特許拒絶査定不服審判
2021-016416
記録媒体及びこれを形成する画像形成装置
- 審判番号
- 2021-016416
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-162931
- 請求日
- 2021年12月01日
- 審決日
- 2022年10月19日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
- 【請求人代理人】亀井 岳行
- 【請求人代理人】小泉 雅裕
- 【請求人代理人】青谷 一雄
- 【請求人代理人】中村 智廣
- 審判長/審判官
- 審判長 藤本 義仁
- 審判官 佐々木 創太郎
- 審判官 古屋野 浩志
- 分類
- P18 .121-Z (G03G) / P18 .56 -Z (G03G) / P18 .561-Z (G03G) / P18 .57 -Z (G03G) / P18 .575-Z (G03G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第4号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-162931「記録媒体及びこれを形成する画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月14日出願公開、特開2019- 40108〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年8月28日に出願され、令和3年5月11日付けで拒絶理由が通知され、同年7月14日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月22日付けで拒絶査定がなされたのに対し、同年12月1日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 令和3年12月1日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和3年12月1日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和3年7月14日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲へと補正することを含むものである。(下線は当審決で付した。以下同じ。)
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
白色以外の有色又は透明の記録媒体本体と、
前記記録媒体本体上に重ね合わされた、白色トナーからなる白色トナー層及びアルミ顔料を含む銀トナーからなる銀トナー層と、
前記白色トナー層及び前記銀トナー層に重ね合わされた、白色及び銀以外の他色のトナーからなる他色画像となるトナー層と、を含み、
前記銀トナー層は、前記銀トナー層が前記白色トナー層を覆う領域において、前記白色トナー層のトナー付着量が他の画像領域に比べて少なくなるように、前記他色画像のおもて面側からみて前記白色トナー層の下層に形成されている、
ことを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記銀トナー層は、白色及び銀以外の複数色のトナーを重ね合わせた重ねトナー画像が形成された領域において、前記白色トナー層のトナー付着量を減らして形成されている、 ことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記白色トナー層は、前記銀トナー層よりも広く形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記銀トナー層は、白色トナー層の全域に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録媒体。
【請求項5】
前記銀トナー層は、白色及び銀以外の複数色のトナーを重ね合わせた重ねトナー画像が形成された領域が文字画像及び写真画像を含む場合、写真画像領域にのみ形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項6】
前記銀トナー層は、画像形成面の最上層が白色でない領域には形成されていない、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項7】
前記銀トナー層は、画像形成面の最上層が白色でない領域では他の画像領域に比べてトナー付着量が少ない、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項8】
前記銀トナー層は、前記重ねトナー画像が形成された領域のトナー量に応じて、トナー付着量が変化する、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項9】
前記銀トナー層は、前記重ねトナー画像が形成された領域のトナー量が少ない領域ほど、トナー付着量が少ない、
ことを特徴とする請求項8に記載の記録媒体。
【請求項10】
前記白色トナー層及び前記銀トナー層は、前記重ねトナー画像が形成された領域と他の画像が形成された領域のトナー層厚さが一定になるように、白色トナー及び銀トナーのトナー付着量が変化する、
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項11】
前記白色トナー層は、画像面積率100%のとき、前記有色又は透明の記録媒体本体上で、明度L*が72以上である、
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項12】
回転移動する像保持体と、
白色トナーを用いて白色トナー画像を形成する第1画像形成手段と、銀トナーを用いて銀トナー画像を形成する第2画像形成手段と、白色及び銀以外の複数色のトナーを用いて各色の重ねトナー画像を形成する第3画像形成手段と、白色以外の有色の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる定着手段と、を備え、
前記第1画像形成手段と前記第2画像形成手段とが前記第3画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置され、前記第2画像形成手段が前記第1画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記白色トナー画像及び前記銀トナー画像は、いずれかが先に定着される、
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記銀トナー画像を前記白色以外の有色の記録媒体本体に定着した後に、前記重ねトナー画像及び前記白色トナー画像を前記白色以外の有色の記録媒体本体上に一括転写する、 ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記白色トナー画像及び前記重ねトナー画像を透明の記録媒体本体に定着した後に、前記銀トナー画像を前記透明の記録媒体本体に追い刷りする、
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
白色以外の有色又は透明の記録媒体本体と、
前記記録媒体本体上に下地として重ね合わされた、白色トナーからなる白色トナー層及びアルミ顔料を含む銀トナーからなる銀トナー層と、
前記白色トナー層及び前記銀トナー層に重ね合わされた、白色及び銀以外の他色のトナーを重ね合わせた重ねトナー画像となるトナー層と、を含み、
前記銀トナー層は、前記銀トナー層が前記白色トナー層を覆う領域において、前記白色トナー層のトナー付着量が他の画像領域に比べて少なくなるように、前記重ねトナー画像のおもて面側からみて前記白色トナー層の下層に形成されている、
ことを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記銀トナー層は、白色及び銀以外の複数色のトナーを重ね合わせた重ねトナー画像が形成された領域において、前記白色トナー層のトナー付着量を減らして形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記白色トナー層は、前記銀トナー層よりも広く形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記銀トナー層は、前記白色トナー層の全域に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録媒体。
【請求項5】
前記銀トナー層は、白色及び銀以外の複数色のトナーを重ね合わせた重ねトナー画像が形成された領域が文字画像及び写真画像を含む場合、写真画像領域にのみ形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項6】
前記銀トナー層は、画像形成面の最上層が白色でない領域には形成されていない、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項7】
前記銀トナー層は、画像形成面の最上層が白色でない領域では他の画像領域に比べてトナー付着量が少ない、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項8】
前記銀トナー層は、前記重ねトナー画像が形成された領域のトナー量に応じて、トナー付着量が変化する、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項9】
前記銀トナー層は、前記重ねトナー画像が形成された領域のトナー量が少ない領域ほど、トナー付着量が少ない、
ことを特徴とする請求項8に記載の記録媒体。
【請求項10】
前記白色トナー層及び前記銀トナー層は、前記重ねトナー画像が形成された領域と他の画像が形成された領域のトナー層厚さが一定になるように、白色トナー及び銀トナーのトナー付着量が変化する、
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項11】
前記白色トナー層は、画像面積率100%のとき、前記有色又は透明の記録媒体本体上で、明度L*が72以上である、
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の記録媒体を形成する画像形成装置であって、
回転移動する像保持体と、
