特許拒絶査定不服審判
2024-014945
光拡散シート、光拡散シート積層体、バックライトユニット、及び液晶表示装置
- 審判番号
- 2024-014945
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-078307
- 請求日
- 2024年09月18日
- 審決日
- 2026年05月15日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】恵和株式会社
- 【請求人代理人】小谷 昌崇
- 【請求人代理人】治下 正志
- 審判長/審判官
- 審判長 古屋野 浩志
- 審判官 里村 利光
- 審判官 河原 正
- 分類
- P18 .121-WZ (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 78307「光拡散シート、光拡散シート積層体、バックライトユニット、及び液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年12月22日出願公開、特開2022-189735〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
理 由
第1 手続等の経緯
特願2022-78307号(以下「本願」という。)は、令和4年5月11日(先の出願に基づく優先権主張 令和3年6月10日)を出願日とする特許出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和 5年 6月15日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 8月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和 5年10月 5日付け:拒絶理由通知書
令和 5年12月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和 6年 2月 8日付け:拒絶理由通知書
令和 6年 4月26日 :意見書、手続補正書の提出
令和 6年 7月 3日付け:補正の却下の決定
令和 6年 7月 3日付け:拒絶査定
令和 6年 9月18日 :審判請求書の提出
令和 6年 9月18日 :手続補正書の提出
令和 7年 8月22日付け:拒絶理由通知書
令和 7年10月 8日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1~14に係る発明は、令和7年10月8日にした手続補正後の特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、以下のものである。
「 光拡散剤を含有しない光拡散シートであって、
光を拡散させる複数の凹部が形成された第1面と、
光を透過可能な複数の凸部を互いに離間して備える第2面とを有し、
前記第1面は、前記第2面とは反対側の表面であり、
前記凸部の平均高さが、50~200μmであり、
前記凸部の占める面積が、前記第2面の全面に対して、0.1~30%であることを特徴とする光拡散シート。」
第3 当審において通知した拒絶の理由
令和7年8月22日付けで通知した拒絶の理由は、概略、以下の理由を含む。
●理由2(進歩性)
この出願の請求項1~14に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(引用例等一覧)
引用例1:特表2005-527864号公報
引用例2:国際公開第2010/010840号
引用例3:米国特許出願公開第2010/0033957号明細書
引用例4:韓国公開特許第10-2020-0109740号公報
引用例5:特開2020-79920号公報
引用例6:特開2010-152033号公報
(合議体注:引用例1あるいは引用例6は、主引用例である。引用例2~5は、先の出願時の周知技術を例示するものである。)
第4 合議体の判断
1 引用例6を主引用例とする進歩性についての判断
(1) 引用例6の記載及び引用発明
ア 引用例6の記載
当審における拒絶の理由で引用された、特開2010-152033号公報(以下「引用例6」という。)は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには以下の記載がある。下線は、当合議体が付したものであり、引用発明の認定及び判断等に活用した箇所を示す(以下、同様である。)。
(ア) 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光性シートと、
表面に複数個の突起部が散在して形成され、隣り合う突起部の間に凹部が設けられてなる凹凸形状面を片面に備えた光拡散性基板と、を備えてなり、
前記突起部は、平面視において一対の長辺と一対の短辺を有する略矩形形状であり、前記突起部の底面における長辺の長さが0.8~2.5mmに設定され、前記突起部の底面における短辺の長さが50~500μmに設定され、
前記光拡散性基板の凹凸形状面の突起部と前記集光性シートの集光性レンズ非形成面が粘着剤層を介して接合されることによって前記光拡散性基板と前記集光性シートとが積層一体化され、前記粘着剤層と前記光拡散性基板の凹凸形状面の凹部との間に空気層が形成されていることを特徴とする集光層付き光拡散板。
・・・略・・・
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の集光層付き光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源とを備え、前記光拡散板において前記集光性シートが前面側になるように配置されていることを特徴とする面光源装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の集光層付き光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源と、前記光拡散板の前面側に配置された液晶パネルとを備え、前記光拡散板において前記集光性シートが前面側になるように配置されていることを特徴とする液晶表示装置。」
(イ) 「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、傷付きを十分に防止できると共に正面方向に十分な輝度を確保し得る集光層付き光拡散板に関し、詳しくは、該集光層付き光拡散板と、これを備えることにより、正面方向に十分な輝度を有した高品質の面光源装置及び液晶表示装置に関する。
・・・略・・・
【背景技術】
【0003】
液晶表示装置としては、例えば液晶セルを備えた液晶パネル(画像表示部)の背面側に面光源装置がバックライトとして配置された構成のものが公知である。前記バックライト用の面光源装置としては、ランプボックス(筐体)内に複数の光源が配置されると共にこれら光源の前面側に光拡散板が配置され、さらに正面方向に十分な輝度を確保するべく光拡散板の前面側に集光性シートであるレンチキュラーレンズが配置された構成の面光源装置が知られている。
・・・略・・・
【0004】
しかしながら、上記構成に係る面光源装置では、光拡散板の前面側に集光性シートが単に重ね合わされた形態であるために、光拡散板と集光性シートが互いに擦れ合って傷付きやすいという問題があった。
【0005】
このような擦れ合いによる傷付きを防止し得るものとして、光拡散板の前面側に粘着剤層を介して集光性シートであるレンチキュラーレンズが配置された構成の面光源装置が知られている(特許文献2参照)。この構成によれば、光拡散板と集光性シートが粘着剤層を介して接合されているから、光拡散板と集光性シートとが擦れ合うことがなく、傷付き発生を防止できる。
・・・略・・・
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記後者の面光源装置は、正面方向における輝度の向上は必ずしも十分なものではなかった。
【0007】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、傷付きを十分に防止できると共に正面方向の輝度を十分に確保できる集光層付き光拡散板及び正面方向に十分な輝度を有した高品質の面光源装置と液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1]集光性シートと、
表面に複数個の突起部が散在して形成され、隣り合う突起部の間に凹部が設けられてなる凹凸形状面を片面に備えた光拡散性基板と、を備えてなり、
前記突起部は、平面視において一対の長辺と一対の短辺を有する略矩形形状であり、前記突起部の底面における長辺の長さが0.8~2.5mmに設定され、前記突起部の底面における短辺の長さが50~500μmに設定され、
前記光拡散性基板の凹凸形状面の突起部と前記集光性シートの集光性レンズ非形成面が粘着剤層を介して接合されることによって前記光拡散性基板と前記集光性シートとが積層一体化され、前記粘着剤層と前記光拡散性基板の凹凸形状面の凹部との間に空気層が形成されていることを特徴とする集光層付き光拡散板。
・・・略・・・
【発明の効果】
【0016】
[1]の発明では、光拡散性基板の凹凸形状面の突起部と集光性シートの集光性レンズ非形成面が粘着剤層を介して接合されているから、光拡散性基板と集光性シートとが擦れ合うことがなく、この光拡散板における傷付き発生を十分に防止できる。また、粘着剤層と光拡散性基板の凹凸形状面の凹部との間に空気層が存在するから、正面方向の輝度が十分に確保される。また、長辺の長さが0.8~2.5mmで、短辺の長さが50~500μmである平面視略矩形形状の複数個の突起部が光拡散性基板の表面に散在して形成されているから、これら突起部が存在することによってこの集光層付き光拡散板の光学機能に影響が及んで表示画像の画質に影響が及ぶことを十分に回避できる。更に、前記空気層は、上記特定の凹凸形状面を片面に備えた光拡散性基板と、集光性シートとを粘着剤層を介して積層するだけで形成できるので、即ち積層時に光拡散性基板の突起部がスペーサーの役割を果たして空気層を確保できるので、生産性に優れている。
・・・略・・・
【0018】
[3]の発明では、長辺方向に隣り合う突起部は互いに一定間隔で離間して配置され、短辺方向に隣り合う突起部は互いに一定間隔で離間して配置されているから、これら突起部が存在することによってこの集光層付き光拡散板の光学機能に影響が及んで表示画像の画質に影響が及ぶことをより十分に回避できる。
【0019】
[4]の発明では、長辺方向に隣り合う前記突起部同士の重心間距離を「U」としたとき、長辺方向に一列を形成した突起部群における突起部の重心位置は、該突起部群に対し短辺方向に隣り合う隣接突起部群を構成する複数の突起部のうち最も近い突起部の重心位置に対し、長辺方向においてU/2.2~U/1.8の範囲の距離離れている(ずれている)構成が採用されているから、長辺方向に隣り合う突起部同士の間隔や短辺方向に隣り合う突起部同士の間隔が大きい構成であっても、集光性シートが撓んで該集光性シートが光拡散性基板の凹凸形状面の凹部に接触したり近接するようなことが防止され、これにより十分な空気層が確保されるので、正面方向の輝度をさらに向上させることができる。
