会社の商標権等も管理している。
例えば、グループ会社の1つである東京リスマチック株式会社(以下「東京リスマチック社」という。)は、12件の商標権を有しているところ(参考資料4)、被請求人は、当該12件の商標権に関する管理事務も実際に行っている。
2 回答書における主張
(1)合議体の暫定的な見解について
合議体の暫定的な見解では、「被請求人が提出した乙各号証(参考資料を含む。)によっては、次の(1)ないし(3)の理由により、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認められません。」と記載されている。
これに対し、被請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証に加えて(乙第1号証及び乙第3号証については原本の差し替えを行った。)、参考資料1ないし参考資料4を乙第4号証ないし乙第7号証として改め、さらに、乙第8号証ないし乙第29号証を提出することによって、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を改めて証明する。
(2)乙第1号証について
合議体の暫定的な見解では、「本件商標権者が傘下グループ会社に対して、いかなる内容の役務を行っているのかが把握することができません。」と記載されている。
これに対し、商標権者である被請求人は、傘下グループ会社の1つである東京リスマチック社が、2015年1月5日付で、被請求人に、知財管理に関する業務等を委託し、被請求人がその委託を引き受けた事実を示す業務委託契約書を提出する(乙8)。業務委託契約書には業務委託料に関する記載もあるところ、東京リスマチック社が、知財管理に関する業務等の委託について、被請求人に支払う金額を示す料金表を併せて提出する(乙9)。
上記業務委託契約書に基づき、被請求人は、東京リスマチック社の知財管理に関する業務を行い、その対価を得ている。すなわち、被請求人は、東京リスマチック社に対して、知財管理に関する役務を提供している。特に、東京リスマチック社は12件の商標権を有しているところ(乙7)、被請求人は、当該12件の商標権に関する管理事務(第45類の指定役務のうちの一部)を提供している。
また、合議体の暫定的な見解では、「当該会社案内が、頒布された事実(頒布先や頒布数量等)を確認することができません。」と記載され、「当該会社案内が、いつ、どこの印刷会社に作成の依頼をし、いつ納品されたのか等が客観的に証明し得る証拠(印刷書、納品書、請求書等)が提出されていないため、当該会社案内が4,500部準備されたことを証明していません。」と記載されている。
これに対し、被請求人は、東京リスマチック社(印刷会社)が2019年3月4日付で被請求人に提出した2019年版の会社案内2,000部の印刷の見積書(乙10)と、被請求人が2019年3月4日付で東京リスマチック社に2019年版の会社案内2,000部を印刷指示した事実を示す印刷発注書(乙11)と、東京リスマチック社が2019年3月20日付で被請求人に2019年版の会社案内2,000部を納品した事実を示す納品書(乙12)と、を提出する。
同様に、2019年5月10日付で被請求人に納品された2019年版の会社案内500部の印刷について乙第13号証ないし乙第15号証を提出し、2019年9月24日付で被請求人に納品された2019年版の会社案内2,000部について乙第16号証ないし乙第18号証を提出する。
これらの見積書、印刷発注書及び納品書から、被請求人である日本創発グループ社の2019年版の会社案内4,500部の印刷発注日、印刷発注先、納品日が、客観的に証明されたものと思料する。
なお、グループ会社内での印刷発注、納品のため、これ以上の証拠がない事情について、考慮いただきたい。
また、このような会社案内は、被請求人の営業担当によって顧客に手渡され、郵送されるものであり、その受領書や送付先の履歴は通常残っていない事情についても、考慮いただきたい。
このため、2019年版の会社案内が4,500部も準備され、それを顧客に頒布しないことは通常は考えられないことから、乙第10号証ないし乙第18号証が、当該会社案内が頒布された事実(頒布先や頒布数量等)を確認する証拠にも相当し得ると思料する。
以上の乙第7号証ないし乙第9号証及び乙第10号証ないし乙第18号証に加え、乙第1号証、乙第4号証及び乙第5号証から、被請求人が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務に関する広告に本件商標を付して頒布した行為(商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為)が証明されたものと思料する。
(3)乙第2号証について
合議体の暫定的な見解では、「本件商標権者とワン・パブリッシング社がいかなる関係にあるのかが明らかではなく、また、本件商標権者がワン・パブリッシング社に、本件商標の使用を許諾していた事実を証明する証拠の提出もありません。」と記載されている。