白色トナーを用いて白色トナー画像を形成する第1画像形成手段と、銀トナーを用いて銀トナー画像を形成する第2画像形成手段と、白色及び銀以外の複数色のトナーを用いて各色の重ねトナー画像を形成する第3画像形成手段と、白色以外の有色又は透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる定着手段と、を備え、
前記第1画像形成手段と前記第2画像形成手段とが前記第3画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置され、前記第2画像形成手段が前記第1画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記白色トナー画像及び前記銀トナー画像は、いずれかが先に定着される、
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記銀トナー画像を前記白色以外の有色の記録媒体本体に定着した後に、前記重ねトナー画像及び前記白色トナー画像を前記白色以外の有色の記録媒体本体上に一括転写する、
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記白色トナー画像及び前記重ねトナー画像を透明の記録媒体本体に定着した後に、前記銀トナー画像を前記透明の記録媒体本体に追い刷りする、
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。」
そして、本件補正は、以下のアの補正事項を含むものである。
ア 本件補正前の請求項12の発明特定事項である「定着手段」に関し、「白色以外の有色の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」としていたものを「白色以外の有色又は透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」とすることで、「白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像」が形成される「記録媒体本体」について、「白色以外の有色」から「白色以外の有色又は透明」とする補正(以下、「補正事項1」という)。
2 本件補正の適否について
(1)新規事項追加について
ア 補正事項1の「白色以外の有色又は透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」という構成が、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載されているか否かを検討する。
イ 補正事項1の「白色以外の有色又は透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」には、「透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」もの、すなわち、「透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像」を、「白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」ものも含まれる。
ウ 一方、当初明細書等の段落【0039】~【0073】には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0039】
(1.2)画像形成部の構成及び動作
このような構成の画像形成装置1では、画像形成のタイミングに合わせて用紙送り装置20のうち、印刷ジョブで印刷の1枚毎に指定された用紙積載部から繰り出された記録媒体本体Pが画像形成部10へ送り込まれる。
【0040】
感光体ユニット13は、露光装置12の下方に、それぞれが並列して設けられ、回転駆動する像保持体としての感光体ドラム31を備えている。感光体ドラム31の回転方向にそって、帯電器32、露光装置12、現像装置14、一次転写ローラ52、クリーニングブレード33が配置されている。
【0041】
現像装置14は、内部に現像剤が収容される現像ハウジング41を有する。現像ハウジング41内には、感光体ドラム31に対向して配置された現像ローラ42が配設されている。現像ローラ42には、層厚を規制された現像剤が供給されて感光体ドラム31上にトナー像が形成される。
それぞれの現像装置14は、現像ハウジング41に収容される現像剤を除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、白色(W)、特別色としての銀(S)のトナー像を形成する。
【0042】
現像装置14の上方には、現像剤(キャリアを含むトナー)を収容する交換可能なトナーカートリッジTが装着されている。それぞれのトナーカートリッジTから現像装置14に現像剤を供給するトナーカートリッジガイドTGが配置されている。
【0043】
回転する感光体ドラム31の表面は、帯電器32により帯電され、露光装置12から出射する潜像形成光により静電潜像が形成される。感光体ドラム31上に形成された静電潜像は現像ローラ42によりトナー像として現像される。
【0044】
転写装置15は、各感光体ユニット13の感光体ドラム31にて形成された各色トナー像が多重転写される像保持体としての中間転写ベルト51、各感光体ユニット13にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト51に順次転写(一次転写)する一次転写ローラ52、中間転写ベルト51上に重畳して転写された各色トナー像を記録媒体本体である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ベルト53とから構成されている。
【0045】
中間転写ベルト51は、中間転写ベルト51を循環駆動させる駆動ローラ61、各感光体ドラム31の配列方向に沿って略直線状に伸びる中間転写ベルト51を支持する従動ローラ62、中間転写ベルト51に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト51の蛇行を防止するテンションローラ63、二次転写部TRの上流側で中間転写ベルト51を支持する支持ローラ64、二次転写部TRに設けられるバックアップローラ65で回転移動可能に張架されている。
【0046】
二次転写ベルト53は、二次転写ローラ54と剥離ローラ55とによって張架され、中間転写ベルト51の背面側に配置されたバックアップローラ65と二次転写ローラ54とに挟持されて二次転写部(TR)を形成する。
【0047】
各感光体ユニット13の感光体ドラム31に形成された各色トナー像は、システム制御装置11により制御される電源装置等(不図示)から所定の転写電圧が印加された一次転写ローラ52により中間転写ベルト51上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。
【0048】
中間転写ベルト51上の重畳トナー像は、中間転写ベルト51の移動に伴って二次転写ベルト53が配置された二次転写部TRに搬送される。重畳トナー像が二次転写部TRに搬送されると、そのタイミングに合わせて用紙送り装置20から記録媒体本体Pが二次転写部TRに供給される。そして、二次転写ベルト53を介して二次転写ローラ54と対向するバックアップローラ65には、システム制御装置11により制御される電源装置等から給電ローラ65Aを介して所定の転写電圧が印加され、用紙Pに中間転写ベルト51上の多重トナー像が一括転写される。
【0049】
感光体ドラム31表面の残留トナーは、クリーニングブレード34により除去され、廃トナー収容部(不図示)に回収される。感光体ドラム31の表面は、帯電器32により再帯電される。
【0050】
定着装置17は一方向へ回転する無端状の定着ベルト17aと、定着ベルト17aの周面に接し、一方向へ回転する加圧ローラ17bとを有し、定着ベルト17aと加圧ローラ17bの圧接領域によってニップ部(定着領域)が形成される。
転写装置15においてトナー像が転写された記録媒体本体Pは、トナー像が未定着の状態で用紙搬送装置16aを経由して定着装置17に搬送される。定着装置17に搬送された記録媒体は、一対の定着ベルト17aと加圧ローラ17bにより、圧着と加熱の作用でトナー像が定着される。
【0051】
定着の終了した用紙は、用紙搬送装置16bを経由して排紙部30に送り込まれる。
尚、用紙の両面に画像出力を行う場合には、用紙搬送装置16cにより当該用紙の表裏が反転され、再び画像形成部10における二次転写部TRへ送り込まれる。そして、トナー像の転写および転写像の定着が行われた後に、排紙部30に送り込まれることになる。排紙部30へ送り込まれた用紙Pは、必要に応じて裁断やステープル(針綴じ)等の後処理を経た後に、排紙収容部へ排出される。
【0052】
(2)記録媒体の形成
図3は転写装置15における各色の感光体ユニット13及び現像装置14の配置を示す断面模式図、図4は有色紙CP又は透明ラベルCSに画像形成された記録媒体の画像構造の一例を示す説明図、図5は転写装置15における各色の感光体ユニット13及び現像装置14の他の配置を示す断面模式図、図6は透明ラベルCSに画像形成された記録媒体の画像構造の一例を示す説明図である。
以下、図面を参照しながら転写装置15の構成と記録媒体本体Pへのトナー像形成について説明する。
【0053】
(2.1)白色以外の有色又は透明の記録媒体本体への画像形成
本実施形態の画像形成装置1では、黒、青、赤等その他の白以外の色の付された記録媒体本体である有色紙CPや透明ラベルCS上に、イエロートナー(Y)、マゼンタトナー(M)、シアントナー(C)、及び、黒トナー(K)を含むカラー画像を形成する。
そして、有色紙CPや透明ラベルCS上のカラー画像が形成された画像形成面の最下層となるように白色トナー(W)及びアルミ顔料を含む銀トナー(S)を用いて白色トナー画像TW及び銀トナー画像STを形成する画像形成動作が実行可能となっている。
また、透明ラベルCS上のカラー画像が形成された画像形成面の最上層となるように白色トナー(W)及びアルミ顔料を含む銀トナー(S)を用いて白色トナー画像TW及び銀トナー画像TSを形成する画像形成動作が実行可能となっている。
【0054】
