特許拒絶査定不服審判
2024-000771
反転型の経カテーテル的弁とその方法
- 審判番号
- 2024-000771
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-007912外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年01月17日
- 審決日
- 2025年03月11日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 分類
- P18 .113-Z (A61F) / P18 .121-Z (A61F) / P18 .575-Z (A61F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第50条の2、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 7912「反転型の経カテーテル的弁とその方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 4月12日出願公開、特開2022- 58718〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年) 6月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年 7月25日、(US)アメリカ合衆国 2013年 3月12日、(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2015-524278号の一部を平成30年 7月31日に新たな特許出願とした特願2018-143521号の一部を令和 2年 4月 9日に新たな特許出願とした特願2020- 70179号の一部を令和 4年 1月21日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和 4年 2月21日 :手続補正書及び上申書の提出
同年12月 9日付け:拒絶理由通知書(特許法第50条の2の
通知を伴う)
令和 5年 6月20日 :意見書及び手続補正書の提出
同年 9月25日付け:令和 5年 6月20日の手続補正に
ついての補正の却下の決定及び拒絶査定
令和 6年 1月17日 :審判請求書及び手続補正書の提出
同年 1月19日付け:手続補正書(方式)(請求の理由の補正)
の提出
同年 5月23日付け:上申書の提出
第2 令和 6年 1月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和 6年 1月17日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
経カテーテル的弁において、
前記経カテーテル的弁は、流体がそれを通して選択的に流れることができる流れ管腔を形成している多部品型のフレームを備え、
前記多部品型のフレームは、
概ね管状を有すると共に、第1の管腔を形成している本体フレームを備える、外側支持部分と、
概ね管状を有すると共に、リーフレットフレームに対して結合された複数のリーフレットを備える、反転可能な支持部分と、
反転可能な支持部分を前記外側支持部分に結合する、可撓性のある接続材料であって、前記反転可能な支持部分は、前記外側支持部分に対して横方向に隣接している、第1の位置と、前記反転可能な支持部分が少なくとも部分的に前記外側支持部分の前記第1の管腔内に位置する、第2の反転位置との間で移行可能である、可撓性のある接続材料とを備え、
前記経カテーテル的弁は、前記リーフレットフレームに結合されている複数のリーフレットであって、前記複数のリーフレットの各々は、前記多部品型のフレームの前記流れ管腔を選択的に遮断及び遮断解除するように、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である、複数のリーフレットを備え、
前記可撓性のある接続材料は、前記リーフレットフレームと、前記多部品型のフレームの前記外側支持部分との間に延在しており、
前記可撓性のある接続材料は、前記リーフレットフレームと、前記多部品型のフレームの前記外側支持部分との間に折り目領域を形成する、経カテーテル的弁。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和 4年 2月21日の手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
経カテーテル的弁において、
前記経カテーテル的弁は、流体がそれを通して選択的に流れることができる流れ管腔を形成している多部品型のフレームを備え、
前記多部品型のフレームは、
第1の管腔を形成している概ね管状を有する外側支持部分と、
概ね管状を有する反転可能な支持部分と、
反転可能な支持部分を前記外側支持部分に結合する、可撓性のある架橋材料であって、前記反転可能な支持部分は、前記外側支持部分に対して横方向に隣接している、第1の位置と、前記反転可能な支持部分が少なくとも部分的に前記外側支持部分の前記第1の管腔内に位置する、第2の反転位置との間で移行可能である、可撓性のある架橋材料とを備え、
前記経カテーテル的弁は、前記多部品型のフレームに結合されている複数のリーフレットであって、前記複数のリーフレットの各々は、前記多部品型のフレームの前記流れ管腔を選択的に遮断及び遮断解除するように、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である、複数のリーフレットをさらに備える、経カテーテル的弁。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「外側支持部分」及び「反転可能な支持部分」について、それぞれ「本体フレームを備える」こと及び「リーフレットフレームに対して結合された複数のリーフレットを備える」ことを限定するものである。
さらに、本件補正は、「架橋材料」を、明瞭でない記載の釈明を目的として一般的な用語である「接続材料」と補正した上で、「可撓性のある接続材料」が「前記リーフレットフレームと、前記多部品型のフレームの前記外側支持部分との間に延在しており」、「前記リーフレットフレームと、前記多部品型のフレームの前記外側支持部分との間に折り目領域を形成する」ことを限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2011/109801号(以下「引用文献」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線及び和訳は当審で付した。)
