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特許拒絶査定不服審判

2025-003817

機能材含有シート、吸収性物品、機能材含有シートの製造方法、及び吸収性物品の製造方法

審判番号
2025-003817
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-219333
請求日
2025年03月10日
審決日
2026年07月01日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ユニ・チャーム株式会社
  • 【請求人代理人】青木 篤
  • 【請求人代理人】三橋 真二
  • 【請求人代理人】小野田 浩之
  • 【請求人代理人】奥野 剛規
  • 【請求人代理人】藤本 健治
  • 【請求人代理人】今枝 弘充
審判長/審判官
  • 審判長 濱本 禎広
  • 審判官 山本 一
  • 審判官 門 良成
分類
P18 .575-Z (A61F) / P18 .121-Z (A61F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-219333「機能材含有シート、吸収性物品、機能材含有シートの製造方法、及び吸収性物品の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和4年7月8日出願公開、特開2022-104247〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年12月28日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和6年 5月 8日付け:拒絶理由通知 同年 9月 4日 :意見書、手続補正書の提出 同年12月 5日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月10日 :原査定の謄本の送達) 令和7年 3月10日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和7年 3月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和7年3月10日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和7年3月10日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についての補正を含むものであり、次の(1)に示す本件補正前(令和6年9月4日にされた手続補正後をいう。)の特許請求の範囲の請求項6のうち、請求項1及び5の記載を引用するものが、後記の(2)に示す本件補正後の請求項1に補正された。下線は、補正箇所を示す。 (1)本件補正前の請求項 「 【請求項1】 シート部材と、 前記シート部材の表面の所定領域に形成された樹脂層と、 前記樹脂層に含まれている機能材粒子と、 を具備し、 前記機能材粒子の少なくとも一部は、前記樹脂層の表面から外側へ突出し、 前記樹脂層は、着色されており、 前記機能材粒子の平均粒径は、前記樹脂層の膜厚より大きく、1~30μm(ただし、2.0~8.0μmのものを除く)であり、 前記樹脂層の膜厚は0.5μm~20μm(ただし、2.0μm未満のものを除く)であり、 前記シート部材は不織布で構成されている、 機能材含有シート。 ・・・ 【請求項5】 互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を備え、 表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体と、を備える吸収性物品であって、 少なくとも一枚の、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の機能材含有シートを含む、 吸収性物品。 【請求項6】 前記吸収体は、吸収性コアと、前記吸収性コアを覆うコアラップと、を含み、 前記機能材粒子は、消臭機能を有し、 前記機能材含有シートは、前記表面シートと前記吸収性コアとの間に配置されている、 請求項5に記載の吸収性物品。」 (2)本件補正後の請求項 「 【請求項1】 互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を備え、 表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体と、を備える吸収性物品であって、 少なくとも一枚の機能材含有シートを含み、 前記機能材含有シートは、 シート部材と、 前記シート部材の表面の所定領域に形成された樹脂層と、 前記樹脂層に含まれている機能材粒子と、 を具備し(ただし、発泡剤を含むものを除く)、 前記機能材粒子の少なくとも一部は、前記樹脂層の表面から外側へ突出し、 前記樹脂層は、着色されており、 前記機能材粒子の平均粒径は、前記樹脂層の膜厚より大きく、1~30μm(ただし、2.0~8.0μmのものを除く)であり、 前記樹脂層の膜厚は0.5μm~20μm(ただし、2.0μm未満のものを除く)であり、 前記シート部材は不織布で構成されており、 前記吸収体は、吸収性コアと、前記吸収性コアを覆うコアラップと、を含み、 前記機能材粒子は、消臭機能を有し、 前記機能材含有シートは、前記表面シートと前記吸収性コアとの間に配置されている、吸収性物品。」 2 補正の目的 (1)本件補正のうち、本件補正後の請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1~5を削除するとともに、本件補正前の請求項6のうち、請求項1及び5の記載を引用するものを新たな請求項1とし(以下「補正事項1」という。)、請求項6が間接的に引用する請求項1に記載された「機能材含有シート」を、「(ただし、発泡剤を含むものを除く)」ものに限定する(以下「補正事項2」という。)ものである。 (2)補正事項1は、特許法17条の2第5項2号に掲げる請求項の削除を目的とする補正に該当する。 (3)補正事項2は、「機能材含有シート」の材料について、「(ただし、発泡剤を含むものを除く)」として発泡剤を含まないものに限定するものであって、本件補正前の請求項6に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、補正事項2は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 3 独立特許要件の判断 前記2のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含む。そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 (2)各引用文献等に記録された事項及び引用発明等の認定 引用文献の番号は、原査定の拒絶の理由で引用した文献はその番号を引き続き用い、新たに引用する文献には、それに連続する番号を付して用いた。 