特許拒絶査定不服審判
2021-014990
当接装置およびこれを備えた画像形成装置
- 審判番号
- 2021-014990
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-091355
- 請求日
- 2021年11月04日
- 審決日
- 2022年10月19日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コニカミノルタ株式会社
- 【請求人代理人】椿 豊
- 審判長/審判官
- 審判長 藤本 義仁
- 審判官 比嘉 翔一
- 審判官 佐々木 創太郎
- 分類
- P18 .121-Z (G03G) / P18 .56 -Z (G03G) / P18 .575-Z (G03G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017- 91355「当接装置およびこれを備えた画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月29日出願公開、特開2018-189776〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年5月1日の出願であって、令和3年3月5日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、同年5月14日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月5日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたのに対し、同年11月4日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 令和3年11月4日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和3年11月4日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を全文にわたって補正をするとともに、併せて明細書の記載について補正をするものであるところ、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和3年5月14日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1乃至17を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至17へと補正するものである。(下線は当審で付した。以下同じ。)
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
回転体に当接する当接装置であって、
前記回転体に当接する当接部と、
前記当接部を支持する支持部と、
前記支持部を保持する保持部とを備え、
前記支持部は、前記保持部から突出した突出部分において前記当接部を支持し、
前記保持部は、前記当接部が前記回転体に当接する方向の側に存在する第1の面と、前記第1の面とは反対側に存在する第2の面とを含み、
前記当接装置における前記突出部分の突出方向の端部側を前記当接装置の先端部側とし、前記当接装置における前記突出方向とは反対方向の端部側を前記当接装置の後端部側とした場合に、前記保持部は、前記第2の面における前記先端部側の端部から前記後端部側 に離れた保持領域で前記支持部を保持し、
前記保持部の前記保持領域と、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部から離れた領域とは互いに溶接され、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部は溶接されない、当接装置。
【請求項2】
前記当接部は、前記回転体に当接する面である当接面と、前記当接面とは反対側に存在する支持面であって前記支持部に支持される支持面とを含む、請求項1に記載の当接装置。
【請求項3】
前記支持部は、98GPa以上206GPa以下のヤング率を有する、請求項1または2に記載の当接装置。
【請求項4】
前記支持部は、50μm以上100μm以下の厚さを有する、請求項1~3のいずれか に記載の当接装置。
【請求項5】
前記保持領域における前記先端部側の端部と、前記支持部における前記後端部側の端部との距離は、1.5mm以上である、請求項1~4のいずれかに記載の当接装置。
【請求項6】
前記支持部および前記保持部の各々は、前記保持領域における前記先端部側の端部と、前記支持部における前記後端部側の端部との間に、前記支持部と前記保持部との位置決めのための位置決め部を含む、請求項1~5のいずれかに記載の当接装置。
【請求項7】
前記保持領域における前記先端部側の端部と、前記保持部における前記先端部側の端部との距離は、1.5mm以上である、請求項1~6のいずれかに記載の当接装置。
【請求項8】
前記支持部は複数の箇所において前記保持部に対し溶接により固定され、前記突出方向と直交する方向に沿った前記複数の箇所の各々の間隔は、2mm以上10mm以下である 、請求項1~7のいずれかに記載の当接装置。
【請求項9】
前記支持部は、前記回転体から受ける力によって前記保持領域における前記先端部側の端部を支点として撓む、請求項1~8のいずれかに記載の当接装置。
【請求項10】
前記当接部は前記回転体に当接することにより、前記回転体に付着した付着物を除去する、請求項1~9のいずれかに記載の当接装置。
【請求項11】
前記回転体は像担持体である、請求項10に記載の当接装置。
【請求項12】
前記回転体は像担持体であり、
前記当接部は前記像担持体に当接することにより、前記像担持体に潤滑剤を塗布する、請求項1~9のいずれかに記載の当接装置。
【請求項13】
前記回転体と、
請求項1~12のいずれかに記載の当接装置と、
前記当接装置を固定するハウジングとを備え、
前記当接装置は、前記保持領域における前記先端部側の端部よりも前記後端部側で前記ハウジングに対して固定される、画像形成装置。
【請求項14】
前記突出部分は、前記保持部から前記回転体の回転方向とは反対の方向に突出する、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記保持領域における前記先端部側の端部よりも前記後端部側において、前記当接装置 と前記ハウジングとの間で前記当接装置と前記ハウジングとに圧縮されて設けられたシール部材をさらに備えた、請求項13または14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記当接装置は前記ハウジングに対してネジで固定されており、
前記シール部材は、前記ネジの取付位置よりも前記先端部側に設けられている、請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記ハウジングは、前記当接装置と接触する領域である接触面を含み、
前記ハウジングは前記接触面全体において前記支持部と接触する、または前記ハウジングは前記支持部と接触しない、請求項13~15のいずれかに記載の画像形成装置。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
回転体に当接する当接装置であって、
前記回転体に当接する当接部と、
前記当接部を支持する支持部と、
前記支持部を保持する保持部とを備え、
前記支持部は、前記保持部から突出した突出部分において前記当接部を支持し、
前記保持部は、前記当接部が前記回転体に当接する方向の側に存在する第1の面と、前記第1の面とは反対側に存在する第2の面とを含み、
前記当接装置における前記突出部分の突出方向の端部側を前記当接装置の先端部側とし、前記当接装置における前記突出方向とは反対方向の端部側を前記当接装置の後端部側とした場合に、前記保持部は、前記第2の面における前記先端部側の端部から前記後端部側に離れた保持領域で前記支持部を保持し、
