2021-012918
タンポンを製造するための方法
- 審判番号
- 2021-012918
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-566679外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年09月27日
- 審決日
- 2022年10月18日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (A61F) / P18 .575-WZ (A61F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、2016(平成28)年6月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年6月25日、オーストリア国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年5月21日付け 拒絶理由通知書
令和2年12月2日 誤訳訂正書、意見書の提出
令和3年5月18日付け 拒絶査定
令和3年9月27日 審判請求書の提出、同時に手続補正書の提出
第2 令和3年9月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年9月27日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項11の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項11】吸収性材料から成る少なくとも1つの吸収体(6)を備えたタンポン(1)であって、当該タンポン(1)は、近位端部(2)と、遠位端部(3)と、該遠位端部と前記近位端部との間に延在する中間部と、前記遠位端部(3)に配置されて前記吸収体に結合された引出手段(5)と、を有しているものにおいて、当該タンポンは、前記引出手段(5)用の貫通開口(13)を除いて少なくとも前記遠位端部(3)を完全に覆い、前記遠位端部(3)における繊維離脱を防ぐ、少なくとも6g/m2の単位面積当たりの重量を有する不織布のストリップ(4)から成るカバーであって、前記吸収性材料及び前記ストリップ(4)が巻成体(9)を形成し、前記吸収性材料を超えて少なくとも前記巻成体(9)の半径に相当する幅(b)だけ張り出した前記不織布の張り出した部分が接続されて閉じたスリーブとして前記カバーを形成する、カバーを有しており、該カバーによって、付加的に液体流出防護手段が形成されていることを特徴とする、タンポン。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和2年12月2日に提出された誤訳訂正書により誤訳訂正された特許請求の範囲の請求項11の記載は次のとおりである。
「【請求項11】吸収性材料から成る少なくとも1つの吸収体(6)を備えたタンポン(1)であって、当該タンポン(1)は、近位端部(2)と、遠位端部(3)と、該遠位端部と前記近位端部との間に延在する中間部と、前記遠位端部(3)に配置されて前記吸収体に結合された引出手段(5)と、を有しているものにおいて、当該タンポンは、前記引出手段(5)用の貫通開口(13)を除いて少なくとも前記遠位端部(3)を完全に覆い、前記遠位端部(3)における繊維離脱を防ぐ、少なくとも6g/m2の単位面積当たりの重量を有する不織布のストリップ(4)または液体透過性シートから成るカバーを有しており、該カバーによって、付加的に液体流出防護手段が形成されていることを特徴とする、タンポン。」
2 補正の適否
(1)上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「カバー」について、「少なくとも6g/m2の単位面積当たりの重量を有する不織布のストリップ(4)または液体透過性シート」における選択肢の一部である「液体透過性シート」を削除するとともに、「前記吸収性材料及び前記ストリップ(4)が巻成体(9)を形成し、前記吸収性材料を超えて少なくとも前記巻成体(9)の半径に相当する幅(b)だけ張り出した前記不織布の張り出した部分が接続されて閉じたスリーブとして前記カバーを形成する」というとの限定を付加するものであって、補正前の請求項11に記載された発明と補正後の請求項11に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項11に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(2)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(3)引用文献