ア 引用文献3 (ア)引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本件出願前の平成17年10月13日に発行された特開2005-279037号公報には、以下の事項が記載されている。 「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、生理用ナプキンや使い捨て紙おむつ等の吸収性物品に関し、さらに詳細には、吸収性物品の少なくとも脚周り部位における擦れ部分に抗菌処理を施すことにより、着用者のスキントラブルの発生の防止を図った吸収性物品に関する。」 「【0015】 図1は、本発明に係るナプキン(以下、「本ナプキン」と言う。)の斜視図であり、本発明の第1実施形態を示すものである。また、図2は図1のX-X断面図であり、図3は本発明の第1実施形態に係るナプキンの装着時の状態の一例を示した断面図である。なお、本ナプキンは、後述するように少なくとも脚周り部位における擦れ部分を形成する構成要素に抗菌処理が施されていることを除くその他の構成については、上述した従来の吸収性物品と実質的に同一である。このため、本ナプキンでは従来の吸収性物品と共通する構成要素については、200番台の同一の符号を付して説明する。 【0016】 本ナプキン200は、図2に示されるように、上述した従来の吸収性物品100と同様に、着用者の身体と接する側より順に、トップシート201と、ティッシュ等の吸水紙206で全体が被覆されている吸収体203と、バックシート202とによりナプキン本体204が形成されており、また、経血等の体液(以下、「体液」と言う。)が脚周り部から外に漏れ出すことを防止するため、ナプキン本体204の長手方向両側部の使用面側に突出する立体ギャザー205が設けられて形成されているものである。 【0017】 トップシート201は、体液を吸収体203へ透過させるシートであって、肌着に近い感触を有し、きめが細かく繊維密度が高い素材、例えば有孔又は無孔の不織布や多孔性のプラスチックシート等が好適に用いられるが、必ずしもこれらの素材に限定されるものではない。また、不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。なお、トップシートに多数の透孔を形成すると、体液が吸収体203により速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。 【0018】 吸収体203は体液を吸収、保持し得るものであれば良く、通常、綿状パルプを主体とし、これに吸収性ポリマーを混在させたものが使用される。この綿状パルプとしては木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維から成るものが挙げられる。また、吸収性ポリマーは吸収体203を構成するパルプ中に例えば粒状粉として混入されている。なお、本実施形態のように吸収体203を吸水紙206で被覆すると、吸水紙206によって体液を速やかに吸収体203に拡散させて、体液がトップシート201へ逆戻りすることを防止することができる。 【0019】 バックシート202には透明ないし半透明のポリエチレン、ポリプロピレン等のシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等の不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には、防水フィルムと不織布とでバックシートを構成する。)等を用いることができる。なお、バックシート202は、不透液性であることが好ましい。また、近年はムレ防止の観点から、透湿性を有するものが好適に用いられる傾向にある。この不透液・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。 【0020】 立体ギャザー205には、防水性及びクッション性を有する不織布、あるいは防水フィルム等が好ましく用いられ、内部に弾性伸縮部材208を有している。弾性伸縮部材208の素材には、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン等から成る糸状弾性ゴムが好ましく用いられる。 【0021】 本ナプキン200は上述した構成要素のうち、少なくとも脚周り部位における擦れ部分(以下、「擦れ部分」と言う。)Aを形成する構成要素に抗菌処理が施されている。ここで擦れ部分Aとは、装着時、ナプキン200が着用者の脚Lと接触し、擦れる部分、すなわち図3において点線の楕円で示す部分をいう。従って、本実施形態においては、擦れ部分Aは立体ギャザーの外面側(脚L側)となり、図2に示すように、立体ギャザー205の外面側に抗菌剤207が塗工等されて抗菌処理が施されている。 【0022】 立体ギャザー205に抗菌処理を施す方法としては、シート状に形成された立体ギャザーに抗菌剤207を噴霧したり、塗工する方法、抗菌剤207を抄紙時に添加する方法、湿式不織布とする方法、乾式不織布とする方法、乾式パルプ法等、公知の種々の方法を用いることができる。 【0023】 抗菌剤207としては、抗菌性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば金属イオンや、抗菌性金属イオンと置換されているカルボキシメチルセルロースや、カチオン性多糖類を包含する抗菌剤等の公知の種々の抗菌剤を使用することができる。この金属イオンとしては、例えば銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン等の無機イオン等の公知の種々のものを使用することがでるが、無機イオンの粒径が1~50μmであることが好ましい。また、置換されているカルボキシメチルセルロースから成る抗菌剤は、このカルボキシメチルセルロース塩として、金属塩の他に、アンモニア、アミン等の塩基性の臭い成分を中和するためナトリウム塩、あるいは酸を使用することができる。さらにまた、カチオン性多糖類としては、アミノ多糖類、好ましくはキトサン、キトサン塩、修飾キトサン、架橋キトサン、及びこれらの混合物から成る群から選択されるキトサン材料等を使用することができる。なお、これらの抗菌剤は単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。 【0024】 また、本発明は上述したような抗菌剤207に消臭剤が混合されていても良い。消臭剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭等の無機成分等の公知の種々の消臭剤を使用することができる。 【0025】 上述した抗菌剤及び消臭剤から成る塗工液に配合されるバインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチルビニルアルコール(EVA)、アクリル系樹脂等が使用される。また、塗工液には、この他にアニオン系界面活性剤を入れることにより体液の透過がバインダーで阻害されることを防ぐこともできる。 【0026】 シート状に形成された立体ギャザーに抗菌剤207を噴霧したり、塗工する方法としては、グラビアコーター、バーコーター、ブレードコーター、エアブレードコーター、スプレーコーター等の公知の種々の塗工装置を用いて塗工される。