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特許拒絶査定不服審判

2021-011470

間欠接着型光ファイバーリボンを収容する光ファイバーケーブルアセンブリのための多心コネクタ化

審判番号
2021-011470
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-170021外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年08月27日
審決日
2022年10月14日
公報発行日
2023年03月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G02B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-170021号「間欠接着型光ファイバーリボンを収容する光ファイバーケーブルアセンブリのための多心コネクタ化」拒絶査定不服審判事件〔令和2年5月21日出願公開、特開2020-76957号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、2019年(令和元年)9月19日(パリ条約による優先権主張 2018年10月1日 米国、2018年11月12日 米国、及び、2019年2月26日 米国)を出願日とする出願であって、その手続の概要は、以下のとおりである。 令和2年10月29日付け:拒絶理由の通知 令和3年 2月 5日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年 4月20日付け:拒絶査定 令和3年 8月27日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和4年 2月 4日 :上申書の提出 令和4年 5月16日付け:拒絶理由の通知 令和4年 8月17日 :意見書の提出 2 本願発明 本願の請求項1ないし8に係る発明は、令和3年8月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 少なくとも1つの多心ユニットチューブであって、実質的に円形であり、かつ複数の光ファイバーを受け入れるような寸法である、少なくとも1つの多心ユニットチューブと、 前記少なくとも1つの多心ユニットチューブ内に配置された複数の光ファイバーを備える少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンとを備えるコネクタ化光ファイバーケーブルであって、 前記多心ユニットチューブはスプリングプッシュを備え、前記スプリングプッシュに入る前記少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンの第1の部分は実質的に円形形状に形成され、および、前記スプリングプッシュから出る少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンの第2の部分が実質的に平坦形状に形成されるように平坦化され、 前記コネクタ化光ファイバーケーブルはさらに、 前記少なくとも1つの多心ユニットチューブを包囲するジャケットと、 前記少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンの前記第2の部分の端部に接続された多心フェルールと、 を備え、 前記多心フェルールは、前記少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボン内の前記複数の光ファイバーに対応する複数のガイド孔を有し、前記多心フェルールは、前記少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンの前記第2の部分の前記光ファイバーの前記端部が前記ガイド孔内に挿入されることにより、前記少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンの前記第2の部分の前記端部に接続される、コネクタ化光ファイバーケーブル。」 3 拒絶の理由 令和4年5月16日付けで当審が通知した拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、次のとおりである。 [理由](進歩性)本件出願の請求項1ないし8に係る発明は、その最先の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その最先の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.特開2014-211512号公報 2.