審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2025-003063

吸収性物品

審判番号
2025-003063
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-030203
請求日
2025年02月26日
審決日
2026年05月27日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】王子ホールディングス株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人秀和特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 殿川 雅也
  • 審判官 門 良成
  • 審判官 濱本 禎広
分類
P18 .575-Z (A61F) / P18 .121-Z (A61F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-30203「吸収性物品」拒絶査定不服審判事件〔令和4年9月7日出願公開、特開2022-131320〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年2月26日を出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和6年 8月 8日付け:拒絶理由通知書 同年10年11日 :意見書、手続補正書の提出 同年11月20日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月26日 :原査定の謄本の送達) 令和7年 2月26日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和7年2月26日に提出された手続補正書による補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和7年2月26日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 (1)補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであって、次の(1)に示す令和6年10月11日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載を、後記の(2)に示す本件補正後の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。 (1)本件補正前の請求項1 「 【請求項1】 長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った横幅とを有する吸収性物品であって、 吸収体と、 前記吸収体よりも着用者の肌面側と反対側に、間隔を設けて前記幅方向に一対配置される尿検知体と、 前記吸収体の長手方向に沿って前記吸収体に設けられ、前記吸収体の幅方向の両側から前記吸収体のうちの前記尿検知体に対応する部位を挟むように配置された一対の溝と、 を備え、 前記尿検知体の前記長手方向の長さは、前記溝の前記長手方向の長さ内に収まる、 吸収性物品。」 (2)本件補正後の請求項1 「 【請求項1】 長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った横幅とを有する吸収性物品であって、 吸収体と、 前記吸収体よりも着用者の肌面側と反対側に、間隔を設けて前記幅方向に一対配置される尿検知体と、 前記吸収体の長手方向に沿って前記吸収体に設けられ、前記吸収体の幅方向の両側から前記吸収体のうちの前記尿検知体に対応する部位を挟むように配置された一対の溝と、 を備え、 前記尿検知体の前記長手方向の長さは、前記溝の前記長手方向の長さ内に収まり、 前記一対の溝は、前記吸収体を厚み方向に貫通している、 吸収性物品。」 2 本件補正の目的 (1)本件補正は、補正前の「一対の溝」について、「前記吸収体を厚み方向に貫通している」と限定する補正事項からなり、特許請求の範囲の減縮であるといえる。 (2)そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 (3)したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件の判断 本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 (2)引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定 ア 引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に発行された特表2017-501768号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。