【0020】
[5]の発明では、長辺方向に隣り合う突起部同士の重心間距離を「U」とし、突起部の底面における長辺の長さを「T」としたとき、1.3≦U/T≦2.2の関係式が成立するから、集光性シートが撓んで該集光性シートが光拡散性基板の凹凸形状面の凹部に接触したり近接するようなことが防止され、これにより十分な空気層が確保されるので、正面方向の輝度をさらに向上させることができると共に、短辺方向に隣り合う突起部同士の重心間距離を「F」とし、突起部の底面における短辺の長さを「L」としたとき、Fは400μm以上5.0mm以下であり、8.0≦F/Lの関係式が成立する構成であるから、粘着剤層と光拡散性基板の凹凸形状面の凹部との間に形成される空気層の空隙を短辺方向において広くすることができて、より高い透過率で光を透過させることができるから、正面方向の輝度をより増大させることができる。
【0021】
[6]の発明では、集光層付き光拡散板における傷付きがなく高品質の光が得られると共に正面方向の輝度が高い面光源装置が提供される。
【0022】
[7]の発明では、集光層付き光拡散板における傷付きがなく高品質の画像が得られると共に正面方向の輝度が高い液晶表示装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明に係る液晶表示装置の一実施形態を図1に示す。図1において、(30)は液晶表示装置、(11)は液晶セル、(12)(13)は偏光板、(1)は面光源装置(バックライト)である。
・・・略・・・
【0024】
・・・略・・・この液晶表示装置(30)は、直下型液晶表示(ディスプレイ)装置である。
【0025】
前記面光源装置(1)は、平面視矩形状で上面側(前面側)が開放された薄箱型形状のランプボックス(5)と、該ランプボックス(5)内に相互に離間して配置された複数の光源(2)と、これら複数の光源(2)の上方側(前面側)に配置された光拡散板(3)とを備えている。
・・・略・・・
【0026】
前記光拡散板(3)は、図2に示すように、互いに平行状に配置された光拡散性基板(31)、集光性シート(41)及び粘着剤層(40)を備えてなる。前記光拡散性基板(31)は、表面に多数個の突起部(32)が散在して形成されると共に隣り合う突起部(32)の間に凹部(本実施形態では平坦部になっている)(33)が設けられてなる凹凸形状面(34)を片面に有する(図3参照)。しかして、この光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の突起部(32)と前記集光性シート(41)の集光性レンズ非形成面(集光性レンズが形成されていない側の面)が粘着剤層(40)を介して接着されており、これにより前記粘着剤層(40)と前記光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の凹部(33)との間に空気層(42)が存在した状態で前記光拡散性基板(31)と前記集光性シート(41)とが積層一体化されている(図2参照)。なお、前記粘着剤層(40)は、前記集光性シート(41)の片面の略全面に隙間なく積層されている。
【0027】
前記突起部(32)は、平面視において一対の長辺(35)(35)と一対の短辺(36)(36)を有する略矩形形状である(図4参照)。前記突起部(32)の底面(光拡散性基板に連接する面)における長辺の長さ(T)は0.8~2.5mmに設定され、前記突起部(32)の底面(光拡散性基板に連接する面)における短辺の長さ(L)は50~500μmに設定される。
【0028】
しかして、図4に示すように、これら多数個の突起部(32)が、平面視において全体にわたって散在状態に配置されている。即ち、多数個の突起部(32)が平面視において千鳥状に配置されている。本実施形態では、長辺方向に隣り合う突起部(32)は互いに一定間隔で離間して配置され、短辺方向に隣り合う突起部(32)は互いに一定間隔で離間して配置されている(図4参照)。なお、長辺方向の一定の離間間隔と、短辺方向の一定の離間間隔とは、異なっていても良いし、同一であっても良い。
・・・略・・・
【0032】
前記液晶表示装置(30)において、前記光拡散板(3)は、その集光性シート(41)が前面側(液晶パネル(20)側)になるように配置されている(図1参照)。即ち、換言すれば、前記液晶表示装置(30)において、前記光拡散板(3)は、その光拡散性基板(31)が背面側(光源(2)側)になるように配置されている(図1参照)。
【0033】
上記構成に係る光拡散板(3)は、光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の突起部(32)と集光性シート(41)の集光性レンズ非形成面が粘着剤層(40)を介して接合されているから、光拡散性基板(31)と集光性シート(41)とが擦れ合うことがなく、この光拡散板(3)における傷付き発生を十分に防止することができる。また、上記構成に係る光拡散板(3)は、粘着剤層(40)と光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の凹部(平坦部)(33)との間に空気層(42)が存在するから、前記面光源装置(1)において正面方向(法線方向)(Q)に高い輝度で照明することができるし、前記液晶表示装置(30)において正面方向(法線方向)(Q)に高い輝度で画像を表示することができる。更に、長辺の長さ(T)が0.8~2.5mmで、短辺の長さ(L)が50~500μmである平面視略矩形形状の突起部(32)が光拡散性基板(31)の表面に散在して形成されているから、該突起部(32)が存在することによってこの集光層付き光拡散板(3)の光学機能に悪影響が及ぶことがなく、高品質の画質を備えた画像を表示できる。
【0034】
この発明において、前記突起部(32)の底面における長辺の長さ(T)は0.8~2.5mmに設定される。0.8mm未満では突起部(32)の成形性に問題が生じるし、2.5mmを超えると液晶パネルを通して突起部(32)が視認されて画像の品位が低下する。
【0035】
また、前記突起部(32)の底面における短辺の長さ(L)は50~500μmに設定される。50μm未満では精度良く形状加工するのが困難であるし、500μmを超えると突起部(32)の形状が筋のように視認される恐れがある。
【0036】
この発明において、長辺方向に隣り合う突起部(32)同士の重心(G)間距離を「U」としたとき、長辺方向に一列を形成した突起部群における突起部(32)の重心位置(G1)は、該突起部群に対し短辺方向に隣り合う隣接突起部群を構成する複数の突起部のうち最も近い突起部(32)の重心位置(G2)に対し、長辺方向においてU/2.2~U/1.8の範囲の距離離れている(ずれている)構成であるのが好ましい(図4参照)。即ち、図4において、K=U/2.2~U/1.8の関係式が成立する構成であるのが好ましい。この構成を採用した場合には、長辺方向に隣り合う突起部(32)同士の間隔や短辺方向に隣り合う突起部(32)同士の間隔が大きい構成であっても、集光性シート(41)が撓んで該集光性シート(41)が光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の凹部(33)に接触したり近接するようなことが防止され、十分な空気層(42)が確保されるので、正面方向の輝度をより向上させることができる。
【0037】
また、長辺方向に隣り合う突起部(32)同士の重心(G)間距離を「U」とし、突起部(32)の底面における長辺(35)の長さを「T」としたとき、
1.3≦U/T≦2.2
の関係式が成立する構成であるのが好ましい(図4参照)。この構成を採用した場合には、1.3≦U/Tであることで十分な空気層(42)を確保できると共に、U/T≦2.2であることで集光性シート(41)の撓みを防止できる。
【0038】
また、短辺方向に隣り合う突起部(32)同士の重心(G)間距離を「F」とし、突起部(32)の底面における短辺(36)の長さを「L」としたとき、
400μm≦F≦5.0mm
8.0≦F/L
の両者の関係式が成立する構成であるのが好ましい(図4参照)。この構成を採用した場合には、粘着剤層(40)と光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の凹部(33)との間に形成される空気層(42)の空隙を短辺方向において広くすることができて、より高い透過率で光を透過させることができるから、正面方向の輝度をさらに増大させることができる。
【0039】
即ち、Fが400μm以上であることで、粘着剤層(40)と光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の凹部(33)との間に空気層(42)を十分に形成せしめることができると共に、Fが5.0mm以下であることで、集光性シート(41)が撓んで該集光性シート(41)が光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の凹部(33)に接触したり近接することを十分に防止できる。また、8.0≦F/Lの関係式が成立することで、空気層(42)の空隙を短辺方向において広くすることができて、より高い透過率で光を透過させることができるから、正面方向の輝度をさらに増大させることができる。
【0040】
この発明において、前記光拡散性基板(31)としては、透過光を拡散し得るものであればどのようなものでも使用できるが、中でも透明材料中に光拡散粒子(光拡散剤)が分散されてなる板が好ましく用いられる。
【0041】
前記光拡散性基板(31)としては、特に限定されるものではないが、例えば、透明樹脂からなる単層板、透明樹脂からなる基層の少なくとも片面に異種の透明樹脂からなる1ないし複数の他層が積層された積層板等が用いられる。
【0042】
前記光拡散性基板(31)を構成する透明材料としては、特に限定されるものではないが、例えば透明樹脂、無機ガラス等が挙げられる。
・・・略・・・
【0043】
前記光拡散粒子としては、光拡散性基板(31)を構成する透明樹脂に対して非相溶性であって且つこの透明樹脂と屈折率が相違する粒子であって透過光を拡散し得るものであれば特に限定されずどのようなものでも使用できる。
・・・略・・・
【0048】
前記光拡散性基板(31)の厚さ(N)は、通常、0.1~10mmの範囲に設定される。
【0049】
前記突起部(32)の断面形状としては、特に限定されるものではないが、例えば略半円形状の他、略半楕円形状、扁平湾曲線形状、或いは略矩形状、略三角形形状等の略多角形形状などが挙げられる。
・・・略・・・
【0052】
前記突起部(32)の高さ(H)は、10~500μmの範囲に設定されるのが好ましい(図3参照)。10μm以上であることでスペーサー機能が十分に得られて空気層(42)の空隙を十分に確保できると共に、500μm以下であることで該突起部(32)の成形が容易なものとなる。