特表2008-544300号公報 4 引用文献について (1)引用文献1及び引用発明 ア 本願の最先の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1には、下記各記載がある(下線は当審にて付した。以下同じ。)。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、4本以上の光ファイバ心線が並列に配置されたテープ心線を収納した光ファイバコードに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、データセンター等ではデータ容量の増大と共に多心コネクタ付き光ファイバコードの需要が高まってきている。・・・」 (イ)「【0013】 図1Aで例示するテープ心線10は、例えば、間欠構造を持つ12本の光ファイバ心線11からなる間欠テープ心線(以下、12心間欠テープ心線とも言う)である。すなわち、12心間欠テープ心線10は、12本の光ファイバ心線11が並列に配置され(つまり平行一列に配列され)、隣り合う光ファイバ心線11の間の長手方向に連結部12と非連結部13とが間欠的に形成されている。 【0014】 なお、図1Aでは12心間欠テープ心線10を幅方向に開いた状態を示し、図1Bでは12心間欠テープ心線10を幅方向に閉じた状態を示している。また、図1Cでは図1Bの状態における12心間欠テープ心線10のC-C断面を概略的に示している。 ・・・ 【0019】 図2及び図3は、本発明に係る光ファイバコードの一構成例を示す図で、図2はコード部分における長手方向に垂直な断面図、図3はコードの端末部分の斜視図である。 本発明に係る光ファイバコードは、図1A?図1Cで例示したようなテープ心線10を収納したコアを、図2で例示するように外被22で被覆し、図3で例示するように端末に多心コネクタ30を接続した丸型(断面形状が丸型)のコードである。ここで、12心間欠テープ心線(12心の間欠接着テープ)で例示しているが、光ファイバ心線11の本数(N本とする)は4以上の偶数であればよい。 【0020】 上記コアは、抗張力体とテープ心線10とが含まれていればよく、例えば図2に示したようにアラミド繊維等でなる抗張力体21の周囲に12心間欠テープ心線10を丸め、同じくアラミド繊維等でなる抗張力体21をその周りに囲んで構成すればよい。無論、テープ心線10は図2で例示したようにその断面形状が円を描くように設けられる必要はなく、その断面形状が任意の形状になるように折り畳むことができる。外被22は、このようなコアの外側を、コードの断面形状が丸型になるように被覆するものであればよく、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)等で構成すればよい。 【0021】 図3で例示するように、外被22を施した光ファイバコード本体(コード部分)20の少なくとも一方の端末部分には、多心コネクタ(多心の光コネクタ)30が接続される。図3で例示する多心コネクタ30は、MTコネクタをベース構造とした12心のMPOコネクタであり、コネクタ本体部31と、この本体部31の後部に多心光ファイバコードの本体20を導入する弾性材からなるブーツ部35とを有している。 【0022】 コネクタ本体部31の前面32には、光ファイバ心線のそれぞれが所定のピッチで配列され、光ファイバ端が露出されるファイバ孔33が形成されている。なお、例えば24心のテープ心線の場合には2段配列で形成された24心のMPOコネクタなどを採用することができる。・・・ 【0025】 さらに、本発明の光ファイバコードによれば、テープ心線を用いているため、高速パラレル伝送時の伝播時間差を小さくすることができるだけでなく、端末部分ではテープ状に引き揃えることでフェルール内蔵ファイバと一括融着接続ができるなど、多心コネクタを取り付けるコネクタ加工が容易である。このように、本発明に係る光ファイバコードでは、低スキューを実現できるだけでなく、テープ心線の収納性とコネクタ加工性の両立が可能になる。」 (ウ)図1ないし3は次のとおりである。 [図:0001394503000001.jpg] (エ)上記(イ)の記載をふまえて、上記(ウ)の図2、3を見ると、コードの断面形状が丸型になるように被覆するものである(【0020】)光ファイバコード本体20の丸められた各光ファイバ心線11は、多心コネクタ30を介して、前面32には、光ファイバ心線のそれぞれが所定のピッチで配列される(【0022】)コネクタ本体部31に平らな状態で接続されていることが見て取れる。 イ 上記アから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(なお、参考までに図面番号を付してある。また、括弧内は、認定の根拠とした箇所を示す。)。 