ア 以下の引用文献を参照する。
イ 引用文献1には以下の記載がある。
「考案の詳細な説明本考案は弾状に圧縮成形した腟内挿入用の生理用圧縮タンポンの改良に関するものである。脱脂綿を適宜幅に裁断し、これに紐を添着して該裁断片をロール状に巻着した後に、圧縮成型機にかけて、弾状の圧縮タンポンとしたものは既に公知であるが、このタンポンによればその使用時に脱脂綿の繊維がほぐれて、その繊維の一部が腟内に残留することがあり得る事から、それが腟炎の要因となる事があつた。又従来のタリポンでは経水の漏水を防ぐ構造を有していないためにその経水が外部に漏出される等の欠点があつた。続きを表示(全11行)本考案は、かかる欠点を除去するためになされたもので、適宜幅の帯状に裁断した脱脂綿又は生理用吸水紙等よりなる経水吸水体と、該脱脂綿の幅よりも幅広に裁断した帯状不織布とを有し、前記経水吸水体に引出し紐を巻きつけて該経水吸水体をロール状にし、次いでそのロール状経水吸水体の外周には前記幅広不織布の両側縁がロール状経水吸水体の両側縁よりも延出される様にして該不織布を巻き施すと共に、前記引出し紐が引出されている側の不織布辺縁には撥水剤を含浸又は塗布せしめ、これを圧縮成型機により不織布延出縁を内方向に絞ませて、弾状に圧縮成型せしめた生理用圧縮タンポンである。従つて、本考案よりなる圧縮タンポンはその表面が不織布により被覆されていることから、従来の如く脱脂綿の繊維が腟内に残留するおそれがなく、又該タンポンの底部となる部分には撥水剤が塗布又は含浸された不織布によって被包されていることから、経水の漏出を防止することができる等の特長がある。以下に本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。1は帯状に裁断し、幅aを有する脱脂綿又は生理用吸水紙等による経水吸水体、2はその経水吸水体1の幅よりも広幅とした幅bを有する不織布で、該不織布2の両側辺縁2’及ぴ2”は前記経水吸水体1の上下両側縁よりも延出される様に成形されているが更にその辺縁2’には撥水剤3が塗布又は含浸されている。4は引出し紐、5は貼着糊の塗布部である。次にその成形についての例を述べると先ず第1図に示す如く、帯状の経水吸水体1の中央部に引出紐4を結合せしめ、その両端を下方向に出す。次いで経水吸水体1を第2図に示す如く2つ折とし、更にこの折曲部が中央となる様にして渦状に巻回せしめる。そしてこの経水吸水体1の巻終り端部には不織布2の一側端2”を挟み込み、更に該不織布2を前記ロール状経水吸水体1の周側に沿つて巻き被せ、第3図及ぴ第4図に示す如き形状とするが、この時不織布2の上下両側辺縁2’と2”は経水吸水体1の上下両側縁よりも互に外方に延出せられる様に経水吸水体1を位置せしめ且つその不織布2の引出紐4が引き出されている側の辺縁2’に撥水剤3が含浸されているものである。次いでこのロール状生理綿を圧縮機にかけて第5図に示す如きの弾状圧縮タンポンを成形するがこの時不織布2の延出される辺縁2’及び2”は中央方向に絞ませられるので該不織布2により経水吸水体1を包被することができるものである。上記の如く本考案よりなる圧縮タンポンによればその使用時に於いて底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部表面には撥水剤が含浸又は塗布されていることから、使用時に於ける経水の漏水が効果的に防止することかできると共にその圧縮タンポンの表面は不織布で包被されていることから経水吸水体の繊維がほぐれて腔内に残存する等のことなく、従来の欠点を一掃することができる。」(第1欄第18行~第3欄第13行)
「[図:0001395722000001.jpg][図:0001395722000002.jpg][図:0001395722000003.jpg][図:0001395722000004.jpg][図:0001395722000005.jpg]」
引用文献1の第2欄第29行~第3欄第13行には、
「更に該不織布2を削記ロール状経水吸水体1の周側に沿つて巻き被せ、第3図及ぴ第4図に示す如き形状とするが、この時不織布2の上下両側辺縁2’と2”は経水吸水体1の上下両側縁よりも互に外方に延出せられる様に経水吸水体1を位置せしめ且つその不織布2の引出紐4が引き出されている側の辺縁2’に撥水剤3が含浸されているものである。次いでこのロール状生理綿を圧縮機にかけて第5図に示す如きの弾状圧縮タンポンを成形するがこの時不織布2の延出される辺縁2’及び2”は中央方向に紋ませられるので該不織布2により経水吸水体1を包被することができるものである。上記の如く本考案よりなる圧縮タンポンによればその使用時に於いて底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部表面には撥水剤が含浸又は塗布されていることから、使用時に於ける経水の漏水が効果的に防止することかできると共にその圧縮タンポンの表面は不織布で包被されていることから経水吸水体の繊維がほぐれて腔内に残存する等のことなく、従来の欠点を一掃することができる。」