【0053】
前記集光性シート(41)としては、特に限定されるものではないが、例えば微細なプリズムレンズ、微細な凸レンズ、レンチキュラーレンズ等の微細な集光性レンズが片面の全面にわたって形成されたシート等が挙げられる。前記光拡散性基板(31)を拡散しながら透過した透過光をこの集光性シート(41)で光拡散板(3)の法線方向(Q)に集光する。この集光性シート(41)は、集光性レンズが形成された側とは反対側の面(集光性レンズ非形成面)を重ね合わせ面にして前記光拡散性基板(31)と積層一体化される(図2参照)。
・・・略・・・
【0056】
前記集光性シート(41)の厚さ(C)は、貼合強度を確保する観点から、10μm以上に設定されるのが好ましい。また、前記集光性シート(41)の厚さ(C)は、撓みを生じさせない観点から、即ち粘着剤層(40)を光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の凹部(33)に接触等させない観点から、30μm以上に設定されるのが特に好ましい(図2参照)。
【0057】
前記粘着剤層(40)の素材としては、特に限定されるものではないが、例えばアクリル系粘着剤・・・略・・・等が挙げられる。これらの中でも、無色透明の粘着剤を用いるのが、より高品質の表示画像を形成できる点で、好ましい。
・・・略・・・
【0058】
前記粘着剤層(40)の厚さ(M)は、10~30μmの範囲に設定されるのが好ましい(図2参照)。10μm以上であることで十分な接合強度を確保することができると共に、30μm以下であることで光拡散性基板(31)の凹部(33)にこの粘着剤層(40)が接触することを十分に防止できて空気層(42)の空隙量を十分に確保できる。中でも、前記粘着剤層(40)の厚さ(M)は5~25μmの範囲に設定されるのが特に好ましい。
【0059】
また、前記空気層(42)の厚さ(E)は、通常、1~400μmの範囲に設定され、好ましい厚さ(E)は50~350μmである(図2参照)。
・・・略・・・
【0062】
なお、この発明の光拡散板(3)の厚さ(S)は、特に限定されるものではないが、1~5mmに設定されるのが好ましい(図2参照)。また、この発明の光拡散板(3)の大きさ(面積)は、特に限定されるものではなく、例えば目的とする面光源装置(1)や液晶表示装置(30)の大きさに応じて適宜設定されるものであるが、通常、20cm×30cm~150cm×200cmの大きさに設計される。
・・・略・・・
【0064】
この発明に係る光拡散板(3)、面光源装置(1)及び液晶表示装置(30)は、上記実施形態のものに特に限定されるものではなく、請求の範囲内であれば、その精神を逸脱するものでない限りいかなる設計的変更をも許容するものである。
【実施例】
【0065】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0066】
<原材料>
(光拡散性基板の材料)
透明樹脂A:スチレン樹脂(東洋スチレン製「HRM40」、屈折率1.59)
透明樹脂B:MS樹脂(新日鐵化学製「MS200NT」、屈折率1.57、スチレン/メタクリル酸メチル=80質量部/20質量部)
光拡散剤A:PMMA架橋粒子(住友化学製「スミペックスXC1A」、屈折率1.49、重量平均粒子径35μm)
光拡散剤B:架橋シロキサン系重合体粒子(東レダウコーニング社製「トレフィルDY33-719」、屈折率1.42、体積平均粒子径2μm)。
【0067】
光拡散剤マスターバッチA:透明樹脂Aを52.0質量部、光拡散剤Aを40.0質量部、光拡散剤Bを4.0質量部、紫外線吸収剤であるスミソーブ200(住友化学株式会社製)を2.0質量部、熱安定剤であるスミライザーGP(住友化学株式会社製)を2.0質量部ドライブレンドした後、このブレンド物を65mm2軸押出機のホッパーに投入し、シリンダー内で溶融混合した後、ストランド状に押出してペレット化することにより得られたペレット状の光拡散剤マスターバッチA。なお、シリンダー内の温度は、ホッパーの下部:200℃から押出ダイ付近:250℃と下流に向けて徐々に高温になるように設定して押出しを行った。
【0068】
光拡散剤マスターバッチB:透明樹脂Bを78.8質量部、光拡散剤Aを20.0質量部、紫外線吸収剤であるLA-31(旭電化工業株式会社製)を1.0質量部、熱安定剤であるスミライザーGP(住友化学株式会社製)を0.2質量部ドライブレンドした後、このブレンド物を65mm2軸押出機のホッパーに投入し、シリンダー内で溶融混合した後、ストランド状に押出してペレット化することにより得られたペレット状の光拡散剤マスターバッチB。なお、シリンダー内の温度は、ホッパーの下部:200℃から押出ダイ付近:250℃と下流に向けて徐々に高温になるように設定して押出しを行った。
【0069】
(集光性シートA)
片面に深さ(D)が11.5μm、溝底部の開き角度が90度のV溝がピッチ間隔(P)23.0μmで形成されてなる透明PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂製の厚さ(C)60μmのフィルム。
【0070】
<実施例1>
透明樹脂A97.0質量部、光拡散剤マスターバッチA5.0質量部をドライブレンドした後、シリンダー内の温度が190~250℃の第1押出機で溶融混練して、フィードブロックに供給する。一方、光拡散剤マスターバッチBをシリンダー内の温度が190~250℃の第2押出機で溶融混練して、フィードブロックに供給する。
【0071】
前記第1押出機からフィードブロックに供給される樹脂が中間層(基層)となり、前記第2押出機からフィードブロックに供給される樹脂が表層(両面)となるように押出樹脂温度250℃でマルチマニホールドダイより共押出成形を行い、ポリシングロールで挟圧と冷却を行うことによって、厚さ2.0mmの3層積層板(中間層1.9mm、表層0.05mm×2)からなる光拡散性基板(31)を作製した。
【0072】
次に、得られた光拡散性基板(31)の片面の全面に、熱プレス機(神藤金属工業所製、シンドー式ASF型油圧プレス)を用いてシリンドリカルレンズ形状の突起部(断面形状が略半円柱形状の突起部)(32)を図4に示す配置態様で多数個突設形成せしめて、厚さ(N)が2.0mmの光拡散性基板(31)を得た(図3、4参照)。なお、前記熱プレス機の上方側の金属金型の下面(プレス面)には前記突起部に対応する短い凹溝が多数個穿設されている。また、前記熱プレス機による熱プレスでは、熱プレス機の上面側温度を160℃、下面側温度を70℃に設定した状態で約3分間加圧を行った。
【0073】
こうして得られた光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)は、突起部(32)の高さ(H)が150μm、突起部(32)の長辺の長さ(T)が800μm、長辺方向に隣り合う突起部同士の重心間距離(U)が1200μm、突起部(32)の短辺の長さ(L)が389μm、短辺方向に隣り合う突起部同士の重心間距離(F)が1650μm(合議体注:「1650mm」は、【0083】【表1】からみて、「3490μm」の誤記であると認められる。)、ずれ距離(K)が600μmに設計された構成である(図4参照)。
【0074】
一方、集光性シートA(41)の集光性レンズ非形成面(平滑面)に両面粘着フィルムを貼合することにより集光性シートA(41)の片面に厚さ(M)20μmの粘着剤層(40)を積層し、粘着剤付き集光性シートを得た。
【0075】
前記光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)に前記粘着剤層(40)が接触するように光拡散性基板(31)と粘着剤付き集光性シート(41)を重ね合わせた後、これらを挟圧することによって、図2に示す断面形状を呈する集光層付き光拡散板(3)を作製した。
【0076】
この集光層付き光拡散板(3)では、図2に示すように、粘着剤層(40)と光拡散性基板(31)の凹部(平坦部)(33)との間に厚さ(E)130μmの空気層(42)を形成することができた。
【0077】
<比較例1>
共押出成形により得た光拡散性基板に対する熱プレス機を用いた突起部(32)の形成を行わないものとした以外は、実施例1と同様にして集光層付き光拡散板を作製した。即ち、この光拡散板では、光拡散性基板と集光性シートAとが粘着剤層により全面接着されており、光拡散性基板と集光性シートAとの間に空気層が存在しない。
・・・略・・・
【0082】
上記のようにして作製された各集光層付き光拡散板について下記評価法に従い評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
[図:0001436725000001.jpg]
(合議体注:表1は、便宜のため、時計回りに90°回転させている。)
【0084】
<平均輝度及び輝度均一度評価法>
市販の20インチ型の液晶テレビから液晶パネル、各種光学フィルム及び光拡散板を取り外した後、ランプボックス(内部に複数本の蛍光管が相互に離間して配置されている)の縁枠部の前面に当接した状態に上記作製された光拡散板(実施例品・比較例品)を配置固定せしめてランプボックスの開放面を塞いだ。しかる後、この光拡散板をセットした状態でその輝度を輝度測定計(株式会社アイ・システム製「Eye Scale-3WS」)を用いて測定した。輝度最小値を「C1」とし輝度最大値を「C2」としたとき、
輝度均一度(%)=(C1/C2)×100
上記式で求められる値を輝度均一度(%)とした。
【0085】
なお、前記輝度測定は、次のようにして行った。即ち、恒温恒湿(温度25.0℃、湿度50.0%)の暗室内の床面上に液晶テレビをその前面側を上面にして(背面が床面に当接するように)配置し、液晶テレビの前面の全面が写り込むように液晶テレビの上方位置にカメラを下向きに向けて配置した。この時、液晶テレビの前面からカメラまでの距離を65.0cmとし、輝度測定計の測定条件をSPEED:1/500、GAIN:5、絞り:16に設定して、液晶テレビの前面の中央部を中心とした60mm×60mmの範囲を測定スポットに指定して各測定スポット(2601箇所)での輝度をそれぞれ測定し、これら輝度の平均値を平均輝度(cd/m2)とするとともに、これら測定値のうちの輝度最小値と輝度最大値から輝度均一度(%)を求めた。
【0086】
表1から明らかなように、この発明の実施例1の集光層付き光拡散板を用いて構成された面光源装置では、正面方向(法線方向)において十分に高い輝度が得られると共に輝度均一性にも優れていた。また、実施例1の集光層付き光拡散板では、光拡散性基板と集光性シートとが粘着剤層を介して接合されているので、光拡散性基板と集光性シートとが擦れ合うことがなく、光拡散板に擦れ傷は生じない。
【0087】
これに対し、比較例1の集光層付き光拡散板を用いて構成された面光源装置では、粘着剤の全面接着により光拡散性基板と集光性シートとの間に空気層が存在しないので、正面方向(法線方向)において輝度は格段に低いものであった。
・・・略・・・
【産業上の利用可能性】
【0089】
