特許拒絶査定不服審判
2024-017608
吸収性物品
- 審判番号
- 2024-017608
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-206906外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年11月05日
- 審決日
- 2026年04月24日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ユニ・チャーム株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人一色国際特許事務所
- 分類
- P18 .575-Z (A61F) / P18 .121-Z (A61F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-206906「吸収性物品」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月24日出願公開、特開2022- 94089〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年12月14日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和6年 5月 2日付け:拒絶理由通知
同年 7月12日 :意見書及び手続補正書の提出
同月25日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 8月 6日 :原査定の謄本の送達)
同年11月 5日 :審判請求書及び手続補正書の提出
第2 令和6年11月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年11月5日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年11月5日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についての補正を含むものであり、この補正により、次の(1)に示す本件補正前の請求項1が、後記の(2)に示す本件補正後の請求項1に補正された。下線は、補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項1
「【請求項1】
展開状態において、幅方向と長手方向と厚さ方向とを有し、
一対の胴回り部と、吸収性コアを備える吸収性本体とを有する吸収性物品であって、
前記一対の胴回り部のうちの少なくとも一方は、一対のシートと、前記一対のシート間に配置された前記幅方向に伸縮する伸縮部材とを有し、
前記伸縮部材は、前記一方の前記胴回り部の前記幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され、かつ、前記幅方向の両端部が前記一対のシートに固定された一対の端部固定部を有し、
前記伸縮部材は、前記幅方向における前記端部固定部よりも内側において、前記一対のシートに固定されていない非固定部を有し、
前記非固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分を有し、
前記一方の前記胴回り部の前記幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され、かつ、前記幅方向の両端部が前記一対のシートに固定された一対の端部固定部を有し、前記幅方向において少なくとも前記非固定部と重複する領域が、前記一対のシートに固定された固定部を有する伸縮部材が設けられており、
前記非固定部を有する前記伸縮部材を第1伸縮部材とし、前記固定部を有する前記伸縮部材を第2伸縮部材としたとき、
前記固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分を有する
ことを特徴とする吸収性物品。」
(2) 本件補正後の請求項1
「【請求項1】
展開状態において、幅方向と長手方向と厚さ方向とを有し、
一対の胴回り部と、吸収性コアを備える吸収性本体とを有する吸収性物品であって、
前記一対の胴回り部のうちの少なくとも一方は、一対のシートと、前記一対のシート間に配置された前記幅方向に伸縮する伸縮部材とを有し、
前記伸縮部材は、前記一方の前記胴回り部の前記幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され、かつ、前記幅方向の両端部が前記一対のシートに固定された一対の端部固定部を有し、
前記伸縮部材は、前記幅方向における前記端部固定部よりも内側において、前記一対のシートに固定されていない非固定部を有し、
前記非固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分を有し、
前記一方の前記胴回り部の前記幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され、かつ、前記幅方向の両端部が前記一対のシートに固定された一対の端部固定部を有し、前記幅方向において少なくとも前記非固定部と重複する領域が、前記一対のシートに固定された固定部を有する伸縮部材が設けられており、