また、下線は当審において付したものであり、以下同様である。 (ア)「【0011】 吸収性物品は、液体透過性トップシート24、液体不透過性バックシート25、及びトップシート24とバックシート25との間の吸収性コア28を備える。任意選択の捕捉及び/又は分配層54が図1~2に表わされており、この図はまた、物品の後縁部に向かって付着され、物品の正面にあるランディングゾーン44と協働する接着剤タブ42と、典型的にはトップシート及び/又はバックシートを介して吸収性物品のシャーシに接合され、かつおむつのシャーシと実質的に平面であるバリアレッグカフ34及び弾性ガスケットカフ32とを含む締着システムなどの、他の典型的なテープ付きおむつ構成要素を示す。吸収性物品はまた、後弾性ウエスト機構、前弾性ウエスト機構、横方向バリアカフ(複数可)、ローションアプリケーションなどの図示されていない他の典型的な構成要素を備えてもよい。」 「【0018】 吸収性コア28の概説 吸収性コアは、典型的には、最も高い吸収能力を有する、物品の構成要素である。使用前(乾燥状態)の本発明の例示的吸収性コア28は、図4~6に単独で示されている。示される吸収性コア及びその説明は、純粋に例示目的であり、別途記載がない限り、特許請求の範囲を制限することを意図せず、断面図は概略的であり、異なる層をより良好に示すために、垂直方向に拡大される。 【0019】 本発明の吸収性コアは、吸収性材料を封入しているコアラップ(16、16’)を備え、また少なくとも1つの接着剤を備えてもよい。吸収性材料60は、典型的には、超吸収性ポリマー(「SAP」)を粒子形態で含み得る。吸収性材料は、コアラップ内に封入された比較的多量のSAPを含み得る。「吸収性材料」とは、SAP及びセルロース繊維など、何らかの吸収特性又は液体保持特性を有する材料を意味する。典型的には、吸収性コアの作製に使用される接着剤は、吸収特性を有さず、吸収性材料とはみなされない。吸収性コアは、例えば、ライン上で作製され、物品の残りの構成要素と共に直接組み立てられてもよく、あるいは別の場所にてライン外で作製され、加工ラインに移送されてもよい。 【0020】 吸収性コアは、典型的には、前側280、後側282、及び前側280と後側282とを接合する2つの長手方向に延在する側方側284、286を備える。吸収性コアはまた、コアラップによって形成される、略平面である上側288及び略平面である底側290を備える。コアの前側280は、吸収性物品の前縁部10に向けて配置されるように意図されているコアの側部である。コアは、図1においてのように平面図で上部から見て、物品80の長手方向軸に実質的に対応する長手方向軸80’を有してもよい。典型的には、吸収性材料は、より高い吸収性が前部で要求されるため、後側に向かうよりもコアの前側及び中間部分に向かって、より多くの量が有利に分配される。典型的には、コアの前側及び後側は、コアの長手方向側よりも短い。 【0021】 コアラップは、吸収性コアの側部に沿って少なくとも部分的に封止され得る2つの基材16、16’、典型的には、不織布材料によって形成されてもよい。第1の不織布16は、実質的にコアラップの上側288を、第2の不織布は、実質的にコアラップの底側290を形成し得る。コアラップは、その前側、後側、及び/又は2つの長手方向側に沿って少なくとも部分的に封止されて、使用中の吸収性材料の収容を改善させ得る。Cラップの封止は、例えば、改善された収容が所望される場合、図5に示されるコアの長手方向側284、286上に提供され得る。 【0022】 吸収性コア28は、吸収性材料を実質的に含まない少なくとも2つのエリア26を備え、それを通してコアラップの上側が結合27に沿ってコアラップの底側に付着される。吸収性材料が液体を吸収したときに、吸収性材料は比例して膨潤し、コアラップは、吸収性材料を実質的に含まない結合エリア26に沿って3次元チャネル26’を徐々に形成する。」 「【0034】 吸収性材料60及び吸収性材料堆積エリア8 吸収性コア28は、コアラップ内に吸収性材料60を含む。吸収性材料は、例えば、コアラップ内に連続層として堆積してもよい。吸収性材料はまた、例えば、コアラップ内に封入され、材料を含まない接合エリアによって互いから分離された吸収性材料の個々のポケット又はストライプとして不連続的に存在し得る。」 