また、フレキソ塗工やドット塗工等の塗工装置を使用することもできる。なお、抗菌剤207の塗工量は0.1~1g/m2の範囲が好ましく、また乾燥温度は50~200℃の範囲が好ましい。 ・・・中略・・・ 【0031】 なお、上述した本実施形態では、立体ギャザー205の外面側のみに抗菌処理が施されているが、この他立体ギャザー205の内面側(ナプキン200の使用面側)、バックシート202、トップシート201等の各構成要素に抗菌処理が施されていても良い。 【0032】 以上のように構成された本ナプキン200は、上述したようにナプキン200の擦れ部分Aに抗菌処理が施されているので、ナプキン200が着用者の脚Lと接触したり、あるいは着用者の動きに追随して着用者の脚Lと擦れ合うことにより、着用者の脚Lの皮膚に傷ができても、この傷に雑菌等が繁殖することを抑えることができるので、スキントラブルの発生の防止を図ることができる。」 (イ)引用発明3 前記(ア)より、引用文献3には、次のとおりの発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明3] 「着用者の身体と接する側より順に、トップシート201と、ティッシュ等の吸水紙206で全体が被覆されている吸収体203と、バックシート202とによりナプキン本体204が形成されており、ナプキン本体204の長手方向両側部の使用面側に突出する立体ギャザー205が設けられて形成されているナプキン200であって(前記(ア)【0016】)、 立体ギャザー205には、防水性及びクッション性を有する不織布が用いられ(前記(ア)【0020】)、 シート状に形成された立体ギャザー205の外面側に抗菌剤207がグラビアコーター等の公知の種々の塗工装置を用いて塗工されて抗菌処理が施され(前記(ア)【0021】、【0026】)、 抗菌剤207としては、金属イオンや、抗菌性金属イオンと置換されているカルボキシメチルセルロースや、カチオン性多糖類を包含する抗菌剤等を使用することができ、金属イオンとしての、無機イオンの粒径が1~50μmであり(前記(ア)【0023】)、 抗菌剤207に、消臭剤として活性炭が混合され(前記(ア)【0024】)、 抗菌剤及び消臭剤から成る塗工液に配合されるバインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチルビニルアルコール(EVA)、アクリル系樹脂等が使用され(前記(ア)【0025】)、 立体ギャザー205の外面側の他、各構成要素に抗菌処理が施されていても良い(前記(ア)【0031】)、 ナプキン200。」 イ 引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本件出願前の平成22年7月15日に発行された特開2010-154928号公報には、以下の事項が記載されている。 「【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、これら先行技術においては、いずれも主に装着時に発生する臭気を抑制するものであるため、消臭剤の使用量の割には使用後の消臭効果に乏しいという問題点があった。 そこで、本発明の主たる課題は、装着時だけでなく使用後の廃棄時においてもより効果的に消臭効果が発揮される吸収性物品を提供することにある。」 「【0070】 背側伸縮シート70は、消臭機能を有するシートである限り特に限定されないが、シート基材と、このシート基材に接着樹脂を介して固定された消臭剤粒子とを有するものが好適である。さらに、その消臭剤粒子の外面に接着樹脂により被覆されていない部分を有するものが特に好適である。もちろん、シート基材に消臭剤溶液を塗布あるいは含浸させて乾燥したものであってもよいし、シート基材を構成する材料自体が消臭性を有するもの、すなわち消臭性を有する樹脂からなるフィルムや、消臭性繊維からなる不織布や紙などの繊維集合体であってもよい。 【0071】 背側伸縮シート70のシート基材としては、プラスチックフィルムや不織布、紙などを用いることができるが、嵩高く通気性の高い素材が好ましい。背側伸縮シート70のシート基材が通気性を有する繊維集合体、特にパルプ繊維を主原料とする紙であると、基材自体が臭気吸着により若干の消臭効果を発揮できるとともに、基材の表面積が大きく通気性があることから後述する消臭剤粒子と臭気との接触確率が向上し、消臭効率が向上する。プラスチックフィルムを用いる場合は、ムレ防止のため透湿性を有することが望ましい。不織布や紙は透湿性を有するため好ましく、後述するデザイン印刷を施す場合、不織布にあっては平滑性が高く印刷しやすいもの、紙にあっては強度が高くインクの滲み難いものを用いるのが好ましい。特に好ましいものとしては、目付け15~35g/m2程度、厚み0.1~0.3mm程度のクレープ紙(薄葉紙)や、目付け10~25g/m2程度、厚み0.1~0.3mm程度の不織布(特にスパンボンド部の繊度が1.0~3.0dtex程度のスパンボンド不織布やSMS不織布)を挙げることができる。クレープ紙を用いる場合は、クレープ率は5~20%程度、特に5~15%程度のものを用いるのが好ましい。クレープ率が20%以上であると、インクの定着量は大きくなるが滲みが生じてデザイン印刷には適さない。クレープ率が5%以下であるとインクが浸透しにくいため定着量が少ない。 【0072】 消臭剤粒子は特に限定されないが、臭気を物理吸着(表面吸着)する立体構造、層状構造、あるいは多孔質構造を有するものが好適であり、物理吸着のみを行うものでも化学吸着機能を併せ持つものでも良い。消臭剤粒子の構成物質は活性炭、ゼオライト(三次元骨格構造をもつアルミノシリケート)粒子、ジルコニウムリン酸塩からなる層状構造粒子、ケイ酸塩からなる立体構造粒子、酸化亜鉛等、公知の消臭剤粒子を用いることができる。多孔質粒子の細孔径は、表面積の観点から、通常1~10オングストローム、特に3~10オングストロームであるのが好ましい。細孔径が大き過ぎると表面積減少により効果が低下し、小さすぎると分子径の大きな臭気発生物質の吸着能が低下する。同様に、嵩密度/真密度は0.1~0.3程度が好ましい。このような多孔質消臭剤粒子は、特に吸収性物品の廃棄時に問題となる臭気成分、具体的にはアンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸等の吸着性能に優れる点で好ましい。 【0073】 また、消臭剤粒子は臭気分子を化学的に吸着する金属イオンを含有するのが好ましい。例としては、粒子物質中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン等で置換してなる粒子を挙げることができ、より具体的にはゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなる粒子(市販品としては(株)シナネンゼオミック社のゼオミック(登録商標))や、ジルコニウムリン酸塩中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銅イオンで置換してなる粒子(Zr3(PO4・Cu2+))、ケイ酸塩中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銅イオンで置換してなる粒子、酸化亜鉛粒子、ケイ酸塩中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を亜鉛イオンで置換してなる粒子等を例示することができる。