前記非固定部を有する前記伸縮部材を第1伸縮部材とし、前記固定部を有する前記伸縮部材を第2伸縮部材としたとき、
前記固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分と重ならない部分とを有する
ことを特徴とする吸収性物品。」
2 補正の目的
本件補正は、本件補正前は、「前記固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分を有する」と、単に「重なる部分を有する」とされていたものを、「重なる部分と重ならない部分とを有する」として、「重ならない部分」をさらに有する点を限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
前記2のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
イ 本件補正発明の分説
本件補正発明の構成を、後記(3)の対比の議論のために、便宜上次のように構成A~G、Xに分説する。
<本件補正発明の分説>
(構成A)展開状態において、幅方向と長手方向と厚さ方向とを有し、一対の胴回り部と、吸収性コアを備える吸収性本体とを有する吸収性物品であって、
(構成B)前記一対の胴回り部のうちの少なくとも一方は、一対のシートと、前記一対のシート間に配置された前記幅方向に伸縮する伸縮部材とを有し、
(構成C)前記伸縮部材は、前記一方の前記胴回り部の前記幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され、かつ、前記幅方向の両端部が前記一対のシートに固定された一対の端部固定部を有し、
(構成D)前記伸縮部材は、前記幅方向における前記端部固定部よりも内側において、前記一対のシートに固定されていない非固定部を有し、
(構成E)前記非固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分を有し、
(構成F)前記一方の前記胴回り部の前記幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され、かつ、前記幅方向の両端部が前記一対のシートに固定された一対の端部固定部を有し、前記幅方向において少なくとも前記非固定部と重複する領域が、前記一対のシートに固定された固定部を有する伸縮部材が設けられており、
(構成G)前記非固定部を有する前記伸縮部材を第1伸縮部材とし、前記固定部を有する前記伸縮部材を第2伸縮部材としたとき、前記固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分と重ならない部分とを有する
(構成X)吸収性物品。
(2) 引用文献1に記録された事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2020-151253号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は、当審において付したものであり、以下同様である。
(ア) 【0040】~【0047】、【図2】、【図3】
「【0040】
===パンツ型使い捨ておむつ1の構成===
図1は、パンツ型使い捨ておむつ1(以下「おむつ」)の概略斜視図である。図2は、展開状態かつ伸長状態のおむつ1の概略平面図である。図3は、図2のII線での概略断面図である。パンツ型おむつにおける「展開状態」とは、後述する係止部40の接合を解いて一対の胴周り部20,30を分離し、おむつ1を長手方向に開いた状態である。
【0041】
おむつ1は、図1に示すパンツ型状態において、幅方向、上下方向、及び、前後方向を有し、胴周り開口部BH、及び、一対の脚周り開口部LHが形成されている。上下方向において、胴周り側を上側とし、股下側を下側とする。前後方向において、着用者の腹側を前側とし、着用者の背側を後側とする。また、図3に示すように、おむつ1を構成する資材が積層された方向を厚さ方向といい、厚さ方向において着用者に接触する側を肌側とし、着用者に接触しない側を非肌側とする。」
「【図2】
[図:0001436779000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001436779000002.jpg]
」
「【0042】
また、おむつ1は、一対の胴周り部20,30と、吸収性本体10とを有する。一対の胴周り部20,30のうち、着用者の腹側部に当てられるものを腹側胴周り部20とし、着用者の背側部に当てられるものを背側胴周り部30とする。
【0043】
また、おむつ1は、図2に示す展開状態において、幅方向と、長手方向とを有し、幅方向における腹側胴周り部20の中央部に、吸収性本体10の長手方向一方側の端部が配置され、幅方向における背側胴周り部30の中央部に、吸収性本体10の長手方向他方側の端部が配置されている。展開状態のおむつ1において、吸収性本体10がその長手方向の略中央で二つ折りされ、腹側胴周り部20及び背側胴周り部30それぞれの幅方向の両側部が一対の係止部40において係止されることにより、図1に示すパンツ型状態のおむつ1となる。なお、展開状態のおむつ1の長手方向がパンツ型状態のおむつ1の上下方向に沿う。また、係止部40における係止方法としては、溶着や接着剤による接合等を例示できる。