前記保持部の前記保持領域と、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部から離れた領域とは互いに溶接され、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部は溶接されず固定されない、当接装置。
【請求項2】
前記当接部は、前記回転体に当接する面である当接面と、前記当接面とは反対側に存在する支持面であって前記支持部に支持される支持面とを含む、請求項1に記載の当接装置 。
【請求項3】
前記支持部は、98GPa以上206GPa以下のヤング率を有する、請求項1または2に記載の当接装置。
【請求項4】
前記支持部は、50μm以上100μm以下の厚さを有する、請求項1~3のいずれかに記載の当接装置。
【請求項5】
前記保持領域における前記先端部側の端部と、前記支持部における前記後端部側の端部との距離は、1.5mm以上である、請求項1~4のいずれかに記載の当接装置。
【請求項6】
前記支持部および前記保持部の各々は、前記保持領域における前記先端部側の端部と、前記支持部における前記後端部側の端部との間に、前記支持部と前記保持部との位置決めのための位置決め部を含む、請求項1~5のいずれかに記載の当接装置。
【請求項7】
前記保持領域における前記先端部側の端部と、前記保持部における前記先端部側の端部との距離は、1.5mm以上である、請求項1~6のいずれかに記載の当接装置。
【請求項8】
前記支持部は複数の箇所において前記保持部に対し溶接により固定され、前記突出方向と直交する方向に沿った前記複数の箇所の各々の間隔は、2mm以上10mm以下である、請求項1~7のいずれかに記載の当接装置。
【請求項9】
前記支持部は、前記回転体から受ける力によって前記保持領域における前記先端部側の端部を支点として撓む、請求項1~8のいずれかに記載の当接装置。
【請求項10】
前記当接部は前記回転体に当接することにより、前記回転体に付着した付着物を除去する、請求項1~9のいずれかに記載の当接装置。
【請求項11】
前記回転体は像担持体である、請求項10に記載の当接装置。
【請求項12】
前記回転体は像担持体であり、
前記当接部は前記像担持体に当接することにより、前記像担持体に潤滑剤を塗布する、請求項1~9のいずれかに記載の当接装置。
【請求項13】
前記回転体と、
請求項1~12のいずれかに記載の当接装置と、
前記当接装置を固定するハウジングとを備え、
前記当接装置は、前記保持領域における前記先端部側の端部よりも前記後端部側で前記ハウジングに対して固定される、画像形成装置。
【請求項14】
前記突出部分は、前記保持部から前記回転体の回転方向とは反対の方向に突出する、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記保持領域における前記先端部側の端部よりも前記後端部側において、前記当接装置と前記ハウジングとの間で前記当接装置と前記ハウジングとに圧縮されて設けられたシール部材をさらに備えた、請求項13または14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記当接装置は前記ハウジングに対してネジで固定されており、
前記シール部材は、前記ネジの取付位置よりも前記先端部側に設けられている、請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記ハウジングは、前記当接装置と接触する領域である接触面を含み、
前記ハウジングは前記接触面全体において前記支持部と接触する、または前記ハウジングは前記支持部と接触しない、請求項13~15のいずれかに記載の画像形成装置。」
2.補正の適否について
(1)請求項1の「前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部は溶接されず固定されない」(以下「本件補正事項」という。)について
本件補正事項は、本件補正前の請求項1の「当接装置」の「前記保持部の前記保持領域と、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部から離れた領域とは互いに溶接され、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部は溶接されない」という特定事項に対して、「前記保持部の前記保持領域と、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部から離れた領域とは互いに溶接され、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部は溶接されず固定されない」と限定するものである。
そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
そうすると、本件補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、支持部材712がスポット溶接により保持部材713に固定されている構成が示されており(【0066】、図3、及び、図4)、当該【0066】、図3、及び図4より、スポット溶接がなされている箇所以外の領域は溶接されず固定されないものであること、すなわち、「前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部は溶接されず固定されない」ものであることは明らかである。してみると、本件補正事項は、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
3.独立特許要件について
上記2.のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、本件補正後の請求項1に係る発明(令和3年11月4日に提出された手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される、上記「1.(2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】乃至【請求項17】(以下、それぞれ「本件補正発明1」乃至「本件補正発明17」という。))における本件補正発明1が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正発明1は、上記「1.(2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】に記載したとおりのものと認める。
(2)引用文献
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由において引用され、本願の出願日前に公報が発行された米国特許第03848992号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(括弧内の訳文は、当審が作成した。以下同じ。)。
(ア)「The exemplary cleaning systems 10 and 11 disclosed here consist basically of a pivoted blade support arm 18 and a blade unit 19 mounted on the support arm 18 by a blade clamping arrangement 22, where the blade unit 19 comprises an elastomer cleaning tip portion 24 mounted to the outer edge of a main blade portion 20 for resiliently engaging and cleaning the photoreceptor surface 14. Additional associated means may be provided for removal and/or recirculation of the blade cleaned toner, as taught in several of the above-cited toner blade cleaning patents and applications.