一例として、銅イオンによる消臭(化学吸着)反応式を挙げると、次のとおりである。この場合、臭気分子と金属イオンとが配位結合し、錯イオンを形成する。 Cu2+ + H2S → H2S:Cu2+ ・・・中略・・・ 【0076】 消臭剤粒子の外面に接着樹脂により被覆されていない部分を有する構造とするため、並びに消臭効果を十分なものとするため、及び製造を容易にするためには、消臭剤粒子の平均粒径(JIS K 1474-2007に規定されるメジアン径)は2.0~8.0μm、特に2.0~5.0μmであるのが好ましい。平均粒径が小さ過ぎると取り扱いが困難となり、平均粒径が大き過ぎると表面積の減少により消臭効果が低下する。従って、インクを塗布して乾燥した後の膜厚は、2.0μm未満であると接着樹脂の塗膜から前記消臭剤粒子の多くが露出するため好ましく、1.0~1.5μm程度であると、消臭効果も十分なものとなるため特に好ましい。さらに、接着樹脂100重量部に対して消臭剤粒子を1~20重量部含むのが好ましい。 ・・・中略・・・ 【0080】 他方、背側伸縮シート70の製造方法としては、消臭剤粒子、接着樹脂、及び溶媒を主成分とするインクを用い、シート基材上に形成されるインクの膜厚が消臭剤粒子の平均粒子径よりも薄くなるように、シート基材に印刷を行い、印刷部分に消臭剤粒子を含む背側伸縮シート70を得る手法が好適である。」 ウ 引用文献6 (ア)引用文献6の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献6として引用され、本件出願前の平成21年7月30日に発行された特開2009-165863号公報には、以下の事項が記載されている。 「【0047】 図2(A)(B)に示すように、この吸収性物品1は、最下部吸収単体10と、この最下部吸収単体10の肌側に重ねられた上部吸収単体20とを有している。最下部吸収単体10は、表面シート11と中間シート12および物品裏面シート13が重ねられて構成されている。上部吸収単体20は表面シート21と中間シート22および裏面シート23が重ねられて構成されている。 【0048】 最下部吸収単体10の平面形状は図1に示す吸収性物品1の全体の平面形状と同じであり、最下部吸収単体10を構成している表面シート11、中間シート12および物品裏面シート13の周縁部は、吸収性物品1の前記前縁部2と後縁部3および右側縁部4と左側縁部5の形状に一致している。上部吸収単体20の平面形状は図1に示す吸収性物品1の全体の平面形状と同じであり、上部吸収単体20を構成している表面シート21、中間シート22および裏面シート23の周縁部は、吸収性物品1の前記前縁部2と後縁部3および右側縁部4と左側縁部5の形状に一致している。」 「【0106】 吸収単体を目視で区別できるようにするには、各吸収単体毎に色を相違させることで実現できる。例えばいずれかの吸収単体を白色繊維で形成して肌側表面を白色とし、他の吸収単体を着色された繊維で形成し、肌側表面が白色以外の色を呈するようにしておく。例えば、最下部吸収単体10または110を構成する中間シート12,112、および/または表面シート11,111に消臭機能を発揮する機能剤としてカテキン類を含ませる場合には、カテキン類を含んでいることをイメージできるように緑色の顔料と共に用いることが好ましい。これにより最下部吸収単体10,110の肌側表面が薄い緑色を呈するようになる。このとき、上部吸収単体や最上部吸収単体を白色繊維で構成すると、使用中に最下部吸収単体10,110を使用しているか否かを目視で容易に識別できる。またカテキン類を含ませておくと、最も長い時間着用されている最下部吸収単体10,110が殺菌効果と消臭効果を発揮でき、長期間着用しても悪臭の生じるのを防止できる。なお、上部吸収単体20,120や最上部吸収単体130にもカテキン類を含ませることは可能である。」 「【0134】 前記各実施の形態においては、少なくとも最下部吸収単体10,110,210,310に、前述したカテキン類などの消臭機能剤や、抗菌剤、香料などを含ませることが好ましい。ただし、上部吸収単体20,120,220,320や、最上部吸収単体130のそれぞれに前記機能剤を含ませてもよい。 【0135】 前記機能剤としては、カテキン類などに代表される植物から抽出されたフェノール類や、活性炭、銅イオン、銀イオンなどの一種以上を使用することができる。前述のように、カテキン類を含ませる場合には、顔料を用いて吸収単体の肌側表面が緑色を呈するようにすることが好ましく、活性炭を使用する場合には、前記肌側表面に黒色を呈する顔料を使用することが好ましい。これら機能剤および顔料を含ませて着色した吸収単体と、白色の吸収単体を組み合わせることにより、前述のように、目視で、最下部吸収単体と上部吸収単体とを区別しやすくなる。また、カテキン類を加えた吸収単体の肌側表面に、図6(B)は図7(B)に示すリーフ模様のエンボス加工部215,315を形成しておくと、視覚的に殺菌、消臭効果のある吸収単体である視覚イメージを生じさせることができ、着用者に清潔感を与えることができる。」 (イ)文献6技術事項 特に、前記(ア)【0106】の「消臭機能を発揮する機能剤としてカテキン類を含ませる場合には、カテキン類を含んでいることをイメージできるように緑色の顔料と共に用いることが好ましい」、【0135】の「前述のように、カテキン類を含ませる場合には、顔料を用いて吸収単体の肌側表面が緑色を呈するようにすることが好ましく、活性炭を使用する場合には、前記肌側表面に黒色を呈する顔料を使用することが好ましい。」との記載を踏まえると、引用文献6には、次のとおりの技術(以下「文献6技術事項」という。)が記載されていると認められる。 [文献6技術事項] 「吸収性物品の吸収単体を構成する表面シートに、消臭機能を発揮する機能剤として活性炭を使用する場合には、活性炭を含んでいることをイメージできるように黒色を呈する顔料と共に用いることが好ましいこと。」 エ 引用文献7 新たに引用され、本件出願前の平成27年4月13日に発行された特開2015-66307号公報には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。」 「【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 本発明に係る吸収性物品としてのおむつの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。 図1に示すように、本実施形態の使い捨ておむつ10は、肌当接面側に配された液透過性の表面シート1、非肌当接面側に配された透湿性かつ液不透過性の裏面シート2、および両シートの間に挟まれていて液を吸収保持する吸収体3を備える。以下、「使い捨ておむつ」は「おむつ」ということもある。 表面シート1および裏面シート2は縦長の形状を有する。