【0044】
吸収性本体10は、図3に示すように、吸収体11と、吸収体11よりも肌側に配置された液透過性のトップシート12と、吸収体11よりも非肌側に配置された液不透過性のバックシート13と、バックシート13よりも非肌側に配置された外装シート14とを有する。
【0045】
吸収体11は、図2に示すように、尿等の排泄液を吸収して保持する吸収性コア11Aと、吸収性コア11Aを覆う液透過性のコアラップシート11Bとを有する。吸収性コア11Aとしては、高吸収性ポリマー(SAP)を含むパルプ等の液体吸収性繊維が所定の形状に成形されたものを例示できる。なお、吸収性コア11Aがコアラップシート11Bで覆われていなくてもよい。
【0046】
また、図2に示すように、幅方向における吸収性本体10の両側部には、脚周り伸縮部材15が設けられており、おむつ1は着用者の脚周りにフィットする。
【0047】
腹側胴周り部20及び背側胴周り部30は、図3に示すように、それぞれ、不織布等の柔軟な肌側シート21,31及び非肌側シート22,32(一対のシート)と、肌側シート21,31と非肌側シート22,32の間に配置された幅方向に伸縮する複数の胴周り伸縮部材23,33とを有する。複数の胴周り伸縮部材23,33は、肌側シート21,31と非肌側シート22,32の間において、上下方向(長手方向)に間隔をあけて並んで配置されるとともに、幅方向に伸長した状態で固定されている。よって、腹側胴周り部20及び背側胴周り部30は幅方向に伸縮し、着用者の胴周りにフィットする。なお、胴周り伸縮部材23,33としては、糸ゴム等の糸状の伸縮部材や、細長の伸縮性シートを例示できる。また、胴周り部20,30の構成は図示するものに限定されず、例えば、一対のシートに異なるシートが積層された3層以上の構成であってもよいし、1枚のシートが折り曲げられて一対のシートとなった構成であってもよい。」
(イ) 【0049】~【0059】、【図4】
「【0049】
===胴周り部20,30について===
(第1実施形態)
図4は、第1実施形態の腹側胴周り部20の概略平面図である。図5は、変形例1の腹側胴周り部20の概略平面図である。図6は、変形例2の腹側胴周り部20の概略平面図である。
【0050】
以下、腹側胴周り部20を例に挙げて一対の胴周り部20,30の構成を説明する。ただし、一対の胴周り部20,30のうちの少なくとも一方が以下の構成であればよい。すなわち、両胴周り部20,30が以下の構成であってもよいし、腹側胴周り部20が以下の構成と異なり背側胴周り部30が以下の構成であってもよいし、腹側胴周り部20が以下の構成であり背側胴周り部30が以下の構成と異なっていてもよい。他の実施形態も同様である。
【0051】
腹側胴周り部20(以下「胴周り部20」)が有する複数の胴周り伸縮部材23は、胴周り部20の幅方向の一端部から他端部まで連続して配置された複数の「連続伸縮部材231(本発明の伸縮部材)」と、幅方向に非連続に配置された複数の「非連続伸縮部材232」とを有する。非連続伸縮部材232は、連続伸縮部材231よりも下方に配置されている。
【0052】
各連続伸縮部材231は、その幅方向の両端部が肌側シート21及び非肌側シート22に固定された「一対の端部固定部50」を有する。なお、端部固定部50における固定方法は、特に限定されず、例えば、連続伸縮部材231に塗布された接着剤による固定や、肌側シート21及び非肌側シート22(以下「一対のシート21,22」)の内側面に塗布された接着剤による固定や、連続伸縮部材231を横切る一対の溶着部で固定する方法等、周知の方法を例示できる。
【0053】
また、図4では、一対の端部固定部50が、一対の係止部40とは別に、一対の係止部40よりも幅方向の内側に配置されている。ただし、これに限定されない。一対の係止部40を一対の端部固定部としてもよい。つまり、おむつ1は図4に示す端部固定部50を有していなくてもよい。
【0054】
また、複数の連続伸縮部材231は複数の「第1連続伸縮部材231a」を有する。第1連続伸縮部材231a(本発明の第1伸縮部材)は、幅方向における端部固定部50よりも内側において、一対のシート21,22に固定されていない「非固定部51」を有する。第1実施形態(図4)では、幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで、非固定部51が連続して配置されている。
【0055】
胴周り伸縮部材23が一対のシート21,22に固定されている部位は、固定されていない部位に比べて、接着剤の硬化等により剛性が高まる。そのため、第1連続伸縮部材231aが非固定部51を有することで、例えば胴周り伸縮部材23がほぼ全域に亘り一対のシート21,22に固定されている場合に比べて、剛性の高い部位の面積を小さくすることができる。よって、胴周り部20の柔軟性を向上させることができ、胴周り部20の着け心地を良くすることができる。
【0056】