The main blade portion 20 is a continuous sheet of substantially inelastic thin planar material, preferably sheet metal. As may be seen in FIG. 3, it is in the form of a continuous generally rectangular blade extending in length sufficiently to clean the entire axial width of the photoreceptor surface 14. It has opposing parallel spaced edges 26 and 28. The mounting edge 26 is adapted to mount to the support arm 18 at the clamping arrangement 22. Preferably the support arm 18 and the clamping arrangement 22, illustrated in cross-section in FIGS. 1 and 2, extend uniformly and continuously along the mounting edge 26 of the main blade portion 20. The opposing spaced free edge 28 of the main portion 20 continuously supports the much smaller elastomer cleaning tip portion 24, which extends evenly therealong.」(第5欄第9行~同欄第35行)
(本明細書に開示される例示的なクリーニングシステム10および11は、基本的に、枢動ブレード支持アーム18と、ブレードクランプ装置22によって支持アーム18に取り付けられたブレードユニット19とからなり、ブレードユニット19は、感光体表面14に弾性的に係合してクリーニングするために主ブレード部分20の外縁に取り付けられたエラストマークリーニング先端部分24を備える。上述のトナーブレードクリーニング特許および特許出願のいくつかに教示されているように、ブレードクリーニングされたトナーの除去および/または再循環のための追加の関連手段を設けることができる。
主ブレード部分20は、実質的に非弾性の薄い平面材料の連続シート、好ましくはシート金属である。図3に見られるように、これは、感光体表面14の軸方向幅全体をクリーニングするのに十分な長さで延びる連続したほぼ矩形のブレードの形態である。それは、対向する平行に離間した縁部26および28を有する。取付縁部26は、クランプ装置22において支持アーム18に取り付けられるようになっている。好ましくは、図1及び図2に断面で示す支持アーム18及びクランプ装置22は、主ブレード部分20の取り付け縁部26に沿って均一に且つ連続的に延びる。主部分20の対向する離間した自由縁28は、それに沿って均等に延在するはるかに小さい先端部分24を連続的に支持する。)
(イ)「Considering the clamping arrangement 22 in greater detail, it will be appreciated that various other suitable clamping arrangements may be provided which will achieve the desired objectives. For example, a quite different clamping arrangement 56 is illustrated in the system 50 of FIG. 4. The clamping arrangement 22 of FIGS. 1 and 2 is intended to rigidly and planarly clamp only the mounting edge 26 of the main blade portion 20 continuously therealong. This is provided here by a continuous flat mounting surface 30 on the support arm 18 against which the main blade portion 20 is clamped by an opposing planar solid keeper plate 32 which continuously overlies the mounting surface 30. The mounting edge 28(合議体注:「26」の誤記と認める。) of the main blade portion 20 is compressively sandwiched between the surface 30 and the keeper 32 by means of a plurality of mounting bolts 34 extending through all three components from the support arm 18. For this purpose suitable mounting apertures may be etched in the main blade portion 20 as illustrated in FIG. 3. The clamping arrangement 22 is intended to keep the entire blade unit 19 as flat as possible as well as properly aligned and oriented with respect to the photoreceptor surface 14.」(第5欄第57行~第6欄第12行)