これについて、被請求人は、ワン・パブリッシング社との間で、本件商標に係る商標権について通常使用権設定契約を締結していることを改めて主張する。通常使用権の許諾は、明文の契約に限らず、口頭による契約や黙示の契約によっても可能であるため、契約書等の提出可能な証拠はないが、このような証拠がなくとも、上記主張及びワン・パブリッシング社のウェブサイトに本件商標が付されている事実(乙2)をもって、被請求人とワン・パブリッシング社とが、商標権者と通常使用権者との関係にあることは明らかであると思料する。
また、合議体の暫定的な見解では、「ワン・パブリッシング社が、実際に、請求に係る指定役務を行っていることを客観的に証明する証拠(役務の対価を表示する料金表、契約書、請求書等)の提出はありません。」と記載されている。
これに関し、ワン・パブリッシング社は、本件審判請求に係る指定役務を広告している段階であるため、料金表、契約書、請求書等の追加の証拠はない。
しかしながら、商標法第2条第3項第8号には、役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為も含まれている。 このため、ワン・パブリッシング社が、そのホームページの「ソリューション」タグの「ライセンス」に関する記載において、「ONE PUBLISHINGの多様な雑誌をIP(知的財産)として捉え、それぞれをライセンシー様に貸与することが可能です。」と記載し(乙2)、様々な雑誌に係る知的財産権を貸与する業務(著作権の利用に関する契約を媒介する業務等)を行うことを広告していることは、商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為であることを主張する。
なお、乙第6号証は、ワン・パブリッシング社のウェブサイトのアドレスで公開されていた情報が、INTERNET ARCHIVEのWay Back Machineというサービスによって自動的に2020年8月10日及び2021年1月20日の間に3回保存されたことを示しており、乙第2号証は、2020年8月10日付でWay Back Machineによって保存された内容であることは、第1答弁書に記載のとおりである。
また、今回提出した乙第2号証は、INTERNET ARCHIVEのWay Back MachineのURLを入力することによって取得、出力したものである。
したがって、乙第2号証及び乙第6号証は、被請求人の通常使用権者であるワン・パブリッシング社が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務に関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供していること(商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為)を証明するものと思料する。
(4)乙第3号証について
合議体の暫定的な見解では、「当該パンフレットは、いつ、どこの印刷会社に作成の依頼をし、いつ納品されたのか等が客観的に証明し得る証拠(印刷発注書、納品書、請求書等)が提出されておらず、また、頒布先やEメールの送信先等も明らかではない。」と記載されている。
これに対し、被請求人は、東京リスマチック社(印刷会社)が、2020年7月6日付でワン・パブリッシング社に提出したその会社案内(会社概要パンフレット)900部の印刷の見積書(乙19)と、被請求人が、ワン・パブリッシング社に納品するために、2020年7月8日付でその会社案内900部を東京リスマチック社に印刷指示した事実を示す印刷発注書(乙20)と、東京リスマチック社が2020年7月15日付でワン・パブリッシング社にその会社案内900部を納品した事実を示す納品書(乙21)を提出する。
同様に、2020年9月30日付でワン・パブリッシング社に納品されたその会社案内600部の印刷について乙第22号証ないし乙第24号証を提出し、2020年12月14日付でワン・パブリッシング社に納品されたその会社案内600部について乙第25号証ないし乙第27号証を提出する。
なお、乙第24号証及び乙第27号証では、納品先名が上野本社と記載されているのは、ワン・パブリッシング社の所在地が、品川から、被請求人と同一の所在地(上野)に移転したことによるものである。
これらの見積書、印刷発注書及び納品書から、ワン・パブリッシング社の会社概要パンフレット2,100部の印刷発注日、印刷発注先、納品日が、客観的に証明されたものと思料する。
なお、グループ会社内での印刷発注、納品のため、これ以上の証拠がない事情について、考慮いただきたい。