ただし、全ての連続伸縮部材231を仮に図4に示す第1連続伸縮部材231aにしたとする。そうすると、幅方向に胴周り部20と吸収性コア11Aとが重複する領域R1において、連続伸縮部材231が一対のシート21,22に全く固定されないことになる。そのため、肌側シート21と、肌側シート21に間接的に固定されている吸収性コア11Aとが、連続伸縮部材231に対して上下方向に移動可能となる。そうすると、連続伸縮部材231が着用者に密着した位置に対して、肌側シート21と吸収性コア11Aとが上下方向に位置ずれし、着用者に対する吸収性コア11Aの固定が不十分となる。その結果、排泄物が漏れやすくなったり、おむつ1の着け心地が低下したりしてしまう。
【0057】
そこで、複数の連続伸縮部材231は「第2連続伸縮部材231b」を有するものとする。第2連続伸縮部材231b(本発明の第2伸縮部材)は、幅方向において少なくとも吸収性コア11Aと重複する領域R1の全域に亘り、一対のシート21,22に固定された「中央固定部52」を有し、かつ、長手方向において吸収性本体10と重複する領域に配置されている。
【0058】
そうすることで、おむつ1の前後方向(厚さ方向)に吸収性本体10と重なる第2連続伸縮部材231bが、肌側シート21に固定される。また、少なくとも幅方向に吸収性コア11Aが存在する領域R1において、第2連続伸縮部材231bが肌側シート21に固定される。よって、第2連続伸縮部材231bが着用者に密着する位置に、肌側シート21も固定され、肌側シート21に間接的に固定されている吸収性コア11Aも上下方向に位置ずれし難くなる。その結果、着用者に対する吸収性コア11Aのフィット性が増し、排泄物が漏れ難くなり、おむつ1の着け心地が向上する。
【0059】
特に、第1実施形態(図4)では、第2連続伸縮部材231bが有する中央固定部52が、幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで連続して配置されている。このように、幅方向に吸収性本体10が存在する範囲R2を超えて中央固定部52が長く延びている場合、第2連続伸縮部材231bが着用者に密着する位置に、肌側シート21及び吸収性本体10も固定される。吸収性本体10が上下方向に位置ずれし難くなることで、吸収性本体10が備える吸収性コア11Aも上下方向に位置ずれし難くなる。」
「【図4】
[図:0001436779000003.jpg]
」
(ウ) 【0067】、【図6】
「【0067】
また、第1実施形態(図4)のように、最も下方(長手方向の内側)に位置する連続伸縮部材231が第2連続伸縮部材231bであるとよい。そうすることで、上下方向において吸収性コア11Aに最も近い第2連続伸縮部材231bが肌側シート21に固定される。そのため、第2連続伸縮部材231bが着用者に密着する位置に対して、吸収性コア11Aが上下方向に位置ずれし難くなる。ただし、上記に限定されず、変形例2(図6)のように、最も下方に位置する連続伸縮部材231よりも上方に第2連続伸縮部材231bが位置していてもよい。」
「【図6】
[図:0001436779000004.jpg]
」
(エ) 【0068】、【図5】
「【0068】
さらに、変形例1(図5)のように、少なくとも1つの第2連続伸縮部材231bが、上下方向(長手方向)において吸収性コア11Aと重複する領域に配置されていてもよい。そうすることで、第2連続伸縮部材231bが着用者に密着する位置に、肌側シート21及び吸収性コア11Aが固定される。そのため、吸収性コア11Aの上下方向の位置ずれをより抑制できる。」
「【図5】
[図:0001436779000005.jpg]
」
イ 引用文献1から読み取れる認定事項
(ア) 【0040】、【0041】、【0043】、【図2】及び【図3】から、次の事項が読み取れる。
「パンツ型使い捨ておむつ1は、展開状態において、幅方向と、長手方向と、厚さ方向を有していること。」
(イ) 【0047】、【0049】、【0054】、【0057】、【0059】及び【図4】に示された第1実施形態に係る構成を踏まえると、【図5】から、変形例1に係る構成について、次の事項が読み取れる。
「胴周り部20の一対のシート21,22の間に配置された、幅方向に伸縮する複数の胴周り伸縮部材23である複数の連続伸縮部材231は、第1連続伸縮部材231aと第2連続伸縮部材231bを有し、前記第1連続伸縮部材231aは、幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで、一対のシート21,22に固定されていない非固定部51が連続して配置され、前記第2連続伸縮部材231bは、幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで、一対のシート21,22に固定された中央固定部52が連続して配置されていること。」
(ウ) 【図5】から、変形例1に係る構成について、次の事項が読み取れる。
「吸収性コア11Aの幅方向の長さは、第2連続伸縮部材231bの一対のシート21,22に固定された中央固定部52の幅方向の長さより短いこと。」
(エ) 【0054】、【0057】及び【図4】に示された第1実施形態に係る構成を踏まえると、【図6】から、変形例2に係る構成について、次の事項が読み取れる。