図3に示すように、画像形成装置1は、白色トナーを用いて白色トナー画像を形成する第1画像形成手段としての感光体ユニット13と現像装置14と、銀トナーを用いて銀トナー画像を形成する第2画像形成手段としての感光体ユニット13と現像装置14とが、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーを用いて各色の重ねトナー画像(YMCK)を形成する第3画像形成手段としての感光体ユニット13及び現像装置14よりも中間転写ベルト51の回転移動方向下流側に配置され、銀トナーを用いて銀トナー画像を形成する感光体ユニット13と現像装置14が白色トナーを用いて白色トナー画像を形成する第1画像形成手段としての感光体ユニット13と現像装置14よりも中間転写ベルト51の回転移動方向下流側に配置されている。
【0055】
このように構成される画像形成装置1では、中間転写ベルト51上の画像を有色紙CP又は透明ラベルCS上に転写する場合、まず中間転写ベルト51上に順次、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のカラー画像を重ね合わせた重ねトナー画像を形成した後、白色トナー画像WTを重ねトナー画像(YMCK)に重なるように一次転写する。そして、有色紙CP又は透明ラベルCSが用紙送り装置20から二次転写部(TR)に送り出され、中間転写ベルト51の外周面に1次転写された白色トナー画像WT付きカラー画像が有色紙CP又は透明ラベルCS上に二次転写される。
【0056】
これにより、図4に示すように、有色紙CPの地色が白色トナー画像WTで隠蔽されて、各色のカラー画像を重ね合わせた重ねトナー画像(YMCK)が形成された記録媒体を作成することができる。また、透明ラベルCSが白色トナー画像WTで隠蔽されて透過することなく、各色のカラー画像を重ね合わせた重ねトナー画像が形成された記録媒体を作成することができる。
【0057】
白色トナー画像WTの隠蔽性は、有色紙CPに対しては、有色紙CP上に面積階調率100%で形成された白色トナー画像WTのISO白色度(ISO 2470)によって評価され、明度L*が72以上であるように形成される。
また、透明ラベルCSに対しては、透明ラベルCS上に面積階調率100%で形成された白色トナー画像WのJIS K5600に準拠した白色度によって評価され、明度L*が72以上であるように形成される。
これにより、有色紙CP及び透明ラベルCSを白色トナー(W)で隠蔽することができる。
【0058】
また、図5に示すように、画像形成装置1Aは、白色トナーを用いて白色トナー画像を形成する第1画像形成手段としての感光体ユニット13と現像装置14と、銀トナーを用いて銀トナー画像を形成する第2画像形成手段としての感光体ユニット13と現像装置14とが、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーを用いて各色の重ねトナー画像(YMCK)を形成する第3画像形成手段としての感光体ユニット13及び現像装置14よりも中間転写ベルト51の回転移動方向上流側に配置され、銀トナーを用いて銀トナー画像を形成する感光体ユニット13と現像装置14が白色トナーを用いて白色トナー画像を形成する第1画像形成手段としての感光体ユニット13と現像装置14よりも中間転写ベルト51の回転移動方向上流側に配置されている。
【0059】
このように構成される画像形成装置1Aでは、図6(a)に示すように、中間転写ベルト51上の画像を透明ラベルCSの裏面上に転写する場合、まず白色トナー画像WTを中間転写ベルト51上に形成する。そして、白色トナー画像WTの上に順次、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のカラー画像を重ね合わせた重ねトナー画像(YMCK)を形成した後、中間転写ベルト51上から透明ラベルCS上に重ねトナー画像のほうから転写する。
【0060】
これにより、図6(b)に示すように、透明ラベルCSの重ねトナー画像が形成された面とは逆の面側(透明ラベルCS側)から重ねトナー画像(YMCK)を見ることで、透明ラベルCSの光沢感により、均一光沢のある記録媒体を作成することができる。
【0061】
ここで、図11(a)に示すように、白色トナー(W)を用いて下地を形成した記録媒体においては、白色トナー(W)による隠蔽性が低い場合には、光の一部が白色トナー画像WTを透過して記録媒体が透けたり、記録媒体の見栄えが悪くなる虞があった。そのために、白色トナー画像WTの白色トナー量を増加させて光の透過を抑制するには、相当量の白色トナー量が必要になり、白色トナー画像WTの転写性が悪化するという問題があった。
【0062】
本実施形態に係る記録媒体は、有色紙CP又は透明ラベルCSの記録媒体本体Pと、記録媒体本体P上に重ね合わされた、白色トナー(W)からなる白色トナー画像WT及びアルミ顔料を含む銀トナー(S)からなる銀トナー画像STと、を含んで構成されている。
すなわち、図11(b)に示すように、白色トナー画像WT及び銀トナー画像STに各色のカラー画像を重ね合わせた重ねトナー画像が重ね合わされ、銀トナー画像STは、重ねトナー画像のおもて面側(重ねトナー画像が表す情報が記録媒体の観察者にとって正しく見える方向)からみて白色トナー画像WTの下層に形成されている。
【0063】
このように構成される記録媒体においては、記録媒体本体Pとしての透明ラベルCSと白色トナー画像WTとの間に銀トナー画像STが反射層として介在することで、白色トナー画像WTを透過する光を反射させることで記録媒体の透けや、見栄えの悪化を抑制している。
【0064】
(2.2)白トナー画像及び銀トナー画像の態様A
本実施形態に係る記録媒体は、図7に示すように、白色トナー画像WTが形成されている全域に銀トナー画像STが形成されている。
また、銀トナー画像STが白色トナー画像WTを覆う領域において、銀トナー画像STは、重ねトナー画像が形成された領域は白色トナー画像WTのトナー付着量を減らすように形成される。
これにより、記録媒体の透けや、見栄えの悪化を抑制しながら白色トナー(W)のトナー付着量を少なくすることができる。
【0065】
また、図7に示すように、白色トナー画像WTは、銀トナー画像STよりも広く形成されている(図7中 W1>W2)。これにより、銀トナー画像STの白色トナー画像WTからのはみ出しを防止することができる。
【0066】
(2.3)白トナー画像及び銀トナー画像の態様B
銀トナー画像STが、重ねトナー画像(YMCK)のおもて面側からみて白色トナー画像WTの下層に形成された場合、白色トナー画像WTを透過する光を反射させることができるが、白色トナー画像WTにくすみが発生する虞があった。くすみとは、記録媒体本体に銀トナー画像STと白色トナー画像WTを形成して定着した場合に、定着温度が高いと、銀トナー(S)と白色トナー(W)が混じり合って、白色トナー画像WTの光輝性が低下することをいう。
【0067】
本実施形態に係る記録媒体においては、銀トナー画像STは、重ね画像領域が文字画像及び写真画像を含む場合には写真画像領域にのみ形成される。これにより、銀トナー画像STが形成される領域を制限して白色トナー画像WTのくすみを抑制することができる。
【0068】
図8(a)に示すように、銀トナー画像STは、画像形成面の最上層が白色トナー画像WTでない領域には形成されない。これにより、銀トナー画像STが形成される領域を制限して白色トナー画像WTのくすみを抑制することができる。また、図8(b)に示すように、画像形成面の最上層が白色トナー画像WTでない領域では他の画像領域に比べて、銀トナー画像STは、トナー付着量を減少させて形成してもよい。
これにより、記録媒体の透けを抑制しながら銀トナー画像STのトナー付着量を減少させて白色トナー画像WTのくすみを抑制することができる。
【0069】
銀トナー画像STは、重ねトナー画像が形成された領域の面積階調率に応じて、トナー付着量を変化させて形成される。具体的には、図9に示すように、重ねトナー画像(M(C、Y))が形成された領域の面積階調率が低い領域ほど、トナー付着量を減少させる。
これにより、記録媒体の透けを抑制しながら銀トナー画像STのトナー付着量を減少させて白色トナー画像WTのくすみを抑制することができる。
【0070】
白色トナー画像WT及び銀トナー画像STは、図10に示すように、重ねトナー画像(YMCK)が形成された領域と他の画像が形成された領域のトナー層厚さが一定になるように、白色トナー(W)及び銀トナー(S)のトナー付着量を変更して形成される。
これにより、記録媒体の透けを抑制しながら白色トナー画像WT及び銀トナー画像STのトナー付着量を減少させることができる。
【0071】
本実施形態に係る記録媒体は、白色トナー画像WT、銀トナー画像STのいずれかが先に定着されるように画像形成されてもよい。これにより、銀トナー画像STと白色トナー画像WTを同時に定着した場合に、銀トナー(S)と白色トナー(W)が混じり合って、白色トナー画像WTの光輝性が低下するくすみを抑制することができる。
【0072】
有色紙CP上に画像形成する場合、まず銀トナー画像STが二次転写された有色紙CPが用紙搬送装置16aを経由して定着装置17に搬送され、定着装置17で定着される。次に、銀トナー画像STが定着された有色紙CPは、用紙搬送装置16cにより表裏が反転され、再び二次転写部TRへ送り込まれる(図1参照)。
そして、重ねトナー画像(YMCK)及び白色トナー画像WTが銀トナー画像STが定着された有色紙CP上に一括転写される。これにより、銀トナー(S)と白色トナー(W)が定着される際に混じり合うことなく、白色トナー画像WTのくすみを抑制することができる。
【0073】
透明ラベルCS上に画像形成する場合、まず白色トナー画像WT及び重ねトナー画像(YMCK)が二次転写された透明ラベルCSが用紙搬送装置16aを経由して定着装置17に搬送され、定着装置17で定着される。次に、白色トナー画像WT及び重ねトナー画像(YMCK)が定着された透明ラベルCSは、用紙搬送装置16cにより表裏が反転され、再び二次転写部TRへ送り込まれる(図1参照)。
そして、白色トナー画像WT及び重ねトナー画像(YMCK)が定着された透明ラベルCS上に銀トナー画像STが追い刷り印刷される。これにより、銀トナー(S)と白色トナー(W)が定着される際に混じり合うことなく、白色トナー画像WTのくすみを抑制することができる。」