この発明の集光層付き光拡散板は、面光源装置用の光拡散板として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。また、この発明の面光源装置は、液晶表示装置用のバックライトとして好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。」
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】この発明に係る液晶表示装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】この発明に係る集光層付き光拡散板の一実施形態を示す断面図である。
【図3】光拡散性基板を示す断面図である。
【図4】光拡散性基板における突起部の配置態様の一例を示す平面図である。
・・・略・・・
【符号の説明】
【0091】
1…面光源装置
2…光源
3…光拡散板
20…液晶パネル
30…液晶表示装置
31…光拡散性基板
32…突起部
33…凹部
34…凹凸形状面
35…長辺
36…短辺
40…粘着剤層
41…集光性シート
42…空気層
G…突起部の重心
T…突起部の底面における長辺の長さ
L…突起部の底面における短辺の長さ
U…長辺方向に隣り合う突起部同士の重心間距離
F…短辺方向に隣り合う突起部同士の重心間距離
K…ずれ距離(長辺方向)
(ウ) 「【図1】
[図:0001436725000002.jpg]
【図2】
[図:0001436725000003.jpg]
【図3】
[図:0001436725000004.jpg]
【図4】
[図:0001436725000005.jpg]
」
(合議体注:図2~3は、便宜のため、時計回りに90°回転させている。)
イ 引用発明
上記(1)の引用例6の請求項6、7、【0001】、【0007】、【0026】、【図2】及び【図3】等の記載からみて、引用例6には、次の「光拡散性基板(31)」の発明(以下「引用発明6」という。)が記載されているものと認められる。
「正面方向に十分な輝度を有した高品質の面光源装置と液晶表示装置が備える集光層付き光拡散板(3)であって、(【0001】、【0007】) 互いに平行状に配置された光拡散性基板(31)、集光性シート(41)及び粘着剤層(40)を備えた、傷付きを十分に防止できると共に正面方向の輝度を十分に確保できる集光層付き光拡散板(3)を構成する、光拡散性基板(31)であって、
光拡散性基板(31)は、表面に多数個の突起部(32)が散在して形成されると共に隣り合う突起部(32)の間に、平坦部になっている凹部(33)が設けられてなる凹凸形状面(34)を片面に有し、(【0026】)
この光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の突起部(32)と前記集光性シート(41)の集光性レンズ非形成面(集光性レンズが形成されていない側の面)が粘着剤層(40)を介して接着されており、これにより前記粘着剤層(40)と前記光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の凹部(33)との間に空気層(42)が存在した状態で前記光拡散性基板(31)と前記集光性シート(41)とが積層一体化される、(【0026】)
光拡散性基板(31)。」
(合議体注:「光拡散性基板(31)」及び「光拡散性基板」との記載を、「光拡散性基板(31)」に統一して記載している。また、「集光層付き光拡散板」及び「集光層付き光拡散板(3)」との記載を、「集光層付き光拡散板(3)」に統一して記載している。)
(2) 対比
本願発明1と、引用発明6を対比する。
ア 凸部、第2面
(ア) 引用発明6の「光拡散性基板(31)」は、「集光性シート(41)」を「接着」する側の「光拡散性基板(31)」の「表面」(「片面」)に、「多数個の突起部(32)が散在して形成されると共に隣り合う突起部(32)の間に、平坦部になっている凹部(33)が設けられてなる凹凸形状面(34)」を有するから、複数の「突起部(32)」を互いに離間して備えているといえる。
(イ) 上記(ア)より、引用発明6の「集光性シート(41)」を「接着」する側の「光拡散性基板(31)」の「表面」(「片面」、「凹凸形状面(34)」)は、本願発明1の「第2面」に相当し、引用発明6の「突起部(32)」は、本願発明1の「凸部」に相当する。
また、本願発明1の「第2面」と、引用発明6の「集光性シート(41)」を「接着」する側の「光拡散性基板(31)」の「表面」は、「複数の凸部を互いに離間して備える」点で共通する。
イ 第1面
(ア) 引用発明6の「光拡散性基板(31)」は、「集光性シート(41)」を「接着」する側の「光拡散性基板(31)」の「片面」とは反対側にも面を有することは明らかである(引用例6の図2~3からも理解できることである。)。
(イ) 上記(ア)及び上記ア(イ)より、引用発明6の「光拡散性基板(31)」の「片面」とは反対側の面は、本願発明1の「第1面」に相当する。
また、本願発明1の「第1面」と、引用発明6の「光拡散性基板(31)」の「片面」とは反対側の面は、「前記第2面とは反対側の表面であ」る点で共通する。
さらに、本願発明1と、引用発明6は、「第1面と」、「第2面とを有し」、「前記第1面は、前記第2面とは反対側の表面であり」との構成を備える点で共通する。
ウ 光拡散シート
引用発明6の「光拡散性基板(31)」は、「正面方向に十分な輝度を有した高品質の面光源装置と液晶表示装置が備える集光層付き光拡散板(3)」の構成要素であるところ、技術常識から理解される「面光源装置」、「液晶表示装置」の大きさ、「光拡散板(3)」の厚みからみて、引用発明6の「光拡散板(3)」の構成する「光拡散性基板(31)」は、薄い板すなわちシートといえる(引用例6の【0062】の光拡散板(3)の厚さ(S)及び光拡散板(3)の大きさ(面積)についての記載等の記載からも理解できることである。)。
そうすると、引用発明6の「光拡散性基板(31)」は、本願発明1の「光拡散シート」に相当する。
エ 一致点及び相違点
上記ア~ウより、本願発明1と引用発明6は、
「光拡散シートであって、
第1面と、
複数の凸部を互いに離間して備える第2面とを有し、
前記第1面は、前記第2面とは反対側の表面である、光拡散シート。」の構成で一致し、以下の点で相違する。
(相違点6-1-1)
本願発明1においては、「光拡散シート」は「光拡散剤を含有しない」ものであり、「第1面」が「光を拡散させる複数の凹部が形成された」ものであり、「複数の凸部」が「光を透過可能な」ものであるのに対して、引用発明6においては、このようなものとなっているか不明である点。
(相違点6-1-2)
「凸部の平均高さ」が、本願発明1においては、「50~200μmである」るのに対して、引用発明6においては、このようなものとなっているか不明である点。
(相違点6-1-3)
「凸部の占める面積」が、本願発明1においては、「第2面の全面に対して、0.1~30%である」のに対して、引用発明6においては、このようなものとなっているか不明である点。
(3) 判断
ア 相違点6-1-1について
(ア) 引用発明6の「光拡散性基板(31)」は、「正面方向に十分な輝度を有した高品質の面光源装置と液晶表示装置が備える集光層付き光拡散板(3)」であって、「互いに平行状に配置された光拡散性基板(31)、集光性シート(41)及び粘着剤層(40)を備えた、傷付きを十分に防止できると共に正面方向の輝度を十分に確保できる集光層付き光拡散板(3)」を構成するものである。
また、技術常識に基づけば、引用発明6の「光拡散性基板(31)」を備えた「集光層付き光拡散板(3)」を用いた「面光源装置」は、その前提の構成の光拡散性基板(31)による光拡散及び光拡散性基板(31)と光集光性シート(41)の間の空気層(界面)の屈折率差に基づく屈折による輝度均一性に加えて、「正面方向」の「十分な輝度」が得られるものと当業者は理解できるところ(例えば引用例6の【0033】の記載や、【0086】の「正面方向(法線方向)において十分に高い輝度が得られると共に輝度均一性にも優れ」との記載を参照。)、引用発明6の「光拡散性基板(31)」について、引用例6には、「透過光を拡散し得るものであればどのようなものでも使用できる」(【0040】)と記載されている。
(同【0040】には、「中でも透明材料中に光拡散粒子(光拡散剤)が分散されてなる板が好ましく用いられる」との記載があるが、「中でも・・・好ましく」との記載から、引用例6でいう本発明においては、光拡散性基板が光拡散粒子を含有することは必須の構成ではないと当業者は理解する。このような理解は、引用例6の特許請求の範囲の請求項1~7においても光拡散性基板が光拡散粒子を含有することが、発明を特定するために必要な事項として記載されていないこととも整合する。)
(イ) ここで、画像表示装置の面光源としての光拡散板であって、光入射面に光を拡散させる複数の凹部を形成した、透明樹脂からなり、光拡散剤を含まない、高い輝度、輝度均一性が得られる光拡散板は、下記に例示されるように、先の出願時に周知である。
例えば、国際公開第2010/010840号(引用例2)の請求項1、請求項3、[0005]~[0006]、[0009]、[0015]、[0021]、[0023]、[0060]、[図1]~[図4]、[図15]等の記載参照(特に、請求項1の「光拡散板であって、前記光入射面及び前記光出射面の少なくとも一方の面は、複数個の繰り返し単位を有する凹凸領域を有し」及び請求項3の「前記凹凸構造は、多角錐体、又はその反転形状である」との記載、[0005]の「本発明の目的は、輝度及び輝度均斉度が高い面光源装置及び表示装置を与えることができ」との記載、[0021]の「本発明において、凹凸領域は光入射面又は光出射面の全面に設けられていてもよい」との記載、及び、[0023]の「凹凸構造311は、四角錘体が反転した形状の凹構造(画成される凹みの輪郭の形状が、頂角が下向きの四角錐状(逆ピラミッド状)となる)であり」との記載を参照。)。
あるいは、特開2020-86432号公報の請求項1~3、【0012】、【0044】、【0049】~【0054】、【0102】~【0102】及び図21を参照(特に【0049】の「本実施形態においては、光学シート43の上面(第1プリズムシート44側の表面)に凹凸形状(凹部22a)を設けたが、凹凸形状は光学シート43の少なくとも一方の表面に設けられていればよい。すなわち、光学シート43の下面(小型光源42側の表面)又は両面(上面及び下面)に凹凸形状を設けてもよい。」及び【0050】の「光学シート43の表面に設けられる凹凸形状は・・・略・・・複数の凸部や凹部が規則的に2次元配列された形状であってもよい。」との記載を参照。補足すると、(A)請求項1の光学シートの記載には、拡散剤を含有することが発明特定事項として記載されていないこと、(B)【0012】の「本発明は、液晶表示装置に用いられる直下型バックライトのさらなる薄型化に対しても、・・・略・・・輝度ムラが生じることを十分に抑制できるようにすることを目的とする。」及び【0065】の「また、本実施形態においては、光学シート43が、拡散剤21aを含む拡散層21を有することによって、光学シート43内での光拡散が促進されるので、各小型光源42と光源間領域との間の輝度ムラをより一層抑制することができる。」との記載、あるいは、(C)【0101】の「図21に示すように、光学シート43を凹凸形状層22のみから構成してもよい。」及び【0102】の「図21に示す光学シート43(凹凸形状層22)においては、マトリックス樹脂100質量部に対して、拡散剤を0質量部以上4質量部以下・・・略・・・含有させてもよい。」との記載等からみて、光学シートにおいて光拡散剤を含むことは必須でないと理解できる。)。