加えて、このような会社概要パンフレットは、ワン・パブリッシング社の営業担当によって顧客に手渡され、郵送されるものであり、その受領書や送付先の履歴は通常残っていない事情についても、考慮いただきたい。このため、会社概要パンフレットが2,100部も準備され、それを顧客に頒布しないことは通常は考えられないことから、乙第19号証ないし乙第27号証が、当該会社案内が頒布された事実(頒布先や頒布数量等)を確認する証拠にも相当し得ると思料する。
なお、当該会社概要パンフレットは、ワン・パブリッシング社の設立日後に準備され、2020年12月には日本国内の顧客等に対して、頒布されたものであるが、Eメール送信はされていなかった点を訂正させていただきたい。
以上の乙第19号証ないし乙第27号証に加え、乙第3号証から、被請求人の通常使用権者であるワン・パブリッシング社が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務に関する広告に本件商標を付して頒布した行為(商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為)が証明されたものと思料する。
なお、合議体の暫定的な見解では、「乙第3号証においては、本件商標が表示されてない。」と記載されていたので、乙第3号証の原本を差し替え(会社概要パンフレットのコピーではなく、パンフレット自体を提出し)、出所表示機能を有する程度に、本件商標が付されていることを改めて主張する。
(5)請求人の意見書の主張について
請求人の意見書の主張はすべて失当であると思料する。
特に、請求人の意見書には、「仮に上記乙第1号証ないし乙第3号証及び被請求人が提出したその他の証拠が、本件商標の商標権の指定役務中、第45類「全指定役務」(請求に係る指定役務)に該当する場合、弁理士等でない者がこのような業務を行うことは、弁理士法第75条に違反するおそれがある。」と記載されている。
しかしながら、弁理士法には、「管理事務」という用語は記載されていないこと、また、他の登録例(例えば、登録第5496422号)をみても、弁理士等でない者が、第45類の役務を指定して登録維持されていることから、請求人の意見書の記載は失当であると思料する。
3 第2答弁書における主張
(1)上記第2の3(1)アの意見に対して
請求人は、弁駁書において、「乙第1号証に記載された「傘下グループ会社の経営管理およびそれに付帯する業務」は、他人のために行う労務又は便益には該当しない」と主張した。
加えて、請求人は、弁駁書において、「連結対象子会社である東京リスマチック社の有する12件の商標権に関する管理事務が、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」に該当するとは認められない。」と主張した。
これらの主張は、傘下グループ会社及び連結対象子会社は、「他人」ではないという前提のものと思われる。
しかしながら、傘下グループ会社及び連結対象子会社であっても、法人格を有し、権利帰属主体となる法人である。そのため、傘下グループ会社及び連結対象子会社も他人に該当し、傘下グループ会社及び連結対象子会社に対するサービス提供は、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」に該当するものと思料する。
ちなみに、商標法第4条第1項第8号の審査基準には、「「他人」とは、自己以外の現存する者をいい、自然人(外国人を含む。)、法人のみならず、権利能力なき社団を含む。」と記載されている。
また、請求人は、乙第10号証ないし乙第18号証に記載の「社用 2019コーポレートガイド」の「社用」という文字から、乙第1号証の会社案内は、社内向けに配布されたものと推測されると主張する。
しかしながら、当該「社用」という文字は、グループ会社からの発注に対して特別料金で対応することを示すものとして使用されているものである。 そのため、請求人の推測に基づく主張は失当である。
なお、乙第1号証は、既に傘下グループ会社となっている会社以外の会社に対して、傘下グループ会社となれば、商標権、著作権等の管理サービス(例えば、第45類の「著作権の利用に関する契約を媒介」(類似群コード42R02))を提供可能であるという広告として機能し得るものであることを付言する。
このため、乙第1号証は、被請求人が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務に関する広告に本件商標を付して頒布した行為(商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為であり、商標法第50条第2項に規定される登録商標の使用)を証明する証拠であると思料する。
(2)上記第2の3(1)イの意見に対して
請求人は、弁駁書において、「乙第8号証に記載されている日付2015年1月5日は、要証期間(2018年1月7日~2021年1月6日)内のものではなく、乙第8号証及び乙第9号証に、本件商標は記載されていない。」と主張した。