「胴周り部20の一対のシート21,22の間に配置された、幅方向に伸縮する複数の胴周り伸縮部材23である複数の連続伸縮部材231は、第1連続伸縮部材231aと第2連続伸縮部材231bを有し、前記第1連続伸縮部材231aは、一対のシート21,22に固定されていない非固定部51を有し、前記第2連続伸縮部材231bは、一対のシート21,22に固定された中央固定部52を有すること。」
(オ) 【0067】及び【図6】から、変形例2に係る構成について、次の事項が読み取れる。
「最も下方に位置する第1連続伸縮部材231aよりも上方に第2連続伸縮部材231bが位置していること。」
ウ 引用発明の認定
前記ア(ア)、ア(イ)及びア(エ)の記載事項、並びに、前記イ(ア)~イ(ウ)の認定事項を総合すると、引用文献1には、【図5】に示した変形例1に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「展開状態において、幅方向と、長手方向と、厚さ方向を有しているパンツ型使い捨ておむつ1であって、(前記イ(ア)の認定事項)
おむつ1は、一対の胴周り部20,30と、吸収性本体10とを有し、吸収性本体10は、吸収体11を有し、吸収体11は、尿等の排泄液を吸収して保持する吸収性コア11Aを有し、(【0042】、【0044】、【0045】)
腹側胴周り部20及び背側胴周り部30は、それぞれ、不織布等の柔軟な肌側シート21,31及び非肌側シート22,32(一対のシート)と、肌側シート21,31と非肌側シート22,32の間に配置された幅方向に伸縮する複数の胴周り伸縮部材23,33とを有し、(【0047】)
腹側胴周り部20(以下「胴周り部20」)が有する複数の胴周り伸縮部材23は、胴周り部20の幅方向の一端部から他端部まで連続して配置された複数の連続伸縮部材231を有し、(【0051】)
各連続伸縮部材231は、その幅方向の両端部が肌側シート21及び非肌側シート22に固定された一対の端部固定部50を有し、(【0052】)
前記複数の連続伸縮部材231は、第1連続伸縮部材231aと第2連続伸縮部材231bを有し、前記第1連続伸縮部材231aは、幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで、一対のシート21,22に固定されていない非固定部51が連続して配置され、前記第2連続伸縮部材231bは、幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで、一対のシート21,22に固定された中央固定部52が連続して配置され、(前記イ(イ)の認定事項)
少なくとも1つの第2連続伸縮部材231bが、上下方向(長手方向)において吸収性コア11Aと重複する領域に配置されており、そうすることで、第2連続伸縮部材231bが着用者に密着する位置に、肌側シート21及び吸収性コア11Aが固定され、吸収性コア11Aの上下方向の位置ずれをより抑制でき、(【0068】)
吸収性コア11Aの幅方向の長さは、第2連続伸縮部材231bの一対のシート21,22に固定された中央固定部52の幅方向の長さより短い、(前記イ(ウ)の認定事項)
パンツ型使い捨ておむつ1。」
エ 引用文献1技術事項の認定
前記ア(ア)、ア(イ)及びア(ウ)の記載事項、並びに、前記イ(エ)及び前記イ(オ)の認定事項を総合すると、引用文献1には、【図6】に示した変形例2に係る次の事項(以下「引用文献1技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献1技術事項>
「パンツ型使い捨ておむつ1において、
胴周り部20の一対のシート21,22の間に配置された、幅方向に伸縮する複数の胴周り伸縮部材23である複数の連続伸縮部材231は、第1連続伸縮部材231aと第2連続伸縮部材231bを有し、前記第1連続伸縮部材231aは、一対のシート21,22に固定されていない非固定部51を有し、前記第2連続伸縮部材231bは、一対のシート21,22に固定された中央固定部52を有しており、(前記イ(エ)の認定事項)
最も下方に位置する第1連続伸縮部材231aよりも上方に第2連続伸縮部材231bが位置している、(前記イ(オ)の認定事項)
パンツ型使い捨ておむつ1。」
(3) 対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xについて
引用発明の「パンツ型使い捨ておむつ1」は、本件補正発明の「吸収性物品」に相当するから、本件補正発明と引用発明は、「吸収性物品」の発明である点において一致する。
(イ) 構成Aについて
a 引用発明の「幅方向」、「長手方向」及び「厚さ方向」は、それぞれ本件補正発明の「幅方向」、「長手方向」及び「厚さ方向」に相当する。
b 引用発明の「一対の胴回り部20,30」、「吸収性コア11A」及び「吸収性本体10」は、それぞれ本件補正発明の「一対の胴回り部」、「吸収性コア」及び「吸収性本体」に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「展開状態において、幅方向と長手方向と厚さ方向とを有し、一対の胴回り部と、吸収性コアを備える吸収性本体とを有する吸収性物品」である点において一致する。
(ウ) 構成Bについて
a 引用発明の「腹側胴周り部20及び背側胴周り部30」は、本件補正発明の「一対の胴回り部のうちの少なくとも一方」に相当する。