(ウ) してみると、上記(ア)で述べたとおり引用発明6の「光拡散性基板(31)」は、「透過光を拡散し得るものであればどのようなものでも使用できる」(【0040】)ものであるところ、引用発明6の「光拡散性基板(31)」(「光拡散シート」)に、上記の周知の光拡散板の構成を採用し、「光拡散性基板(31)」が透明樹脂からなり、光拡散剤を含有せず、「平坦部になっている凹部(33)が設けられてなる凹凸形状面(34)」(「片面」)と反対側の光入射面(「第1面」)に光を拡散させる複数の凹部が形成された構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであり、その際、突起部(32)を同じ透明樹脂で構成することも当業者の設計的事項である(例えば、突起部(32)の形成手法について、引用例6の【0051】には、「前記突起部(32)の形成手法としては、特に限定されるものではないが、例えば金型による熱転写法・・・略・・・等が挙げられる。」、【0072】には、「得られた光拡散性基板(31)の片面の全面に、熱プレス機・・・略・・・を用いてシリンドリカルレンズ形状の突起部(面形状が略半円柱形状の突起部)(32)を・・・略・・・多数個突設形成せしめて・・・略・・・光拡散性基板(31)を得た(図3、4参照)」との記載を参照)。
(エ) 令和7年10月8日提出の意見書における請求人の主張について
a 請求人は、同意見書2~3頁において、「引用例2には、光入射面及び光出射面の少なくとも一方の面は、多角錐体の反転形状等の、複数個の繰り返し単位を有する凹凸領域を有することが記載されており、所定の繰り返し単位が周期的に配置されるのは、光入射面及び/又は光出射面の一部であってもよい旨が記載されています(引用例2の請求項1、請求項3、及び段落[0060]参照)。」、「引用例6に記載の「光拡散性基板」に、引用例2に記載の光拡散板を適用したとしても、前記凸部が形成されている面とは反対側の面に凹部を形成するとは限らず、前記凸部間に凹部を形成することも考えられます。」、「よって、・・・略・・・引用例6に記載の「光拡散性基板」に、引用例2に記載の光拡散板を適用しても、光を透過可能な複数の凸部を互いに離間して備える第2面の反対側の表面である第1面に凹凸領域を有するように光拡散板を適用する動機まではないものと思料致します。」と主張している。
b(a) しかしながら、引用発明6の「光拡散性基板(31)」は、集光性シート(41)に対向する光出射面に多数個の突起部(32)が散在して形成されると共に隣り合う突起部(32)の間に「平坦部になっている」凹部(33)を設けたものである。そうすると、上記の光入射面に光を拡散させる複数の凹部を形成した光拡散板に係る(周知技術の)知見を備えた当業者であれば、引用例2等に記載の、光入射面に光を拡散させる複数の凹部を形成した周知の光拡散板構成が、引用発明6の構成の光拡散性基板(31)にとって好ましい(出射面に複数の凹部を形成することは好ましくない)と理解する(より詳しく言えば、凹部と凸部とが併存する構成とすることは、凹部と凸部との併存による光拡散性及び光均一性に係る光学設計の複雑化、光学的製造の低下あるいは製造上プロセスの複雑化を懸念する当業者が選択しない。)。
(b) そうすると、引用例2に、所定の繰り返し単位が周期的に配置されるのは光入射面及び/又は光出射面であってもよい旨が記載があるとしても、あるいは、光入射面に複数の光を拡散させる複数の凹部を形成した光拡散板だけではなく、光入射面又は光入出射面に複数の光を拡散させる複数の凹部を形成した光拡散板も周知であるとしても、上記(a)で述べたとおりであるから、「引用例2に記載の光拡散板を適用しても、光を透過可能な複数の凸部を互いに離間して備える第2面の反対側の表面である第1面に凹凸領域を有するように光拡散板を適用する動機まではない」とはいえず、上記の請求人の主張を採用することはできない。
イ 相違点6-1-2について
(ア) 引用発明6の「光拡散性基板(31)」は、「光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の突起部(32)と前記集光性シート(41)」「が粘着剤層(40)を介して接着され」、「これにより前記粘着剤層(40)と前記光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の凹部(33)との間に空気層(42)が存在した状態」となっていて、「空気層(42)が存在するから、前記面光源装置(1)において正面方向(法線方向)(Q)に高い輝度で照明することができるし、前記液晶表示装置(30)において正面方向(法線方向)(Q)に高い輝度で画像を表示することができる」(引用例6の【0033】)ものであるところ、
引用例6の【0052】には、「突起部(32)の高さ(H)」について、「10~500μmの範囲に設定されるのが好ましい(図3参照)。10μm以上であることでスペーサー機能が十分に得られて空気層(42)の空隙を十分に確保できると共に、500μm以下であることで該突起部(32)の成形が容易なものとなる。」ことが記載され、同【0059】には、「空気層(42)の厚さ(E)」について、「通常、1~400μmの範囲に設定され、好ましい厚さ(E)は50~350μmである(図2参照)。」ことが記載されている。
(イ) してみると、引用発明6の「突起部(32)」の平均高さを50~200μmとする程度のことは、引用例6の記載に基づき、空気層(42)の空隙の十分な確保及び正面方向の輝度向上を考慮する当業者が適宜になし得る設計的事項にすぎない。
あるいは、引用例6には、「正面方向(法線方向)において十分に高い輝度が得られると共に輝度均一性にも優れ」(【0086】、【0083】【表1】)る「実施例1」について、「光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)」の「突起部(32)の高さ(H)」を「150μm」とすること(【0073】)が記載されているところ、引用発明6において、「突起部(32)」の平均高さを150μmとすることは、当該記載に接した当業者の設計的事項にすぎない。
ウ 相違点6-1-3について
(ア)a 引用発明6の「突起部(32)」について、引用例6には、
「前記突起部(32)は、平面視において一対の長辺(35)(35)と一対の短辺(36)(36)を有する略矩形形状である(図4参照)。前記突起部(32)の底面(光拡散性基板に連接する面)における長辺の長さ(T)は0.8~2.5mmに設定され、前記突起部(32)の底面(光拡散性基板に連接する面)における短辺の長さ(L)は50~500μmに設定される。」(【0027】)、
「長辺の長さ(T)が0.8~2.5mmで、短辺の長さ(L)が50~500μmである平面視略矩形形状の突起部(32)が光拡散性基板(31)の表面に散在して形成されているから、該突起部(32)が存在することによってこの集光層付き光拡散板(3)の光学機能に悪影響が及ぶことがなく、高品質の画質を備えた画像を表示できる。」(【0033】)、
との記載がある。
また、「突起部(32)」の「長辺の長さ(T)」について、引用例6の【0034】には、「2.5mmを超えると液晶パネルを通して突起部(32)が視認されて画像の品位が低下する」、「短辺の長さ(L)」について、同【0035】には、「500μmを超えると突起部(32)の形状が筋のように視認される恐れがある」ことが記載されている。
b また、複数の突起部(32)について、同【0036】には、「長辺方向に隣り合う突起部(32)同士の重心(G)間距離を「U」としたとき、長辺方向に一列を形成した突起部群における突起部(32)の重心位置(G1)は、該突起部群に対し短辺方向に隣り合う隣接突起部群を構成する複数の突起部のうち最も近い突起部(32)の重心位置(G2)に対し、長辺方向においてU/2.2~U/1.8の範囲の距離離れている(ずれている)構成であるのが好ましい(図4参照)。」、「この構成を採用した場合には、長辺方向に隣り合う突起部(32)同士の間隔や短辺方向に隣り合う突起部(32)同士の間隔が大きい構成であっても、集光性シート(41)が撓んで該集光性シート(41)が光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の凹部(33)に接触したり近接するようなことが防止され、十分な空気層(42)が確保されるので、正面方向の輝度をより向上させることができる。」との記載もある。
なお、引用例6の「図4」は、以下のものである。
[図:0001436725000006.jpg]
さらに、複数の突起部(32)について、同【0037】には、「1.3≦U/T≦2.2の関係式が成立する構成であるのが好ましい(図4参照)。」、「1.3≦U/Tであることで十分な空気層(42)を確保できると共に、U/T≦2.2であることで集光性シート(41)の撓みを防止できる。」、
同【0038】には、「短辺方向に隣り合う突起部(32)同士の重心(G)間距離を「F」「としたとき、
400μm≦F≦5.0mm
8.0≦F/L
の両者の関係式が成立する構成であるのが好ましい(図4参照)。」、同【0039】には、「Fが400μm以上であることで、粘着剤層(40)と光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の凹部(33)との間に空気層(42)を十分に形成せしめることができると共に、Fが5.0mm以下であることで、集光性シート(41)が撓んで該集光性シート(41)が光拡散性基板(31)の凹凸形状面(34)の凹部(33)に接触したり近接することを十分に防止できる。また、8.0≦F/Lの関係式が成立することで、空気層(42)の空隙を短辺方向において広くすることができて、より高い透過率で光を透過させることができるから、正面方向の輝度をさらに増大させることができる。」との記載がある。