と記載されており、当該記載を踏まえて第3図~第5図を対比して参照すると、引出し紐4の引き出されている側が圧縮タンポンの使用時に於いて底部となる側であるから、第5図には、弾性圧縮タンポンが、その使用時において頂部となる側の端部があること、また、その使用時において頂部となる側の端部と底部となる側の端部との間に延在する中間部があることが示されているといえる。
同様に引用文献1の第2欄第29行~第3欄第13行の記載を踏まえて第5図を参照すると、第5図には、不織布2の延出される辺縁2’が、中央方向に絞ませられて、弾性圧縮タンポンの使用時に於いて底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部表面を覆うことが示されているといえる。
したがって、引用文献1には、以下の引用発明が記載されていると認められる。
<引用発明>
「帯状であり、脱脂綿又は生理用吸水紙等による経水吸水体1を渦状に巻回せしめたロール状経水吸水体と、帯状の経水吸水体1の中央部に結合せしめられた引出紐4と、経水吸水体1の幅よりも広幅とした幅bを有する不織布であって、該不織布2の両側辺縁2’及び2”は前記経水吸水体1の上下両側縁よりも延出される様に成形され、その辺縁2’には撥水剤3が塗布又は含浸されており、ロール状経水吸水体の周側に沿って巻き被せられるとともに辺縁2’及び2”が中央方向に絞ませられてロール状経水吸水体を包被する、不織布と、を備え、その使用時において底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部と、その使用時において頂部となる側の端部と、また、その使用時において頂部となる側と底部となる側との間に延在する中間部と、を有し、不織布の延出される辺縁2’が、中央方向に絞ませられて、弾性圧縮タンポンの使用時において底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部表面を覆っており、使用時において底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部表面には撥水剤が含浸又は塗布されていることから、使用時における経水の漏水が効果的に防止することかできると共にその圧縮タンポンの表面は不織布で包被されていることから経水吸水体の繊維がほぐれて腔内に残存する等のことがない、弾状圧縮タンポン。」
ウ タンポンのカバーとなる不織布の単位面積当たりの重量に関する周知技術
引用文献2には以下の記載がある。(下線は強調のため当審が付した。)
「【0027】図1は、本発明の吸収性タンポン20の一実施形態を示している。タンポン20の圧縮した吸収性部材22(「吸収性コア」と呼ばれることがある)は、外側表面26を有する。圧縮した吸収性部材22は内側区域24を有する。圧縮した吸収性部材22の外側表面26は、流体透過性外包40によってほぼ覆われる。流体透過性外包40は、圧縮した吸収性部材22への及び同部材内への粘稠な流体の流れを改善し得る複数の開口25を含み得る。また、流体透過性外包は伸びて、スカート部分44を提供し得る。一実施形態では、タンポン20はひもなどの引き抜き手段48を含む。」
「【0036】開口を形成する前の不織布外包の坪量は、1m2当たり約10~約60g(g/m2)、あるいは約15~約30g/m2であってもよい。合成繊維が使用される場合、疎水性の仕上げ及び/又は親水性の仕上げを有してもよいが、上記のように、不織布の繊維は、好ましくは吸収性部材に対して疎水性にされる。」
引用文献3には以下の記載がある。(下線は強調のため当審が付した。)
「【0026】このように作用する被覆材13には、熱可塑性合成繊維で形成された不織布や熱可塑性合成樹脂で形成された開孔プラスチックフィルム、熱可塑性合成樹脂で形成されたネット等のシート材料を使用することができる。不織布であれば、例えば繊度が0.1-5dtexの範囲にある熱可塑性合成繊維で形成され、単位面積あたりの質量が8-35g/m2の範囲にあるスパンボンド不織布やスパンレース不織布を、好ましくは親水化処理した状態で使用することができる。熱可塑性合成繊維はフィラメントであっても、ステープルであってもよいが、被覆材13においての繊維の毛羽立ちや繊維の脱落を防ぐためには、フィラメントであることが好ましい。また、フィラメントを使用すれば、ステープルを使用する場合に比べ、被覆材13において存在する熱可塑性合成繊維の末端部分の数を減少させることが可能であり、その末端部分によって皮膚を刺激するという問題の発生を抑えることができる。