「【0047】 チャニング(Channing)形成エリア26及びチャネル26’ 本発明の吸収性コアは、吸収性材料を実質的に含まない長手方向に延在するチャネル形成エリア26の少なくとも2つのエリアを含む。「実質的に含まない」とは、これらのエリアの各々において、吸収性材料の坪量が、吸収性材料堆積エリア8の残りの部分における吸収性材料の平均坪量の少なくとも25%未満、とりわけ、少なくとも20%未満、又は10%未満であることを意味する。具体的には、吸収性材料は、これらのエリアにおいて存在しなくてもよい。作製方法中に発生し得る吸収性材料による不随意の汚染などの最小量は、吸収性材料とはみなされない。エリア26は有利に、図4で見られるようにコアの平面で見たときに吸収性材料によって囲まれており、このことは、エリア26が、吸収性材料の堆積エリア8の縁部のいずれにも延在しないことを意味する。 【0048】 コアラップの上側16は、図5に示される吸収性材料を実質的に含まないエリア26を通して、コアラップ結合27によってコアラップの底側16’に付着される。図2及び3に示すように、吸収性材料が液体を吸収して膨潤するときに、コアラップ結合27は、実質的に材料を含まないエリア26において、少なくとも最初は付着したままである。吸収性材料は、それが液体を吸収するときに、コアの残りの部分で膨潤し、それにより、コアラップが、コアラップ結合27が存在する吸収性材料を実質的に含まない各エリア26a、26bに沿って、3次元チャネル26’a、26’bを形成する。これらのチャネル26’は、侵襲性流体をそれらの長さに沿って、コアのより広いエリアに分布させ、故により速い流体捕捉速度及びコアの吸収能力のより良好な利用を提供することができる。吸収性材料が膨潤するにつれて、チャネルはより深くなり、物品の外側からバックシートを通って可視的となるように十分な深さ(数mmの深さ、例えば、膨潤したコア上で測定するとき、少なくとも3mm)になる。チャネル26’はまた、繊維状層54などの重複層の変形をもたらし、かつ重複層において対応する水路29をもたらし得る。吸収性コアは、吸収性材料を実質的に含まないがコアラップ結合を有しない他のエリア(複数可)を含むが、これらの非結合エリアは、典型的には、湿潤時にチャネルを形成しないことは、除外されない。 【0049】 コアラップの上側288及び底側290は、吸収性材料を実質的に含まないエリア26に沿って連続的に共に付着されてもよいが、コアラップ結合27はまた、一連の点結合など不連続的(断続的)であってもよい。典型的には、コアラップの上側をエリア26を通して底部に付着させるために接着剤が使用され得るが、圧力結合、超音波結合、若しくは熱結合、又はこれらの組み合わせなどの他の既知の付着手段によって結合させることが可能である。コアラップの上側及び底側の付着は、下で詳述されるように、コア中に存在する場合には、1つ又は2つ以上の接着材料、とりわけ、補助糊剤71、72の1つ若しくは2つ以上の層、及び/又は繊維性接着材料51の1つ若しくは2つ以上の層によってもたらされてもよい。したがって、これらの糊剤は、吸収性材料を固定化し、コアの上側及び底側を共に付着させる二重の機能を果たし得る。補助糊剤(複数可)は、一連の薄い(例えば、1mm幅)糊剤スロット内で長手方向にスロットコーティングすることによって塗布され得る。」 「【0057】 湿り度インジケータ100 吸収性物品20は、物品の外側から可視的であり、身体排泄物、とりわけ尿と接触するときに外観を変化させる、湿り度インジケータ100を備える。湿り度インジケータ100は、物品の外側から見るときに、2つのチャネル形成エリア26a、bの間、及び/又はチャネル形成エリア26a、26bのうちのいずれかと、側縁部13、14のうちのいずれか、若しくは両方との間に配置され得る。 ・・・ 【0059】 発明者らは、チャネル形成エリア26の間、及び/又はこれらのエリア26のうちのいずれかと、物品の側縁部13、14との間に配置することが、いくつかの利益を有することを見出した。湿り度インジケータがチャネルのうちのいずれかと直接接触して配置された場合、チャネル形成エリア26が、典型的には、捕捉層及び/又は分布層、故に侵襲性流体と直接接触し得るため、中度の第1の流体侵襲の直後に反応し得る。湿り度インジケータ100を、チャネル形成エリア26a、bの外側に配置することによって、湿り度インジケータは、いくらかの流体が吸収性コアによって吸収された後のみに反応する。湿り度インジケータは、更に典型的には、コアの底側向かって、とりわけ、コアの底側とバックシート25の内側表面との間に配置され得るため、これは、湿り度インジケータが早まって反応しないことを保証し得る。」 