これに対し、乙第8号証には、契約期間・更新に関し、「甲乙ともに異議がないときは、(本契約はさらに自動的に1年間更新されたものとし、その後も同様とする。」と記載されている。本契約は、現在においても継続されていることを付言する。
また、請求人は、弁駁書において、「料金表(乙9)には、「労務管理手数料、経理事務手数料、請求事務手数料」、及び「経営指導料(売上対応、純資産対応、総資産及び負債対応)」などの請求名目が記載されているが、「知財管理に関する業務」は、上記いずれの請求名目にも属しない。」と主張した。
これに関し、知的財産権は資産に含まれるため、純資産対応、並びに総資産及び負債対応としての「経営指導料」に、知財管理業務に関する手数料が含まれていることを付言する。
さらに、乙第7号証ないし乙第9号証は、乙第1号証との関係で、補助的に提出されたものである。
すなわち、乙第1号証に関し、「本件商標権者が傘下グループ会社に対して、いかなる内容の役務を行っているのかが把握することができない。」という合議体の暫定的な見解に対して、その役務の内容を示すものとして乙第7号証ないし乙第9号証は提出されており、乙第7号証ないし乙第9号証は、乙第1号証との関係で、間接証拠(間接事実または補助事実を証明するための証拠)として提出されたものである。
このように、乙第7号証ないし乙第9号証は、乙第1号証との関係での間接証拠であり、乙第1号証が、商標法第2条第3項に規定される使用(商標法第50条第2項に規定される登録商標の使用)を証明するための直接証拠である。
以上から、請求人の弁駁書に記載の主張、すなわち「乙第7号証ないし乙第9号証は、要証期間外の証拠であり、本件商標が記載されていないため、商標法第2条第3項に規定される使用を証明する証拠とは認められない。」という主張は、乙第7号証ないし乙第9号証が間接証拠であることを考慮しておらず、失当であると思料する。
(3)上記第2の3(1)ウの意見に対して
請求人は、弁駁書おいて、「上記ウェブサイトに記載の「ONE PUBLISHINGの多様な雑誌をIP(知的財産)として捉え、それぞれをライセンシー様に貸与することが可能です」の文言からは、需要者に対して、どのようなサービスを提供するものか、全く理解できない。」と主張した。
また、請求人は、「ライセンス」という用語のみに着目し、乙第2号証で広告されている役務が、第35類に属する役務であると主張した。
これに関し、「ONE PUBLISHINGの多様な雑誌をIP(知的財産)として捉え、それぞれをライセンシー様に貸与することが可能です」との記載には、「IP(知的財産)」及び「貸与」という用語が含まれているため、乙第2号証は、知的財産権を貸与する業務(例えば、第45類の「著作権の利用に関する契約を媒介」(類似群コード42R02))の役務を提供可能であることを広告しているものであると思料する。
なお、請求人は、弁駁書において、「上記ウェブサイトに記載の内容は、あくまでも営業案内としての記載であって、」と主張したが、乙第2号証の「ONE PUBLISHINGの多様な雑誌をIP(知的財産)として捉え、それぞれをライセンシー様に貸与することが可能である」との記載は、営業案内すなわち広告として機能しているものと思料する。
さらに、請求人は、弁駁書において、「ワン・パブリッシング商標が主要な位置に大きく表示されている乙第2号証に接した、需要者は、当然、ワン・パブリッシング商標を当該ホームページに記載の事業内容についての出所識別標識として認識するものと考えられる。一方、本件商標は、小さく表示され、需要者にとっては、当該ホームページに記載の事業内容についての出所識別標識として認識されない。」と主張した。
しかしながら、ウェブサイトにおいて、ページの最下部(いわゆる「フッター」)は、企業情報・連絡先の紹介、著作権情報の表示といった機能を発揮するものである(乙30)。乙第30号証には、フッターに記載の企業情報に関して、「ページの情報を最後まで閲覧し、興味を持ったユーザーがサービスの利用や商品の購入などの、次のアクションを起こすために必要な情報となります。」と記載されている。
さらに、乙第30号証には、WEBメディアのフッターに記載する必要のある情報として、「会社のロゴマーク」が挙げられている。
以上より、ウェブサイトにおいて、ページ最下部に表示される商標は、出所表示機能を果たすものであると思料する。
(4)上記第2の3(1)エの意見に対して
請求人は、弁駁書において、「被請求人は、乙第3号証として、ワン・パブリッシング社の会社概要パンフレットのコピーを提出した。」と主張した。
しかしながら、令和4年1月5日付の証拠説明書に記載のとおり、乙第3号証として、ワン・パブリッシング社の会社概要パンフレットの原本を提出している。
なお、回答書においても、「合議体の暫定的な見解では、「乙第3号証においては、本件商標が表示されておりません。」と記載されていたので、乙第3号証の原本を差し替え(会社概要パンフレットのコピーではなく、パンフレット自体を提出し)、出所表示機能を有する程度に、本件商標が付されていることを改めて主張する」と記載されている。