タンポン2の部位19(図1参照)において最外層6と内層7とを加熱下でのエンボス加工によって接合する場合には、熱可塑性合成繊維として、鞘成分がポリエチレンであって、芯成分がポリエステル、ナイロン、またはポリプロピレンである複合繊維を使用すると、エンボス加工を低温かつ短時間で済ませることが可能になる。スポンジで形成された吸収体12は、それに引っ張る力や曲げる力、ねじる力等が作用したときに容易に破断してスポンジの小片を生じるということがある。膣腔に挿入されているときの吸収体12からそのような小片が生じても、被覆材13は、生理用タンポン1を抜き取った後に、その小片が膣腔内に残ることがないように作用するものであることが好ましい。そのような被覆材13には、通気抵抗値が0.005-0.035KPa・s/mの範囲にある不織布や開孔プラスチックフィルム、ネット等のシート材料を使用することが好ましい。通気抵抗値が0.005KPa・s/m未満であるシート片はスポンジの小片の通過する可能性が高く、通気抵抗値が0.035KPa・s/mを越えるシート片は経血の透過に時間がかかるようになるので好ましいものではない。通気抵抗値は、カトーテック(株)製のKES-F8-AP1通気性試験機、またはそれと同等の試験器によって測定される値である。なお、被覆材13は、体液を吸収して膨潤しようとするタンポン2の動きを拘束することがないように伸長可能であるか、または弾性的な伸長と収縮とが可能なものであることが好ましい。」
よって、引用文献2~3に示されるように、タンポンを覆う不織布として単位面積当たりの重量が8~60g/m2程度のものを用いることは周知の技術である。
(4)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「脱脂綿又は生理用吸水紙等による経水吸水体」は、本件補正発明の「吸収性材料から成る少なくとも1つの吸収体」に相当する。
引用発明の「弾状圧縮タンポン」は、本件補正発明の「タンポン」に相当する。
引用発明の「その使用時において頂部となる側の端部」は、使用時の状態を考慮すると、本件補正発明の「近位端部」に相当する。
引用発明の「その使用時において底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部」は、使用時の状態を考慮すると、本件補正発明の「遠位端部」に相当する。
引用発明の「中間部」は、本件補正発明の「中間部」に相当する。
引用発明の「引出し紐4」は、本件補正発明の「引出手段」に相当する。
引用発明の「不織布」は、引用文献1の第1図によれば、ロール状経水吸水体の周側に沿って巻き被せられる帯状のものであることを考慮すればストリップといえ、また、弾性圧縮タンポンの使用時において底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部表面を覆っており、さらに圧縮タンポンの表面が不織布で包被されていることにより経水吸水体の繊維がほぐれて腔内に残存する等のことがないという効果もあるものであるから、本件補正発明の「少なくとも前記遠位端部(3)を」「覆い、前記遠位端部(3)における繊維離脱を防ぐ」「不織布のストリップ(4)」に相当する。
引用発明の「不織布」によるロール状経水吸水体を包被する構造は、本件補正発明の「カバー」に相当する。
引用発明の「引出し紐4の引き出されている」部位は、本件補正発明の「前記引出手段(5)用の貫通開口(13)」に相当する。
引用発明の「渦状に巻回せしめたロール状経水吸水体」と「ロール状経水吸水体の周側に沿って巻き被せられる」「不織布」は、本件補正発明の「巻成体」に相当する。
引用発明の「辺縁2’」は、その配置からみて、本件補正発明の「前記吸収性材料を超えて」「張り出した前記不織布の張り出した部分」に相当する。
引用発明の「撥水剤3が塗布又は含浸されており、」「中央方向に絞ませられて、弾性圧縮タンポンの使用時において底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部表面を覆って」いる「辺縁2’」は、「端部表面には撥水剤が含浸又は塗布されていることから、使用時における経水の漏水が効果的に防止することかできる」ものであり、当該漏水防止の効果を付加するものであるから、本件補正発明の「付加的に」形成される「液体流出防護手段」に相当する。
すると、本件補正発明と引用発明とは、以下に示す一致点で一致し、相違点で相違する。
<一致点>
吸収性材料から成る少なくとも1つの吸収体を備えたタンポンであって、当該タンポンは、近位端部と、遠位端部と、該遠位端部と前記近位端部との間に延在する中間部と、前記遠位端部に配置されて前記吸収体に結合された引出手段と、を有しているものにおいて、