エ ここで、段落【0039】~【0073】には、記録媒体として、「有色紙CP」及び「透明ラベルCS」のいずれか一方が、選択的に用いられることは記載されているものの、「有色紙CP」上に形成したトナー画像を、「透明ラベルCS」上で定着させるための操作は示されてないから、「白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像」が形成される記録媒体と、「白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像」が「少なくとも熱によって定着」される記録媒体が、同一であるものしか記載されていないと認められる。
オ また、技術常識を考慮すると、「白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像」が形成される記録媒体と、「白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像」を「少なくとも熱によって定着」される記録媒体とが異なるものであるのは、想定し難い。
カ してみると、当初明細書等の段落【0039】~【0073】には、「透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像」を、「白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」ものは記載されているとはいえず、技術常識を考慮しても、そのようなものが記載されているとはいえない。
キ また、本願の当初明細書等のその他の記載を参酌しても、本願の当初明細書等に「透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像」を、「白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」ものは記載されておらず、補正事項1の「白色以外の有色又は透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」という構成が記載されているとは認められない。
そして、当該構成は、当初明細書等から自明な事項や技術常識から導かれる事項でもなく、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、補正事項1は、新たな技術的事項を導入するものである。
(2)補正目的について
ア 補正事項1について
特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明りようでない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。
そこで、補正事項1について、以下、検討する。
まず、補正事項1により、本件補正前の請求項12において、「定着手段」は、「白色以外の有色の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」ものであったものが、本件補正後の請求項12において、「定着手段」は、「白色以外の有色又は透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させるもの」となった。
しかしながら、「記録媒体」は「画像形成装置」自体の構成要素ではないところ、「記録媒体」は「画像形成装置」の記録対象物にすぎず、その属性によって定着手段自身の形状、構造、構成要素、組成、作用、機能、性質、特性、行為又は動作、用途等(以下、「構造、機能等」という。)が規定されるものでもないから、記録媒体の特定により、「定着手段」を含め「画像形成装置」自体の構造、機能等が何ら特定されるものではない。
してみると、補正事項1は、請求項12に係る発明の「画像形成装置」自体の構造、機能等の特定に何ら限定を加えるものではないから、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
ここで、仮に、補正事項1が、請求項12に係る発明「画像形成装置」自体の構造、機能等の特定に何らかの限定を加えるものであったとしても、補正事項1は、「白色以外の有色の記録媒体本体上」に加えて、「透明の記録媒体本体上」に形成されたトナー画像を定着させるものも含むものとするものであって、定着されるトナー画像を形成する対象として「透明の記録媒体」が選択肢として増え、そのような「透明の記録媒体」を定着されるトナー画像を形成する対象とすることは、補正前の「白色以外の有色の記録媒体」を定着されるトナー画像を形成する対象とした「定着手段」を何ら限定するものではないから補正事項1は、本件補正前の請求項12において特定されている発明特定事項をさらに特定するものには該当せず、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
次に、「白色以外の有色の記録媒体本体上」との記載における「白色以外の」、「有色の」、「記録媒体本体上」の意味は、その技術的な意味が一般に知られていることからして、不明瞭な記載であるとする理由はない。
また、「白色以外の有色の記録媒体本体上」との記載は、上記のとおり、各記載の技術的な意味をもってすれば、その文言どおりに理解できることから、不明瞭な記載であるとする理由はない。
そして、「白色以外の有色の記録媒体本体上」との記載は、不明瞭な記載であるとして、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示されたものではない。
してみると、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げられた明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当しない。
また、補正事項1が、特許法第17条の2第5項第1、3の各号に掲げられた、いずれの目的とするものにも該当しないことは明らかである。
(3)まとめ
上記で検討したとおり、補正事項1を含む本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
また、補正事項1を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反する。
してみると、補正事項1を含む本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
3 独立特許要件について
ここで、仮に、本件補正の目的が、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の請求項12に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、すなわち、本件の特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、念のため検討しておく。
(1)本願補正発明
本願補正発明は、以下のとおりのものである。
「請求項1ないし11のいずれか1項に記載の記録媒体を形成する画像形成装置であって、
回転移動する像保持体と、
白色トナーを用いて白色トナー画像を形成する第1画像形成手段と、銀トナーを用いて銀トナー画像を形成する第2画像形成手段と、白色及び銀以外の複数色のトナーを用いて各色の重ねトナー画像を形成する第3画像形成手段と、白色以外の有色又は透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる定着手段と、を備え、
前記第1画像形成手段と前記第2画像形成手段とが前記第3画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置され、前記第2画像形成手段が前記第1画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置されている、
ことを特徴とする画像形成装置。」
(2)引用文献について
ア 引用文献1について
(ア)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された本願の出願日前である平成28年9月5日に頒布された刊行物である特開2016-161702号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されていると認められる。
a「【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成システムに関する技術としては、例えば、特許文献1、2等に記載されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、連続紙に印刷する第1の印刷装置と、前記第1の印刷装置によって印刷された後の連続紙に印刷する第2の印刷装置と、前記第1の印刷装置による印刷と、前記第2の印刷装置による印刷との同期をとる同期化手段とを備えるように構成したものである。
【0004】
特許文献2は、複数の画像形成装置を直列に配置し、当該複数の画像形成装置にて用紙に画像形成を行う画像形成システムにおいて、第1の画像形成装置と、第1の画像形成装置に対して用紙搬送方向の下流に配置された第2の画像形成装置と、を備え、第1の画像形成装置は、用紙に画像形成する第1の画像形成部と、第1の画像形成装置及び第2の画像形成装置でそれぞれ用紙の異なる面に画像形成及び定着して両面プリントする直列タンデム出力を行う場合に、第1の定着部の定着目標温度を、第1の画像形成装置が単独で画像形成及び定着する場合の定着目標温度である第1の基本温度よりも低く設定する第1の制御部を備えるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-198174号公報
【特許文献2】特開2012-108273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、複数の画像形成装置における定着温度を同一の温度に設定した場合に比較して、連続シート上の画像に、複数の画像形成装置間で位置ずれが生じるのを抑制することを目的とする。」
b 「【0024】