また、請求人は、会社概要パンフレットに大きく表示されているワン・パブリッシング商標のみが、出所識別標識として需要者に認識される旨を主張した。
しかしながら、目立たない位置に小さく表示される商標であっても出所表示機能を果たすものであると思料する。
また、請求人は、弁駁書において、「当該パンフレットには、本件商標以外に、複数の登録商標が記載されており、どの商標が、どの事業内容についての出所識別標識として認識されるか、すなわち、どの商標とどの事業が対応している全く不明である。」と主張した。
複数の登録商標とは、本件商標、ワン・パブリッシング商標及び登録商標Gakkenを指しているものと思われる。
しかしながら、複数の登録商標がまとめて記載されている場合、登録商標ごとに事業内容を対応させるのではなく、複数の登録商標のすべてが、すべての事業に対して出所表示機能を果たしていると認識され得ると思料する。
また、請求人は、弁駁書において、「乙3号証に記載された事業内容は、本件商標の指定役務中、請求に係る指定役務に該当しない。」と主張した。
しかしながら、なぜそのように断定できるのか不明である。
乙第3号証に記載された事業内容は、乙第2号証と同様に、様々な雑誌に係る知的財産権を貸与する業務(特に、第45類の「著作権の利用に関する契約を媒介」(類似群コード42R02))を含むものと認識され得ると思料する。
また、請求人は、弁駁書において、「当該パンフレットでは、本件商標の色彩が正しく印刷されておらず、裏面の文字も小さくて読み難い点を勘案すると、需要者に頒布されたと推定することもできない。」と主張した。
これに対しては、前述のとおり、乙第3号証として、ワン・パブリッシング社の会社概要パンフレットの原本が提出されており、原本には、本件商標の色彩が正しく印刷されており、裏面の文字も読み易いと思われるので、請求人の主張は失当であると思料する。
(5)上記第2の3(1)オの意見に対して
請求人は、弁駁書において、「乙第1号証に記載の事業内容は、弁理士法第75条に抵触するおそれがある。」と主張した。
しかしながら、弁理士法第75条には、「特許料の納付手続についての代理、特許原簿ヘの登録の申請手続についての代理その他の政令で定めるものを除く。」と記載されている。
このように弁理士法第75条から除かれている特許料の納付手続についての代理業務は、特許権に関する管理事務に該当する業務であるため、弁理士等でない者が、本件商標の指定役務中、第45類「特許権・実用新案権・商標権・意匠権等の工業所有権に関する管理事務,著作権の管理事務」(請求に係る指定役務)を行ったとしても、弁理士法第75条に違反するものではないと思料する。
(6)上記第2の3(1)カの意見に対して
請求人は、弁駁書において、「乙第2号証と乙第3号証には、「株式会社ワン・パブリッシングは、学研プラスと日本創発グループの共同出資によるパブリッシャーです」と記載しているが、乙第2号証及び乙第3号証はあくまで私的な文書であり、公的証明書が示されない限り、上記主張は認められない。」と主張した。
これに関し、公的証明書が必須であることを当方では存じ上げない。
乙第2号証及び乙第3号証において本件商標が使用されている事実から、被請求人が、本件商標に係る商標権について、ワン・パブリッシング社に通常使用権を許諾していることを推認することができると思料する。
第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人の主張及び同人が提出した乙各号証によれば、以下のことが認められる。
(1)商標権者
本件商標の商標登録原簿に記載の商標権者は、「株式会社日本創発グループ」であり、現在の住所は「東京都台東区上野3-24-6」である(職権調査)。
(2)日本創発グループ社の2019年の会社案内(乙1)
乙第1号証は、日本創発グループ社が東京リスマチック社に依頼し作成した2019年の会社案内の写し(以下、「会社案内」又は「日本創発グループ社の会社案内」という場合がある。)とされる書証である。
ア 表紙
会社案内の表紙において、中央のやや右に「JAPAN CREATIVE PLATFORM GROUP/CORPORATE/GUIDE 2019」(「/」は段書きであることを表す。)の記載、その下部に、別掲2のとおり、赤色の八角形で中央部分が白抜きの四角形様の図形、その右に「日本創発グループ/JAPAN CREATIVE PLATFORM GROUP」(「/」は段書きであることを表す。)(以下「使用商標」という。)の記載、さらに、中央下部に「201909」の記載がある。
イ 30ページ
会社案内の30ページにおいて、「会社概要」の見出しのもと、商号として「株式会社日本創発グループ」、本社所在地として「東京都台東区上野3-24-6 上野フロンティアタワー14階」の記載がある。