当該タンポンは、前記引出手段用の貫通開口を除いて少なくとも前記遠位端部を覆い、前記遠位端部における繊維離脱を防ぐ、不織布のストリップから成るカバーであって、前記吸収性材料及び前記ストリップが巻成体を形成し、前記吸収性材料を超えて張り出した前記不織布の張り出した部分によりカバーを形成する、カバーを有しており、該カバーによって、付加的に液体流出防護手段が形成されている、タンポン。
<相違点1>
本件補正発明の不織布のストリップは「少なくとも6g/m2の単位面積当たりの重量を有する」のに対し、引用発明の不織布の単位面積当たりの重量は不明である点。
<相違点2>
本件補正発明の不織布のストリップから成るカバーは、前記引出手段用の貫通開口を除いて少なくとも前記遠位端部を「完全に」覆い、また、その前記吸収性材料を超えて張り出した前記不織布の張り出した部分が「少なくとも前記巻成体の半径に相当する幅だけ」張り出し、当該不織布の張り出した部分が「接続されて閉じたスリーブとして」カバーを形成するのに対し、
引用発明の「不織布」によるロール状経水吸水体を包被する構造は、「引出し紐4の引き出されている」部位を除いて辺縁2’が弾性圧縮タンポンの使用時において底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部表面を覆っているものの、辺縁2’の張り出す幅が、渦状に巻回せしめたロール状経水吸水体とロール状経水吸水体の周側に沿って巻き被せられる不織布の「少なくとも半径に相当する」幅だけ張り出しているかは不明であり、また、辺縁2’が端部表面を「完全に」包被しているといえるか不明であり、「接続されて閉じたスリーブとしてカバーを形成」しているといえるか不明である点。
(5)各相違点について検討する。
ア 相違点1について検討する。
上記2(3)ウに示したように、タンポンのカバーとなる不織布として単位面積当たりの重量が8~60g/m2程度のものを用いることは周知の技術であるから、引用発明の不織布の単位面積当たりの重量を少なくとも6g/m2とすることは、単にタンポンのカバーとなる不織布の単位面積あたりの重量として、よく知られている値を採用したに過ぎず、当業者が適宜なし得たことである。
イ 相違点2について検討する。
引用発明は、「使用時において底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部表面には撥水剤が含浸又は塗布されていることから、使用時における経水の漏水が効果的に防止することかできると共にその圧縮タンポンの表面は不織布で包被されていることから経水吸水体の繊維がほぐれて腔内に残存する等のことがない」ものである。
してみると、不織布の、特に撥水剤が含浸または塗布された辺縁2’は、経水の漏水の防止を意図するものであるし、経水吸収体の繊維を通さないことを意図したものである。
すると、辺縁2’は、経水のような液体の漏水が防止でき、繊維を通さない程度に端部表面を覆うものである。また、辺縁2’は、経水や繊維の重み等に耐えて端部表面を覆った状態を維持できるようになっているものと解される。
してみると、引用発明は、辺縁2’が、端部表面を「完全に」包被しており、そのために「少なくとも半径に相当する」幅だけ張り出しており、包被した状態を維持できる程度に何らかの「接続」がされて「閉じた」スリーブとしてカバーを形成しているといえるものになっていると解される。
よって、相違点2は実質的な相違点とはいえない。
仮に実質的な相違点であったとしても、引用発明が意図する経水の漏水や繊維の脱落の防止といった効果を考慮すれば、経水の漏水や繊維の脱落を防止するために、また、タンポンの形状を維持するために、引用発明を、相違点2に係る本件補正発明の構成と備えたものとすることは当業者が適宜なし得たことである。
(6)まとめ
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知の技術に基いてその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明
令和3年9月27日に提出された手続補正書によりされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和2年12月2日に提出された誤訳訂正書により誤訳訂正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項11に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項11に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