(クランプ装置22をより詳細に考察すると、所望の目的を達成する様々な他の適切なクランプ装置を設けることができることが理解されよう。例えば、全く異なるクランプ装置56が図4のシステム50に示されている。図1及び図2のクランプ装置22は、主ブレード部分20の取付け縁部26のみをそれに沿って連続的に堅固に且つ平面的にクランプするようになっている。これは、ここでは、支持アーム18上の連続した平坦な取付面30によって提供され、主ブレード部分20は、取付面30の上に連続して位置する対向する平坦な固体キーパープレート32によって取付面に対してクランプされる。主ブレード部分20の取付け縁部26は、支持アーム18から3つの構成要素全てを貫通して延びる複数の取付けボルト34によって表面30とキーパ32との間に圧縮状態で挟まれる。この目的のために、図3に示すように、主ブレード部分20に適当な取付け開口をエッチングすることができる。クランプ装置22は、感光体表面14に対して適切に位置合わせされ、配向されるだけでなく、ブレードユニット19全体を可能な限り平坦に保つように意図される。)
(ウ)「
[図:0001392720000001.jpg]
」
(エ)「
[図:0001392720000002.jpg]
」
(オ)上記(ア)の「The opposing spaced free edge 28 of the main portion 20 continuously supports the much smaller elastomer cleaning tip portion 24, which extends evenly therealong.」(主部分20の対向する離間した自由縁28は、それに沿って均等に延在するはるかに小さい先端部分24を連続的に支持する。)との記載、上記(イ)の「The clamping arrangement 22 of FIGS. 1 and 2 is intended to rigidly and planarly clamp only the mounting edge 26 of the main blade portion 20 continuously therealong. This is provided here by a continuous flat mounting surface 30 on the support arm 18 against which the main blade portion 20 is clamped by an opposing planar solid keeper plate 32 which continuously overlies the mounting surface 30.」(図1及び図2のクランプ装置22は、主ブレード部分20の取付け縁部26のみをそれに沿って連続的に堅固に且つ平面的にクランプするようになっている。これは、ここでは、支持アーム18上の連続した平坦な取付面30によって提供され、主ブレード部分20は、取付面30の上に連続して位置する対向する平坦な固体キーパープレート32によって取付面に対してクランプされる。)との記載、上記(ウ)、及び、上記(エ)より、主ブレード部分20は、支持アーム18から突出した突出部分においてエラストマークリーニング先端部分24を支持し、支持アーム18は、エラストマークリーニング先端部分24が感光体表面14に当接する方向の側に存在する「第1の面」と、前記第1の面とは反対側に存在する「第2の面」とを含み、クリーニングシステムにおける前記主ブレード部分20は、支持アーム18から突出した突出部分の突出方向の端部側を前記クリーニングシステムの「先端部側」とし、前記クリーニングシステムにおける前記突出方向とは反対方向の端部側を前記クリーニングシステムの「後端部側」とすること、が看取できる。
そうすると、上記記載事項(ア)乃至(エ)、及び、上記認定事項(オ)より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「枢動ブレード支持アーム18と、ブレードクランプ装置22によって支持アーム18に取り付けられたブレードユニット19とからなるクリーニングシステムであって、
ブレードユニット19は、感光体表面14に弾性的に係合してクリーニングするために主ブレード部分20の外縁に取り付けられたエラストマークリーニング先端部分24を備え、
主ブレード部分20は、取付縁部26を有し、取付縁部26は、クランプ装置22において支持アーム18に取り付けられるようになっており、
主ブレード部分20は、支持アーム18から突出した突出部分においてエラストマークリーニング先端部分24を支持し、
支持アーム18は、エラストマークリーニング先端部分24が感光体表面14に当接する方向の側に存在する第1の面と、前記第1の面とは反対側に存在する第2の面とを含み、
前記クリーニングシステムにおける前記主ブレード部分20は、支持アーム18から突出した突出部分の突出方向の端部側を前記クリーニングシステムの先端部側とし、前記クリーニングシステムにおける前記突出方向とは反対方向の端部側を前記クリーニングシステムの後端部側とし、