吸収体3は、これらよりも物品長手方向(Y方向)および物品幅方向(X方向)の長さがやや短く、股下部において物品幅方向中央に位置する、肌当接面側に開口する開口部33が配されている。吸収体3は、その長手方向を表面シート1および裏面シート2の長手方向に一致させ略中央に配されている。吸収体3は、中間シート5(5a、5b)によって挟持されている。これら表面シート1、裏面シート2、および中間シート5を含む吸収体3は、例えばホットメルト接着剤等によって接合されている。」 「【0047】 上記各中間シート5、吸収性ポリマーは、衛生面を考慮すると抗菌消臭処理がなされていることが好ましい。抗菌処理の抗菌剤としては、銀系、銅系若しくは亜鉛系の物質又はそれらの塩類等の抗菌剤、または4級アンモニウム塩等が挙げられる。消臭剤としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、ポリガラクトサミン、カテキン、キトサン、キチン、ポリアニリン等が挙げられる。 また、前記図1に示すように、吸収体3と裏面シート2との間に配した中間シート5、前記図2に示すように、第1吸収体31と第2吸収体32の間に配した中間シート5を色付き中間シートとしてもよい。色付き中間シートは台紙および不織布からなる。このように色付き中間シートとすることにより、尿取りパッド(図示せず)を装着する場合、中間シートの色が視認されることによって装着位置の目印となる。」 「【0063】 中間シート5は、親水性の部材であり、例えば、親水性のティッシュペーパー等の薄手の紙(薄葉紙)、コットンやレーヨンなどの親水性繊維からなる不織布、合成樹脂の繊維に親水化処理を施してなる不織布(スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)、スパンボンド-メルトブローン-メルトブローン-スパンボンド(SMMS)、スパンボンド-スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SSMS)等の複合不織布)等を用いることができる。」 オ 引用文献8 新たに引用され、本件出願前の平成22年9月9日に発行された特開2010-194254号公報には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、排泄物の臭いが少なく、消臭効果に優れた吸収性物品及び該吸収性物品の構成部材等として好適な繊維シートに関する。」 「【0014】 第1実施形態のおむつ1は、図1及び図2に示すように、肌当接面を形成する液透過性の表面シート2、非肌当接面を形成する液不透過性の裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に配置された液保持性の吸収体4を具備し、実質的に縦長に形成されている展開型のものである。おむつ1は、背側部A、腹側部B及びこれらの間に位置する股下部Cを長手方向に有している。背側部Aは着用者の背側に位置する部位、腹側部Bは着用者の腹側に位置する部位、股下部Cは着用者の股下に位置する部位である。股下部Cは、おむつ1の長手方向中央部に位置している。尚、本明細書において、肌当接面は、吸収性物品及びその構成部材における着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、吸収性物品及びその構成部材における着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。 【0015】 おむつ1は、股下部Cの長手方向に沿った両側縁が内向きの円弧状に湾曲しており、全体として長手方向中央部が内方に括れた砂時計状の形状となっている。表面シート2は、吸収体4よりも外形寸法の大きい略矩形状の平面視形状を有しており、裏面シート3の幅方向中央部に配されている。裏面シート3は、おむつの外形形状に一致する砂時計状の外形を有している。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ吸収体4の長手方向両端縁部及び幅方向両側縁部から外方に延出しており、それらの延出部において直接的に又は他の部材を介在させて接着剤やシール接合等の接合手段により互いに接合されている。吸収体4は、平面視して矩形形状をしており、その長手方向をおむつ1の長手方向に一致させておむつ1の略中央部に配されている。 【0016】 第1実施形態における吸収体4は、図2に示すように、液保持性の吸収性コア5及び該吸収性コア5を包む液透過性のコアラップシート6を備えている。第1実施形態においては、吸収性コア5は平面視して矩形形状をしている。また、コアラップシート6は1枚のシートからなり、矩形形状の吸収性コア5の肌当接面側及び非肌当接面側の全域を覆うように配されている。吸収性コア5とコアラップシート6との間は、所定の部位においてホットメルト粘着剤等の接合手段により接合されていても良い。」 「【0021】 コアラップシート6は、消臭剤が含有された消臭剤含有シートを含んで構成されている。第1実施形態におけるコアラップシート6は、繊維を主体とするシート中に消臭剤が担持されている構造の消臭剤含有シートのみから構成されている。この繊維を主体とするシートとしては、液透過性のシートが好ましく、例えば、紙;スパンボンド、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)、スパンボンド-メルトブローン-メルトブローン-スパンボンド(SMMS)、スパンレース、エアスルー、エアレイド等の不織布等が挙げられ、特に紙又はエアレイド不織布が好ましい。前記消臭剤含有シートに含まれる繊維としては、前述した繊維層50(吸収性コア5)に含まれる繊維と同じものを用いることができる。前記消臭剤含有シートにおける繊維の含有量は、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60.0~99.9質量%である。 【0022】 コアラップシート6に含有される消臭剤としては、活性炭、無機多孔質微粒子、有機多孔質粒子及び抗菌性物質からなる群から選択される1種以上が挙げられる。尚、ここでいう消臭剤とは、臭気に直接作用して(即ち臭気を吸着、中和、分解等して)消臭効果を発現するもののみならず、例えば抗菌性物質のように、臭気の発生源に作用して臭気の発生を抑制することで消臭効果を発現するものも含む。以下、各消臭剤について説明する。」 「【0043】 前述した各消臭剤(活性炭、無機多孔質微粒子、有機多孔質粒子、抗菌性物質)は、コアラップシート6を構成する消臭剤含有シート中に担持されている。消臭剤含有シート中に消臭剤が担持されている状態とは、消臭剤が、消臭剤含有シートの構成繊維によって形成される空間内に入り込み、消臭剤含有シートに対して外部から応力が加わっても消臭剤の極端な移動や脱落が起こりにくくなっている状態をいう。このような消臭剤の担持状態をより強力なものとする観点から、消臭剤と消臭剤含有シートの構成繊維との間は、融着繊維(バインダー繊維)、ホットメルト粘着剤、合成バインダー等の結合剤によって結合されていても良い。」 カ 周知技術 (ア)周知技術1 前記イを踏まえると、次に示す事項は吸収性物品の分野において、出願前に当業者に広く知られた周知の技術(以下「周知技術1」という。)