「Abstract: Disclosed replacement heart valves can be designed to be delivered to a native valve site while crimped on a delivery catheter. The crimped profile of the replacement valve can be minimized by, for example, separating a frame or stent structure from a leaflet structure, along the axial direction. Disclosed replacement valves can be transitioned from a delivery configuration, in which the crimped profile can be minimized, to an operating configuration. The replacement valve can be fully assembled in both the delivery and operating configurations. In some embodiments, the leaflets can be positioned outside of the stent in the delivery configuration, and positioned inside of the stent lumen in the operating configuration. Disclosed replacement valves can include a flexible sleeve coupling the leaflets to the stent and facilitating the transition to the operating configuration. Methods of implanting said replacement valves are also disclosed.」
(当審訳)
概要:開示される置換心臓弁は、送達カテーテル上に圧着されながら、生来弁部位に送達されるように設計されることができる。置換弁の圧着された外形は、例えば、軸方向に沿って、フレーム又はステント構造をリーフレット構造から分離することによって、最小限にされることができる。開示される置換弁は、圧着された外形が最小化され得る送達形態から作動形態に移行され得る。置換弁は、送達形態及び作動形態の両方において完全に組み立てられ得る。いくつかの実施形態では、リーフレットは、送達形態ではステントの外側に位置付けられ、作動形態ではステント管腔の内側に位置付けられ得る。開示される置換弁は、リーフレットをステントに連結し、作動形態への移行を促進する、可撓性スリーブを含むことができる。前記置換弁を移植する方法もまた開示される。
「[087] FIGS. 4-5 illustrate another embodiment of a replacement heart valve 400 that can be fully assembled prior to delivery, and transitioned from a delivery position or configuration (FIG. 4) to an operating position or configuration (FIG. 5) once the replacement valve has passed through the narrowest part or parts of the patient' s vasculature. Transition from the delivery position to the operating position can be performed, for example while the replacement valve 400 is within the patient' s aorta prior to implantation at the native valve. Alternatively, transition from the delivery position to the operating position can be performed after deployment of the replacement valve at the target site (e.g., the native valve annulus).
[088] Replacement valve 400 can include a frame structure, or stent, 402 and leaflets 404. A flexible sleeve 406 (e.g., a PET or Nitinol-PET composite fabric sleeve) can be coupled at one end 410 to the stent 402, such as by sutures 408 (e.g., the inner surface of the flexible sleeve 406 can be coupled to the outer or external surface of the stent 402). The flexible sleeve 406 can also be coupled to the leaflets 404, and can thus allow for separation of the leaflets 404 from the upper end 412 of the stent 402 along the axial direction while the replacement valve is in the delivery configuration. The replacement valve can thus be fully assembled in the delivery configuration, and yet allow for axial separation of the leaflets 404 from the stent 402. Because the leaflets 404 lie entirely outside of the frame structure during delivery of the valve, the valve can be crimped to a very small profile.
[089] The leaflets 404 can each include a first end 424 and a second end 426. The first end 424 can be scalloped and can be coupled to an upper portion 407 of the flexible sleeve 406. In some embodiments, the leaflets 404 can be mounted or coupled to an outer surface 409 of the flexible sleeve 406, such as by sutures 411. The second end 426 of the leaflets 404 can be positioned on the outer surface 409 of the flexible sleeve 406 while in the delivery configuration, but the second end 426 of the leaflets 404 is not secured to the flexible sleeve 406 in some embodiments to allow the leaflets to coapt when placed in the operating configuration (e.g., the second end 426 of the leaflets 404 can be free to move with respect to the flexible sleeve 406).