b 引用発明の「不織布等の柔軟な肌側シート21,31及び非肌側シート22,32(一対のシート)」は、本件補正発明の「一対のシート」に相当する。
c 引用発明の「肌側シート21,31と非肌側シート22,32の間に配置された幅方向に伸縮する複数の胴周り伸縮部材23,33」は、本件補正発明の「前記一対のシート間に配置された前記幅方向に伸縮する伸縮部材」に相当する。
d したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記一対の胴回り部のうちの少なくとも一方は、一対のシートと、前記一対のシート間に配置された前記幅方向に伸縮する伸縮部材とを有[する]」点において一致する。
(エ) 構成Cについて
a 引用発明において、「肌側シート21,31と非肌側シート22,32の間に配置された幅方向に伸縮する」「複数の胴周り伸縮部材23は、胴周り部20の幅方向の一端部から他端部まで連続して配置された複数の連続伸縮部材231を有[する]」ものである。そうすると、引用発明の「肌側シート21,31と非肌側シート22,32の間に配置された幅方向に伸縮する」「複数の胴周り伸縮部材23」が「複数の連続伸縮部材231を有[し]」、当該「複数の連続伸縮部材231」は、「胴周り部20の幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され[る]」ことは、本件補正発明の「前記伸縮部材は、前記一方の前記胴回り部の前記幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され[る]」ことに相当する。
b 引用発明において、「各連続伸縮部材231は、その幅方向の両端部が肌側シート21及び非肌側シート22に固定された一対の端部固定部50を有[する]」ことは、本件補正発明の「前記伸縮部材は」、「前記幅方向の両端部が前記一対のシートに固定された一対の端部固定部を有[する]」ことに相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記伸縮部材は、前記一方の前記胴回り部の前記幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され、かつ、前記幅方向の両端部が前記一対のシートに固定された一対の端部固定部を有[する]」点において一致する。
(オ) 構成Dについて
a 引用発明においては、「複数の連続伸縮部材231は、第1連続伸縮部材231a」「を有し、前記第1連続伸縮部材231aは、幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで、一対のシート21,22に固定されていない非固定部51が連続して配置され[る]」ものであるところ、引用発明の「一対のシート21,22に固定されていない非固定部51」は、本件補正発明の「非固定部」に相当する。
b したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記伸縮部材は、前記幅方向における前記端部固定部よりも内側において、前記一対のシートに固定されていない非固定部を有[する]」点において一致する。
(カ) 構成Eについて
本件補正発明と引用発明は、構成Eに関して、次に示す点において相違する。
本件補正発明においては、
「前記非固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分を有し[ている]」のに対して、
引用発明においては、
非固定部51が配置される第1連続伸縮部材231aが、吸収性コア11Aと重複する領域に配置されていない点。
(キ) 構成Fについて
a 引用発明においては、「複数の連続伸縮部材231は」、「第2連続伸縮部材231bを有し」、「前記第2連続伸縮部材231bは、幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで、一対のシート21,22に固定された中央固定部52が連続して配置され[る]」ものであるところ、引用発明の「一対のシート21,22に固定された中央固定部52」は、本件補正発明の「固定部」に相当する。
b また、引用発明においては、前記(オ)に示したとおり、「前記第1連続伸縮部材231aは、幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで、一対のシート21,22に固定されていない非固定部51が連続して配置され[る]」ものである。
c そうすると、引用発明の「第2連続伸縮部材231b」の「中央固定部52」と、「前記第1連続伸縮部材231a」の「非固定部51」は、いずれも「幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで」、「連続して配置され[る]」から、「第2連続伸縮部材231b」の「中央固定部52」は、幅方向において、「前記第1連続伸縮部材231a」の「非固定部51」と重複する領域に配置されるものといえる。
d したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記一方の前記胴回り部の前記幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され、かつ、前記幅方向の両端部が前記一対のシートに固定された一対の端部固定部を有し、前記幅方向において少なくとも前記非固定部と重複する領域が、前記一対のシートに固定された固定部を有する伸縮部材が設けられて[いる]」点において一致する。