(イ) してみると、突起部の長さ、突起部の散在の程度(距離)に係る引用例6の上記(ア)a、bの各記載に基づいて、光拡散性基板(31)の出射面(第2面)の全面に対して突起部(32)の占有割合を0.1~30%の範囲内の値とする程度のことは、(輝度均一性及び正面方向の輝度に関連する)十分な空気層の確保や、突起部による光学機能への悪影響などの観点から集光層付き光拡散板の光学機能及び高画質な画像表示を考慮する当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない(例えば、令和6年7月3日付け拒絶査定における(令和6年2月8日付け拒絶理由通知書に記載の)拒絶の理由において引用された特開2011-133555号の【請求項4】の「前記光入射面に形成された突起部は、前記光入射面に対する突起部の底面の総和の面積率が1%~10%の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載された光学シート。」との記載を参照。あるいは、引用例6の【0083】【表1】に示された実施例1においては、突起部の構成(長辺の長さT:800μm、重心間距離U:1200μm、U/T:1.5、短辺の長さL:389μm、重心間距離F:3490μm、F/L:8.97、ずれ距離K:600μm)からみて、(図4より、1200μm×3490μmの矩形中に800μm×389μmの突起部が2つ存在すると考えて、(800×389×2)/(1200×3490)=0.1486・・・より、)突起部の占有割合は約15%となる。)
あるいは、当審における拒絶の理由で引用された特表2005-527864号公報(以下「引用例1」という。)の【0026】の、間隙(空気層)を形成するスペーサについての、「他の例では間隙が光管理要素の入射面の90%以上を占有し、一方スペーサが光管理要素の入射面の残りの10%以下を占有していることが望ましい場合がある。代替的には・・・略・・・スペーサが光管理要素の入射面の残りの5%以下を占有している。」との記載、【0037】の「光管理要素20の入射面24との関係と同様に、スペーサ40は光伝達要素30の出射面32の一部分のみ占有し得る。」との記載等に基づいて、引用発明6において、相違点6-1-3に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
エ 本願発明1の効果について
(ア) 本願の明細書の【0042】には、発明の効果として、「本発明によれば、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができる光拡散シートを提供することができる。また、本発明によれば、前記光拡散シートを積層する光拡散シート積層体、前記光拡散シートを備えるバックライトユニット、及び前記バックライトユニットを備える液晶表示装置が提供される。」との記載がある。
(イ) しかしながら、上記(ア)の本願発明1の効果は、本願発明1の構成が奏する効果として、先の出願時の当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものであるとはいえない。
すなわち、(A)引用例6の記載からは、(突起部の成形性(【0033】)に問題なく、集光性シートが撓んで光拡散性基板と接触しない(【0036】)範囲で)突起部の長さを短く(突起部を小さく)、突起部間の距離を大きくすれば(、すなわち、光拡散性基板(31)の突起部の面積(割合)を小さくすれば)、光学機能への悪影響なく、また、十分な空気層を確保することができ、正面方向の輝度をより向上できることが理解できる(【0033】~【0038】)。
また、引用例6でいう本発明(集光層付き光拡散板)を具体化した実施例1(突起部の占める割合が約15%)が、粘着剤の全面接着により光拡散性基板と集光性シートとの間に空気層が存在しない構成とした比較例1よりも、平均輝度及び輝度均一度((輝度最小値/輝度最大値)×100(%))が優れること(【0083】【表1】、【0084】、【0086】~【0087】等)が理解できる。
また、(B)引用例1の記載からも、光管理要素(【0012】、【0021】)と、光管理要素の入射面に光を入射させる光伝達要素(ディフューザ)とからなる光学アセンブリ全体の性能は、その接触領域では屈折率が小さく、光管理要素、光学アセンブリ全に悪影響を及ぼすこと(【0023】)、光管理要素の入射面に入射する光の屈折特性を維持するためには、光管理要素の入射面と光伝達要素の出射面との間に間隙(空気層)を含むこと(【0024】)、(光管理要素と光伝達要素との間に配置した)スペーサの示す割合が小さい方(例えば10%以下、5%以下)とすると、間隙(空気層)を大きくすることができ(屈折率差を大きくすることができ)、光拡散のための光屈折特性を維持できること(【0026】)が理解できる。
さらに、(C)「本発明によれば、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができる」ことについて、本願明細書においては、「輝度の面内均一性」は「輝度の平均値/輝度の標準偏差」により定義される(【0088】)ところ、比較例の光拡散シートを、ピラミッドシートの平坦面上に(実施例の凸部の高さと同じ厚さの)50μmのUV硬化樹脂層を形成し、実施例に係る「平均高さ50μmの凸部の高さも含めて」「計160μm」の光拡散シートと同じ厚みのものとして、実施例及び比較例の光拡散シートの上にプリズムシートを載せて、「輝度の平均値」及び(上記定義による)「輝度の面内均一性」を算出、対比した場合に、比較例においては、空気層がないため界面の屈折率差が小さく光拡散機能が十分でないため輝度均一化機能が低く、また、50μmのUV硬化樹脂自体による吸収があるために輝度も低いものとなり、結果として「輝度の平均値」及び(上記定義による)「輝度の面内均一性」のいずれも低いものとなり、一方、実施例においては、凸部の占める面積が低く、空気層も十分確保されているため、大きな屈折率差による光拡散機能、輝度均一化機能が大きくなり、また、吸収も小さいものとなり、結果として「輝度の平均値」及び(上記定義による)「輝度の面内均一性」のいずれも(比較例と比べて)高いものとなることは、引用例1や引用例6に記載内容をよく知る先の出願時の当業者にとって予測可能なことである。
オ 令和7年10月8日提出の意見書における請求人の主張について
(ア) 同意見書における請求人の主張
a 同意見書1~2頁において請求人は、本願発明1の効果について、
「光拡散剤を含有しない光拡散シートであっても、互いにトレードオフの関係にある輝度及び輝度の面内均一性を同時に高めることができるという効果を奏することは、本願明細書の実施例からも実証されていることがわかります。具体的には、本願明細書の図7及び図8からわかりますように、前記凸部を形成した場合、前記凸部の占める面積の割合にかかわらず、前記凸部を形成しない場合より輝度均一性が高く、かつ、前記凸部の占める面積の割合が増えても、輝度均一性をほぼ一定に保持しながら、前記凸部を形成した場合であっても、前記凸部を形成しない場合より輝度を高くすることができます。よって、本願明細書の実施例からも、前記凸部の占める面積が、前記第2面の全面に対して、0.1~30%となるように、前記凸部を形成することによって、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができるといった本願発明の上記効果を充分に奏することが実証されていることがわかります。」と主張する。
b また、同意見書2~3頁の「本願請求項1に係る発明と引用例に記載の発明との対比」において、請求人は、
(a) 「引用例1に記載の「光伝達要素」及び引用例6に記載の「光拡散性基板」に、引用例2に記載の光拡散板を適用しても、光を透過可能な複数の凸部を互いに離間して備える第2面の反対側の表面である第1面に凹凸領域を有するように光拡散板を適用する動機まではないものと思料致します。」、
(b) 「引用例1、引用例2、及び引用例6のいずれにも、互いにトレードオフの関係にある輝度及び輝度の面内均一性を同時に高めることができるという効果を奏することまでは記載されていません。よって、互いにトレードオフの関係にある輝度及び輝度の面内均一性を同時に高めることを目的として、補正後の本願請求項1に係る発明のように、光を透過可能な複数の凸部を互いに離間して、前記高さの前記凸部の占める面積が前記割合となるように備えることを、引用例1に記載の「光伝達要素」及び引用例6に記載の「光拡散性基板」において、引用例2に記載の事項を当業者が参照したとしても、容易に導き出すものができるものではありません。」と主張する。
(イ) 合議体の判断
a 上記(ア)b(a)の主張について
上記ア(エ)で述べたとおりである。
b 上記(ア)a及び(ア)b(b)の主張について
上記エ(イ)で述べたとおりであり、凸部の占める面積を小さくする、空気層を十分に確保すれば、光拡散機能、光均一化機能が向上すること、空気層があれば吸収がないため輝度が向上すること、また、本願明細書の定義による「輝度の面内均一性」(「輝度の平均値/輝度の標準偏差」)、及び、比較例(凸部の同じ高さのUV硬化樹脂を形成した光拡散シート)に基づけば、(比較例に比べて)輝度及び輝度の面内均一性を同時に(比較例に比べて)高めることができることは、先の出願時の当業者が予測できたものであって、格別、顕著なものとはいえない。
カ 小括
本願発明1は、引用例6に記載された発明、引用例1、引用例6に記載された技術的事項、及び、引用例2等に例示された先の出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 引用例1を主引用例とする進歩性についての判断
(1) 引用例1の記載及び引用発明
ア 引用例1の記載
当審における拒絶の理由で引用された特表2005-527864号公報(引用例1)は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには以下の記載がある。
(ア) 「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に光学アセンブリに関する。特に本発明は表示システムで使用する多機能光学アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
・・・略・・・
【0003】
ミネソタ州、セント・ポールの3Mカンパニー(3M Company(St.Paul,Minnesota))から入手可能な3Mブランドのブライトネス・エンハンスメント・フィルム(Brightness Enhancement Film)(BEF)は、この問題を解決するために利用可能な光学フィルムの1つのタイプである。BEFおよび同様のフィルムは通例、表面に光の波長と比べて大きい一連のプリズムを含む。この構造は、軸外光を再配向するとともに軸上光を再利用して光が最終的にディスプレイ軸上から出射する、すなわち概して視認者の方へ向けるようにすることにより、光学表示システムの軸上輝度を増加できる。使用中これらのフィルムは通例、1または2次元の軸外輝度を犠牲にして軸上輝度を増加する。このようにしてこの材料はディスプレイ設計者が低電力消費で所望の軸上輝度量を達成する助けとなることができる。
・・・略・・・
【0004】
輝度強化はこのようなプリズム状構造化表面フィルムで、光の再利用を含んで好ましい反射および屈折のプロセスにより達成される。好適なバックライト構成で用いる場合は、プリズム状構造化表面フィルムは視認者の方向(通常LCDの真正面)に光を透過するが、そうでなければ画面を高角度に置くことになる(視認者から外れる)。