<画像形成システムの全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成システム1は、記録媒体の一例としての連続した長尺な連帳メディアである連続シート6の搬送方向に沿って複数(図示例では、2つ)の第1及び第2の画像形成装置2,3を直列に配置して構成した重連システムである。第1及び第2の画像形成装置2,3は、連続シート6の搬送方向に沿って第1の画像形成装置2が上流側に、第2の画像形成装置3が下流側に配置されている。連続シート6としては、種々の材質からなるものが用いられる。連続シート6の材質としては、普通紙は勿論のこと、普通紙や合成樹脂製フィルムの片面に粘着剤を介して剥離紙を貼り付けた所謂ラベル紙、あるいは合成樹脂製のフィルムやシートなど種々のものを挙げることができる。連続シート6は、その材質や連続シート6に予め施された延伸処理などの事前処理に応じて、加熱定着時に搬送方向である長手方向又は搬送方向と交差する幅方向の少なくとも一方向、或いは長手方向と幅方向の双方に変形(主として収縮)する特性を有するものがある。」
c 「【0027】
第1の画像形成装置2は、画像データに基づいて連続シート6にホワイト(W),透明(T),ゴールド(G)及びシルバー(S)の4色のトナーを用いて画像を形成する画像形成手段の一例としての電子写真方式による第1の画像形成部1061を備えている。また、第2の画像形成装置3は、画像データに基づいて連続シート6にイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを用いて画像を形成する画像形成手段の一例としての電子写真方式による第2の画像形成部1062を備えている。ホスト装置8は、例えば、フルカラー並びにホワイト(W),透明(T),ゴールド(G)及びシルバー(S)の特定色を用いた画像データを生成する。また、第1及び第2の画像形成部1061,1062は、現像剤4を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されるトナー像をそれぞれ保持して最終的に連続シート6に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20で二次転写された連続シート6上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。
【0028】
この画像形成システム1は、例えば、連続シート6に形成すべき原稿画像を入力する図示しない画像読取部としての画像読取装置を追加して装備させた場合にはカラー複写機として構成することができる。図中の符号2a,3aは第1の及び第2の画像形成装置2,3の筐体を示し、この筐体2a,3aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。
【0029】
第1の画像形成装置2の作像装置10は、ホワイト(W),透明(T),ゴールド(G)及びシルバー(S)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10W,10T,10G,10Sで構成されている。ここでは、第1の特定色としてホワイト(W)を、第2の特定色として透明(T)を、第3の特定色としてゴールド(G)を、第4の特定色としてシルバー(S)をそれぞれ用いている。これらの4つの作像装置10(W,T,G,S)は、筐体1aの内部空間において1列に並べた状態となるよう配置されている。
【0030】
一方、第2の画像形成装置3の作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。この4つの作像装置10(Y,M,C,K)も、筐体1aの内部空間において1列に並べた状態となるよう配置されている。」
d 「【0039】
中間転写装置20は、図1乃至図3に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の上方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保回転自在に支持する複数持してのベルト支持ロール22~26と、ベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置27とで主に構成されている。」
e 「【0051】
<画像形成システムの基本的な動作>
以下、画像形成システム1の第1及び第2の画像形成装置2,3による基本的な画像形成動作について説明する。
【0052】
ここでは、第2の画像形成装置3の4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作を例に説明する。なお、第1の画像形成装置2の4つの作像装置10(W,T,G,S)を使用して、4色(W,T,G,S)のうちいずれか1色以上のトナー像を形成するときの画像形成動作も同様である。
【0053】
第2の画像形成装置3は、制御装置100から画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
【0054】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、第2の画像形成装置3に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光LBを照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0055】
続いて、各現像装置14(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーをそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0056】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
【0057】
また、一次転写が終了した各作像装置10では、ドラム清掃装置16が感光体ドラム11の表面に残留するトナー等の付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10は次の作像動作が可能な状態にされる。
【0058】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。中間転写装置20の二次転写位置には、第1の画像形成装置2により連続シート6上に形成された画像と同期をとって第2の案内ロール66を介して連続シート6が送り出され供給される。
【0059】
二次転写位置においては、二次転写装置30が、中間転写ベルト21上のトナー像を第1の画像形成装置2により画像が形成された連続シート6に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置27が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0060】
続いて、トナー像が二次転写された連続シート6は、中間転写ベルト21と二次転写ロール30から剥離された後に定着装置40まで搬送される。定着装置40では、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を連続シート6に定着させる。最後に、定着が終了した後の連続シート6は、第2の画像形成装置3の外部に排出され、搬送ロール67,68を介して回収装置5の回収ロール69に巻き取られる。
【0061】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された連続シート6が出力される。
【0062】
また、第1の画像形成装置2の4つの作像装置10(W,T,G,S)では、第2の画像形成装置4の画像形成動作に先立って、第2の画像形成装置3と同様の工程を経て、4色(W,T,G,S)のうちいずれか1色以上のトナー像が連続シート6上に形成される。第1の画像形成装置2には、供給装置4の給紙ロール64から連続シート6が第1の案内ロール65を介して供給される。また、第1の画像形成装置2で画像が形成された連続シート6は、搬送装置9の搬送ロール対91,92及び第2の案内ロール66を介して第2の画像形成装置4へと搬送される。」
f 「【0079】
このとき、第1の画像形成装置2における定着装置401の定着温度と第2の画像形成装置3における定着装置402の定着温度を等しい温度であってトナー像を連続シート6上に定着可能な相対的に高い温度(例えば、185℃程度)に設定した場合には、第1の画像形成装置2においてホワイト(W),透明(T),ゴールド(G)及びシルバー(S)のトナー像を第1の定着装置401によって連続シート6上に定着する際に、図10に示されるように、連続シート(メディア)6が第1の定着装置401における加熱によって収縮する。図10は、連続シート6が第1の定着装置401のニップ部Nを通過した後の時間経過を横軸、当該連続シート6に生じる収縮率を縦軸とし、定着温度を135℃、160℃、185℃と変化させた場合における連続シート6に生じる収縮率の変化を求めたものである。連続シート6としてはラベル紙を用いている。連続シート6の収縮率は、定着温度が185℃の場合0.20%に達する。そのため、第1の画像形成装置2において連続シート6上にホワイト(W),透明(T),ゴールド(G)及びシルバー(S)の少なくとも1色以上のトナー像を185℃の定着温度で定着した場合には、連続シート6に0.20%程度の収縮が生じる。
【0080】
その結果、引き続いて第2の画像形成装置3においてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像を、ホワイト(W),透明(T),ゴールド(G)及びシルバー(S)の少なくとも1色以上のトナー像が既に形成された連続シート6上に転写する際、連続シート6には0.20%程度の収縮が生じており、第1の画像形成装置2で形成された画像に対して第2の画像形成装置2で形成される画像の位置が連続シート6の収縮に応じてずれてしまい、画像の位置ずれが発生する。
【0081】
そこで、この実施の形態では、第1の画像形成装置2における定着装置401の定着温度T1を第2の画像形成装置3における定着装置402の定着温度T2よりも低く(T1<T2)設定することで、第1の画像形成装置2における定着装置401によって生じる連続シート6の収縮(変形)を低減している。第1の画像形成装置2における定着装置401の定着温度T1は、連続シート6の材質やサイズ等によっても異なるが、第2の画像形成装置3における定着装置402の定着温度T2より5~50℃低く設定される。第1及び第2の定着装置401,402における温度差が5℃未満の場合には、連続シート6上の画像位置ずれ抑制効果を十分得ることができず、温度差が50℃を越える場合には、第1の画像形成装置2の定着装置401における定着温度T1が過剰に低温となり、定着装置401において低温オフセット等の定着不良が発生するため好ましくない。第1の画像形成装置2における定着装置401の定着温度T1と第2の画像形成装置3における定着装置402の定着温度T2との差は、20~30℃に設定するのが更に望ましい。」