「【0062】 一方で、湿り度インジケータはまた、図10に例解されるように、物品の側縁部13、14のうちのいずれかと、チャネル形成エリア26a、bのうちのいずれかとの間に配置されてもよい。故に物品の外側から見たときに、第1の湿り度インジケータ100aは、物品の第1の側方側13と、第1のチャネル形成エリア26との間に配置されてもよく、及び/又は第2の湿り度インジケータ100bは、第2の側方側14と、第2のチャネル形成エリア26bとの間に配置され得る。発明者らは、場合によって、物品が液体で比較的高度に充填されるとき、チャネル間の中央エリアが、各チャネルと、物品の対応する側縁部との間に含まれる吸収性材料によって内向きに押され得ることを見出した。この場合、側縁部と、最も近いチャネル形成エリアとの間に湿り度インジケータ100a、100b、例えば、図10に示すように、各側縁部と各最も近いチャネルとの間に湿り度インジケータを有することは有益であり得る。図11に例示的に示されるように、これらの側部湿り度インジケータ100a、100bを、チャネル形成エリア26a、26bの間に配置された第3の中央湿り度インジケータ100と組み合わせることも可能である。」 「【0074】 湿り度インジケータ組成物は、吸収性物品の作製中に、従来の技術、例えば、印刷、噴霧、又はコーティングを使用して吸収性物品の任意の層に塗布され得る。層は、有利にバックシートの内側表面又はコアラップの底側の外部表面であり得る。これは、湿り度インジケータが、物品の外側から透明性によってバックシートを通して可視的であるようにする一方で、湿り度インジケータ組成物を物品内に保持する。とりわけ、湿り度インジケータは、特に組成物がホットメルトとして塗布され得る場合、スロットコーティングプロセスによってそのような不織布又はフィルム上に容易に塗布され得る。スロットコーティングプロセスは、典型的には、物品の長手方向に平行である変換ラインの機械方向に延在する十分に定義されたスロット又は一連のスロットを適用することを可能にする。湿り度インジケータ組成物のそのようなスロット100は、例えば、図1に示される。 【0075】 湿り度インジケータは、チャネル形成エリア26に対して長手方向により小さい、より長い、又は等しいサイズであり得る。典型的には、物品中の流体の量又は再分割のより良好な表示を介護者に付与するように、比較的長い、例えば、少なくとも10cm長の湿り度インジケータを有することが有利であり得る。」 「【0125】 吸収性物品キャリパー試験 吸収性物品キャリパー試験は、コアのキャリパーの代わりに最終吸収性物品のキャリパーを測定するという差異はありながら、乾燥吸収性コアキャリパー試験についてのように行うことができる。測定のポイントは、物品の任意のエリア、とりわけ、吸収性物品の長手方向軸(80)と横方向軸(90)との交点又は物品の股ポイントCであってもよい。吸収性物品が折り畳まれて及び/又はパッケージ中で提供される場合は、測定する物品を広げる及び/又はパッケージの中心エリアから取り出す。パッケージが4超の物品を含む場合、パッケージの各面上の最も外側の2つの物品が試験で使用される。パッケージが4個を超えるが14個より少ない物品を含む場合には、物品のパッケージ2個以上の試験を完了する必要がある。パッケージが14個以上の物品を含む場合には、物品のパッケージ1個のみの試験を行う必要がある。パッケージが4個以下の物品を含む場合には、パッケージ中の全ての物品を測定し、かつ複数のパッケージの測定を行う必要がある。キャリパーの読み取り値は、物品をパッケージから取り出し、広げ、状態調整してから24±1時間後に取るべきである。製品の物理的操作は最小限であり、必要なサンプルの準備のみに限定されるべきである。」 「【図1】 [図:0001437973000001.jpg] 」 「【図2】 [図:0001437973000002.jpg] 」 「【図5】 [図:0001437973000003.jpg] 」 「【図10】 [図:0001437973000004.jpg] 」 (イ)引用文献1の記載より認定できる事項 前記(ア)【図1】から、湿り度インジケータ100は、吸収性コア28の長手方向に沿って配置されることが看取できる。 (ウ)引用発明1 前記(ア)、(イ)から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。なお、「物品」、「吸収性物品」、及び「吸収性物品20」は「吸収性物品20」に、「吸収性材料」、及び「吸収性材料60」は「吸収性材料60」に、「吸収性コア」、及び「吸収性コア28」は「吸収性コア28」に、「湿り度インジケータ」、及び「湿り度インジケータ100」は「湿り度インジケータ100」に記載を統一した。 