商標拒絶査定不服審判
2021-016290
ハートノート、ハート、ノート
- 審判番号
- 2021-016290
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-012205
- 請求日
- 2021年11月29日
- 審決日
- 2022年09月01日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】一般社団法人健康医療クロスイノベーションラボ
- 【請求人代理人】特許業務法人秀和特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T18 .261-Z (W41) / T18 .262-Z (W41) / T18 .263-Z (W41) / T18 .264-Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-12205拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年2月4日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年7月28日受付:手続補正書
令和3年2月10日付け:拒絶理由通知書
令和3年6月23日受付:意見書、手続補正書
令和3年8月31日付け:拒絶査定
令和3年11月29日付け:審判請求書、手続補正書
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第9類、第16類、第35類、第41類、第42類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記第1の手続補正により、最終的に、第41類「心不全を含む循環器疾患及びその治療に関する知識の教授,心不全を含む循環器疾患及びその治療に関するセミナーの企画・運営又は開催,心不全を含む循環器疾患及びその治療に関するシンポジウムの企画・運営又は開催,心不全を含む循環器疾患及びその治療に関する討論会の企画・運営又は開催,心不全を含む循環器疾患及びその治療に関するイベントの企画・運営又は開催(商品の販売促進又は役務の提供促進に関するものを除く。)」に補正されたものである。
第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下に挙げるとおりであり、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5265811号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおりの構成よりなる商標
登録出願日:平成21年2月27日
設定登録日:平成21年9月18日
指定商品 :第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)登録第6098042号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「ハートノート」の文字を標準文字で表してなる商標
登録出願日:平成30年2月9日
設定登録日:平成30年11月16日
指定役務 :第41類「乳児の成長発達に関する知識の教授,乳児の心身のケアに関する知識の教授,乳児の成長発達に関するセミナーの企画・運営又は開催,乳児の心身のケアに関するセミナーの企画・運営又は開催,乳児の心身のケアに関する資格の付与のための資格試験の実施及び資格の認定・資格の検定・資格の付与,乳児の心身のケアの技能に関する指導者・審査員の育成・認定・検定,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),写真の撮影」
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。
第4 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、以下のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
1 商標法第3条第1項柱書について
本願は、その指定役務中に、医師又は医療法人でない者が業として行うことが禁止されている「医業」及び薬剤師、医師、歯科医師又は薬局の開設の許可を受けた法人でない者が業として行うことが禁止されている「調剤」を含むものである。
したがって、本願は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。
2 商標法第4条第1項第11号について
本願商標は、引用商標と類似の商標であって、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品及び役務について使用するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項柱書について
本願は、その指定商品及び指定役務について、上記第2のとおりに補正された結果、「医業,調剤」が削除された。
したがって、本願が商標法第3条第1項柱書の要件を具備していないとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、解消した。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本願商標と引用商標1について
本願商標の指定商品及び指定役務は、上記第2のとおり補正された結果、引用商標1の指定商品と類似の商品は全て削除されたと認められる。
その結果、本願商標の指定役務は、引用商標1の指定商品と類似しない役務になったと認められる。