[090] As shown in FIG. 5, after the replacement valve 400 has been transitioned to its operating configuration, the second ends 426 of the leaflets 404 are free to open and close, and thus are not secured to the flexible sleeve 406 except at the commissures 428.
[091] To transition the replacement valve 400 from the delivery configuration shown in FIG. 4 to the operating configuration shown in FIG. 5, the flexible sleeve 406 can be inverted or flipped outside in (or inside out) by pushing or pulling the upper portion 407 of the sleeve 406 inwardly and downwardly (in FIG. 4) into the stent 402. Thus, a portion 429 of the flexible sleeve 406 can be folded over the upper end 412 of the stent 402 in the operating configuration. As a result of such a transition, the outer surface 409 of the flexible sleeve 406 can be positioned within and facing the interior lumen 430 of the replacement valve 400. Thus, the flexible sleeve 406 can be inverted such that the upper portion 407 of the flexible sleeve 406 is moved to a position within the lumen 430 of the stent 402 (e.g., at a position below the lower end 410 of the flexible sleeve 406).
[092] In some embodiments, a conventional delivery system can be used to transition replacement valve 400 from a delivery configuration to an operating configuration. For example, the flexible sleeve 406 (e.g., the upper portion 407 of the flexible sleeve 406) can be releasably coupled to the delivery system. After deployment (e.g., expansion and/or removal of a restraining sheath) of the stent 402 and/or optional temporary frame 418, the delivery system can be advanced towards the patient's left ventricle, thereby pulling, dragging, or pushing the fabric sleeve 406 into the lumen 430 of the replacement valve 400, and inverting the valve leaflets 404.
[093] During transition, the leaflets 404 can be inverted, such that the second end 426 of the leaflets 404 moves from being below the first end 424 in the delivery configuration to being above the first end 424 in the operating configuration. Further, as a result of transitioning, the leaflets 404, which can be outside of the lumen 430 in the delivery configuration shown in FIG. 4, can be at least partially positioned within (e.g., inside) the lumen 430 of the replacement valve 400 in the operating configuration shown in FIG. 5.」
(当審訳)
[087]図4-5は、送達する前に完全に組み立てることができ、患者の血管系の最も狭い部分を通過すると、送達位置又は形態(図4)から作動位置又は形態(図5)に移行する心臓置換弁400の別の実施形態を示す。送達位置から操作位置への移行は、例えば置換弁400が、生来弁に移植する前に、患者の大動脈内にある間に、行うことができる。あるいは、送達位置から操作位置への移行は、目標部位(例えば、生来弁輪)での置換弁の展開後に行うことができる。