g 「【0086】
<画像形成装置の特徴部分の動作>
この実施の形態1において、第1及び第2の画像形成装置2,3は、制御装置100から画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、上述したように、第1の画像形成部1061及び第2の画像形成部1062における4つの作像装置10、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
【0087】
第1の画像形成装置2においては、連続シート6上にホワイト(W),透明(T),ゴールド(G)及びシルバー(S)の少なくとも1色以上のトナー像が転写された後、第1の定着装置401において定着ベルト41と加圧ロール42が圧接するニップ部Nを通過することにより、連続シート6上にホワイト(W),透明(T),ゴールド(G)及びシルバー(S)の少なくとも1色以上のトナー像が定着される。
【0088】
このとき、第1の画像形成装置2における定着装置401の定着温度T1は、例えば、140℃に設定されている。そのため、連続シート6上に定着されたホワイト(W),透明(T),ゴールド(G)及びシルバー(S)の少なくとも1色以上のトナー像は、図11に示されるように、低温オフセット等の定着不良が発生することなく、連続シート6上に定着される。
【0089】
その後、第2の画像形成装置3においては、連続シート6上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が転写された後、定着装置402において定着ベルト41と加圧ロール42が圧接するニップ部Nを通過することにより、連続シート6上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が定着される。このとき、第2の画像形成装置3における定着装置402の定着温度T2は、例えば、160℃に設定されている。そのため、連続シート6上に定着されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のカラーのトナー像は、図11に示されるように、発色性が良好な状態で定着される。また、ホワイト(W),透明(T),ゴールド(G)及びシルバー(S)の特定色のトナー像は、定着性も良好であり、しかも、定着装置402による2度目の定着処理を受けるため、連続シート6上に安定した状態で定着される。
【0090】
このように、上記実施の形態1では、第1及び第2の画像形成装置2,3における定着温度T1,T2を従来の定着温度と等しい相対的に高い同一の温度に設定した場合に比較して、図10に示されるように、第1の画像形成装置2における定着後の連続シート6の収縮率を0.05%程度と低い値に抑えることができ、連続シート6上に第2の画像形成装置3にて形成される画像との間に位置ずれが生じることが抑制される。」
h 「【図1】
[図:0001392752000001.jpg]
」
i 図1より、第1の画像形成装置2において、作像装置10W、10Sは、中間転写ベルト21の矢印Bで示す方向である回転方向上流側から、作像装置10W、作像装置10Sの順に配置されていることが看取できる。
また、図1より、第2の画像形成装置3において、作像装置10Y、10M、10C、10Kは、中間転写ベルト21の矢印Bで示す方向である回転方向上流側から、作像装置10Y、作像装置10M、作像装置10C、作像装置10Kの順に配置されていることが看取できる。
j 「e」で摘記したように、段落【0056】には、Y、M、C、Kの「各色のトナー像が」「順番に重ね合わせるような状態で一次転写さ」れることが記載されていることから、Y、M、C、Kの4色のトナー像は重ね合わせられていると認められ、S、Wのトナー像についても、同様に重ね合わせられていると推認できる。
そして、中間転写ベルトにおいて、中間転写ベルトの回転方向上流側に配置された作像装置が形成するトナー像が、中間転写ベルトの回転方向下流側に配置されている作像装置が形成するトナー像の下層として形成され、さらにトナー像が二次転写ロールで2次転写されて記録媒体上に形成された場合、中間転写ベルトの回転方向上流側に配置された作像装置が形成するトナー像が、中間転写ベルトの回転方向下流側に配置されている作像装置が形成するトナー像の上層として形成されることは技術常識であると認められる。
そして、上記「i」の事項を踏まえると、第1の画像形成装置2においては、連続シート6上において、下から作像装置10Sが形成したトナー像、作像装置10Wが形成したトナー像の順に重ねられてトナー像が形成され、それに重なるように、第2の画像形成装置3においては、連続シート6上に、下から作像装置10Kが形成したトナー像、作像装置10Cが形成したトナー像、作像装置10Mが形成したトナー像、作像装置10Yが形成したトナー像の順に重ねられてトナー像が形成されるといえる。
すなわち、連続シート6上には、下から作像装置10Sが形成したトナー像、作像装置10Wが形成したトナー像作像装置10Kが形成したトナー像、作像装置10Cが形成したトナー像、作像装置10Mが形成したトナー像、作像装置10Yが形成したトナー像の順に重ねられてトナー像が形成されるといえる。
(イ)引用発明1について
上記(ア)の事項から、引用文献1には、以下の発明(以下、 「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「画像データに基づいて連続シート6にホワイト(W)及びシルバー(S)のトナーを用いて画像を形成する第1の画像形成部1061を備え、
画像データに基づいて連続シート6にイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを用いて画像を形成する第2の画像形成部1062を備え、
第1及び第2の画像形成部1061,1062は、現像剤4を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されるトナー像をそれぞれ保持して最終的に連続シート6に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、加熱及び加圧をして未定着のトナー像を定着させる定着装置40とを備え、
作像装置10(W,S)は、筐体1aの内部空間において1列に並べた状態となるよう配置されており、
中間転写ベルト21の回転方向上流側から、作像装置10W、作像装置10Sの順に配置されており、
作像装置10(Y,M,C,K)は、筐体1aの内部空間において1列に並べた状態となるよう配置されており、
中間転写装置20は、一次転写位置を通過しながら回転する中間転写ベルト21で構成され、
連続シート6上において、下から作像装置10Sが形成したトナー像、作像装置10Wが形成したトナー像、作像装置10Kが形成したトナー像、作像装置10Cが形成したトナー像、作像装置10Mが形成したトナー像、作像装置10Yが形成したトナー像の順に重ねられてトナー像が形成され、
作像装置10(W,S)では、作像装置10(Y,M,C,K)の画像形成動作に先立って、第2の画像形成装置3と同様の工程を経て、(W,S)のうちいずれか1色以上のトナー像が連続シート6上に形成される
画像形成システム1。」
イ 引用文献3について
(ア)引用文献3の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された本願の出願日前である平成28年4月25日に頒布された刊行物である、特開2016-61947号公報(以下、「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。
a 「【0024】
次に、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10の構成を示すブロック図であり、図2は、画像形成装置10が有する画像出力部800等を示す断面図である。画像出力部800は、白色の顔料を含有する白色色材として用いられている白のトナーと、金属色の顔料を含有する金属色色材として用いられている金属色のトナーと、白色及び金属色以外のプロセス色の顔料を含有するプロセス色顔料として用いられているシアンのトナー、マゼンタのトナー、イエローのトナー及び黒のトナーを用いて記録媒体に画像を出力するものである。
【0025】
図2に示すように、画像出力部800は画像出力部本体802を有し、画像出力部本体802内には、イエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像、黒のトナー像、例えば銀色等の金属色のトナー像、白のトナー像をそれぞれに形成するトナー像形成部810Y、トナー像形成部810M、トナー像形成部810C、トナー像形成部810K、トナー像形成部810S、トナー像形成部810Wが配置されている。トナー像形成部810Y、トナー像形成部810M、トナー像形成部810C、トナー像形成部810K、トナー像形成部810S、トナー像形成部810Wの全てを有するように画像出力部800を構成することに替えて、トナー像形成部810W及びトナー像形成部810Sと、トナー像形成部810Y、トナー像形成部810M、トナー像形成部810C及びトナー像形成部810Kの中の少なくとも1つとを有するように画像出力部800を構成しても良い。
【0026】
また、画像出力部800は、中間転写体812を有する。中間転写体812は、無端状で帯状の部材であり、図2に示す矢印方向に回転し、まず、イエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像及び黒のトナー像がトナー像形成部810Y、トナー像形成部810M、トナー像形成部810C、トナー像形成部810Kからそれぞれに転写され、次に金属色のトナー像がトナー像形成部810Sから転写され、最後に白のトナー像がトナー像形成部810Wから転写される。
【0027】
また、画像出力部800は、2次転写装置814を有する。2次転写装置814は、中間転写体812に転写されたトナー像を記録媒体に転写する。この際、最後に中間転写体812に転写された白のトナー像が他の色のトナーよりも記録媒体の表面に近い位置に配置され、その上に金属色のトナーが重ねられ、金属色のトナーのさらに上に黒のトナー像、シアンのトナー像、マゼンタのトナー像及びイエローのトナー像が重ねられた状態となる。