であったと認められる。 [周知技術1] 「より効果的に消臭効果が発揮される吸収性物品において(前記イ【0003】)、 不織布、紙などを用いるシート基材に、接着樹脂を介して固定された活性炭等の臭気を物理吸着する消臭剤粒子を有する消臭機能を有するシートは、その消臭剤粒子の外面に接着樹脂により被覆されていない部分を有し(前記イ【0070】~【0072】)、 消臭剤粒子、接着樹脂、及び溶媒を主成分とするインクを用いて、シート基材上に形成されるインクの膜厚が消臭剤粒子の平均粒子径よりも薄くなるように、シート基材に印刷を行って製造されるのが好適であり(前記イ【0080】)、 消臭剤粒子の平均粒径を、小さ過ぎると取り扱いが困難となり、大き過ぎると表面積の減少により消臭効果が低下することを考慮して定め、インクを塗布して乾燥した後の膜厚を、接着樹脂の塗膜から前記消臭剤粒子の多くが露出すること、消臭効果も十分なものとなることを考慮して定める技術(前記イ【0076】)。」 (イ)周知技術2 前記エ及びオを踏まえると、次に示す事項は吸収性物品の分野において、出願前に当業者に広く知られた周知の技術(以下「周知技術2」という。)であったと認められる。 [周知技術2] 「吸収性物品の表面シートと吸収体の間の不織布からなるシートに抗菌消臭処理を施す技術。」 (3)本件補正発明と引用発明3の対比 本件補正発明と引用発明3とを対比する。 ア 引用発明3の「ナプキン200」は、「吸収体203」が設けられている物品であるから、本件補正発明と引用発明3とは、「吸収性物品」の発明である点で一致する。 イ 引用発明3の「ナプキン200」には、「立体ギャザー205が設けられ」る「ナプキン本体204」の「長手方向」があり、これにそれぞれ直交する幅方向、厚さ方向があることは、自明であるから、本件補正発明の「吸収性物品」と引用発明3の「ナプキン200」は、「互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を備え」るものである点で一致する。 ウ 引用発明3の「トップシート201」、「バックシート202」及び「ティッシュ等の吸水紙206で全体が被覆されている吸収体203」は、それぞれ本件補正発明の「表面シート」、「裏面シート」及び「吸収体」に相当するから、引用発明3の「着用者の身体と接する側より順に、トップシート201と、ティッシュ等の吸水紙206で全体が被覆されている吸収体203と、バックシート202とによりナプキン本体204が形成され」る「ナプキン200」は、本件補正発明の「表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体と、を備える吸収性物品」に相当する。 エ(ア)吸収性物品の技術分野において、活性炭は、表面積を大きくして消臭効果を増大させるために粉末状で使用されるとの技術常識を踏まえれば、引用発明3の「活性炭」である「消臭剤」は、消臭の機能を有する粉体と認められるから、本件補正発明の「機能材粒子」に相当する。 (イ)引用発明3の「シート状に形成された立体ギャザー205」は、「外面側に抗菌剤207がグラビアコーター等の公知の種々の塗工装置を用いて塗工されて抗菌処理が施され」、「抗菌剤207」には、「消臭剤が混合されて」いるとともに、「抗菌剤及び消臭剤から成る塗工液」には「ポリビニルアルコール(PVA)、エチルビニルアルコール(EVA)、アクリル系樹脂等が使用され」る「バインダー」が配合されるものであるから、「シート状に形成された立体ギャザー205」には、消臭剤を含み、樹脂をバインダーとして配合した塗工液が少なくとも一部に層を形成するものであると認められる。また、引用発明3の「消臭剤」は、「バインダー」である樹脂中に含まれると認められる。 そうすると、引用発明3の「シート状に形成された立体ギャザー205」、「塗工され」た「塗工液」及び「塗工液」の「消臭剤」は、それぞれ本件補正発明の「シート部材」、「前記シート部材の表面の所定領域に形成された樹脂層」及び「前記樹脂層に含まれている機能材粒子」に相当する。 (ウ)引用発明3の「抗菌処理」が施された「シート状に形成された立体ギャザー205」は、発泡剤を含むことが特定されておらず、また、吸収性物品の技術分野において、抗菌処理や立体ギャザーの形成において発泡剤が当然使用されることが技術常識ではないから、引用発明3の「抗菌処理」が施された「シート状に形成された立体ギャザー205」は「発泡剤を含むものを除く」ものであるといえる。 (エ)前記(ア)~(ウ)を踏まえると、引用発明3の「抗菌処理」が施された「シート状に形成された立体ギャザー205」は、本件補正発明の「少なくとも一枚の機能材含有シート」に相当し、両者は「シート部材」と、「前記シート部材の表面の所定領域に形成された樹脂層」と、「前記樹脂層に含まれている機能材粒子」と、「を具備し(ただし、発泡剤を含むものを除く)」たものである点で一致する。 オ 引用発明3の「立体ギャザー205」は、「不織布が用いられ」るから、本件補正発明の「シート部材」と引用発明3の「シート状に形成された立体ギャザー205」は、「不織布で構成されて」いるものである点で一致する。 カ 引用発明3の「吸収体203」は、「ティッシュ等の吸水紙206で全体が被覆」されるものであるから、引用発明3の「吸収体203」、「吸水紙206」は、それぞれ本件補正発明の「吸収性コア」、「コアラップ」に相当する。 したがって、前記ウを踏まえると、引用発明3の「ティッシュ等の吸水紙206で全体が被覆されている吸収体203」と本件補正発明の「吸収体」は、「吸収性コアと、前記吸収性コアを覆うコアラップと、を含」むものである点で一致する。 キ 引用発明3の「消臭剤」と本件補正発明の「機能材粒子」は、「消臭機能を有」する点で一致する。 ク 前記ア~キを踏まえれば、本件補正発明と引用発明3は、次のとおりの一致点、相違点を有するものと認められる。 [一致点] 「 互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を備え、 表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体と、を備える吸収性物品であって、 少なくとも一枚の機能材含有シートを含み、 前記機能材含有シートは、 シート部材と、 前記シート部材の表面の所定領域に形成された樹脂層と、 前記樹脂層に含まれている機能材粒子と、 を具備し(ただし、発泡剤を含むものを除く)、 前記シート部材は不織布で構成されており、 前記吸収体は、吸収性コアと、前記吸収性コアを覆うコアラップと、を含み、 前記機能材粒子は、消臭機能を有する 吸収性物品。」 [相違点1] 本件補正発明においては、機能材粒子の少なくとも一部は、樹脂層の表面から外側へ突出し、前記機能材粒子の平均粒径は、前記樹脂層の膜厚より大きく、1~30μm(ただし、2.0~8.0μmのものを除く)であり、前記樹脂層の膜厚は0.5μm~20μm(ただし、2.0μm未満のものを除く)であるのに対し、 引用発明3においては、塗工された塗工液に対して、膜厚及び消臭剤の平均粒径の具体的な大小の関係と表面の状態が特定されていない点。 [相違点2] 本件補正発明においては、樹脂層は、着色されているのに対し、 引用発明3においては、塗工された塗工液が着色されると特定されていない点。 [相違点3] 本件補正発明においては、機能材含有シートは、表面シートと吸収性コアとの間に配置されているのに対し、 引用発明3においては、ナプキン本体204の使用面側に突出する立体ギャザー205であって、表面シートと吸収性コアとの間にない点。 (4)相違点についての判断 ア 相違点1について (ア)前記(2)カ(ア)周知技術1において、「その消臭剤粒子の外面に接着樹脂により被覆されていない部分を有し、シート基材上に形成されるインクの膜厚が消臭剤粒子の平均粒子径よりも薄くなる」ように印刷を行うことで、消臭剤粒子の一部が、インク表面から外側へ突出することとなるものと理解できる。 (イ)そして、「ナプキン200」において「消臭剤」を含み「バインダー」を配合された「塗工液」を塗工するものである引用発明3と、「吸収性物品」において「消臭剤粒子、接着樹脂、及び溶媒を主成分とするインクを用いて」、「シート基材に印刷を行」うものである周知技術1は、共通の技術分野に属するものである。また、消臭剤を用いる引用発明3において、消臭効果を十分発揮させることは当業者に自明の課題であるところ、消臭効果を考慮した消臭剤の平均粒径及びインクの膜厚の設定に関する周知技術1を採用する動機付けはあるといえる。 (ウ)したがって、引用発明3において、周知技術1を採用し、「消臭剤」の一部が、「塗工液」表面から外側へ突出するものとし、また、「消臭剤」の平均粒径が塗工された「塗工液」の膜厚より大きくなるようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 (エ)また、引用発明3に周知技術1を採用するに際し、「消臭剤」の平均粒径と塗工された「塗工液」の膜厚の具体的な寸法は、求められる消臭効果に応じて、当業者が適宜設定し得る程度の設計的事項であり、本件補正発明で特定される平均粒径及び膜厚の数値範囲に包含される値とすることは単なる数値範囲の好適化に過ぎない。 イ 相違点2について 引用発明3と文献6技術事項は、ともに吸収性物品の分野に属するものである。また、引用発明3においては、消臭剤として活性炭を用いており、当該材料の使用を消費者に訴求することは当業者が当然考慮する事項と理解できるから、引用発明3に対し、活性炭を含んでいることをイメージできるようにする文献6技術事項を組み合わせる動機付けがあるといえる。 したがって、引用発明3の「塗工液」に対して、文献6技術事項を採用し、消臭剤としての活性炭とともに顔料を含ませて、黒色に着色とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 ウ 相違点3について 前記(2)カ(イ)周知技術2において示すとおり、吸収性物品の表面シートと吸収体の間の不織布からなるシートに抗菌消臭処理を施すことは、従前より広く知られた周知の技術である。 そして、引用発明3は、「立体ギャザー205の外面側の他、各構成要素に抗菌処理が施されていても良い」ものであるから、抗菌消臭処理を施す対象として周知の、表面シートと吸収体の間の不織布からなるシートに対して、引用発明3の立体ギャザー205に対する処理と同様の抗菌剤及び消臭剤から成る塗工液を塗工したものを用いて、前記相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得た設計変更にすぎない。 (5)請求人の主張について ア 請求人の主張の内容 請求人は審判請求の理由(2)(i)(引用文献2と、引用文献3-5の組み合わせとの対比)において、概略次の(ア)~(エ)の主張をしている。以下それぞれ主張(ア)~主張(エ)という。 (ア)引用文献2~6には、「前記機能材粒子は、消臭機能を有し、前記機能材含有シートは、前記表面シートと前記吸収性コアとの間に配置されている」という構成が開示されているとはいえない。 (イ)引用文献2に開示された消臭剤粒子の平均粒子径、及び接着樹脂の膜厚の具体的な数値は、本件補正発明から除外されており、また、消臭剤粒子の平均粒子径、及び接着樹脂の膜厚を、引用文献2に記載された範囲と異なる値に変更した場合、引用文献2に記載の技術が所望の目的を達成できるとはいえないから、引用文献2に記載の技術を変更してまで他の引用文献に記載の発明と組み合わせることに対して、阻害要因がある。 (ウ)引用文献3には、抗菌剤として用いる無機イオンの粒径が1~50μmであること、フレキソ塗工を使用することが開示されているが、抗菌剤を固定する接着剤の膜厚、及び「アニロックスロールの凹部の深さは、機能材粒子103の平均粒径よりも大きい。」ものを用いることは開示されていない。 (エ)本件補正発明は、「前記機能材粒子は、消臭機能を有し、前記機能材含有シートは、前記表面シートと前記吸収性コアとの間に配置されている」という特徴を有することによって、経血や尿などを吸収した吸収性コアから、吸収したものの腐敗等による悪臭成分が発生しても、機能材含有シートにより、直ちに消臭の効果を得ることができる。それと共に、機能材含有シートを表面シートで覆うことで、樹脂層の表面から外側へ突出した機能材粒子による凹凸で使用者が違和感を覚えることを抑制できる。」という優れた効果を発揮するものであって、このような効果は、機能材粒子の平均粒径、樹脂層の膜厚、及び機能材含有シートの吸収性物品における位置などの具体的な構成が有機的に結合することで、初めて得られる効果である。 いずれの引用文献にも、上記の具体的な課題が開示されていない以上、本件補正発明と同様の効果が得られるように構成することが、当業者にとって容易に想到し得たものということはできない。 イ 請求人の主張についての検討 (ア)主張(ア)について 「前記機能材粒子は、消臭機能を有し」という構成は、前記(3)キで検討したとおり、引用発明3が備えるものであり、また、「前記機能材含有シートは、前記表面シートと前記吸収性コアとの間に配置されている」という構成は、前記(4)ウで検討したとおり、周知技術2をふまえ、引用発明3から当業者が適宜なし得た事項であるから、引用文献2~6に前記構成の明示がないとしても、本件補正発明の容易想到性を否定することはできない。 なお、原査定の理由となった令和6年5月8日付け拒絶理由通知書における拒絶の理由5の[B]請求項8においても同様の説示をするものである。 (イ)主張(イ)について 引用文献2に開示される消臭剤粒子の粒径や接着樹脂の膜厚は、「好ましい」ものとして記載されているものであり、実際に用いる消臭剤の種類や求められる消臭効果、製造の容易性等に応じて当業者が適宜設計すべき事項であって、引用文献2に記載された粒径、膜厚の具体的な数値までを採用しなければならない理由は見当たらない。また、当該記載される具体的数値範囲を少しでも外れると、引用文献2に記載の技術が所望の目的を達成できなくなる理由もない。 したがって、前記(4)アのとおり判断することに阻害要因があるとはいえない。 (ウ)主張(ウ)について 主張(ウ)の引用文献3に記載されていないとした事項のうち、「アニロックスロールの凹部の深さは、機能材粒子103の平均粒径よりも大きい。」点は、請求項1に特定されていないから、当該事項の開示の有無は、本件補正発明の容易想到性を左右しない。