また、事業内容として、「傘下グループ会社の経営管理およびそれに付帯する業務」の記載があり、その事業内容の一つに「著作権、出版権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権等の財産権取得、譲渡、貸与および管理」の記載がある。
(3)日本創発グループ社の会社案内の納品日と印刷部数
乙第5号証は、日本創発グループ社が作成したとされる同社の会社案内(乙1)の納品日と印刷部数表の書証である。
ア 「受注No(年月)1903」について、「受注No(連番)」の欄に「1159」、「受注日」の欄に「2019年3月4日」、「品名」の欄に「日本創発G本社(人事課)社用 2019コーポレートガイド」、「納品日」の欄に「2019年3月20日」及び「印刷部数」の欄に「2,000」の記載がある。
イ 「受注No(年月)1904」について、「受注No(連番)」の欄に「16680」、「受注日」の欄に「2019年4月25日」、「品名」の欄に「日本創発G本社(人事課)社用 2019コーポレートガイド増刷」、「納品日」の欄に「2019年5月10日」及び「印刷部数」の欄に「500」の記載がある。
ウ 「受注No(年月)1909」について、「受注No(連番)」の欄に「8787」、「受注日」の欄に「2019年9月17日」、「品名」の欄に「日本創発G本社(人事課)社用 2019コーポレートガイド(改訂版)」、「納品日」の欄に「2019年9月24日」及び「印刷部数」の欄に「2,000」の記載がある。
(4)日本創発グループ社の会社案内の作成に関する見積書、発注書及び納品書(乙10~乙18)
日本創発グループ社が、同社の会社案内を2019年に作成したと主張する見積書、発注書及び納品書の書証は、以下アないしウのとおりである。
ア(ア)東京リスマチック社が作成した「2019年3月4日付け見積書」とされる書証において、宛先欄に「株式会社日本創発グループ」、内容欄に「2019コーポレートガイド 2,000部」、下部の備考欄に「1903-001159」の記載がある(乙10)。
(イ)日本創発グループ社が作成した発注書とされる書証において、書証のタイトルとして「作業指示書 オフセット」、「登録日時」の欄に「03/04(月)15:10」、基本情報の項目の「作業指示NO」の欄に「1903-001159-01」、「品名」の欄に「日本創発G本社(人事課)社用 2019コーポレートガイド」、加工情報の項目の「数量」の欄に「2,000.00」、配送情報の項目の「数量」の欄に「2,000」の記載がある(乙11)。
(ウ)東京リスマチック社が作成した納品書とされる書証において、「品名」として「上野本社(人事課)社用 2019コーポレートガイド」、「総部数」として「2000部」、「作業指示NO」として「1903-001159-01」、「納品日時」として、「03/20(水)12:15」の記載がある(乙12)。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)のとおり、見積書、発注書及び納品書の各書証の日付及び見積書の備考欄、発注書及び納品書の作業指示NOの番号からすれば、これらの証書は、日本創発グループ社の会社案内を作成するための見積書、発注書及び納品書といえるものである。
そうすると、日本創発グループ社は、会社案内を作成するために、東京リスマチック社から2019年3月4日に見積りをとり、同日に発注し、同月20日に該会社案内を2,000部受領したと認められる。
イ(ア)東京リスマチック社が作成した「2019年4月25日付け見積書」とされる書証において、宛先欄に「株式会社日本創発グループ」、内容欄に「2019コーポレートガイド 500部」、下部の備考欄に「1904-016680」の記載がある(乙13)。
(イ)日本創発グループ社が作成した発注書とされる書証において、書証のタイトルとして「作業指示書 オフセット」、「登録日時」の欄に「04/25(木)15:06」、基本情報の項目の「作業指示NO」の欄に「1904-016680-01」、「品名」の欄に「日本創発G本社(人事課)社用 2019コーポレートガイド増刷」、加工情報の項目の「数量」の欄に「500.00」、配送情報の項目の「数量」の欄に「500」の記載がある(乙14)。
(ウ)東京リスマチック社が作成した納品書とされる書証において、「品名」として「日本創発G本社(人事課)社用 2019コーポレートガイド増刷」、「総部数」として「500部」、「作業指示NO」として「1904-016680-01」、「納品日時」として、「05/10(水)19:00」の記載がある(乙15)。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)のとおり、見積書、発注書及び納品書の各書証の日付及び見積書の備考欄、発注書及び納品書の作業指示NOの番号からすれば、これらの証書は、日本創発グループ社の会社案内(増刷)を作成するための見積書、発注書及び納品書といえるものである。