【0028】
また、画像出力部800は、定着装置818を有する。定着装置818は、記録媒体に転写されたトナー像を例えば熱と圧力とを用いて記録媒体に対して定着させる。定着装置818によりトナー像が定着された記録媒体は、排出口804を通過するようにして画像出力部本体802の外へと排出される。」
b「【図2】
[図:0001392752000002.jpg]
」
c 上記「a」の事項及び図2より、1つの中間転写体812上に、イエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像及び黒のトナー像をそれぞれに形成するトナー像形成部810Y、トナー像形成部810M、トナー像形成部810C及びトナー像形成部810Kに加え、これらの中間転写体812の回転方向下流側に、銀色等の金属色のトナー像及び白のトナー像をそれぞれに形成するトナー像形成部810S及びトナー像形成部810Wも配置し、これらのトナー像形成部により形成されたトナー像を定着手段818により記録媒体に定着させるものであると認められる。
(イ)引用発明3について
上記(ア)より、引用文献3には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「画像出力部800を有し、
画像出力部800は画像出力部本体802を有し、画像出力部本体802内には、イエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像、黒のトナー像、例えば銀色等の金属色のトナー像、白のトナー像をそれぞれに形成するトナー像形成部810Y、トナー像形成部810M、トナー像形成部810C、トナー像形成部810K、トナー像形成部810S、トナー像形成部810Wが配置されており、
画像出力部800は、中間転写体812を有し、中間転写体812は、イエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像及び黒のトナー像がトナー像形成部810Y、トナー像形成部810M、トナー像形成部810C、トナー像形成部810Kからそれぞれに転写され、次に金属色のトナー像がトナー像形成部810Sから転写され、最後に白のトナー像がトナー像形成部810Wから転写され、
画像出力部800は、2次転写装置814を有する。2次転写装置814は、中間転写体812に転写されたトナー像を記録媒体に転写し、この際、最後に中間転写体812に転写された白のトナー像が他の色のトナーよりも記録媒体の表面に近い位置に配置され、その上に金属色のトナーが重ねられ、金属色のトナーのさらに上に黒のトナー像、シアンのトナー像、マゼンタのトナー像及びイエローのトナー像が重ねられた状態となり、
1つの中間転写体812上に、イエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像及び黒のトナー像をそれぞれに形成するトナー像形成部810Y、トナー像形成部810M、トナー像形成部810C及びトナー像形成部810Kに加え、これらの中間転写体812の回転方向下流側に、銀色等の金属色のトナー像及び白のトナー像をそれぞれに形成するトナー像形成部810S及びトナー像形成部810Wも配置し、これらのトナー像形成部により形成されたトナー像を定着手段818により記録媒体に定着させる
画像形成装置10。」
(3)当審における判断
ア 対比
本願補正発明と引用発明1とを対比すると、以下のことがいえる。
(ア)引用発明1の「画像形成システム1」は、第1の画像形成部1061、第2の画像形成部1062、複数の作像装置10、中間転写装置20、及び定着装置40とを備えるものであるから、引用発明1の「画像形成システム1」は、本願補正発明の「画像形成装置」に相当する。
(イ)引用発明1の「一次転写位置を通過しながら回転する中間転写ベルト21」は、当然、回転することにより移動するものと認められ、トナー像を保持するものであるとも認められることから、引用発明1の「回転する中間転写ベルト21」は、本願補正発明の「回転移動する像保持体」に相当する。
(ウ)引用発明1の「作像装置10W」、「作像装置10S」及び「作像装置10Y,10M,10C,10K」は、それぞれ本願補正発明の「白色トナーを用いて白色トナー画像を形成する第1画像形成手段」、「銀トナーを用いて銀トナー画像を形成する第2画像形成手段」及び「白色及び銀以外の複数色のトナーを用いて各色の重ねトナー画像を形成する第3画像形成手段」に相当する。
(エ)引用発明1は、「下から作像装置10Sが形成したトナー像、作像装置10Wが形成したトナー像、作像装置10Kが形成したトナー像、作像装置10Cが形成したトナー像、作像装置10Mが形成したトナー像、作像装置10Yが形成したトナー像の順に重ねられてトナー像が形成され」るものであるから、引用発明1の「加熱及び加圧をして未定着のトナー像を定着させる定着装置40」は、本願補正発明の「白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、」「少なくとも熱によって定着させる定着手段」に相当する。
(オ)引用発明1の「中間転写ベルト21の回転方向上流側から、作像装置10W、作像装置10Sの順に配置されており」は、本願補正発明の「前記第2画像形成手段が前記第1画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置されている」に相当する。
(カ)上記(ア)~(オ)から、本願補正発明と引用発明1とは、以下の点で一致する。
[一致点]
「回転移動する像保持体と、
白色トナーを用いて白色トナー画像を形成する第1画像形成手段と、銀トナーを用いて銀トナー画像を形成する第2画像形成手段と、白色及び銀以外の複数色のトナーを用いて各色の重ねトナー画像を形成する第3画像形成手段と、白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、少なくとも熱によって定着させる定着手段と、を備え、」「前記第2画像形成手段が前記第1画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置されている、」「画像形成装置。」
(キ)そして、本願補正発明と引用発明1とは、以下の点で相違する。
[相違点1]
本願補正発明が「請求項1ないし11のいずれか1項に記載の記録媒体を形成する画像形成装置であ」るのに対し、引用発明1は、その点について明記はされていない点。
[相違点2]
本願補正発明において、「定着手段」は、「白色以外の有色又は透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」ものであるのに対し、引用発明1において、「定着装置40」は、「白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、」「少なくとも熱によって定着させる」ものであるものの、「白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像」が「白色以外の有色又は透明の記録媒体本体上に形成される」ものであるとは特定されておらず、少なくとも熱よって定着されるのが「白色以外の有色の記録媒体本体」であるとは特定されていない点。
[相違点3]
本願補正発明は、「前記第1画像形成手段と前記第2画像形成手段とが前記第3画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置され」ているに対し、引用発明1はそのような特定を有していない点。
イ 判断
上記相違点について、以下において検討する。
(ア)[相違点1]について
本願補正発明において、「画像形成装置」を特定する「請求項1ないし11のいずれか1項に記載の記録媒体を形成する」との記載は、「画像形成装置」自体の構造、機能等を何ら特定するものではない。
してみると、相違点1は、実質的な相違点ではない。
(イ)[相違点2]について
本願補正発明において、記録媒体は「画像形成装置」自体の構成要素ではないところ、「白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像」が「白色以外の有色又は透明の記録媒体本体上に形成される」点や、少なくとも熱よって定着されるのが「白色以外の有色の記録媒体本体」である点は、「定着装置」を含め「画像形成装置」自体の構造、機能等を何ら特定するものではない。
してみると、相違点2は、実質的な相違点ではない。
(ウ)[相違点3]について
まず、引用発明3は、1つの中間転写体812上に、イエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像及び黒のトナー像をそれぞれに形成するトナー像形成部810Y、トナー像形成部810M、トナー像形成部810C及びトナー像形成部810Kに加え、これらの中間転写体812の回転方向下流側に、銀色等の金属色のトナー像及び白のトナー像をそれぞれに形成するトナー像形成部810S及びトナー像形成部810Wも配置するものであるから、相違点3の構成を有しているといえる。
次に、引用発明1は、引用文献1の段落【0006】、【0079】~【0081】、【0086】~【0090】の記載からみて、画像形成部を2つ設け、それぞれの画像形成部の定着装置によって定着を行った場合、記録媒体の収縮に起因する色ずれが生じることを課題としたものであると認められる。また、引用発明3は多色のトナー像を重ねているのであるから、当然画像の位置ずれを防止したいという潜在的な課題を有していると認められる。そうすると、引用発明1に、引用発明3を適用する動機付けがあるといえる。
そして、引用発明3のように、一つの中間転写体に、イエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像及び黒のトナー像を形成するトナー像形成部のみならず、銀色等の金属色のトナー像を形成するトナー像形成部及び白のトナー像を形成するトナー像形成部を配置し、定着手段により記録媒体に定着させる構成であれば、そもそも画像形成部間において定着が行われないので、定着による記録媒体の収縮に起因した色ずれが生じなくなることは、当業者にとって自明な事項である。