クランプ装置22は、主ブレード部分20の取付け縁部26のみをそれに沿って連続的に堅固に且つ平面的にクランプするものであり、主ブレード部分20は、支持アーム18上の第2の面の上に連続して位置する平坦な固体キーパープレート32によって取付面に対してクランプされ、主ブレード部分20の取付け縁部26は、支持アーム18から3つ の構成要素全てを貫通して延びる複数の取付けボルト34によって第2の面とキーパ32との間に圧縮状態で挟まれる、
クリーニングシステム。」
イ 引用文献4
原査定の拒絶の理由において引用され、本願の出願日前に公報が発行された特開2007-323026号公報(以下、原査定と同様に「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0020】
クリーニングブレード11は、感光体ドラム1の外表面に摺接するゴム製のブレード2が矩形長尺状のSUS製の長尺板材3の長辺縁3aに取り付けられている。長尺板材3は断面L字型のホルダー4の板面に固定され、長尺板材3は長手方向にスポット溶接が施されることでホルダー4の板面に固定されている。
【0021】
上述したクリーニングブレード11では、長手方向に複数存在するスポット溶接による溶接部5によりホルダー4の板面に長尺板材3が固定されているので、ホルダー4に対する長尺板材3の取り付き強度を均一な状態で向上させることができる。」
(イ)「
[図:0001392720000003.jpg]
」
(ウ)「
[図:0001392720000004.jpg]
」
(エ)上記(ア)の「クリーニングブレード11は、感光体ドラム1の外表面に摺接するゴム製のブレード2が矩形長尺状のSUS製の長尺板材3の長辺縁3aに取り付けられている。長尺板材3は断面L字型のホルダー4の板面に固定され、長尺板材3は長手方向にスポット溶接が施されることでホルダー4の板面に固定されている。」との記載、及び、上記(ウ)より、クリーニングブレード11は、「ゴム製のブレード2」と「長尺板材3」と「ホルダー4」とから構成されるものであることが看取できる。
(オ)上記(ア)の「感光体ドラム1の外表面に摺接するゴム製のブレード2が矩形長尺状のSUS製の長尺板材3の長辺縁3aに取り付けられている。」との記載、及び、上記(ウ)より、長尺板材3は、ホルダー4から突出した突出部分においてブレード2を支持していること、が看取できる。
(カ)上記(ア)の「長尺板材3は長手方向にスポット溶接が施されることでホルダー4の板面に固定されている。」との記載、「スポット溶接による溶接部5によりホルダー4の板面に長尺板材3が固定されている」との記載、上記(イ)、及び、上記(ウ)より、クリーニングブレード11における突出部分の突出方向の端部側を前記の先端部側とし、前記クリーニグブレード11における前記突出方向とは反対方向の端部側を前記クリーニグブレード11の後端部側とした場合に、長尺部材3が固定されるホルダー4の板面において、前記先端部側の端部から前記後端部側に離れた位置で、長尺板材3の長手方向と平行な方向にスポット溶接による溶接部部5が複数存在すること、及び、ホルダー4の当該位置と、長尺板材3の前記ホルダー4側の面における前記長尺板材3の前記後端部側の端部から離れた領域とは互いにスポット溶接され、前記長尺板材3の前記ホルダー4側の面における前記長尺板材3の前記後端部側の端部は溶接されず固定されないこと、が看取できる。
そうすると、上記記載事項(ア)乃至(ウ)、及び、上記認定事項(エ)乃至(カ)より、引用文献4には、次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されているものと認められる。
「ゴム製のブレード2と長尺板材3とホルダー4とから構成されクリーニングブレード11であって、
当該クリーニングブレード11は、感光体ドラム1の外表面に摺接するゴム製のブレード2が矩形長尺状のSUS製の長尺板材3の長辺縁3aに取り付けられており、長尺板材3は断面L字型のホルダー4の板面に固定され、長尺板材3はスポット溶接が施されることでホルダー4の板面に固定されており、
長尺板材3は、ホルダー4から突出した突出部分においてブレード2を支持しており、
クリーニングブレード11における突出部分の突出方向の端部側を前記の先端部側とし、前記クリーニグブレード11における前記突出方向とは反対方向の端部側を前記クリーニグブレード11の後端部側とした場合に、長尺部材3が固定されるホルダー4の板面において、前記先端部側の端部から前記後端部側に離れた位置で、長尺板材3の長手方向と平行な方向にスポット溶接による溶接部5が複数存在し、ホルダー4の当該位置と、長尺板材3の前記ホルダー4側の面における前記長尺板材3の前記後端部側の端部から離れた領域とは互いにスポット溶接され、前記長尺板材3の前記ホルダー4側の面における前記長尺板材3の前記後端部側の端部は溶接されず固定されない、クリーニングブレード11。」
(3)当審の判断
ア 本件補正発明1と引用発明1との対比
(ア)後者の「感光体」は、前者の「回転体」に相当する。
また、後者の「クリーニングシステム」は、「枢動ブレード支持アーム18と、ブレードクランプ装置22によって支持アーム18に取り付けられたブレードユニット19とからなる」ものであり、当該「ブレードユニット19」は、「エラストマークリーニング先端部分24」を備え、当該「エラストマークリーニング先端部分24」は、「感光体表面14に弾性的に係合してクリーニングするため」のものである。したがって、後者の「クリーニングシステム」は、「感光体」に当接するものである。してみると、後者の「クリーニングシステム」は、前者の「回転体に当接する当接装置」に相当する。