(ク) 構成Gについて
a 引用発明において、「一対のシート21,22に固定されていない非固定部51が」「配置され[る]」「第1連続伸縮部材231a」、及び、「一対のシート21,22に固定された中央固定部52が」「配置され[る]」「第2連続伸縮部材231b」は、それぞれ本件補正発明の「前記非固定部を有する前記伸縮部材」である「第1伸縮部材」、及び、「前記固定部を有する前記伸縮部材」である「第2伸縮部材」に相当する。
b 引用発明において、「少なくとも1つの第2連続伸縮部材231bが、上下方向(長手方向)において吸収性コア11Aと重複する領域に配置されており」、「吸収性コア11Aの幅方向の長さは、第2連続伸縮部材231bの一対のシート21,22に固定された中央固定部52の幅方向の長さより短い」ことは、「中央固定部52」が「幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで」「連続して配置され[る]」領域に、「吸収性コア11A」が存在しない領域があることを意味するから、本件補正発明の「前記固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分と重ならない部分とを有する」ことに相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記非固定部を有する前記伸縮部材を第1伸縮部材とし、前記固定部を有する前記伸縮部材を第2伸縮部材としたとき、前記固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分と重ならない部分とを有する」点において一致する。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
(ア) 一致点
(構成A)展開状態において、幅方向と長手方向と厚さ方向とを有し、一対の胴回り部と、吸収性コアを備える吸収性本体とを有する吸収性物品であって、
(構成B)前記一対の胴回り部のうちの少なくとも一方は、一対のシートと、前記一対のシート間に配置された前記幅方向に伸縮する伸縮部材とを有し、
(構成C)前記伸縮部材は、前記一方の前記胴回り部の前記幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され、かつ、前記幅方向の両端部が前記一対のシートに固定された一対の端部固定部を有し、
(構成D)前記伸縮部材は、前記幅方向における前記端部固定部よりも内側において、前記一対のシートに固定されていない非固定部を有し、
(構成F)前記一方の前記胴回り部の前記幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され、かつ、前記幅方向の両端部が前記一対のシートに固定された一対の端部固定部を有し、前記幅方向において少なくとも前記非固定部と重複する領域が、前記一対のシートに固定された固定部を有する伸縮部材が設けられており、
(構成G)前記非固定部を有する前記伸縮部材を第1伸縮部材とし、前記固定部を有する前記伸縮部材を第2伸縮部材としたとき、前記固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分と重ならない部分とを有する
(構成X)吸収性物品、である点。
(イ) 相違点(構成E)
本件補正発明においては、
「前記非固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分を有し[ている]」のに対して、
引用発明においては、
非固定部51が配置される第1連続伸縮部材231aが、吸収性コア11Aと重複する領域に配置されていない点。
(4) 当審の判断
ア 相違点について
前記相違点について検討する。
(ア) 前記(2)エにおいて引用文献1技術事項として示したとおり、引用文献1には、次の事項が記載されている。
「パンツ型使い捨ておむつ1において、
胴周り部20の一対のシート21,22の間に配置された、幅方向に伸縮する複数の胴周り伸縮部材23である複数の連続伸縮部材231は、第1連続伸縮部材231aと第2連続伸縮部材231bを有し、前記第1連続伸縮部材231aは、一対のシート21,22に固定されていない非固定部51を有し、前記第2連続伸縮部材231bは、一対のシート21,22に固定された中央固定部52を有しており、
最も下方に位置する第1連続伸縮部材231aよりも上方に第2連続伸縮部材231bが位置している、
パンツ型使い捨ておむつ1。」