「長手方向軸(80)と横方向軸(90)を有する吸収性物品20であって(【0125】)、 コアラップ内に吸収性材料60を含む吸収性コア28を備え(【0011】、【0034】)、 吸収性コア28は、吸収性材料60を実質的に含まない長手方向に延在するチャネル形成エリア26の少なくとも2つのエリアを含み(【0047】)、 コアラップの上側16は、吸収性材料60を実質的に含まないエリア26を通して、コアラップ結合27によってコアラップの底側16’に付着され(【0048】)、 「実質的に含まない」とは、吸収性材料60がこれらのエリアにおいて存在しないことを意味し(【0047】)、 コアラップが、コアラップ結合27が存在する吸収性材料60を実質的に含まない各エリア26a、26bに沿って、3次元チャネル26’a、26’bを形成し(【0048】)、 吸収性物品20の外側から可視的であり、尿と接触するときに外観を変化させる、湿り度インジケータ100を備え(【0057】)、 湿り度インジケータ100は、吸収性物品20の外側から見るときに、2つのチャネル形成エリア26a、bの間に配置され(【0057】)、 湿り度インジケータ100は、吸収性コア28の長手方向に沿って配置され((イ))、 湿り度インジケータ組成物は、吸収性物品20の任意の層に塗布され、層は、コアラップの底側の外部表面であり(【0074】)、 湿り度インジケータ100は、チャネル形成エリア26に対して長手方向により小さい(【0075】)、 吸収性物品20。」 イ 引用文献2 本願出願前に発行された特開2017-64110号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0029】 吸収パネル17は、吸収体30と、吸収体30の肌対向面側に位置する透液性の内面シート(身体側ライナ)31と、吸収体30の横方向Xの外側に位置する一対の防漏シート50と、吸収体の非肌対向面側に位置する外面シート32と、吸収体30と外面シート32との間に配置されたインジケータ手段40とを有する。吸収体30は、吸液性コア35と吸液性コア35の全体を包被するコアカバーシート36とを有する。」 「【0033】 インジケータ手段40は、体液が接触することによって呈色反応を示すインジケータ41と、インジケータ41の肌対向面側を被覆するカバーシート(インジケータカバー)42とを有する。インジケータ41は、縦方向Yへ延び、かつ、互いに横方向Xにおいて離間する複数のライン状を有し、体液等の水分と接触して呈色反応を示す指示薬(例えば、PH指示薬)を含むホットメルト接着剤から形成される。インジケータ41は、図示例に限定されるものではなく、単数のラインから形成されたものであってもよいし、横方向Xへ延びる複数又は単数のラインであったり、スパイラル状に連続的又は非連続的に延びるラインであったり、ドット状、円形、矩形等の各種公知の形状であってもよい。」 「【図2】 [図:0001437973000005.jpg] 」 ウ 周知技術 前記ア(ア)【0062】、【図10】、及び前記イ(ア)から、次の技術は、本願出願前には周知の技術(以下「周知技術」という。)であったと認められる。 「インジケータを、横方向に並んだ一対のものとする技術」 (3)対比 本件補正発明と引用発明1を対比する。 ア 後者の「吸収性物品20」は、「吸収性コア28を備え」るものであるから、前者の「吸収性物品」と後者の「吸収性物品20」は、「吸収性物品」である点で一致する。 イ 後者の「吸収性物品20」は、「長手方向軸(80)と横方向軸(90)を有する」ものであって、「長手方向軸(80)」と「横方向軸(90)」が直交することは自明であるから、前者の「吸収性物品」と後者の「吸収性物品20」は、「長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った横幅とを有する」ものである点で一致する。 ウ 後者の「吸収性材料60」は、前者の「吸収体」に相当する。 エ 後者の「湿り度インジケータ100」は、「吸収性物品20の外側から可視的」であるように配置されており、「湿り度インジケータ組成物」が「吸収性材料60」を内に含む「コアラップ」の「底側の外部表面」に塗布されていることから、「吸収性物品20」の非肌側に設けられるといえる。 また、後者の「湿り度インジケータ100」は、「尿と接触するときに外観を変化させる」ものであるから、上記をふまえると、前者の「尿検知体」と後者の「湿り度インジケータ100」は、「吸収性物品」の「前記吸収体よりも着用者の肌面側と反対側に」「配置される尿検知体」である点で一致する。 