[088]置換弁400は、フレーム構造体、又はステント402及び複数のリーフレット404を含むことができる。可撓性スリーブ406(例えば、PET又はニチノール‐PET複合布スリーブ)は、例えば縫合糸408により、一方の端部410でステント402と結合することができる(例えば、可撓性のスリーブ406の内側表面は、ステント402の外側又は外部表面に結合することができる)。また、可撓性スリーブ406は、リーフレット404とも結合することができ、それにより、置換弁が送達形態にある間、軸方向に沿ってステント402の上端412からリーフレット404を分離することができる。したがって、置換弁は、送達形態で完全に組み立てることができ、さらにステント402からリーフレット404を軸方向に分離することができる。リーフレット404は、弁の送達中に完全にフレーム構造の外側にあるため、弁は、非常に小さなプロファイルに収縮され得る。
[089]リーフレット404は、第1端部424と第2端部426を含むことができる。第1端部424は、スカラップ状とすることができ、可撓性スリーブ406の上側部分407に結合することができる。いくつかの実施形態において、リーフレット404は、例えば縫合糸411により、可撓性スリーブ406の外表面409に搭載又は結合することができる。リーフレット404の第2端部426は、送達形態にある間、可撓性スリーブ406の外側表面409上に配置することができるが、リーフレット404の第2端部426は、いくつかの実施形態では、作動形態で配置されるときに複数のリーフレットが接合できるよう、可撓性スリーブ406に固定されない(例えば、リーフレット404の第2端部426は、可撓性スリーブ406に対して自由に動くことができる)。
[090]図5に示すように、置換弁400がその作動形態に移行された後、リーフレット404の第2端部426は開閉自在となっており、したがって交連428以外では可撓性スリーブ406に固定されていない。
[091]図4に示される送達形態から図5に示す作動形態へと置換弁400を移行するため、可撓性スリーブ406は、ステント402へ内方及び下方に(図4)スリーブ406の上部407を押したり引いたりすることによって、反転する又は外側を内側に(または内側を外側に)ひっくり返すことができる。このように、可撓性スリーブ406の部分429は、作動形態でステント402の上端412上に折り畳むことができる。このような移行の結果、可撓性スリーブ406の外側表面409は、置換弁400の内部管腔430の中に位置し、それに面することができる。このように、可撓性スリーブ406の上側部分407がステント402の管腔430内の位置に(例えば、可撓性スリーブ406の下方端部410の下方位置に)移動されるように、可撓性スリーブ406を反転させることができる。
[092]一部の実施形態では、従来の送達システムを、置換弁400を送達形態から作動形態へ移行するために使用することができる。例えば、可撓性スリーブ406(例えば、可撓性スリーブ406の上方部分407)は、送達システムに解放可能に結合することができる。ステント402及び/又は任意の一時的なフレーム418の展開(例えば、拘束シースの拡張及び/又は除去)後、送達システムが患者の左心室に向かって進められ、それによって、織物スリーブ406を置換弁400の管腔430中に引っ張り、ドラッグ、または押し、そしてリーフレット404を反転させることができる。
[093]移行の間、リーフレットの第2端部426が、作動形態における第1端部424の上方から送達形態における第1端部424の下方に移動するように、リーフレット404を反転させることができる。また、移行の結果として、図4に示される送達形態で管腔430の外側にあることができるリーフレット404は、図5に示される作動形態で、少なくとも部分的に置換弁400の管腔430内(たとえば、内部)に位置することができる。
「[0136] Any of the disclosed embodiments can be provided with a self-expanding (e.g., comprising Nitinol) lower stent and/or leaflet support frame. Some embodiments include a balloon-expandable stent and/or valve portion. A self- expanding stent can be crimped or otherwise compressed into a small tube and possesses sufficient elasticity to spring outward by itself when a restraint such as an outer sheath is removed. In contrast, a balloon-expanding stent is typically made of a material that is substantially less elastic, and indeed must be plastically expanded from the inside out when converting from a compressed diameter to an expanded diameter. It should be understood that the term balloon-expandable stents encompasses plastically-expandable stents, whether or not a balloon is used to actually expand it. The