したがって、本願商標が引用商標1との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するとした拒絶の理由は、解消した。
(2)本願商標について
ア 本願商標は、別掲1のとおり、内側に「Heart」及び「Note」の欧文字(以下「本願文字部分」という場合がある。)を白抜きで二段に書した桃色のハート型図形(以下「本願ハート型図形」という。)を中央に配し、その外側に、両手両足を広げたような12のカラフルな人型の小さい図形(以下「本願人型図形」という。)を、本願ハート型図形を囲むように円状に配した結合商標と解される。
イ 本願商標の構成中、本願文字部分は、本願ハート型図形の内部に記載されているものの、本願商標全体の中央に位置し、本願ハート型図形中のひときわ目立つ場所に、その縦横幅の全体を使うほどの大きさで、読み取りやすい書体で白抜きに明瞭に記載されているから、外観上、本願ハート型図形と一見して明確に区別して認識できる。
そして、本願文字部分を構成する「Heart」及び「Note」の文字は、いずれも我が国で広く親しまれ、馴染みのある「ハート」及び「ノート」の各語を合わせ、欧文字で表したものと直ちに理解させるものであり、全体として「ハートノート」と称呼しやすい語であることを考え合わせると、本願文字部分は、本願商標を見る者に強い印象を与えるとともに、その注意を強く引くものであると認めるのが相当である。
ウ 本願ハート型図形は、輪郭として一般に用いられるハート型の図形の内部を桃色で着色したものであって、ありふれた図形であり、自他役務の識別標識としての機能が高いとはいえない。
エ 本願人型図形と、「Heart」及び「Note」の文字(本願文字部分)とは、観念的に密接な関連性を有しているとは考え難く、また、本願人型図形及び本願文字部分は、指定役務との関係で、当該役務の質等を表すものともいえない上、このほかにこれらの部分が単独では出所識別機能を有しないと認めるに足りる的確な証拠も見当たらない。
そして、本願人型図形及び本願文字部分が一体となって何かしらの称呼が生じるともいえない。
オ これらの事情を総合すると、本願ハート型図形は、自他役務の識別標識としての機能が高いとはいえず、本願人型図形及び本願文字部分は、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできないから、本願商標はその構成中、本願文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
カ そして、本願文字部分を構成する、「Heart」及び「Note」の文字が、我が国において広く親しまれている「ハート」及び「ノート」の文字を欧文字で表したものと理解させるとしても、これらを一連に表した「Heart Note」の文字は、一般的に使用されている辞書等に載録されている語ではなく、また、特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせないことから、一種の造語と理解されるものである。
そうすると、本願商標においては、要部である本願文字部分から、構成文字に相応して「ハートノート」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
(3)引用商標2について
引用商標2は、「ハートノート」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ハートノート」の称呼を生じ、当該文字は、我が国において一般的に使用されている辞書等に載録されている語ではなく、また、特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせないものである。
そうすると、引用商標2は、その構成文字に相応して「ハートノート」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
(4)本願商標と引用商標2との類否について
本願商標と引用商標2とは、外観において、全体としては相違し、本願商標の要部である「Heart」及び「Note」の文字部分と引用商標2とは、文字の種類が欧文字と片仮名とで相違するとしても、両者は、いずれも平易な書体からなるものである。加えて、両者は共に、「ハートノート」の称呼を生じるところ、欧文字商標をその読みに対応した片仮名で代替的に表記することは、取引上一般に行われていることであるから、取引者、需要者において、外観における両者の相違は特段印象付けられるものではない。
次に、称呼においては、両者は、「ハートノート」の称呼を共通にするものである。
さらに、観念においては、両者は、いずれも特定の観念を生じないから、比較することができないものである。
以上によれば、本願商標と引用商標2は、観念において比較できないとしても、外観における相違が両商標の差異を特段印象付けるものではなく、称呼を共通にするものであるから、互いに類似する商標というべきである。
(5)本願商標の指定役務と引用商標2の指定役務の類否について
原査定は、本願商標の指定役務中、第41類「心不全を含む循環器疾患及びその治療に関する知識の教授,心不全を含む循環器疾患及びその治療に関するセミナーの企画・運営又は開催,心不全を含む循環器疾患及びその治療に関するシンポジウムの企画・運営又は開催,心不全を含む循環器疾患及びその治療に関する討論会の企画・運営又は開催」(以下「本願役務」という。)と、引用商標2の指定役務中、第41類「乳児の成長発達に関する知識の教授,乳児の心身のケアに関する知識の教授,乳児の成長発達に関するセミナーの企画・運営又は開催,乳児の心身のケアに関するセミナーの企画・運営又は開催,乳児の心身のケアに関する資格の付与のための資格試験の実施及び資格の認定・資格の検定・資格の付与,乳児の心身のケアの技能に関する指導者・審査員の育成・認定・検定」(以下「引用役務」という。)が類似する役務である旨認定、判断して本願を拒絶したものであるから、両役務の類否について、以下検討する。