(イ)後者の「エラストマークリーニング先端部分24」は、「感光体表面14に弾性的に係合してクリーニングするため」の部材であるから、「感光体」に当接するものである。してみると、後者の「エラストマークリーニング先端部分24」は、前者の「当接部」に相当する。そして、後者の「感光体表面14に弾性的に係合してクリーニングする」「エラストマークリーニング先端部分24」は、前者の「回転体に当接する当接部」に相当する。
(ウ)後者の「主ブレード部分20」は、その外縁に「エラストマークリーニング先端部分24」が「取り付けられた」ものであるから、「エラストマークリーニング先端部分24」を支持するものである。してみると、後者の「主ブレード部分20」は、前者の「支持部」に相当する。そして、後者の「エラストマークリーニング先端部分24」が「取り付けられた」「主ブレード部分20」は、前者の「当接部を支持する支持部」に相当する。
(エ)後者の「主ブレード部分20」の「取付縁部26」は、「枢動ブレード支持アーム18」に「取り付けられ」るものであるから、「枢動ブレード支持アーム18」は、「主ブレード部分20」を保持するものである。してみると、後者の「枢動ブレード支持アーム18」は、前者の「保持部」に相当する。そして、後者の「主ブレード部分20」が取り付けられた「枢動ブレード支持アーム18」は、前者の「支持部を保持する保持部」に相当する。
(オ)上記(イ)乃至(エ)のとおり、後者の「主ブレード部分20」、「支持アーム18」、及び、「エラストマークリーニング先端部分24」は、前者の「支持部」、「保持部」、及び、「当接部」に相当するから、後者の「主ブレード部分20は、支持アーム18から突出した突出部分においてエラストマークリーニング先端部分24を支持」することは、前者の「前記支持部は、前記保持部から突出した突出部分において前記当接部を支持」することに相当する。
また、後者の「第1の面」及び「第2の面」は、前者の「第1の面」及び「第2の面」に相当し、後者の「支持アーム18は、エラストマークリーニング先端部分24が感光体表面14に当接する方向の側に存在する第1の面と、前記第1の面とは反対側に存在する第2の面とを含み」は、前者の「前記保持部は、前記当接部が前記回転体に当接する方向の側に存在する第1の面と、前記第1の面とは反対側に存在する第2の面とを含み」に相当する。
(カ)上記(ア)のとおり、後者の「クリーニングシステム」は、前者の「回転体に当接する当接装置」に相当するから、後者の「前記クリーニングシステムにおける」「突出部分の突出方向の端部側を前記クリーニングシステムの先端部側とし、前記クリーニングシステムにおける前記突出方向とは反対方向の端部側を前記クリーニングシステムの後端部側と」することは、前者の「前記当接装置における前記突出部分の突出方向の端部側を前記当接装置の先端部側とし、前記当接装置における前記突出方向とは反対方向の端部側を前記当接装置の後端部側と」することに相当する。
(キ)後者は、「主ブレード部分20の取付け縁部26」が、「取付けボルト34」によって「支持アーム18上の第2の面」と「キーパ32」との間に挟まれるものであるから、当該「支持アーム18上の取第2の面」において、「主ブレード部分20」を「キーパ32」と共に挟んでいる領域で、「主ブレード部分20」を保持しているといえる。してみると、後者は、前者の「保持部は、前記第2の面における」「保持領域で前記支持部を保持し」に相当する構成を備えているといえる。
イ 本件補正発明1と引用発明1の一致点と相違点について
上記アの対比を踏まえると、本件補正発明1と引用発明1とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
[一致点]
「回転体に当接する当接装置であって、
前記回転体に当接する当接部と、
前記当接部を支持する支持部と、
前記支持部を保持する保持部とを備え、
前記支持部は、前記保持部から突出した突出部分において前記当接部を支持し、
前記保持部は、前記当接部が前記回転体に当接する方向の側に存在する第1の面と、前記第1の面とは反対側に存在する第2の面とを含み、
前記当接装置における前記突出部分の突出方向の端部側を前記当接装置の先端部側とし、前記当接装置における前記突出方向とは反対方向の端部側を前記当接装置の後端部側とし、
前記保持部は、前記第2の面における保持領域で前記支持部を保持する、
当接装置。」
[相違点]
本件補正発明1は、保持部は、第2の面における先端部側の端部から後端部側に離れた「保持領域」で支持部を保持し、「前記保持部の前記保持領域と、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部から離れた領域とは互いに溶接され、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部は溶接されず固定されない」のに対し、引用発明1は、「主ブレード部分20の取付け縁部26」が、「取付けボルト34」及び「キーパ32」によって「支持アーム18上の第2の面」に対してクランプされるものである点。
ウ 上記相違点についての検討
(ア)引用発明4の「感光体ドラム1」及び「クリーニングブレード11」は、本件補正発明1の「回転体」及び「当接装置」に相当し、引用発明4の「クリーニングブレード11」は、「感光体ドラム1の外表面に摺接するゴム製のブレード2」を有するものであるから、本件補正発明1の「回転体に当接する当接装置」に相当する。
(イ)引用発明4の「ゴム製のブレード2」は、「感光体ドラム1の外表面に摺接する」ものであるから、「感光体ドラム1」に当接するものである。してみると、引用発明4の「ゴム製のブレード2」は、本件補正発明1の「当接部」に相当する。そして、引用発明4の「感光体ドラム1の外表面に摺接する」「ゴム製のブレード2」は、本件補正発明1の「回転体に当接する当接部」に相当する。