第4 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~14に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
記
第5 当審の判断
1 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~3及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(3)に記載したとおりである。
2 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「脱脂綿又は生理用吸水紙等による経水吸水体」は、本願発明の「吸収性材料から成る少なくとも1つの吸収体」に相当する。
引用発明の「弾状圧縮タンポン」は、本願発明の「タンポン」に相当する。
引用発明の「その使用時において頂部となる側の端部」は、使用時の状態を考慮すると、本願発明の「近位端部」に相当する。
引用発明の「その使用時において底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部」は、使用時の状態を考慮すると、本願発明の「遠位端部」に相当する。
引用発明の「中間部」は、本願発明の「中間部」に相当する。
引用発明の「引出し紐4」は、本願発明の「引出手段」に相当する。
引用発明の「不織布」は、引用文献1の第1図によれば、ロール状経水吸水体の周側に沿って巻き被せられる帯状のものであることを考慮すればストリップといえ、また、弾性圧縮タンポンの使用時において底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部表面を覆っており、さらに圧縮タンポンの表面が不織布で包被されていることにより経水吸水体の繊維がほぐれて腔内に残存する等のことがないという効果もあるものであるから、本願発明の「少なくとも前記遠位端部(3)を」「覆い、前記遠位端部(3)における繊維離脱を防ぐ」「不織布のストリップ(4)」に相当する。
引用発明の「不織布」によるロール状経水吸水体を包被する構造は、本願発明の「カバー」に相当する。
引用発明の「引出し紐4の引き出されている」部位は、本願発明の「前記引出手段(5)用の貫通開口(13)」に相当する。
引用発明の「撥水剤3が塗布又は含浸されており、」「中央方向に絞ませられて、弾性圧縮タンポンの使用時において底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部表面を覆って」いる「辺縁2’」は、「端部表面には撥水剤が含浸又は塗布されていることから、使用時における経水の漏水が効果的に防止することかできる」ものであり、当該漏水防止の効果を付加するものであるから、本願発明の「付加的に」形成される「液体流出防護手段」に相当する。
すると、本願発明と引用発明とは、以下に示す一致点で一致し、相違点で相違する。
<一致点>
吸収性材料から成る少なくとも1つの吸収体を備えたタンポンであって、当該タンポンは、近位端部と、遠位端部と、該遠位端部と前記近位端部との間に延在する中間部と、前記遠位端部に配置されて前記吸収体に結合された引出手段と、を有しているものにおいて、
当該タンポンは、前記引出手段用の貫通開口を除いて少なくとも前記遠位端部を覆い、前記遠位端部における繊維離脱を防ぐ、不織布のストリップから成るカバーを有しており、該カバーによって、付加的に液体流出防護手段が形成されている、タンポン。
<相違点1>
本願発明の不織布のストリップは「少なくとも6g/m2の単位面積当たりの重量を有する」のに対し、引用発明の不織布の単位面積当たりの重量は不明である点。
<相違点2’>
本願発明の不織布のストリップから成るカバーは、前記引出手段用の貫通開口を除いて少なくとも前記遠位端部を「完全に」覆うのに対し、
引用発明の「不織布」によるロール状経水吸水体を包被する構造は、「引出し紐4の引き出されている」部位を除いて辺縁2’が弾性圧縮タンポンの使用時において底部となる側、即ち引出し紐4の引き出されている側の端部表面を覆っているものの、辺縁2’が端部表面を「完全に」包被しているといえるか不明である点。
(2)各相違点について検討する。
ア 相違点1について検討する。
相違点1については上記第2 2(5)アにおいて既に検討したとおりである。
イ 相違点2’について検討する。
上記第2 2(5)イにおいて相違点2について検討したのと同様に、相違点2’は実質的な相違点とはいえないか、または、仮に実質的な相違点であったとしても当業者が適宜なし得たことである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の技術に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-012918