ア 本願役務について
本願役務中、「心不全を含む循環器疾患及びその治療に関する知識の教授」(以下「本願役務1」という。)は、教養、学習等の指導を行う教授所、大学等、学校教育法で定める学校等が、循環器疾患及びその治療に関する内容を教授し又は教育する役務であって、その需要者は当該内容に関心を持つ一般受講者や大学の学生等である。
また、本願役務中、「心不全を含む循環器疾患及びその治療に関するセミナーの企画・運営又は開催,同シンポジウムの企画・運営又は開催,同討論会の企画・運営又は開催」(以下「本願役務2」という。)は、イベントの企画、運営会社や、学会等、セミナー又はシンポジウムを企画・運営する者が、循環器疾患及びその治療に関する内容についてのセミナー又はシンポジウムを企画・運営する役務であって、その需要者は当該内容に関する知識を有する医師や学生等の者及び当該内容に関心を持つ一般の需要者といえる。
イ 引用役務について
引用役務中、「乳児の成長発達に関する知識の教授,乳児の心身のケアに関する知識の教授,乳児の心身のケアに関する資格の付与のための資格試験の実施及び資格の認定・資格の検定・資格の付与,乳児の心身のケアの技能に関する指導者・審査員の育成・認定・検定」(以下「引用役務1」という。)は、教養、学習等の指導を行う教授所、大学等、学校教育法で定める学校等が、乳児の成長発達や心身のケアに関する内容を教授し又は教育する役務並びに当該内容に関する資格の付与及びそのための試験を実施する役務であって、その需要者は、需要者は当該内容に関心を持つ一般受講者や大学の学生等、及び当該内容に係る資格を得ることを希望する者等である(以下、これらの者をまとめて「受講者等」という場合がある。)。
また、引用役務中、「乳児の成長発達に関するセミナーの企画・運営又は開催,乳児の心身のケアに関するセミナーの企画・運営又は開催」以下「引用役務2」という。)は、イベントの企画、運営会社や、学会等、セミナー又はシンポジウムを企画・運営する者が、乳児の成長発達や心身のケアに関する内容についてのセミナー又はシンポジウムを企画・運営する役務であって、その需要者は当該内容に関する知識を有する医師や学生等の者及び当該内容に関心を持つ一般の需要者といえる。
ウ 本願役務と引用役務との類否について
(ア)本願役務1と引用役務1について
本願役務1と引用役務1とは、教育又は教授の内容は異なるものの、いずれも、他人(受講者等)に対して、知識の教授又は教育を行うこと、若しくは、その知識の内容に関する資格試験の実施等であるため、その目的は共通するといえる。
そして、これらの役務の提供者と提供の場所及び需要者は、教養、学習等の指導を行う教授所、大学等の学校等及び一般受講者や大学の学生等で共通する。
(イ)本願役務2と引用役務2について
本願役務2と引用役務2とは、セミナー又はシンポジウムの内容は異なるものの、いずれも、他人(参加者)に対して、セミナー又はシンポジウムの企画・運営又は開催を行うことであるため、その目的は共通するといえる。
そして、これらの役務の提供者は、イベントの企画、運営会社や、学会等、セミナー又はシンポジウムを企画・運営する者であるから共通し、需要者も、セミナー又はシンポジウムの内容に関する知識を有する者及び一般需要者であって共通する場合がある。
さらに、シンポジウムやセミナーは一般的に、大学等の教育機関や、講習会を行うことができるホテルの会場又はコンベンションセンターなどの施設で提供されているものであるから、役務の提供の場所も共通にすることがある。
(ウ)本願役務と引用役務の類否について
上記(ア)より、本願役務1と引用役務1とは、知識を教授する内容が相違するとしても、提供の目的、役務の提供者及び需要者並びに提供の場所を共通にする類似の役務である。
また、上記(イ)より、本願役務2と引用役務2とは、セミナー及びシンポジウムの内容が相違するとしても、提供の目的、役務の提供者及び需要者並びに提供の場所を共通にすることのある類似の役務である。
(6)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標2と類似する商標であり、かつ、引用商標2の指定役務と類似する役務について使用するものであるから、引用商標2との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)請求人の主張について
請求人は、医学・医療の分野が専門化、細分化が進んでいることが一般に広く知られており、例えば、本願役務の「心不全を含む循環器疾患」と、引用役務の「小児科」の分野とは、異なる学会において、それぞれ専門医制度が設けている実情があり、本願役務(心不全を含む循環器疾患及びその治療関連分野)と引用役務(乳児の成長発達に関連する医学分野)の両役務の提供における目的、需要者の範囲、業種、業務や、事業者を規制する法律等が明確に異なっているから、本願役務と引用役務とは類似するものではない旨主張する。
しかしながら、たとえ、本願役務と引用役務の両役務の提供において、その教授する知識の内容や、講習会等のテーマに関連する医療分野における細分化された担当科が異なる場合があるとしても、上記(5)のとおり、本願役務と引用役務とは、いずれも教育に関連する役務であり、役務の提供の目的、場所、需要者の範囲及び提供者等を共通にする類似の役務と判断すべきであるから、請求人の主張は採用することはできない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-016290