そうすると、日本創発グループ社は、会社案内(増刷)を作成するために、東京リスマチック社から2019年4月25日に見積りをとり、同日に発注し、5月10日に該会社案内(増刷)を500部受領したと認められる。
ウ(ア)東京リスマチック社が作成した「2019年9月17日付け見積書」とされる書証において、宛先欄に「株式会社日本創発グループ」、内容欄に「2019コーポレートガイド 2,000部」、下部の備考欄に「1909-008787」の記載がある(乙16)。
(イ)日本創発グループ社が作成した発注書とされる書証において、書証のタイトルとして「作業指示書 オフセット」、「登録日時」の欄に「09/17(火)16:52」、基本情報の項目の「作業指示NO」の欄に「1909-008787-01」、「品名」の欄に「日本創発G本社(人事課)社用 2019コーポレートガイド(改訂版)」、加工情報の項目の「数量」の欄に「2,000.00」、配送情報の項目の「数量」の欄に「2,000」の記載がある(乙17)。
(ウ)東京リスマチック社が作成した納品書とされる書証において、「品名」として「日本創発G本社(人事課)社用 2019コーポレートガイド(改訂版)」、「総部数」として「2000部」、「作業指示NO」として「1909-008787-01」、「納品日時」として、「09/24(火)19:00」の記載がある(乙18)。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)のとおり、見積書、発注書及び納品書の各書証の日付及び見積書の備考欄、発注書及び納品書の作業指示NOの番号からすれば、これらの証書は、日本創発グループ社の会社案内(改訂版)を作成するための見積書、発注書及び納品書といえるものである。
そうすると、日本創発グループ社は、会社案内(改訂版)を作成するために、東京リスマチック社から2019年9月17日に見積りをとり、同日に発注し、同月24日に該会社案内(改訂版)を2,000部受領したと認められる。
(5)上記(1)ないし(4)によれば、以下のことが認められる。
ア 「JAPAN CREATIVE PLATFORM GROUP/CORPORATE/GUIDE 2019」(「/」は段書きであることを表す。)と称する日本創発グループ社の会社案内の表紙に使用商標を付している。
イ 日本創発グループ社の会社案内に記載の事業内容からすれば、同社は「傘下グループ会社の経営管理およびそれに付帯する業務」として、「著作権、出版権、実用新案権、商標権、意匠権等の財産権取得、譲渡、貸与および管理」を行っている。
ウ 日本創発グループ社は、顧客などに配布するために上記アのとおり表紙に使用商標を付し、上記イのとおり会社概要に事業内容を記載した同社の2019年版の会社案内の作成を東京リスマチック社に依頼し、上記(4)ア(エ)のとおり2019年3月20日に2,000部、上記(4)イ(エ)のとおり同年5月10日に増刷として500部及び上記(4)ウ(エ)のとおり同年9月24日に改訂版として2,000部の合計4,500部を受領した。
2 判断
(1)使用者
本件商標の商標登録原簿に記載の権利者及び住所と、日本創発グループ社の会社案内の会社概要に記載の商号と本社所在地の住所が一致していることからすれば、本件商標の使用者である日本創発グループ社は商標権者である。
(2)使用役務
商標権者である日本創発グループ社は、傘下グループ会社の経営管理およびそれに付帯する業務」として、「著作権、出版権、実用新案権、商標権、意匠権等の財産権取得、譲渡、貸与および管理」を行っており、当該役務は、請求に係る指定役務である「特許権・実用新案権・商標権・意匠権等の工業所有権に関する管理事務,著作権の管理事務」に含まれるとするのが相当である。
(3)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性
本件商標は、別掲1のとおり、赤色の八角形で中央部分が白抜きの四角形様の図形からなる商標である。
他方、使用商標は、別掲2のとおり、赤色の八角形で中央部分が白抜きの四角形様の図形(以下「図形部分」という。)、該図形部分の右に、「日本創発グループ」及び「JAPAN CREATIVE PLATFORM GROUP」の文字を二段書き(以下「文字部分」という。)してなるところ、図形部分と文字部分は、常にこれらを一体のものとして捉えなければならない特段の事情を見いだすことはできず、図形部分のみが独立して自他役務の識別標識の機能を果たすものとするのが相当であることからすれば、図形部分のみを使用商標とみて差し支えないといえる。
そして、本件商標と独立して自他役務の識別標識の機能を果たす使用商標の図形部分を比較すると、外観において同視される図形からなる商標といえる。