material of the stent plastically deforms after application of a deformation force such as an inflating balloon or expanding mechanical fingers. Suitable materials for the stent, frame, or reinforcement arc structures of disclosed embodiments include stainless steel, Nitinol, titanium, cobalt, chromium, nickel-based alloys (e.g. , a nickel-cobalt-chromium alloy such as MP35NTM), polymers, and combinations and alloys thereof. Any other materials that are rigid enough to impart the desired shape to the structures are also suitable.」
(当審訳)
[0136]開示された実施形態のいずれも、自己拡張式(例えば、ニチノールを備える)の下側のステント及び/又はリーフレット支持フレームを設けることができる。いくつかの実施形態は、バルーン拡張型ステント及び/又は弁部分を含む。例えば外側シース等の拘束が除去されると、自己拡張ステントは、圧着またはそうでなければ小さな管に圧縮することができ、それ自体で外向きに跳ねるのに十分な弾力性を保有する。対照的に、バルーン拡張型ステントは、典型的には、実質的に弾性の低い材料で形成されており、実際、圧縮直径から拡張直径に転換するときに、内側から外側へ塑性的に拡張されなければならない。バルーン拡張可能なステントという用語は、バルーンが実際にそれを拡張するために使用されるかどうかにかかわらず、塑性拡張型ステントを包含することを理解すべきである。ステントの材料は、膨張バルーン又は機械的拡張フィンガのような変形力の適用後に塑性変形する。開示された実施形態のステント、フレーム、又は補強円弧構造に適した材料は、ステンレス鋼、ニチノール、チタン、コバルト、クロム、ニッケルベースの合金(例えば、MP35N(登録商標)のようなニッケル-コバルト-クロム合金)、ポリマー、及びそれらの組み合わせ及び合金が挙げられる。構造体を所望の形状にするために十分な剛性を有する任意の他の材料も適している。
図4
「
[図:0001425261000001.jpg]
」
図5
「
[図:0001425261000002.jpg]
」
図7
「
[図:0001425261000003.jpg]
」
上記記載事項を総合すると、引用文献には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「送達カテーテル上に圧着されながら、生来弁部位に送達される置換弁400において、
置換弁400は、
管腔430を有するステント402と、
反転させることができる複数のリーフレット404の第1端部424と、
ステント402と結合する、可撓性スリーブ406であって、置換弁400が送達形態にある間、軸方向に沿ってステント402の上端412からリーフレット404を分離し、作動形態で、リーフレット404は少なくとも部分的に置換弁400の管腔430内に位置し、リーフレット404の第2端部426が、作動形態における第1の端部424の上方から送達形態における第1端部424の下方に移動するように、リーフレット404を反転させることができる、可撓性スリーブ406とを備え、
第1端部424は、可撓性スリーブ406に結合し、
前記置換弁400は、第2端部426が開閉自在となっている複数のリーフレット404を備え、
可撓性スリーブ406の部分429は、作動形態でステント402の上端412上に折り畳むことができる、置換弁400。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「置換弁400」は、心臓の置換弁の機能上、「流体がそれを通して選択的に流れることができる流れ管腔を形成している」ことは明らかであり、ステント402、複数のリーフレット404、可撓性スリーブ406を含む複数の部品からなるものであるから、本件補正発明の「多部品型のフレーム」に相当する。また、引用発明の「置換弁400」は、送達カテーテル上に圧着されながら、生来弁部位に送達されるものであるから、本件補正発明の「経カテーテル的弁」に相当する。
イ 引用発明の「管腔430を有する」ことは本件補正発明の「第1の管腔を形成している」ことに相当し、引用発明の「ステント402」は本件補正発明の「本体フレーム」に相当する。また、引用発明の「ステント402」は、図4、5より概ね管状を有し、図5の作動形態においてリーフレット404に対し外側に位置するものであるから、「外側支持部分」と表現できる。したがって、引用発明の「管腔430を有するステント402」は、本件補正発明の「概ね管状を有すると共に、第1の管腔を形成している本体フレームを備える、外側支持部分」に相当する。
ウ 引用発明の「リーフレット404」は、本件補正発明の「リーフレット」に相当する。また、引用発明の「リーフレット404の第1端部424」は、図4、5より概ね管状を有し、リーフレット404の反転に伴って反転させることができ、段落[089]及び図4より縫合糸411により可撓性スリーブ406に結合されることでリーフレット404を支持しているといえるから、「概ね管状を有する」「反転可能な支持部分」と表現できる。したがって、引用発明の「反転させることができる複数のリーフレット404の第1端部424」と、本件補正発明の「概ね管状を有すると共に、リーフレットフレームに対して結合された複数のリーフレットを備える、反転可能な支持部分」とは、概ね管状を有すると共に、複数のリーフレットを備える、反転可能な支持部分の限りで一致する。