また、抗菌剤を固定する接着剤(塗工液)の膜厚については、前記(4)アのとおりである。 (エ)主張(エ)について 請求人が主張する効果は、引用発明3と周知技術1、2から予測し得る程度の事項にすぎず、格別のものではない。また、機能材粒子の平均粒径、樹脂層の膜厚、及び機能材含有シートの吸収性物品における位置という具体的構成が、いずれも当該分野において広く知られた周知技術によるものであるところ、本件補正発明が請求人のいうとおりの前記効果を発揮するものであったとしても、本件補正発明は当業者であれば、容易に想到し得たものである。 (オ)前記(ア)~(エ)のとおりであるから、請求人の主張はいずれも採用できない。 (6)小括 したがって、引用発明3において前記相違点1~3に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本件補正発明の奏する作用効果としては、当業者が予測困難であり、格別顕著なものは、認めることができない。 したがって、本件補正発明は、引用発明3、文献6技術事項、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 本件補正の適否についてのまとめ 前記3において示したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものである。 したがって、本件補正は、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明の認定 本件補正は、前記第2に示したとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年9月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記第2の1(1)参照)により特定されるとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由5(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりの理由を含むものである。 理由5 (進歩性の欠如) 本願発明は、その出願前に発行された下記の引用文献2、3、6に記載された発明又は技術事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 2.特開2010-154928号公報 3.特開2005-279037号公報(主たる引用文献) 6.特開2009-165863号公報 3 引用文献3に記載された事項及び引用発明3’の認定 (1)引用文献3の記載事項 引用文献3に記載された事項は、前記第2の3(2)ア(ア)において示したとおりである。 (2)前記(1)より、引用文献3には、次のとおりの発明(以下「引用発明3’」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明3’] 「シート状に形成された立体ギャザー205であって(前記第2の3(2)ア(ア)【0026】)、 立体ギャザー205には、防水性及びクッション性を有する不織布が用いられ(前記第2の3(2)ア(ア)【0020】)、 シート状に形成された立体ギャザー205の外面側に抗菌剤207がグラビアコーター等の公知の種々の塗工装置を用いて塗工されて抗菌処理が施され(前記第2の3(2)ア(ア)【0021】、【0026】)、 抗菌剤207としては、金属イオンや、抗菌性金属イオンと置換されているカルボキシメチルセルロースや、カチオン性多糖類を包含する抗菌剤等を使用することができ、金属イオンとしては、無機イオンの粒径が1~50μmであり(前記第2の3(2)ア(ア)【0023】)、 抗菌剤207に、消臭剤として活性炭が混合され(前記第2の3(2)ア(ア)【0024】)、 抗菌剤及び消臭剤から成る塗工液に配合されるバインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチルビニルアルコール(EVA)、アクリル系樹脂等が使用され(前記第2の3(2)ア(ア)【0025】)、 立体ギャザー205の外面側の他、各構成要素に抗菌処理が施されていても良い(前記第2の3(2)ア(ア)【0031】)、 シート状に形成された立体ギャザー205。」 4 本願発明と引用発明3’の対比 本願発明と引用発明3’を対比する。 (1)前記第2の3(3)エの検討を踏まえると、本願発明と引用発明3’は、「機能材含有シート」の発明である点で一致し、両者は「シート部材」と、「前記シート部材の表面の所定領域に形成された樹脂層」と、「前記樹脂層に含まれている機能材粒子」と、「を具備」するものである点で一致する。 (2)引用発明3’の「立体ギャザー205」は、「不織布が用いられ」るから、本願発明の「シート部材」と引用発明3’の「シート状に形成された立体ギャザー205」は、「不織布で構成されて」いるものである点で一致する。 (3)前記(1)及び(2)より、本願発明と引用発明3’とは、以下の一致点を有し、前記相違点1及び2と同じ点で相違するものと認められる。 [一致点] 「 シート部材と、 前記シート部材の表面の所定領域に形成された樹脂層と、 前記樹脂層に含まれている機能材粒子と、 を具備し、 前記シート部材は不織布で構成されている、 機能材含有シート。」 5 相違点についての判断 (1)相違点1について 前記第2の3(4)アで述べたとおりであるから、引用発明3’において、周知技術1を採用し、「消臭剤」の一部が、「塗工液」表面から外側へ突出するものとし、また、「消臭剤」の平均粒径が塗工された「塗工液」の膜厚より大きくなるようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 また、引用発明3’に周知技術1を採用するに際し、「消臭剤」の平均粒径と塗工された「塗工液」の膜厚の具体的な寸法は、求められる消臭効果に応じて、当業者が適宜設定し得る程度の事項であり、本件補正発明で特定される平均粒径及び膜厚の数値範囲に包含される値とすることは単なる数値範囲の好適化に過ぎない。 (2)相違点2について 前記第2の3(4)イで述べたとおりであるから、引用発明3の「塗工液」に対して、文献6技術事項を採用し、消臭剤としての活性炭とともに顔料を含ませて、黒色に着色とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 (3)小括 したがって、引用発明3’において前記相違点1~2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明の奏する作用効果としては、当業者が予測困難であり、格別顕著なものは、認めることができない。 したがって、本願発明は、引用発明3’、文献6技術事項及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明3’、文献6技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-003817

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