「間欠構造を持つ12本の光ファイバ心線11からなる間欠テープ心線10(【0013】)を収納し(【0019】)、抗張力体21の周囲に前記間欠テープ心線10を丸め、抗張力体21をその周りに囲んで構成したコアを(【0020】)外被22で被覆したものであって(【0019】)、前記外被22は、前記コアの外側を、コードの断面形状が丸型になるように被覆するものである(【0020】)、光ファイバコード本体20と(【0019】)、 外被22を施した光ファイバコード本体20の端末部分には、多心コネクタ30が接続され(【0021】)、 前記多心コネクタ30は、MTコネクタをベース構造とした12心のMPOコネクタであり、コネクタ本体部31と、この本体部31の後部に多心光ファイバコードの本体20を導入する弾性材からなるブーツ部35とを有し(【0021】)、 前記コネクタ本体部31の前面32には、光ファイバ心線のそれぞれが所定のピッチで配列され、光ファイバ端が露出されるファイバ孔33が形成され(【0022】)、 コードの断面形状が丸型になるように被覆するものである光ファイバコード本体20の丸められた各光ファイバ心線11は、前記多心コネクタ30を介して、前面32には、光ファイバ心線のそれぞれが所定のピッチで配列されるコネクタ本体部31に平らな状態で接続されている(上記ア(エ))、 多心コネクタ付き光ファイバコード(【0002】)。」 (2)引用文献2及び引用文献2に記載の技術的事項 ア 本願の最先の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2には、下記各記載がある。 (ア)「【0034】 図3A~図3Cを参照すると、ケーブル100は、コネクタアセンブリ10で終端していて、そこに示したようにコネクタ化ケーブルアセンブリ又はロープ5を形成している。コネクタアセンブリ10は一例であって、他の適当なコネクタが採用されてもよい。このコネクタアセンブリ10は、前部ハウジング20と、フェルール22と、フェルール保護カバー24と、ピンクリップ26と、スプリング28と、後部ハウジング30と、クリンプリング32と、ひずみ解放保護カバー34とを備えている。図3Cに示すように、光ファイバ110は、エポキシ樹脂36によりフェルール内に固定されている。同様に図3Cに示すように、強化ヤーン120は、クリンプリング32を使用して、ジャケット130とコネクタ後部ハウジング30との間に強化ヤーン120を圧着させることにより、コネクタアセンブリ10に直接に固定されている。このようにして、強化ヤーン120はひずみ解放をもたらすことになる。コネクタアセンブリ10は、分岐チュービング等を使用することなくケーブル100及び丸いジャケット130に直接に設置されている。・・・ 【0036】 図4を参照すると、そこには本発明の更なる実施形態によるケーブル201が示されている。このケーブル201は、ケーブル100と同じ方法で構成されていると共に、光ファイバ210、強化ヤーン220及びジャケット230を有するケーブルユニット200を備えている。外側の強化ヤーン240のバンドル241は、ケーブルユニット200のジャケット230(これは“内側ジャケット”と言うことがある)を囲んでいる。外側ジャケット250は、通路252を画成すると共に、ヤーンバンドル241及びケーブルユニット200を囲んでいる。リップコード244も、通路252を通って延在している。特定の実施形態によると、外側ジャケット250は、ケーブルユニット200及び強化ヤーン240がジャケット通路252内で浮動するように、強化ヤーンバンドル241の周りにルーズ嵌合(遊嵌)している。 ・・・ 【0039】 図5を参照すると、そこには本発明の更なる実施形態によるケーブル301が示されている。このケーブル301は、2つのケーブルユニット300を含んでいる。該ケーブルユニット301の各々は、ケーブル100と同様の方法で構成されていると共に、光ファイバ310、強化ヤーン320及びジャケット330(これは“内側ジャケット”と言うことがある)を備えている。外側ジャケット360は、通路362を画成すると共に、ケーブルユニット300を囲んでいる。リップコード344も、通路362を通って延在している。これらのケーブルユニット300は、図示のように平行に延びていてよい。・・・」 (イ)図1、3、4及び5は次のとおりである。 [図:0001394503000002.jpg] [図:0001394503000003.jpg] [図:0001394503000004.jpg] [図:0001394503000005.jpg] [図:0001394503000006.jpg] (ウ)上記(ア)の記載をふまえて、上記(イ)の図3B及び図3Cを見ると、 a ケーブル100の丸い「強化ヤーン120は」、丸い「クリンプリング32を使用して」、丸い「ジャケット130とコネクタ後部ハウジング30との間に」「圧着させることにより、コネクタアセンブリ10に直接に固定され」(【0034】)ていること。 