エ 引用発明の「ステント402と結合」し、「第1端部424」が「結合」する「可撓性スリーブ406」は、本件補正発明の「反転可能な支持部分を前記外側支持部分に結合する」「可撓性のある接続材料」に相当する。
オ 引用発明の「リーフレット404」が「置換弁400が送達形態にある間、軸方向に沿ってステント402の上端412から」「分離」することは、図4を参照すると、「第1端部424」が「置換弁400が送達形態にある間、軸方向に沿ってステント402の上端412から」「分離」することであるから、本件補正発明の「前記反転可能な支持部分は、前記外側支持部分に対して横方向に隣接している」ことに相当し、「送達形態」のリーフレット404の第1端部424の位置は、本件補正発明の「第1の位置」に相当する。また、引用発明の「リーフレット404」が「作動形態で」「置換弁400の管腔430内に位置」することは、「第1端部424」が「作動形態で」「置換弁400の管腔430内に位置」することであるから、本件補正発明の「前記反転可能な支持部分が少なくとも部分的に前記外側支持部分の前記第1の管腔内に位置する」ことに相当し、「作動形態」のリーフレット404の第1端部424の位置は、本件補正発明の「第2の反転位置」に相当する。そして、引用発明の「リーフレット404の第2端部426が、作動形態における第1の端部424の上方から送達形態における第1端部424の下方に移動するように、リーフレット404を反転させることができる」ことは、「リーフレット404の第2端部426が、作動形態における第1の端部424の上方から送達形態における第1端部424の下方に移動するように」第1端部424を反転させることができることであるから、本件補正発明の「前記反転可能な支持部分は」「第1の位置と」「第2の反転位置との間で移行可能である」ことに相当する。
カ 引用発明の「複数のリーフレット404」の「第2端部426が開閉自在となっている」ことは、心臓の置換弁の機能及び図4、5の記載から、管腔430を選択的に遮断及び遮断解除することであるから、本件補正発明の「前記複数のリーフレットの各々は、前記多部品型のフレームの前記流れ管腔を選択的に遮断及び遮断解除するように、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である」ことに相当する。
キ 引用発明の「可撓性スリーブ406の部分429」は、図5を参照すると、「作動形態でステント402の上端412上に折り畳」まれることで折り目が形成されていることが明らかであるから、本件補正発明の「可撓性のある接続材料」が形成する「折り目領域」に相当する。
したがって、両者は、
「経カテーテル的弁において、
前記経カテーテル的弁は、流体がそれを通して選択的に流れることができる流れ管腔を形成している多部品型のフレームを備え、
前記多部品型のフレームは、
概ね管状を有すると共に、第1の管腔を形成している本体フレームを備える、外側支持部分と、
概ね管状を有すると共に、複数のリーフレットを備える、反転可能な支持部分と、
反転可能な支持部分を前記外側支持部分に結合する、可撓性のある接続材料であって、前記反転可能な支持部分は、前記外側支持部分に対して横方向に隣接している、第1の位置と、前記反転可能な支持部分が少なくとも部分的に前記外側支持部分の前記第1の管腔内に位置する、第2の反転位置との間で移行可能である、可撓性のある接続材料とを備え、
前記経カテーテル的弁は、複数のリーフレットであって、前記複数のリーフレットの各々は、前記多部品型のフレームの前記流れ管腔を選択的に遮断及び遮断解除するように、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である、複数のリーフレットを備え、
前記可撓性のある接続材料は、折り目領域を形成する、経カテーテル的弁。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1]
本件補正発明は、複数のリーフレットが「リーフレットフレームに対して結合され」、「前記リーフレットフレームに結合されている」のに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。
[相違点2]
本件補正発明は、「前記可撓性のある接続材料は、前記リーフレットフレームと、前記多部品型のフレームの前記外側支持部分との間に延在し」、折り目領域が「前記リーフレットフレームと、前記多部品型のフレームの前記外側支持部分との間」であるのに対し、引用発明は、可撓性スリーブ406がリーフレット404の第1端部424及びステント402と結合するため、リーフレット404とステント402との間に延在し、部分429がリーフレット404とステント402との間である点。
(4)判断
上記相違点1及び2について検討する。
引用文献の段落[0136]に、開示された実施形態のいずれも、リーフレット支持フレームを設けることができることが記載されている。ここで、リーフレット支持フレームは、リーフレットを支持するものであるから、リーフレット支持フレームとリーフレットとは結合されたものである。したがって、引用発明において、リーフレット支持フレームを採用し、複数のリーフレット404が、リーフレット支持フレームに対して結合されたものとし、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、引用発明において、リーフレット支持フレームを採用すると、リーフレット支持フレームがリーフレット404の箇所に位置するものとなり、図4、5より明らかに、可撓性スリーブ406は、リーフレット支持フレームと、置換弁400のステント402との間に延在し、可撓性スリーブ406の部分429は、リーフレット支持フレームと、ステント402との間となり、上記相違点2に係る構成となる。