(イ) 引用発明及び引用文献1技術事項は、いずれも引用文献1に記載された第1実施形態の変形例に係るものであり、引用文献1の【0068】には、【0067】に記載の「変形例2(図6)のように、最も下方に位置する連続伸縮部材231よりも上方に第2連続伸縮部材231bが位置していてもよい。」に続く形で、「さらに、変形例1(図5)のように、少なくとも1つの第2連続伸縮部材231bが、上下方向(長手方向)において吸収性コア11Aと重複する領域に配置されていてもよい。」と記載されており、変形例1に係る引用発明と、変形例2に係る引用文献1技術事項を組み合わせてもよいことが示唆されていると認められるから、引用発明に引用文献1技術事項を適用して、引用発明の「第2連続伸縮部材231b」の下方に、「非固定部51が配置される第1連続伸縮部材231a」を配置するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ) その場合、引用発明においては、「吸収性コア11Aの上下方向の位置ずれをより抑制[する]」ために、「第2連続伸縮部材231bが、上下方向(長手方向)において吸収性コア11Aと重複する領域に配置されて[いる]」のであるから、第2連続伸縮部材231bを吸収性コア11Aと重複する領域に配置したまま、その下方に、第1連続伸縮部材231aが配置される構成になり、この構成が、本件補正発明の「前記非固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分を有し[ている]」構成に相当する。
(エ) 以上のとおりであるから、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(オ) そして、本件補正発明の奏する作用効果としては、当業者が予測困難であり、格別顕著なものは、認めることができない。
(カ) したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 請求人の主張について
請求人は、審判請求の理由の「[3]本願発明が特許されるべき理由」において、概略次の主張をしているので、以下、検討する。
(ア) 請求人の主張の内容
本件補正発明のうち、「前記固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て重なる部分と重ならない部分とを有する」という特徴は、引用文献1には記載されていない。
(イ) 請求人の主張についての検討
請求人の前記主張について検討する。
前記第2の3(3)ア(ク)において示したとおり、引用発明は、請求人が引用文献1に記載されていないと主張する前記構成を備えているものである。
したがって、請求人の前記主張は採用できない。
(5) 独立特許要件の判断についてのまとめ
前記(3)及び(4)において検討したとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 本件補正の適否についてのまとめ
前記3において検討したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明の認定
本件補正は、前記第2に示したとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年7月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記第2の1(1)参照)により特定されるとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
(進歩性の欠如) 本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において発行された、下記引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2020-151253号公報(主たる引用例)
引用文献2.特開2020-151257号公報
3 引用発明等の認定
引用発明及び引用文献1技術事項の認定は、前記第2の3(2)ウ及びエにおいて示したとおりである。
4 対比・判断
(1) 本願発明は、本件補正発明から、「前記固定部と前記吸収性コアとが前記厚さ方向に見て」「重ならない部分」「を有する」という限定を省いたものである
そうすると、本願発明の構成を全て含み、当該構成の一部をさらに限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(3)及び(4)において説示したとおり、引用発明及び引用文献1技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も、引用発明及び引用文献1技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2) なお、原査定の拒絶の理由において提示された引用文献2は、非固定部を有する第1伸縮部材の上下方向(長手方向)の移動を固定部によって制限でき、第1伸縮部材の位置ずれが生じ難くなるとの効果が、当業者が予測し得た程度のものであることを示すために、必要であれば参照するものとして提示されたものであり、原査定の拒絶の理由においても、前記(1)と同様に、本願発明は、引用発明及び引用文献1技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明による前記効果も当業者が予測し得た範囲内のものであるとするものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献1技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-017608