b コネクタ後部ハウジング30のフェルール22側では、ケーブル100の丸いジャケット130から伸びる光ファイバ110が平坦化されていること。 c 少なくとも、スプリング28と、後部ハウジング30とでスプリングプッシュが構成されていること。 が見てとれる。 d そして、丸い「クリンプリング32」のコネクタアセンブリ10内での位置に注目して、図3B及び図3Cを見ると、コネクタ後部ハウジング30の内部において、光ファイバ110が「丸められた状態」(図1)から「平らな状態」(図3B)に変化することが見てとれる。 (エ)上記(ア)の記載をふまえて、上記(イ)の図4及び図5を見ると、ケーブル201は、ケーブルユニット200のジャケット230(内側ジャケット)を外側ジャケット250が囲んでいること、及び、ケーブル301は、2つのケーブルユニット300のジャケット330(内側ジャケット)を外側ジャケット360囲んでいることが見てとれる。 イ 上記アから、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。 「前部ハウジングと、フェルールと、フェルール保護カバーと、ピンクリップと、スプリングと、後部ハウジングと、丸いクリンプリングと、ひずみ解放保護カバーとを備えるコネクタアセンブリであって、光ファイバは、フェルール内に固定され(【0034】)、ケーブルの丸い強化ヤーンは、前記丸いクリンプリングを使用して、丸いジャケットと前記後部ハウジングとの間に圧着させることにより、前記コネクタアセンブリに直接に固定され(上記ア(ウ)a)、前記後部ハウジングの前記フェルール側では、前記ケーブルの前記丸いジャケットから伸びる前記光ファイバが平坦化され(上記ア(ウ)b)、少なくとも、前記スプリングと、前記後部ハウジングとでスプリングプッシュが構成され(上記ア(ウ)c)、前記後部ハウジングの内部において、光ファイバが丸められた状態から平らな状態に変化するものであって(上記ア(ウ)d)、 ケーブルの内側ジャケットを外側ジャケットが囲んでいること(上記ア(エ))。」 5 対比・判断 (1)本願発明と引用発明との対比 ア 対比 (ア)引用発明の「コアの外側を、コードの断面形状が丸型になるように被覆するものであ」って、「間欠構造を持つ12本の光ファイバ心線11からなる間欠テープ心線10」である「テープ心線10を収納し」た「コアを」「被覆し」ている「外被22」は、円形であるといえるとともに、複数の光ファイバーを受け入れるような寸法であるといえるから、本願発明の「少なくとも1つの多心ユニットチューブであって、実質的に円形であり、かつ複数の光ファイバーを受け入れるような寸法である、少なくとも1つの多心ユニットチューブ」に相当する。 (イ)引用発明の「光ファイバコード本体20と」「多心コネクタ30とからなる」「多心コネクタ付き光ファイバコード」は、本願発明の「コネクタ化光ファイバーケーブル」に相当する。また、引用発明の「間欠構造を持つ12本の光ファイバ心線11からなる間欠テープ心線10」は、本願発明の「間欠接着型光ファイバーリボン」に相当する。 したがって、引用発明の「間欠構造を持つ12本の光ファイバ心線11からなる間欠テープ心線10を収納し、抗張力体21の周囲に前記間欠テープ心線10を丸め、抗張力体21をその周りに囲んで構成したコアを外被22で被覆したものであって、前記外被22は、前記コアの外側を、コードの断面形状が丸型になるように被覆するものである、光ファイバコード本体20と」、「多心コネクタ30とからなる、多心コネクタ付き光ファイバコード」は、本願発明の「少なくとも1つの多心ユニットチューブ内に配置された複数の光ファイバーを備える少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンとを備えるコネクタ化光ファイバーケーブル」に相当する。 (ウ)引用発明の「前面32には、光ファイバ心線のそれぞれが所定のピッチで配列され、光ファイバ端が露出されるファイバ孔33が形成され」ている「コネクタ本体部31」は、本願発明の「多心フェルール」に相当する。 したがって、引用発明の「多心コネクタ付き光ファイバコード」が「外被22を施した光ファイバコード本体20の端末部分には、多心コネクタ30が接続され、前記多心コネクタ30は、MTコネクタをベース構造とした12心のMPOコネクタであり、コネクタ本体部31と、この本体部31の後部に多心光ファイバコードの本体20を導入する弾性材からなるブーツ部35とを有し、前記コネクタ本体部31の前面32には、光ファイバ心線のそれぞれが所定のピッチで配列され、光ファイバ端が露出されるファイバ孔33が形成され」ていることは、本願発明の「前記コネクタ化光ファイバーケーブルはさらに」、「前記少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンの前記第2の部分の端部に接続された多心フェルールと、を備え」ることに相当する。 (エ)引用発明の「間欠構造を持つ12本の光ファイバ心線11からなる間欠テープ心線10」の各光ファイバ心線11と、「それぞれが所定のピッチで配列され、光ファイバ端が露出されるファイバ孔33が形成され」ている「光ファイバ心線」とが対応するものであることは明らかである。 したがって、引用発明の「コネクタ本体部31」が、「それぞれが所定のピッチで配列され、光ファイバ端が露出されるファイバ孔33」を有することは、本願発明の「多心フェルール」が、「少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボン内の前記複数の光ファイバーに対応する複数のガイド孔を有」することに相当する。 (オ)以上(ア)ないし(エ)によれば、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「少なくとも1つの多心ユニットチューブであって、実質的に円形であり、かつ複数の光ファイバーを受け入れるような寸法である、少なくとも1つの多心ユニットチューブと、 前記少なくとも1つの多心ユニットチューブ内に配置された複数の光ファイバーを備える少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンとを備えるコネクタ化光ファイバーケーブルであって、 前記コネクタ化光ファイバーケーブルはさらに、 前記少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンの前記第2の部分の端部に接続された多心フェルールと、 を備え、 前記多心フェルールは、前記少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボン内の前記複数の光ファイバーに対応する複数のガイド孔を有する、コネクタ化光ファイバーケーブル。」 【相違点】 a 相違点1 本願発明の「多心ユニットチューブ」は、「スプリングプッシュを備え、前記スプリングプッシュに入る前記少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンの第1の部分は実質的に円形形状に形成され、および、前記スプリングプッシュから出る少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンの第2の部分が実質的に平坦形状に形成されるように平坦化され」るのに対して、引用発明の「外被22」は、「スプリングプッシュ」を備えると特定されないため、当該スプリングプッシュの入る側で「間欠接着型光ファイバーリボンの第1の部分は実質的に円形形状に形成され」、出る側で「間欠接着型光ファイバーリボンの第2の部分が実質的に平坦形状に形成されるように平坦化され」るとは特定されない点。 b 相違点2 コネクタ化光ファイバーケーブルが、本願発明は「少なくとも1つの多心ユニットチューブを包囲するジャケット」を備えるのに対して、引用発明はこのような「ジャケット」を備えるとは特定されない点。 c 相違点3 多心フェルールが、本願発明は「少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンの前記第2の部分の前記光ファイバーの前記端部が前記ガイド孔内に挿入されることにより、前記少なくとも1つの間欠接着型光ファイバーリボンの前記第2の部分の前記端部に接続される」のに対して、引用発明はこのように接続されるとは特定されない点。 イ 判断 以下、各相違点について検討する。 (ア)相違点1について 引用発明においては、形状から見ても、ブーツ部35内で光ファイバ心線11が「丸められた状態」から「平らな状態」に変化するものであることは明らかである。そうすると、引用発明においては、光ファイバ心線11を「丸められた状態」から「平らな状態」に変化するための何らかの構成が、ブーツ部35内に設けられていると考えることが自然である。 ここで、引用発明と引用文献2に記載された技術事項とは、「コネクタ付き光ファイバ」である点で技術的に同一であるとともに、コネクタ部分で、光ファイバの配列状態を変更する構成であるという点でも共通するものであるから、引用文献2に記載された技術事項を引用発明に適用する動機があるといえる。そうすると、引用文献2に記載された技術事項の「ハウジング」を引用発明に適用することは当業者が容易に想到し得たことであり、その際、引用文献2に記載された技術事項は「後部ハウジングにおいて、光ファイバが丸められた状態から平らな状態に変化するものであ」るところ、当該「後部ハウジング」は、本願発明の「スプリングプッシュ」に相当するといえる。 