したがって、引用発明において、上記相違点1及び2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の効果についてみても、引用発明から格別なものということはできない。
(5)小括
以上のとおり、本件補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
(6)上申書の補正案について
請求人は、令和 6年 5月23日提出の上申書において、請求項1(本件補正発明)等に「前記リーフレットフレームは複数の支柱と複数の屈曲点とを備え、前記複数の支柱は、前記弁の動作中に内方に屈曲することが可能であるように前記本体フレームに対して結合されておらず、前記複数の屈曲点は、拡張状態から折り畳み状態への移行の際に、前記リーフレットフレームの屈曲を容易にするように構成される」との事項を追加する補正案を提示している。
しかしながら、リーフレットを支持するフレームが複数の支柱を有することは、引用文献の図7に見られるように周知技術であり、引用発明においてリーフレット支持フレームを採用する際、複数の支柱を有するものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。このとき、引用発明においてリーフレット404は軸方向に沿ってステント402の上端412から分離されていることから、リーフレットの箇所に設けられるリーフレット支持フレームも、ステント402から分離され、ステントに対して結合されないものとなる。
また、引用発明は、置換弁の圧着された外形を最小限にしようとするものであるから(概要参照。)、引用発明においてリーフレット支持フレームを採用する際、屈曲を容易にして外形をより小さくするよう、リーフレット支持フレームに複数の屈曲点を設けることは、当業者が適宜なし得たことである。
そうすると、補正案の請求項1に係る発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 むすび
本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~21に係る発明は、令和 4年 2月21日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~21に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含むものである。
理由2.(新規性)本願発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された上記引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由3.(進歩性)本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された上記引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「外側支持部分」及び「反転可能な支持部分」について、それぞれ「概ね管状を有すると共に、第1の管腔を形成している本体フレームを備える」こと及び「リーフレットフレームに対して結合された複数のリーフレットを備える」構成を実質的に削除し、「可撓性のある接続材料」が「前記リーフレットフレームと、前記多部品型のフレームの前記外側支持部分との間に延在しており」、「前記リーフレットフレームと、前記多部品型のフレームの前記外側支持部分との間に折り目領域を形成する」構成を実質的に削除し、「可撓性のある接続材料」を「可撓性のある架橋材料」としたものである。
そして、本願発明における「可撓性のある架橋材料」は、「反転可能な支持部分を前記外側支持部分に結合する」ものである点で本件補正発明の「可撓性のある接続材料」と変わらないから、前記第2の[理由]2(3)エの対比と同様に、引用発明の「可撓性スリーブ406」は、本願発明の「可撓性のある架橋材料」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明は、
「経カテーテル的弁において、
前記経カテーテル的弁は、流体がそれを通して選択的に流れることができる流れ管腔を形成している多部品型のフレームを備え、
前記多部品型のフレームは、
第1の管腔を形成している概ね管状を有する外側支持部分と、
概ね管状を有する反転可能な支持部分と、
反転可能な支持部分を前記外側支持部分に結合する、可撓性のある架橋材料であって、前記反転可能な支持部分は、前記外側支持部分に対して横方向に隣接している、第1の位置と、前記反転可能な支持部分が少なくとも部分的に前記外側支持部分の前記第1の管腔内に位置する、第2の反転位置との間で移行可能である、可撓性のある架橋材料とを備え、
前記経カテーテル的弁は、前記多部品型のフレームに結合されている複数のリーフレットであって、前記複数のリーフレットの各々は、前記多部品型のフレームの前記流れ管腔を選択的に遮断及び遮断解除するように、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である、複数のリーフレットをさらに備える、経カテーテル的弁。」
である点で一致する。
よって、本願発明は、引用発明である。
仮に相違点があるとしても、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。ゆえに、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-000771