(ウ)引用発明4の「長尺板材3」は、「ゴム製のブレード2」が「取り付けられ」たものであるから、「ゴム製のブレード2」を支持するものである。してみると、引用発明4の「長尺板材3」は、本件補正発明1の「支持部」に相当する、そして、引用発明4の「ゴム製のブレード2」が「取り付けられ」た「長尺板材3」は、本件補正発明1の「当接部を支持する支持部」に相当する。
(エ)引用発明4の「ホルダー4の板面」には、「長尺板材3」が固定されているから、「ホルダー4」は、「長尺板材3」を保持するものである。してみると、引用発明4の「ホルダー4」は、本件補正発明1の「保持部」に相当する。そして、引用発明4の「長尺板材3」が固定されている「ホルダー4」は、本件補正発明1の「支持部を保持する保持部」に相当する。
(オ)引用発明4の「長尺板材3は、ホルダー4から突出した突出部分においてブレード2を支持」するものであるところ、上記(イ)乃至(エ)のとおり、引用発明4の「長尺板材3」、「ホルダー4」、及び、「ブレード2」は、本件補正発明1の「支持部」、「保持部」、及び、「当接部」に相当するから、引用発明4の「長尺板材3は、ホルダー4から突出した突出部分においてブレード2を支持」することは、本件補正発明1の「前記支持部は、前記保持部から突出した突出部分において前記当接部を支持」することに相当する。
(カ)上記(ア)、(ウ)、(エ)のとおり、引用発明4の「クリーニングブレード11」、「長尺板材3」、及び、「ホルダー4」は、本件補正発明1の「当接装置」、「支持部」、及び、「保持部」に相当するから、引用発明4の「クリーニングブレード11における突出部分の突出方向の端部側を前記の先端部側とし、前記クリーニグブレード11における前記突出方向とは反対方向の端部側を前記クリーニグブレード11の後端部側とした場合」は、本件補正発明1の「当接装置における前記突出部分の突出方向の端部側を前記当接装置の先端部側とし、前記当接装置における前記突出方向とは反対方向の端部側を前記当接装置の後端部側とした場合」に相当する。また、引用発明4は、「長尺部材3が固定されるホルダー4の板面において、前記先端部側の端部から前記後端部側に離れた位置で、長尺板材3の長手方向と平行な方向にスポット溶接による溶接部5が複数存在」するものであるところ、当該スポット溶接される位置では、ホルダー4が長尺板材3を保持しているから、スポット溶接される位置は、保持領域といえる。
してみると、引用発明4の「ホルダー4の板面において、前記先端部側の端部から前記後端部側に離れた位置で長尺板材3の長手方向と平行な方向にスポット溶接による溶接部5が複数存在」することは、本件補正発明1の、「保持部」は、当該保持部の「面における」「先端部側の端部から前記後端部側に離れた保持領域で前記支持部を保持」することに相当し、引用発明4の「ホルダー4の当該位置と、長尺板材3の前記ホルダー4側の面における前記長尺板材3の前記後端部側の端部から離れた領域とは互いにスポット溶接され、前記長尺板材3の前記ホルダー4側の面における前記長尺板材3の前記後端部側の端部は溶接されず固定されない」は、本件補正発明1の「保持部の前記保持領域と、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部から離れた領域とは互いに溶接され、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部は溶接されず固定されない」に相当する。
(キ)引用発明1と引用発明4とは、いずれも、感光体の表面をクリーニングするクリーニングブレードに関するものである点で、技術分野が共通する。
また、引用発明1は、「主ブレード部分20」を「堅固に」「支持アーム18」に固定するものという機能を有するものであり、引用発明4も、「スポット溶接」により、「ホルダー4に対する長尺板材3の取り付き強度」を「向上させる」という機能を有する点で、両者は、機能の点で共通するものがある。
してみると、引用発明1に、引用発明4を適用する動機付けがあるといえる。
(ク)そうすると、引用発明1の「支持アーム18の取付面30の上」への「主ブレード部分20」の取り付けについて、「固体キーパープレート32」と「取付けボルト34」とからなる「クランプ装置22」による固定に替えて、引用発明4の「先端部側の端部から前記後端部側に離れた位置」(「保持領域」)で「長尺板材3」が「スポット溶接され」、「ホルダー4の当該位置と、長尺板材3の前記ホルダー4側の面における前記長尺板材3の前記後端部側の端部から離れた領域とは互いにスポット溶接され、前記長尺板材3の前記ホルダー4側の面における前記長尺板材3の前記後端部側の端部は溶接されず固定されない」ようにし、上記相違点に係る構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、引用発明1は「取付けボルト34」により固定がなされるものであることから、上記適用の際に、当該「取付けボルト34」の位置が「スポット溶接」の位置となることは、明らかである。
(ケ)そして、本件補正発明1の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1、及び、引用発明4から、当業者が予測し得る範囲内のものである。
(コ)したがって、本件補正発明1は、引用発明1及び引用発明4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(サ)なお、引用発明1において、「主ブレード部分20」を「支持アーム18」に固定するために「固体キーパープレート32」と「取付けボルト34」とからなる「クランプ装置22」を用いているが、当該「クランプ装置22」でなければ「堅固」に固定できないとする理由は見いだせない。