以上によれば、引用発明に、引用文献2に記載された技術事項を適用して、上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは当業者が容易になし得たことである。 (イ)相違点2について 引用文献2に記載された事項のケーブルは、ケーブルの内側ジャケットを外側ジャケットが囲んでいるから、上記(ア)で上述したように、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用する際に、あわせて外側ジャケットが囲む構成となして、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは当業者が容易になし得たことである。 (ウ)相違点3について 引用文献1には、「端末部分ではテープ状に引き揃えることでフェルール内蔵ファイバと一括融着接続ができるなど、多心コネクタを取り付けるコネクタ加工が容易である。」(【0025】)旨の記載があるが、引用発明が「フェルール内蔵ファイバと一括融着接続」ものであることが必須の構成であるとまで特定するものではなく、また、引用文献2に記載された事項の「光ファイバは、フェルール内に固定され」るものであるから、上記(ア)で上述したように、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用する際に、あわせて「光ファイバは、フェルール内に固定され」る構成となして、上記相違点3に係る本願発明の構成となすことは当業者が容易になし得たことである。 (エ)したがって、本願発明は引用発明に引用文献2に記載された事項を適用することにより当業者が容易に想到し得たものである。 (2)本願発明の奏する効果について そして、上記相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された事項の作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (3)審判請求人の主張について ア 審判請求人は、令和4年8月17日付けの意見書の【意見の内容】「(2)意見の内容」において、次のように主張する。 (ア)引用文献1において光ファイバー心線11とコネクタ本体31とを接続するとは、ブーツ部35内で、光ファイバー心線11の被覆光ファイバーに複数の短光ファイバー心線(複数の個々のファイバと推定される)を融着接続することです。 (イ)引用文献1には、実質的に円形の形状でスプリングプッシュに入るロール可能な光ファイバーリボンが実質的に平坦な形状でスプリングプッシュから出るように平坦化することを可能にするスプリングプッシュ(または同様の構成要素)を含む多心ユニットチューブを開示または示唆しておりません。 (ウ)引用文献2の図3Bに示される通り、ファイバーのバンドル111の端部セグメント111Aは、ファイバーのバンドル111がコネクタアセンブリ10のひずみ解放保護カバー34部分に入る前、したがって、ファイバーのバンドル111が後部ハウジング30に入る前に、バンドル111内のファイバー110の部分が横並びの単列構成に配置されるようにリボン加工されていることに留意してください。・・・したがって、コネクタアセンブリ10に入射して後ハウジング30に入射するファイバーのバンドル111が既にリボン状である場合に、コネクタアセンブリ10に入射するファイバーのバンドル111の形状を後ハウジング30またはコネクタアセンブリ10内の他の構造がリボン状に平坦化される理由はありません。 イ 上記主張について検討する。 (ア)上記ア(ア)の点については、上記(1)イ(ウ)で検討したとおりであって、引用文献2に記載された事項の「光ファイバは、フェルール内に固定され」るものを引用発明に適用することを論じているのであるから、請求人の上記ア(ア)の主張は採用できない。 (イ)上記ア(イ)の点については、上記(1)イ(ア)で述べた通りであって、引用文献2に記載された技術事項の「ハウジング」を「後部ハウジング」を含めて引用発明に適用することを論じているのであるから、請求人の上記ア(イ)の主張は採用できない。 (ウ)上記ア(ウ)の点については、上記4(2)ア(ウ)dで認定したとおりであって、丸い「クリンプリング32」のコネクタアセンブリ10内での位置に注目して、図3B及び図3Cを見ると、コネクタ後部ハウジング30の内部のケーブル100側において、光ファイバ110が「丸められた状態」から「平らな状態」に変化することが見てとれるから、請求人の上記ア(ウ)の主張は採用できない。 6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用することにより当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-011470

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