商標拒絶査定不服審判
2021-011939
オルガノイドバンク、バンク
- 審判番号
- 2021-011939
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-104602
- 請求日
- 2021年09月08日
- 審決日
- 2022年08月08日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】高久 智生
- 【請求人代理人】名古屋国際特許業務法人
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 松江
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 飯田 亜紀
- 分類
- T18 .13 -Z (W05394244)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項、商標法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-104602拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和元年7月22日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 8月 7日付け:拒絶理由通知書
令和2年11月24日 :意見書、手続補正書及び名義変更届の提出
令和2年11月25日 :手続補足書の提出
令和3年 6月 1日付け:拒絶査定
令和3年 9月 8日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和4年 5月10日付け:証拠調べ通知書
2 本願商標
本願商標は、「オルガノイドバンク」の文字を横書きしてなり、第5類、第35類、第39類、第42類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和元年7月22日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審及び当審における上記1の手続補正書により、最終的に、別掲1のとおりに補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、「本願商標は、「オルガノイドバンク」の文字を横書きで表してなるものである。その構成中「オルガノイド」の文字は、「ばらばらの細胞から、臓器・器官を模して再構成された組織。」の意味を有し、「バンク」の文字は、「特定のものや情報を集め、必要に備えて蓄えておく機関。」の意味を有する語であるから、全体として、「オルガノイドを必要に備えて蓄えておく機関」程の意味合いを理解させる。そして、組織や細胞等を保管・管理し、生命科学や医薬品開発などの研究を行う研究者や細胞の保管依頼者からの申請に応じて譲渡等を行う機関であることを表すものとして、「〇〇バンク」(「〇〇」の部分には、保管・管理するものの名称が入る。)と称している実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、「オルガノイドを保管・管理する機関に関する商品又は役務」であること、すなわち、単に商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。そして、本願商標は、特段のデザイン化はされていないから、普通に用いられる方法で表示するものであり、上述の文字以外に自他商品及び自他役務を識別するための文字や図形を含んでいない。したがって、本願商標は、商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨、認定判断し、拒絶したものである。
4 当審においてした証拠調べ
審判長は、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、令和4年5月10日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、上記証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。
5 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、上記4の証拠調べ通知に対し、指定した期間内に何ら意見を述べていない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「オルガノイドバンク」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「オルガノイド」の文字は「ばらばらの細胞から、臓器・器官を模して再構成された組織。分化と自己複製を行う幹細胞やiPS細胞などを用いて、試験管内(in vitro(インビトロ))で三次元的な構造も含めて形成する。脳・肝臓・膵臓・腎臓など、さまざまな臓器のモデルが再現され、疾患の原因の解明や再生医療へ応用する研究が進められている。」を意味する語(デジタル大辞泉 株式会社小学館)(以下「ばらばらの細胞から、臓器・器官を模して再構成された組織」という。)として、本願の指定役務に関する医療及び医療研究の分野において知られていることは別掲2(1)のとおりであり、そして、「バンク」の文字は「特定のものや情報を集め、必要に備えて蓄えておく機関。」を意味する語(広辞苑第七版 株式会社岩波書店)であるから、これらの語を一連に表した本願商標の構成全体からは「ばらばらの細胞から、臓器・器官を模して再構成された組織を必要に備えて蓄えておく機関」程の意味合いを容易に認識し得るものといえる。
そして、本願の指定商品及び指定役務中、第39類の指定役務との関係において、「○○バンク」の文字が、「○○」の保管、管理若しくは輸送等を行う機関を意味する語として使用されている事実があることは別掲2(2)のとおりであり、「オルガノイドバンク」及び「○○オルガノイドバンク」の文字が、「オルガノイド」、「○○オルガノイド」の保管、管理等を行う機関を意味する語として使用されている事実があることは別掲2(3)のとおりである。
そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務中、第39類の指定役務に使用しても、これに接する需要者、取引者は、「ばらばらの細胞から、臓器・器官を模して再構成された組織の保管、管理若しくは輸送等を行う機関による役務」という役務の質を表示したものであることを認識するにすぎず、本願商標は、自他役務を識別する標識としては機能し得ないというのが相当である。
したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示してなる標章にすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「オルガノイド」の文字が、辞書に掲載されているとしても、この文字が、本願の指定商品・指定役務を取り扱う業界において、辞書に掲載されている意味として、広く一般に用いられ、認識されている実情は何ら示されてはいない旨主張する。
しかしながら、「オルガノイド」の文字が、「ばらばらの細胞から、臓器・器官を模して再構成された組織。分化と自己複製を行う幹細胞やiPS細胞などを用いて、試験管内(in vitro(インビトロ))で三次元的な構造も含めて形成する。脳・肝臓・膵臓・腎臓など、さまざまな臓器のモデルが再現され、疾患の原因の解明や再生医療へ応用する研究が進められている。」を意味する語として、本願の指定役務に関する医療及び医療研究の分野において知られていることは、上記(1)のとおりである。
イ 請求人は、過去の登録例を挙げ、本願も同様に判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、請求人の挙げた商標登録例があることが、本件の判断を左右するものではない。加えて、本願の指定役務である第39類との関係において、「○○バンク」の文字が、「○○」の保管、管理若しくは輸送等を行う機関を意味する語として使用されている事実があること、「オルガノイドバンク」及び「○○オルガノイドバンク」の文字が、「オルガノイド」、「○○オルガノイド」の保管、管理等を行う機関を意味する語として使用されている事実があることは上記(1)のとおりである。
ウ したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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