(4)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、
「引用文献1に対して他の引用文献を組み合わせたとしても、請求項1に係る発明の上記構成を得ることはできません。仮に、引用文献1における主ブレード部20の固定方法として、引用文献4に開示されている溶接を適用した場合、主ブレード部20における溶接される領域には、主ブレード部20の取付端部26が必ず含まれます。主ブレード部20の取付端部26を溶接しないと、主ブレード部20は片持ち梁にはならず、引用文献1において必須の構成が失われ、引用文献1はその効果を失います。主ブレード部20の取付端部26を溶接しないような引用文献1の変形を当業者が採用するはずがありません。」
と主張する。
そこで、上記主張について以下、検討する。
引用発明1は、「主ブレード部分20」を「堅固に」「支持アーム18」に固定するものであるところ、引用発明4の「スポット溶接」を適用することにより、「主ブレード部分20」を「堅固に」「支持アーム18」に固定できることは明らかであり、「主ブレード部分20の取付け縁部26」が「溶接されず固定されない」からといって、引用発明1の「主ブレード部分20」を「堅固に」「支持アーム18」に固定することが、損なわれるわけではない。
以上のことから、上記請求人の主張は採用できない。
(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和3年5月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
回転体に当接する当接装置であって、
前記回転体に当接する当接部と、
前記当接部を支持する支持部と、
前記支持部を保持する保持部とを備え、
前記支持部は、前記保持部から突出した突出部分において前記当接部を支持し、
前記保持部は、前記当接部が前記回転体に当接する方向の側に存在する第1の面と、前記第1の面とは反対側に存在する第2の面とを含み、
前記当接装置における前記突出部分の突出方向の端部側を前記当接装置の先端部側とし、前記当接装置における前記突出方向とは反対方向の端部側を前記当接装置の後端部側とした場合に、前記保持部は、前記第2の面における前記先端部側の端部から前記後端部側 に離れた保持領域で前記支持部を保持し、
前記保持部の前記保持領域と、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部から離れた領域とは互いに溶接され、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部は溶接されない、当接装置。」(以下「本願発明」という。)
2.原査定の拒絶の理由の概要
原査定の理由は、
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記引用文献1及び下記引用文献4に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
引用文献1.米国特許第03848992号明細書
引用文献4.特開2007-323026号公報
3.引用文献
令和3年3月5日付けの拒絶理由通知に引用された引用文献、及び、その記載内容は上記「第2 3.(2)」に記載したとおりである。
4 対比・判断
(1)対比
本願発明は、実質的に、本件補正発明1の「固定されない」との限定を省くものである。
そうすると、本願発明と引用発明1とを対比すると、上記「第2 3.(3) ア」での検討を勘案すると、両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
[一致点]
「回転体に当接する当接装置であって、
前記回転体に当接する当接部と、
前記当接部を支持する支持部と、
前記支持部を保持する保持部とを備え、
前記支持部は、前記保持部から突出した突出部分において前記当接部を支持し、
前記保持部は、前記当接部が前記回転体に当接する方向の側に存在する第1の面と、前記第1の面とは反対側に存在する第2の面とを含み、
前記当接装置における前記突出部分の突出方向の端部側を前記当接装置の先端部側とし、前記当接装置における前記突出方向とは反対方向の端部側を前記当接装置の後端部側とし、
前記保持部は、前記第2の面における保持領域で前記支持部を保持する、
当接装置。」
[相違点‘]
本願発明1は、保持部は、第2の面における先端部側の端部から後端部側に離れた「保持領域」で支持部を保持し、「前記保持部の前記保持領域と、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部から離れた領域とは互いに溶接され、前記支持部の前記保持部側の面における前記支持部の前記後端部側の端部は溶接されない」のに対し、引用発明1は、「主ブレード部分20の取付け縁部26」が、「取付けボルト34」及び「キーパ32」によって「支持アーム18上の第2の面」に対してクランプされるものである点。
そして、上記[相違点‘]は、上記[相違点]から、「固定されない」との事項を削除したものであることから、上記「第2 3.(3)」における検討内容を踏まえれば、本願発明は、引用発明1及び引用発明4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
5.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-014990