オ 後者の「吸収性コア28」は、「吸収性材料60を実質的に含まない長手方向に延在するチャネル形成エリア26の少なくとも2つのエリア」を含んでおり、後者の「吸収性コア28」が備える「コアラップ」が、「コアラップの上側16は、吸収性材料60を実質的に含まないエリア26を通して、コアラップ結合27によってコアラップの底側16’に付着され」、「コアラップ結合27が存在する吸収性材料60を実質的に含まない各エリア26a、26bに沿って、3次元チャネル26’a、26’bを形成」するものであって、「実質的に含まない」とは、「吸収性材料60」がこれらのエリアにおいて存在しないことを意味することから、後者の「吸収性コア28」には「吸収性材料60」が存在しない「チャネル形成エリア26a、26b」が存在するといえる。 そうすると、後者の「吸収性材料60」は、「チャネル形成エリア26a、26b」に対応する位置において、厚さ方向に孔が開いて貫通しているといえる。 カ 後者の「湿り度インジケータ100」は、「吸収性物品20の外側から見るときに、2つのチャネル形成エリア26a、bの間に配置され」るものであって、「吸収性コア28の長手方向に沿って配置され」るものであるから、前記オをふまえると、前者の「溝」と後者の「「吸収性材料60」の孔」は、「前記吸収体の長手方向に沿って前記吸収体に設けられ、前記吸収体の幅方向の両側から前記吸収体のうちの前記尿検知体に対応する部位を挟むように配置され」、「前記吸収体を厚み方向に貫通している」、「一対の溝」である点で一致する。 キ 後者の「湿り度インジケータ100」は、「チャネル形成エリア26に対して長手方向により小さい」ものであるから、前者の「尿検知体」と後者の「湿り度インジケータ100」は、「前記長手方向の長さは、前記溝の前記長手方向の長さ内に収ま」るものである点で一致する。 ク 後者の「吸収性物品20」は、「吸収性材料60を含む吸収性コア28を備え」るものであるから、前記エ、カをふまえると、前者の「吸収性物品」と後者の「吸収性物品20」は、「吸収体と、尿検知体と、一対の溝と、を備え」るものである点で一致する。 ケ そうすると、本件補正発明と引用発明1は、 「長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った横幅とを有する吸収性物品であって、 吸収体と、 前記吸収体よりも着用者の肌面側と反対側に配置される尿検知体と、 前記吸収体の長手方向に沿って前記吸収体に設けられ、前記吸収体の幅方向の両側から前記吸収体のうちの前記尿検知体に対応する部位を挟むように配置された一対の溝と、 を備え、 前記尿検知体の前記長手方向の長さは、前記溝の前記長手方向の長さ内に収まり、 前記一対の溝は、前記吸収体を厚み方向に貫通している、 吸収性物品。」 で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本件補正発明の「尿検知体」が、「間隔を設けて前記幅方向に一対配置される」ものであるのに対し、引用発明1の「湿り度インジケータ100」がそのような構成を有するものであるのか不明である点。 (4)判断 相違点1について検討する。 前記(2)ウで示したとおり、インジケータを、横方向に並んだ一対のものとする技術は周知技術であるところ、引用発明1の「湿り度インジケータ100」を配置するにあたり、周知技術を採用し、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が適宜設計し得た事項である。 また、本件補正発明の効果も、引用発明1、及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものといえる。 (5)審判請求書の主張について ア 請求人は、審判請求書の3-4.(2)において以下のように主張している。 「ここで、引用文献1のチャネル内では、コアラップの上側がコアラップの底側に取り付けられており(段落0007、0048、図1、図5など)、図1、図5を見ると、3次元チャネル26’a、26’b内にはコアラップ結合27が配置されており、この3次元チャネル26’a、26’bは、吸収性コアを厚み方向に貫通しておらず、コアラップ結合27によって厚み方向の中程で上側と底側に隔てられている。 よって、引用文献1には、吸収体を厚み方向に貫通している溝は開示も示唆もされていないし、引用文献1において、コアラップ結合27を取り除くことは、そもそもチャネルを形成しないこととなる。」 イ 請求人の主張についての検討 (ア)本件補正発明の「吸収体」について、本願明細書には以下の記載がある。 