してみると、引用発明1において、定着による記録媒体の収縮に起因した色ずれを解消するために、引用発明3の一つの中間転写体に、イエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像及び黒のトナー像を形成するトナー像形成部のみならず、銀色等の金属色のトナー像を形成するトナー像形成部及び白のトナー像を形成するトナー像形成部を配置し、定着手段により記録媒体に定着させる構成を適用することは、当業者が容易になし得たことである。
そして、連続シート6上において、下から作像装置10Sが形成したトナー像、作像装置10Wが形成したトナー像作像装置10Kが形成したトナー像、作像装置10Cが形成したトナー像、作像装置10Mが形成したトナー像、作像装置10Yが形成したトナー像の順に重ねられてトナー像が形成されるものである引用発明1に対して、引用発明3の一つの中間転写体に、イエローのトナー像、マゼンタのトナー像、シアンのトナー像及び黒のトナー像を形成するトナー像形成部のみならず、銀色等の金属色のトナー像を形成するトナー像形成部及び白のトナー像を形成するトナー像形成部を配置し、定着手段により記録媒体に定着させる構成を適用した場合、中間転写ベルトにおいて、中間転写ベルトの回転方向上流側に配置された作像装置が形成するトナー像が、中間転写ベルトの回転方向下流側に配置されている作像装置が形成するトナー像の下層として形成され、さらにトナー像が二次転写ロールで2次転写されて記録媒体上に形成された場合、中間転写ベルトの回転方向上流側に配置された作像装置が形成するトナー像が、中間転写ベルトの回転方向下流側に配置されている作像装置が形成するトナー像の上層として形成されるのが技術常識であることを踏まえると、中間転写ベルト上において、回転方向上流側から順に作像装置10Y、作像装置10M、作像装置10C、作像装置10K、作像装置10W、作像装置10Sの順に配置されている構成、すなわち、「前記第1画像形成手段と前記第2画像形成手段とが前記第3画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置され、前記第2画像形成手段が前記第1画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置されている」構成となると認められる。
(エ)効果について
そして、本願補正発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1及び引用発明3から、当業者が予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(オ)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明1及び引用発明3から当業者が容易に想到し得たものである。
(カ)審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、「請求項12に係る発明は、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の記録媒体を形成する画像形成装置に関する発明であり、請求項1ないし11に係る発明のいずれもが特許性を具備する以上、請求項12に係る発明が特許性を具備することは明らかである。」と主張している。
しかしながら、上述したように、「請求項1ないし11のいずれか1項に記載の記録媒体を形成する」との記載は、「画像形成装置」自体の構造、機能等を何ら特定するものではないから、「請求項1ないし11に係る発明のいずれもが特許性を具備する以上、請求項12に係る発明が特許性を具備することは明らかである」という主張は採用できない。
よって、審判請求人の主張は採用できない。
(キ)小括
したがって、本願補正発明は、引用文献1及び引用文献3に記載された発明から当業者が容易に想到し得たものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
また、仮に、本件補正が、同法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると解したとしても、本件補正後の請求項12に係る発明は、独立して特許を受けることができないものであるから、やはり、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項12に係る発明は、令和3年7月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項12に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項12】
回転移動する像保持体と、
白色トナーを用いて白色トナー画像を形成する第1画像形成手段と、銀トナーを用いて銀トナー画像を形成する第2画像形成手段と、白色及び銀以外の複数色のトナーを用いて各色の重ねトナー画像を形成する第3画像形成手段と、白色以外の有色の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる定着手段と、を備え、
前記第1画像形成手段と前記第2画像形成手段とが前記第3画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置され、前記第2画像形成手段が前記第1画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置されている、
ことを特徴とする画像形成装置。」(以下、「本願発明」という。)
2 原査定の拒絶の理由
令和3年9月22日付け拒絶査定の備考の「●理由1(特許法第29条第2項)について」に
「・請求項 1-9,12
・引用文献等 1-3」
「請求項12について、引用文献1に記載された第1及び第2の画像形成装置を、引用文献3のような画像形成手段及び像坦持体を備えた画像形成装置とし、本願の「前記第1画像形成手段と前記第2画像形成手段とが前記第3画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置され、前記第2画像形成手段が前記第1画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置されている、・・・・画像形成装置」となすことは、当業者にとっては容易である。」
「<引用文献等一覧>
1.特開2016-161702号公報
2.特開2017-044739号公報
3.特開2016-061947号公報」
と説示されていることを踏まえると、原査定の理由は、この出願の請求項12に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記引用文献1及び引用文献3に記載された発明から、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものであると認められる。
引用文献1.特開2016-161702号公報
引用文献3.特開2016-61947号公報
3 特許法第29条第2項に規定する要件について
ア 引用文献について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献3の記載事項及び引用発明1及び引用発明3は、それぞれ「第2 3(2)において摘示及び認定したとおりである。
イ 対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、「請求項1ないし11のいずれか1項に記載の記録媒体を形成する画像形成装置であ」るという限定を省き、本願補正発明において、「定着手段」に関し、「白色以外の有色又は透明の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」とされていたものの「白色以外の有色又は透明の記録媒体本体上」を、「白色以外の有色の記録媒体本体上」としたものであると認められる。
そうすると、本願発明と引用発明1とを対比すると、以下の相違点2A、3のみで相違し、その余の点で一致する。
[相違点2A]
本願発明においては、「定着手段」は、「白色以外の有色の記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、前記白色以外の有色の記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」ものであるのに対し、引用発明1において、「定着装置40」は、「記録媒体本体上に形成された白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像を、」「記録媒体本体に少なくとも熱によって定着させる」ものであるものの、「白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像」が「白色以外の有色の記録媒体本体上に形成される」ものであるとは特定されておらず、少なくとも熱よって定着されるのが「白色以外の有色の記録媒体本体」であるとは特定されていない点。
[相違点3]
本願発明は、「前記第1画像形成手段と前記第2画像形成手段とが前記第3画像形成手段よりも前記像保持体の回転移動方向下流側に配置され」ているのに対し、引用発明1は、そのような特定を有していない点。
上記相違点について、以下において検討する。
(ア)[相違点2A]について
本願発明において、記録媒体は「画像形成装置」自体の構成要素ではないところ、「白色トナー画像、銀トナー画像及び各色の重ねトナー画像」が「白色以外の有色の記録媒体本体上に形成される」点や、少なくとも熱よって定着されるのが「白色以外の有色の記録媒体本体」である点は、「定着装置」や「画像形成装置」自体の構造、機能等を何ら特定するものではない。
してみると、相違点2Aは、実質的な相違点ではない。
(イ)[相違点3]について
相違点3については、「第2 3(3)イ(ウ)」で検討したとおり、引用発明1及び引用発明3から当業者が容易に想到し得たものである。
そして、本願発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1及び引用発明3から、当業者が予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
よって、本願発明は、引用発明1及び引用発明3から当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1及び引用文献3に記載された発明から当業者が容易に想到し得たものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-016416