【0005】
プリズム状構造化表面フィルムが光をユーザに向けて狭い角度出射外形に向けるために、このフィルムは、空気または十分に低い屈折率を有する他の材料とのインターフェースを含む平坦または略平坦な入射面(フィルムのプリズムとは反対側)を含むことが多い。入射面は一般に光が入射面により画定される垂線方向から約40度より大きい内角でフィルムに入射することを防止する。
【0006】
より効率的に動作するために、プリズム状構造化表面フィルムの入射面は通例エアギャップにより表示システム内の他の要素から離間されて、入射面を介してプリズム状構造化表面フィルムに入射する光の屈折特性が例えば拡散層、ライトガイド等の一般にはより高い屈折率により影響されないようになっている。例えば空気は1の屈折率を有するが、拡散層を構成するのに用いられる高分子は一般に、プリズム状構造化表面フィルムを製造するのに用いられる材料の屈折率に近いより高い屈折率を有する。その結果高分子インターフェースにおける光屈折は空気インターフェースにおける光の屈折とは異なる。入射面を備えたプリズム状構造化表面フィルムを含む光学表示システムを製造するための現在の技術はエアギャップに依存しているが、本来エアギャップは一般に接着剤または2つの層を光学的に結合する他の薬剤のない状態で互いに積層された2つのフィルムの間にある。
【0007】
しかし、プリズム状構造化表面フィルムを光学表示システム内の他の要素と共に組立てることが必要なため、この手法は光学ディスプレイを組立てるコストを増加させてしまう。また積層手法は、プリズム状構造化表面フィルムの入射面とその入射面に隣接する他の要素間のエアギャップが入射面にわたって異なると、光学ディスプレイの外観のむらにつながる。例えばある領域で、入射面におけるフィルム内への光の屈折に悪影響を及ぼすように入射面が隣接の要素と接している恐れがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は入射面を備えた光管理要素と、上記光管理要素の上記入射面に結合された出射面を有する光伝達要素とを含む一体化光学アセンブリを提供する。上記光管理要素と上記光伝達要素とは、上記光管理要素の入射面と上記光伝達要素の出射面との間に間隙を画定するように一体に結合されている。
【0009】
光管理要素と光伝達要素との間の間隙は、例えば入射面の大部分上に空気インターフェースが維持可能な時に機能が改善するように光管理要素が構成されている場合に利点を提供し得る。間隙は空気に占有されていることが多いが、入射面と所望の屈折率差を提供する任意の他の気体が間隙を占有し得ることは理解できよう。例えば間隙は空気以外の1つ以上の気体に占有されてもよい。さらにまた間隙を複数形で言及してもよいが、以下で説明する図面に図示するような間隙は実際には、光管理要素と光伝達要素との間に間隙を維持するように設計された構造により分断された連続間隙の一部分であり得ることは理解されよう。
【0010】
その結果本発明による光学フィルム組立体は、一体化多機能光学アセンブリを提供しつつ光管理要素の屈折特性を実質的に維持し得る。
【0011】
本明細書で使用するように「光管理要素」は、屈折、反射、全反射、および/または減衰全反射により、入射光の少なくとも一部分を所望の方向に向けるように動作可能な光学装置(フィルム、本体等)として画定される。
【0012】
本明細書で使用するように「光伝達要素」は、出射面を含む光学装置(フィルム、本体等)であり、光は出射面を出射して光管理要素の入射面に向かって進行する。
・・・略・・・
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本実施形態の以下の詳細な説明において、その一部をなす添付の図面を参照するが、図面には本発明を実施し得る特定の実施形態が例として示されている。他の実施形態を利用してもよく、本発明の範囲から逸脱することなく構造的変更を行ってもよいことは理解されよう。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明は図1Aに示すように光伝達要素30’と一体の光管理要素20’を含む光学アセンブリ10’を提供する。これらの2つの要素20’と30’との間の結合は、それらの間であり且つ光管理要素20’と光伝達要素30’とが結合されている取付点40’の間に間隙41’が作製されるようになされている。
・・・略・・・
【0022】
光伝達要素は、例えば光が光管理要素の入射面に入射する前にその光を拡散させるためのディフューザであってもよい。拡散を付与することにより例えば機構を見えにくくし、光を均質化し、光伝達要素を出射する光の散乱を変化させ、光管理要素の入射面の当たる光の進入角度を変える等できる。
・・・略・・・
【0023】
インターフェースにおける光の屈折特性はそのインターフェースにおける屈折率の比の関数であるため、光管理要素と光伝達要素との間の空間を用いて光学アセンブリ全体の性能を制御し得る。多くの例において光管理要素および光伝達要素は同様の光屈折率を有する材料で製造する場合が多い。その結果、光管理要素の入射面と光伝達要素との間の接触領域は、例えば空気/入射面インターフェース間に見られるものより小さい屈折率差を示す。その小さい屈折率差は光管理要素の性能、ひいては光学アセンブリ全体に悪影響を与える恐れがある。
・・・略・・・
【0025】
いくつかの実施形態において、光管理要素と光伝達要素との間に配置したスペーサによって間隙を画定することが可能であり、これらのスペーサは光管理要素と光伝達要素との間の容積の一部分を占有している。多くの例でこれらのスペーサは光管理要素および/または光伝達要素と一体であり得る。
【0026】
スペーサは光管理要素の入射面の一部分しか占有していない。例えば間隙が光管理要素の半分以上を占有していることが好ましい場合がある。他の例では間隙が光管理要素の入射面の90%以上を占有し、一方スペーサが光管理要素の入射面の残りの10%以下を占有していることが望ましい場合がある。代替的には間隙が光管理要素の入射面の95%以上を占有し、一方スペーサが光管理要素の入射面の残りの5%以下を占有している。そのようのものとして光管理要素の入射面の大部分が間隙に占有されており、光伝達要素が光管理要素に一体化されていても入射面を介して光管理要素に入射する光の屈折特性が維持されるようになっている。
・・・略・・・
【0029】
図1は本発明による1つの代表的な光学アセンブリの部分断面図である。光学アセンブリ10はディフューザの形状の光管理要素30に結合された光管理要素20を含んでいる。間隙41は、入射面24の大部分が間隙41に占有されるように光管理要素20と光伝達要素30との間に画定されている。本発明に関連して使用するように、光管理要素20と光伝達要素30との間の結合は接着性でもよく、接着剤は感圧接着剤または硬化性接着剤などの任意の他の接着剤である。
【0030】
光管理要素20は様々な形状を取り得るが、図示の光管理要素20は光管理要素の入射面24とは反対側に一連のプリズム22を含んでいる。そのようなものとして、光管理要素20は上述した(例えばBEF等)ようなプリズム状構造化表面を有し得る。光管理要素20は空気より大きい屈折率を有する任意の好適な透明材料で作製し得るが、ポリカーボネート(屈折率1.586を有する)などのより高い屈折率を有する材料を用いることが望ましい場合がある。
【0031】
プリズム状構造化表面を有する好適な光管理要素構成の例には、ブライトネス・エンハンスメント・フィルム・・・略・・・があり、これらはすべてミネソタ州、セント・ポールの3Mカンパニー・・・略・・・から入手可能なものであるがこれらに限定されない。
・・・略・・・
【0032】
図1に見られるように光管理要素の入射面24が、入射面24を介して光管理要素20内へ入る光の屈折が均一になるように実質的に平滑であることが好ましい場合がある。図示した光伝達要素30は光管理要素20から離れる方向に向いている下面34を含む。・・・略・・・図示の下面34は平滑であるが、平滑でなければならないことはない。
【0033】
図示の構成において、スペーサ40は光伝達要素30と一体の構成として形成されている。
・・・略・・・
【0035】
スペーサ40に占有された入射面24の部分を限定することはスペーサ40と接していない領域を増加させるため好ましい。スペーサ40により占有されていない入射面24のそれらの領域を間隙41として画定し得る。間隙41内では、入射面24を空気に露出して空気/入射面インターフェースを形成することにより光管理要素20の屈折特性を維持することが好ましい場合がある。
・・・略・・・
【0037】
光管理要素20の入射面24との関係と同様に、スペーサ40は光伝達要素30の出射面32の一部分のみ占有し得る。スペーサ40は光管理要素20の入射面24を占有するのと同量の光伝達要素30の出射面32を占有するような一様な断面を有するように図1に図示されているが、その関係は必要ではない。つまりスペーサ40は入射面24と同じくらいの出射面32の部分を占有してもよく、またはより多くまたは少なく出射面32を占有してもよい。
【0038】
スペーサ40の形状、大きさおよび横方向の間隔距離は可変である。例えばスペーサを例えば入射面24の個別領域を占有する支柱(例えば、円形、四角形、三角形、楕円形、不規則形状等)として形成してもよい。
・・・略・・・
【0043】
上述のように、図示の実施形態の光伝達要素30は光が光管理要素20の入射面24に入射する前にその光を拡散する。
・・・
【0048】
図示の光伝達要素30は、光伝達要素30に組み込まれて所望の光拡散を与えるバルク拡散粒子36を含むバルクディフューザである。・・・バルクディフューザは透明な基材および、透明な基材に分散された顔料および/またはビーズなどの少なくとも1つの光拡散材料を含み得る。使用する顔料は白色顔料(例えば酸化チタン)を含んでもよく、また1つ以上の着色顔料、例えばカーボンブラックを含んでもよい。」
(イ) 「【図1】
[図:0001436725000007.jpg]
」
イ 引用発明
(ア) 引用例1の【0012】の「本明細書で使用するように「光伝達要素」は、出射面を含む光学装置(フィルム、本体等)であり、光は出射面を出射して光管理要素の入射面に向かって進行する。」及び【0025】の「いくつかの実施形態において、光管理要素と光伝達要素との間に配置したスペーサによって間隙を画定することが可能であり、これらのスペーサは光管理要素と光伝達要素との間の容積の一部分を占有している。多くの例でこれらのスペーサは光管理要素および/または光伝達要素と一体であり得る。」との記載からみて、多くの例ある「スペーサ」が「光伝達要素と一体であ」る場合、「これらのスペーサ」、すなわち、複数の「スペーサ」は、「光伝達要素」の「出射面」において「光伝達要素と一体」化されているといえる。