「【0037】 吸収体8は、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性の高吸収性重合体等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有する。よって、吸収体8は、着用者から排泄された液体を吸収すると、短繊維内の隙間に保持された吸収性樹脂を膨潤させて該液体を短繊維内に保持する。吸収体8は、1枚のマットからなる単層構造であってもよいし、複数枚のマットを重ね合わせた積層構造であってもよい。また、吸収体8は、目的に応じた適宜の形状を採ることができる。吸収体8の形状としては、例えば、矩形状、中央部付近が括れた砂時計型、その他各種の形状が挙げられる。」 (イ)前記(ア)によると、「吸収体8」は、コアラップ等を有しない「マット」からなる構造であると解される。 (ウ)そうすると、本件補正発明の「吸収体」と引用発明1の「吸収性材料60」はともに吸収性材料からなるものといえるので、前記(3)ウに示したとおり、引用発明1の「吸収性コア28」のうち「コアラップ」を含まない「吸収性材料60」が、本件補正発明の「吸収体」に相当し、前記(3)オに示したとおり、引用発明1の「吸収性材料60」は、「チャネル形成エリア26a、26b」に対応する位置において、厚さ方向に孔が開いて貫通しているといえるから、前記アの主張は前記(3)、(4)の判断を左右するものでなく、採用できない。 (エ)また、本件補正発明の「吸収体」は、その構成が何ら特定されているものではないので、この点からも、前記(3)ウに示したとおり、引用発明1の「吸収性材料60」は、本件補正発明の「吸収体」に相当し、前記(3)オに示したとおり、引用発明1の「吸収性材料60」は、「チャネル形成エリア26a、26b」に対応する位置において、厚さ方向に孔が開いているといえるから、前記アの主張は前記(3)、(4)の判断を左右するものでなく、採用できない。 (6)むすび 以上のとおり、本件補正発明は、当業者が、引用発明1、及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 小括 本件補正発明は、前記3のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1~17に係る発明は、令和6年10月11日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~17に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、再掲すると、令和6年10月11日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。 「 【請求項1】 長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った横幅とを有する吸収性物品であって、 吸収体と、 前記吸収体よりも着用者の肌面側と反対側に、間隔を設けて前記幅方向に一対配置される尿検知体と、 前記吸収体の長手方向に沿って前記吸収体に設けられ、前記吸収体の幅方向の両側から前記吸収体のうちの前記尿検知体に対応する部位を挟むように配置された一対の溝と、 を備え、 前記尿検知体の前記長手方向の長さは、前記溝の前記長手方向の長さ内に収まる、 吸収性物品。」 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、以下の拒絶理由を含むものである。 2.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特表2017-501768号公報 3 引用文献 引用発明1、及び周知技術の認定は、前記第2の3(2)ア、ウに示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、本件補正発明から「一対の溝」についての「前記吸収体を厚み方向に貫通している」との限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成を全て含み、当該構成の一部をさらに限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(3)及び(4)に示したとおり、引用発明1、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も引用発明1、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2025-003063

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存