してみると、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標と認められる。
(4)使用行為、使用時期
商標権者である日本創発グループ社は、表紙に使用商標を付し、会社概要に事業内容等を掲載した同社の会社案内について、東京リスマチック社に作成を依頼し、要証期間内である2019年(平成31年)3月20日に2,000部、同年(令和元年)5月10日に増刷分として500部及び同年9月24日改訂版として2,000部の合計4,500部を受領した。
その後、会社案内は、頒布先は不明だとしても、要証期間内に作成されたこと及びその作成部数が合計4,500部であって多数といえることからすれば、要証期間内に広告として顧客に配布(頒布)されたものと推認できる。
そうすると、商標権者である日本創発グループ社は、表紙に使用商標を付し、会社概要に事業内容等を掲載した会社案内を要証期間内に広告のために顧客に配布(頒布)した(商標法第2条第3項第8号)と認められる。
(5)請求人の主張
ア 請求人は、仮に乙第1号証ないし乙第3号証及び被請求人が提出したその他の証拠が、本件商標の指定役務中、請求に係る指定役務(第45類「全指定役務」)に該当する場合、弁理士等でない者がこのような業務を行うことは、弁理士法第75条に違反するおそれがあると主張する。
確かに、請求人の主張するとおり、第45類の役務には、例えば、他人の求めに応じ報酬を得て業として行う、特許、実用新案、意匠若しくは商標若しくは国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願に関する特許庁における手続についての代理のように、弁理士等のみが行うことができる役務が含まれるとしても、請求に係る指定役務(第45類「全指定役務」)は、「特許権・実用新案権・商標権・意匠権等の工業所有権に関する管理事務,著作権の管理事務」であることからすれば、弁理士法第75条に規定している弁理士等のみが行うことができる役務とはいえない。
イ 請求人は、商標法で、「役務」とは、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものをいう」と解釈される(「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説[第20版]」)。ここで、被請求人の提示した乙第1号証に記載された「傘下グループ会社の経営管理およびそれに付随する業務」は、他人のために行う労務又は便益には該当しないものと考えられ、特に、被請求人が役務の内容として提示した、連結対象子会社である東京リスマチック社の有する12件の商標権に関する管理事務が、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものに該当するとはいえない」旨主張している。
しかしながら、たとえ、グループ会社同士ないし親子会社間の取引であるとしても、互いに独立して法人格を有していること、かつ、現実に独立して商取引がなされていることからすれば、他人のために行う労務又は便益であるといえるものである。
ウ 請求人は、東京リスマチック社が日本創発グループ社に知財管理に関する業務を委託した事実を示す証拠として業務委託契約書(乙8:以下「契約書」という。)及び料金表(乙9)を提出していることについて、契約書に記載されている日付は、要証期間内のものではなく、契約書及び料金表に、本件商標は記載されておらず、さらに、料金表に記載の名目には「知財管理に関する業務」がいずれの請求名目にも属しない旨主張する。
しかしながら、被請求人が提出した契約書に記載されている日付は要証期間外のものであるとしても、「(契約期間・更新)」の項目に、「甲乙ともに異議がないときは、本契約はさらに自動的に1年間更新されたものとし、その後も同様とする。」との記載があることからすれば、契約が継続しているとみるのが自然であるところ、要証期間内において、甲(東京リスマチック社)と乙(日本創発グループ社)が業務委託の契約を解除しなければならない特段の事情は、請求人及び被請求人の両者が提出した証拠及び両者の主張から見いだすことはできない。
また、契約書に本件商標の記載がないこと及び料金表に知財管理に関する業務の名目がないとしても、契約書に知財管理に関する業務の記載があること、その他の被請求人の提出した証拠及び同人の主張を総合勘案すれば、日本創発グループ社が東京リスマチック社の知財に関する業務を行っているとみるのが自然であるから、契約書に本件商標の記載がないこと、及び料金表の名目に知財管理に関する業務の記載がないことのみをもって、要証期間内に日本創発グループ社が当該業務を行っていなかったとはいえない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は採用することはできない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-300911