(イ) 上記(ア)及び上記アの引用例1の【0001】、【0012】、【0022】及び【0025】等の記載からみて、引用例1には、「光伝達要素」の発明として、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「表示システムで使用され、光が光管理要素の入射面に入射する前にその光を拡散し、拡散を付与することにより例えば機構を見えにくくし、光を均質化し、光伝達要素を出射する光の散乱を変化させ、光管理要素の入射面の当たる光の進入角度を変える等できるディフューザであって、その出射面において複数のスペーサと一体化されている、光伝達要素。」
(2) 対比
本願発明1と、引用発明1を対比する。
ア 凸部、第2面
(ア) 引用発明1の構成からみて、引用発明1の(「光管理要素の入射面」に対向する)「光伝達要素」の「出射面」は、本願発明1の「第2面」に相当する。
(イ) 「スペーサ」との文言の意味する内容、機能からみて、引用発明1の「光伝達要素」の「出射面」に「一体化」された「複数」の「スペーサ」は、「光管理要素」の「入射面」と「光伝達要素」の(「スペーサ」が「一体化」された)「出射面」との間に所定の間隔を空けるために、互いに離れて配置された(複数の)凸部であると理解できる(引用例1の【0025】の「いくつかの実施形態において、光管理要素と光伝達要素との間に配置したスペーサによって間隙を画定することが可能であり、これらのスペーサは光管理要素と光伝達要素との間の容積の一部分を占有している。」との記載や図1(「スペーサ40」)からも理解できることである。)。
そうすると、上記(ア)より、引用発明1の「光伝達要素」の(「複数」の)「スペーサ」は、補願発明1の、「複数の」とされる、「凸部」に相当する。
また、本願発明1と、引用発明1は、「複数の凸部を互いに離間して備える第2面」「を有し」ている点で共通する。
イ 第1面、光拡散シート
(ア) 引用発明1の「光伝達要素」は、「光管理要素と組み合わされて」「表示システムで使用される」ものであり、「光が光管理要素の入射面に入射する前にその光を拡散し、拡散を付与する」「ディフューザ」である。
(イ) 技術常識から理解される「光伝達要素」(「ディフューザ」)及び「光管理要素」の厚みに対する「出射面」の大きさ(「表示システム」の画面サイズ)を前提とすれば、引用発明1の「光伝達要素」(「ディフューザ」)は、「光管理要素」に対向する「出射面」を上面とする、薄い板すなわちシートといえる(引用例1の【0006】~【0007】における背景技術における「フィルム」との記載や、【0010】の「本発明による光学フィルム組立体」、【0011】の「本明細書で使用するように「光管理要素」は、屈折、反射、全反射、および/または減衰全反射により、入射光の少なくとも一部分を所望の方向に向けるように動作可能な光学装置(フィルム、本体等)として画定される。」、【0012】の「本明細書で使用するように「光伝達要素」は、出射面を含む光学装置(フィルム、本体等)であり、光は出射面を出射して光管理要素の入射面に向かって進行する。」等の記載からも明らかなことである。)。
そうすると、引用例1の「光伝達要素」は、本願発明1の「光拡散シート」に相当する。
また、引用発明1の「光伝達要素」は、上面(「出射面」)のシート反対側に下面を有するといえる。そうすると、引用例1の「光伝達要素」の(上面(「出射面」)のシート反対側の)下面は、本願発明1の「第1面」に相当し、本願発明1と、引用発明1は、「第1面」「を有し」、「前記第1面は、前記第2面とは反対側の表面であり」との構成を備える点で共通する。
ウ 一致点及び相違点
上記ア~イより、本願発明1と、引用発明1は、
「 光拡散シートであって、
第1面と、
複数の凸部を互いに離間して備える第2面とを有し、
前記第1面は、前記第2面とは反対側の表面である光拡散シート。」の構成で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1-1-1)
本願発明1においては、「光拡散シート」は「光拡散剤を含有しない」ものであり、「第1面」が「光を拡散させる複数の凹部が形成され」、「複数の凸部」が「光を透過可能な」ものであるのに対して、引用発明1においては、このようなものとなっているか不明である点。
(相違点1-1-2)
「凸部の平均高さ」が、本願発明1においては、「50~200μmである」るのに対して、引用発明1においては、このようなものとなっているか不明である点。
(相違点1-1-3)
「凸部の占める面積」が、本願発明1においては、「第2面の全面に対して、0.1~30%である」のに対して、引用発明1においては、このようなものとなっているか不明である点。
(3) 判断
ア 相違点1-1-1について
(ア) 引用発明1の「光伝達要素」は、「表示システムに使用され」、「光が光管理要素の入射面に入射する前にその光を拡散」し、「拡散を付与することにより例えば機構を見えにくくし、光を均質化し、光伝達要素を出射する光の散乱を変化させ、光管理要素の入射面の当たる光の進入角度を変える等できる」「ディフューザ」である。
また、引用発明1の「光伝達要素」は、「出射面」(上面)とはシート反対側に下面を有するところ(上記(2)イ(イ)参照)、引用例1の【0032】には、図1と共に、「図示した光伝達要素30は光管理要素20から離れる方向に向いている下面34を含む。」、「図示の下面34は平滑であるが、平滑でなければならないことはない。」との記載がある。
(イ) ここで、画像表示装置の直下型面光源における光拡散板であって、入射面及び入射面を反対側表面としたものは、引用例2や特開2020-86432号公報等に例示されているように、先の出願前に周知である。
また、画像表示装置の面光源としての光拡散板であって、光入射面に光を拡散させる複数の凹部を形成した、透明樹脂からなり、光拡散剤を含まない、輝度均一性が得られる光拡散板は、例えば引用例2や特開2020-86432号公報等に例示されているように、先の出願時に周知である(上記1(3)ア(イ)参照。)。
(ウ) してみると、引用発明1の「光伝達要素」を、上記周知の直下型光源における光拡散板として、「出射面」(上面)と反対側の下面を入射面とするとともに、上記の引用例2等に例示された周知の光拡散板構成を採用して、光拡散剤を含有せず、かつ光出射面(「第2面」)とは反対側の入射面(下面、「第1面」)に光を拡散させる複数の凹部が形成された構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであり、その際、「光伝達要素」と一体化された「スペーサ」も透明樹脂で構成することは当業者の設計的事項である。
(エ) 令和7年10月8日提出の意見書における請求人の主張について
a 請求人は、同意見書2~3頁において、「引用例2には、光入射面及び光出射面の少なくとも一方の面は、多角錐体の反転形状等の、複数個の繰り返し単位を有する凹凸領域を有することが記載されており、所定の繰り返し単位が周期的に配置されるのは、光入射面及び/又は光出射面の一部であってもよい旨が記載されています・・・略・・・。」、「引用例1に記載の「光伝達要素」・・・略・・・に、引用例2に記載の光拡散板を適用したとしても、前記凸部が形成されている面とは反対側の面に凹部を形成するとは限らず、前記凸部間に凹部を形成することも考えられます。よって、引用例1に記載の「光伝達要素」・・・略・・・に、引用例2に記載の光拡散板を適用しても、光を透過可能な複数の凸部を互いに離間して備える第2面の反対側の表面である第1面に凹凸領域を有するように光拡散板を適用する動機まではないものと思料致します。」と主張している。
b しかしながら、引用発明1においては、図1に示された「本発明による1つの代表的な光学アセンブリ」では、「光伝達要素」は「光伝達要素30に組み込まれて所望の光拡散を与えるバルク拡散粒子36を含む」(【0048】)ものの、「1つの代表的な」との記載からも理解されるように、「拡散粒子」は「所望の光拡散を与える」ための例示の構成である(「光伝達要素」(「ディフューザ」)として拡散粒子を含むことが必須のことではないことは、引用例1の請求項1、9等の記載において、光伝達要素が光拡散粒子を含むことが発明を特定する事項として記載されていないことからも理解できる。)。
そうすると、上記(ア)の【0032】の記載に接し、上記(イ)で述べた周知技術を熟知する当業者であれば、引用発明の具体化に当たり、「所望の光拡散を与える」構成として、(拡散粒子だけでなく、)「光伝達要素」の(出射面と反対側の、「平滑」でなくてよい)「下面34」を入射面とし、上記引用例2等に例示された光入射面に光を拡散させる複数の凹部を形成した構成を取ることもできると理解できるから、上記の請求人の主張を採用することはできない。
イ 相違点1-1-2について
引用発明1の(「複数」の)「スペーサ」(「凸部」)は、引用例1の【0035】によれば、空気を含む間隙を画定し、間隙内で入射面を空気に露出して空気/入射面インターフェースを形成することにより光管理要素の屈折特性を維持するものである。
してみると、引用発明1の「スペーサ」の平均高さを50~200μmとする程度のことは、適切な空気/入射面インターフェースの形成及び光管理要素の屈折特性の維持を考慮する当業者が適宜になし得る設計的事項にすぎない(例えば、引用例6の実施例1の(引用発明1の「スペーサ」と)同様な作用、機能を有する「突起部(32)」の高さ「150μm」(【0073】)を参照。)。
ウ 相違点1-1-3について
引用発明1の(「複数」の)「スペーサ」(「凸部」)は、引用例1の【0037】によれば、光管理要素20の入射面24との関係と同様に、スペーサ40は光伝達要素30の出射面32の一部分のみ占有し得るものであるところ、この「同様」の「関係」とされる「光管理要素」の「入射面」に対する「スペーサ」の占有割合は10%以下(「間隙」の占有割合は90%以上)、あるいは5%以下(同95%以上)である(【0026】、【0034】等)。
してみると、引用発明1において、「光伝達要素」の出射面(第2面)の全面に対してスペーサの占有割合を例えば10%、5%あるいは1%等として、相違点1-1-3に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が適宜になし得る設計的事項にすぎない。
エ 本願発明1の効果及び令和7年10月8日提出の意見書における請求人の主張についてについて
本願発明1の効果、及び、同意見書における本願発明1の効果についての請求人の主張については、上記1(3)エ及びオで述べたとおりである。
オ 小括
本願発明1は、引用例1に記載された発明、及び、引用例1に記載された技術的事項、及び、引用例2等に例示された先の出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
本願発明1は、引用例6に記載された発明、引用例1、引用例6に記載された技術的事項、及び、引用例2等に例示された先の出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願発明1は、引用例1に記載された発明、引用例1に記載された技術的事項、及び、引用例2に例示された先の出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-014945